JP2006038641A - コンタクトプローブ - Google Patents
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Abstract
【課題】 半田の付着を低減することができるコンタクトプローブを提供する。
【解決手段】 導電体と導電体の表面の少なくとも一部に形成された被覆層とを含むコンタクトプローブであって、被覆層がパラジウムまたはロジウムのいずれか一方を含み、さらにシリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類を含むコンタクトプローブである。ここで、被覆層の最表面に、パラジウムまたはロジウムのいずれか一方と、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類と、からなる複合層を有することが好ましい。
【選択図】 図10
【解決手段】 導電体と導電体の表面の少なくとも一部に形成された被覆層とを含むコンタクトプローブであって、被覆層がパラジウムまたはロジウムのいずれか一方を含み、さらにシリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類を含むコンタクトプローブである。ここで、被覆層の最表面に、パラジウムまたはロジウムのいずれか一方と、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類と、からなる複合層を有することが好ましい。
【選択図】 図10
Description
本発明はコンタクトプローブに関し、特に半田の付着を低減することができるコンタクトプローブに関する。
従来から、IC(Integrated Circuit;集積回路)や電気回路などに設置された半田にコンタクトプローブを接触させることによってこれらの回路の検査のために通電試験が行なわれている。
コンタクトプローブは、たとえば図15の模式的斜視図に示すように、導電体1から形成されており、被検査回路に設置された半田に接触する先端部1aと、一端において先端部1aを支持するバネ部1bと、バネ部1bの他端をリード線に電気的に接続するリード線接続部1cとを備えている。コンタクトプローブは、たとえばプローブカード内に配置され、検査に際しては、先端部1aを被検査回路に設置された半田に押し当てて使用される。
特開2003−294787号公報
しかしながら、この通電試験を実施した際には、たとえば図16の模式的拡大断面図に示すように、基材2上に設置されている半田3が導電体1からなるコンタクトプローブの先端部1aに付着してしまうことがあった。このように半田が付着するのは、先端部1aが半田と濡れやすい材料から構成されており、また、通電時にコンタクトプローブと半田との接触抵抗により生じるジュール熱が大きく、ジュール熱により溶融した半田がコンタクトプローブの先端部1aと合金化し、若しくはコンタクトプローブの先端部1aに半田の一部が熱拡散によって接合して、強固に付着するためと考えられる。
このように半田が付着したコンタクトプローブは通電性が悪くなることから、定期的なクリーニングを行なって付着した半田を除去する必要がある。しかしながら、コンタクトプローブを定期的にクリーンニングすることは非常に煩雑である。したがって、半田の付着を低減することができるコンタクトプローブの必要性は非常に大きいものと考えられる。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、半田の付着を低減することができるコンタクトプローブを提供することにある。
本発明は、導電体と導電体の表面の少なくとも一部に形成された被覆層とを含むコンタクトプローブであって、被覆層がパラジウムまたはロジウムのいずれか一方を含み、さらにシリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類を含むコンタクトプローブである。
ここで、本発明のコンタクトプローブにおいては、被覆層の最表面に、パラジウムまたはロジウムのいずれか一方と、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類と、からなる複合層を有することが好ましい。
また、本発明のコンタクトプローブにおいては、複合層の最表面から導電体の方向に1μm以内の領域において、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類の濃度が複合層の最表面から導電体の方向に減少し得る。
また、本発明のコンタクトプローブにおいては、複合層が、パラジウムまたはロジウムのいずれか一方からなる層に、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類のイオンを注入してなる層であり得る。
また、本発明のコンタクトプローブにおいては、被覆層がダイヤモンド粒子、ダイヤモンドライクカーボン粒子およびフッ素樹脂からなる粒子の群から選択された少なくとも1種類の粒子を含み得る。
また、本発明のコンタクトプローブにおいては、被覆層が、ダイヤモンド粒子、ダイヤモンドライクカーボン粒子およびフッ素樹脂からなる粒子の群から選択された少なくとも1種類の粒子を分散させたパラジウムまたはロジウムのいずれか一方のイオンを含む電解液中のイオンの還元反応により導電体の表面上に析出した層であり得る。
また、本発明のコンタクトプローブにおいては、導電体がニッケルまたはニッケル合金からなることが好ましい。
また、本発明のコンタクトプローブにおいては、被覆層が半田と接触する層であることが好ましい。
また、本発明のコンタクトプローブにおいては、半田がスズを含むことが好ましい。
本発明によれば、半田の付着を低減することができるコンタクトプローブを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本願の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
(実施の形態1)
以下、図面を参照して、本発明のコンタクトプローブの製造方法の好ましい一例を説明する。まず、図1の模式的断面図に示すように、導電性を有する基板4を用意し、図2の模式的断面図に示すように、この基板4の表面全体にレジスト5を塗布する。ここで、基板4としては、ステンレス、銅またはアルミニウムなどの導電性の基板を用いてもよく、シリコンまたはガラスなどからなる非導電性基板上にチタン、アルミニウム、銅またはこれらの合金からなる導電層をスパッタリングなどにより形成したものを用いてもよい。
以下、図面を参照して、本発明のコンタクトプローブの製造方法の好ましい一例を説明する。まず、図1の模式的断面図に示すように、導電性を有する基板4を用意し、図2の模式的断面図に示すように、この基板4の表面全体にレジスト5を塗布する。ここで、基板4としては、ステンレス、銅またはアルミニウムなどの導電性の基板を用いてもよく、シリコンまたはガラスなどからなる非導電性基板上にチタン、アルミニウム、銅またはこれらの合金からなる導電層をスパッタリングなどにより形成したものを用いてもよい。
次に、所望のコンタクトプローブのパターンを有するマスクを用いて、レジスト5の一部にX線や紫外線などが照射される。そして、図3の模式的断面図に示すように、レジスト5の一部がアッシングによって所望のコンタクトプローブの形状に除去される。これにより、コンタクトプローブの母型が形成される。ここで、レジスト5がポジ型レジストであればX線や紫外線などの照射部分が除去され、ネガ型レジストであればX線や紫外線などの非照射部分が除去される。
続いて、図4の模式的構成図に示すように、この母型を陰極として、電解槽13に収容された、コンタクトプローブの導電体を構成するニッケルのイオンを含む電解液12中にたとえばニッケルからなる陽極9とともに浸漬させる。そして、これらの電極間に電流を流して電鋳を行なうことにより、電解液12中のニッケルイオンが還元して基板4上にニッケルが析出し、図5の模式的断面図に示すようにニッケルからなる導電体1が基板4上に形成される。そして、母型を電解槽から取り出した後、図6の模式的断面図に示すように、導電体1が研磨されて導電体1の表面とレジスト5の表面とが同じ高さに揃えられる。
そして、酸素プラズマによるアッシングなどにより、基板4上のレジスト5が除去される。これにより、図7の模式的拡大断面図に示すようなニッケルからなる先端部1aを有するコンタクトプローブが形成された基板が得られる。
この先端部1aの表面上に、たとえば電気めっきやスパッタリングなどにより、図8の模式的拡大断面図に示すように、ロジウムからなる金属層6が形成される。そして、図9の模式的拡大断面図に示すように、この金属層6にシリコンイオン7が注入される。これにより、図10の模式的拡大断面図に示すように、この金属層6中にロジウムとシリコンとからなる複合層8が形成されて、先端部1aの表面上に被覆層11が形成される。その後、内側にある金属層6と最表面にある複合層8とからなる被覆層11を有するコンタクトプローブが基板から取り外されて、本発明のコンタクトプローブが得られる。
上記のようにして得られたコンタクトプローブの構造は、複合層8の最表面から導電体の方向に1μm以内の領域において、シリコンの濃度が複合層8の最表面から導電体の方向に減少する構造となる。このように薄く、濃度勾配を有する複合層8はその内側にある金属層6との接合性が良好であり、イオン注入以外の手法で上記のような複合層を形成した場合のように金属層6との結晶構造および格子定数の相違による複合層8の剥離やクラックの発生を有効に防止することができる。
ここで、本発明のコンタクトプローブにおいて、回路の通電試験の際において被検査回路に設置された半田と接触する部分である複合層8には、半田と濡れにくく硬い材料であるシリコンが含まれている。また、この複合層8には、半田と濡れにくくさらに導電性が高く硬い材料であるロジウムが含まれている。
したがって、図11の模式的拡大断面図に示すように、このように導電性が高く硬いロジウムを有する複合層8を半田3に接触させた場合には、複合層8と半田3との間での接触抵抗が大きくならないため接触抵抗により発生するジュール熱がそれほど大きくならず、さらに複合層8は半田3と濡れにくいロジウムとシリコンとから構成されているので、半田3の付着をより有効に低減することができる。
なお、上記の実施の形態1においては、先端部1aを有するコンタクトプローブの導電体1としてニッケルを用いたが、導電体1の材質は特に限定されない。なかでも、上記のように電鋳により導電体1を形成する場合には、導電体1の材質としてニッケルとマンガンとからなる合金(Ni−Mn合金)などのニッケル合金またはニッケル単体が用いられることが好ましい。
また、上記の実施の形態1においては、金属層6の材質としてロジウムを用いたが、ロジウムの代わりにパラジウムとコバルトとからなる合金(Pd−Co合金)などのパラジウム合金またはパラジウム単体を用いることもできる。
また、上記の実施の形態1においては、金属層6にシリコンイオン7が注入されて複合層8が形成されたが、シリコンイオン7だけでなく、シリコンイオン、炭素イオンおよびフッ素イオンからなる群から選択された少なくとも1種類のイオンが注入されてもよい。この場合には、複合層8の最表面から導電体の方向に1μm以内の領域において、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類の濃度が複合層8の最表面から導電体の方向に減少することになる。ここで、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類の濃度は、直線的に減少してもよく、指数関数的に減少してもよい。
また、複合層8は、上記の実施の形態1のように基板上にコンタクトプローブが設置された状態で形成されてもよく、基板からコンタクトプローブを取り外した後に形成されてもよい。さらに、複合層8は、上記の実施の形態1のように半田3と接触する先端部1aのみに形成されてもよく、コンタクトプローブの表面全体に形成されてもよい。コンタクトプローブの表面全体に複合層8を形成する場合には、イオンの注入方法としてたとえば全方位プラズマイオン注入法が好適に用いられる。
また、上記の実施の形態1において、半田3がスズを含む合金からなる場合に特に本発明の効果が顕著である。スズを含む合金からなる半田3としては、たとえばスズと鉛とからなる合金(Sn−Pb合金)、スズと鉛とアンチモンとからなる合金(Sn−Pb−Sb合金)、スズとアンチモンとからなる合金(Sn−Sb合金)、スズと鉛とビスマスとからなる合金(Sn−Pb−Bi合金)、スズとビスマスとからなる合金(Sn−Bi合金)、スズと銅とからなる合金(Sn−Cu合金)、スズと亜鉛とからなる合金(Sn−Zn合金)、スズと鉛と銅とからなる合金(Sn−Pb−Cu合金)、スズとインジウムとからなる合金(Sn−In合金)、スズと銀とからなる合金(Sn−Ag合金)、スズと鉛と銀とからなる合金(Sn−Pb−Ag合金)、スズと銀と銅とからなる合金(Sn−Ag−Cu合金)またはこれらの合金などがある。なお、スズを含む合金からなる半田3には任意のフラックスが添加されていてもよい。
(実施の形態2)
以下に、図面を参照して、本発明のコンタクトプローブの製造方法の好ましい他の一例を説明する。まず、図7に示す先端部1aを有するコンタクトプローブが設置された基板を得ることまでは上記の実施の形態1と同様である。次に、図12の模式的構成図に示すように、この先端部1aを含むコンタクトプローブが設置された基板4を陰極として、電解槽13に収容されたロジウムイオンを含む電解液12中にたとえばニッケルからなる陽極9とともに浸漬させる。ここで、電解液12中にはロジウムイオンの他に、ダイヤモンド粒子10が分散されている。
以下に、図面を参照して、本発明のコンタクトプローブの製造方法の好ましい他の一例を説明する。まず、図7に示す先端部1aを有するコンタクトプローブが設置された基板を得ることまでは上記の実施の形態1と同様である。次に、図12の模式的構成図に示すように、この先端部1aを含むコンタクトプローブが設置された基板4を陰極として、電解槽13に収容されたロジウムイオンを含む電解液12中にたとえばニッケルからなる陽極9とともに浸漬させる。ここで、電解液12中にはロジウムイオンの他に、ダイヤモンド粒子10が分散されている。
そして、これらの電極間に電流を流すことにより、電解液12中のロジウムイオンが還元して先端部1aの表面上にロジウムがダイヤモンド粒子10を取り込みながら析出する。これにより、図13の模式的拡大断面図に示すように、コンタクトプローブの先端部1aの表面上に、ロジウムからなる金属層6中にダイヤモンド粒子10が分散された被覆層11が形成される。その後、このように処理された先端部1aを有するコンタクトプローブが基板4から取り外されて、本発明のコンタクトプローブが得られる。
ここで、本発明のコンタクトプローブにおいて、回路の通電試験の際において被検査回路に設置された半田と接触する部分である被覆層11には、半田と濡れにくく硬い材料であるダイヤモンド粒子10が含まれている。また、この被覆層11には、半田と濡れにくくさらに導電性が高く硬い材料であるロジウムが含まれている。
したがって、図14の模式的拡大断面図に示すように、このように導電性が高く硬いロジウムを含む被覆層11を半田3に接触させた場合には、複合層8と半田3との間での接触抵抗が大きくならないため接触抵抗により発生するジュール熱がそれほど大きくならず、さらに被覆層11は半田3と濡れにくいロジウムとダイヤモンド粒子10とから構成されているので半田3の付着をより有効に防止することができる。
なお、上記の実施の形態2においては、ロジウムからなる金属層6中にダイヤモンド粒子10が分散させられているが、ダイヤモンド粒子、ダイヤモンドライクカーボン粒子およびフッ素樹脂からなる粒子の群から選択された少なくとも1種類の粒子を分散させることができる。ここで、ダイヤモンド粒子はダイヤモンド構造を有する結晶質の粒子のことである。また、ダイヤモンドライクカーボン粒子は炭素と水素とを含み、炭素と水素の結合と、炭素のSP3結合と、炭素のSP2結合と、を含む非晶質の粒子のことである。また、フッ素樹脂はフッ素を含む樹脂であれば特に限定されず、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを用いることができる。
また、上記の実施の形態2における導電体1、金属層6および半田3などの説明については上記の実施の形態1と同様であるので省略する。
ステンレスからなる基板の表面全体にレジストを塗布し、このレジストの一部にSR光(シンクロトロン放射光)を照射した後にその照射部分のレジストを除去することによって、基板の表面上に複数のコンタクトプローブの形状に除去された部分を有する厚み60μmのレジストを有する母型を得た。
このようにして得られた母型を陰極とし、ニッケル板を陽極として、電解槽に収容された以下に示す組成のpH4.0の第1電解液中にこれらの電極を浸漬させ、第1電解液の温度を60℃とした状態で、これらの電極の間に電流密度3A/dm2の電流を流して電鋳を行なった。なお、以下に示す第1電解液、第2電解液、第3電解液、第4電解液および第5電解液の組成の表記はすべて、それぞれの電解液1L当たりの成分の質量または体積を示している。また、これらの電解液を構成する成分としては、下記の組成に表記されている成分以外はすべて水である。
<第1電解液の組成>
スルファミン酸ニッケル:600g/L
塩化ニッケル:10g/L
ホウ酸:40g/L
上記のように電鋳を行なって基板上にニッケルを析出させた後、レジストの表面から上方にはみ出しているニッケルを研磨して除去することにより、析出したニッケルの表面とレジストの表面との高さを揃えた。そして、酸素と四フッ化炭素との体積比が1:1である混合ガスを用いて、以下の条件によりアッシングを行ない、レジストを除去した。
スルファミン酸ニッケル:600g/L
塩化ニッケル:10g/L
ホウ酸:40g/L
上記のように電鋳を行なって基板上にニッケルを析出させた後、レジストの表面から上方にはみ出しているニッケルを研磨して除去することにより、析出したニッケルの表面とレジストの表面との高さを揃えた。そして、酸素と四フッ化炭素との体積比が1:1である混合ガスを用いて、以下の条件によりアッシングを行ない、レジストを除去した。
<アッシングの条件>
混合ガス圧:0.5torr
電力:100W
処理時間:200分
このようにして形成された複数のコンタクトプローブのうち1本を基板より引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル1とした。
混合ガス圧:0.5torr
電力:100W
処理時間:200分
このようにして形成された複数のコンタクトプローブのうち1本を基板より引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル1とした。
そして、残りのコンタクトプローブを基板上に設置したままその基板を複数に分割した。そして、分割された基板のうち1枚の基板を陰極とし、白金板を陽極として、電解槽に収容された以下に示す組成の第2電解液中にこれらの電極を浸漬させ、第2電解液の温度を50℃とした状態で、これらの電極の間に電流密度2A/dm2の電流を100秒間流してニッケルからなるコンタクトプローブの露出している表面にロジウムを電気めっきによりコーティングした。
<第2電解液の組成>
硫酸ロジウム:1.5g/L
硫酸:20ml/L
そして、ロジウムのコーティング後に、全方位プラズマイオン注入装置を用いて、下記の条件でシリコンイオン(Si+)を注入し、コンタクトプローブの露出している表面にロジウムとシリコンとからなる複合層を最表面に有する被覆層を形成した。
硫酸ロジウム:1.5g/L
硫酸:20ml/L
そして、ロジウムのコーティング後に、全方位プラズマイオン注入装置を用いて、下記の条件でシリコンイオン(Si+)を注入し、コンタクトプローブの露出している表面にロジウムとシリコンとからなる複合層を最表面に有する被覆層を形成した。
<シリコンイオンの注入条件>
電圧:20kV
処理時間:30分
周波数:150kHz
このような複合層を有する被覆層が形成されたコンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル2とした。
電圧:20kV
処理時間:30分
周波数:150kHz
このような複合層を有する被覆層が形成されたコンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル2とした。
また、サンプル2を作製した場合と同様にして、ニッケルからなるコンタクトプローブの露出している表面にロジウムを電気めっきによりコーティングした。 そして、ロジウムのコーティング後に、全方位プラズマイオン注入装置を用いて、下記の条件で炭素イオン(C+)を注入し、コンタクトプローブの露出している表面にロジウムと炭素とからなる複合層を最表面に有する被覆層を形成した。
<炭素イオンの注入条件>
電圧:20kV
処理時間:30分
周波数:150kHz
このような複合層を有する被覆層が形成されたコンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル3とした。
電圧:20kV
処理時間:30分
周波数:150kHz
このような複合層を有する被覆層が形成されたコンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル3とした。
また、上記の分割された基板のうち1枚の基板を陰極とし、白金板を陽極として、電解槽に収容された以下に示す組成の第3電解液中にこれらの電極を浸漬させ、第3電解液の温度を55℃とした状態で、これらの電極の間に電流密度1.5A/dm2の電流を80秒間流してニッケルからなるコンタクトプローブの露出している表面にPd−Co合金を電気めっきによりコーティングした。
<第3電解液の組成>
Pd(NH3)2Cl2:50g/L
Co(NH3)2Cl2:3g/L
硫酸アンモニウム:20ml/L
光沢剤:2g/L
そして、Pd−Co合金のコーティング後に、全方位プラズマイオン注入装置を用いて、サンプル2の場合と同一の条件でシリコンイオン(Si+)を注入し、コンタクトプローブの露出している表面にPd−Co合金とシリコンとからなる複合層を最表面に有する被覆層を形成した。このようにして複合層を有する被覆層が形成されたコンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル4とした。
Pd(NH3)2Cl2:50g/L
Co(NH3)2Cl2:3g/L
硫酸アンモニウム:20ml/L
光沢剤:2g/L
そして、Pd−Co合金のコーティング後に、全方位プラズマイオン注入装置を用いて、サンプル2の場合と同一の条件でシリコンイオン(Si+)を注入し、コンタクトプローブの露出している表面にPd−Co合金とシリコンとからなる複合層を最表面に有する被覆層を形成した。このようにして複合層を有する被覆層が形成されたコンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル4とした。
また、上記の処理が行なわれなかった上記のコンタクトプローブを有する基板のうち1枚の基板を陰極とし、白金板を陽極として、電解槽に収容された以下に示す組成の第4電解液中にこれらの電極を浸漬させ、第4電解液の温度を50℃とした状態で、これらの電極の間に電流密度2A/dm2の電流を80秒間流してニッケルからなるコンタクトプローブの露出している表面に粒径0.3μm以下のPTFE粒子が分散されたロジウムからなる被覆層を形成した。
<第4電解液の組成>
硫酸ロジウム:1.5g/L
硫酸:20ml/L
PFAS(パーフルオロアルカンスルフォネート)系界面活性剤:20ml/L
粒径0.3μm以下のPTFE粒子:100g/L
このようにしてPTFE粒子が分散されたロジウムからなる被覆層が形成されたコンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル5とした。
硫酸ロジウム:1.5g/L
硫酸:20ml/L
PFAS(パーフルオロアルカンスルフォネート)系界面活性剤:20ml/L
粒径0.3μm以下のPTFE粒子:100g/L
このようにしてPTFE粒子が分散されたロジウムからなる被覆層が形成されたコンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル5とした。
また、上記の処理が行なわれなかった残りのコンタクトプローブを有する基板を陰極とし、白金板を陽極として、電解槽に収容された以下に示す組成の第5電解液中にこれらの電極を浸漬させ、第5電解液の温度を50℃とした状態で、これらの電極の間に電流密度2A/dm2の電流を90秒間流してニッケルからなるコンタクトプローブの露出している表面に粒径0.2μm以下のダイヤモンド粒子が分散されたロジウムからなる被覆層を形成した。
<第5電解液の組成>
硫酸ロジウム:1.5g/L
硫酸:20ml/L
ラウリル硫酸ナトリウム:2ml/L
粒径0.2μm以下のダイヤモンド粒子:80g/L
このようにしてダイヤモンド粒子が分散されたロジウムからなる被覆層が形成されたコンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル6とした。
硫酸ロジウム:1.5g/L
硫酸:20ml/L
ラウリル硫酸ナトリウム:2ml/L
粒径0.2μm以下のダイヤモンド粒子:80g/L
このようにしてダイヤモンド粒子が分散されたロジウムからなる被覆層が形成されたコンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル6とした。
上記の分割された基板のうち1枚の基板の表面にPVD(物理蒸着)法によって、膜厚0.5μmのダイヤモンドライクカーボン膜の被覆を行なった後、コンタクトプローブを基板から引き剥がして、以下に示す効果検証試験におけるサンプル7とした。
<効果検証試験>
上記のようにして得られたサンプル1からサンプル7のコンタクトプローブからなるセットを2セット用意した。そのうちの1セットのコンタクトプローブのそれぞれの先端部をPb−Sn合金(Pb:Sn=37:63)からなる半田に5gの荷重で押し付けた状態で100mAの電流を30秒間通電させることを1回の通電試験として、4000回の通電試験を行なった。そして、この4000回の通電試験の500回ごとに通電中の接触抵抗を測定した。その測定結果を表1中の数値(Ω)に示す。また、4000回の通電試験の終了後に、7本のコンタクトプローブのそれぞれの先端に付着した半田屑についてピンセットでつまむことにより除去可能であるかどうかを調査した。その調査結果も併せて表1に示す。なお、表1において「可」はピンセットでつまむことにより半田屑が除去できたことを示し、「不可」はピンセットによりつまむことにより半田屑が除去できなかったことを示す。
上記のようにして得られたサンプル1からサンプル7のコンタクトプローブからなるセットを2セット用意した。そのうちの1セットのコンタクトプローブのそれぞれの先端部をPb−Sn合金(Pb:Sn=37:63)からなる半田に5gの荷重で押し付けた状態で100mAの電流を30秒間通電させることを1回の通電試験として、4000回の通電試験を行なった。そして、この4000回の通電試験の500回ごとに通電中の接触抵抗を測定した。その測定結果を表1中の数値(Ω)に示す。また、4000回の通電試験の終了後に、7本のコンタクトプローブのそれぞれの先端に付着した半田屑についてピンセットでつまむことにより除去可能であるかどうかを調査した。その調査結果も併せて表1に示す。なお、表1において「可」はピンセットでつまむことにより半田屑が除去できたことを示し、「不可」はピンセットによりつまむことにより半田屑が除去できなかったことを示す。
表1からわかるように、表面に被覆層が形成されているサンプル2からサンプル6のコンタクトプローブにおいては、表面に被覆層が形成されていないサンプル1のコンタクトプローブおよび表面に膜厚0.5μmのダイヤモンドライクカーボン膜が被覆されたサンプル7のコンタクトプローブと比べて、通電試験を繰り返しても接触抵抗が上昇しない傾向にあり、また半田屑もピンセットでつまむことにより容易に除去できることが確認された。
また、表1に示すように、最表面にロジウムと炭素とからなる複合層を含むサンプル3のコンタクトプローブは、サンプル2およびサンプル4〜6のコンタクトプローブと比べて、通電試験を繰り返しても接触抵抗が上昇しない傾向にあることが確認された。
上記のサンプル1からサンプル7のコンタクトプローブからなる残りの1セットのそれぞれの先端部をSn−Ag−Cu合金(Sn:Ag:Cu=96.5:3:0.5)からなる半田に5gの荷重で押し付けた状態で100mAの電流を30秒間通電させることを1回の通電試験として、4000回の通電試験を行なった。そして、この4000回の通電試験の500回ごとに通電中の接触抵抗を測定した。その測定結果を表2中の数値(Ω)に示す。また、4000回の通電試験の終了後に、7本のコンタクトプローブのそれぞれの先端に付着した半田屑についてピンセットでつまむことにより除去可能であるかどうかを調査した。その調査結果も併せて表2に示す。なお、表2の表記は表1に準じて表記されている。
表2からわかるように、表面に被覆層が形成されているサンプル2からサンプル6のコンタクトプローブにおいては、表面に被覆層が形成されていないサンプル1のコンタクトプローブおよび表面に膜厚0.5μmのダイヤモンドライクカーボン膜が被覆されたサンプル7のコンタクトプローブと比べて、通電試験を繰り返しても接触抵抗が上昇しない傾向にあり、また半田屑もピンセットでつまむことにより容易に除去できることが確認された。
また、表2に示すように、最表面にロジウムと炭素とからなる複合層を含むサンプル3のコンタクトプローブは、サンプル2およびサンプル4〜6のコンタクトプローブと比べて、通電試験を繰り返しても接触抵抗が上昇しない傾向にあることが確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のコンタクトプローブにおいては、パラジウムまたはロジウムのいずれか一方と、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類とを含む被覆層がコンタクトプローブを構成する導電体の表面に形成されているので、特にスズを含む合金からなる半田の付着を低減することができる。
1 導電体、1a 先端部、1b バネ部、1c リード線接続部、2 基材、3 半田、4 基板、5 レジスト、6 金属層、7 シリコンイオン、8 複合層、9 陽極、10 ダイヤモンド粒子、11 被覆層、12 電解液、13 電解槽。
Claims (9)
- 導電体と前記導電体の表面の少なくとも一部に形成された被覆層とを含むコンタクトプローブであって、前記被覆層がパラジウムまたはロジウムのいずれか一方を含み、さらにシリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類を含む、コンタクトプローブ。
- 前記被覆層の最表面に、パラジウムまたはロジウムのいずれか一方と、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類と、からなる複合層を有することを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトプローブ。
- 前記複合層の最表面から前記導電体の方向に1μm以内の領域において、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類の濃度が前記複合層の最表面から前記導電体の方向に減少していることを特徴とする、請求項2に記載のコンタクトプローブ。
- 前記複合層は、パラジウムまたはロジウムのいずれか一方からなる層に、シリコン、炭素およびフッ素からなる群から選択された少なくとも1種類のイオンを注入してなる層であることを特徴とする、請求項2または3に記載のコンタクトプローブ。
- 前記被覆層は、ダイヤモンド粒子、ダイヤモンドライクカーボン粒子およびフッ素樹脂からなる粒子の群から選択された少なくとも1種類の粒子を含むことを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトプローブ。
- 前記被覆層は、ダイヤモンド粒子、ダイヤモンドライクカーボン粒子およびフッ素樹脂からなる粒子の群から選択された少なくとも1種類の粒子を分散させたパラジウムまたはロジウムのいずれか一方のイオンを含む電解液中の前記イオンの還元反応により前記導電体の表面上に析出した層であることを特徴とする、請求項5に記載のコンタクトプローブ。
- 前記導電体がニッケルまたはニッケル合金からなることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のコンタクトプローブ。
- 前記被覆層が半田と接触する層であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のコンタクトプローブ。
- 前記半田がスズを含むことを特徴とする、請求項8に記載のコンタクトプローブ。
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