JP2006051365A - 肺潅流または肺密度を3d視覚化するためのシステムおよび方法、並びにその統計的分析方法 - Google Patents

肺潅流または肺密度を3d視覚化するためのシステムおよび方法、並びにその統計的分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実質組織内の異常潅流または潅流減少または異常領域を高輝度表示し、これにより肺動脈塞栓または他の異常性を同定することのできる3Dマップ視覚化技術を提供することである。
【解決手段】両肺の3D視覚化方法において、
両肺と肺実質組織の画像データをセグメント化し、
3Dマップをセグメント化した画像データの関数として作成し、
3Dマップを色符号化された半透明3D容積としてレンダリングし、
不透明領域が対象エリアをハイライトする。
【選択図】図2

Description

本発明は、医学画像分析に関するものであり、より詳細には、肺潅流または肺密度を3次元(3D) 視覚化するためのシステムおよび方法、並びに肺潅流または密度分布の分析方法に関する。
肺動脈塞栓症は、血餅の一部が深部静脈血栓(DVT)から引きちぎられ、肺動脈へ移動し、そこで動脈をブロックするときに発生し、肺を損傷し、心臓を負荷する。この短期の合併症は潜在的に生命を脅かし、急性DVTイベントの患者の約10%で発生する。これは通常に認識されているよりもより一般的なことである。なぜなら塞栓症の多くは症状なしに発生するからである。
多くの人はDVTおよび塞栓症から完全に回復する。しかし大きな肺動脈塞栓は肺部分への血流の大部分をブロックし、突然死を引き起こすことがある。付加的に肺動脈塞栓症は心臓に大きな負担を掛ける。虚血性心疾患および虚血発作に続いて、肺動脈塞栓症は心臓疾患からの第3の死亡原因である。しかし病院において肺動脈塞栓症はもっとも一般的な予防可能死亡原因である。
肺動脈塞栓症の性質は既知であり、適時の診断が重要である。しかし塞栓が肺内の血流にどのような影響を与えるのか評価することも重要である。最近、肺動脈塞栓症を高解像度コンピュータトモグラフ(CTA)から自動検出するための方法が開発された。さらに、肺動脈塞栓症により引き起こされた潅流不足の程度および位置を視覚化し、評価する方法も開発された。このような技術はマルチスキャンコンピュータトモグラフ(CT)マシンを使用し、このマシンはごく普通に600以上の2次元(2D)断層画像を患者当たりに発生し、分節性塞栓および亜分節性塞栓を同定する。しかしこのことは時間を消費し、それ自体、肺潅流の即時の視覚化に適するものではない。
しかし最近、研究者は、静脈造影剤を投与した後に実質組織内の肺潅流の2D視覚化を行う実験方法を提供した。この方法は、オリジナルCT画像の上に実質組織潅流をカラー符号化し、オーバーレイして2D視覚化する。この情報は有益な情報であるが、異常潅流の領域を追跡し続けるのは困難である。さらに肺動脈塞栓がこのような領域の近位側に存在する場合、この領域を基準にして塞栓がどこに位置しているかを追跡し続けることは困難である。
本発明の課題は、実質組織内の異常潅流または潅流減少または異常領域を高輝度表示し、これにより肺動脈塞栓または他の異常性を同定することのできる3Dマップ視覚化技術を提供することである。
この課題は本発明により、両肺の3D視覚化方法であって、
両肺と肺実質組織の画像データをセグメント化し、
3Dマップをセグメント化した画像データの関数として作成し、
3Dマップを色符号化された半透明3D容積としてレンダリングし、
不透明領域が対象エリアをハイライトする、ことを特徴とする方法によって解決される。
本発明は、前記問題および公知技術での他の問題を、肺潅流または肺密度を3D視覚化するためのシステムおよび方法を提供することにより解決する。このシステムおよび方法により医師は肺容積全体を一見で検査することができる。
本発明の実施例では、両肺の3D視覚化方法は、両肺と肺実質組織の画像データをセグメント化し、3Dマップをセグメント化された画像データの関数として発生し、3Dマップを色符号化された半透明3D容積としてレンダリングし、ここで不透明領域が対象エリアをハイライトする。
3Dマップは潅流マップまたは密度マップであり、適応平滑化またはテクスチャフィルタリングによって計算される。対象エリアは異常潅流または異常密度の領域を指示する。異常潅流の領域は塞栓によるものである。
この方法はさらに、レンダリングされた3Dマップのヒストグラムを作成し、このヒストグラムが塞栓の存在の肯定または否定を指示するかを検査し、塞栓を急性または慢性として分類する。
本発明の別の実施例では、肺潅流を3D視覚化する方法で、肺実質組織の画像データをセグメント化し、セグメント化された画像データの潅流マップを作成し、潅流マップを色符号化された半透明3D容積としてレンダリングし、ここで潅流の不透明領域は可視である。
セグメント化された画像データの潅流マップを発生するステップは、肺実質組織をセグメント化するステップ、局所的平滑化を実行するステップ、肺実質組織の局所周辺平均密度を検出するステップを含む。肺実質組織をセグメント化するステップは、両肺の容積を胸部容積からセグメント化するステップ、セグメント化された肺容積内に気道と血管を同定するステップ、そして気道と血管構造をセグメント化された肺容積から除去することにより肺実質組織のマスクを発生するステップを含む。
局所平滑化を実行するステップは、画像データをシフトするステップ、シフトされた画像データを実質組織マスクによりマスキングして実質組織画像を獲得するステップ、実質組織マスクと実質組織画像にグアシアン平滑化(Guassian smoothing)を実行し、平滑化された実質組織マスクと実質組織画像を獲得するステップ、平滑化された実質組織画像を実質組織マスクによりマスキングするステップ、マスクされた平滑化実質組織画像を等化するステップ、そして等化された画像をシフトして潅流マップを発生するステップを含む。
潅流の可視領域は肺動脈塞栓またはびまん性肺疾患の1つの指標である。画像データはCT、ヘリカルCT、またはMR画像技術の1つを使用して獲得される。この方法はさらに、対象領域の高密度を観察するためにカラーマップを調整する。潅流の可視領域は、低潅流、高潅流、または異常潅流の1つである。
本発明の別の実施例で、両肺を3D視覚化するためのシステムは、プログラムを格納するためのメモリデバイス、メモリデバイスと通信し、プログラムと共働するプロセッサ、両肺および肺実質組織のセグメント画像データ、セグメント化された画像データの関数として3Dマップを発生する発生部、そして3Dマップを色符号化された半透明3D容積としてレンダリングするレンダリング部を有し、不透明領域が対象エリアをハイライトする。
3Dマップは潅流マップまたは密度マップの1つであり、適応型平滑化またはテクスチャフィルタリングにより計算することができる。対象エリアは異常潅流または異常密度の領域を指示する。異常潅流の領域は塞栓によるものである。
プロセッサはさらにプログラムコードによって、レンダリングされた3Dマップのヒストグラムを発生し、ヒストグラムが塞栓の存在を指示するか否かを決定し、塞栓を急性または慢性として分類するように動作する。
本発明の別の実施例で、肺潅流を3D視覚化するためのシステムは、プログラムを格納するためのメモリデバイスと、メモリデバイスと通信し、プログラムと共働するプロセッサと、肺実質組織のセグメント画像データと、セグメント化された画像データの潅流マップを発生する発生部と、潅流マップを色符号化された半透明3D容積としてレンダリングするレンダリング部とを有し、潅流の不透明領域が可視である。
セグメント化された画像データの潅流マップが発生される場合には、プロセッサはさらにプログラムコードによって、肺実質組織をセグメント化し、局所平滑化を実行し、肺実質組織の局所周辺平均密度を決定するように動作する。肺実質組織をセグメント化する場合には、プロセッサはさらにプログラムコードと共働し、両肺の容積を胸部容積からセグメント化し、セグメント化された肺容積内で気道と血管を同定し、肺実質組織のマスクを、気道と欠陥構造をセグメント化された肺容積から除去することにより発生する。
局所平滑化を実行する場合には、プロセッサはさらにプログラムコードと共働し、画像データをシフトし、シフトされた画像データを実質組織マスクによりマスキングすることで実質組織画像を獲得し、グアッシュ平滑化を実質組織マスクと実質組織画像上の実行し、平滑化された実質組織マスクと実質組織画像を獲得し、平滑化された実質組織画像を実質組織マスクによりマスキングし、マスクされた平滑化実質組織画像を等化し、等化された画像をシフトして潅流マップを発生する。
潅流の可視領域は肺動脈塞栓またはびまん性肺疾患の指標である。画像データはCT、へりかるCT、またはMR画像デバイスを使用して獲得される。プロセッサはさらにプログラムコードと共働して、対象の高密度領域を観察するためにカラーマップを調整する。潅流の可視領域は低潅流、高潅流、または異常潅流の1つである。
図1は、本発明の実施例による肺潅流または肺密度を3D視覚化するためのシステム100のブロック回路図である。図1に示すように、システム100は走査デバイス105,パーソナルコンピュータ(PC)110、および例えばイーサネットネットワーク120を介して接続された操作者コンソール115を有する。走査デバイス105は磁気共鳴(MR)画像デバイス、CT画像デバイス、ヘリカルCTデバイス、陽電子放射断層撮影(PET)デバイス、2Dまたは3D蛍光顕微鏡画像デバイス、2D、3Dまたは4D超音波画像デバイス、またはx線デバイスとすることができる。走査デバイス105はまた、CT、MR、PET または他の画像形成技術のハイブリッド画像デバイスとすることもできる。
PC110はワークステーション、ポータブルコンピュータまたはラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)等とすることができ、中央演算ユニット(CPU)125とメモリ130を含む。これらは入力部150および出力部155と接続されている。CPU125は視覚化モジュール145を有しており、この視覚化モジュールは肺潅流または肺密度を3D視覚化するための1つまたは複数の方法を含む。
メモリ130はRAM135とROM140を有する。メモリ130はまたデータベース、ディスクドライブ、テープデバイス等、またはそれらの組み合わせを含むことができる。RAM135はデータメモリとして機能し、CPU125でプログラムが実行される際に使用されるデータを格納し、ワークエリアとして使用される。ROM140は、CPU 125で実行されるプログラムを格納するためのプログラムメモリとして機能する。入力部150はキーボード、マウス等により構成されており、出力部155は液晶ディスプレイ(LCD)CRTディスプレイ、またはプリンタとして構成されている。
システム100の動作は操作者コンソール115から制御される。コンソール115はコントローラ165、例えばキーボードとディスプレイ160、例えばCRTディスプレイを有する。操作者コンソール115はPC110および走査デバイス105と通信し、走査デバイス105によりキャプチャされた2D画像データを3DデータにPC110によってレンダリングすることができ、ディスプレイ160に表示される。PC110は、操作者コンソール115がなくても、コントローラ165とディスプレイ160により実行される所定タスクのための入力デバイス150と出力デバイス155を使用して、走査デバイス105により供給された情報を処理し、表示することができる。
操作者コンソール115はさらに適切な画像レンダリングシステム/ツール/アプリケーションを有し、キャプチャされた画像データセットのデジタル画像データを処理して、2Dおよび/または3D画像をディスプレイ160に表示することができる。より詳細には、画像レンダリングシステムは、2D/3Dレンダリングを実行し、医学画像データを視覚化するアプリケーションとすることができ、汎用コンピュータまたは専用ワークステーションで実行される。さらに画像レンダリングシステムによりユーザは3D画像または複数の2D断層画像をナビゲートすることができる。PC110もまた画像レンダリングシステム/ツール/アプリケーションを含むことができ、キャプチャされた画像データセットのデジタル画像データを処理して、2D/3D画像を発生することができる。
図1に示すように、またPC110は視覚化モジュール145を使用することができ、デジタル医学画像データを受信し、処理する。このデジタル医学画像データは、生画像データ、2D構造データ(例えば軸方向断層)、または容積画像データのような3D構造データ、または多面改善形式、またはそれらの組み合わせとすることができる。データ処理結果はPC110からネットワーク120を介して、操作者コンソール115にある画像レンダリングシステムに出力することができ、データ処理結果に相応して2Dおよび/または3Dレンダリング画像データを発生する。これは例えば、器官または解剖学的構造のセグメンテーション、色または濃度変化等である。
図2は、本発明の実施例による肺潅流または肺密度の3D視覚化方法の動作を示すフローチャートである。図2に示すように、CT画像データは患者内の両肺からキャプチャされる(210)。このことは走査デバイス105、例えばCTスキャナを使用して実行される。CTスキャナは操作者コンソール115で操作され、患者の肺を走査して肺に関連する一連の2D断層画像を発生する。次に肺の2D断層画像は結合され、3D画像を形成する。肺以外にも、CT画像データは足、腕、脳、または血管を含む他の身体部分のいずれからでも獲得することができる。さらにMR画像データのような他の形式のデータも本発明で使用することができる。
CT画像データが獲得されると、両肺の実質組織の画像データがセグメント化される(220)。実質組織の画像データは従来のセグメンテーション技術を使用して行うことができる。この技術は例えば、セグメント化すべき対象物のエッジまたは輪郭を検出するか、または周囲画像の種々の領域を区別して、セグメント化された画像を同定する。画像データいったんセグメント化されれば、セグメント化された画像データの潅流マップが発生される(230)。
しかし潅流マップの発生に加えてこのステップで、セグメント化された画像データ内での画像データの関数を得ることができる。この関数は、セグメント化された領域のローカル情報に基づき、数値を出力するのに使用されるいずれかの関数とすることができる。例えば高応答値を所定のテクスチャに提供するフィルタ、例えばガボールフィルタを、所定のテクスチャをハイライトするためのマップ発生に使用することができる。さらにマップは、このような関数を組み合わせることにより発生することができ、例えば潅流マップをテクスチャフィルタの出力に沿って結合することにより新たなマップを作成することができる。
潅流マップはセグメント化画像を、平均演算子を使用して適応平滑化することによって発生される。次に潅流マップは色符号化された半透明3D容積としてレンダリングされる(240)。この例が図3の画像(a)に示されている。図3が示すように画像(a)はCTデータのオリジナル断層に潅流を視覚化してオーバーレイしたものである。画像(a)に示されているように、球310aは肺動脈塞栓の位置を示し、青い不透明パッチ320は実質組織内の低潅流エリアを示し、緑の半不透明パッチ330は平均潅流のエリアを示し、赤い透明パッチ340は高潅流エリアを示す。言い換えると、パッチ320は血流の欠けたエリアを示し、パッチ330は健康なエリアまたは通常の潅流エリアを示し、パッチ340は濃度の上昇したエリアまたは異常高潅流エリアを示す。
図3の画像(b)は、潅流レンダリングを行っていないCTデータのオリジナル断層である。言い換えると画像(b)は、医師によりマークされた肺動脈塞栓位置310bを伴う容積コンテクスト中のCTデータのオリジナル断層である。マークされた肺動脈塞栓の位置310bは肺動脈塞栓検出アルゴリズムにより得ることもできる。下に説明する図3と図4に示した画像は、オリジナルデータと色符号化データを単純にトグルすることによりワークステーションまたは操作者コンソールから医療従事者が得ることができる。
図4の画像(a)は、3D潅流マップをオーバーレイした潅流マップの2D像である。さらに図4の画像(b)はレンダリングトグルをオフにした3D像であり、潅流マップの側面を2Dで見る。図3と図4の画像から、肺の低潅流エリアの領域はもっとも不透明であり、視野に関係なく見ることができる。
従って医療従事者は、図5の画像(a)と(b)により示された肺の中の低潅流疑惑領域(例えば肺動脈塞栓により影響を受けた領域)を迅速に同定することができる。図5に示すように画像(a)は、患者に対するCTAの潅流マップを3D視覚化したものであり、この患者は肺動脈塞栓症に対してネガティブであることが、均質な潅流を指示するパッチ510により判明した。画像(b)は患者に対するCTAの潅流マップを3D視覚化したものであり、この患者は肺動脈塞栓症に対してポジティブであることが、低潅流を指示する不透明パッチ52と、高潅流を指示する透明パッチ530と、医師によりマークされた肺動脈塞栓により判明した。
潅流マップ計算を以下に詳細に説明する。詳細には潅流マップは、肺実質組織の局所周辺平均密度を検出することにより計算される。このことは、最初に肺実質組織をセグメント化し、次に局所平滑化を実行することにより行われる。
肺実質組織のセグメント化は3つのステップからなる。肺容積を胸部容積からセグメント化する;気道と血管を同定し、気道と血管構造をセグメンテーションから除去し、実質組織のマスクを作成する。肺容積セグメンテーションは高閾値領域成長を使用することにより実行することができ、気管内のシードポイントでスタートし、続いて形態学的終了を行う。次に基本閾値を使用して、セグメント化された肺容積内で空気ボクセルと血液ボクセルを同定することができる。例えば空気に対しては990HUの上側閾値を、血液に対しては300HUの下側閾値を使用することができる。気道と血管系を同定するために付加的セグメンテーション方法を使用して、精密にセグメント化することもできるが、このことは必要ない。なぜなら典型的には平滑化ステップが続くからである。
いったん、実質組織マスクが使用可能になれば、このマスクと一致するオリジナルCT容積の部分が適応的に平滑化される。どのような平滑化/平均化演算子でも、減算された空気/血液ボクセルが平滑化された実質組織に平均されない限り使用することができる。以下に説明する例では3Dグアシアンカーネルが平滑化演算子として使用される。
肺実質組織を平滑化し、潅流マップを作成するためのステップが例として図6に示されており、以下に説明する。最初に、オリジナルCT容積を1024HUによりシフトアップする。すなわち1024HUがゼロになる(605)。次にシフトされたCT容積を実質組織マスク(610)によりマスクし(615)、シフトされた実質組織画像を獲得する。ここではマスクの外にある画像中のすべての領域がゼロにセットされ、その他の領域はシフトされた値を維持する。次にグアシアン平滑化がシフトされた実質組織画像と実質組織マスクの両方で実行され、平滑化された実質組織画像(625)と平滑化された実質組織マスク(630)が作成される。
平滑化された実質組織マスクは端数値を、オリジナル実質組織マスクの2進値とは対照的に有する。端数値は特定のボルテックス平滑化値の何%がマスク内のボルテックスから、マスクの外にあるボルテックスとは対照的に得られたかを定義する。平滑化された実質組織マスクは、各ゼロ以外のエレメントを平滑化された実質組織マスク内の相応するエレメント値により割り算することによって等化され、マスクを備えるボルテックスからだけ得られたボルテックス値を含む画像を形成する。次に得られた画像はオリジナル実質組織マスクによりマスクされ、1024HUによりシフトダウンされ、これによりエレメント値は再びHUスケールに相応する(640)。
さらに医療従事者が低潅流の疑惑領域を同定することができるようにするため、潅流マップのヒストグラムまたはマルチ潅流マップを使用して、患者に肺動脈塞栓が存在するか否かを決定し、どのタイプの肺動脈塞栓が存在するか分類するのを支援し、また患者が水腫または肺炎のような他の条件を有しているか否かを決定することができる。図7は、本発明の実施例による肺潅流の分析方法のフローチャートである。
図7に示されているように、上記技術による潅流マップの作成後(710)に、患者に対して種々のヒストグラムが作成される(720)。ヒストグラムを作成し、分析する前に、カラーマップがレンダリングされた潅流マップの値を色付けするため使用される。図8にはカラーマップが例として示されている。図8に示された色スキームによれば、通常の潅流は緑により、減少した潅流は青により、高潅流は赤により示される。-800HUの中央値が示されており、この例でこの中央値は患者間の互換性と患者内でカラーマップを利用するためとの妥協により選択された。
カラーマップは相互に平行移動することができ、また100HUの幅を有するよう設定することができる。また-900HUを中心にするようにウィンドを変化することができる。これは低潅流のエリアを区別するためである。または-600HUを中心に設定し、高潅流のエリアを区別することもできる。さらに中心とウィンド値を、ヒストグラム分析から導出された値に基づいて適応的に設定することができる。
カラーマップにより定義された設定を使用することで、潅流マップの正確な線形不透明マップを作成することができる。図9の線図(a)には例として線形不透明マップが示されている。線図(a)に示されるように、減衰された潅流エリアは他の実質組織部分よりも実質的により不透明に示されている。言い換えると、近似的に-1000HUから-900HUまでのエリアは3D潅流レンダリング画像中で非常に不透明である。このマッピングは医療従事者によりインタラクティブに調整することができる。
択一的に、不透明マップは減衰潅流のエリアをハイライトし、異常高密度または異常潅流の実質組織エリアをもっともハイライトして発生することができる。このような不透明マップの例が図9の画像(b)に示されている。このようなマップは、極端に高潅流のエリアが不透明であり、これらはしばしば肺中に圧縮が存在するような問題領域であることから作成される。容積レンダリングが潅流マップをレンダリングするために使用されるから、不透明値とカラー値は途中で調整することができる。さらにこれらの値を検出するのに手動または自動技術を使用することもできる。
不透明マップを作成した後、潅流のヒストグラムを作成し、分析することができる。ヒストグラムの分析では、肺動脈塞栓に対してネガティブな患者は広がりの小さいほぼ対称な実質組織濃度分布を有する傾向があり、従ってその第2および第3のモーメントにより特徴付けられる。さらに肺動脈塞栓ネガティブヒストグラムの最大値は典型的には制限されたUHレンジ内に位置する。肺動脈塞栓に対してネガティブな患者に対するヒストグラムの例が図10の線図(a)に示されている。
ヒストグラムのさらなる分析および/またはヒストグラムからの統計的抽出で、急性の肺動脈塞栓を慢性の肺動脈塞栓から区別することができる。このことが可能であるのは、慢性の肺動脈塞栓の潅流分布は広がりが大きく、極端に非対称だからである。これはモザイク減衰の特徴的パターンによるものである。このことを説明するために、急性肺動脈塞栓症、急性肺動脈塞栓症、および水腫または肺炎を伴う肺動脈塞栓症の患者のヒストグラムが例として図10の線図(b)および図11の線図(a)と(b)にそれぞれ示されている。
上記のデータを使用して、肺動脈塞栓ポジティブとネガティブのケースをそれぞれ別のケースから区別することができ(730)、水腫、急性および慢性肺動脈塞栓症のような条件を同定することができる(740)。水腫、急性および慢性肺動脈塞栓症のような条件がどのように同定されるかの例が図12の線図に示されている。散乱したプロットは、ヒストグラム最大値のHU値と潅流マップの分散との関係により各患者に対して形成された。とりわけ図12は19人の患者に対する散乱プロットを示すものであり、IV造影剤を投与した後のCTによる評価で肺動脈塞栓症の可能性が指摘された。CTデータセットは熟練した胸部X線技師により評価された。
図12に示されるように患者のうち17人が多発性肺動脈塞栓症と診断され、二人が肺動脈塞栓症に対してネガティブであった。多発性肺動脈塞栓症の患者は2から28の塞栓を有し、中央値は13であった。例えば図12の凡例では、3人の患者が慢性肺動脈塞栓症と診断された。しかし3人の患者のうち2人だけがモザイク減衰を有しており、これは慢性肺動脈塞栓症と関連した長期間の潅流不足によるものである。図12ではさらに、患者を4つのグループに分類できることが分かる。肺動脈塞栓症(PE)ネガティブ;PEポジティブ急性;PEポジティブ慢性;PEポジティブに加えて肺疾患;である。図10と11のヒストグラムはこの4つのグループに対応し、その分析により相応に分類することができる。
本発明の実施例に相応して、実質組織の潅流マップは色符号化された半透明3D容積としてレンダリングされ、ここでは異常潅流不足の領域が比較的不透明にレンダリングされる。このことは、異常肺潅流に対する疑惑領域を、その視点および視野に依存しないで迅速に同定することを促進する。さらに統計的フューチャを潅流マップから抽出することによりこれらのフューチャを、肺動脈塞栓症の患者をそうでない患者から区別するのに使用することができる。例えば通常は慢性肺動脈塞栓症により引き起こされるモザイク減衰を同定することにより、慢性肺動脈塞栓症を急性肺動脈塞栓症から区別することができる。さらにこれらのフューチャは肺潅流または肺密度における異常性を区別するのに使用することができるから、患者が水腫または他のびまん性肺疾患のような付加的な条件を有しているか否かを同定するのに使用することができる。
さらに本発明は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、専用プロセッサ、またはそれらの組み合わせの形態で実現することができる。1つの実施例で本発明は、アプリケーションプログラムとしてソフトウエアの形態で、プログラム記憶媒体(例えば磁気ディスク、RAM、CD ROM、DVD ROM、およびフラッシュメモリ)に具現することができる。アプリケーションプログラムはアップロードし、適切なアーキテクチャを備えるマシンにより実行することができる。
さらに構成システムコンポーネントおよび方法ステップをソフトウエアの形態で実現できるから、システムコンポーネント(または方法ステップ)間の実際のコネクションは本発明がプログラムされる様式に依存して変化することができる。
本発明の実施例による肺潅流または肺密度の3D視覚化システムのブロック回路図である。 本発明の実施例による肺潅流または肺密度の3D視覚化方法を説明するフローチャートである。 CT断層データをレンダリングした潅流と、レンダリングしないCTデータを示す画像である。 図3の断層を3Dレンダリングした潅流マップの画像と、レンダリングしたに図3の断層の潅流マップの画像である。 肺動脈塞栓症がネガティブな患者と肺動脈塞栓症がポジティブな患者の潅流マップを3D視覚化した画像である。 潅流マップを作成するために肺実質組織を平滑化する方法を示すフローチャートである。 肺潅流または肺密度を分析するための方法を示すフローチャートである。 肺潅流視覚化のためのカラーマップを示す図である。 肺潅流視覚化のための不透明マップと、水腫を伴う肺潅流視覚化のための不透明マップを示す図である。 肺動脈塞栓症がネガティブな患者と肺動脈塞栓症がポジティブな患者に対する潅流マップのヒストグラムを示す図である。 慢性肺動脈塞栓症の患者と水腫肺の患者の潅流マップのヒストグラムを示す図である。 ヒストグラム最大値のハウンスフィールド(HU)値と潅流マップの分散との関係を複数の患者について示す散乱プロット図であり、患者は所定の疾患カテゴリーに分類される。

Claims (29)

  1. 両肺の3D視覚化方法であって、
    両肺と肺実質組織の画像データをセグメント化し、
    3Dマップをセグメント化した画像データの関数として作成し、
    3Dマップを色符号化された半透明3D容積としてレンダリングし、
    不透明領域が対象エリアをハイライトする、ことを特徴とする方法。
  2. 請求項1記載の方法において、3Dマップは潅流マップまたは密度マップである。
  3. 請求項1記載の方法において、3Dマップは適応平滑化またはテクスチャフィルタリグによって作成する。
  4. 請求項1記載の方法において、対象エリアは異常潅流または異常密度の領域を指示する。
  5. 請求項4記載の方法において、異常潅流領域は塞栓によるものである。
  6. 請求項1記載の方法において、レンダリングされた3Dマップのヒストグラムを作成し、
    該ヒストグラムが塞栓の存在を指示するか否かを決定する。
  7. 請求項6記載の方法において、塞栓を急性または慢性として分類する。
  8. 肺潅流を3D視覚化する方法であって、
    肺実質組織の画像データをセグメント化し、
    セグメント化された画像データの潅流マップを作成し、
    潅流マップを色符号化された半透明3D容積としてレンダリングし、
    潅流の不透明領域が可視である、ことを特徴とする方法。
  9. 請求項8記載の方法において、セグメント化された画像データの潅流マップを作成するステップでは、
    肺実質組織をセグメント化し、
    局所平滑化を実行し、
    肺実質組織の局所周辺平均密度を決定する。
  10. 請求項9記載の方法において、肺実質組織をセグメント化するステップでは、
    両肺の容積を胸部容積からセグメント化し、
    気道と血管をセグメント化された肺容積内で同定し、
    肺実質組織のマスクを、気道と血管構造をセグメント化された肺容積から除去することによって作成する。
  11. 請求項10記載の方法において、局所平滑化を実行するステップでは、
    画像データをシフトし、
    シフトされた画像データを実質組織マスクによりマスキングして、実質組織画像を獲得し、
    グアシアン平滑化を実質組織マスクと実質組織画像で実行して、平滑化された実質組織マスクと実質組織画像を獲得し、
    平滑化された実質組織画像を実質組織マスクによりマスキングし、
    マスクされ、平滑化された実質組織画像を等化し、
    等化された画像をシフトして、潅流マップを作成する。
  12. 請求項8記載の方法において、潅流の可視領域は肺動脈塞栓またはびまん性肺疾患の指標である。
  13. 請求項8記載の方法において、画像データはCT、ヘリカルCT、またはMR画像技術を使用して獲得する。
  14. 請求項8記載の方法において、カラーマップを調整して、対象領域エリアの高密度領域を観察する。
  15. 請求項8記載の方法において、潅流の可視領域は、低潅流、高潅流または異常潅流の1つである。
  16. 両肺を3D視覚化するためのシステムであって、
    プログラムを格納するためのメモリデバイスと、
    該メモリデバイスと通信するプロセッサとを有し、
    該プロセッサはプログラムにより、
    両肺と肺実質組織の画像データをセグメント化し、
    3Dマップをセグメント化した画像データの関数として作成し、
    3Dマップを色符号化された半透明3D容積としてレンダリングし、
    不透明領域が対象エリアをハイライトするように動作する、ことを特徴とするシステム。
  17. 請求項16記載のシステムにおいて、3D真プは潅流マップまたは密度マップである。
  18. 請求項16記載のシステムにおいて、対象エリアは異常潅流または異常密度の領域を指示する。
  19. 請求項18記載のシステムにおいて、異常潅流は塞栓によるものである。
  20. 請求項16記載のシステムにおいて、プロセッサはさらにプログラムコードによって、
    レンダリングされた3Dマップのヒストグラムを作成し、
    該ヒストグラムが塞栓の存在を指示するか否かを決定するように動作する。
  21. 請求項20記載のシステムにおいて、プロセッサはさらにプログラムコードによって、
    塞栓を急性または慢性に分類するように動作する。
  22. 肺潅流を3D視覚化するためのシステムであって、
    プログラムを格納するためのメモリデバイスと、
    該メモリデバイスと通信するプロセッサとを有し、
    該プロセッサはプログラムにより、
    肺実質組織の画像データをセグメント化し、
    セグメント化された画像データの潅流マップを作成し、
    潅流マップを色符号化された半透明3D容積としてレンダリングし、
    潅流の不透明領域が可視であるように動作する、ことを特徴とするシステム。
  23. 請求項22記載のシステムにおいて、セグメント化された画像データの潅流マップを作成する際にプロセッサはさらにプログラムコードによって、
    肺実質組織をセグメント化し、
    局所平滑化を実行し、
    肺実質組織の局所周辺平均密度を決定するように動作する。
  24. 請求項23記載のシステムにおいて、肺実質組織をセグメント化する際にプロセッサはさらにプログラムコードによって、
    両肺の容積を胸部容積からセグメント化し、
    セグメント化された肺容積内に気道と血管を同定し、
    肺実質組織のマスクを、気道と血管構造をセグメント化された肺容積から除去することによって作成するよう動作する。
  25. 請求項24記載のシステムにおいて、局所平滑化を実行する際にプロセッサはさらにプログラムコードによって、
    画像データをシフトし、
    シフトされた画像データを実質組織マスクによってマスキングして、実質組織画像を獲得し、
    グアシアン平滑化を実質組織マスクと実質組織画像上で実行して、平滑化された実質組織マスクと実質組織画像を獲得し、
    平滑化された実質組織画像を実質組織マスクによりマスキングし、
    マスクされ、平滑化された実質組織画像を等化し、
    等化された画像をシフトして潅流マップを作成するように動作する。
  26. 請求項22記載のシステムにおいて、潅流の可視領域は肺動脈塞栓症またはびまん性肺疾患の指標である。
  27. 請求項22記載のシステムにおいて、画像データはCT、ヘリカルCT、またはMR画像技術の1つを使用して獲得される。
  28. 請求項22記載のシステムにおいて、プロセッサはさらにプログラムコードにより、カラーマップを調整して、対象エリアの高密度領域を観察するように動作する。
  29. 請求項22記載のシステムにおいて、潅流の可視領域は、低潅流、高潅流または異常潅流の1つである。
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