JP2006044190A - 相変化記録材料及び情報記録用媒体 - Google Patents

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孝志 大野
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Abstract

【課題】 本発明は、高速記録用の媒体または記録層を2層化した記録媒体等での記録消去が可能であり、反射率や信号振幅などの記録信号特性に優れ、記録信号の保存安定性の高い相変化記録材料、及びこれを用いた情報記録用媒体を提供することを主目的とする。
【解決手段】 本発明は、(BiSn1−x(GeTe1−z1−y(ただし、原子数比を表すx、y、zは、0<x<1、0<y≦0.4、0.2≦z≦0.5を満たす。)で表される組成を主成分とすることを特徴とする相変化記録材料を提供することにより、上記目的を達成するものである。
【選択図】 無し

Description

本発明は、相変化記録材料及びそれを用いた情報記録用媒体に関する。
相変化を利用した記録方法としては、光、電流(ジュール熱)などのエネルギービームもしくはエネルギー流を作用させることで、金属または半導体の結晶構造を可逆的に変化せしめる方法が知られている。一般的には、結晶状態と非晶質状態とにおける物理的パラメーター、例えば、屈折率、電気抵抗、体積、密度変化等の差を検出することで、情報の記録再生を行う。
光学的情報記録用媒体においては、集束光ビームを照射して局所的に形成した結晶状態と非晶質状態との可逆的な変化に伴う反射率変化を利用して記録再生が行われる。このような相変化記録層を有する光学的情報記録用媒体は、可搬性、耐候性、耐衝撃性等に優れた安価な大容量記録媒体として開発及び実用化が進んでいる。例えば、CD−RW、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどの書き換え可能な相変化型の光学的情報記録用媒体(相変化型光ディスク)が普及している。更には、青色レーザー使用や対物レンズの高NA化による高密度化、記録パルス波形の改良による高速記録化などの開発が行われている。
ここで、上記相変化記録層の材料としてはカルコゲン系合金が多く用いられる。カルコゲン系合金としては、例えば、Ge−Sb−Te系、In−Sb−Te系、Ag−In−Sb−Te系合金が挙げられる(例えば特許文献1)。カルコゲン系合金として実用化されている材料としては、Sb、Teを含有する材料を挙げることができる。このような材料としては、GeTe−SbTe疑似2元系合金と、Sb70Te30に過剰のSbを含むSbTe共晶系合金がある。これら合金はオーバーライト可能な材料でもある。オーバーライトとは、一旦記録済みの光学的情報記録用媒体に再度記録をする際に、記録前に消去を行うことなくそのまま重ね書きする手法、いわば消去しながら記録する手法である。
近年、情報量の増大に伴い、さらに高速の記録消去再生が可能な光学的情報記録用媒体の開発が望まれている。そのためには更なる高速結晶化が可能な相変化記録材料を相変化記録層に用いることが必要となる。しかしながら、高速結晶化、非晶質マークの優れた安定性、十分に大きい信号振幅、及び十分に低い信号ノイズ等の特性を同時に満足する相変化記録材料が得られにくい問題がある。
また、相変化記録層の膜厚が10nm程度以下に薄くなると、相変化記録層の結晶化速度は著しく低下するため、記録消去速度をそれほど高速としない場合においても、相変化記録層に高い結晶化速度用の相変化記録材料を用いる必要がある。たとえば、記録容量を上げるために、2層の相変化記録層を光学的に分離できる程度に距離を離して2層化して設け、レーザー光入射時焦点位置を変えてそれぞれの相変化記録層に記録をする書き換え型相変化光ディスクがある。このような相変化記録層を2層化した書き換え型相変化光ディスクにおいては、少なくとも一方の相変化記録層は光を十分に透過させることが必要なため、相変化記録層の膜厚は数nm程度に薄くする必要がある。この書き換え型相変化光ディスクの相変化記録層を2層化する場合にも、薄く設ける相変化記録層に高速結晶化が可能な相変化記録材料が必要となり、上記と同様な問題が生じる。
特開2003−191638号公報
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、高速記録用の媒体または記録層を2層化した記録媒体等での記録消去が可能であり、反射率や信号振幅などの記録信号特性に優れ、記録信号の保存安定性の高い相変化記録材料、及びこれを用いた情報記録用媒体を提供することにある。特に、情報記録用媒体の応用の一形態である光学的情報記録用媒体を提供することにある。
本発明者等は、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、Bi、Sn、GeおよびTeの組成が所定の関係式を満たすことにより、高速結晶化、非晶質マークの優れた安定性、十分に大きい信号振幅等の特性を同時に満足する相変化記録材料を得られることを見出して本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される組成を主成分とすることを特徴とする相変化記録材料を提供する。
(BiSn1−x(GeTe1−z1−y (1)
(ただし、原子数比を表すx、y、zは、0<x<1、0<y≦0.4、0.2≦z≦0.5を満たす。)
本発明によれば、Ge−Te系材料にBiおよびSn加えたBi−Sn−Ge−Te系材料を用い、かつ、Bi、Sn、GeおよびTeを所定の組成で含有させることにより、結晶化速度が速く、信号振幅も大きく、さらに非晶質マーク安定性が良い相変化記録材料とすることができる。
また、本発明は、記録層を有する情報記録用媒体であって、上記記録層が下記一般式(1)で表される組成を主成分とすることを特徴とする情報記録用媒体を提供する。
(BiSn1−x(GeTe1−z1−y (1)
(ただし、原子数比を表すx、y、zは、0<x<1、0<y≦0.4、0.2≦z≦0.5を満たす。)
本発明によれば、記録層にBi、Sn、GeおよびTeを所定の組成で含有するBi−Sn−Ge−Te系材料を用いることにより、高速記録においても十分に大きい信号振幅、非晶質マーク安定性等の優れた記録特性を有する情報記録用媒体を実現することができる。
このような本発明の情報記録用媒体は、特に、レーザー光で記録を行う光学的情報記録用媒体への応用に適している。
さらに、本発明においては、上記記録層に接して結晶化促進層を設けることが好ましい。結晶化促進層を設けることにより、さらなる高速記録(高い結晶化速度)の達成が可能となるからである。
本発明によれば、高速での記録消去が可能で、優れた記録信号強度を有し、記録信号の保存安定性が高い相変化記録材料、及びこれを用いた情報記録用媒体を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
A.相変化記録材料
まず、本発明の相変化記録材料について説明する。
本発明の相変化記録材料は、下記一般式(1)で表される組成を主成分とすることを特徴としている。
(BiSn1−x(GeTe1−z1−y (1)
(ただし、原子数比を表すx、y、zは、0<x<1、0<y≦0.4、0.2≦z≦0.5を満たす。)
なお、本発明において、「所定組成を主成分とする」とは、相変化記録材料全体のうち、上記所定組成の含有量が90原子%以上であることを意味する。本発明の効果を有効に発揮するためには、相変化記録材料全体のうち、上記一般式(1)で表される組成が、好ましくは95原子%以上、より好ましくは98原子%以上含有される。
本発明の相変化記録材料は、Bi、Ge、SnおよびTeを主成分とするものである。
一般に、Ge−Te系材料、例えばGe50Te50付近の組成は信号振幅(信号強度)が大きくとれることが知られているが、結晶化速度は遅く高速記録用材料として使うことは困難である。
ここで、Ge−Te系材料にBiを添加すると結晶化速度が速くなる傾向にあるが、本発明者等がさらに検討を行った結果、以下のことが明らかとなった。すなわち、Ge−Te系材料にBiを添加したBi−Ge−Te系材料において、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)の原子数の比が0.5を超える場合は、Biを添加しても結晶化速度が十分には速くならない傾向にあることがわかった。より詳細に説明すると、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)の値が0.5以下になると、所定のBi添加量で結晶化速度が極大値をとるようになる。そして、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)の値が小さくなるほど結晶化速度の極大値が大きくなることがわかった。さらに、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)の値が小さいほど、結晶化速度が極大値となるようなBi添加量は多くなる傾向にあることもわかった。
したがって、高速記録用の結晶化速度を得るためには、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)の値を小さくした状態でBiを添加すればよいが、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)の値を小さくすると、記録材料の結晶と非晶質の複素屈折率の変化が小さくなるために、信号振幅が小さくなる傾向にある。すなわち、Bi−Ge−Te系材料においては、結晶化速度と信号振幅とはトレードオフの関係にあると考えられる。
このため、Bi−Ge−Te系材料においては、高速記録用に結晶化速度を速くすると信号振幅が小さくなる傾向にある。ここで、信号振幅をなるべく大きくするには、必要な結晶化速度が得られる組成の中で、最も(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)の値が大きくなるような組成を選ぶのがよい。ただし、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)の値が少し変化すると、信号振幅が大きく変化するため、相変化記録材料の品質を安定させることが難しく、生産時には(Ge含有量)/(G含有量+Te含有量)の制御性が重要となる。
なお、Bi−Ge−Te系材料においては、上述のとおりに組成調整をおこない結晶化速度を速くすると、非晶質マークの安定性も悪化する傾向にある。しかしながら、少なくともDVD+RWの10倍速での記録消去が可能な結晶化速度までの記録速度範囲においては、非晶質マークの安定性に関する大きな問題は起こらないようである。
一方、Ge−Te系材料にSnを加えたSn−Ge−Te系材料においても、Snを加えることにより結晶化速度は速くなる傾向にある。本発明者等が、Sn−Ge−Te系材料の組成比を様々変化させて作製した書き換え可能な相変化型の光学的情報記録用媒体の特性を詳細に調べた結果、以下のことが明らかとなった。すなわち、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)の値が0.5を超える場合はSnを添加しても結晶化速度が十分には速くならない傾向にあることがわかった。より詳細に説明すると、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)が0.5以下になると、所定のSn添加量で結晶化速度が極大値をとるようになる。そして、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)が小さくなるほど結晶化速度の極大値が大きくなることがわかった。さらに、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)が小さいほど、結晶化速度が極大値となるようなSn添加量は多くなる傾向にあることもわかった。
すなわち、Bi−Ge−Te系の相変化記録材料、及びSn−Ge−Te系の相変化記録材料において、相変化記録材料の組成と結晶化速度との関係は似た振る舞いをする。
したがって、高速記録用の結晶化速度を得るためには、(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)を小さくした状態でSnを添加すればよい。ここで、本発明者等の検討によれば、Bi−Ge−Te系の相変化記録材料で問題となる信号振幅の低下は、Sn−Ge−Te系の相変化記録材料では起こらないことがわかった。これは、Geを少なくすると信号振幅低下の傾向はあるものの、Snを多くすることで信号振幅を大きくすることができるためであると考えられる。結果として、結晶化速度を速くするために(Ge含有量)/(Ge含有量+Te含有量)を小さくした状態において、Snを多くしたとき信号振幅の低下は問題とはならないのである。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、Sn−Ge−Te系の相変化記録材料では結晶化速度を速くすると非晶質マークの安定性が低下することがわかった。例えば、Sn−Ge−Te系の相変化記録材料を用いたDVD+RWにおいて、10倍速での記録消去が可能なように結晶化速度を上げると非晶質マークは十分な安定性を示さなくなる。すなわち、Sn−Ge−Te系の相変化記録材料においては、結晶化速度と非晶質マーク安定性とはトレードオフの関係にあると考えられる。
以上のように、Bi−Ge−Te系の相変化記録材料、及びSn−Ge−Te系の相変化記録材料のそれぞれに、結晶化速度の高速化に伴って発生する問題点がある。
しかしながら、これらの問題点は、相変化記録材料としてBi−Sn−Ge−Te系の相変化記録材料を用いることにより改善されることが明らかとなった。すなわちBi−Sn−Ge−Te系の相変化記録材料とすることにより、結晶化が速く、信号振幅も大きく、さらに非晶質マーク安定性が良い材料を得ることができるのである。例えば、Bi−Sn−Ge−Te系の相変化記録材料を用いたDVD+RWは、10倍速で消去可能な結晶化速度を有し、かつ、Bi−Ge−Te系の相変化記録材料を用いたDVD+RWよりも大きな信号強度を有し、さらには、非晶質マークの安定も十分となる。そして、得ようとする情報記録用媒体に高速記録が求められれば求められるほど、本発明の効果は顕著となる。
高い結晶化速度が必要ない場合は、Bi−Ge−Te系の相変化記録材料またはSn−Ge−Te系の相変化記録材料で非晶質マーク安定性、信号振幅等の特性を満足する場合がある。しかしながら、例えば、DVD+RWの6倍速程度以上の高速記録用にはBi−Sn−Ge−Te系の相変化記録材料を用いることが好ましい。このような書き換え可能な相変化型の光学的情報記録用媒体においては、Bi−Ge−Te系の相変化記録材料では信号振幅を大きくすることができず、Sn−Ge−Te系の相変化記録材料では非晶質マーク安定性が不十分となるからである。
このように本発明の相変化記録材料が、高速結晶化、十分に大きい信号振幅、および非晶質マーク安定性を有するためには、その主成分となるBi、Sn、GeおよびTeが所定の組成で含有されることが必要である。以下に詳しく説明する。
1.Bi、Sn、GeおよびTe
本発明においては、上記一般式(1)においてBiとSnとの関係を規定するxは、0<x<1とする。xは、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上とする。一方、xは、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.7以下とする。xの値を上記範囲とすれば、例えば、DVD+RWの10倍速程度の高速記録を良好にできるようになる。
BiおよびSnの合計含有量、すなわち上記一般式(1)におけるyの値が過度に小さすぎると結晶化速度を速くすることが困難となり、信号振幅も小さくなる傾向にある。一方、yの値が過度に大きいとやはり結晶化速度は遅くなる傾向になり、記録マークがきれいに形成されなくなり、信号振幅も小さくなる傾向にある。このような観点から、上記一般式(1)のyは、0<y≦0.4とする。yは、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.2以上である。一方、yは、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.2以下とする。ここで、yの値はxやzの値とも関係があり、xの値が小さいときにはyの値を大きくし、zの値を小さくすることによって最適値が得られる。
GeとTeとの比率を規定する一般式(1)におけるzの値は、過度に小さいと非晶質マークの安定性が悪化する傾向にある。一方、zの値は、過度に大きいと結晶化速度がx、yの値によらず速くならない傾向にある。このような観点から、上記一般式(1)におけるzは、0.2≦z≦0.5とする。zは、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.35以上とする。一方、zは、好ましくは0.47以下、より好ましくは0.45以下とする。ここで、zの値はxやyの値とも関係があり、xの値が小さいときにはyの値を大きくし、zの値を小さくすることによって最適値が得られる。
2.その他の元素
本発明の相変化記録材料には、種々の特性改善のために、種々の元素を添加することができる。ただし本発明においては、Sbの添加は避けるべきである。Sbは結晶化速度を速くする性質を有するため、本来は好ましい元素のはずであるが、本発明においては、Sbは必ずしも添加元素として適さないことがわかった。
すなわち、従来は、GeTe−SbTeの疑似2元合金組成や、Sb70Te30よりも過剰のSbを含有する組成が検討されており、Sbは結晶化速度を速くする元素と考えられてきた。しかしながら、本発明においては、Sbを添加するとかえって十分な特性が得られないことが判明した。より具体的には、Sn、Biの存在下でSbを少量含有させると結晶化速度はかえって遅くなる傾向にある。ここで、Snをさらに多く加えると結晶化速度は速くなるものの、信号振幅が小さくなり、良好な記録マークが得にくくなる傾向にある。
本発明の相変化記録材料に添加することができる添加元素としては、例えば、Au、Ag、Al、Ga、Zn、Si、Cu、Pd、Pt、Rh、Pb、Cr、Mo、W、Mn、Co、O、N、Se、V、Nb、Ta、Ti、Bi、B、及びTb、Dy、Gd等の希土類元素等を挙げることができる。
特性改善の効果を得るために、添加元素の添加量は合金の全体組成の0.1at.%(原子%)以上が好ましい。一方、本発明組成の好ましい特性を損なわないため10at.%以下にとどめるのが好ましい。特に好ましいのは、N(窒素)の添加であり、全体組成の0.1〜5原子%を添加することにより、繰り返し記録特性が改善する効果がある。
なお、希土類元素(希土類金属元素)とは、周期表3B族元素をいい、具体的には、Sc、Y、ランタノイド元素、及びアクチノイド元素をいう。
B.情報記録用媒体
次に、本発明の情報記録用媒体について説明する。
本発明の情報記録用媒体は、記録層を有する情報記録用媒体であって、上記記録層が下記一般式(1)で表される組成を主成分とすることを特徴としている。
(BiSn1−x(GeTe1−z1−y (1)
(ただし、原子数比を表すx、y、zは、0<x<1、0<y≦0.4、0.2≦z≦0.5を満たす。)
なお、本発明において、「所定組成を主成分とする」とは、記録層全体のうち、上記所定組成の含有量が90原子%以上であることを意味する。
本発明の情報記録用媒体における記録層は、上述した相変化記録材料を用いたものである。本発明においては、記録層に上述した相変化記録材料を用いることにより、高速記録においても十分に大きい信号振幅、非晶質マーク安定性等の優れた記録特性を有する情報記録用媒体を実現することができる。
本発明の情報記録用媒体としては、結晶状態と非晶質状態とにおける物理的パラメーターの差を検出することにより情報の記録再生を行うものであれば特に限定されるものではなく、例えば屈折率、電気抵抗、体積、密度変化等の差を検出するような情報記録用媒体を挙げることができる。
本発明の情報記録用媒体は、中でも、レーザー光で記録を行う光学的情報記録用媒体への応用に適している。特に、レーザー光を照射することにより生じる結晶状態の可逆的な変化に伴う反射率変化を利用した光学的情報記録用媒体への応用に適している。
また、本発明の情報記録用媒体は、例えば、電流を流すことによって発生するジュール熱を利用した結晶状態の可逆的な変化に伴う抵抗率変化を利用した情報記録用媒体にも適用できる。
以下、本発明の情報記録用媒体の一例として、光学的情報記録用媒体の具体的構成、初期結晶化方法および記録再生方法について説明する。さらに、本発明の情報記録用媒体の他の例として、本発明の情報記録用媒体を光学的情報記録用媒体以外の用途にも用いる場合について説明する。
1.光学的情報記録用媒体
(1)層構成
光学的情報記録用媒体としては通常、例えば図1(a)や図1(b)に示すような多層構成のものが用いられる。よって、本発明の情報記録用媒体を光学的情報記録用媒体に適用する場合は、例えば図1(a)、(b)に示すように、基板1と、この基板1上に形成され、上記一般式(1)で表される組成を主成分とする記録層2とを有し、さらに保護層3a、3bを有することが好ましい。
本発明における光学的情報記録用媒体のさらに好ましい層構成は、再生光の入射方向に沿って順に、第1保護層、記録層、第2保護層および反射層が設けられている構成である。すなわち、例えば図1(a)に示すように基板1側から再生光10を入射する場合は、基板1、第1保護層(下部保護層)3a、記録層2、第2保護層(上部保護層)3b、反射層4の層構成とすることが好ましい。一方、例えば図1(b)に示すように記録層2側から再生光10を入射する場合は、基板1、反射層4、第2保護層(下部保護層)3b、記録層2、第1保護層(上部保護層)3a、保護コート層(カバー層)5の層構成とすることが好ましい。
ここで、第1保護層とは、記録層の再生光の入射側の面に設けられる保護層であり、第2保護層とは、記録層の再生光の入射側とは反対側の面に設けられる保護層である。
無論、これらの各層はそれぞれ2層以上で形成されていてもよく、また、それらの間に中間層が設けられていてもよい。例えば、基板側から再生光を入射する場合の基板/保護層間や、基板とは反対側から再生光を入射する場合の保護層上に、半透明の極めて薄い金属、半導体、吸収を有する誘電体層等を設けて、記録層に入射する光エネルギー量を制御することも可能である。
なお、上記のとおり記録再生光ビーム(記録再生光)入射とは反対側に反射層を設けることが多いが、この反射層は必須ではない。また、記録層の少なくとも一方の面に設けられることが好ましい保護層において、特性の異なる材料を多層化することも行われる。
以下、このような光学的情報記録用媒体の各構成について詳しく説明する。
(i)記録層
本発明に用いられる記録層は、上記一般式(1)で表される組成を主成分とするものである。なお、記録層の組成については、上記「A.相変化記録材料」の項に詳細な説明を記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明の効果を有効に発揮するためには、記録層全体のうち、上記一般式(1)で表される組成が、通常90原子%以上、好ましくは95原子%以上、より好ましくは97原子%以上、特に好ましくは98原子%以上含有される。含有量が高ければ高いほど本発明の効果が顕著に発揮されるようになるが、記録層の成膜時にOやN等の他の成分が含有されたとしても数原子%から10原子%の範囲内であれば、高速記録消去等の本発明の効果が確実に発揮される。
記録層の厚さは、通常1nm以上であるが、好ましくは5nm以上である。このようにすれば、結晶と非晶質の反射率差(コントラスト)が十分となり、また結晶化速度も十分となり、短時間での記録消去が可能となる。さらに、反射率自体も十分な値となる。一方、記録層の厚さは、通常30nm以下、好ましくは25nm以下、より好ましくは20nm以下である。このようにすれば、光学的なコントラストを十分に得ることができ、また、記録層にクラックが生じにくくなる。さらに、熱容量が大きくなることによる記録感度の悪化も発生しにくくなる。
さらに、記録層の厚さを上記範囲内とすれば、相変化に伴う体積変化を適度に抑制することができ、記録を繰り返した際にノイズの原因となる、記録層自身やその上下に設けることができる保護層の微視的かつ不可逆な変形が蓄積されにくくなる。このような変形の蓄積は、繰り返し記録耐久性を低下させる傾向があるため、記録層の厚さを上記範囲内にすることによりこの傾向を抑制することができる。
書き換え型DVDのように波長約650nmのLD(レーザーダイオード)、開口数約0.6〜0.65の対物レンズの集束光ビームで記録再生を行う高密度記録用の光学的情報記録用媒体や、波長約400nmの青色LD、開口数約0.7〜0.85の対物レンズの集束光ビームにて記録再生を行う高密度記録用の光学的情報記録用媒体においては、ノイズに対する要求はいっそう厳しくなる。このため、このような場合には、より好ましい記録層の厚さは25nm以下である。
上記記録層は、所定の合金ターゲットを不活性ガス、特にArガス中でDCまたはRFスパッタリングにより得ることができる。
また、記録層の密度は、バルク密度の通常80%以上、好ましくは90%以上とする。ここでいうバルク密度ρとは、通常下記一般式(2)による近似値を用いるが、記録層を構成する合金組成の塊を作製して実測することもできる。
ρ=Σmρ (2)
(ここで、mは各元素iのモル濃度であり、ρは元素iの原子量である。)
スパッタ成膜法においては、成膜時のスパッタガス(通常Ar等の希ガス:以下Arの場合を例に説明する。)の圧力を低くしたり、ターゲット正面に近接して基板を配置したりするなどして、記録層に照射される高エネルギーAr量を多くすることによって、記録層の密度を上げることができる。高エネルギーArは、通常スパッタのためにターゲットに照射されるArイオンが一部跳ね返されて基板側に到達するものか、プラズマ中のArイオンが基板全面のシース電圧で加速されて基板に達するものかのいずれかである。
このような高エネルギーの希ガスの照射効果をAtomic peening効果というが、一般的に使用されるArガスでのスパッタリングではAtomic peening効果によりArがスパッタ膜に混入される。したがって、膜中のAr量により、Atomic peening効果を見積もることができる。すなわち、Ar量が少なければ、高エネルギーAr照射効果が少ないことを意味し、密度の疎な膜が形成されやすい。
一方、Ar量が多ければ、高エネルギーArの照射が激しくなり、膜の密度は高くなるものの、膜中に取り込まれたArが繰り返し記録時にvoidとなって析出し、繰り返し記録耐久性を劣化させやすい。したがって、適度な圧力、通常は10−2〜10−1Paのオーダーの範囲で放電を行う。
(ii)基板
本発明に用いられる基板としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリオレフィンなどの樹脂、あるいはガラス、アルミニウム等の金属を用いることができる。通常基板には深さ20〜80nm程度の案内溝が設けられているので、案内溝を成形によって形成できる樹脂製の基板が好ましい。また、例えば図1(a)に示すような、記録消去再生用の集束光ビーム10が基板1側から入射する、いわゆる基板面入射の場合は、基板は透明であることが好ましい。
基板の厚さは、通常0.05mm以上、1.5mm以下とするが、CDでは1.2mm程度、DVDでは0.6mm程度のものが用いられる。また、高密度化のためにレーザーの光学ヘッドを高NA、短波長とする場合には0.1mm程度の薄いものも用いられる。
(iii)保護層
本発明においては、上記記録層の相変化に伴う蒸発・変形を防止し、その際の熱拡散を制御するため、記録層の少なくとも一方の面に保護層が形成されていてもよい。好ましくは、記録層の両方の面に保護層が形成される。
保護層の材料は、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定される。一般的には透明性が高く高融点である金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物やCa、Mg、Li等のフッ化物等の誘電体を用いることができる。
この場合、これらの酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、フッ化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、混合して用いることも有効である。繰り返し記録特性を考慮すると誘電体の混合物が好ましい。より具体的には、ZnSや希土類硫化物等のカルコゲン化合物と酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物等の耐熱化合物の混合物が挙げられる。例えば、ZnSを主成分とする耐熱化合物の混合物や、希土類の硫酸化物、特にYSを主成分とする耐熱化合物の混合物は好ましい保護層組成の一例である。
保護層を形成する材料としては、通常、誘電体材料を挙げることができる。誘電体材料としては、例えば、Sc、Y、Ce、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Al、Cr、In、Si、及びGe等の酸化物、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、及びSn等の窒化物、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、及びSi等の炭化物、又はこれらの混合物を挙げることができる。また、誘電体材料としては、Zn、Y、Cd、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、及びBi等の硫化物、セレン化物もしくはテルル化物、Y、及びCe等の酸硫化物、Mg、Ca等のフッ化物、又はこれらの混合物を挙げることができる。
さらに誘電体材料の具体例としては、ZnS−SiO、SiN、GeN、TaO、SiO、TiO、CrN、TaS、YS等を挙げることができる。
これら材料の中でも、ZnS−SiOは、成膜速度の速さ、膜応力の小ささ、温度変化による体積変化率の小ささ、及び優れた耐候性から広く利用される。ZnS−SiOを用いる場合、ZnSとSiOとの組成比ZnS:SiOは、通常0:1〜1:0、好ましくは0.5:0.5〜0.95:0.05、より好ましくは0.7:0.3〜0.9:0.1とする。最も好ましいのはZnS:SiOを0.8:0.2とすることである。
また、記録層の結晶化速度を速めるために好ましい材料としては、GeN、TaOを挙げることができる。
繰り返し記録特性を考慮すると、保護層の膜密度はバルク状態の80%以上であることが機械的強度の面から望ましい。誘電体の混合物を用いる場合には、バルク密度として上述の一般式(2)の理論密度を用いる。
保護層の厚さは、一般的に通常1nm以上500nm以下である。1nm以上とすることで、基板や記録層の変形防止効果を確保することができ、保護層としての役目を果たすことができる。また、500nm以下とすれば、保護層としての役目を果たしつつ、保護層自体の内部応力や基板との弾性特性の差等が顕著になって、クラックが発生するということを防止することができる。
特に、記録層の再生光の入射側の面に保護層(第1保護層)を設ける場合、第1保護層は、熱による基板変形(カバー層変形)等を抑制する必要があるため、その厚さは通常1nm以上、好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。このようにすれば、繰り返し記録中の微視的な基板変形(カバー層変形)の蓄積が抑制され、再生光が散乱されてノイズ上昇が著しくなるということがなくなる。一方、第1保護層の厚みは、成膜に要する時間の関係から、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。このようにすれば、例えば記録層平面で見た基板の溝形状が変わるということ等がなくなる。例えば、溝の深さや幅が、基板表面で意図した形状より小さくなったりする現象が起こりにくくなる。
また、第1保護層は、熱による基板変形(カバー層変形)を抑制することを主な機能とする変形抑制層と、記録層の結晶化速度を促進することを主な機能とする結晶化促進層との2層構造としてもよい。この際、結晶化促進層は、記録層に接して設けられていることが好ましい。結晶化促進層を設けることにより、さらなる高速記録(高い結晶化速度)を達成することができるからである。また、結晶化促進層を設けることにより、初期結晶化がさらに容易となることも期待できる。
このような場合、例えば変形抑制層は、ZnS−SiOで形成すればよい。また、変形抑制層の膜厚は、上記第1保護層で用いられる膜厚と同様のものとすればよい。一方、結晶化促進層の材料としては、例えば、TaO、GeNを用いることができる。結晶化促進層の膜厚は、記録層に入射するレーザーに対して透明とすることが好ましいので、通常20nm以下、好ましくは15nm以下、さらに好ましくは10nm以下とする。また、結晶化促進層の膜厚は、通常0.1nm以上とする。
また、記録層の再生光の入射側とは反対側の面に保護層(第2保護層)を設ける場合、第2保護層の厚さは、記録層の変形抑制のために、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、特に好ましくは7nm以上である。一方、繰り返し記録に伴って発生する第2保護層内部の微視的な塑性変形の蓄積を防止し、再生光の散乱によるノイズ上昇を抑制するため、第2保護層の厚さは、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下である。
なお、記録層及び保護層の厚みは、機械的強度、信頼性の面からの制限の他に、多層構成に伴う干渉効果も考慮して選ばれる。すなわち、記録層及び保護層の厚みは、レーザー光の吸収効率がよく、記録信号の振幅が大きく、すなわち記録状態と未記録状態のコントラストが大きくなるように選ばれる。
このような保護層は、通常、一般的なスパッタリング法によって形成される。
また、保護層は、上述したような異なる材料からなる複数の層で構成されていてもよい。
本発明においては、記録層と接する側の界面、及び/又は、Agを主成分とする反射層と接する側の界面に、硫黄を含まないか又は硫黄含有量の少ない界面層を設けてもよい。
ここで、Agを主成分とする反射層と接する側の界面に設ける界面層は、保護層に硫黄が含有される場合に、Agと硫黄との反応(Agの腐食)を抑制するために通常用いられる。
界面層の材料としては、Ta、Nb、Moを挙げることができる。これら材料のうち、好ましいのはNb、Moである。NbやMoの原子量は、反射層に含有されるAgに比較的近い。このため、NbやMoは、スパッタリング法での成膜時にターゲットからの各元素の出射角度がAgとほぼ同一になるので、ターゲットに対向する基板上での界面層の膜厚分布を確保でき、界面層の均一性を確保しやすいという利点がある。また、NbやMoは、Taと比較して、原料1Kg当たりの値段が1/10〜1/100と非常に安価であり、ターゲットを安価に製造できる利点もある。
界面層中のTa、NbまたはMoの含有量は、好ましくは80原子%以上であり、より好ましくは90原子%以上であり、特に好ましくは95原子%以上であるが、最も好ましくは100原子%(界面層にNbを用いる例において、界面層を純Nbとすること)とすることである。
界面層は、必要に応じ、層の特性を損なわない程度に他の元素を含んでいてもよい。他の元素を含む場合、その含有量は、好ましくは20原子%以下、より好ましくは10原子%以下、特に好ましくは5原子%以下、最も好ましくは2原子%以下である。一方、他の元素の含有量は、通常0.01原子%以上とする。また、このような元素としては、Ni、Pd、Pt、Si、O、Se、V、Ti、Ta等を挙げることができる。
また、界面層は、硫黄を含まない誘電体であってもよい。具体的には、金属や半導体の酸化物、窒化物、炭化物等であり、SiC、Si、SiC、GeN、Ta、ZrOAlN、Al等が用いられる。これらは、必ずしも化学量論比組成でなくてもよいし、混合物であってもよい。
界面層の膜厚は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上である。界面層の膜厚が過度に薄いと、保護層と反射層との反応を有効に抑制できなくなる場合があるが、上記範囲とすれば、高温高湿下(例えば、80℃/85%RH)という過酷環境の下における信頼性試験おいても、光学的情報記録用媒体の信頼性が良好に確保されるようになる。
一方、界面層の膜厚は、好ましくは10nm以下、より好ましくは8nm以下、更に好ましくは6nm以下である。上記範囲とすれば、界面層の透過率を良好に確保しつつ、反射層中のAgと保護層中のSとの反応を抑制することができるようになる。
このような界面層は、通常スパッタリング法で形成される。
(iv)反射層
本発明においては、記録層の放熱性を高める観点から、光学的情報記録用媒体がさらに反射層を有することが好ましい。
反射層の設けられる位置は、通常再生光の入射方向に依存し、入射側に対して記録層の反対側に設けられる。すなわち、例えば図1(a)に示すように基板1側から再生光10を入射する場合は、基板1に対して記録層2の反対側に反射層4を設けるのが通常であり、例えば図1(b)に示すように記録層2側から再生光10を入射する場合は記録層2と基板1との間に反射層4を設けるのが通常である。
なお、完全に光を反射する反射層とは別に、記録層の入射側に半分以上の光を透過する非常に薄い層を設けることがあるが、これらは、半透明反射層として反射層とは区別して用いる。半透明反射層を設ける目的は、通常、入射光や反射光の位相の調整や、入射光側の保護層からの放熱を促進するためである。
反射層に使用する材料は、反射率の大きい物質が好ましく、特に放熱効果も期待できるAu、AgまたはAl等の金属が好ましい。その放熱性は膜厚と熱伝導率とで決まるが、熱伝導率は、これら金属ではほぼ体積抵抗率に比例するため、放熱性能を面積抵抗率で表すことができる。面積抵抗率は、通常0.05Ω/□以上、好ましくは0.1Ω/□以上、一方、通常0.6Ω/□以下、好ましくは0.5Ω/□以下、より好ましくは0.4Ω/□以下、さらに好ましくは0.2Ω/□以下とする。
これは、特に放熱性が高いことを保証するものであり、光学的情報記録用媒体に用いる記録層のように、非晶質マーク形成において、非晶質化と再結晶化の競合が顕著である場合に、再結晶化をある程度抑制するために必要なことである。反射層自体の熱伝導度制御や、耐腐蝕性の改善のため上記の金属にTa、Ti、Cr、Mo、Mg、V、Nb、Zr、Si等を少量加えてもよい。添加量は通常0.01原子%以上20原子%以下である。Ta及びTiの少なくとも一方を15原子%以下含有するアルミニウム合金は、耐腐蝕性に優れており、光学的情報記録用媒体の信頼性を向上させる上で特に好ましい反射層材料である。
なお、第2保護層の膜厚を40nm以上50nm以下とする場合には特に、反射層を高熱伝導率にするため、含まれる添加元素を2原子%以下とするのが好ましい。一方、添加元素の含有量は、通常0.01原子%以上とする。
反射層の材料として特に好ましいのは、Agを主成分とすることである。なお、「Agを主成分とする」とは、反射層全体に対してAgが50原子%以上含有されていることをいう。反射層全体に対するAgの含有量は、70原子%以上とすることが好ましく、80原子%以上とすることがより好ましく、90原子%以上とすることがさらに好ましく、95原子%以上とすることが特に好ましい。放熱性を高める観点から最も好ましいのは、反射層の材料を純Agとすることである。
AgにMg、Ti、Au、Cu、Pd、Pt、Zn、Cr、Si、Ge、Bi、Nd、希土類元素の少なくともいずれか一種を0.01原子%以上10原子%以下含むAg合金も反射率、熱伝導率が高く、耐熱性も優れていて好ましい。
反射層の膜厚としては、透過光がなく完全に入射光を反射させるために通常10nm以上とするが、20nm以上とすることが好ましく、40nm以上とすることがより好ましい。また、あまりに厚すぎても、放熱効果に変化はなくいたずらに生産性を悪くし、さらに、クラックが発生しやすくなるので、通常は500nm以下とするが、400nm以下とすることが好ましく、300nm以下とすることがより好ましい。
なお、記録層を2層設ける光学的情報記録用媒体においては、レーザー入射側の記録層は、通常高い透過率が必要となる。この場合、入射側に用いる反射層の膜厚も所定の透過率が必要となるため、反射層は、上記膜厚範囲よりも薄くすることが好ましい。
このような反射層は、通常スパッタリング法などによって形成される。
本発明においては、上述したように、記録層、保護層および反射層は、スパッタリング法などにより形成することができる。このため、記録層用ターゲット、保護層用ターゲット、必要な場合には反射層用ターゲットを同一真空チャンバー内に設置したインライン装置で膜形成を行うことが各層間の酸化や汚染を防ぐ点で望ましい。また、生産性の面からも優れている。
(v)保護コート層(カバー層)
本発明においては、光学的情報記録用媒体の最表面側には、空気との直接接触を防いだり、異物との接触による傷を防ぐため、紫外線硬化樹脂や熱硬化型樹脂からなる保護コート層を設けるのが好ましい。保護コート層は、通常1μmから数百μmの厚さである。また、硬度の高い誘電体保護層をさらに設けたり、その上にさらに樹脂層を設けることもできる。
(2)光学的情報記録用媒体の初期結晶化方法
次に、本発明の光学的情報記録用媒体の初期結晶化方法について説明する。
記録層は通常スパッタリング法等の真空中の物理蒸着法で成膜されるが、成膜直後の状態(as-deposited状態)では、記録層は通常非晶質であるため、本発明ではこれを結晶化させて未記録消去状態とすることが好ましい。この操作を初期化(または初期結晶化)と称する。初期結晶化操作としては、例えば、結晶化温度(通常150〜300℃)以上融点以下での固相でのオーブンアニールや、レーザー光やフラッシュランプ光などの光エネルギー照射でのアニール、溶融初期化などの方法が挙げられる。本発明においては、上記初期結晶化操作のうち、溶融初期化を用いることが好ましい。
溶融初期化においては、再結晶化の速度が遅すぎると熱平衡を達成するための時間的余裕があるために他の結晶相が形成されることがあるので、ある程度冷却速度を速めるのが好ましい。また、溶融状態で長時間保持されると、記録層が流動したり、保護層等の薄膜が応力で剥離したり、樹脂基板等が変形するなどして、媒体の破壊につながるので好ましくない。
例えば、融点以上に保持する時間は、通常10μs以下、好ましくは1μs以下とすることが好ましい。
また、溶融初期化には、レーザー光を用いるのが好ましく、特に、走査方向にほぼ平行に短軸を有する楕円型のレーザー光を用いて初期結晶化を行う(以下この初期化方法を「バルクイレーズ」と称することがある。)のが好ましい。この場合、長軸の長さは、通常10〜1000μmであり、短軸の長さは、通常0.1〜5μmである。
なお、ここでいうビームの長軸及び短軸の長さは、ビーム内の光エネルギー強度分布を測定した場合の半値幅から定義される。このビーム形状も短軸方向における局所加熱、急速冷却を実現しやすくするため、短軸長を5μm以下、さらには2μm以下とすることがより好ましい。
レーザー光源としては、半導体レーザー、ガスレーザー等各種のものが使用できる。レーザー光のパワーは通常100mW〜10W程度である。なお、同等のパワー密度とビーム形状が得られるならば、他の光源を使用してもかまわない。具体的にはXeランプ光等が挙げられる。
バルクイレーズによる初期化において、例えば円盤状の光学的情報記録用媒体を使用した際、楕円ビームの短軸方向をほぼ円周方向と一致させ、円盤を回転させて短軸方向に走査するとともに、1周(1回転)ごとに長軸(半径)方向に移動させて、全面の初期化を行うことができる。こうすることで、周方向のトラックに沿って走査される記録再生用集束光ビームに対して、特定方向に配向した多結晶構造を実現できる。
1回転あたりの半径方向の移動距離は、ビーム長軸より短くしてオーバーラップさせ、同一半径が複数回レーザー光ビームで照射されるようにするのが好ましい。その結果、確実な初期化が可能となると共に、ビーム半径方向のエネルギー分布(通常10〜20%)に由来する初期化状態の不均一を回避することができる。一方、移動量が小さすぎると、かえって他の好ましくない結晶相が形成されやすいので、半径方向の移動量は、通常ビーム長軸の1/2以上とする。また、初期化エネルギービームの走査速度は、通常3〜20m/s程度の範囲である。
少なくとも、溶融初期化によって本発明の光学的情報記録用媒体を得ることができたかどうかは、初期化後の未記録状態の反射率R1と、実際の記録用集束光ビーム(例えば、ビームの直径が1μm程度の集束光ビーム)で非晶質マークの記録を行った後の再結晶化による消去状態の反射率R2とが実質的に等しいかどうかで判断できる。ここでR2は、10回記録後の消去部の反射率である。
したがって、本発明の光学的情報記録用媒体は、初期結晶化後の未記録部の反射率R1、10回記録後の消去部の反射率をR2とするとき、下記関係式(3)を満たすことが好ましい。
ΔR = 2|R1−R2|/(R1+R2)×100(%) ≦ 10 (3)
ここで、10回記録後の消去部の反射率R2を判断指標とする理由は、10回の記録を行えば、1回の記録だけでは未記録状態のまま残りうる結晶状態の反射率の影響を除去し、光学的情報記録用媒体全面を少なくとも1回は記録・消去による再結晶化した状態とすることができるからである。一方、記録の回数が10回を大きく超えると逆に、繰り返し記録による記録層の微視的変形や、保護層から記録層への異元素の拡散等、記録層の結晶構造の変化以外の要因が反射率変化を引き起こすため、所望の結晶状態が得られたか否かの判断が困難となるからである。
上記関係式(3)においては、ΔRが10%以下になるようにしているが、5%以下とすることが好ましい。5%以下とすれば、より信号ノイズの低い光学的情報記録用媒体を得ることができる。
例えば、R1が17%程度の光学的情報記録用媒体では、概ねR2が16〜18%の範囲にあればよい。
なお、上記消去状態は、必ずしも記録用集束レーザー光を実際の記録パルス発生方法に従って変調しなくても、記録パワーを直流的に照射して記録層を溶融せしめ、再凝固させることによっても得られる。
本発明において記録層に用いる相変化記録材料に対して、所望の初期結晶状態を得るには、この初期化エネルギービームの記録層平面に対する走査速度の設定が特に重要である。基本的には、初期結晶化後の結晶状態が記録後の消去部分の結晶状態と類似することが重要であるから、集束光ビームを使って実際に記録する場合の集束光ビームの記録層面に対する相対的な走査線速度に近いことが望ましい。具体的には、光学的情報記録用媒体の記録を行う最高線速度の20〜80%程度の線速度で初期化エネルギービームを走査することが好ましい。
なお、記録の最高線速度とは、例えば、ここではその線速度で消去パワーPeを直流的に照射したときに、消去比が20dB以上となるような線速度をいう。
消去比は、概ね単一周波数で記録された非晶質マークの信号のキャリアレベルと、消去パワーPeの直流照射による消去後のキャリアレベルと、の差として定義される。消去比の測定は例えば以下のように行う。まず、十分な信号特性(すなわち反射率や信号振幅またはジッタなどが規定値を満たす特性)が得られる記録条件において、記録する変調信号のなかで周波数の高い条件を選び、単一周波数として10回記録して非晶質マークをつくり、キャリアレベル(記録時C.L.)を測定する。その後、非晶質マークに対して直流照射を1回、消去パワーPeを変えながら行い、このときのキャリアレベル(消去後C.L.)を測定し、記録時C.L.と消去後C.L.の差、すなわち消去比を算出する。直流照射のパワーPeを変更すると消去比は一般に一度大きくなり、下がり、また大きくなる傾向があるが、ここではパワーPeを大きくし始めたときにみられる消去比のはじめのピーク値をそのサンプルの消去比とする。
上記のように規定された最高線速度の概ね20%より低い速度で初期化エネルギービームを走査すると、相分離が生じて単一相が得られにくい場合がある。また、単一相が得られたとしても、結晶子が特に初期化ビーム走査方向に伸びて巨大化したり、好ましくない方向に配向したりする場合がある。好ましくは、記録可能な最高線速度の30%以上の速度で初期化エネルギービームを走査すればよい。
一方、記録可能な最高線速度と同等、すなわち概ねその80%より高い速度で初期化エネルギービームを走査した場合、初期化走査で一旦溶融した領域が再度非晶質化してしまう可能性がある。走査線速度を速くすると溶融した部分の冷却速度は速くなり、再固化までの時間が短くなるからである。記録用の直径1ミクロン程度の集束光ビームでは、溶融領域周辺の結晶領域からの結晶成長による再結晶化は短時間でも完了できる。しかしながら、初期化楕円光ビームで走査した場合は、長軸方向の溶融領域面積が広くなるため、実際の記録時よりは、走査線速度を低くして、再凝固中の再結晶化を溶融領域全域に行き渡らせる必要がある。このような観点から、初期化エネルギービームの走査線速度は、記録の最高線速度の70%以下とすることが好ましく、60%以下とすることがより好ましく、50%より低くすることが最も好ましい。
本発明の光学的情報記録用媒体は、レーザー光の照射により初期結晶化を行う場合、レーザー光に対する媒体の移動速度を大きくすることが可能であるという特徴を有する。これは、短時間での初期結晶化が可能であるということに結びつき、生産性の向上やコスト削減が可能となる点で好ましい。
(3)光学的情報記録用媒体の記録再生方法
次に、本発明の光学的情報記録用媒体の記録再生方法について説明する。
本発明の光学的情報記録用媒体に使用できる記録再生光は、通常半導体レーザーやガスレーザーなどのレーザー光であって、通常その波長は300〜800nm、好ましくは350〜800nm程度である。特に1Gbit/inch以上の高い記録密度を達成するためには、集束光ビーム径を小さくする必要があり、波長350〜680nmの青色から赤色のレーザー光と開口数NAが0.5以上の対物レンズを用いて集束光ビームを得ることが望ましい。
本発明においては、上述したように非晶質状態を記録マークとすることが好ましい。また、本発明においては、マーク長変調方式によって情報を記録するのが有効である。これは、特に最短マーク長が4μm以下、特に1μm以下となるマーク長記録の際に特に顕著である。
記録マークを形成する際、従来の記録パワーを高レベル(記録パワー:Pw)と低レベル(消去パワー:Pe)の2レベルで変調させる方式による記録を行うことができる。本発明においては、記録パワーPw及び消去パワーPeに加えて、消去パワーPeより十分低いバイアスパワーPbを照射するオフパルス期間をもうけるなどの3レベル以上の記録パワーレベルの変調による方式を用いた記録方法を採用することもできる。記録パワーPwの照射により記録層は融点以上に昇温し、その後バイアスパワーPb又は消去パワーPeに低下させることで、溶融領域が急冷され非晶質マークが形成される。消去パワーPeの照射により記録層は結晶化温度以上融点近傍以下に昇温し、非晶質マークが再結晶化して消去される。
図2は、光学的情報記録用媒体の記録方法における記録光のパワーパターンを示す模式図である。長さnT(Tは基準クロック周期、nはマーク長変調記録において取りうるマーク長であり、整数値である)にマーク長変調された非晶質マークを形成する際、m=n−k(ただしkは0以上の整数)個の記録パルスに分割し、個々の記録パルス幅をαT(1≦i≦m)とし、個々の記録パルスにβT(1≦i≦m)なる時間のオフパルス(冷却パルス)区間を付随させる。なお、図2の分割記録パルスにおいては、図の見やすさの観点から、基準クロック同期Tの表記を省略してある。つまり、図2において、例えばαTと記載すべきところは、単にαと記載してある。ここでα≦β、あるいはα≦βi−1(2≦i≦mないしはm−1)とするのが好ましい。なお、Σα+Σβは通常nである。但し、正確なnTマークを得るために、Σα+ΣβをΣα+Σβ=n+j(jは、−2≦j≦2なる定数)とすることもできる。
記録の際、マーク間においては、非晶質を結晶化しうる消去パワーPeの記録光を照射する。また、αT(1≦i≦m)においては、記録層を溶融させるのに十分な記録パワーPwの記録光を照射し、βT(1≦i≦m−1)なる時間においては、Pb<Pe、好ましくはPb≦(1/2)Peとなるバイアスパワー(冷却パワー、オフパルスパワー)Pbの記録光を照射する。
なお、期間βTなる時間において照射する記録光のパワーPbは、βT(1≦i≦m−1)の期間と同様、通常Pb<Pe、好ましくはPb≦1/2Peとするが、Pb≦Peとなっていてもよい。
なお、図2では、記録パルス(区間αT)とオフパルス(区間βT)の切り替え周期(α+β)Tあるいは、(βi−1+α)Tを、概ねTと等しくした、すなわち、(α+β)あるいは、(βi−1+α)を概ね1としたが、この切り替え周期を1Tより大きくすることも可能であり、特に、2Tや3Tにすることも可能である。高速記録においては、(α+β)あるいは(βi−1+α)を2以上とすることが好ましい。
2.情報記録用媒体の光学的情報記録用媒体以外の用途
次に、本発明の情報記録用媒体の光学的情報記録用媒体以外の用途について説明する。
本発明の情報記録用媒体は、少なくとも光照射による可逆的な相変化記録が可能であるため、光学的情報記録用媒体として用いることが可能であることは、上述したとおりである。さらに、本発明の情報記録用媒体は、例えば微少領域に電流を流すことによる相変化記録にも適用できる。この点について以下説明する。
図3は、非晶質マーク記録時の温度履歴(曲線a)、及び再結晶化による消去時の温度履歴(曲線b)の概念図である。記録時には、記録層の温度は、高電圧かつ短パルスの電流または高パワーレベルの光ビームでの加熱によって短時間に融点Tm以上に昇温され、電流パルスもしくは光ビーム照射を切った後は、周辺への放熱により急冷されて非晶質化する。融点Tmから結晶化温度Tgまでの時間τにおける温度の冷却速度が非晶質化のための臨界冷却速度より大きければ、非晶質化される。一方、消去時には、比較的低電圧の印加もしくは低パワーレベルの光エネルギー照射によって、結晶化温度Tg以上、概ね融点Tm以下に加熱され、一定時間以上保持されることで、実質的に固相状態で非晶質マークの再結晶化が進む。すなわち、保持時間τが十分であれば、結晶化が完了する。
ここで、記録もしくは消去用のエネルギー印加前の記録層の状態がどのようなものであっても、上記記録層に曲線aの温度履歴を与えれば記録層が非晶質化され、上記記録層に曲線bの温度履歴を与えれば記録層が結晶化される。
本発明の情報記録用媒体が、光学的情報記録用媒体としてのみでなく、微小領域に電流を流すことによる相変化記録に用いることができる理由は次のとおりである。すなわち、可逆的相変化を生じせしめるのは、あくまで、図3に示すような温度履歴であって、その温度履歴を生じせしめるエネルギー源は、集束光ビームまたは電流加熱(通電によるジュール熱)のいずれでもよいからである。
本発明に用いられる相変化記録材料の結晶と非晶質との相変化に伴う抵抗率変化は、現在、不揮発性メモリーとして開発の進んでいるGeTe−SbTe疑似2元合金、特に、GeSbTe化合物量論組成合金で示されているような、2桁以上の抵抗率変化に十分匹敵するものである(J.Appl.Phys.,87巻,4130−4133頁,2000年)。実際に、上記一般式(1)で表されるような組成を主成分とする相変化記録材料を用いた書き換え型情報記録用媒体のas-depositedの非晶質状態での抵抗率、及びアニールによる結晶化後の抵抗率をそれぞれ測定すれば、3桁以上の変化が起こることが十分に期待される。電流パルスによる非晶質化、結晶化で得られる非晶質、結晶状態は、上記as- depositedの非晶質状態、及び上記アニールによる結晶状態とはそれぞれ若干異なるものと考えられる。しかしながら、上記3桁以上の抵抗率変化が得られうることから、本発明に用いられる相変化記録材料を電流パルスによって相変化させた場合においても、2桁程度の大きな抵抗率変化は十分生じうるものと期待される。
図4は、このような不揮発性メモリーの1セルの構造の一例を示す断面図である。図4において上部電極21と下部電極22との間に電圧が印加され、相変化記録材料を含有する記録層23とヒーター部24とが通電される。記録層23はSiO等の絶縁体30で覆われている。また、記録層23は、初期状態においては結晶化されている。この場合の初期結晶化は、図4の系全体を記録層の結晶化温度(通常は100−300℃程度)に加熱して行う。集積回路の形成ではこの程度の昇温は普通に行われる。
図4で特に、細くなっている部分24(ヒーター部)は、上部電極21と下部電極22との間の通電により、ジュール熱による発熱が生じやすいため、局所的なヒーターとして機能する。そこに隣接した可逆変化部25が、局所的に加熱され図3の曲線aで示したような温度履歴を経て非晶質化され、また、図3の曲線bで示したような温度履歴を経て再結晶化される。
読み出しは、ヒーター部24の発熱が無視できる程度に低電流を流し、上下の電極間に生じる電位差を読みとる。なお、結晶、非晶質状態間で電気容量にも差があるので、電気容量の差を検知してもよい。
実際には、半導体集積回路形成技術を用いて、さらに集積化したメモリーが提案されている(米国特許6314014号明細書)が、その基本構成は図4に示すものであり、記録層23に、本発明に用いられる相変化記録材料を含有させれば、全く同等の機能を実現できる。
なお、図3に示すような温度変化を生じさせるエネルギー源としては、電子ビームを挙げることもできる。電子ビームを用いる記録デバイスの例としては、米国特許5557596号明細書に開示されたような、フィールドエミッタで放出された電子ビームを局所的に照射して相変化記録材料に相変化を生じさせるものが挙げられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜3、比較例1〜28]
光学的情報記録用媒体の記録層に用いた相変化記録材料の組成の測定には酸溶解ICP−AES(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いた。分析装置はJOBIN YVON社製JY 38 Sを用い、記録層をdil−HNOに溶解しマトリクスマッチング検量線法で定量した。
溝幅0.31μm、溝深さ28nm、溝ピッチ0.74μmの案内溝を有する直径120mm、0.6mm厚のディスク状ポリカーボネート基板上に次のように第1層から第5層を順にスパッタリング法により設けた。第1層は(ZnS)80(SiO20第1保護層(60nm)、第2層はGeN界面層(2nm)、第3層は記録層(20nm)、第4層はGeN第2保護層(10nm)、第5層はAg反射層(100nm)である。これらの層の上にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コート層を設けた。その後に、未成膜の同様の0.6mm厚のポリカーボネート基板を、接着剤を介して上記記録層面が内側になるように貼り合せ相変化型光ディスクを作製した。各ディスクの記録層組成を(BiSn1−x(GeTe1−z1−yで表記した場合のx、y、zの値を表1、表2に示す。
Figure 2006044190
Figure 2006044190
これらのディスクは次のように初期結晶化をおこなった。
初期結晶化用のレーザー光としては、幅約1μm、長さ約75μmのスポット形状を有し、波長810nm/パワー400mWのレーザー光を用いた。そして、上記ディスクを3m/sで回転させながら、上記レーザー光の長軸が上記基板に形成された案内溝に垂直になるようにしてディスクに照射した。そして、ディスク1回転あたり送り量30μmとして、上記レーザー光をディスクの半径方向に連続的に移動させることにより初期化をおこなった。
記録再生評価は、パルステック社製DDU1000テスタ(波長約650nm、NA=0.65、スポット形状は1/e強度で0.86μmの円形)を用いた。DVDの標準線速度3.49m/sを1倍速とし、溝内にフォーカスサーボ及びトラッキングサーボをかけ、10倍速での記録消去をおこなった。
各線速度におけるデータの基準クロック周期は、1倍速におけるデータの基準クロック周期38.2nsecに対して線速度で反比例させたものとした。
再生パワーPrは0.6mWとした。
記録パルス分割方法を制御するための論理レベルの生成は、任意信号発生器(AWG710、ソニーテクトロニクス社製)を用いた。同信号発生器から、ECLレベルの論理信号として上記テスタのレーザードライバーに対するゲート信号として入力した。
実施例、比較例のディスクに対して、線速度10倍速においてEFM+ランダムデータを記録した後、消去用DCレーザー光を照射して消去(結晶化)に必要なレーザー光照射回数を調べた。照射回数が大きいほど結晶化速度が遅いということを示す。
各マーク長記録用のパルス列の設定は次のとおりとした。nTのマークを記録するための光照射時間を、αT、βT、αT、βT、・・・、αT、βT、・・・、αT、βT(mはパルス分割数、Tは基準クロック周期)の順に分割し、αT(1≦i≦m)の時間内においては記録パワーPwの記録光を照射し、βT(1≦i≦m)の時間内においては、バイアスパワーPbの記録光を照射した。Pwの値は信号振幅(すなわち(結晶部反射率)−(マーク部反射率)の値)がほぼ立ち上がったと思われるパワーを選んだ。マーク間部(表に記載した以外の部分)には消去パワーPeを照射した。消去パワーPeは、消去に必要なDCレーザー光照射回数が最も少なくなるパワーとした。Pbの値は消去パワーPeと同じ値とした。
なお、各nTマークの場合のα、β、α、β、・・・、α、β、・・・、α、βの値を表3に示す。
Figure 2006044190
次に、100℃の環境に1時間保つ耐環境試験をおこない、この耐環境試験前後の信号振幅を測定し、記録された非晶質マークが安定か否かを調べた。そして、耐環境試験後において信号振幅がほとんど減少しない場合を「良」、耐環境試験後において信号振幅がほとんど無くなる場合を「不良」と評価した。
また、一部のディスクに用いた記録層の非晶質膜とアニール結晶化した結晶膜の複素屈折率(波長650nm)を測定し、ディスク各層の膜厚を変化させたときの(結晶状態反射率)−(非晶質状態反射率)の値を計算し、その中で最も大きな値を最大振幅(計算値)とした。
ここで、複素屈折率測定には日本分光工業株式会社製のエリプソメーターMEL−30S型を用いた。なお、計算に用いた膜構成、膜厚範囲、複素屈折率は光入射側から、基板、第1保護層、記録層、第2保護層、反射層とした。複素屈折率は、基板が1.5−0i、第1保護層が2.1−0i、第2保護層が2.1−0i、反射層が0.1−4iとした。記録層測定値については上記表1、表2に示した。計算で変化させた膜厚範囲は、第1保護層が0〜160nm、記録層が0〜60nm、第2保護層が0〜40nmである。反射層の膜厚は、200nmで固定とした。ある程度の急冷的な構成を想定するために第2保護層膜厚は40nm以下とした。
上記の評価結果は、表1、表2にまとめた。なお、表1は実施例、表2は比較例の結果である。
x=1、すなわちBi−Ge−Te系の相変化記録材料では以下のような傾向が見られた。
まず、zの値が0.5程度以下になると、所定のBi添加量で結晶化速度が極大値をとるようになった。そして、消去用レーザー照射回数から判断して、zの値が小さくなるほど結晶化速度の極大値は大きくなる傾向にあることがわかった。また、zの値が小さいほど結晶化速度が極大値となるようなBi添加量は多くなった。
例えば、z=0.46の場合においては、y=0.05において結晶化速度は極大値をとるが、消去用レーザー照射回数は2回となっている。これに対し、z=0.42の場合においては、y=0.09、0.12、0.15において結晶化速度は極大値をとり、消去用レーザー照射回数が1回となっている。このことから、y=0.46よりもy=0.42の方が、結晶化速度の極大値が大きくなる(結晶化速度が速くなる)ことがわかった。また、結晶化速度が極大値となるyの値(範囲)は、z=0.46の場合はy=0.05であるが、z=0.42の場合はy=0.09、0.12、0.15と、zが小さくなると大きくなる傾向にあった。
以上の結果から、結晶化速度を速くするにはzを小さくする必要があるといえる。
しかしながら、zが小さくなると最大振幅(計算値)が急激に小さくなる。したがって、Bi−Ge−Te系の相変化記録材料においては、結晶化速度と信号振幅とがトレードオフの関係にあるといえる。最大振幅の値は、Bi量にあまり依存せず、ほぼzの値(GeとTeとの比率)で決まっているように考えられる。
10倍速のオーバーライト記録を達成するには、1回の消去パワーレーザー照射で結晶化することが必要であるが、Bi−Ge−Te系の相変化記録材料においては、1回照射で結晶化可能なディスクの中での最大振幅の最大値は0.28である(比較例8)。このとき非晶質マークの安定性は良好であった。
一方、x=0、すなわちSn−Ge−Te系の相変化記録材料では以下のような傾向が見られた。
Bi−Ge−Te系の相変化記録材料と同様に、zの値が0.5程度以下になると、所定のSn添加量で結晶化速度が極大値をとるようになった。そして、消去用レーザー照射回数から判断して、zの値が小さくなるほど結晶化速度の極大値は大きくなる傾向にあることがわかった。また、zの値が小さいほど結晶化速度が極大値となるようなSn添加量は多くなった。
例えば、z=0.37の場合においては、y=0.2において結晶化速度は極大値をとるが、消去用レーザー照射回数は2回となっている。これに対し、z=0.31の場合においては、y=0.25、0.28において結晶化速度は極大値をとり、消去用レーザー照射回数が1回となっている。このことから、y=0.37よりもy=0.31の方が、結晶化速度の極大値が大きくなる(結晶化速度が早くなる)ことがわかった。また、結晶化速度が極大値となるyの値(範囲)は、z=0.37の場合はy=0.2であるが、z=0.31の場合はy=0.25、0.28と、zが小さくなると大きくなる傾向にあった。
以上の結果から、結晶化速度を速くするにはzを小さくする必要があるといえる。
なお、Sn−Ge−Te系の相変化記録材料においては、結晶化速度を速くしたとき信号振幅は小さくならない結果となった。この点はBi−Ge−Te系の相変化記録材料より好ましい。しかしながら、zの減少と共に非晶質マーク安定性は悪化する傾向にあり、10倍速オーバーライトに必要な結晶化速度をもつすべてのディスク(z=0.31、y=0.25、0.28)は非晶質マーク安定性が不十分となる結果となった。
これに対し、実施例1のディスクは、10倍速の結晶化速度を有するBi−Ge−Te系の相変化記録材料の中で最大の信号振幅(計算値)を有する比較例8のディスクより最大振幅(計算値)が大きく、かつ、非晶質マークが十分に安定であった。
また、実施例3のディスクは、Bi−Ge−Te系のz=0.46の中で最も結晶化速度が速かった比較例3のディスクと同程度の結晶化速度を有し、かつ、最大振幅の値は比較例3よりも大きくなった。
さらに、実施例2のディスクは、比較例12のBi−Ge−Te組成にSnを加えた組成であるが、非晶質安定性が改善されていて、結晶化速度も遅くならなかった。以上のようにBi−Sn−Ge−Te系とすることにより、高い結晶化速度、大きな信号振幅、優れた非晶質マーク安定性等の特性を同時に満たす相変化光ディスクを得ることができるようになった。
Bi−Ge−Te系(x=1)、Sn−Ge−Te系(x=0)からの類推により、Bi−Sn−Ge−Te系でも、あるyの値で結晶化速度は極大値をとり、zの値が小さくなると結晶化速度が極大値となるyの値は大きくなると思われる。このため、0.4<yとした組成において、結晶化速度の速い組成を得ることを目的とする場合は、zの値を小さくする必要がある。しかしながら、比較例28にみられるようにzの値が0.15まで小さくなると非晶質安定性が不十分となる。したがって、0.4<yとした組成においては、非晶質安定性が良く、かつ、結晶化速度が速いディスクを得ることは困難と思われる。
[参考例]
次に、本発明においてSbが含有される場合の振る舞いを調べるために、Ge35Sb11Te54にSnを添加した記録層組成のディスクに対して、実施例1〜3、比較例1〜28と同様に、線速度10倍速においてEFM+ランダムデータを記録した後、消去用DCレーザー光を照射して消去(結晶化)に必要なレーザー光照射回数を調べた。また、一部の組成については最大振幅(計算値)も同様に調べた。
結果を表4に示す。
Figure 2006044190
表4の結果から、Sn含有量が15at.%付近で最も結晶化が遅くなり、Sn含有量がさらに増えると結晶化が速くなることがわかった。この傾向は、Sbが含まれない組成を用いた場合とは異なっていた。Sn含有量が36at.%付近で10倍速の線速度において1回の消去パワー照射により消去が可能となるが、このとき、最大振幅(計算値)は0.23と小さかった。
本発明の相変化記録材料へのSbの添加は速い結晶化速度が必要な場合は、信号振幅の特性を低下させる傾向にあるように思われる。
本発明によれば、高速での記録消去が可能で、優れた記録信号強度を有し、記録信号の保存安定性が高い相変化記録材料、及びこれを用いた情報記録用媒体を得ることができる。
本発明の情報記録用媒体の層構成の一例を示す模式図である。 光学的情報記録用媒体の記録方法における記録光のパワーパターンを示す模式図である。 書き換え型情報記録の記録時又は消去時の温度履歴を示す概念図である。 本発明の情報記録用媒体の層構成の他の例を示す模式図である。
符号の説明
1 … 基板
2、23 … 記録層
3a … 第1保護層
3b … 第2保護層
4 … 反射層
5 … 保護コート層(カバー層)
21 … 上部電極
22 … 下部電極
24 … ヒーター部
25 … 可逆変化領域
30 … 絶縁体

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される組成を主成分とすることを特徴とする相変化記録材料。
    (BiSn1−x(GeTe1−z1−y (1)
    (ただし、原子数比を表すx、y、zは、0<x<1、0<y≦0.4、0.2≦z≦0.5を満たす。)
  2. 記録層を有する情報記録用媒体であって、前記記録層が下記一般式(1)で表される組成を主成分とすることを特徴とする情報記録用媒体。
    (BiSn1−x(GeTe1−z1−y (1)
    (ただし、原子数比を表すx、y、zは、0<x<1、0<y≦0.4、0.2≦z≦0.5を満たす。)
  3. 前記情報記録用媒体が、レーザー光で記録を行う光学的情報記録用媒体であることを特徴とする請求項2に記載の情報記録用媒体。
  4. 前記記録層に接して結晶化促進層を設けることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の情報記録用媒体。

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