JP2006012985A - 基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板の温度を正しく測定できない状態があっても、基板の温度を効率よく制御する。
【解決手段】 基板処理装置の加熱制御部は、基板の温度変化の傾きと傾き規定値(しきい値)とを比較し、シリコンウエハの温度変化の傾きがしきい値よりも大きな値からしきい値以下になった(温度変化の傾きとしきい値との交点A)後に、再びしきい値を超えたこと(温度変化の傾きとしきい値との交点B)を判定すると、定電力設定部からの定電力設定値によるシリコンウエハを一定加熱する制御(定電力制御)から、測定されたシリコンウエハの温度をフィードバックしてシリコンウエハを加熱する制御(温度制御)に切替える。
【選択図】 図5

Description

本発明は、半導体ウエハやガラス基板等の基板を処理する基板処理装置に関する。
ハロゲンランプの光を基板表面に照射し、基板を急速昇降温加熱する基板処理装置(RTP装置:Rapid Thermal Process装置)が知られている。
この種の基板処理装置において、基板の温度を測定し、測定された基板の温度に基づいてハロゲンランプに供給される電力を制御することにより、基板の温度を制御することは公知である。
しかしながら、基板に被接触で基板の温度を測定するために、基板の温度を正しく測定できない状態があり、処理炉内の温度状態によって基板の昇温特性が変化すると、基板の温度を効率よく制御できないことがある。
本発明の目的は、基板の温度を正しく測定できない状態があっても、基板の温度を効率よく制御することができる基板処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の特徴とするところは、基板を加熱する加熱手段と、基板の温度を検出する放射温度計と、この放射温度計により検出された基板の温度変化の傾きが、所定の値よりも小さくなった後に所定の値よりも大きくなった時に、前記加熱手段による加熱を所定の加熱制御から前記放射温度計の検出結果に基づく加熱制御に切替える制御切替手段とを有する基板処理装置にある。即ち、制御切替手段は、放射温度計により検出された基板の温度変化の傾きが所定の値よりも小さくなった後に所定の値よりも大きくなった時に、加熱手段による加熱を所定の加熱制御から放射温度計の検出結果に基づく加熱制御に切替えるので、基板の温度変化の傾きが再び所定の値よりも大きくなる以前に、基板の温度を正しく測定できない状態があっても、基板の温度を効率よく制御することができる。
本発明によれば、基板の温度を正しく測定できない状態があっても、基板の温度を効率よく制御することができる。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2において、本発明の実施形態に係る基板処理装置10の全体が示されている。この基板処理装置10は、基板を搬送するキャリアとしてFOUP(front opening unified pod 以下、ポッドという)を用いている。
なお、以下の説明において、前後左右は図1を基準とし、図1に示されている紙面に対して前は紙面の下、後ろは紙面の上、左右は紙面の左右とする。
基板処理装置10は、中央やや後ろ側に第1の搬送室12を有する。この第1の搬送室12は、平面視で六角形状をなす第1の筺体14に囲まれて構成され、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐えるロードロックチャンバ構造となっており、第1の筺体14は上下両端が閉鎖した箱形状に形成されている。この第1の搬送室12には、第1の移載機16が配置されている。この基板移載機16は、負圧下で基板18を移載し、また、第1のエレベータ20に昇降されるようになっている。
第1の筺体14の六枚の側壁のうち前側に位置する二枚の側壁には、搬入用予備室22と搬出用予備室24とがそれぞれゲートバルブ26,28を介して連結されており、それぞれ負圧に耐え得るるロードロックチャンバ構造に構成されている。それぞれの予備室22,24には、基板置き台30,32がそれぞれ設置されている。
予備室22,24の前側には、略大気圧下で耐え得る第2の搬送室34がゲートバルブ36,38を介して連結されている。第2の搬送室34には基板18を移載する第2の移載機40が設置されている。第2の移載機40は第2の搬送室34に設置された第2のエレベータ42によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ44によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
図1に示されているように、第2の搬送室34の左側にはオリフラ合わせ装置46が設置されている。また、図2に示されているように、第2の搬送室34の上部にはクリーンエアを供給するためのクリーンユニット48が設置されている。
第2の搬送室34を構成する第2の筐体50には、基板18を第2の搬送室34に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口52と、この基板搬入搬出口52を閉塞する蓋54と、ポッドオープナ56がそれぞれ設置されている。また、第2の搬送室34の前側にはポッド58を載置するポッド載置台60が設けられている。ポッドオープナ56は、キャップ開閉機構62を備えており、このキャップ開閉機構62によりポッド載置台60に載置されたポッド58のキャップ及び前述した蓋54を開閉し、ポッド58に収納された基板の出し入れを可能にする。
なお、ポッド58は、図示しない工程内搬送装置(RGV)によって、ポッド載置台60に供給及び排出されるようになっている。
前述した第1の筺体14の六枚の側壁のうち後側に位置する二枚の側壁には、それぞれ第1の処理炉64と第2の処理炉66とがそれぞれゲートバルブ68,70を介して連結されている。第1の処理炉64及び第2の処理炉64は、例えばいずれもコールドウォール式のものである。また、第1の筺体14における六枚の側壁のうちの残りの互いに対向する二枚の側壁には、第1のクーリングユニット72と第2のクーリングユニット74とがそれぞれ連結されており、いずれも処理済みの基板18を冷却するように構成されている。
次に上述した基板処理装置10を用いた場合の処理工程を説明する。
未処理の基板18は25枚がポッド58に収納された状態で、処理工程を実施する基板処理装置10へ工程内搬送装置によって搬送されて来る。このようにして搬送されたポッド58はポッド載置台60の上に工程内搬送装置から受け渡されて載置される。ポッド58のキャップ及び基板搬入出口52を開閉する蓋54がキャップ開閉機構62によって取り外され、ポッド58の基板出入口が開放される。
ポッド58がポッドオープナ56により開放されると、第2の搬送室34に設置された第2の基板移載機40はポッド58から基板18をピックアップし、搬入用予備室22に搬入し、基板18を基板置き台30に移載する。この移載作業中には、第1の搬送室12側のゲートバルブ26は閉じられており、第1の搬送室12が負圧に維持されている。基板18の基板置き台30への移載が完了すると、ゲートバルブ36が閉じられ、搬入用予備室22が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
搬入用予備室22が予め設定された圧力値に減圧されると、ゲートバルブ26,68が開かれ、搬入用予備室22、第1の搬送室12及び第1の処理炉64が連通される。続いて、第1の搬送室12の第1の基板移載機16が基板置き台30から基板18をピックアップして第1の処理炉64に搬入する。そして、第一の処理炉64内に処理ガスが供給され、所望の処理が基板18に対して行われる。
第1の処理炉64で前述した処理が完了すると、処理済みの基板18は第1の搬送室12の第1の基板移載機16によって第1の搬送室12に搬出される。
そして、第1の基板移載機16は第1の処理炉64から搬出した基板18を第1のクーリングユニット72へ搬入し、処理済みの基板18を冷却する。
第1のクーリングユニット72に基板18を移載すると、第1の基板移載機16は搬入用予備室22の基板置き台30に予め準備された基板18を第1の処理炉64に前述した作動によって移載し、第1の処理炉64内に処理ガスが供給され、所望の処理が基板18に行われる。
第1のクーリングユニット72において予め設定された冷却期間が経過すると、冷却済みの基板18は第1基板移載機16によって第1のクーリングユニット72から第1の搬送室12に搬出される。
その後、ゲートバルブ28が開かれ、第1の基板移載機16は第1のクーリングユニット72から搬出した基板18を搬出用予備室24へ搬送し、基板置き台32に移載した後、搬出用予備室24はゲートバルブ28によって閉じられる。
搬出用予備室24がゲートバルブ28によって閉じられると、搬出用予備室24内が不活性ガスにより略大気圧に戻される。搬出用予備室24内が略大気圧に戻されると、ゲートバルブ38が開かれ、第2の搬送室34の搬出用予備室24に対応した基板搬入搬出口52を閉塞する蓋54と、ポッド載置台60に載置された空のポッド58のキャップがポッドオープナ56によって開かれる。続いて、第2の搬送室34の第2の基板移載機40は基板置き台32から基板18をピックアップして第2の搬送室34に搬出し、第2の搬送室34の基板18を基板搬入搬出口52を通してポッド58に収納する。処理済みの25枚の基板18のポッド58への収納が完了すると、ポッド58のキャップと蓋54がポッドオープナ56によって閉じられる。このようにして閉じられたポッド58はポッド載置台60の上から次の工程へ工程内搬送装置によって搬送されて行く。
以上の作動が繰り返されることにより、基板18が順次処理されて行く。以上の作動は第1の処理炉64および第1のクーリングユニット72が使用される場合を例にして説明したが、第2の処理炉66および第2のクーリングユニットエ74が使用される場合についても同様の作動が実施される。
なお、上述の基板処理装置では、予備室22を搬入用、予備室24を搬出用としたが、逆に予備室24を搬入用、予備室22を搬出用としてもよい。また、第1の処理炉64と第2の処理炉66は、それぞれ同じ処理を行ってもよいし、別の処理を行ってもよい。第1の処理炉64と第2の処理炉66で別の処理を行う場合、例えば第1の処理炉64で基板18にある処理を行った後、続けて第2の処理炉66で別の処理を行わせてもよい。また、第1の処理炉64で基板18にある処理を行った後、第2の処理炉66で別の処理を行わせる場合、第1のクーリングユニット72(又は第2のクーリングユニット74)を経由するようにしてもよい。
図3において、前述した第1の処理炉64の一例が示されている。この第1の処理炉64は、半導体ウエハ等の基板に様々な処理工程を実行するのに適した枚葉式の処理炉(枚葉式コールドウォールの処理炉)である。また、第1の処理炉64は、特に半導体ウエハの熱処理に適している。熱処理の例として、例えば半導体ウエハの熱アニール、ホウ素−リンから成るガラスの熱リフロー、高温酸化膜、低温酸化膜、高温窒化膜、ドープポリシリコン、未ドープポリシリコン、シリコンエピタキシャル、タングステン金属、又はケイ化タングステンから成る薄膜を形成するための化学蒸着などが挙げられる。
第1の処理炉64は、チャンバ本体76、チャンバ蓋78及びチャンバ底80から成るチャンバ82を有し、このチャンバ82に囲まれた空間が処理室84になっている。
チャンバ本体76は、例えば蒸着処理に用いられる化学物質の種類、及び選択された金属に対し、化学反応の有無に応じて選択されたアルミニウム又はステンレス鋼などの金属材料により形成されている。また、チャンバ本体76の壁面は、例えば図示しない循環式冷水フローシステムにより、華氏約45〜47度まで水冷される。また、チャンバ本体76には、ゲートバルブ68により開閉されて基板18を搬入及び搬出するための基板搬入搬出口86と、処理室84内のガスを排気するためのガス排気口88とが設けられている。
チャンバ82内には、セラミック、グラファイト又はシリコングラファイトで被覆したグラファイト等から成る円筒状の回転筒90が設けられている。回転筒90には、上部に円形状のサセプタ92が支持されている。このサセプタ92は、炭化ケイ素で被覆したグラファイト、クォーツ(石英)、純炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、アルミニウム、又は鋼等からなり、例えば円板状の中心部94と、この中心部94と同心円状に配置されたドーナツ型の平板96a〜96cとの4つに分割されており、基板18を下方から保持する。
サセプタ92の中心部94の下方には、複数の突上げピン98が設けられている。この突上げピン98は、後述する主制御部xxに含まれる駆動制御部100によって制御される昇降機構102により昇降する。突上げピン98は、基板18がサセプタ92に保持されている場合、上昇することにより、中心部94とともに基板18を平板96a〜96cから持上げる。つまり、突上げピン98が上昇することにより、基板18の下に空間が形成されるので、第1の処理炉64内で基板18を第1の基板移載機16がローディング及びアンローディングすることができる。
回転筒90内には、上側ランプ104及び下側ランプ106を有するヒータアッセンブリ108が設けられている。上側ランプ104及び下側ランプ106は、複数の加熱ゾーンを形成するとともに、基板18の中心よりも基板18の周辺部に多くの熱を加える集中的加熱プロファイルを提供する一連のタングステン−ハロゲン直線ランプであり、基板18の温度がほぼ均一になるように、例えばピーク波長が0.95ミクロンの光(電磁波)を基板18に対して照射する。また、上側ランプ104及び下側ランプ106は、それぞれ電極110が接続されてチャンバ底94に保持されており、後述する加熱制御部150によって基板18に対する加熱量が制御される。
回転筒90は、回転筒90の内周に沿って平ギア114が設けられており、ボールベアリング116を介してチャンバ底94に回転自在に保持されている。また、チャンバ底94には、ボールベアリング118を介して平ギア120が設けられている。平ギア120は、平ギア114に噛み合うように配置されるとともに、駆動制御部100によって制御されるサセプタ駆動機構122により回転するようにされている。つまり、平ギア114が平ギア120と噛み合っているので、平ギア120がサセプタ駆動機構122によって回転することにより、回転筒90は回転する。回転筒90の回転速度は、個々の処理に応じて例えば5〜60rpmである。
なお、上側ランプ104、下側ランプ106及び回転筒90は、チャンバ82内に収容されて真空密封されるようになっている。
チャンバ蓋78には例えば2つのガス供給管124が貫通して設けられ、処理室84に処理ガスを供給し得るようになっている。ガス供給管124は、例えば開閉バルブ128,128、及び流量制御手段であるマスフローコントローラ(MFC)130,130を介し、ガスA及びガスBのガス源に接続されている。ここで使用される処理ガスは、窒素等の不活性ガスや水素、アルゴン、六フッ化タングステンなどであり、例えば基板18上に所望の膜を形成させて半導体装置を製造するためのものである。また、開閉バルブ128,128及びMFC130,130は、ガス制御部132の制御により、処理ガスの供給、停止及び流量を制御する。
ガス供給管124から処理室84内に供給された処理ガスは、処理室84内において例えば基板18と反応する。また、処理室84内の残余ガスは、ガス排気口88から図示しない真空ポンプ等からなる排気装置を介し、処理室84外へ排出される。
また、チャンバ蓋78には、基板18に対して被接触である温度測定部134及び放射率測定部136が設けられている。
温度測定部134は、チャンバ蓋78に固定された例えば3つの温度測定用のプローブ138を有する。これらのプローブ138は、サセプタ92に保持された基板18の中心からそれぞれ異なる距離で位置決めされており、処理中に基板18が発する光の光子密度をそれぞれ測定し、後述する温度検出部148に対して出力する。
放射率測定部136は、放射率測定用のプローブ140、リファレンスランプ142、及びプローブ140と後述する温度検出部148とを接続する光ファイバー通信ケーブル144とを有する。
プローブ140は、チャンバ蓋78の上部に設けられたプローブ回転機構146により、ほぼ水平方向の回転軸を軸として回転自在にされており、プローブ140の回転軸に対し直角方向に向けられた一端がプローブ140の上方に配置されたリファレンスランプ142及び基板18それぞれの方向に向けられて、リファレンスランプ142及び基板18それぞれが発する光子密度を測定する。つまり、プローブ回転機構146は、プローブ140の先端がリファレンスランプ142に向けてほぼ上側に向けられる第1ポジションと、プローブ140が基板18に向けてほぼ下側に向けられる第2ポジションとをとるように、プローブ140を回転させる。
リファレンスランプ142は、基板18における光の透過率が最小となる波長(例えば0.95ミクロンの波長)の光を放射する白色光源からなり、基板18により反射される光の光子密度をプローブ140が測定する際の参照光を放射する。光ファイバー通信ケーブル144は、例えばサファイア製である。
なお、プローブ140と光ファイバー通信ケーブル144とは、スリップ結合により結合されており、プローブ140が回転しても接続が維持される。
このように、放射率測定部136は、プローブ140によりリファレンスランプ142から放射された光の光子密度と、基板18から反射された光の光子密度とを測定し、光ファイバー通信ケーブル144により温度検出部148に対して出力する。
なお、ヒータアッセンブリ108が回転筒90、サセプタ92及び基板18によって包囲されているので、ヒータアッセンブリ108からの光が処理室84に漏れてプローブ140の測定結果に影響を与えることはない。
温度検出部148は、温度測定部134のプローブ138それぞれから入力された光子密度の測定結果から、基板18の異なる位置の温度をそれぞれ算出する。ここで、基板18の表面に放出されたエネルギーは表面温度の四乗に比例する。その比例定数はシュテファン・ボルツマン定数と表面放射率との積から成る。したがって、非接触法における基板18の表面温度の決定時には、以下の式を用いて基板18の反射率を計算し、キルヒホッフの法則により放射率が得られることにより、基板18の表面温度が算出される。
基板反射率=反射光強度/入射光強度 ・・・・(1)
放射率=(1−基板反射率) ・・・・(2)
また、温度検出部148は、リファレンスランプ142の放射光の光子密度と、基板18により反射された反射光の光子密度とを放射率測定部136のプローブ140を介して受け入れ、放射光の光子密度と反射光の光子密度とを比較することにより、処理室84内の様々な処理工程における基板18の放射率(エミシビティ)及び補正用の温度を算出する。そして、温度検出部148は、プローブ138それぞれの測定結果から算出した基板18の温度を補正用の温度と比較することにより補正し、補正された基板18の温度を後述する加熱制御部150に対して出力する。
主制御部152は、温度検出部148、駆動制御部100、加熱制御部150、ガス制御部132及び記憶部154を含み、記憶部154に記憶された設定により、第1の処理炉64を制御する。
上記構成の第1の処理炉64において、ゲートバルブ68が開放され、基板(ウエハ)86が基板搬入搬出口86を通って処理室84内に搬入されてサセプタ92上に保持されると、サセプタ駆動機構122は、駆動制御部100の制御により、処理中に回転筒90を介してサセプタ92を回転させる。
基板18の放射率を測定する場合には、プローブ140が基板18の真上に位置するリファレンスランプ142に向くように回転し、リファレンスランプ142が点灯する。そして、プローブ140はリファレンスランプ142から放射される光の光子密度を測定する。リファレンスランプ142が点灯している間に、プローブ140は、第1ポジションから第2ポジションへと回転し、リファレンスランプ142の真下に位置する基板18に向く。プローブ140は、第2ポジションにおいて基板18の表面からの反射光の光子密度を測定する。続いてリファレンスランプ142が消灯されると、プローブ140は、基板18に向いている間、加熱された基板18が発する光子を測定する。
上述したように、温度検出部148は、光子密度の測定結果から放射率を算出し、基板18の温度を算出する。この方法は、基板が高温で、且つ基板温度の算出前に基本熱放射が減算される場合にも用いられる。
また、処理中には基板18が回転するようにされており、プローブ140は、基板18の回転中に基板18が発する光子密度を測定することによって、処理により基板にリトグラフされる基板の構造変化の平均表面トポロジーに対する光子密度を測定する。また、放射率の測定が薄膜蒸着過程などの処理中にも行われるので、放射率の瞬時の変化がモニターされ、プローブ138の温度補正が動的且つ連続的に行われる。
次に、加熱制御部150について詳述する。
図4において、加熱制御部150の第一例が示されている。加熱制御部150の第一例は、PID制御部156、定電力設定部158、微分器160、傾き判定部162、切替えスイッチ164、D/A変換器166及び電力調整器168から構成される。
PID制御部156は、温度検出部148から補正された基板温度(測定結果)を受け入れ、記憶部154から基板の温度設定値を受入れて、基板温度が基板の温度設定値に近づくように、基板温度と温度設定値との偏差からPID制御による操作量(0〜100%の値で示されるデジタル値の電力設定値)を算出して、切替えスイッチ164を介し、D/A変換器166に対して出力する。
定電力設定部158は、電力調整器168の出力を所定の電力量にするための一定の電力設定値(デジタル値の定電力設定値)を、切替えスイッチ164を介し、D/A変換器166に対して出力する。
微分器160は、温度検出部148から補正された基板温度を受け入れて、基板温度変化の傾き(微分値)を算出し、傾き判定部162に対して出力する。
傾き判定部162は、微分器160から入力された基板温度変化の傾きと、記憶部154から入力された傾き規定値(しきい値)とを比較し、基板温度変化の傾きがしきい値よりも大きな値からしきい値以下になった後に、再びしきい値を超えたことを判定すると、切替えスイッチ164を切替える切替え信号を切替えスイッチ164に対して出力する。なお、しきい値は、実験により決定(図9参照)されており、例えば10°C/秒である。
切替えスイッチ164は、例えばサイリスタなどからなり、初期状態において定電力設定部158とD/A変換器166とを接続しており、傾き判定部162から切替え信号を受入れた場合に、定電力設定部158とD/A変換器166との接続を切り、PID制御部156とD/A変換器166とを接続する。
D/A変換器166は、定電力設定部158又はPID制御部156から切替えスイッチ164を介して入力された電力設定値をD/A変換し、電力設定値に対応するアナログ信号を電力調整器168に対して出力する。
電力調整器168は、D/A変換器166からアナログ信号を受け入れ、アナログ信号に応じた電力を上側ランプ104及び下側ランプ106に対して出力する。つまり、上側ランプ104及び下側ランプ106による基板18の加熱は、電力調整器168から上側ランプ104及び下側ランプ106に供給される電力量に応じて変化するようにされている。
図5は、加熱制御部150の第一例を有する基板処理装置10による処理(第一の実施例)における、シリコンウエハ(基板)の温度及び温度変化の傾きを示すグラフである。
図5に示すように、第一の実施例の処理において、実際のシリコンウエハの温度は、加熱開始から約20秒経過後に約350°Cに達し、約33秒経過後にピーク(約1100°C)となり、約40秒経過後に約700°Cとなるようにされている。一方、温度検出部148により検出されたシリコンウエハの温度は、加熱開始から約14秒経過後に急激に上昇し、約17秒経過後から約23.5秒経過後までほぼ一定値になっている。つまり、この加熱開始から約23.5秒経過後までの期間は、シリコンウエハの温度が正しく測定されていない。シリコンウエハが低温(常温〜約600°C)の場合、上側ランプ104及び下側ランプ106から放射される光がシリコンウエハを透過し、シリコンウエハを透過した光の光子密度をプローブ138が測定した結果により、温度検出部148がシリコンウエハの温度を算出しているためである。よって、測定されたシリコンウエハの温度の傾きの急激な変化(40°C/秒〜80°C/秒を超える変化)が、加熱開始から約14秒経過後と約23.5秒経過後とに2回生じている。
ここで、加熱制御部150の第一例は、傾き判定部162から切替えスイッチ164に切替え信号が出力されるまで、定電力設定部158による定電力設定値に応じた一定の電力を上側ランプ104及び下側ランプ106に対して出力する。傾き判定部162は、微分器160から入力されたシリコンウエハの温度変化の傾きと記憶部154から入力された傾き規定値(しきい値)とを比較し、シリコンウエハの温度変化の傾きがしきい値よりも大きな値からしきい値以下になった(温度変化の傾きとしきい値との交点A)後に、再びしきい値を超えたこと(温度変化の傾きとしきい値との交点B)を判定すると、切替えスイッチ164を切替える切替え信号を切替えスイッチ164に対して出力する。
つまり、シリコンウエハの温度変化の傾きが再びしきい値を超えた場合(交点Bのタイミング)に、基板処理装置10は、定電力設定部158からの定電力設定値によるシリコンウエハを一定加熱する制御(定電力制御)から、測定されたシリコンウエハの温度をフィードバックしてシリコンウエハを加熱する制御(温度制御)に切替える。
よって、定電力制御の時間が長いことによりシリコンウエハの温度が目標温度に対してオーバーシュートすること、及び、定電力制御の時間が短いことによりシリコンウエハの正しい温度が算出されずにシリコンウエハの温度を制御できないことを防止することができる。また、加熱制御部150は、基板温度変化の傾きがしきい値よりも大きな値からしきい値以下になった後に、再びしきい値を超えたことを判定することにより、定電力制御から温度制御に切替えているので、加熱開始後に最初に基板温度変化の傾きがしきい値を超えた場合(温度変化の傾きとしきい値との交点C)を定電力制御から温度制御に切替えるタイミングであると誤って判定することがない。
このように、加熱制御部150の第一例を有する基板処理装置10は、温度検出部148により検出された基板温度の変化の傾きがしきい値よりも大きな値からしきい値以下になった後に、再びしきい値を超えた場合に、電力制御から温度制御に切替えて、基板の温度を制御する。
図6において、加熱制御部150の第二例が示されている。加熱制御部150の第二例は、PID制御部156、定電力設定部158、規定温度判定部170、微分器172、傾き増加判定部174、切替えスイッチ164、D/A変換器166及び電力調整器168から構成される。
なお、加熱制御部150の第二例において、図4に示した加熱制御部150の第一例と実質的に同じものには同一の符号が付してある。
規定温度判定部170は、温度検出部148から補正された基板温度(測定結果)を受け入れ、基板温度が例えば625°Cの規定温度に達したか否かを判定し、基板温度が規定温度に達した場合、受入れた基板温度を微分器172に対して出力する。
微分器172は、規定温度判定部170から入力された基板温度から基板温度変化の傾きを算出し、傾き増加判定部174に対して出力する。
傾き増加判定部174は、微分器172から入力された基板温度変化の傾きと、記憶部154から入力された傾き規定値(しきい値)とを比較し、基板温度変化の傾きがしきい値を超えたことを判定すると、切替えスイッチ164を切替える切替え信号を切替えスイッチ164に対して出力する。
図7は、加熱制御部150の第二例を有する基板処理装置10による処理(第二の実施例)における、シリコンウエハ(基板)の温度及び温度変化の傾きを示すグラフである。
加熱制御部150の第二例は、規定温度判定部170によりシリコンウエハの温度が規定温度に達したことを判定した場合に、シリコンウエハの温度が微分器172に対して出力される。シリコンウエハの温度が規定温度に達すると、シリコンウエハの温度変化の傾きが傾き増加判定部174に入力される。つまり、シリコンウエハの温度が規定温度に達した後が傾き増加判定部174により切替えスイッチ164を切替える切替えタイミング検出期間となっている。
切替えタイミング検出期間において、傾き増加判定部174が微分器172から入力されたシリコンウエハの温度変化の傾きと、記憶部154から入力されたしきい値とを比較し、シリコンウエハの温度変化の傾きがしきい値を超えたことを判定すると、基板処理装置10は、定電力制御から温度制御に切替わる。
加熱制御部150の第二例において、傾き増加判定部174は、基板温度変化の傾きがしきい値を超えたことのみにより、切替えスイッチ164を切替える切替え信号を出力するので、加熱制御部150の第一例に示した傾き判定部162よりも構成が簡易である。なお、規定温度判定部170が判定に用いる規定温度は、定電力設定部158が出力する定電力設定値の大きさに応じて設定されている。
このように、加熱制御部150の第二例を有する基板処理装置10は、温度検出部148により検出された基板温度が規定温度以上であり、且つ、基板温度変化の傾きがしきい値を超えた場合に、電力制御から温度制御に切替えて、基板の温度を制御する。
図8において、加熱制御部150の第三例が示されている。加熱制御部150の第三例は、PID制御部156、定電力設定部158、タイマ176、微分器178、傾き増加判定部174、切替えスイッチ164、D/A変換器166及び電力調整器168から構成される。
なお、加熱制御部150の第三例において、図6に示した加熱制御部150の第二例と実質的に同じものには同一の符号が付してある。
タイマ176は、加熱開始から所定の規定時間a(図9を用いて後述)になるまでの時間を計測し、規定時間aが経過すると規定時間aが経過したことを示す信号を微分器178に対して出力する。
微分器178は、タイマ176から規定時間aが経過したことを示す信号を受入れると、基板温度から基板温度変化の傾き(微分値)を算出し、傾き増加判定部174に対して出力する。
図9は、加熱制御部150の第三例を有する基板処理装置10による処理(第三の実施例)における、シリコンウエハ(基板)の温度及び温度変化の傾きを示すグラフである。
加熱制御部150の第三例は、微分器178がタイマ176から規定時間aが経過したことを示す信号を受入れた場合に、シリコンウエハの温度変化の傾きを傾き増加判定部174に対して出力する。つまり、規定時間経aを経過した後が傾き増加判定部174により切替えスイッチ164を切替える切替えタイミング検出期間となっている。
切替えタイミング検出期間において、傾き増加判定部174が微分器178から入力されたシリコンウエハの温度変化の傾きと、記憶部154から入力されたしきい値とを比較し、シリコンウエハの温度変化の傾きがしきい値を超えたことを判定すると、基板処理装置10は、定電力制御から温度制御に切替わる。
第三の実施例において、変動領域bは、チャンバ82が冷えた状態で基板18の加熱を開始する場合と、チャンバ82がある程度温まった状態で基板18の加熱を開始する場合とで時間の長さが異なる領域である。例えば、チャンバ82が常温よりも温まっている場合、変動領域bの時間の長さが短くなり、測定されたシリコンウエハの温度変化の傾きの2回目の急激な変化(40°C/秒〜80°C/秒を超える変化)は、図9に示した加熱開始から約23.5秒経過後よりも早くなる。なお、しきい値は、変動領域bにおいてシリコンウエハの温度変化の傾きがしきい値を超えないように、実験結果に基づいて設定されている。
また、立上がり時間cは、温度検出部148により算出されたシリコンウエハの温度が加熱開始後に上昇し、ほぼ一定になるまでの時間であり、加熱開始時のチャンバ82の温度によらずほぼ一定の長さの時間である。よって、規定時間aは、立上がり時間cにマージンとして時間αを加えた時間にされている。
このように、加熱制御部150の第三例を有する基板処理装置10は、上側ランプ104及び下側ランプ106による加熱開始から規定時間aを経過し、且つ、基板温度変化の傾きがしきい値を超えた場合に、電力制御から温度制御に切替えて、基板の温度を制御する。
本発明の実施形態に係る基板処理装置の平面から見た断面図である。 本発明の実施形態に係る基板処理装置の側面から見た断面図である。 本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いた処理炉の断面図である。 本発明の実施形態に係る基板処理装置の加熱制御部の第一例を示すブロック図である。 加熱制御部の第一例を有する基板処理装置による処理における、シリコンウエハの温度及び温度変化の傾きを示すグラフである。 本発明の実施形態に係る基板処理装置の加熱制御部の第二例を示すブロック図である。 加熱制御部の第二例を有する基板処理装置による処理における、シリコンウエハの温度及び温度変化の傾きを示すグラフである。 本発明の実施形態に係る基板処理装置の加熱制御部の第三例を示すブロック図である。 加熱制御部の第三例を有する基板処理装置による処理における、シリコンウエハの温度及び温度変化の傾きを示すグラフである。
符号の説明
10 基板処理装置
18 基板
64 処理炉
104 上側ランプ
106 下側ランプ
134 温度測定部
138 プローブ
148 温度検出部
150 加熱制御部
156 PID制御部
158 定電力設定部
160 微分器
162 傾き判定部
164 切替えスイッチ
166 D/A変換器
168 電力調整器

Claims (1)

  1. 基板を加熱する加熱手段と、基板の温度を検出する放射温度計と、この放射温度計により検出された基板の温度変化の傾きが、所定の値よりも小さくなった後に所定の値よりも大きくなった時に、前記加熱手段による加熱を所定の加熱制御から前記放射温度計の検出結果に基づく加熱制御に切替える制御切替手段とを有することを特徴とする基板処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113772674A (zh) * 2021-09-17 2021-12-10 云南通威高纯晶硅有限公司 一种多晶硅生产还原炉控制方法
WO2024142528A1 (ja) * 2022-12-26 2024-07-04 株式会社Kokusai Electric 温度制御方法、半導体装置の製造方法、および基板処理装置並びにプログラム

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