JP2006045860A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、アンカーのリフトオフ試験装置に関するものである。
グラウンドアンカー等の永久アンカーにおいては、要求される定着荷重での緊張状態を継続して維持する必要があるが、法面などの地盤等の変位やPC鋼材の伸び等により、その定着荷重は経時的に低下するため、永久アンカーにおいて定着荷重(残存引張力)等の健全度チェック、いわゆるリフトオフ試験が要求されている。ここで、リフトオフ試験とは、すでに定着されているアンカーの残存引張力を測定する方法のうち、定着具(アンカーヘッド等)やテンドン余長に緊張ジャッキ又はリフトオフ専用油圧ジャッキを設置して載荷することで、定着具が支圧板から離れ始めたときの荷重を測定し、アンカーの残存引張力を求めるものである。
永久アンカーの定着荷重(残存引張力)等の検査は、通常、PC鋼材等の再緊張のもとで測定される。そこで、従来、永久アンカーのアンカーヘッド等の定着具を把持し、定着具を引張ることによってPC鋼材の再緊張を可能とするジャッキが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このジャッキは、外筒に摺接された内筒のテーパー面に沿って複数個のくさび片を押し出し、くさび片でのアンカーヘッドを把持した状態で、アンカーヘッドを引張ることによって、PC鋼材が緊張されるものである。また、くさび片でのアンカーヘッドを把持する構成に代えて、アンカーヘッドより突出したテンドンの余長部分に定着部材(例えば、くさびやナット)を固定し、この定着部材自体を引張ることによって、PC鋼材が緊張される構成としたものもある。
これらのジャッキを用いてPC鋼材の再緊張時に油圧(荷重)や変位量を測定し、油圧(荷重)、変位グラフの変曲点から、PC鋼材の定着荷重(残存引張力)が求められる。
一方、永久アンカーの定着荷重(残存引張力)等の検査においては、法面などの地盤や法枠上に反力受けとして、一般的にH鋼を井形に組んだものを用いており、このH鋼の上部にプレートを跨設すると共に、このプレート上にジャッキを設置して検査を行なっている(例えば、特許文献2参照)。
実公平04−37957号公報(2頁、図1)
特開2003−139673号公報(6頁、図1及び図2)
しかしながら、特許文献1記載の発明では、アンカーヘッドとして一般的な円柱(円筒)状のものを対象としており、例えば、フレシネーアンカーのような雌コーンの側面が曲面状のものでは、くさび片で把持することができず、多様なアンカーヘッド形状には対応ができない。
また、アンカーヘッドより突出したテンドンの余長部分に定着部材を固定し、この定着部材自体を引張る場合でも、テンドン余長が少なくとも8cm程度以上あるものに限定されており、テンドン余長が8cm未満のアンカーについては再緊張ができない。加えて、例えば、フレシネーアンカーのような、雌コーンに雄コーンを嵌合し、雌コーンと雄コーンとの間に挟みこまれたPC鋼材を摩擦力によって定着させる構成のアンカーでは、テンドン余長分を引張ると雄コーンが浮き上がってしまい、検査後の再定着が困難となるという問題もある。
さらに、特許文献2記載の発明では、反力受けとしてH鋼を用いているが、井形に組む必要があるため、複数本を運ばなければならず、運搬性が悪いと共に、井形に組む際の設置等に手間がかかっており、また、法面等の斜面で作業を行う際には、作業者の安全性に問題があった。さらに、運搬性を考慮してH200以下を使用すると、H鋼全体の剛性が低いためウエブ部分で座屈が生じ、適切な試験データが得られないという問題もある。
そこで、本発明の主たる課題は、上記問題点を解決し、多様なアンカーに対して再緊張が可能であり、かつ試験作業の効率と安全性を向上させたアンカーのリフトオフ試験装置を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、アンカー頭部及びこれを定着させた定着具を支持するアンカープレートを引張ることにより、アンカーを再緊張する装置であって、前記アンカープレートと、複数の穿設孔を有するプリングプレートとを締結手段により一体化させ、このプリングプレートを引張る構成とした、ことを特徴とするリフトオフ試験装置である。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、アンカー頭部及びこれを定着させた定着具を支持するアンカープレートを引張ることにより、アンカーを再緊張する装置であって、前記アンカープレートと、複数の穿設孔を有するプリングプレートとを締結手段により一体化させ、このプリングプレートを引張る構成とした、ことを特徴とするリフトオフ試験装置である。
(作用効果)
アンカー頭部及びこれを定着させた定着具を支持するアンカープレートと、複数の穿設孔を有するプリングプレートと、を締結手段により一体化させ、このプリングプレートを引張り、アンカーを再緊張する構成とすることにより、例えば、アンカーヘッド等の定着具の形状がくさび片で把持できないようなものであっても、またテンドン余長が8cm未満のアンカーでも、再緊張が可能である。すなわち、多様なアンカーに対してリフトオフ試験を行うことができる。
アンカー頭部及びこれを定着させた定着具を支持するアンカープレートと、複数の穿設孔を有するプリングプレートと、を締結手段により一体化させ、このプリングプレートを引張り、アンカーを再緊張する構成とすることにより、例えば、アンカーヘッド等の定着具の形状がくさび片で把持できないようなものであっても、またテンドン余長が8cm未満のアンカーでも、再緊張が可能である。すなわち、多様なアンカーに対してリフトオフ試験を行うことができる。
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、複数のボルト孔を有する、筒状のプリングプレートと、該プリングプレートの内周面に螺刻された雌ネジ部に螺着するプリングカップラーと、該プリングカップラーの上部開口の内周面に螺刻された雌ネジ部に螺着するテンションバーと、該テンションバーを引張るセンターホールジャッキと、を備え、アンカー頭部及びこれを定着させた定着具を支持するアンカープレートを引張ることにより、アンカーを再緊張する装置であって、前記アンカープレートと前記プリングプレートとをボルトにより締結して一体化させ、このプリングプレートを引張ることによりアンカーを再緊張する構成とした、ことを特徴とするリフトオフ試験装置である。
請求項2記載の発明は、複数のボルト孔を有する、筒状のプリングプレートと、該プリングプレートの内周面に螺刻された雌ネジ部に螺着するプリングカップラーと、該プリングカップラーの上部開口の内周面に螺刻された雌ネジ部に螺着するテンションバーと、該テンションバーを引張るセンターホールジャッキと、を備え、アンカー頭部及びこれを定着させた定着具を支持するアンカープレートを引張ることにより、アンカーを再緊張する装置であって、前記アンカープレートと前記プリングプレートとをボルトにより締結して一体化させ、このプリングプレートを引張ることによりアンカーを再緊張する構成とした、ことを特徴とするリフトオフ試験装置である。
(作用効果)
請求項1記載の発明と同様の効果を奏する。
請求項1記載の発明と同様の効果を奏する。
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、既設のアンカープレートよりも若干大きく切欠かれた開口部を有する反力板を、前記アンカープレートに遊嵌させ、該反力板上に、センターホールジャッキを取付けたチェアを載置し、
アンカー再緊張の際には、この反力板を反力受けとする、請求項1又は2記載のリフトオフ試験装置である。
請求項3記載の発明は、既設のアンカープレートよりも若干大きく切欠かれた開口部を有する反力板を、前記アンカープレートに遊嵌させ、該反力板上に、センターホールジャッキを取付けたチェアを載置し、
アンカー再緊張の際には、この反力板を反力受けとする、請求項1又は2記載のリフトオフ試験装置である。
(作用効果)
反力板を反力受けとすることにより、H鋼を井形に組む必要がないため、設置等の手間がかからず、作業者の安全性が向上する。さらに、部材の座屈等により、適切な試験データが得られないといった問題が生ずる虞が少ない。
反力板を反力受けとすることにより、H鋼を井形に組む必要がないため、設置等の手間がかからず、作業者の安全性が向上する。さらに、部材の座屈等により、適切な試験データが得られないといった問題が生ずる虞が少ない。
<請求項4記載の発明>
請求項4記載の発明は、前記チェアは、下部チェアと上部チェアとが分離自在な構成とされた、請求項3記載のリフトオフ試験装置である。
請求項4記載の発明は、前記チェアは、下部チェアと上部チェアとが分離自在な構成とされた、請求項3記載のリフトオフ試験装置である。
(作用効果)
下部チェアと上部チェアとが分離自在な構成であることにより、装置の運搬性が向上する。
下部チェアと上部チェアとが分離自在な構成であることにより、装置の運搬性が向上する。
<請求項5記載の発明>
請求項5記載の発明は、前記下部チェアの左右側面に開口を設け、この開口部から前記プリングプレートの側面に取付けたアームをそれぞれ突出させ、アンカーの再緊張の際に、前記アームにより変位を計測する構成とされた、請求項4記載のリフトオフ試験装置である。
請求項5記載の発明は、前記下部チェアの左右側面に開口を設け、この開口部から前記プリングプレートの側面に取付けたアームをそれぞれ突出させ、アンカーの再緊張の際に、前記アームにより変位を計測する構成とされた、請求項4記載のリフトオフ試験装置である。
(作用効果)
前記下部チェアの左右側面の開口からそれぞれ突出したアームを計測することにより、再緊張の際の左右の変位量のズレを変位計により計測できる。この左右の変位量の差は、掘削孔の削孔時とアンカー体の定着時との角度のズレが要因であると考えられ、これらアームと開口の存在により、一般的なリフトオフ試験では得られない施工不良等も発見することができる。
前記下部チェアの左右側面の開口からそれぞれ突出したアームを計測することにより、再緊張の際の左右の変位量のズレを変位計により計測できる。この左右の変位量の差は、掘削孔の削孔時とアンカー体の定着時との角度のズレが要因であると考えられ、これらアームと開口の存在により、一般的なリフトオフ試験では得られない施工不良等も発見することができる。
本発明によれば、多様なアンカーに対して再緊張が可能であり、かつ試験作業の効率と安全性を向上させることができる等の利点がもたらされる。
以下、本発明の実施の形態を、法枠、深礎杭や枕梁等の固定に用いられたフレシネーアンカーの再緊張を例として説明する。
なお、フレシネーアンカーFは、図17に示すように、公知のものであり、一般的に、PC鋼材からなるテンドンF1と、このテンドンF1の地盤から突出した部分を嵌合により挟持する雄コーンF2及び雌コーンF3と、コーンジョイントF4と、アンカープレートF5と、シースF6と、を備えているものである。
なお、フレシネーアンカーFは、図17に示すように、公知のものであり、一般的に、PC鋼材からなるテンドンF1と、このテンドンF1の地盤から突出した部分を嵌合により挟持する雄コーンF2及び雌コーンF3と、コーンジョイントF4と、アンカープレートF5と、シースF6と、を備えているものである。
<アンカープレートに穿設・螺刻するための装置及びその方法>
図1乃至図5に基づき、フレシネーアンカーFのアンカープレートF5に、後述するプリングプレートを取り付け、ボルトの螺着によって一体化させるためのボルト孔を複数箇所形成するための装置及び方法について説明する。なお、図1はアンカープレートに穿設・螺刻するため装置を説明するための平面図であり、図2はその断面図であり、図3はタップボール装置取付け板の平面図であり、図4は雌ネジ位置設定治具の平面図であり、図5は雌ネジ位置設定治具を雌コーンに取付けた状態を示す平面図である。
図1乃至図5に基づき、フレシネーアンカーFのアンカープレートF5に、後述するプリングプレートを取り付け、ボルトの螺着によって一体化させるためのボルト孔を複数箇所形成するための装置及び方法について説明する。なお、図1はアンカープレートに穿設・螺刻するため装置を説明するための平面図であり、図2はその断面図であり、図3はタップボール装置取付け板の平面図であり、図4は雌ネジ位置設定治具の平面図であり、図5は雌ネジ位置設定治具を雌コーンに取付けた状態を示す平面図である。
タップボール装置取付け板2は、図1乃至図3に示すように、その中央にアンカープレートF5の形状に開口された開口部2Aと、タップボール装置取付け板2の外周側面と開口部2Aの側面とを貫通し、アンカープレートF5の側面に当接可能な位置決めボルト2B,2B,…と、後述するタップボール装置3を固定するためにタップボール装置取付け板2の表面に穿設された穿設部2C,2C,…と、を備えた、外形が四角形状の板である。
具体的には、本実施の形態のアンカープレートF5は四角形状であるので、開口部2Aの形状もそれに合わせて四角形状で、かつアンカープレートF5よりも若干大きく切欠かれており、開口部2AはアンカープレートF5に遊嵌できるようになっている。位置決めボルト2B,2B,…は、タップボール装置取付け板2の四周の側面の略中央に形成された雌ネジ部(図示せず)にそれぞれ螺着されており、位置決めボルト2B,2B,…を締め付けることにより、開口部2Aの側面から突出し、アンカープレートF5の側面と当接してタップボール装置取付け板2の位置決めがなされると共に、アンカープレートF5と一体化するようになっている。また、タップボール装置取付け板2と法枠等との固定は、穿設部2C,2C,…の数箇所(例えば、アンカープレートF5を挟んで上下1箇所ずつ)にホールインアンカー等を打ち込むことによりなされている。
ここで、穿設部2C,2C,…はタップボール装置取付け板2の表面に格子状に形成されており、また、それぞれの穿設部2C,2C,…の内周は雌ネジ加工がなされ、後述するタップボール装置3に取付けられた雄ネジ突起3Dを所望の位置に配置し、かつ螺着により一体化されるようになっている。
なお、タップボール装置取付け板2の開口部2Aの形状は、四角形状に限定されるものではない。すなわち、本発明の要旨よりアンカープレートF5の形状に合わせて加工すればよく、多角形や丸形状等であってもよい。また、タップボール装置取付け板2の外形状も、同様に四角形状に限定されるものではなく、多角形や丸形状等であってもよい。さらに、穿設部2C,2C,…はタップボール装置取付け板2の表面に格子状に形成されることに限定されるものではなく、放射状や千鳥状等に形成してもよい。
タップボール装置3は、図1及び図2に示されるように、ドリルやタップ3Bを回動させるタップボール盤本体3Aと、このタップボール盤本体3Aに取付けられ、タップボール装置取付け板2の表面に接着可能な磁石3Cと、タップボール盤本体3Aに取付けられ、タップボール装置取付け板2の穿設部2C,2C,…に螺着可能な雄ネジ突起3Dと、を備えている。
具体的には、磁石3Cは、タップボール装置取付け板2の表面に対向するタップボール盤本体3Aの側面に取付けられており、この磁石3Cが鉄成分を含む材料で形成されたタップボール装置取付け板2の表面に磁力により接着することによって、タップボール盤本体3Aがタップボール装置取付け板2に固定される。また、雄ネジ突起3Dはタップボール装置取付け板2の表面に対し略直交するようにタップボール盤本体3Aに取付けられており、この雄ネジ突起3Dが任意の位置の穿設部2Cに螺着することにより、さらに確実にタップボール盤本体3Aがタップボール装置取付け板2に固定されるようになっている。
雌ネジ位置設定治具4は、図4及び図5に示すように、その中央に雌コーンF3の形状に開口された開口部4Aと、雌ネジ位置設定治具4の外周側面と開口部4Aの側面とを貫通し、雌コーンF3の側面に当接可能な位置決めボルト4B,4B,…と、アンカープレートF5に形成する雌ネジ位置を予め規定する穿設部4C,4C,…と、を備えた、リング形状の板である。
具体的には、本実施の形態の雌コーンF3は円形状であるので、開口部4Aの形状もそれに合わせて円形状で、かつ雌コーンF3よりも若干大きく形成されており、開口部4Aは雌コーンF3に遊嵌できるようになっている。位置決めボルト4B,4B,…は、雌ネジ位置設定治具4の外周の側面に略等間隔に形成された雌ネジ部(図示せず)にそれぞれ螺着されており、位置決めボルト4B,4B,…を締め付けることにより、開口部4Aの側面から突出し、雌コーンF3の側面と当接して雌ネジ位置設定治具4の位置決めがなされると共に、雌コーンF3と一体化するようになっている。位置決めボルト4B,4B,…を締め付けによりセンタリングを行いながら、均等に穿設・螺刻されるので、後述するように、再緊張の際には、均等にテンドンに応力を与えることができ、試験精度を上げることができる。なお、位置決めボルト4B,4B,…の本数は、4本に限定されるものではなく、複数本設ければよい。
穿設部4C,4C,…は、雌ネジ位置設定治具4の表面に略等間隔かつ、表面と裏面を貫通するように形成されており、この穿設部4C,4C,…をガイドとしてタップボール装置3のドリルにより穿設され、その後、タップ3BによりアンカープレートF5に雌ネジF51,F51,…が螺刻されるようになっている(図1及び図2では、雌ネジ位置設定治具4は図示せず)。これらの構成により、この穿設部4C,4C,…をガイドとしてアンカープレートF5に雌ネジF51,F51,…を形成すれば、雌コーンF3を中心として同一円状に螺刻することができる。そのため、ボルトの螺着によって一体化させたプリングプレート11を引張る再緊張の際には、均等にテンドンに応力を与えることができ、試験精度の向上を図ることができる。また、雌ネジ位置設定治具4の外周面には、取手4Eが設けられており、これを作業員が把持して雌コーンF3に雌ネジ位置設定治具4を遊嵌させることができる。
なお、雌ネジ位置設定治具4の開口部4Aの形状は、円形状に限定されるものではない。すなわち、本発明の要旨より雌コーンF3の形状に合わせて加工すればよく、多角形状等であってもよい。また、雌ネジ位置設定治具4の形状も、同様にリング形状に限定されるものではなく、多角形状等であってもよい。
次に、アンカープレートに穿設・螺刻する方法について説明する。
図1及び図2に示すように、タップボール装置取付け板2をその開口部2Aを介してアンカープレートF5に遊嵌し、開口部2AのセンターにアンカープレートF5が位置するように、位置決めボルト2B,2B,…(図1及び図2では図示せず)を締め付けて調整する。調整後、穿設部2C,2C,…の数箇所にホールインアンカー等を打ち込むことにより、タップボール装置取付け板2と法枠等とを固定する。
図1及び図2に示すように、タップボール装置取付け板2をその開口部2Aを介してアンカープレートF5に遊嵌し、開口部2AのセンターにアンカープレートF5が位置するように、位置決めボルト2B,2B,…(図1及び図2では図示せず)を締め付けて調整する。調整後、穿設部2C,2C,…の数箇所にホールインアンカー等を打ち込むことにより、タップボール装置取付け板2と法枠等とを固定する。
そして、タップボール装置3の磁石3Cをタップボール装置取付け板2の表面に磁力により接着すると共に、雄ネジ突起3Dをタップボール装置取付け板2の任意の位置の穿設部2Cに螺着することにより、タップボール盤本体3Aをタップボール装置取付け板2に固定する。
また、雌ネジ位置設定治具4を、図5に示すように、その開口部4Aを介して雌コーンF3に遊嵌し、開口部4Aのセンターに雌コーンF3が位置するように、位置決めボルト4B,4B,…(図1及び図2には図示せず)を締め付けて調整する。ここで、雌ネジ位置設定治具4の雌コーンF3への取付けについては、タップボール装置3のタップボール装置取付け板2への取付けに先行して行なってもよいし、また同時に行なってもよい。
そして、雌ネジ位置設定治具4の穿設部4C,4C,…をガイドとしてタップボール装置3のドリルによりアンカープレートF5に孔を開け、その後、タップ3Bをタップボール盤本体3Aに装着し、後述するプリングプレートを取付けるためのボルトを螺着させるための雌ネジF51,F51,…を螺刻すればよい。この際、タップボール装置3を、適宜、移動させ設置位置を変えながら行なっていくが、複数台を同時に併用して行なってもよい。
なお、本発明に係る構成及び装置は、アンカープレートを介してアンカーを再緊張させるものであるため、フレシネーアンカーに限定されるものではなく、多様なアンカー(例えば、様々なアンカーヘッドの形状、テンドン余長、定着方式等)に対応できる。また、法枠、深礎杭や枕梁等を反力として利用するものに限られず、法面等の地山や各種構造物を反力として利用しても良い。
<アンカーを再緊張させる装置及びそれを用いた再緊張方法>
図6乃至図16に基づき、フレシネーアンカーFのアンカープレートF5を介してアンカーを再緊張させる装置及びそれを用いた再緊張方法について説明する。なお、図6はリフトオフ試験装置(再緊張装置)の正面・断面図であり、図7は反力板の平面図であり、図8はプリングプレートとプリングカップラーの平面図及び断面図であり、図9は下部チェアの平面図及び断面図であり、図10は上部チェアの平面図及び断面図であり、図11はテンションバーの正面図であり、図12,図14は定着部材の平面図及び断面図であり、図13は支持プレートの平面図であり、図15は左右アームと変位計測開口との関係を説明するための断面図であり、図16はその再緊張時の断面図である。
図6乃至図16に基づき、フレシネーアンカーFのアンカープレートF5を介してアンカーを再緊張させる装置及びそれを用いた再緊張方法について説明する。なお、図6はリフトオフ試験装置(再緊張装置)の正面・断面図であり、図7は反力板の平面図であり、図8はプリングプレートとプリングカップラーの平面図及び断面図であり、図9は下部チェアの平面図及び断面図であり、図10は上部チェアの平面図及び断面図であり、図11はテンションバーの正面図であり、図12,図14は定着部材の平面図及び断面図であり、図13は支持プレートの平面図であり、図15は左右アームと変位計測開口との関係を説明するための断面図であり、図16はその再緊張時の断面図である。
本発明に係るリフトオフ試験(再緊張装置)1は、図6に示すように、プリングプレート11と、プリングカップラー12と、下部チェア13と、上部チェア14と、テンションバー15と、センターホールジャッキ16、とを備えている。
この再緊張装置1は、反力として法枠等を用いており、反力板17を介して反力を伝達している。この反力板17は、図7に示すように、その中央にアンカープレートF5の形状に開口された開口部17Aと、反力板17の外周側面と開口部17Aの側面とを貫通し、アンカープレートF5の側面に当接可能な位置決めボルト17B,17B,…と、を備えた、外形が四角形状の板である。
具体的には、本実施の形態のアンカープレートF5は四角形状であるので、開口部17Aの形状もそれに合わせて四角形状で、かつアンカープレートF5よりも若干大きく切欠かれており、開口部17AはアンカープレートF5に遊嵌できるようになっている。位置決めボルト17B,17B,…は、反力板17の四周の側面の略中央に形成された雌ネジ部(図示せず)にそれぞれ螺着されており、位置決めボルト17B,17B,…を締め付けることにより、開口部17Aの側面から突出し、アンカープレートF5の側面と当接して反力板17の位置決めがなされると共に、アンカープレートF5と一体化するようになっている(図6では図示せず)。なお、位置決めボルト17B,17B,…の本数は、4本に限定されるものではなく、複数本設ければよい。
開口部17Aの大きさは、タップボール装置取付け板2よりも大きくすることが再緊張時のせり上がりを防ぐ観点から好適である。また、反力板17の表面からホールインアンカー等を打ち込むことにより反力板17と法枠等とを固定してもよい。また、反力板17の外周面には、取手(図示せず)が設けられており、これを作業員が把持してアンカープレートF5に反力板17を遊嵌させることができる。後述するが、反力板17上に再緊張装置1を組み上げた後、リフトオフ試験を行う際には、初期荷重を反力板17にかけると共に、位置決めボルト17B,17B,…を緩める必要がある。アンカープレートF5との構造的一体化状態を解消し、反力板17の再緊張時のせり上がりを防ぐためである。
反力板17を反力受けとすることにより、従来の反力受けとしてのH鋼を井形に組む必要がないため、設置等の手間がかからず、作業者の安全性が向上する。さらに、反力板17は板状部材であるため、部材の座屈等により適切な試験データが得られないといった問題が生ずる虞が少ない。
なお、反力板17の開口部17Aの形状は、四角形状に限定されるものではない。すなわち、本発明の要旨よりアンカープレートF5の形状に合わせて加工すればよく、多角形や丸形状等であってもよい。また、反力板17の外形状も、後述する下部チェア13が設置できる大きさを確保できればよく、四角形状に限定されるものではなく、多角形や丸形状等であってもよい。
プリングプレート11は、図8(1),(2)に示すように、雌コーンF3に対し遊嵌可能な大きさを持つ開口部11Aと、前述した雌ネジ位置設定治具4の穿設部4C,4C,…(雌ネジF51,F51,…)と同位置かつ同間隔で、軸方向に形成された雌ネジ状のボルト孔11C,11C,…と、後述する左右アーム50,50を取付できるように側面に対称に形成されたアーム受け部11D,11Dと、を備えた筒体状である。
具体的には、本実施の形態の雌コーンF3は円形状であるので、開口部11Aの形状もそれに合わせて円形状で、かつ雌コーンF3よりも大きく開口がなされていると共に、この開口部11Aの内周面には、後述するプリングカップラー12を螺着させる雌ネジ11B部が螺刻されている。プリングプレート11は、雌ネジF51,F51,…が雌コーンF3を中心として同一円状に螺刻されており、かつこれらと同位置かつ同間隔にボルト孔11C,11C,…が形成されているため略円筒形状であるが、必ずしも円筒形状である必要はない。ボルト孔11C,11C,…にボルト51,51,…をレンチ等により螺合させることにより、プリングプレート11はアンカープレートF5と構造的に一体となり、図16に示すように、テンションバー15が引張られることにより、プリングカップラー12及びプリングプレート11を介して、アンカープレートF5が引張られ、アンカーに対して再緊張が可能となる。この場合、ボルト孔11C,11C,…は雌ネジが螺刻されていない穿設孔でもよく、また、図示はしないがアンカープレートF5自体にボルトを植設し、そのボルトとプリングプレート11とを螺合させて一体化させてもよい。
図15及び図16に示すように、プリングプレート11の側面のアーム受け部11D,11Dには、左右アーム50,50が取付けられている。この左右アーム50,50は、後述する変位計測開口13C,13Cから突出し、再緊張の際の左右の変位量のズレを変位計(図示せず)により計測できるようになっている。左右の変位量の差は、掘削孔の削孔時とアンカー体の定着時との角度のズレが要因であると考えられ、左右アーム50,50と変位計測開口13C,13Cの存在により、一般的なリフトオフ試験では得られない施工不良等も本試験装置では発見することができる。
プリングカップラー12は、図8(1),(2)に示すように、その下端外周面に、プリングプレート11に形成された雌ネジ11B部に螺着可能に螺刻された雄ネジ部12Aと、その上部開口の内周面に、後述するテンションバー15を螺着可能に螺刻された雌ネジ部12Bと、を備えている。このプリングカップラー12をプリングプレート11と螺着させると共に、テンションバー15を螺着させることにより、テンションバー15はプリングカップラー12及びプリングプレート11を介してアンカープレートF5と構造的に一体となる。そのため、このテンションバー15を後述するセンターホールジャッキ16で引張ることにより アンカーを再緊張することができる。
下部チェア13は、図9に示すように、下部筒体13Aと、この下部筒体13Aの上部に設けられ、後述する上部チェア14を支持する受け部材13Bと、を備えている。下部筒体13Aは、本実施の形態では、四角筒形状であり、一側面とその側面の対称の側面とには(本実施の形態では左右側面)、変位計測開口13C,13Cが形成されている。これら変位計測開口13C,13Cは、前述したプリングプレート11のアーム受け部11D,11Dに取付けられた左右アーム50,50の変位を計測するためのものである。受け部材13Bは、上部チェア14の下端を係合させる係合突部が形成されたリング状の部材である。なお、上部チェア14の平面形状に合わせてリング状としているが、リング形状に限定されるものではなく、上部チェア14の平面形状に合わせて形状を適宜変更できる。
上部チェア14は、図10に示すように、円筒状の筒体部14Aと、この筒体部14Aの上端を覆うように設けられた、中央部にテンションバー15を挿入可能な挿入口14Cを有する上面部14Bと、を備えている。上部チェア14の筒体部14Aと下部チェア13の下部筒体13Aとの高さによって、この高さ方向の再緊張の際のプリングカップラー12の変位を可能としている。そして、上部チェア14と下部チェア13とが分離できるようになっていることにより、装置の運搬性を向上させている。上面部14Bは後述するセンターホールジャッキ16を支持すると共に、再緊張の際、テンドンF1が破断等によりプリングカップラー12が引張方向に飛び出したときに、安全面等の観点から、外部に飛び出してしまうのを防ぐ役割をしている。挿入口14Cは、プリングカップラー12の雌ネジ部12Bに螺着したテンションバー15を遊びを持たせながら挿入可能としている。
テンションバー15は、図11に示すように、その下部にプリングカップラー12の雌ネジ部12Bに螺合する雄ネジ部15Aと、上部に後述する定着部材19Aに螺合する雄ネジ部15Bと、を備えたロッド状の部材である。
センターホールジャッキ16は、公知のものであり、その底面が上部チェア14の上面部14Bに載置される。このセンターホールジャッキ16内には、プリングカップラー12の雌ネジ部12Bに螺着したテンションバー15が挿入され、ラム16Aの上端から突出した部分には、定着部材19Aが螺着される。そして、この定着部材19Aの上端には、支持プレート52をかませた状態で、定着部材19Bが羅着される。挟持された支持プレート52は、ワイヤー孔53を介して、支持ワイヤー(図示せず)により法枠等に固定され、テンションバー15の外への飛び出しが防止されている。
変位計(図示せず)は、単管等により法枠等から支持をとった不動梁(又は不動点やり方)に取付けられ、支持プレート52と左右アーム50,50のそれぞれの変位量が求められる。
次に、アンカーの再緊張装置の設置方法について説明する。
まず、プリングプレート11をアンカープレートF5上に設置し、ボルト孔11C,11C,…にボルト51,51,…をレンチ等により螺合させることにより、プリングプレート11をアンカープレートF5に取付ける。そして、プリングカップラー12をプリングプレート11の雌ネジ部11Bに螺着させることにより連結する。
まず、プリングプレート11をアンカープレートF5上に設置し、ボルト孔11C,11C,…にボルト51,51,…をレンチ等により螺合させることにより、プリングプレート11をアンカープレートF5に取付ける。そして、プリングカップラー12をプリングプレート11の雌ネジ部11Bに螺着させることにより連結する。
反力板17については、プリングプレート11の取付け前後に、反力板17をその開口部17Aを介してアンカープレートF5に遊嵌し、開口部17AのセンターにアンカープレートF5が位置するように、位置決めボルト17B,17B,…を締め付けて調整して取付ければよい。
その後、反力板17に下部チェア13を載置し、この下部チェア13の受け部材13B上に上部チェア14を載置する。この状態で、上部チェア14の挿入口14Cよりテンションバー15を挿入し、プリングカップラー12の雌ネジ部12Bにテンションバー15の雄ネジ部15Aを螺合させ、プリングカップラー12とテンションバー15を一体化させる。
そして、テンションバー15を嵌入するようにセンターホールジャッキ16を設置し、ラム16Aの上端から突出したテンションバー15の部分に、定着部材19A、支持プレート52、定着部材19Bの順に嵌め入れる。
その後、単管等により法枠等から支持をとった不動梁(又は不動点やり方)における支持プレート52と左右アーム50,50のそれぞれの変位量を求める位置に、変位計(図示せず)を取付ければよい。
なお、反力板17上に再緊張装置1を組み上げた後、リフトオフ試験を行う際には、反力板17の再緊張時のせり上がりを防ぐため、初期荷重を反力板17にかけると共に、位置決めボルト17B,17B,…を緩める。
本発明に係るアンカーのリフトオフ試験方法としては、アンカー頭部及びこれを定着させた定着具を支持するアンカープレートF5を引張ることにより、アンカーを再緊張する方法に関するもの以外は、公知の方法で実施できる。
リフトオフ試験の変位量の計測点として、アンカーの軸中心上の前述した支持プレート52を第1の計測点とし、プリングプレート11の左右側面に対称に形成されたアーム受け部11D,11Dに取付けられた左右アーム50,50を第2の計測点及び第3の計測点とし、これら第1〜第3の計測点でアンカー再緊張の際の変位量を計測するものである。このことによって、再緊張の際の左右の変位量のズレも計測でき、一般的なリフトオフ試験では得られない施工不良等も発見することができる。
リフトオフ試験の変位量の計測点として、アンカーの軸中心上の前述した支持プレート52を第1の計測点とし、プリングプレート11の左右側面に対称に形成されたアーム受け部11D,11Dに取付けられた左右アーム50,50を第2の計測点及び第3の計測点とし、これら第1〜第3の計測点でアンカー再緊張の際の変位量を計測するものである。このことによって、再緊張の際の左右の変位量のズレも計測でき、一般的なリフトオフ試験では得られない施工不良等も発見することができる。
1…リフトオフ試験装置(再緊張装置)、2…タップボール装置取付け板、2A…開口部、2B…位置決めボルト、2C…穿設部、3…タップボール装置、3A…タップボール盤本体、3B…タップ、3C…磁石、3D…雄ネジ突起、4…雌ネジ位置設定治具、4A…開口部、4B…位置決めボルト、4C…穿設部、11…プリングプレート、11A…開口部、11C…ボルト孔、11D…アーム受け部、12…プリングカップラー、12A…雄ネジ部、12B…雌ネジ部、13…下部チェア、13A…下部筒体、13B…受け部材、13C…変位計測開口、14…上部チェア、14A…筒体部、14B…上面部、14C…挿入口、15…テンションバー、15A…雄ネジ部、15B…雄ネジ部、16…センターホールジャッキ、16A…ラム、17…反力板、17A…開口部、17B…位置決めボルト、19A,19B…定着部材、50…左(右)アーム、51…ボルト、52…支持プレート、53…ワイヤー孔、F…フレシネーアンカー、F1…テンドン、F2…雄コーン、F3…雌コーン、F4…コーンジョイント、F5…アンカープレート、F6…シース、F51…雌ネジ。
Claims (5)
- アンカー頭部及びこれを定着させた定着具を支持するアンカープレートを引張ることにより、アンカーを再緊張する装置であって、
前記アンカープレートと、複数の穿設孔を有するプリングプレートとを締結手段により一体化させ、このプリングプレートを引張る構成とした、
ことを特徴とするリフトオフ試験装置。 - 複数のボルト孔を有する、筒状のプリングプレートと、該プリングプレートの内周面に螺刻された雌ネジ部に螺着するプリングカップラーと、該プリングカップラーの上部開口の内周面に螺刻された雌ネジ部に螺着するテンションバーと、該テンションバーを引張るセンターホールジャッキと、を備え、
アンカー頭部及びこれを定着させた定着具を支持するアンカープレートを引張ることにより、アンカーを再緊張する装置であって、
前記アンカープレートと前記プリングプレートとをボルトにより締結して一体化させ、
このプリングプレートを引張ることによりアンカーを再緊張する構成とした、
ことを特徴とするリフトオフ試験装置。 - 既設のアンカープレートよりも若干大きく切欠かれた開口部を有する反力板を、前記アンカープレートに遊嵌させ、
該反力板上に、センターホールジャッキを取付けたチェアを載置し、
アンカー再緊張の際には、この反力板を反力受けとする、請求項1又は2記載のリフトオフ試験装置。 - 前記チェアは、下部チェアと上部チェアとが分離自在な構成とされた、請求項3記載のリフトオフ試験装置。
- 前記下部チェアの左右側面に開口を設け、この開口部から前記プリングプレートの側面に取付けたアームをそれぞれ突出させ、
アンカーの再緊張の際に、前記アームにより変位を計測する構成とされた、請求項4記載のリフトオフ試験装置。
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