JP2006026534A - シクロデキストリン含有メタン発酵促進剤 - Google Patents
シクロデキストリン含有メタン発酵促進剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006026534A JP2006026534A JP2004209032A JP2004209032A JP2006026534A JP 2006026534 A JP2006026534 A JP 2006026534A JP 2004209032 A JP2004209032 A JP 2004209032A JP 2004209032 A JP2004209032 A JP 2004209032A JP 2006026534 A JP2006026534 A JP 2006026534A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cyclodextrin
- methane fermentation
- methane
- amount
- gas
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E50/00—Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
- Y02E50/30—Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel
Abstract
【課題】 有機物含有廃棄物のメタン発酵を高効率に促進するメタン発酵促進剤の提供。
【解決手段】 難生分解性高水溶性のシクロデキストリンを含む、有機物含有廃棄物のメタン発酵に有用なメタン発酵促進剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 難生分解性高水溶性のシクロデキストリンを含む、有機物含有廃棄物のメタン発酵に有用なメタン発酵促進剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は有機物含有廃棄物を減量し、メタン発生量を増加させることによってメタン発酵を高効率に促進するメタン発酵促進剤に関するものである。
近年、人口の増加や生活の高度化に伴って、家庭や様々な産業から排出される廃棄物の量が増加している。なかでも、下水汚泥や生ごみなどの高有機物含有廃棄物の処理法としては、主に埋め立てや海洋投棄、焼却による処理などの方法が採用されてきた。しかしながら、日本国内では恒常的な埋め立て地不足に悩まされており、また焼却処理に関しても、それに伴うダイオキシン類などの発生や二酸化炭素の排出といった環境汚染が問題視されてきている。また、ロンドン条約の改正(例えば、非特許文献1参照))に伴い、下水汚泥や産業廃棄物の海洋投棄や洋上焼却が禁止されることとなり、有機物含有廃棄物の適切な処理法の開発は急務である。
このような背景から、有機物含有廃棄物の生物学的な処理・減容化方法として、メタン発酵技術が再認識されつつある。メタン発酵技術とは有機廃棄物中の有機物の内、炭水化物を嫌気性消化発酵菌により低級脂肪酸やアルコール類に分解し、タンパク質を消化発酵によって有機酸を経てアミン、アンモニアに分解する。そして生成された低分子有機物をメタンガス化菌類によるメタン発酵によってメタンと炭酸ガスに分解するという過程からなる技術である。これらの消化菌やメタンガス化菌群は、嫌気条件と温度条件(中温メタン発酵処理(35℃前後)、高温処理(55℃前後))によって一般的には増殖が図られている。しかしながら、難分解性の固形性有機物を多く含有する、下水汚泥、動物性固形廃棄物、生ゴミ、古紙、製紙工場やパルプ工場からの排水等のメタン発酵処理では、通常、その加水分解・酸生成反応が律速となっており、30〜40日程度の長い処理時間を必要とするうえ、有機物分解率及びメタンへの転換率が低いことから、高効率な有機物含有廃棄物のメタン発酵技術の開発が望まれている。
有機物含有廃棄物の処理に有用な物質としてサポニンが知られており、動物性蛋白質を含む固形廃棄物を生物処理するにあたり、固形廃棄物の破砕品に親水性部と親油性部の双方を持ち界面活性剤として働くサポニン含有物を添加して、固形廃棄物の可溶化を促進することが確認されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、サポニンは天然物質であるため容易に生分解されることから、酵素触媒的に活性を持続させることが難しく、また高価な天然サポニンを廃棄物の可溶化に利用するには経済的に難点がある。
本発明者らは、サポニン以外に有機物含有廃棄物の処理に有用な物質について種々検討し、その結果、シクロデキストリンに着目した。シクロデキストリンは、デンプンから酵素反応によって得られる環状のオリゴ糖であり、大量生産によって安価な天然可溶化剤として利用できる。また、天然型シクロデキストリンをエーテル化することで水溶性を高めた化学修飾体も工業生産されるようになり、十分に安全性がある家庭用消臭剤や水性塗料製剤としても利用されている。エーテル化シクロデキストリンは、難水溶性汚染物質の可溶化に有効であり、汚染物質を流動化して、微生物へのアクセスが容易という特徴がある。また、エーテル化によってシクロデキストリン自体が難生分解性になることで、長期に渡って、流動化触媒として働き、微生物群の有機物質利用率が高まったことで、微生物を増殖しやすくさせるという特徴もある。そこで、本発明者らは、高効率な有機物含有廃棄物のメタン発酵技術の開発にあたり、この難生分解性高水溶性シクロデキストリンの有用性を検討し、有機物含有廃棄物のメタン発酵を高効率に促進するメタン発酵促進剤の提供を試みた。
岸辺和美、ロンドン条約付属書改正について、バイオサイエンスとインダストリー、1994年、Vol.52, No. 7 特開2002-263624号公報
岸辺和美、ロンドン条約付属書改正について、バイオサイエンスとインダストリー、1994年、Vol.52, No. 7
本発明は有機物含有廃棄物を減量し、メタン発生量を増加させることによって、有機物含有廃棄物のメタン発酵を高効率に促進するメタン発酵促進剤の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、難生分解性高水溶性のあるシクロデキストリンが有機物含有廃棄物のメタン発酵に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
有機物含有廃棄物のメタン発酵において、発酵初期段階で嫌気性消化を司る微生物が餌となる有機物の供給を受け辛く、微生物群の増殖が遅くなり、発酵に長期間を要するため、有機物分解率が低い、言い換えれば、メタンへの転換率が低いという問題があった。 本発明者らは、この問題を解決するべくメタン発酵の際、微生物群の餌となる易分解性の有機物質を加えまたは有機物質の水への可溶化、流動化によって微生物群への有機物供給率の向上を図るために、水溶性難生分解性のシクロデキストリンを加えることを試みた。この易分解性の有機物質の添加またはシクロデキストリンの添加によって、メタン発酵菌が容易に増殖し、有機物のメタンへの転換率が高まることを見出し、本発明を完成するに至った。これらの難消化性シクロデキストリンは、難生分解性であるため、天然型シクロデキストリンやエステル化シクロデキストリンと違い、長期に渡ってメタン発酵の酵素触媒反応の補酵素としての触媒作用を示すことができる。
すなわち、本発明は次のとおりのメタン発酵促進剤である;
(1) シクロデキストリンを含有することを特徴とする有機物含有廃棄物を減量し、メタンガス発生量を増加させるメタン発酵促進剤。
(2) シクロデキストリンが、部分メチル化βシクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル化βシクロデキストリンのいずれかである上記(1)に記載のメタン発酵促進剤。
(1) シクロデキストリンを含有することを特徴とする有機物含有廃棄物を減量し、メタンガス発生量を増加させるメタン発酵促進剤。
(2) シクロデキストリンが、部分メチル化βシクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル化βシクロデキストリンのいずれかである上記(1)に記載のメタン発酵促進剤。
本発明のメタン発酵促進剤は、シクロデキストリンを原料としているため、安価かつ安全である。また、本発明に使用するシクロデキストリンはデキストリンの水酸基のエーテル化による難生分解性高水溶性シクロデキストリンとなるため、長期に渡って流動化触媒作用を有し、微生物のメタン発酵の促進に有効である。
本発明の使用対象となる有機物含有廃棄物は、難分解性の固形性有機物を多く含有する下水余剰汚泥、動物性固形廃棄物、畜産廃棄物、魚のアラなどの水産廃棄物、生ゴミ、古紙、製紙工場やパルプ工場からの排水、その他の有機物含有廃棄物等が挙げられる。なお、余剰汚泥は活性汚泥処理施設から引き出される汚泥で、汚泥物質を浄化する段階で微生物が増殖して発生するスラッジである。
有機物含有廃棄物を分解し、メタン発酵を行う種菌としては、一般的には、Clostridiume acetobutiyium, Cellulomonas flavigena Clostiridiume amylolyticumなど(酸生成菌)、Methanobacterium ruminuntium(メタン発酵菌)、その他多くの菌が関与していると考えられている。これらの菌は合併浄化槽の貯留層の上澄み液に含まれるため、この上澄み液を植種液として用いることができる。なお、合併浄化槽の貯留層は余剰汚泥を最終的には系外に取り出すが、そのとき少しずつ引き抜いた余剰汚泥を一時貯留しておく槽をいう。この槽では余剰汚泥は濃縮され、嫌気発酵が行われており、上澄み液には、一連のメタン発酵菌が存在している。
メタン発酵を促進するために添加する易分解性の有機物としては、炭水化物、或いは、炭水化物を含有し、繊維質の少ない米糠、おから、生ゴミ等を使用することができる。
本発明のメタン発酵促進剤に含有する水溶性難生分解性のシクロデキストリンは、エーテル結合を有する化学修飾シクロデキストリンであり、これには部分メチル化αシクロデキストリン、部分メチル化βシクロデキストリン、部分メチル化γシクロデキストリン、ヒドロキシエチル化αシクロデキストリン、ヒドロキシエチル化βシクロデキストリン、ヒドロキシエチル化γシクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化αシクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化γシクロデキストリン、モノクロロトリアジノ化βシクロデキストリンが挙げられるが、部分メチル化βシクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリンが特に好ましい。これらはワッカー社製等の市販のものを使用することができる。
本発明のメタン発酵促進剤として、有効成分である水溶性難生分解性のシクロデキストリンを粉末のまま用いることができる。または、粉末、顆粒、カプセル、チュアブル、錠剤等の形態で用いることができ、この場合、例えば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等の製剤に通常用いられている添加物を加えて、適宜製剤することができる。また、必要な場合は、製剤上普通に知られている結合剤、崩壊剤、界面活性剤等を添加しても良い。
通常、有機物含有廃棄物に対し、シクロデキストリンを含むメタン発酵促進剤を0.05〜5重量%添加し、嫌気発酵を行う。
以下、本発明を実施例または試験例にて具体的に示すが、本発明はこれらに限られるものではない。
以下、本発明を実施例または試験例にて具体的に示すが、本発明はこれらに限られるものではない。
メタン発酵促進剤による有機廃棄物の減量およびメタンガスの発生
部分メチル化βシクロデキストリン(ワッカー社製、CAVAMAX W7 M、部分置換度(MS値)1.8)粉末をメタン発酵促進剤(以下、CDと略す)とした。また、ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(シクロケム社製、CAVASOL W7HP)粉末をメタン発酵促進剤とした。このCD またはヒドロキシプロピル化βシクロデキストリンを0.5〜2.0g/L含むようにそれぞれ130gの余剰汚泥(または好適な汚泥)に添加し、300mLの嫌気性消化発酵菌およびメタン発酵菌を含む合併浄化槽の貯留層の上澄み液を植種液として加え、35℃の恒温槽内で1〜18日間嫌気性消化及びメタン発酵を行った。370mL/g-MLSSの消化ガス(うち、メタンガスは280mL/g-MLSS)が発生し、有機廃棄物は80gに減量した。
部分メチル化βシクロデキストリン(ワッカー社製、CAVAMAX W7 M、部分置換度(MS値)1.8)粉末をメタン発酵促進剤(以下、CDと略す)とした。また、ヒドロキシプロピル化βシクロデキストリン(シクロケム社製、CAVASOL W7HP)粉末をメタン発酵促進剤とした。このCD またはヒドロキシプロピル化βシクロデキストリンを0.5〜2.0g/L含むようにそれぞれ130gの余剰汚泥(または好適な汚泥)に添加し、300mLの嫌気性消化発酵菌およびメタン発酵菌を含む合併浄化槽の貯留層の上澄み液を植種液として加え、35℃の恒温槽内で1〜18日間嫌気性消化及びメタン発酵を行った。370mL/g-MLSSの消化ガス(うち、メタンガスは280mL/g-MLSS)が発生し、有機廃棄物は80gに減量した。
メタン発酵促進剤(CD)の難生分解性の検討
実施例1で調製したCDの難生分解性を余剰汚泥の嫌気性消化に対する影響によって調べた。3L三角フラスコ4本を用意し、植種液として合併浄化槽の貯留槽の上澄み液を各々300mL加えた。そのうち、2本にCDを0.5および1.0g/Lを各々添加し、蒸留水で三角フラスコを満たし、空気を入れないようゴム栓をした。なお、ゴム栓には発生ガス及び液のサンプルを採取するパイプを2本取付けた。さらに両方のパイプの中間には三方コックが取付け、各々のコックを操作してサンプルをシリンジで採取した。液はスターラーで攪拌し、液のpHは7に調節した。一方、他の2本の三角フラスコは前述の植種液量などは同じであるが、CDの代わりにデキストリン(dextrin; 以下、Dと略す)0.5および1.0g/Lを各々添加した。上記4本の三角フラスコを中温消化の至適温度37℃の恒温槽内に入れ嫌気性消化を行い、それぞれの三角フラスコにおけるガス発生量を測定した。発生した消化ガス量は飽和食塩水を用いた1Lのメスシリンダーに貯留する水上置換法で測定した。
実施例1で調製したCDの難生分解性を余剰汚泥の嫌気性消化に対する影響によって調べた。3L三角フラスコ4本を用意し、植種液として合併浄化槽の貯留槽の上澄み液を各々300mL加えた。そのうち、2本にCDを0.5および1.0g/Lを各々添加し、蒸留水で三角フラスコを満たし、空気を入れないようゴム栓をした。なお、ゴム栓には発生ガス及び液のサンプルを採取するパイプを2本取付けた。さらに両方のパイプの中間には三方コックが取付け、各々のコックを操作してサンプルをシリンジで採取した。液はスターラーで攪拌し、液のpHは7に調節した。一方、他の2本の三角フラスコは前述の植種液量などは同じであるが、CDの代わりにデキストリン(dextrin; 以下、Dと略す)0.5および1.0g/Lを各々添加した。上記4本の三角フラスコを中温消化の至適温度37℃の恒温槽内に入れ嫌気性消化を行い、それぞれの三角フラスコにおけるガス発生量を測定した。発生した消化ガス量は飽和食塩水を用いた1Lのメスシリンダーに貯留する水上置換法で測定した。
結果
嫌気性消化へのCD及びDを嫌気性消化した時の発生ガス量の経時変化を図1に示した。Dでは初濃度0.5および1.0g/LのいずれからもD濃度に見合ったガスが発生し、2日を過ぎるとガスは発生しなくなった。一方、CDでは嫌気性消化10日間を過ぎても初濃度0.5,1.0g/Lのいずれからも全くガスは発生しなかった。10日間の嫌気性消化によっても、CDを添加した三角フラスコにおいてガスが発生せず、Dと比較してCDは植種液により分解されことが十分に示された。この結果より、CDが難生分解性であり、嫌気性消化およびメタン発酵において長期に渡って流動化触媒作用を有することが確認された。
嫌気性消化へのCD及びDを嫌気性消化した時の発生ガス量の経時変化を図1に示した。Dでは初濃度0.5および1.0g/LのいずれからもD濃度に見合ったガスが発生し、2日を過ぎるとガスは発生しなくなった。一方、CDでは嫌気性消化10日間を過ぎても初濃度0.5,1.0g/Lのいずれからも全くガスは発生しなかった。10日間の嫌気性消化によっても、CDを添加した三角フラスコにおいてガスが発生せず、Dと比較してCDは植種液により分解されことが十分に示された。この結果より、CDが難生分解性であり、嫌気性消化およびメタン発酵において長期に渡って流動化触媒作用を有することが確認された。
メタン発酵促進剤(CD)添加量の変化による消化ガス発生量への影響
次に、CD添加量を0.0,0.1,0.5,1.0および2.0g/Lとなるように調製し、CD添加量の変化による消化ガス発生量への影響を調べた。方法は上記と同様であるが、合併浄化槽の返送汚泥(沈澱槽で処理水と活性汚泥とに沈澱分離し、汚泥を再び元の曝気槽に返すが、そのときに返す汚泥をいう。このとき浄化された分だけ菌体が増加するので、この増加分を余剰汚泥として系外に引き抜く)を余剰汚泥とし、嫌気性消化の仕込液として用いた。すなわち遠心分離した余剰汚泥を130g(湿潤重量)/Lを3Lの三角フラスコに入れ、これに植種液を0.3L添加したものを5本用意して各々の濃度のCDを各々の三角フラスコに加え、35℃の恒温槽内で嫌気性消化を行った。発生した消化ガス中のメタン濃度はTCDガスクロマトグラフィー(GL sciences製)によって分析した。
次に、CD添加量を0.0,0.1,0.5,1.0および2.0g/Lとなるように調製し、CD添加量の変化による消化ガス発生量への影響を調べた。方法は上記と同様であるが、合併浄化槽の返送汚泥(沈澱槽で処理水と活性汚泥とに沈澱分離し、汚泥を再び元の曝気槽に返すが、そのときに返す汚泥をいう。このとき浄化された分だけ菌体が増加するので、この増加分を余剰汚泥として系外に引き抜く)を余剰汚泥とし、嫌気性消化の仕込液として用いた。すなわち遠心分離した余剰汚泥を130g(湿潤重量)/Lを3Lの三角フラスコに入れ、これに植種液を0.3L添加したものを5本用意して各々の濃度のCDを各々の三角フラスコに加え、35℃の恒温槽内で嫌気性消化を行った。発生した消化ガス中のメタン濃度はTCDガスクロマトグラフィー(GL sciences製)によって分析した。
結果
CDの余剰汚泥への添加量を調製し、嫌気性消化した場合のガス発生量の経日変化を図2に示した。嫌気性消化開始から2日間はいずれの濃度でもガスの発生量はわずかであった。しかし、その後ガスの発生速度は、無添加のものとの差が顕著に現れ、濃度0.1g/Lでも6日目以降では無添加のものに比較して大きく、12日目では約2倍となった。即ち、CD濃度0g/Lにおけるガス発生量は、発酵日数12日間で100mL/g-MLSSであり、その後、ガスの発生量は極めて少なく18日間では約130mL/g-MLSSのガスが発生した。これに対しCD濃度2.0g/Lでは、消化日数12日間で340mL/g-MLSSのガスが発生し、その後、CD濃度0g/Lのときと同様ガス発生量が減少し、18日間で370mL/g-MLSSのガスの発生が見られた。両者の18日間でのガス発生量は約2.8倍となった。また、消化日数18日間でのガス発生量はCD濃度が高いほど多くなることが分かった。CD濃度0.5g/Lにおける2〜15日間までの1.0g/Lとのガス発生量の逆転については不明である。以上よりCDを添加したものでもやがてガス発生速度は減少するものの、添加しなかったものよりガスの初期発生速度並びに発生量ともに増大することが明らかとなった。
CDの余剰汚泥への添加量を調製し、嫌気性消化した場合のガス発生量の経日変化を図2に示した。嫌気性消化開始から2日間はいずれの濃度でもガスの発生量はわずかであった。しかし、その後ガスの発生速度は、無添加のものとの差が顕著に現れ、濃度0.1g/Lでも6日目以降では無添加のものに比較して大きく、12日目では約2倍となった。即ち、CD濃度0g/Lにおけるガス発生量は、発酵日数12日間で100mL/g-MLSSであり、その後、ガスの発生量は極めて少なく18日間では約130mL/g-MLSSのガスが発生した。これに対しCD濃度2.0g/Lでは、消化日数12日間で340mL/g-MLSSのガスが発生し、その後、CD濃度0g/Lのときと同様ガス発生量が減少し、18日間で370mL/g-MLSSのガスの発生が見られた。両者の18日間でのガス発生量は約2.8倍となった。また、消化日数18日間でのガス発生量はCD濃度が高いほど多くなることが分かった。CD濃度0.5g/Lにおける2〜15日間までの1.0g/Lとのガス発生量の逆転については不明である。以上よりCDを添加したものでもやがてガス発生速度は減少するものの、添加しなかったものよりガスの初期発生速度並びに発生量ともに増大することが明らかとなった。
消化ガス中のメタンガス発生量の測定
試験例2の18日目における発生した消化ガス中のメタンガス量に対するCD濃度の影響を調べ図3に示した。18日目におけるCD濃度0.0g/L,0.1g/L,2.0g/Lの全ガス発生量中のメタンガス量を測定し、比較した。発生した消化ガス中のメタン濃度はTCDガスクロマトグラフィー(GL sciences製)によって分析した。いずれのCD濃度でもメタンガス以外のガス発生量はほぼ等しく、メタンガスの発生量のみ差が生じた。この結果、CD濃度を増大させることで、メタンガス発生源となり得る有機炭素の利用が増大したことが確認された。
試験例2の18日目における発生した消化ガス中のメタンガス量に対するCD濃度の影響を調べ図3に示した。18日目におけるCD濃度0.0g/L,0.1g/L,2.0g/Lの全ガス発生量中のメタンガス量を測定し、比較した。発生した消化ガス中のメタン濃度はTCDガスクロマトグラフィー(GL sciences製)によって分析した。いずれのCD濃度でもメタンガス以外のガス発生量はほぼ等しく、メタンガスの発生量のみ差が生じた。この結果、CD濃度を増大させることで、メタンガス発生源となり得る有機炭素の利用が増大したことが確認された。
本発明のメタン発酵促進剤(CD)は、難生分解性高水溶性を有するシクロデキストリンを有効成分とするため、長期に渡って流動化触媒作用を有し、微生物のメタン発酵の促進に有効である。また安価かつ安全であるため、難分解性の固形性有機物を多く含有する有機物含有廃棄物等の処理に有効であり、下水処理場や廃棄物処理場等で有用に利用され得る。
Claims (2)
- シクロデキストリンを含有することを特徴とする有機物含有廃棄物を減量し、メタンガス発生量を増加させることを特徴とするメタン発酵促進剤。
- シクロデキストリンが、部分メチル化βシクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル化βシクロデキストリンのいずれかである請求項1に記載のメタン発酵促進剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004209032A JP2006026534A (ja) | 2004-07-15 | 2004-07-15 | シクロデキストリン含有メタン発酵促進剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004209032A JP2006026534A (ja) | 2004-07-15 | 2004-07-15 | シクロデキストリン含有メタン発酵促進剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006026534A true JP2006026534A (ja) | 2006-02-02 |
Family
ID=35893500
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004209032A Withdrawn JP2006026534A (ja) | 2004-07-15 | 2004-07-15 | シクロデキストリン含有メタン発酵促進剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006026534A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8147651B2 (en) | 2007-06-28 | 2012-04-03 | Buckman Laboratories International, Inc. | Use of cyclodextrins for odor control in papermaking sludges, and deodorized sludge and products |
JP2013169528A (ja) * | 2012-02-22 | 2013-09-02 | Miki Sato | 余剰汚泥の処理方法 |
KR20210044090A (ko) * | 2019-10-14 | 2021-04-22 | 가톨릭관동대학교산학협력단 | 수산부산물 산 발효액을 이용한 슬러지 저감 및 바이오가스 생산방법 |
KR20210044076A (ko) * | 2019-10-14 | 2021-04-22 | 가톨릭관동대학교산학협력단 | 수산부산물 산 발효액 및 이의 제조방법 |
-
2004
- 2004-07-15 JP JP2004209032A patent/JP2006026534A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8147651B2 (en) | 2007-06-28 | 2012-04-03 | Buckman Laboratories International, Inc. | Use of cyclodextrins for odor control in papermaking sludges, and deodorized sludge and products |
JP2013169528A (ja) * | 2012-02-22 | 2013-09-02 | Miki Sato | 余剰汚泥の処理方法 |
KR20210044090A (ko) * | 2019-10-14 | 2021-04-22 | 가톨릭관동대학교산학협력단 | 수산부산물 산 발효액을 이용한 슬러지 저감 및 바이오가스 생산방법 |
KR20210044076A (ko) * | 2019-10-14 | 2021-04-22 | 가톨릭관동대학교산학협력단 | 수산부산물 산 발효액 및 이의 제조방법 |
KR102299946B1 (ko) * | 2019-10-14 | 2021-09-08 | 가톨릭관동대학교산학협력단 | 수산부산물 산 발효액 및 이의 제조방법 |
KR102304912B1 (ko) * | 2019-10-14 | 2021-09-24 | 가톨릭관동대학교산학협력단 | 수산부산물 산 발효액을 이용한 슬러지 저감 및 바이오가스 생산방법 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Wainaina et al. | Anaerobic digestion of food waste to volatile fatty acids and hydrogen at high organic loading rates in immersed membrane bioreactors | |
Zhou et al. | Synthetic organic antibiotics residues as emerging contaminants waste-to-resources processing for a circular economy in China: Challenges and perspective | |
CN102526781A (zh) | 复合生物酶除臭剂及其制备方法 | |
CN104211168A (zh) | 使用沸石-斜发沸石在上流式厌氧消化器与污泥床中对废水进行厌氧消化的方法 | |
CN104829050B (zh) | 全自控医院污水处理方法和装置 | |
Wu et al. | Biodegradation of conventional plastics: Candidate organisms and potential mechanisms | |
Feng et al. | Comparative investigation on heterotrophic denitrification driven by different biodegradable polymers for nitrate removal in mariculture wastewater: Organic carbon release, denitrification performance, and microbial community | |
JP4864339B2 (ja) | 有機性廃棄物の処理装置及び処理方法 | |
JP2006026534A (ja) | シクロデキストリン含有メタン発酵促進剤 | |
Lee et al. | Microbial valorization of solid wastes from a recirculating aquaculture system and the relevant microbial functions | |
CN103011398A (zh) | 一种利用phbv和竹粉共混材料去除水中硝酸氮的方法 | |
Mshandete et al. | Performance of biofilm carriers in anaerobic digestion of sisal leaf waste leachate | |
CN105645596A (zh) | 一种活性污泥预处理药剂及其制备方法和应用方法 | |
JP2006212612A (ja) | 複合微生物体系の複合微生物動態系解析における複合発酵法を用いた養豚糞尿分解消失処理方法 | |
JP2005161233A (ja) | 腐植を用いた汚泥減量化方法およびその装置 | |
KR20140133365A (ko) | 악취 제거용 혼합 미생물 제제의 제조방법, 이에 의하여 제조된 혼합 미생물 제제 및 환경기초시설의 악취 제거방법 | |
JPH09103290A (ja) | 下水処理用の脱臭能力を有する新規の微生物、その培地組成物及び培養方法 | |
JP3844771B1 (ja) | 活性汚泥の利用による汚泥減量方法 | |
JP2011031217A (ja) | 有機廃棄物の処理方法並びに有機物分解活性を有する複合菌群の培養方法及び該複合菌群が培養された培地 | |
JP5390125B2 (ja) | 生物反応槽の維持管理方法 | |
WO2006011416A1 (ja) | 環境浄化方法および環境浄化剤 | |
KR20140130795A (ko) | 소화조의 슬러지 감량 및 악취제거 방법 | |
Kannah et al. | Valorization of Nutrient-Rich Urinal Wastewater by Microalgae for Biofuel Production | |
JP3893545B2 (ja) | 汚泥或いは生屎尿の嫌気性消化方法 | |
Salehmin et al. | Challenges and Mitigation Strategies Related to Biohydrogen Production |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20071002 |