JP2006049210A - メタルハライドランプおよびそれを用いた照明装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部に一対の電極21が配置され、かつ金属ハロゲン化物が封入されているとともに、外囲器19が透光性セラミックからなる発光管5を備え、金属ハロゲン化物としてハロゲン化ディスプロシウム、ハロゲン化ツリウム、ハロゲン化ホルミウム、ハロゲン化セリウムおよびハロゲン化プラセオジウムのうち少なくとも一種の希土類金属のハロゲン化物と、ハロゲン化ナトリウムと、ヨウ化マグネシウムおよび臭化マグネシウムのうちの少なくとも一つからなるハロゲン化マグネシウムとを含む調光点灯用のメタルハライドランプであって、最高ランプ電力P(W)が70W〜250Wの範囲において、金属ハロゲン化物の総封入量をA(mg)、金属ハロゲン化物に対するハロゲン化マグネシウムの封入比率をB(mol%)としたとき、0.0345A+0.0028B<0.00115P+0.0475、A≧0.021P+0.313、かつB≧10.0なる関係式をそれぞれ満たす。
【選択図】図2
Description
なお、外囲器は、内部に一対の電極が配置された本管部と、この本管部の両端部に形成され、かつ先端部に前記電極を有する給電体が内部に挿入されている細管部とを備えている。
なお、ヨウ化マグネシウムの封入量は、金属ハロゲン化物の全モル量に対して5%〜50%になるように調整した。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、特に金属ハロゲン化物として、ハロゲン化ディスプロシウム、ハロゲン化ツリウム、ハロゲン化ホルミウム、ハロゲン化セリウムおよびハロゲン化プラセオジウムのうち少なくとも一種の希土類金属のハロゲン化物と、ハロゲン化ナトリウムと、ヨウ化マグネシウムおよび臭化マグネシウムのうちの少なくとも一つからなるハロゲン化マグネシウムとを含む調光点灯用のメタルハライドランプにおいて、所望の色特性を得つつ、細管部に発生するクラックに起因して発光管がリークし、不点灯になるのを防止することができるメタルハライドランプおよびそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
また、本発明の照明装置は、上記したメタルハライドランプが照明器具に組み込まれている構成を有している。
本発明は、所望の色特性を得ることができ、またランプの不点灯の発生確率が小さい照明装置を提供することができるものである。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態である調光点灯用のメタルハライドランプ1は、一端部が略半球状に閉塞され、かつ他端部にステム2が封着された略円筒状の例えば硬質ガラスからなる外管3と、この外管3の端部に取り付けられた例えばE形の口金4と、外管3の内部に配置された発光管5と、外管3と発光管5との間に配置され、発光管5が破損した際に外管3がその破片によって破損するのを防止するための円筒状の石英ガラスからなるスリーブ6とを備えている。
ステム2の一部には二本のステム線7,8が封止されている。各ステム線7,8の一端部は外管3内に引き込まれ、その一方は電力供給線9を介して後述する発光管5の外部リード線10,11の一方に、他方は残る外部リード線11にそれぞれ電気的に、かつ機械的に接続されている。よって、発光管5はこれらステム線7,8および電力供給線9によって外管3内に支持されている。各ステム線7,8の他端部は、それぞれ口金4のシェル部12およびアイレット部13に電気的に接続されている。
外管3内には、窒素ガスが封入されている。もっとも、外管3内は窒素ガスを封入せず、真空状態であってもよい。
口金4としては、E形に限らず例えばピン状のP形等を用いることもできる。
さらに、発光管5の管壁負荷は、一例として27W/cm2に設定されている。ただし、ここで言う「管壁負荷」とは、最大ランプ電力P(W)を発光管5の全内面積で除した値である。また、この「全内面積」とは、例えば図2に示す例では発光管5において電極21がないと仮定した状態で、細管部18の開口部のうち、本管部17側の開口部を閉塞した状態で、その本管部17内の全内面積(閉塞された細管部18の開口部を含む)を算出した値である。
細管部18は、長さL1が16.0mm〜17.0mm、例えば16.8mmであり、肉厚t1(図3参照)が0.9mm〜1.3mm、例えば0.9mmである。細管部18の肉厚t1を厚くしすぎると、細管部18の熱容量が大きくなり、その結果、発光管5内の最冷点の温度が低下して、点灯中の発光物質の蒸気圧が低下する。そのため、平均演色評価指数Raが低下するおそれがある。一方、細管部18の肉厚t1を薄くしすぎると、細管部18が例えばランプの輸送中等の衝撃によって破損するおそれがある。したがって、細管部18の肉厚t1は0.9mm〜1.3mmの範囲に設定されていることが好ましい。
なお、外部リード線10,11、電極21、給電体24、およびコイル26を含む電極組立体としては、上記に挙げた材質、構造に限られるものではなく、公知の種々の材質や構造のものを用いることができる。
次に、最大ランプ電力P(W)が70W〜250Wの範囲において、金属ハロゲン化物(ただし、水銀ハロゲン化物が封入されている場合はそれを除く)の総封入量をA(mg)、全金属ハロゲン化物(ただし、水銀ハロゲン化物が封入されている場合はそれを除く)に対するハロゲン化マグネシウムの封入比率をB(mol%)としたとき、0.0345A+0.0028B<0.0015P+0.0475、A≧0.021P+0.313、かつB≧10.0なる関係式を満たすように規定した理由について説明する。
このような結果となった理由は次のように考えられる。
関係式0.0345A+0.0028B<0.0015×150+0.0475を満たさない場合、各サンプルにおける細管部18の端部のうち、本管部17側の端部の内面において図3に示すような著しく浸食された跡29が残されていた。つまり、点灯中、細管部18とコイル26との間に形成された隙間に余剰の液状化した金属ハロゲン化物が多量に入り込み、それが細管部18の構成材料である多結晶アルミナと化学的に反応し、細管部18の内面を点灯経過時間とともに深く浸食していったと考えられる。その結果、細管部18の浸食された部分の機械的強度が著しく低下し、ランプのオン、オフ時の熱衝撃によってその部分にクラックが発生し、リークに至ったと考えられる。一方、関係式0.0345A+0.0028B<0.0015×150+0.0475を満たす場合、各サンプルにおける細管部18の端部のうち、本管部17側の端部の内面において浸食された跡29はあったものの、その浸食深さd(mm)は上記の場合に比してかなり小さかった。これは、余剰の液状化した金属ハロゲン化物が細管部18とコイル26との間に形成された隙間に入り込むものの、その量はかなり少なく、その結果、細管部18の構成材料である多結晶アルミナとの化学的反応も少なかったためであると考えられる。したがって、寿命時間中、細管部18の機械的強度はランプのオン、オフ時の熱衝撃に十分耐え得る程度にあったと考えられる。
このような結果となった理由は次のように考えられる。
金属ハロゲン化物の総封入量AがA≧0.021×150+0.313なる関係式を満たさない場合、最大点灯時にあってはもともと総封入量Aが少ない上に、通常発生する発光金属と外囲器19の構成材料であるセラミックとの反応によって発光に寄与する発光金属が減少し、その結果、金属ハロゲン化物の総封入量Aが少なくなりすぎ、安定点灯中、各発光物質の蒸気圧が十分に得られなくなったためであると考えられる。また、調光点灯時にあっては発光管5内の最冷点温度が低くなるため、細管部18内に沈み込む金属ハロゲン化物の量が増加し、その結果、発光に寄与する発光金属が減少して、上記と同様に金属ハロゲン化物の総封入量Aが少なくなりすぎ、安定点灯中、各発光物質の蒸気圧が十分に得られなくなったためであると考えられる。一方、金属ハロゲン化物の総封入量AがA≧0.021×150+0.313なる関係式を満たす場合、金属ハロゲン化物の総封入量Aが適切化され、安定点灯中の発光物質の蒸気圧が十分に得られたためであると考えられる。
このような結果となった理由は次のように考えられる。
全金属ハロゲン化物に対するヨウ化マグネシウムの封入比率B(mol%)がB≧10.0なる関係式を満たさない場合、ヨウ化マグネシウムの封入量が残る他の金属ハロゲン化物の封入量に対して少なすぎ、ヨウ化マグネシウムの発光スペクトルが小さくなりすぎたためであると考えられる。一方、全金属ハロゲン化物に対するヨウ化マグネシウムの封入比率B(mol%)がB≧10.0なる関係式を満たす場合、ヨウ化マグネシウムが残る他の金属ハロゲン化物に対して適切に封入され、各発光物質の発光スペクトルのバランスが適正化されたためであると考えられる。
以上のとおり、金属ハロゲン化物の総封入量をA(mg)、全金属ハロゲン化物に対するヨウ化マグネシウムの封入比率をB(mol%)としたとき、0.0345A+0.0028B<0.0015P+0.0475、A≧0.021P+0.313、かつB≧10.0なる関係式をそれぞれ満たすことにより、点灯経過時間に伴い色温度が変化するのを抑制することができ、かつランプの見た目の色味が赤味を帯びていない白色が得られつつ、つまり所望の色特性が得られつつ、発光管5にリークが発生して不点灯になるのを防止することができる。
まず、上記した本発明の第1の実施の形態である調光点灯用のメタルハライドランプ1において、金属ハロゲン化物としてヨウ化ツリウム、ヨウ化ホルミウム、ヨウ化マグネシウムおよびヨウ化ナトリウムが封入されたランプ(以下、「ランプd」という)を作製した。そして、作製したランプにおける電極棒22の直径C(mm)を表4に示すように種々変化させ、公知の電子安定器を用いて定格ランプ電力(最大ランプ電力)150Wで点灯させた場合(最大点灯時)と、定格ランプ電力150Wの60%、つまり90Wで調光点灯させた場合(「調光点灯時)とにおいて、9000時間点灯経過時の光束維持率(%)、および定格寿命時間中の立ち消えの発生有無について調べたところ、同じく表4に示すとおりの結果が得られた。
また、点灯方法としては、5.5時間点灯、0.5時間消灯を1サイクルとしてこれを繰り返した。したがって、「点灯経過時間」とは累積点灯時間を示す。ただし、点灯中のランプ電力は、最大点灯時では常時150W、調光点灯時では常時90Wである。しかし、光束を測定する際は、いずれの場合も定格ランプ電力150Wで点灯させた状態で測定した。
このような結果となった理由は次のように考えられる。
なお、上記した実験は定格ランプ電力に対して60%の調光をしたときの結果であるが、調光範囲が定格ランプ電力に対して少なくとも60%〜100%の範囲においても上記と同様の結果を得られることが確認された。また、上記した実験では、最大ランプ電力Pが150Wのものを用いた場合の結果について示したが、最大ランプ電力Pが70W〜250Wの範囲のものについても同様の実験を行った結果、上記と同様の結果を得られることが確認された。したがって、最大ランプ電力P(W)が70W〜250Wの範囲において、電極棒22の直径をC(mm)としたとき、0.0018P+0.190≧C≧0.0011P+0.171なる関係式を満たすことにより、光束維持率が低下するのを防止することができ、かつ立ち消えの発生を抑制することができる。
また、上記実施の形態では、金属ハロゲン化物のうち、ハロゲン化マグネシウムとして、ヨウ化マグネシウムのみを用いた場合について説明したが、これに限らず、臭化マグネシウムのみ、またはヨウ化マグネシウムおよび臭化マグネシウムの両方を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記実施の形態では、外囲器19の本管部17の形状として、第一の筒部14、テーパ部15および第二の筒部16からなるものを用いた場合について説明したが、これに限らず単なる円筒状のものやその円筒状のものにおいて両端部が略半球になっているもの等の公知の種々の形状のものを用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。また、外囲器19の材質として、多結晶アルミナを用いた場合について説明したが、これ以外にイットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリア、またはジルコニア等の透光性セラミックを用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
次に、本発明の第3の実施の形態である照明装置は、図6に示すように、例えば天井用照明等に使用されるものであり、天井30に組み込まれた傘状の反射灯具31とこの反射灯具31の底部に取り付けられた板状のベース部32と反射灯具31内の底部に設けられたソケット部33とを有する照明器具34と、この照明器具34内のソケット部33に取り付けられた本発明の第1の実施の形態であるメタルハライドランプ1と、ベース部32の反射灯具31から離間した位置に取り付けられた電子安定器35とを備えている。
電子安定器35は公知の電子安定器を用いている。
以上のとおり本発明の第3の実施の形態である照明装置にかかる構成によれば、上記した本発明の第1の実施の形態であるメタルハライドランプを用いているので、所望の色特性を得ることができ、またランプの不点灯の発生確率が小さい照明装置を提供することができる。
なお、上記第3の実施の形態では、その照明装置の用途として天井用照明を一例に挙げたが、その他の屋内照明や、店舗照明、街路灯照明等にも用いることができ、その用途は限定されるものでない。また、その用途に応じて種々の公知の照明器具や電子安定器を用いることができる。
2 ステム
3 外管
4 口金
5 発光管
6 スリーブ
7,8 ステム線
9 電力供給線
10,11 外部リード線
12 アイレット部
13 シェル部
14 第一の筒部
15 テーパ部
16 第二の筒部
17 本管部
18 細管部
19 外囲器
20 近接導体
21 電極
22 電極棒
23 電極コイル
24 給電体
25 ガラスフリット
26 コイル
27,28 金属プレート
29 浸食の跡
30 天井
31 反射灯具
32 ベース部
33 ソケット部
34 照明器具
35 電子安定器
36 反射面
Claims (3)
- 内部に一対の電極が配置され、かつ金属ハロゲン化物が封入されているとともに、外囲器が透光性セラミックからなる発光管を備え、前記金属ハロゲン化物としてハロゲン化ディスプロシウム、ハロゲン化ツリウム、ハロゲン化ホルミウム、ハロゲン化セリウムおよびハロゲン化プラセオジウムのうち少なくとも一種の希土類金属のハロゲン化物と、ハロゲン化ナトリウムと、ヨウ化マグネシウムおよび臭化マグネシウムのうちの少なくとも一つからなるハロゲン化マグネシウムとを含む調光点灯用のメタルハライドランプであって、最大ランプ電力P(W)が70W〜250Wの範囲において、前記金属ハロゲン化物(ただし、水銀ハロゲン化物が封入されている場合はそれを除く)の総封入量をA(mg)、前記金属ハロゲン化物(ただし、水銀ハロゲン化物が封入されている場合はそれを除く)に対する前記ハロゲン化マグネシウムの封入比率をB(mol%)としたとき、0.0345A+0.0028B<0.0015P+0.0475、A≧0.021P+0.313、かつB≧10.0なる関係式をそれぞれ満たすことを特徴とするメタルハライドランプ。
- 前記電極が電極棒とこの電極棒の先端部に取り付けられた電極コイルとからなり、前記電極棒の直径をC(mm)としたとき、0.0018P+0.190≧C≧0.0011P+0.171なる関係式を満たすことを特徴とする請求項1記載のメタルハライドランプ。
- 請求項1または請求項2に記載されたメタルハライドランプが照明器具に組み込まれていることを特徴とする照明装置。
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