JP2006048851A - 不揮発性メモリ - Google Patents
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Abstract
【課題】 記憶情報に対する読出し性能を向上させることができる不揮発性メモリを提供することにある。
【解決手段】 メモリトランジスタ21と制御トランジスタ22が繰り返し直列された回路を複数並列に有し、前記制御トランジスタはオンされることにより前記直列方向とは交差する方向に反転層を形成し、読み出し動作において前記制御トランジスタ22をオンさせてメモリトランジスタに流れる電流を制御トランジスタの反転層に引き込み可能とする。前記制御トランジスタ22のゲート電極に供給する信号電圧に正の温度特性を与える特性調整回路を有する。前記反転層は半導体基板の表面に形成され、負の温度特性を有する。反転層の負の温度特性を相殺するのに、反転層を形成する制御トランジスタのゲート電極には正の温度特性を有する電圧を与える。
【選択図】 図6
Description
本発明は、書き換え可能な不揮発性メモリ、例えば電気的に書き換え可能なAND型のフラッシュメモリに適用して有効な技術に関する。
NAND型フラッシュメモリにおいて、直列されたメモリトランジスタのソース電位はソース線から離れるほど高くなる。メモリトランジスタの閾値電圧は、基板効果によりソース電位と基板電位との電位差が大きいほど高くされるから、メモリトランジスタの閾値電圧はソース線に近いほど高くなる。特許文献1,2には、読み出し時の基板効果によるメモリトランジスタの閾値電圧のばらつきによる誤動作の発生を防止ために、NAND型フラッシュメモリにおいて、ソース線からの遠近に応じてワード線に印加する電圧の設定を変えることが記載される。
特許文献3にはAND型フラッシュメモリについて記載がある。その一つとして、半導体基板上に拡散領域を繰り返し並列形成し、各々の拡散領域の間には酸化膜を介して補助電極(制御電極)を配置して制御トランジスタを形成し、補助電極の左右には電荷蓄積領域とコントロールゲートによるメモリトランジスタを形成した構造が示される。コントロールゲートは拡散領域及び補助電極とは交差する方向に延びており、ワード線として機能される。更に別の構造として、前記拡散層の代わりに補助電極を用いた別の制御トランジスタを採用した構造が示される。制御トランジスタがオンにされると、そのチャネル領域に反転層が形成され、配線として機能される。後者の構造は拡散領域を繰り返し並列配置しなくてよいから更にチップ面積の小型化に優れている。上記構造のメモリに対する読出しでは、読出し対象とされるメモリトランジスタのソースを反転層に導通させ、メモリトランジスタを介して反転層に引き込まれる電流の有無によって記憶情報を判定する。
本発明者の検討によれば、AND型のフラッシュメモリにおいてもソース線に対するメモリトランジスタの位置的特性を考慮することの必要性が見出された。更に、制御トランジスタの反転層をソース線などに用いる構造では、メモリトランジスタと共に反転層を構成する制御トランジスタも負の温度特性を持つことから、反転層の温度特性による影響も考慮する必要性が見出された。
本発明の目的は、記憶情報に対する読出し性能を向上させることができる不揮発性メモリを提供することにある。
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
〔1〕本発明に係る不揮発性メモリは、メモリトランジスタと制御トランジスタが繰り返し直列された回路を複数並列に有し、前記制御トランジスタはオンされることにより前記直列方向とは交差する方向に反転層を形成し、読み出し動作において前記制御トランジスタをオンさせてメモリトランジスタに流れる電流を制御トランジスタの反転層に引き込み可能とする。そして、前記制御トランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に正の温度特性を与える特性調整回路を有する。
前記反転層は半導体基板の表面に形成され、負の温度特性を有する。反転層の負の温度特性を相殺するのに、反転層を形成する制御トランジスタのゲート電極には正の温度特性を有する電圧を与える。反転層はメモリトランジスタに流れる電流を引き込むソースとして機能される。引き込み経路とされる反転層の抵抗が温度によって変動するとそれに応じてメモリトランジスタのソース電位が変動し、その閾値電圧に影響を与える。特性調整回路による正の温度特性を持つ電圧はその温度による閾値電圧の変動を抑制する。
〔2〕本発明の別の観点による不揮発性メモリは、メモリセルトランジスタの左右両側のソース及びドレインを反転層で実現する。すなわち、第1の制御トランジスタ、メモリトランジスタ、第2の制御トランジスタ、及びメモリトランジスタの順に繰り返し直列された回路を複数並列に有し、前記第1の制御トランジスタ及び第2の制御トランジスタはオンされることにより前記直列方向とは交差する方向に反転層を形成し、読み出し動作において第2の制御トランジスタとその左右一方の第1の制御トランジスタをオンさせてメモリトランジスタに流れる電流を前記第2の制御トランジスタの反転層に引き込み可能と不揮発性メモリにおいて、前記第2の制御トランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に正の温度特性を与える第1の特性調整回路を採用する。
前記第1及び第2の制御トランジスタによる反転層は半導体基板の表面に形成され、負の温度特性を有する。第1の制御トランジスタの反転層は読み出し電流が供給されるドレインとして機能される。第2の制御トランジスタの反転層はメモリトランジスタに流れる電流を引き込むソースとして機能される。引き込み側の第2の制御トランジスタの反転層の抵抗が温度によって変動するとそれに応じてメモリトランジスタのソース電位が変動し、その閾値電圧に影響を与える。電流供給側とされる第1の制御トランジスタの反転層の温度による抵抗変化はソース側ほどその閾値電圧に影響を与えない。前記特性調整回路による正の温度特性を持つ電圧はその温度による閾値電圧の変動を抑制する。
前記第1の制御トランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に負の温度特性を与える第2の特性調整回路を有する。温度による反転層の抵抗変化を抑えるという観点からは第1の制御トランジスタのゲート電極に印加する電圧についてもそれを相殺し得る正の温度特性を採用するのがよいが、ここではあえて反対の負の温度特性を採用する。これは、メモリトランジスタの電荷蓄積領域と第1の制御トランジスタのゲート電極との容量性カップリングによる影響を、メモリトランジスタの電荷蓄積領域と第2の制御トランジスタのゲート電極との容量性カップリングによって相殺しようとするためである。これにより、第1及び第2の制御トランジスタのゲート電圧に温度補償を行なっても、その補償電圧による容量性結合の変動分が更にメモリトランジスタのメモリゲートとの容量性結合の変動分になることを抑制することができる。要するに、メモリトランジスタの電荷蓄積領域と第1及び第2の制御トランジスタのゲート電極との容量性カップリングは、メモリトランジスタの蓄積領域とメモリゲートとの容量性カップリングに変動を生じさせないように作用し、補償電圧に起因してメモリゲートに不所望な電位変動を生じ難くなる。
本発明の具体的な形態では、前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に負の温度特性を与える第3の特性調整回路を有する。メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧は、そもそも、MOSトランジスタにはVgs・Ids特性から明らかなように温度に対してIdsがほぼ一定とされる領域があり、この領域のゲート電圧を用いることにより、温度変化に対してメモリ電流が安定化することができる。ここでは、その様な領域においてゲート電圧には負の温度特性を採用した方が前記領域からの逸脱が少ない動作条件を採用している場合であると理解されたい。したがって、動作条件によっては、前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に対する温度特性は正である方が望ましい場合もあることをここに明記する。
本発明の更に具体的な形態では、前記第1の制御トランジスタと前記第2の制御トランジスタは前記メモリトランジスタに対して左右対称構造を有し、前記第1の特性調整回路による調整温度と前記第2の特性調整回路による調整温度は絶対値的にかつ電荷蓄積領域の左右の制御トランジスタのゲート電極との容量性カップリングによる影響を実質的に相殺可能な程度において等しくされる。
本発明の更に具体的な形態では、前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に対してアクセスアドレスに応じてゲート・ソース間電圧を調整するための電圧選択回路を採用する。ソース線に対するメモリトランジスタの位置的特性を考慮すると、メモリトランジスタのソースに接続する反転層が長いほど反転層の抵抗成分によりソース電位が高くなり、ソース電位が高くなるほど基板効果で閾値電圧が高くなる。その分ワード線電位を高くすることにより、オン状態のメモリトランジスタに対してどこでもほぼ同じ信号電流を得ることができる。
前記電圧選択回路は、例えば前記第2の制御トランジスタの反転層による抵抗成分が大きくなる位置ほど前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に高い電圧を選択する。
前記電圧選択回路は、前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧を複数のワード線単位で相違させる。個々のワード線単位で制御する場合に比べても、選択回路の論理構成を簡素化でき、しかも閾値電圧の変動を抑制する効果は実用上問題ない。
前記メモリトランジスタは1個で複数ビットの情報を記憶する多値記憶、或いは1個で1ビットの情報を記憶する2値記憶の何れであってもよい。
〔3〕メモリセルトランジスタの左右両側のソース及びドレインを反転層で実現する本発明の更に別の観点による不揮発性メモリは、メモリトランジスタの両側に制御トランジスタを直列した回路を繰り返し配置したメモリアレイを有し、制御トランジスタはオンされることにより反転層を形成し、読み出し動作において前記制御トランジスタをオンさせてメモリトランジスタに流れる電流を一方の制御トランジスタの反転層に引き込み可能とするものであって、前記一方の制御トランジスタのゲート電極に供給する信号電圧として正の温度特性による温度補償を行なった電圧を形成し、メモリトランジスタを挟んで他方の制御トランジスタのゲート電極に供給する信号電圧として前記温度補償分を相殺した電圧を形成する第1の電圧形成回路を有する。
前記容量性カップリングによる影響を小さくするには、前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧として負の温度特性を持つ電圧を形成するものがよい。このとき、デバイス構造的には、例えば、前記メモリトランジスタの左右に配置された制御トランジスタは当該メモリトランジスタに対して左右対称構造を有するのは効果的である。
ソース線に対するメモリトランジスタの位置的特性を考慮すれば、前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に対してアクセスアドレスに応じてゲート・ソース間電圧を調整するための電圧選択回路を採用するのがよい。前記電圧選択回路は、前記第2の制御トランジスタの反転層による抵抗成分が大きくなる位置ほど前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に高い電圧を選択すればよい。
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、不揮発性メモリにおいて記憶情報に対する読出し性能を向上させることができる。
《フラッシュメモリの全体的構成》
図1にはフラッシュメモリが例示される。フラッシュメモリ1は単結晶シリコンなどの1個の半導体基板に形成される。
図1にはフラッシュメモリが例示される。フラッシュメモリ1は単結晶シリコンなどの1個の半導体基板に形成される。
フラッシュメモリ1は特に制限されないが、4個のメモリバンク(Bank)BNK0〜BNK3を有する。夫々のメモリバンクBNK0〜BNK3は相互に同じ構成を有し、並列動作可能にされる。図では代表的にメモリバンクBNK0の構成が詳細に例示される。メモリバンクBNK0〜BNK3は、フラッシュメモリアレイ(ARY)3、Xデコーダ(XDEC)4、データレジスタ(DRG)5、データコントロール回路(DCNT)6_R,6_L、Yアドレスコントロール回路(YACNT)7_R,7_Lを有する。
前記メモリアレイ3は電気的に消去及び書込み可能な不揮発性のメモリトランジスタを多数有する。メモリアレイの詳細は後述するが、メモリトランジスタは特に制限されないが電荷蓄積領域に絶縁膜を介してメモリゲートを重ねたスタックドゲート構造とされる。メモリトランジスタに対する記憶情報の初期化である消去処理は、特に制限されないが、メモリトランジスタのソース、ドレイン及びウェルに回路の接地電位を印加し、メモリゲートに負の高電圧を印加して電荷蓄積領域の電子を放出させる方向に移動させることで閾値電圧を低くする処理とされる。メモリトランジスタに対する記憶情報を書き込む書込み処理は、メモリトランジスタのドレインからソースに電流を流し、ソース端の基板表面でホットエレクトロンを発生させ、これをメモリゲートの高電圧による電界で電荷蓄積領域に注入することで閾値電圧を高くする処理とされる。読出し処理は、ビット線を予めプリチャージしておき、所定の読出し判定レベルをワード線選択レベルとしてメモリトランジスタを選択してビット線に流れる電流変化若しくはビット線に現れる電圧レベル変化によって記憶情報を検出可能にする処理とされる。前記ビット線には読出し書き込み回路が接続される。前記読出し書き込み回路は読み出し処理によりビット線に読み出された記憶情報をラッチし、また、書込み処理において書き込みデータに従ったビット線駆動等に利用される。読出し書き込み回路のデータ入出力ノードは複数ビット単位でセレクタを介して複数のメインアンプの入出力ノードに接続される。尚、1個の不揮発性メモリセルによる情報記憶は1ビットの2値であっても2ビット以上の多値であってもよい。例えば2ビットの場合には、特に制限されないが、ビット線に接続するデータレジスタを更に設け、読み出し判定レベルを変えてメモリセルから数回に分けて読み出した前後の結果をセンスラッチとデータレジスタに別々に保持しながら2ビットの記憶データを判定して読み出し処理を行ない、また、2ビットの書込みデータをセンスラッチとデータレジスタに別々に保持しながら2ビットの値に応ずる閾値電圧を設定するように書込み処理を行なう。
フラッシュメモリアレイ3は、特に制限されないが、左右に分けられ(MARY_R、MARY_L)、例えば夫々のMARY_R、MARY_Lは、1024+32バイト(Byte)の記憶容量を65536ページ(page)分備える。ここでは1024+32バイトをデータ格納単位(1ページ)と左側のMARY_Lには奇数ページが割り当てられ、右側のMARY_Rには偶数ページが割り当てられる。Xデコーダはフラッシュメモリアレイのアクセスアドレスとしてのページアドレスをデコードし、特に制限されないが、×8ビットの入出力モードではページ単位でメモリセルの選択を行なう。×16ビットの入出力モードでは偶数ページアドレス毎に2ページ単位でメモリセルの選択を行なう。
データレジスタ5はスタティックメモリアレイを有し、特に制限されないが、左右に分けられ(DRG_R、DRG_L)、例えば夫々のエリアDRG_R、DRG_Lは、1024+32バイト(Byte)の記憶容量を備える。前記エリアDRG_Rと、前記エリアDRG_Lとは夫々前記データ格納単位としての1ページ分の記憶容量を持つことになる。前記エリアDRG_Rが割り当てられたデータレジスタを便宜上データレジスタ5_R、前記エリアDRG_Lが割り当てられたデータレジスタを便宜上データレジスタ5_Lと称する。
前記フラッシュメモリアレイ3とデータレジスタ5はデータの入出力を行なう。例えばフラッシュメモリアレイ3に設けられている前記セレクタが32ビット単位で読み出し書き込み回路のデータ入出力ノードを前記メインアンプの入出力ノードに接続するとき、前記セレクタの選択は内部クロックにより順次自動的に切り換えられ、メモリアレイ3とデータレジスタ5_L,5_Rとの間で1ページ分のデータの転送が可能にされる。
前記データレジスタ5_L,5_Rは例えばSRAMによって構成される。ここでは前記エリアDRG_Rと、前記エリアDRG_Lとは夫々別々のSRAMによって構成される。前記データコントロール回路6_R(6_L)はデータレジスタ5_R(5_L)へのデータの入出力を制御する。Yアドレスコントロール回路7_R(7_L)はデータレジスタ5_R(5_L)に対するアドレス制御を行なう。
外部入出力端子I/O1〜I/O16は、アドレス入力端子、データ入力端子、データ出力端子、コマンド入力端子に兼用され、マルチプレクサ(MPX)10に接続される。外部入出力端子I/O1〜I/O16に入力されたページアドレスはマルチプレクサ10からページアドレスバッファ(PABUF)11に入力され、Yアドレス(カラムアドレス)はマルチプレクサ10からYアドレスカウンタ(YACUNT)12にプリセットされる。外部入出力端子I/O1〜I/O16に入力された書込みデータはマルチプレクサ4からデータ入力バッファ(DIBUF)13に供給される。データ入力バッファ13に供給された書込みデータは入力データコントロール回路(IDCNT)14を介して前記データコントロール回路6_L,6_Rに入力される。外部入出力端子I/O1〜I/O16からのデータ入出力は×8ビット又は×16ビットが選択される。×16ビット入出力が選択されている場合には入力データコントロール回路14は前記データコントロール回路6_R及び6_Lに合わせて16ビットの書込みデータを並列に与える。×8ビット入出力が選択されている場合には入力データコントロール回路14は、奇数ページの場合には前記データコントロール回路6_Lに8ビットの書込みデータを与え、偶数ページの場合には前記データコントロール回路6_Rに8ビットの書込みデータを与える。データコントロール回路6_Rと6_Lから出力されるリードデータはデータ出力バッファ(DOBUF)15を介してマルチプレクサ10に供給されて外部入出力端子I/O1〜I/O16から出力される。
外部入出力端子I/O1〜I/O16に供給されたコマンドコードとアドレス信号の一部はマルチプレクサ10から内部コントロール回路(OPCNT)16に供給される。
前記ページアドレスバッファ11に供給されたページアドレスはXデコーダ4でデコードされ、そのデコード結果にしたがってメモリアレイ5からワード線を選択する。前記ページアドレスバッファ11に供給されたYアドレスがプリセットされるYアドレスカウンタ12は、特に制限されないが、12ビットのカウンタとされ、プリセット値を起点にアドレスカウントを行なって、Yアドレスコントロール回路7_R,7_LにカウントされたYアドレスを供給する。カウントされたYアドレスは入力データコントロール回路(IDCNT)14からの書込みデータをデータレジスタ5に書込むとき、また、出力バッファ15に供給するリードデータをデータレジスタ5から選択するときのアドレス信号に利用される。前記ページアドレスバッファ11に供給されたYアドレスは前記カウントされたYアドレスの先頭アドレスに等しい。この先頭のYアドレスをアクセス先頭Yアドレスと称する。
制御信号バッファ(CSBUF)18には、外部からのアクセス制御信号としてチップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号/RE、ライトプロテクト信号/WP、パワー・オン・リードイネーブル信号PRE、及びリセット信号/RESが供給される。信号の先頭に付された記号“/”はその信号がローイネーブルであることを意味する。
チップイネーブル信号/CEはフラッシュメモリ1の動作を選択する信号であり、ローレベルでフラッシュメモリ(デバイス)1がアクティブ(動作可能)にされ、ハイレベルでフラッシュメ1がスタンバイ(動作停止)にされる。リードイネーブル信号/REは外部入出力端子I/O1〜I/O16からのデータ出力タイミングを制御し、当該信号のクロック変化に同期してデータが読み出される。ライトイネーブル信号/WEはその立ち上がりエッジで、コマンド、アドレス、及びデータをフラッシュメモリ1に取込み指示する。コマンドラッチイネーブル信号CLEは外部入出力端子I/O1〜I/O16に外部から供給されるデータをコマンドとして指定する信号であり、出力端子I/O1〜I/O16のデータがCLE=“H”(ハイレベル)の時に/WEの立ち上がりエッジに同期して取込まれ、コマンドとして認識される。アドレスラッチイネーブル信号ALEは外部入出力端子I/O1〜I/O16に外部から供給されるデータがアドレスであることを指示する信号であり、出力端子I/O1〜I/O16のデータがALE=“H”(ハイレベル)の時に/WEの立ち上がりエッジに同期して取込まれ、アドレスとして認識される。ライトプロテクト信号/WPはローレベルによりフラッシュメモリ1は消去及び書込み禁止とされる。パワー・オン・リードイネーブル信号PREは電源投入後にコマンド及びアドレスを入力すること無く所定セクタのデータを読出すパワーオンリード機能を使用するときイネーブルにされる。リセット信号/RESは電源投入後ローレベルからハイレベルに遷移されることによりフラッシュメモリ1に初期化動作を指示する。
内部コントロール回路16は前記アクセス制御信号などに従ったインタフェース制御を行なうと共に、入力されたコマンドに従った消去処理、書込み処理及び読出し処理などの内部動作を制御する。また、内部コントロール回路18はレディービジー信号R/Bを出力する。レディービジー信号R/Bはフラッシュメモリ1の動作中にローレベルにされ、これによって外部にビジー状態を通知する。Vccは電源電圧、Vssは接地電圧である。書込み処理及び消去処理に必要な高電圧は電源電圧Vccに基づいて内部昇圧回路(図示せず)で生成される。
《ビット線に反転層を利用したメモリアレイ》
図2にはメモリアレイ3のトランジスタ配置が例示される。メモリアレイ3は、第1の制御トランジスタ20、メモリトランジスタ21、第2の制御トランジスタ22、及びメモリトランジスタ21の順に繰り返し直列された回路を複数行有する。前記メモリトランジスタ21の選択端子(メモリゲート)は行毎にワード線WLに接続される。前記第1の制御トランジスタ20は列毎に順次制御信号AG0,AG2によってスイッチ制御される。第2の制御トランジスタ22は列毎に順次制御信号AG1,AG3によってスイッチ制御される。要するに、第1の制御トランジスタ20と第2の制御トランジスタ22の合計4列の制御トランジスタ列毎に制御信号AG0〜AG3によってそのスイッチ状態が制御される。制御形態は後述するが、読み出し、書き込み、消去の動作形態に従う。前記第1の制御トランジスタ20及び第2の制御トランジスタ22はオンされることにより前記直列方向とは交差する方向に反転層23、24を形成する。反転層23、24はローカルなビット線及びソース線として機能される。
図2にはメモリアレイ3のトランジスタ配置が例示される。メモリアレイ3は、第1の制御トランジスタ20、メモリトランジスタ21、第2の制御トランジスタ22、及びメモリトランジスタ21の順に繰り返し直列された回路を複数行有する。前記メモリトランジスタ21の選択端子(メモリゲート)は行毎にワード線WLに接続される。前記第1の制御トランジスタ20は列毎に順次制御信号AG0,AG2によってスイッチ制御される。第2の制御トランジスタ22は列毎に順次制御信号AG1,AG3によってスイッチ制御される。要するに、第1の制御トランジスタ20と第2の制御トランジスタ22の合計4列の制御トランジスタ列毎に制御信号AG0〜AG3によってそのスイッチ状態が制御される。制御形態は後述するが、読み出し、書き込み、消去の動作形態に従う。前記第1の制御トランジスタ20及び第2の制御トランジスタ22はオンされることにより前記直列方向とは交差する方向に反転層23、24を形成する。反転層23、24はローカルなビット線及びソース線として機能される。
図3にはデバイスのワード線に沿った縦断面構造が例示される。p型半導体基板30の主面上に絶縁膜31が形成され、前記絶縁膜31上に所定間隔で交互に第1の方向(図3の紙面表裏方向)に第1の電極33、第2の電極34が複数形成される。第1の電極33、第2の電極34は例えばポリシリコンゲート電極材料によって形成され、前記制御トランジスタ20,22のゲート電極とされる。前記第1の方向と交差する第2の方向(図3の紙面左右方向)に所定間隔で前記第1の電極33及び第2の電極34と絶縁された複数の第3の電極35が形成され、更に、前記第1の電極33と第2の電極34との間には前記第3の電極の直下で選択的に電荷を蓄積可能な電荷蓄積領域36が形成されている。第3の電極35はメモリトランジスタ21のメモリゲート(ワード線WL)とされ、例えばポリシリコンゲート電極材料によって形成される。前記電荷蓄積領域36は、例えばシリコンナイトライド膜によって構成された電荷トラップ領域、或いはポリシリコン膜によって構成されたフローティングゲート電極とされる。前記反転層23,24は半導体基板30の表面に選択的に誘起される。37で示されるものは前記電荷蓄積領域36と半導体基板30との間の絶縁膜である。直列に繰り返し配置された第1の制御トランジスタ20、メモリトランジスタ21、及び第2の制御トランジスタの間には高濃度不純物領域としての拡散層は形成されていない。
《読み出し経路の選択態様》
図4には読み出し動作における信号経路の選択態様が示される。前述の如く反転層23はローカルなビット線として機能されるが、この反転層23は選択スイッチ40を介して対応するグローバルビット線GLB0〜GBL3…に接続される。前述の如く反転層24はローカルなソース線として機能されるが、この反転層24は選択スイッチ41を介して対応するコモン線CDに接続される。
図4には読み出し動作における信号経路の選択態様が示される。前述の如く反転層23はローカルなビット線として機能されるが、この反転層23は選択スイッチ40を介して対応するグローバルビット線GLB0〜GBL3…に接続される。前述の如く反転層24はローカルなソース線として機能されるが、この反転層24は選択スイッチ41を介して対応するコモン線CDに接続される。
読み出し動作では読み出し対象とされるメモリトランジスタ21に対し、これに隣接する第2制御トランジスタ22による反転層23を回路の接地電圧(0ボルト(V))に接続し、第1の制御トランジスタ20による反転層23を後述する読み出し書き込み回路に接続して信号経路を形成する。ワード線WLに判定選択レベル(2〜5V)が与えられているとき、メモリトランジスタ21の閾値電圧がそれよりも低ければ反転層23の電流が引き抜かれ、メモリトランジスタ21の閾値電圧がそれよりも高ければ反転層23に電流が流れず、それにより反転層23にレベル変化を生ずるか否かを後述の読み出し書き込み回路路で検出することによって、記憶情報の読み出しを行う。ここでは1個のメモリトランジスタ21に2ビットの記憶情報を保持する4値記憶を想定しているので判定レベルは複数レベルにされる。図4に従えば、第2の制御トランジスタ22の右隣のメモリトランジスタ21を読み出し対象にしているので、制御信号AG2,AG1が4Vの選択レベルにされると共に制御信号AG0,AG3が0Vの非選択レベルにされる。図示はしないが、第2制御トランジスタ22の左隣のメモリトランジスタ21を読み出し対象とするときは、制御信号AG2,AG1が0Vの非選択レベルにされ、制御信号AG0,AG3が4Vの選択レベルにされる。
《書き込み経路の選択態様》
図5にはセルスルー書き込み方式による書き込み動作の信号経路が例示される。この書き込み動作では、書き込み対象メモリトランジスタ21の左右両側の第1の制御トランジスタ20を比較的大きコンダクタンスを持つようにオンさせて反転層23(GBL0、GBL1側)を形成し、その間の第2の制御トランジスタ22を比較的小さなコンダクタンスを持つようにオン(弱反転)させて反転層24を形成し、ワード線WLに高電圧を印加してメモリトランジスタ21をオンさせて電流経路を形成する。例えば、書き込み対象とされるメモリトランジスタ21に隣接する第1の制御トランジスタ20のゲートに8Vのような第1の電位を設定し(AG2=8V)、その反対側の第1の制御トランジスタ20に前記第1の電位よりも低い5Vのような第2の電位を設定し(AG0=5V)、前記書き込み対象とされるメモリトランジスタ21に隣接する第2の制御トランジスタ22のゲートには前記第1及び第2の電圧よりも低い1Vのような第3の電位が印加され(AG1=1V)。この状態で、書き込み対象とされるメモリトランジスタ21に隣接する反転層23(GBL1側)には4.5Vのような電位を設定し、その反対側の第2制御トランジスタ22による反転層24及びその先の第1の制御トランジスタ20による反転層23(BL0側)には0Vのような接地電位を印加する。これにより、GBL1側の反転層23からGBL0側の反転層23に電流が流れるが、メモリトランジスタ21のチャネルとその隣の第2の制御トランジスタ22の小さなコンダクタンスの弱反転層24との間に電界集中を生じ、この電界集中によってその位置で半導体基板の表面にホットエレクトロンを生じ、ホットエレクトロンがワード線WLの高電位による電界でメモリトランジスタ21の電荷蓄積領域36に注入される。電荷蓄積領域36に電子が注入されることによりそのメモリトランジスタ21の閾値電圧が高くされる。書き込み動作を抑止するには図5の例に従えばGBL0側の反転層23に印加する電圧を4.5Vとし、書き込み電流が流れないようにすればよい。図示を省略する読み出し書き込み回路は書き込みデータに基づいてGBL0側の反転層23に印加する電圧を制御することによって、書き込みと書き込み抑止を制御する。書き込み動作によってその閾値電圧が目的の閾値電圧に到達したかどうかはベリファイ動作によって確認する。ベリファイ動作は図4で説明した読み出し経路を選択して行うから、ベリファイ動作では読み出し書き込み回路はGBL1側の反転層23を介して記憶情報を読み出し、その結果を書き込みデータとしてGBL0側の反転層23の電位に制御に反映させなければならない。読み出し書き込み回路とグローバルビット線との接続を制御する選択回路(図示せず)によってこれを実現する。
図5にはセルスルー書き込み方式による書き込み動作の信号経路が例示される。この書き込み動作では、書き込み対象メモリトランジスタ21の左右両側の第1の制御トランジスタ20を比較的大きコンダクタンスを持つようにオンさせて反転層23(GBL0、GBL1側)を形成し、その間の第2の制御トランジスタ22を比較的小さなコンダクタンスを持つようにオン(弱反転)させて反転層24を形成し、ワード線WLに高電圧を印加してメモリトランジスタ21をオンさせて電流経路を形成する。例えば、書き込み対象とされるメモリトランジスタ21に隣接する第1の制御トランジスタ20のゲートに8Vのような第1の電位を設定し(AG2=8V)、その反対側の第1の制御トランジスタ20に前記第1の電位よりも低い5Vのような第2の電位を設定し(AG0=5V)、前記書き込み対象とされるメモリトランジスタ21に隣接する第2の制御トランジスタ22のゲートには前記第1及び第2の電圧よりも低い1Vのような第3の電位が印加され(AG1=1V)。この状態で、書き込み対象とされるメモリトランジスタ21に隣接する反転層23(GBL1側)には4.5Vのような電位を設定し、その反対側の第2制御トランジスタ22による反転層24及びその先の第1の制御トランジスタ20による反転層23(BL0側)には0Vのような接地電位を印加する。これにより、GBL1側の反転層23からGBL0側の反転層23に電流が流れるが、メモリトランジスタ21のチャネルとその隣の第2の制御トランジスタ22の小さなコンダクタンスの弱反転層24との間に電界集中を生じ、この電界集中によってその位置で半導体基板の表面にホットエレクトロンを生じ、ホットエレクトロンがワード線WLの高電位による電界でメモリトランジスタ21の電荷蓄積領域36に注入される。電荷蓄積領域36に電子が注入されることによりそのメモリトランジスタ21の閾値電圧が高くされる。書き込み動作を抑止するには図5の例に従えばGBL0側の反転層23に印加する電圧を4.5Vとし、書き込み電流が流れないようにすればよい。図示を省略する読み出し書き込み回路は書き込みデータに基づいてGBL0側の反転層23に印加する電圧を制御することによって、書き込みと書き込み抑止を制御する。書き込み動作によってその閾値電圧が目的の閾値電圧に到達したかどうかはベリファイ動作によって確認する。ベリファイ動作は図4で説明した読み出し経路を選択して行うから、ベリファイ動作では読み出し書き込み回路はGBL1側の反転層23を介して記憶情報を読み出し、その結果を書き込みデータとしてGBL0側の反転層23の電位に制御に反映させなければならない。読み出し書き込み回路とグローバルビット線との接続を制御する選択回路(図示せず)によってこれを実現する。
なお、第2の制御トランジスタ22の左隣のメモリトランジスタ21を書き込み対象にするには書き込み電流の向きを逆にすればよい。また、GBL1とGBL2の間のメモリトランジスタを書き込み対象とする場合には制御信号AG1を0V、AG3を1Vに変えることによって、動作可能な第2の制御トランジスタの位置を偶数番目と奇数番目とで入れ替えればよい。
特に図示はしないが、書き込みされたメモリトランジスタの閾値電圧状態を初期化するには、第1の制御トランジスタ20及び第2の制御トランジスタ22の反転層23,24に回路の接地電圧のような第5の電位を設定し、半導体基板を回路の接地電位に設定し、前記ワード線WLに−12Vの負電位のような第6の電位を設定する。これにより、電荷蓄積領域からエレクトロンが放出方向に移動され、メモリトランジスタ21の閾値電圧が低くされる。
《読み出し動作のための温度補償》
読出し動作のための温度補償について説明する。図6には制御トランジスタ20,22及びメモリトランジスタ21のゲート電圧に対する温度補償態様が例示される。読出し動作においてソース側反転層を形成するトランジスタ22のゲート電圧VAGSには正の温度特性を持たせる。読出し動作においてドレイン側反転層を形成するトランジスタ20のゲート電圧VAGDには負の温度特性を持たせる。メモリトランジスタ21のメモリゲートの電圧VWLには負の温度特性を持たせる。
読出し動作のための温度補償について説明する。図6には制御トランジスタ20,22及びメモリトランジスタ21のゲート電圧に対する温度補償態様が例示される。読出し動作においてソース側反転層を形成するトランジスタ22のゲート電圧VAGSには正の温度特性を持たせる。読出し動作においてドレイン側反転層を形成するトランジスタ20のゲート電圧VAGDには負の温度特性を持たせる。メモリトランジスタ21のメモリゲートの電圧VWLには負の温度特性を持たせる。
ゲート電圧に上記温度特性を採用する理由について説明する。前記第1及び第2の制御トランジスタ20、22による反転層23、24は半導体基板30の表面に形成され、負の温度特性を有する。第1の制御トランジスタ20の反転層23は読み出し電流が供給されるドレインとして機能される。第2の制御トランジスタ22の反転層24はメモリトランジスタ21に流れる電流を引き込むソースとして機能される。引き込み側の第2の制御トランジスタ22の反転層24の抵抗が温度によって変動するとそれに応じてメモリトランジスタ21のソース電位が変動し、その閾値電圧に影響を与える。電流供給側とされる第1の制御トランジスタ20の反転層23の温度による抵抗変化はソース側ほどその閾値電圧に影響を与えない。前記ソース側の反転層24を形成するトランジスタ22のゲート電圧VAGSに正の温度特性を与えることにより、メモリトランジスタ21の閾値電圧が温度によって変動するのを抑制することができる。
温度による反転層23の抵抗変化を抑えるという観点からは第1の制御トランジスタ20のゲート電極に印加する電圧VAGDについてもそれを相殺し得る正の温度特性を採用するのがよいが、ここではあえて反対の負の温度特性を採用する。その理由を図7に基づいて説明する。図7にはトランジスタ20、22とメモリトランジスタ21との間のゲートのカップリング容量が模式的に示される。Cagdは、第1の電極(AGD)33と電荷蓄積領域(FG)36の間のカップリング容量であり、Cagsは、第2の電極(AGS)34と電荷蓄積領域(FG)36の間のカップリング容量である。制御トランジスタ20、22はメモリトランジスタを中心に対象構造になっているからCags=Cagdになっている。ゲート電圧VAGSに正の温度特性、ゲート電圧VAGDに負の温度特性を持たせることにより、Cags・ΔVAGS+Cagd・ΔVAGD=0となる。すなわち、ΔVAGS+ΔVAGD=VA(一定)となるようにゲート電圧VAGS、VAGDの温度特性が与えられる。このときのゲート電圧VAGSとVAGDの温度依存特性は図8に示される通りとされる。このように、メモリトランジスタ21の電荷蓄積領域36に対する第1の制御トランジスタ20のゲート電極33による容量性カップリングによる影響は、メモリトランジスタ21の電荷蓄積領域36に対する第2の制御トランジスタ22のゲート電極36による容量性カップリングによって相殺される。これにより、第1及び第2の制御トランジスタ20、22のゲート電圧VAGS、VAGDに温度補償を行なっても、その補償電圧による容量性結合の変動分が更にメモリトランジスタ21のメモリゲート35との容量性結合の変動分になることを抑制することができる。要するに、第1及び第2の制御トランジスタ20、22のゲート電極33、34とメモリトランジスタ21の電荷蓄積領域36との容量性カップリングは、電荷蓄積領域36とメモリトランジスタ21のメモリゲート35との容量性カップリングに変動を生じさせないように作用し、これにより、ソース・ドレイン側の温度補償による補償電圧に起因してメモリゲート35に不所望な電位変動が生ずる虞を回避することができる。ソース・ドレイン側の温度補償によって電荷蓄積領域36とメモリトランジスタ21のメモリゲート35との容量性カップリングに変動を生ずると、その変動分だけメモリトランジスタの閾値電圧が見かけ上変動して(閾値電圧ボケ)、読出し動作の信頼性が低下する虞を生ずる。
図8に代表されるVAGSとVAGDの温度依存特性は最適な形態であるが、上述のメモリトランジスタの閾値電圧が見かけ上変動しても、その変動分を補償できるようにワード線電圧を制御するなら、図9のように電圧VAGDについても正の温度特性を与えたり、或いは図10に例示されるように、電圧VAGDを温度依存性を持たない定電圧とすることも可能である。図9及び図10の温度依存特性はソース線抵抗の温度依存性を抑制することは可能とされる。図10の温度依存特性は図8の特性ほどではないが、前記閾値電圧ボケについてもある程度抑えることが可能とされる。
前記メモリトランジスタ21のゲート電極35には負の温度特性を持つ信号電圧VWLを与える。図11に例示されるようにMOSトランジスタはそのVgs・Ids特性から明らかなように温度に対してIdsがほぼ一定とされる領域があり、この領域のゲート電圧(Vgs=Vt)を用いることにより、温度変化に対してメモリ電流を安定化させることができる。ここでは、その様な領域においてゲート電圧には負の温度特性を採用した方が前記領域からの逸脱が少ない動作条件(例えばVgs>1V)を採用している場合を想定し、それ故に、信号電圧VWLに負の温度特性を持たせるようにした。したがって、動作条件によっては、前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に対する温度特性は正である方が望ましい場合のあることは当然である。要するに、信号電圧VWLの温度特性は動作条件に応じて正負何れでも最適化に資することができる。
以上の温度補償による温度制御は以下の観点でまとめることができる。すなわち、メモリ特性に合わせこむためにここではワード線電位(VWL)に負の温度特性を持たせる。制御トランジスタによる反転層抵抗の特性に合わせ込むためにソース側の制御用トランジスタのゲート電圧VAGSに正の温度特性を持たせる。また、電圧VAGSの変化に伴って発生する制御ゲート電極とフローティングゲート電極間の容量性カップリングによるメモリの閾値電圧ボケを抑えるために、ソース側からの影響を相殺するようにドレイン側の電圧VAGDには負の温度特性を持たせる。
《ワード線電圧の位置的補償》
ワード線電圧VWLに対しては位置的補償を行う。例えば図12に例示されるように、読み出し対象とされるメモリトランジスタがグローバルビット線GBLに近いほど、ソース側の反転層24の抵抗は大きくなる。例えば図12に示されるメモリトランジスタM1を読み出し対象とするとき、ソース側の抵抗は相対的に大きくなり、また、メモリトランジスタM2を読み出し対象とするとき、ソース側の抵抗は相対的に小さい。ワード線電圧VWLがどこでも一定であれば、メモリトランジスタM1のゲート・ソース間電圧が相対的に小さくなって、読み出し不良になる虞がある。これを解消するのに、グローバルビット線GBL側のトランジスタ40に近い位置ほどワード線電圧を高くするという、ワード線電圧に対する位置的補償を行う。
ワード線電圧VWLに対しては位置的補償を行う。例えば図12に例示されるように、読み出し対象とされるメモリトランジスタがグローバルビット線GBLに近いほど、ソース側の反転層24の抵抗は大きくなる。例えば図12に示されるメモリトランジスタM1を読み出し対象とするとき、ソース側の抵抗は相対的に大きくなり、また、メモリトランジスタM2を読み出し対象とするとき、ソース側の抵抗は相対的に小さい。ワード線電圧VWLがどこでも一定であれば、メモリトランジスタM1のゲート・ソース間電圧が相対的に小さくなって、読み出し不良になる虞がある。これを解消するのに、グローバルビット線GBL側のトランジスタ40に近い位置ほどワード線電圧を高くするという、ワード線電圧に対する位置的補償を行う。
《温度補償と位置的補償の具体例》
図13には上記読み出し動作のための温度補償とワード線電圧の位置的補償を行うための具体的構成が示される。図13の構成は図1のXDEC4に含まれる。
図13には上記読み出し動作のための温度補償とワード線電圧の位置的補償を行うための具体的構成が示される。図13の構成は図1のXDEC4に含まれる。
ワード線デコーダ(WLDEC)50はロウアドレス信号(ページアドレス)をデコードしてワード線を選択する。ワード線は一つのストリング毎に256本配置されている。一つのストリングの構成は図14に例示される。ストリング3A毎に前記反転層23で構成されるローカルビット線を有し、ローカルビット線は選択スイッチ40を介してグローバルビット線GBLに接続される。一つのストリング3A内に配置された前記反転層24から成るソース線はスイッチ41を介してコモン線CDに共通接続される。ワード線電圧VWLは電源回路(Gvwl)51で生成する。この電源回路51は、基準電圧VWLrefを基に抵抗分圧回路などを用いてワード線電圧VWLを生成する。前記基準電圧VWLrefを生成する温度特性調整回路(VADJ)52は負の温度特性を持つ基準電圧VWLrefを生成し、これによって、ワード線電圧VWLに負の温度特性を与える。電源回路51で生成されるワード線電圧VWLは、図14の前記ストリングの内部を8分割したブロック毎に相違される。ワード線WL1〜WL32はブロックB1に含まれ、ワード線WL33〜WL64はブロックB2に含まれ、以下同様にワード線WL225〜WL256はブロックB8に含まれる。前述のワード線電圧VWLの位置的補償で説明した通り、ワード線電圧VWLはトランジスタ40に近いブロックほど高くされる。その電圧レベルの選択制御は制御回路(VCNT)55が行なう。制御回路55はロウアドレス信号RADRと外部からアクセス制御信号ASCCNTを入力し、ロウアドレス信号RADRに応じて電圧指定信号TDVWLを生成する。電圧指定信号TDVWLの生成論理は図15に例示されるように、2個のセレクタ(SEL)56、57で選択されたそれぞれ6ビットのデータを加算回路58で加算して電圧指定信号TDVWlを生成する論理とされる。セレクタ56は読み出し動作のシーケンス制御信号SEQに従って基準となるワード線電圧指定信号SxVWLH、SxVWLM、SxVWLLを順次一つずつを選択する。ここでは4値記憶を想定するので、消去状態に対する書き込み状態の判定レベルを3種類持つことが必要であり、ワード線電圧指定信号SxVWLH、SxVWLM、SxVWLLはその判定レベルの基準値を順次高レベル側から指示する。例えばワード線電圧指定信号SxVWLHは4.3Vを指定し、SxVWLMは2.8Vを指定し、SxVWLLは1.5Vを指定する。セレクタ57はロウアドレス信号RADRの下位3ビット[2:0]をデコードして8分割されたブロックB1〜B8のどのブロックがアクセスされるかに応じて、ブロック毎の位置的補償電圧として加算すべき電圧を指定する加算電圧指定信号TxVWL1〜TxVWL8の中から一つを選択する。加算電圧指定信号TxVWL1〜TxVWL8は例えば0.1V刻みで加算電圧を指定する。例えばセレクタ56でSxVWLMが選択され、セレクタ57でTxVWL1が選択されたとき、電圧指定信号TDVWLはVWLに2.8Vを指示し、セレクタ56でSxVWLMが選択され、セレクタ57でTxVWL8が選択されたとき、電圧指定信号TDVWLはVWLに3.5Vを指示する。電源回路51は電圧指定信号TDVWLで指定された分圧ノードの分圧電圧を選択してワード線電圧VWLを出力する。このとき、電源回路51は負の温度特性が与えられた基準電圧VWLrefを用いて分圧回路のフルスケール電圧を決定するので、電圧指定信号TDVWLで指定されて電源回路51から実際の出力されるワード線電圧VWLは負の温度補償がされた電圧にされている。
図16には前記ワード線電圧の位置的補償によるワード線電圧VWLから見たときのメモリセルトランジスタ21の閾値電圧分布が示される。左端の分布はブロック1、中央の分布はブロック2、右端の分布はブロック8を示す。各読出し判定レベルに対しブロック毎にワード線電圧は0.1V相違されている。図16では閾値電圧分布がブロック毎に相違されているように図示されているが、これはそれぞれ0.1V刻みで相違されるワード線レベルを基準に見たときの閾値電圧を示しているからである。どのブロックにおいても、メモリトランジスタのゲート・ソース間電圧として閾値電圧を見た場合にはブロック間で閾値電圧分布の相違はない。要するに、図12で説明したようにソース側反転層24の抵抗成分によってソース電圧が浮いた分だけワード線電圧を押し上げるようにしている。したがって、メモリセルランジスタ21の読出し電流はどのブロックでも実質的に同じにされ、或いは大きく相違することが抑止される。
図13のアシストゲートデコーダ(AGDEC)56はロウアドレス信号(ページアドレス)RADRをデコードしてストリング毎に制御トランジスタの制御信号AG1〜AG4を生成する。制御信号AG1〜AG4の選択態様及び判定レベルは読み出し動作形態にしたがって制御される。ソース側の制御トランジスタ22のための制御信号AG1、AG3の電圧レベルVAGSは電源回路(Gvags)60で生成し、ドレイン側の制御トランジスタ20のための制御信号AG2、AG4の電圧レベルVAGDは電源回路(Gvagd)61で生成する。電源回路60で生成される制御電圧VAGSは基準電圧VAGSrefを基に負帰還型の抵抗分圧回路などを用いて生成される。温度特性調整回路(VADJ)62は正の温度特性を持つ基準電圧VAGSrefを生成し、これによって、電圧VAGSに正の温度特性を与える。電源回路61で生成される制御電圧VAGDは基準電圧VAGDrefを基に負帰還型の抵抗分圧回路などを用いて生成される。温度特性調整回路(VADJ)63は負の温度特性を持つ基準電圧VAGDrefを生成し、これによって、電圧VAGDに負の温度特性を与える。
なお、前記電源回路51,60,61及び温度特性調整回路52,62,63は、特に制限されないが、アクセス制御信号ACSCNTによってメモリイネーブルもしくはチップイネーブルにされたとき起動信号によって動作可能にされる。
図17には正の温度特性を形成する温度特性調整回路(VADJ)60の一例が示される。定電流源70にMOSトランジスタ71を直列接続し、直列接続ノードからVAGSrefを得る。MOSトランジスタ71のゲート・ドレイン間は短絡させる。温度変化に伴ってMOSトランジスタ71のオン抵抗が変動する。この変動は負の温度特性とされるから、電圧VAGSrefをゲートに直接或いは間接に受けるMOSトランジスタのオン抵抗は正の温度特性を持つことになる。したがってメモリトランジスタ21のソース側の制御MOSトランジスタ22による反転層24の抵抗は正の温度特性を持つことになる。具体的にはMOSトランジスタ71は制御MOSトランジスタ22と同様の構造とし、定電流源70には読み出し動作時にメモリセルトランジスタ21に流れる電流と同じ電流供給能力(例えば10mA)を持つようにする。
図18には負の温度特性を形成する温度特性調整回路(VADJ)61の一例が示される。同じ構造のMOSトランジスタ72,73を直列接続し、MOSトランジスタ72のゲート・ドレイン間を短絡させる。MOSトランジスタ73のゲートには前記電圧VAGSrefを印加する。ゲート・ソース間電位に着目すると、トランジスタ72に関するVa−VAGDrefと、トランジスタ73に関するVAGSreは等しくなる。トランジスタ72、73のドレイン・ソース電流が等しいからである。したがって、VAGDref=Va−VAGSrefとなり、VAGDrefの温度特性はVAGSrefの温度特性と逆になり、負の温度特性を持つことになる。
ワード線のための温度特性調整回路(VADJ)52は特に図示はしないが図17及び図18の回路構成を採用して、負の温度特性を実現することができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、メモリトランジスタは4値記憶に限定されず2値記憶であってもよい。また、不揮発性メモリは並列動作可能な複数バンクを有する構成に限定されない。不揮発性メモリはシステムLSIもしくはマイクロコンピュータなどのオンチップメモリにも適用可能である。更に本発明はフラッシメモリに限定されず、EEPROM、その他の記憶形式の不揮発性メモリにも広く適用することができる。ワード線電圧の位置的補償の電圧刻み及び一つの電圧刻みのブロックに含まれるワード線本数は上記の例に限定されず適宜変更可能である。
1 フラッシュメモリ
3 メモリアレイ
20 第1の制御トランジスタ
21 メモリトランジスタ
22 第2の制御トランジスタ
23 反転層
24 反転層
WL ワード線
31 絶縁膜
33 第1の電極
34 第2の電極
35 第3の電極
36 電荷蓄積領域
37 絶縁膜
52 ワード線電圧に対する温度特性調整回路
62 ソース側制御トランジスタのゲート電圧に対する温度特性調整回路
63 ドレイン側制御トランジスタのゲート電圧に対する温度特性調整回路
VWL ワード線電圧
VAGS ソース側制御トランジスタのゲート電圧
VAGD ドレイン側制御トランジスタのゲート電圧
3 メモリアレイ
20 第1の制御トランジスタ
21 メモリトランジスタ
22 第2の制御トランジスタ
23 反転層
24 反転層
WL ワード線
31 絶縁膜
33 第1の電極
34 第2の電極
35 第3の電極
36 電荷蓄積領域
37 絶縁膜
52 ワード線電圧に対する温度特性調整回路
62 ソース側制御トランジスタのゲート電圧に対する温度特性調整回路
63 ドレイン側制御トランジスタのゲート電圧に対する温度特性調整回路
VWL ワード線電圧
VAGS ソース側制御トランジスタのゲート電圧
VAGD ドレイン側制御トランジスタのゲート電圧
Claims (14)
- メモリトランジスタと制御トランジスタが繰り返し直列された回路を複数並列に有し、前記制御トランジスタはオンされることにより前記直列方向とは交差する方向に反転層を形成し、読み出し動作において前記制御トランジスタをオンさせてメモリトランジスタに流れる電流を制御トランジスタの反転層に引き込み可能とする不揮発性メモリであって、
前記制御トランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に正の温度特性を与える特性調整回路を有する不揮発性メモリ。 - 第1の制御トランジスタ、メモリトランジスタ、第2の制御トランジスタ、及びメモリトランジスタの順に繰り返し直列された回路を複数並列に有し、前記第1の制御トランジスタ及び第2の制御トランジスタはオンされることにより前記直列方向とは交差する方向に反転層を形成し、読み出し動作において第2の制御トランジスタとその左右一方の第1の制御トランジスタをオンさせてメモリトランジスタに流れる電流を前記第2の制御トランジスタの反転層に引き込み可能とする不揮発性メモリであって、
前記第2の制御トランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に正の温度特性を与える第1の特性調整回路を有する不揮発性メモリ。 - 前記第1の制御トランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に負の温度特性を与える第2の特性調整回路を有する請求項2記載の不揮発性メモリ。
- 前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に負の温度特性を与える第3の特性調整回路を有する請求項3記載の不揮発性メモリ。
- 前記第1の制御トランジスタと前記第2の制御トランジスタは前記メモリトランジスタに対して左右対称構造を有し、前記第1の特性調整回路による調整温度と前記第2の特性調整回路による調整温度は絶対値的に等しくされる請求項4記載の不揮発性メモリ。
- 前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に対してアクセスアドレスに応じてゲート・ソース間電圧を調整するための電圧選択回路を有する請求項2記載の不揮発性メモリ。
- 前記電圧選択回路は、前記第2の制御トランジスタの反転層による抵抗成分が大きくなる位置ほど前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に高い電圧を選択する請求項6記載の不揮発性メモリ。
- 前記電圧選択回路は、前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧を複数のワード線単位で相違させる請求項7記載の不揮発性メモリ。
- 前記メモリトランジスタは1個で複数ビットの情報を記憶する請求項7記載の不揮発性メモリ。
- メモリトランジスタの両側に制御トランジスタを直列した回路を繰り返し配置したメモリアレイを有し、制御トランジスタはオンされることにより反転層を形成し、読み出し動作において前記制御トランジスタをオンさせてメモリトランジスタに流れる電流を一方の制御トランジスタの反転層に引き込み可能とする不揮発性メモリであって、
前記一方の制御トランジスタのゲート電極に供給する信号電圧として正の温度特性による温度補償を行なった電圧を形成し、メモリトランジスタを挟んで他方の制御トランジスタのゲート電極に供給する信号電圧として前記温度補償分を相殺した電圧を形成する第1の電圧形成回路を有する不揮発性メモリ。 - 前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧として負の温度特性を持つ電圧を形成する第2の電圧形成回路を有する請求項10記載の不揮発性メモリ。
- 前記メモリトランジスタの左右に配置された制御トランジスタは当該メモリトランジスタに対して左右対称構造を有する請求項11記載の不揮発性メモリ。
- 前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に対してアクセスアドレスに応じてゲート・ソース間電圧を調整するための電圧選択回路を有する請求項12記載の不揮発性メモリ。
- 前記電圧選択回路は、前記第2の制御トランジスタの反転層による抵抗成分が大きくなる位置ほど前記メモリトランジスタのゲート電極に供給する信号電圧に高い電圧を選択する請求項13記載の不揮発性メモリ。
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