JP2006051459A - 流体制御システム - Google Patents

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亮 三宅
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Abstract

【課題】できるだけ部品点数の少ないコンパクトな構成で複雑な化学反応プロセスを自動化する。
【解決手段】流体制御システムは、複数の密閉可能な容器と、該複数の容器を互いに接続する流路と、上記容器の内圧を調節する圧力調節装置と、を有し、上記容器の内圧の差を利用して上記容器間にて溶液を移送させる。
【選択図】 図6

Description

本発明は化学反応を起こさせるために薬剤等を操作する流体制御システムに関し、特に、微小な空間において薬剤等の流体を操作するシステムに関する。
近年、複雑かつ煩雑な化学プロセスの自動化に関心が寄せられている。μTAS(Micro Total Analysis System)の研究分野はその最先端に位置づけられる技術分野であり、半導体製造技術に基づくマイクロマシーニング技術を駆使してチップを製作し、そのチップ内に化学プロセスを集積化することを目指している。現在では世界各国の様々な研究グループからその成果が報告されており、μTASが目指す方向性のメリット、デメリットが次第に明らかになりつつある。チップ内の微小な空間でも、試験管やビーカの中で行われていた化学反応が実現できるものが多数あり、特に化学分析においては消費する試薬量を激減させられる事や、分析後の廃液を低減させることができる事、煩雑な分析操作が自動化されるといったメリットが報告されている。ただし、これらはμTASのメリットを強調した一面的な知見であり、サンプル、試薬、薬液等の流体駆動及び制御技術までを含めて考えると本来のマイクロ化の目標は達成されておらず、実用化はほとんどなされていない状態にある。
一般に化学生成物は複数の薬液を反応させて合成される。このような合成のプロセスは2つの薬液を反応させる単純なタイプのものから、2つ以上の薬液を反応させ生成された中間生成物に対してさらに別の薬液を反応させて次の中間生成物を生成させてといった段階的なカスケードタイプの複雑なものまである。プロセスが複雑になればなるほど、各プロセスで使われる薬液の駆動及び制御機構も複雑になってくる。この点は化学プロセスのマイクロ化、自動化を目指す上記μTASの分野においても同様な課題である。
本発明の第一の目的は、簡素な構成で複雑な化学プロセスを自動化するための流体制御デバイスを提供することにある。
本発明の第二の目的は、微量なサンプルと薬液同士の化学プロセスにも対応可能な上記流体制御デバイスを提供することにある。
本発明によると、流体制御システムは、複数の密閉可能な容器と、該複数の容器を互いに接続する流路と、上記容器の内圧を調節する圧力調節装置と、を有し、上記容器の内圧の差を利用して上記容器間にて溶液を移送させる。
本発明によると、流体制御システムは、複数の容器と該複数の容器を互いに接続する流路とを有する基板と、上記容器と大気圧を接続するための大気開放配管と上記容器を減圧源又は加圧源に接続する圧力調節配管とを備えたマニホールドと、を有し、上記容器の内圧の差を利用して上記容器間にて溶液を移送させることを特徴とする流体制御システム。
更に、上記大気開放配管と上記圧力調節配管にはそれぞれ圧電板を有する開閉バルブが設けられ、該開閉バルブは上記圧電板に電圧を印加しないことにより閉じる閉位置と上記圧電板に電圧を印加することにより開く開位置とを有する。
本発明によると、微量なサンプルと薬液同士の化学プロセスを実現できる。更に、複数の薬液を自動的に混合して生成物を製造することができる。
図1を参照して、本発明による流体制御システムの第1の例を説明する。本例の流体制御システムは、密閉可能な2つの容器101、102を有する。本例によると、2つの容器101、102の内圧の差を利用して、2つの容器101、102間にて溶液を移送する。
第1の容器101は薬剤を貯蔵する貯蔵容器、第2の溶液は薬剤を使用して反応を起こさせる反応容器であってよい。
2つの容器101、102の底面は流路121によって互いに接続されている。第1の容器の上面には大気開放用の開閉バルブ111が設けられている。第2の容器102の上面は排気管132によって真空ポンプ131に接続されている。排気管132には、開閉バルブ133が設けられている。
図1Aでは、2つの開閉バルブ111、133は閉じられている。従って、2つの容器101、102は密閉状態にある。第1の容器101に溶液10が貯蔵され、第2の容器102は空である。
図1Bに示すように、2つのバルブ111、133を開け、真空ポンプ131を運転する。第1の容器101内の圧力は大気圧となり、第2の容器102内の圧力は大気圧より小さくなる。従って、第1の容器101の溶液10は流路121を介して第2の容器102に流れる。こうして、本例では、第1の容器101内の溶液10を第2の容器102に供給することができる。
本例では、2つの容器101、102に内圧の差を生成するために、大気圧と真空ポンプを使用する。即ち、高圧空気源として大気圧を使用し、低圧空気源として真空ポンプを使用する。しかしながら、高圧空気源として加圧ポンプを使用し、低圧空気源として大気圧を使用してもよい。これは、以下の例についても同様である。
図2を参照して、本発明による流体制御システムの第2の例を説明する。本例の流体制御システムは、4つの容器101、102、103、104及び真空ポンプ131を有する。第1、第2及び第3の容器101、102、103は薬剤を貯蔵する貯蔵容器、第4の容器104は薬剤を使用して反応を起こさせる反応容器であってよい。3つの容器101、102、103の底面は流路121、122、123によって第4の容器104の底面に接続されている。
第1、第2、第3及び第4の容器の上面には大気開放用の開閉バルブ111、112、113、114が設けられている。第4の容器104の上面は排気管132によって真空ポンプ131に接続されている。排気管132には、開閉バルブ133が設けられている。
先ず、全ての開閉バルブ111、112、113、114、133は閉じられている。従って、4つの容器101、102、103、104は密閉状態にある。第1、第2及び第3の容器101、102、103は互いに異なる溶液11、12、13が貯蔵され、第4の容器104は空である。
図2Aに示すように、第1の容器101のバルブ111と排気管132のバルブ133を開け、真空ポンプ131を運転する。第1の容器101内の圧力は大気圧となり、第4の容器104内の圧力は大気圧より小さくなる。従って、第1の容器101の溶液11は流路121を介して第4の容器104に流れる。第2及び第3の容器102、103のバルブ112、113は閉じたままであり、第2及び第3の容器102、103内の圧力は大気圧以上になることはない。従って、第2及び第3の容器102、103の溶液12、13が第4の容器104に流れることはない。
図2Bに示すように、第1の容器101の全ての溶液11が第4の容器104に流出されると、次に、排気管132のバルブ133を開けたまま、且つ、第3の容器103のバルブ113は閉じたまま、第1の容器101のバルブ111を閉じ、第2の容器102のバルブ112を開ける。第2の容器102内の圧力は大気圧となる。第4の容器104内の圧力は大気圧より小さくなる。従って、第2の容器102の溶液12は流路122を介して第4の容器104に流れる。
図示していないが、第2の容器102の全ての溶液12が第4の容器104に流出されると、次に、排気管132のバルブ133を開けたまま、且つ、第1の容器101のバルブ111は閉じたまま、第2の容器102のバルブ112を閉じ、第3の容器103のバルブ113を開ける。第3の容器103内の圧力は大気圧となる。第4の容器104内の圧力は大気圧より小さくなる。従って、第3の容器103の溶液13は流路123を介して第4の容器104に流れる。こうして、第4の容器104には、3つの容器101、102、103の溶液11、12、13が流出され、混合される。
本例では、第4の容器104より下方に配置された容器に第4の容器104より混合溶液を送出することができる。例えば、第3の容器103に混合溶液を送出する場合を説明する。先ず、先ず真空ポンプ131を停止し、バルブ133を閉じる。第1及び第2の容器101、102のバルブ111、112を閉じ、第3の容器103のバルブ113と第4の容器104のバルブ114を開ける。第4の容器104内の混合液の液面は、第3の容器103内の液面より高いから、重力により、第4の容器104内の混合液は第3の容器103内に流出する。
図3を参照して、本発明による流体制御システムの第3の例を説明する。本例の流体制御システムは、6つの容器101、102、103、104、105、106及び真空ポンプ131を有する。第1、第2及び第3の容器101、102、103は薬剤を貯蔵する貯蔵容器、第4の容器104は3つの薬剤を使用して中間生成物を生成させる反応容器、第5の容器105は中間生成物と薬剤を使用して最終生成物を生成させる反応容器、第6の容器106は薬剤を貯蔵する貯蔵容器であってよい。4つの容器101、102、103、104の構造は図2に示す第2の例と同様である。本例では、第4の容器104の底面は流路124によって第5の容器105の底面に接続され、第5の容器105の底面は流路125によって第6の容器106の底面に接続されている。第5の容器105は、排気管134を介して真空ポンプ131が接続されている。排気管134には、開閉バルブ135が設けられている。
先ず、第1、第2及び第3の容器101、102、103の溶液11、12、13は、第4の容器104に導かれ、混合される。この動作は図2を参照して説明した。次に、第4の容器104内の混合液14を第5の容器105に導く。第4の容器104のバルブ114を開け、第5の容器105のバルブ115を閉じる。バルブ133を閉じ、バルブ135を開け、真空ポンプ131を運転する。第4の容器104内の圧力は大気圧となり、第5の容器105内の圧力は大気圧より小さくなる。従って、第4の容器104から第5の容器105へ混合液14が流れる。
第5の容器105内に所定の量の混合液14が導かれると、次に、第6の容器106内の溶液16を第5の容器105に導く。第4の容器104のバルブ114と第5の容器105のバルブ115を閉じ、第6の容器106のバルブ116を開ける。バルブ135を開け、真空ポンプ131を運転する。第5の容器105は密閉状態となり、大気圧より小さくなる。第6の容器106内の圧力は大気圧となる。従って、第6の容器106内の溶液16は第5の容器105内に導かれる。
尚、第4の容器104内の混合液14を第5の容器105に導く場合、2つの容器104、105の高さの差を利用して、即ち、重力を利用して混合液を移送してもよい。
図4を参照して本発明による流体制御システムの第4の例を説明する。本例の流体制御システムは、5つの容器101、102、103、104、105及び真空ポンプ131を有する。第1、第2及び第3の容器101、102、103は薬剤を貯蔵する貯蔵容器、第4及び第5の容器104、105は3つの薬剤を混合させ混合液を生成させる攪拌容器であってよい。
先ず、第1、第2及び第3の容器101、102、103の溶液11、12、13は、第4の容器104に導かれ、混合される。この動作は図2を参照して説明した。次に、第4の容器104内の混合液14を第5の容器105に導く。図4Aに示すように、第4の容器104のバルブ114を開け、第5の容器105のバルブ115を閉じる。バルブ133を閉じ、バルブ135を開け、真空ポンプ131を運転する。
第5の容器105は密閉状態となり、大気圧より小さくなる。第4の容器104内の圧力は大気圧となる。従って、第4の容器104内の溶液14は第5の容器105内に導かれる。第4の容器104から第5の容器105に流れる溶液の流速が大きいと、第5の容器105内では、溶液15は回転し、渦15Aを生成する。それにより、溶液は攪拌される。第5の容器105内に所定の量の溶液15が導かれると、次に、第5の容器105内の溶液15を第4の容器104に導く。
図4Bに示すように、第4の容器104のバルブ114を閉じ、第5の容器105のバルブ115を開ける。バルブ133を開け、バルブ135を閉じ、真空ポンプ131を運転する。
第4の容器104は密閉状態となり、大気圧より小さくなる。第5の容器105内の圧力は大気圧となる。従って、第5の容器105内の溶液15は第4の容器104内に導かれる。第5の容器105から第4の容器104に流れる溶液の流速が大きいと、第4の容器104内では、溶液14は回転し、渦14Aを生成する。それにより、溶液は攪拌される。
図5を参照して本発明による化学反応システムの第1の例を説明する。図5Aは、ある化学反応の処理を示す。まず、最初のステップで薬液Aと薬液Bを混合して反応させ、中間生成物Cを生成する。次のステップで、この中間生成物Cと薬液Dを混合して反応させ、中間性生物Eを生成する。最後のステップで、中間生成物Eと薬液Fおよび薬液Gを混合して反応させ、最終生成物Hを生成する。
図5Bは、図5Aの3ステップからなる化学反応を実現するための化学反応システムを示す。本例の化学反応システムは、薬剤Aを貯蔵する第1の貯蔵容器501、薬剤Bを貯蔵する第2の貯蔵容器502、第1の中間生成物Cを生成する第1の反応容器503、薬剤Dを貯蔵する第3の貯蔵容器504、第2の中間生成物Eを生成する第2の反応容器505、薬剤Fを貯蔵する第4の貯蔵容器506、薬剤Gを貯蔵する第5の貯蔵容器507、及び、最終生成物Hを生成する第3の反応容器508を有する。
貯蔵容器501、502、504、506、507の上面には、それぞれ大気開放用の開閉バルブ511、512、514、516、517が設けられ、第1、第2及び第3の反応容器503、505、508の上面には、それぞれ大気開放用の開閉バルブ513、515、518が設けられている。これらの開閉バルブは、基本的には、閉じている。第1、第2及び第3の反応容器503、505、508の上面には、更に、排気管533、535、538が接続されている。尚、貯蔵容器502の上面に、排気管532が接続されてよい。排気管532、533、535、538は、図示しない真空ポンプに接続されている。また、これらの排気管532、533、535、538には、図示しない開閉バルブが接続されている。
第1及び第2の貯蔵容器501、502の底面は流路521によって接続され、第2の貯蔵容器502と第1の反応容器503は流路522によって接続されている。第1の反応容器503と第3の貯蔵容器504の底面は流路523によって第2の反応容器505の底面に接続されている。第2の反応容器505、第4及び第5の貯蔵容器506、507の底面は、流路524、525によって第3の反応容器508の底面に接続されている。
以下に図5Aの化学反応プロセスを生成する方法を説明する。先ず、第1の中間生成物Cを生成する方法を説明する。第2の貯蔵容器502の上面に排気管512を設けない場合には、第1及び第2の貯蔵容器501、502のバルブ511、512を開け、第1の反応容器503のバルブ513を閉じ、第1の反応容器503を真空排気する。それによって、第1及び第2の貯蔵容器501、502の薬剤A、Bは、第1の反応容器503に導かれる。第1の反応容器503では、2つの薬剤A、Bより、第1の中間生成物Cが生成される。第2の貯蔵容器502の上面に排気管512を設けた場合には、第2の貯蔵容器502を真空排気する。それによって、第1の貯蔵容器501内の薬剤Aは第2の貯蔵容器502に導かれる。
次に、第2の中間生成物Eを生成する方法を説明する。第1の反応容器503と第3の貯蔵容器504のバルブ513、514を開け、第2の反応容器505のバルブ515を閉じ、第2の反応容器505を真空排気する。それにより、第1の反応容器503内の第1の中間生成物Cと第3の貯蔵容器504に貯蔵されている薬剤Dは、第2の反応容器505に流れる。第2の反応容器505では、第1の中間生成物Cと薬剤Dより、第2の中間生成物Eが生成される。
最後に、最終生成物Hを生成する方法を説明する。第2の反応容器505と第4及び第5の貯蔵容器506、507のバルブ515、516、517を開け、第3の反応容器508のバルブ518を閉じ、第3の反応容器508を真空排気する。それにより、第2の反応容器505内の第2の中間生成物Eと第4及び第5の貯蔵容器506、507の薬剤F、Gは、第3の反応容器508に迅速に流れる。こうして、第3の反応容器508では、第2の中間生成物Eと薬剤F、Gより、最終生成物Hが生成される。
図示のように、第1及び第2の貯蔵容器501、502の底面は第1の高さにあり、第1の反応容器503と第3の貯蔵容器504の底面は第2の高さにあり、第2の反応容器505、第4及び第5の貯蔵容器506、507の底面は第3の高さにあり、第3の反応容器508は第4の高さにある。第1、第2、第3、及び第4の高さは、この順番に低くなっている。このように高さの差を利用して、即ち、重力を利用して薬剤、中間生成物を移送してもよい。
図6及び図7を参照して本発明による化学反応システムの第2の例を説明する。本例の化学反応システムは、図5Aの3ステップからなる化学反応を実現するための装置である。図6に示すように、本例の化学反応システムは、矩形の薄い板状の基板600を有し、基板600の上面600Aには、薬剤Aを貯蔵する第1の貯蔵容器601、薬剤Bを貯蔵する第2の貯蔵容器602、第1の中間生成物Cを生成する第1の反応容器603、第2の中間生成物Eを生成する第2の反応容器604、薬剤Dを貯蔵する第3の貯蔵容器605、薬剤Fを貯蔵する第4の貯蔵容器606、薬剤Gを貯蔵する第5の貯蔵容器607、及び、最終生成物Hを生成する第3反応容器608を有する。これらの、貯蔵容器及び反応容器は、図示のように、基板600の上面600Aに形成された円形の凹部であり、これらの凹部の底面は、円錐状をなしている。
基板600の内部には、第1の貯蔵容器601の底面と第1の反応容器603の底面を接続する流路621、第2の貯蔵容器602の底面と第1の反応容器603の底面を接続する流路622、第1の反応容器603の底面と第2の反応容器604の底面を接続する流路623、第2の反応容器604の底面と第3の反応容器608の底面を接続する流路624、第3の貯蔵容器605の底面と第2の反応容器604の底面を接続する流路625、第4の貯蔵容器606の底面と第3の反応容器608の底面を接続する流路626、及び、第5の貯蔵容器607の底面と第3の反応容器608の底面を接続する流路627が設けられている。
図7は化学反応システムの第2の例の圧力制御装置を示す。この圧力制御装置は、図6の基板600の上側に配置される。図7Aに示すように、この圧力制御装置は、全ての貯蔵容器及び反応容器601〜608に接続される大気開放配管701、及び、第1、第2及び第3の反応容器603、604、608に接続される真空排気配管702を有する。大気開放配管701の端部には、それぞれ、開閉バルブ703が設けられている。真空排気配管702には、ぞれぞれ、開閉バルブ704が設けられ、その先端はチューブ706を介して真空ポンプ705に接続されている。
大気開放配管701及び真空排気配管702は、基板700の内部に形成されたものであり、以下に、基板700をマニホールドと称する。
図7Bに示すように、2つの基板600、700を接合することにより化学反応システムが形成される。開閉バルブ703、704の構造を説明する。開閉バルブ704は、真空排気配管702と出口通路711の間に形成された通路712を有し、この通路712に圧電板713が設けられている。この圧電板713は、真空排気配管702と出口通路711の間を遮断している。このこの圧電板713に電圧を印加することにより、この圧電板713は変形し、真空排気配管702と出口通路711の間が開通する。
他方の開閉バルブ703の構造も同様である。開閉バルブ703は、大気開放配管701と出口通路721の間に形成された通路722を有し、この通路722に圧電板723が設けられている。この圧電板723は、大気開放配管701と出口通路721の間を遮断している。このこの圧電板723に電圧を印加することにより、この圧電板723は変形し、大気開放配管701と出口通路721の間が開通する。
本例によると、基板600は交換可能である。本例の化学反応システムを使用すると、基板600の貯蔵容器、反応容器、及び、流路は、薬剤等によって汚れる。こうして一度使用した基板600は廃棄してもよいが洗浄して再利用してもよい。本例では、基板600は交換可能であるから、基板600の廃棄又は再利用が容易である。
以上は複数の薬液を段階的に反応させるディスクリート型の化学合成プロセスを実現するための実施例であった。本発明の基本的な原理は、薬液を流した状態で連続的に反応させ、最終生成物を生成するフロー型の化学合成プロセスにも適用することができる。
図8を参照して本発明による化学反応システムの第3の例を説明する。図8Aは、ある化学反応の処理を示す。薬液A、薬液B及び薬剤Cを同時に混合して反応させ、最終生成物Dを生成する。
図8Bは、図8Aの化学反応を実現するための化学反応システムを示す。本例の化学反応システムは、薬剤Aを貯蔵する第1の貯蔵容器801、薬剤Bを貯蔵する第2の貯蔵容器802、薬剤Cを貯蔵する第3の貯蔵容器803、及び、最終生成物Dを生成する反応容器804を有する。
貯蔵容器801、802、803の上面には、それぞれ大気開放用の開閉バルブ811、812、813が設けられている。反応容器器804の上面は、排気管832を介して真空ポンプ831が接続されている。また、排気管823には開閉バルブ833が設けられている。
貯蔵容器801、802、803の底面には、流路821、822、823が接続され、これらの流路は1つの流路824に接続されている。流路824は反応容器804の底面に接続されている。
貯蔵容器801、802、803の開閉バルブ811、812、813を開け、反応容器器804を真空ポンプ831によって真空排気する。貯蔵容器801、802、803の圧力は大気圧になり、反応容器器804の圧力は大気圧より小さくなる。従って、3つの貯蔵容器801、802、803から同時に薬剤が流出し、流路824にて混合する。反応容器器804には、3つの薬剤A、B、Cの混合液が供給される。
貯蔵容器801、802、803の開閉バルブ811、812、813の開度を調節することにより、貯蔵容器801、802、803の内圧を、互いに異なる値に設定することができる。例えば、第1の貯蔵容器801の開閉バルブ811を全開にし、第2の貯蔵容器802の開閉バルブ812を半開にし、第3の貯蔵容器803の開閉バルブ813を1/4開にする。それにより、3つの貯蔵容器801、802、803の内圧と反応容器器804の内圧の差は、互いに異なる値となる。こうして、貯蔵容器801、802、803から異なる流量の薬剤を流出させることができる。
図9を参照して本発明による化学反応システムの第4の例を説明する。本例の化学反応システムは、図8Aの化学反応を実現するための装置である。図9に示すように、本例の化学反応システムは、矩形の薄い板状の基板900を有し、基板900の上面900Aには、薬剤Aを貯蔵する第1の貯蔵容器901、薬剤Bを貯蔵する第2の貯蔵容器902、薬剤Cを貯蔵する第3の貯蔵容器903、及び、最終生成物Dを生成する反応容器904を有する。これらの、貯蔵容器及び反応容器は、図示のように、基板900の上面900Aに形成された円形の凹部であり、これらの凹部の底面は、円錐状をなしている。
基板900の内部には、第1の貯蔵容器901の底面に接続された流路921、第2の貯蔵容器902の底面に接続された流路922、第3の貯蔵容器903の底面に接続された流路923、3つの流路921、922、923と反応容器904の底面の間を接続する流路924が設けられている。
この基板900の上側には図示しないマニホールドが接合される。マニホールドには、図7に示したような圧力制御装置が設けられている。この圧力装置は、全ての貯蔵容器及び反応容器901〜904に接続された大気開放配管、及び、反応容器904に接続された真空排気配管を有する。尚、本例の場合も、基板900は交換可能である。
以上、本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に理解されよう。
本発明による流体制御システムの第1の例を説明する図である。 本発明による流体制御システムの第2の例を説明する図である。 本発明による流体制御システムの第3の例を説明する図である。 本発明による流体制御システムの第4の例を説明する図である。 本発明による化学反応システムの第1の例を説明する図である。 本発明による化学反応システムの第2の例を説明する図である。 本発明による化学反応システムの第2の例を説明する図である。 本発明による化学反応システムの第3の例を説明する図である。 本発明による化学反応システムの第4の例を説明する図である。
符号の説明
101,102,103,104…容器、111,112,113…バルブ、121,122,123…流路、131…真空ポンプ、132…排気管、133…開閉バルブ

Claims (9)

  1. 複数の密閉可能な容器と、該複数の容器を互いに接続する流路と、上記容器の内圧を調節する圧力調節装置と、を有し、上記容器の内圧の差を利用して上記容器間にて溶液を移送させることを特徴とする流体制御システム。
  2. 請求項1記載の流体制御システムにおいて、上記複数の容器のうち、溶液を供給する側の容器を大気に開放し、溶液を受け入れる側の容器を減圧し、他の容器を密閉することを特徴とする流体制御システム。
  3. 請求項1記載の流体制御システムにおいて、上記複数の容器のうち、溶液を供給する側の容器の内圧を加圧し、溶液を受け入れる側の容器を大気に開放し、他の容器を密閉することを特徴とする流体制御システム。
  4. 請求項1記載の流体制御システムにおいて、上記複数の容器のうち、所定の薬剤を貯蔵する複数の容器より順次、他の容器に上記薬剤を移送することによって、化学反応を起こさせることを特徴とする流体制御システム。
  5. 請求項1記載の流体制御システムにおいて、上記複数の容器のうち、所定の薬剤を貯蔵する複数の容器より同時に、他の容器に上記薬剤を移送することによって、化学反応を起こさせることを特徴とする流体制御システム。
  6. 請求項1記載の流体制御システムにおいて、上記複数の容器のうちの任意の1対の容器の間で溶液を往復移送させることにより攪拌することを特徴とする流体制御システム。
  7. 複数の容器と該複数の容器を互いに接続する流路とを有する基板と、上記容器と大気圧を接続するための大気開放配管と上記容器を減圧源又は加圧源に接続する圧力調節配管とを備えたマニホールドと、を有し、上記容器の内圧の差を利用して上記容器間にて溶液を移送させることを特徴とする流体制御システム。
  8. 請求項7記載の流体制御システムにおいて、上記大気開放配管と上記圧力調節配管にはそれぞれ圧電板を有する開閉バルブが設けられ、該開閉バルブは上記圧電板に電圧を印加しないことにより閉じる閉位置と上記圧電板に電圧を印加することにより開く開位置とを有することを特徴とする流体制御システム。
  9. 請求項7記載の流体制御システムにおいて、上記基板は交換可能であることを特徴とする流体制御システム。
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