JP2006051147A - 医療用刃物 - Google Patents

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Abstract

【課題】鏡視下での手術を行う刃物であって、反射光を少なくすると共に切れ味の良さを確保する。
【解決手段】刃物は、少なくとも一部が乱反射加工された面8を有し鏡視下で使用する医療用刃物であって、乱反射加工された面の算術平均粗さRaが0.02マイクロメートル以上0.3マイクロメートル以下で、且つ凹凸の平均間隔Smに対する算術平均粗さRaの割合Ra/Smが0.005以上0.015以下である。
【選択図】 図4

Description

本発明は、顕微鏡下或いは内視鏡下等の鏡視下で手術を行う際に、患部に対する照明を乱反射させることで医師に眩しさを感じさせないようにすると共に切れ味を損なうことのないようにした医療用刃物に関するものである。
最近の外科手術、特に眼科手術、脳外科手術等は極めて微細化しており、顕微鏡或いは内視鏡等によって術野を拡大して観察しながら手術することが多くなって来ている。このように、鏡視下で手術する場合、患部に照射した照明光が手術器具類によって反射して患部が見えにくくなり、手術の進行が困難になったり、医師の疲労を進行させるという問題が生じている。特に、手術器具類がステンレス鋼等によって形成されている場合、照明の反射の問題が顕著に生じる。
上記問題を解決するために、全表面を非反射面とすることで医師による患部の観察を容易にし得るようにしたナイフが提供されている。非反射面の構成は反射する光を抑えることが可能であれば良く、幾つかの処理方法があるが、サンドブラスト処理、化学処理等を施すことによって表面に微細な凹凸を形成するのが一般的である。
表面に微細な凹凸を形成したナイフでは、該ナイフを生体組織に刺入した際或いは該ナイフで生体組織を切開した際に凹凸を形成した面と生体組織との摩擦が大きくなり、刺通抵抗が増大するという問題や、凹凸がエッジにも形成されてしまうことで、生体組織を切り開く鋭さがなくなってしまい、切れ味が劣化してしまうという問題が生じる。切れ味が劣化すると、医師は組織を切開する際にストレスを感じ、余計な力が入ってしまったりして微細な操作が出来ないため、医師のイメージ通りの切開創、即ち切開創が自身で閉鎖することが出来る自己閉鎖性を持った切開創が形成しにくくなるという問題を派生する。
上記の如き問題を解決するために、鏡視下の手術に使用するナイフ類の視野に入る表面を、反射防止処理した部分と、反射防止処理しない部分と、を設けた外科用ナイフが提案されている(例えば特許文献1参照)。この外科用ナイフ類では、周辺に設けたエッジの下面側はエッジを構成する斜面以外の全表面に反射防止処理が施されており、エッジの上面側はエッジを構成する斜面と、その内側に、エッジを構成する斜面に沿って形成された粗削り面があり、粗削り面の内側とその後方に連なる中央平面が反射防止処理の施された表面となっている。
特開2001−57980号公報
上記特許文献1の技術では、ナイフ類の反射面はエッジを構成する斜面のみになり、該エッジを構成する斜面以外の面からの反射光がなくなるため、患部を切開する際に生じる反射光が少なくなり医師に対する負担を少なくすることが出来る。しかし、このようなナイフ類であっても未だ完全なものではなく、反射光が少なく且つ切れ味の良い医療用刃物の開発が要求されている。
例えば特許文献1に記載したナイフを基本的な構造として、非反射性能を確保するために凹凸を大きくすると、全体としての切れ味が低下する、という問題が生じている。これはエッジに凹凸を形成することなく該エッジ自体の切れ味を確保した場合であっても、上表面の凹凸部分と生体組織との摩擦が増加してすべり性能が低下することに起因している。また凹凸をあまりに小さくすると非反射性能が劣化してしまい、反射光を減少させるという初期の目的を達成し得なくなるという問題が生じる。
一方、非反射という概念は、光学機器やビルの外壁などでは一般的になっており、これらに用いる材料や形状も古くから研究されている。しかし、医療用の刃物のように、極めて微小な幅寸法を持つエッジ(約0.3μm〜約1.0μm程度)以外の部位を非反射面とし、且つ刃物の凹凸表面と生体組織との摩擦の研究等により刃物としての切れ味を保証し得るような開発はなされていないのが実情である。
本発明の目的は、鏡視下での手術を行う際に、反射光を少なくすると共に切れ味の良さを確保することが出来る医療用刃物を提供することにある。
本件発明者等は、鏡視下で使用し、生体組織を切開し或いは刺し通すような刃物の開発を行っている。そして種々の実験を行う中で、照明の反射を防止するために無数の凹凸を形成した乱反射面を有する刃物に於いて、刃物と生体組織との摩擦抵抗を小さくする(切れ味を向上する)には凹凸の平均値を小さくすることが必要であること、凹凸の間隔は該凹凸面の傾斜の度合いに影響を与えるため、凹凸の間隔を大きくすると傾斜が小さくなって反射に悪影響を与える虞が生じること、の知見を得た。
上記の如き知見から、凹凸の平均的な粗さと、凹凸の平均的な間隔との間に、切れ味と反射光との調和をはかることが可能な範囲が存在するはずであるとの考え方に基づいて追求した結果、本発明をなすに至ったのである。
従って、本発明に係る医療用刃物は、少なくとも一部が乱反射加工された面を有し鏡視下で使用する医療用刃物であって、乱反射加工された面の算術平均粗さが0.02マイクロメートル以上0.3マイクロメートル以下で、且つ凹凸の平均間隔に対する算術平均粗さの割合が0.005以上0.015以下であることを特徴とするものである。
上記医療用刃物では、鏡視下の手術の際に患部に照射される照明の医師に対する反射光を減少させることが出来、且つ切れ味を確保することが出来る。特に、乱反射面に形成された凹凸の平均粗さの範囲が設定されると共に、凹凸の平均間隔に対する平均粗さの割合の範囲が設定されるため、異なる医療用刃物であっても略同じ切れ味、即ち生体組織との摩擦抵抗と、反射を確保することが出来る。
以下、本発明に係る医療用刃物(以下、単に「刃物」という)の最も好ましい実施形態について説明する。本発明に係る刃物は、切れ味を、表面に非反射処理を施していない刃物の切れ味にまで近づけ、反射光に起因する使い難さを、全表面に非反射処理を施した刃物の使い易さにまで近づけることを実現したものである。即ち、刃物に非反射処理を施すことに伴う切れ味の劣化と、反射光の減少に伴う使い易さの向上と、を調和させることによって、切れ味を確保すると共に反射光を少なくして使い易さを確保したものである。
このため、本発明に係る刃物は、少なくとも一部が乱反射面として形成された面を有しており、該乱反射面の凹凸を厳密に管理することによって、手術の際に患部に照射された照明光の刃物からの反射光を減少させることで、医師が感じる眩しさを軽減させて手術の進行を容易にし、且つ患部に於ける生体組織との摩擦抵抗の増加を抑えることで切れ味を損なうことのないようにしたものである。
本発明に於いては、手術の際に鏡視下で用いられる全ての刃物を対象としている。即ち、脳外科手術,眼科手術等のように、照明された患部を医師が顕微鏡を利用して術野を拡大して観察しつつ手術を行う際に用いるナイフ類及び縫合に用いる刃付縫合針類、或いは患部の近傍にまで挿入された内視鏡のファイバーライトで患部を照明しファイバースコープ,モニターによって術野を観察しつつ手術を行う際に用いるナイフや鋏類及び縫合に用いる刃付縫合針類を含む刃物を対象としている。
上記の如く、本発明に於ける刃物とは、ナイフやメスのように生体組織を切開する機能のみを対象とするものではなく、生体組織を切り取る機能を有するものや生体組織を刺し通す機能を有するものも対象としている。即ち、照明された患部を顕微鏡や内視鏡等の鏡視下で観察しつつ、医師に操作されて生体組織を切開し、切り取り、刺し通す機能を持った刃物であれば、形状や種類を問うことなく適用することが可能である。
刃物を構成する材料は特に限定するものではない。しかし、照明光の反射が問題となるため、白色の表面を有する材料からなる刃物に適用することが好ましい。このような材料としては、ステンレス鋼や炭素鋼等の鉄系金属があるが、錆の発生がないオーステナイト系ステンレス鋼や、焼き入れによって所望の硬度を得られるマルテンサイト系ステンレス鋼であると好ましい。
また本発明の刃物に形成される乱反射面は該刃物の少なくとも一部であれば良く、該乱反射面の刃物の表面に於ける位置や面積を限定するものではない。従って、乱反射面は刃物の全表面にわたって形成されていても良い。特に、刃物のエッジをも乱反射面とすることによって反射光のさらなる低減を実現することが可能となり、且つ管理された凹凸により切れ味を確保することが可能となる。
乱反射面は微細な且つ無数の凹凸によって形成される。この凹凸を形成する方法は特に限定するものではなく、サンドブラスト法或いはプレス法、更に、電解研磨法や化学研磨法を選択的に利用することが可能である。
例えばサンドブラスト法を採用する場合、ブラスト材としてグリーンカーボランダム(GC)、カーボランダム(C)、ホワイトアランダム(WA)、アランダム(A)等を選択して利用することが好ましい。また砥粒の粒度は600番〜1500番程度の中から選択することが好ましい。
またプレス法を採用する場合、予め成形型の表面に目的の凹凸を形成しておき、この凹凸形状を素材に転写して乱反射面を形成することが可能である。成形型に凹凸を形成する方法は特に限定するものではない。尚、マルテンサイト系ステンレス鋼の場合、素材が軟らかい状態である焼き入れ前に、凹凸形状を転写することが望ましい。
また刃物を製造する過程で何れの工程で乱反射面の加工を行うかは限定するものではない。例えば、素材に対する粗成形をした後、乱反射面加工を行い、その後、エッジの研磨,バリ取り用の電解処理を行って良く、エッジを研磨した後、乱反射面の加工と電解処理を行うことも可能である。
本発明では、乱反射面に於ける凹凸の算術平均粗さ、及び凹凸の平均間隔を管理することが必要である。乱反射面の加工工程を何れの過程で行うとしても、後工程に於ける乱反射面に対する素材の排除の有無を考慮しておくことが必要である。例えば、乱反射面の加工をサンドブラスト法で行い、仕上工程として化学研磨或いは電解研磨を行うような場合、サンドブラスト処理を行う際の凹凸の状態を、これらの研磨処理を施す際の加工量を予め見込んでおくことが必要である。
本発明に於いて、乱反射加工された面の算術平均粗さ、及び凹凸の平均間隔とは、「JIS B 0601 表面粗さー定義及び表示」に於いて定義され且つ規定されたものをいう。
即ち、算術平均粗さRa(以下、単に「Ra」という)は、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸をとり、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、該式の基準長さlに対応する部分を積分した絶対値を前記基準長さlで除した値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
また凹凸の平均間隔Sm(以下、単に「Sm」という)は、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さ分だけ抜き取り、この抜き取り部分において一つの山及びそれに隣り合う一つの谷に対応する平均線の長さの和(凹凸の間隔)を求め、この多数の凹凸の間隔の算術平均値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
本発明に於いて、乱反射面のRaは0.02μm以上0.3μm以下の範囲にあり、且つRa/Smの値は0.005以上0.015以下の範囲にあることが必要である。前記範囲は本件発明者等の実験と、実際に使用した医師に対する追跡調査で求めたものであり、Raの値が前記範囲よりも大きくなると、患部を手術する際に刺通抵抗が大きくなって医師の疲労が増大する虞があり、且つRa/Smの値が前記範囲よりも小さくなると反射が大きくなって医師に眩しさを感じさせて疲労を増大させる虞がある。同様にRaの値が前記範囲よりも小さくなると刺通抵抗が小さくなるものの反射が大きくなる虞があり、且つRa/Smの値が前記範囲よりも大きくなると反射が小さくなるものの刺通抵抗が大きくなって医師の疲労を増大させる虞がある。
以下、刃物の幾つかの実験例に基づく刃物A〜Eについて説明し、合わせて本発明の刃物を得るに至った過程を説明する。尚、以下説明する実験例1〜5に於いて、刃物は、刺通抵抗や光の反射率を測定して切れ味や反射について判定するために、全体の形状や寸法を同一のものとしている。
図1,2に示す刃物は、各実験例1〜5を対象とするものであり、眼科手術の際に用いられるナイフとして形成されている。以下の説明では、刃物として眼科用のナイフを用いているが、前述したように、本発明に係る刃物は、鏡視下で用いられるナイフや鋏或いは縫合針を含む全ての刃物を対象とするものである。
図に於いて、刃物は、刃部1と、刃部1に連続して形成されたシャンク部2を有している。刃部1の先端は鋭い尖端4として形成されており、該尖端4から刃部1の外縁に沿って切刃としての機能を持ったエッジ3が形成されている。刃部1の外縁に沿って形成されたエッジ3を結ぶ線5の上部側と下部側には夫々複数の面が形成されている。即ち、エッジ3の上部側には斜面6,7と平面8が形成されており、エッジ3の下部側には斜面10と平面11が形成されている。
エッジ3の上部側の斜面6,7、及びエッジ3の下部側の斜面10,平面11は。夫々滑らかな面として形成されている。また実験例2〜5の刃物では、平面8には無数の凹凸9が形成され、これにより、乱反射面8として形成されている。また実験例1の刃物では、平面8も他の面6,7,10,11と同様に滑らかな面として形成されている。
乱反射面8に無数の凹凸9を形成する方法はサンドブラスト法を採用し、ブラスト材としてシリコン系グリーンカーボランダム600番〜1500番を選択的に用い、噴射圧を可変させて吹き付けることで行った。この方法では、ブラスト材の番手、噴射圧を種々設定することで、乱反射面8に形成する凹凸9の形状を変化させることが可能である。
実験例1〜5の刃物に於ける平面8又は乱反射面8に形成した凹凸9の平均粗さRaと、凹凸9の平均間隔Smを測定するに際し、測定装置はテーラーホブソン社製のフォームタリサーフS6を用い、測定条件としては、データ長さが6mm、測定速度が0.5mm/sec 、解析条件としては、基準長さlが0.08mm、評価長さが0.4mm、カットオフ値が0.08mm、フィルタがガウシアンとしている。これらの条件はJIS B 0601の規定に基づいている。
上記の如く設定されたカットオフ値はJISで規定された値の中で最も小さい。このため、刃物を加工する際のプレス加工や砥石による研削加工に伴って生じるウネリの影響を排除することが可能である。即ち、本発明でいう表面の凹凸レベルは前記ウネリのレベルと比較して非常に細かく、本発明の凹凸レベルであって初めて生体組織との摩擦に影響を与えるため、プレス加工や研削加工等に伴って生じるウネリは乱反射面9の凹凸の評価から排除している。
また各実験例1〜5の刃物に於ける平面8又は乱反射面8の反射率をレーザ反射測定装置(キーエンス製、LX2−100TやLV−H32等)で測定した。また各実験例1〜5に係る刃物を、照明を最大付近に設定した顕微鏡下で使用したときに眩しく感じるか、眩しくとも充分に耐え得るかを確認した。この確認は実際に使用した複数の医師の追跡調査でも行った。
更に、各実験例1〜5の刃物を用いて刺通抵抗を測定した。この実験は、刃物の尖端4を豚の角膜に刺し通す際の、深さと抵抗値を測定することで行った。尚、測定装置は自社製のものを利用した。
以下、各実験例1〜5の刃物について、Ra,Smの測定データ、反射率の測定データを示す図3、刺通抵抗の測定結果を示す図4を用いて説明する。
実験例1となる刃物Aは、平面8を含む全ての面に凹凸を形成することなく、滑らかな面としたものである。
実験例1の刃物Aに於いて、平面8のRaは0.0070μm(0.02μm以上0.3μm以下の範囲よりも小さい)、Smは17.80μmであり、Ra/Smの値は0.00039(0.005以上0.015以下の範囲よりも小さい)であった。また反射率は48.0%であった。刃物Aによる刺通抵抗値(豚の角膜を刺し通す際の最大の力、切味のピーク値(mmN))は102であった。このように、実験例1の刃物Aでは、Raが小さく、Smが大きくなっている。これは反射が大きい表面の特徴であり、反射率は48.0%と極めて大きい。このような反射率を持った実験例1に係る刃物Aを顕微鏡下で使用したところ、非常に眩しさを感じ、手術の進行に伴う疲労が大きかった。
また実験例1の刃物Aによる刺通抵抗は102mmNと小さい値を示した。刃物Aによる刺通抵抗のピークは刺通距離が約31mm程度で発生しており、刺通距離が約60mm程度で急激に減衰している。即ち、刃物Aでは、刺通抵抗がピーク値を示す瞬間に尖端4が豚の角膜を刺し通し、その後、エッジ3の切れ味のみに影響を受けて略一定の刺通抵抗値を保持する。このような刺通抵抗の傾向を持った刃物Aは、医師が切れ味が良い、として推奨するものである。
従って、実験例1の刃物Aの刺通抵抗の曲線と略等しい値と傾向を持つ刃物では切れ味が良い、と認識することが可能であり、切れ味の性能を確保し得るものとして良い。また刃物Aと等しい反射率では、反射性能は劣悪であり、この値よりも充分に小さい反射率を持った刃物とすることが必要となる。
次に実験例2に係る刃物Bは、前述の実験例1の刃物Aと同一の形状を寸法を持って形成されており、刃物Aが平面8が滑らかな面として形成されていたものが、刃物Bでは乱反射面8として形成されている。
実験例2の刃物Bに於ける乱反射面8のRaは0.0222μm(0.02μm以上0.3μm以下の範囲に入っている)であり、Smは9.75μmである。従って、Ra/Smの値は0.00228(0.005以上0.015以下の範囲よりも小さい)となる。この刃物Bの反射率は26.0%であり、刺通抵抗のピーク値は98mmNであった。
実験例2の刃物Bは依然として高い反射率を呈しており、該刃物Bを顕微鏡下で使用したとき、医師は眩しさを訴え、手術の進行に伴う疲労が生じた。また刺通抵抗のピーク値は98mmNと小さく、乱反射面8を形成したのにも関わらず、良好な切れ味を示している。しかし、この刃物Bでは、医師は切れ味が良いと推奨し得るものの、反射の点で難があるとされた。
次に、実験例3に係る刃物Cは、乱反射面8のRaが0.0385μm(0.02μm以上0.3μm以下の範囲に入っている)であり、Smは6.65μmである。従って、Ra/Smの値は0.00579(0.005以上0.015以下の範囲に入っている)となる。この刃物Cの反射率は3.7%であり、刺通抵抗のピーク値は98mmNであった。
実験例3の刃物Cに於ける反射率は前述の刃物A,Bと比較して著しく減少しており、該刃物Cを顕微鏡下で使用した医師は眩しさについての不具合を訴えることはなかった。また刺通抵抗のピーク値も低く、刺通距離の変化に伴う刺通抵抗の変化の傾向も刃物Aと略類似している。即ち、刃物Cは、何ら乱反射面を有することのない刃物Aと略同じ切れ味を発揮することが可能であった。
この実験例3に係る刃物Cは、実際の使用に際して医師から高い評価を得た。
次に、実験例4に係る刃物Dは、乱反射面8のRaが0.0840μm(0.02μm以上0.3μm以下の範囲に入っている)であり、Smは8.32μmである。従って、Ra/Smの値は0.01010(0.005以上0.015以下の範囲に入っている)となる。この刃物Dの反射率は0.9%であり、刺通抵抗のピーク値は106mmNであった。
実験例4の刃物Dに於ける反射率は前述の刃物Cと比較しても減少しており、該刃物Dを顕微鏡下で使用した医師は眩しさについて良好な評価を下している。また刺通抵抗のピーク値は僅かに高くなっている。この僅かな刺通抵抗値の上昇は、非常に熟練した医師が感じとることが可能であったが、実際の手術に際して支障が生じる程度の範囲ではないとの感触を得ている。
特に、実験例4の刃物Dでは反射率が極端に小さくなっているため、刺通抵抗が多少上昇しても、眩しさが減少したことの評価が大きい。更に、刺通抵抗の値が上昇しているものの、刺通距離の変化に伴う刺通抵抗の変化の傾向も、何ら乱反射面を有することのない刃物Aと略類似しており、安定した感触で使用することが可能であった。
次に、実験例5に係る刃物Eは、乱反射面8のRaが0.3535μm(0.02μm以上0.3μm以下の範囲よりも大きい)であり、Smは18.72μmである。従って、Ra/Smの値は0.01888(0.005以上0.015以下の範囲よりも大きい)となる。この刃物Eの反射率は0.1%であり、刺通抵抗のピーク値は133mmNであった。
実験例5の刃物Eに於ける反射率は前述の各刃物A〜Dと比較して最も小さく、該刃物Eを顕微鏡下で使用した医師は殆ど眩しさを感じていない。また刺通抵抗のピーク値は最も高くなっている。この刺通抵抗値の上昇は、医師に抵抗を感じさせることとなり、長い使用では疲労が生じる。しかし、実際の手術に際して全く使用し得ないということはないとの感触を得ている。
上記した実験例1〜5は本件発明者等が行った実験の中の代表的なものであり、そしてこれらの実験の結果、乱反射加工された面8の算術平均粗さRaを0.02μm以上0.3μm以下の範囲とし、且つRaに対する算術平均粗さSmの割合が0.005以上0.015以下の範囲とする本発明の刃物を得るに至ったのである。
本発明の刃物は、顕微鏡や内視鏡を利用して術野を拡大観察しつつ行う手術に用いる全ての刃物として利用することが可能である。
刃物の構成を説明する平面図である。 図1の正面図である。 実験例1〜5の刃物A〜Eの測定データを示す図である。 実験例1〜5の刃物A〜Eの刺通抵抗の測定データを示す図である。
符号の説明
A〜E 刃物
1 刃部
2 シャンク部
3 エッジ
4 尖端
5 線
6,7,10 斜面
8 平面,乱反射面
9 凹凸
11 平面

Claims (1)

  1. 少なくとも一部が乱反射加工された面を有し鏡視下で使用する医療用刃物であって、乱反射加工された面の算術平均粗さが0.02マイクロメートル以上0.3マイクロメートル以下で、且つ凹凸の平均間隔に対する算術平均粗さの割合が0.005以上0.015以下であることを特徴とする医療用刃物。
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