JP2006021468A - 平版印刷用原版の製造方法、平版印刷用原版及びこれを用いた印刷方法 - Google Patents

平版印刷用原版の製造方法、平版印刷用原版及びこれを用いた印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 塗布欠陥がなく、表面形状が均一で、安定かつ良好な塗布面が得られ、性能も良好な平版印刷用原版の製造方法、平版印刷用原版及びこれを用いた印刷方法を提供することにある。
【解決手段】 支持体上に1種以上の粒子物を含有する親水性層、画像形成層をこの順に設けてなる平版印刷用原版の製造方法において、連続的に搬送される支持体上に、溝きりバーを用いて過剰量の親水性層塗布液を塗布した後、過剰量の該親水性層塗布液を掻き落して塗布する際の、該溝きりバーのピッチをP、高さをH、1種以上の該粒子物の内、平均粒径が最も大きい粒子物の平均粒径をAとするとき、2A<H、14≦P/A≦36であることを特徴とする平版印刷用原版の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、溝きりバーを用いて塗布を行う平版印刷用原版の製造方法、平版印刷用原版及びこれを用いた印刷方法に関する。
従来の印刷工程は、原稿画像からネガもしくはポジフィルムを作製し、フィルムを介してアルミ砂目支持体上に感光層を有する平版印刷版材料(平版印刷用原版)に画像を露光し、アルカリ性現像液で現像処理を行うことで平版印刷版を作製し、これを印刷機に取り付け印刷するという手順で行われてきた。
近年、コンピューターの普及に伴い、フィルムを介さずに原稿画像データを直接印刷版に描画するコンピューター・トゥー・プレート(CTP)技術が普及しつつあり、フィルム作製に要していた時間短縮、コスト削減が可能となってきている。また印刷物のニーズとして、数千枚〜1万枚程度の刷り枚数で多種の高品質画像を印刷する、少部数多品種の傾向が高くなってきた。このため、描画時間が短く、高解像度が得られるヒートモードレーザー記録を用いた刷版作製がCTPの主流となりつつある。
CTPの普及と同期して印刷環境もオフィス化が進み、また環境適性の面からもアルカリ現像液を必要としない、さらには全く現像処理を必要としない平版印刷用原版が望まれるようになってきた。
例えば特開平9−123387号、同9−123388号、同9−131850号には親水性結合剤中に分散された熱可塑性粒子を含有する平版印刷用原版を印刷機に取り付け、印刷機上で現像して平版印刷版を作製する方法を開示している。これらの技術によればアルカリ現像を施すことなく、また現像機も要することなく刷版作製が可能であり、擬似的に現像処理不要の平版印刷版を提供できる。
平版印刷用原版においては、支持体に親水性のアルミ基板を用いず近年プラスチックフィルムを支持体として用い得ることも記載されている。
プラスチックフィルムは金属に比較して熱伝導性が低く、画像形成の際のレーザー露光により感熱層において発生する熱を支持体へと拡散させることなく、効率よく画像形成に利用でき、さらに、アルミニウム支持体に比較して安価であるという利点を有している。
これらのプラスチックフィルムを支持体に用いた刷版として、特開平9−314794号には表面をコロナ処理した支持体の使用例が挙げられており、特開平11−245530号にはプラズマ処理した支持体が開示されている。
塗布装置としては各種の装置が知られている。例えばディップ塗布、ローラ塗布、ファウンテン塗布、その他エアーナイフ、ブレード塗布、バー塗布、スライドホッパー等である。上記塗布装置を使用した塗布方法の中で連続的に搬送される支持体へ簡便に塗布する方法として、近年、薄膜・高速塗布用として多用されるようになってきた一つとして、バー塗布装置を使用したバー塗布方法が知られている。
バー塗布方法は、第一段階としてロール塗布装置により帯状支持体に適当に過剰量の塗布液を塗布し、これら過剰の塗布液(1次膜)にバー塗布装置(バーは静止、または回転)によりバーを押し当てて過剰な塗布液を掻き落すことによって所望の膜厚(2次膜)を得る方法である。掻き落し後の最終膜厚はバーに形成されている溝の断裁面のみで決定される。
バー塗布装置と組み合わせ、過剰な塗布液を塗布する装置としては上記の各塗布装置を使用することができるが、一般的にはディップ塗布装置、ロール塗布装置、ファウンテン塗布装置、コンマ塗布装置等の各装置が用いられる。また、特開平6−170312号に記載されている如き過剰塗布とバー塗布装置とが一体化した塗布装置であってもよい。
特許文献1には、バー塗布により支持体上に特定の金属酸化物粒子を含有する下塗り層を設ける内容が記載されているが、塗布欠陥がなく、安定な平版印刷用原版の製造方法については述べられていない。また、特許文献2には、分散粒子を含む塗布液を塗布するバー塗布について記載されているが、粒子物が塗布された塗布膜への塗布安定性について述べているものではなく、平版印刷用原版の安定製造方法を述べているものではない。
以上のように、従来、特別なバー塗布装置を必要とせず、塗布性が良好でかつ性能の安定した平版印刷用原版のバー塗布製造方法がなく、その開発が望まれていた。
特開平14−154278号公報 特開平15−175359号公報
本発明の目的は、塗布欠陥がなく、表面形状が均一で、安定かつ良好な塗布面が得られ、性能も良好な平版印刷用原版の製造方法、平版印刷用原版及びこれを用いた印刷方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上に1種以上の粒子物を含有する親水性層、画像形成層をこの順に設けてなる平版印刷用原版の製造方法において、連続的に搬送される支持体上に、溝きりバーを用いて過剰量の親水性層塗布液を塗布した後、過剰量の該親水性層塗布液を掻き落して塗布する際の、該溝きりバーのピッチをP(μm)、高さをH(μm)、1種以上の該粒子物の内、平均粒径が最も大きい粒子物の平均粒径をA(μm)とするとき、
2A<H
14≦P/A≦36
であることを特徴とする平版印刷用原版の製造方法。
(請求項2)
請求項1に記載の平版印刷用原版の製造方法で製造されることを特徴とする平版印刷用原版。
(請求項3)
請求項2に記載の平版印刷用原版を画像情報に基づきレーザー露光し、機上現像処理を行い印刷することを特徴とする印刷方法。
本発明により、塗布欠陥がなく、表面形状が均一で、安定かつ良好な塗布面が得られ、性能も良好な平版印刷用原版の製造方法、平版印刷用原版及びこれを用いた印刷方法を提供することができる。
本発明者は鋭意検討の結果、支持体上に1種以上の粒子物を含有する親水性層、画像形成層をこの順に設けてなる平版印刷用原版の製造方法において、連続的に搬送される支持体上に、溝きりバーを用いて過剰量の親水性層塗布液を塗布した後、過剰量の該親水性層塗布液を掻き落して塗布する際の、該溝きりバーのピッチをP(μm)、高さをH(μm)、1種以上の該粒子物の内、平均粒径が最も大きい粒子物の平均粒径をA(μm)とするとき、
2A<H
14≦P/A≦36
である平版印刷用原版の製造方法により、塗布欠陥がなく、表面形状が均一で、安定かつ良好な塗布面が得られ、性能も良好な平版印刷用原版の製造方法が得られることを見出した。
溝きりバーの高さHが、1種以上の粒子物の内、最も大きい粒子物の平均粒径Aの2倍以下では、溝きりバーが詰まりやすくなり、その結果塗布スジ等の塗布欠陥が生じる。粒子物は1種または複数種用いられるが、粒子物が1種のみのときは、最も大きい粒子物とは該粒子物である。
また、溝きりバーのピッチPを、1種以上の粒子物の内、最も大きい粒子物の平均粒径Aで割った値P/Aが、14〜36であることが重要である。P/Aが14未満であると粒子が溝きりバーのピッチ間に詰まりやすくなり、その結果、塗布スジ、抜け等の塗布欠陥を生じ、その結果印刷性能の劣化、不安定さをもたらす。P/Aが36を超えると粒子が溝きりバーのピッチ間に詰まることはなくなるが、支持体に対する溝きりバーの山頂部分の1つ1つの圧力が過度に強くなるため、山頂部分の粒子が支持体表面をこすったり、また溝きりバーの山頂が支持体を削る。その結果、塗布スジ、抜け等の塗布欠陥を生じ、印刷性能の劣化、不安定さをもたらす。
本発明の条件を満たせば塗布性、印刷性能が安定で良好であることが分かった。
(溝きりバー)
本発明で用いられる溝きりバーとは、彫刻により溝を作製したものであっても、ねじ転造丸ダイスを用いて転造により作製されたものであってもよい。
ねじ転造丸ダイスを用いて転造により作製された溝きりバーを以下に説明する。
ねじ転造とは、金属の可塑性を利用して、2個または数個の組となったねじ型(ねじ転造ダイス)の間で、ねじ素材(ねじブランク)を転がし、ねじ山を揉みだす方法である。本方法は精度の高い、バラツキのないねじの生産が可能なため、大部分の普通ねじの転造に多く利用されている。
図1は、ねじ転造丸ダイスを用いた溝きりバー作製の概略図である。
転造加工の特長を以下に挙げる。
転造ねじは、切削ねじと比較すると素材の繊維組織が切削ねじのようには切断されず、ねじの山に沿って連続しているため強度が高く、精度の均一性もよくJIS1級ねじが容易に製造できる。また切削ねじに見られるようなかじりやばりがなく、ねじ面は鏡面仕上げとなる。さらに本加工方法は量産性もよく、熟練者でなくても毎分10〜1500本のねじが容易に製造可能である。1組のダイスで10〜1600万本のねじが転造でき、長時間工具の取り換えを必要としないのが特長である。材料も製品ねじより小さい有効径近辺の径でも可能のため経済性にも優れる。
転造し得るねじの種類は、一般的に多く使われる三角ねじの他にデーハねじ、台形ねじやウォームまである。
ねじ転造法には平ダイス、ロータリー式、丸ダイスに大きく分かれ、生産速度、精度、用途によって使い分けられている。
ねじ転造ダイスの材料としては、ねじの転造時に大きな圧力、摩擦を生じるため、かけたり、磨耗したり、変形することのない靭性と耐摩耗性のある素材であれば特に材質は問わない。
ねじ転造ダイスの硬さは、58〜65HRC(660〜830HV)の範囲内で、ダイス材料、転造ねじ材料、硬さ、ねじ山形、ピッチ等により選択されるが、一般的に61〜63HRC(670〜770HV)である。
(粒子物)
親水性層に用いられる粒子物としては、フィラー、コア−シェル構造を有するフィラー、表面凹凸粒子、ワックス、シリコン系化合物、金属原子含有粒子等を挙げることができる。
フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト、TiO2、BaSO4、ZnS、MgCO3、CaCO3、ZnO、CaO、WS2、MoS2、MgO、SnO2、Al23、α−Fe23、α−FeOOH、SiC、CeO2、BN、SiN、MoC、BC、WC、チタンカーバイド、コランダム、人造ダイアモンド、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、トリボリ、ケイソウ土、ドロマイト、シリカゲル、酸性白土、活性白土等の無機フィラーや、ポリエチレン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等の有機フィラーを挙げることができる。これらは離型剤を兼ねてもよい。
コア−シェル構造を有する粒子は、コア粒子表面のシェルとなる部分に粒子を固着させた粒子である。コア粒子、シェルとなる部分の粒子は無機粒子でも有機粒子でもよい。コア粒子にシェルとなる粒子を何層にも固着(被覆)させてもよい。コア粒子の平均粒径は0.1〜15μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。
表面凹凸粒子は、コア粒子の表面に小粒子が固着したもので、この小粒子の平均粒径はコア粒子の平均粒径の1/3以下が好ましく、より好ましくは1/10以下である。表面凹凸粒子の平均粒径は15μmを越えないことが好ましく、また0.1μm以上であることが好ましい。コア粒子の表面に固着する小粒子の被覆度は、本発明の効果が現れる範囲で任意に選ぶことができる。表面凹凸粒子は、例えば、東レリサーチセンター(株)編「微粒子ポリマーの新展開」に記載のヘテロ凝集法を利用する方法、コア粒子表面からの重合反応による方法、粉体工学会編「粒子設計工学」に記載のハイブリダイザーを用いる乾式凝集攪拌法等を用いて容易に製造することができる。また、ある種のコア−シェル粒子はコア粒子の表面に小粒子を析出させることにより製造できる。
ワックスとしては、蜜ロウ、キャンデリラワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンロウ、カルナバワックス、アミドワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の固形ワックス類が挙げられる。
シリコン系化合物(ワックス状のものを含む)の粒子物としては、ジメチルシリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイル、メチルハイドロジェンシリコンオイル等のストレートシリコンオイル、オレフィン変性シリコンオイル、ポリエーテル変性シリコンオイル、エポキシ変性シリコンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコンオイル、アルコール変性シリコンオイル、フッ素変性シリコンオイル、アミノ変性シリコンオイル、フェノール変性シリコンオイル、メルカプト変性シリコンオイル、カルボキシ変性シリコンオイル、高級脂肪酸変性シリコンオイル、カルナバ変性シリコンオイル、アミド変性シリコンオイル、(メタ)アクリル変性シリコンオイル等のラジカル反応性シリコンオイル、シリコンジオールや、シリコンジアミン等の末端反応性シリコンオイル、ハロゲン基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、イミド基等で変性された有機変性シリコンオイル等を挙げることができる。
金属原子含有粒子とは鉄、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、チタン、銀、アルミニウム、金、白金等の金属またはその酸化物等の化合物を総称している。金属原子含有粒子は、強磁性酸化鉄粉末、強磁性金属粉末、立方晶板状粉末等が挙げられる。
強磁性酸化鉄としては、γ−Fe23、Fe34、またはこれらの中間酸化鉄でFeOx(1.33<x<1.50)で表されるものを挙げることができる。
強磁性金属粉末としては、Fe、Coを始め、Fe−Al系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Al−Ca系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al系、Fe−Ni−Co系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Mn系、Fe−Ni−Si系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Ni−Si−Al−Co系、Fe−Al−Si系、Fe−Al−Zn系、Fe−Co−Ni−P系、Fe−Co−Al−Ca系、Ni−Co系、Fe、Ni、Co等を主成分とするメタル磁性粉末等の強磁性金属粉末が挙げられ、中でもFe系金属粉末が好ましく、例えばCo含有γ−Fe23、Co被着γ−Fe23、Co含有Fe34、Co被着Fe34、Co含有磁性FeOx(4/3<x<3/2)粉末等のコバルト含有酸化鉄系磁性粉末が挙げられる。
粒子物は、1種単独でも2種以上を用いてもよい。
(支持体)
本発明に用いられる支持体としては、特に大きな制限はなく、金属、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、さらにこれら材料を適宜貼り合わせた複合基材等も用いることができる。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アセテート、ナイロン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。
(バインダー)
本発明に用いられるバインダーとしては、特に大きな制限はなく用いることができる。バインダー樹脂としては、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体等の塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルホルマール等のアセタール系樹脂、及びポリビニルアルコール、ゼラチン等の水溶性樹脂等がある。
バインダー樹脂は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(画像形成層)
本発明の平版印刷用原版の画像形成層は、熱により融着可能な熱溶融性粒子及び熱により親油性を発現する物質の内から選択して含有することができる。
〈熱溶融性粒子〉
熱により融着可能な熱溶融性粒子としては、ワックス類、アクリル系樹脂、アイオノマー樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、合成ゴム類、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等の水に分散されたラテックスやエマルジョンから得られるものが挙げられる。これらの内、その融点が70〜180℃のものが好ましく、表面エネルギーの親水性成分が100μN/cm2以下であることが好ましい。融点がこの温度より低い場合には、保存時における性能劣化がしやすく、この温度より高い場合には画像の強度が得られず耐刷性が劣化しやすい。また表面エネルギーがこの範囲であると画像部のインキ着肉性が良好になる。このような点で熱溶融性物質としてはワックス類、アクリル系樹脂、合成ゴム類が特に好ましい。
本発明に利用可能なワックス類としてはカルナバワックス、蜜ろう、鯨ろう、木ろう、ホホバ油、ラノリン、オゾケライト、パラフィンワックス、モンタンワックス類、キャンデリラワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ライスワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、高級脂肪酸等が挙げられる。また、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基等の極性基を導入することもできる。
熱により融着可能な熱溶融性粒子を含有する画像形成層には、レーザー露光時の粒子の融着性を阻害しない範囲で画像形成層の皮膜性を付与するために親水性結着剤を含有させてもよい。
利用可能な親水性結着剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリビニルメチルエーテル、または天然結合剤、例えばゼラチン、多糖類、例えばデキストラン、プルラン、セルロース、アラビアゴム、アルギニン酸が挙げられる。また親水性結着剤は、フェノール性ヒドロキシ基及び/またはカルボキシル基を有する水に不溶性、アルカリ溶解性または膨潤性樹脂であってもよい。また種々の界面活性剤、コロイダルシリカ等も利用できる。
〈親油性を発現する物質〉
熱により親油性を発現する物質としては、融点が70〜180℃の熱溶融性物質が利用でき、ワックス類ではカルナバワックス、蜜ろう、鯨ろう、木ろう、ホホバ油、ラノリン、オゾケライト、パラフィンワックス、モンタンワックス類、キャンデリラワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ライスワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、高級脂肪酸等が、アクリル系樹脂では、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン等の一種もしくは2種以上を共重合したものが、また合成ゴム類ではポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、メタアクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等が挙げられる。またその他に、アイオノマー樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等が利用できる。これらの親油化剤は水分散体の形で利用することが塗工のしやすさの面で好ましい。
また、別の形態のものとして、熱破壊可能な親水性被覆材に覆われている熱架橋剤、熱により解離する保護基により官能基がブロックされた熱架橋剤が挙げられる。これら熱架橋剤は特開平7−1849号、同7−1850号、同9−311443号、同10−6468号、同10−1141168号にマイクロカプセル化された親油性成分として記載されている。
(親水性層)
本発明で親水性層とは、印刷時に水とインクの乳化した溶液が来た際、水をより多く取り込むことのできる層と定義する。
本発明では、支持体と親水性層の間にはその他の層を形成してもよい。例えば、親水性層の接着性を改善する下引き層や、長波長の緩やかな粗さを付与するうねり形成層、親水性層が受ける応力を緩和するクッション層等である。また、これらいずれかの層が光熱変換素材を含有していてもよい。
(平版印刷用原版の作製)
本発明の平版印刷用原版は、上述した支持体上に親水性層及び画像形成層(感光層)を設けることで作製することができる。
感光層はバインダー樹脂及び着色剤、必要に応じて潤滑剤、分散剤、帯電防止剤、充填剤、フィラー等と溶媒とを混練して、高濃度の感光層形成組成物を調製し、次いでこれを希釈して塗布用感光層形成組成物とし、支持体上に塗布・乾燥させて形成することができる。
感光層を形成するための塗料に用いられる有機溶剤としては、上記の組成物及び金属イオン錯体色素を溶解または分散できるものであれば特に制限はなく、例えばアルコール類(エタノール、プロパノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、芳香族類(トルエン、キシレン、クロルベンゼン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ハロゲン系溶剤(クロロホルム、ジクロルベンゼン等)、アミド系溶剤(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)等を用いることができる。また、着色剤成分の混練分散には二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、コボルミル、トロンミル、サンドミル、サンドグラインダー、Sqegvariアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、オープンニーダー、連続ニーダー等を用いることができる。
支持体上への感光層の形成は、例えばエクストルージョン方式の押し出しコータにより塗布乾燥して行うことができ、高解像度の画像を得るため感光層表面の硬さを上げるために、表面をカレンダー処理してもよい。
(印刷方法及び画像露光)
本発明の平版印刷用原版に画像形成する露光光源としては、金属イオン錯体色素が感応することのできる光源であれば特に制限なく用いることができる。その中で高解像度を得るためにはエネルギー印加面積が絞り込める電磁波、特に波長が1nm〜1mmの紫外線、可視光線、赤外線が好ましく、このような光エネルギーを印加し得る光源としては、例えばレーザー、発光ダイオード、キセノンフラッシュランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク燈、メタルハライドランプ、タングステンランプ、石英水銀ランプ、高圧水銀ランプ等を挙げることができる。この際加えられるエネルギーは画像形成材料の種類により、露光距離、時間、強度を調整することにより適時選択して用いることができる。
本発明の印刷方法に使用するレーザー光源としては、一般によく知られているルビーレーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー等の固体レーザー;He−Neレーザー、Arイオンレーザー、Krイオンレーザー、CO2レーザー、COレーザー、He−Cdレーザー、N2レーザー、エキシマーレーザー等の気体レーザー;InGaPレーザー、AlGaAsレーザー、GaAsPレーザー、InGaAsレーザー、InAsPレーザー、CdSnP2レーザー、GaSbレーザー等の半導体レーザー;化学レーザー、色素レーザー等を挙げることができ、これらの中でも効率的にアブレートを起こさせるためには、波長が600〜1200nmのレーザーが光エネルギーを熱エネルギーに変換できることから、感度の面で好ましい。
本発明の印刷方法では、画像情報に基づいてレーザー露光した後、現像処理を施さずに印刷することを特徴とする。
(機上現像)
本発明における機上現像とは、露光済みの平版印刷用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、平版印刷用原版の画像形成層の未露光部を除去する方法である。すなわち、平版印刷用原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で現像処理が完了する方式である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。なお、以下、特に断らない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」表す。
〔平版印刷用原版中間体1の作製〕
(支持体1の作製)
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPET(ポリエチレンテレフタレート)を得た。これをペレット化した後、130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定後の平均膜厚が190μmの未延伸フィルムを作製した。これを、前段延伸が102℃で1.3倍に、後段延伸は110℃で2.6倍に縦延伸した。ついでテンターで120℃で4.5倍に横延伸した。この後、240℃で20秒間熱固定後、同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンターのチャック部をスリットした後、両端にナーリング加工を行い、40℃に冷却後4.8kg/mで巻き取った。このようにして厚さ175μm、幅(製膜幅)2.5mの二軸延伸PETフィルムである支持体1を得た。支持体1のTgは79℃、厚み分布は3%であった。
(下引き済み支持体1の作製)
上記で得られた支持体1のフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後、コロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下記下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後、コロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下記下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。塗布後の下引き面Bの25℃、25%RHでの表面電気抵抗は108Ωであった。下引き層両面に下記プラズマ条件でプラズマ処理を施した。
(下引き塗布液a)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 92.0%
(下引き塗布液b)
ゼラチン 1%
アニオン系界面活性剤S−1 0.05%
硬膜剤H−1 0.02%
マット剤(シリカ、平均粒径3.5μm) 0.02%
防黴剤F−1 0.01%
水 98.9%
(下引き塗布液c)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 0.4%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス 7.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 91.9%
(下引き塗布液d)
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1の導電性組成物 6.4%
硬膜剤H−2 0.7%
アニオン系界面活性剤S−1 0.07%
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.03%
水 93.4%
成分d−1:スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−2:スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−3:スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
Figure 2006021468
Figure 2006021468
(プラズマ処理条件)
バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学(株)製、AP−I−H−340)を用いて、高周波出力が4.5kW、周波数が5kHz、処理時間が5秒及びガス条件としてアルゴン、窒素及び水素の体積比をそれぞれ90%、5%及び5%でプラズマ処理を行った。
(熱処理)
上記作製した支持体を1.25m幅にスリットした後、張力2hPaで180℃、1分間の低張力熱処理を行った。
熱処理を行った上記支持体の下引き面A側に、オーエスジー(株)製の溝きりバー(P=200μm、H=21μm)を用い、下記第一親水性層塗布液を乾燥膜厚3.0μmになるように塗布を行った。このときA=6.5μmであった。
(第1親水性層塗布液)
スノーテックス−XS(日産化学工業(株)製、平均粒径0.005μm)
9.62部
スノーテックス−ZL(日産化学工業(株)製、平均粒径0.085μm)
0.6部
シルトンJC−4(水澤化学工業(株)製、平均粒径4.0μm) 2.22部
STM−6500S(日産化学工業(株)製、被覆粒子平均粒径6.5μm) 3部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学(株)製) 0.12部
ミネラルコロイドMO(ウイルバ−エリス(株)製) 0.22部
MF−4500ブラック(大日精化工業(株)製、光熱変換素材) 4部
リン酸三ナトリウム・12水(関東化学(株)製) 0.06部
FZ−2161(日本ユニカー(株)製) 0.16部
純水 80部
以上により、平版印刷用原版中間体1を作製した。
〔平版印刷用原版中間体2〜7の作製〕
平版印刷用原版中間体1の作製において、第1親水性層塗布液の固形分、溝きりバーのP、Hを表1に記載のように変えて、平版印刷用原版中間体2〜7を作製した。なお、第1親水性層塗布液の固形分は純水の量を増減して変えた。
〔平版印刷用原版中間体の評価〕
得られた平版印刷用原版中間体について下記評価を行った。なお、本実施例では、親水性層の塗布性の評価のため画像形成層塗設前の平版印刷用原版中間体について評価を行った。
(塗布欠陥)
塗布100、2000m後の試料1m2当たりの塗布欠陥(抜け)数をカウントした。塗布欠陥は数が少ないほどよい。
(抜け大きさ)
塗布100、2000m後の試料1m2の塗布欠陥(抜け)のうち最も大きいものの大きさ(μm)を測定した。
(縦スジ(塗布方向スジ))
塗布100、2000m後の試料1m2当たりの縦スジランクを以下のように5段階評価した。
5:全く発生なし
4:少し発生、実害なし
3:少し発生、実害懸念レベル
2:発生、実害あり
1:多発、実害あり
(バー再使用性)
塗布後のバーを下記方法により洗浄し、バーの目詰まり度合い、再使用性を目視で以下のように3段階評価した。
超音波洗浄器FU−926(東京硝子器械(株)製)に水2Lを入れ、超音波洗浄剤コンタミノンUS(和光純薬工業(株)製)を10ml添加し24時間洗浄を行った。
3:目詰まりがなく、再使用全く問題なし
2:目詰まりが少しあるが、再使用問題なし
1:目詰まりが多く、再使用不可
評価の結果を表1に示す。
Figure 2006021468
表1より本発明の製造方法では塗布欠陥がなく、長尺で安定な親水性層塗布面を持つ平版印刷用原版中間体が得られることが分かる。
実施例2
実施例1で作製した平版印刷用原版中間体上に、乾燥膜厚0.6μmになるようにマイクログラビアを用い、下記組成の第二親水性層塗布液を塗布した。このときA=5.0μmであった。
(第2親水性層塗布液)
スノーテックス−S(日産化学工業(株)製、平均粒径0.009μm)
1.56部
スノーテックス−PSM(日産化学工業(株)製、平均粒径0.095μm)
2.34部
シルトンJC−20(水澤化学工業(株)製、平均粒径1.5μm) 1.2部
AMT−08(水澤化学工業(株)製、平均粒径0.95μm) 3.6部
MP−4540(日産化学工業(株)製、平均粒径0.45μm) 1.8部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学(株)製) 0.12部
ミネラルコロイドMO(ウイルバ−エリス(株)製) 0.24部
光熱変換素材:MF−4500ブラック(大日精化工業(株)製) 1.08部
リン酸三ナトリウム・12水(関東化学(株)製) 0.06部
純水 88部
上記得られた親水性層積層品上に、乾燥膜厚が0.60g/m2になるように(有)丸協技研製のワイヤーバーを用いて下記画像形成層塗布液を塗布した。
(画像形成層塗布液)
熱溶融性粒子:HI−DISPER A−206((株)岐阜セラック製造所製、平均粒径0.5μm) 2.375部
DL−522((株)日本触媒製、平均分子量170.000) 0.7125部
熱溶融性粒子:HI−DISPER A118((株)岐阜セラック製造所製、平均粒径0.3μm) 6.4125部
純水 90.5部
以上のようにして、平版印刷用原版中間体1〜7から、それぞれ平版印刷用原版1〜7を作製した。
〔平版印刷用原版の評価〕
得られた平版印刷用原版について、下記評価を行った。評価の結果を表2に示す。
(露光及び印刷)
得られた平版印刷版原版に半導体レーザー光源(発光波長830nm、スポット寸法10μmの光源で解像度は走査方向、副走査方向ともに2000dpi)を用いて175線相当で50%網点画像及びベタ画像を、走査速度を変えて画像面における照射エネルギー量が250mJ/cm2で露光した。なお、dpiとは2.54cm当たりのドット数を表す。
露光後の平版印刷版原版を現像処理を行なわずにハイデルGTO印刷機に取り付け、エッチング液としてSEU−3(コニカミノルタエムジー(株)製)の45倍水希釈液、インキとしてハイエコー(東洋インキ製造(株)製)、印刷紙として上質紙を用い、23℃、48%の環境下で印刷を行った。
(刷り出し性)
刷り出し時に良好なS/N比(非画像部に地汚れがなく、即ち画像形成層の非画像部が印刷機上で除去され、かつ、画像部の濃度が適正範囲となっている。特に、BC層のマット材による画像層の傷に起因する現像不良もない状態)を有する印刷物が得られる迄の印刷枚数(刷出し損紙)を以て刷り出し性を評価した。損紙の枚数が少ないほど優れている。40枚以上では実用上問題がある。
(仕上がり品質)
印刷開始後30枚目の仕上がり品質を下記ランクにて目視評価した。
5:品質良好
4:品質やや劣るが、使用全く問題なし
3:品質少し劣るが、使用可能レベル
2:品質悪く、実害性懸念レベル
1:品質悪く、使用不可
(地汚れ)
露光、現像処理する前の平版印刷版原版を、完全に遮光して55℃、20%RHの高温条件で5日間(DT−5)保存後、さらに40℃、80%RHの高湿条件で5日間(HT−5)保存した後、平版印刷版原版に175線の画像を200μJ/cm2露光量で露光、現像して作製した平版印刷版を、印刷機(DAIYA1F−1、三菱重工業(株)製)で、コート紙、印刷インキ(大豆油インキ ナチュラリス100、大日本インキ化学工業社製)及び湿し水(H液SG−51 濃度1.5%、東京インク社製)を用いて印刷を行い、非画線部の汚れの発生する印刷枚数を地汚れを示す指標とした。印刷枚数が多いほど地汚れがよいことを示す。
(耐刷性)
平版印刷版原版に175線の画像を200μJ/cm2露光量で露光、現像して作製した平版印刷版を、印刷機(DAIYA1F−1、三菱重工業(株)製)で、コート紙、印刷インキ(大豆油インキ ナチュラリス100、大日本インキ化学工業社製)及び湿し水(H液SG−51 濃度1.5%、東京インク社製)を用いて印刷を行い、ハイライト部の点細り、シャドウ部の絡みの発生する印刷枚数を耐刷性を示す指標とした。印刷枚数が多いほど高耐刷性であることを示す。
Figure 2006021468
表2より本発明の製造方法では塗布欠陥がなく長尺で安定な塗布面が得られ、この製造方法で得られた平版印刷用原版は印刷性能も良好であることが分かる。
ねじ転造丸ダイスを用いた溝きりバー作製の概略図である。 溝きりバーのピッチP及び高さHを示す図である。
符号の説明
P 溝きりバーのピッチ
H 溝きりバーの高さ

Claims (3)

  1. 支持体上に1種以上の粒子物を含有する親水性層、画像形成層をこの順に設けてなる平版印刷用原版の製造方法において、連続的に搬送される支持体上に、溝きりバーを用いて過剰量の親水性層塗布液を塗布した後、過剰量の該親水性層塗布液を掻き落して塗布する際の、該溝きりバーのピッチをP(μm)、高さをH(μm)、1種以上の該粒子物の内、平均粒径が最も大きい粒子物の平均粒径をA(μm)とするとき、
    2A<H
    14≦P/A≦36
    であることを特徴とする平版印刷用原版の製造方法。
  2. 請求項1に記載の平版印刷用原版の製造方法で製造されることを特徴とする平版印刷用原版。
  3. 請求項2に記載の平版印刷用原版を画像情報に基づきレーザー露光し、機上現像処理を行い印刷することを特徴とする印刷方法。
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