JP2006026739A - 亀甲金網 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金網の平面の凹凸が少なく、使用において縦横の伸縮が小さい亀甲金網を提供する。
【解決手段】 鉄鋼材料よりなる網線を用いた亀甲金網において、捻り部の網線の断面硬度が、捻り部以外の網線の断面硬度に対して、ビッカース硬度で10〜30高いことを特徴とする亀甲金網であり、前記捻り部の網線の硬度と捻り部以外の網線の硬度との差が、前記網線を捻合した後に亀甲金網の表面を加圧することにより得られることが好ましく、更に前記加圧は0.5〜2.0kgf/cmであることが好ましい。
【選択図】 無し。

Description

本発明は亀甲金網に関し、特に金網表面の凹凸、及び金網の縦横の伸縮が小さい亀甲金網に関する。
亀甲金網とは、一般に線材を交互に捻り合わせ、六角形の網目を形成した金網をいい、網目の形状が亀の甲羅に似ているところから亀甲金網と呼ばれる。亀甲金網は比較的細い線を使用する割には、他の金網に比較して網目が大きく、目の動き、はずれ等が少なく、且つコスト的にも割安である。
そのため柵、フェンス、禽舎、畜舎等の間仕切り等として広く用いられ、又、フィルター等の補強材、ダクトの外装として、更には土木用資材等として広範に使用されている。
しかし、製造過程において線材を交互に捻り合わせることから、金網の表面が凹凸、乃至波状となり、ロール状に巻き上げたときに嵩張り、更に使用にあたっては、表面の凹凸、乃至波状の形状に加えて、縦横に伸縮しやすいことから、作業効率も劣るという欠点があった。
この対策として、亀甲金網の外縁部に設けられる耳線を省いた亀甲金網、及び線材からなるガイドを網目に配設することが提案されているが(特許文献1を参照。)、該金網は製造工程が複雑である。
特開2002−1471号公報
本発明は上記問題を解決し、金網表面の凹凸が少なく、使用において金網の縦横の伸縮が小さい金網を提供することを課題とする。
本発明者は、亀甲金網の巻き取り前に、金網表面を加圧することにより、捻り部の硬度が高められ、網の表面の凹凸、及び金網の縦横の伸縮が小さい金網を得ることを見出し、本発明にいたった。即ち本発明は以下の通りである。
本発明の亀甲金網は、鉄鋼材料よりなる網線を用いた亀甲金網において、捻り部の網線の断面硬度が、捻り部以外の網線の断面硬度に対して、ビッカース硬度で10〜30高いことを特徴とする。
更に本発明の亀甲金網は、前記捻り部の網線の断面硬度と、捻り部以外の網線の断面硬度との差が、前記網線を捻合した後の亀甲金網の表面を加圧することにより得られることが好ましく、該加圧は0.5〜2.0kgf/cmであることが好ましい。
更に本発明の亀甲金網は、前記網線の径が0.4〜1.5mmであることが好ましく、前記網線は亜鉛引き鉄線、又はなまし鉄線であることが好ましい。又巻き取りロールの径が50〜150mmであることが好ましい。
本発明の亀甲金網は、捻り部の網線の硬度が高められ、金網表面の凹凸、及び金網の縦横の伸縮が小さく、使用に当り取扱が容易という利点がある。更に網の表面の凹凸が少ないことから、巻き取りロールの内径を大きくしても、巻き取り後のロール状金網の外径は従来と同様、乃至それ以下となり、巻き取りロールの内径を大きくすることが可能となり、該巻き取りロールの内径を大きくすることにより、芯部に近い部分の金網のクセが少なくなり、最後まで容易に使用することができる。又巻き取りが固く、しっかりしていることから、輸送、貯蔵等の物流上の取扱も容易であるという利点がある。
本発明の亀甲金網は、鉄鋼材料よりなる網線を交互に捻合した捻り部の網線の断面硬度が、捻り部以外の網線の断面硬度に対して、ビッカース硬度で10〜30高いことを特徴とする。以下本発明の内容について、詳細に説明する。
本発明の亀甲金網において、網目の製造方法は特に限定されず、ボビン、及びヘールから繰り出された網線が、合掌体により捻合して亀甲金網を製造する通常用いられる方法のほかに、亀甲金網を製造する方法であれば他のいかなる方法も用いることができる。
又本発明の金網に用いられる網線は、鉄鋼材料であればいずれの材料も用いることができるが、中でも亜鉛引き鉄線、なまし鉄線がより好ましい。
前記亀甲金網の捻り部は、網線を交互に捻合した部分で、捻り数は3回が最も一般的であるが、本発明は該捻り数が3回のもののみならず、2回、4回等のいずれの金網にも用いることができる。
本発明の亀甲金網は、前記捻り部の網線の断面硬度が、捻り部以外の網線の断面硬度に対して、ビッカース硬度で10〜30高いことを特徴とし、15〜25高いことがより好ましい。該捻り部の網線が、捻り部以外の網線より硬いことにより、該金網の使用において縦横の伸縮の小さい金網とすることができる。
前記捻り部の網線の断面硬度のみを、捻り部以外の網線に対して高くするためには、前記亀甲金網の金網表面全体を、均一に加圧することにより得ることができる。該捻り部は2本の網線が捻られていることから、該金網表面を均一に加圧することにより、該捻り部のみに荷重負荷が掛かり、捻り部以外の網線には荷重負荷が掛からず、荷重負荷による硬度化が捻り部のみに生じるためである。
前記加圧は、前記方法により製造された金網が、引き出しロールにより引き出され後に、圧延と同様の工程である2本の回転するロールの間を通す方法を用いることができる。又直接巻き取りロールの上部に、回転が自由なロール(以下加圧ロールという。) を上下に遊動可能に設け、該加圧ロールが巻き取りロールの回転に伴い回転し、該加圧ロールの自重により金網面を加圧する方法を用いることができる。作業工程の点からは、前記加圧ロールを用いる方法が好ましい。
前記加圧は0.5〜2.0kgf/cmの範囲が好ましく、網線の材料、線径、網目呼称(網目の幅)により前記範囲内で適宜に選択することができる。加圧が過大であると、捻り部の強度が弱くなり、加圧が過小だと本発明の効果を得ることができないことがあり好ましくない。前記加圧をすることにより、捻り部のみの網線の硬度が増大する。
前記加圧後は、通常の亀甲金網の巻き取りと同様に、巻き取りロールにより巻き取るが、加圧により金網表面の凹凸が大幅に減少することから、巻き取られた金網の層厚は薄くなり、亀甲金網のロール状物の径を大幅に減少させることができる。このため巻き取りロールの径を従来品に比し増大しても、亀甲金網のロール状物の外径は従来品と同様、乃至減少させることが可能となる。該巻き取りロールの径は、芯部近辺の金網を有効に使用する上では大きいほど好ましいが、物流の便宜をも考慮すると50〜150mmが好ましい。
以下本発明について、実施例に基づき更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定するものではない。
図1は亀甲金網の模式図を示したものである。図1において10は亀甲金網、12は捻り部、14は捻り部以外の網線、15は亀甲金網の巻き取り方向を示す。図2は、本発明の1実施例の装置を示したものである。図2において、16は金網製造機、20は引き出しロール、22は引き出しロール後の亀甲金網、30は加圧ロール、40は巻き取りロール、50は巻き取られた亀甲金網である。図3は従来方法による亀甲金網の巻き取り装置を示したもので、16、20、22、40、50の符号は図2と同様である。
亀甲金網は、東栄鉄工所製金網製造機(型式:THTR 2100)を用いて製造した。引き出しロール20により引き出された亀甲金網22は、従来方法においては図3に示すとおり直接巻き取りロール40により巻き取られ、巻き取られた後に巻き取りロールから抜き取ることにより亀甲金網のロール状物となる。
一方図2に示す本発明の亀甲金網は、引き出しロール20により引き出された後に、加圧ロール30と巻き取りロール40の間を通過する。加圧ロールは回転が自由で、且つ上下に遊動可能に設けられており、亀甲金網22は加圧ロールの自重による加圧を受ける。
前記加圧ロールにより加圧された亀甲金網は、捻り部において強く加圧され、網目の六角形を形成する6辺の内、捻り部以外の単線よりなる4辺は加圧をほとんど受けない。
以下上記装置を用い以下の試験を行った。
(実施例1)
線径0.85mmの亜鉛引き鉄線を用い、前記金網製造機により、幅960mm、長さ25mの亀甲金網を製造した。加圧ロールとして長さ240cm、径85mm、重量127kgの鋼鉄製ロールを用い、引き出しロールからの金網を圧加した。加圧後の金網は径70cmの巻き取りロールにより巻き取られ、巻き取り終了後に金網を該巻き取りロールから引き抜くことにより、金網のロール状物が製造された。製造された亀甲金網について、ロール状物の内径、外径、幅、及び捻り部の長さを測定した。結果を表1に示す。
前記製造された亀甲金網の捻り部の網線、及び捻り部以外の網線について、各C断面の硬度をビッカース硬さ試験(JIS Z2244)により測定した。測定は網線のC断面内5点のビッカース硬度を測定し、その平均値を該網線の硬度とした。それぞれの網線10点について測定し、その最大値、最小値、平均値を表2に示す。
更に前記ロール状物とした金網について、縦横の伸張程度を測定した。縦方向の伸張程度は図4に示すとおり、縦方向(捻り部12に平行方向)に280mm、横方向(捻り部12に直交方向)に910mmに裁断した金網について、縦方向の端部62から吊り下げ、他端部64に1区:0kg、2区:1.4kg。3区:12kg、4区20kg、5区:28kg、6区:51kgの加重をそれぞれ掛け、3分経過後に該金網の縦横の長さを測定した。結果を表3に示す。
横方向の伸張程度は図5に示すとおり、横方向(捻り部12に直交方向)に280mm、縦方向(捻り部12に平行方向)に910mmに裁断した金網について、横方向の端部72から吊り下げ、他端部74に1区:0kg、2区:1.4kg。3区:12kg、4区20kg、5区:28kg、6区:51kgの加重を掛け、3分経過後に該金網の縦横の長さを測定した。結果を表4に示す。
(比較例1)
加圧ロールを用いないことと、巻き取りロールの内径を40cmとした以外は実施例1と同様として亀甲金網を製造した。製造された亀甲金網について、実施例1と同様に、ロール状物の形状、及び捻り部の長さ、捻り部及び捻り部以外の鋼線の断面の硬度、縦横の伸張程度を測定した。結果をそれぞれ表1〜表4に示す。
Figure 2006026739
Figure 2006026739
Figure 2006026739
Figure 2006026739
表1の結果より、実施例1の金網の層厚は約60cmであるのに対し、比較例1の金網は約105cmで、約45cm薄くなっていた。これは両金網表面の凹凸の差によるものと考えられる。又実施例1の金網は比較例1の金網に比し、捻り部が平均1.5mm伸張していたが、金網の幅には大きな差がなかった。
表2の結果より、実施例1の金網の捻り部における、網線断面の平均ビッカース硬度は平均175で、捻り部以外の網線断面の平均硬度155に対し、ビッカース硬度で20、TS換算で約60N/mm高くなっていた。一方比較例1の金網の捻り部における、断面の平均硬度は、平均156で、捻り部以外の網線断面の平均硬度と差はなかった。
表3の結果より、実施例1の金網は、51kg加重で縦方向に50mm伸張し、横方向に90mm収縮したのに対し、比較例1の金網は、51kg加重で縦方向に70mm伸張し、横方向に110mm収縮した。
表4の結果より、実施例1の金網は、51kg加重で横方向に140mm伸張し、縦方向に300mm収縮したのに対し、比較例1の金網は、51kg加重で横方向に160mm伸張し、横方向に350mm収縮した。
表3、及び表4の結果より、実施例1の金網は比較例1の金網に比較して、加重に対して縦横の伸縮の程度が小さいことが分る。
本発明により、網面表面の凹凸が小さく、加重による縦横の伸縮の小さい金網を提供することができた。本発明の金網は、特にフィルター等の補強材、ダクトの外装等の工作材として有効に利用することができる。
亀甲金網の模式図である。 本発明の実施例の加圧装置を示した説明図である。 従来方法による亀甲金網の巻き取り装置を示した説明図である。 縦方向の伸張程度の測定を示した説明図である。 横方向の伸張程度の測定を示した説明図である。
符号の説明
10 亀甲金網
12 捻り部
14 捻り部以外の網線
15 金網の巻き取り方向
16 金網製造機
20 引き出しロール
22 引き出しロール後の亀甲金網
30 加圧ロール
40 巻き取りロール
50 巻き取り後の亀甲金網
62 縦方向吊り下げ部
64 縦方向荷重部
72 横方向吊り下げ部
74 横方向荷重部

Claims (7)

  1. 鉄鋼材料よりなる網線を用いた亀甲金網において、捻り部の網線の断面硬度が、捻り部以外の網線の断面硬度に対して、ビッカース硬度で10〜30高いことを特徴とする亀甲金網。
  2. 前記捻り部の網線の断面硬度と捻り部以外の網線の断面硬度との差が、前記網線を捻合した後の亀甲金網の表面を加圧することにより得られる請求項1に記載の亀甲金網。
  3. 前記加圧が0.5〜2.0kgf/cmである請求項2に記載の亀甲金網。
  4. 前記加圧が、巻き取りロールの上部に上下に遊動可能に設けられた、回転する加圧ロールの回転により加圧される請求項2又は請求項3に記載の亀甲金網。
  5. 前記網線の径が0.4〜1.5mmである請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の亀甲金網。
  6. 前記網線が亜鉛引き鉄線、又はなまし鉄線である請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の亀甲金網。
  7. 前記巻き取りロールの径が、50〜150mmである請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の亀甲金網。
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