JP2006051838A - 全方向移動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】 前進時と後退時の駆動条件が同じ場合における前進移動距離と後退移動距離との誤差を低減することができる全方向移動車を提供する。
【解決手段】 全方向移動車1は、車体2の前部側に設けられた前車輪3A,3Bと、車体2の後部側に設けられた後車輪4A,4Bとを備えている。これらの車輪3A〜4Bは、車体2に回転自在に取り付けられたリムの周囲に環状に配列され、リムの回転軸に対して直交する軸回りに自由回転自在な複数の従動輪6を有している。従動輪6の先端6b側部分には、隣合う従動輪6の基端6a側部分が入り込む凹部8を形成する環状の爪部9が設けられている。前車輪3A,3Bにおける各従動輪6の配列方向と後車輪4A,4Bにおける各従動輪6の配列方向とは、車体2の前後方向に対して反対になっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、任意の方向に移動可能な全方向移動車に関するものである。
従来の全方向移動車としては、例えば特許文献1に記載されているような回転体付きの車輪を設けたものがある。この車輪は、車体に車軸を介して取り付けられたリムと、リムの周囲に配列され、車輪の直進方向に対して直交する方向に回転可能な複数個の回転体とを有している。
特開2003−118305号公報
上記のような全方向移動車においては、前進時と後退時とで速度等の駆動条件が同じであれば、移動距離が同等になるのが望ましい。全方向移動車を前進させた時と後退させた時とで移動距離に誤差があると、例えば全方向移動車を前進・後退させたときに、全方向移動車の自己位置を正確に認識することが困難になるという問題が生じる。
本発明の目的は、前進時と後退時の駆動条件が同じ場合における前進移動距離と後退移動距離との誤差を低減することができる全方向移動車を提供することである。
本発明の全方向移動車は、車体と、車体の前部側に設けられた複数の前車輪と、車体の後部側に設けられた複数の後車輪とを備え、前車輪及び後車輪は、各々、車体に回転自在に取り付けられた車輪本体と、車輪本体の周囲に環状に配列され、車輪本体の回転方向とは異なる方向に回転自在な複数の従動輪とを有し、従動輪の先端側部分には、隣合う従動輪の基端側部分が入り込む凹部を形成する爪部が設けられており、前車輪における各従動輪の配列方向と後車輪における各従動輪の配列方向とが車体の前後方向に対して反対になっていることを特徴とするものである。
このような本発明の全方向移動車において、前進時には、前車輪及び後車輪を前方側に回転させる。このとき、前車輪における各従動輪の配列方向と後車輪における各従動輪の配列方向とが車体の前後方向に対して反対になっているので、前車輪は、各従動輪の先端部及び基端部のいずれか一方が先に走行面に当たるように回転し、後車輪は、各従動輪の先端部及び基端部の他方が先に走行面に当たるように回転する。一方、後退時には、前車輪及び後車輪を後方側に回転させる。このとき、前車輪は、各従動輪の先端部及び基端部のいずれか一方(前進時と異なる方)が先に走行面に当たるように回転し、後車輪は、各従動輪の先端部及び基端部の他方(前進時と異なる方)が先に走行面に当たるように回転するようになる。このため、各車輪の回転により発生する駆動力は、前進時と後退時とで均等になる。これにより、前進時と後退時とで速度等の駆動条件を同じ場合には、前進移動距離及び後退移動距離に大きな差が出ることは無い。
また、本発明の全方向移動車では、上記の構成によって、車体左側の車輪における各従動輪の配列方向と車体右側の車輪における各従動輪の配列方向とが車体の左右方向に対して反対になる。従って、左移動時と右移動時とでは、上記の前進・後退時と同様の関係が生じ、各車輪の回転により発生する駆動力が均等になる。これにより、左移動時と右移動時の駆動条件が同じであれば、両者の移動距離に大きな差が出ることは無い。このとき、左右移動時に発生する前後方向の並進力成分が釣り合うため、左右移動時に、前後方向への移動誤差が生じることは殆ど無い。さらに、左旋回時と右旋回時との関係についても同様であり、駆動条件が同じであれば、両者の旋回量に大きな差が出ることは無い。このとき、左右旋回時に発生する前後・左右方向の並進力成分が釣り合うため、左右旋回時に、前後・左右方向への移動誤差が生じることは殆ど無い。
好ましくは、前車輪及び後車輪は各々2つずつ有し、2つの前車輪は、車体の前後方向に対称となるように車体の前部側に対してハの字状に配置され、2つの後車輪は、車体の前後方向に対称となると共に前車輪と車体の左右方向に対称となるように、車体の後部側に対してハの字状に配置されている。これにより、2つの前車輪及び2つの後車輪が車体に対してバランス良く配置されることになるので、各車輪の回転により発生する駆動力は、前進時と後退時とでより均等になる。
本発明によれば、前車輪における各従動輪の配列方向と後車輪における各従動輪の配列方向とを車体の前後方向に対して反対にしたので、前進時と後退時の駆動条件が同じ場合における前進移動距離と後退移動距離との誤差を低減することができる。これにより、全方向移動車を前進・後退させたときに、全方向移動車の自己位置を正確に認識することが可能となる。また、全方向移動車を左右移動または左右旋回させたときに、全方向移動車が前後方向にずれていってしまうことも防止できる。
以下、本発明に係わる全方向移動車の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる全方向移動車の一実施形態を示す平面図である。同図において、本実施形態の全方向移動車1は、例えばロボット等(図示せず)が載置される車体2と、この車体2の前部側に設けられた2つの前車輪3A,3Bと、車体2の後部側に設けられた2つの後車輪4A,4Bとを備えている。
前車輪3A,3Bは、車体2の中心を挟んで車体2の前後方向(図1の矢印X方向)に対称となるように、車体2の前方側に対して所定の角度で先細りとなるハの字状に配置されている。後車輪4A,4Bは、車体2の中心を挟んで車体2の前後方向に対称となるように、車体2の後方側に対して所定の角度で先細りとなるハの字状に配置されている。また、前車輪3A,3Bと後車輪4A,4Bとは、車体2の中心を挟んで車体の左右方向(図1の矢印Y方向)に対称となっている。
前車輪3A,3B及び後車輪4A,4Bは、各々、図1〜図3に示すように、車体2に車軸(図示せず)を介して回転自在に取り付けられた車両本体であるリム5と、このリム5の周囲に環状に隈無く配列され、リム5の回転軸に対して直交する軸回りに自由回転自在な複数の従動輪6とを有している。リム5の外周部には、屈曲状に延びる複数の軸受プレート7が取り付けられ、各軸受プレート7には、従動輪6の基端部が回転自在に片持ち支持されている。なお、従動輪6の支持構造は、特にこれには限られず、従動輪6の基端部及び先端部が軸受プレートに両持ち支持されていても良く、従動輪6の中央部が軸受プレートに支持されていても良い。
従動輪6は、その基端6aから先端6bに向けて外径が連続的に大きくなるような形状を有している。従動輪6の先端6b側部分には、隣合う従動輪6の基端6a側部分と当該隣合う従動輪6を支持する軸受プレート7の一部とが入り込む凹部8を形成する環状の爪部9が設けられている。
車輪3A〜4Bの各リム5は、車体2に設けられた駆動モータ10によって独立に回転駆動される。各駆動モータ10は、車体2に設けられたコントローラ(図示せず)からの制御信号によりモータドライバ(図示せず)を介して駆動制御される。
前車輪3A,3Bにおける各従動輪6の配列方向と後車輪4A,4Bにおける各従動輪6の配列方向とは、車体2の前後方向に対して反対になっている。具体的には、前車輪3A,3Bの各従動輪6は、車体2の上から見て車体2の前方側(図1の矢印P方向)に回転したときに、爪部9の無い基端6aよりも爪部9のある先端6bが先に走行面(床面や地面)に付くように配列されている。一方、後車輪4A,4Bの各従動輪6は、車体2の上から見て車体2の前方側(図1の矢印P方向)に回転したときに、爪部9のある先端6bよりも爪部9の無い基端6aが先に走行面に付くように配列されている。
このとき、車体2の左側の車輪3A,4Aにおける各従動輪6の配列方向と車体2の右側の車輪3B,4Bにおける各従動輪6の配列方向とは、必然的に車体2の左右方向に対して反対になる。
以上のように構成した全方向移動車1は、4つの駆動モータ10により前車輪3A,3B及び後車輪4A,4Bを回転駆動させることで、従動輪6を滑らせながら任意の方向に動くことが可能である。
具体的には、車輪3A〜4Bをいずれも車体2の上から見て車体2の前方側(図1の矢印P方向)に回転させると、全方向移動車1は前方に移動し、車輪3A〜4Bをいずれも車体2の上から見て車体2の後方側(図1の矢印Q方向)に回転させると、全方向移動車1は後方に移動する。車輪3B,4Aを車体2の前方側(図1の矢印P方向)に回転させ、車輪3A,4Bを車体2の後方側(図1の矢印Q方向)に回転させると、全方向移動車1は左側に移動し、車輪3A,4Bを車体2の前方側に回転させ、車輪3B,4Aを車体2の後方側に回転させると、全方向移動車1は右側に移動する。車輪3B,4Bを車体2の前方側(図1の矢印P方向)に回転させ、車輪3A,4Aを車体2の後方側(図1の矢印Q方向)に回転させると、全方向移動車1は左方向(反時計回り方向)に旋回し、車輪3A,4Aを車体2の前方側に回転させ、車輪3B,4Bを車体2の後方側に回転させると、全方向移動車1は右方向(時計回り方向)に旋回する。
ここで、比較例として従来の全方向移動車を図4に示す。従来の全方向移動車100では、後車輪4A,4Bにおける各従動輪6の配列方向は、前車輪3A,3Bにおける各従動輪6の配列方向と車体2の前後方向に対して同じになっている。
このような全方向移動車100を前進させるべく、全ての車輪3A〜4Bを車体2の前方側(矢印P方向)に回転させると、前車輪3A,3B及び後車輪4A,4Bのいずれにおいても、各従動輪6の基端6aよりも各従動輪6の先端6bが先に走行面に付くようになる。一方、全方向移動車100を後退させるべく、全ての車輪3A〜4Bを車体2の後方側(矢印Q方向)に回転させると、前車輪3A,3B及び後車輪4A,4Bのいずれにおいても、各従動輪6の先端6bよりも各従動輪6の基端6aが先に地面に付くようになる。
このとき、車輪3A〜4Bが回転すると駆動力が発生するが、各従動輪6の先端6b側部分には爪部9が設けられ、各従動輪6の基端6a側部分には爪部9が設けられていないので、全方向移動車100の前進時と後退時とでは、車輪3A〜4Bの回転によって発生する駆動力に差が生じる。つまり、全方向移動車100の前進時には、各従動輪6の爪部9で走行面を引っ掻くように車輪3A〜4Bが回転するため、その分だけ車輪3A〜4Bの回転による駆動力が増大すると考えられる。
このように全方向移動車100の前進時と後退時とで駆動力の差があると、車輪3A〜4Bの速度や加速度、車輪3A〜4Bにかかる荷重、走行面の材質等の駆動条件が同じ場合であっても、前進移動距離と後退移動距離とに大きな差が生じてしまう。この場合には、全方向移動車100を自動的に前進・後退させたときに、例えばコントローラ(図示せず)において全方向移動車100の自己位置を誤って認識する可能性がある。
また、全方向移動車100を左右移動させたときには、全方向移動車100の前後方向に移動誤差が生じてしまう。例えば、全方向移動車100を右移動させるときは、車輪3A,4Bを車体2の前方側(矢印P方向)に回転させ、車輪3B,4Aを車体2の後方側(矢印Q方向)に回転させる。このとき、車輪3A,4Bの各従動輪6では、爪部9のある先端6bが先に走行面に付くため、前方向に対する駆動力成分が大きくなり、車輪3B,4Aの各従動輪6では、爪部9の無い基端6aが先に走行面に付くため、後方向に対する駆動力成分が小さくなる。このため、全体として、全方向移動車100の前方向に対する駆動力が増大し、結果的に全方向移動車100の前方向への並進力成分が発生する。従って、右方向に移動する指令を出したにもかかわらず、全方向移動車100は右方向に移動するだけでなく、前方向にも少しずつずれていく。全方向移動車100が左移動する場合も、同様に前方向に少しずつずれていく。
さらに、全方向移動車100を旋回させたときにも、全方向移動車100の前後方向に移動誤差が生じてしまう。例えば、全方向移動車100を右旋回させるときは、車輪3A,4Aを車体2の前方側(矢印P方向)に回転させ、車輪3B,4Bを車体2の後方側(矢印Q方向)に回転させる。このとき、車輪3A,4Aの各従動輪6では、爪部9のある先端6bが先に走行面に付くため、前方向に対して駆動力が大きくなり、車輪3B,4Bの各従動輪6では、爪部9の無い基端6aが先に走行面に付くため、後方向に対して駆動力が小さくなる。このため、結果的に全方向移動車100の前方向への並進力成分が発生する。従って、右旋回する指令を出したにもかかわらず、全方向移動車100は右旋回するだけでなく、前方向にも少しずつずれていく。全方向移動車100が左旋回する場合も、同様に前方向に少しずつずれていく。
これに対し本実施形態では、前車輪3A,3Bにおける各従動輪6の配列方向と後車輪4A,4Bにおける各従動輪6の配列方向とが車体2の前後方向に対して反対になっている。従って、全方向移動車1の前進時には、全ての車輪3A〜4Bは車体2の前方側(図1の矢印P方向)に回転するため、前車輪3A,3Bの各従動輪6では、爪部9のある先端6bが先に走行面に当たり、後車輪4A,4Bの各従動輪6では、爪部9の無い基端6aが先に走行面に当たるようになる。一方、全方向移動車1の後退時には、全ての車輪3A〜4Bは車体2の後方側(図1の矢印Q方向)に回転するため、前車輪3A,3Bの各従動輪6では、爪部9の無い基端6aが先に走行面に当たり、後車輪4A,4Bの各従動輪6では、爪部9のある先端6bが先に走行面に当たるようになる。
つまり、全方向移動車1の前進時及び後退時のいずれにおいても、各従動輪6の先端6bが先に走行面に当たるように回転する車輪の数と、各従動輪6の基端6aが先に走行面に当たるように回転する車輪の数は、同数(2つ)になる。従って、車輪3A〜4Bの回転によって発生する駆動力は、全方向移動車1の前進時と後退時とで同等になる。これにより、全方向移動車1の前進動作及び後退動作を同じ駆動条件で行う場合には、前進移動距離と後退移動距離はほぼ等しくなる。
また、全方向移動車1の左移動時には、車輪3B,4Aは車体2の前方側に回転し、車輪3A,4Bは車体2の後方側に回転するため、車輪3B,4Bの各従動輪6では、爪部9のある先端6bが先に走行面に当たり、車輪3A,4Aの各従動輪6では、爪部9の無い基端6aが先に走行面に当たる。一方、全方向移動車1の右移動時には、車輪3A,4Bは車体2の前方側に回転し、車輪3B,4Aは車体2の後方側に回転するため、車輪3A,4Aの各従動輪6では、爪部9のある先端6bが先に走行面に当たり、車輪3B,4Bの各従動輪6では、爪部9の無い基端6aが先に走行面に当たる。このように全方向移動車1の左移動時及び右移動時のいずれにおいても、各従動輪6の先端6bが先に走行面に当たるように回転する車輪の数と各従動輪6の基端6aが先に走行面に当たるように回転する車輪の数が等しくなるため、車輪3A〜4Bの回転によって発生する駆動力も同等になる。これにより、全方向移動車1の左移動及び右移動を同じ駆動条件で行う場合には、両者の移動距離がほぼ等しくなる。
このとき、全方向移動車1の右移動時には、車輪3A,4Aの各従動輪6は爪部9のある先端6bが先に走行面に当たるように回転するため、駆動力が大きくなるが、全方向移動車1の前後方向の並進力成分は互いに反対向きとなるため、打ち消し合うことになる。また、車輪3B,4Bの各従動輪6は爪部9の無い基端6aが先に走行面に当たるように回転するため、駆動力が小さくなるが、全方向移動車1の前後方向の並進力成分は互いに反対向きとなるため、こちらも打ち消し合うことになる。その結果、全方向移動車1の前後方向の並進力成分は相殺されるため、全方向移動車1の前後方向に対する移動誤差は生じ得ない。全方向移動車1の左移動の場合についても、同様である。
さらに、全方向移動車1の左旋回時には、車輪3B,4Bは車体2の前方側に回転し、車輪3A,4Bは車体2の後方側に回転するため、車輪3B,4Aの各従動輪6では、爪部9のある先端6bが先に走行面に当たり、車輪3A,4Bの各従動輪6では、爪部9の無い基端6aが先に走行面に当たる。一方、全方向移動車1の右旋回時には、車輪3A,4Aは車体2の前方側に回転し、車輪3B,4Bは車体2の後方側に回転するため、車輪3A,4Bの各従動輪6では、爪部9のある先端6bが先に走行面に当たり、車輪3B,4Aの各従動輪6では、爪部9の無い基端6aが先に走行面に当たる。このように全方向移動車1の左旋回時及び右旋回時のいずれにおいても、各従動輪6の先端6bが先に走行面に当たるように回転する車輪の数と各従動輪6の基端6aが先に走行面に当たるように回転する車輪の数が等しくなるため、車輪3A〜4Bの回転によって発生する駆動力も同等になる。これにより、全方向移動車1の左旋回及び右旋回を同じ駆動条件で行う場合には、両者の旋回量(旋回角)がほぼ等しくなる。
このとき、全方向移動車1の右旋回時には、車輪3A,4Bの各従動輪6は爪部9のある先端6bが先に走行面に当たるように回転するため、駆動力が大きくなるが、全方向移動車1の前後・左右方向の並進力成分は互いに反対向きとなるため、打ち消し合うことになる。また、車輪3B,4Aの各従動輪6は爪部9の無い基端6aが先に走行面に当たるように回転するため、駆動力が小さくなるが、全方向移動車1の前後・左右方向の並進力成分は互いに反対向きとなるため、こちらも打ち消し合うことになる。その結果、全方向移動車1の前後・左右方向の並進力成分は相殺されるため、全方向移動車1の前後・左右方向に対する移動誤差は生じ得ない。全方向移動車1の左移動の場合についても、同様である。
以上のように本実施形態によれば、全方向移動車1を前進・後退のように反対方向に動かした時の走行性能のばらつきが十分に抑えられるので、例えば全方向移動車1を自動走行させたときに、コントローラ(図示せず)において全方向移動車1の自己位置等を正確に認識することが可能となる。
図5は、図4に示すような従来の全方向移動車について、実際に前進後退動作を行った比較結果を示したものである。図5(a)〜図5(d)において、全方向移動車の前進時と後退時とで駆動条件は全く同じである。図5(a)は、全方向移動車の速度に対する比較結果であり、図5(b)は、全方向移動車が走行する床面の材質に対する比較結果であり、図5(c)は、全方向移動車の車輪にかかる荷重に対する比較結果であり、図5(d)は、全方向移動車の加速度に対する比較結果である。同図から分かるように、全方向移動車の後退時には、全方向移動車の前進時に比べて移動距離が短かった。
一方、図1に示すような本実施形態の全方向移動車について、上記と同じ条件で実際に前進後退動作を行ったところ、図示はしないが、全方向移動車の前進時と後退時とで移動距離がほぼ等しくなるという結果が得られた。
図6は、本発明に係わる全方向移動車の他の実施形態を示す平面図である。同図において、本実施形態の全方向移動車11は、前車輪3A,3B及び後車輪4A,4Bにおける各従動輪6の配列方向のみが上述した実施形態と異なっている。
つまり、前車輪3A,3Bの各従動輪6は、車体2の上から見て車体2の前方側(矢印P方向)に回転したときに、爪部9のある先端6bよりも爪部9の無い基端6aが先に走行面に付くように配列され、後車輪4A,4Bの各従動輪6は、車体2の上から見て車体2の前方側に回転したときに、爪部9の無い基端6aよりも爪部9のある先端6bが先に走行面に付くように配列されている。
このような本実施形態においても、全方向移動車1の前進時と後退時とで、車輪3A〜4Bの回転によって発生する駆動力が同等になる。これにより、全方向移動車1の前進及び後退を同じ駆動条件で実施すれば、両者の移動距離はほぼ等しくなる。
本発明に係わる全方向移動車の一実施形態を示す平面図である。 図1に示す前車輪及び後車輪の斜視図である。 図1に示す前車輪及び後車輪の一部側面を含む断面図である。 従来の全方向移動車の一例を示す平面図である。 図4に示す従来の全方向移動車について、実際に前進後退動作を行った比較結果を示したグラフである。 本発明に係わる全方向移動車の他の実施形態を示す平面図である。
符号の説明
1…全方向移動車、2…車体、3A,3B…前車輪、4A,4B…後車輪、5…リム(車輪本体)、6…従動輪、6a…基端、6b…先端、8…凹部、9…爪部、11…全方向移動車、100…全方向移動車。

Claims (2)

  1. 車体と、
    前記車体の前部側に設けられた複数の前車輪と、
    前記車体の後部側に設けられた複数の後車輪とを備え、
    前記前車輪及び前記後車輪は、各々、前記車体に回転自在に取り付けられた車輪本体と、前記車輪本体の周囲に環状に配列され、前記車輪本体の回転方向とは異なる方向に回転自在な複数の従動輪とを有し、
    前記従動輪の先端側部分には、隣合う前記従動輪の基端側部分が入り込む凹部を形成する爪部が設けられており、
    前記前車輪における前記各従動輪の配列方向と前記後車輪における前記各従動輪の配列方向とが前記車体の前後方向に対して反対になっていることを特徴とする全方向移動車。
  2. 前記前車輪及び前記後車輪は各々2つずつ有し、
    前記2つの前車輪は、前記車体の前後方向に対称となるように前記車体の前部側に対してハの字状に配置され、
    前記2つの後車輪は、前記車体の前後方向に対称となると共に前記前車輪と前記車体の左右方向に対称となるように、前記車体の後部側に対してハの字状に配置されていることを特徴とする請求項1記載の全方向移動車。




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