JP2006030239A - 熱現像感光材料の熱現像方法 - Google Patents

熱現像感光材料の熱現像方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱現像時の処理安定性を向上させ、画像保存時においても高画質な画像を提供しうる熱現像感光材料の熱現像方法を提供すること。
【解決手段】 支持体の一方の面上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を、熱現像部を有する熱現像装置にて熱現像する方法において、該熱現像部が平面状または曲面状に配列された複数枚のプレートヒータからなる加熱手段を有し、熱現像処理の工程で該熱現像感光材料が最初に接するプレートヒータの温度がそれ以外のプレートヒータの平均温度よりも高いことを特徴とする熱現像感光材料の熱現像方法。
【選択図】 なし

Description

近年、医療や印刷製版の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液の低減が、環境保全や省スペース化の観点からもが強く望まれている。
その為、レーザ・イメージャーやレーザ・イメージセッターのような効率的な露光が可能で、且つ高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の熱現像感光材料に関する技術が必要とされてきている。
上記熱現像感光材料に係る技術として、例えば、D.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による米国特許第3,152,904号、同3,487,075号の各明細書またはD.H.クロスタベール(Klosterboer)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Materials)」(Handbook of Imaging Materials,Marcel Dekker,Inc.第48頁、1991)等に記載されているように、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀及び還元剤を含有する熱現像感光材料が知られている。この熱現像感光材料では、溶液系処理薬品を一切使用しないため、より簡便で環境を損なわないシステムをユーザーに提供することができる利点を有している。
これらの熱現像感光材料は、感光性層中に設置された感光性ハロゲン化銀粒子を光センサーとし、有機銀塩を銀イオンの供給源とし、内蔵された還元剤によって通常80〜140℃にて熱現像することにより画像を形成させ、定着を行わないことが特徴である。
しかしながら、熱現像感光材料においては、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を含有するため、熱現像前にかぶりが生じ易い。また、露光後、通常80〜250℃で熱現像するだけで定着を行わないため、熱現像後においても、ハロゲン化銀、有機銀塩及び還元剤等の全部あるいは一部が残留するため、長期間の保存過程で、熱や光により金属銀が生じ、銀画像の色調等、画質が変化し易いという問題がある。
これらの問題を解決するための技術が、例えば、特開平6−208192号公報、同8−267934号公報、米国特許第5,714,311号明細書、欧州特許第1,096,310号明細書、及びこれらの特許文献に引用されている文献等において開示されている。しかし、これらの開示技術の多くは、ある程度の効果を呈するものの、市場において要求されるレベルを満たすための技術としてはまだ充分なものではない。
また、更に、本願発明者等の研究過程において、銀被覆率(カバーリングパワー、CP)を上げる等の目的で熱現像感光材料に含有する感光性ハロゲン化銀粒子の粒径を小さくして数を増加させた場合には、現像処理によって形成される現像銀(銀原子のクラスター)の小粒径化等の形状変化により色調が劣化する場合があるとともに、現像後の銀画像の保存時および観察時に、当該感光性ハロゲン化銀粒子が受ける光の影響等により、銀画像の色調等の変動、劣化が一層大きくなるという問題が生じることがわかった。
また、現像銀の形状に起因する銀画像の色調を好ましい色調に補正調整するために発色性ロイコ染料等を使用する技術が、特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号の各公報等に開示されているが、これらの補正技術によっては、保存における色調の経時変動を防止することが十分にはできないことも分かってきた。
なお、上記の光の影響による銀画像の変動、劣化を防止する技術としては、従来後述する光誘起によって銀を酸化するハロゲン化合物が使用されており、当該ハロゲン化合物例は、特開昭50−120328号、特開平6−208193号、同7−2781号の各公報等に開示されている。しかし、これらの化合物は一般的に熱分解によっても酸化機能を発現する性向を有するため、かぶりの生成、増長を防止する効果を有するものの、銀画像形成を阻害して感度やDmax及び銀被覆率を低減するというような弊害をもたらす欠点があることも明らかになった。
医療用画像では微細な描写が要求されるため鮮鋭性、粒状性、面内均一性に優れる高画質が必要である。従来プレートヒートで現像処理を行うことにより面内濃度ムラ等が少なくなるとの技術(例えば、特許文献1、2参照。)が開示されているが、これらの技術によって画像保存での画質に関しては市場要求レベルを満足するものはなかった。
特開2002−214735号公報(特許請求の範囲) 特開平11−352660号公報(特許請求の範囲)
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、特に高画質が求められる医療用画像において、熱現像時の処理安定性を向上させ、画像保存時においても診断性の高い高画質な画像を提供しうる熱現像感光材料の熱現像方法を提供することにある。
本発明においては、熱現像時の処理安定性を向上させ、画像保存時においても診断性の高い高画質な画像を得るために検討を重ねた結果、熱現像部が平面状または曲面状に配列された複数枚のプレートヒータからなる加熱手段を有し、熱現像処理の工程で感光材料が最初に接する該プレートヒータの温度が、それ以外のプレートヒータの平均温度よりも高く設定する熱現像方法により上記目的が達成されることを見いだし、本発明に到達した。本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
(請求項1)
支持体の一方の面上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を、熱現像部を有する熱現像装置にて熱現像する方法において、該熱現像部が平面状または曲面状に配列された複数枚のプレートヒータからなる加熱手段を有し、熱現像処理の工程で該熱現像感光材料が最初に接するプレートヒータの温度がそれ以外のプレートヒータの平均温度よりも高いことを特徴とする熱現像感光材料の熱現像方法。
(請求項2)
前記熱現像処理の工程で熱現像感光材料が最初に接するプレートヒータの温度と、それ以外のプレートヒータの平均温度の差が2℃以上10℃未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
(請求項3)
前記熱現像感光材料が融点50℃以上200℃以下の熱溶剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
(請求項4)
支持体の一方の面上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を、熱現像部を有する熱現像装置にて熱現像する方法において、該熱現像部が平面状または曲面状に配列された複数枚のプレートヒータからなる加熱手段を有し、熱現像処理の工程で該熱現像感光材料が最後に接するプレートヒータの温度がそれ以外のプレートヒータの平均温度よりも高いことを特徴とする熱現像感光材料の熱現像方法。
(請求項5)
前記熱現像処理の工程で熱現像感光材料が最後に接するプレートヒータの温度と、それ以外のプレートヒータの平均温度の差が5℃以上15℃未満であることを特徴とする請求項4に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
(請求項6)
前記熱現像処理の工程で熱現像感光材料が最後に接するプレートヒータで該熱現像感光材料の定着処理が行われることを特徴とする請求項4または5に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
(請求項7)
前記定着処理が画保改良剤内包マイクロカプセルによるものであることを特徴とする請求項6に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
(請求項8)
前記画保改良剤内包マイクロカプセルの壁材が50〜150℃の範囲に融点を有する熱溶融性材料からなることを特徴とする請求項7に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
(請求項9)
前記画保改良剤内包マイクロカプセルに用いる壁材のMEK(メチルエチルケトン)に対する溶解性が5%以下であることを特徴とする請求項7または8記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
(請求項10)
前記感光性ハロゲン化銀が熱現像過程において表面潜像型から内部潜像型に変換することにより、表面感度が熱現像前より低下するハロゲン化銀粒子であること、及び黄色発色性ロイコ染料またはシアン発色性ロイコ染料の少なくともいずれかを含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
(請求項11)
前記銀イオン還元剤の少なくとも一種が下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
Figure 2006030239
(式中、X1はカルコゲン原子またはCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよい。R3は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。)
本発明により、熱現像処理安定性に優れ、画像保存性に優れた熱現像感光材料の熱現像方法を提供することができた。
以下、本発明の構成要素について順次説明する。
(熱現像装置)
本発明の熱現像感光材料(単に感光材料ともいう)の熱現像方法のための熱現像装置は、熱現像部が平面状または曲面状に配列された複数枚のプレートヒータからなる加熱手段を有し、熱現像処理の工程で感光材料が最初に接する該プレートヒータの温度が、それ以外のプレートヒータの平均温度よりも高いことを特徴とし、その温度差は好ましくは1℃以上10℃未満、より好ましくは1℃以上8℃未満、更に好ましくは1℃以上5℃未満が特に好ましい。更に感光材料が最後に接する該プレートヒータの温度が、それ以外のプレートヒータの平均温度よりも高いことを特徴とし、その温度差は好ましくは5℃以上15℃未満、より好ましくは5℃以上13℃未満、更に好ましくは5℃以上10℃未満が特に好ましい。熱現像の初期に感光材料が高い温度に曝されることにより、現像反応が一気に進み、現像処理安定性につながると考えられる。また、熱現像の後期に高い温度に曝されることにより、感光材料内の硬膜反応などを促進し、画像保存時において高画質な画像を維持できると考えられる。
本発明において、プレートヒータ方式による熱現像方式とは特開平11−133572号公報に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒータからなり、且つ前記プレートヒータの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒータとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。
本発明の好ましい現像温度としては80〜250℃であり、好ましくは100〜140℃、更に好ましくは110〜130℃である。現像時間としては1〜30秒が好ましく、より好ましくは3〜15秒、更に好ましくは3〜10秒が特に好ましい。
本発明で言う熱現像装置は、構成としてはストックトレイで代表される熱現像感光材料供給部、レーザによる画像露光部、熱現像感光材料の全面に均一で安定した熱を供給する熱現像部、熱現像部で加熱された熱現像感光材料を冷却する冷却部を備えている。なお、該熱現像装置は、熱現像感光材料供給部からレーザ記録を経て、熱現像により画像形成された熱現像感光材料を冷却後、装置外に排出するまでの搬送手段を有する。この態様の熱現像装置の具体例は図1、図2に示す。
図1に、本発明に係る熱現像装置150の概略構成図を示す。熱現像装置150は基本的に熱現像感光材料の搬送方向順に、熱現像感光材料供給部Aと、画像露光部Bと、熱現像部Cと、冷却部Dとを備えており、また各部間の要所に設けられ熱現像感光材料を搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御する電源/制御部Eを備えている。
熱現像感光材料供給部Aは、熱現像感光材料を一枚ずつ取り出して、熱現像感光材料の搬送方向の下流に位置する画像露光部Bに供給する部分であり、三つのストックトレイ10a、10b、10cと、各装填部にそれぞれ配置される供給ローラ対13a、13b、13cと、不図示の搬送ローラ及び搬送ガイドとを有して構成される。また、三段構成となっている各装填部10a、10b、10cの内部には、異なる熱現像感光材料(例えば、B4サイズ、及び半切サイズなど)が収容されたマガジン15a、15b、15cが挿入され、各段に装填されたサイズや向きのいずれかを選択的に使用できるようにしている。なお、マガジン15aは床面から55cm以下の高さにある。
画像露光部Bは、熱現像感光材料供給部Aから搬送されてきた熱現像感光材料に対して光ビームLを主走査方向に走査露光し、また主走査方向に略直交する副走査方向(即ち、搬送方向)に搬送することで、所望の画像を熱現像感光材料に記録して潜像を形成する。
ここで、画像露光部Bについて具体的に説明する。図2にシート状の熱現像感光材料3を搬送するための副走査搬送部と、走査露光部の概略構成を示す構成図を示した。画像露光部Bは、光ビーム走査露光によって熱現像感光材料を露光する部位であり、熱現像材料の搬送面からのばたつきを防止しつつ搬送するばたつき防止機構を有した副走査搬送部(副走査手段)17と、走査露光部(レーザ照射手段)19とを備えている。走査露光部19は、別途用意された画像データに従ってレーザの出力を制御しつつ、このレーザを走査(主走査)させる。このとき熱現像感光材料を副走査搬送部17によって副走査方向に移動させる。
副走査搬送部17は、照射するレーザ光の主走査ラインを挟んで、軸線がこの走査ラインに対して略平行に配置された2本の駆動ローラ21、22と、これら駆動ローラ21、22に対向して配置され、熱現像感光材料3を支持するガイド板23を備えている。ガイド板23は、各駆動ローラ21、22との間に挿入される熱現像感光材料3を、並設されたこれら駆動ローラ同士間の外側で該駆動ローラ周面の一部に沿って撓ませるスロープ部25、26と、駆動ローラ同士間で熱現像感光材料の撓みによる弾性反発力を当接して受け止める略水平な面からなる押し当て部29が設けられている。
スロープ部25は、押し当て部29との境界部分で屈曲して接続された傾斜面であり、このスロープ部25と押し当て部29との交差角度φは、0〜45°の範囲に設定されている。そして、搬送下流側のスロープ部26についても同様に形成され、押し当て部29に対して上記交差角度φの傾斜面が設けられている。なお、0°より大きな交差角度φで屈曲させた傾斜面は少なくとも搬送方向上流側に設けてあればよい。
一方、走査露光部19は、図2に示すように、画像信号に応じて変調したレーザ光Lを主走査方向に偏向して、所定の記録位置Xに入射するものであって、熱現像感光材料の分光感度特性に応じた狭帯波長域のレーザ光(波長350〜900nm)を出射するレーザ光源35と、レーザ光源35を駆動する記録制御装置37と、シリンドリカルレンズ39と、光偏光器であるポリゴンミラー41と、fθレンズ43と、立ち下げ用のシリンドリカルミラー45とを備えている。なお、走査露光部19には、これ以外にもレーザ光源35から出射された光ビームを成形するコリメータレンズやビームエキスパンダ、面倒れ補正光学系、光路調整用ミラー等、公知の光ビーム走査露光装置に配置される各種光学系部材が必要に応じて配置される。なお、レーザ光の熱現像感光材料3上における記録ビーム径は、φ50〜φ200μmに設定している。特に副走査方向の記録ビーム径は、干渉領域を縮小するため小さい方が好ましい。なお、熱現像感光材料3の法線方向と副走査方向(搬送方向)に平行な面内で、熱現像感光材料3の法線から副走査方向へ4〜15°の傾斜を有する入射角度θで、熱現像感光材料3に向けてレーザ光Lを照射することが好ましい。
次に、熱現像部Cについて説明する。熱現像部Cは熱処理を適用されるタイプの被熱処理熱現像感光材料を加熱するものであり、構成としては、図1に示すように、熱現像感光材料3を処理するのに必要な温度となる加熱体としての熱現像感光材料の移送方向に並ぶ複数のプレートヒータ51a、51b、51cを湾曲させ、且つこれらのプレートヒータ51a、51b、51cを一連の円弧状配置としている。
このプレートヒータ51a、51b、51cを含む熱現像部Cの構成としては、図示されるように、各プレートヒータに凹面を設け、熱現像感光材料3をこのプレートヒータの凹面に対して接触させつつ滑らせて、相対的に移動させる。このときの熱現像感光材料3の移送手段として、供給ローラ53と、各プレートヒータから熱現像感光材料3への伝熱用でもある複数の押さえローラ55とを配設している。押さえローラ55はドラム52の周面に当接して、ドラム52の回転に従動して回転駆動される。これらの押さえローラ55としては、金属ローラ、樹脂ローラ、ゴムローラ等が利用できる。この構成により、搬送される熱現像感光材料3がプレートヒータ51a、51b、51cに押し付けられつつ搬送されるので、熱現像感光材料3の座屈を防止することができる。そして、熱現像部C内における熱現像感光材料3の搬送路の終端には、熱現像感光材料を移送する排出ローラ57が配設されている。
そして、熱現像部Cから搬出された熱現像感光材料3は、冷却部Dによってシワが発生しないように、且つ湾曲ぐせが付かないように注意しながら冷却される。冷却部Cから排出された熱現像感光材料3は搬送路途中に設けられた冷却ローラ対59によりガイドプレート61内に案内され、更に排出ローラ対63から排出トレイ16に排出される。
露光処理と熱現像処理を同時に行う、即ち、シート感材の一部分を露光しながら、すでに露光がなされたシートの一部分で現像が開始されるためには、露光処理を行う露光部と現像部の間の距離が0cm以上50cm以下であることが好ましく、これにより露光・現像の一連の処理時間が極めて短くなる。この距離の好ましい範囲は、3cm以上40cm以下であり、より好ましくは、5cm以上30cm以下である。
ここで露光部とは、露光光源からの光が熱現像感光材料に照射される位置をいい、現像部とは、熱現像感光材料が熱現像を行うために初めて加熱される位置をいう。図2におけるXが露光部であり、図1の53から搬送された感光材料が51aのプレートに初めて接した所が現像部である。
なお、熱現像感光材料の熱現像部における搬送速度は20〜200mm/秒が好ましい範囲であり、より好ましくは25〜200mm/秒である。搬送速度をこの範囲とすることにより、熱現像時の濃度むらを改良でき、また処理時間が短縮できるため、緊急時の診断にも対応できて好ましい。
熱現像感光材料の現像条件は、使用する機器、装置、あるいは手段に依存して変化するが、典型的には適した高温において、像様に露光した熱現像感光材料を加熱することにより現像を行うものである。露光後に得られた潜像は、中程度の高温(約80〜200℃、好ましくは約100〜140℃、より好ましくは110〜130℃)で、十分な時間(一般には約1秒〜2分間、好ましくは3〜30秒、より好ましくは5〜20秒である。)かけて熱現像される。
加熱温度が80℃未満では短時間に十分な画像濃度が得られず、また200℃を超えるとバインダーが溶融し、ローラーへの転写等画像そのものだけでなく、搬送性や現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の供給を一切行わないで進行する。また、熱現像後の画像濃度の最大値は3.8〜5.0であることが好ましく、3.9〜4.7であることがより好ましく、4.0〜4.5であることが最も好ましい。
(熱溶剤)
熱溶剤を使用することにより、感光材料を熱現像初期に高温に曝した際に、より迅速に現像反応が進み、更に熱現像処理安定性につながると考えられる。ここで、熱溶剤とは、熱溶剤含有熱現像感光材料に対して、熱溶剤を含まない熱現像感光材料に比べて熱現像温度を1℃以上低くすることができる素材と定義する。更に好ましくは2℃以上熱現像温度を低くできる素材であり、特に好ましくは3℃以上低くできる素材である。例えば、熱溶剤を含む熱現像感光材料Aに対して、熱現像感光材料Aから熱溶剤を含まない熱現像感光材料をBとした時に、熱現像感光材料Bを露光し熱現像温度120℃、熱現像時間20秒で処理して得られる濃度を、熱現像感光材料Aで同一露光量、熱現像時間で得るための熱現像温度が119℃以下になる場合を熱溶剤とする。
本発明に係る熱溶剤は極性基を置換基として有しており、式(1)で表されるのが好ましいが、これらに限定されるものではない。
式(1) (Y)n
式(1)において、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。Zはヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、リン酸アミド基、シアノ基、イミド、ウレイド、スルホキシド、スルホン、ホスフィン、ホスフィンオキシドまたは含窒素複素環基から選ばれる基を表す。nは1ないし3の整数を表し、Zが1価の基である場合には1、Zが2価以上の基である場合にはZの価数と同一である。nが2以上の場合、複数のYは同一であっても異なっていてもよい。Yは更に置換基を有していてもよく、置換基としてZで表される基を有していてもよい。
Yについて更に詳しく説明する。式(1)において、Yは直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜25であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、sec−ブチル、t−ブチル、t−オクチル、n−アミル、t−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは2〜30、特に好ましくは2〜25であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは6〜30、特に好ましくは6〜25であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、複素環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、ピラジル、イミダゾイル、ピロリジルなどが挙げられる。)を表す。これらの置換基は更に他の置換基で置換されていてもよい。また、これらの置換基は互いに結合して、環を形成していてもよい。
Yは更に置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基、活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。なおここで活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、ここに電子求引性基とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。また塩とはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンを意味する。これら置換基は、これら置換基で更に置換されていてもよい。Yは置換基としてZで表される基を更に有していてもよい。
熱溶剤が本発明の効果を発現する理由としては、熱溶剤が現像温度付近で溶融することにより現像に関与する物質と相溶し、熱溶剤を添加しないときよりも低い温度での反応を可能としているためと考えられる。熱現像は、比較的極性の高いカルボン酸や銀イオン輸送体が関与している還元反応であるため、極性基を有している熱溶剤により適度の極性を有する反応場を形成することが好ましい。
本発明に係る熱溶剤の融点は50℃以上200℃以下であるが、好ましくは60℃以上150℃以下である。特に、本発明の目的であるような、画像保存性などの外的環境に対しての安定性を重視した熱現像感光材料では、融点が100℃以上150℃以下の熱溶剤が好ましい。
以下に、本発明に係る熱溶剤の具体例を示すが、本発明の内容はこれにより限定されるものではない。なお括弧内は融点を示している。
N−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド(61℃)、1,8−オクタンジオール(62℃)、安息香酸フェニル(67〜71℃)、ヒドロキノンジエチルエーテル(67〜73℃)、ε−カプロラクタム(68〜70℃)、りん酸ジフェニル(68〜70℃)、(±)−2−ヒドロキシオクタン酸(68〜71℃)、(±)−3−ヒドロキシドデカン酸(68〜71℃)、5−クロロ−2−メチルベンゾチアゾール(68〜71℃)、酢酸β−ナフチル(68〜71℃)、バチルアルコール(68〜73℃)、(±)−2−ヒドロキシデカン酸(69〜72℃)、2,2,2−トリフルオロアセトアミド(69〜72℃)、ピラゾール(69℃)、(±)−2−ヒドロキシウンデカン酸(70〜73℃)、N,N−ジフェニルホルムアミド(71〜72℃)、ジベンジルジスルフィド(71〜72℃)、(±)−3−ヒドロキシウンデカン酸(71〜74℃)、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(71℃)、2,4−ジニトロトルエン(71℃)、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド(71℃)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(71℃)、2,6−ジクロロベンズアルデヒド(71℃)、ジフェニルスルホキシド(71℃)、ステアリン酸(71℃)、2,5−ジメトキシニトロベンゼン(72〜73℃)、1,10−デカンジオール(72〜74℃)、(R)−(−)−3−ヒドロキシテトラデカン酸(72〜75℃)、2−テトラデシルヘキサデカン酸(72〜75℃)、2−メトキシナフタレン(72〜75℃)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル(72〜76℃)、トリステアリン(73.5℃)、ドトリアコンタン(74〜75℃)、フラバノン(74〜78℃)、2,5−ジフェニルオキサゾール(74℃)、8−キノリノール(74℃)、o−クロロベンジルアルコール(74℃)、オレイン酸アミド(75〜76℃)、(±)−2−ヒドロキシドデカン酸(75〜78℃)、n−ヘキサトリアコンタン(75〜79℃)、イミノジアセトニトリル(75〜79℃)、p−クロロベンジルアルコール(75℃)、フタル酸ジフェニル(75℃)、N−メチルベンズアミド(76〜78℃)、(±)−2−ヒドロキシトリデカン酸(76〜79℃)、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン(76〜79℃)、N−メチル−p−トルエンスルホンアミド(76〜79℃)、3′−ニトロアセトフェノン(76〜80℃)、4−フェニルシクロヘキサノン(76〜80℃)、エイコサン酸(76℃)、4−クロロベンゾフェノン(77〜78℃)、(±)−3−ヒドロキシテトラデカン酸(77〜80℃)、2−ヘキサデシルオクタデカン酸(77〜80℃)、酢酸p−ニトロフェニル(77〜80℃)、4′−ニトロアセトフェノン(77〜81℃)、12−ヒドロキシステアリン酸(77℃)、α,α′−ジブロモ−m−キシレン(77℃)、9−メチルアントラセン(78〜81℃)、1,4−シクロヘキサンジオン(78℃)、m−ジエチルアミノフェノール(78℃)、m−ニトロ安息香酸メチル(78℃)、(±)−2−ヒドロキシテトラデカン酸(79〜82℃)、1−(フェニルスルホニル)インドール(79℃)、ジ−p−トリルメタン(79℃)、プロピオンアミド(79℃)、(±)−3−ヒドロキシトリデカン酸(80〜83℃)、グアヤコールグリセリンエーテル(80〜85℃)、オクタノイル−N−メチルグルカミド(80〜90℃)、o−フルオロアセトアニリド(80℃)、アセトアセトアニリド(80℃)、ドコサン酸(81〜82℃)、p−ブロモベンゾフェノン(81℃)、トリフェニルホスフィン(81℃)、ジベンゾフラン(82.8℃)、(±)−2−ヒドロキシペンタデカン酸(82〜85℃)、2−オクタデシルエイコサン酸(82〜85℃)、1,12−ドデカンジオール(82℃)、3,4,5−トリメトキシ安息香酸メチル(83℃)、p−クロロニトロベンゼン(83℃)、(±)−3−ヒドロキシヘキサデカン酸(84〜85℃)、o−ヒドロキシベンジルアルコール(84〜86℃)、1−トリアコンタノール(84〜88℃)、o−アミノベンジルアルコール(84℃)、酢酸4−メトキシベンジル(84℃)、(±)−2−ヒドロキシヘキサデカン酸(85〜88℃)、m−ジメチルアミノフェノール(85℃)、p−ジブロモベンゼン(86〜87℃)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル(86〜88℃)、(±)−3−ヒドロキシペンタデカン酸(86〜89℃)、4−ベンジルビフェニル(86℃)、p−フルオロフェニル酢酸(86℃)、1,14−テトラデカンジオール(87〜89℃)、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール(87〜90℃)、p−ペンチル安息香酸(87〜91℃)、酢酸α−(トリクロロメチル)ベンジル(88〜89℃)、4,4′−ジメチルベンゾイン(88℃)、炭酸ジフェニル(88℃)、m−ジニトロベンゼン(89.57℃)、(3R,5R)−(+)−2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオール(90〜93℃)、(3S,5S)−(−)−2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオール(90〜93℃)、シクロヘキサノンオキシム(90℃)、p−ブロモヨードベンゼン(91〜92℃)、4,4′−ジメチルベンゾフェノン(92〜95℃)、トリフェニルメタン(92〜95℃)、ステアリン酸アニリド(92〜96℃)、p−ヒドロキシフェニルエタノール(92℃)、モノエチル尿素,(92℃)、アセナフチレン(93.5〜94.5℃)、m−ヒドロキシアセトフェノン(93〜97℃)、キシリトール(93〜97℃)、p−ヨードフェノール(93℃)、p−ニトロ安息香酸メチル(94〜98℃)、p−ニトロベンジルアルコール(94℃)、1,2,4−トリアセトキシベンゼン(95〜100℃)、3−アセチルベンゾニトリル(95〜103℃)、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル(95〜97℃)、16−ヒドロキシヘキサデカン酸(95〜99℃)、D(−)−リボース(95℃)、o−ベンゾイル安息香酸(95℃)、α,α′−ジブロモ−o−キシレン(95℃)、ベンジル(95℃)、ヨードアセトアミド(95℃)、p−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル(96〜97℃)、p−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル(96〜97℃)、フラボン(96〜97℃)、2−デオキシ−D−リボース(96〜98℃)、没食子酸ラウリル(96〜99℃)、1−ナフトール(96℃)、2,7−ジメチルナフタレン(96℃)、2−クロロフェニル酢酸(96℃)、アセナフテン(96℃)、テレフタル酸ジベンジル(96℃)、フマロニトリル(96℃)、4′−アミノ−2′,5′−ジエトキシベンズアニリド(97〜100℃)、フェノキシ酢酸(97〜100℃)、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール(97℃)、D−ソルビトール(97℃)、m−アミノベンジルアルコール(97℃)、アセトアミドマロン酸ジエチル(97℃)、1,10−フェナントロリン一水和物(98〜100℃)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4′−メチルベンゾフェノン(98〜100℃)、2−ブロモ−4′−クロロアセトフェノン(98℃)、メチル尿素(98℃)、4−フェノキシフタロニトリル(99〜100℃)、o−メトキシ安息香酸(99〜100℃)、p−ブチル安息香酸(99〜100℃)、キサンテン(99〜100℃)、ペンタフルオロ安息香酸(99〜101℃)、フェナントレン(99℃)、p−t−ブチルフェノール(100.4℃)、9−フルオレニルメタノール(100〜101℃)、1,3−ジメチル尿素(100〜102℃)、4−アセトキシインドール(100〜102℃)、1,3−シクロヘキサンジオン(100℃)、ステアリン酸アミド(100℃)、トリ−m−トリルホスフィン(100℃)、4−ビフェニルメタノール(101〜102℃)、1,4−シクロヘキサンジオール(cis、trans−混合物)(101℃)、α,α′−ジクロロ−p−キシレン(101℃)、2−t−ブチルアントラキノン(102℃)、フマル酸ジメチル(102℃)、3,3−ジメチルグルタル酸(103〜104℃)、2−ヒドロキシ−3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン(103℃)、4−クロロ−3−ニトロアニリン(103℃)、N,N−ジフェニルアセトアミド(103℃)、3(2)−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(104〜105℃)、4,4′−ジメチルベンジル(104〜105℃)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2′,2″−ニトリロトリエタノール(104℃)、m−トリフルオロメチル安息香酸(104℃)、3−ペンタノール(105〜108℃)、2−メチル−1,4−ナフトキノン(105℃)、α,α,α′,α′−テトラブロモ−m−キシレン(105℃)、4−クロロフェニル酢酸(106℃)、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン(107.5〜108.5℃)、2,4−ジクロロ−1−ナフトール(107〜108℃)、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(107〜117℃)、2,4−ジメトキシ安息香酸(108〜109℃)、o−トリフルオロメチル安息香酸(108〜109℃)、p−ヒドロキシアセトフェノン(109℃)、ジメチルスルホン(109℃)、2,6−ジメチルナフタレン(110〜111℃)、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ベンゾキノン(110℃)、トリデカン二酸(110℃)、トリフェニルクロロメタン(110℃)、フルオランテン(110℃)、ラウリンアミド(110℃)、1,4−ベンゾキノン(111℃)、3−ベンジルインドール(111℃)、レゾルシノール(111℃)、1ーブロモブタン(112.3℃)、2,2−ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール(112〜114℃)、p−エチル安息香酸(113.5℃)、1,4−ジアセトキシ−2−メチルナフタレン(113℃)、1−エチル−2,3−ピペラジンジオン(113℃)、4−メチル−2−ニトロアニリン(113℃)、L−アスコルビン酸二パルミチン酸エステル(113℃)、o−フェノキシ安息香酸(113℃)、p−ニトロフェノール(113℃)、メチル(ジフェニル)ホスフィン・オキシド(113℃)、酢酸コレステロール(114〜115℃)、2,6−ジメチル安息香酸(114〜116℃)、3−ニトロベンゾニトリル(114℃)、m−ニトロアニリン(114℃)、エチルα−D−グルコシド(114℃)、アセトアニリド(115〜116℃)、(±)−2−フェノキシプロピオン酸(115℃)、4−クロロ−1−ナフトール(116〜117℃)、p−ニトロフェニルアセトニトリル(116〜117℃)、p−ヒドロキシ安息香酸エチル(116℃)、p−イソプロピル安息香酸(117〜118℃)、D(+)−ガラクトース(118〜120℃)、o−ジニトロベンゼン(118℃)、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル(118℃)、1,3,5−トリブロモベンゼン(119℃)、2,3−ジメトキシ安息香酸(120〜122℃)、4−クロロ−2−メチルフェノキシ酢酸(120℃)、meso−エリトリトール(121.5℃)、9,10−ジメチル−1,2−ベンズアントラセン(122〜123℃)、2−ナフトール(122℃)、N−フェニルグリシン(122℃)、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド(122℃)、p−ヒドロキシベンジルアルコール(124.5〜125.5℃)、2′,4′−ジヒドロキシ−3′−プロピルアセトフェノン(124〜127℃)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(124℃)、m−フルオロ安息香酸(124℃)、ジフェニルスルホン(124℃)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸(125℃)、3,4,5−トリメトキシけい皮酸(125℃)、o−フルオロ安息香酸(126.5℃)、イソニトロソアセトフェノン(126〜128℃)、5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン(126℃)、4−ベンゾイル酪酸(127℃)、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(127℃)、p−ブロモニトロベンゼン(127℃)、3,4−ジヒドロ
キシフェニル酢酸(128〜130℃)、5α−コレスタン−3−オン(128〜130℃)、6−ブロモ−2−ナフトール(128℃)、イソブチルアミド(128℃)、1−ナフチル酢酸(129℃)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(129℃)、p−ジヨードベンゼン(129℃)、ドデカン二酸(129℃)、4,4′−ジメトキシベンジル(131〜133℃)、ジメチロール尿素(132.5℃)、o−エトキシベンズアミド(132〜134℃)、セバシン酸(132℃)、p−トルエンスルホンアミド(134℃)、サリチルアニリド(135℃)、β−シトステロール(136〜137℃)、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン(136℃)、1,3−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼン(137℃)、フタロニトリル(138℃)、4−n−プロピル安息香酸(139℃)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(140.5℃)、2−ナフチル酢酸(140℃)、テレフタル酸メチル(140℃)、2,2−ジメチルこはく酸(141℃)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(142.5〜143.5℃)、o−クロロ安息香酸(142℃)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(143〜144℃)、α,α,α−トリブロモメチルフェニルスルホン(143℃)、D(+)−キシロース(144〜145℃)、フェニル尿素(146℃)、没食子酸n−プロピル(146℃)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン(147〜148℃)、2′,4′−ジヒドロキシアセトフェノン(147℃)、コレステロール(148.5℃)、2−メチル−1−ペンタノール(148℃)、4,4′−ジクロロジフェニルスルホン(148℃)、ジグリコール酸(148℃)、アジピン酸(149〜150℃)、2−デオキシ−D−グルコース(149℃)、ジフェニル酢酸(149℃)、o−ブロモ安息香酸(150℃)。その他に米国特許出願公開第2002/0025498号明細書の「0027」に記載の化合物、MF−1〜MF−3、MF6、MF−7、MF−9〜MF−12、MF−15〜MF−22を挙げることができる。
本発明において熱溶剤の添加量は0.01〜5.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.05〜2.5g/m2で、更に好ましくは0.1〜1.5g/m2である。熱溶剤は画像形成層に含有させることが好ましい。また、上記熱溶剤は単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において熱溶剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
また、固体微粒子分散法としては、熱溶剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作成する方法が挙げられる。なお、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1〜1000ppmの範囲である。感光材料中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えば、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。また、本発明においては熱溶剤は固体分散物として使用することが好ましい。
(画保改良剤内包マイクロカプセル)
以下、本発明に係る画保改良剤内包マイクロカプセルについて詳細に説明する。
皮膜形成性のあるポリオレフィンワックスは、例えば、クラリアント社製ポリオレフィンワックスPP1302、PP1502、PP1602、PE2301、三井化学社製ハイワックス110P、420P、210P、220P、320P、410P、720P、4202E、東邦化学社製ポリエチレンラテックスS3121、S6254B、S9254、S3123、S3127、S7024、S6211、S8512、S3148等を挙げられる。高速で熱応答するためのマイクロカプセルの壁材として用いるポリオレフィンワックスの融点としては50〜150℃が好ましく、更に好ましくは保存安定性と放出性の観点から70〜100℃である。耐溶剤性の指針として求めたMEKに対する溶解性は、100μmの薄膜を作製してMEKに24時間放置した後の質量変化から求めた値で5%以下が好ましく、更に好ましくは1%以下である。カプセルの光学特性、皮膜形成性の指針としてヘーズが重要であり、壁材の膜厚100μmにおいて20以下が好ましい。ヘーズについては種々の測定機が市販されており利用できるが、本発明の実施例では下記装置で測定した。東京電色株式会社製MODEL T−2600DA濁度計(積分球光電散乱光度計)。
本発明に係るカプセルは現像時の加熱で80℃から250℃の熱で内包物を放出できるが、圧力を併用することで更に高速に放出できる現像時に加える圧力としては、一般的な圧力破壊カプセルに比較すると微量でよく、0.01〜1Mpaで充分な効果が得られる。
(カプセルの作製方法)
本発明に係るカプセルは、感光材料の生フィルム保存性、現像性、画像保存性に影響を及ぼす化合物をカプセル化により安定に含有することを目的としているため、表面が実質的にポリオレフィンワックスで覆われることにより各種性能を発現できる。従って芯(コア)と表面皮膜(シェル)を有するコアシェル構造を取る必要がある。
その作製方法としては、本発明に係る化合物を含有するコアを形成した後、ポリオレフィンワックスシェルを設ける方法と、コア及びシェルを同時に設ける方法が挙げられる。
(a)コア作製後にシェルを設ける方法
コアは、目的とする化合物単体に低分子または高分子分散剤を加え必要に応じて溶剤を用いて、種々の分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、ジェットミル、オングミル、高速撹拌機、メディア分散機等)を用いて水、または溶剤中で乳化、分散することができる。その他ポリマーを用いる方法もある。例えば、化合物とポリマーを混練して分散剤の存在下、水、または溶剤中で分散しコア粒子を作製する方法、化合物とポリマー化合物を可溶な有機溶媒に溶解した後に、分散剤とともに水、または溶剤中で分散させることができる。有機溶剤を使用する場合は、通常更に常圧、または減圧で溶剤を除去する工程が加わる(液中乾燥法)。
以上のようにして得られたコア粒子分散物にシェルを分散物として混合しコア表面にシェル粒子を沈積する方法が一般的である。シェルを沈積する方法として電解質、特に2価のMg++、Ca++(例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等)を添加する方法。酸を添加する方法(塩酸、酢酸、クエン酸等)、温度を上げる方法、遠心分離で遠心力をかける方法等の分散性を劣化させる方法により促進でき、攪拌も重要な制御因子である。この方法では皮膜としての性能を向上するために沈積後に融点以上に加熱する方が好ましい。また、スプレードライヤー、減圧乾燥機等で加熱しながら分散体の水または溶剤を除去することにより、コア表面にシェル沈積、皮膜形成を同時に行う方法も可能である。その他、シェルの供給を融解液で行い、分散混合液の温度を下げることでコア表面にシェル皮膜形成する方法も可能である。
(b)コアとシェルを同時に設ける方法
内包すべき化合物を、シェルとなるポリオレフィンワックスと加熱混合して溶解し、水または溶剤中で攪拌下冷却時にコアシェル構造を形成する方法がある。この方法では必要に応じて溶剤を用いることでコアシェルの構造をより明確にすることも可能である。有機溶剤は、更に常圧、または減圧で溶剤を除去するのが一般的であるが、高沸点溶剤の場合は安定性のために除去しない場合もある。得られた分散体は前記の様な方法で粉体にすることも可能である。
化合物の粉体とポリオレフィンワックスの粉体を特殊な固体分散機で粉砕混合(乾式混合)し、化合物表面にポリオレフィンワックスのシェルを付着させた後、ポリオレフィンワックスの融点以上にしてシェルの皮膜を完成させる方法も可能である
カプセルに内包される化合物は必要に応じて中性塩、錯塩等の塩形成を行い用いることも可能であるし、熱溶剤として低融点の化合物を混合することもできる。また同種、異種の複数の機能性化合物を同時に混合してコアとすることも分散安定性の観点、及び多機能カプセルとして有効である。
前記カプセルを分散体として得た場合、そのまま塗付液とすることもできるが、塗付溶剤を変更する場合は水、または溶剤を除去する必要があり、このためには前記スプレードライヤ、フリーズドライヤー、減圧乾燥機、加熱乾燥機等が必要となる。
(コア作製に用いるポリマー)
本発明ではコアに用いるポリマーとして、種々のものが使用可能であるが、好ましいポリマーとしては、主な官能基としてアセタール基を含有するポリマー、炭酸エステル基を含有するポリマー、水酸基を含有するポリマーおよびエステル基を有するポリマーなどであり、特にアセタール基を含有するポリマー、中でもポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
また、重合性エチレン性不飽和二重結合を有するビニルモノマーのラジカル重合によって得られたポリマーも好ましく用いられる。エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド類等のラジカル重合によって得られるポリマー、例えば、スチレン、アクリル酸メチル、或いはスチレンとアクリル酸エステルの共重合体ポリマー、例えば、スチレン/メタクリル酸エチルヘキシル、スチレン/メタクリル酸エチルヘキシル/ヒドロキシエチルアクリレート等の共重合体ポリマー等が例として挙げられる。また、ポリマーも同種同士であっても異種であってもよく、平均重合度の異なるものや分子量分布の異なるもの等を組み合わせてもよい。
(目的化合物とコアポリマーの比率)
化合物の性能を充分に出し、且つ安定に含浸するためには目的化合物とポリマーの比率は質量比で5/95から95/5まで任意の割合で混合できる。感光材料における性能から更に50/50以上が好ましい。本発明に係るカプセルを分散体として作製する場合、または感光材料作製時に水系、または溶剤系の分散液で塗付する場合に分散剤、または分散性のポリマーが必要になる。従ってカプセル内のコアまたはシェルを形成するポリマーの1部が分散性モノマーを有してもよい。
(分散性のポリマー)
分散性のモノマーとしてはカルボン酸、スルホン酸などのアニオン性の解離性基を含有するモノマー、ポリエチレンオキシ鎖等を有する非イオン性分散性基含有型のモノマー、三級アミノ基などのカチオン性の解離性基を含有するモノマーが挙げられる。
前記アニオン性の解離性基を有するモノマーとしては、例えば、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロトン酸、イタコン酸モノアルキルエステル(例えば、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど)、マレイン酸モノアルキルエステル(例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルなど)などが挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、アクリロイルオキシメチルスルホン酸、アクリロイルオキシエチルスルホン酸、アクリロイルオキシプロピルスルホン酸など)、メタクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、メタクリロイルオキシメチルスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸、メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸など)、アクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸など)、メタクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−メタクルリアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸など)などが挙げられる。
リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、メタクリロイルオキシエチルホスホン酸などが挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、メタクリルアミドアルキルスルホン酸が好ましく、更に好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸等が挙げられる。
また、非イオン性分散性基を含有するモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとカルボン酸モノマーとのエステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとスルホン酸モノマーとのエステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとリン酸モノマーとのエステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとイソシアネート基含有モノマーから形成されるビニル基含有ウレタン、ポリビニルアルコール構造を含有するマクロモノマーなどが挙げられる。前記ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルのエチレンオキシ部の繰り返し数としては、8〜50が好ましく、10〜30がより好ましい。前記ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルのアルキル基の炭素原子数としては1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。
前記カチオン性の解離性基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、あるいはジアルキルアミノエチルメタクリレート、ジアルキルアミノエチルアタクリレートなどの3級アミノ基を有するモノマーが挙げられる。
これらのモノマーは、前記ポリオレフィンワックスまたはコアポリマーと併用されてポリマーを形成することができる、配合はポリマーの目的(Tg調節、溶解性改良、分散物安定性等)に応じて適宜選択することができる。
(界面活性剤)
また、乳化剤、分散剤、表面張力調整剤としては特に制限されるものではないが、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤も用いることができる。
乳化剤或いは分散剤として、好ましくは陰イオン性界面活性剤または非イオン性が特によい。様々な条件を満足するために両方の活性剤を併用することも可能である。
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩(例えば、コハク酸ジエチルヘキシル−2−スルホン酸ナトリウム塩)、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、エマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、ニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。その他に、界面活性剤としては、例えば、花王(株)製の分散剤デモールSNB、MS、N、SSL、ST、P(商品名)も挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。また、高分子界面活性剤として、以下の水溶性樹脂を用いることができる。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。高分子界面活性剤の例として、その他にアクリル−スチレン系樹脂であるジョンクリル等(ジョンソン社)が挙げられる。これらの高分子界面活性剤は、2種以上併用することも可能である。
これらの界面活性剤を使用する場合、単独または2種類以上を混合して用いることができ、分散体に対して0.001〜1.0質量%の範囲で添加することにより、分散液または塗付液の表面張力を任意に調整することができる。長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤を分散液、または塗付液に添加しても構わない。
(カプセル分散溶媒)
本発明に係るカプセルの分散に用いられる有機溶媒について説明する。目的とする化合物を溶解し水または有機溶剤中で分散性を付与する溶剤であれば特に制限はない。
具体的には、アルコール類(例えば、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、オクタデシルアルコール等)、エステル類(エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェノキシエチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジウンデシル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、ジエチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ(2−メトキシエチル)、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジオクチル、ケイ皮酸−3−ヘキセニル、クエン酸トリブチル等)、エーテル類(例えば、ブチルフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ベンジルメチルケトン、ベンジルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン等)、炭化水素類(例えば、石油エーテル、石油ベンジル、テトラリン、デカリン、ターシャリーアミルベンゼン、ジメチルナフタリン等)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジブチルドデカンアミド等)、芳香族類(例えば、トルエン、キシレン等)が挙げられる。前記溶剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、水との混合溶剤であってもよい。
前記溶剤の使用量としては、カプセルの安定な分散を可能にし、且つ前記溶剤を除去するための脱溶媒と濃縮の工程の簡略化の観点から、前記樹脂100質量部に対し、10質量部〜2000質量部が好ましく、100質量部〜1000質量部がより好ましい。
前記溶剤は高沸点溶剤の場合カプセル内に残留するが、低沸点の場合は通常水に分散させた後除去する。水に対する溶解度が10質量%以下である場合、または溶剤の蒸気圧が水より大きい場合には、カプセルの安定性から除去されるのが好ましい。前記溶剤の除去は、常圧〜減圧条件において10〜100℃で行うことができ、常圧条件において40〜100℃、あるいは減圧条件下において10〜50℃で行うのが好ましい。
本発明に係るカプセル中に熱溶剤を加えることで熱応答性を更に高めることができる。例えば、天然ワックス(蜜ロウ、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、鯨ロウ、カンデリラワックス、ラノリン、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等)、ポリエチレンワックス誘導体、塩素化炭化水素、有機酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、チグリン酸、2−アセトナフトンベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸等)、有機酸エステル(例えば、上記した有機酸のグリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等のアルコールとのエステル等)、アルコール(例えば、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ドデセノール、ミリシルアルコール、テトラセノール、ヘキサデセノール、エイコセノール、ドコセノール、ピネングリコール、ヒノキオール、ブチンジオール、ノナンジオール、イソフタリルアルコール、メシセリン、テレアフタリルアルコール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ドコサンジオール、テトラコサンジオール、テレビネオール、フェニルグリセリン、エイコサンジオール、オクタンジオール、フェニルプロピレングリコール、ビスフェノールA、パラアルファクミルフェノール等)、ケトン(例えば、ベンゾイルアセトン、ジアセトベンゼン、ベンゾフェノン、トリコサノン、ヘプタコサノン、ヘプタトリアコンタノン、ヘントリアコンタノン、ヘプタトリアコンタノン、ステアロン、ラウロン、ジアニソール等)、アミド(例えば、オレイン酸アミド、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、テトラヒドロフラン酸アミド、エルカ酸アミド、ミリスチン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N′−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N′−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N′−システアリルセバシン酸アミド、N,N′−ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミド、フェナセチン、トルアミド、アセトアミド、オレイン酸2量体/エチレンジアミン/ステアリン酸(1:2:2のモル比)のような2量体酸とジアミンと脂肪酸の反応生成物テトラアミド等)、スルホンアミド(例えば、パラトルエンスルホンアミド、エチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンゼンスルホンアミド等)、シリコーン類(例えば、シリコーンSH6018(東レシリコーン)、シリコーンKR215、216、220(信越シリコーン)等)、クマロン類(例えば、エスクロンG−90(新日鐵化学)等)、コレステロール脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、メリシン酸コレステロール等)、糖類脂肪酸エステル(ステアリン酸サッカロース、パルミチン酸サッカロース、ベヘン酸サッカロース、ラウリン酸サッカロース、メリシン酸サッカロース、ステアリン酸ラクトース、パルミチン酸ラクトース、ミリスチン酸ラクトース、ベヘン酸ラクトース、ラウリン酸ラクトース、メリシン酸ラクトース等)が挙げられる。
(カプセルの粒径)
本発明において、感光材料の光学特性を維持するためにカプセルの体積平均粒子径は、20nm〜2μmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは100〜500nmの範囲である。
(体積平均粒子径)
ここで、微粒子の体積平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積(少なくとも100粒子以上に対して求める)の平均値から得られた円換算平均粒径を、球形換算して求められる。体積平均粒子径とその標準偏差を求め、標準偏差を体積平均粒子径で割ることで変動係数を求められる。或いは、動的光散乱法を利用して変動係数を求めることもできる。例えば、大塚電子製レーザ粒径解析システムや、マルバーン社製ゼータサイザを用いて求めることができる。
(粒子径の変動係数)
粒子径の変動係数は、粒子径の標準偏差を粒子径で割った値であるが、この値が大きいほど粒子径の分布が広いことを意味する。
コアシェルの厚みの均一性を高め、粒子間の表面物性を均一化して粒子の凝集を低減させ、不用な光散乱を防止して画質の低下を抑制する効果を共に得る観点から、粒子径の変動係数は、80%未満が好ましく、更に好ましくは50%以下であり、特に好ましくは30%以下である。
(コアシェル構造の評価方法)
着色微粒子が実際にコアシェル化されているかを評価することは重要である。本発明では後述するように、着色微粒子の個々の粒子径が2μm以下と非常に微小であるため、分析手法は分解能の観点から限られたものとなる。
このような目的に沿う分析手法としては、TEM(透過型電子顕微鏡)、STEM(走査型透過電子顕 微)、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析)、AFM(原子間力顕微鏡)などが適用できる。TEMによりコアシェル化した微粒子を観察する場合、カーボン支持膜上に分散液を塗布、乾燥させ観察することができる。TEMの観察像は、有機物である樹脂の種類のみではコントラスト差が小さい場合があるため、コアシェル化されているかどうかを評価するために、微粒子を4酸化オスミウム、4酸化ルテニウム、クロロスルホン酸/酢酸ウラニル、硫化銀等を用いて染色することが好ましい。コアを溶解し、且つシェルを溶解しない溶剤で内包物の流出量から被覆の程度を実技的に求める方法もある。
(画保改良剤)
画保改良剤とは具体的には酸性物質であり、pKaが6.5以下の有機化合物、またはその塩を差す。これらの酸性物質は感光材料中にハロゲン化銀、有機銀塩と共存して保存すると減感、感光性の失活有機銀の難溶化による現像阻害を起こすが、現像、加熱時に放出することでプロトン供与性雰囲気を作り、現像剤、有機銀塩、ハロゲン化銀の安定化を促進したり、有機銀からかぶり現像サイトへの銀イオンの移動を制限するためと考えられる。
画保改良剤の例としては、P−トルエンスルホン酸、P−トルエンスルフィン酸、P−トルエンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、マレイン酸、マロン酸、サリチル酸、フマル酸、酢酸ナトリウム、メタンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、メルカプト酢酸、コハク酸、コハク酸ナトリウム、フタル酸、テトラクロロフタル酸、フェニルチオ酢酸、フェノキシ酢酸、ピロメリット酸、メルカプトイミダゾール、及びそのナトリウム塩、メルカプトトリアゾール(例えば、2−メルカプトトリアゾール)、メルカプトテトラゾール(例えば、1−フェニル−2−メルカプトテトラゾール、及びそのナトリウム塩)、チオスルホン酸、チオジプロピオン酸等を挙げることができる。
使用量としては、熱現像感光材料中に上記素材の質量として1.5g/m2以下であり、好ましくは0.01〜0.5g/m2である。
(有機銀塩)
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号公報の段落「0048」〜「0049」、欧州特許出願公開第803,764A1号明細書の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許出願公開第962,812A1号明細書、特開平11−349591号公報、特開2000−7683号公報、同2000−72711号公報、同2002−23301号公報、同2002−23303号公報、同2002−49119号公報、同2002−196446号公報、欧州特許出願公開第1,246,001A1号明細書、同1,258,775A1号明細書、特開2003−140290号公報、特開2003−195445号公報、同2003−295378号公報、同2003−295379号公報、同2003−295380号公報、同2003−295381号公報等に記載されている。
本発明においては、上記の有機銀塩と併用して、脂肪族カルボン酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩を用いることができる。銀塩を生成するための脂肪族カルボン酸の分子量は好ましくは200〜500であり、より好ましくは250〜400である。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、およびこれらの混合物などを含む。
本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上99.9モル%以下、更に好ましくは90モル%以上99.9モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
上記以外の有機銀としては、コアシェル有機銀塩(特開2002−23303号公報)、多価カルボン酸の銀塩(欧州特許第1,246,001号明細書、特開2004−061948号公報)、ポリマー銀塩(特開2000−292881号公報、特開2003−295378〜同2003−295381号公報)を用いることもできる。
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては、特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。本発明においては、りん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5以下の短針状、直方体、立方体またはジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀塩粒子は、長軸と単軸の長さの比が5以上の長針状粒子に比べて熱現像時のかぶりが少ないという特徴を有している。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x(平均)≧2.0である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上、0.23μmが好ましく、0.1μm以上、0.20μm以下がより好ましい。c/bの平均は好ましくは1以上、6以下、より好ましくは1.05以上、4以下、更に好ましくは1.1以上、3以下、特に好ましくは1.1以上、2以下である。
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては、有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては、例えば、液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば、上記の特開平10−62899号公報、欧州特許出願公開第803,763A1号明細書、同962,812A1号明細書、特開2001−167022号公報、同2000−7683号公報、同2000−72711号公報、同2001−163889号公報、同2001−163890号公報、同2001−163827号公報、同2001−33907号公報、同2001−188313号公報、同2001−83652号公報、同2002−6442号公報、同2002−31870号公報、同2003−280135号公報等を参考にすることができる。
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させるとかぶりが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1モルに対し1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以下であり、更に好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に2〜20モル%、特に3〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
本発明に係る有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、より好ましくは0.3〜3g/m2、更に好ましくは0.5〜2g/m2である。
(感光性ハロゲン化銀)
本発明に係る感光性ハロゲン化銀(以下、感光性ハロゲン化銀粒子またはハロゲン化銀粒子ともいう)について説明する。なお、本発明に係る感光性ハロゲン化銀とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収し得て、または人為的に物理化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収し得て、且つ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収した時に当該ハロゲン化銀結晶内及び/または結晶表面において物理化学的変化が起こり得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子自体は、公知の方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤(ハロゲン化銀乳剤ともいう)として調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよいが、上記方法の中でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を調製する、いわゆるコントロールドダブルジェット法が好ましい。
粒子形成は、通常ハロゲン化銀種粒子(核)生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこれらを連続的に行う方法でもよく、また核(種粒子)形成と粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子形成条件であるpAg、pH等をコントロールして粒子形成を行うコントロールドダブルジェット法が粒子形状やサイズのコントロールができるので好ましい。例えば、核生成と粒子成長を分離して行う方法を行う場合には、先ず銀塩水溶液とハライド水溶液をゼラチン水溶液中で均一、急速に混合させ核(種粒子)生成(核生成工程)した後、コントロールされたpAg、pH等のもとで銀塩水溶液とハライド水溶液を供給しつつ粒子成長させる粒子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製する。粒子形成後、脱塩工程により不要な塩類等をヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等公知の脱塩法により除くことで所望のハロゲン化銀乳剤を得ることができる。
本発明において、ハロゲン化銀粒子の粒子サイズは単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる粒子サイズの変動係数が30%以下をいう。好ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。
粒子サイズの変動係数%=(粒径の標準偏差/粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、これらの中で特に立方体、八面体、14面体、平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は、好ましくは1.5以上、100以下、より好ましくは2以上、50以下である。これらについては米国特許第5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号の各明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更にハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
ハロゲン化銀粒子外表面の晶癖については特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する晶癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を使用することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合には、ハロゲン化銀粒子外表面において〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。なお、ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985年)により求めることができる。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該粒子形成時に平均分子量5万以下の低分子量ゼラチンを用いて調製することが好ましいが、特にハロゲン化銀粒子の核形成時に用いることが好ましい。
本発明において低分子量ゼラチンは、平均分子量5万以下のものが好ましく、より好ましくは2,000〜40,000であり、特に好ましくは5,000〜25,000である。ゼラチンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィーで測定することができる。低分子量ゼラチンは、通常用いられる平均分子量10万程度のゼラチン水溶液にゼラチン分解酵素を加えて酵素分解したり、酸またはアルカリを加えて加熱し加水分解したり、大気圧下または加圧下での加熱により熱分解したり、超音波照射して分解したり、それらの方法を併用したりして得ることができる。
核形成時の分散媒の濃度は5質量%以下が好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うのがより好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該粒子形成時に下記の一般式で表される化合物を用いることが好ましい。
YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(CH2CH2O)n
式中、Yは水素原子、−SO3M、または−CO−B−COOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または炭素原子数5以下のアルキル基にて置換されたアンモニウム基を表し、Bは有機2塩基性酸を形成する鎖状または環状の基を表す。m及びnは各々0〜50を表し、pは1〜100を表す。
上記の一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造するに際し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン溶液に水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、乳剤を支持体上に塗布する工程等、乳剤原料を撹拌したり、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤として好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として用いる技術は、例えば、特開昭44−9497号公報に記載されている。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は核形成時の消泡剤としても機能する。上記一般式で表される化合物は銀に対して1質量%以下で用いるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%で用いる。
上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は核形成時に存在していればよく、核形成前の分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中に添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液やハライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハライド水溶液もしくは両方の水溶液に0.01〜2.0質量%で添加して用いることである。また、上記一般式で表される化合物は核形成工程の少なくとも50%に亘る時間で存在せしめるのが好ましく、更に好ましくは70%以上に亘る時間で存在せしめる。上記一般式で表される化合物は粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶かして添加してもよい。
なお、核形成時の温度は通常5〜60℃、好ましくは15〜50℃であり、一定の温度であっても、昇温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25℃で、核形成中徐々に温度を上げ、核形成終了時の温度が40℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前記温度範囲内で制御するのが好ましい。
核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水溶液の濃度は3.5モル/L以下が好ましく、更には0.01〜2.5モル/Lの低濃度域で使用されるのが好ましい。核形成時の銀イオンの添加速度は、反応液1L当たり1.5×10-3〜3.0×10-1モル/分が好ましく、更に好ましくは3.0×10-3〜8.0×10-2モル/分である。
核形成時のpHは通常1.7〜10の範囲に設定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分布を広げてしまうので、好ましくはpH2〜6である。また、核形成時のpBrは通常0.05〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.5、より好ましくは1.5〜2.0である。
本発明において、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは通常10〜50nm、好ましくは10〜40nmであり、より好ましくは10〜35nmである。ハロゲン化銀の平均粒子サイズが10nmより小さいと画像濃度が低下したり、光照射画像保存性が劣化したりすることがある。また、50nmを超えると画像濃度が低下してしまうことがある。
ここで言う平均粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体、あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さを言う。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、主表面の投影面積と同面積の円像に換算した時の直径を言う。その他、正常晶でない場合、例えば、球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えた時の直径を粒子サイズとして算出する。測定は電子顕微鏡を用いて行い、300個の粒子サイズの測定値を平均することで平均粒子サイズを求めた。
また本発明においては、平均粒子サイズが55〜100nmであるハロゲン化銀粒子と平均粒子サイズが10〜50nmであるハロゲン化銀粒子とを併用することで、画像濃度を向上させたり、経時での画像濃度低下を改善(小さく)することができる。平均粒子サイズが10〜50nmであるハロゲン化銀粒子と平均粒子サイズが55〜100nmであるハロゲン化銀粒子との割合(質量比)は、95:5〜50:50が好ましく、より好ましくは90:10〜60:40である。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子としては、沃化銀含有量が0.5モル%以上、5モル%以下であることが好ましいが、沃化銀含有量が5モル%以上100モル%以下のハロゲン化銀粒子を用いてもよい。沃化銀含有率がこの範囲であれば、粒子内ハロゲン組成分布が、均一であっても、段階的に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、内部および/または表面に沃化銀含有率が高いコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子も好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子である。ハロゲン化銀粒子に沃化銀を導入する方法としては、粒子形成中に沃化アルカリ水溶液を添加する方法、微粒子沃化銀、微粒子沃臭化銀、微粒子沃塩化銀、微粒子沃塩臭化銀のうち少なくとも一つの微粒子を添加する方法、特開平5−323487号公報および特開平6−11780号公報記載の沃化物イオン放出剤を用いる方法などが好ましい。
(熱現像後内潜型ハロゲン化銀粒子)
本発明に係る感光性ハロゲン化銀は、熱現像によって表面潜像型から内部潜像型に変換することにより表面感度が低下するハロゲン化銀粒子であることが好ましい。即ち、熱現像前の露光では、現像反応(銀イオン還元剤による銀イオンの還元反応)の触媒として機能し得る潜像を該ハロゲン化銀粒子の表面に形成し、熱現像過程経過後の露光では該ハロゲン化銀粒子の表面より内部に多くの潜像を形成するようになるため、表面における潜像形成が抑制されるハロゲン化銀粒子であることを特徴とする。なお、このように熱現像処理前後で潜像形成機能が大幅に変化するハロゲン化銀粒子をドライイメージング材料に用いることは従来知られていなかった。
一般に、感光性ハロゲン化銀粒子が露光されると、ハロゲン化銀粒子自身、または感光性ハロゲン化銀粒子表面上に吸着している分光増感色素が光励起されて、自由に移動できる電子を生じるが、この電子はハロゲン化銀粒子表面に存在する電子トラップ(感光中心)または当該粒子の内部にある電子トラップに競争的にトラップ(捕獲)される。従って、電子トラップとして有効な化学増感中心(化学増感核)やドーパント等がハロゲン化銀粒子内部より表面に多く、且つ適当数ある場合には表面に優先的に潜像が形成され、現像可能となる。逆に、電子トラップとして有効な化学増感中心(化学増感核)やドーパント等がハロゲン化銀粒子表面より内部に多く、且つ適当数ある場合には内部に優先的に潜像が形成され、表面現像が困難となる。換言すると、前者の場合は内部より表面の感度が高く、後者の場合は内部より表面の感度が低いと言える(参考文献:(1)T.H.James編”The Theory of the Photographic Process”第4版、Macmillan Publishing Co.,Ltd.1977、(2)日本写真学会編”改訂 写真工学の基礎(銀塩写真編)”、コロナ社、1998)。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子においては、少なくとも熱現像後の露光時において、電子トラップ性ドーパントとして機能するドーパントをハロゲン化銀粒子の内部に含有させることが、感度及び画像保存性上好ましい。なお、熱現像前の画像形成のための露光の際には、正孔(ホール)トラップとして機能し、熱現像過程において変質し、熱現像後においては電子トラップとして機能することができるドーパントが、特に好ましい。
ここで用いられる電子トラップ性ドーパントとは、ハロゲン化銀粒子を構成する銀及びハロゲン以外の元素または化合物であって、当該ドーパント自身が自由電子をトラップ(捕獲)できる性質を有するまたは当該ドーパントがハロゲン化銀粒子内に含有されることで電子トラップ性の格子欠陥等の部位が生じるものをいう。例えば、銀以外の金属イオンまたはその塩若しくは錯体、硫黄、セレン、テルルのようなカルコゲン(酸素族元素)または窒素原子を含む無機化合物または有機化合物若しくはそれらの金属錯体、希土類イオンまたはその錯体等が挙げられる。
金属イオンまたはその塩若しくは錯体としては、鉛イオン、ビスマスイオン、金イオン等または臭化鉛、硝酸鉛、炭酸鉛、硫酸鉛、硝酸ビスマス、塩化ビスマス、三塩化ビスマス、炭酸ビスマス、ビスマス酸ナトリウム、塩化金酸、酢酸鉛、ステアリン酸鉛、酢酸ビスマス等を挙げることができる。
硫黄、セレン、テルルのようなカルコゲンを含む化合物としては、写真業界において、一般にカルコゲン増感剤として知られているカルコゲン放出性の種々の化合物を使用することができる。また、カルコゲンまたは窒素を含有する有機物としては、ヘテロ環式化合物が好ましい。例えば、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンである。
なお、上記のヘテロ環式化合物は置換基を有していてもよく、置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基である。
なお、本発明に用いられるハロゲン化銀粒子には、上記のドーパントのように電子トラップ性ドーパントとして機能するように、或いはホールトラップ性ドーパントとして機能するように元素周期律表の6族から11族に属する遷移金属のイオンを当該金属の酸化状態を配位子(リガンド)等により化学的に調整して含有させてもよい。上記の遷移金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Ptが好ましい。
本発明において、上記の各種ドーパントについては、1種類でも同種或いは異種の化合物若しくは錯体を2種以上併用してもよい。但し、少なくとも1種は、熱現後の露光の際に、電子トラップ性ドーパントとして機能することが必要である。これらのドーパントはどのような化学的形態でもハロゲン化銀粒子内に導入してもよい。なお、本発明においては、Ir、またはCuの錯体ないし塩のいずれか1種を単独で用いてドーピングする態様はあまり好ましくはない。ドーパントの好ましい含有率は、銀1モルに対し1×10-9〜1×10モルの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-1モルの範囲がより好ましい。更に、1×10-6〜1×10-2モルが好ましい。但し、最適量はドーパントの種類、ハロゲン化銀粒子の粒径、形状等、その他環境条件等に依存するのでこれらの条件に応じてドーパント添加条件の最適化の検討をすることが好ましい。
本発明においては、遷移金属錯体または錯体イオンとしては、下記一般式で表されるものが好ましい。
一般式〔ML6m
式中、Mは元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、−、2−、3−または4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲンイオン(例えば、弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン)、シアナイド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
これらの金属のイオンまたは錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に、核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回にわたって分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、例えば、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号の各公報等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば、金属化合物粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後、物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
なお、非金属性ドーパントも上記の金属性ドーパントと同様の方法によってハロゲン化銀内部に導入することができる。
本発明に係る熱現像感光材料において、上記のドーパントが電子トラップ性を有するか否かについては、次のように、写真業界において従来一般的に用いられている方法で評価することができる。即ち、上記のドーパントまたはその分解物がハロゲン化銀粒子内にドープされたハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤を、マイクロ波光伝導測定法等による光伝導測定によりドーパントを含有していないハロゲン化銀粒子乳剤を基準として光伝導の減少度を測定することにより評価できる。または、当該ハロゲン化銀粒子の内部感度と表面感度の比較実験によってもできる。
または、熱現像感光材料とした後に本発明に係る電子トラップ性ドーパントの効果を評価する場合の方法は、例えば、当該イメージング材料を露光前に通常の実用的熱現像条件と同じ条件で加熱して、その後に一定時間(例えば、30秒間)、白色光または特定の分光増感領域の光(特定の波長域のレーザー光に対して分光増感を施した場合は、当該波長領域の光、例えば、赤外光に対して分光増感を施した場合には、赤外光)を光学楔を通して露光し、更に同一の熱現像条件で熱現像して得られる特性曲線(センシトメトリーカーブ)に基づき得られる感度を当該電子トラップ性ドーパントを含有していないハロゲン化銀粒子乳剤を使用したイメージング材料の感度と比較することにより評価できる。即ち、本発明に係るドーパントを含有するハロゲン化銀粒子乳剤を含む前者の試料の感度は、当該ドーパントを含まない後者の試料の感度に比較して低くなっていることの確認が必要である。
なお、当該材料に一定時間(例えば、30秒間)、白色光または特定の分光増感領域の光(例えば、赤外光)を光学楔を通して露光をした後に、通常の熱現像条件で熱現像をしたときに得られる特性曲線に基づき得られる当該試料の感度に対して露光前に通常の熱現像条件と同じ条件で加熱して、その後に上記と同一の一定時間、及び一定の露光を施し、更に通常の熱現像条件で熱現像して得られる特性曲線に基づき得られる感度が1/10以下、好ましくは1/20以下、更にハロゲン化銀乳剤に化学増感を施した場合は、好ましくは1/50以下の低感度であることが好ましい。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子は、いかなる方法で感光性層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀粒子は還元可能な銀源(脂肪族カルボン酸銀塩)に近接するように配置するのが、高感度且つ高カバリングパワー(CP)のイメージング材料を得るためには、好ましい。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子は予め調製しておき、これを脂肪族カルボン酸銀塩粒子を調製するための溶液に添加することが、ハロゲン化銀粒子調製工程と脂肪族カルボン酸銀塩粒子調製工程を分離して扱え、製造コントロール上も最も好ましいが、英国特許第1,447,454号明細書に記載されている様に、脂肪族カルボン酸銀塩粒子を調製する際に、ハライドイオン等のハロゲン成分を脂肪族カルボン酸銀塩形成成分と共存させ、これに銀イオンを注入することで、脂肪族カルボン酸銀塩粒子の生成とほぼ同時に生成させたハロゲン化銀粒子を併用することもできる。また、脂肪族カルボン酸銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒子を調製し、当該粒子を併用することも可能である。即ち、予め調製された脂肪族カルボン酸銀塩の溶液もしくは分散液、または脂肪族カルボン酸銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、脂肪族カルボン酸銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。
ハロゲン化銀粒子形成成分としては、無機ハロゲン化合物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化水素類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合物があり、その具体例は、米国特許第4,009,039号、同3,457,075号、同4,003,749号、英国特許第1,498,956号の各明細書及び特開昭53−27027号、同53−25420号の各公報等に開示されている。
上述のように別途調製したハロゲン化銀粒子に脂肪族カルボン酸銀塩の一部をコンバージョンすることで製造したハロゲン化銀粒子を併用してもよい。
これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製したハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバージョンによるハロゲン化銀粒子とも、脂肪族カルボン酸銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル、好ましくは0.03〜0.5モルで使用するのが好ましい。
別途調製した感光性ハロゲン化銀粒子は、脱塩工程により不要な塩類等を、例えば、ヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により脱塩することができるが、脱塩しないで用いることもできる。
(化学増感)
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子には、化学増感を施すことができる。例えば、特開2001−249428号公報及び特開2001−249426号公報に記載されている方法等により、硫黄、セレン、テルル等のカルコゲンを放出する化合物や金イオンなどの貴金属イオンを放出する貴金属化合物の利用により、感光性ハロゲン化銀粒子または当該粒子上の分光増感色素の光励起によって生じた電子または正孔(ホール)を捕獲することができる化学増感中心(化学増感核)を形成付与できる。特に、カルコゲン原子を含有する有機増感剤により化学増感されているのが好ましい。
これらカルコゲン原子を含有する有機増感剤は、ハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン原子部位を有する化合物であることが好ましい。
これらの有機増感剤としては、特開昭60−150046号、特開平4−109240号、同11−218874号、同11−218875号、同11−218876号、同11−194447号の各公報等に開示されている種々の構造を有する有機増感剤を用いることができるが、それらのうち、カルコゲン原子が炭素原子またはリン原子と二重結合で結ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種であることが好ましい。特に、複素環基を有するチオ尿素誘導体及びトリフェニルホスフィンサルファイド誘導体等が好ましい。
化学増感を施す方法としては、従来の湿式処理用のハロゲン化銀感光材料の製造の際に慣用されている種々の化学増感技術に準じた技術が使用できる(参考文献:(1)T.H.James編”The Theory of the Photographic Process”第4版、Macmillan Publishing Co.,Ltd.1977、(2)日本写真学会編”写真工学の基礎(銀塩写真編)、コロナ社、1979)。特に、ハロゲン化銀粒子乳剤に予め化学増感を施し、その後に非感光性有機銀塩粒子と混合する場合には、従来の慣用方法により化学増感を施すことができる。
有機増感剤としてのカルコゲン化合物の使用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒子、化学増感を施す際の反応環境などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり、10-8〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-7〜10-3モルを用いる。化学増感を施す際の環境条件としては、特に制限はないが、感光性ハロゲン化銀粒子上のカルコゲン化銀または銀核を消滅或いはそれらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、また特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増感を施すことが好ましい場合がある。この場合の増感条件は、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜8、また温度としては30℃以下で増感を施すことが好ましい。
また、これらの有機増感剤を用いた化学増感は、分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して、吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われることが好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合物の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低かぶりを達成できる。分光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24537号公報に記載されている含窒素複素環化合物が好ましい例として挙げられる。含窒素複素環化合物において、複素環としては、例えば、ピラゾール環、ピリミジン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これらの環が2〜3個結合した環、例えば、トリアゾロトリアゾール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペンタアザインデン環などを挙げることができる。単環の複素環と芳香族環の縮合した複素環、例えば、フタラジン環、ベンズイミダゾール環、インダゾール環、ベンズチアゾール環なども適用できる。
これらの中で好ましいのはアザインデン環であり、且つ置換基としてヒドロキシル基を有するアザインデン化合物、例えば、ヒドロキシトリアザインデン、テトラヒドロキシアザインデン、ヒドロキシペンタアザインデン化合物等が更に好ましい。
複素環にはヒドロキシル基以外の置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基などを有してもよい。
これ含複素環化合物の添加量は、ハロゲン化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1モル当たりの量で10-6〜1モルの範囲であり、好ましくは10-4〜10-1モルの範囲である。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀には、金イオンなどの貴金属イオンを放出する化合物を利用して貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤として塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。なお、特開平11−194447号公報に開示されている金増感技術が参考となる。
また、上記の増感法の他、還元増感法等も用いることができ、還元増感の貝体的な化合物として、例えば、アスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。
本発明において、化学増感を施されるハロゲン化銀粒子は、脂肪族カルボン酸銀塩の存在下で形成されたのでも、当該有機銀塩の存在しない条件下で形成されたものでも、また、両者が混合されたものでもよい。
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の表面に化学増感を施した場合においては、熱現像過程経過後に該化学増感の効果が実質的に消失することが必要である。ここで、化学増感の効果が実質的に消失するとは、前記の化学増感技術によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に化学増感を施していない場合の感度の1.1以下に減少することを言う。なお、化学増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、化学増感中心(化学増感核)を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層または/及び非感光性層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、化学増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
(分光増感)
本発明における感光性ハロゲン化銀には、分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。例えば、特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号の各公報、米国特許第4,639,414号、同4,740,455号、同4,741,966号、同4,751,175号、同4,835,096号の各明細書に記載された増感色素が使用できる。
本発明に使用される有用な増感色素は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)17643IV−A項(1978年12月p.23)、RD18431X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に、各種レーザイメージャーやスキャナーの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好ましい。例えば、特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号の各公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾロン核などの酸性核も含む。
本発明においては、特に赤外に分光感度を有する増感色素を用いることもできる。好ましく用いられる赤外分光増感色素としては、例えば、米国特許第4,536,473号、同4,515,888号、同4,959,294号の各明細書等に開示されている赤外分光増感色素が挙げられる。
本発明に係る熱現像感光材料においては、特願2003−102726号明細書に記載されているような下記一般式(SD−1)で表される増感色素及び下記一般式(SD−2)で表される増感色素のうちから少なくとも1種を選び含有することが好ましい。
Figure 2006030239
式中、Y11及びY12は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、または−CH=CH−基を表し、L1〜L9は各々、メチン基を表す。R11、R12は各々、脂肪族基を表す。R13、R14、R23及びR24は各々、低級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。W11、W12、W13、W14は各々、水素原子、置換基、或いはW11とW12、W13とW14の間で結合して縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。或いはR13とW11、R13とW12、R23とW11、R23とW12、R14とW13、R14とW14、R24とW13、R24とW14の間で結合して5員、6員の縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。X11は分子内の電荷を相殺するに必要なイオンを表し、k11は分子内の電荷を相殺するに必要なイオンの数を表す。m11は0又は1を表す。n11及びn12は各々、0、1又は2を表す。但し、n11とn12は同時に0とはならない。
上記の赤外増感色素は、例えば、エフ・エム・ハーマー著、The Chemistry of Heterocyclic Compounds第18巻、The Cyanine Dyes and Related Compounds(A.Weissberger ed.Interscience社刊、New York 1964年)に記載の方法によって容易に合成することができる。
これらの赤外増感色素の添加時期は、ハロゲン化銀調製後の任意の時期でよく、例えば、溶剤に添加して、或いは微粒子状に分散した、いわゆる固体分散状態でハロゲン化銀粒子或いはハロゲン化銀粒子/脂肪族カルボン酸銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加できる。また、前記のハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有するヘテロ原子含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハロゲン化銀粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施すこともでき、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低かぶりを達成できる。
本発明において、上記の分光増感色素は1種類を単独に用いてもよいが、上述のように、分光増感色素の複数の種類の組合せを用いることが好ましく、そのような増感色素の組合せは、特に強色増感及び感光波長領域の拡大や調整等の目的でしばしば用いられる。
本発明に係る熱現像感光材料に用いられる感光性ハロゲン化銀、脂肪族カルボン酸銀塩を含有する乳剤は、増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色増感されていてもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質は、RD17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公平9−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号の各公報等に記載されているが、強色増感剤としては、下記で表される複素芳香族メルカプト化合物がまたはメルカプト誘導体化合物が好ましい。
Ar−SM
式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、またはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンズチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズセレナゾール、ベンズテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしながら、他の複素芳香環も含まれる。
なお、脂肪族カルボン酸銀塩またはハロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質的に上記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導体化合物も含まれる。特に下記で表されるメルカプト誘導体化合物が、好ましい例として挙げられる。
Ar−S−S−Ar
式中のArは上記で表されたメルカプト化合物の場合と同義である。
上記の複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
上記の強色増感剤の他に、特開2001−330918号公報に開示されているヘテロ原子を有する大環状化合物も強色増感剤として使用できる。
本発明に係る強色増感剤は、有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む感光性層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルで用いるのが好ましい。特に好ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの量が好ましい。
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の表面に分光増感色素を吸着せしめ分光増感が施されており、且つ熱現像過程経過後に該分光増感効果が実質的に消失することが必要である。ここで、分光増感効果が実質的に消失するとは、増感色素、強色増感剤等によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に分光増感を施していない場合の感度の1.1倍以下に減少することを言う。
なお、化学増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、熱によってハロゲン化銀粒子より脱離しやすい分光増感色素を使用するまたは/および分光増感色素を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層または/及び非感光性層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、分光増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
(還元剤)
本発明においては、還元剤(銀イオン還元剤)として、特に還元剤の少なくとも1種が前記一般式(1)で表される化合物を単独または他の異なる化学構造を有する還元剤と併せて用いる。
一般式(1)で表される化合物のうちでも、特にR2の少なくとも一方が2級または3級のアルキル基である高活性な還元剤(以降は一般式(1a)の化合物と呼ぶ)を用いることが、高濃度で、光照射画像保存性に優れた熱現像感光材料を得ることができる点でより好ましい。本発明においては、一般式(1a)の化合物と下記一般式(2)の化合物とを併用することが望ましい色調を得るためには好ましい。
Figure 2006030239
式中、X2はカルコゲン原子またはCHR5を表し、R5は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級または3級のアルキル基であることはない。R7は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。R8はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
その併用比率としては、[一般式(1a)の化合物の質量]:[一般式(2)の化合物の質量]が5:95〜45:55であることが好ましく、より好ましくは10:90〜40:60である。
一般式(1)中、X1はカルコゲン原子またはCHR1を表す。カルコゲン原子としては、硫黄セレン、テルルであり、好ましくは硫黄原子である。CHR1におけるR1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等であり、アルキル基としては置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル等、アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等、アリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環等、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基として具体的には、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロヘプチル等)、アルケニル基(エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等)、シクロアルケニル基(1−シクロアルケニル、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(エチニル、1−プロピニル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、トリフルオロメチルチオ等)、アシル基(アセチル基、ベンゾイル基)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(アセチルアミノ等)、ウレイド基(メチルアミノカルボニルアミノ等)、アルキルスルホニルアミノ基(メタンスルホニルアミノ等)、アルキルスルホニル基(メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−モルホリノカルボニル等)、スルファモイル基(スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルホリノスルファモイル等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド等)、アルキルアミノ基(アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ等)、スルホ基、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル等)、アルキニルアミノカルボニル基(アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(メタンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル等)等が挙げられる。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。特に好ましい置換基はアルキル基である。
2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、少なくとも一方は2級または3級のアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては置換または無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等の基が挙げられる。
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、(R4n及び(R4mと飽和環を形成してもよい。R2は好ましくは何れも2級または3級のアルキル基であり、炭素数2〜20が好ましい。より好ましくは3級アルキル基であり、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシルであり、最も好ましくはt−ブチルである。
3は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、複素環基等が挙げられる。
3として好ましくは、メチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。更に好ましくはメチル、2−ヒドロキシエチルである。
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては前記R1で挙げた置換基を用いることができる。R3は好ましくはヒドロキシル基またはそのプレカーサー基を有する炭素数1〜20のアルキル基であり、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。最も好ましくは2−ヒドロキシエチルである。R2及びR3の最も好ましい組合せは、R2が第3級アルキル基(t−ブチル、1−メチルシクロヘキシル等)であり、R3がヒドロキシル基またはそのプレカーサー基を有する第1級アルキル基(2−ヒドロキシエチル等)である。複数のR2、R3は同じでも異なっていてもよい。
4はベンゼン環上に置換可能な基を表すが、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル、パーフルオロオクチル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロペンチル等)、アルキニル基(プロパルギル等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル等)、複素環基(ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等)、ハロゲン原子(塩素、臭素、沃素、フッ素)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等)、スルファモイル基(アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、ウレタン基(メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、フェニルウレイド、2−ピリジルウレイド等)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等)、カルバモイル基(アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル)、アミド基(アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ヘキサンアミド、ベンズアミド等)、スルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、アミノ基(アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、アニリノ、2−ピリジルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。また、これらの基は更にこれらの基で置換されてもよい。n及びmは0〜2の整数を表すが、最も好ましくはn、m共に0の場合である。
また、R4はR2、R3と飽和環を形成してもよい。R4は好ましくは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。複数のR4は同じでも異なっていてもよい。
一般式(2)中、R5はR1と同様の基であり、R7はR3と同様の基であり、R8はR4と同様の基である。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級または3級のアルキル基であることはない。アルキル基としては置換または無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル等の基が挙げられる。
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、(R8n及び(R8mと飽和環を形成してもよい。R6は、好ましくはメチルである。一般式(2)で表される化合物のうちでも好ましく用いられる
化合物は欧州特許第1,278,101号明細書に記載の一般式(S)、一般式(T)を満足する化合物であり、具体的にはp21〜p28に記載の(1−24)、(1−28)〜(1−54)、(1−56)〜(1−75)の化合物が挙げられる。
以下に、一般式(1)、一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006030239
Figure 2006030239
Figure 2006030239
これら一般式(1)、一般式(2)で表されるビスフェノール化合物は、従来公知の方法により容易に合成することができる。
熱現像感光材料が含有する還元剤は、有機銀塩を還元して銀画像を形成するものである。本発明に係る還元剤と併用することができる還元剤としては、例えば、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号の各明細書、RD17029号及び29963号、特開平11−119372号、特開2002−62616号の各公報等に記載されている。
前記一般式(1)で表される化合物を初めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当たり1×10-2〜10モル、特に好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
(画像の色調)
次に、熱現像感光材料を熱現像処理して得られる画像の色調について述べる。
従来のレントゲン写真フィルムのような医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、判読者にとってより的確な診断観察結果が得易いと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であることを言う。一方、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であると言われているが、より厳密な定量的な議論ができるように、以下、国際照明委員会(CIE)の推奨する表現法に基づき説明する。
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0における色相角habにより表現できる。即ち、色相角habは、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
hab=tan-1(b*/a*
上記色相角に基づく表現法により検討した結果、本発明に係る熱現像感光材料の現像後の色調は、色相角habの範囲が180度<hab<270度であることが好ましく、更に好ましくは200度<hab<270度、最も好ましくは220度<hab<260度であることが判った。このことは、特開2002−6463号公報に開示されている。
なお、従来、光学濃度1.0付近でのCIE 1976(L***)色空間または(L***)色空間におけるu*、v*またはa*、b*を特定の数値に調整することにより、見た目の色調が好ましい診断画像が得られることが知られており、例えば、特開2000−29164号公報に記載されている。
しかしながら、本発明に係る熱現像感光材料について更に鋭意検討の結果、CIE 1976(L***)色空間または(L***)色空間において横軸をu*またはa*、縦軸をv*またはb*としたグラフ上に、様々な写真濃度でのu*、v*またはa*、b*をプロットし、線形回帰直線を作成した際に、その線形回帰直線を特定の範囲に調整することにより、従来の湿式の銀塩感光材料同等以上の診断性を持つことを見い出した。以下に好ましい条件範囲について述べる。
1)熱現像感光材料を熱現像処理後に得られた銀画像の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をu*、縦軸をv*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのu*、v*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5〜5であること、且つ傾き(v*/u*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
2)また、当該熱現像感光材料の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をa*、縦軸をb*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのa*、b*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のb*値が−5〜5であること、且つ傾き(b*/a*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
なお、次に上述の線形回帰直線の作成法、則ちCIE 1976色空間におけるu*、v*及びa*、b*の測定法の一例を説明する。
熱現像装置を用いて未露光部、及び光学濃度0.5、1.0、1.5を含む4段のウエッジ試料を作製する。このようにして作製した、それぞれのウエッジ濃度部を分光色彩計(コニカミノルタ社製:CM−3600d等)で測定し、u*、v*またはa*、b*を算出する。その際の測定条件は光源としてF7光源、視野角を10度として透過測定モードで測定を行う。横軸をu*またはa*、縦軸をv*またはb*としたグラフ上に測定したu*、v*またはa*、b*をプロットし線形回帰直線を求め、決定係数(重決定)R2、切片及び傾きを求める。
次に、上記のような特徴を持つ線形回帰直線を得るための具体的な方法について説明する。
本発明においては、下記の調色剤、現像剤、ハロゲン化銀粒子及び脂肪族カルボン酸銀等の現像反応過程において、直接的及び間接的に関与する化合物等の添加量の調整により、現像銀形状を最適化し好ましい色調にすることができる。例えば、現像銀形状をデンドライト状にすると青味を帯びる方向になり、フィラメント状にすると黄色味を帯びる方向になる。即ち、このような現像銀形状の性向を考慮して調整できる。
従来、調色剤としてはフタラジノンまたはフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類が一般的に使用されている。好適な調色剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号、同4,021,249号の各明細書等に開示されている。
このような調色剤の他に、特開平11−288057号公報、欧州特許第1,134,611A2号明細書等に開示されているカプラー及び、以下で詳述するロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。特に、色調の微調整のためにカプラーまたはロイコ染料を用いることが好ましい。
(ロイコ染料)
ロイコ染料として好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色または僅かに着色した化合物でよく、銀イオンにより酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、且つ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
本発明で使用するのに適した代表的なロイコ染料は特に限定されないが、例えば、ビフェノールロイコ染料、フェノールロイコ染料、インドアニリンロイコ染料、アクリル化アジンロイコ染料、フェノキサジンロイコ染料、フェノジアジンロイコ染料及びフェノチアジンロイコ染料等が挙げられる。また、有用なものは、米国特許第3,445,234号、同3,846,136号、同3,994,732号、同4,021,249号、同4,021,250号、同4,022,617号、同4,123,282号、同4,368,247号、同4,461,681号の各明細書、及び特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号の各公報等に開示されているロイコ染料である。
所定の色調に調整するために、種々の色のロイコ染料を単独使用または複数の種類の併用をすることが好ましい。本発明においては高活性な還元剤を使用することに伴ってその使用量や使用比率によって色調(特に黄色味)が変化したり、微粒子のハロゲン化銀を用いることにより、特に濃度が2.0以上の高濃度部で画像が過度に赤みをおびることを防止するために、黄色及びシアン色に発色するロイコ染料を併用してその使用量を調整するのが好ましい。
発色濃度は現像銀自身による色調との関係で適切に調整することが好ましい。本発明では、0.01〜0.05の反射光学濃度または0.005〜0.50の透過光学濃度を有するように発色させ上記した好ましい色調範囲の画像になるように色調を調整することが好ましい。本発明では、ロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。
(黄色発色性ロイコ染料)
本発明において、特に黄色発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより360〜450nmの吸光度が増加する色像形成剤であり、下記一般式(YA)で表される色像形成剤であることが好ましい。
Figure 2006030239
式中、R11は置換または無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基またはアシルアミノ基を表すが、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。R13は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R14はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。
以下、一般式(YA)の化合物について詳細に説明する。一般式(YA)において、R11は置換または無置換のアルキル基を表すが、R12が水素原子以外の置換基である場合、R11はアルキル基を表す。該アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、置換基を有してもよい。
具体的にはメチル、エチル、ブチル、オクチル、i−プロピル、t−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル等が好ましく、i−プロピルよりも立体的に大きな基(i−プロピル、i−ノニル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル、アダマンチル等)であることが好ましく、その中でも2級または3級のアルキル基が好ましく、3級アルキル基であるt−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル等が特に好ましい。R11が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基等が挙げられる。
12は水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基またはアシルアミノ基を表す。R12で表されるアルキル基は炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アシルアミノ基は炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましい。この内、アルキル基の説明は前記R11と同様である。
12で表されるアシルアミノ基は、無置換でも置換基を有してもよく、具体的には、アセチルアミノ基、アルコキシアセチルアミノ基、アリールオキシアセチルアミノ基等が挙げられる。R12として好ましくは、水素原子または無置換の炭素数1〜24のアルキル基であり、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチルが挙げられる。また、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。
13は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アルキル基の説明は前記R11と同様である。R13として好ましくは、水素原子または無置換の炭素数1〜24のアルキル基で、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチル等が挙げられる。また、R12、R13の何れか一方は水素原子であることが好ましい。
14はベンゼン環に置換可能な基を表し、例えば、前記一般式(1)における置換基R4で説明したのと同様な基である。R14として好ましいのは、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のオキシカルボニル基であり、炭素数1〜24のアルキル基がより好ましい。アルキル基の置換基としてはアリール基、アミノ基、アルコキシ基、オキシカルボニル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、イミド基、ウレイド基等が挙げられ、アリール基、アミノ基、オキシカルボニル基、アルコキシ基がより好ましい。これらのアルキル基の置換基は、更にこれらの置換基で置換されてもよい。
次に、一般式(YA)で表される化合物のうちでも、特に本発明で好ましく用いられる、下記一般式(YB)で表されるビスフェノール化合物について説明する。
Figure 2006030239
式中、Zは−S−または−C(R21)(R21′)−を表し、R21、R21′は各々、水素原子または置換基を表す。R21、R21′の表す置換基としては、前記一般式(1)のR1の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。R21、R21′として好ましくは、水素原子またはアルキル基である。
22、R23、R22′及びR23′は各々置換基を表すが、置換基としては一般式(1)におけるR2、R3で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
22、R23、R22′及びR23′として、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基であるが、アルキル基が更に好ましい。アルキル基上の置換基としては、一般式(1)における置換基の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
22、R23、R22′及びR23′として、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、1−メチル−シクロヘキシル等の3級アルキル基である。
24及びR24′は各々、水素原子または置換基を表すが、置換基としては、一般式(1)におけるR4の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
一般式(YA)及び(YB)で表される化合物としては、例えば、特開2002−169249号公報の段落「0032」〜「0038」記載の化合物(II−1)〜(II−40)、欧州特許第1,211,093号明細書の段落「0026」記載の化合物(ITS−1)〜(ITS−12)を挙げることができる。
以下に、一般式(YA)及び(YB)で表されるビスフェノール化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006030239
Figure 2006030239
一般式(YA)の化合物(ヒンダードフェノール化合物、一般式(YB)の化合物も含まれる)の添加量は、通常銀1モル当たり0.00001〜0.01モルであり、好ましくは0.0005〜0.01モル、より好ましくは0.001〜0.008モルである。
また黄色発色性ロイコ染料の一般式(1)、(2)で表される還元剤の総和に対する添加量比は、モル比で0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましい。
(シアン発色性ロイコ染料)
本発明で好ましく用いられるシアン発色性ロイコ染料について説明する。ロイコ染料として好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色または僅かに着色した化合物でよく、銀イオンにより酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、且つ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
本発明において、特にシアン発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより600〜700nmの吸光度が増加する色像形成剤であり、特開昭59−206831号(特にλmaxが600〜700nmの範囲内にある化合物)、特開平5−204087号公報の一般式(I)〜一般式(IV)の化合物(具体的には段落「0032」〜「0037」に記載の(1)〜(18)の化合物)及び特開平11−231460号公報の一般式4〜一般式7の化合物(具体的には段落「0105」に記載されるNo.1〜No.79の化合物)である。
本発明において特に好ましく用いられるシアン発色性ロイコ染料は、下記一般式(CL)で表される。
Figure 2006030239
式中、R81、R82は水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、−NHCO−R10基(R10はアルキル基、アリール基、複素環基を表す。)であるか、またはR81、R82は互いに連結して脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環または複素環を形成する基である。A8は−NHCO−基、−CONH−基または−NHCONH−基を表し、R83は置換または無置換の、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。また、−A8−R83は水素原子であってもよい。W8は水素原子または−CONH−R85基、−CO−R85基または−CO−O−R85基(R85は置換または無置換のアルキル基、アリール基または複素環基を表す。)を表し、R84は水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルバモイル基、またはニトリル基を表す。R86は−CONH−R87基、−CO−R87基または−CO−O−R87基(R87が置換または無置換の、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。)を表す。X8は、置換または無置換の、アリール基、複素環基を表す。
一般式(CL)において、R81、R82で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子等が挙げられ、アルキル基としては炭素原子数が20までのアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等)が挙げられ、アルケニル基としては炭素原子数20までのアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル等)が挙げられ、アルコキシ基としては炭素原子数20までのアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ等)が挙げられる。また、−NHCO−R10基におけるR10で表されるアルキル基としては、炭素原子数が20までのアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等)が挙げられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基のような炭素原子数6〜20の基が挙げられ、複素環基としては、例えば、チオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。R83で表されるアルキル基は、好ましくは炭素原子数20までのアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等が挙げられ、アリール基は好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、例えばチオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。W8で表される−CONH−R85基、−CO−R85基または−CO−O−R85基において、R85で表されるアルキル基は、好ましくは炭素原子数20までのアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等が挙げられ、アリール基は、好ましくは炭素数6〜20までのアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、例えば、チオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
84で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられ、アルキル基としては鎖状若しくは環状のアルキル基、例えば、メチル基、ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルケニル基としては炭素原子数20までのアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル等)が挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、ブトキシ基、テトラデシルオキシ基等が挙げられ、カルバモイル基としては、例えば、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等が挙げられる。またニトリル基も好ましい。これらの中でも、水素原子、アルキル基がより好ましい。前記R83とR84は、互いに連結して環構造を形成してもよい。
上記の基は更に単一の置換基または複数の置換基を有することができる。典型的な置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ドデシル基等)、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メチルスルホンアミド基、オクチルスルホンアミド基等)、アリールスルホンアミド基(例えば、フェニルスルホンアミド基、ナフチルスルホンアミド基等)、アルキルスルファモイル基(例えば、ブチルスルファモイル基等)、アリールスルファモイル(例えば、フェニルスルファモイル基等)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、アミノスルホンアミド基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホキシ基、スルホ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミノカルボニル基等が挙げられる。
10またはR85は好ましくはフェニル基であり、より好ましくはハロゲン原子およびシアノ基を置換基として複数有するフェニル基である。
86で表される−CONH−R87基、−CO−R87基または−CO−O−R87基において、R87で表されるアルキル基は、好ましく炭素原子数20までのアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等が挙げられ、アリール基は、好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、チエニル基等が挙げられ、複素環基としては、例えば、チオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
87で表される基が有することができる置換基としては、一般式(CL)のR81〜R84の説明において挙げた置換基と同様のものが使用できる。
8で表されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、チエニル基のような炭素原子数6〜20のアリール基が挙げられ、複素環基としては、例えば、チオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
8で表される基が有することができる置換基としては、一般式(CL)のR81〜R84の説明において挙げた置換基と同様のものを挙げることができる。X8で表される基としては、パラ位にアルキルアミノ基(ジエチルアミノ基等)を有するアリール基または複素環基が好ましい。これらの基は写真的に有用な基を含んでもよい。
以下にシアン発色性ロイコ染料(CL)の具体例を示すが、本発明で用いられるシアン発色性ロイコ染料はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006030239
Figure 2006030239
Figure 2006030239
シアン発色性ロイコ染料の添加量は、通常0.00001〜0.05モル/Ag1モルであり、好ましくは0.0005〜0.02モル/Ag1モル、より好ましくは0.001〜0.01モル/Ag1モルである。シアン発色性ロイコ染料の一般式(1)、一般式(2)で表される還元剤の総和に対する添加量比は、モル比で0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましい。本発明では、シアンロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。
本発明においては上記のシアン発色性ロイコ染料に加えてマゼンタ発色性ロイコ染料または黄色発色性ロイコ染料を併用することで更に微妙な色調の調整を可能とすることができる。
一般式(YA)および(YB)で表される化合物及びシアン発色性ロイコ染料の添加方法としては、一般式(1)で表される還元剤の添加方法と同様な方法で添加することができ、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態等、任意の方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてよい。
一般式(1)、(2)、一般式(YA)、(YB)の化合物及びシアン発色性ロイコ染料は、有機銀塩を含有する画像形成層に含有させることが好ましいが、一方を画像形成層に、他方を該画像形成層に隣接する非画像形成層に含有させてもよく、両者を非画像形成層に含有させてもよい。また、画像形成層が複数層で構成されている場合には、それぞれ別層に含有させてもよい。
(バインダー)
熱現像感光材料に好適なバインダーは、透明または半透明で一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、特開2001−330918号公報の段落「0069」に記載のものが挙げられる。これらの内、本発明に係る熱現像感光材料の感光性層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましくはポリビニルブチラールである。これらについては詳しく後述する。
また、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。なお、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組み合わせて用い得る。
バインダーには−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2、−N(R)2、−N+(R)3(Mは水素原子、またはアルカリ金属塩基、Rは炭化水素基を表す)、エポキシ基、−SH、−CN等から選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましく、特に−SO3M、−OSO3M、が好ましい。この様な極性基の量は1×10-1〜1×10-8モル/gであり、好ましくは1×10-2〜1×10-6モル/gである。
この様なバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定し得る。例えば、画像形成層において少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2(質量比)が好ましく、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、画像形成層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましく、更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
本発明で用いるバインダーのガラス転移温度(Tg)は、70〜105℃であることが好ましい。Tgは示差走査熱量計で測定して求めることができ、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点をTgとする。本発明におけるTgは、ブランドラップ等による「重合体ハンドブック」III−139〜179頁(1966年、ワイリーアンドサン社版)に記載の方法で求めたものである。
バインダーが共重合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2Tg2+・・・+vnTgn
式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは共重合体中の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表す。上式に従って計算されたTgの精度は±5℃である。
Tgが70〜105℃のバインダーを用いると、画像形成において十分な最高濃度が得ることができ好ましい。
本発明に係るバインダーとしては、Tgが70〜105℃、数平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。また、エチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体については、特開2001−330918号公報の段落番号「0069」に記載のものが挙げられる。
これらの内、特に好ましい例としては、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、スチレン類等が挙げられる。この様な高分子化合物の中でも、アセタール基を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分子化合物でも、アセトアセタール構造を持つポリビニルアセタールであることがより好ましく、例えば、米国特許第2,358,836号、同3,003,879号、同2,828,204号、英国特許第771,155号の各明細書等に示されるポリビニルアセタールを挙げることができる。
アセタール基を持つ高分子化合物としては、特開2002−287299号公報の「150」に記載の一般式(V)で表される化合物が特に好ましい。
本発明で用いることのできるポリウレタン樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタン等公知のものが使用できる。また、ポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のヒドロキシル基を有することが好ましい。ヒドロキシル基は、硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。特に、ヒドロキシル基が分子末端にある方が、硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子末端にヒドロキシル基を3個以上有することが好ましく、4個以上有することが特に好ましい。本発明において、ポリウレタンを用いる場合は、Tgが70〜105℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.5〜100N/mm2が好ましい。
これらの高分子化合物(ポリマー)は単独で用いてもよいし、2種類以上をブレンドして用いてもよい。
本発明に係る画像形成層には上記ポリマーを主バインダーとして用いることが好ましい。ここで言う主バインダーとは、「画像形成層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが占めている状態」をいう。従って、全バインダーの50質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよい。これらのポリマーとしては、本発明に係るポリマーが可溶となる溶媒であれば特に制限はない。より好ましくはポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
画像形成層に有機性ゲル化剤を含有せしめてもよい。なお、ここで言う有機性ゲル化剤とは、例えば多価アルコール類のように、有機液体に添加することにより、その系に降伏値を付与し、系の流動性を消失あるいは低下させる機能を有する化合物を言う。
画像形成層用塗布液が水性分散されたポリマーラテックスを含有するのも好ましい態様である。この場合、画像形成層用塗布液中の全バインダーの50質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。また、画像形成層がポリマーラテックスを含有する場合、画像形成層中の全バインダーの50質量%以上がポリマーラテックスであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
ポリマーラテックスとは、水不溶性の疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち、分子鎖自身が分子状分散したもの等、何れでもよい。分散粒子の平均粒径は1〜50,000nmが好ましく、より好ましくは5〜1,000nm程度の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも、単分散の粒径分布を持つものでもよい。
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、所謂コア/シェル型のラテックスでもよい。この場合、コアとシェルはTgを変えると好ましい場合がある。本発明に係るポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃であることが好ましく、更に好ましくは0〜70℃程度である。また、最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。
上記造膜助剤は可塑剤とも呼ばれ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常、有機溶媒)であり、例えば、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行、1970)」に記載されている。
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体等がある。ポリマーとしては、直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでもよい。また、ポリマーとしては、単一のモノマーが重合した所謂ホモポリマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合は、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は数平均分子量で、通常5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000程度である。分子量が小さすぎるものは感光層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く、共に好ましくない。
ポリマーラテックスは、25℃、60%RH(相対湿度)での平衡含水率が0.01〜2質量%以下のものが好ましく、更に好ましくは0.01〜1質量%のものである。平衡含水率の定義と測定法については、例えば、「高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」等を参考にすることができる。
ポリマーラテックスの具体例としては、特開2002−287299号公報の「0173」に記載の各ラテックスが挙げられる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよい。ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレートまたはメタクリレート成分の如きカルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが好ましい。
更に、必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は前記感光層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
画像形成層用塗布液の調製において、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスの添加の順序については、何れを先に添加してもよいし、同時に添加してもよいが、好ましくはポリマーラテックスが後である。
更に、ポリマーラテックス添加前に有機銀塩、更には還元剤が混合されていることが好ましい。また、有機銀塩とポリマーラテックスを混合した後、経時させる温度が低すぎると塗布面状が損なわれ、高すぎるとかぶりが上昇する問題があるので、混合後の塗布液は30〜65℃で上記時間経時されることが好ましい。更には35〜60℃で経時されることが好ましく、特に35〜55℃での経時が好ましい。この様に温度を維持するには、塗布液の調液槽等を保温すればよい。
画像形成層用塗布液の塗布は、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを混合した後、30分〜24時間経過した塗布液を用いるのが好ましく、更に好ましくは、混合した後、60分〜12時間経過させることであり、特に好ましくは、120分〜10時間経過した塗布液を用いることである。
ここで、「混合した後」とは、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを添加し、添加素材が均一に分散された後を言う。
架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより、膜付きが良くなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のかぶり抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
用いられる架橋剤としては、従来、写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば、特開昭50−96216号公報に記載されるアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤が用いられるが、好ましくは以下に示すイソシアネート系、シラン化合物系、エポキシ系化合物または酸無水物である。
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価または3価のポリアルコール類との付加体等が挙げられる。具体例として、特開昭56−5535号公報の10〜12頁に記載されるイソシアネート化合物を利用することができる。
なお、イソシアネートとポリアルコールの付加体は特に層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイソシアネートは、熱現像感光材料のどの部分に置かれてもよい。例えば、支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層または2層以上に添加することができる。
また、本発明に使用可能なチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
上記架橋剤の使用量は、銀1モルに対して、通常0.001〜2モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
本発明において含有させることができるイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、当該官能基を1個のみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
シラン化合物の例としては、特開2001−264930号公報に開示されている一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
また、架橋剤として使用できるエポキシ化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。また、エポキシ化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマー等の何れであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーの何れであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2,000〜20,000程度である。
本発明に用いられる酸無水物は、下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。この様な酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はない。
−CO−O−CO−
上記のエポキシ化合物や酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。このエポキシ化合物や酸無水物は、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層または2層以上に添加することができる。
(省銀化剤)
本発明において使用される省銀化剤とは、一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当たりの光学濃度をいう。この省銀化剤は感光性層または非感光性層、更にはそのいずれにも存在せしめることができる。省銀化剤としては、ヒドラジン誘導体化合物、ビニル化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、4級オニウム化合物及びシラン化合物が好ましい例として挙げられる。
ヒドラジン誘導体の具体例としては、米国特許第5,545,505号明細書カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号明細書カラム9〜11に記載の化合物1〜12、特開2001−27790号公報の段落「0042」〜「0052」に記載の化合物H−1−1〜H−1−28、H−2−1〜H−2−9、H−3−1〜H−3−12、H−4−1〜H−4−21、H−5−1〜H−5−5が挙げられる。
ビニル化合物の具体例としては、米国特許第5,545,515号明細書のカラム13〜14に記載の化合物CN−01〜CN−13、米国特許第5,635,339号明細書のカラム10に記載の化合物HET−01〜HET−02、米国特許第5,654,130号明細書のカラム9〜10に記載の化合物MA−01〜MA−07の化合物、米国特許第5,705,324号明細書のカラム9〜10に記載の化合物IS−01〜IS−04、特開2001−125224号公報の段落「0043」〜「0088」記載の化合物1−1〜218−2が挙げられる。
フェノール誘導体、ナフトール誘導体の具体例としては、特開2000−267222号公報の段落「0075」〜「0078」の記載の化合物A−1〜A−89、特開2003−66558号公報の段落「0025」〜「0045」に記載の化合物A−1〜A−258が挙げられる。
4級オニウム化合物の具体例としては、トリフェニルテトラゾリウムが挙げられる。
シラン化合物の具体例としては、特開2003−5324号公報の段落「0027」〜「0029」記載の化合物A1〜A33に示されるような一級または二級アミノ基を2個以上有するアルコキシシラン化合物或いはその塩が挙げられる。
上記省銀化剤の添加量は有機銀塩1モルに対し1×10-5〜1モル、好ましくは1×10-4〜5×10-1モルの範囲である。
本発明に係る特に好ましい省銀化剤は下記一般式(A−1)および(A−2)で表される化合物である。
一般式(A−1) Q1−NHNH−Q2
式中、Q1は炭素原子で−NHNH−Q2と結合する芳香族基、またはヘテロ環基を表し、Q2はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。
一般式(A−1)において、Q1で表される芳香族基またはヘテロ環基としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環などが好ましく、更にこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、更に置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げることができる。
2で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、N−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
2で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。Q2で表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
2で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Q2で表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
2で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。Q2で表される基は、更に置換可能な位置に前記のQ1で表される5〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
次に、式(A−1)で表される化合物の好ましい範囲について述べる。Q1としては5〜6員の不飽和環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、およびこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Q2はカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
Figure 2006030239
一般式(A−2)において、R1はアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表す。R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、炭酸エステル基を表す。R3、R4はそれぞれ一般式(A−1)の置換基例で挙げたベンゼン環に置換可能な基を表す。R3とR4は互いに連結して縮合環を形成してもよい。
1は好ましくは炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基など)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンソイルアミノ基、メチルウレイド基、4−シアノフェニルウレイド基など)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロフェニルカルバモイル基、2,4−ジクロロフェニルカルバモイル基など)でアシルアミノ基(ウレイド基、ウレタン基を含む)がより好ましい。R2は好ましくはハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)である。
3は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、ハロゲン原子がもっとも好ましい。R4は水素原子、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアシルアミノ基がより好ましい。これらの好ましい置換基の例はR1と同様である。R4がアシルアミノ基である場合R4はR3と連結してカルボスチリル環を形成することも好ましい。
一般式(A−2)においてR3とR4が互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。ナフタレン環には一般式(A−1)で挙げた置換基例と同じ置換基が結合していてもよい。一般式(A−2)がナフトール系の化合物であるとき、R1はカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。R2はアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
以下、本発明に係る省銀化剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006030239
(かぶり防止及び画像安定化剤)
本発明に係る熱現像感光材料に用いられるかぶり防止及び画像安定化剤について説明する。
還元剤としては、主にビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンを持った還元剤が用いられているので、これらの水素を引き抜くことができる活性種を発生することにより還元剤を不活性化できる化合物が含有されていることが好ましい。好適には、無色の光酸化性物質として、露光時にフリーラジカルを反応活性種として生成可能な化合物が好ましい。
従ってこれらの機能を有する化合物であればいかなる化合物でもよいが、複数の原子からなる有機フリーラジカルが好ましい。かかる機能を有し、且つ熱現像感光材料に格別の弊害を生じることのない化合物であればいかなる構造を持った化合物でもよい。
また、これらのフリーラジカルを発生する化合物としては、発生するフリーラジカルに、これが還元剤と反応し不活性化するに十分な時間接触できる位の安定性を持たせるために炭素環式、または複素環式の芳香族基を有するものが好ましい。これらの化合物の代表的なものとしてビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物を挙げることができる。
上記のビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物の添加量は0.001〜0.1モル/m2、好ましくは0.005〜0.05モル/m2の範囲である。なお、当該化合物は、本発明に係る感光材料において、いかなる構成層中にも含有させることができるが、還元剤の近傍に含有させることが好ましい。
また、かぶり防止及び画像安定化剤として、ハロゲン原子を活性種として放出できる化合物も多くのものが知られている。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特開2002−287299号公報の「0264」〜「0271」に記載の一般式(9)の化合物が挙げられる。
これらの化合物の添加量は、実質的にハロゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が問題にならない範囲が好ましく、活性ハロゲンラジカルを生成しない化合物に対する比率で、最大150%以下、更に好ましくは100%以下であることが好ましい。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特開2002−169249号公報の段落「0086」〜「0087」に記載されている化合物(III−1)〜(III−23)、特開2003−50441号公報の段落「0031」〜「0034」記載の化合物1−1a〜1−1o、1−2a〜1−2o、段落「0050」〜「0056」記載の化合物2a〜2z、2aa〜2ll、2−1a〜2−1f、特開2003−91054号公報の段落「0055」〜「0058」記載の化合物4−1〜4−32、段落「0069」〜「0072」記載の化合物5−1〜5−10を挙げることができる。
本発明で好ましく使用されるかぶり防止剤としては、例えば、特開平8−314059号公報の段落「0012」に記載の化合物例a〜j、特開平7−209797号公報の段落「0028」に記載のチオスルホネートエステルA〜K、特開昭55−140833号公報のp14から記載の化合物例(1)〜(44)、特開2001−13627号公報の段落「0063」記載の化合物(I−1)〜(I−6)、段落「0066」記載の(C−1)〜(C−3)、特開2002−90937号公報の段落「0027」記載の化合物(III−1)〜(III−108)、ビニルスルホン類及び/またはβ−ハロスルホン類の化合物として特開平6−208192号公報の段落「0013」に記載の化合物VS−1〜VS−7、化合物HS−1〜HS−5、スルホニルベンゾトリアゾール化合物として特開2000−330235号公報に記載のKS−1〜KS−8の化合物、置換されたプロペンニトリル化合物として特表2000−515995号公報に記載のPR−01〜PR−08、特開2002−207273号公報の段落「0042」〜「0051」に記載の化合物(1)−1〜(1)−132を挙げることができる。
上記かぶり防止剤は一般に銀のモルに対して少なくとも0.001モル用いる。通常、その範囲は銀のモルに対して化合物は0.01〜5モル、好ましくは銀のモルに対して化合物は0.02〜0.6モルである。
なお、上記の化合物の他に、本発明に係る熱現像感光材料中には、従来かぶり防止剤として知られている化合物が含まれてもよいが、上記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化合物であっても、かぶり防止機構が異なる化合物であってもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、同4,546,075号、同4,452,885号の各明細書、特開昭59−57234号公報、米国特許第3,874,946号明細書、同4,756,999号明細書、特開平9−288328号公報、同9−90550号公報に記載されている化合物が挙げられる。更に、その他のかぶり防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同605,981号、同631,176号の各明細書に開示されている化合物が挙げられる。
本発明に用いる還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)を有する場合、特にビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物の具体例としては、例えば、特開2002−90937号公報の段落「0061」〜「0064」に記載の化合物(II−1)〜(II−40)が挙げられる。
本発明に係る熱現像感光材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、必要に応じて銀の色調を調整する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有していることが好ましい。
本発明に用いられる好適な色調剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号及び同4,021,249号の各明細書に開示されており、例えば、次のものがある。
イミド類(例えば、スクシンイミド、フタルイミド、ナフタールイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(例えば、フタラジノン、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジンとフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸)の組合せ;フタラジンとマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組合せ等が挙げられる。特に好ましい色調剤としてはフタラジノンまたはフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類の組合せである。
(フッ素系界面活性剤)
本発明では熱現像装置でのフィルム搬送性や環境適性(生体内への蓄積性)を改良するために下記一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤が好ましく用いられる。
一般式(SF) (Rf−(L1)n1−)p−(Y)m1−(A)q
式中、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表し、L1はフッ素原子を有しない2価の連結基を表し、Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表し、Aはアニオン基またはその塩を表し、n1、m1は各々0または1の整数を表し、pは1〜3の整数を表し、qは1〜3の整数を表す。但し、qが1の時はn1とm1は同時に0ではない。
前記一般式(SF)において、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表すが、該フッ素原子を含有する置換基としては、例えば、炭素数1〜25のフッ化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基、トリフロロエチル基、パーフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基及びパーフロロオクタデシル基等)またはフッ化アルケニル基(例えば、パーフロロプロペニル基、パーフロロブテニル基、パーフロロノネニル基及びパーフロロドデセニル基等)等が挙げられる。
L1はフッ素原子を有さない2価の連結基を表すが、該フッ素原子を有さない2価の連結基としては、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等)、アルキレンオキシ基(メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、ブチレンオキシ基等)、オキシアルキレン基(例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシブチレン基等)、オキシアルキレンオキシ基(例えば、オキシメチレンオキシ基、オキシエチレンオキシ基、オキシエチレンオキシエチレンオキシ基等)、フェニレン基、オキシフェニレン基、フェニルオキシ基、オキシフェニルオキシ基またはこれらの基を組合せた基等が挙げられる。
Aはアニオン基またはその塩を表すが、例えば、カルボン酸基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、スルホン酸基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、硫酸ハーフエステル基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、及び燐酸基またはその塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)等が挙げられる。
Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表すが、例えば、フッ素原子を有さない3価または4価の連結基としては、窒素原子または炭素原子を中心にして構成される原子群が挙げられる。n1は0または1の整数を表すが、1であるのが好ましい。
一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、フッ素原子を導入した炭素数1〜25のアルキル化合物(例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基及びパーフロロオクタデシル基等を有する化合物)及びアルケニル化合物(例えば、パーフロロヘキセニル基及びパーフロロノネニル基等)と、それぞれフッ素原子を導入していない3価〜6価のアルカノール化合物、水酸基を3〜4個有する芳香族化合物またはヘテロ化合物との付加反応や縮合反応によって得られた化合物(一部Rf化されたアルカノール化合物)に、更に、例えば、硫酸エステル化等によりアニオン基(A)を導入することにより得ることができる。
上記3〜6価のアルカノール化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチル−2−ヒドロキシメチル1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンテン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ブタノール)−3、脂肪族トリオール、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール等が挙げられる。
また、上記水酸基を3〜4個有する芳香族化合物及びへテロ化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン及び2,4,6−トリヒドロキシピリジン等が挙げられる。
以下に、一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤の好ましい具体的化合物を示す。
Figure 2006030239
Figure 2006030239
本発明に係る一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤を塗布液に添加する方法としては公知の添加法に従って添加することができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザ分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、最外層の保護層に添加することが好ましい。
本発明に係る一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤の添加量は1m2当たり1×10-8〜1×10-1モルが好ましく、1×10-5〜1×10-2モルが特に好ましい。前者の範囲未満では帯電特性が得られず、前者の範囲を越えると、湿度依存性が大きく高湿下の保存性が劣化する。
(表面層)
本発明における十点平均粗さ(Rz)、最大粗さ(Rt)、中心線平均粗さ(Ra)は、下記のJIS表面粗さ(B0601)により定義される。十点平均粗さ(Rz)とは断面曲線から基準長さだけぬきとった部分において、平均線に平行、且つ断面曲線を横切らない直線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。最大粗さ(Rt)とは粗さ曲線を基準長さLだけ抜き取り、中心線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだとき、この2直線の間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定して、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。中心線平均粗さ(Ra)とは粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)であらわしたものをいう。
Figure 2006030239
Rz、Rt、Raの測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重ね合わされない条件で24時間調湿した後、該環境下で測定した。ここで示す重ね合わされない条件とは、例えば、フィルムエッジ部分を高くした状態で巻き取る方法やフィルムとフィルムの間に紙をはさんで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることができる。
感光材料の表面と裏面のRz、Rt、Raを本発明の範囲とするためには、下記に示す技術手段を適宜組み合わせて用いることで容易に調整することができる。
1)画像形成層を有する側の層、画像形成層を有する側と反対面の層に含まれるマット剤(無機または有機粉末)の種類、平均粒径、添加量、表面処理方法
2)マット剤の分散条件(使用する分散機の種類、分散時間、分散に使用するビーズの種類、平均粒径、分散時に使用する分散剤の種類と量、バインダーの極性基の種類、極性基含有量)
3)塗布時の乾燥条件(塗布速度、温風の吹き出しノズルの塗布面からの距離、乾燥風量)、残留溶媒量
4)塗布液の濾過に用いるフイルターの種類、濾過時間
5)塗布後にカレンダ処理を行う場合は、その条件(例えば、カレンダ温度40〜80℃、圧力490〜2940N/cm、ラインスピード20〜100m、ニップ数2〜6)
本発明においては、Rz(E)/Rz(B)の値が0.1以上、0.7以下であるのが好ましく、特にRz(E)/Rz(B)の値が0.2以上、0.6以下であるのが好ましく、0.3以上、0.55以下であるのがより好ましい。この範囲とすることで本発明の効果の中でも特に、フィルムの搬送性がよく、熱現像時の濃度むらの発生を格段に向上することができる。
また本発明においては、Ra(E)/Ra(B)の値が0.6以上、1.5以下であるのが好ましく、特にRa(E)/Ra(B)の値が0.6以上、1.3以下であるのが好ましく、0.7以上、1.1以下であるのがより好ましい。この範囲とすることで、本発明の効果の中でも特に、経時でのかぶり上昇が小さく、フィルムの搬送性がよく、熱現像時の濃度むらの発生についてより向上させることができる。
本発明に係る画像形成方法においては、画像形成層を有する側の表面に含まれるマット剤の最大の平均粒径をもつものの平均粒径をLe(μm)、バックコート層を有する側の表面に含まれるマット剤の最大の平均粒径をもつものの平均粒径をLb(μm)とする時Lb/Leが2.0〜10であることが好ましく、より好ましくは3.0〜4.5である。Lb/Leをこの範囲とすることで本発明の効果の中でも特に、熱現像時の濃度ムラを改良することができる。また本発明に係る画像形成方法においてはRz(E)/Ra(E)の値は好ましくは12以上、60以下であり、より好ましくは14以上、50以下である。Rz(E)/Ra(E)の値をこの範囲とすることで本発明の効果の中でも特に、熱現像時の濃度ムラおよび経時での保存特性を改良することができる。また本発明に係る画像形成方法においてはRz(B)/Ra(B)の値は好ましくは25以上、65以下であり、より好ましくは30以上、60以下である。Rz(B)/Ra(B)の値をこの範囲とすることで本発明の効果の中でも特に、熱現像時の濃度ムラおよび経時での保存特性を改良することができる。
本発明においては、熱現像感光材料の表面層に(画像形成層側、また支持体をはさみ画像形成層の反対側に非画像形成層を設けた場合にも)、本発明の目的、また表面粗さをコントロールする等のためにマット剤として有機または無機の粉末を用いることが好ましい。本発明において用いられる粉末としては、モース硬度が5以上の粉末を用いることが好ましい。粉末としては公知の無機質粉末や有機質粉末を適宜選択して使用することができる。無機質粉末としては、例えば、酸化チタン、窒化ホウ素、SnO2、SiO2、Cr23、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、SiC、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、ザクロ石、ガーネット、マイカ、ケイ石、窒化ケイ素、炭化ケイ素等を挙げることができる。有機質粉末としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、テフロン(登録商標)等の粉末を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、SiO2、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、Cr23、マイカ等の無機粉末等であり、その中でもSiO2、α−Al23が好ましく、特に好ましいのはSiO2である。
本発明において、前記粉末が、例えば、表面処理されていることが好ましい。表面処理層形成は、無機質粉末素材を乾式粉砕後、水と分散剤を加え、湿式粉砕、遠心分離により粗粒分級が行われる。その後、微粒スラリーは表面処理槽に移され、ここで金属水酸化物の表面被覆が行われる。まず、所定量のAl、Si、Ti、Zr、Sb、Sn、Znなどの塩類水溶液を加え、これを中和する酸、またはアルカリを加えて、生成する含水酸化物で無機質粉末粒子表面を被覆する。副生する水溶性塩類はデカンテーション、濾過、洗浄により除去し、最終的にスラリーpHを調節して濾過し、純水により洗浄する。洗浄済みケーキはスプレードライヤーまたはバンドドライヤーで乾燥される。最後にこの乾燥物はジェットミルで粉砕され、製品になる。また、水系ばかりでなくAlCl3、SiCl4の蒸気を非磁性無機質粉末に通じ、その後水蒸気を流入してAl、Si表面処理を施すことも可能である。その他の表面処理法については、「Characterization of Powder Surfaces」Academic Pressを参考にすることができる。
本発明では、Si化合物またはAl化合物により表面処理されていることが好ましい。かかる表面処理のなされた粉末を用いるとマット剤分散時の分散状態を良好にすることができる。前記SiまたはAlの含有量としては、前記粉末に対して、Siが0.1〜10質量%、Alが0.1〜10質量%であるのが好ましく、より好ましくはSiが0.1〜5質量%、Alが0.1〜5質量%であり、Siが0.1〜2質量%、Alが0.1〜2質量%であるのが特に好ましい。また、Si、Alの質量比がSi<Alであるのがよい。表面処理に関しては特開平2−83219号公報に記載された方法により行うことができる。なお、本発明における粉末の平均粒径とは、球状粉末においてはその平均直径を、針状粉末においてはその平均長軸長を、板状粉末においてはその板状面の最大の対角線の長さの平均値をそれぞれ意味し、電子顕微鏡による測定から容易に求めることができる。
上記の有機または無機粉末は平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。
画像形成層側の最外層に含まれる有機または無機粉末の平均粒径は、通常0.5〜8.0μm、好ましくは1.0〜6.0μmであり、より好ましくは2.0〜5.0μmである。添加量は最外層に用いられるバインダー量(架橋剤についてはバインダー量に含む)に対して通常1.0〜20質量%であり、好ましくは2.0〜15質量%であり、より好ましくは3.0〜10質量%である。支持体をはさんで画像形成層側とは反対側の最外層に含まれる有機または無機粉末の平均粒径は、通常2.0〜15.0μm、好ましくは3.0〜12.0μmであり、より好ましくは4.0〜10.0μmである。添加量は最外層に用いられるバインダー量(架橋剤についてはバインダー量に含む)に対して通常0.2〜10質量%であり、好ましくは0.4〜7質量%であり、より好ましくは0.6〜5質量%である。
また、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となる粉末である。ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
{(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)}×100
有機または無機粉末の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前に有機または無機粉末を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類の粉末を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
(支持体)
熱現像感光材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(アルミニウム等)等が挙げられるが、情報記録材料としての取扱い上は、可撓性のあるシートまたはロールに加工できるものが好適である。従って、本発明に係る熱現像感光材料における支持体としては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム(TAC)またはポリカーボネート(PC)フィルム等のプラスチックフィルムが好ましく、特に2軸延伸したPETフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
帯電性を改良するために金属酸化物及び/または導電性ポリマー等の導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらは何れの層に含有させてもよいが、好ましくはバッキング層または感光性層側の表面保護層、下引層等に含まれる。米国特許第5,244,773号明細書のカラム14〜20に記載された導電性化合物等が好ましく用いられる。中でも、本発明では、バッキング層側の表面保護層に導電性金属酸化物を含有することが好ましい。このことで、更に本発明の効果(特に熱現像処理時の搬送性)を高められることが判った。
ここで、導電性金属酸化物とは結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は、一般的に言って導電性が高いので特に好ましく、特に後者はハロゲン化銀乳剤にかぶりを与えないので特に好ましい。金属酸化物の例として、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、またはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えば、ZnOに対してはAl、In等の添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、またTiO2に対してはNb、Ta等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜30モル%の範囲が好ましいが、0.1〜10モル%であれば特に好ましい。更にまた、微粒子分散性、透明性改良のために、微粒子作製時に珪素化合物を添加してもよい。
本発明に用いられる金属酸化物微粒子は導電性を有しており、その体積抵抗率は107Ω・cm以下、特に105Ω・cm以下である。これらの酸化物については特開昭56−143431号、同56−120519号、同58−62647号の各公報等に記載されている。更にまた、特公昭59−6235号公報に記載の如く、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状物(酸化チタン等)に上記の金属酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。
利用できる粒子サイズは1μm以下が好ましいが、0.5μm以下であると分散後の安定性が良く使用し易い。また、光散乱性をできるだけ小さくするために、0.3μm以下の導電性粒子を利用すると、透明感光材料を形成することが可能となり大変好ましい。また、導電性金属酸化物が針状あるいは繊維状の場合は、その長さは30μm以下で直径が1μm以下が好ましく、特に好ましいのは長さが10μm以下で直径0.3μm以下であり、長さ/直径比が3以上である。なお、SnO2としては、石原産業社より市販されており、SNS10M、SN−100P、SN−100D、FSS10M等を用いることができる。
本発明に係る熱現像感光材料は、支持体上に少なくとも1層の感光層である画像形成層を有している。支持体上に画像形成層のみを形成してもよいが、画像形成層の上に少なくとも1層の非感光層を形成することが好ましい。例えば、画像形成層の上には保護層が、画像形成層を保護する目的で設けられることが好ましく、また支持体の反対の面には、感光材料間の、あるいは感光材料ロールにおける「くっつき」を防止するために、バックコート層が設けられる。
これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては、画像形成層よりもガラス転位点(Tg)が高く、擦傷や、変形の生じ難いポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のポリマーが、前記のバインダーの中から選ばれる。
なお、階調調整等のために、画像形成層を支持体の一方の側に2層以上または支持体の両側に1層以上設置してもよい。
(構成層の塗布)
本発明に係る熱現像感光材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば、画像形成層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下(より好ましくは90質量%以下)となる前に、上層を設けることである。
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えば、バーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いることができる。これらのうちより好ましくはスライド塗布法、エクストリュージョン塗布法である。これらの塗布方法は画像形成層を有する側について述べたが、バック層を設ける際、下引きと共に塗布する場合についても同様である。熱現像感光材料における同時重層塗布方法に関しては、特開2000−15173号公報に詳細な記載がある。
なお、本発明において、塗布銀量のうちハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ましい、更には5〜15%が好ましい。
また、本発明において、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好ましい。更には1×1015個/m2以上、1×1017個/m2以下が好ましい。
更に、前記の非感光性長鎖脂肪族カルボン酸銀の塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子1個当たり、1×10-17g以上、1×10-14g以下が好ましく、1×10-16g以上、1×10-15g以下がより好ましい。
上記のような範囲内の条件において塗布した場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高濃度、即ち銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
本発明においては、熱現像感光材料が現像時に溶剤を5〜1,000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。100〜500mg/m2であるように調整することがより好ましい。それにより、高感度、低かぶり、最高濃度の高い熱現像感光材料となる。溶剤としては、特開2001−264930号公報の段落「0030」に記載のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらの溶剤は単独または数種類組合せて用いることができる。
なお、熱現像感光材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。また、当該溶剤の含有量は、含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
(包装体)
本発明に係る熱現像感光材料を保存する場合は、経時での濃度変化やかぶり発生を防止するため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で49.3×10-5ml/Pa・m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは9.9×10-5ml/Pa・m2・day以下、更に好ましくは1.0×10-5ml/Pa・m2・day以下である。水分透過率は9.9×10-5g/Pa・m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは4.9×10-5g/Pa・m2・day以下、更に好ましくは1.0×10-5g/Pa・m2・day以下である。熱現像感光材料用の包装材料の具体例としては、例えば、特開平8−254793号、特開2000−206653号、同2000−235241号、同2002−062625号、同2003−015261号、同2003−057790号、同2003−084397号、同2003−098648号、同2003−098635号、同2003−107635号、同2003−131337号、同2003−146330号、同2003−226439、同2003−228152号の各公報に記載されている包装材料である。また包装体内の空隙率は0.01〜10%、好ましくは0.02〜5%とするのがよく、窒素封入を行って包装体内の窒素分圧を80%以上、好ましくは90%以上とするのがよい。また包装体内の相対湿度は10%以上60%以下、好ましくは40%以上、55%以下とするのが良い。
(熱現像感光材料の露光)
熱現像感光材料は、画像記録する際にレーザ光を用いるのが普通である。本発明においては、当該感光材料に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該感光材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワーがハイパワーであることや、熱現像感光材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
また特に本発明に係る熱現像感光材料は、好ましくは光量が1mW/mm2以上の高照度の光で短時間露光されることでその特性を発揮する。ここでの照度は熱現像後の感光材料が3.0の光学濃度がでるときの照度を言う。このような高照度で露光を行うと必要な光学濃度を得るために必要な光量(=照度×露光時間)が少なくてすみ、高感度システムを設計できる。より好ましくはその光量は2mW/mm2以上50W/mm2以下であり、更に好ましくは10mW/mm2以上50W/mm2以下である。このような光源であればどのようなものでも構わないが、レーザ光であることによって好ましく達成できる。本発明にこのましく用いられるレーザ光としては、ガスレーザ(Ar+、Kr+、He−Ne)、YAGレーザ、色素レーザ、半導体レーザなどが好ましい。また、半導体レーザと第2高調波発生素子などを用いることもできる。また青〜紫発光の半導体レーザ(波長350nm〜440nmにピーク強度を持つもの等)を用いることができる。青〜紫発光の高出力半導体レーザとしては、日亜化学のNLHV3000E半導体レーザを挙げることができる。
本発明において、露光はレーザ走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、感光材料の露光面と走査レーザ光の為す角が実質的に垂直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙げられる。
ここで、「実質的に垂直になることがない」とは、レーザ光走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55〜88度、より好ましくは60〜86度、更に好ましくは65〜84度、最も好ましくは70〜82度であることを言う。
レーザ光が感光材料に走査される時の、感光材料露光面でのビームスポット直径は好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方が、レーザ光入射角度の垂直からの「ずらし角度」を減らせる点で好ましい。なお、ビームスポット直径の下限は10μmである。この様なレーザ走査露光を行うことにより、干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることができる。
また、第2の方法として、露光は縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳を掛ける、等の方法がよい。なお、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常、露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
更に、第3の態様としては、2本以上のレーザ光を用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。この様な複数本のレーザ光を利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば、特開昭60−166916号公報等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザ光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、これはレーザイメージャー等と原理的に同じレーザ走査光学装置である。
レーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段における感光体上へのレーザ光の結像は、1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途から、一つのレーザ光の結像位置から1ライン分ずらして次のレーザ光が結像されている。具体的には、二つの光ビームは、互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(dpiとは、1インチ=2.54cm当たりのドット数を表す)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dpiで42.3μmである。この様な、副走査方向に解像度分ずらした方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上のレーザを入射角を変え露光面に集光させ画像形成することが好ましい。この際、通常の1本のレーザ光(波長λ[nm])で書き込む場合の露光面での露光エネルギーがEであり、露光に使用するN本のレーザ光が同一波長(波長λ[nm])、同一露光エネルギー(En)である場合に、0.9×E≦En×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。この様にすることにより、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれのレーザ光の画像形成層への反射は、レーザの露光エネルギーが低いため低減され、ひいては干渉縞の発生が抑えられる。
なお、上述では複数本のレーザ光の波長をλと同一のものを使用したが、波長の異なるものを用いてもよい。この場合には、λ[nm]に対して(λ−30)<λ1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にするのが好ましい。
なお、上述した第1、第2及び第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でも、メンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザによるレーザ光を用いるのが好ましい。なお、レーザ・イメージャやレーザ・イメージセッタで使用されるレーザ光において、熱現像感光材料に走査される時の該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は熱現像感光材料固有のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、熱現像感光材料毎に最適な値に設定することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。なお、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。
実施例1
〈下引加工した写真用支持体の作製〉
光学濃度0.150(コニカミノルタ(株)製デンシトメータPDA−65で測定)に下記青色染料で着色した2軸延伸熱固定した厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に、8W・分/m2のコロナ放電処理を施した写真用支持体に、下引加工を行った。即ち、この写真用支持体の一方の面に下引塗布液a−1を乾燥膜厚が0.2μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥して画像形成層側下引層を形成した(下引下層A−1という)。また、反対側の面にバッキング層下引層として、下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚が0.12μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させてバッキング層側に帯電防止機能を持つ下引導電層(下引下層B−1という)を塗設した。下引下層A−1と下引下層B−1の上表面に、8W・分/m2のコロナ放電を施し、下引下層A−1の上には下記下引塗布液a−2を乾燥膜厚0.03μmになるように33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層A−2とし、下引下層B−1の上には下記下引塗布液b−2を乾燥膜厚0.2μmになるように33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層B−2とし、更に123℃で2分間支持体を熱処理し25℃、50%RHの条件下で巻き取り、下引済み試料を作製した。
Figure 2006030239
〈水性ポリエステルA−1溶液の調製〉
テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム・一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。
その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルA−1を合成した。得られた水性ポリエステルA−1の固有粘度は0.33、平均粒径は40nm、Tg:51℃、Mw=80000〜100000であった。
次いで、撹拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの3つ口フラスコに、純水850mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、水性ポリエステルA−1を150g徐々に添加した。室温でこのまま30分間撹拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、15質量%の水性ポリエステルA−1溶液を調製した。
〈変性水性ポリエステルB−1〜2溶液の調製〉
撹拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA−1溶液1900mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24質量%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続ける。その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−1溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。
ビニル変性比率を36質量%にし、変性成分をスチレン:グリシジルメタクリレート:アセトアセトキシエチルメタクリレート:n−ブチルアクリレート=39.5:40:20:0.5にした以外は同様にして、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−2溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。
〈アクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3の作製〉
乳化重合により、表1に示すモノマー組成を有するアクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3を合成した。固形分濃度は全て30質量%とした。
Figure 2006030239
〈画像形成層側下引下層用塗布液a−1〉
アクリル系ポリマーラテックスC−3(固形分30%) 70.0g
エトキシ化アルコールとエチレンホモポリマーの水分散物(固形分10%)
5.0g
界面活性剤(A) 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
〈画像形成層側下引上層用塗布液a−2〉
変性水性ポリエステルB−2(18質量%) 30.0g
界面活性剤(A) 0.1g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50)
0.04g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
〈バックコート層側下引下層用塗布液b−1〉
アクリル系ポリマーラテックスC−1(固形分30%) 30.0g
アクリル系ポリマーラテックスC−2(固形分30%) 7.6g
SnO2ゾル 180g
(特公昭35−6616号公報の実施例1に記載の方法で合成したSnO2ゾルを固形分濃度が10質量%になるように加熱濃縮した後、アンモニア水でpH=10に調整したもの)
界面活性剤(A) 0.5g
PVA−613(クラレ(株)製 PVA)5質量%水溶液 0.4g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
〈バックコート層側下引上層用塗布液b−2〉
変性水性ポリエステルB−1(18質量%) 145.0g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50) 0.2g
界面活性剤(A) 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
なお、前記下引層を施した支持体の下引層A−2上には下記の組成のバックコート層、バックコート層保護層を塗設した。
Figure 2006030239
〈バックコート層塗布液の調製〉
メチルエチルケトン(MEK)830gを撹拌しながら、セルロースアセテートプロピオネート(Eastman Chemical社製:CAP482−20)84.2g及びポリエステル樹脂(Bostic社:VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。次に、溶解した液に0.30gの下記赤外染料1を添加し、更にメタノール43.2gに溶解した弗素系界面活性剤(旭硝子社製:サーフロンKH40)4.5gと弗素系界面活性剤(大日本インキ社製:メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。次にオレイルオレートの2.5gを添加、撹拌しバックコート層塗布液を調製した。
Figure 2006030239
〈バックコート層保護層(表面保護層)塗布液の調製〉
バックコート層保護層についても下記の組成比率でバックコート層塗布液と同様にして調製した。シリカについてはMEKに1%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散を行い、最後に添加した。
セルロースアセテートプロピオネート(10%MEK溶液) 15g
(Eastman Chemical社製:CAP482−20)
単分散度15%の単分散シリカ(平均粒径:10μm) 0.03g
(シリカ全質量の1%のアルミニウムで表面処理)
817(CH2CH2O)12817 0.05g
弗素系界面活性剤(SF−17) 0.01g
ステアリン酸 0.1g
オレイルオレート 0.1g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.1g
〈マイクロカプセル1の製造〉
工程(1):コア分散液の調製
クレアミックスCLM−0.8S(エムテクニク(株)製)のポットに、30gのサリチル酸(関東化学社製)と30gのポリビニルブチラールBL−5(積水化学社製)、250gの酢酸エチルを加えて攪拌し溶解した、1.5gのドデシル硫酸ナトリウム(関東化学社製)をイオン交換水に溶解した水溶液600gを添加後、回転数20000rpmで5分間乳化した。その後、減圧下で溶剤を除去し、カプセルコア分散液約645gを得た。平均粒径320nm。コア粒子の平均粒径は、全てMalvern社製のZetasizer 1000HSで求めた。
工程(2):カプセルの調製
上記で調製したカプセルコア分散液620gにポリエチレンワックスを含む分散液であるS6254B(東邦化学工業(株)製:固形分濃度25%)230gを加えた。80℃で1時間攪拌した後、室温まで戻し水200gを加えて薄めた液をスプレードライヤーを用いて中心温度100℃で乾燥しながら95gのカプセル粉末を得た。得られたカプセルのSEM(走査型電子顕微鏡写真)からカプセル被覆を確認した。平均粒径710nm。
〈マイクロカプセル2の製造〉
工程(1):コア分散液の調製
クレアミックスCLM−0.8S(エムテクニク(株)製)のポットに、30gのP−トルエンスルホン酸(関東化学社製)と30gのポリビニルブチラールBL−5(積水化学社製)、350gのトルエンを加えて攪拌・溶解した、5gのアクアロンKH−05(第一工業製薬社製:界面活性剤)をイオン交換水に溶解した水溶液900gを添加後、回転数20000rpmで7分間乳化した。その後、常圧で溶剤及び水を濃縮し、カプセルコア分散液約645gを得た。平均粒径130nm。
工程(2):カプセルの調製
上記で調製したカプセルコア分散液620gにポリエチレンワックスを含む分散液であるS3121(東邦化学工業(株)製:固形分濃度25%)300gを加えた。更に水1000gを加えて薄めた液をスプレードライヤーを用いて中心温度110℃で乾燥しながら75gのカプセル粉末を得た。得られたカプセルのSEM(走査型電子顕微鏡写真)からカプセル被覆を確認した。平均粒径450nm。
〈マイクロカプセル3の製造〉
100gのP−トルエンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)、150gのPP1302(クラリアント社製ポリオレフィンワックス)及び10gのエフトップEF−801(ジェムコ(株)製)、及び750gのMEK(メチルエチルケトン)を加えてクレアミックスCLM−0.8S(エムテクニク(株)製)回転数20000rpmで10分間分散した。分散した後反応釜で加熱還流しながら30分攪拌後、ゆっくりと冷却することにより分散液の温度を室温まで戻しカプセルのMEK分散液を得た。減圧で溶剤を除去してカプセルのパウダーを得た。平均粒径430nm。
〈マイクロカプセル4の製造〉
工程(1):コア分散液の調製
クレアミックスCLM−0.8S(エムテクニク(株)製)のポットに、30gのフタル酸(関東化学社製)と30gの(アセトアセトキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/ステアリルメタクリレート=20/30/50のポリマー、重量平均分子量25000)、及び200gのトルエン、及び50gのTHF(テトラヒドロフラン)を入れて攪拌して、1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)をイオン交換水に溶解した水溶液600gを添加後、回転数20000rpmで10分間乳化した。その後、減圧下で溶剤を除去し、カプセルコア分散液約312gを得た。平均粒径405nm。
工程(2):カプセルの調製
上記で調製したカプセルコア分散液300gを攪拌下80℃に加熱し、更にPP1502(クラリアント社製ポリオレフィンワックス)100gを90℃で溶融した溶液を滴下した。全量滴下後30分した後、反応液の温度を下げて室温に戻してカプセルの分散液を得た。減圧で溶剤を除去してカプセルのパウダーを得た。得られたカプセルのSEM(走査型電子顕微鏡写真)からカプセル被覆を確認した。平均粒径560nm。
(カプセル皮膜性の評価)
上記に得られたカプセルの皮膜性をSEMで観察した。更にMEK中でカプセルの溶解が始まるまでの時間を求めた。
Figure 2006030239
表2から分かるようにポリオレフィンワックスを用いたカプセルは皮膜性がよく、且つMEK耐久性にも優れた材料であることが分かる。特にMEK耐久性が1%以内で、且つヘーズが20以下のポリオレフィンワックスを用いたカプセルは特に性能が高かった。
〈感光性ハロゲン化銀乳剤A1の調製〉
(A1)
フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g
化合物(AO−1)の10%メタノール水溶液 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる
(B1)
0.67モル/L硝酸銀水溶液 2635ml
(C1)
臭化カリウム 50.69g
沃化カリウム 2.66g
水で660mlに仕上げる
(D1)
臭化カリウム 151.6g
沃化カリウム 7.67g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム(1%水溶液) 0.93ml
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 0.004g
ヘキサクロロオスミウム(IV)酸カリウム 0.004g
水で1982mlに仕上げる
(E1)
0.4モル/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
(F1)
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げる
(G1)
56%酢酸水溶液 18.0ml
(H1)
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げる
AO−1:HO(CH2CH2O)n〔CH(CH3)CH2O〕17(CH2CH2O)mH(m+n=5〜7)。
特公昭58−58288号公報に示される混合撹拌機を用いて溶液(A1)に溶液(B1)の1/4量及び溶液(C1)全量を20℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し核形成を行った。1分後に溶液(F1)の全量を添加した。この間、pAgの調整を(E1)を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液(B1)の3/4量及び溶液(D1)の全量を、20℃、pAg8.09に制御しながら、14分15秒かけて同時混合法により添加した。5分間撹拌した後、40℃に降温し、溶液(G1)を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10L加え、撹拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、撹拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液(H1)を加え、60℃に昇温し、更に120分撹拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀乳剤A1を得た。
この乳剤は、平均粒子サイズ25nm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
〈感光性ハロゲン化銀乳剤A2の調製〉
上記感光性ハロゲン化銀乳剤A1の調製において、核生成後に溶液F1の全量を添加した後に、下記の化合物(ETTU)の0.1%エタノール溶液を4ml添加した以外は同様にして感光性ハロゲン化銀乳剤A4を調製した。なお、この乳剤は平均粒子サイズ25nm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
Figure 2006030239
〈感光性ハロゲン化銀乳剤A3の調製〉
上記感光性ハロゲン化銀乳剤A1の調製において、核生成後に溶液F1の全量を添加した後に、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの0.1%エタノール溶液を4ml添加した以外は同様にして感光性ハロゲン化銀乳剤A3を調製した。なお、この乳剤は平均粒子サイズ25nm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
〈感光性ハロゲン化銀乳剤B1の調製〉
同時混合法による添加時の温度を45℃に変更した以外は、感光性ハロゲン化銀乳剤A1の調製と同様に行った。この乳剤は平均粒子サイズ55nm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
〈感光性ハロゲン化銀乳剤B2の調製〉
上記感光性ハロゲン化銀乳剤B1の調製において、核生成後に溶液F1の全量を添加した後に、前記の化合物(ETTU)の0.1%エタノール溶液を4ml添加した以外は、同様にして感光性ハロゲン化銀乳剤B2を調製した。この乳剤は平均粒子サイズ55nm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
〈粉末有機銀塩Aの調製〉
4720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを80℃で溶解した。次に1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、感光性ハロゲン化銀乳剤(種類と添加量は表2に記載)と純水450mlを添加し5分間撹拌した。次に1モル/Lの硝酸銀溶液468.4mlを2分間かけて添加し、10分間撹拌し有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて撹拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機熱風温度の運転条件(入口65℃、出口40℃)により含水率が0.1%になるまで乾燥して乾燥済みの粉末有機銀塩Aを得た。この有機銀塩を用いて作製した熱現像感光材料試料17(後述)について電子顕微鏡を用いた分析結果から、平均粒径(円相当径)0.08μm、アスペクト比5、単分散度10%の平板状粒子であった。なお、有機銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
〈予備分散液Aの調製〉
画像形成層バインダーとして、SO3K基含有ポリビニルブチラール(Tg75℃、−SO3K基を0.2ミリモル/g含む)14.57gをMEK1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて撹拌しながら、上記粉末有機銀塩A、500gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液Aを調製した。
〈感光性乳剤分散液Aの調製〉
予備分散液Aをポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ社製:トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行うことにより感光性乳剤分散液Aを調製した。
〈安定剤液の調製〉
1.0gの安定剤1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解し安定剤液を調製した。
〈赤外増感色素液Aの調製〉
9.6mgの赤外増感色素1、9.6mgの赤外増感色素2、1.488gの2−クロロ安息香酸、2.779gの安定剤2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを31.3mlのMEKに暗所にて溶解し赤外増感色素液Aを調製した。
〈添加液aの調製〉
4.20gの一般式(1)の還元剤(1−1)、23.78gの一般式(2)の還元剤(2−6)、9.3gの熱溶剤(表3に記載の種類)、0.159gの一般式(YB)の化合物(YA−1)、0.159gのシアン発色性ロイコ染料CA−12、1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの前記赤外染料1をMEK100.7gに溶解し、2.0gのマイクロカプセル(表3に記載の種類)をMEK100gに分散し、添加液aとした。
〈添加液bの調製〉
1.56gのかぶり防止剤2、0.5gのかぶり防止剤3、0.5gのかぶり防止剤4、0.5gのかぶり防止剤5、3.43gのフタラジンをMEK40.9gに溶解し添加液bとした。
〈添加液cの調製〉
省銀化剤(A−7)0.3g、をMEK39.7gに溶解し添加液cとした。
〈添加液dの調製〉
0.1gの強色増感剤1をMEK9.9gに溶解し、添加液dとした。
〈添加液eの調製〉
0.5gのp−トルエンチオスルホン酸カリウム、0.5gのかぶり防止剤6をMEK9.0gに溶解し、添加液eとした。
〈添加液fの調製〉
1.0gのビニルスルホン〔(CH2=CH−SO2CH22CHOH〕を含有するかぶり防止剤をMEK9.0gに溶解し、添加液fとした。
〈画像形成層塗布液の調製〉
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液Aの50g及びMEK15.11gを撹拌しながら21℃に保温し、化学増感剤S−5(0.5%メタノール溶液)1000μlを加え、2分後にかぶり防止剤1(10%メタノール溶液)390μlを加えて1時間撹拌した。更に臭化カルシウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して10分撹拌した後に上記の有機化学増感剤の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、更に20分撹拌した。続いて、安定剤液167μlを添加して10分間撹拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液Aを添加して1時間撹拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分撹拌した。13℃に保温したまま、0.5gの添加液d、0.5gの添加液e、0.5gの添加液f、予備分散液Aで使用したバインダー13.31gを添加して30分撹拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4%MEK溶液)1.084gを添加して15分間撹拌した。更に撹拌を続けながら、24.86gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300/モーベイ社製の脂肪族イソシアネート(10%MEK溶液)、4.27gの添加液b、4.0gの添加液cを順次添加し撹拌することにより画像形成層塗布液を得た。
安定剤液を初めとする各塗布液、画像形成層塗布液の調製に用いた添加剤の構造を以下に示す。
Figure 2006030239
Figure 2006030239
また熱溶剤は以下の種類のものを使用した。
TS−1:1,10−デカンジオール(融点72〜74℃)
TS−2:トリフェニルホスフィン(融点81℃)
TS−3:ステアリン酸アミド(融点100℃)
〈画像形成層保護層下層(表面保護層下層)の調製〉
アセトン 5g
MEK 21g
セルロースアセテートプロピオネート 2.3g
(Eastman Chemical社製:CAP−141−20、ガラス転移温度Tg=190℃)
メタノール 7g
フタラジン 0.25g
CH2=CHSO2CH2CH2OCH2CH2SO2CH=CH2 0.035g
1225(CH2CH2O)101225 0.01g
弗素系界面活性剤(SF−17:前出) 0.01g
ステアリン酸 0.1g
ステアリン酸ブチル 0.1g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.1g
〈画像形成層保護層上層(表面保護層上層)の調製〉
アセトン 5g
メチルエチルケトン 21g
セルロースアセテートプロピオネート 2.3g
(Eastman Chemical社製:CAP−141−20、ガラス転移温度Tg=190℃)
パラロイドA−21(ロームアンドハース社製) 0.08g
ベンゾトリアゾール 0.03g
メタノール 7g
フタラジン 0.25g
単分散度15%単分散シリカ(平均粒径: 3μm) 0.140g
(シリカ全質量の1質量%のアルミニウムで表面処理)
CH2=CHSO2CH2CH2OCH2CH2SO2CH=CH2 0.035g
1225(CH2CH2O)101225 0.01g
弗素系界面活性剤(SF−17:前出) 0.01g
ステアリン酸 0.1g
ステアリン酸ブチル 0.1g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.1g
なお画像形成層保護層上層、下層については、上記の組成比率でバックコート層塗布液の調製と同様な方法によって行った。シリカについてはバックコート層保護層と同様にMEKに1質量%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散を行い、最後に添加、撹拌することにより画像形成層保護層上層、下層の塗布液を得た。
〈熱現像感光材料の作製〉
前記のように調製したバックコート層塗布液、バックコート層保護層塗布液を、乾燥膜厚がそれぞれ3.5μmになるように、下引上層B−2上に押出しコーターにて塗布速度50m/minにて塗布を行った。なお、乾燥は乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて行った。
前記画像形成層塗布液と画像形成層保護層(表面保護層)塗布液を押出し(エクストルージョン)コーターを用いて塗布速度50m/minにて、下引上層A−2上に同時重層塗布することにより表2に示す感光材料試料1〜11を作製した。塗布は画像形成層は塗布銀量1.4g/m2で、画像形成層保護層(表面保護層)は乾燥膜厚で3.0μm(表面保護層上層1.5μm、表面保護層下層1.5μm)になる様に行った後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて10分間乾燥を行った。
得られた熱現像感光材料(試料1)の画像形成層側の膜面pHは5.3、ベック平滑度は6000秒であり、バックコート層側の膜面pHは5.5、ベック平滑度は9000秒であった。また試料1〜11について表面粗さを測定したところRz(E)/Rz(B)=0.40、Rz(E)=1.4μmであった。またRz(B)は3.5μmであった。Ra(E)は0.085μmであった。またRa(B)は0.116μmであった。
〈露光及び現像処理〉
上記のように作製した熱現像感光材料試料1〜11を半切サイズ(34.5cm×43.0cm)に加工した後、25℃50%の環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
(包装材料)
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン3%を含むポリエチレン50μm、酸素透過率:0ml/atm・m2・25℃・day、水分透過率:0g/atm・m2・25℃・dayのバリア袋。紙トレーを使用。
〈試料の評価〉
評価は図1、図2に示した熱現像装置(最大50mW出力の810nm半導体レーザー搭載)にて露光と同時に熱現像(表3記載の温度に設定した3枚のパネルヒータで合計13.5秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。ここで、「露光と同時に熱現像する」とは、熱現像感光材料からなる一枚のシート感材で一部が露光されながら、同時に既に露光がなされたシートの一部分で現像が開始されることを意味する。露光部と現像部との距離は12cmであった。このときの線速度は25mm/秒であった。この時の感光材料供給部から画像露光部までの搬送速度、画像露光部での搬送速度、熱現像部での搬送速度はそれぞれ25mm/秒で行った。また、感光材料ストックトレイの位置は床面から45cmの高さであった。なお、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。露光は最高出力から1段ごとに露光エネルギー量をlogE0.05ずつ減じながら階段状に行った。熱現像された各画像について下記性能を評価した。
(現像処理安定性)
熱現像感光材料を30℃相対湿度70%下24時間と、23℃相対湿度45%RH下24時間に置いた後、それぞれ熱現像装置を用いて露光現像処理を行い、2つの環境下における感度差ΔSを測定した。この値が小さいほど現像処理安定性に優れている。
(画像保存性)
熱現像感光材料を濃度1.5になるように熱現像装置を用いて露光現像処理を行い、非感光面を輝度が6000cd/m2で表面温度42℃のシャーカステン(観察機)に72時間接触させ濃度変動量ΔDを測定した。変動が小さいほどより好ましい。結果を併せて表3に示す。
Figure 2006030239
表3から、比較の試料と比べて、本発明の試料は現像処理安定性、画像保存性に優れることが明らかである。
本発明に係る熱現像装置の概略構成図である。 熱現像装置におけるシート状の熱現像感光材料を搬送するための搬送部と、走査露光部の概略構成を示す構成図である。
符号の説明
3 熱現像感光材料
10a、10b、10c ストックトレイ
13a、13b、13c ローラ対
15a、15b、15c マガジン
16 排出トレイ
17 副走査搬送部(副走査手段)
19 走査露光部(レーザ照射手段)
21、22 駆動ローラ
23 ガイド板
25、26 スロープ部
29 押し当て部
31 ガイド板
35 レーザ光源
37 記録制御装置
39 シリンドリカルレンズ
41 ポリゴンミラー
43 fθレンズ
45 立ち下げ用シリンドリカルミラー
51a、51b、51c プレートヒータ
52 ドラム
53 供給ローラ
55 押さえローラ
57 排出ローラ
59 冷却ローラ対
61 ガイドプレート
63 排出ローラ対
150 熱現像装置
A 熱現像感光材料供給部
B 画像露光部
C 熱現像部
D 冷却部
E 電源/制御部

Claims (11)

  1. 支持体の一方の面上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を、熱現像部を有する熱現像装置にて熱現像する方法において、該熱現像部が平面状または曲面状に配列された複数枚のプレートヒータからなる加熱手段を有し、熱現像処理の工程で該熱現像感光材料が最初に接するプレートヒータの温度がそれ以外のプレートヒータの平均温度よりも高いことを特徴とする熱現像感光材料の熱現像方法。
  2. 前記熱現像処理の工程で熱現像感光材料が最初に接するプレートヒータの温度と、それ以外のプレートヒータの平均温度の差が2℃以上10℃未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
  3. 前記熱現像感光材料が融点50℃以上200℃以下の熱溶剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
  4. 支持体の一方の面上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を、熱現像部を有する熱現像装置にて熱現像する方法において、該熱現像部が平面状または曲面状に配列された複数枚のプレートヒータからなる加熱手段を有し、熱現像処理の工程で該熱現像感光材料が最後に接するプレートヒータの温度がそれ以外のプレートヒータの平均温度よりも高いことを特徴とする熱現像感光材料の熱現像方法。
  5. 前記熱現像処理の工程で熱現像感光材料が最後に接するプレートヒータの温度と、それ以外のプレートヒータの平均温度の差が5℃以上15℃未満であることを特徴とする請求項4に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
  6. 前記熱現像処理の工程で熱現像感光材料が最後に接するプレートヒータで該熱現像感光材料の定着処理が行われることを特徴とする請求項4または5に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
  7. 前記定着処理が画保改良剤内包マイクロカプセルによるものであることを特徴とする請求項6に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
  8. 前記画保改良剤内包マイクロカプセルの壁材が50〜150℃の範囲に融点を有する熱溶融性材料からなることを特徴とする請求項7に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
  9. 前記画保改良剤内包マイクロカプセルに用いる壁材のMEK(メチルエチルケトン)に対する溶解性が5%以下であることを特徴とする請求項7または8記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
  10. 前記感光性ハロゲン化銀が熱現像過程において表面潜像型から内部潜像型に変換することにより、表面感度が熱現像前より低下するハロゲン化銀粒子であること、及び黄色発色性ロイコ染料またはシアン発色性ロイコ染料の少なくともいずれかを含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
  11. 前記銀イオン還元剤の少なくとも一種が下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の熱現像方法。
    Figure 2006030239
    (式中、X1はカルコゲン原子またはCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよい。R3は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。)
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