JP2006021393A - ホログラム記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Hisae Yoshizawa
久江 吉沢
Koichi Haga
浩一 羽賀
Kazuhiro Hayashi
和廣 林
Katsunori Kono
克典 河野
Susumu Yasuda
晋 安田
Yasuhiro Ogasawara
康裕 小笠原
Jiro Mitsunabe
治郎 三鍋
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Abstract

【課題】ホログラムの記録/再生特性に優れたホログラム記録媒体を提供すること。
【解決手段】基材と、該基材の少なくとも片面上に設けられたホログラム記録層と、少なくとも前記ホログラム記録層表面に設けられた保護層とを含むホログラム記録媒体において、少なくとも前記保護層表面を接着剤を介して覆うオーバーコート層が設けられ、前記保護層表面を覆う前記オーバーコート層が前記保護層表面の一部分のみを覆うことを特徴とするホログラム記録媒体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、身分証明書やクレジットカード、キャッシュカード等に、真偽性の確認や、その他各種情報の付与を目的としてホログラムの記録/再生が可能なホログラム記録媒体およびその製造方法に関するものである。
プリペイドカード、クレジットカード、キャッシュカード、証明用カードなどでは、不正に偽造・変造されていないかどうかを識別する必要がある。これを識別する一つの方法として、クレジットカードやキャシュカード等にはホログラム記録を利用して真偽性を確認するためのホログラムを予め記録しておき、これらのカードの利用に際してはその情報を読み取ることによりカードの所持者が本人であるか否かや、カードが本物か否かの確認が行われる。また、ギフトカード等においても、見る角度によって文字や数字、絵柄などが変化するホログラムが、偽造対策として施されている。
このようなホログラムの記録/再生が可能なホログラム記録媒体は、基本的に、塩化ビニル等からなる基材の上に、ホログラムシールの貼り付けや、塗布法により形成されたホログラム記録層が設けられ、さらにこのホログラム記録層全面と基材とを覆うように保護層が設けられた構成を有する(例えば、特許文献1〜3等参照)。また、偽造を防止するために、ホログラム記録層および基材と保護層とは接着剤を介して接着固定される。
従って、ホログラム記録層が保護層によって機械的な磨耗や化学的な腐食等から保護されると共に、基材上に設けられたホログラムが記録された部分を剥がして貼り代えようとしても、綺麗に剥がすことが困難である上に、剥がす際にホログラム記録層が破れたりして破損するために、偽造を防止することができる。
また、ホログラムの記録に際しては信号光および参照光が、ホログラムの再生に際しては読み出し光がホログラム記録層に照射され、読み出し光が照射されたホログラム記録層からは再生光が外部へと放射される。このような各種の光は、透明な部材を用いるのであれば基材側、保護層側のいずれの側からもホログラム記録層に出入させることができるが、ホログラム記録媒体にホログラムを記録/書き換え/再生する場合の取り扱いの容易さや、厚みに起因した吸収損失を小さくできること等の実用面からは、保護層を介してホログラム記録層に光が照射/ホログラム記録層から光が取り出されることが多い。
特開2002−19341号公報 特開平10−95186号公報 特開平10−97171号公報
しかし、偽造防止のために、保護層とホログラム記録層との間に設けられた接着層は、光の散乱や吸収を招くのみならず、ホログラム記録層に浸透し、ホログラムの記録/再生特性を劣化させてしまう。
また、保護層は、ホログラム記録層と、記録装置や再生装置の光源や検出器との間の光路上に位置するため優れた光学的特性が求められるが、これに加えてホログラム記録層を摩擦や磨耗などの機械的刺激から保護するためにある程度の強度や耐磨耗性等の機械的特性も必要である。この機械的特性の向上のためには、保護層材料にも依存するものの、必然的にある程度の膜厚も必要である。しかし膜厚の増加に伴い光吸収も増大するため、記録/再生特性の劣化を招いてしまう。
さらに、保護層はホログラム記録媒体の最外面を構成するため、保護層表面に散乱の原因となる傷やヘイズが発生・蓄積し、経時的に記録/再生特性が劣化してしまう。
この問題に対応するためには、例えば、保護層を2層化し、最外面を構成する層には機械的特性により優れた材料を利用する方法も挙げられる。しかし、単層型の保護層と比べて、2層型の保護層では、2つの層の界面や、この界面に設けられた接着層に起因する散乱、光吸収によって、記録/再生特性の劣化を招くため、抜本的な解決にはならない。
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、ホログラムの記録/再生特性に優れたホログラム記録媒体およびその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1>
基材と、該基材の少なくとも片面上に設けられたホログラム記録層と、少なくとも前記ホログラム記録層表面に設けられた保護層とを含むホログラム記録媒体において、
少なくとも前記保護層表面を接着剤を介して覆うオーバーコート層が設けられ、前記保護層表面を覆う前記オーバーコート層が前記保護層表面の一部分のみを覆うことを特徴とするホログラム記録媒体である。
<2>
前記オーバーコート層が、少なくとも前記ホログラム記録層上を覆うように設けられ、且つ、前記ホログラム記録層上に位置する前記オーバーコート層が、前記ホログラム記録層上の一部分のみを覆うことを特徴とする<1>に記載のホログラム記録媒体である。
<3>
前記ホログラム記録層に記録されたホログラムを再生する際に照射される読み出し光、および、前記読み出し光照射時にホログラムが記録された前記ホログラム記録層から放射される再生光、から選択される少なくとも1種の光が、前記ホログラム記録層の前記保護層が設けられた側から照射または放射され、
前記ホログラム記録層の前記保護層が設けられた側から照射または放射される光が、前記保護層表面から前記ホログラム記録層側に設けられた層のみを介して照射または放射されることを特徴とする<2>に記載のホログラム記録媒体である。
<4>
少なくともオーバーコート層で覆われていない領域の保護層とホログラム記録層とが接着剤を介さずに接して設けられたことを特徴とする<2>に記載のホログラム記録媒体である。
<5>
前記ホログラム記録層および前記保護層が、前記基材表面の外周端から離れた位置に設けられ、前記オーバーコート層が、接着剤を介して前記保護層表面および前記基材の前記保護層で覆われていない表面の双方に連続的に設けられたことを特徴とする<2>に記載のホログラム記録媒体である。
<6>
前記保護層表面外周端の少なくとも一部を含み、前記保護層表面、および、前記基材の前記保護層で覆われていない面の双方の領域に跨って、画像が形成されていることを特徴とする<5>に記載のホログラム記録媒体
<7>
前記基材の前記保護層で覆われていない表面と前記オーバーコート層との接着力が、前記ホログラム記録層と前記保護層との接着力と同等以上であることを特徴とする<6>に記載のホログラム記録媒体である。
<8>
前記ホログラム記録層が、前記基材表面の外周端から離れた位置に設けられ、前記保護層が、前記ホログラム記録層表面およびその周囲の面を覆うように設けられ、前記オーバーコート層が、前記保護層表面およびその周囲の面を接着剤を介して覆うように設けられ<1>に記載のホログラム記録媒体であって、
前記オーバーコート層が、少なくとも前記ホログラム記録層上の全領域を含む開口部を有することを特徴とするホログラム記録媒体である。
<9>
ホログラムの記録および/または再生のために前記ホログラム記録層に対して照射される光に対する前記保護層の透過率が80%以上であることを特徴とする<1>に記載のホログラム記録媒体である。
<10>
前記保護層のヘイズが5%以下であることを特徴とする<1>に記載のホログラム記録媒体である。
<11>
前記ホログラム記録層と前記基材との間にベース基板が設けられ、前記ベース基板が前記基材と接着剤を介して接着されていることを特徴とする<1>に記載のホログラム記録媒体である。
<12>
前記ホログラム記録層の前記基材が設けられた側の面に接して反射層を設けたことを特徴とする<1>に記載のホログラム記録媒体である。
<13>
基材と、該基材の少なくとも片面上に設けられたホログラム記録層と、面方向の形状・サイズが前記ホログラム記録層と略同一であり、前記ホログラム記録層表面に設けられた保護層と、少なくとも前記保護層表面を接着剤を介して覆うオーバーコート層とが設けられ、
前記オーバーコート層が、少なくとも前記ホログラム記録層上を覆うように設けられ、且つ、前記ホログラム記録層上に位置する前記オーバーコート層が、前記ホログラム記録層上の一部分のみを覆うホログラム記録媒体の製造方法であって、
前記基材表面に、前記ホログラム記録層と、この片面全面を覆うように接着剤を介さずに接して設けられた前記保護層とを少なくとも含むホログラム記録層保持体を配置する工程と、
前記ホログラム記録層保持体が配置された前記基材表面を、接着剤を介して前記オーバーコート層により覆い貼り合わせる工程とを少なくとも含むことを特徴とするホログラム記録媒体の製造方法である。
<14>
前記ホログラム記録層保持体が、前記ホログラム記録層の前記保護層が設けられた側と反対側の面に接して設けられた反射層を含むことを特徴とする<13>に記載のホログラム記録媒体の製造方法である。
<15>
前記ホログラム記録層保持体が、前記ホログラム記録層の前記保護層が設けられた側と反対側の面に設けられたベース基板を含むことを特徴とする<13>に記載のホログラム記録媒体の製造方法である。
以上に説明したように本発明によれば、ホログラムの記録/再生特性に優れたホログラム記録媒体およびその製造方法を提供することができる。
(ホログラム記録媒体)
本発明のホログラム記録媒体は、基材と、該基材の少なくとも片面上に設けられたホログラム記録層と、少なくとも前記ホログラム記録層表面に設けられた保護層とを含むホログラム記録媒体において、少なくとも前記保護層表面を接着剤を介して覆うオーバーコート層が設けられ、前記保護層表面を覆う前記オーバーコート層が前記保護層表面の一部分のみを覆うことを特徴とする。
本発明のホログラム記録媒体においては、その具体的な構成にもよるが、オーバーコート層は、主に、ホログラム記録層上に位置し、オーバーコート層で覆われていない保護層表面を外部の機械的刺激から保護する機能(第1の機能)、および/または、オーバーコート層との接着を介して保護層を固定する機能(第2の機能)を発揮する。
このため、第1の機能が発揮される場合には、保護膜表面の傷やヘイズの発生・蓄積を防いで、経時的な記録/再生特性の劣化を抑制することができ、第2の機能が発揮される場合には、偽造防止のために保護膜とホログラム記録層との間に設けられる接着層が不要となり、接着層に起因する吸収や散乱を無くして、記録/再生特性をより向上させることができる。従って、本発明のホログラム記録媒体は、優れた記録/再生特性を得ることができる。
なお、本発明のホログラム記録媒体は、オーバーコート層が上述した第1の機能、または、第2の機能の少なくともいずれか一方が発揮できるのであればその具体的な構成は特に限定されるものではないが、特に好適な構成としては、以下に説明するようなオーバーコート層がホログラム記録層上を覆うように設けられる場合(第1の実施形態)と、オーバーコート層がホログラム記録層上を覆わないように設けられる場合(第2の実施形態)と、が挙げられる。以下、第1の実施形態と、第2の実施形態とに分けて本発明のホログラム記録媒体について説明する。
なお、以下の本発明の説明において、「ホログラム記録層表面」、「保護層表面」、「オーバーコート層表面」とは、特に説明の無い限り、これらの層の基材が設けられた側と反対側の面を意味する。
−第1の実施形態−
第1の実施形態のホログラム記録媒体は、オーバーコート層が、少なくともホログラム記録層上を覆うように設けられ、且つ、ホログラム記録層上に位置するオーバーコート層が、ホログラム記録層上の一部分のみを覆うものである。
従って、第1の実施形態のホログラム記録媒体にホログラムを記録したり、一旦記録されたホログラムを再生する際に、ホログラム記録層に照射される光(信号光、参照光、あるいは、読み出し光)を、オーバーコート層で覆われていない部分の保護層を介してホログラム記録層に照射したり、ホログラム記録層から放射(取り出し)される光(再生光)を、オーバーコート層で覆われていない部分の保護層を介してホログラム記録層から取り出したりした場合には、優れた記録/再生特性を得ることが可能である。
第1の実施形態のホログラム記録媒体は、ホログラム記録層上に位置するオーバーコート層が、ホログラム記録層上の一部分のみを覆うようにして保護層表面に設けられている。これは言い換えれば、ホログラム記録層に対して、ホログラム記録層上に位置するオーバーコート層表面が、ホログラム記録層上に位置する保護層表面よりも外側に位置することを意味する。
すなわち、このホログラム記録層上に位置するオーバーコート層は、記録/再生装置の光源からホログラム記録層への光路、あるいは、ホログラム記録層から再生装置の検出器への光路に位置する保護層表面を、外部の機械的刺激から守る機能を発揮する。
従って、この場合、保護層表面にヘイズや傷が発生・蓄積しにくくなる。このため、ホログラム記録媒体を長期に渡って使用しても記録/再生特性が劣化しにくい。
それゆえ、第1の実施形態のホログラム記録媒体の保護層に求められる機械的特性は、従来のホログラム記録媒体に設けられた単層の保護層と比べて、ホログラム記録層の面上に位置しホログラム記録層上の一部分のみを覆うように保護層表面に設けられたオーバーコート層によってある程度肩代わりされる。
このような理由から、第1の実施形態のホログラム記録媒体に用いられる保護層は、内側および外側の層からなり、外側の層として機械的特性に優れた材料を用いたような界面や接着層を有する2層構造とする必要もない。加えて、膜厚をより薄くすることができ、さらに保護層材料の選択に際しても機械的特性よりも光学的特性により比重をおいて材料を選択することができる。
それゆえ、第1の実施形態のホログラム記録媒体はより優れた記録/再生特性を得ることができる。
なお、オーバーコート層は、1枚の連続した部材から構成されていてもよいが、2枚以上の複数の部材から構成されていてもよい。
例えば、ホログラム記録層の外周端近傍の表面上のみを覆うようにしかオーバーコート層が設けられない場合には、ホログラム記録層の面積が大きくなると、ホログラム記録層表面の中央部近傍を覆う保護層表面が、外部からの機械的刺激によって傷ついたり磨耗しやすくなったりする場合がある。
この問題に対しては、ホログラム記録層表面の中央部近傍を覆う保護層の表面も覆うようにオーバーコート層を設けることができる。さらに、ホログラム記録層の外周端近傍の表面上を覆うように設けられたオーバーコート層と、ホログラム記録層の中央部近傍の表面上を覆うように設けられたオーバーコート層とは、別々に分離した状態(すなわち2つの部材からなる)であってもよく、連続した状態(すなわち1つの部材からなる)であってもよい。
また、第1の実施形態のホログラム記録媒体および後述する第2の実施形態のホログラム記録媒体においては、記録や再生時に照射または取り出される光、すなわち、ホログラムをホログラム記録層に記録させる際に照射される信号光や参照光、ホログラム記録層に記録されたホログラムを再生する際に照射される読み出し光、および、読み出し光照射時にホログラムが記録されたホログラム記録層から放射される再生光のうち、少なくともいずれか1種の光は、ホログラム記録層の保護層が設けられた側から照射または放射される。
この場合、全ての光が、保護層表面からホログラム記録層側に設けられた層のみを介して照射または放射されることが好ましい。しかし、ホログラム記録媒体の使用に際しては、ホログラムの記録や書き換えよりも再生を行う機会の方が圧倒的に多い。
このため、特に読み出し光および/または再生光が、ホログラム記録層の保護層側を介して照射または放射されることが好ましい。さらに、第1の実施形態のホログラム記録媒体では、ホログラム記録層上の一部分をオーバーコート層が覆っているため、読み出し光および/または再生光が、保護層表面からホログラム記録層側に設けられた層のみを介して照射または放射されることがより好ましい。
なお、「保護層表面からホログラム記録層側に設けられた層」とは、ホログラム記録層と保護層との間に接着層が設けられない場合には保護層を意味し、接着層が設けられる場合には保護層および接着層を意味する。また、「保護層表面からホログラム記録層側に設けられた層のみを介してを介して照射または放射」とは、言い換えれば、光が保護層表面の一部を覆うように設けられたオーバーコート層を通過しないことを意味する。
従って、保護層側から光を照射したり取り出したりする場合に機械的刺激によるダメージを受けやすいオーバーコート層表面を避けて、このオーバーコート層に覆われておらず且つ機械的ダメージを受けにくい保護層表面の領域に光の照射/取り出し光路が設定されるため、より記録/再生特性を向上させることができる。
一方、ホログラム記録媒体は、偽造し難いことも求められる。偽造防止の観点からは、例えば、ホログラム記録層と、保護層との間に接着層(接着剤)を設けることもできる。但し、この場合、接着層による吸収や散乱によって記録/再生特性が劣化してしまう場合がある。
一方、偽造防止効果をより高めるためには、ホログラム記録層および保護層が、基材表面の外周端から離れた位置に設けられ、オーバーコート層が、接着剤を介して保護層表面および基材の保護層で覆われていない表面の双方に連続的に設けられていることが好ましい。この場合、保護層は、オーバーコート層と接着剤を介して固定されるため、偽造を困難にすると共に、保護層とホログラム記録層との間に接着層を設けなくてもよいため接着層による吸収や散乱によって記録/再生特性が劣化するのを防ぐこともできる。さらに、基材の保護層で覆われていない表面とオーバーコート層との接着力を、ホログラム記録層と保護層との接着力と同等以上とすることで、より一層偽造防止効果を高めることができる。
なお、当該「連続的に設けられる」とは、1枚の部材からなるオーバーコート層が保護層表面および基材の保護層で覆われていない表面を覆うことを意味する。
第1の実施形態のホログラム記録媒体には、少なくとも一方の面に電子写真法やインクジェット記録、スクリーン印刷等、公知の画像形成方法により描画された文字や記号、模様や写真等の画像が設けられていてもよいが、上述した場合において、画像を利用してより一層偽造防止効果を高めることもできる。
すなわち、この場合には、画像は、保護層表面外周端の少なくとも一部を含み、保護層表面、および、基材の保護層で覆われていない表面の双方の領域に跨って形成されていることが好ましい。
なお、画像は、基材のホログラム記録層が設けらた側と反対側の面や、オーバーコート層表面に形成してもよい。また、オーバーコート層のホログラム記録層が設けられる側の面(内面)に画像を形成する場合には、オーバーコート層をホログラム記録層や保護層が積層された基材の表面に貼り合わせる前に、内面に鏡像で画像を形成しておくことができる。
また、記録/再生特性をより向上させる他の方法としては、保護層とホログラム記録層との間に接着剤を設けないことが好ましい。しかし、保護層の基材側の面が、ホログラム記録層としか接することが出来ない場合や、より偽造防止効果を高めたい場合には、少なくともオーバーコート層で覆われていない領域の保護層とホログラム記録層とが接着剤を介さずに接して設けられていることが好ましい。この場合、保護層側を介して照射または放射される光、特に保護層表面からホログラム記録層側に設けられた層のみを介して照射または放射される光に関しては、接着剤に起因する散乱や吸収が無くなるため、より記録/再生特性を向上させることができる。
第1の実施形態のホログラム記録媒体は透過型であってもよく反射型であってもよい。第1の実施形態のホログラム記録媒体が透過型である場合には、例えば、記録時には保護層が設けられた側からホログラム記録層へと信号光および参照光を照射し、再生時には参照光を同じ面から照射し、保護層が設けられた側と反対の面から再生光を取り出すことができる。従って、第1の実施形態のホログラム記録媒体が透過型である場合は、基材もホログラムの再生に際して利用される光(読み出し光)に対して透過性を有する材料を用いる必要がある。
また、第1の実施形態のホログラム記録媒体が反射型である場合には、ホログラム記録層の基材が設けられた側の面に接して反射層を設けることができる。この場合、記録時には保護層が設けられた側からホログラム記録層へと信号光および参照光を照射し、再生時には読み出し光を同じ面から照射し同じ面から再生光を取り出すことができる。
−第1の実施形態のホログラム記録媒体の構成例−
次に、第1の実施形態のホログラム記録媒体の構成例を図面を用いてより詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係わるホログラム記録媒体の一例を示す概略模式図であり、図1(A)がホログラム記録媒体の厚み方向の断面図を表し、図1(B)がホログラム記録媒体の面方向の模式図を表す。図1中、10は基材、11は(基材10の片面に設けられた)凹部、20はホログラム記録層、21が保護層、30が接着剤(接着層)、40、41’がオーバーコート層、50がホログラム記録部、51が非ホログラム記録部、52が開口部、60が画像、100がホログラム記録媒体を表す。
図1に示すホログラム記録媒体100は、基材10の片面に設けられた凹部11に埋め込まれるようにホログラム記録層20と、このホログラム記録層20と面方向の形状・サイズが同一である保護層21とがこの順に積層され、基材10および保護層21を覆うようにオーバーコート層40が接着剤30を介して設けられている。
但し、ホログラム記録層20上を覆うように設けられるオーバーコート層40は、ホログラム記録層20上の全面ではなく、一部分のみを覆い、保護層21表面が露出した開口部52を形成するように設けられる。なお、ホログラム記録層20上を覆うオーバーコート層40は、ホログラム記録層20の端部近傍上のみを覆うように設けられているが、ホログラム記録層20の中央部上の一部分を覆うようにオーバーコート層40’を設けてもよい。
また、ホログラム記録層20および保護層21は基材10の凹部11に埋め込まれるように形成されているため、ホログラム記録部50は、開口部52の凹みを除けば、これ以外の領域(非ホログラム記録部51)と凹凸差が無く、ホログラム記録媒体100のオーバーコート層40が設けられた面は、開口部52の凹みを除いて全面が平坦である。
また、図1(B)は、ホログラム記録媒体100をいずれか一方の面から見た場合のホログラム記録部50と非ホログラム記録部51との関係の一例を示す概略図であり、ホログラム記録部50は、その外周端全てが非ホログラム記録部51(すなわち、基材10とオーバーコート層40とが接着剤30で接着された領域)で囲まれた場合について示している。
ここで、画像を形成する場合には、基材10表面、保護層21表面、オーバーコート層40,40’表面の任意の領域に形成することができる。なお、オーバーコート層40,40’と対向する基材10表面や保護層21表面に画像を形成する場合には、偽造防止の観点から、図1(B)の符号60で示される領域(斜線部):すなわち、保護層21表面(ホログラム記録部50)の外周端の少なくとも一部を含み、基材10表面(非ホログラム記録部51)および保護層21表面(ホログラム記録部50)を跨ぐ領域に画像を形成することが好ましい。
図2は、図1に示すホログラム記録媒体の保護層近傍のオーバーコート層の形状の一例を示す平面図であり、ホログラム記録媒体100をオーバーコート層40,40’(図中、斜線部)が設けられた側から見た平面図を示している。なお、保護層21については、点線で示し、オーバーコート層40で被覆された部分についても示してある。
図2に示すようにオーバーコート層40は、保護層21の周囲を全て囲み、保護層21表面の外周部の領域を全て覆うように設けられることが好ましい。このようにオーバーコート層40を設けることにより偽造防止効果を高めることができる。この場合、保護層21は、オーバーコート層40との接着によって十分に固定されるため、保護層21とホログラム記録層20との間に接着層を設ける必要もない。また、図2に示す例では、保護層21表面の中央部には、オーバーコート層40から離れた位置に島状にオーバーコート層40’が設けられている。なお、この島状のオーバーコート層40’はオーバーコート層40と繋がっていてもよい。
図3は本発明の第1の実施形態に係わるホログラム記録媒体の他の例を示す模式断面図であり、図1に示すホログラム記録媒体に対して、凹部を有さない基材を用いた場合のホログラム記録媒体について示したものである。なお、図中、200はホログラム記録媒体を表し、それ以外の符号は、図1中に示すものと同様の部材、領域を示す。
図3に示すホログラム記録媒体200のホログラム記録部50における層構成は基本的に図1に示すホログラム記録媒体100と同様であるが、ホログラム記録部50が、凸状に設けられているところに特徴がある。
従来のホログラム記録媒体では、ホログラム記録部が凸状をなす場合には保護層表面が外部からの機械的刺激により曝されやすくなるため、保護層表面に傷やヘイズがより発生しやすかった。しかし、第1の実施形態のホログラム記録媒体では、図3に示すようにホログラム記録部50が凸状をなす場合でも、ホログラム記録層20上を覆うオーバーコート層40が、開口部52内の保護層21表面を外部からの機械的刺激から守るため、保護層21表面には記録/再生特性の劣化を招く傷やヘイズが発生しにくい。
なお、ホログラム記録部50は、図1に示すように基材10に設けられた凹部11に完全に埋め込まれ状態と、図3に示すように基材10表面に凸部を形成した状態との中間の状態、すなわち、基材10に設けられた凹部11に一部が埋め込まれると共に、埋め込まれなかった部分が凸部を形成した状態で設けられてもよい。
ホログラム記録部50が非ホログラム記録部51に対して凸部を形成する場合には、審美性の点や、必要以上に外部の機械的刺激が集中して加わるのを避けるために、凸部高さ(非ホログラム記録部51のオーバーコート層40表面からホログラム記録部50のオーバーコート層40表面までの高さ)と、は50μm以下であることが好ましく、10μm以下であることが好ましく、0μmに近いほど好ましい。
また、保護層21は、図1に示すようにホログラム記録層20のみを覆うようにホログラム記録層20と同じサイズか、図3に示すようにホログラム記録層20の端部や周囲の面も覆うようにホログラム記録層20よりも大きいサイズであることが好ましいが、ホログラム記録層20よりも若干小さいサイズであってもよい。
図4は本発明の第1の実施形態に係わるホログラム記録媒体の他の例を示す概略模式図であり、図1に示すホログラム記録媒体に対して、凹部を有さない基材を用い、基材10の片面全面にホログラム記録部50を設けた場合のホログラム記録媒体について示したものである。なお、図中、300はホログラム記録媒体を表し、それ以外の符号は、図1中に示すものと同様の部材、領域を示す。図4に示すホログラム記録媒体300のホログラム記録部50における層構成は基本的に図1に示すホログラム記録媒体100と同様である。
ホログラム記録媒体300では、基材10とオーバーコート層40とが接着剤を介して接着されないため、偽造防止のためには保護層21とホログラム記録層20と間で十分な接着性を確保する必要がある。特に、ホログラム記録層20が予めシート状に加工されたようなフィルムを利用して基材10上に積層される場合には、保護層21とホログラム記録層20と間の十分な接着性を確保するために接着層を設けることが必要となる。
しかし、保護層21とホログラム記録層20との界面全面に接着層を設けると記録/再生特性が劣化してしまうため、オーバーコート層40や40’で覆われた領域の保護層21とホログラム記録層20との界面に接着層(不図示)を設けることが好ましい。この場合、記録/再生時に照射/取り出される光の光路を、開口部52にのみ限定すれば、接着層に起因する記録/再生特性の劣化を防ぐことができると共に、偽造も防止することができる。
また、図1、図3および図4に示す例においては、基材10上に直接ホログラム記録層20が設けられた場合について示したが、基材10と、ホログラム記録層20との間には必要に応じて種々の層を設けてもよい。
図5は、基材とホログラム記録層との間の層構成の例について示した模式断面図であり、図5中、31は接着剤(接着層)、22は反射層、23はベース基板を表し、他の符号は、図1、図3および図4に示したものと同様の部材を表す。
図5(A)は、図1、図3および図4に示した場合と同様に、基材10表面に直接ホログラム記録層20が設けられた構成を示している。なお、このような層構成の場合には、ホログラム記録層20と基材10との間の接着性を確保するためにホログラム記録層20は、予めフィルム状としたものを配置するのではなく、基材10表面に塗布形成や蒸着等を利用して形成されることが好ましい。この場合、基材10とホログラム20との間に接着剤を設けることなく両者の接着性を確保することができる。基材10表面に予め反射層を形成した後、この表面にホログラム記録層20を塗布や蒸着等により形成してもよい。
また、ホログラム記録層を含むシート状あるいは板状のホログラム記録層保持体を、接着剤を介して基材10に表面に貼り付けるような場合には、例えば、図5(B)〜図5(C)のような層構成とすることができる。
すなわち、図5(B)は、基材10表面に、接着層31、反射層22、ホログラム記録層20がこの順に設けられた構成を、図5(C)は、基材10表面に、接着層31、ベース基板23、ホログラム記録層20がこの順に設けられた構成を、図5(D)は、基材10表面に、接着層31、ベース基板23、反射層22、ホログラム記録層20がこの順に設けられた構成を示している。
このような層構成においては、接着層31は直接ホログラム記録層20と接触することがない上に、予め特定の形状に加工されたホログラム記録層保持体を用いるため、容易にホログラム記録媒体を作製することができる。
なお、図5(B)のような反射型の場合において、基材10表面が切削加工等により形成された表面粗さの粗い面からなる場合には、基材10表面の粗さが反射層22にも反映されるため、ホログラムの再生時に反射層22表面で光の散乱が発生し、ノイズが発生してしまう場合がある。
このような場合には、基材10表面の粗さをベース基板23で遮断することができる図5(C)の層構成が好ましい。
−第2の実施形態−
一方、本発明者らは、第1の実施形態のホログラム記録媒体のように、ホログラム記録層上にオーバーコート層が設けられていない場合についても、鋭意検討した結果、より優れた記録/再生特性を得ることができるホログラム記録媒体を見出した。
すなわち、第2の実施形態のホログラム記録媒体は、ホログラム記録層が、基材表面の外周端から離れた位置に設けられ、保護層が、ホログラム記録層表面およびその周囲の面を覆うように設けられ、オーバーコート層が、保護層表面およびその周囲の面を接着剤を介して覆うように設けられると共に、オーバーコート層が、少なくともホログラム記録層上の全領域を含む開口部を有するものである。
第2の実施形態のホログラム記録媒体においては、〔1〕ホログラム記録層が、凹部を予め設けた基材の凹部に埋め込むように形成されるような場合や、〔2〕ホログラム記録層の厚みと保護層の厚みとの和よりも分厚いオーバーコート層を用いる場合などを除いては、ホログラム記録層に対して、ホログラム記録層を覆う保護層表面が、ホログラム記録層の周囲の面を覆うように設けられた保護層上に位置するオーバーコート層表面よりも外側に位置する。
このような場合には、保護層には、従来と同様の機械的特性や膜厚が求められる。しかし、オーバーコート層は、ホログラム記録層の周囲の面(通常はホログラム記録層で覆われていない基材の表面)を覆うように設けられた保護層表面、および、保護層の周囲の面(通常は保護層で覆われていない基材の表面)を接着剤を介して覆うように設けられている。従って、保護層は、その周囲の面を覆うオーバーコート層と接着剤を介して必然的に固定されることになる。
それゆえ、保護層とホログラム記録層との間には、散乱や吸収の原因となる接着層を設ける必要がなく、より優れた記録/再生特性を得ることができる。
一方、上述したように〔1〕ホログラム記録層が、凹部を予め設けた基材の凹部に埋め込むように形成されるような場合や、〔2〕ホログラム記録層の厚みと保護層の厚みとの和よりも分厚いオーバーコート層を用いる場合には、ホログラム記録層に対して、ホログラム記録層を覆う保護層表面が、ホログラム記録層の周囲の面を覆うように設けられた保護層上に位置するオーバーコート層表面よりも内側に位置する。
この場合には、保護層とホログラム記録層との間に接着層を設ける必要が無いことに加えて、第1の実施形態のホログラム記録媒体と同様にオーバーコート層が、開口部内の保護層表面を、外部の機械的刺激から守る機能を発揮するため保護層表面にヘイズや傷が発生・蓄積しにくくなる。それゆえ、ホログラム記録媒体を長期に渡って使用しても記録/再生特性が劣化しにくく、また、保護層の薄膜化や光学特性に比重を置いた保護層材料の選択が可能になるなど、第1の実施形態のホログラム記録媒体と同様の理由からより優れた記録/再生特性を得ることができる。
なお、第2の実施形態においては、ホログラム記録層に対して、ホログラム記録層を覆う保護層表面が、ホログラム記録層の周囲の面を覆うように設けられた保護層上に位置するオーバーコート層表面よりも内側に位置する構成がより好ましい。
一方、ホログラム記録媒体は、偽造し難いことも求められる。しかし、第2の実施形態のホログラム記録媒体においては、ホログラム記録層を覆う保護層は、その周囲を接着剤を介して覆うオーバーコート層とも接着固定されているため偽造を防止することが容易である。
第2の実施形態のホログラム記録媒体にも、第1の実施形態のホログラム記録媒体と同様に、画像を形成することができる。また、画像を、保護層表面外周端の少なくとも一部を含み、保護層表面、および、基材の保護層で覆われていない面の双方の領域に跨って形成することによって偽造防止効果をより一層高めることができる。
第2の実施形態のホログラム記録媒体も、第1のホログラム記録媒体と同様に透過型であってもよく反射型であってもよく、同様にして、保護層側や基材側を通じてホログラム記録層に光を照射/取り出したり反射層を設けることができる。
−第2の実施形態のホログラム記録媒体の構成例−
次に、第2の実施形態のホログラム記録媒体の構成例を図面を用いてより詳細に説明する。
図6は本発明の第2の実施形態に係わるホログラム記録媒体の一例を示す模式断面図であり、ホログラム記録層を覆う保護層表面が、ホログラム記録層の周囲の面を覆うように設けられた保護層上に位置するオーバーコート層表面よりも外側に位置する場合の構成例について示したものである。なお、図中、400はホログラム記録媒体を表し、他の符号で示される部材、領域は図1に示す場合と同様である。
図6に示すホログラム記録媒体400は、平坦な基材10表面にホログラム記録層20、保護層21を積層し、ホログラム記録層20の周囲を覆う保護層21表面と、この保護層21の周囲の面(基材10表面)とが接着層30を介してオーバーコート層40と接着されている。また、オーバーコート層40はホログラム記録層20上の保護層21表面全面が露出するように開口部52が設けられている。
なお、図6に示すホログラム記録媒体400では、基材10に対して、開口部52によって露出している保護層21表面が、オーバーコート層40よりも外側に位置しており、外部の機械的刺激に曝されやすい。しかし、オーバーコート層40の厚みをより厚くすることによって、露出している保護層21表面をオーバーコート層40よりも内側とすることで、外部の機械的刺激から守ることができる。
図7は本発明の第2の実施形態に係わるホログラム記録媒体の他の例を示す模式断面図であり、ホログラム記録層を覆う保護層表面が、ホログラム記録層の周囲の面を覆うように設けられた保護層上に位置するオーバーコート層表面よりも内側に位置する場合の構成例について示したものである。なお、図中、500はホログラム記録媒体を表し、他の符号で示される部材、領域は図1に示す場合と同様である。
図7に示すホログラム記録媒体500は、凹部11を有する基材10の凹部11に、ホログラム記録層20を完全に埋めこむように積層した点を除いては、基本的な層構成は図6に示すホログラム記録媒体400と同様である。但し、基材10に対して、開口部52の両端近傍に位置するオーバーコート層40表面が、開口部52によって露出している保護層21表面よりも外側に位置している。このため、露出している保護層21表面は外部の機械的刺激に曝されにくい。
なお、オーバーコート層40と保護層21との平面方向の配置は図2に示したように保護層21の周囲を全て囲み、保護層21表面の外周部の領域を覆うように設けられるため、偽造を防止することができる。
また、図6および図7に示す例においては、基材10上に直接ホログラム記録層20が設けられた場合について示したが、基材10と、ホログラム記録層20との間には図5に示したように必要に応じて種々の層を設けてもよい。
(ホログラム記録媒体の製造方法)
次に、本発明のホログラム記録媒体の製造方法について説明する。
本発明のホログラム記録媒体の製造方法としては特に限定されず、例えば、基材表面にホログラム記録層を塗布や蒸着等により形成し、続いてこのホログラム記録層を被覆するように保護層を配置した後、接着剤付のオーバーコート層で基材のホログラム記録層が設けられた側の面を貼り合わせるなどの、基材上に各層を順次積層することによって作製することができる。
しかし、上述した方法は、同一仕様のホログラム記録媒体を大量生産する場合には適しているが、種々の材質・形状のカード基材に様々なホログラムを記録させ、様々な画像を必要に応じて印刷したホログラム記録媒体を必要となった時に必要な数だけその場で作製するオンデマンド性に劣る。
このため、オンデマンド性を確保する観点からは、ホログラム記録層と、この片面全面を覆うように接着剤を介さずに接して設けられた保護層とを少なくとも含むホログラム記録層保持体を利用して作製することが好ましい。
この場合、基材表面に、ホログラム記録層保持体を配置する工程(配置工程)と、このホログラム記録層保持体が配置された基材表面を、接着剤を介してオーバーコート層により覆い貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)とを少なくとも経てホログラム記録媒体を作製することができる。
但し、このような製造方法は、図1に示す第1の実施形態のホログラム記録媒体のように保護層の面方向の形状・サイズがホログラム記録層と実質的に同一(略同一)である場合に特に好適である。
なお、ホログラム記録層保持体は、ホログラム記録層と、この片面全面を覆うように接着剤を介さずに接して設けられた保護層とを少なくとも含むものであれば特に限定されないが、例えば、フォトポリマーからなるホログラム記録層とベースフィルム(保護層)とからなるホログラム記録層保持体を含み、さらに、このホログラム記録層のベースフィルムが設けられた側と反対側の面にカバーフィルムを設けたような市販のホログラムフィルムを用いることができる。
この場合、カバーフィルムを剥がして、ホログラム記録層を構成するフォトポリマーの粘着性を利用して、基材とホログラム記録層とを貼り合わせるようにしてホログラム記録層保持体を配置することができる。
また、ホログラム記録層保持体としては、保護層、ホログラム記録層、反射フィルムをこの順に積層したもの、保護層、ホログラム記録層、ベース基板をこの順に積層したもの、あるいは、保護層、ホログラム記録層、反射膜付ベース基板をこの順に積層したものも利用できる。この場合には、接着剤を利用して、ホログラム記録層の保護層が設けられた側の面を基材表面と貼り合わせることができる。
また、画像の形成は、配置工程の前や、貼り合わせ工程の後に実施してもよいが、偽装防止の観点からは配置工程と貼り合わせ工程との間に実施することが好ましい。この場合は、図1(B)に示したように画像を形成することが好ましい。
(ホログラム記録媒体の各部材の詳細)
−ホログラム記録層−
次に、本発明のホログラム記録媒体を構成する各部材の詳細について以下に説明する。
ホログラム記録層には、ホログラムを記録するために、少なくとも光の照射により屈折率や透過率が変化するホログラム記録材料が用いられ、本発明においては公知の材料を利用することできる。また、本発明においては感応波長の調節が容易である等から屈折率が変化するタイプのホログラム記録材料を用いることが好ましい。
ホログラム記録材料としては、例えば、無機材料では、チタン酸バリウムやニオブ酸リチウム、ケイ酸ビスマスなどの無機強誘電体結晶などを挙げることができる。しかし、本発明においては、ホログラム記録媒体の製造性や、ホログラム記録媒体に柔軟性を付与できること、また屈折率を変化させる場合に外部電場が不要である等の点から有機材料系のホログラム記録材料を用いることが特に好ましい。
有機材料系のホログラム記録材料としては、フォトポリマーやアゾポリマーを用いることが好ましい。
フォトポリマーとしては、光が照射された部分の化学的変化により屈折率や透過率が変化する公知の材料を用いることができ、ポジ型(光照射により可溶化する材料)としては、光照射により官能基が変化する材料や、分子量が低下する材料が挙げられ、ネガ型(光照射部が硬化する材料)としては、光照射により反応性モノマーが重合する材料、生成したラジカルで重合する材料、生成した酸で重(縮)合する材料、重合部と非重合部との間で成分が拡散移動する材料、光照射により架橋する材料を挙げることができ(例えば、「フォトポリマーの基礎と応用」、山岡亜夫、シーエムシー出版参照)、本発明においてはネガ型を用いることがより好ましい。
また、フォトポリマーは、基本的に光照射による反応が不可逆的であるため、リードオンリータイプのホログラム記録媒体を作製する場合に好適である。
フォトポリマーとしては、例えば、予めフィルム状に形成されたフォトポリマーフィルム(例えば、デュポン社製、オムニデックス等)や、体積型ホログラム感光性材料(日本ペイント社製)等を利用することができる。
また、アゾポリマーは、光を照射することにより、シス−トランス異性化するアゾ基を含む高分子であり、屈折率の変化を利用してホログラムを記録/再生を行うことができる。アゾポリマーとしては、公知の材料が利用できるがアゾベンゼン骨格(アゾ基の両端にベンゼン環を設けた構造)を含むものを用いることが好ましい。このような高分子材料は、主鎖の構造と側鎖の構造とに分けて、多様な分子設計が可能であるため、吸収係数のみならず、感応波長域や、応答速度、記録保持性等のホログラム記録に必要な種々の物性を高いレベルで所望の値に調整することが容易である。このようなアゾポリマーの一例としては、下記構造式に示すような側鎖部分にアゾベンゼン骨格を有する繰り返し単位を含むポリエステル等が挙げられる。
Figure 2006021393
なお、アゾポリマーは、基本的に光照射による反応が可逆的であるため、一旦記録したホログラムを書き換えることができるリライタブルタイプのホログラム記録媒体を作製する場合に好適である。
また、アゾポリマー以外に異性化反応を示す構造を含むホログラム記録材料も利用でき、例えば、ジアリールエテン類、スピロピラン類、ウラニン、エリトロシンB、エオシンYなどに代表されるキサンテン系色素、フルギド類も利用可能である。
なお、ホログラム記録層には、上述したホログラム記録材料以外の他の材料も併用でき、各種添加剤やバインダー樹脂等を併用することもできる。
また、ホログラム記録層は、公知のホログラム記録/再生方式を利用してホログラムの記録や再生が可能であればその光学特性や厚み等は特に限定されるものではない。しかし、高い回折効率での記録/再生を可能とするためには、ホログラム記録層を構成する材料の吸収係数αと、ホログラム記録層の膜厚Lとで表される光学濃度αLが0.3〜2.0の範囲内であることが好ましく、また、多重記録を行う場合には0.5〜1.5の範囲内であることがより好ましい。
ホログラム記録層の膜厚は3μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜20μmの範囲内であることがより好ましい。但し、ホログラム記録層の膜厚は、基材に凹部を設けて、この部分にホログラム記録層や保護層等を埋め込む形で形成する場合には、基材の厚み等も考慮して決定する必要がある。
また、凹部を設けずに基材表面に形成する場合には、ホログラム記録層が設けられた部分が凸部を形成するために、審美性を損ねたり、凸部への引掛かりによる破損や磨耗が起こりやすくなる場合がある。このため、余り嵩高くならない範囲で膜厚を調整することが好ましい。
−基材−
基材としては、表面が平滑なものであれば各種の材料を任意に選択して使用することができる。例えば、金属、セラミックス、樹脂、紙等を用いることができ、また、その形状も特に限定されないが、ガラス、アルミニウム、SUS等の金属や、プラスチック材料等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。しかし、本発明においては、加工性や汎用性の点からプラスチック材料、特に、キャッシュカード等のカード基材に利用されているプラスチック材料/市販のカード基材を用いることが好ましい。
プラスチック材料としては、公知のプラスチックフィルムが利用でき、カード基材用としては、代表的には、塩化ビニル樹脂や、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の各種ポリエステル樹脂類(例えば、二軸延伸PET樹脂、二軸延伸しないPETで、A−PETと呼ばれる非晶質系ポリエステル樹脂、PETの合成に際して用いられるエチレングリコール成分の約半分程度を、1,4−シクロへキサンメタノール成分に置き換えたPETGと呼ばれるような変性PET樹脂等)を挙げることができる。
また、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアセテート、三酢酸セルロース、ナイロン、、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン、ポリイミド、セロハン等の樹脂も挙げることができる。
なお、記録や再生に際し、基材を介してホログラム記録層に光を照射したりする場合には、使用する光(記録光および再生光)の波長域を透過する材料を用いる。この場合、使用する光の波長域(レーザー光の場合は、強度が極大となる波長域近傍)の透過率が90%以上であることが好ましい。
なお、基材の表面に直接反射層を設ける場合には、基材表面には平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.01μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
また、図1(A)に示したように、開口部の凹みを除いてホログラム記録部と非ホログラム記録部とが同一の平坦面を形成するようなホログラム記録媒体を作製する場合には、ホログラム記録部を埋め込むための凹部を有する基材を用いることができる。
このような基材としては、平坦な基材表面の一部を切削加工することによって凹部を形成したものや、エンボス加工によって凹部を形成したもの、あるいは、平坦な基材と開口部を有する基材とを貼り合わせて凹部を形成したものなどが利用できる。
−保護層−
保護層としては、記録や再生に際して利用される光に対して透過性を有する公知の材料を利用することができ、加工性の点からフィルム状の樹脂材料を用いることが特に好ましい。
なお、ホログラムの記録および/または再生のためにホログラム記録層に対して照射される光や、再生時にホログラム記録層から取り出される光は、本発明においては保護層を介してホログラム記録層に出入りさせることが好ましいため、保護層には、優れた光学的特性が求められる。
従って、保護層の記録や再生に利用される光に対する透過率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることが好ましい。また、保護層のヘイズは5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。透過率やヘイズが上記条件を満たす場合には、高いSN比を得ることができる。
保護層としては、ホログラム記録層を通常の使用環境下において、機械的、物理的、化学的に保護できる材料および厚みからなるものであれば、公知の材料を用いることができる。例えば、一般的には、透明な樹脂や、SiO2等の透明な無機材料を挙げることができる。
保護層は、樹脂からなる場合には、予めシート状に形成されたポリカーボネートや三酢酸セルロース等からなる樹脂フィルムを用いることができ、この樹脂フィルムをホログラム記録層上に貼り合わせることにより保護層を形成する。貼り合わせに際しては、接着強度を確保するために熱硬化型やUV硬化型の接着剤を介して貼り合わせ、熱処理やUV照射により接着剤を硬化させることもできるが、上述したように保護層で覆われていない領域の基材表面と接着されたオーバーコート層との接着を介して保護層を間接的に固定することがより好ましい。また、予め界面に接着層を有さないホログラム記録層保持体を利用することもできる。
なお、保護層として用いられる樹脂フィルムの厚みは、記録層を保護できるのであれば特に限定されないが、実用上は30μm〜200μmの範囲が好ましく、50μm〜150μmの範囲がより好ましい。
あるいは、このような樹脂フィルムの代わりに、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等を塗布形成することにより保護層を形成することもできる。
また、保護層が、SiO2、MgF2、SnO2、Si34等の透明なセラミックスやガラス材料からなる場合には、スパッタリング法やゾルゲル法等を利用して保護層を形成することができる。なお、保護層として形成される透明無機材料の厚みはホログラム記録層を保護できるのであれば特に限定されないが、実用上は0.1μm〜100μmの範囲が好ましく、1μm〜20μmの範囲がより好ましい。但し、加工性の点からは樹脂材料を用いる方がより好ましい。
なお、第1の実施形態のホログラム記録媒体や、第2の実施形態のホログラム記録媒体でも図7に示したように保護層表面が外部の機械的刺激からオーバーコート層によって守られるような場合には、機械的特性よりも加工性や光学的特性に比重を置いて保護層材料を選択することができる。
このような保護層材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリサルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)等を挙げることができる。また、この場合はより膜厚を薄くすることができ、3〜200μmの範囲内とすることが好ましい。
また、第2の実施形態のホログラム記録媒体でも図6に示したように保護層表面が外部の機械的刺激に曝される場合には場合には、ある程度の機械的特性も確保する必要があり、例えば、後述するオーバーコート層の中でも透過性やヘイズ等の光学的特性に優れたものが利用できる。
−オーバーコート層−
第1の実施形態のホログラム記録媒体や、第2の実施形態のホログラム記録媒体でも図7に示したように保護層表面が外部の機械的刺激からオーバーコート層によって守られる場合には、オーバーコート層としては、硬度や耐磨耗性等の機械的特性が要求される。
また、オーバーコート層がラミネートにより形成される場合にはホログラム記録媒体の作製に際して、オーバーコート層を貼り合わせる際のラミネート性等が強く求められる。
オーバーコート層の膜厚は特に限定されないが、光学品質(透過率90%以上、ヘイズ0.3以下)を満たさない場合には50μm以下であることが好ましい。また、オーバーコート層の屈折率はできるだけホログラム記録材料の屈折率に近いものがよく、保護層の屈折率とも近いものがよい。
また、オーバーコート層の構成材料としては、機械的な特性に優れていることが必要であるため、透過性のエンジニアリングプラスチックなどが好適である。このような材料としては例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリサルフォン(PSF)等があげられる。
−接着剤(接着層)−
接着剤としては、接着対象となる2つの部材に応じて公知の接着剤を適宜選択して利用することができ、例えば、α−シアノアクリレート系、シリコーン系、マレイミド系、スチロール系、ポリオレフィン系、レゾルシノール系、ポリビニルエーテル系等の接着剤を利用することができる。また、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂又はこれらの共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クロマンインデン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂も接着剤として利用できる。
但し、ホログラムの記録や再生に際して、信号光や参照光、再生光の光路上に位置する接着剤(例えば、ホログラム記録媒体が反射型の場合は、オーバーコート層と保護層との間の間の接着に用いられる接着剤)は、少なくともこれらの光に対して透過性の高い材料が用いられる必要がある。
このような接着剤としては、アクリル酸エステル樹脂、ポリエーテル系樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、また、出来るだけ屈折率が保護層やホログラム記録材料に近いものを用いることが好ましい。また、このような光路上に位置する接着層の厚みは1〜100μmの範囲内とすることが好ましい。厚みが1μm未満の場合には十分な接着力が確保できず剥離が発生する場合があり、100μmを超える場合には接着層での吸収や散乱が大きくなり、感度が低下する場合がある。
−反射層−
反射層としては、レーザー光の反射率が70%以上である光反射性物質から構成されていることが好ましく、このような光反射性物質としては、例えば、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。
これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基材上に直接形成したり、ベース基板上に形成してもよい。また、樹脂フィルム上に反射層を形成した反射フィルムを利用することもできる。反射層の層厚は、一般的には10nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、50nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。
−ベース基板−
ベース基板は、通常、ホログラム記録層保持体を構成する部材として利用され、特に反射型のホログラム記録媒体を作製する場合には、少なくともホログラム記録層が設けられる側の面(記録層側面)が平滑なものであることが好ましく、この記録層側面の表面粗さは、記録や再生に利用される光の波長の1/2以下であることが特に好ましい。また、ベース基板が、切削加工された凹凸を有する基材表面に配置される場合には、基材表面の凹凸が記録層側面に設けられた反射層にも反映され、反射層表面で光の散乱を招いてしまう場合がある。従って、ベース基板は、このような基材表面の凹凸に追従して変形しない程度の剛性を有していることが好ましく、基材よりも硬い材料からなることが好ましい。
従って、ホログラム記録媒体を作製する際にホログラム記録層保持体を構成する部材として利用されるベース基板としては、例えば、金属、セラミックス、樹脂等を用いることができ、また、その形状も特に限定されないが、ガラス、アルミニウム、SUS等の金属や、プラスチック材料等を挙げることができる。
なお、これらの部材は、ホログラム記録層保持体を利用せずに、基材上に各層を順次積層してホログラム記録媒体を作製する場合にも勿論利用することができる。
(ホログラムの記録および再生)
次に、本発明のホログラム記録媒体を用いたホログラムの記録/再生の一例について図面を用いて説明するが、本発明のホログラム記録媒体の記録/再生方法は、以下の例にのみ限定されるものではなく、ホログラム記録媒体の構成(反射層の有無、ホログラム記録層の厚み、ホログラム記録材料等)や記録/再生するホログラムの記録密度等に応じて公知のホログラム記録/再生方法を利用することができる。
図8は、本発明のホログラム記録媒体にホログラムを記録するための記録装置の一例を示した模式図であり、図中、120がレーザ光源、122が偏光ビームスプリッタ、124、125、126が反射ミラー、127がλ/2板、128、130がレンズ、132が(フーリエ変換)レンズ、134が空間光変調素子、146、148がレンズ、150がアパーチャを表し、20は、図1〜3に示すホログラム記録層と同様である。なお、図8中、ホログラム記録層20以外のホログラム記録媒体のその他の構成については省略している。
この記録装置は、レーザ光源120を備えており、レーザ光源120からは、コヒーレント光であるレーザ光が発振され、照射される。レーザ光源120のレーザ光照射側には、レーザ光を参照光用の光(参照光)と信号光用の光と(信号光)に分離する偏光ビームスプリッタ122が配置されており、レーザ光源120と偏光ビームスプリッタ122との光路上には反射ミラー125とλ/2板127とが配置されている。
レーザ光源120から照射されたレーザ光は、反射ミラー125により反射された後、λ/2板127を通過し、偏光ビームスプリッタ122に入射した後、参照光と信号光とに分離される。
偏光ビームスプリッタ122の光反射側には、参照光用のレーザ光を拡大した平行光の状態でホログラム記録層20に照射するための反射ミラー124、レンズ146、レンズ148、および、アパーチャ150が光路上に配置されている。ここで、偏光ビームスプリッタ122で分離されたレーザ光は、反射ミラー124により反射された後、レンズ146に入射される。さらに、このレーザ光は、レンズ146を通過することより一旦拡大され、レンズ148によって並行光とされた後にアパーチャー150を経てホログラム記録層20に対して斜め方向から参照光として照射される。
また、偏光ビームスプリッタ122の光透過側には、信号光用のレーザ光を所定の反射角で反射して光路をホログラム記録層20の方向に変更する反射ミラー126と、レンズ128、130、132で構成されたレンズ系とが順に配置されている。
レンズ130とレンズ132との間には、液晶表示素子等で構成され、制御部(図示せず)から供給された記録信号に応じて信号光用のレーザ光を変調し、ホログラムを記録するための信号光を生成する透過型の空間光変調素子134が配置されている。レンズ128、130は、レーザ光を大径のビームにコリメートして空間光変調素子134に照射し、レンズ132は、空間光変調素子34で変調されて透過された信号光を集光させる。
このとき、信号光は、ホログラム記録層20の出射側の面から離間した位置に焦点を結ぶように集光され、フーリエ変換された信号光と参照光とが同時に同じ面側からホログラム記録層20に照射される。これによりフーリエ変換ホログラムが記録される。
なお、図8中において、ホログラム記録層20を備えたホログラム記録媒体は、通常は信号光および参照光が入射する側の面にオーバーコート層が位置するように配置される。
また、ホログラムの記録は、ホログラム記録媒体を作製する過程で実施してもよい。例えば、ホログラム記録層保持体を用いてホログラム記録媒体を作製する場合には、ホログラム記録層保持体の段階でホログラムを記録させた後、ホログラム記録媒体を作製してもよい。
次に、図8に示したような記録装置によりホログラムが記録された反射型の本発明のホログラム記録媒体を用いて、ホログラムを再生する場合について説明する。
図9は、本発明のホログラム記録媒体に記録されたホログラムを再生するための再生装置の一例を示した模式図であり、図中、136がレーザ光源、140がアパーチャ、142がレンズ、144がCCD等のの撮像素子で構成された検出器を表し、検出器144は制御部(図示せず)に接続されている。
また、600は本発明のホログラム記録媒体(反射型で、保護層とホログラム記録層との間に接着層を有さないタイプ)のホログラム記録部の一部を示したものであり、反射層22、ホログラム記録層20、保護層21が積層された部分についてのみ示し、その他の構成については省略してある。
再生装置は、光軸上にアパーチャ140とレンズ142と検出器144とがこの順に配置された検出系と、検出系のアパーチャ140側の光軸に対して斜めに交差するように参照光(読み出し光)を照射するレーザ光源136とを含むものである。また、ホログラム記録媒体600に記録されたホログラムの再生に際しては、検出系の光軸と読み出し光の光軸とが交差する位置にホログラム記録媒体600が配置される。
ホログラムは、レーザ光源136から読み出し光をホログラム記録媒体600(ホログラム記録層20)に照射することにより再生される。なお、ホログラムの再生に際しては、読み出し光が、保護層21を経てホログラム記録層20に記録されたホログラムによって回折され、信号光が再生される。再生された信号光(再生光)は、反射層22で反射され、再生光が焦点を結ぶ位置に配置されたアパーチャ40により散乱光成分がカットされた後、レンズ42によりコリメートされて、検出器44により受光される。受光された再生光は、検出器44により電気信号に変換されて、制御部(図示せず)に入力される。
なお、読み出し光の波長は、記録時に用いた参照光とは波長が同じでも異なっていてもよい。読み出し光としては、記録時に用いた参照光より長波長の光が好ましい。長波長のレーザ光源が安価であることに加え、読み出し光を長波長の光とすることで、再生光の集光角度が狭くなり、アパーチャ140の作製精度が緩和されるためである。
本発明の第1の実施形態に係わるホログラム記録媒体の一例を示す概略模式図である。 図1に示すホログラム記録媒体の保護層近傍のオーバーコート層の形状の一例を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係わるホログラム記録媒体の他の例を示す模式断面図である。 本発明の第1の実施形態に係わるホログラム記録媒体の他の例を示す模式断面図である。 基材とホログラム記録層との間の層構成の例について示した模式断面図である。 本発明の第2の実施形態に係わるホログラム記録媒体の一例を示す模式断面図である。 本発明の第2の実施形態に係わるホログラム記録媒体の他の例を示す模式断面図である。 本発明のホログラム記録媒体にホログラムを記録するための記録装置の一例を示した模式図である。 本発明のホログラム記録媒体に記録されたホログラムを再生するための再生装置の一例を示した模式図である。
符号の説明
10 基材
11 凹部
20 ホログラム記録層
21 保護層
22 反射層
23 ベース基板
30、31 接着剤(接着層)
40、40’ オーバーコート層
50 ホログラム記録部
51 非ホログラム記録部
52 開口部
60 画像
100 ホログラム記録媒体
120 レーザ光源
122 偏光ビームスプリッタ
124、125、126 反射ミラー
127 λ/2板
128、130 レンズ
132 レンズ(フーリエ変換レンズ)
134 空間光変調素子
136 レーザ光源
140 アパーチャ
142 レンズ
144 検出器
146、148 レンズ
150 アパーチャ
200、300、300、400、500 ホログラム記録媒体

Claims (13)

  1. 基材と、該基材の少なくとも片面上に設けられたホログラム記録層と、少なくとも前記ホログラム記録層表面に設けられた保護層とを含むホログラム記録媒体において、
    少なくとも前記保護層表面を接着剤を介して覆うオーバーコート層が設けられ、前記保護層表面を覆う前記オーバーコート層が前記保護層表面の一部分のみを覆うことを特徴とするホログラム記録媒体。
  2. 前記オーバーコート層が、少なくとも前記ホログラム記録層上を覆うように設けられ、且つ、前記ホログラム記録層上に位置する前記オーバーコート層が、前記ホログラム記録層上の一部分のみを覆うことを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
  3. 前記ホログラム記録層に記録されたホログラムを再生する際に照射される読み出し光、および、前記読み出し光照射時にホログラムが記録された前記ホログラム記録層から放射される再生光、から選択される少なくとも1種の光が、前記ホログラム記録層の前記保護層が設けられた側から照射または放射され、
    前記ホログラム記録層の前記保護層が設けられた側から照射または放射される光が、前記保護層表面から前記ホログラム記録層側に設けられた層のみを介して照射または放射されることを特徴とする請求項2に記載のホログラム記録媒体。
  4. 少なくともオーバーコート層で覆われていない領域の保護層とホログラム記録層とが接着剤を介さずに接して設けられたことを特徴とする請求項2に記載のホログラム記録媒体。
  5. 前記ホログラム記録層および前記保護層が、前記基材表面の外周端から離れた位置に設けられ、前記オーバーコート層が、接着剤を介して前記保護層表面および前記基材の前記保護層で覆われていない表面の双方に連続的に設けられたことを特徴とする請求項2に記載のホログラム記録媒体。
  6. 前記保護層表面外周端の少なくとも一部を含み、前記保護層表面、および、前記基材の前記保護層で覆われていない面の双方の領域に跨って、画像が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のホログラム記録媒体
  7. 前記基材の前記保護層で覆われていない表面と前記オーバーコート層との接着力が、前記ホログラム記録層と前記保護層との接着力と同等以上であることを特徴とする請求項6に記載のホログラム記録媒体。
  8. 前記ホログラム記録層が、前記基材表面の外周端から離れた位置に設けられ、前記保護層が、前記ホログラム記録層表面およびその周囲の面を覆うように設けられ、前記オーバーコート層が、前記保護層表面およびその周囲の面を接着剤を介して覆うように設けられ請求項1に記載のホログラム記録媒体であって、
    前記オーバーコート層が、少なくとも前記ホログラム記録層上の全領域を含む開口部を有することを特徴とするホログラム記録媒体。
  9. 前記ホログラム記録層と前記基材との間にベース基板が設けられ、前記ベース基板が前記基材と接着剤を介して接着されていることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
  10. 前記ホログラム記録層の前記基材が設けられた側の面に接して反射層を設けたことを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
  11. 基材と、該基材の少なくとも片面上に設けられたホログラム記録層と、面方向の形状・サイズが前記ホログラム記録層と略同一であり、前記ホログラム記録層表面に設けられた保護層と、少なくとも前記保護層表面を接着剤を介して覆うオーバーコート層とが設けられ、
    前記オーバーコート層が、少なくとも前記ホログラム記録層上を覆うように設けられ、且つ、前記ホログラム記録層上に位置する前記オーバーコート層が、前記ホログラム記録層上の一部分のみを覆うホログラム記録媒体の製造方法であって、
    前記基材表面に、前記ホログラム記録層と、この片面全面を覆うように接着剤を介さずに接して設けられた前記保護層とを少なくとも含むホログラム記録層保持体を配置する工程と、
    前記ホログラム記録層保持体が配置された前記基材表面を、接着剤を介して前記オーバーコート層により覆い貼り合わせる工程とを少なくとも含むことを特徴とするホログラム記録媒体の製造方法。
  12. 前記ホログラム記録層保持体が、前記ホログラム記録層の前記保護層が設けられた側と反対側の面に接して設けられた反射層を含むことを特徴とする請求項11に記載のホログラム記録媒体の製造方法。
  13. 前記ホログラム記録層保持体が、前記ホログラム記録層の前記保護層が設けられた側と反対側の面に設けられたベース基板を含むことを特徴とする請求項11に記載のホログラム記録媒体の製造方法。
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