JP2006039584A - 計算機ホログラムおよびその作成方法 - Google Patents

計算機ホログラムおよびその作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 演算負担を軽減しつつ、室内照明の再生環境で高品質な再生像を得る。
【解決手段】 原画像上および記録面上に所定ピッチhで多数の単位線分および矩形領域を定義する。原画像上の第m番目の単位線分Aには、記録面上の第m番目の矩形領域Cが対応する。単位線分A上に多数の点光源Pmiを定義し、各点光源からの物体光と、斜め上方から照射された参照光Rφとによる干渉縞を矩形領域Cに記録する。干渉縞の演算を行う際には、各点光源からの物体光のY軸方向の広がりを、所定の広がり角ξに制限し、矩形領域C内には、対応する単位線分A上の点光源からの物体光のみを考慮した干渉縞が記録されるようにする。全矩形領域について干渉縞を求め、記録面20上に得られた干渉縞パターンに基づいて得られる二値画像を電子線描画装置で媒体上に描画し、エンボスホログラムを作成する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、ホログラムの作成方法に関し、特に、計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を形成してなる計算機ホログラムを作成する方法に関する。
近年、レーザを利用してコヒーレント光を容易に得ることができるようになり、ホログラムの商業的な利用もかなり普及するに至っている。特に、金券やクレジットカードについては、偽造防止の観点から、媒体の一部にホログラムを形成するのが一般化してきている。
現在、商業的に利用されているホログラムは、光学的な手法により、原画像を媒体上に干渉縞として記録したものである。すなわち、原画像を構成する物体を用意し、この物体からの光と参照光とを、レンズなどの光学系を用いて感光剤が塗布された記録面上に導き、この記録面上に干渉縞を形成させるという手法を採っている。この光学的な手法は、鮮明な再生像を得るために、かなり精度の高い光学系を必要とするが、ホログラムを得るための最も直接的な手法であり、産業上では最も広く普及している手法である。
一方、計算機を用いた演算により記録面上に干渉縞を形成させ、ホログラムを作成する手法も知られており、このような手法で作成されたホログラムは、一般に「計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram )」、あるいは単に「計算機ホログラム」と呼ばれている。この計算機ホログラムは、いわば光学的な干渉縞の生成プロセスをコンピュータ上でシミュレーションすることにより得られるものであり、干渉縞パターンを生成する過程は、すべてコンピュータ上の演算として行われる。このような演算によって干渉縞パターンの画像データが得られたら、この画像データに基づいて、実際の媒体上に物理的な干渉縞が形成される。具体的には、たとえば、コンピュータによって作成された干渉縞パターンの画像データを電子線描画装置に与え、媒体上で電子線を走査することにより物理的な干渉縞を形成する方法が実用化されている。
コンピュータグラフィックス技術の発展により、印刷業界では、種々の画像をコンピュータ上で取り扱うことが一般化しつつある。したがって、ホログラムに記録すべき原画像も、コンピュータを利用して得られた画像データとして用意することができれば便利である。このような要求に応えるためにも、計算機ホログラムを作成する技術は重要な技術になってきており、将来は光学的なホログラム作成手法に取って代わる技術になるであろうと期待されている。下記の各特許文献には、このような計算機ホログラムの手法が開示されている。
特開平9−319290号公報 特開平10−123919号公報 特開平11−024539号公報 特開平11−024540号公報 特開平11−024541号公報
上述したように、計算機ホログラムは、今後大きな需要が見込まれる分野であるが、現時点では、商業的な利用を図る上での解決すべき課題をいくつか抱えている。たとえば、干渉縞を演算する際に、コンピュータに多大な演算負担が課せられる点は、解決すべき重要な課題のひとつである。現在のところ、演算処理能力の優れた超高速コンピュータを用いて、長時間にわたる演算を実行させれば、光学的なホログラムと同等の品質をもった計算機ホログラムを作成することは可能であるが、このような作成方法は商業的に利用することはできない。そこで、計算機ホログラムを作成する際に、コンピュータの演算負担を軽減させる手法が提案されている。たとえば、前掲の特許文献1,2には、原画像および記録面を、それぞれ分割して線状の単位領域を多数定義し、「原画像上の所定の単位領域内の点光源から発せられた光は、記録面上の対応する特定の単位領域内にのみ到達する」との仮想の限定条件を付した演算を行うことにより、演算負担を軽減させる方法が提案されており、前掲の特許文献3〜5には、更なる改良を加えた方法が開示されている。
また、コンピュータ上で得られた干渉縞を、実際の媒体上で、どのようにして物理的な干渉縞として再現するか、という点も、解決すべき重要な課題のひとつである。光学的な手法でホログラムを作成する場合、いわゆる写真技術を利用して、感光フィルム上にアナログ画像として干渉縞を記録することが可能であるが、計算機ホログラムを作成する場合、コンピュータ上に得られたデジタル画像データに基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を形成する必要がある。ところが、干渉縞パターンは、光の波長レベルの微細なパターンであるため、かなり高精度な描画技術が必要になる。現在のところ、計算機ホログラムを作成するための物理的な描画工程には、電子線描画装置を用いた描画を行うのが最適であると考えられている。電子線描画装置は、半導体集積回路用の微細パターンの描画に広く利用されており、干渉縞パターンの描画に必要十分な精度をもっている。ただ、電子線描画装置は電子ビームのオン/オフ制御によりパターン形成を行う装置であり、パターン形成面に対して、電子ビームによる描画/非描画の制御しか行うことはできない。したがって、媒体上には二値画像による干渉縞のパターン形成が行われることになる。
ところが、本来得られるべきアナログの干渉縞パターンを、演算負担を軽減させる手法を用いて二値画像によるパターンとして記録すると、再生像の品質が劣化するという問題が生じる。再生像の品質は、再生時の照明環境に大きく依存する。したがって、干渉縞を記録する段階において、どのような照明環境における再生が予想されるかを考慮した上で最適な条件を設定して、原画像を記録するのが好ましい。現在の一般的なホログラムの利用形態は、金券やクレジットカードへ付される偽造防止用パターンとしての形態である。このような利用形態の場合、斜め上方からの再生光を用いた再生が行われるのが一般的である。たとえば、クレジットカードで支払いを行う場合、室内の会計場所で会計担当者が天井からの照明光を利用してホログラムパターンの確認を行うのが一般的である。このとき、会計担当者は、通常、クレジットカードを顔面前方位置に保持し、上端をやや向こう側へ倒すようにして確認を行うことになるので、ホログラム記録媒体からみると、天井からの照明光が斜め上方から入射することになる。このような一般的な再生時の照明環境を考慮すると、斜め上方からの再生光が与えられたときに最適な再生が行われるような条件設定で像の記録を行うことが好ましいが、上述したように、演算負担を軽減させる手法を用いた従来の計算機ホログラムの作成技術では、このような条件設定で像を記録することが困難であった。
そこで本発明は、演算負担を軽減しつつ、高品質な再生像を得ることができる計算機ホログラムの作成方法を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を形成してなる計算機ホログラムを作成する方法において、
所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、この記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、
記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、原画像上に定義された光源から発せられた物体光と、参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
個々の演算点について求められた干渉波の強度に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を作成する段階と、
を行う際に、
原画像上に複数の単位線分を定義するとともに、記録面上に個々の単位線分にそれぞれ対応した個々の二次元単位領域を定義し、各二次元単位領域内に二次元的に分布する多数の演算点を定義し、
1つの演算点について干渉波の強度を演算するときに、その演算点が所属する二次元単位領域に対応した単位線分上に定義された光源のみを考慮した演算を行うようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
所定の投影条件に基づいて単位線分を記録面上に投影したときに得られる投影線分を記録面上で移動させることにより得られる二次元領域を、単位線分に対応する二次元単位領域とするようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
原画像上に互いに平行な多数の単位線分を定義することにより、記録面上に互いに平行な多数の投影線分が得られるようにし、これら多数の投影線分を共通の移動方向に、隣接する投影線分の移動範囲には重ならない限度で、所定の距離だけ移動させることにより得られる二次元領域を、各単位線分に対応する二次元単位領域とするようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
XYZ三次元座標系上に原画像を定義するとともに、この座標系のXY平面上に記録面を定義し、XZ平面に平行な多数の切断面を定義し、
個々の切断面で原画像および記録面を切断したときに切り口に得られる線分を、単位線分およびその投影線分と定義し、Y軸を共通の移動方向として個々の投影線分を移動させることにより個々の二次元単位領域を定義するようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
所定のピッチhで多数の切断面を定義することにより、原画像上にピッチhをもった多数の単位線分を定義するとともに、記録面上にピッチhをもった多数の投影線分を定義し、各投影線分をY軸方向にピッチhの区間幅だけ移動させることにより、幅がピッチhに等しい多数の二次元単位領域を定義するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第4の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
所定のピッチHで多数の切断面を定義することにより、原画像上にピッチHをもった多数の単位線分を定義するとともに、記録面上にピッチHをもった多数の投影線分を定義し、各投影線分をY軸方向にピッチHよりも小さい距離hの区間幅だけ移動させることにより、幅が距離hに等しくピッチHで配置された二次元単位領域を定義するようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第6の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
距離hをピッチHに対して、2h≦Hとなるように設定し、隣接する二次元単位領域間に幅がh以上の空隙領域が形成されるようにし、
各二次元単位領域内の演算点についての干渉波の強度演算が完了した後、各二次元単位領域内に得られた演算値の二次元分布を、隣接する空隙領域に複写する処理を行うようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第4〜7の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
参照光の向きを、YZ平面に対して平行になり、記録面に対して斜めに入射する向きにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1〜8の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
光源からの物体光の単位線分に沿った方向への広がり角を所定範囲内に制限して、干渉波の強度演算を行うようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第1〜8の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
各光源から発せられる個々の物体光の初期位相をランダムに設定するようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を形成してなる計算機ホログラムを作成する方法において、
XYZ三次元座標系上に所定の原画像を定義し、この座標系のXY平面上に原画像を記録するための記録面を定義し、更に、この記録面に対して照射する参照光を定義する段階と、
記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、原画像上に定義された光源から発せられた物体光と、参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
個々の演算点について求められた干渉波の強度に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を作成する段階と、
を行い、その際に、
1つの光源から発せられた物体光による記録面上の照射領域が、X軸方向の幅が視覚的認識可能な寸法をもち、Y軸方向の幅が視覚的に認識不可能な寸法をもった二次元単位領域となるように、各光源から発せられた物体光の広がりを制限するようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第1〜11の態様に係る方法によって、計算機ホログラムが記録された媒体を作成するようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、計算機を用いた演算を利用して、所定の媒体上に複数の部分から構成される原画像を干渉縞として記録した計算機ホログラムの媒体において、
原画像が正しい向きに観察されるように媒体を置いた状態で、この媒体上に、横幅が視覚的認識可能な寸法をもち、縦幅が視覚的に認識不可能な寸法をもった多数の二次元単位領域が定義されており、
同一の二次元単位領域に属する個々の点には、原画像の同一部分に関する情報が記録されており、
異なる二次元単位領域に属する個々の点には、原画像の異なる部分に関する情報が記録されているようにしたものである。
以上のとおり本発明に係る計算機ホログラムの作成方法によれば、演算負担を軽減しつつ、高品質な再生像を得ることができるようになり、特に、斜め上方からの再生光に適した記録が可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1. 計算機ホログラムの基本原理 >>>
図1は、一般的なホログラムの作成方法を示す原理図であり、原画像10を記録面20上に干渉縞として記録する方法が示されている。ここでは、説明の便宜上、図示のとおりXYZ三次元座標系を定義し、記録面20がXY平面上に置かれているものとする。光学的な手法を採る場合、記録対象となる物体が原画像10として用意されることになる。この原画像10上の任意の点Pから発せられた物体光Oは、記録面20の全面に向けて進行する。一方、記録面20には、参照光Rが照射されており、物体光Oと参照光Rとの干渉縞が記録面20上に記録されることになる。
記録面20の位置に計算機ホログラムを作成するには、原画像10、記録面20、参照光Rを、コンピュータ上にデータとしてそれぞれ定義し、記録面20上の各位置における干渉波強度を演算すればよい。具体的には、図2に示すように、原画像10をN個の点光源P,P,P,…,P,…,Pの集合として取り扱い、各点光源からの物体光O,O,O,…,O,…,Oが、それぞれ演算点Q(x,y)へと進行するとともに、参照光Rが演算点Q(x,y)に向けて照射されたものとし、これらN本の物体光O〜Oと参照光Rとの干渉によって生じる干渉波の演算点Q(x,y)の位置における振幅強度を求める演算を行えばよい。物体光および参照光は、通常、単色光として演算が行われる。記録面20上には、必要な解像度に応じた多数の演算点を定義するようにし、これら各演算点のそれぞれについて、振幅強度を求める演算を行えば、記録面20上には干渉波の強度分布が得られることになる。
このような強度分布を示す画像データに基づいて、実際の媒体上に物理的な濃淡パターンやエンボスパターンを形成すれば、原画像10を干渉縞として記録したホログラムが作成できる。媒体上に高解像度の干渉縞を形成する手法としては、電子線描画装置を用いた描画が適している。電子線描画装置は、半導体集積回路のマスクパターンを描画する用途などに広く利用されており、電子線を高精度で走査する機能を有している。そこで、演算によって求めた干渉波の強度分布を示す画像データを電子線描画装置に与えて電子線を走査すれば、この強度分布に応じた干渉縞パターンを描画することができる。ただ、一般的な電子線描画装置は、描画/非描画を制御することにより二値画像を描画する機能しか有していない。そこで、演算によって求めた強度分布を二値化して二値画像を作成し、この二値画像データを電子線描画装置に与えるようにすればよい。
<<< §2. 演算負担を軽減させる手法 >>>
計算機ホログラムを作成する基本原理は、上述したとおりである。ただ、高い品質をもった再生像を得るためには、記録面20に記録される干渉縞の解像度を高めるとともに、原画像10自体の解像度を高める必要がある。別言すれば、記録面20上に定義する演算点Qの数を増やすとともに、原画像10を構成する点光源Pの数を増やす必要があり、コンピュータの演算負担は両者の積に応じて増大することになる。このため、現在の一般的なコンピュータの処理能力を考慮すると、このような手法によって作成された計算機ホログラムを商業的に利用するのは困難である。
そこで、ここでは、演算負担を軽減させるための実用的な一手法を述べておく。図3は、この手法を説明するための原理図である。まず、原画像10上の任意の点光源Pから発せられた物体光Oが、図示のとおり水平方向(XZ平面に平行な平面内)にのみ広がると仮定する。すると、物体光Oは、記録面20上の線状領域Bだけに到達することになり、記録面20の他の領域には、物体光Oは一切届かないことになる。原画像10を構成するすべての点光源から発せられる物体光について、同様の限定(物体光はXZ平面に平行な平面内にのみ広がるという限定)を付すようにすれば、記録面20上の各演算点における干渉波強度の演算負担は大幅に軽減される。
図4は、この演算負担を軽減させる手法の具体的な適用例を示す図である。この例では、原画像10および記録面20を、それぞれ多数の平行線によって水平方向に分割し、多数の線状の単位領域を定義している。すなわち、図示のとおり、原画像10は、合計M個の単位領域A,A,A,…,A,…Aに分割されており、記録面20は、同じく合計M個の単位領域B,B,B,…,B,…Bに分割されている。原画像10が立体画像の場合、各単位領域A,A,A,…,A,…Aは、この立体の表面部分を分割することによって得られる領域になる。ここで、原画像10上のM個の単位領域と記録面20上のM個の単位領域とは、それぞれが1対1の対応関係にある。たとえば、原画像10上の第m番目の単位領域Aは、記録面20上の第m番目の単位領域Bに対応している。
なお、この図4に示す例では、各単位領域A,A,A,…,A,…Aの幅は、原画像10上に定義された点光源のピッチに等しく設定されており、個々の単位領域には、点光源が一列に並んだ線状の領域になっている。たとえば、図示の例では、第m番目の単位領域Aには、N個の点光源Pm1〜PmNが一列に並んでいる。また、各単位領域B,B,B,…,B,…Bの幅は、記録面20上に定義された演算点のピッチに等しく設定されており、個々の単位領域には、演算点が一列に並んだ線状の領域になっている。図示の演算点Q(x,y)は、第m番目の単位領域B内に位置する演算点を示しており、XY座標系において座標値(x,y)で示される位置にある。
この例の場合、演算点Q(x,y)についての干渉波強度は、次のようにして求められる。まず、この演算点Q(x,y)が所属する単位領域Bに対応する原画像10上の単位領域Aを演算対象単位領域として定める。そして、この演算対象単位領域A内の点光源Pm1〜PmNから発せられた物体光Om1〜OmNと、参照光Rとによって形成される干渉波についての演算点Q(x,y)の位置における振幅強度を求めれば、この振幅強度が、目的とする演算点Q(x,y)についての干渉波強度である。図5は、このような演算処理の概念を説明するための上面図であり、図4に示す原画像10および記録面20を、図の上方から見た状態を示している。図示のとおり、演算点Q(x,y)における干渉波強度を求めるのに必要な物体光は、演算対象単位領域A内のN個の点光源Pm1,…,Pmi,…,PmNから発せられた物体光Om1,…,Omi,…,OmNのみに限定され、原画像10を構成する全点光源からの物体光を考慮する必要はない。このため、演算負担は大幅に軽減されることになる。
こうして、記録面20上に定義したすべての演算点Q(x,y)について、それぞれ所定の干渉波強度を求めれば、記録面20上に干渉波の強度分布が得られることになる。そこで、この強度分布に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞(物理的な濃淡パターンやエンボスパターン)を作成すれば、計算機ホログラムが作成できる。媒体上に高解像度の干渉縞を形成する手法としては、電子線描画装置を用いた描画が適している。電子線描画装置は、半導体集積回路のマスクパターンを描画する用途などに広く利用されており、電子線を高精度で走査する機能を有している。そこで、演算によって求めた干渉波の強度分布を示す画像データを電子線描画装置に与えて電子線を走査すれば、この強度分布に応じた干渉縞パターンを描画することができる。
ただ、一般的な電子線描画装置は、描画/非描画を制御することにより二値画像を描画する機能しか有していない。そこで、演算によって求めた強度分布を二値化して二値画像を作成し、この二値画像データを電子線描画装置に与える必要がある。図6は、このような二値化処理の概念図である。上述した演算により、記録面20上の各演算点Q(x,y)には、所定の振幅強度値が定義されることになる。そこで、この振幅強度値に対して所定のしきい値(たとえば、記録面20上に分布する全振幅強度値の平均値)を設定し、このしきい値以上の強度値をもつ演算点には画素値「1」を与え、このしきい値未満の強度値をもつ演算点には画素値「0」を与えるようにし、各演算点Q(x,y)を、「1」もしくは「0」の画素値をもつ画素D(x,y)に変換すれば、多数の画素D(x,y)の集合からなる二値画像が得られる。この二値画像のデータを電子線描画装置に与えて描画を行えば、物理的な二値画像として干渉縞を描画することができる。実際には、この物理的に描画された干渉縞に基づいて、たとえばエンボス版を作成し、このエンボス版を用いたエンボス加工を行うことにより、表面に干渉縞が凹凸構造として形成されたホログラムを量産することができる。
<<< §3. 従来の手法の問題点 >>>
上述した演算負担を軽減させる手法で作成された計算機ホログラムは、厳密な意味では、本来のホログラムにはなっていない。すなわち、本来のホログラムであれば、たとえば、図2に示すように、記録面20上の任意の1点Q(x,y)に記録された干渉縞には、原画像10を構成する全点光源からの物体光の情報が反映されていなければならない。ところが、上述の手法で作成された計算機ホログラムでは、たとえば、図4に示すように、記録面20上の任意の1点Q(x,y)に記録された干渉縞には、原画像10の単位領域A内の点光源からの物体光の情報しか反映されていない。このため、このホログラムの再生像は、図の水平方向に関しては本来のホログラム像として観察されるが、図の垂直方向に関しては本来のホログラム像としては観察されなくなる。より具体的に説明すれば、図4に示す記録面20を、図のY軸を枢軸として回転させながら観察した場合には、本来の立体像としての観察が可能であるが、図のX軸を枢軸として回転させながら観察した場合には、本来の立体像としての観察はできなくなる。
もちろん、クレジットカードや金券に付するホログラムとして利用する場合には、偽造防止マークとしての機能を果たすことができれば、必ずしも完全な形での立体像の再生は必要ない。しかしながら、クレジットカードや金券に付するホログラムとしての利用を考慮すると、上述の手法で作成されたホログラムは、再生時の照明環境への適応が不十分である。その理由を、図7を参照しながら説明しよう。
図7は、§2の手法を説明するために、記録に必要な系を記録面20の背面側からみた状態を示す図である。原画像10上の線状単位領域A上には、多数の点光源が並んでおり、これらの点光源からの物体光と所定の参照光との干渉縞が、記録面20上に定義された線状単位領域B上の各演算点に記録されることになる。図のようにXYZ三次元座標系を定義した場合、点光源Pmiからの物体光がX軸方向のみに広がると仮定した演算が行われることになり(図では、この物体光の広がりをハッチングを施して示してある)、線状単位領域B上の演算点には、線状単位領域A上の点光源のみを考慮した情報が記録されることになる。
ところが、このような手法で記録された像を再生する際には、図示のような再生光Rθ(記録時に用いた参照光と同じ)を記録面20に照射する必要がある。この再生光Rθは、図のようにXYZ三次元座標系を定義した場合に、XZ平面に平行な平面(線状単位領域AおよびBを含む平面)に沿って進む平面波であり、記録面20に対して入射角θをなす。線状単位領域B上に記録される情報は、このXZ平面に平行な特定の一平面(線状単位領域AおよびBを含む平面)上での事象であり、他の平面上での事象は一切記録されることがない。同様に、線状単位領域Bm+1(線状単位領域Bの1本下に定義される単位領域)上に記録される情報は、一層下の平面(線状単位領域Aの1本下に定義される線状単位領域Am+1および上記Bm+1を含む平面)上での事象であり、他の平面上での事象は一切記録されることがない。したがって、種々の方向から再生光を照射した場合であっても、図7に示す再生光Rθの方向成分をもった再生光のみが像の再生に寄与することになる。
このように、§2で述べた手法で作成されたホログラムには、上下に所定間隔(記録面20上の画素配列のピッチに相当する間隔)をおいて定義された多数の層(XZ平面に平行な平面層)ごとに、それぞれ独立した事象が記録されることになる。このホログラムの再生像が、図の水平方向に関しては本来のホログラム像として観察されるが、図の垂直方向に関しては本来のホログラム像としては観察されなくなる理由は、このように各層ごとに独立した事象が記録されているためである。再生像を得るためには、XZ平面に平行な平面に沿って進む再生光が必要になる理由も同じである。
ところが、金券やクレジットカードへ付される偽造防止用パターンとしての利用形態を考慮すると、既に述べたように、斜め上方からの再生光(天井の照明器具から照射される光)を用いた再生が行われるのが一般的である。したがって、実際の室内での再生時の照明環境は、図7に示されている再生光Rθの条件には適合していない。もちろん、一般の室内照明には、壁、床、家具などからの散乱光や窓からの光などが含まれているので、クレジットカードなどを一般的な方法で観察した場合、図7に示すような側方からの再生光Rθの成分が再生に寄与することができる。したがって、再生像が全く得られないということはない。しかしながら、室内における一般的な観察環境では、天井の照明器具からの光が支配的であり、また、昼間の屋外における一般的な観察環境においても、太陽からの光が支配的である。このような再生時の照明環境を考慮すると、より品質の高い再生像を得るためには、斜め上方からの再生光を前提として像を記録するのが好ましい。以下に述べる本発明の手法は、このような観点から、斜め上方から光を照射する再生環境に適した像記録を行う新規な方法を提案するものである。
<<< §4. 本発明に係る計算機ホログラムの作成方法 >>>
図8は、本発明の基本原理を説明するために、記録に必要な系を記録面20の背面側からみた状態を示す図である。図7と同様に、原画像10上の線状単位領域A上には、多数の点光源が並んでおり、これらの点光源からの物体光と所定の参照光との干渉縞が、記録面20上に定義された単位領域C上の各演算点に記録されることになる。図7に示す例では、単位領域Bが線状の領域であり、演算点が一次元的に並んでいただけであるが、本発明では、図8にハッチングを施して示すように、単位領域Cは二次元の領域を形成しており、演算点が二次元的に並ぶことになる。別言すれば、図7に示す単位領域Bが、Y軸方向の幅をもたない幾何学上の線であるのに対し、図8に示す単位領域Cは、Y軸方向に所定幅hをもった幾何学上の平面ということになる。
ここでは、説明の便宜上、原画像10上に定義された線状単位領域Aを「単位線分」と呼ぶことにし、記録面20上に定義された単位領域Cを、この単位線分Aに対応した二次元単位領域Cと呼ぶことにする。なお、任意形状の立体などを像として記録する場合、原画像10が任意曲面になるため、この任意曲面上に定義された単位線分は、「曲線分」を形成することになる。したがって、本明細書における「単位線分」という文言は、「直線分」だけでなく「曲線分」も含めた意味で用いることにする。
本実施形態では、原画像10上に複数の単位線分を定義し、記録面20上には、これら各単位線分にそれぞれ対応した個々の二次元単位領域を定義する。たとえば、原画像10上に合計M本の単位線分A,A,A,…,A,…Aを定義した場合、記録面20上には、それぞれに対応した二次元単位領域C,C,C,…,C,…Cが定義されることになる。そして、これら各二次元単位領域内に、二次元的に分布する多数の演算点が定義され、個々の演算点について干渉波の強度を演算する際に、その演算点が所属する二次元単位領域に対応した単位線分上に定義された点光源のみを考慮した演算を行う。
たとえば、図8には、原画像10上に定義された第m番目の単位線分Aと、これに対応して定義された第m番目の二次元単位領域C(ハッチングを施した細長い矩形領域)とが示されている。ここで、二次元単位領域C内には、縦横二次元マトリックス状に配された多数の演算点が定義され、各演算点について、それぞれ干渉波の強度が演算されるが、その際に、単位線分A上の点光源Pm1,Pm2,Pm3,…,Pmi,…,PmNからの物体光のみを考慮した演算が行われる。この演算は、個々の点光源に着目すれば、ある点光源Pmiから発せられた物体光のY軸方向に関する広がり角を、図8に示す所定角ξに制限した演算ということができる。この例では、物体光のX軸方向に関する広がりは制限されていないため、単位線分A上のすべての点光源Pm1,Pm2,Pm3,…,Pmi,…,PmNから発せられた物体光は、横幅が記録面20の横幅に等しく、縦幅が角度ξに応じて定まる寸法hとなる矩形状の二次元単位領域Cに照射されることになる。図7に示す手法は、いわば図8に示す手法における広がり角ξを0にしたものに相当する。
このように、図8に示す手法によれば、単位線分A上の点光源の情報を、区間幅hにわたって二次元的に記録できるので、図示のような参照光Rφを用いた記録が可能になる。この参照光Rφは、図のようにXYZ三次元座標系を定義した場合に、YZ平面に平行な平面に沿って進む平面波であり、記録面20に対して入射角φをもって斜め上方から照射される光である。もちろん、この図8に示す手法によれば、図7に示すような側方からの参照光Rθを用いた記録も可能であり、理論的にはどのような方向から入射する参照光を用いても記録が可能になる。ただ、実用上は、既に述べたように、斜め上方からの再生光を受けながら観察することを前提とした記録を行うのが好ましいので、図8に示すように、斜め上方からの参照光Rφを用いた演算を行うのがよい。このような参照光Rφを用いて作成されたホログラムは、天井照明からの光など、斜め上方から照射される再生光の下で最適な再生像を提示できる。
ところで、本発明を実施するにあたって、原画像10上に定義された個々の単位線分のそれぞれに対応した二次元単位領域を記録面20上に定義する際には、次のような手法をとればよい。まず、所定の投影条件に基づいて、原画像10上の単位線分を記録面20上に投影して投影線分を求める。そして、この投影線分を記録面20上で移動させることにより得られる二次元領域を、単位線分に対応する二次元単位領域とすればよい。たとえば、図8に示す例の場合、原画像10上に定義された単位線分AをZ軸方向に投影すれば、投影線分B(図7に示す例における線状単位領域Bと同じになる)が求まる。そこで、この投影線分Bを記録面20上でY軸方向に沿って区間幅hにわたって上下に移動させれば、図示のような矩形領域Cが得られるので、これを単位線分Aに対応する二次元単位領域と定義すればよい。
本発明に係る計算機ホログラムの作成方法のより具体的な実施形態を図9に示す。ここでは、XYZ三次元座標系上に定義された図9(a) に示すような任意立体形状の表面模様を原画像10として、図9(b) に示すようなXY平面上に定義された記録面20上に記録を行う場合を考える。まず、原画像10上に多数の単位線分を定義する。ここでは、XZ平面に平行なM枚の切断面をピッチhでY軸方向に並べるように定義し(いわば、M枚の水平面を上下方向に多層配置した構造を定義する)、これらの切断面で原画像10を切断したときに切り口に得られるM本の平行な線分を単位線分として定義している。図9(a) には、原画像10上に定義されたM本の単位線分A,…,Am−1,A,Am+1,…Aが示されている(既に述べたように、原画像10が曲面を構成する場合には、これら各単位線分は曲線分となる)。また、これら各単位線分上には、それぞれ所定のピッチで多数の点光源が定義される。たとえば、第m番目の単位線分A上には、N個の点光源Pm1,…,Pmi,…PmNが定義されている。
続いて、こうして求めたM本の単位線分A,…,Am−1,A,Am+1,…Aのそれぞれに対応した二次元単位領域を記録面20上に定義する。ここに示す例では、各単位線分A,…,Am−1,A,Am+1,…AをZ軸方向(水平方向)に投影し、記録面20上にそれぞれ投影線分B,…,Bm−1,B,Bm+1,…B(図示されていない)を求めている(投影線分が記録面20の横幅よりも短い場合には、長さ方向に伸ばす処理を行っておく)。もっとも、これらの投影線分は、上述したM枚の切断面で記録面20を切断したときの切り口としても得ることができる。次に、これらM本の投影線分B,…,Bm−1,B,Bm+1,…Bを、Y軸を共通の移動方向として上下両方向にそれぞれh/2の距離だけ移動させることにより、図9(b) に示すような二次元単位領域C,…,Cm−1,C,Cm+1,…Cを求めることができる。別言すれば、記録面20上に定義されたM本の投影線分を、Y軸を共通の移動方向として、隣接する投影線分の移動範囲には重ならない限度で所定の距離(この例では、上下にそれぞれh/2の距離)だけ移動させることにより、M個の二次元単位領域C,…,Cm−1,C,Cm+1,…Cが得られたことになる。これらの二次元単位領域は、いずれも横幅が記録面20の横幅に等しく、縦幅がピッチhに等しい細長い矩形になる。
こうして、M個の二次元単位領域C,…,Cm−1,C,Cm+1,…Cが定義されたら、各領域内に二次元的に分布する演算点を定義する。各演算点は、最終的に記録面20上に形成される干渉縞パターンの画素として機能することになる。図10は、第m番目の二次元単位領域C(図9にハッチングを施して示してある領域)内に、縦横マトリックス状に多数の演算点を定義した状態を示す平面図である。縦幅hの矩形内に多数の正方形が描かれているが、個々の正方形は1画素を示しており、各正方形の中心点がそれぞれ演算点として機能する。
このようにして定義した各演算点について、それぞれ干渉波の強度が演算されるが、既に述べたように、演算に考慮される点光源は、対応する単位線分上の点光源に限定される。たとえば、図10に示す第m番目の二次元単位領域C内のj列k行目の演算点Qm(j,k)についての干渉波の強度は、図9(a) に示す第m番目の単位線分A上のN個の点光源Pm1,…,Pmi,…PmNからの物体光と、図8に示すように斜め上方から入射する参照光Rφとの干渉によって生じる波の振幅強度として演算されることになる。図10に示されている他の演算点(各正方形の中心点)についても、同様の演算が行われ、それぞれ固有の強度値が求められる。本来のホログラム像を記録するのであれば、図9(a) に示す原画像10上のすべての点光源からの物体光を考慮した演算を行う必要があるが、ここで述べる手法によれば、1本の単位線分上に位置する点光源からの物体光のみを考慮した演算ですむため、演算負担は大幅に軽減される。
こうして、記録面20上の全演算点について、それぞれ強度値が求められたら、これを二値化する。その結果、図10において、小さな正方形として示されている個々の画素に、白または黒のいずれかの画素値が与えられる。この画素値に基づいて、物理的な媒体上に印刷もしくはエンボス加工を施せば、原画像10が記録されたホログラム記録媒体が得られる。このようにして作成された媒体は、斜め上方から再生光を照射することにより最適な再生像が得られるので、クレジットカードなどを観察する際の一般的な照明環境に適合したものになる。
なお、記録面20上に定義される二次元単位領域のY軸方向の幅h(縦方向の幅)は、視覚的に認識不可能な寸法(肉眼の解像度よりも更に高い解像度を実現できる寸法)に設定するのが好ましい。これは、幅hを視覚的に認識可能な寸法に設定した場合、記録面20を全体的に観察した際に、二次元単位領域の境界線が肉眼で認識されてしまい、全体的に横縞模様が観察されるおそれがあるからである。たとえば、h=1mm程度(視覚的に十分認識可能な寸法)に設定した場合、再生像に幅1mmの横縞が重なって観察されることになる。具体的には、h<100μm以下、より好ましくはh<50μm以下に設定すると、ほとんどの場合、横縞模様は認識されなくなる。これに対して、上述した実施形態では、二次元単位領域のX軸方向の幅は、記録面20の横幅に等しくなるため、当然、視覚的に認識可能な寸法になる。したがって、二次元単位領域は、X軸方向の幅が視覚的認識可能な寸法をもち、Y軸方向の幅が視覚的に認識不可能な寸法をもった横方向に細長い矩形になる(図示の便宜上、図面上の細長い矩形の縦横比は実際のものとは異なっている)。
結局、本発明に係る計算機ホログラムの作成方法では、原画像10上の1つの点光源から発せられた物体光による記録面20上の照射領域が、X軸方向の幅が視覚的認識可能な寸法をもち、Y軸方向の幅が視覚的に認識不可能な寸法をもった二次元単位領域となるように、各点光源から発せられた物体光の広がりを制限した演算が行われることになる。また、本発明に係る計算機ホログラム媒体には、原画像が正しい向きに観察されるように媒体を置いた状態(すなわち、図9(b) に示すように正置した状態)で、横幅が視覚的認識可能な寸法をもち、縦幅が視覚的に認識不可能な寸法をもった多数の二次元単位領域が定義されており、しかも、同一の二次元単位領域に属する個々の点には、原画像の同一部分に関する情報が記録されており、異なる二次元単位領域に属する個々の点には、原画像の異なる部分に関する情報が記録されていることになる。たとえば、図9(b) に示す第m番目の二次元単位領域Cに属する個々の点には、原画像10の第m番目の単位線分A上の点光源に関する情報が記録されている。これに対して、第m+1番目の二次元単位領域Cm+1に属する個々の点には、原画像10の第m+1番目の単位線分Am+1上の点光源に関する情報が記録されている。
本実施形態では、具体的に次のような寸法設定を行っている。まず、記録面20としては、縦横それぞれ約10mmの正方形の領域を定義しており、原画像10としては、この正方形の領域とほぼ同じ寸法の像を定義している。また、幅h=20μm(視覚的に認識不可能な寸法)とすることにより、原画像10上に500本の単位線分を定義するとともに、記録面20上に500個の二次元単位領域を定義している。したがって、記録面20上に形成される1つの二次元単位領域は、横幅が約10mm,縦幅が20μmという横方向に細長い矩形の領域になる。各二次元単位領域内には、図10に示すように、多数の演算点(正方形で示された画素の中心点)が定義されるが、ここでは演算点の配置ピッチを縦横ともに0.4μmに設定している。したがって、図10に示す二次元単位領域C内には、縦に50個、横に25000個の演算点が定義されることになる。演算点の配置ピッチは、最終的に形成される画素の寸法に対応することになるので、画素の寸法は縦横0.4μmとなる。現在一般的に利用されている電子線描画装置で描画可能な寸法は、0.1〜0.2μm程度なので、必要に応じて演算点のピッチを、0.1〜0.2μm程度にまで小さくすることも可能である。
<<< §5. 演算負担を更に軽減させる実施形態 >>>
ここでは、§4で述べた実施形態を変形することにより、演算負担を更に軽減させる手法を図11を参照しながら説明する。図11(a) は、図9(a) と同様に原画像10を示す図であり、図11(b) は、図9(b) と同様に記録面20を示す図である。ただ、この図11に示す例では、図9に示すピッチhよりも大きな所定のピッチHで、XZ平面に平行な複数の切断面が定義され(図では、説明の便宜上、3つの切断面が定義された例を示すが、実際には、より多数の切断面が定義される)、この切断面で原画像10および記録面20を切断することにより、原画像10上にピッチHをもった単位線分A1,A2,A3を定義するとともに、記録面20上にピッチHをもった投影線分B1,B2,B3(図示されていない)を定義する(実際には、より多数の単位線分および投影線分が定義される)。ここで、投影線分B1,B2,B3は、単位線分A1,A2,A3をZ軸方向に投影して得られる線分に相当し、これら投影線分B1,B2,B3をY軸方向に区間幅hだけ移動させることにより得られる矩形領域が、二次元単位領域C1,C2,C3(図11(b) にハッチングを施して示す領域)となる。
この後の演算工程は、前述した§4の方法と同様である。すなわち、各二次元単位領域C1,C2,C3内に、二次元的に分布する多数の演算点を定義して、各演算点ごとに干渉波の振幅強度を演算する。このとき、各演算点が所属する二次元単位領域に対応した単位線分上の点光源のみを考慮した演算が行われ、たとえば、二次元単位領域C1内の演算点については、単位線分A1上の点光源からの物体光のみを考慮した演算が行われることになる。
§4で述べた方法との違いは、二次元単位領域の縦幅hが、ピッチHよりも小さく設定されている点である。たとえば、h=20μm、H=80μmなる設定を行えば、4h=Hとなり、隣接する二次元単位領域間に、縦幅60μmの空隙領域が形成されることになる。この空隙領域には、演算点が存在しないので、演算を行う必要はなくなる。このため、§4で述べた方法に比べて、演算量は1/4に軽減されることになる。
このように、ピッチHよりも小さな縦幅hを設定する方法を採ると、干渉縞が記録されない空隙領域が形成されることになるが、縦幅60μm程度の空隙領域の存在は、通常、視覚的には認識されないので大きな問題は生じない。ただ、観察時の輝度は低くならざるを得ない。この輝度低下に対処するためには、次のような方法が有効である。すなわち、縦幅hをピッチHに対して、2h≦Hとなるように設定し、隣接する二次元単位領域間に縦幅がh以上の空隙領域が形成されるようにし、各二次元単位領域内の演算点についての干渉波の強度演算が完了した後、各二次元単位領域内に得られた演算値の二次元分布を、隣接する空隙領域に複写する処理を行うのである。
たとえば、h=20μm、H=80μmなる設定を行えば、隣接する二次元単位領域間に縦幅が60μmの空隙領域が形成されるので、縦幅20μmの二次元単位領域内に得られた演算値の二次元分布を、3組ならべて複写する処理を行うことができる。図12は、図11(b) に示す記録面20上の二次元単位領域C1,C2,C3を、空隙領域に複写する処理を行った状態を示す図である。すなわち、二次元単位領域C1内に得られた演算値の二次元分布は、隣接する領域C11,C12,C13(いずれも縦幅hの矩形領域)へと複写される。同様に、二次元単位領域C2内に得られた演算値の二次元分布は、隣接する領域C21,C22,C23へと複写され、二次元単位領域C3内に得られた演算値の二次元分布は、隣接する領域C31,C32,C33へと複写される。
このような複写を行えば、記録面20上の全領域に演算点が定義されることになり、空隙領域は消滅する。したがって、輝度低下という問題を解消することができる。しかも演算値を複写する処理は、干渉縞の強度演算を行う処理に比べて極めて負担が軽い処理であるため、演算負担を軽減させるというメリットはそのまま維持される。なお、このような複写処理は、原画像10を忠実に記録するという観点からは問題がある。本来であれば、たとえば、図12における領域C1,C11,C12,C13には、それぞれ固有の干渉縞が記録されているべきであるのに、実際には、これらの領域には全く同じ干渉縞が記録されてしまうことになる。このため、再生像と原画像とに食い違いが生じることになる。しかしながら、偽造防止用パターンといった用途に利用する場合には、必ずしも原画像に忠実な再生像を得る必要はないので、大きな問題にはならない。
<<< §6. その他の実施形態 >>>
ここでは、本発明の更に別な変形例に係る実施形態を述べる。はじめに、再生像に生じる輝度むらを抑制させる変形例を説明する。上述したように、本発明に係る計算機ホログラムの作成方法では、最終的に二値画像として干渉縞が媒体上に記録されることになる。このように、本来はアナログ情報である干渉縞を、デジタル情報に変換して記録した場合、再生像に輝度むらが生じる現象が確認されており、この輝度むらを抑制させるための手法が、たとえば、特開平11−024539号公報に開示されている。この輝度むらを抑制する手法の詳細については、ここでは説明を省略するが、この手法は本発明に係る計算機ホログラムの作成方法にも適用可能である。この手法の基本原理は、点光源からの物体光の広がりを抑制する点にある。
図8に示すように、本発明では、点光源Pmiから放出される物体光のY軸方向に関する広がりは、所定角ξの範囲に制限されることになる。二次元単位領域Cの縦幅hは、たとえば20μmといったかなり小さな寸法に設定されるため、所定角ξもかなり小さな角度になり、物体光のY軸方向に関する広がりに関しては、かなり厳しい制限が加えられていることになる。このため、記録面20上に得られる再生像には、少なくともY軸方向に関する輝度むらは認識されない。ただ、X軸方向(単位線分に沿った方向)に関する広がりに関しては、何ら制限を加えていないため、図8に示す例では、点光源Pmiから放出される物体光のX軸方向に関する広がりは、記録面20の横幅に相当するかなり広い範囲になっている。したがって、原画像10のモチーフによっては、記録面20上に得られる再生像に、X軸方向に関する輝度むらが生じる可能性がある。
このようなX軸方向に関する輝度むらを抑制するためには、図13に示すように、点光源Pmiからの物体光の単位線分Aに沿った方向(X軸に沿った方向)への広がり角を所定範囲Ψ内に制限して、干渉波の強度演算を行うようにすればよい。図示の例では、点光源Pmiからの物体光のX軸方向に関する広がりは角度Ψの範囲内に制限され、Y軸方向に関する広がりは角度ξの範囲内に制限されていることになる。
ただし、物体光の広がりを制限すればするほど、本来のホログラムとしての性質が失われ、再生像の立体感が失われてしまう(本来のホログラムでは、1つの点光源からの物体光が記録面の全領域に到達しなければならない)。したがって、二次元単位領域の縦幅hを20μm程度に設定すると、Y軸方向に関する再生像の立体感はかなり失われることになる(記録面20をX軸を枢軸として回転させた場合、再生像の立体感はあまり認識されなくなる)。これは本発明に係る手法が潜在的にもつデメリットである。しかしながら、人間は、水平方向に配された一対の眼を有しているため、肉眼での観察を前提とした場合は、Y軸方向に関する再生像の立体感よりも、むしろX軸方向に関する再生像の立体感の方が重要である。このような理由から、X軸方向に関する広がり角度Ψは、あまり極端に小さな値にすることは好ましくない。具体的には、記録面20上での物体光の照射領域(図13にハッチングで示す領域)のX軸方向の幅を、視覚的に認識可能な寸法に設定するのが好ましい。
なお、上述したX軸方向に関する広がり角を制限する手法を本発明に適用する場合は、たとえば、図14に示すように、記録面20上の二次元単位領域C上の演算点Qについての干渉波強度の演算を行う際に、この演算点Q上に垂線nを立て、この垂線nを中心軸とする頂角Ψの円錐を定義し、原画像10上の単位線分Aのうち、この円錐内に入る部分(図の点Pa〜Pbの部分)上の点光源からの物体光のみを考慮した演算を行うようにすればよい。
続いて、再生像に生じる筋状ノイズを抑制させる変形例を説明する。この筋状ノイズも、本来はアナログ情報である干渉縞をデジタル情報に変換して記録するために生じる現象と考えられており、この筋状ノイズを抑制させるための手法が、たとえば、特開平11−024539号公報に開示されている。この筋状ノイズを抑制する手法の詳細についても、ここでは説明を省略するが、この手法もやはり本発明に係る計算機ホログラムの作成方法に適用することができる。具体的には、各演算点についての干渉波強度の演算を行う際に、各点光源から発せられる個々の物体光の初期位相をランダムに設定するようにすればよい。物体光の初期位相をランダム設定することにより、物体光の規則性が乱されることになり、再生像に生じる筋状ノイズを抑制させることができる。
<<< §7. 二次元単位領域の縦幅hを小さく設定する別なメリット >>>
前述したように、記録面20上に定義する二次元単位領域は、横幅(X軸方向の幅)を視覚的に認識可能な寸法とし、縦幅h(Y軸方向の幅)を視覚的に認識不可能な寸法にするのが好ましい。その理由は既に述べたとおりである。すなわち、横幅を視覚的に認識可能な寸法とする理由は、再生像の横方向に関する立体感を維持するためであり、縦幅hを視覚的に認識不可能な寸法にする理由は、再生像を観察した際に横縞が認識されないようにするためである。ところが、本願発明者は、斜め上方からの参照光を用いて像の記録を行う場合、二次元単位領域の縦幅hを小さく設定することにより別なメリットを得ることができることに気が付いた。ここでは、参考のために、この別なメリットについて述べておく。
いま、図15に示すように、記録面20上に、点光源Pの像を記録する場合を考える。ここでは、図のように、記録面20の左側から参照光Rを照射して像の記録を行うものとしよう。この場合、たとえば、記録面20上に定義された演算点Qにおける干渉波の強度値は、点光源Pからの物体光Oと参照光Rとによって、演算点Qの位置において生じる干渉波の振幅強度として演算されることになる。もっとも、ホログラムでは、原画像の情報を干渉縞として記録することに意味があり、1つの演算点Qのもつ強度値だけでは何ら意味をなさず、記録面20上に得られた空間的な強度値の分布に意味があることになる。
ところで、物体光Oと参照光Rとの干渉によって生じる干渉波の周波数は、物体光Oと参照光Rとの交差角に依存することが知られている。したがって、図15に示す演算点Qの位置に得られる干渉波の周波数は、図示の交差角αに依存することになる。より具体的には、交差角αが0°のときに得られる干渉波の周波数が最も低く(実際には、交差角α=0°の場合は干渉は起こらず、周波数は0である)、交差角αが大きくなるに従って、干渉波の周波数は徐々に高くなってゆき、交差角αが180°のときに得られる干渉波の周波数が最高(具体的な値は波長に依存して定まる)となる。
ここで、本発明を実施するにあたって問題となるのは、交差角αが大きい場合である。交差角αが大きいと、得られる干渉波の周波数が高くなるため、記録面20上には、この高い周波数に応じた高い解像度で演算点を定義しなければ、干渉縞を記録することはできない。ところが、実用上、演算点の解像度には限界がある。その第1の理由は、演算点の解像度を高くすればするほど(すなわち、演算点の配置ピッチを小さくすればするほど)、演算点の総数が増えることになり、演算負担が重くなるからである。そして、第2の理由は、物理的な媒体に画素として干渉縞を形成する際、画素の大きさに限界があるからである。現在の電子線描画装置では、0.1μm以下の寸法をもった画素を描画することはできず、演算点の配置ピッチもこの寸法以下にすることはできない。このように、演算点の解像度に限界があるため、実用上は、交差角αにも上限が存在することになる。この交差角αの上限となる角度は、原画像10と記録面20との距離などの条件によって異なるため、一概に定めることはできないが、いずれにしても、交差角αはできるだけ小さくなるようにするのが好ましい。
さて、ここで、図8に示す例について考えてみよう。この例では、参照光Rφは、YZ平面に平行な光であって、記録面20に対して斜め上方から入射角φで入射している。図16は、この図8に示す例を上方から見た図である。この図16において、点光源Pからの物体光の広がりを考えてみる。ここでは、点光源Pからの物体光が、広がり角ΨでX軸方向に広がりながら記録面20に照射された状態が示されており、右端の物体光ORIGHT は演算点QRIGHT に到達し、左端の物体光OLEFTは演算点QLEFTに到達している。このとき、物体光ORIGHT と参照光Rとの交差角αRIGHT と、物体光OLEFTと参照光Rとの交差角αLEFTとに着目すると、図示の例の場合、いずれもたかだか45°程度である(点光源Pと記録面20との距離が小さくなると、交差角はより大きくなるが、それでも最大値は90°である)。
これに対して、図17は、図8に示す例を側方から見た図である。この図17において、点光源Pからの物体光の広がりを考えてみる。ここでは、点光源Pからの物体光が、広がり角ξでY軸方向に広がりながら記録面20に照射された状態が示されており、上端の物体光OTOP は演算点QTOP に到達し、下端の物体光OBOTTOMは演算点QBOTTOMに到達している。このとき、物体光OTOP と参照光Rとの交差角αTOP と、物体光OBOTTOMと参照光Rとの交差角αBOTTOMとに着目すると、図示の例の場合、交差角αBOTTOMは30°程度であるのに対し、交差角αTOP は60°程度になっている(点光源Pと記録面20との距離が小さくなり、参照光Rの入射角φが小さくなると、最大値は180°となる)。
以上のことから、図8の例のように、斜め上方からの参照光を用いた記録を行う場合、物体光のX軸方向の広がり角Ψをある程度大きくしても、交差角αが極端に大きくなることはないが、物体光のY軸方向の広がり角ξを大きくすると、交差角α、特に上端の物体光についての交差角αTOP が極端に大きくなる傾向にあることがわかる。既に述べたように、交差角αが大きくなりすぎると、演算点の解像度が干渉波の周波数に追従できなくなり、干渉縞を正しく記録することができなくなってしまう。そこで、図18に示すように、物体光のY軸方向の広がり角ξは、なるべく小さく抑えるようにするのが好ましい。別言すれば、二次元単位領域の縦幅hは、なるべく小さく設定するのが好ましい。
一般的なホログラムの作成方法を示す原理図であり、原画像10を記録面20上に干渉縞として記録する方法が示されている。 図1に示す原理に基づいて、記録面上の任意の点Q(x,y)における干渉波の強度を演算する方法を示す図である。 演算負担を軽減させたホログラムの作成方法を示す原理図であり、原画像10を記録面20上に干渉縞として記録する方法が示されている。 図3に示す原理に基づいて、記録面上の任意の点Q(x,y)における干渉波の強度を演算する方法を示す図である。 図4に示す原画像10および記録面20を、図の上方から見た状態を示した上面図である。 演算によって得られた強度分布画像を二値化し、二値画像を得る過程を示す概念図である。 演算負担を軽減させる従来の計算機ホログラムの作成方法の基本原理を示す斜視図である。 演算負担を軽減させる本発明に係る計算機ホログラムの作成方法の基本原理を示す斜視図である。 本発明に係る計算機ホログラムの作成方法の一実施形態において、原画像10上に定義された単位線分と、記録面20上に定義された二次元単位領域とを示す図である。 図9(b) に示されている二次元単位領域C内に定義された演算点(画素)のマトリックス配列を示す図である。 本発明に係る計算機ホログラムの作成方法の別な一実施形態において、原画像10上に定義された単位線分と、記録面20上に定義された二次元単位領域とを示す図である。 図11(b) に示す二次元単位領域C1,C2,C3内の演算値の二次元分布を複写する処理を行った状態を示す図である。 本発明に係る計算機ホログラムの作成方法に、物体光のX軸方向の広がり角Ψを制限する手法を適用した実施形態を示す斜視図である。 図13に示す手法における具体的な演算方法を示す上面図である。 一般的なホログラムにおける物体光Oと参照光Rとのなす交差角αを示す図である。 物体光のX軸方向の広がり角Ψを示すために、図8に示す実施形態を上面から見た状態を示す図である。 物体光のY軸方向の広がり角ξを示すために、図8に示す実施形態を側面から見た状態を示す図である。 図17における広がり角ξを小さく設定した状態を示す図である。
符号の説明
10…原画像
20…記録面
,A,A,Am−1,A,Am+1,A…原画像上の線状単位領域/原画像上の単位線分
B,B,B,B,B,B…記録面上の線状単位領域/記録面上の投影線分
,C,C,Cm−1,C,Cm+1,C…二次元単位領域
11,C12,C13,C21,C22,C23,C31,C32,C33…演算値の二次元分布を複写した領域
D(x,y)…二値画像を構成する画素
h…二次元単位領域の縦幅/単位線分のピッチ
H…二次元単位領域および単位線分のピッチ
…法線(円錐の中心軸)
O,O,O,O,Om1,OmN,ORIGHT ,OLEFT,OTOP ,OBOTTOM…物体光
P,Pa,Pb,P,P,P,Pm1,Pmi,PmN,…点光源
Q(x,y),Q(x,y),Qm,Qm(j,k),QRIGHT ,QLEFT,QTOP ,QBOTTOM…演算点
R,Rθ,Rφ…参照光(再生光)
α,αRIGHT ,αLEFT,αTOP ,αBOTTOM…物体光Oと参照光Rとの交差角
θ,φ…参照光の入射角
ξ…物体光のY軸方向に関する広がり角
Ψ…物体光のX軸方向に関する広がり角

Claims (13)

  1. 計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を形成してなる計算機ホログラムを作成する方法であって、
    所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、この記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、
    前記記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、前記原画像上に定義された光源から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
    個々の演算点について求められた干渉波の強度に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を作成する段階と、
    を有し、
    前記原画像上に複数の単位線分を定義するとともに、前記記録面上に前記個々の単位線分にそれぞれ対応した個々の二次元単位領域を定義し、各二次元単位領域内に二次元的に分布する多数の演算点を定義し、
    1つの演算点について干渉波の強度を演算する際に、その演算点が所属する二次元単位領域に対応した単位線分上に定義された光源のみを考慮した演算を行うことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  2. 請求項1に記載の作成方法において、
    所定の投影条件に基づいて単位線分を記録面上に投影したときに得られる投影線分を前記記録面上で移動させることにより得られる二次元領域を、前記単位線分に対応する二次元単位領域とすることを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  3. 請求項2に記載の作成方法において、
    原画像上に互いに平行な多数の単位線分を定義することにより、記録面上に互いに平行な多数の投影線分が得られるようにし、これら多数の投影線分を共通の移動方向に、隣接する投影線分の移動範囲には重ならない限度で、所定の距離だけ移動させることにより得られる二次元領域を、各単位線分に対応する二次元単位領域とすることを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  4. 請求項3に記載の作成方法において、
    XYZ三次元座標系上に原画像を定義するとともに、この座標系のXY平面上に記録面を定義し、XZ平面に平行な多数の切断面を定義し、
    前記個々の切断面で前記原画像および前記記録面を切断したときに切り口に得られる線分を、単位線分およびその投影線分と定義し、Y軸を共通の移動方向として個々の投影線分を移動させることにより個々の二次元単位領域を定義することを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  5. 請求項4に記載の作成方法において、
    所定のピッチhで多数の切断面を定義することにより、原画像上に前記ピッチhをもった多数の単位線分を定義するとともに、記録面上に前記ピッチhをもった多数の投影線分を定義し、各投影線分をY軸方向に前記ピッチhの区間幅だけ移動させることにより、幅がピッチhに等しい多数の二次元単位領域を定義することを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  6. 請求項4に記載の作成方法において、
    所定のピッチHで多数の切断面を定義することにより、原画像上に前記ピッチHをもった多数の単位線分を定義するとともに、記録面上に前記ピッチHをもった多数の投影線分を定義し、各投影線分をY軸方向に前記ピッチHよりも小さい距離hの区間幅だけ移動させることにより、幅が距離hに等しく前記ピッチHで配置された二次元単位領域を定義することを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  7. 請求項6に記載の作成方法において、
    距離hをピッチHに対して、2h≦Hとなるように設定し、隣接する二次元単位領域間に幅がh以上の空隙領域が形成されるようにし、
    各二次元単位領域内の演算点についての干渉波の強度演算が完了した後、各二次元単位領域内に得られた演算値の二次元分布を、隣接する空隙領域に複写する処理を行うことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載の作成方法において、
    参照光の向きを、YZ平面に対して平行になり、記録面に対して斜めに入射する向きにしたことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の作成方法において、
    光源からの物体光の単位線分に沿った方向への広がり角を所定範囲内に制限して、干渉波の強度演算を行うことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の作成方法において、
    各光源から発せられる個々の物体光の初期位相をランダムに設定することを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  11. 計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を形成してなる計算機ホログラムを作成する方法であって、
    XYZ三次元座標系上に所定の原画像を定義し、この座標系のXY平面上に前記原画像を記録するための記録面を定義し、更に、この記録面に対して照射する参照光を定義する段階と、
    前記記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、前記原画像上に定義された光源から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
    個々の演算点について求められた干渉波の強度に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を作成する段階と、
    を有し、
    1つの光源から発せられた物体光による前記記録面上の照射領域が、X軸方向の幅が視覚的認識可能な寸法をもち、Y軸方向の幅が視覚的に認識不可能な寸法をもった二次元単位領域となるように、各光源から発せられた物体光の広がりを制限することを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかの作成方法によって作成された計算機ホログラムの媒体。
  13. 計算機を用いた演算を利用して、所定の媒体上に複数の部分から構成される原画像を干渉縞として記録した計算機ホログラムの媒体において、
    原画像が正しい向きに観察されるように媒体を置いた状態で、この媒体上に、横幅が視覚的認識可能な寸法をもち、縦幅が視覚的に認識不可能な寸法をもった多数の二次元単位領域が定義されており、
    同一の二次元単位領域に属する個々の点には、原画像の同一部分に関する情報が記録されており、
    異なる二次元単位領域に属する個々の点には、原画像の異なる部分に関する情報が記録されていることを特徴とする計算機ホログラムの媒体。
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