JP2006037387A - 透水試験評価システムおよび透水試験の評価方法 - Google Patents

透水試験評価システムおよび透水試験の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 初期モデルに依存することなく、複雑な水みちを持つ不均質な岩盤で実施されたクロスホール透水試験結果から、高精度で水理地質構造を推定できる透水試験評価システムおよび透水試験の評価方法を提供すること。
【解決手段】 地盤39の透水試験を行って観測点間の水頭拡散率63を取得した後、水頭拡散率63の逆数を多次元尺度構成法における類似度として用いて、観測点A、B、…、Jの布置41を求める。次に、観測点の布置41を頂点とし、重心が原点と一致し、観測点の布置41と観測点の現実の空間における位置46の差の2乗が最小となるような多角形44内に、均一な密度で点群45を配置する。そして、逆距離補間法を用いて、観測点の布置41が観測点の現実の空間における位置46に移動するように幾何学的再構成を行って、現実の空間について、点群45の密度を計測して水理地質構造モデルを作成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、透水試験評価システムおよび透水試験の評価方法に関するものである。
従来、水理地質構造を推定する方法として、クロスホール透水試験が行われてきた。クロスホール透水試験では、岩盤中に複数のボーリング孔を掘削し、図4に示すように、一方を注水孔25、他方を観測孔29とし、両孔の孔内を止水パッカ31により複数の区間35に分ける。そして、注水用の区間35から所定の条件で注水し、観測用の区間35に設置した間隙水圧計33で水圧の経時変化を観測して、水頭拡散率などの水理特性を求める。
さらに、クロスホール透水試験データから、水みちネットワークモデルを用いて透水係数の空間分布を逆解析により求め、孔間の水みち構造を把握する方法があった。逆解析のアルゴリズムとしては、非線形最小二乗法として準ニュートン法を用い、評価関数の微分値を求める方法として最適制御理論を導入することにより、逆解析を効率的に行うことができた(例えば、非特許文献1参照)。
水みちネットワークモデルを用いた岩盤浸透流解析、土木学会論文集、No.638、III−49、pp.41−50、1999
しかしながら、岩盤内の水の流れは、水みちとなる岩盤不連続面の幾何学的配置に依存するので、必ずしも直線的でなく、複雑な経路をもって観測孔に到達するのが一般的である。
従来の水みち構造の把握方法では、水みちの実際の形状に関わりなく、格子状に水みちが設定されるので、この格子パターンに適合しない水みちを経由する地下水の解析には不向きであった。また、初期モデルに対する依存度が高く、より現実の流れと類似した初期モデルを用いない場合は、妥当な水理地質構造が得られない欠点があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、初期モデルに依存することなく、複雑な水みちを持つ不均質な岩盤で実施されたクロスホール透水試験結果から、高精度で水理地質構造を推定できる透水試験評価システムおよび透水試験の評価方法を提供することにある。
前述した目的を達成するための第1の発明は、地盤の透水試験を行って取得した、観測点間の水頭拡散率を保持する手段と、前記水頭拡散率の逆数を多次元尺度構成法における類似度として用いて、前記観測点の布置を求める手段と、前記観測点の布置を頂点とする多角形内に均質な透水性を持つ媒体が存在すると仮定し、空間補間法を用いて、前記観測点の布置が前記観測点の現実の空間における位置に移動するように幾何学的再構成を行った後、前記現実の空間について、前記媒体の密度を考慮して水理地質構造を推定する手段とを具備することを特徴とする透水試験評価システムである。
透水試験とは、注水孔と観測孔の双方に観測区間を設けて実施されたクロスホール透水試験である。また、多角形の配置は、重心が原点と一致し、観測点の布置と観測点の現実の空間における位置の差の2乗が最小となるように決定される。空間補間法には、例えば、逆距離補間法が用いられる。
第2の発明は、コンピュータを第1の発明の透水試験評価システムとして機能させるプログラムである。
第3の発明は、コンピュータを第1の発明の透水試験評価システムとして機能させるプログラムを記録した記録媒体である。
第4の発明は、地盤の透水試験を行って観測点間の水頭拡散率を取得する工程と、前記水頭拡散率の逆数を多次元尺度構成法における類似度として用いて、前記観測点の布置を求める工程と、前記観測点の布置を頂点とし、重心が原点と一致し、前記観測点の布置と前記観測点の現実の空間における位置の差の2乗が最小となるような多角形内に、均質な透水性を持つ媒体が存在すると仮定する工程と、空間補間法を用いて、前記観測点の布置が前記観測点の現実の空間における位置に移動するように幾何学的再構成を行う工程と、前記現実の空間について、前記媒体の密度を考慮して水理地質構造を推定する工程とを具備することを特徴とする透水試験の評価方法である。
本発明によれば、初期モデルに依存することなく、複雑な水みちを持つ不均質な岩盤で実施されたクロスホール透水試験結果から、高精度で水理地質構造を推定できる透水試験評価システムおよび透水試験の評価方法を提供できる。
(1.構成)
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、透水試験評価システム1の概略構成図である。透水試験評価システム1はコンピュータ3、データベース5、ディスプレイ7、プリンタ9、キーボード11等からなる。コンピュータ3はスタンドアローン型のコンピュータでもよいし、ネットワークに接続されたものでもよい。
データベース5はハードディスク装置等からなり、コンピュータ3に内蔵される場合や、他のサーバー等のハードディスクに保持され、コンピュータ3からアクセスされる場合がある。すなわち、図1において、データベース5はコンピュータ3の外部に示されているが、コンピュータ3に内蔵される場合もある。データベース5では透水試験データ15、水頭拡散率データ16、布置データ17、水理地質構造データ19、実行プログラム21等が保持される。
コンピュータ3は、CPU(中央演算装置)12、メモリ13、インターフェイス(IF)14等を備える。CPU12は、実行プログラム21に従い透水試験評価を行う。メモリ13は、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)からなり、透水試験データ15や実行プログラム21を一時的に記憶したり、透水試験評価を行っている際に、水頭拡散率データ16等の各種データを一時的に記憶したりする。
インターフェイス14には、ディスプレイ7、プリンタ9、キーボード11等が接続され、インターフェイス14は、CPU12、メモリ13とディスプレイ7等とのインターフェイスを行う。尚、実行プログラム21は記録媒体に保持させても良い。
(2.フローチャート)
図2は、透水試験評価方法のフローチャートを示す図、図3は透水試験評価方法の手順を示す図である。以下に、図2に示すフローチャートを用いて、透水試験評価方法について説明する。
(2−1.ステップ101)
図2に示す透水試験評価方法では、まず、作業者が、クロスホール透水試験を行い、データベース5に透水試験データ15を保存する(ステップ101)。
図4は、クロスホール透水試験の概要図である。クロスホール透水試験では、図4に示すように、地盤39に削孔された注水孔25と、少なくとも1本の観測孔29を用いる。試験の準備段階において、注水孔25および観測孔29の孔内に止水パッカ31を設置し、注水孔25内および観測孔29内を複数の区間35に分けておく。各区間35には間隙水圧計33が設置される。
注水孔25には、区間35a、35b、…、35eが設けられる。観測孔29には、区間35f、35、…、35jが設けられる。以下の説明中では、区間35a、35b、…、35jに設置された間隙水圧計33の位置を、観測点A、B、…、Jとする。クロスホール透水試験の実施位置付近には、既往の注水制御システム23および観測システム27、図1に示す透水試験評価システム1が設置される。
図5は、ステップ101からステップ103に関するフローチャートとデータのフォーマットを示す図である。図5の(a)図は、ステップ101からステップ103についての詳細な処理を示すフローチャートである。ステップ101では、図5の(a)図のステップ201に示すように、注水孔25の注水用の区間35から所定の注水条件53で水を注水し、注水孔25および観測孔29の観測用の区間35における観測水圧57を計測する。
クロスホール透水試験は、一定流量で注水する定流量注水試験、または、正弦波の圧力で注水するサイナソイダル試験により行う。注水は、図4に示す注水制御システム23を用いて、注水用の区間35を順次変えながら行われる。観測は、観測システム27を用いて行われ、観測用の区間35に設置した間隙水圧計33で水圧の経時変化を観測する。
図3の(a)図は、注水用の区間35と観測用の区間35の組合せを示す図である。通常のクロスホール透水試験では、注水孔25側には観測区間を設けないが、図5の(a)図のステップ201では、図3の(a)図に示すように、実際に注水を行う区間35を除く注水孔25側の区間35でも観測を行う。
ステップ201では、図4に示す区間35aを注水区間とした場合には、区間35b、35c、…、35jを観測区間とする。区間35bを注水区間とした場合には、区間35c、35d、…、35jを観測区間とする。区間35cを注水区間とした場合には、区間35d、35e、…、35jを観測区間とする。区間35dを注水区間とした場合には、区間35e、35f、…、35jを観測区間とする。区間35eを注水区間とした場合には、区間35f、35g、…、35jを観測区間とする。
図5の(b)図は、透水試験データ15のフォーマットを示す。透水試験データ15は、例えば、試験時間49、注水を行う区間35の位置51、注水条件53、観測を行う区間35の位置55、観測水圧57等のデータを有する。
試験時間49は、例えば、注水開始からの時間である。注水条件53は、注水を行う区間35での注水条件である。観測水圧57は、観測を行う区間35で観測された水圧である。透水試験データ15は、クロスホール透水試験を実施して得られるデータであり、例えば、作業者がキーボード(あるいはマウス)11等を用いてコンピュータ3に入力することにより、データベース5に保存される。
(2−2.ステップ102〜ステップ103)
ステップ101の後、CPU12はデータベース5から実行プログラム21と透水試験データ15を読み取り、メモリ13に保存する(ステップ102)。そして、CPU12は透水試験データ15を用いて水頭拡散率63を算出し、水頭拡散率データ16をメモリ13に保存する(ステップ103)。
ステップ103では、図5の(a)図のステップ202、ステップ203に示すように、透水試験データ15から実測水頭変化カーブを求め、理論解によるタイプカーブとマッチングさせ、透水係数59と比貯留係数61を求める。そして、透水係数59/比貯留係数61で水頭拡散率63を求める。水頭拡散率63は、注水用の区間35と観測用の区間35の、全ての組合せに対して算出される。
図5の(c)図は、水頭拡散率データ16のフォーマットを示す。水頭拡散率データ16は、例えば、注水を行う区間35の位置51、観測を行う区間35の位置55、透水係数59、比貯留係数61、水頭拡散率63等のデータを有する。
(2−3.ステップ104)
図2に示すステップ103の後、CPU12は水頭拡散率データ16を用いて、多次元尺度構成法によって観測点の布置41を算出し、布置データ17をメモリ13に保存する(ステップ104)。
多次元尺度構成法はデータ内に潜在するデータ構造を可視的に解釈することを目的として、データ間の関係に基づいて多次元空間上での各データの配置を求める方法である。このときの空間的配置のことを布置と呼ぶ。多次元尺度構成法では、データ間の関係を表すものとして類似度と呼ばれる指標が用いられる。この類似度と布置上でのデータ間の距離の関係は単調減少であると仮定する。すなわち、類似度が大きいもの同士ほど布置上での距離は小さくなるとした仮定を元に布置を求める。
なお、類似度のデータに欠損値がある場合には、その欠損値に対応する対象の組合せを除いて計算をすることもでき、対象の個数にもよるが、対象全ての組合せ数の1/4から1/2の組合せの類似度を用いれば、全ての組合せを用いた場合とほぼ同様の布置が得られることが知られている。
図6は、ステップ104からステップ106に関するフローチャートとデータのフォーマットを示す図である。図6の(a)図は、ステップ104からステップ106についての詳細な処理を示すフローチャートである。ステップ104では、図6の(a)図のステップ301に示すように、水頭拡散率63の逆数を類似度として用いて、観測点の布置41を求める。布置の決定方法には、いくつかのアルゴリズムが提案されているが、ステップ301では、最もよく用いられているクルスカルの方法を用いる。
図6の(b)図は、布置データ17のフォーマットを示す。布置データ17は、例えば、観測点名65、現実の空間における観測点の位置46、観測点の布置41等のデータを有する。
図3の(b)図は、観測点の布置41を示す図である。図3の(b)に示す空間における観測点A、B、…、J間の距離は、観測点A、B、…、J間の水理学的な距離を表しており、また、空間内における任意の点間の距離もこれと同様の物理的関係を持つことになる。すなわち、この距離空間における仮想的な媒体は完全に等方均質の透水性を持つことになる。
(2−4.ステップ105)
図2に示すステップ104の後、CPU12は布置データ17を用いて、逆距離補間によって水理地質構造の幾何学的再構成を行う(ステップ105)。ステップ105では、ステップ104で求められた布置41について、図6の(a)図のステップ302からステップ305の作業を行う。
図3の(c)図は、点群45が配置された多角形44を示す図である。図3の(c)図に示すように、図6の(a)図のステップ302では、布置41間を、現実の空間における配置に対応するように直線43で結んで多角形44とし、多角形44の重心位置を原点と一致させる。また、ステップ303では、現実の空間における観測点の位置46とそれに対応する布置41の差の2乗が最小となるように、原点を中心として座標軸を回転する。
さらに、ステップ304では、多角形44内に均一な密度で点群45を配置する。このとき、点群45の密度が充分大きくなるように注意する。多角形44内に点群45を配置することによって、図3の(c)図に示す空間に存在している、水理学的に均質な(一定の間隙率を持つ)媒体が表現される。
図6の(a)図のステップ305では、観測点の布置41を現実の空間における観測点の位置46に戻す。図3の(d)図は、布置を現実の空間の位置へ移動させる前の状態を示す図、図3の(e)図は、布置を現実の空間の位置へ移動させた後の状態を示す図である。ステップ305では、図3の(d)図に示すような、観測点の布置41と現実の空間における観測点の位置46との間のベクトルの線形結合によって、図3の(e)図に示すように、均質に配置した点群45を現実の空間位置に移動させる。線形結合の重み係数の決定にあたっては、逆距離補間法を用いる。
逆距離補間法は、空間データの補間に用いる空間補間法のうち、最も単純かつ明快な方法である。この方法は、推定位置までの距離の逆数のp乗(一般にp=2がよく用いられる)によって各データに重み付けするものである(重みの総和を1とする)。逆距離補間法において、ある任意の位置x’における補間値Z(x’)は式(1)により算出される。
Figure 2006037387
ここで、Z(x)は既存のデータであり、nは既存データの数である、また、wは重み係数であり、式(2)で表される。但し、hは位置x’とxとの間のユークリッド距離である。逆距離補間は厳密な補間方法であり、推定位置で標本値が得られている場合には、解(推定値)はその値と等しくなる。
Figure 2006037387
(2−5.ステップ106)
図2に示すステップ105の後、CPU12は水理地質構造のイメージングを行い、水理地質構造データ19をメモリ13に保存する(ステップ106)。
ステップ106では、図6の(a)図のステップ306に示すように、現実の空間に位置させた点群45の密度を孔間内部48(図3の(c)図)の各領域67で計測することによって、孔間内部48の間隙率69の空間分布を表現し、水理地質構造をイメージングする。
図6の(c)図は、水理地質構造データ19のフォーマットを示す。水理地質構造データ19は、例えば、領域67、間隙率69等のデータを有する。
図3の(f)図は、水理地質構造のイメージング結果47を示す図である。図2に示すような手順によって、初期モデルを与えることなしに、図3の(f)図に示すような、透水試験の結果を厳密に反映した水理地質構造を推定することができる。
図2に示すフローチャートを用いて透水試験評価を行う際、CPU12は、必要に応じて、図3の(b)図に示す布置41の位置関係、図3の(f)図に示す水理地質構造のイメージング結果47等をディスプレイ7に表示する。また、各種データをデータベース5に格納する。
(3.検証結果)
次に、図2に示すフローチャートによる透水試験評価の妥当性・有効性を検証するために行ったシミュレーションについて述べる。
検証に際しては、まず、(1)水理学的に等方均質な領域内に様々な位置・方向を有する高透水層を配置させた水理地質構造モデルを設定した。水理地質構造モデルでは、クロスホール透水試験を想定した孔長20mの鉛直な注水孔、観測孔を水平距離で10m離れるように配置し、注水区間および観測区間については、2.5m間隔で1孔あたり5箇所に設置した。また、透水層37の透水係数を10−3cm/s、透水層以外の一般部の透水係数を10−5cm/sとした。比貯留係数については、圧力応答の計算値に大きな影響を与えるが、ここでは10−4−1と一定値を与えた。
次に、(2)作成した水理地質構造モデルを用いて、クロスホール透水試験(定流量注水試験)を模擬した2次元非定常有限要素法浸透流解析を行い、この解析結果を基に図2のフローチャートに示す方法により水理地質構造のイメージングを行った。そして、(3)水理地質構造モデルと水理地質構造のイメージング結果との比較を行った。
なお、浸透流解析における境界条件としては、解析領域の上下両端を不透水境界とし、左右両端に50mの全水頭を与える。これを定常解析することにより領域内各所の水頭の初期条件を設定する。この条件のもと、注水区間において10cm/mの定流量を境界条件として与えることで非定常解析を行った。なお、注水は注水孔における5つの注水区間から順次行った。
図7から図10は、透水層37を有する水理地質構造モデルを用いた検証結果を示す図である。図7の(a)、(d)、(g)図は、それぞれ、試験領域中央部、上部、下部に水平な透水層37を有する水理地質構造モデルを示す図である。図7の(b)、(e)、(h)図は、それぞれ、図7の(a)、(d)、(g)図について得られた布置41を示す。布置41に注目すると、水理地質構造モデル上で透水層37と交わる観測点同士の距離((b)C−H間、(e)B−G間、(h)D−I間)が小さくなっていることがわかる。これは、2点間の水理学的な距離が小さいことを表している。
図7の(c)、(f)、(i)図は、それぞれ、図7の(a)、(d)、(g)図について得られた水理地質構造のイメージング結果を示す。水理地質構造のイメージング結果と水理地質構造モデルとを比較すると、いずれも高精度で水理地質構造を再現している。図7より、図2に示す手順によって、透水層37の位置を適正に再現できることが検証された。
図8の(a)、(d)、(g)図は、それぞれ、傾斜が低角度(水平)の透水層37、中程度の透水層37、高角度(45度)の透水層37を有する水理地質構造モデルを示す図である。図8の(b)、(e)、(h)図は、それぞれ、図8の(a)、(d)、(g)図について得られた布置41を示す。これらの布置41についても、図7と同様に、水理地質構造モデル上で透水層37と交わる観測点同士の距離((b)C−H間、(e)D−G間、(h)E−F間)が小さくなっていることがわかる。
図8の(c)、(f)、(i)図は、それぞれ、図8の(a)、(d)、(g)図について得られた水理地質構造のイメージング結果を示す。水理地質構造のイメージング結果と水理地質構造モデルとを比較すると、透水層37が低角度(水平)、中程度の場合は高精度で、透水層37が高角度(45度)の場合は概ね良好な精度で水理地質構造を再現している。図8より、図2に示す手順によって、透水層37の傾斜角度を適正に再現できることが検証された。
図9の(a)、(d)、(g)図は、それぞれ、単一の透水層37、X字状に交差する複数の透水層37、Y字状に交差する複数の透水層37を有する水理地質構造モデルを示す図である。図9の(b)、(e)、(h)図は、それぞれ、図9の(a)、(d)、(g)図について得られた布置41を示す。これらの布置41についても、水理学的距離が小さくなるべき観測点間の距離((b)C−H間、(e)B−D−G−I間、(h)B−D−I間)が小さくなっていることがわかる。
図9の(c)、(f)、(i)図は、それぞれ、図9の(a)、(d)、(g)図について得られた水理地質構造のイメージング結果を示す。水理地質構造のイメージング結果と水理地質構造モデルとを比較すると、X字状に交差する複数の透水層37、Y字状に交差する複数の透水層37を有する水理地質構造についても、高い精度で再現できることが確認できた。
図10の(a)、(d)、(g)図は、注水孔および観測孔と交差しない透水層37を有する水理地質構造モデルを示す図である。図10の(b)、(e)、(h)図は、それぞれ、図10の(a)、(d)、(g)図について得られた布置41を示す。図10の(c)、(f)、(i)図は、それぞれ、図10の(a)、(d)、(g)図について得られた水理地質構造のイメージング結果を示す。
透水層37が注水孔および観測孔と交差しない場合には、透水層37を通る地下水の挙動が明確な観測結果として得られにくいため、観測結果から水理地質構造を再構成するのは極めて困難である。しかしながら、図10を見ると、透水層37が観測結果に与える小さな影響をも反映した布置41が得られているとともに、透水層37の位置が特定できるイメージング結果が得られることが確認された。
このように、本実施の形態によれば、初期モデルを必要とせず、クロスホール透水試験結果から、水理地質構造を高精度で極めて簡易にイメージすることができる。また、格子ベースでないオブジェクトベースの推定方法であるため、不連続面の交差によって形成される複雑な水みちを推定するのに有利である。さらに、3次元への拡張が容易である。
本方法は、岩盤地下構造物(地下発電所、石油地下備蓄、LPG地下備蓄、高レベル核廃棄物地下処分場)建設の際の地質評価に役立つ。また、グラウト前後でクロスホール透水試験を実施し、この方法で評価すれば、グラウト効果の確認ができる。
なお、本実施の形態では、空間補間法として、逆距離補間法を用いたが、イメージング精度をさらに向上させるために、より物理則を反映するような空間補間法を用いてもよい。透水試験評価システム1の設置位置は、クロスホール透水試験実施位置付近でなくてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明にかかる透水試験評価システムおよび透水試験の評価方法の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
透水試験評価システム1の概略構成図 透水試験評価方法のフローチャートを示す図 透水試験評価方法の手順を示す図 クロスホール透水試験の概要図 ステップ101からステップ103に関するフローチャートとデータのフォーマットを示す図 ステップ104からステップ106に関するフローチャートとデータのフォーマットを示す図 透水層37を有する水理地質構造モデルを用いた検証結果を示す図 透水層37を有する水理地質構造モデルを用いた検証結果を示す図 透水層37を有する水理地質構造モデルを用いた検証結果を示す図 透水層37を有する水理地質構造モデルを用いた検証結果を示す図
符号の説明
A、B、C、D、E、F、G、H、I、J………観測点
1………透水試験評価システム
3………コンピュータ
5………データベース
25………注水孔
29………観測孔
31………止水パッカ
33………間隙水圧計
35、35a、35b、35c、35d、35e、35f、35g、35h、35i、35j………区間
37………透水層
39………地盤
41………布置
43………直線
44………多角形
45………点群
46………現実の空間における観測点の位置
47………水理地質構造のイメージング結果
53………注水条件
57………観測水圧
63………水頭拡散率

Claims (7)

  1. 地盤の透水試験を行って取得した、観測点間の水頭拡散率を保持する手段と、
    前記水頭拡散率の逆数を多次元尺度構成法における類似度として用いて、前記観測点の布置を求める手段と、
    前記観測点の布置を頂点とする多角形内に均質な透水性を持つ媒体が存在すると仮定し、空間補間法を用いて、前記観測点の布置が前記観測点の現実の空間における位置に移動するように幾何学的再構成を行った後、前記現実の空間について、前記媒体の密度を考慮して水理地質構造を推定する手段と、
    を具備することを特徴とする透水試験評価システム。
  2. 前記透水試験が、注水孔と観測孔の双方に観測区間を設けて実施されたクロスホール透水試験であることを特徴とする請求項1記載の透水試験評価システム。
  3. 前記多角形の配置が、重心が原点と一致し、前記観測点の布置と前記観測点の現実の空間における位置の差の2乗が最小となるように決定されることを特徴とする請求項1記載の透水試験評価システム。
  4. 前記空間補間法が逆距離補間法であることを特徴とする請求項1記載の透水試験評価システム。
  5. コンピュータを請求項1記載の透水試験評価システムとして機能させるプログラム。
  6. コンピュータを請求項1記載の透水試験評価システムとして機能させるプログラムを記録した記録媒体。
  7. 地盤の透水試験を行って観測点間の水頭拡散率を取得する工程と、
    前記水頭拡散率の逆数を多次元尺度構成法における類似度として用いて、前記観測点の布置を求める工程と、
    前記観測点の布置を頂点とし、重心が原点と一致し、前記観測点の布置と前記観測点の現実の空間における位置の差の2乗が最小となるような多角形内に、均質な透水性を持つ媒体が存在すると仮定する工程と、
    空間補間法を用いて、前記観測点の布置が前記観測点の現実の空間における位置に移動するように幾何学的再構成を行う工程と、
    前記現実の空間について、前記媒体の密度を考慮して水理地質構造を推定する工程と、
    を具備することを特徴とする透水試験の評価方法。
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