JP2006025620A - チルド飲料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
殺菌のための加熱を軽減し、素材本来の味・香り・色合いを保持したチルド飲料を提供すること。
【解決手段】
野菜汁及び/又は果実汁をベースとする飲料組成物からなるチルド飲料であって、乳酸菌の生菌数が1×106〜1×109個/mlの範囲内にあり且つ乳酸発酵しないことを特徴とするチルド飲料を提供する。
【選択図】 図3
Description
(1)野菜汁及び/又は果実汁をベースとする飲料組成物からなるチルド飲料であって、
乳酸菌の生菌数が1×106〜1×109個/mlの範囲内にあり且つ乳酸発酵しないことを特徴とするチルド飲料。
(2)野菜汁及び/又は果実汁をベースとする飲料組成物からなるチルド飲料であって、該飲料組成物を下記の条件で殺菌処理した後、乳酸菌をその生菌数が1×106〜1×109個/mlの範囲内となるよう加え、乳酸発酵しない条件まで冷却することを特徴とするチルド飲料。
条件:前記飲料組成物がpH4.0未満である場合は、65℃で0.17分〜65℃で10分に相当する殺菌処理、また、前記飲料組成物がpH4.0以上4.6未満の場合は、65℃で0.17分〜75℃で1分に相当する殺菌処理、更に、前記飲料組成物がpH4.6以上7.0以下の場合は、65℃で0.17分〜121.1℃で0.3分に相当する殺菌処理。
(3)上記乳酸菌がラクトバチルス属のものである、(1)または(2)に記載のチルド飲料。
(4)上記乳酸菌がラクトバチルス・カゼイである、(1)または(2)に記載のチルド飲料。
(5)上記乳酸菌の生菌数が1×107〜1×108個/mlの範囲にある、(1)〜(4)のいずれかに記載のチルド飲料。
(6)乳酸発酵による生成乳酸の濃度が0.1%(乳酸換算:W/V%)未満のものである、(1)〜(5)のいずれかに記載のチルド飲料。
(7)5〜10℃の温度で保存されるものである、(1)〜(6)のいずれかに記載のチルド飲料。
(8)野菜汁及び/又は果実汁をベースとする飲料組成物からなるチルド飲料の製造方法であって、該飲料組成物を下記の条件で殺菌処理した後、乳酸菌をその生菌数が1×106〜1×109個/mlの範囲内となるよう加え、乳酸発酵しない条件まで冷却することを特徴とするチルド飲料の製造方法。
条件:前記飲料組成物がpH4.0未満である場合は、65℃で0.17分〜65℃で10分に相当する殺菌処理、また、前記飲料組成物がpH4.0以上4.6未満の場合は、65℃で0.17分〜75℃で1分に相当する殺菌処理、更に、前記飲料組成物がpH4.6以上7.0以下の場合は、65℃で0.17分〜121.1℃で0.3分に相当する殺菌処理。
(9)上記乳酸菌はプロテアーゼ透明乳培地により培養されたものである、(8)に記載の製造方法。
本発明チルド飲料に使用する飲料原料としては、グレープフルーツ、オレンジ、リンゴ、ブドウ、イチゴ、パイナップル、キウイ、グアバ、マンゴー、アセロラ、ブルーベリー、ザクロ、桃、洋なし、パパイヤ、メロン、スイカ、バナナ、イチジク等の果実汁、及び/又はトマト、赤ピーマン、ニンジン、キャベツ、ほうれん草、ケール、プチヴェール(商標:ケールと芽キャベツの交配種)等の野菜汁が挙げられる。また、当該飲料原料は、その野菜汁及び/又は果実汁のpH範囲により、pH4.0未満のグループである、グレープフルーツ、オレンジ、リンゴ、ブドウ、イチゴ、パイナップル、キウイ、グアバ、マ
ンゴー、アセロラ、ブルーベリー、ザクロ等、pH4.0以上pH4.6未満のグループであるトマト、赤ピーマン、桃、洋なし、パパイヤ等、pH4.6以上pH7.0以下のグループであるニンジン、キャベツ、ほうれん草、ケール、プチヴェール(商標:ケールと芽キャベツの交配種)、メロン、スイカ、バナナ、イチジク等に分類することも可能である。
本発明の野菜汁及び/又は果実汁をベースとする飲料組成からなるチルド飲料において、“野菜汁及び/又は果実汁をベースとする”とは、当該野菜汁及び/又は果実汁を主要原料としていることを意味する。
本発明のチルド飲料は、野菜汁及び/又は果実汁をベースとする飲料組成からなるチルド飲料であって、該飲料組成物を殺菌後、乳酸菌を生菌の状態で添加し、且つ乳酸発酵しない条件まで冷却することを特徴とするチルド飲料である。本発明のチルド飲料に添加する乳酸菌としては、発酵食品などに広く利用されている乳酸菌を用いることが可能である。例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エノコッカス属(Oenococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)が挙げられる。これら乳酸菌のうちラクトバチルス属が好ましく、摂取した場合、生きて腸に届くプロバイオティクス菌といわれるラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)が特に好ましい。さらに具体的には、平成4年1月10日に通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所(現独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター)に微工研菌寄第12704号(FERM P−12704)として寄託されているラクトバチルス・カゼイ AST−8(FERM P−12704)が更に好ましい。
本発明のチルド飲料は、添加された乳酸菌が生菌の状態で存在していることを特徴とする。本発明に利用する乳酸菌の本発明チルド飲料への添加形態であるが、例えば、(1):全粉乳、脱脂粉乳、生乳等の乳培地で培養して得られる乳酸菌培養液をそのまま本発明チルド飲料へ添加する方法。(2):上記培養液から乳酸菌を遠心分離や膜分離等で集菌した集菌物を本発明チルド飲料へ添加する方法。(3):上記培養液を乾燥させた培養液乾燥物または上記集菌物を乾燥させた乾燥菌体を本発明チルド飲料へ添加する方法。(4):全粉乳、脱脂粉乳、生乳等の乳をプロテアーゼ処理した透明乳培地(以下、プロテアーゼ透明乳培地ともいう)で培養して得られる乳酸菌培養液(以下、透明乳発酵液ともいう)をそのまま本発明チルド飲料へ添加する方法。(5):(4)で得られる培養液から乳酸菌を遠心分離や膜分離等で集菌した集菌物を本発明チルド飲料へ添加する方法。(6):(4)で得られる培養液を乾燥させた培養液乾燥物または(5)で得られる集菌物を乾燥させた乾燥菌体を本発明チルド飲料へ添加する方法。が挙げられる。味、香り、色調への影響も少ないこと及び集菌する工程を有しない簡便な調製が可能なことより、上記(
4)の方法で得られる乳酸菌培養液をそのまま本発明チルド飲料へ添加する方法が好ましい。ここで、上記乳酸菌の培地、培養方法等において、格別の制限はなく、公知の乳酸菌用培地、培養条件で培養することが可能であり、また乳酸菌の集菌方法、培養液または集菌物の乾燥法においても格別の制限はなく公知の方法を用いることが可能である。
本発明チルド飲料へ添加する乳酸菌の生菌数は、1×107〜1×1011個/mlの範囲にあれば好ましく、1×109〜1×1011個/mlの範囲にあればさらに好ましい。
また、添加直後の本発明チルド飲料に含まれる乳酸菌の生菌数は、1×106〜1×109個/mlの範囲にあれば好ましく、1×107〜1×108個/mlの範囲であればさらに好ましい。尚、生菌数の測定は、例えば、乳及び乳製品の成分規格に関する省令の乳酸菌数の測定法により測定することが可能である。
本発明のチルド飲料の製造方法は、飲料原料をベースとする飲料組成物を殺菌後冷却し、乳酸菌を上記方法にて添加する。その後、完成した飲料を容器等に充填、密封し、乳酸発酵しない条件まで冷却して、保存するというものである。すなわち、本製造方法は、飲料原料をベースとする飲料組成物を、殺菌の強度を減じた条件で殺菌後冷却し、乳酸菌を添加、乳酸発酵しない条件下まで冷却し保存(冷蔵)することで、飲料中での汚染菌の増殖を防ぎ且つ素材本来の味、香り、色合いを保持したチルド飲料を製造するというものである。
加熱殺菌は、野菜汁、果実汁の着色、並びに加熱臭を発生させ、製品の風味を変え、外観にも変化を与えることになる。本発明のチルド飲料は、素材本来の味、香り、色合いを保持した状態での提供を目的とすることより、本発明における飲料原料をベースとする飲料組成物の殺菌条件は、飲料原料をベースとする飲料組成物のpHによって変化させることが好ましく、例えば、飲料原料をベースとする飲料組成物が4.0未満の場合は、65℃で0.17分〜65℃で10分に相当する殺菌条件で殺菌処理する。また、飲料原料をベースとする飲料組成物がpH4.0以上4.6未満の場合は、65℃で0.17分〜75℃で1分に相当する殺菌条件で殺菌処理する。さらに、飲料原料をベースとする飲料組成物がpH4.6以上7.0以下の場合は、65℃で0.17分〜121.1℃で0.3分に相当する殺菌条件で殺菌処理する。ここで、「相当する殺菌条件」とは、殺菌温度がより低温であっても、また、より高温であってもよく、温度と時間で表される殺菌の強度が同等である殺菌条件をいう。殺菌方法は、格別の制限はなく、バッチ殺菌法、連続殺菌法等の公知の方法を用いることが可能である。
なお、相当する殺菌条件へは次式で変換可能である。
殺菌後は、添加する乳酸菌が死滅しない程度、例えば5℃〜40℃程度まで冷却することが好ましい。また、冷却方法は、格別の制限はなく、プレート冷却器等の公知の冷却方法を用いることが可能である。
<2−1>に記載の方法にて乳酸菌を殺菌冷却後の飲料原料をベースとする飲料組成物に添加する。また、添加する乳酸菌の生菌数は、1×107〜1×1011個/mlの範囲にあれば好ましく、1×109〜1×1011個/mlの範囲にあればさらに好ましい。さらに、添加直後の本発明チルド飲料に含まれる乳酸菌の生菌数は、1×106〜1×109個/mlの範囲にあれば好ましく、1×107〜1×108個/mlの範囲であればさらに好ましい。
乳酸菌を上記方法にて添加後、容器等に充填、密封し、更に乳酸発酵をしない条件下まで冷却して保存する。飲料の充填、密封には格別の制限はなく、公知の方法を用いることが可能である。また、本発明チルド飲料を保存する期間は、汚染菌の増殖を防ぎ、風味を維持するために、乳酸発酵をしない条件下まで冷却しておくことが好ましい。ここで、「乳酸発酵をしない条件」とは、乳酸発酵を全くしないか、したとしても通常の保存期間、例えば2週間で、乳酸発酵による生成乳酸の濃度が0.1%(乳酸換算:W/V%)未満となる条件をいう。具体的には0℃〜15℃の温度が好ましい。雑菌汚染防止効果の観点を加味すると、5℃〜10℃の温度がより好ましい。また、保存期間としては、添加乳酸菌数が維持され、汚染菌の抑制が可能である期間は保存が可能である。具体的には、本発明のチルド飲料は2週間程度の保存が可能である。一方、保存方法は温度が上記の条件に維持される限りにおいては、格別の制限はなく、公知の方法を用いることが可能である。
本発明の野菜汁及び/又は果実汁をベースとする飲料組成物からなるチルド飲料において、該飲料組成物は、その他の各種添加剤等を任意に添加することも可能である。ここで利用できる添加剤としては、飲料に添加配合できることが知られている各種のものが挙げられる。例えば、ハーブ、ショウガ、シナモン等の香辛料、オレンジフレーバー、リンゴフレーバー等の香料、シュークロース、グルコース、フラクトース等の糖類、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖等の各種オリゴ糖類、ステビア、甘茶抽出物、甘草抽出物等の甘味料、ポリデキストロース等の食物繊維類、ビタミンC等の各種ビタミン類、イソロイシン、バリン等のアミノ酸類、炭酸カルシウム、塩化第二鉄等の無機塩類、水、液糖等の水溶液を例示することができる。これらの配合量は特に限定されるものではないが、通常0.1%〜5%(W/V)程度の範囲から選ぶことが可能である。
本発明に利用する乳酸菌は、以下のように調製した。
<1>透明乳発酵液の調整法
脱脂粉乳8%水溶液(W/V)を炭酸カリウムでpH8.0に調製した。この調製液に、プロテアーゼS「アマノ」G(天野エンザイム株式会社製)を0.05%(W/V)添加し、70℃で4時間反応させる。反応終了後、95℃で20分加熱して酵素失活及び殺菌を行った。このプロテアーゼ透明乳培地にラクトバチルス・カゼイ AST−8(FERM P−12704)を1x107個/mlとなるように接種し、30℃で48時間発酵させた。得られた透明乳酸発酵液の生菌数は1.5x109個/mlであった。尚、生菌数の測定は乳等省令の乳酸菌数測定法に準じ、B.C.P.加プレートカウント培地を用いて測定した。
<2>集菌物の調整法
上記の方法により得られた透明乳酸発酵液を、遠心分離機(株式会社コクサイ製 H−
103N)を用いて、3,000rpm 15分の条件で遠心分離し、沈殿した菌体を回収し、集菌物を得た。なお、得られた集菌物の生菌数は、2.0×1010個/gであった。
<3>乾燥菌体の調整法
上記の方法により得られた透明乳酸発酵液を液体窒素で急速凍結した。急速凍結した透明乳酸菌発酵液を凍結乾燥器(LABCONCO社製FD−10)を用いて凍結乾燥させ、乾燥菌体を得た。なお、得られた集菌物の生菌数は、1.0×1011個/gであった。
実施例1で調製した乳酸菌および下記に示す条件で調製した飲料原料を用いて本発明のチルド飲料を製造した。
オレンジ濃縮果汁(カーギル社製 RI 65%)を蒸留水で希釈した、オレンジ果汁(RI 12%)(株式会社アタゴ製 アッベ式屈折計 NAR−3T)、pH3.8(堀場製作所製 pHメーター F−12)を65℃で10分間殺菌した。この加熱殺菌したオレンジ果汁を10℃まで冷却後、実施例1<1>で調製した透明乳発酵液を無菌的に1%(V/V)添加し、容器に充填後、5〜10℃に冷却して、本発明チルド飲料製品を調製した。添加された透明乳発酵液中の乳酸菌生菌数は1.5x109個/mlであり、調製された製品中の乳酸菌生菌数は1.5x107個/mlであった。一方、比較例1は実施例2と同様に調製したオレンジ果汁(RI 12%)(株式会社アタゴ製 アッベ式屈折計 NAR−3T)、pH3.8(堀場製作所製 pHメーター F−12)を105℃で1分間殺菌した。この加熱殺菌したオレンジ果汁を10℃まで冷却後、実施例1<1>で調製した透明乳発酵液を無菌的に1%(V/V)添加し、容器に充填後、5〜10℃に冷却して、比較例1製品を調製した。添加された透明乳発酵液中の乳酸菌生菌数は1.5x109個/mlであり、調製された製品中の乳酸菌生菌数は1.5x107個/mlであった。本実施例2の製品を14日間チルド保管(5℃、10℃)し、経時的に製品中の乳酸菌生菌数および酸分(乳酸換算(W/V%))を測定し、汚染菌の増殖確認を実施した。また、実施例2および比較例2の製品について、容器に充填直後の色調評価(L値、a値、b値,a/b値)および14日間チルド保管した製品についての官能評価を実施した。
リステリア菌:Oxford リステリア選択培地を用い、30℃ 3日間培養後、計測した。
Oxford リステリア選択培地:ペプトン23.0g、デンプン1.0g、塩化ナトリウム5.0g、 クエン酸鉄アンモニウム0.5g、エスクリン1.0g、塩化リチウム15.0g 寒天10.0g、シクロヘキシミド0.4g、硫酸コリスチン0.02g、 塩酸アクリフラビン0.005g、セフォテタン0.002g、フォスフォマイシン0.01g を蒸留水に溶解し(総量1L)、121.1℃ 15分で殺菌する。
バチルス・セレウス菌:NGKG培地を用い、35℃ 1日間培養後、計測した。
NGKG培地:ペプトン1.0g、酵母エキス0.5g、塩化ナトリウム4.0g、グリシン3.0g、 硫酸ポリミキシン5万単位、フェノールレッド0.025g、寒天18.0g を蒸留水に溶解し(総量1L)(pH6.8)を121.1℃ 15分で殺菌する。
2および比較例1とも、容器に充填後0日目のサンプルのL値、a値、b値を分光測色型測色計(CM−3500d:ミノルタ社製)にて、本機器の取扱説明書の記載に従い計測した。
RI 6%(株式会社アタゴ製 アッベ式屈折計 NAR−3T)、pH4.4(堀場製作所製 pHメーター F−12)を121.1℃で45秒殺菌した。この加熱殺菌したトマトジュースを10℃まで冷却後、実施例1<1>で調製した透明乳発酵液を無菌的に1%(V/V)添加し、容器に充填後、5〜10℃に冷却して、比較例2製品を調製した。添加された透明乳発酵液中の乳酸菌生菌数は1.5x109個/mlであり、調製された製品中の乳酸菌生菌数は1.5x107個/mlであった。なお、各種評価は実施例2、比較例1と同様に実施した。
実施例2〜4および比較例1〜3の結果を表1、表2、表3に纏めた。酸度上昇については、充填後0日目と充填後14日目の酸分(乳酸換算、W/V%)を比較し、酸分の上昇が0.1%(乳酸換算:W/V%)未満の場合を「酸度上昇なし」とした。乳酸菌の残存性は、充填後0日目と充填後14日目の乳酸菌の生菌数を比較し、充填後0日目に対し30%以上の生菌数を維持している場合を○とした。汚染菌の増殖については、14日目の汚染菌数が調整時の10倍未満の場合を「汚染菌の増殖なし」とし、調製時の10倍以上の場合を「汚染菌の増殖あり」とした。さらに、実施例2の乳酸菌の生菌数と保存日数の関係を図1に酸分と保存日数の関係を図2に、実施例3の乳酸菌の生菌数と保存日数の
関係を図3に酸分と保存日数の関係を図4に、実施例4の乳酸菌の生菌数と保存日数の関係を図5に酸分と保存日数の関係を図6に示す。図2,4,6に示されるように、実施例2,実施例3、実施例4のいずれの温度(5℃、10℃)での保存においても、酸分の上昇は0.05%(乳酸換算、W/V%)以下であり、乳酸発酵をしていないことが示された。また、表3の色調評価からは、実施例2に対し比較例1は暗く、赤褐色がかっていることが、実施例3に対し比較例2は暗く、茶褐色がかっていることが、実施例4に対し比較例3は暗く、黄褐色がかっていることが示された。これらの結果より、本発明チルド飲料は、殺菌強度を減じた条件で殺菌し、乳酸菌を添加後、乳酸発酵しない条件下まで冷却し保存(冷蔵)することで、飲料中での汚染菌の増殖を防ぎ且つ素材本来の味、香り、色合いを保持できることが示された。
試験例1〜4:
実施例2と同様に搾汁したオレンジ果汁(RI 12%、pH3.8)を105℃で1分間殺菌した。この加熱殺菌したオレンジ果汁を10℃まで冷却後、実施例1<1>で調製した透明乳発酵液を乳酸菌生菌数が1.0x106個/mlおよび表4に示す汚染菌の菌数が1.0x102個/mlとなるように添加し、容器に充填後、5〜10℃に冷却して、試験例1および2試料を調製した。その後、当該乳酸菌および汚染菌の菌数の変化を14日間観察した。試験例3および4試料は、試験例1および2において、表4に示す汚染菌のみを1.0x102個/mlとなるように添加したものである。なお、製品中の乳酸菌生菌数および汚染菌の菌数は実施例1、2の方法に従って計測した。
実施例3と同様に搾汁したトマトジュース(RI 6%、pH4.4)を121.1℃で45秒間殺菌した。この加熱殺菌したトマトジュースを10℃まで冷却後、実施例1<1>で調製した透明乳発酵液を乳酸菌生菌数が1.0x106個/mlおよび表4に示す汚染菌数が1.0x102個/mlとなるように添加し、容器に充填後、5〜10℃に冷却して、試験例5および6試料を調製した。その後、当該乳酸菌および汚染菌の菌数の変化を14日間観察した。試験例7および8試料は、試験例5および6において、表4に示す汚染菌のみを1.0x102個/mlとなるように添加したものである。なお、製品中の乳酸菌生菌数および汚染菌の菌数は実施例1、2の方法に従って計測した。
通常の方法で搾汁したメロン果汁(RI 12%、pH5.1)を121.1℃で3.1分間殺菌した。この加熱殺菌したメロン果汁を10℃まで冷却後、実施例1<1>で調製した透明乳発酵液を乳酸菌生菌数が1.0x106個/mlおよび表4に示す汚染菌数が1.0x102個/mlとなるように添加し、容器に充填後、5〜10℃に冷却して、試験例9および10試料を調製した。その後、当該乳酸菌および汚染菌の菌数の変化を14日間観察した。試験例11および12試料は、試験例9および10において、表4に示す汚染菌のみを1.0x102個/mlとなるように添加したものである。なお、製品中の乳酸菌生菌数および汚染菌の菌数は実施例1、2の方法に従って計測した。
試験例1〜12において使用する汚染菌を表4に示す。また、リステリア・モノサイトゲネス ATCC7644は普通寒天培地(日水製薬(株)製)を用い、30℃で3日間培養したものを生理食塩水に懸濁し調製した。一方、バチルス・セレウス 1501株(日本缶詰協会から分与)を土壌エキス(畑土200gを1000mlの蒸留水に懸濁し、121℃、4時間の加熱抽出後、上澄みを濾過したもの)を含む普通寒天培地(普通寒天培地(日水製薬(株)製)35g、上記土壌エキス250ml、蒸留水750mlを混合し121℃、15分の殺菌を施したもの)を用い、35℃で1週間培養したものを生理食塩水に懸濁し調製した。
Claims (9)
- 野菜汁及び/又は果実汁をベースとする飲料組成物からなるチルド飲料であって、乳酸菌の生菌数が1×106〜1×109個/mlの範囲内にあり且つ乳酸発酵しないことを特徴とするチルド飲料。
- 野菜汁及び/又は果実汁をベースとする飲料組成物からなるチルド飲料であって、該飲料組成物を下記の条件で殺菌処理した後、乳酸菌をその生菌数が1×106〜1×109個/mlの範囲内となるよう加え、乳酸発酵しない条件まで冷却することを特徴とするチルド飲料。
条件:前記飲料組成物がpH4.0未満である場合は、65℃で0.17分〜65℃で10分に相当する殺菌処理、また、前記飲料組成物がpH4.0以上4.6未満の場合は、65℃で0.17分〜75℃で1分に相当する殺菌処理、更に、前記飲料組成物がpH4.6以上7.0以下の場合は、65℃で0.17分〜121.1℃で0.3分に相当する殺菌処理。 - 前記乳酸菌がラクトバチルス属のものである、請求項1または2に記載のチルド飲料。
- 前記乳酸菌がラクトバチルス・カゼイである、請求項1または2に記載のチルド飲料。
- 前記乳酸菌の生菌数が1×107〜1×108個/mlの範囲にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載のチルド飲料。
- 乳酸発酵による生成乳酸の濃度が0.1%(乳酸換算:W/V%)未満のものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のチルド飲料。
- 5〜10℃の温度で保存されるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のチルド飲料。
- 野菜汁及び/又は果実汁をベースとする飲料組成物からなるチルド飲料の製造方法であって、該飲料組成物を下記の条件で殺菌処理した後、乳酸菌をその生菌数が1×106〜1×109個/mlの範囲内となるよう加え、乳酸発酵しない条件まで冷却することを特徴とするチルド飲料の製造方法。
条件:前記飲料組成物がpH4.0未満である場合は、65℃で0.17分〜65℃で10分に相当する殺菌処理、また、前記飲料組成物がpH4.0以上4.6未満の場合は、65℃で0.17分〜75℃で1分に相当する殺菌処理、更に、前記飲料組成物がpH4.6以上7.0以下の場合は、65℃で0.17分〜121.1℃で0.3分に相当する殺菌処理。 - 前記乳酸菌はプロテアーゼ透明乳培地により培養されたものである、請求項8に記載の製造方法。
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