JP2006014737A - Caricapapayaリパーゼによるα−置換カルボン酸またはそのエステルの酵素分割 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】製薬及び農薬の分野で有用なα−アルキルカルボン酸、α−ハロゲンカルボン酸などあるいはそのエステルまたはチオエステルのR−及びS−鏡像異性体の混合物をCarica papayaリパーゼを生体触媒として使用し、陰イオン交換樹脂担体上に保持した有機塩基と有機溶媒との組み合わせにより処理して分割する。
【選択図】なし
Description
本願は、台湾出願番号第093119718号「α−置換された酸及びそのエステルの動力学的分割方法」(2004年6月30日出願)に基づく利益を主張する。
1.発明の分野
本発明は、所望の分割を達成するための生体触媒としてCarica papayaリパーゼが使用される、α−置換カルボン酸、あるいはそのエステルまたはチオエステルの、R−及びS−鏡像異性体の混合物を酵素分割する方法に関する。
光学活性であるα−置換カルボン酸、あるいはそのエステルまたはチオエステルは、そのα−炭素に立体中心を持つ一群の化合物である。α−(ヘテロ)アリールカルボン酸、α−アリールオキシプロピオン酸、α−アルキルカルボン酸、α−ハロゲンカルボン酸及びα−アミノ酸のような、鏡像異性的に富むα−置換カルボン酸は、製薬及び農薬の分野における合成ユニットとして、または分解剤(resolution agents)として非常に重要である(Sheldon, R. A. “Chirotechnology”, 1993, pp.205−270; Kazlauskas, R. and Bornscheuer, U., “Biotrasnformations with lipases,” Biotechnology, Vol.8a, 1998, pp.103−118; Faber, K., Biotransformations in Organic Chemistry, 2000, pp.94−123 and pp.344−366)。
本出願人は、実験から、驚くべきことに、Carica papayaリパーゼが、選択されたα−置換カルボン酸、あるいはそのエステルまたはチオエステルの、S−鏡像異性体またはR−鏡像異性体のいずれかに対して、高度にエナンチオ選択的であることを見出した。従って、一つの観点から、本発明は、式(I)のα−置換カルボン酸、あるいはそのエステルまたはチオエステルの、R−及びS−鏡像異性体の混合物を酵素分割する方法を提供する:
Xは−O−または−S−を示し、
Yはハロゲンまたはメチル基であり、
R1は、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基及びアリール基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和のC1−C20脂肪族基;それぞれの基が、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基、アリール基並びに、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、アリール基、アリールオキシ基または、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基を示し;そして、
R2は、H;ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−CF3、−OCF3、−SCF3、−Si(CH3)3、C1−C4アルキルオキシ基、C1−C4アルキルチオ基、アリール基、ビニル及び3〜12の炭素原子を有する2−アルケニル基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和のC1−C12脂肪族基;それぞれの基が、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基、アリール基並びに、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、アリール基、または、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基を示し;
ただし、Y及びR1は同時にメチルになり得ず;
該方法は、式(I)のα−置換カルボン酸、あるいはそのエステルまたはチオエステルの、R−及びS−鏡像異性体の混合物を、液相中で、Carica papayaリパーゼにより触媒される酵素分割に供することを包含する。
現在利用可能な、α−置換カルボン酸あるいはそのエステルの動力学的分割方法のほとんどは、非常に高価で、得ることが困難なリパーゼを使用する。このような方法を行うのに必要なコストを削減するため、及び分割反応のエナンチオ選択性を増大させるために、本出願人は、α−置換カルボン酸あるいはそのエステルの酵素分割における生体触媒としての使用に適した新たなリパーゼを見出そうと試みた。
Xは−O−または−S−を示し、
Yはハロゲンまたはメチル基であり、
R1は、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基及びアリール基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和のC1−C20脂肪族基;それぞれの基が、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基、アリール基並びに、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、アリール基、アリールオキシ基または、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基を示し;そして、
R2は、H;ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−CF3、−OCF3、−SCF3、−Si(CH3)3、C1−C4アルキルオキシ基、C1−C4アルキルチオ基、アリール基、ビニル及び3〜12の炭素原子を有する2−アルケニル基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和のC1−C12脂肪族基;それぞれの基が、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基、アリール基並びに、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、アリール基、または、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基を示し;
ただし、Y及びR1は同時にメチルになり得ず、
該方法は、式(I)のα−置換カルボン酸、あるいはそのエステルまたはチオエステルの、R−及びS−鏡像異性体の混合物を、液相中で、Carica papayaリパーゼにより触媒される酵素分割に供することを包含する。
ナプロキセン、フェノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、フルルビプロフェン、2−フェニルプロピオン酸、2−(4−クロロフェノキシ)プロピオン酸または2−クロロ−2−フェニル酢酸の、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、フェニルまたはトリフルオロエチル エステル;ナプロキセン、フェノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、フルルビプロフェン、2−フェニルプロピオン酸、2−(4−クロロフェノキシ)プロピオン酸または2−クロロ−2−フェニル酢酸の、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、フェニルまたはトリフルオロエチル チオエステル;及び、ジクロフォッグ(diclofog)メチルエステルを含むがこれらに制限されない。
ここで、R3はR2と異なり、そして:ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−CF3、−OCF3、−SCF3、−Si(CH3)3、C1−C4アルキルオキシ基、C1−C4アルキルチオ基、アリール基、ビニル及び3〜12の炭素原子を有する2−アルケニル基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和のC1−C12脂肪族基;それぞれの基が、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基、アリール基並びに、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、アリール基、または、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基;
を示す。
I.材料:
1.イソオクタン、シクロヘキサン、イソプロパノール及び氷酢酸は、Tedia Co.(Fairfield,Ohio,USA)から購入した。
(1)Sigma Co. (St. Louis, Missouri, USA, product code P3375, a cystine protease of 2.1 units/mg solid, product from Sri Lanka)から購入可能な市販製品である、粗製のパパイン;
(2)下記のように調製された、部分的に精製されたCPL(PCPL):
粗製のパパイン1.35gを、15mLの脱イオン水へ、4℃で30分間穏やかに攪拌しながら添加した。得られた溶液を、12,000rpmで10分間、遠心分離した。
n−ヘキサン、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、1,2−ジメトキシエタン、無水ピリジン、フェニルジクロロホスフェート、クロロホルム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸マグネシウム、酢酸エチル等。
1.水飽和有機溶媒の調製:
適切な量の脱イオン水を、イソオクタン及びシクロヘキサンのような選択された有機溶媒へ添加した。24時間以上攪拌した後、有機層を後に使用するために集めた。水飽和有機溶媒の調製は、Carica papayaリパーゼによって触媒される酵素分割が行われるのと同一の温度で行なわれるのが好ましい。
氷冷した25mLの無水1,2−ジメトキシエタンに、4.30mmolの(R,S)−ナプロキセン、1.15mLの無水ピリジン、1.07mmolのフェニルジクロロホスフェート及び1000mgの2,2,2−トリフルオロエタンチオールを添加した。得られた混合物を室温で攪拌しながら16時間反応させた後、氷冷した20mLの1M NaOH溶液を添加した。その後、生成物を抽出するために、得られた混合物に25mLのクロロホルムを30分間攪拌しながら添加した。有機層を集め、50mLの1M NaOH溶液で2回、50mLの飽和NaCl溶液で2回の順序で洗浄し、MgSO4上で24時間乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。得られたオイルをn−ヘキサン:酢酸エチル(5:1,v/v)の移動相を用いたシリカゲル液体クロマトグラフィーによって精製した後、真空下で濃縮し、白い固形生成物を最初の(R,S)−ナプロキセンに対して62%の収率で得た。
選択された水飽和有機溶媒中での(R,S)−ナプロキセン2,2,2−トリフルオロエチルエステルの加水分解及び、n−プロパノールによる(R,S)−ナプロキセンのエステル化は、Regis Co.(Morton Grove,Illinois, USA)から購入した、2−ニトロトルエン、(R)−及び(S)−ナプロキセン並びに(R)−及び(S)−ナプロキセンエステルの内部標準を分割できるキラルカラム(S,S)−WHELK−01を用いたHPLCによってモニターした。移動相は、n−ヘキサン/イソプロパノール/氷酢酸(80:20:0.5,v/v)の混合物を、流速1.0mL/分で用いた。定量化のため、270nmでのUV検出を、カラム温度25℃で行った。
水飽和有機溶媒は、一般手順II.1の前記項目で述べられた手順により、イソオクタンまたはシクロヘキサンのいずれかを使用して調製した。
(SS)0:時間0における(S)−ナプロキセンエステルの初期濃度(mM)
(SR)0:時間0における(R)−ナプロキセンエステルの初期濃度(mM)
(SS)t:時間t(hr)における(S)−ナプロキセンエステルの濃度(mM);及び
(SR)t:時間t(hr)における(R)−ナプロキセンエステルの濃度(mM)
である。
Xt=1−[(SS)t+(SR)t]/[(SS)0+(SR)0]=(XS+XR)/2
である。
上記実施例1に記載の手順により、ラセミ体(R,S)−ナプロキセン2,2,2−トリフルオロエチルチオエステルを、選択された水飽和有機溶媒に添加し、1mMの濃度にした。15mLの得られたラセミ体(R,S)−ナプロキセンチオエステル溶液に、粗製のパパイン(1350mg)または部分的に精製されたCarica papayaリパーゼ(PCPL、203mg)のいずれかを添加した。得られた混合物を、35℃から60℃の範囲から選択された温度下で、規定の時間、攪拌しながら反応させた。
上記実施例1に記載の手順により、ラセミ体(R,S)−フェノプロフェン2,2,2−トリフルオロエチルチオエステルを、水飽和イソオクタンに添加し、1mMの濃度にした。15mLの得られたラセミ体(R,S)−フェノプロフェンチオエステル溶液に、部分的に精製されたCarica papayaリパーゼ(PCPL、203mg)を添加した。得られた混合物を、60℃で、170時間、攪拌しながら反応させた。試料のアリコート(200μL)を採取し、キラルセルODカラム(ダイセル化学工業、東京、日本)を用いたHPLC分析に供した。移動相は、n−ヘキサン/イソプロパノール/氷酢酸(100:1.0:0.5,v/v)の混合物を、流速1.0mL/分で用いた。定量化のため、270nmでのUV検出を、カラム温度25℃で行った。
上記実施例1に記載の手順により、ラセミ体(R,S)−イブプロフェン2,2,2−トリフルオロエチルチオエステルを、水飽和イソオクタンに添加し、1mMの濃度にした。15mLの得られたラセミ体(R,S)−イブプロフェンチオエステル溶液に、部分的に精製されたCarica papayaリパーゼ(PCPL、203mg)を添加した。得られた混合物を、45℃で、104時間、攪拌しながら反応させた。試料のアリコート(200μL)を採取し、キラルセルODカラム(ダイセル化学工業、東京、日本)を用いたHPLC分析に供した。移動相は、n−ヘキサン/イソプロパノール(100:0,v/v)の混合物を、流速1.0mL/分で用いた。定量化のため、270nmでのUV検出を、カラム温度25℃で行った。
上記実施例1に記載の手順により、ラセミ体(R,S)−2−フェニルプロピオン酸2,2,2−トリフルオロエチルチオエステルを、水飽和イソオクタンに添加し、1mMの濃度にした。15mLの得られたラセミ体(R,S)−2−フェニルプロピオン酸チオエステル溶液に、部分的に精製されたCarica papayaリパーゼ(PCPL、203mg)を添加した。得られた混合物を、45℃で、170時間、攪拌しながら反応させた。試料のアリコート(200μL)を採取し、キラルセルODカラム(ダイセル化学工業、東京、日本)を用いたHPLC分析に供した。移動相は、n−ヘキサン/イソプロパノール/氷酢酸(100:0.35:0.22,v/v)の混合物を、流速1.0mL/分で用いた。定量化のため、270nmでのUV検出をカラム温度25℃で行った。
上記実施例1に記載の手順により、ラセミ体(R,S)−ジクロフォッグメチルエステルを、水飽和イソオクタンに添加し、1.5mMの濃度にした。15mLの得られたラセミ体(R,S)−ジクロフォッグメチルエステル溶液に、部分的に精製されたCarica papayaリパーゼ(PCPL、15mg)を添加した。得られた混合物を、45℃で、18.2時間、攪拌しながら反応させた。試料のアリコート(200μL)を採取し、キラルセルOJ−Hカラム(ダイセル化学工業、東京、日本)を用いたHPLC分析に供した。移動相は、n−ヘキサン/イソプロパノール/氷酢酸(97:3:1,v/v)の混合物を、流速1.0mL/分で用いた。定量化のため、270nmでのUV検出をカラム温度25℃で行った。
上記実施例1に記載の手順により、ラセミ体(R,S)−2−クロロ−2−フェニル酢酸2,2,2−トリフルオロエチルチオエステルを、水飽和イソオクタンに添加し、1mMの濃度にした。15mLの得られたラセミ体(R,S)−2−クロロ−2−フェニル酢酸チオエステル溶液に、部分的に精製されたCarica papayaリパーゼ(PCPL、25mg)を添加した。得られた混合物を、45℃で、48時間、攪拌しながら反応させた。試料のアリコート(200μL)を採取し、キラルセルOJ−Hカラム(ダイセル化学工業、東京、日本)を用いたHPLC分析を行った。移動相は、n−ヘキサン/イソプロパノール/氷酢酸(240:10:1,v/v)の混合物を、流速1.0mL/分で用いた。定量化のため、240nmでのUV検出を、カラム温度25℃で行った。
上記実施例1に記載の手順により、ラセミ体(R,S)−ナプロキセン2,2,2−トリフルオロエチルチオエステルを、水飽和イソオクタンに添加し、1mMの濃度にした。得られたラセミ体(R,S)−ナプロキセンチオエステル溶液のアリコート(10mL)に、部分的に精製されたCarica papayaリパーゼ(PCPL、135mg)及び種々の濃度のトリオクチルアミンをそれぞれ添加した。得られた混合物を、45℃で、規定の時間、攪拌しながら反応させた。その後、試料のアリコート(200μL)を採取し、上記実施例2に記載されているように、HPLC分析に供した。
無水イソオクタンに、ラセミ体である(R,S)−ナプロキセン及びn−プロパノールを添加し、それぞれ0.45mM及び15mMの濃度にした。
無水イソオクタンに、ラセミ体(R,S)−2−(4−クロロフェノキシ)プロピオン酸及び選択されたアルコール(n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノールまたはトリメチルシリルメタノール)を添加し、それぞれ1.5mM及び15mMの濃度にした。
市販されている粗製のパパインまたはその部分的に精製された生成物のいずれかのCarica papayaリパーゼが、無水または水飽和有機溶媒系のような様々な溶媒系において実施される、高収率及び高転化率で所望の光学的に純粋な生成物を与える、α−置換カルボン酸あるいはそのエステルまたはチオエステルのR−及びS−鏡像異性体混合物の酵素分割に使用できることは、上記の実施例の実験結果から明らかである。さらに、上記の実施例において得られたE値のほとんどは30より大きく、100さえも超えており、Carica papayaリパーゼがα−置換カルボン酸あるいはそのエステルまたはチオエステルの酵素分割を活性化する、反応性の高い生体触媒であることを示している。α−置換カルボン酸あるいはそのエステルまたはチオエステルのCarica papayaリパーゼによる酵素分割中の有機塩基の添加は、生成物の光学純度の増大を100%に達する程度までさらにアシストする。
Claims (24)
- 式(I):
Xは−O−または−S−を示し、
Yはハロゲンまたはメチル基であり、
R1は、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基及びアリール基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和のC1−C20脂肪族基;それぞれの基が、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基、アリール基並びに、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、アリール基、アリールオキシ基または、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基を示し;そして、
R2は、H;ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−CF3、−OCF3、−SCF3、−Si(CH3)3、C1−C4アルキルオキシ基、C1−C4アルキルチオ基、アリール基、ビニル及び3〜12の炭素原子を有する2−アルケニル基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和のC1−C12脂肪族基;それぞれの基が、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基、アリール基並びに、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、アリール基、または、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基を示し;
ただし、Y及びR1は同時にメチルになり得ない)
のα−置換カルボン酸、あるいはそのエステルまたはチオエステルの、R−及びS−鏡像異性体の混合物を酵素分割する方法であって、
該方法は、式(I)のα−置換カルボン酸、あるいはそのエステルまたはチオエステルの、R−及びS−鏡像異性体の混合物を、液相中で、Carica papayaリパーゼにより触媒される酵素分割に供することを包含する。 - 液相が、水溶液、無水有機溶媒、水飽和有機溶媒、及び二相溶液を形成するこれらの組み合わせから選択される溶媒系を含む、請求項1に記載の方法。
- 液相が、イソオクタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、デカン、トルエン、ベンゼン、四塩化炭素、t−ブタノール、t−ペンタノール、イソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル及びこれらの組み合わせから選択される有機溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
- 該混合物が、式(I)のα−置換カルボン酸、あるいはそのエステルまたはチオエステルのラセミ混合物である、請求項1に記載の方法。
- Carica papayaリパーゼが、Carica papaya植物のラテックス浸出液(latex exudate)から調製される、請求項1に記載の方法。
- Carica papayaリパーゼによる混合物の酵素分割が、有機塩基と組み合わせた有機溶媒を含む液相中で行われる、請求項1に記載の方法。
- 有機溶媒が、イソオクタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、デカン、トルエン、ベンゼン、四塩化炭素、t−ブタノール、t−ペンタノール、イソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル及びこれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載の方法。
- 有機塩基が、第三級アミン、アミジン、グアニジン、ホスファゼン塩基及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
- 有機塩基が、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、t−ブチルイミノ−トリス(ピロリジノ)ホスホラン、t−ブチルイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、1−t−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)−ホスホラニリデンアミノ]−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、ジエチルアミノメチル−ポリスチレン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
- 有機塩基が、有機担体及び無機担体から選ばれた担体上に保持される、請求項8に記載の方法。
- 有機塩基が、陰イオン交換樹脂上で保持される、請求項8に記載の方法。
- Carica papayaリパーゼによる混合物の酵素分割が、20℃から90℃の温度範囲で行われる、請求項1に記載の方法。
- 混合物が、式(I)のα−置換カルボン酸エステルまたはチオエステルの、R−及びS−鏡像異性体を含み、Carica papayaリパーゼによる混合物の酵素分割が、水溶液、水飽和有機溶媒、及び二相溶液を形成するこれらの組み合わせから選択される溶媒系を含む液相中で行われ、式(I)のα−置換カルボン酸エステルまたはチオエステルの、R−型またはS−型のいずれかを、Carica papayaリパーゼによりエナンチオ選択的に加水分解する、請求項1に記載の方法。
- 式(I)のα−置換カルボン酸エステルまたはチオエステルが、下記の化合物:ナプロキセン、フェノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、フルルビプロフェン、2−フェニルプロピオン酸、2−(4−クロロフェノキシ)プロピオン酸または2−クロロ−2−フェニル酢酸の、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、フェニルまたはトリフルオロエチル エステル;ナプロキセン、フェノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、フルルビプロフェン、2−フェニルプロピオン酸、2−(4−クロロフェノキシ)プロピオン酸または2−クロロ−2−フェニル酢酸の、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、フェニルまたはトリフルオロエチル チオエステル;及び、ジクロフォッグ(diclofog)メチルエステル;
の少なくともいずれか1つである、請求項13に記載の方法。 - 液相が、第三級アミン、アミジン、グアニジン、ホスファゼン塩基またはこれらの組み合わせからなる群より選択される有機塩基をさらに含む、請求項13に記載の方法。
- 有機塩基が、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、t−ブチルイミノ−トリス(ピロリジノ)ホスホラン、t−ブチルイミノトリス(ジメチルアミノ)−ホスホラン、1−t−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)−ホスホラニリデンアミノ]−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、ジエチルアミノメチル−ポリスチレン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
- 混合物が、式(I)のα−置換カルボン酸エステルまたはチオエステルの、R−及びS−鏡像異性体を含み、Carica papayaリパーゼによる混合物の酵素分割が、無水有機溶媒とアルコールの組み合わせを含む液相中で行われ、式(I)のα−置換カルボン酸エステルまたはチオエステルの、R−型またはS−型のいずれかを、Carica papayaリパーゼによりエナンチオ選択的に、該アルコールを用いてエステル交換する、請求項1に記載の方法。
- 式(I)のα−置換カルボン酸エステルが、下記の化合物:
ナプロキセン、フェノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、フルルビプロフェン、2−フェニルプロピオン酸、2−(4−クロロフェノキシ)プロピオン酸または2−クロロ−2−フェニル酢酸の、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、フェニルまたはトリフルオロエチル エステル;ナプロキセン、フェノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、フルルビプロフェン、2−フェニルプロピオン酸、2−(4−クロロフェノキシ)プロピオン酸または2−クロロ−2−フェニル酢酸の、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、フェニルまたはトリフルオロエチル チオエステル;及び、ジクロフォッグメチルエステル、
の少なくともいずれか1つである、請求項17に記載の方法。 - Carica papayaリパーゼによる混合物の酵素分割に使用するアルコールが、式ROHであり、
ここで、RはR2とは異なり、そして:ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−CF3、−OCF3、−SCF3、−Si(CH3)3、C1−C4アルキルオキシ基、C1−C4アルキルチオ基、アリール基、ビニル及び3〜12の炭素原子を有する2−アルケニル基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和のC1−C12脂肪族基;それぞれの基が、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ基、アリール基並びに、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、アリール基、または、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基;
を示す、請求項17に記載の方法。 - 該アルコールが、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、トリメチルシリルメタノール及び2−N−モルホリノエタノールからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
- 混合物が、式(I)のα−置換カルボン酸の、R−及びS−鏡像異性体を含み、Carica papayaリパーゼによる混合物の酵素分割が、無水有機溶媒とアルコールの組み合わせを含む液相中で行われ、式(I)のα−置換カルボン酸の、R−型またはS−型のいずれかを、Carica papayaリパーゼによりエナンチオ選択的に、該アルコールを用いてエステル化する、請求項1に記載の方法。
- 式(I)のα−置換カルボン酸が、下記の化合物:ナプロキセン、フェノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、フルルビプロフェン、2−フェニルプロピオン酸、ジクロフォッグ、2−(4−クロロフェノキシ)プロピオン酸及び2−クロロ−2−フェニル酢酸、の少なくともいずれか1つである、請求項21に記載の方法。
- Carica papayaリパーゼによる混合物の酵素分割に使用されるアルコールが、式ROHであり、
ここで、RはR2とは異なり、そして:ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−CF3、−OCF3、−SCF3、−Si(CH3)3、C1−C4アルキルオキシ基、C1−C4アルキルチオ基、アリール基、ビニル及び3〜12の炭素原子を有する2−アルケニル基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和のC1−C12脂肪族基;それぞれの基が、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、−SH、−COOH、−CF3、−OCF3、−SCF3、−CONH2、C1−C6アルコキシ、アリール並びに、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基からなる群より選択される1〜3個の置換基によって必要に応じて置換された、アリール基、または、O、S及びNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環基;
を示す、請求項21に記載の方法。 - 該アルコールが、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、トリメチルシリルメタノール及び2−N−モルホリノエタノールからなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
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