JP2006028467A - モレキュラーインプリントポリマー及びそれを用いる電位検出型人工免疫センサー - Google Patents

モレキュラーインプリントポリマー及びそれを用いる電位検出型人工免疫センサー Download PDF

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Abstract

【課題】水溶性有機物を鋳型分子とするモレキュラーインプリントポリマーの調製方法、さらにモレキュラーインプリント法に基づく電位検出型人工免疫センサーの作製方法を提供する。
【解決手段】水相に溶解した鋳型分子である水溶性有機分子にメタクリル酸を結合させて会合体表面を疎水化し、有機相に対する会合体の移行を促進することにより水溶性有機物のモレキュラーインプリントポリマーを調製する。本モレキュラーインプリントポリマーをプラズマ重合超薄膜上に含浸固定化することを特徴とする電位検出型人工免疫センサーを作成する。

Description

本発明は作製が困難である水溶性有機物に対するモレキュラーインプリントポリマーの調製方法、および感応素子であるモレキュラーインプリントポリマーをプラズマ重合超薄膜に含浸固定化したセンシングエレメントを有する電位検出型の人工免疫センサーの作製方法に関する。より特定的には、本発明は従来の方法より、はるかに多くの有機物に対して適用可能な、高選択性、高感度、低価格で耐久性に優れ、良好な操作性を持ち、さらには微小化、集積化が可能な電位検出型人工免疫センサーの作製方法に関する。
モレキュラーインプリントポリマーは通常、測定対象物となる鋳型分子と機能性モノマーの会合体に、架橋性モノマーと重合開始剤を加え重合させた後、鋳型分子を溶出させて作製する。その特性については例えば、ぶんせき(11)840−846、1998.化学工業(9)670−676、2001に詳述されている。これらのモノマーの占める混合割合は、架橋性モノマーが多く、これが疎水性であるため水溶性鋳型分子のモノマー相に対する溶解性が低く、水溶性鋳型分子に対するモレキュラーインプリントポリマーの作製は困難である。そのため報告されているモレキュラーインプリントポリマーはほとんど疎水性の鋳型分子に適用されたものであり、水溶性鋳型分子に対するモレキュラーインプリントポリマーの作製方法についての報告は非常に少ない。
特表2003−509550公報にはモレキュラーインプリントポリマーの作製方法について報告されている。この方法は固体支持体表面にフリーラジカル開始剤を結合または吸着することによりフリーラジカル開始剤を固体支持体表面に拘束しこのラジカルを起点としてモレキュラーインプリントポリマーをグラフト重合させるものである。電位検出型人工免疫センサーの感応素子としてモレキュラーインプリントポリマーを応用するためには、モレキュラーインプリントポリマー表面におけるわずかな電位変化をトランスデューサに伝達しなければならない。そのためには膜厚が制御された極めて薄いモレキュラーインプリントポリマー層をトランスデューサ表面に強固に形成させる必要がある。またモレキュラーインプリントポリマーによって形成されるセンシングエレメントの層が適度な導電性を持っていなければならない。しかしながら、この方法では支持体とモレキュラーインプリントポリマーが積層された構造になるため、両層をあわせた膜厚が大きくなる。またこの方法ではモレキュラーインプリントポリマー層の膜厚の制御が不可能であり、同時に薄い膜厚のモレキュラーインプリントポリマーを支持体表面に形成することが困難である。モレキュラーインプリントポリマーと支持体により形成された層が導電性を持たない。以上の理由により、この方法を電位検出型人工免疫センサーのセンシングエレメントとして応用することは不可能である。さらにこの方法では、疎水性である架橋性モノマーと機能性モノマーの混合物の相に鋳型分子が溶解する必要性があるため、この方法で適用できる鋳型分子は疎水性有機化合物に限られ水溶性の有機化合物には適用できない。
また、一般的な免疫センサーは選択性が非常に高いバイオセンサーとして、その応用が広く試みられている。しかし、感応素子として抗体や抗原を用いるため、性能が不安定である、劣化しやすい、作製や取り扱いが繁雑である、過酷な環境では使用できない、高価である、などの問題点を有する。
免疫センサーのトランスデューサとしては表面プラズモン共鳴法、水晶子マイクロバランス法、ボルタンメトリー、アンペロメトリー法、ポテンショメトリー法などが応用されている。電位応答を検出する免疫センサーは、構造が簡単で、トランスデュサの検出方式が単純なために、微小化が容易で、多種の化学種用のマイクロシングルセンサーを組み合わせたマイクロマルチセンサーアレイの作製が可能であると考えられる。しかし、電位応答が小さくノイズが大きいため、開発はあまり行われておらず現在いくつかの報告があるのみで実用的な電位応答型免疫センサーは開発されていない。その特性については例えばBiosensors and Bioelectronics(18)1385−1390(2003).Sensors and Actuators B(95)315−320(2003).に詳述されている。
一方、モレキュラーインプリント法は分子認識が可能な有機ポリマーとして研究が盛んに行われており、人工抗体とも呼ばれている。この方法の優れている点は、目的物質にあったモレキュラーインプリントポリマーが簡単な方法で作製できることなどがある。
モレキュラーインプリントポリマーを免疫センサーの感応素子に用いれば、性能が安定した、劣化しにくい、作製や取り扱いが容易な、過酷な環境でも使用可能で安価な人工免疫センサーが作製できる。モレキュラーインプリントポリマーを感応素子とした、人工免疫センサーのトランスデューサとしては水晶振動子センサー、ボルタンメトリーセンサー、表面プラズモン共鳴法などに応用が検討されている。その特性については例えばChemical Communications(2)171−178(2003).Chemical Reviews(100)2495−2504(2000).特開2003−262609に詳述されている。しかし、電位応答を検出する人工免疫センサーの報告は無い。
特表2003−509550号公報
特開2003−262609号公報
本発明の目的のひとつは、簡単な方法で多くの水溶性鋳型分子に適用でき、かつ選択性の高いモレキュラーインプリントポリマーの作製方法を提供することにある。
また、現在報告されているモレキュラーインプリントポリマーを感応素子とした人工免疫センサーはいずれも測定操作が繁雑でやや大掛かりな装置が必要である、応答速度が遅い、モレキュラーインプリントポリマーがトランスデューサから剥がれ易く繰り返し使用し難い、センサー構造やトランスデューサの信号伝達機構が複雑なため微小化や集積化がし難いなどの問題点がある。
本発明のもうひとつの目的は、センサー構造やトランスデューサの信号伝達機構が単純なため微小化や集積化が可能で、さらには測定操作が簡便で、応答速度が早く、繰り返し使用が可能な電位応答型人工免疫センサーの作製方法を提供することにある。さらに、水性検液中の検出目的有機物の存在形態をより正確にモレキュラーインプリントポリマーの鋳型部分に反映させる方法を提供することにより、センサーの選択性能を向上させることを目的とする。
請求項1記載のモレキュラーインプリントポリマーは、水溶性鋳型分子を水相に溶解させてメタクリル酸と会合体を形成させ、それにより分子表面が親水性である水溶性鋳型分子とメタクリル酸の親水基が結合し、メタクリル酸の疎水基が会合体の表面側に配位することにより会合体の表面が疎水化され、水相と混じり合わない疎水性架橋性モノマー相に対する水溶性鋳型分子の移行が促進されることを特徴とする。
請求項2記載のモレキュラーインプリントポリマーはプラズマ重合膜の超薄膜内部に請求項1記載のモレキュラーインプリントポリマーが含浸固定化されることを特徴とする。
請求項3記載のモレキュラーインプリントポリマーの使用方法は水溶性分子の定性定量を目的とする電位検出型人工免疫センサーの感応素子として請求項1ないし2に記載されるモレキュラーインプリントポリマーを用いることを特徴とする。
請求項4記載のセロトニンの定性、定量分析法は、請求項1ないし2に記載されるモレキュラーインプリントポリマーを用いた請求項3に記載された電位検出型人工免疫センサーを作用電極とし、白金電極を対極として分析対象物のセロトニンの有無を検出または濃度を測定することを特徴とする。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明はトランスデューサとして用いた白金電極表面に形成されたプラズマ重合超薄膜内部に多段階膨潤法を用いてモレキュラーインプリントポリマーを含浸固定化することにより、モレキュラーインプリントポリマーの薄膜化、膜厚の制御を可能とし、さらに適度な導電性を持ったセンシングエレメントの作製およびセンシングエレメントの白金電極表面に対する強固な付着性を可能とすることにより電位検出型人工免疫センサーの作製を可能としたものである。
プラズマ重合法は気相重合法であるため、膜厚が制御された超薄膜の作製が可能である。単量体としては、エチルベンゼン、スチレン、ジビニルベンゼン、などが用いられるがエチルベンゼンが最も適当である。また、白金とプラズマ重合膜の界面では白金とプラズマ重合膜が混ざり合ったグラジエント層を形成し、また長寿命のラジカルをトラップしている。そのため、プラズマ重合膜に含浸固定化されたモレキュラーインプリントポリマーも膜厚が制御された超薄膜となり、またモレキュラーインプリントポリマーとプラズマ重合膜で形成されるセンシングエレメントはプラズマ重合膜によって適度な導電性を付与され、さらにセンシングエレメントとトランスデューサである白金電極との密着性が優れているため高い電位伝達効率が得られる。このような原理により感応素子の表面電位の微弱な変化がトランスデューサに高効率に伝達され、本発明の電位検出型人工免疫センサーによる測定が可能となった。好適には本発明のプラズマ重合膜の厚さは、0.1から1.5μm程度が好ましく、最適厚さは約0.5μmである。厚さが0.1μmより薄くなると短絡効果のために応答電位が低下する。また厚さが1.5μmより厚くなると、センシングエレメントの表面電位伝達効率が低下しするため不適当である。
本発明においてはプラズマ重合薄膜を生成後、水相に懸濁させた高沸点有機化合物によって膨潤させ、同時に重合開始剤をプラズマ重合薄膜に浸透させる。続いて水相に懸濁させた鋳型分子、機能性モノマー、架橋剤、ポローゲンをプラズマ重合膜に浸透させる。その後、加熱重合によりプラズマ重合薄膜内部にモレキュラーインプリントポリマーを形成させる。本膨潤操作により、プラズマ重合膜内にモレキュラーインプリントポリマーが固定化され、プラズマ重合膜の膜厚に匹敵するプラズマ重合膜とモレキュラーインプリントポリマーによって構成されるセンシングエレメントが形成される。得られたれたセンシングエレメントが適度な電気伝導性を持ち、かつ白金電極と極めて強い付着性を持ち、厚さが極めて薄いことが特徴である。高沸点有機化合物としてはフタル酸ジブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ブチルベンジル等が好適に使用できる。
多段階膨潤法によるモレキュラーインプリントポリマーの支持体に対する固定化は公知の方法であるが、この方法が原理的に本来疎水性の鋳型分子を対象としたものであるので水溶性の鋳型分子に応用された例は無い。
また、本発明におけるモレキュラーインプリントポリマーは鋳型分子として疎水性の有機化合物のみならず、作製が困難であるとされていた水溶性の有機化合物をも鋳型分子とすることができる。
本発明では、機能性モノマーとして用いたメタクリル酸が水相中に溶解している鋳型分子と水素結合により会合体を形成し、会合体の表面が疎水化され、水相と混ざり合わない疎水性の架橋性モノマー相に対する水溶性鋳型分子の移行が促進され、その結果、本来疎水相に移行しない水溶性鋳型分子が疎水性の架橋性モノマー相に移行し、水溶性鋳型分子のモレキュラーインプリントポリマーの作製が可能となるという事実を見出した。
本発明における水溶性鋳型分子とは例えば、セロトニン、エピネフリン、ノルエピネフリン、水溶性ペプチド類、糖類等の生体成分、アカルボース、アスコルビン酸、クエン酸、パンテノール、テオフィリン、尿素、テトラサイクリン、チアミン、リボフラミン、ピリドキシン、シアノコバラミン、アセチルシステイン、アモキシシリン、ビオチン、カフェイン、エフェドリン、フルオロウラシル、葉酸、アデニン、イソニアジド、レボドパ、ニコチンアミド、キシリトール等の医薬品、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等の環境物質等があり、従来法により血液中濃度、製剤分析における薬物濃度、環境中濃度を簡便迅速に非分離測定することは困難であった。
本発明における架橋性モノマーとは例えばメチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ジビニルベンゼン等がある。
以下、本発明をセロトニン認識電位検出型人工免疫センサーを例にして詳細に説明する。電位検出型人工免疫センサーの作成方法と構造を図1に示す。洗浄後乾燥したガラス板の表面に白金をスッパッタコーティグし白金電極を作製する。その表面にインターフェイスとなるエチルベンゼンをモノマーとしたプラズマ重合膜を0.5μmの膜厚となるようにコーティングする。第一膨潤の操作として、可塑剤であるジブチルフタレイト、重合開始剤であるV−65(2,2‘−アゾビスー2,4ジメチルバレロニトリル)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を蒸留水と混合し、超音波を照射することにより乳化し、そこにプラズマ重合膜をコーティングした白金電極を浸漬し撹拌しながら24時間放置し、プラズマ重合膜層にジブチルフタレート、V−65(2,2‘−アゾビスー2,4ジメチルバレロニトリル)を浸透膨潤させる。第二膨潤の操作として、鋳型分子(セロトニン)、機能性モノマーであるメタクリル酸、架橋剤であるエチレンジメタクリレート、ポローゲンであるトルエンをポリビニルアルコール水溶液と混合し超音波を照射し水層に油球を均質に分散させ、そこに第一膨潤後のデバイスを浸漬し撹拌しながら24時間放置する。その後ヘリウムで充分に脱気後70〜75℃で24時間加熱重合する。重合後、MIPから鋳型分子であるセロトニンを取り除くために水、メタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、に順次30分ずつ浸漬する。その後充分に乾燥してセンサーを作製する。
好適には本センサーと参照電極間の電位差を計測するポテンショメータ、さらにそれを操作しデータを処理するコンピュータを有する。
測定は0.1Mセロトニン塩酸塩水溶液を蒸留水100mLにマイクロシリンジで滴下することにより生じた白金電極に対するセンサーの電位変化を電位差計で測定する。データはRS−232Cによりパーソナルコンピュータに転送し記録する。
測定後の電極は蒸留水、好適には有機溶媒で鋳型部分に結合した分析目的物質を脱離洗浄し繰り返し使用する。
本センサーのセロトニン、トリプタミン、アセトアミノフェン、プロカインアミドに対する電位応答曲線を図2に示す。トリプタミンはセロトニンとその構造が類似しており、アセトアミノフェンはセロトニンと同等のLogP(水−オクタノール分配係数)値を持っている。プロカインアミドはセロトニンと全く異なった分子構造を持っている。本センサーのセロトニンに対する応答速度は非常に早く、10分以内で安定な電位が得られる。少しの誤差が許容できるのなら1分以内の測定も可能である。
トリプタミン、アセトアミノフェン、プロカインアミドに対する応答電位はセロトニンと比較して小さく、また応答速度も遅いことから本センサーがセロトニンを認識し、セロトニンに対して特異的に応答していることが確認できる。
本センサーのセロトニン、トリプタミン、アセトアミノフェン、プロカインアミドに対する応答電位と、比較のために作製したセロトニンを添加せずに作製したポリマーをセンシングエレメントに組み込んだセンサーのセロトニン、トリプタミン、アセトアミノフェン、プロカインアミドに対する応答電位を比較した。その結果を図3に示す。セロトニンをインプリントしたポリマーを組み込んだセンサーではセロトニンに対して特異的に応答しているのに対し、セロトニンをインプリントしていないセンサーではセロトニンの応答電位は他の有機化合物と差異は無い。したがって、セロトニンインプリントポリマーにはセロトニン分子の水溶液中における分子の形態を反映した鋳型部分が形成されており、その部分に水溶液中のセロトニンが特異的にはまり込み電位応答していることが確認できる。
本センサーの有機化合物に対する選択係数を表1に示す。セロトニンと全く異なった分子構造を持つプロカインアミドに対してはもちろん小さな選択係数を示すが、セロトニンとその構造が類似しているトリプタミンや、セロトニンと同等のLogP(水−オクタノール分配係数)値を持っているアセトアミノフェンに対しても小さな選択係数を持っている。
Figure 2006028467
これらの選択係数は市販のイオン選択性電極の妨害物質に対する選択係数の小ささに匹敵し、本センサーが実用的であることを示している。この優れた選択性能は本センサーのモレキュラーインプリントポリマーの分子鋳型の形状が水溶液中の分子の形態を反映していることに起因する。
本センサーが分子認識素子の表面電位の変化を正確に計測していれば、測定される電位は素子と検液との接触面積を変化させても理論上は変化がなく、本センサーの構造をダウンサイズすることにより微小化が可能であると考えられる。しかし、接触面積が減少することによりノイズが増大したり、電位が不安定になり実際には計測できず微小化が不可能な場合がある。そこでセンサーが検液と接触する面積を変えた時のセロトニンに対する電位応答の経時変化を比較した。その結果を図4に示す。図中の長さはセンサーの下端からの距離で、この部分を検液と接触させて測定を行った。括弧内の値は検液との接触面積である。0.1cm、1cm、2cmがモレキュラーインプリントポリマーがプラズマ重合膜に組み込まれている部分で測定した結果である。3cmはモレキュラーインプリントポリマーがプラズマ重合膜に組み込まれている部分と、第1膨潤の処理を行っていない部分を検液と接触させて測定した結果である。、4cmはモレキュラーインプリントポリマーがプラズマ重合膜に組み込まれている部分と、第1膨潤の処理を行っていない部分、そして第1、第2膨潤とも処理していない部分すなわちプラズマ重合膜の部分を検液と接触させて測定した結果である。0.1cm、1cm、2cmと正常なセンサーの範囲では検液との接触面積を変えてもほとんど応答電位の変化がないことが確認できた。0.1cmの場合応答初期でやや電位の減少が確認できるが、これはセンサー下部のエッジ部分のプラズマ重合膜の膜厚がやや薄く、その結果ピンホールができ短絡効果が現れ、その効果の寄与率が大きいためであると考えられる。3cm、4cmとモレキュラーインプリントポリマーが存在しない範囲まで検液と接触させると電位応答性能が急に悪くなることが確認できた。第1膨潤の処理を行っていない部分での応答性の不良は主として、重合開始剤が無いので重合が不充分であることに起因すると考えられる。プラズマ重合膜のみの部分では分子認識素子が存在しないのでプラズマ重合膜に対する非特異的な吸着や分配による応答を示している。したがって、第1膨潤処理が必要であること、本センサーの構造をダウンサイズすることにより微小化が可能であることがわかった。
セロトニン濃度を段階的に変化させた時の本センサーの電位応答曲線と検量線を図5および図6に示す。測定した濃度範囲は1pM〜10mMである。その結果10pMで微弱ではあるが電位が上昇し始め、100pMの時に大きく応答した。したがって本センサーの検出限界は10pMと極めて高感度である。また10nM以上の濃度ではセロトニンの濃度にほぼ比例した段階的な応答をしている。検量線の直線域は10nM〜10mMと非常に広く、広い濃度範囲での測定が可能である。相関係数は0.997で良好な直線性を示している。本センサーの測定値の相対標準偏差は2.4%と再現性にも優れていることがわかった。
本センサーは測定後水や有機溶媒に浸漬する事によって、鋳型部分からセロトニンが脱離し元の電位に復帰することから繰り返し使用が可能であり、また分子認識部位であるモレキュラーインプリントポリマーが、3次元的に架橋した化学構造を持つ堅牢なエチルベンゼンのプラズマ重合膜内部に固定化されているいため、非常に耐久性にも優れている。
測定後乾燥状態で保管すれば性能が劣化することは無く、少なくとも50回繰り返し使用しても性能に変化は無かった。
以上、本発明の電位検出型人工免疫センサーの例示的な実施の形態について述べたが、鋳型分子の種類を変えると共に適当な機能性モノマーを用いることにより、多くの分析目的対象有機物質に対するセンサーの作製が本法により可能である。また本発明の実施に際しては上述した実施の形態には限定されない。
本発明の電位検出型人工免疫センサーは、医薬品分析、臨床分析、環境分析など様々な分野に適用することができる。
発明の効果
以上のように、本発明によれば、生物抗体と異なり簡単な方法で多くの種類の有機物質に対する人工抗体の作製が可能であるため、はるかに多くの目的物質に対するセンサーが同一原理で提供できる。
しかも、感応素子として用いたモレキュラーインプリントポリマーの性能が生物抗体と比較して安定しており、また耐久性に優れているため、過酷な環境下でも使用可能でかつ繰り返し使用が可能である。
さらに、本発明のセンサーは広い測定可能な濃度範囲を有し、かつ高感度である。
以上のような従来の免疫センサーと比較してはるかに優れた性能を持ったセンサーが簡便に作製でき安価に提供することができる。
本発明のセンサーは構造や測定機構が単純ため、微小なシングルセンサーや、マイクロマルチセンサーアレイとしての提供も可能である。
電位検出型人工免疫センサーの作製方法および測定システム セロトニン認識電位検出型人工免疫センサーのセロトニンおよび他の有機物に対する応答曲線 セロトニンインプリントポリマーおよび非インプリントポリマーを感応素子としたセンサーの各種有機物質に対する応答電位の比較 センサーの検液との接触面積が応答曲線におよぼす影響 セロトニン濃度を段階的に変化させたときの応答曲線 セロトニンに対する検量線

Claims (4)

  1. 水溶性有機化合物を鋳型分子とし本有機化合物にメタクリル酸を会合させ疎水性架橋性モノマー存在下にラジカル重合させることにより作製したモレキュラーインプリントポリマー。
  2. プラズマ重合超薄膜に膨潤法により固定化された請求項1記載のモレキュラーインプリントポリマー。
  3. 電位検出型人工免疫センサーにおける固定相としての分子識別センサーとして請求項1ないし2のいずれか1項に記載の方法により調製されるモレキュラーインプリントポリマーを使用することを特徴とするモレキュラーインプリントポリマーの使用方法。
  4. 請求項3記載の電位検出型人工免疫センサーによるセロトニンの定性、定量分析法。
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