JP2006051921A - 車両の吸音構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄道車両がレール上を走行する際に車輪とレールとの接触部分、台車上に搭載される駆動モータや制御器等が発生する騒音を効果的に吸音することができる車両の吸音構造を提供すること。
【解決手段】車両の騒音発生部及び又は騒音発生部近傍、例えばスカート6内側部分、台車3,台車3上に搭載される駆動モータや制御器等5の周りに、多数のセルに区画されたケーシングと、前記各セル内に充填された吸音フォームとからなる吸音構造体11を配置したことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】車両の騒音発生部及び又は騒音発生部近傍、例えばスカート6内側部分、台車3,台車3上に搭載される駆動モータや制御器等5の周りに、多数のセルに区画されたケーシングと、前記各セル内に充填された吸音フォームとからなる吸音構造体11を配置したことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、新幹線や電車などの車両の吸音構造に関する。詳細には車両の走行時に発生する騒音を効果的に吸音することができる車両の吸音構造に関する。
近年、社会生活に欠かせない自動車や鉄道車両、航空機などから発生する騒音は、社会問題として大きくクローズアップされ、法的規制がますます強化される過程で、その発生防止対策が強く求められようになった。一方、ドライバーや乗客の側からは、車両内又は機内における静粛性、快適性を求める声も多い。
中でも、通勤、通学の足として、また、有効な大量輸送手段として広く利用されている鉄道車両の場合、当該鉄道車両がレール上を走行する際には大きな騒音が発生するため、従来より、それらの騒音の除去又は軽減を目的とする様々な騒音防止対策が採られている。
一般に、図14に示すように、鉄道車両1は、断面略箱形の車体2と、車体2下部に配設される台車3と、レールR上を転動する車輪4とを備えている。この鉄道車両1がレールR上を走行する際には、まず車輪4とレールRとが接触するときに騒音が発生する。また、台車3に搭載された駆動モータや制動器5などからも騒音が発せられる。さらには風切音といった騒音も発生する。
従来より行われている鉄道車両における騒音防止対策の一例を挙げると、車体側面の下端部にスカート6を設け、このスカート6によって車体2下部の台車3などを取り囲む方法がある。この方法によれば、台車3のキャビティ構造を解消し、台車3付近の空力音(風切音)を低減することができ、また、台車3付近から発生する音を遮音することもできるものである。しかし、発生する音を遮音するだけで吸音することができないため、騒音防止効果が小さいという問題があった。
また、車体側面下端部のスカート内側にグラスウールや石膏ボードなどの孔質の薄板であって、入射する音のエネルギーを吸収し、反射を低減させる機能を有する吸音材を設け、スカートの内側を吸音構造にする方法も採用されている。この方法の場合、台車側方のスカートの内側を吸音構造としているので、発生する音を遮音することができるとともに、吸音構造によりスカートと車体とによって囲まれた部分で反響する音を吸音することができる(特許文献1参照)。
特開2003−72542号公報
しかし、上記スカートにおける吸音材は、吸音面積が小さいために、騒音防止効果が小さく、スカート下端と路盤との間に設けられた間隙を介してスカート内側部分で遮音、吸音しきれなかった音が漏れ出てしまい、付近の住民に騒音公害が及ぶことにもなっていた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、車両の走行時に発生する騒音を効果的に吸音することができる車両の吸音構造を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明は、車両の騒音発生部及び又は騒音発生部近傍に、1個若しくは多数個のセルに区画されたケーシングと前記セル内に充填された多孔質体とからなる吸音構造体を配置したことを特徴とする車両の吸音構造(以下、単に吸音構造という)をその要旨とした。
以下、本発明の吸音構造について説明する。図1に示すように、鉄道車両1は、断面略箱形の車体2と、車体2下部に配設される台車3と、レールR上を転動する車輪4とを備えている。鉄道車両1がレールR上を走行する際に騒音が発生する部分(騒音発生部)としては、車輪4とレールRとの接触部分、台車3に搭載された駆動モータや制動器など5が挙げられる。
本発明の吸音構造においては、上記騒音発生部及びまたは騒音発生部の近傍、例えばスカート6内側部分、台車3、台車3上に搭載される駆動モータや制動器など5の回り、車体2の床背面、車体2の内側面などに吸音構造体11を配置している。
本発明の吸音構造を造り出す吸音構造体はケーシングと多孔質体とからなる。図2に示すケーシング12は多数個のセル13に区画されている。このように多数個のセル13を持つケーシング12の構造としては、外力などの荷重に抵抗できるならば特に限定されないが、例えば図2〜図5に示すようなハニカム構造体或いはコルゲート構造体の場合、外力に対して優れた対抗性を持ち、外力に対して各セル形状が安定に保たれるという利点があり好ましい。尚、ケーシングは多数個のセルを有するものに限らず、1個のセルのみからなるものであってもよい。
ケーシング12の素材としては特に限定されないが、例えば不織布、フェルト、織物、編物、厚紙などの繊維質シート、多数の透孔を有する樹脂板、金属板及びセラミック板など、通気性を有するものが好ましい。特にケーシング12全体を多孔質な材料で構成した場合、後述する多孔質体と共に吸音構造体11全体が通気構造となり、より吸音性能が高まることになる。
尚、ケーシング12の素材として、不織布、フェルト、織物、編物、厚紙などの繊維質シートを使用するときには、十分な強度を保持させるために、樹脂を含浸したり多数積層して一体化したりして、その補強を計っても良い。
また、この吸音構造体11においては、ケーシング12のセル13の開口面側(音源対向側)には音(空気)が侵入する透孔板14が配され、セル13の開口面側(固定側)には固定板15が配されている。
透孔板14としては、ネットや孔明きシートなどを用いることができ(図2〜5に示す形態ではネットを用いた)、固定板15には、アルミ板などの金属板の他、合成樹脂板やゴム板などを用いることができる(図2〜5の形態では合成樹脂板を用いた)。特に固定板15には制振性及び又は遮音性の合成樹脂板やゴム板を用いるのが望ましい。
このケーシング12のセル13内に吸音フォームや無機系多孔質材料などからなる多孔質体が充填されるのである。図2〜図5に示す形態では吸音フォーム16を多孔質体として用いた。
吸音フォームは、例えばα−オレフィン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢ビ共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルホルマール、エポキシ、フェノール、ユリア、シリコーン等の高分子、あるいはアクリルゴム(ACR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等のゴム系高分子の群から選ばれる1種若しくは2種以上の混合物をベースポリマーとして用い、これらを従来公知の気泡発生手段、すなわち熱分解型発泡剤を用いた気泡発生手段、揮発性溶剤を用いた気泡発生手段、あるいは高圧下で不活性ガスを高分子中に吸収させ、常圧で発泡させる気泡発生手段等を用いて発泡成形することにより得られる。
尚、吸音フォームを構成するベースポリマーの選択に際しては、当該吸音構造体の適用される用途や使用形態、取り扱い性、成形性、入手容易性、温度性能(耐熱性や耐寒性)、耐候性、価格なども考慮するのが望ましい。例えば耐熱性が要求される場合(110℃で30分間加熱したときの熱収縮率が10%以内であるなど)には、吸音フォームを構成するベースポリマーに、ポリエチレン(詳しくは高密度ポリエチレンや中密度ポリエチレン)、エポキシ、フェノール、ユリアなどの耐熱性に優れる高分子を用い、撥水性が要求される場合(吸音フォームの吸水率が25%以内であるなど)には、吸音フォームを構成するベースポリマーにシリコーンなどの高分子を用いるとよい。
尚、吸音フォームを構成するベースポリマーの発泡倍率としては任意であるが、好ましくは5〜50倍、より好ましくは10〜30倍である。というのは発泡倍率が5倍を下回る場合には、十分な吸音性能を得ることができなくなり、発泡倍率が50倍を上回る場合には、機械的強度が低下するからである。また、吸音フォームの気孔の数やかさ密度についても、これらの数値が大きくなればなるほど、吸音性能も大きくなることから、吸音フォームを成形する場合には、前記発泡倍率と合わせて適宜決定するとよい。
尚、吸音フォームの気泡構造は、原則として連続気泡構造であるが、当該吸音構造体の適用箇所、求められる吸音性や機械的強度の大小によっては、独立気泡型の場合もあり得る。
尚、吸音フォームには、当該吸音フォームの吸音性能を阻害しない範囲で、酸化防止剤、補強剤、強化剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、着色剤などの添加剤を適宜配合することができる。
また、吸音フォームには、当該フォームの吸音性能を阻害しない範囲で、無機粒子、例えばシリカ(表面に疎水性処理を施したシリカを含む)、酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化鉄、ガラス繊維、水酸化アルミニウム、シランカップリング剤、熱安定剤、光安定剤、造核剤などを適宜配合することもできる。
図2及び図3に示す吸音フォーム16は、ケーシング12のセル13に対応した形状及び大きさに設けたものである。吸音フォーム16をセル13に対応した形状及び大きさに設けるには、例えば成形後にセル13の形状や大きさに合わせて切断することもできるが、当該吸音フォーム16の成形時に予めセル13の形状や大きさに合わせて成形しておくことにより、切断作業を省くことができる。
ケーシング12の各セル13内に吸音フォーム16を充填することにより得られる吸音構造体11は、音源対向側から透孔板14の孔を通過した音が、透孔板14の背後に配された各セル13内に侵入し、各セル13内に充填した吸音フォーム16によって吸音される。つまり、吸音フォーム16に到達した音は、フォーム内の連続する無数の微孔を衝突を繰り返しながら通り抜ける。このとき、音のエネルギーは摩擦熱としてエネルギー変換されて減衰され、吸音されるのである。
また、図4及び図5に示すように、チップ状に成形された吸音フォーム(以下、吸音チップ16aという)を用いることもできる。この場合、ケーシング12の各セル13内には、多数の吸音チップ16aが充填されることになる。充填された吸音チップ16a間には無数の隙間が形成されることから、各セル13内に侵入した音は、吸音チップ16aの無数の連通した微孔を通り抜ける過程で吸音されるのと同時に、吸音チップ16a間の無数の隙間を衝突を繰り返しながら通り抜けることで吸音されることになり、より効果的な吸音がなされることになる。
この吸音チップ16aは、円柱状、四角柱状、三角柱状、多角柱状、或いは球状や楕円状など、その形状は自由に選択することができ、その大きさも任意である。例えば柱状であって、大きさが2〜20mm程度のものが取り扱い性、成形性などの点から望ましい。
また、ケーシング12のセル13内に充填される吸音フォーム16(又は吸音チップ16a)を構成するベースポリマーには有機系高減衰剤を含ませることもできる。有機系高減衰剤とは、吸音フォームを構成するベースポリマーの持つ双極子モーメントの量を大幅に増大させることにより、吸音性能を飛躍的に高めることができる添加剤である。
このような作用効果を奏する有機系高減衰剤としては、例えばN、N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルスルフィド(MBTS)、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、N、N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)等のベンゾチアジル基を含む化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上、ベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合した2−{2′−ハイドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″テトラハイドロフタリミデメチル)−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−{2′−ハイドロキシ−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−{2′−ハイドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、2−{2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)などのベンゾトリアゾール基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどのジフェニルアクリレート基を含む化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上、あるいは2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(HMBP)、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド(HMBPS)などのベンゾフェノン基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上を挙げることができる。
上述の有機系高減衰剤の含有量としては、チップを構成するベースポリマー100重量部に対し、1〜100重量部の割合で含まれているのが望ましい。というのは例えば有機系高減衰剤の含有量が1重量部を下回る場合、双極子モーメントの量を増大させるという有機系高減衰剤を添加したことによる十分な効果が得られず、有機系高減衰剤の含有量が100重量部を上回る場合には、吸音フォームを構成するベースポリマーと有機系高減衰剤とが十分に相溶しなかったりすることがあるからである。
尚、吸音フォームを構成するベースポリマーに含ませる有機系高減衰剤の種類を決定するに当たり、活性成分と発泡成形体を構成する高分子との相溶し易さ、すなわちSP値を考慮し、その値の近いものを選択すると良い。
尚、双極子モーメントの量は、前述の吸音フォームを構成するベースポリマーや有機系高減衰剤の種類により様々に異なっている。また、同じ有機系高減衰剤を用いたとしても、音のエネルギーが伝わったときの温度により、その双極子モーメントの量は変わる。また、音のエネルギーの大小によっても、双極子モーメントの量は変わる。このため、吸音構造体として適用するときの温度や音のエネルギーの大きさなどを考慮して、そのとき最も大きな双極子モーメント量となるように、吸音フォームを構成するベースポリマーや有機系高減衰剤を選択して用いるのが望ましい。
また、ケーシングのセル内には吸音フォームに代えて無機系多孔質材料を充填することもできる。多孔質体として好適な無機系多孔質材料としては、バーミキュライト、マイカ、ガラス繊維、ロックウール、カーボン繊維、セラミック繊維から選ばれるいずれか1種を挙げることができる。
また、本発明者は、ケーシングのセル内に多孔質体を充填する際の圧縮の度合い(圧縮率)の大小によって、当該多孔質体が吸音する音の種類(周波数)が異なることを発見した。つまり、多孔質体をセル内に充填する際の圧縮率を高くすることで、当該多孔質体による吸音率のピークは低周波数域に移行し、同時に高周波数域の吸音性もレベルアップすることになる。このため、当該吸音構造体を適用する用途や使用状態において要求される音の種類に応じて、多孔質体をセル内に充填する際の圧縮率を適宜変更することにより、所望の音を吸音するように設計できるのである。具体的には多孔質体がケーシングのセル13に70〜160%の圧縮率で充填されていることが望ましい。
尚、本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、「特許請求の範囲」に記載された範囲で自由に変更して実施することができる。
本発明の吸音構造にあっては、車両の騒音発生部及び又は騒音発生部近傍に、1個若しくは多数個のセルに区画されたケーシングと、前記セル内に充填された多孔質体とからなる吸音構造体を配置したことから、車両の走行時に発生する騒音を効果的に吸音することができる。
実施例1
30重量%のポリエチレンと70重量%のエチレン−酢酸ビニルとからなるベースポリマーにDCHBSA(サンセラーDZ 三新化学工業株式会社製)をベースポリマー100重量部に対して3重量部の割合で配合し、さらにこの配合物中に発泡剤を添加して約30倍の発泡倍率で発泡成形して吸音フォームを作製した。
30重量%のポリエチレンと70重量%のエチレン−酢酸ビニルとからなるベースポリマーにDCHBSA(サンセラーDZ 三新化学工業株式会社製)をベースポリマー100重量部に対して3重量部の割合で配合し、さらにこの配合物中に発泡剤を添加して約30倍の発泡倍率で発泡成形して吸音フォームを作製した。
次いで、得られた吸音フォームを、0.3mm厚の紙材からなり、20mm×15mmの六角柱状のセルが配列した厚み30mmのハニカム構造体の各セル内に充填し、ハニカム構造体の音源対向側に面密度が1300g/m2のアルミメッシュ(ポアルB−1、ユニックス株式会社製)を配置して吸音構造体を得た。
実施例2
実施例1の吸音フォームを5mm角のチップ状に切断し、この吸音チップを実施例1のハニカム構造体の各セル内に圧縮率が100%となるように多数充填した以外は実施例1と同様にして吸音構造体を得た。尚、圧縮率100%とは、チップが通気性容器の容積分の重量となるようにチップを充填することをいう。
実施例1の吸音フォームを5mm角のチップ状に切断し、この吸音チップを実施例1のハニカム構造体の各セル内に圧縮率が100%となるように多数充填した以外は実施例1と同様にして吸音構造体を得た。尚、圧縮率100%とは、チップが通気性容器の容積分の重量となるようにチップを充填することをいう。
比較例1
実施例1のアルミメッシュの背面に30mmの空気層を設けたもの。
実施例1のアルミメッシュの背面に30mmの空気層を設けたもの。
比較例2
実施例1のハニカム構造体の各セル内に吸音フォームを充填しないもの。
実施例1のハニカム構造体の各セル内に吸音フォームを充填しないもの。
上記実施例1及び2並びに比較例1及び2の各サンプルについて、垂直入射吸音率測定装置(A117C、株式会社小野測器製)を用いて、A管(100〜2000Hz)、B管(800〜5000Hz)の垂直入射吸音率を自動測定した。測定結果のグラフより測定結果のグラフラインとグラフの底辺を結んだ面積が、グラフの全面積の何%に当たるかを求め、これを吸音面積率とした。この結果を図6に示した。
図6より、実施例1及び2並びに比較例1及び2の各サンプルについて、吸音率のピーク値に大きな差はないものの、実施例1及び2の各サンプルは、比較例1及び2に比べて実施例1及び吸音される音(周波数)の幅が広がっていることが確認された。
また、吸音チップをセル内に充填した実施例2の場合、実施例1に比べて吸音率のピークが低周波数域にシフトし、同時に吸音率、特には高周波数域の吸音率もレベルアップしていることが確認された。
実施例3
ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニルの配合割合を80重量%:20重量%としたベースポリマーを用いて吸音フォームを作製し、これを5mm角のチップ状に切断した以外は実施例1と同様にして吸音構造体を得た。
ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニルの配合割合を80重量%:20重量%としたベースポリマーを用いて吸音フォームを作製し、これを5mm角のチップ状に切断した以外は実施例1と同様にして吸音構造体を得た。
得られた実施例3のチップと上記実施例2のチップについて、JIS K 6767の規定に従って30分後と60分後の各チップの熱寸法変化を調べた。その結果を図7に示した。
図7から、実施例2のチップの場合、加熱温度の上昇と共に僅かに寸法変換が生じ、100℃を過ぎたとき、急激に寸法変化の度合いが大きくなっているのに対し、実施例3のチップについては、110℃までほぼ寸法変化がなく、実施例4のチップが耐熱性に優れていることが確認された。
また、実施例3のチップを実施例1と同様にハニカム構造体の各セル内に充填して吸音構造体を作製し、加熱前、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃における垂直入射吸音率を求め、その結果を図8に示した。尚、比較のため、上記実施例2の吸音構造体についても、加熱前、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃における垂直入射吸音率を求め、その結果を図9に示した。
図8及び図9から、実施例3の吸音構造体にあっては、実施例2の吸音構造体とほぼ同程度の吸音性を有していることが確認された。
実施例4
80重量%のポリエチレンと20重量%のエチレン−酢酸ビニルとからなるベースに、さらにポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニルの100重量部に対してシリコンを9重量部の割合で配合したベースポリマーを用いたこと以外は実施例1と同様に吸音フォームを作製し、これを5mm角のチップ状に切断した。
80重量%のポリエチレンと20重量%のエチレン−酢酸ビニルとからなるベースに、さらにポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニルの100重量部に対してシリコンを9重量部の割合で配合したベースポリマーを用いたこと以外は実施例1と同様に吸音フォームを作製し、これを5mm角のチップ状に切断した。
得られた実施例4のチップと上記実施例2のチップについて、JIS E 4034の規定に準拠して、耐水性試験を行った。すなわち、図10に示すように、チップに対して1.3mの高さから40kPaの水圧でチップに10分間散水し、散水前後におけるチップの1cm3当たりの重量(g)の差を吸水量として当該チップの吸水率を求めた。尚、実施例2及び実施例4の各チップの見かけ密度はいずれも0.027g/cm3であり、同じく散水前の重量も5.00gであった。
実施例2のチップの場合、吸水率が27%であったのに対し、実施例4のチップの場合、その吸水率は16%となり、耐水性に優れていることが確認された。
上記実施例4のチップについて、上記実施例2と同様にハニカム構造体の各セル内に多数充填して吸音構造体を作製し、その垂直入射吸音率を求め、その結果を上記実施例2の吸音構造体の吸音率と共に図11に示した。
図11から、実施例4の吸音構造体にあっては、実施例2の吸音構造体とほぼ同程度の吸音性を有していることが確認された。
実施例5
チップの圧縮率130%とした以外は実施例2と同様にして吸音構造体を得た。
チップの圧縮率130%とした以外は実施例2と同様にして吸音構造体を得た。
実施例6
チップの圧縮率160%とした以外は実施例2と同様にして吸音構造体を得た。
チップの圧縮率160%とした以外は実施例2と同様にして吸音構造体を得た。
上記実施例2、5、6の各吸音構造体について、垂直入射吸音率測定装置(A117C、株式会社小野測器製)を用いて、A管(100〜2000Hz)、B管(800〜5000Hz)の垂直入射吸音率を自動測定した。測定結果のグラフより測定結果のグラフラインとグラフの底辺を結んだ面積が、グラフの全面積の何%に当たるかを求め、これを吸音面積率とした。この結果を図12に示した。尚、比較のため、実施例1と同様にして厚さ20mmとなるように成形した発泡吸音シート(比較例3)の吸音率についても測定した。
図12より、実施例2、5、6の各吸音構造体は、何れも吸音特性に優れていることが確認された。また、比較例3に比べて実施例2、5、6の各サンプルについては、チップの圧縮率が100%、130%及び160%と大きくなるのに従って、チップによる吸音率のピークも低周波数域にシフトし、同時に吸音率、特には高周波数域の吸音率もレベルアップすることが確認された。
実施例7
図4及び図5に示す吸音構造体であって、ケーシング12の各セル13内に圧縮率が100%となるように吸音チップ16aが充填されたもの(実施例2)における吸音チップ16aに代えてバーミキュライト(バーミキュライト1号、神明工業株式会社製)を同じく圧縮率が100%となるように各セル13内に充填して新たな吸音構造体を得た。
図4及び図5に示す吸音構造体であって、ケーシング12の各セル13内に圧縮率が100%となるように吸音チップ16aが充填されたもの(実施例2)における吸音チップ16aに代えてバーミキュライト(バーミキュライト1号、神明工業株式会社製)を同じく圧縮率が100%となるように各セル13内に充填して新たな吸音構造体を得た。
実施例8
バーミキュライト(バーミキュライト2号、神明工業株式会社製)を用いた以外は実施例7と同様にして吸音構造体を得た。
バーミキュライト(バーミキュライト2号、神明工業株式会社製)を用いた以外は実施例7と同様にして吸音構造体を得た。
実施例9
バーミキュライト(バーミキュライト3号、神明工業株式会社製)を用いた以外は実施例7と同様にして吸音構造体を得た。
バーミキュライト(バーミキュライト3号、神明工業株式会社製)を用いた以外は実施例7と同様にして吸音構造体を得た。
実施例10
バーミキュライト(バーミキュライト4号、神明工業株式会社製)を用いた以外は実施例7と同様にして吸音構造体を得た。
バーミキュライト(バーミキュライト4号、神明工業株式会社製)を用いた以外は実施例7と同様にして吸音構造体を得た。
上記実施例7〜10の各吸音構造体について、垂直入射吸音率測定装置(A117C、株式会社小野測器製)を用いて、A管(100〜2000Hz)、B管(800〜5000Hz)の垂直入射吸音率を自動測定した。測定結果のグラフより測定結果のグラフラインとグラフの底辺を結んだ面積が、グラフの全面積の何%に当たるかを求め、これを吸音面積率とした。この結果を図13に示した。尚、比較のため、各セル内に何も充填していない吸音構造体(比較例4)の吸音率についても測定した。
図13から、各セル内に何も充填していない吸音構造体の吸音率のピークが2000Hz付近にあるのに対し、実施例7〜10の吸音構造体のピークは1600Hzにあり、低周波数側に移行していることが確認された。また、実施例7〜10へと充填されるバーミキュライトの大きさが大きくなるにつれて、吸音率のレベルがアップしていることが確認された。
11 ・・・吸音構造体
12 ・・・ケーシング
13 ・・・セル
16 ・・・吸音フォーム
16a・・・吸音チップ
12 ・・・ケーシング
13 ・・・セル
16 ・・・吸音フォーム
16a・・・吸音チップ
Claims (15)
- 車両の騒音発生部及び又は騒音発生部近傍に、1個若しくは多数個のセルに区画されたケーシングと前記セル内に充填された多孔質体とからなる吸音構造体を配置したことを特徴とする車両の吸音構造。
- 吸音構造体の音源対向側に透孔板が配されると共に、背面固定側には固定用板が配されていることを特徴とする請求項1記載の車両の吸音構造。
- ケーシングがハニカム構造体からなり、このハニカム構造体の各セル内に多孔質体が充填されていることを特徴とする請求項1記載の車両の吸音構造。
- ケーシングがコルゲート構造体からなり、このコルゲート構造体の各セル内に多孔質体が充填されていることを特徴とする請求項1記載の車両の吸音構造。
- ケーシングが通気性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両の吸音構造。
- 多孔質体が吸音フォームからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両の吸音構造。
- 吸音フォームがチップ状に成形されており、この吸音チップがケーシングのセル内に多数充填されていることを特徴とする請求項6記載の車両の吸音構造。
- 吸音フォームを構成するベースポリマーが、α−オレフィン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢ビ共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルホルマール、エポキシ、フェノール、ユリア、シリコーン、アクリルゴム(ACR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)及びクロロプレンゴム(CR)、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーからなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項6又は7記載の車両の吸音構造。
- 吸音フォームを構成するベースポリマーが、110℃で30分間加熱したときの熱収縮率が10%以内であることを特徴とする請求項8記載の車両の吸音構造。
- 吸音フォームの吸水率が25%以内であることを特徴とする請求項8記載の車両の吸音構造。
- 吸音フォームを構成するベースポリマーが、ベンゾチアジル基を持つ化合物、ベンゾトリアゾール基を持つ化合物、ジフェニルアクリレート基を持つ化合物、及びベンゾフェノン基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上からなる有機系高減衰剤を含有することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の車両の吸音構造。
- 吸音フォームを構成するベースポリマー100重量部に対し、有機系高減衰剤が1〜100重量部の割合で含まれていることを特徴とする請求項11記載の車両の吸音構造。
- 多孔質体が無機系多孔質材からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両の吸音構造。
- 無機系多孔質材が、バーミキュライト、マイカ、ガラス繊維、ロックウール、カーボン繊維、セラミック繊維から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項13記載の車両の吸音構造。
- 多孔質体が70〜160%の圧縮率でケーシングのセル内に充填されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の車両の吸音構造。
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JP2017100637A (ja) * | 2015-12-04 | 2017-06-08 | 株式会社日立製作所 | 内装パネルおよびこの内装パネルを備える鉄道車両 |
CN106928502A (zh) * | 2017-03-31 | 2017-07-07 | 江苏食品药品职业技术学院 | 一种汽车用隔音材料及其制备方法 |
-
2005
- 2005-01-18 JP JP2005009945A patent/JP2006051921A/ja active Pending
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