JP2006043588A - ゼオライト分離膜性能評価方法および装置 - Google Patents

ゼオライト分離膜性能評価方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ゼオライト分離膜を破壊することなく、短時間に、その分離性能を評価することができる評価方法および評価装置を提供することを主たる課題とする。
【解決手段】 ゼオライト分離膜を構成するゼオライト結晶の光吸収スペクトルを測定する測定工程と、予め得られている、光吸収スペクトルとゼオライト分離膜の性能の相関データを参照し、前記相関データと前記測定工程で得られた前記光吸収スペクトルとに基づいて、ゼオライト分離膜の性能を同定する同定工程と、により、ゼオライト分離膜の性能を評価する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、多孔質支持体上にゼオライト結晶が緻密に形成されてなるゼオライト分離膜の分離性能を短時間で測定するための評価方法、評価装置に関する。
近年、2種以上の分子からなる混合物の成分分離用の分離膜として、多孔質支持体上にゼオライト結晶が緻密に形成されてなるゼオライト分離膜が研究・開発されている。そして、この分離膜の評価は、分離対象となる混合物を分離膜に直接接触させて、その分離性能を評価するのが一般的である。
例えば、多孔質支持体上にA型ゼオライト結晶が形成されてなるゼオライト分離膜の水/有機溶媒混合液の透過(脱水)性能評価試験は、従来、実液を用いて浸透気化(PV)分離試験や蒸気透過(VP)分離試験によって実施されている。そしてこれら試験の定量的評価には、透過物の重量測定や透過液のガスクロマトグラフィーによる成分分析が適用され、測定された重量や供給原液との組成比較からゼオライト分離膜における透過流束や水の選択性が評価されている(特許文献1、参照)。
特開2004−082008
しかしながら、実液を用いたPV分離試験やVP分離試験を用いてゼオライト分離膜の性能を評価する場合、操作が煩雑となり、また試験に長時間を要することが問題となっていた。具体的には、1つのサンプルにつき、管状ゼオライト膜のシール、真空引き、実液供給・透過、透過液の安定待ち、透過物の重量測定、透過液のガスクロマトグラフ分析と、一通りの作業を行うだけで約半日を要してしまっていたのである。従って、これら従来技術を用いて、水/有機溶媒混合液のゼオライト分離膜における脱水性能評価試験を行う場合、1日に試験できるサンプル数は、従来技術装置1式当たり多くても2〜3個である。
このように、従来のゼオライト分離膜の品質管理の効率は、PV分離試験やVP分離試験に要する時間によって大きく制限されており、数100〜数1000本/月の量産設備を持つ製造現場においては、実液を用いたPV分離試験やVP分離試験による評価は効率的・現実的な方法ではない。
さらに、実際の商業用脱水プラントに組み込まれたゼオライト分離膜に不良が発見され、再度脱水性能評価等を実施したい場合でも、分析試験用のPV分離試験やVP分離試験装置とガスクロマトグラフ等の装置一式がその現場になければ試験・確認作業を行うことができない。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、ゼオライト分離膜を破壊することなく、短時間に、その分離性能を評価することができる評価方法および評価装置を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための、本願の第1の発明は、多孔質支持体と、前記多孔質支持体に接合して形成されたゼオライト結晶と、からなるゼオライト分離膜の性能を評価する方法であって、前記ゼオライト分離膜を構成するゼオライト結晶の光吸収スペクトルを測定する測定工程と、予め得られている、光吸収スペクトルとゼオライト分離膜の性能の相関データを参照し、前記相関データと前記測定工程で得られた前記光吸収スペクトルとに基づいて、ゼオライト分離膜の性能を同定する同定工程と、を有することを特徴とする。
上記第1の発明の前記同定工程では、前記測定工程によって得られた光吸収スペクトルから、多孔質支持体表面に形成されたゼオライト結晶に係る吸収ピークと多孔質支持体内部に形成されたゼオライト結晶に係る吸収ピークとの強度比を算出し、当該算出されたピーク強度比に基づいて同定が行われてもよい。
上記第1の発明の前記測定工程では、減衰全反射フーリエ変換赤外分光装置を用い、ゼオライト結晶を構成する珪素原子と酸素原子との伸縮振動吸収を測定してもよい。
上記第1の発明においては、前記ゼオライト結晶が、A型ゼオライトであった場合に、より顕著な効果を示す。
上記課題を解決するための、本願の第2の発明は、多孔質支持体と、前記多孔質支持体に接合して形成されたゼオライト結晶と、からなるゼオライト分離膜の性能を評価する装置であって、前記ゼオライト分離膜を構成するゼオライト結晶の光吸収スペクトルを測定する測定手段と、予め得られている、光吸収スペクトルとゼオライト分離膜の性能の相関データが格納されている格納手段と、前記格納手段に格納されている相関データと前記測定手段で得られた前記光吸収スペクトルとに基づいて、ゼオライト分離膜の性能を同定する同定手段と、を有することを特徴とする。
上記第2の発明の前記同定手段では、前記測定手段によって得られた光吸収スペクトルから、多孔質支持体表面に形成されたゼオライト結晶に係る吸収ピークと多孔質支持体内部に形成されたゼオライト結晶に係る吸収ピークとの強度比を算出し、当該算出されたピーク強度比に基づいて同定が行われてもよい。
前記第1、第2の発明によれば、多孔質支持体とゼオライト結晶からなるゼオライト分離膜を何らの処理をすることなく(つまり、被破壊で)、水/有機溶媒混合液の分離性能を評価することができる。具体的には、ゼオライト分離膜を、直接、減衰全反射用プリズムに接触させて、光吸収スペクトルを測定するのみで、その性能を判断することができる。
また、前記第1、第2の発明によれば、品質管理時間とコストの大幅な短縮が可能となる。具体的には、前記第1、第2の発明においては、性能の評価をするにあたり、ゼオライト分離膜を直接、減衰全反射用プリズムに接触させて、光吸収スペクトルを測定するのみで足り、当該スペクトルの測定時間は、例えば、全長10cmのゼオライト分離膜の場合、1点あたり約200秒のスペクトル測定を任意の8〜10点実施すれば十分であり、合計約30分でその評価をすることができる。この時間は、従来技術(PV分離試験やVP分離試験では1サンプルあたり約半日必要)と比べて大幅に短く、従って、本願の発明によれば、1日に多数の評価を迅速に行うことができる。
さらに、ゼオライト分離膜が組み込まれた分離装置自体に、前記第1、第2の発明を応用すれば、分離装置を稼働させつつ、常時、ゼオライト分離膜の性能評価を行うこと(いわゆる、in−situ測定)が可能となる。
以下、本願発明の最良の実施形態について詳細に説明するが、これに先立ちまず、本願発明を想到するに至った経緯、および本願発明の原理について説明する。
本願発明は、ゼオライト分離膜を構成するゼオライト結晶の赤外分光測定によって得られる、ゼオライト結晶を構成する原子間の結合状態を示す吸収スペクトルとゼオライト分離膜の分離性能との間に相関関係があることを見出し、その結果として生まれたものである。
多孔質支持体と、当該多孔質支持体に接合して形成されたゼオライト結晶からなるゼオライト分離膜の構造解析、およびゼオライト結晶の組成解析を行った結果、多孔質支持体表面に形成されたゼオライト結晶のSi/Al比は約1、Na/Si比も約1であり、化学量論組成がNa置換型のA型ゼオライトそのものであることがわかった。その一方で、多孔質支持体内部に形成されたゼオライト結晶のSi/Al比は約0.8、Na/Si比は約1.3であり、多孔質支持体内部に形成されたゼオライト結晶は化学量論的に不規則であることが示唆された。しかしながら、多孔質支持体内部に形成されたゼオライト結晶はSi濃度が低く、Na濃度が高いことから、多孔質支持体表面のゼオライト結晶よりも高い親水性を持つことが示唆され、ゼオライト結晶だけでなく多孔質支持体内部に形成されたアモルファス様物質も脱水能力を持ち、そして全体の脱水性能に影響していると考えられる。
このことは、多孔質表面のゼオライト結晶は、まず水分子を引き付けるために作用し、その後続く高性能な脱水は表面のゼオライト結晶と多孔質支持体内部に形成されたアモルファス様物質の2相両方がそろって初めて達成されることを示唆している。したがって、多孔質支持体内部に形成されたゼオライト結晶の量を同定することができれば、簡便にゼオライト分離膜の分離性能を評価できると考えた。
さらに、前述したように、多孔質支持体表面に形成されているゼオライト結晶は、規則性が高く、多孔質支持体内部に形成されているゼオライト結晶は、不規則性が高いことが予測できるので、FTIR−ATRによるSi−O非対称伸縮振動スペクトルを測定すると、多孔質支持体表面に形成されたゼオライト結晶に帰因するピークは高周波数側(規則性が高いことを示している)に、一方、多孔質支持体内部に形成されているゼオライト結晶に帰因するピークは低周波数側に出現すると予想される。そうすると、これら二つのピーク強度の比を比較することにより、多孔質支持体内部に形成されたゼオライト結晶の絶対量を同定することができると考えた。
すなわち、本発明の発明者らは、FTIR−ATRによるSi−O伸縮振動スペクトルを測定し、発現する二つのピークの強度比を算出することによって、ゼオライト分離膜の分離性能を評価することができると判断したのである。
つまり、本発明の特徴は、ゼオライト分離膜の分光測定から、透過性能を支配するであろうゼオライト分離膜の垂直方向の構造に関するスペクトル情報を読み取り、膜における水/有機溶媒混合液の透過性能を、実液を通すことなく非破壊で迅速に決定できることである。
単にゼオライトを赤外分光測定(IR)した文献は、これまでにも多数存在する。しかし、骨格構造以外に関するスペクトルを扱ったもの(すなわち1500cm−1以上の周波数領域)が大部分であり、1500cm−1以下の骨格構造スペクトルを測定した文献でも、透過機構、透過性能との関連やその非破壊評価法への応用は議論されていない(H.van Bekkum, E.M.Flanigen, P.A.Jacobs, and J.C.Jansen (eds.), Introduction to Zeolite Science and Practice 2nd edition, 2001, Elsevier Science, Amsterdam and references therein.)。従って、ゼオライト骨格構造に起因するSi−O非対称伸縮振動スペクトル(1200〜830cm−1)変化と水/有機溶媒混合液の透過性能を関係づけて、それを非破壊評価に応用する本発明は、従来のIR測定文献とは明確に異なると考える。
以上のような経緯、原理に基づきなされた本願の発明について、以下に図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本願方法の実施形態の一例を示すフロー図である。
図1に示すように、本願の方法は、多孔質支持体と、前記多孔質支持体に接合して形成されたゼオライト結晶と、からなるゼオライト分離膜10の性能を評価する方法であって、前記ゼオライト分離膜を構成するゼオライト結晶の光吸収スペクトルを測定する測定工程S1と、予め得られている、光吸収スペクトルSpとゼオライト分離膜の性能の相関データDを参照し、前記相関データDと前記測定工程で得られた前記光吸収スペクトルSpとに基づいて、ゼオライト分離膜の性能を同定する同定工程S2と、を有することを特徴とする。
(1)ゼオライト分離膜について
本願方法は、多孔質支持体とこれに接合して形成されたゼオライト結晶とからなるゼオライト分離膜10であればいかなる分離膜であってもその性能を評価することができ、その種類を特に限定することはないが、ゼオライト結晶がA型ゼオライトであるゼオライト分離膜であることが好ましい。
また、本願方法の評価対象たるゼオライト分離膜10の製造方法についても、本願は特に限定することはないが、例えば、特開2004−82008に開示されている方法、具体的には、ゼオライトの種結晶を含むスラリーを多孔質支持体に接触させることにより、前記種結晶を多孔質支持体に付着させるゼオライト分離膜の製造方法であって、種結晶の粒径の頻度分布におけるモード(最頻値)が1nm〜1μmであり、種結晶の99体積%が粒径5μm以下とするゼオライト分離膜の製造方法で製造されたゼオライト分離膜であることが好ましい。
(2)測定工程
測定工程S1とは、評価対象としてのゼオライト分離膜を構成するゼオライト結晶の光吸収スペクトルSpを測定する工程である。
当該工程で測定される光吸収スペクトルSpとしては、赤外吸収スペクトル(IR)、紫外吸収スペクトル(UV)であっても良いが、赤外吸収スペクトルを測定することが好ましく、特に、減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定(FTIR−ATR)を用いることが好ましい。また、当該測定にあっては、特に、ゼオライト結晶を構成する珪素原子と酸素原子との非対称伸縮振動吸収スペクトルに着目することが好ましい。
図2は、多孔質支持体としてアルミナ101を用い、このアルミナに接合して形成されたA型ゼオライト結晶102とからなるゼオライト分離膜10を減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定(FTIR−ATR)する場合の概略説明図である。
図2に示すように、評価対象たるゼオライト分離膜10を直接、炭化タングステンからなるプレート21に保持されたダイアモンドプリズム20に密着させ、赤外線ビームIRを膜表面で減衰全反射させる。赤外線ビーム径は2mmで、入射・反射角度はそれぞれ45度の1回反射型測定である。測定波長は中赤外領域(400〜4000cm−1)であり、分解能4cm−1で、ゼオライト分離膜・バックグラウンドともに100回積算することでスペクトルを得ることができる。
図3は、多孔質支持体としてアルミナ101を用い、このアルミナに接合して形成されたA型ゼオライト結晶102とからなるゼオライト分離膜10を、図2に示した減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定(FTIR−ATR)した際に得られるスペクトル図である。
一般的にゼオライト結晶のSi−O非対称伸縮振動ピークは830〜1200cm−1に出現することが知られており、また、図3から明らかなように、ゼオライト分離膜に関係するSi−O伸縮振動ピークは、明瞭な2山形状(図中の矢印X参照)を示している。
ここで、図3に示すスペクトル図の2山形状のピーク(930cm−1と1012cm−1)を同定するために、敢えて、ゼオライト分離膜の表面をヤスリで削り(つまり、支持体表面に形成されたゼオライト結晶を除去した状態にした)、その後に図2に示す方法で減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定(FTIR−ATR)をしてみた。その結果を図4に示す(図4には、削る前、1回削った後、2回削った後のピークを重ねて示してある)。
図4のスペクトル図を見ると、高波数側(1012cm−1)ピークが消滅し、低波数側(930cm−1)ピーク1本のみになっていることが分かる。この結果、高波数側(1012cm−1)ピークは多孔質支持体の表面のゼオライト結晶に帰因し、低波数側(930cm−1)ピークは多孔質支持体内部のゼオライト結晶に帰因するものであることが分かる(図4中の符号Xの部分参照)。
さらに、多孔質支持体の内部に形成されたゼオライト結晶の化学組成に関する情報を得るために、測定に用いたゼオライト分離膜を製造した際に使用したゲルを加熱して結晶化させ、それを減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定してみた。その結果を図5に示す(図5には、参考として、表面を1回ヤスリで削ったゼオライト分離膜のスペクトルを重ねて示してある。)。
図5からも明らかなようにゲルを加熱結晶化して得られた粉末のピークは、多孔質支持体の内部に形成されたゼオライト結晶のピーク(つまり、低波数側のピーク(930cm−1))に良く一致しており、この結果、低波数側(930cm−1)ピークは、支持体内部に生成したA型ゼオライト結晶、未反応アモルファス或いはその混合物に帰因するピークであることが分かる。
(3)同定工程
同定工程S2とは、前記測定工程S1において測定された評価対象であるゼオライト分離膜の光吸収スペクトルSpと、予め得られている、光吸収スペクトルとゼオライト分離膜の性能の相関データD)と、に基づいて評価対象であるゼオライト分離膜の性能を同定する工程である。
以下に前記測定工程S1で、減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定を行った場合における同定方法について、具体的に説明する。
まず、同定工程S2において用いられる「評価対象であるゼオライト分離膜の光吸収スペクトルSp」とは、前記測定工程S1で減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定を行った際に得られるスペクトルのことである(図3参照)。
次に、前記「評価対象であるゼオライト分離膜の光吸収スペクトルSp」を同定するために用いられる「予め得られている、光吸収スペクトルとゼオライト分離膜の性能の相関データD」について説明する。
当該相関データDは、本願発明者らが、「ゼオライト分離膜の減衰全反射フーリエ変換赤外分光スペクトルの830〜1200cm−1に出現する2本のSi−O非対称伸縮振動吸収ピーク形状(図3参照)は、水/エタノール(10/90)混合液からの水の選択性値α(つまりゼオライト分離膜の性能)と連動して定量的に大きく変化する。」ということを見出したが故に作成できるものである。具体的には、予め様々な選択性値αを示すゼオライト分離膜を用意し、さらにこれらに対し、減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定を行い、これで得られた減衰全反射フーリエ変換赤外分光スペクトルの830〜1200cm−1に出現する2本のSi−O非対称伸縮振動吸収ピーク比(低波数側(930cm−1)ピーク/高波数側(1012cm−1)ピーク)を算出し、「各ゼオライト分離膜の選択性値α」と「各ゼオライト分離膜の2本のSi−O非対称伸縮振動吸収ピーク比」とを対応づけることにより作成することができる。
なお、ここで、選択性値αとは、従来技術である75℃簡易PV測定試験による測定値であり、αが高いほど脱水能力の高い膜であることを示す。より具体的には、例えばエタノールと水をゼオライト分離膜を用いて分離する場合、分離前の水の濃度をA質量%、エタノールの濃度をA質量%とし、ゼオライト分離膜を透過した液体又は気体中の水の濃度をB質量%、エタノールの濃度をB質量%として、(B/B)/(A/A)=α で算出される値のことである(より詳しい内容については、特開2004−82008を参照されたい。)。
図6は、選択性値αとして、それぞれ、α=4900、1700、410、140、たる値を有する4種類のゼオライト分離膜を減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定した際のスペクトル図である。
図6からも明らかなように、選択性値αの値が大きい、つまり分離性能が高いゼオライト分離膜ほど、各ゼオライト分離膜の2本のSi−O非対称伸縮振動吸収ピーク比が大きいことが分かる。
図7は、図6に示した4種類のゼオライト分離膜にさらに2種類のゼオライト分離膜を加え、合計6種類のゼオライト分離膜における選択性値αと各ゼオライト分離膜の2本のSi−O伸縮振動吸収ピーク比との相関を示す図である。
この図から、ゼオライト分離膜の選択性値αの値は、2本のSi−O非対称伸縮振動吸収ピーク比に対して、指数関数的に増大することが分かる。
本願の同定工程S2においては、図7に示すような相関図を予め作成しておくことにより、評価対象たるゼオライト分離膜については、減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定をし、そのスペクトルから前記ピークを算出するのみで、当該ゼオライト分離膜の選択性値αの値、つまり分離性能を評価することができる。
次に、本願装置の実施形態の一例について説明する。
図8は、本願装置の実施形態の一例の構成を示す概略説明図である。
図8に示すように、当該実施形態の装置80は、多孔質支持体と、前記多孔質支持体に接合して形成されたゼオライト結晶と、からなるゼオライト分離膜の性能を評価する装置であって、前記ゼオライト分離膜を構成するゼオライト結晶の光吸収スペクトルを測定する測定手段81と、予め得られている、光吸収スペクトルとゼオライト分離膜の性能の相関データが格納されている格納手段82と、前記格納手段に格納されている相関データと前記測定手段で得られた前記光吸収スペクトルとに基づいて、ゼオライト分離膜の性能を同定する同定手段83と、を有することを特徴としている。
ここで、当該装置80における測定手段81としては、前記本願の方法の発明で説明した測定工程を行うことができる手段であれば、いかなる手段であっても良く、例えば、上述した減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定装置などを好適に用いることができる。
また、格納手段82についても、特に限定されることはなく、前記本願の方法で説明した相関データ(図7参照)を格納できればよく、例えば、多くの情報を記録できるハードディスクなどを好適に用いることができる。
さらに、同定手段83についても、前記本願の方法の発明で説明した同定工程を行うことができる手段であれば特に限定されることはなく、例えば、パーソナルコンピュータのCPUなどを好適に用いることができる。
また、上記各手段は、図示するようにそれぞれ接続されている。つまり、測定手段81は、同定手段83と接続されており、また当該同定手段83は格納手段82と接続されている。そして、測定手段81により得た測定結果(つまりスペクトル)は、同定手段83に入力され、同定手段83は、入力されたスペクトルから、例えば、減衰全反射フーリエ変換赤外分光スペクトルの830〜1200cm−1に出現する2本のSi−O非対称伸縮振動吸収ピークのピーク比を算出する。さらに、同定手段83は、算出されたピーク比に対応する分離性能(例えば選択性値α)を、格納手段82の格納されているデータから拾い出し、これをディスプレイ等に表示する。
このような装置80によれば、図8にしめすように、ある分離装置85の内部にゼオライト分離膜10が組み込まれている場合であっても、例えば測定手段81としての減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定装置をゼオライト分離膜10に接設しておき、所定時間毎に減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定を行うようにすれば、管理者は、同定手段としてのパーソナルコンピュータのモニタを監視するのみで、分離装置85内部のゼオライト分離膜の性能をリアルタイムで評価することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本願方法の実施形態の一例を示すフロー図である。 多孔質支持体としてアルミナを用い、このアルミナに接合して形成されたA型ゼオライト結晶とからなるゼオライト分離膜を減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定する場合の概略説明図である。 図2に示した減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定した際に得られるスペクトル図である。 ゼオライト分離膜表面をヤスリで削り、その後に図2に示す方法で減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定をした場合のスペクトル図である。 ゼオライト分離膜を製造した際に使用したゲルを加熱して結晶化させ、それを減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定した場合のスペクトル図である。 選択性値αとして、それぞれ、α=4900、1700、410、140、たる値を有する4種類のゼオライト分離膜を減衰全反射フーリエ変換赤外分光測定した場合のスペクトル図である。 図6に示した4種類のゼオライト分離膜にさらに2種類のゼオライト分離膜を加え、合計6種類のゼオライト分離膜における選択性値αと各ゼオライト分離膜の2本のSi−O非対称伸縮振動吸収ピーク比との相関を示す図である。 本願装置の実施形態の一例の構成を示す概略説明図である。
符号の説明
10 … ゼオライト分離膜
101 … アルミナ
102 … A型ゼオライト結晶
20 … ダイアモンドプリズム
80 … ゼオライト分離膜性能評価装置
81 … 測定手段
82 … 格納手段
83 … 同定手段
85 … 分離装置
S1 … 測定工程
S2 … 同定工程
D … 相関データ
Sp … 光吸収スペクトル

Claims (6)

  1. 多孔質支持体と、前記多孔質支持体に接合して形成されたゼオライト結晶と、からなるゼオライト分離膜の性能を評価する方法であって、
    前記ゼオライト分離膜を構成するゼオライト結晶の光吸収スペクトルを測定する測定工程と、
    予め得られている、光吸収スペクトルとゼオライト分離膜の性能の相関データを参照し、前記相関データと前記測定工程で得られた前記光吸収スペクトルとに基づいて、ゼオライト分離膜の性能を同定する同定工程と、
    を有することを特徴とするゼオライト分離膜性能評価方法。
  2. 前記同定工程では、前記測定工程によって得られた光吸収スペクトルから、多孔質支持体表面に形成されたゼオライト結晶に係る吸収ピークと多孔質支持体内部に形成されたゼオライト結晶に係る吸収ピークとの強度比を算出し、当該算出されたピーク強度比に基づいて同定が行われることを特徴とする請求項1に記載のゼオライト分離膜性能評価方法。
  3. 前記測定工程では、減衰全反射フーリエ変換赤外分光装置を用い、ゼオライト結晶を構成する珪素原子と酸素原子との伸縮振動吸収を測定することを特徴とする請求項1又は2に記載のゼオライト分離膜性能評価方法。
  4. 前記ゼオライト結晶が、A型ゼオライトであることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一の請求項に記載のゼオライト分離膜性能評価方法。
  5. 多孔質支持体と、前記多孔質支持体に接合して形成されたゼオライト結晶と、からなるゼオライト分離膜の性能を評価する装置であって、
    前記ゼオライト分離膜を構成するゼオライト結晶の光吸収スペクトルを測定する測定手段と、
    予め得られている、光吸収スペクトルとゼオライト分離膜の性能の相関データが格納されている格納手段と、
    前記格納手段に格納されている相関データと前記測定手段で得られた前記光吸収スペクトルとに基づいて、ゼオライト分離膜の性能を同定する同定手段と、
    を有することを特徴とするゼオライト分離膜性能評価装置。
  6. 前記同定手段では、前記測定手段によって得られた光吸収スペクトルから、多孔質支持体表面に形成されたゼオライト結晶に係る吸収ピークと多孔質支持体内部に形成されたゼオライト結晶に係る吸収ピークとの強度比を算出し、当該算出されたピーク強度比に基づいて同定が行われることを特徴とする請求項5に記載のゼオライト分離膜性能評価装置。
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