JP2006042724A - 動力作業機の防振構造 - Google Patents

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宝浩 兵庫
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Abstract

【課題】 動力作業機の構成に大きな変更を加えることなく、動力源や駆動機構等から発生する振動をより一層低減化して、長時間にわたる作業を行っても作業者の疲労度が少ない動力作業機の防振構造を提供する。
【解決手段】 動力源、駆動機構が組み込まれた駆動ケース13と作業者が把持するハンドル部23が取り付けられたフレーム15との間に、防振スプリング14Aと弾性支持部材14Bとを備えて構成された防振装置14を介設する。防振スプリング14Aの一端部は駆動ケース13に固定すると共に、防振スプリング14Aの他端部は、フレーム15に埋め込み配置された弾性支持部材のカップ状の収容部14B1に挿入配置する。これにより、駆動ケース側で発生し、防振スプリングで減衰しきれなかったある特定周波数領域の振動を弾性支持部材によって減衰させる。
【選択図】図3

Description

この発明は、動力作業機の防振構造に関するものである。
例えば、特許文献1には、ヘッジトリマ、刈払機、チェンソー等の動力作業機の防振構造が開示されている。この特許文献1にあっては、図4に示されるように、作業者が把持する前ハンドル(図示せず)、後ハンドル1を備えたヘッジトリマ2のフレーム3に対し、エンジン及びエンジン動力を刈刃4に伝達する刈刃用駆動機構を組み込んだクランクケース5を横型の防振スプリング6を介して支持させることによって、エンジンや刈刃4等から発生する振動を作業者に伝え難くさせていた。
しかしながら、上記した従来の動力作業機の防振構造にあっては、横型支持の防振スプリング6を用いているためにばね定数の設定次第によってはある特定周波数領域の振動は減衰させ難いという問題があった。そして、そのために、そのような防振構造を有したヘッジトリマ2を用いて枝葉の剪定作業を長時間行うと、ある特定周波数領域の振動が前後のハンドル1を介して作業者に伝わり続けるために、作業者に負担がかかり作業効率が低下してしまうという問題があった。
特開2002−38977号公報
そこで、この発明は、上記した従来技術が有している問題点を解決するためになされたものであって、動力作業機の構成に大きな変更を加えることなく、動力源や駆動機構等から発生する振動をより一層低減化して、長時間にわたる作業を行っても作業者の疲労度が少ない動力作業機の防振構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、動力源、駆動機構が組み込まれた駆動ケースと、前記駆動ケースを防振装置を介して支持するフレームとを備えた動力作業機の防振構造において、
前記防振装置は、前記駆動ケースに一端部が固定される防振スプリングと、前記防振スプリングの他端部が挿入配置されるカップ状の収納部を有し、且つ前記フレームに埋め込み配置される弾性支持部材とを備えて構成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するため請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記弾性支持部材は、防振ゴム材によって形成されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、防振装置は、駆動ケースに一端部が固定される防振スプリングと、この防振スプリングの他端部が挿入配置されるカップ状の収納部を有し、且つフレームに埋め込み配置される弾性支持部材とを備えて構成されている。これにより、防振スプリングで減衰しきれなかったある特定周波数領域の振動を弾性支持部材によって減衰させることができるようになるので、駆動源や駆動機構から発生する振動が、フレーム、つまり作業者により一層伝わり難くなり、長時間にわたる作業を行っても作業者の疲労度が少ない動力作業機の防振構造を提供することができる。
さらに、防振スプリングのフレーム側端部は、カップ状の収納部に挿入配置された状態で弾性支持部材に支持されるので、機体を大型化することなく防振スプリングのストローク量が大きく取れるようになり、動力作業機をより低振動化することができる。しかも、動力作業機の構成に大きな変更を加えることはなく、製作コストの上昇を抑えることができる。
請求項2に記載の発明によれば、弾性支持部材は、防振ゴム材によって形成されている。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、減衰させたいある特定周波数領域の振動を弾性支持部材によって減衰させることが容易となるうえに、部品コストや機体重量の増加を抑えることができる。
駆動ケースとフレームとの間に防振スプリング及び弾性支持部材を備えた防振装置を介在させることによって、動力作業機の構成に大きな変更を加えることなく、より低振動の動力作業機が実現した。
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用されたヘッジトリマの平面図、図2は、同例における側面図、図3は、同例における底面図である。
まず、本発明が適用されたヘッジトリマについて説明する。
図1〜3に示されるように、動力作業機としてのヘッジトリマ10は、動力源としてのエンジン11及びエンジン動力を刈刃12に伝達する刈刃用の駆動機構を組み込んだ駆動ケースとしてのクランクケース13と、クランクケース13を防振装置14を介して支持するフレーム15とを備えて構成されている。
エンジン11は、燃料タンク16及びエアクリーナ一体式キャブレター17を備えた状態で軽合金製のクランクケース13の上面側に組付けられている。図1に示されるように、このエンジン11の上下方向に延びた出力軸18の下端部には、平面視円形のクラッチドラム19が一体的に設けられており、このクラッチドラム19の内側にエンジン11の回転数に応じてエンジン駆動力を断接制御する遠心クラッチ(図示せず)が配置されるようになっている。そして、エンジン11が設定回転数に達し遠心クラッチが繋がった状態になると、エンジン11の駆動力がクランクケース13内に収められた刈刃用駆動機構に伝動される。そして、刈刃用駆動機構は、遠心クラッチを介して伝動されたエンジン11の駆動力を図示しない偏心カムによってクランクケース13の前方に向かって略真っ直ぐに延びるように配置された長尺状の上下2枚の刈刃12を往復動させるように構成されている。
また、クラッチドラム19の外周側には、クラッチドラム19を締め付け可能とする制動帯20が設けられている。制動帯20の一端部側はクランクケース13に固定されていると共に、他端部はクランクケース13に対して軸支部21を回動中心として回動可能に設けられたアーム部材の22一端部側に係止されている。さらに、アーム部材22の一端部には、後方のリヤハンドル部23から配索されたブレーキワイヤ24の一端部が係止されている。このブレーキワイヤ24は、後方から前方に向かって引き廻されたブレーキケーブル25の向きを約180度変換させた状態でクランクケース13に固定するブレーキケーブル装着部26から後方に向かって引き出されていると共に、このブレーキワイヤ24の他端部はリヤハンドル部23に設けられたスロットルレバー27(図2に図示)に繋がっている。
一方、アーム部材22の他端部には、常時、制動帯20がクラッチドラム19を締め付ける方向に付勢するようにアーム部材22を回動させる引っ張りバネ28の一端部が係止されている。この引っ張りバネ28の他端部は、制動帯20の摩耗状態に応じて制動帯20の締め付け力を調整可能とする調整部29を介してクランクケース13に固定されている。
これにより、作業者が後述する安全レバー43と共にスロットルレバー27を握ると、ブレーキワイヤ24が引っ張りバネ28の引っ張り力に抗ってアーム部材22を図1中反時計回り方向に回動することによって、制動帯20が緩んでクラッチドラム19が回転可能となる。これに対し、作業者がスロットルレバー27を放すと、直ちに引っ張りバネ28の引張力によってアーム部材22が図1中時計回り方向に回動することによって、制動帯20がクラッチドラム19を締め付けて刈刃駆動用機構へのエンジン駆動力の伝動及び刈刃12の惰性による動きが停止する。
クランクケース13の前部には、往復動する刈刃12の上面側をガイドする長尺状の押さえ板30が刈刃12と共に前方に向かって略真っ直ぐに延びた状態で取り付け固定されている。この押さえ板30の上面先端部には、剪定作業を行っている作業者から容易に認識可能となるように着色された先端マーク31が長手方向に沿った長円状に設けられている。これにより、作業者が押さえ板30の後方側から先端マーク31を見ると略円形となり、図4のように先端マーク31が施されていない場合と比較すると、押さえ板30の先端位置、すなわち刈刃12の先端位置が容易に視認できるようになって作業者の安全性、作業性の向上が図られる。
なお、この先端マーク31は、例えば、シール、ペイント塗装や蛍光塗料によるものが好ましいが、押さえ板30に容易に着色可能であるならばこれらに限られたものではない。また、この先端マーク31は、平面的なものに限られたものではなく立体的なもの、例えば、刈刃12及び押さえ板30の先端部を上下方向に貫通したボルト32(図2に図示)に螺合したナット33に着色したり、或いは、作業者が視認可能とする光を発する光源を配置することも可能である。
さらに、この押さえ板30の上面後端部側、つまり作業者側には、往復動する刈刃12から作業者を保護するためのブレードガード34が接合された状態で、刈刃12、押さえ板30及びブレードガード34を上下方向に貫通したボルト35に螺合したナット36により共締め固定されている。
さらにまた、このクランクケース13の左右側部、且つエンジン11の出力軸18を前後から挟んだ位置には、このクランクケース13が防振装置14を介してフレーム15に支持される際に用いられる横向きのボルト孔37(図3に図示)が機体左右両側にそれぞれ等しく設けられている。
一方、フレーム15は合成樹脂製とされ、機体後方に真っ直ぐに延びるように配置されたリヤハンドル部23と、リヤハンドル部23の前方側で分岐してクランクケース13を左右側方から挟み込むように配置されると共にクランクケース13の前方側で連結される左右一対の左右フレーム部38,38と、左右フレーム部38,38の上面前部に配置された横向きのフロントハンドル部39及びプロテクタ40とを備えて構成されている。
リヤハンドル部23は、図2に示されるように、作業者が片手で把持した状態で容易に各種操作が行えるような形状を有しているものであって、このリヤハンドル部23の頂部には、エンジン11を停止させるためのエンジン停止用スライドスイッチ41が設けられている。さらに、このリヤハンドル部23の頂部から後方に延びたグリップ42の下面側には、エンジン11の回転数を制御するスロットルワイヤ(図示せず)及びブレーキワイヤ24が繋がった押し込み型のスロットルレバー27が設けられている。また、このグリップ42の上面側には、押し込み型の安全レバー43が設けられており、この安全レバー43をグリップ42内に押し込むとスロットルレバー27の操作が行えるように構成されている。
さらに、このリヤハンドル部23には、作業者が手前に引くとリヤハンドル部23の前部を回動中心としてリヤハンドル部23が左右方向に回動可能とするロックピン44が設けられている。なお、このロックピン44には、このロックピン44が手前に引かれた状態にあってはスロットルレバー操作を行えなくする安全機構が組み込まれている。また、グリップ42の後部には、機体後方、すなわち作業者に向かってつき出すことがないように、前方に向かって緩やかに凹み形成された凹部45が形成されている。この凹部45によって機体の全長が短縮化されるのでヘッジトリマ10の取り廻しがより一層向上するうえに、作業者がロックピン44を引く際にも握り易くなり、操作性がさらに向上する。
左右フレーム部38,38には、図3に示されるように、クランクケース13のボルト孔37に対向するフレーム側面部を貫通する貫通孔46が複数形成されている。これらの貫通孔46は、図2に示されるように、横長の長円状に形成されており、これら貫通孔46に抜け止めされた状態で埋め込み配置される防振装置14の座りを安定させるようになっている。
防振装置14は、クランクケース13に一端部が固定される横型の防振スプリング14Aと、この防振スプリング14Aの他端部が略隙間無く挿入配置されるカップ状、つまり凹状の収納部14B1を有し、且つ左右フレーム部38,38に形成された貫通孔46に埋め込み配置される弾性支持部材14Bとを備えて構成されている。
防振スプリング14Aは、金属材料、或いは非金属材料(例えば、炭素繊維強化プラスチック)の何れかを用いた円筒コイルスプリングが用いられ、その一端部(クランクケース側)の巻径は小径化されている。そして、その小径化された防振スプリング14Aの一端部は、クランクケース13のボルト孔37に螺合した固定用ボルト47によってクランクケース13に締め付け固定されている。
弾性支持部材14Bは、弾性ゴム材が用いられており、防振スプリング14Aによって減衰しきれないある特定周波数領域の振動を減衰可能としている。この弾性支持部材14Bの収納部14B1の底部には、固定用ボルト47を挿通可能とするための挿通孔14B2が開口形成されている。さらに、この収納部14B1の円周方向には、減衰性能を調整するための中空状の横穴部14B3が設けられている。また、弾性支持部材14Bのクランクケース13側の外周端部には、左右フレーム部38,38の側面部に係合するためのフランジ部14B4が形成されており、弾性支持部材14Bはこのフランジ部14B4によって貫通孔46に抜け止めされた状態で埋め込み配置される。
上述したように本発明によれば、防振装置14は、クランクケース13に一端部が固定される防振スプリング14Aと、この防振スプリング14Aの他端部が隙間無く挿入配置されるカップ状の収納部14B1を有し、且つフレーム15に埋め込み配置される弾性支持部材14Bとを備えて構成されている。さらに、この弾性支持部材14Bには弾性ゴム材が用いられている。これにより、横型の防振スプリング14Aで減衰しきれなかったある特定周波数領域の振動を弾性支持部材14Bによって減衰させることができるようになるので、エンジン11や刈刃用駆動機構から発生する振動が、フレーム15、つまり作業者により一層伝わり難くなり、長時間にわたる作業を行っても作業者の疲労度が少ない動力作業機の防振構造を提供することができる。
さらに、防振スプリング14Aのフレーム側端部は、カップ状の収納部14B1に挿入配置された状態で弾性支持部材14Bに支持されるので、機体を大型化することなく防振スプリング14Aのストローク量が大きく取れるようになり、ヘッジトリマ10をより低振動化することができる。しかも、ヘッジトリマ10の構成に大きな変更を加えることはなく、製作コストの上昇を抑えることができる。また、減衰させたいある特定周波数領域の振動を弾性支持部材14Bによって減衰させることが容易となるうえに、部品コストや機体重量の増加を抑えることができる。
なお、本発明は、ヘッジトリマにのみ適用されるのではなく、刈払機、チェンソー等の動力作業機にも適用することができる。
また、弾性支持部材14Bは、上述した左右フレーム部38,38に埋め込み配置される構成に限られたものではなく、例えば、左右フレーム部38,38自体に一体成形することも可能である。
本発明が適用されたヘッジトリマの平面図である。 同例における側面図である。 同例における底面図である。 従来のヘッジトリマの防振構造を説明するための模式図である。
符号の説明
10 ヘッジトリマ(動力作業機)
11 エンジン(動力源)
13 クランクケース(駆動ケース)
14 防振装置
14A 防振スプリング
14B 弾性支持体
14B1 収納部
15 フレーム

Claims (2)

  1. 動力源、駆動機構が組み込まれた駆動ケースと、前記駆動ケースを防振装置を介して支持するフレームとを備えた動力作業機の防振構造において、
    前記防振装置は、前記駆動ケースに一端部が固定される防振スプリングと、前記防振スプリングの他端部が挿入配置されるカップ状の収納部を有し、且つ前記フレームに埋め込み配置される弾性支持部材とを備えて構成されていることを特徴とする動力作業機の防振構造。
  2. 前記弾性支持部材は、防振ゴム材によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の動力作業機の防振構造。
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