JP2006055916A - スローアウェイ式バイト - Google Patents

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Abstract

【目的】切れ刃の刃先に近い位置から刃先に向けて的確に且つ集中して切削油等を供給することが可能なバイトを提供する。
【構成】内部に油孔(5)を備えた工具本体(1)のチップ座(2)に載置されるチップ(10)がその上面又は中央取付孔(10a)の少なくともいずれか一方に係合するクランプ部材(20A)によって固定されるバイトにおいて、前記クランプ部材(20A)には、チップの切れ刃(11)側に指向するように開口するとともに該バイトの外部に設けられた切削油等の供給部に前記油孔(5)を介して連通する切削油流路(24A)を備えた切削油誘導部(22A)が一体又は着脱可能に設けられ、さらに前記切削油流路(24A)の前記切れ刃(11)側を向く開口は、該バイトの平面視においてチップの中央取付孔(10a)よりも前記切れ刃(11)に近接し且つ前記チップの上面(10a)と隣接する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スローアウェイ式バイトに関し、特に、切削油等の供給手段を有するスローアウェイ式バイトに関する。
切削加工において、切れ刃の刃先を潤滑又は冷却することを目的として従来から切削油を用いた湿式加工や、最近では微量の切削油をエアーで搬送するセミドライ加工が行われている。また、刃先を冷却することだけを目的として高圧エアーが用いられた加工が行われている。このような切削加工を行うために旋削加工の場合には、刃物台の近傍に刃先側に向くノズルにより切削油、エアー等を供給する方法が一般的であった。最近、セミドライ加工用の切削工具として、図14〜図20に例示するように、切れ刃を備えたスローアウェイチップ(以下「チップ」という。)の後方又は下方に油孔の開口部が設けられたスローアウェイ式バイト(以下「バイト」という。)がある。
図14に例示したバイトは、工具本体(1)の先端部に切れ刃(11)が形成され、この切れ刃(11)のすくい面から突出する突出部(80)が設けられ、この突出部(80)に前記切れ刃(11)のすくい面に向けて開口する切削油流路(24)が形成されたものである。(例えば、特許文献1参照)図15に例示したバイトは、工具本体(1)の内部に形成された油孔(5)に連通する切削油流路(24)をチップ(10)の内部に設けており、この切削油流路(24)の開口部が切れ刃(11)に近接したすくい面に設けられたものである。(例えば、特許文献2参照)図16に例示したバイトは、工具本体(1)の内部に設けられた油孔(5)を少なくとも2カ所に開口させ、これら開口部の向きをノズル部品(81)によって切れ刃(11)に向くようにしたものである。(例えば、特許文献3参照)図17に例示したバイトは、内部に油孔(5)を有する工具本体(1)の先端部に、板状部材(82)を取付け、この板状部材(82)と工具本体(1)との間に凹所からなる切削油流路(24)を前記油孔(5)に連通させて、さらに切削油流路(24)の開口部を切れ刃(11)に向けたものである。(例えば、特許文献4参照)図18に例示したバイトは、切れ刃(11)の刃先に開口部(83b)を向けた状態でノズル部(83)を工具本体(1)に着脱可能に取付け、さらに、前記ノズル部(83)及び前記工具本体(1)には、外部から供給された切削油を刃先に向けて吐出させるための油孔(5)を形成しており、この油孔(5)を全長にわたり同一内径とし且つ互いに交差する油孔(5a、5b)の端部同士を滑らかに連結する曲線としたものである。(例えば、特許文献5参照)図19に例示したバイトは、切れ刃(11)のすくい面及び逃げ面のそれぞれに切削油を噴射する開口部を有し、これら開口部を、それぞれ工具本体(1)に装着された噴射部材(84)に連通させている。少なくともすくい面に装着される噴射部材(84)は、ネジ部(84a)とパイプ部(84b)とからなり、このネジ部(84a)を工具本体(11)に設けた雌ねじ穴(84c)と螺合させ、さらに、前記ネジ部(84a)の一部を工具本体(1)から突出させ、これにナット(84d)を螺合させている。このように構成することにより噴出部材(84)の上下及び左右方向の調整を可能としたものである。(例えば、特許文献6参照)図20に例示したバイトは、チップのすくい面から突出する突出部(85)にすくい面に向けて開口する切削油流路(24)を設け、工具本体(1)の下部側に着脱可能に設けたカバー部材(86)の顎部(86a)と工具本体(1)との間に逃げ面側に向けて開口する切削油流路(24)を設けたものである。(例えば、特許文献7参照)
特開平6−126510号公報 特開平5−116008号公報 特開平10−94904号公報 特開平10−76404号公報 特開平11−291101号公報 特開平8−257807号公報 特開平6−285703号公報
本来、刃先を潤滑、冷却するための切削油をはじめとする液体、気体、又は気体と液体の混合物等(以下「切削油等」という。)は、切削点となる切れ刃の刃先に集中して供給されることが好ましい。ところが、切削油等は、切削油等を噴出する開口部から噴出された後には拡散し、刃先に供給される量が噴出された量よりも少なくなってしまう。これは、前記開口部が刃先から遠ざかるほど顕著となる。したがって、刃先に近い位置から的確に刃先に向けて切削油等を供給することが重要である。
しかしながら、特許文献1及び特許文献7に開示されたバイトでは、チップ(10)よりも後方の位置に切削油流路(24)の開口部が設けられているため、切削油等の拡散が避けられない。特許文献2に開示されたバイトでは、チップの内部に切削油流路(24)が設けられるので刃先に近い位置に開口部を設けることができるものの、刃先の強度を低下してしまい切れ刃寿命が低下するおそれがあった。特許文献3及び特許文献5に開示されたバイトはそれぞれノズル部品(80)及びノズル部(82)の開口部をチップ(10)のすくい面上方の刃先に近い位置に設けることができるが、前者においてはチップ(10)を固定するためのクランプ部材が制限され、チップ(10)の着脱及びコーナチェンジが煩雑となってしまう。後者においてはノズル部(82)がチップ(10)のすくい面の上方に大きく突出してしまうため切りくずの排出を阻害するおそれがあった。特許文献4に開示されたバイトでは、切削油等を切れ刃(11)の逃げ面側にのみ供給するため刃先の冷却、潤滑作用が十分に得られないおそれがある。特許文献6に開示されたバイトでは、ノズル部(83)の開口部を刃先に近接した位置まで突出させれば刃先に近い位置から切削油等を供給することができるが、ノズル部(83)の強度が低下してしまうので、切りくずの衝突によりノズル部(83)の向きが変化してしまい、刃先に向けて的確に切削油等を噴出することができなくなるおそれがある。以上に説明したように、従来のバイトにおいては、切削油等を噴出する開口部を刃先に近い位置に設けることが困難であり、仮に刃先に近い位置に設けたとしても、前記開口部が加工中に発生する切りくずと衝突するおそれがあり、又は切削油等を刃先に向けて的確に噴出することができないおそれがあった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、切れ刃の刃先に近い位置から、刃先に向けて的確に且つ集中して切削油等を供給することが可能なバイトを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、内部に油孔を備えた工具本体の先端部上面にはチップ座が形成され、前記チップ座の底面に直接又は敷板を介して着座するとともに前記底面から上方へ切り上がる少なくとも1つの壁面に当接支持される略平板状のスローアウェイチップが、前記スローアウェイチップの上面又は上面中央部を貫通する中央取付孔の孔壁の少なくともいずれか一方に係合するクランプ部材によって、前記チップ座に着脱可能に固定されてなるスローアウェイ式バイトにおいて、前記クランプ部材には、切削油等を前記スローアウェイチップの先端部の上面辺稜部に設けられた切れ刃側へ噴出するための切削油誘導部が一体又は着脱可能に設けられ、前記切削油誘導部には、前記切れ刃側に指向し且つ前記切れ刃側へ向けて開口する切削油流路が備えられ、前記切削油流路の開口部は、前記油孔によって該スローアウェイ式バイトの外部に設けられた切削油等の供給部に連通し、さらに、該スローアウェイ式バイトの平面視においてスローアウェイチップの前記中央取付孔よりも前記切れ刃に近い位置に設けられるとともに前記スローアウェイチップの上面と隣接するように設けられていることを特徴とするスローアウェイ式バイトである。
本発明のバイトによれば、切削油流路がチップの先端部の上面辺稜部に設けられた切れ刃側に指向し且つ切れ刃側を向く開口部が前記切れ刃に近接した位置に設けられるので、前記切れ刃の刃先に的確に且つ集中して切削油等を供給することができる。なお、上記の切れ刃に近接した位置とは、該バイトを平面視したとき、チップ中央部の中央取付孔よりも前記切れ刃に近い位置である。その上、前記切れ刃側を向く前記切削油流路の開口部は、前記チップ上面の上方に隣接するように設けられているので、切削油等は、流出する切りくずに阻害されることなく確実に前記切れ刃の刃先へ供給される。しかも、前記切削油流路を有する切削誘導部が備わったクランプ部材は、前記チップ上面の上方及び先端側に大きく突出することがないので、切りくずの排出を阻害することもない。前記クランプ部材としては、例えば、チップ上面をチップ座の底面側に向かって押圧する押さえ金、又は、チップの中央取付孔の孔壁をチップ座の壁面側へ押圧するL字形レバーや偏心ピン、前記押さえ金と前記L字形レバー又は偏心ピンとを組み合わせたもの、又はチップの上面と中央取付孔の孔壁とをそれぞれチップ座の底面側と壁面側へ押圧するクランプ駒が用いられる。
次に、本発明に係る実施の形態について図1〜図3を参照しながら説明する。図1は第1の実施の形態に係るバイトの要部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。図2は図1に示すバイトに用いられるクランプ部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。図3は図1に示すバイトの他の例を説明する図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)におけるB−B線断面図である。図1の(a)及び(b)に示すように、このバイトは、工具本体(1)の先端部上面に切り欠き形成されたチップ座の底面(2a)に敷板(40)を介して略菱形平板状をなすチップ(10)が載置され、クランプ部材により前記チップ座(2)に固定されたものである。前記敷板(40)はチップ(10)と同じく略菱形平板状をなし、その上下面(40b、40c)が前記チップの下面(10c)よりも若干小さい形状とされる。前記工具本体(1)は例えば炭素鋼、合金鋼等からなり、前記敷板(40)を構成する材料は前記工具本体(1)を構成する材料に対して同等以上の硬度であることが好ましく、例えば、炭素鋼、合金鋼、高速度鋼、工具鋼、超硬合金等からなる。なお、前記敷板(40)が省略されチップ座の底面(2a)に直接チップ(10)が載置されてもよい。前記チップ(10)には、その上面(10b)中央部に上下面(10b、10c)を貫通する中央取付孔(10a)が設けられ、すくい面とされる上面(10b)又は下面(10c)の少なくともいずれか一方の辺稜部に切れ刃(11)が形成される。前記チップ(10)において、少なくとも切れ刃(11)は超硬合金、被覆超硬合金、サーメット、セラミック、ダイヤモンド、cBN等の切削工具用の硬質材料からなる。上面(10b)及び下面(10c)の辺稜部に切れ刃(11)が設けられた場合には、裏返しにすることにより両面を使用することができる。
チップ座(2)は、その底面(2a)から略直角に切り上がる2つの壁面(2b)を有し、これら壁面(2b)は図1の(a)に示されるように該バイトを平面視したときV字形をなすように形成される。チップ座(2)に載置されるチップ(10)は、一方の鋭角コーナ部を挟んで隣接する2つの平坦な周面(10d)を上記のV字形をなす2つの壁面(2b)にそれぞれ当接支持され、他方の鋭角コーナ側の上面辺稜部に形成された切れ刃(11)を工具本体(1)から突出するように配設される。前記切れ刃(11)は鋭角コーナ部に形成されるコーナ部切れ刃(11a)と、このコーナ部切れ刃(11a)を挟んで互いに隣接する横切れ刃(11b)及び前切れ刃(11c)とから構成され、前記横切れ刃(11b)は送り方向(F)前方を向き、主に切削を担う切れ刃であり、前記前切れ刃(11c)は被削材の加工面(図示しない)の仕上げを担う切れ刃である。
このバイトは、チップ座(2)に載置されたチップ(10)を固定するためのクランプ部材として押え金(20A)を用いた、いわゆるクランプオン方式のクランプ機構を有するバイトである。すなわち、チップ座(2)よりも後端側(図1の右側)の工具本体(1)の上面には雌ねじ穴(4A)が形成される一方、押さえ金(20A)の後端部には、前記雌ねじ穴(4A)の軸心と略一致する軸心を有する逆向きの雌ねじ穴(25A)が形成され、これら雌ねじ穴(4A、25A)に、逆ねじ機構を有する左右ねじ(30A)がねじ込まれ、押さえ金(20A)は工具本体(1)に装着される。そして、前記左右ねじ(30A)をねじ込んでいくと、押さえ金(20A)は、チップ座の底面(2a)側に向かって降下し、その先端部下面に形成された押圧面(21A)がチップの上面(10b)に当接した後、チップ座の底面(2a)側に向かって押圧することによって、チップ(10)をチップ座(2)に固定する。上記の押さえ金(20A)を構成する材料は、強度や耐久性の点から工具本体(1)を構成する材料に対して同等以上の硬度を有する、例えば炭素鋼、合金鋼等のほか、高速度鋼、工具鋼等から構成されるのが好ましい。
工具本体(1)の内部には、切削油等を流通するための断面略円形状の油孔(5)が形成されている。ここで、切削油等とは、切れ刃(11)の刃先を潤滑、冷却するための切削油をはじめとする液体、又は高圧エアー等の気体、又は微量の切削油と高圧エアーを混合したミスト等のような気体と液体の混合物のことを指す。前記油孔(5)は、図1の(b)に示すように、該バイトの外部に設けられた切削油等を供給する2つの供給部(図示しない)と、チップの中央取付孔(10a)とを互いに連通させている。この実施の形態において、それぞれの供給部に通じる2本の油孔(5)は、工具本体(1)の内部で1本に合流した後、敷板(40)の中央部を厚さ方向に貫通する貫通孔(40a)を介してチップの中央取付孔(10a)に通じている。
一方、チップ(10)の上方に配置された押さえ金(21A)には、その押圧面(21A)よりもさらに先端側(図1の左側)に切削油誘導部(22A)が一体に設けられる。この切削油誘導部(22A)は、押圧面(22Aa)をさらに先端側に延長した平坦面からなる下面(22Aa)を有し、この下面(22Aa)に開口する略円柱状の凹部からなる空間領域(23A)を有する。押さえ金(21A)がチップ(10)を押圧したとき、前記空間領域(23A)はチップの上面(10b)に開口する中央取付孔(10a)に通じるように上方に配置され、且つ前記凹部を取り囲む壁の略環状をなす下面(22Aa)は前記中央取付孔(10a)の開口部周縁を取り囲むとともにチップの上面(10a)に接するか又は上方に近接するように配置される。上記の近接するように配置されるとは、具体的には切削油誘導部の下面(22Aa)がチップの上面(10a)に対して1mm以下の間隔をもって配置されることである。これは、上記の間隔が1mmを越えると後述する切削油流路(24A)から噴出される切削油等の量が著しく減少してしまうため前記切れ刃(11)の刃先を潤滑、冷却する効果が得られにくくなるからである。前記壁の1ヶ所には、切れ刃(11)側を向くように前記壁を貫通するスリット状の切削油流路(24A)が設けられている。この切削油流路(24A)の切れ刃(11)側を向く開口部は、前記中央取付孔(10a)よりも切れ刃(11)の刃先に近接し且つチップの上面(10b)の上方に隣接するように設けられる。
以上の構成を有するバイトによれば、該バイトの外部に設けられた供給部から供給された切削油等は、油孔(5)から敷板(40)の貫通孔(40a)を経由してチップの中央取付孔(10a)を通り、チップの上面(10a)の開口部から切削油誘導部(22A)の空間領域(23A)へ流れる。ここで方向転換して切削油流路(24A)の切れ刃(11)側を向く開口部から切れ刃(11)側に向けて噴出される。切削油等は切削点となる切れ刃(11)の刃先の位置に向けて供給され、しかも、前記開口部は刃先に非常に近い位置に設けられるので、切削油等は拡散をおさえられ刃先に向けて的確に且つ集中して供給される。その上、前記開口部はすくい面をなすチップの上面(10b)の上方に隣接するように設けられるので、切削油等は切りくずに阻害されることなく確実に刃先へ供給される。しかも、前記切削油誘導部(22A)を備えた押さえ金(20A)の先端部が前記チップの上面(10a)の上方及び先端側に大きく突出することがないので、同様なクランプ機構をもつ従来バイトと同様に切りくずの排出を阻害するおそれがない。なお、切削油誘導部の下面(22Aa)は、押さえ金の押圧面(21A)と略同一面上に形成され、チップの上面(10b)との間に隙間が生じないようにするのが好ましい。そうすれば、切削油流路(24A)が前記上面(10b)によって閉塞され、刃先に供給される切削油等の供給量損失がおさえられる。チップブレーカ等が設けられることによりチップの上面(10b)が平坦な面にならない場合には、切削油誘導部の下面(22Aa)に例えば合成樹脂や真鍮又は銅のような可撓性を有する材料からなるスペーサを付設することによって、前記下面(22Aa)とチップの上面(10b)との間に隙間が生じないようにすればよい。
本実施の形態における他の例として、押さえ金(20A)に着脱可能に装着された切削油誘導部材(50)に切削油誘導部(52)が設けられてもよい。すなわち、図3に示されるように、押さえ金(20A)の先端部上面を切り欠いた段状の係合部に対応する係合部を有する切削油誘導部材(50)が、例えば皿小ねじ等のねじ部材(60)により螺着され着脱可能に装着される。このようにしたときには、上述したように切削油等を切れ刃(11)の刃先に的確且つ集中的に供給する効果が得られるほか、切削油誘導部材(50)に切りくずの擦過等による損傷が生じても切削油誘導部材(50)のみを交換すれば押さえ金(20A)を引き続き使用することができコスト的に有利である。また、切削油誘導部材(50)は既製の押さえ金に係合部及び固定手段を追加することによって装着可能である。
次に、他の実施の形態について、図4〜図6を参照しながら説明する。図4は第2の実施の形態に係るバイトの要部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるC−C線断面図である。図5は図4に示すバイトに用いられるクランプ部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図であり、(d)は(a)におけるD−D線断面図である。図6も図4に示すバイトに用いられるクランプ部材の他の例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。図4に示すように、工具本体(1)の先端部上面に切り欠き形成されたチップ座(2)及びこのチップ座(2)に装着されるチップ(10)については、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。このバイトにおいては、クランプ部材としてL字形レバー(20B)が用いられている。このL字形レバー(20B)を用いた、いわゆるレバーロック方式のクランプ機構は公知であるが、以下にそのクランプ機構について説明する。図4の(b)に示されるように、L字形レバー(20B)は工具本体(1)のチップ座(2)の下方側の収容部(7)内に設置され、そのレバー部(20Bb)が工具本体(1)のチップ座(2)の後端側(図4の右側)に設けられた雌ねじ穴(4B)に螺合する締付けねじ(30B)に係合するとともに、クランプ部(20Ba)がチップの中央取付孔(10a)に遊挿されている。そして、前記締め付けねじ(30B)をねじ込むと、L字形レバー(20B)は、その屈曲部(20Bc)を支点にしてクランプ部(20Ba)が後端側に傾動し、このクランプ部(20Ba)の後端側を向く外周壁面がチップの中央取付孔(10a)の先端側(図4の左側)を向く孔壁を押圧することにより、該チップ(10)は、チップ座(2)の壁面(2b)に面する周面(10d)を前記壁面(2b)側に押圧され固定される。
L字形レバーのクランプ部(20Ba)の上先端部には、チップの中央取付孔(10a)の上面側開口部よりも上方に突出した切削油誘導部(22B)が設けられ、図4の(a)及び(b)に示されるように、この切削油誘導部(22B)は、切れ刃(11)側を向くようにクランプ部(20Ba)の主要部に対して略直角に滑らかに湾曲し、チップの上面(10b)に対して上方の近接する位置に設けられる。そして、切削油誘導部(22B)の下面とチップの上面(10b)との間に切削油流路(24B)が形成される。一方、工具本体(1)の内部に設けられた油孔(5)は、前記L字形レバー(20B)を収容する収容部(7)を介してチップの中央取付孔(10a)に連通する。チップ(10)をチップ座(2)に固定するために、前記収容部(7)内においてL字形レバーのクランプ部(20Ba)を上述したように後端側に傾動させると、前記収容部(7)の先端側に位置する壁面及び敷板の貫通孔(40a)及びチップの中央取付孔(10a)の先端側に位置する孔壁と、これら孔壁に面するクランプ部(10Ba)の先端側を向く外周面との空隙には切削油等の流路(8)が形成される。
以上の構成を有するバイトによれば、該バイトの外部に設けられた供給部から供給された切削油等は、前記油孔(5)から収容部(7)の前記流路(8)を経由しチップの上面(10a)の中央取付孔(10a)の開口部の上方へ流れる。ここで、湾曲した切削油誘導部(22B)に沿って方向転換し切削油流路(24B)へ流れ、切削油誘導部(22B)の先端部から切れ刃(11)側に向けて噴出される。そのため、第1の実施の形態と同様に、切削油等は切削点となる切れ刃(11)の刃先の位置に向けて供給され、しかも、切削油等を噴出する切削油流路(24B)の先端部が刃先に非常に近い位置に設けられるので、切削油等は拡散をおさえられ刃先に向けて的確に且つ集中して供給される。その上、前記流路(24B)は、チップの上面(10b)の上方に隣接するように設けられるので、切削油等が切りくずに阻害されることなく確実に刃先へ供給される。しかも、前記誘導部(22B)はチップの前記上面(10b)の上方及び先端側に大きく突出することがないので、切りくずの排出を阻害するおそれがない。
このバイトにおいて、収容部(7)、敷板の貫通孔(40a)及びチップの中央取付孔(10a)に形成される流路(8)、及びこの流路(8)に通じるL字形レバーの切削油流路(24B)を流通する切削油等の流通量を増すため、図5に示されるように、前記流路(8)を形成するL字形レバーのクランプ部(20Ba)及び切削油誘導部(22B)の外周面には、前記クランプ部(20Ba)、前記切削油誘導部(22B)の延びる方向に沿って凹溝(26Ba)が途切れないように連続して形成されるのが好ましい。さらに、収容部(7)に連通する油孔(5)の開口部の上方に配置されたL字形レバーのレバー部(20Bb)にも、下方を向き前記開口部に面する外周面に凹溝(26Bb)が形成され、この凹溝(26Bb)がクランプ部に形成された凹溝(26Ba)につながるのがより好ましい。また、同様な作用を有するL字形レバーの他の例として、図6に示されるように、L字形レバーのレバー部(20Bb)の外周面に、上記の油孔(5)の開口部に面する開口部が設けられるとともに、切削油誘導部(22B)の先端部にも開口部が設けられ、これら開口部を連通する孔(27B)がL字形レバー(20B)の内部に形成されてもよい。
さらに他の実施の形態について、図7〜図9を参照しながら説明する。図7は第3の実施の形態に係るバイトの要部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるE−E線断面図である。図8は図7に示すバイトの他の例を説明する図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)におけるF−F線断面図である。図9も図7に示すバイトの他の例を説明する図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)におけるG−G線断面図である。図7に示すように、工具本体(1)に設けられたチップ座(2)及びこのチップ座(2)に装着されるチップ(10)については、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。このバイトは、クランプ部材として偏心ピン(20C)と、第1の実施の形態のバイトに用いられた押さえ金(20A)とが用いられたバイトである。このようなクランプ機構は、いわゆるクランプオン方式とカムロック方式を組み合わせた公知技術であるが、以下にこのクランプ機構について説明する。
図7に示されるように、工具本体(1)のチップ座の底面(2a)には敷板固定用の雌ねじ穴(6C)が形成されている。この雌ねじ穴(6C)に螺合する偏心ピン(20C)は、敷板(40)をチップ座の底面(2a)上に固定するとともに、この偏心ピン(20C)の上部に前記雌ねじ穴(6C)の軸線に対して偏心して形成された円柱部を、前記敷板(40)の上に載置されたチップ(10)の中央取付孔(10a)に遊挿している。そして、チップの中央取付孔(10a)内において偏心ピン(20C)を回転させ、前記円柱部の外周面で前記中央取付孔(10a)の孔壁をチップ座(2)の壁面(2b)側へ押圧する。
チップ座(2)よりも後端側(図7の右側)の工具本体(1)の上面には雌ねじ穴(4A)が形成される一方、押さえ金(20A)の後端部には、前記雌ねじ穴(4A)の軸心と略一致する軸心を有する逆向きの雌ねじ穴(25A)が形成され、これら雌ねじ穴(4A、25A)に、逆ねじ機構を有する左右ねじ(30A)がねじ込まれ、押さえ金(20A)は工具本体(1)に装着される。そして、前記左右ねじ(30A)をねじ込んでいくと、押さえ金(20A)は、チップ座の底面(2a)側に向かって降下し、その先端部下面に形成された押圧面(21A)がチップの上面(10b)に当接した後、チップ座の底面(2a)側に向かって押圧することによって、チップ(10)をチップ座(2)に固定する。
図2から参照されるように、押さえ金(21A)には、その押圧面(21A)よりもさらに先端側(図7の左側)に切削油誘導部(22A)が一体に設けられる。この切削油誘導部(22A)は、押圧面を先端側に延長した平面を下面(22Aa)とし、この下面(22Aa)に開口する略円柱状の凹部からなる空間領域(23A)を有する。一方、偏心ピン(20C)の中央部には長手方向に貫通する連通部(24C)が設けられ、この連通部(24C)が前記空間領域(23A)と油孔(5)とを連通している。押さえ金(21A)がチップ(10)を押圧したとき、前記空間領域(23A)はチップの上面(10b)に開口する中央取付孔(10a)に通じるように上方に配置され、且つ前記凹部を取り囲む壁の略環状をなす下面(22Aa)は前記中央取付孔(10a)の開口部周縁を取り囲むとともにチップの上面(10a)に接するか又は上方に近接するように配置される。前記壁の1ヶ所には、切れ刃(11)側を向くように前記壁を貫通するスリット状の切削油流路(24A)が設けられている。この切削油流路(24A)の切れ刃(11)を向く開口部は、前記中央取付孔(10a)よりも切れ刃(11)の刃先に近接し且つチップの上面(10b)の上方に隣接するように設けられる。
偏心ピン(20C)の他の例として、図8に示されるように、偏心ピン(20C)の外周面に断面略半円形状の溝をなす連通部(24C)が該偏心ピン(20C)の長手方向に沿って全長にわたって形成されてもよい。このようにした場合には、上記の連通部(24C)は、この連通部(20C)を構成する断面略半円形状の溝が面する雌ねじ孔(6C)、敷板の貫通孔(40a)及びチップの中央取付孔(10a)の孔壁によって閉塞されることによって断面を閉じられ、切削油誘導部の切削油流路(24A)と油孔(5)とを連通している。
以上に説明した構成を有するバイトによれば、該バイトの外部に設けられた供給部から供給された切削油等は、油孔(5)から偏心ピン(20C)の内部又は外周面に設けられた連通部(24C)を通り、押さえ金(20A)に設けられた切削油誘導部(22A)の空間領域(23A)へ流れる。ここで方向転換して切削油流路(24A)の切れ刃(11)側を向く開口部から切れ刃(11)側に向けて噴出される。切削油等は切削点となる切れ刃(11)の刃先の位置に向けて供給され、しかも、前記開口部は刃先に非常に近い位置に設けられるので、切削油等は拡散をおさえられ刃先に向けて的確に且つ集中して供給される。その上、前記開口部はチップの上面(10b)の上方に隣接するように設けられるので、切削油等が切りくずに阻害されることなく確実に刃先へ供給される。しかも、前記切削油誘導部(22A)を備えた押さえ金(20A)の先端部が前記チップの上面(10b)の上方及び先端側に大きく突出することがないので、同様なクランプ機構をもつ従来バイトと同様に切りくずの排出を阻害するおそれがない。なお、前記切削油誘導部の下面(22Aa)は、押さえ金の押圧面(21A)と略同一面上に形成され、チップの上面(10b)との間に隙間が生じないようにするのが好ましい。そうすれば、切削油流路(24A)が前記上面(10b)によって閉塞され、刃先に供給される切削油等の供給量損失がおさえられる。
押さえ金(20A)のみを使用した第1の実施の形態に係るバイトと同様に、本実施の形態に係るバイトにおいても、図9に示されるように、押さえ金(20A)に着脱可能に装着された切削油誘導部材(50)に切削油誘導部(52)を設けることが可能である。
さらに、他の実施の形態について、図10〜図13を参照しながら説明する。図10は第4の実施の形態に係るバイトの要部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるH−H線断面図である。図11は図10に示すバイトに用いられるクランプ部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。図12は図10に示すバイトの他の例を説明する図であり、(a)は要部平面図であり、(b)は(a)のI−I線断面図である。図13は図10に示すバイトに用いられる敷板の斜視図である。工具本体(1)に設けられたチップ座(2)及びこのチップ座(2)に装着されるチップ(10)については、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。本実施の形態に係るバイトは、図10に示されるように、工具本体(1)のチップ座(2)よりも後端側(図10の右側)の上面には、チップ座(2)から後端側へ離れるに従って漸次下方に向かう傾斜面(7)が形成されている。この傾斜面(7)とチップ座(2)との間には、チップ(10)の軸線に対して平行に延びる雌ねじ穴(4D)が形成されている。
工具本体(1)の上面に載置されるクランプ駒(20D)の略中央部には、上下方向に延びる長円状の断面を持つクランプねじ挿通孔(25D)が形成されており、このクランプ駒(20D)は、クランプねじ(30D)を前記クランプねじ挿通孔(25D)の上方から遊挿して前記雌ねじ穴(4D)に螺合させることにより、工具本体(1)に取付けられている。また、このクランプねじ(30D)の周囲には、クランプ駒(20D)を上方へ付勢するためのコイルばね(31)が、その一端を工具本体のザグリ穴(4Da)に挿入して装着されている。
クランプ駒(20D)の先端部下面には、チップの上面(10b)に当接する押圧面(21D)が形成され、この押圧面(21D)よりも先端側(図10の左側)には、先端側突起(26D)が下方へ突出して形成されている。この突起(26D)の後端側を向く外周面はチップの中央取付孔(10a)の先端側を向く内壁面を押圧する。一方、クランプ駒(20D)の後端部には、工具本体(1)の傾斜面(7)と対応する傾斜角度を持つ滑り面(27D)が形成されている。
チップ(10)をチップ座(2)に固定するにあたり、クランプねじ(30D)をねじ込むと、クランプ駒(20D)はコイルばね(31)の付勢に反して下方へ移動し、後端部の滑り面(27D)が工具本体(1)の傾斜面(7)に接触するとともに、先端側突起(26D)がチップの中央取付孔(10a)に遊挿される。さらにクランプねじ(30D)をねじ込むと、クランプ駒(20D)は、滑り面(27D)と工具本体(1)の傾斜面(7)との接触を保持しながら、前記傾斜面(7)の傾斜に沿って斜め下後方へ移動していき、先端側突起(26D)の後端側を向く外周面を、チップの中央取付孔(10a)の先端側を向く孔壁に接触させ、また押圧面(21D)をチップの上面(10b)に接触させる。さらにクランプねじ(30D)をねじ込むことで、チップの上面(10b)と中央取付孔(10a)の先端側を向く孔壁が強く押圧され、チップ(10)はチップ座の底面(2a)側及び壁面(2b)側に押圧され固定される。
図10及び図11に示されるように、クランプ駒(20D)の先端側突起(26D)のさらに先端部には切削油誘導部(22D)が一体に設けられる。この切削油誘導部(22A)は、押圧面(21D)を先端側に延長した平面からなる下面(22Aa)を有し、先端側突起(26D)を取り囲むように略C字形断面をなす凹部で形成された空間領域(23D)を有する。クランプ駒(21D)がチップ(10)を固定したとき、前記空間領域(23D)はチップの上面(10b)に開口する中央取付孔(10a)に通じるように上方に配置され、且つ前記凹部を取り囲む壁の下面(22Da)は前記中央取付孔(10a)の開口部周縁を取り囲むとともにチップの上面(10a)に接するか又は上方に近接するように配置される。前記壁の1ヶ所には、切れ刃(11)側を向くように前記壁を貫通するスリット状の切削油流路(24D)が設けられている。この切削油流路(24D)の切れ刃(11)を向く開口部は、前記中央取付孔(10a)よりも切れ刃(11)の刃先に近接し且つチップの上面(10b)の上方に隣接するように設けられる。また、工具本体(1)の内部に設けられた油孔(5)は、図10の(b)に示すように、該バイトの外部に設けられた切削油等を供給する2つの供給部(図示しない)と、チップの中央取付孔(10a)とを互いに連通させている。
以上の構成を有するバイトによれば、該バイトの外部に設けられた供給部から供給された切削油等は、油孔(5)から敷板(40)の貫通孔(40a)を経由しチップの中央取付孔(10a)を通り、チップの上面(10a)における前記中央取付孔(10a)の開口部からチップ(10)を押圧するクランプ駒(20D)に設けられた切削油誘導部(22D)の空間領域(23D)へ流れる。ここで方向転換して切削油流路(24D)の切れ刃(11)側を向く開口部から切れ刃(11)側に向けて噴出される。そのため、切削油等を切削点となる切れ刃(11)の刃先の位置に供給することができ、しかも、前記開口部が刃先に非常に近い位置に設けられるので、切削油等は、拡散を生じにくくなり、刃先に的確に且つ集中して供給することができる。その上、前記開口部はチップの上面(10b)の上方に隣接するように設けられるので、切削油等が切りくずに阻害されることなく確実に刃先へ供給される。しかも、切削油誘導部(22D)は、チップの上面(10b)の上方及び先端側に大きく突出することがないので、この実施の形態に係るバイトと同じクランプ機構をもつ従来バイトと同様に切りくずの排出を阻害するおそれがない。
図12に示されるように、本実施の形態の他の例として、クランプ駒(20D)に切削油誘導部(52)を備えた切削油誘導部材(50)が着脱可能に装着されてもよい。すなわち、クランプ駒(20D)の先端部上面には切削油誘導部材(50)が係合するとともに、例えば皿小ねじ等のねじ部材(60)によって螺着されクランプ駒(20D)に着脱可能に装着される。さらに、前記切削油誘導部材(50)の先端部には、切削油誘導部(52)が備えられ、この切削油誘導部(52)は、先述したクランプ駒(20D)に切削油誘導部(22D)を一体成形したものとほぼ同様に、クランプ駒の先端側突起(26D)を取り囲むように略C字形断面をなす凹部で形成された空間領域(53)を有する。前記空間領域(53)はチップの上面(10b)に開口する中央取付孔(10a)に通じるように上方に配置され、且つ前記凹部を取り囲む壁の下面(52a)は前記中央取付孔(10a)の開口部周縁を取り囲むとともにチップの上面(10a)に接するか又は上方に近接するように配置される。前記壁の1ヶ所には、切れ刃(11)側を向くように前記壁を貫通するスリット状の切削油流路(54)が設けられている。この切削油流路(54)の切れ刃(11)を向く開口部は、前記中央取付孔(10a)よりも切れ刃(11)の刃先に近接し且つチップの上面(10b)の上方に隣接するように設けられる。上記の切削油誘導部材(50)を用いた場合には、その切削油誘導部(52)は、クランプ駒(20D)に一体に備えた切削油誘導部(22D)と同一の作用効果を奏するほか、切削油誘導部材(50)が切りくずの擦過等によって損傷を生じても切削油誘導部材(50)のみを交換すればクランプ駒(20D)を引き続き使用することができコスト削減が可能となる。また、切削油誘導部材(50)は既製のクランプ駒に係合部及び固定手段を追加することによっても装着可能となる。
チップの中央取付孔(10a)を流通する切削油等を、すくい面となるチップの上面(10b)側から噴出するものに限定されるものではなく、例えば、図13に示されるように、チップの着座面となる敷板の上面(40b)に、中央部の貫通孔(40a)から外側面まで延びる凹溝(41)が形成され、チップ(10)を装着したとき、図10の(b)及び図12の(b)に示されるように、この凹溝(41)とチップの下面(10c)とから形成される切削油流路から切削油等が噴出されてもよい。このようにした場合には、切削油等が切削油誘導部(22D、52)によって切れ刃(11)のすくい面となるチップの上面(10b)側から供給されることに加え、逃げ面となるチップの周面(10d)側からも供給され、しかも、切れ刃(11)の刃先に近い位置から集中的に供給されることから、刃先を潤滑、冷却する作用がいっそう高められる。
また、本発明は、以上に説明した実施の形態のように、公知のクランプ機構を有するバイトに限定されるものではなく、中央取付孔(10a)を備えたチップを装着するバイトであれば、上記の実施の形態で開示したクランプ部材以外にも適用可能である。
第1の実施の形態に係るバイトの要部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。 図1に示すバイトに用いられるクランプ部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。 図1に示すバイトの他の例を説明する図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)におけるB−B線断面図である。 第2の実施の形態に係るバイトの要部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるC−C線断面図である。 図4に示すバイトに用いられるクランプ部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図であり、(d)は(a)におけるD−D線断面図である。 図4に示すバイトに用いられるクランプ部材の他の例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。 第3の実施の形態に係るバイトの要部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるE−E線断面図である。 図7に示すバイトの他の例を説明する図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)におけるF−F線断面図である。 図7に示すバイトの他の例を説明する図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)におけるG−G断面図である。 第4の実施の形態に係るバイトの要部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるH−H線断面図である。 図10に示すバイトに用いられるクランプ部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。 図10に示すバイトの他の例を説明する図であり、(a)は要部平面図であり、(b)は(a)のI−I線断面図である。 図10に示すバイトに用いられる敷板の斜視図である。 特許文献1に開示されたバイトを示す図である。 特許文献2に開示されたバイトを示す図である。 特許文献3に開示されたバイトを示す図である。 特許文献4に開示されたバイトを示す図である。 特許文献5に開示されたバイトを示す図である。 特許文献6に開示されたバイトを示す図である。 特許文献7に開示されたバイトを示す図である。
符号の説明
1 工具本体
2 チップ座
2a チップ座の底面
2b チップ座の壁面
5 油孔
10 チップ
10a チップの中央取付孔
10b チップの上面
11 切れ刃
20A 押さえ金(クランプ部材)
20B L字形レバー(クランプ部材)
20C 偏心ピン(クランプ部材)
20D クランプ駒(クランプ部材)
22A、22B、22D 切削油誘導部
24、24A、24B、24D 切削油流路
30A 左右ねじ
30B 締付けねじ
30D クランプねじ
40 敷板
40a 敷板の貫通孔
41 凹溝
50 切削油誘導部材
52 切削油誘導部
54 切削油流路
60 ねじ部材

Claims (6)

  1. 内部に油孔(5)を備えた工具本体(1)の先端部上面にはチップ座(2)が形成され、前記チップ座の底面(2a)に直接又は敷板(40)を介して着座するとともに前記底面(2a)から上方へ切り上がる少なくとも1つの壁面(2b)に当接支持される略平板状のスローアウェイチップ(10)が、前記スローアウェイチップの上面(10b)又は上面中央部を貫通する中央取付孔(10a)の孔壁の少なくともいずれか一方に係合するクランプ部材(20A〜20D)によって、前記チップ座(2)に着脱可能に固定されてなるスローアウェイ式バイトにおいて、前記クランプ部材には、切削油等を前記スローアウェイチップの先端部の上面辺稜部に設けられた切れ刃(11)側へ噴出するための切削油誘導部(22A、22B、22D)が一体又は着脱可能に設けられ、前記切削油誘導部(22A、22B、22D)には、前記切れ刃(11)側に指向し且つ前記切れ刃(11)側へ向けて開口する切削油流路(24A、24B、24D)が備えられ、前記切削油流路(24A、24B、24D)の開口部は、前記油孔(5)によって該スローアウェイ式バイトの外部に設けられた切削油等の供給部に連通し、さらに、該スローアウェイ式バイトの平面視においてスローアウェイチップ(10)の前記中央取付孔(10a)よりも前記切れ刃(11)に近い位置に設けられるとともに前記スローアウェイチップの上面(10b)と隣接するように設けられていることを特徴とするスローアウェイ式バイト。
  2. クランプ部材がスローアウェイチップの上面(10b)をチップ座の底面(2a)に向かって押圧する押さえ金(20A)とされ、前記押さえ金(20A)には切削油誘導部(22A)が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイ式バイト。
  3. クランプ部材がねじ部材(30B)に係合するレバー部(20Bb)と、スローアウェイチップの中央取付孔(10a)の孔壁をチップ座の壁面(2b)に向かって押圧するクランプ部(20Ba)とを備えたL字形レバー(20B)とされ、前記L字形レバー(20B)には切削油誘導部(22B)が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイ式バイト。
  4. クランプ部材がスローアウェイチップの中央取付孔(10a)の孔壁をチップ座の壁面(2b)に向かって押圧する偏心ピン(20C)と、スローアウェイチップの上面(10b)をチップ座の底面(2a)に向かって押圧する押さえ金(20A)とから構成され、前記押さえ金(20A)には切削油誘導部(22A)が一体的に設けられ、前記切削油誘導部(22A)に備えられた切削油流路(24A)が、前記偏心ピン(20C)を軸心方向に貫通する連通部(24C)によって油孔(5)に連通していることを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイ式バイト。
  5. 前記クランプ部材が前記スローアウェイチップの上面(10b)及び中央貫通孔(10a)の孔壁をそれぞれチップ座の底面(2a)及び壁面(2b)に向かって押圧するクランプ駒(20D)とされ、前記クランプ駒(20D)には切削油誘導部(22D)が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイ式バイト。
  6. 切削油誘導部(52)がクランプ部材に着脱可能に装着される切削油誘導部材(50)に備えられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスローアウェイ式バイト。
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