JP2006038552A - Bod推定装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】極めて短い時間で下水のBOD値が得られるようにする。
【解決手段】下水から得られたCOD値、SS値、および水温を含むモデル入力データと、当該下水から実測したBOD実測値からなるモデル出力データとの対からなる複数の履歴データに基づき作成された非線形のブラックボックス推定モデル13Aを用いて、推定処理部14により、推定対象となる下水1から得られた入力データ3に対応する当該下水1のBOD推定値4を推定出力する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水質汚濁計測技術に関し、特に下水のBOD値(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)を求めるBOD計測技術に関する。
下水道には、生活排水と雨水に対する処理方法の違いにより、合流式と分流式という2つの大きな方式がある。合流式とは、生活排水と雨水を一括して処理する方式であり、分流式とは、生活排水と雨水を分けて処理する方式である。合流式では、地下の下水管を生活排水と雨水で共用できるものの、下水処理施設では、生活排水だけでなく雨水も処理する必要があり下水処理負担が大きい。一方、分流式では、雨水専用の排水管を敷設する必要があるものの、下水処理施設では生活排水だけを下水処理すればよく、その処理負担を低減できる。
このうち、合流式下水処理施設については、合流式下水道改善の推進などを目的として下水道法施行令が改正(平成16年4月1日より施行)され、下水処理施設から河川や海洋へ放流する放流水に対する水質基準が強化されている。
この具体的内容は、所定の基準値以上の水質の下水を放流することを禁止するものであり、この放流水に対する水質汚濁の基準値の1つとしてBOD値(濃度)が用いられている(非特許文献1など参照)。したがって、下水放流の際には、その下水のBOD値が基準値を満足していることを確認する必要がある。
放流水の水質基準に用いられるBOD値とは、国が定めた水質汚濁の指標項目の1つであり、温度20℃、日数5日間と限定し、この間に水中に好気性微生物が有機物を分解するとき、その増殖や呼吸作用によって好気性微生物が消費する酸素量の濃度を、mg/l単位で表したものである。これは、河川などで自然に行われている浄化現象を測定法に取り入れたもので、その意義は大きく、放流水の水質基準だけでなく、環境基準としても用いられている。
従来、このようなBOD値を計測する場合、手分析の標準測定法として標準希釈法がある。この方法は、前処理(pHの調整、残留塩素の換言、過飽和酸素の追い出し)を行った試料に、希釈または植種希釈水を加え、20℃5日間の酸素消費量が3.5〜6mg/lとなるものを含むように、希釈倍率を変えた数種類の希釈検水を調製し、この希釈検水について恒温槽に入れる前の溶存酸素量と、恒温槽に5日間放置した後の溶存酸素量とを分析し、その差から20℃5日間のBOD値を求めるものである。
また、このような手分析を自動化したものもあり、例えば希釈なしで直接BOD値を求めるクーロメトリー法がある。これは、試料に植種物質および緩衝液を入れて連続撹拌するとともに二酸化炭素を吸収し、微生物活動により消費される試料中の溶存酸素による圧力低下を補うために供給した酸素を自動測定するものである。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
「合流式下水道の雨天時放流水質基準についての水質検査マニュアル」,国土交通省都市・地域整備局下水道部下水道企画課,http://www.mlit.go.jp/crd/city/sewerage/info/seirei/040416_03.pdf
しかしながら、このような従来のBOD計測技術では、下水に対して実際に好気性微生物を加えてその酸素消費量を測定しているため、計測結果が得られるまでに少なくとも5日間を必要とし、下水処理施設での水質管理運転で必要となるリアルタイムの運転データとして利用することができないという問題点があった。
例えば、従来のBOD計測技術を用いた場合には、下水を放流する際、当該下水のBOD値の計測結果を得て放流可否を確認するまで5日間も必要となるため、水質を管理しながら下水処理作業を滞りなく実施するのは難しく、また緊急で放流が必要となった場合には全く対応できないという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、極めて短い時間で下水のBOD値が得られるBOD推定装置および方法を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかるBOD推定装置は、下水のBOD値(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)を推定するBOD推定装置において、下水から得られたCOD値(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)、SS値(Suspended Solid:浮遊物質量)、および水温を含むモデル入力データと、当該下水から実測したBOD実測値からなるモデル出力データとの対からなる複数の履歴データに基づき作成された非線形のブラックボックス推定モデルと、このブラックボックス推定モデルを用いて、推定対象となる下水から入力データとして得られたCOD値、SS値、および水温に基づき当該下水のBOD推定値を出力する推定処理部とを備えるものである。
この際、ブラックボックス推定モデルとして、各履歴データのうち1つ以上の履歴データを代表する入力値と出力値との対からなる複数の事例を有する事例ベースを用い、推定処理部で、入力データと類似する入力値を持つ事例を事例ベースから検索し、検索した類似事例の出力値に基づき入力データに対応する所望のBOD値を算出出力するようにしてもよい。
また、本発明にかかるBOD推定方法は、下水のBOD値(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)を推定するBOD推定方法において、下水から得られたCOD値(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)、SS値(Suspended Solid:浮遊物質量)、および水温を含むモデル入力データと、当該下水から実測したBOD実測値からなるモデル出力データとの対からなる複数の履歴データに基づき作成された非線形のブラックボックス推定モデルを用いて、推定対象となる下水から入力データとして得られたCOD値、SS値、および水温に対応する当該下水のBOD推定値を出力する推定処理ステップを備えるものである。
この際、ブラックボックス推定モデルとして、各履歴データのうち1つ以上の履歴データを代表する入力値と出力値との対からなる複数の事例を有する事例ベースを用い、推定処理ステップで、入力データと類似する入力値を持つ事例を事例ベースから検索し、検索した類似事例の出力値に基づき入力データに対応する所望のBOD値を算出出力するようにしてもよい。
本発明によれば、下水から得られたCOD値、SS値、および水温を含むモデル入力データと、当該下水から実測したBOD実測値からなるモデル出力データとの対からなる複数の履歴データに基づき作成された非線形のブラックボックス推定モデルを用いて、推定対象となる下水から入力データとして得られたCOD値、SS値、および水温に対応する当該下水のBOD値が推定される。この際、入力データが得られてから僅かな時間の演算処理で所望BODを推定できることから、結果として下水から入力データの取得に要する時間、実際には(出願時点で)1時間程度という極めて短い時間で、下水のBOD値を推定できることになる。また、入力データ取得所要時間は、将来にわたり短縮されることが期待され、より短い時間で下水のBOD値を推定可能となる。
したがって、従来のように下水に実際に好気性微生物を加えてその酸素消費量を5日間にわたり測定してBOD値を得る場合と比較して、本実施の形態によれば、下水処理施設での水質管理運転で必要となるリアルタイムの運転データとして利用することができる。
これにより、流入下水を処理しあるいは放流する際、極めて短時間で当該下水のBOD値に基づき放流可否を確認することができ、水質を管理しながら下水処理作業を滞りなく実施することが可能となり、緊急で放流が必要となった場合にも十分対応することができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[BOD推定装置]
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態にかかるBOD推定装置について説明する。図1は本発明の一実施の形態にかかるBOD推定装置の構成を示すブロック図である。
このBOD推定装置10は、下水1から各種の計測機器2で計測された結果を入力データ3とし、予め生成しておいた推定モデルに基づき、当該入力データ3に対応する出力データすなわちBOD推定値4を推定して出力する装置である。
本実施の形態では、BOD値の推定に用いる入力データ3として、下水のCOD値(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量[mg/l])、SS値(Suspended Solid:浮遊物質量[mg/l])、水温[℃]、水素イオン濃度[pH]、透視度[cm]、全りん[mg/l]、全窒素[mg/l]など、計測機器2や手作業で下水1から短時間で計測可能な入力パラメータ(入力変数)を用い、これら入力パラメータの組み合わせからなる入力データ3に基づき所望のBOD値を推定するようにしている。
COD値とは、水中の有機物を酸化剤で化学的に酸化されるのに消費される酸素量のことで、過マンガン酸カリウム(酸化剤)により消費された酸素の量の濃度を示したものである。数値が高いほど有機物の量が多い。
SSとは、水中に混ざっている極小の浮遊物質のことで、プランクトン、生物体の死がい、破片、ふんやその分解物などがある。数値は、ろ紙でろ過した際にろ紙に残る物質の濃度を表しており、数値が高いほど有機物などを含み、濁りが強い。
水素イオン濃度は、水の酸性(pH<7)、アルカリ性(pH>7)、中性(pH=7)を表す指数である。水の水素イオン濃度が著しく中性から離れている場合には、異物の混入等が考えられる。
透視度は、水の透明度の度合いを示すもので、透視度計底部の二重十字(または5号活字)をはじめて明らかに読み得るときの水層の高さ(cm)で表される。見た目の水のきれいさと関係し、SS値やBOD値とよい相関を持つことが多い。
全りんは、水中のりん化合物の総量をりんの濃度で表したもので、富栄養化の指標として使用される。全りんの数値が高いほど、し尿、洗剤、肥料等が多く含まれていることになる。
全窒素は、水中の様々な形態の窒素化合物の窒素の合計量を表しており、富栄養化の指標として使用される。全窒素は、全りんとともに、プランクトンの異常発生限界値として用いられる。
これら入力パラメータは、いずれの場合も現用の計測機器を用いれば1時間前後で計測結果が得られる。
図1において、BOD推定装置10は、全体としてコンピュータを有する情報処理装置からなり、入力インターフェース部(以下、入力I/F部という)11、操作入力部12、記憶部13、推定処理部14、画面表示部15、および出力インターフェース部(以下、出力I/F部という)16が設けられている。以下では、入力データ3からBOD値を推定するための推定モデルとして、多数の事例から入力データに近しい事例を検索して所望の推定値を得る事例ベースを用いた場合を例として説明する。
入力I/F部11は、通信回線を介して計測機器2などの外部装置と接続し、計測機器2からの入力データ3などの各種情報を受信して推定処理部14へ出力する回路部である。
操作入力部12は、キーボードやマウスなど、例えばBOD推定処理の開始指示、推定結果の表示指示、入力データ3の手入力などのオペレータの操作を検出して推定処理部14へ出力する入力装置である。
記憶部13は、ハードディスクやメモリなどからなり、推定処理部14での処理動作に必要な各種情報やプログラムを記憶する記憶装置である。推定処理に用いる情報としては、入力データ3に基づき所望のBOD値を推定するための推定モデル13A(ブラックボックス推定モデル)が記憶部13に格納されている。また、プログラムとして推定処理部14で読み込まれて実行されるプログラム13Pが記憶部13に格納されている。これら推定モデル13Aやプログラム13Pは、入力I/F部11を介して他の装置や記憶媒体から記憶部13へ予め格納される。
推定処理部14は、記憶部13の推定モデル13Aを用いて、入力I/F部11や操作入力部12から入力された入力データ3に対応するBOD推定値4を推定出力する処理部である。この推定処理部14は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部13のプログラム13Pを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム13Pとを協働させて各種機能手段を実現する。
推定処理部14で実現される機能手段としては、入力データ処理手段14A、類似事例検索手段14B、および出力算出手段14Cがある。
入力データ処理手段14Aは、入力I/F部11や操作入力部12から入力された入力データ3に対して所定の前処理を行う機能手段である。
類似事例検索手段14Bは、記憶部13の推定モデル13Aを参照して、入力データ処理手段14Aで前処理された入力データに類似する事例を検索する機能手段である。
出力算出手段14Cは、類似事例検索手段14Bで得られた事例の出力値に基づき、入力データに対応する出力値すなわちBOD推定値4を算出する機能手段である。
画面表示部15は、LCDやCRTなどからなり、推定処理部14からの指示に基づき、推定処理部14で得られた推定結果などの各種情報を画面表示する画面表示装置である。
出力I/F部16は、推定処理部14からの指示に基づき、推定処理部14で得られた推定結果などの各種情報を、通信回線を介して制御機器などの外部装置へ出力する回路部である。
[推定モデル]
次に、図2および図3を参照して、本実施の形態にかかるBOD推定装置で用いる推定モデルについて説明する。図2は、本実施の形態にかかるBOD推定装置での推定動作を示す概略図である。図3は、推定モデルの生成に用いる時系列データの例である。
一般に、推定モデルとは、推定条件を示すモデル入力値と所望のモデル出力値との因果関係や推論過程をモデル化したものをいう。本実施の形態で扱う推定モデル13Aは、図2に示すように、入力データ3として例えば下水のCOD値、SS値、水温などの実測値が与えられた際、その入力データ3に対応する出力データとしてBOD推定値4を出力する。
このような推定モデル13Aを作成するには、下水の特性を示す時系列データ5が必要となる。時系列データ5は、図3に示すように、下水のCOD値[mg/l]、SS値[mg/l]、水温[℃]、水素イオン濃度[pH]、透視度[cm]などの予め得られたモデル入力データ51と、所望のBOD値[mg/l]であるモデル出力データ52との対からなる複数の履歴データ6で構成される。これら履歴データ6のモデル入力データ51とモデル出力データ52は、過去に下水から実測されたものである。
推定モデル13Aの構成としては、因果関係や推論過程が物理法則を用いた数式で表現される数式モデルではなく、因果関係や推論過程が数式で明らかにされていないブラックボックス推定モデルが用いられる。
このブラックボックス推定モデルとしては、事例ベース、ファジー推論ベース、さらにはニューラルネットワークなどを用いたモデルがある。特に、事例ベース推論モデルでは、位相(トポロジー)の概念に基づき、システムの入出力関係の連続性が成り立つ一般的な対象に適用可能な公知のモデリング技術である(例えば、特開平11−372898号公報など参照)。
[事例ベース]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかるBOD推定装置で用いる事例ベースについて詳細に説明する。図4は、本実施の形態にかかるBOD推定装置で用いる事例ベースの構成を示す説明図である。
事例ベース推論(CBR:Case-Based Reasoning)とは、入出力関係の定性的な意味づけを行うことなく、学習データから所定のアルゴリズムに則って入出力間の関係付けを行うブラックボックスモデリングの1つであり、与えられた問題に類似する過去の事例を直接利用して所望の解を導く手法である。
本実施の形態では、このような事例ベース推論のうち、TCBM(Topological Case-Based Modeling)を用いる場合を例として説明する。
TCBMは、推論の対象における入出力関係に連続性が成り立つことを前提条件として、事例ベース推論の枠組みを用いるモデリング手法であり、その特徴として、数学の位相論(トポロジー)における連続写像の概念に基づいて、出力の解像度すなわち出力誤差許容幅に応じた事例ベースと、各事例間の関係を示す類似度とを定義した点にある。
図4(a)に示すように、対象から過去に得られた履歴データとして、モデル入力データx1,x2とモデル出力データyとの組が複数得られた場合、これら履歴データは、図4(b)に示すように入力空間に配置される。
ここで、事例ベースに求められる推定誤差すなわち出力誤差許容幅εが与えられた場合、図4(c)に示すように、この出力誤差許容幅εを用いて入力空間をメッシュと呼ばれる部分区間に分割して量子化することにより、出力近傍の大きさに対応する入力近傍すなわち事例を定義できる。
したがって、各履歴データがそのモデル入力データx1,x2に基づいてそれぞれ各メッシュに振り分けられる。そして、各メッシュのうち1つ以上の履歴データが振り分けられたメッシュが事例として選択され、そのメッシュ内の履歴データを代表する入出値および出力値が算出される。
この際、図4(d)に示すように、同一メッシュに複数の履歴データが振り分けられた場合、当該事例を代表する出力値として各履歴データのモデル出力データyの平均値が用いられるとともに、当該事例を代表する入力値としてそのメッシュの中央値が用いられ、各履歴データが1つの事例として統合される。
これにより、すべての事例について、当該事例のメッシュに振り分けられた各履歴データのモデル出力データと当該事例の出力値との誤差が、出力誤差許容幅εを満足することになる。
[本実施の形態の動作]
次に、図5を参照して、本発明の一実施の形態にかかるBOD推定装置の推定動作について説明する。図5は、本発明の一実施の形態にかかるBOD推定装置の推定処理を示すフローチャートである。
BOD推定装置10の推定処理部14は、任意の下水のBOD値を推定する際、図5の推定処理を実行する。
まず、計測機器2で推定対象となる下水1から計測された各種入力パラメータの組み合わせからなる新たな入力データ3を、入力I/F部11や操作入力部12から取り込み(ステップ100)、入力データ処理手段14Aにより、所定の前処理を行う(ステップ101)。
この前処理としては、個々の入力パラメータについて、時系列で得られた複数の入力データ値を用いた移動平均値などの統計値を算出することにより、入力データに含まれる計測誤差を除去する処理や、入力データを時間軸上でシフトさせることにより出力データとの相関が強いデータに変換する処理など、各種のデータ加工処理が必要に応じて行われる。
次に、類似事例検索手段14Bにより、類似度をゼロに初期化した後(ステップ102)、記憶部13に格納されている推定モデル(事例ベース)13Aを参照して、入力データ処理手段14Aで前処理された入力データに類似する類似事例を検索する(ステップ103)。この際、類似事例検索手段14Bでは、前述したTCBMの類似度に基づき類似事例が検索される。図6は、類似度に基づく事例検索処理を示す説明図である。
類似度とは、事例ベースが持つ入力空間に設けられた各メッシュのうち、各事例が新規の予測条件すなわち入力データに対応するメッシュとどの程度の類似性を有しているか示す尺度である。
図6には、入力データx1,x2に対応するメッシュが中央に位置する中央メッシュの場合が例として示されている。この中央メッシュに事例が存在すれば、その事例と入力データとは「類似度=0」であると定義されている。また、中央メッシュの1つ隣に存在する事例とは「類似度=1」となり、以降、中央メッシュから1メッシュずつ離れていくごとに類似度が1ずつ増加していく。
したがって、推定を行う場合、類似度iの事例による推定値は、(i+1)×出力誤差許容幅ε以内の精度を持つことになる。このとき、推定を行う入力データに対してうまく両側の事例が使用された場合は、(i+1)×出力誤差許容幅εよりも良い精度の出力値である場合が予想される。また、推定を行う値に対して片側の事例のみが使用された場合は、(i+1)×出力誤差許容幅ε程度の精度であることが、入出力関係の連続性のもとに予想される。
図5では、類似事例検索手段14Bにより、類似度が示す範囲に類似事例があるか判断し(ステップ104)、類似事例がなければ(ステップ104:NO)、類似度を+1して検索範囲を拡張した後(ステップ105)、ステップ103へ戻って類似事例を検索する。
そして、類似度が示す範囲に類似事例があった場合は(ステップ104:YES)、出力算出手段14Cにより、得られたすべての事例の出力値からこれらを代表する1つの出力値を算出し(ステップ106)、入力データ3に対応する所望のBOD推定値4として出力し(ステップ107)、一連の推定処理を終了する。
これにより、出力算出手段14Cで算出されたBOD推定値4が、画面表示部15に表示出力され、あるいは出力I/F部16から外部機器へ出力される。
図7は、本実施の形態にかかるBOD推定装置10の推定結果を示す説明図であり、横軸は従来のBOD計測方法により実測されたBOD実測値、縦軸は本実施の形態にかかるBOD推定装置10により推定されたBOD推定値である。
この推定では、入力パラメータ(入力変数)として、COD値、SS値、および水温を用いて、実在する下水処理施設に流入する下水のBOD値を推定した。一部で多少の推定誤差はあるものの、両者の相関係数は0.98505と極めて高く、良好な推定結果が得られている。
また、図8は、本実施の形態にかかるBOD推定装置10の推定動作例を示す説明図であり、横軸は観測日、縦軸は従来のBOD計測方法により実測されたBOD実測値と、縦軸は本実施の形態にかかるBOD推定装置10により推定されたBOD推定値である。
この推定結果は、入力パラメータ(入力変数)として、COD値、SS値、および水温を用いて、下水処理施設に流入する下水のBOD値を1週間にわたり連続して推定したものである。下水のBODが大きく急峻に変化しているにもかかわらず、BOD実測値(図中破線表示)とBOD推定値(図中実線表示)とはほとんど誤差がなく、連続して推定動作させた場合でも、極めて良好な推定結果が得られている。
このように、本実施の形態では、下水から得られたCOD値、SS値、および水温を含むモデル入力データと、当該下水から実測したBOD実測値からなるモデル出力データとの対からなる複数の履歴データに基づき作成された非線形のブラックボックス推定モデルを用いて、推定対象となる下水から入力データとして得られたCOD値、SS値、および水温に対応する当該下水のBOD値を推定するようにしたものである。この際、入力データが得られてから僅かな時間の演算処理で所望BODを推定できることから、結果として下水から入力データの取得に要する時間、実際には(出願時点で)1時間程度という極めて短い時間で、下水のBOD値を推定できることになる。また、入力データ取得所要時間は、将来にわたり短縮されることが期待され、より短い時間で下水のBOD値を推定可能となる。
したがって、従来のように下水に実際に好気性微生物を加えてその酸素消費量を5日間にわたり測定してBODを得る場合と比較して、本実施の形態によれば、下水処理施設での水質管理運転で必要となるリアルタイムの運転データとして利用することができる。
これにより、流入下水を処理しあるいは放流する際、極めて短時間で当該下水のBOD値に基づき放流可否を確認することができ、水質を管理しながら下水処理作業を滞りなく実施することが可能となり、緊急で放流が必要となった場合にも十分対応することができる。
また、下水のCOD値、SS値、および水温のみを入力パラメータ(入力変数)として用いるようにしたので、前述の図7および図8に示したような実用に十分な推定精度を、推定対象となる下水から僅か3種類の入力データを取得するだけで得られる。これにより、入力データの取得に必要な作業を大幅に削減でき、BOD推定に要する作業負担を大幅に削減できる。なお、BOD値の推定に際し、これら以外の入力パラメータ、例えば水素イオン濃度、透視度、全りん、全窒素などのパラメータを加えてBOD値を推定するようにしてもよく、より推定精度を高めることができる。
なお、以上では、BOD推定装置10において、予め履歴データから生成された推定モデル13Aを用いる場合を例として説明したが、BOD推定装置10で推定モデル13Aを生成し、さらには更新するようにしてもよい。
この場合は、推定処理部14に、例えば前述した図4の事例ベース生成過程を実行するモデル生成手段を設け、外部から入力された履歴データに基づき推定モデル13Aを生成すればよい。また、推定処理部14に、事例更新手段を設け、下水から実測されたBOD実測値をそのときの入力データとの対からなる履歴データに基づき、対応する事例データの出力データを再計算するようにしてもよく、その際、忘却計数による時間的重みを考慮して出力データを再計算するようにしてもよい。
本発明の一実施の形態にかかるBOD推定装置の構成を示すブロック図である。 本実施の形態にかかるBOD推定装置での推定動作を示す概略図である。 本実施の形態にかかるBOD推定装置の推定モデル生成に用いる時系列データの例である。 本実施の形態にかかるBOD推定装置で用いる事例ベースの構成を示す説明図である。 本発明の一実施の形態にかかるBOD推定装置の推定処理を示すフローチャートである。 類似度に基づく事例検索処理を示す説明図である。 本実施の形態にかかるBOD推定装置の推定結果を示す説明図である。 本実施の形態にかかるBOD推定装置の推定動作例を示す説明図である。
符号の説明
1…下水、2…計測機器、3…入力データ、4…出力データ、5…時系列データ、51…モデル入力データ、52…モデル出力データ、6…履歴データ、10…BOD推定装置、11…入力I/F部、12…操作入力部、13…記憶部、13A…推定モデル(事例ベース)、13B…プログラム、14…推定処理部、14A…入力データ処理手段、14B…類似事例検索手段、14C…出力算出手段、15…画面表示部、16…出力I/F部。

Claims (4)

  1. 下水のBOD値(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)を推定するBOD推定装置において、
    下水から得られたCOD値(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)、SS値(Suspended Solid:浮遊物質量)、および水温を含むモデル入力データと、当該下水から実測したBOD実測値からなるモデル出力データとの対からなる複数の履歴データに基づき作成された非線形のブラックボックス推定モデルと、
    このブラックボックス推定モデルを用いて、推定対象となる下水から入力データとして得られたCOD値、SS値、および水温に基づき当該下水のBOD推定値を出力する推定処理部とを備えることを特徴とするBOD推定装置。
  2. 請求項1に記載のBOD推定装置において、
    前記ブラックボックス推定モデルは、前記各履歴データのうち1つ以上の履歴データを代表する入力値と出力値との対からなる複数の事例を有する事例ベースからなり、
    前記推定処理部は、前記入力データと類似する入力値を持つ事例を前記事例ベースから検索し、検索した類似事例の出力値に基づき前記入力データに対応する所望のBOD値を算出出力することを特徴とするBOD推定装置。
  3. 下水のBOD値(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)を推定するBOD推定方法において、
    下水から得られたCOD値(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)、SS値(Suspended Solid:浮遊物質量)、および水温を含むモデル入力データと、当該下水から実測したBOD実測値からなるモデル出力データとの対からなる複数の履歴データに基づき作成された非線形のブラックボックス推定モデルを用いて、推定対象となる下水から入力データとして得られたCOD値、SS値、および水温に対応する当該下水のBOD推定値を出力する推定処理ステップを備えることを特徴とするBOD推定方法。
  4. 請求項3に記載のBOD推定方法において、
    前記ブラックボックス推定モデルは、前記各履歴データのうち1つ以上の履歴データを代表する入力値と出力値との対からなる複数の事例を有する事例ベースからなり、
    前記推定処理ステップで、前記入力データと類似する入力値を持つ事例を前記事例ベースから検索し、検索した類似事例の出力値に基づき前記入力データに対応する所望のBOD値を算出出力することを特徴とするBOD推定方法。
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