JP2006012963A - マイクロ波プラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、プラズマ処理装置において、整合器の検知部分から誘電体までの反射波を抑制し、定在波比を低減することである。
【解決手段】 マイクロ波透過窓と導波管の間に導電体のスロットアンテナを有し、誘電率が導波管内物質より高く透過窓部材より小さいことを特徴とする部材を、スロットアンテナとマイクロ波透過窓の間に導入することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ波の反射波を低減させることで効率よくプラズマ着火を行い、大面積のプラズマ放電を効率よく行えるようにしたことを特徴とするマイクロ波プラズマ処理装置に関するものである。
従来の技術は、周波数の高いギガヘルツ帯の高周波マイクロ波を利用した高周波プラズマ放電装置で、高効率のマイクロ波発生源であるマグネトロンが2.45GHzのもので一般的に利用されている。
このようなマイクロ波高周波の伝送においては、導波管を伝送線路として高周波電源から負荷に供給される。このマイクロ波は、安定した電力で供給する必要があるが、高周波電源と負荷との間に生じる反射波による電力(反射波電力)が存在すると、負荷に供給されるマイクロ波の電力が減衰される。そのため、高周波電源から入射された電力が負荷側で十分に消費されず、安定した電力を供給できない。
そこで、反射波電力を低減するために、インピーダンス整合器によって、高周波電源と負荷とのインピーダンス整合が行われている。インピーダンス整合は、インピーダンス整合器によって、導波管の特性インピーダンスを調整することにより行われる。インピーダンス整合器は、主に、導波管内の定在波分布を検出するセンサ部と、導波管の特性インピーダンスを変化させて高周波電源と負荷とをインピーダンス整合させるインピーダンス整合部と、センサ部によって検出された定在波分布に基づいて、高周波電源と負荷との間の反射波電力が減衰するようにインピーダンス整合部を制御する制御部とから構成される。
さらに発振部保護のために、電源とスタブ整合機間に、アイソレーターを挿入設置するのが一般的である。また、均質な大面積のプラズマの発生を行う目的から、誘電体を用いた平面アンテナ形状の共振部を用いて、このアンテナ表面に誘導される表面波を利用するスリットアンテナ表面波プラズマ装置がある。
これらの従来の装置では、マイクロ波発生部で生成された高周波は空洞である導波管をとおり、スリットアンテナを通過した後に、マイクロ波透過部材部を介し、プラズマ発生室に導入される。
特開平9−260096号公報 特開2001−251107号公報 特開2001−176696号公報
従来の技術では、整合器により発振器への反射波は低減されるために発振器へのダメージは減少し、マイクロ波は効率的に出力される。しかし、マイクロ波透過窓およびスロットアンテナの負荷で生成される反射波の大きさによっては、反射波と進行波の合成である定在波が整合器にダメージや発熱を引き起こす。
その結果として、整合動作の不安定化を招き、プラズマ環境の変動によるプロセスの不安定化・プロセス再現性の低下を引き起こす。また、ダメージによってパーツ寿命が短くなり、ランニングコスト増大・装置ダウンタイム増加につながり、生産効率の低下を引き起こす。
よって本発明の解決しようとする課題は、整合器の検知部分から誘電体までの反射波を抑制し、定在波比を低減することである。
本発明の骨子は、マイクロ波透過窓と導波管の間に導電体のスロットアンテナを有し、誘電率が導波管内物質より高く透過窓部材より小さいことを特徴とする部材を、スロットアンテナとマイクロ波透過窓の間に導入することを特徴とする。
本発明により反射波を抑制し定在波比が低減されることによって、整合器へのダメージや発熱が軽減され、安定した整合が行われることでプラズマ環境が安定し、プロセスの安定化・プロセス再現性の向上が図られる。また、ダメージが減少することによって、パーツの長寿命化・交換によるダウンタイムの低減され、コストダウンや生産の効率化になる。さらには、整合器であるスタブチューナの動作距離・動作時間およびマイクロ波発生からプラズマ着火までの時間が短縮されることで処理速度が向上し、スループットを高くなることなどが期待される。また、本発明に関わるプラズマ処理装置では、スパッタリング・CVD・エッチング・イオン注入などのプラズマ処理に於いては効率的に処理を施すことができる。
本発明の効果の理由・機構は以下のように推測される。
本発明では、誘電率が導波管内物質より高く透過窓部材より小さいことを特徴とする部材がスロットアンテナとマイクロ波透過窓の間に導入されることで、マイクロ波発生源からの進行波の反射が、部材とマイクロ波透過窓材で起きる。
それぞれの反射波は、式1に示した誘電体の誘電率と透磁率に依存した屈折率の屈折の法則および式2に示したスネルの法則、反射の法則に関係している。反射波および透過波の振幅は、スロットアンテナとマイクロ波透過窓の間に導入される部材の反射は、フレネルの公式からs成分とp成分は式3になる。また、マイクロ波透過窓材での反射波および透過波の振幅は、本発明のマイクロ波が垂直入射する場合は、スロットアンテナとマイクロ波透過窓の間に導入する部材とマイクロ波透過窓材が誘電体であるため、近似すると式4に示した振幅反射係数rと振幅透過係数tになる。位相については、位相変化として、フレネルの公式から振幅の絶対値の比であり、垂直入射の場合にはs成分とp成分の区別がなくなるため、波動はπの位相変化する。
そのために誘電率が導波管内物質より高く透過窓部材より小さいことを特徴とする部材で起きた反射波とマイクロ波透過窓材で起きた反射波の逆位相により反射波が抑制されることが、定在波比の低減に関与する。定在波比が低減される割合は、スロットアンテナとマイクロ波透過窓の間に導入する部材による反射波の振幅とマイクロ波透過窓材の反射波の振幅に依存する。すなわち、スロットアンテナとマイクロ波透過窓の間に導入する部材の誘電率と透磁率が関係する。
そして、誘電率が導波管内物質より高く透過窓部材より小さいことを特徴とする部材により反射波の一部は吸収されることで反射波が減少すると考えられる。
実際の測定においては、進行波だけの電圧や反射波だけの電圧は測定できないため、進行波と反射波が合成された定在波および定在波のなかで最大の振幅を持つ定在波の振幅と最小の振幅を持つ定在波の振幅の比である定在波比を反射波の指標として用いる。
そのため、次の二つの関係式から
反射係数=反射波の電圧/進行波の電圧
反射係数=(1+定在波比)/(1−定在波比)
反射波が減少すると定在波比が減少するので、本発明により反射波が減少したときは定在波比が減少すると考えられる。
Figure 2006012963
Figure 2006012963
Figure 2006012963
Figure 2006012963
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明における実施形態であるマイクロ波プラズマ処理装置の一つ、フォトレジスト層を除去するアッシング装置の構図である。
半導体素子の製造において、シリコン等の半導体単結晶基板(以下、基板という)上に素子を形成するため、塗布装置にて基板表面に感光性樹脂を塗布し、露光装置にて予め用意されたマスク(レチクル)のパターンを露光転写し、現像装置にて現像処理を行い目的とする感光性樹脂の転写パターンを得る。この転写パターンをマスクとして、その後のエッチング、拡散、成膜等工程にて基板上に目的とする処理を行い素子の形成を行う。素子形成後に残存するマスクとして使用した樹脂パターンを、プラズマにより生成された酸素活性種を用いて除去する。この灰化処理工程をアッシング処理という。
また、当然、本発明はマイクロ波プラズマ処理であるエッチング処理、クリーニング、CVD、スパッタリング、デスカム処理などを行う装置にも用いることができる。
そして、誘電率が導波管内物質より高く透過窓部材より小さいことを特徴とする部材は、シリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたものだけでなく、テフロン(登録商標)シート、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、などの有機物のシート等がある。
また、図2は誘電率が導波管内物質より高く透過窓部材より小さいことを特徴とする部材と導波管の間にあるスロットアンテナの一例である。
以下実施例を挙げて本発明のマイクロ波プラズマ処理装置及び処理方法をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に示す実施例1〜4における実験装置は、誘電体板の材質はアルミナイトライドで直径約300mmで厚さ約10mm程度である。スロットアンテナ付無終端環状導波管は、内壁断面の寸法が約30mm×100mm程度であって、導波管の中心径は約180mmの長さである。スロットアンテナ付無終端環状導波管の材質は、マイクロ波の伝搬損失を抑えるため、すべてAlを用いている。スロットアンテナ付無終端環状導波管のH面には、マイクロ波をプラズマ処理室ヘ導入するためのスロットアンテナが取り付けられている。スロットの形状は矩形であり、管内波長の1/4間隔に放射状に形成されている。管内波長は、使用するマイクロ波の周波数2.45GHzと、導波管の断面の寸法とに依存する。使用したスロットアンテナ付無終端環状導波管では、スロットアンテナのスロットは12個形成されている。スロットアンテナ付無終端環状導波管には、4Eチューナ、方向性結合器、アイソレーター、2.45GHzの周波数を持つマイクロ波電源を順に接続している。
マイクロ波プラズマ処理であるフェノールノボラック樹脂を主成分とするi線用フォトレジスト層を塗布したシリコンウエハ等の半導体基板のアッシングを行うとして、図4に示すように装置にはマイクロ波透過窓とスロットアンテナの間に図3に示した形状のようなシリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたシート状のものを挿入した。
上述した装置をマイクロ波プラズマ処理に使用して、酸素ガス流量1500sccm、圧カ0.8Torrとして,マイクロ波パワー3.0kWの条件でプラズマを発生させ、得られた整合器の検知部分から誘電体までの定在波を計測して定在波比を求めた。
また、上述と同様の条件において、マイクロ波透過窓とスロットアンテナの間に、シリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたものを挿入にない装置で、整合器の検知部分から誘電体までの定在波を計測して定在波比を求めた。
その結果、マイクロ波透過窓とスロットアンテナの間にシリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたものを挿入しない条件では定在波比が32程度であったが、マイクロ波透過窓とスロットアンテナの間にシリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたものを挿入した装置では、整合器の検知部分から誘電体までの定在波比が3〜6程度になることが確認された(図5)。
マイクロ波プラズマ処理であるレジスト層にイオンインプランテーションした半導体基板のアッシングを行うとして、図に示すように装置にはマイクロ波透過窓とスロットアンテナの間に図3に示した形状のシリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたシート状のものを挿入した。
前述した装置を用いてマイクロ波プラズマ処理であるイオンインプランテーションした半導体基板のアッシングを行うとして、酸素ガスを流量2800sccm、Arガスを流量1200sccm、SF6ガス流量5.2sccmの混合ガスを圧カ1.1Torrで、マイクロ波パワー3.0kWの条件でプラズマを発生させ、整合器の検知部分から誘電体までの定在波を計測して定在波比を求めた。
また、上述と同様の条件において、マイクロ波透過窓とスロットアンテナの間に、シリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたものを挿入しない装置で、整合器の検知部分から誘電体までの定在波を計測して定在波比を求めた。
その結果、マイクロ波透過窓とスロットアンテナの間にシリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたものを挿入しない条件では定在波比が30程度であったが、マイクロ波透過窓とスロットアンテナの間にシリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたものを挿入した装置では、整合器の検知部分から誘電体までの定在波比が4程度になることが確認された(図6)。
次に、マイクロ波透過窓とスロットアンテナの間に図3に示した形状のシリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたシート状のものを挿入し、4Eチューナの位置について測定を行った。
前述した装置を用いてマイクロ波プラズマ処理であるイオンインプランテーションした半導体基板のアッシングを行うとして、酸素ガスを流量2800sccm、Arガスを流量1200sccm、SF6ガス流量5.2sccmの混合ガスを圧カ1.1Torrで、マイクロ波パワー3.0kWの条件でプラズマを発生させ、チューナー位置を計測した。
また、上述と同様の条件において、マイクロ波透過窓とスロットアンテナの間に、シリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたものを挿入しない装置でチューナー位置を計測した。
その結果、図3のようなシリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたシート状のものを挿入しない条件では約−21.5mmであったが、挿入した条件では約−17.5mmとなり変化が小さくなることが確認された(図7)。
前述チューナーは、反射波が0に近づき定在波比が1に近づくほどチューナー位置が0mmに近くなるため、この結果から、前記シートを挿入した場合には、反射波が抑制され定在波が低減したと考えられる。
前述した装置を用いてマイクロ波プラズマ処理であるイオンインプランテーションした半導体基板のアッシングを行うとして、酸素ガスを流量1500sccm、圧カ0.8Torrで、マイクロ波パワー3.0kWの条件でプラズマを発生させ、チューナー位置を計測した。
また、上述と同様の条件において、マイクロ波透過窓とスロットアンテナの間に、シリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたものを挿入しない装置でチューナー位置を計測した。
その結果、図3のようなシリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたシート状のものを挿入しない条件では約−22.5mmであったが、挿入した条件では約−9.5mmと変化が小さくなることが確認された(図8)。
前述チューナーは、反射波が0に近づき定在波比が1に近づくほどチューナー位置が0mmに近くなるため、この結果から、前記シートを挿入した場合には、反射波が抑制され定在波が低減したと考えられる。
本案の装置概略図。 スロットアンテナの一例。 本案の誘電率が導波管内物質より高く透過窓部材より小さいことを特徴とする部材の一例。 本案の実施例。 イオンインプランテーション基板のアッシング時における定在波比特性。 バルクレジスト基板のアッシング時における定在波比特性。 チューナー位置とウエハ処理枚数の特性。 イオンインプランテーション基板のアッシング時におけるチューナー位置とウエハ処理枚数の特性。

Claims (17)

  1. プラズマ処理室を有し、マイクロ波を該プラズマ処理室へ導入する手段として導波管を用い、該導波管は平板状H面にスロットアンテナを有し、プラズマ処理室と該プラズマ処理室内に設置された被処理基体を支持する手段と、該基体支持手段に対向して配置されたマイクロ波透過窓を有し、該プラズマ処理室内にガスを導入する手段と、該プラズマ処理室内を所定の圧力に保持する手段と、該プラズマ処理室内を排気する手段とで構成されるプラズマ処理装置において、誘電率が導波管内物質より高く透過窓部材より低い部材を前記スロットアンテナおよび前記マイクロ波透過窓の間に配置することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. プラズマは表面干渉波プラズマを使用することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. マイクロ波は、2.45GHzから8.0GHz範囲から適宜選択することを特徴とする請求項1乃至2いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  4. マイクロ波発振部とプラズマ負荷共振部との間にスタブ整合機とアイソレーターを挿入したことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  5. チューナーにおいてプリセット機能を使用することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記部材にシリコンコンパウンドにシリコンオイルを含侵させたものを用いることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記部材にテフロン(登録商標)シートを用いることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記部材にポリカーボネートを含侵させたものを用いることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  9. 前記部材にポリ塩化ビニルを用いることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  10. 前記部材にポリアミドを用いることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  11. 前記部材にポリプロピレンを用いることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  12. 前記部材にポリスチレンを用いることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  13. 前記部材にポリイミドを用いることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  14. 前記部材にセルロースアセテートを用いることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  15. マイクロ波透過窓材としてアルミナイトライドの誘電体を用いることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  16. マイクロ波透過窓材としてアルミナの誘電体を用いることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載のプラズマ処理装置。
  17. マイクロ波透過窓材としてサファイアの誘電体を用いることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載のプラズマ処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010186825A (ja) * 2009-02-10 2010-08-26 Ulvac Japan Ltd プラズマ処理装置

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