JP2006023113A - 真空処理装置および真空処理装置の検査方法 - Google Patents

真空処理装置および真空処理装置の検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 真空槽の内部において冷却部材に対し冷媒を導く配管を接続する際に、両者間の接続状態を簡易かつ的確に検知可能な真空処理装置および真空処理装置の検査方法を提供する。
【解決手段】 真空処理装置100は、真空槽10の内部空間10aを所定圧力未満に減圧した後、制御装置18によって、第1の開閉手段15を開いて真空ゲージ12により検知された圧力値に基づき通流ポート部43in、43outにおける冷媒配管13−1、13−2と冷却部材44との間の接続状態の正常又は異常を判定するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、真空処理装置および真空処理装置の検査方法に関し、特に真空槽の内部において冷却部材に対し冷媒を導く配管を接続する際に、両者間の接続状態を簡易かつ的確に検知可能な真空処理装置および真空処理装置の検査方法に関する。
半導体素子、光学素子等の用途に用いる基板への膜形成には、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の真空成膜方法が使用されている。こうした真空成膜では、例えば、蒸発源から基板にもたらされる輻射熱や基板に堆積した物質の基板への伝導熱によって基板の温度が上昇する場合があり、プラスチック基板等の熱影響に対し脆弱な基板であれば、そのことが、基板に熱ダメージを与えかねない。
このため、熱影響を受け易い基板を使用する真空処理装置には、従来から基板を保持する部材を中空にしてその中空領域に冷媒(例えば、水)を循環して基板を冷却する機能が付加され、これにより保持部材を介して冷媒との熱交換により基板が、適切に冷却するように構成されている(例えば、特許文献1)。
ところで、このような保持部材は、真空処理装置により成膜する膜の仕様変更や装置メインテナンス等の必要性に応じて、真空槽から取り外されることもある。そして、保持部材の真空槽からの取り外しの際に、保持部材の中空領域に残留する水が真空槽の内部に漏れて、これにより、真空槽の内壁に水が付着すると、その後の真空処理装置の排気速度を遅延させ、真空成膜プロセスの非効率化を招く一要因になり得る。
そこで、こうした問題に鑑みた真空処理装置が従来から提案されている(例えば、従来例としての特許文献2)。この従来例では、保持部材を真空槽から外部に取り出すにあたって、保持部材への水供給を停止した後、保持部材の中空領域に残留する水を外部に排出するためのガスがその中空領域に圧送され、これにより、上記の漏水が適切に防止されている。
実開平2−25564号公報 特開平6−168892号公報
従来例に記載の真空処理装置では、確かに真空槽から外部に保持部材を取り出すにあたって、真空槽の内部への漏水が防止できるが、保持部材を再び真空槽の内部に取り付ける際の接続不具合に起因する漏水が全く想定されてなく、このため折角、保持部材を適切に真空槽から取り出せたとしても、結局のところ真空槽の内部を水で汚染してしまうという事態にも陥り兼ねない。
また、仮に保持部材と冷媒配管との間の接続の不具合が、微小隙間等の軽微なものであれば、ここでの漏水現象を検出することすら困難であり、このような不具合への迅速な対処が図られないという可能性もある。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、真空槽の内部において冷却部材に対し冷媒を導く配管を接続する際に、両者間の接続状態を簡易かつ的確に検知可能な真空処理装置および真空処理装置の検査方法を提供することにある。
本発明に係る真空処理装置は、内部空間を有する真空槽と、前記真空槽の内部空間に配置した冷媒通流用の通流ポート部と、冷媒を流す経路を有する冷却部材と、前記経路に連通してそこに冷媒を導くように前記通流ポート部において前記冷却部材に接続される冷媒配管と、前記冷媒配管の途中から分岐して所定圧力の状態にあるガス雰囲気に延びて、第1の開閉手段により開閉されるガス配管と、前記真空槽の内部空間の圧力を計測する圧力計測手段と、制御装置と、を備え、前記真空槽の内部空間が前記所定圧力未満に減圧された後、前記制御装置によって、第1の開閉手段を開いて前記圧力計測手段により検知された圧力値に基づき、前記通流ポート部における前記冷媒配管と前記冷却部材との間の接続状態の正常又は異常を判定するものである。
これにより、真空槽の内部において冷却部材に対し冷媒を導く配管を接続する際に、両者間の接続状態を簡易かつ的確に検知可能になり、冷却部材を真空槽の内部に取り付ける際の接続不具合に起因する冷媒漏れ(例えば、漏水)が解消される。
より具体的な異常検知例としては、前記第1の開閉手段の開栓前後の前記圧力値の変動量が所定量以上において、前記制御装置は、前記接続状態が異常であると判定するものである。
なおここで、前記ガス雰囲気は大気中であり、前記所定圧力が大気圧であっても良い。
前記第1の開閉手段が電磁弁であり、前記制御装置により前記第1の開閉手段の開閉動作が制御されるように構成しても良い。
これにより、制御装置が、例えば、適宜のタイマー設定により、自動的に第1の開閉手段を開いて、その前後の所定時間に亘って真空槽の内部空間の圧力をモニタするように構成することが可能であり、効率的に上記接続状態の正常又は異常を判定できる。
ここで、前記冷媒配管の途中に配置され、前記冷媒配管を開閉する第2の開閉手段を備え、前記制御装置は、前記第2の開閉手段を閉じて前記経路への冷媒の供給を停止した後、前記第1の開閉手段を開いて、ガス供給源から前記ガス配管を介して前記経路にガスを供給すると共に、前記ガス配管を介して前記経路を通過したガスを前記真空槽の外部に放出するように制御して、その後、前記冷媒配管が前記通流ポート部において前記冷却部材から離脱される。
これにより、真空処理装置により成膜する膜の仕様変更や装置メインテナンスの必要性に応じて、冷却部材が真空槽から取り外される際に、冷却部材に残留する冷媒が真空槽の内部に漏れて真空槽の内壁に冷媒が付着するという不具合を解消できる。
加えて、特別のセンサーを必要とすることなく、冷媒を大気に排出する大気側開閉手段を流用し、上記の接続状態の正常又は異常が簡易かつ確実に確認され得る。
なお、前記冷却基板に保持された膜形成用の基板を備え、前記基板への膜形成の過程において、前記冷却部材を介して前記基板が前記冷媒との熱交換により冷却されるものであっても良い。
本発明に係る真空処理装置の検査方法は、真空槽の内部空間において冷媒を流す冷却部材と冷媒を前記冷却部材に導く冷媒配管とを接続した後、前記真空槽の内部空間を密閉してその内部空間を負圧に減圧し、この状態で、前記冷媒配管の途中から分岐して、前記負圧より高い圧力状態のガス雰囲気中にまで延びるガス配管を第1の開閉手段により開き、その後、圧力計測手段により検知される前記内部空間の圧力値に基づき、前記冷媒配管と前記冷却部材との間の接続状態の正常又は異常が判定されるものである。
これにより、真空槽の内部において冷却部材に対し冷媒を導く配管を接続する際に、両者間の接続状態を簡易かつ的確に検知可能になり、冷却部材を真空槽の内部に取り付ける際の接続不具合に起因する冷媒漏れが解消される。
前記第1の開閉手段の開栓前後の前記圧力値の変動量が所定量以上において、前記接続状態を異常であると判定しても良い。
そして、前記接続状態が異常であると判定されると、前記真空槽の内部空間が大気圧に戻された後、前記冷媒配管と前記冷却部材との間の接続状態が確認されても良い。
これにより、冷却部材を真空槽の内部に取り付ける際の接続不具合に起因する冷媒漏れを、冷却部材に冷媒を供給する前に未然に防止できる。
一方、前記第1の開閉手段の開栓前後の前記圧力値の変動量が所定量未満において、前記接続状態を正常であると判定しても良い。
そして、前記接続状態が正常であると判定されると、前記冷媒配管の途中に配置され前記冷媒配管を開閉する第2の開閉手段を開くことによって前記冷媒配管を介して前記冷却部材に冷媒が供給されても良い。
本発明によれば、真空槽の内部において冷却部材に対し冷媒を導く配管を接続する際に、両者間の接続状態を簡易かつ的確に検知可能な真空処理装置および真空処理装置の検査方法が得られる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る冷媒配管系統を含む真空処理装置の構成を示すブロック図である。
真空処理装置100は、内部空間10aを有してそこを減圧状態に保つ真空槽10と、この真空槽10の内部空間10aに配置され、膜形成基板(図示せず)を熱交換により冷却する冷媒(例えば、水)通流用中空領域45(冷媒を流す経路)を有する円盤状の冷却平板11と、真空槽10の壁部に設置され、内部空間10aの圧力を計測する真空ゲージ(圧力計測手段)12と、冷却平板11の中空領域45に冷媒を導くように冷却平板11に連通して配置される第1の冷媒配管13−1と、この冷却平板11の中空領域45を通過して流出する冷媒を流すように冷却平板11に連通して配置される第2の冷媒配管13−2と、これらの第1および第2の冷媒配管13−1、13−2に接続して冷媒の温度調節機能と冷媒圧送機能とを兼ね備える冷水機19と、第2の冷媒配管13−2の途中から分岐して延び、大気に開放される大気側ガス配管47と、第1の冷媒配管13−1の途中から分岐して延び、ガス(例えば、乾燥空気)を供給するガス供給源Aに接続するガス供給源側ガス配管46と、大気側ガス配管47の途中に配設され大気側ガス配管47を開閉する大気側開閉手段15と、ガス供給源側ガス配管46の途中に配設されガス供給源側ガス配管46を開閉するガス供給源側開閉手段14と、ガス供給源側ガス配管46が第1の冷媒配管13−1から分岐する部分と、冷水機19との間の第1の冷媒配管13−1の途中に配置され、第1の冷媒配管13−1を開閉する第1の冷媒配管開閉手段16と、大気側ガス配管47が第2の冷媒配管13−2から分岐する部分と、冷水機19との間の第2の冷媒配管13−2の途中に配置され、第2の冷媒配管13−2を開閉する第2の冷媒配管開閉手段17と、真空槽10に供給する反応ガスの供給系統(図示せず)や真空処理装置100の電気系統(図示せず)を制御する制御装置18と、によって構成されている。
なおここでは、冷媒との熱交換により基板を冷却する部材として冷却平板11のみが図示されているが、実際には、これは、図3に示す冷却平板11と冷却基板ドーム41からなる冷却部材44である。
また、大気側開閉手段15およびガス供給源側開閉手段14並びに第1、第2の冷媒配管開閉手段16、17は、例えば電磁弁であり、制御装置18によってこれらの開閉手段14、15、16、17の開閉動作が制御されている。
併せて制御装置18は、後ほど説明するように、真空ゲージ12により検知された出力値(圧力値)を受け取り、この値に基づき、通流ポート部43in、43out(図3参照)における第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と冷却部材44(図3参照)との間の接続状態の正常又は異常を判定する機能を有する。
次に、図面を参照して第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と冷却部材44との間の接続部の周辺構造を説明する。
なおここでは、基板に膜粒子を堆積する成膜プロセス中において、この基板を保持する基板ホルダ(図示せず)や冷却部材44を回転して、基板に堆積する膜の均一化を図るように構成した接続構造例が例示されている。
図2は、冷媒配管と冷却部材とを接続する接続部周辺構造のうちの上半分(真空槽10の外部に配置される部分)の断面を示す断面図である。
図3は、冷媒配管と冷却部材とを接続する接続部周辺構造のうちの下半分(真空槽10の内部空間10aに配置される部分)を側面からみた側面図である。
まず、第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と冷却部材44とを接続する接続部周辺構造の上半分の構成を説明する。
接続部周辺構造の上半分は主として、図2に示すように、鍔部23Sと真空槽10の上壁との接触によって位置決めされつつ、真空槽10の上壁に設けられた孔部に装着される円筒状の外側ケーシング23と、この外側ケーシング23の内部に外側ケーシング23に対して回転可能に配置され、基板ホルダや冷却部材44を回転する回転体として機能する円筒状の内側ケーシング25と、これらの内側および外側ケーシング23、25の軸方向の上端に当接する鍔部21Sを有して内側ケーシング25の内部に挿入される円筒状の内蓋21と、この内蓋21の鍔部21Sに密接すると共に、内側ケーシング25(内蓋21)の軸方向上方の開口部分を塞ぐように配置される円盤状の外蓋20と、外側ケーシング23の側壁内面に固定され、内側ケーシング25を回転自在に支持する2つの環状の軸受22、27と、外側ケーシング23と内側ケーシング25との間の空間内に配置され、内側ケーシング25の側壁外面に設けられたスプロケット33と、スプロケット33に巻き掛けられ、スプロケット33を介して内側ケーシング25を回転させるベルト32と、このベルト32に回転駆動力を伝達するモータ31と、によって構成されている。
ここで、外側ケーシング23の鍔部23Sと真空槽10の上壁との接触面における鍔部23Sの表面には、環状の溝30が形成され、ここにOリングを配置して適宜の固定手段により両者が固定され、これによりこの接触部分が適切に真空シールされている。
同様に、内蓋21の鍔部21Sと外蓋20との接触面における外蓋20の表面には、環状の溝29が形成され、ここにOリングを配置して適宜の固定手段により両者が固定され、これによりこの接触部分が適切に真空シールされている。
また同様に、回転可能な内側ケーシング25と内蓋21の筒部との間に環状に回転シール24が配置され、内側ケーシング25と外側ケーシング23との間に環状に回転シール28が配置され、これにより内側ケーシング25と内蓋21の筒部との間および内側ケーシング25と外側ケーシング23との間が適切に真空シールされている。
また、外側ケーシング23の側壁には、図1に示す第1の冷媒配管開閉手段16に繋がる第1の冷媒配管13−1に連通した第1の貫通孔23h−1が形成され、この第1の貫通孔23h−1と同じ高さにおける内側ケーシング25の側壁には、第1の貫通孔23h−1に連通すると共に、図3に示す入口ポート43inに繋がる第1の冷媒配管13−1に連通した第2の貫通孔25h−1が形成されている。
そして、外側ケーシング23の外部に存在する第1の冷媒配管13−1は、これらの第1の貫通孔23h−1および第2の貫通孔25h−1を介して内側ケーシング25の内部に延びて、更にその下流側の冷却部材44に接続される。
なお図示は省略しているが、正確には内側ケーシング25は外側ケーシング23に対して回転するため、第1の冷媒配管13−1は内側ケーシング25および外側ケーシング23の内外で一端切り離されており、第1の貫通孔23h−1と第2の貫通孔25h−1との連通部分の、外側ケーシング23の側壁内面または内側ケーシングの側壁外面に環状の水通路が設けられ、これにより外側ケーシング23の外部に存在する第1の冷媒配管13−1を流れる冷媒が、スムーズに第1の貫通孔23h−1および第2の貫通孔25h−1を通流可能であり、第1および第2の貫通孔23h−1、25h−1を通過した冷媒が、再び内側ケーシングの内部に存在する第1の冷媒配管13−1を通ってその下流側の冷却部材44に送られる。
同様に、外側ケーシング23の側壁には、図1に示す第2の冷媒配管開閉手段17に繋がる第2の冷媒配管13−2に連通した第3の貫通孔23h−2が形成され、この第3の貫通孔23h−2と同じ高さにおける内側ケーシング25の側壁には、この第3の貫通孔23h−2に連通すると共に、図3に示す出口ポート43outに繋がる第2の冷媒配管13−2に連通した第4の貫通孔25h−2が形成されている。
そして、内側ケーシング25の内部に存在する第2の冷媒配管13−2は、これらの第3の貫通孔23h−2および第4の貫通孔25h−2を介して外側ケーシング25の外部に延びて、更に下流側の冷水機19(図1)に接続される。
なお図示は省略しているが、正確には内側ケーシング25は外側ケーシング23に対して回転するため、第2の冷媒配管13−2は内側ケーシング25および外側ケーシング23の内外で一端切り離されており、第3の貫通孔23h−2と第4の貫通孔25h−2との連通部分の、外側ケーシング23の側壁内面または内側ケーシングの側壁外面に環状の水通路が設けられており、これにより内側ケーシング25の内部に存在する第2の冷媒配管13−2を流れる冷媒は、スムーズに第1の貫通孔23h−1および第2の貫通孔25h−1を通流可能であり、第3および第4の貫通孔23h−2、25h−2を通過した冷媒が、再び外側ケーシング25の外部に存在する第2の冷媒配管13−2を通ってその下流側の冷水機19に戻される。
また、第1の貫通孔23h−1(第2の貫通孔25h−1)と、第3の貫通孔23h−2(第4の貫通孔25h−2)とを挟むように、2つの環状の溝26が外側ケーシング23の側壁内面に形成され、各々の環状の溝26に回転シールが配置されており、これにより外側ケーシング23の側壁内面と内側ケーシング25の側壁外面とを接触した状態で外側ケーシング23の側壁内面に対して内側ケーシング25の側壁外面が回転しても、両者間の接触部分の水漏れが適切に防止できるように水シールされている。
なお、図2に示すように、第1の貫通孔23h−1(第2の貫通孔25h−1)の高さ位置と第3の貫通孔23−2(第4の貫通孔25h−2)の高さ位置を異ならせており、これにより、外側ケーシング23の側壁内面または内側ケーシング25の側壁外面に形成した上記の環状の水通路が互いに干渉しないように配慮されている。
次に、第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と冷却部材44とを接続する接続部周辺構造の下半分の構成を説明する。
接続部周辺構造の下半分は、図3に示すように、中空領域45を有する円盤状の冷却平板11と、この冷却平板11を保持すると共に、その内側に中空領域45に連通するように形成した冷媒経路43を有する略おわん状の冷却基板ドーム41と、第1および第2の冷媒配管13−1、13−2の端部に形成された、これらの冷媒配管13−1、13−2の冷却基板ドーム41に対する着脱部材としての円盤状の冷媒配管用フランジ40−1と、第1の冷媒配管13−1に連通する入口ポート43in(冷媒の通流ポート部)および第2の冷媒配管13−2に連通する出口ポート43out(冷媒の通流ポート部)を有して、冷却基板ドーム41の第1および第2の冷媒配管13−1、13−2に対する着脱部材としての円盤状の冷却基板ドーム用フランジ40−2と、によって構成されている。
ここで、冷媒配管用フランジ40−1と冷却基板ドーム用フランジ40−2との接触領域が、図3の矢印で示すように、第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と冷却部材44との着脱部分に相当する。そして、冷媒配管用フランジ40−1と冷却基板ドーム用フランジ40−2とが互いに接触して適宜の固定手段で固定されることにより、第1の冷媒配管13−1が入口ポート43inおよび冷媒経路43を介して冷却平板11の中空領域45に連通する。同様に、第2の冷媒配管13−2が出口ポート43outおよび冷媒経路43を介して冷却平板11の中空領域45に連通する。
また、冷媒配管用フランジ40−1の冷却基板ドーム用フランジ40−2に対する接触面には、入口ポート43inと出口ポート43outとをそれぞれ囲むように2つの環状溝42が形成され、ここにOリングが配置され、これにより冷媒配管用フランジ40−1と冷却基板ドーム用フランジ40−2とを接触した状態で両者間の接触部分の水漏れが適切に防止できるように水シールされている。
なお図示は省略しているが、冷却平板11の中空領域45は詳しくは、その平面視において、冷却平板11の円形面と同心状に延びる複数の扇型の水通路により構成されており、これにより、冷却平板11に基板ホルダを介して配置された多数の基板が、均一に冷却できるように構成されている。
こうして構成された真空槽10の内部において、冷却平板11に取り付けた基板に対してスパッタリング法やイオンプレーティング法により生成した粒子を堆積させる際に、冷水機19から圧送した冷媒が、第1の冷媒配管13−1を通って冷却平板11の中空領域45に導かれた後、この中空領域45を流れて第2の冷媒配管13−2を経て、再び冷水機19に還流される。そして、冷媒が中空領域45を流れる間に、冷却部材44や基板ホルダを介して冷媒との熱交換により基板が冷却され、これにより蒸発源からの輻射熱や堆積膜からの伝導熱に起因する基板の温度上昇が適切に抑制される。
次に、冷却部材44のメインテナンス作業や冷却部材44の未使用成膜プロセス実行によって冷却部材44を真空槽10から取り外す際に (図3に示す着脱部分における冷却部材44の離脱作業)、冷却部材44の中空領域45に残留する冷媒(以下、冷却水を例に述べる。)を事前に自動強制排出する処理の動作例について図面を参照して説明する。
図4は、制御装置18の記憶部(図示せず)に格納されたプログラムによって実行される冷却部材44の中空領域45に残留する冷却水の自動強制排出処理ルーチンを示すフローチャートである。
まず、制御装置18は、第1の冷媒配管開閉手段16および第2の冷媒配管開閉手段17を閉める(ステップS401)。
これにより、冷水機19から圧送される冷却水の中空領域45への供給が止められる。
次に、制御装置18は、大気側開閉手段15を開く(ステップS402)。
これにより、冷却部材44の中空領域45や冷媒経路43を含めた第1および第2の冷媒配管13−1、13−2の一部が、外部雰囲気(大気)に連通する。
次に、制御装置18は、ガス供給源側開閉手段14を開く(ステップS403)。
これにより、所定圧力に保たれたガス(以下、空気を例に述べる。)を供給するガス供給源Aにより、冷却部材44の中空領域45や冷媒経路43等に空気が圧送される。
こうして、ガス供給源Aから送出する空気が、冷却部材44の中空領域45に圧送して供給され(ステップS404)、これにより中空領域45に残留する冷却水が大気中に押し出される。
その後、制御装置18は、ガス供給源側開閉手段14を閉めると共に(ステップS405)、大気側開閉手段15を閉めて(ステップS406)、一連の冷却水の自動強制排出処理ルーチンを終える。
こうして、冷却部材44の中空領域45への水供給を停止した後、そこに残留する水を外部に排出するための空気を冷却部材44の水経路に圧送して供給することにより、冷却部材44を真空槽10から外部に取り出すに際の漏水が適切に防止され得る。
次に、冷却部材44を真空槽10の内部に取り付ける際に(図3に示すフランジ40−1、40−2における冷却部材44の接続作業)、出入口ポート43in、43outにおける第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と冷却部材44との間の接続状態を確認する動作例について図面を参照して説明する。
図5は、制御装置18の記憶部に格納されたプログラムによって実行される出入口ポート43in、43outにおける第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と冷却部材44との間の接続状態の確認処理ルーチンを示すフローチャートである。
冷却部材44を真空槽10の内部に取り付けた後、密閉状態にある真空槽10の内部空間10aが、真空装置(図示せず)により真空排気され(ステップS501)、その内部空間10aが、少なくとも大気側ガス配管47に開放される外部雰囲気(閉栓状態の大気側開閉手段15を介して)における圧力未満(ここでは、大気圧未満の負圧)まで減圧される。
次に、制御装置18は、例えばメインポンプ(図示せず)により真空槽10を本引きする直前に、大気側開閉手段15を開く(ステップS502)。
この状態で、制御装置18は、真空ゲージにより検知される圧力値を検知して、大気側開閉手段15の開栓前後の圧力値の変動量が予め定められた量以上か否か確認する(ステップS503)。例えば、制御装置18が、適宜のタイマー設定により、自動的に大気側開閉手段15を開いて、その開閉前後の所定時間に亘って真空槽10の内部空間10aの圧力をモニタするように構成しても良い。これにより、接続状態の確認処理ルーチンの効率化が図られる。
そして、この変動量が所定量以上であれば(ステップS502においてYes)、制御装置18は、第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と出入口ポート43in、43outとの間の接続状態が異常であると判定する。
例えば、第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と出入口ポート43in、43outとの間の接続状態の異常(装着不良等)に起因して、真空槽10の内圧(負圧)と外部雰囲気圧(負圧より高い圧力状態)との差圧により外部雰囲気ガス(空気)が、第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と出入口ポート43in、43outとの間の接続部分から真空槽10の内部に漏洩していると、上記接続状態が異常であると判定されることになる。
この場合には、内部空間10aの圧力が大気圧に戻され、出入口ポート43in、43outにおいて第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と冷却部材44との間の接続状態が再確認されることになる(異常処理)。
一方、この変動量が所定量未満であれば(ステップS502においてNo)、制御装置18は、上記接続状態が正常であると判定する。
この場合には、制御装置18は、真空処理装置100を所定の成膜プロセスシーケンスに移行させる(正常処理)。
即ち、メインバルブ(図示せず)を開いてメインポンプにより真空槽10の内部空間10aが本引きされ、かつ第1および第2の冷媒配管13−1、13−2を介して冷却部材44の中空領域45に冷却水が供給される。そして、所定の真空度に到達した時点で、例えばイオンプレーティング法により基板への成膜が実行されることになる。
なお、ステップS502において、制御装置18が、大気側開閉手段15を開くように制御したが、これに替えて、制御装置18が、ガス供給源側開閉手段14を開くように制御しても同様の効果が得られる。
要するに、第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と出入口ポート43in、43outとの間の接続異常に起因する外部のガス雰囲気から真空処理装置100の内部空間10aへのガス漏れを検知できる程度の差圧を、真空処理装置100の内部空間10aの圧力と、その内部空間10aに開閉手段を介して連通する外部のガス雰囲気の圧力との間に確保できれば良い。
以上のようにして、制御装置18は、真空ゲージ12により検知された圧力値に基づき、出入口ポート43in、43outにおいて第1および第2の冷媒配管13−1、13−2と冷却部材44との間の接続状態の正常又は異常を判定することができる。とりわけ、特別のセンサーを必要とすることなく、冷却水を大気に排出する大気側開閉手段15を流用し、このような接続状態の正常又は異常が簡易かつ確実に確認され好適である。こうして、冷却部材44を真空槽10の内部に取り付ける際の接続不具合に起因する漏水が未然に防止される。
本発明に係る真空処理装置および真空処理装置の検査方法は、真空槽の内部において冷却部材に対し冷媒を導く配管を接続する際に、両者間の接続状態を簡易かつ的確に検知可能であり、例えば、基板を冷媒により冷却することが必要なスパッタリング真空処理装置やイオンプレーティング真空処理装置等の用途に適用できる。
本発明の実施の形態に係る冷媒配管系統を含む真空処理装置の構成を示すブロック図である。 冷媒配管と冷却部材とを接続する接続部の周辺構造のうちの上半分(真空槽の外部に配置される部分)の断面を示す断面図である。 冷媒配管と冷却部材とを接続する接続部の周辺構造のうちの下半分(真空槽の内部空間に配置される部分)を側面からみた側面図である。 冷却部材の中空領域に残留する冷却水の自動強制排出処理ルーチンを示すフローチャートである。 第1および第2の冷媒配管と冷却部材との間の接続状態の確認処理ルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
10 真空槽
11 冷却平板
12 真空ゲージ
13−1 第1の冷媒配管
13−2 第2の冷媒配管
14 ガス供給源側開閉手段
15 大気側開閉手段
16 第1の冷媒配管開閉手段
17 第2の冷媒配管開閉手段
18 制御装置
19 冷水機
20 外蓋
21 内蓋
21S 内蓋の鍔部
22、27 環状の軸受
23 外側ケーシング
23S 外側ケーシングの鍔部
23h−1 第1の貫通孔
23h−2 第3の貫通孔
24、28 回転シール
25 内側ケーシング
25h−1 第2の貫通孔
25h−2 第4の貫通孔
26、29、30 環状の溝
31 回転モータ
32 ベルト
33 スプロケット
40−1 冷媒配管用フランジ
40−2 冷却基板ドーム用フランジ
41 冷却基板ドーム
42 一対の環状溝
43 冷媒経路
43in 入口ポート(通流ポート部)
43out 出口ポート(通流ポート部)
44 冷却部材
45 中空領域
46 ガス供給源側ガス配管
47 大気側ガス配管
100 真空処理装置

Claims (11)

  1. 内部空間を有する真空槽と、
    前記真空槽の内部空間に配置した冷媒通流用の通流ポート部と、
    冷媒を流す経路を有する冷却部材と、前記経路に連通してそこに冷媒を導くように 前記通流ポート部において前記冷却部材に接続される冷媒配管と、
    前記冷媒配管の途中から分岐して所定圧力の状態にあるガス雰囲気に延びて、第1の開閉手段により開閉されるガス配管と、前記真空槽の内部空間の圧力を計測する圧力計測手段と、
    制御装置と、を備え、
    前記真空槽の内部空間が前記所定圧力未満に減圧された後、前記制御装置によって、第1の開閉手段を開いて前記圧力計測手段により検知された圧力値に基づき、前記通流ポート部における前記冷媒配管と前記冷却部材との間の接続状態の正常又は異常を判定する真空処理装置。
  2. 前記第1の開閉手段の開栓前後の前記圧力値の変動量が所定量以上において、前記制御装置は、前記接続状態が異常であると判定する請求項1記載の真空処理装置。
  3. 前記ガス雰囲気は大気中であり、前記所定圧力が大気圧である請求項1または2記載の真空処理装置。
  4. 前記第1の開閉手段が電磁弁であり、前記制御装置により前記第1の開閉手段の開閉動作が制御される請求項1乃至3の何れかに記載の真空処理装置。
  5. 前記冷媒配管の途中に配置され、前記冷媒供給を開閉する第2の開閉手段を備え、
    前記制御装置は、前記第2の開閉手段を閉じて前記経路への冷媒の供給を停止した後、前記第1の開閉手段を開いて、ガス供給源から前記ガス配管を介して前記経路にガスを供給すると共に、前記ガス配管を介して前記経路を通過したガスを前記真空槽の外部に放出するように制御して、
    その後、前記冷媒配管が前記通流ポート部において前記冷却部材から離脱される請求項1記載の真空処理装置。
  6. 前記冷却部材に保持された膜形成基板を備え、前記基板への膜形成の過程において、前記冷却部材を介して前記基板が前記冷媒との熱交換により冷却される請求項1乃至5記載の真空処理装置。
  7. 真空槽の内部空間において冷媒を流す冷却部材と冷媒を前記冷却部材に導く冷媒配管とを接続した後、前記真空槽の内部空間を密閉してその内部空間を負圧に減圧し、
    この状態で、前記冷媒配管の途中から分岐して、前記負圧より高い圧力状態のガス雰囲気中にまで延びるガス配管を第1の開閉手段により開き、
    その後、圧力計測手段により検知される前記内部空間の圧力値に基づき、前記冷媒配管と前記冷却部材との間の接続状態の正常又は異常が判定される真空処理装置の検査方法。
  8. 前記第1の開閉手段の開栓前後の前記圧力値の変動量が所定量以上において、前記接続状態が異常であると判定される請求項7記載の真空処理装置の検査方法。
  9. 前記接続状態が異常であると判定されると、前記真空槽の内部空間が大気圧に戻された後、前記冷媒配管と前記冷却部材との間の接続状態が確認される請求項8記載の真空処理装置の検査方法。
  10. 前記第1の開閉手段の開栓前後の前記圧力値の変動量が所定量未満において、前記接続状態が正常であると判定される請求項7記載の真空処理装置の検査方法。
  11. 前記接続状態が正常であると判定されると、前記冷媒配管の途中に配置され前記冷媒配管を開閉する第2の開閉手段を開くことによって前記冷媒配管を介して前記冷却部材に冷媒が供給される請求項10記載の真空処理装置の検査方法。
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