次に、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1の車両周辺監視装置の原理を説明する説明図で、(a)が人のいないとき、(b)が人の接近したときを示すものである。図2は本発明の実施の形態1の車両周辺監視装置の基本的回路構成図を示すものである。
図1及び図2において、車両1は、ワンボックスカー、ツーボックスカー、スリーボックスカー、トラック、バス、特装車等の何れの自動車であってもよい。その車両1のルーフの前後方向に延びた中央線上に送信器Eが配設されている。送信器Eからは、絶えずまたは間歇的に電磁波を出力している。4台の受信器A0,B0,C0,D0は、車両1の各コーナ部、例えば、ランプ内、バンパー内に配設され、送信器Eから出力された電磁波の電界強度を測定し、かつ、直接波と反射波との位相差及びドップラ周波数を得ることのできる機能を有している。信号処理回路6は、4台の受信器A0,B0,C0,D0からの出力を得て、電界強度、ドップラ周波数及び直接波と反射波との位相差から反射対象までの距離を算出する回路であり、車両1付近に検出対象が存在しない状態のときの送信器Eからの電界強度を格納する記憶回路、現在の電界強度と記憶回路に格納している電界強度とを比較する比較回路、パターン認識回路及び警告出力回路等を内蔵している。
なお、受信器A0,B0,C0,D0として、電界強度を測定する受信器であることを前提として説明するが、説明の都合上、電界強度を重要視しているものの、通常の無線受信器と相違するものではない。
通常、車両1付近に検出対象が存在しない状態のとき、車両1の異なる箇所に搭載した4台の受信器A0,B0,C0,D0が、送信器Eから出力されている電磁波を受信する。送信器Eから出力されている電磁波は、車両1付近に検出対象が存在しないから、送信器Eから均等に、即ち、図1のように円状の放射特性20の電磁波が出力され、4台の受信器A0,B0,C0,D0は、それぞれ電界強度a0,b0,c0,d0を検出する。
即ち、本実施の形態では、同時に送信器Eから出力した電磁波を、4台の受信器A0,B0,C0,D0で受信するものであり、送信器Eからの出力は、連続的または所定の時間間隔を置いてもよい。
ところが、車両1付近に人が存在すると、図1の円状の放射特性20が人の存在により誘起され、検出対象の種類によっては、反射、吸収、干渉され、円状の放射特性20が移動したような偏った放射特性21となるから、4台の受信器A0,B0,C0,D0はそれぞれ電界強度a1,b1,c1,d1を検出する。このときの電界強度a1,b1,c1,d1は、a1>a0、c1>c0、b1<b0、d1<d0の関係になる。
したがって、電界強度a1,b1,c1,d1のパターン値を得ることによって、車両1付近に検出対象が存在しない状態のとき、4台の受信器A0,B0,C0,D0によって電界強度a0,b0,c0,d0のパターンとの違いを検出し、それによって、車両1付近の状態を判断することができる。また、その変化速度の検出により、車両1付近の検出対象の動きを捉えることもできる。
なお、本実施の形態1では、車両1の異なる箇所に搭載した4台の受信器A0,B0,C0,D0が、同時に送信器Eから出力した電磁波を受信するものである。このとき、4台の受信器A0,B0,C0,D0の感度が相違しても、或いは送信器Eの出力が時間的に相違しても、それは車両1付近に検出対象が存在しない状態を、4台の受信器A0,B0,C0,D0で受信し、その受信電界のパターンを記憶回路に記憶するものであるから、その初期値に違いが生ずるものの、実質的に本実施の形態1の動作に違いが生ずるものではない。特に、送信器Eの出力を複数段に変化させ、そのタイミングに合わせて、4台の受信器A0,B0,C0,D0の受信状態を判断してもよい。
[実施の形態2]
図3は本発明の実施の形態2の車両周辺監視装置の原理を説明する説明図で、(a)は車両1付近に検出対象が存在しない状態で電磁波を出力したときの模式図、(b)は隣接する車両が存在するときの原理を説明する説明図ある。図4は本発明の実施の形態2の車両周辺監視装置の基本的回路構成図を示すものである。なお、本実施の形態において、上記実施の形態と同一記号または同一符号は、上記実施の形態と同一または相当する構成部分を示すものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
図3及び図4において、車両2及び車両3は自動車である。4台の送受信器A,B,C,Dは、車両2の各コーナ部に配設された送信器及び受信器機能を有するもので、1台の送受信器A,B,C,Dの何れか1台から出力された電磁波の電界強度を残りの3台の送受信器A,B,C,Dで測定するものである。
即ち、4台の送受信器A,B,C,Dは信号処理回路6が内蔵する切り替え制御回路により、電磁波出力及びその電磁波の受信を切り替え制御され、例えば、送受信器Aが選択されたとき、3台の送受信器B,C,Dが受信器として機能し、送受信器Bが選択されたとき、3台の送受信器A,C,Dが受信器として機能し、以下順次、送受信器A,B,C,Dから送信器として機能するものが択一的に選択される。
信号処理回路6は、4台の送受信器A,B,C,Dからの出力を得て、電界強度、ドップラ周波数及び直接波と反射波との位相差から反射対象までの距離を算出する回路であり、車両1付近に検出対象が存在しない状態のときの送受信器A,B,C,Dからの電界強度を格納する記憶回路、現在の電界強度と記憶回路に格納している電界強度とを比較する比較回路、パターン認識回路及び警告出力回路等を内蔵している。
なお、送受信器A,B,C,Dとして、電界強度を測定する受信機能を持つことを前提として説明するが、説明の都合上、電界強度を重要視しているものの、通常の無線送受信器と相違するものではない。
車両2付近に検出対象が存在しない状態のとき、車両2の異なる箇所に搭載した4台の送受信器A,B,C,Dが、そのうちの1台から出力されている電磁波を受信する。例えば、送受信器Aから出力されている電磁波は、車両2付近に検出対象が存在しないから、送受信器Aから均等に、即ち、円状の放射特性22で電磁波が出力され、3台の送受信器B,C,Dは、それぞれ電界強度ba0,ca0,da0を検出する。また、送受信器Bから出力されている電磁波は、車両2付近に検出対象が存在しないから、送受信器Bから均等に、即ち、円状の放射特性23で電磁波が出力され、3台の送受信器A,C,Dは、それぞれ電界強度ab0,cb0,db0を検出する。同様に、送受信器Cから出力されている電磁波は、送受信器Bから均等に、即ち、円状の放射特性24で電磁波が出力され、3台の送受信器A,B,Dは、それぞれ電界強度ac0,bc0,dc0を検出する。更に、送受信器Dから出力されている電磁波は、車両2付近に検出対象が存在しないから、送受信器Dから均等に、即ち、円状の放射特性25で電磁波が出力され、3台の送受信器A,B,Cは、それぞれ電界強度ad0,bd0,cd0を検出する。
本実施の形態2では、車両2の異なる箇所に搭載した4台の送受信器A,B,C,Dが、択一的に送信器となり、残りの3台の送受信器A,B,C,Dが受信器となり、4台の送受信器A,B,C,Dが順次送信器になるものである。
このとき、4台の送受信器A,B,C,Dが何れの位置にあっても、或いはその出力に違いがあっても、それは車両付近に検出対象が存在しない状態のとき、4台の送受信器A,B,C,Dのいずれかが出力した電磁波を車両2に搭載した3台の送受信器A,B,C,Dで受信し、その受信電界のパターンを記憶回路に記憶するものであるから、初期値に違いが生ずるものの、実質的に本実施の形態2の動作に違いが生ずるものではない。特に、4台の送受信器A,B,C,Dの出力を複数段に変化させ、その検出距離(エリア)を変化させることにより、その4台の送受信器A,B,C,Dの出力の切り替えタイミングに合わせて、4台の送受信器A,B,C,Dの当該検出距離(エリア)内の受信状態を判断してもよい。
ここで、送受信器Dから出力されている電磁波が、図3(b)に示すように、車両2付近に車両3が近づいてきた事例で説明する。
図5は本発明の実施の形態2の車両周辺監視装置の受信信号を説明する説明図である。なお、本実施の形態において、上記実施の形態と同一記号または同一符号は、上記実施の形態と同一または相当する構成部分を示すものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
送受信器Dから電磁波が出力されたとする。このとき、車両3は車両2の死角に入っており、サイドミラーで確認できるか否かの境界線にある。なお、図5の実線は受信した直接波を示し、破線は車両3からの反射波を示すものである。
送受信器Cの受信信号は、電界強度cd1となる。波高は電界強度cd1で、その位相差はドップラ効果によるものである。同時に、送受信器Aの受信信号は、電界強度ad1を検出し、送受信器Bの受信信号は、電界強度bd1を検出する。当然ながら、送受信器A,Bの波高は、電界強度ad1、bd1であり、位相差はドップラ効果によるものである。
次に、本発明の実施の形態2の動作説明を、図6乃至図17を用いて説明する。なお、本実施の形態において、上記実施の形態と同一記号または同一符号は、上記実施の形態と同一または相当する構成部分を示すものであるから、ここでは重複する説明を省略する。殊に、基本的動作においては、本発明の実施の形態1は、実施の形態2と相違するものではないので、本発明の実施の形態1の説明を省略する。
図6は本発明の実施の形態2に対応する単独走行の場合の説明図、図7は図6の実施の形態2に対応する単独走行の場合の送受信信号の説明図である。
図6において、車両2は比較的広い道路5のセンターライン6の左側を単独走行状態にある。
ここで、送受信器Aから送信されている電磁波は、車両2付近に検出対象が存在しないから、送受信器Aから均等に電磁波が出力されている。正確には、車体部分を除く指向特性となる。また、送受信器Aから送信されているときには、3台の送受信器B,C,Dは受信状態にあるから、それぞれ電界強度ba0,ca0,da0を検出する。送受信器Aから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両が存在しないから、生じない。そして、電界強度の変化は、車両2付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ba0,ca0,da0と相違せず、その変化は生じない。また、3台の送受信器B,C,Dが受信する信号の位相差は、反射・吸収対象が存在しないから生じていない。同様に、反射・吸収対象が存在しないから、距離測定情報は算出できない。
送信状態が、送受信器Aから送受信器B、送受信器C、送受信器Dと変化しても、その検知情報に変化はない。
図8は本発明の実施の形態2に対応する前方車両が存在する走行の場合の説明図、図9は図8の実施の形態2に対応する前方車両が存在する走行の場合の送受信信号の説明図である。
図8において、車両2は比較的広い道路5のセンターライン6の左側を前方車両51が存在する走行状態にある。
ここで、送受信器Aから送信されている電磁波は、車両2の前方に車両51が走行しているから、送受信器Aからの電界強度は、前方車両51の反射を受ける。また、3台の送受信器B,C,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ba2,ca2,da2を検出する。電界強度の変化は、車両2の前方に車両51が走行しているから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ba0,ca0,da0と比較すると、前方にある送受信器Bの電界強度ba2が高くなり、電界強度ca2,da2は若干高くなるにすぎない。
一般に、送受信器Aから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象が同一方向の走行状態にあるから、低い周波数として検出される。
即ち、送受信器Bの受信信号の位相差は、反射対象が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差が生ずる。しかし、送受信器C,Dの受信信号の位相差は、反射対象が後方側にないので、位相差が殆ど生じない。
したがって、送受信器Bの受信信号の位相差によって、前方の車両51までの距離を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Aの送信から送受信器Bの送信に切り替わる。
車両2の前方に車両51が走行しているから、送受信器Bからの電界強度は、前方車両51の影響を強く受ける。3台の送受信器A,C,Dは受信状態にあるから、それぞれ電界強度ab2,cb2,db2を検出する。電界強度の変化は、車両2の前方に車両51が走行しているから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ab0,cb0,db0と比較すると、電界強度ab2が高くなり、電界強度cb2,db2は若干高くなるにすぎない。
一般に、送受信器Bから送信されている電磁波のドップラ周波数は、反射対象が走行状態にあるから、低い周波数として検出される。即ち、送受信器Aの受信信号の位相差は、反射対象が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差が生ずる。しかし、送受信器C,Dの受信信号の位相差は、反射対象が後方側にないので、位相差が殆ど生じない。
したがって、送受信器Aの受信信号の位相差によって、前方の車両51までの距離を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Bの送信から送受信器Cの送信に切り替わる。
車両2の前方に車両51が走行しているが、送受信器Cからの電界強度は、前方車両51で影響され難くなる。3台の送受信器A,B,Dは受信状態にあり、それぞれ電界強度ac2,bc2,dc2を検出する。電界強度の変化は、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ac0,cc0,dc0と比較して殆ど変化がない。
一般に、送受信器Cから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、送受信器A,B側では、同一方向の走行状態にあるから僅かに存在する。即ち、送受信器Cの受信信号の位相差は、反射対象が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差が生ずる程度である。送受信器A,Bはそれを検出する。車両2の前方に車両51による反射対象が存在するも、それが同一走行方向であるので、送受信器Dの受信信号に位相差は殆ど生じない。
したがって、送受信器A及び送受信器Bの受信信号の位相差によって、前方の車両51までの距離を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Cの送信から送受信器Dの送信に切り替わる。
車両2の前方に車両51が走行しているから、送受信器Dからの電界強度は、前方車両51によって影響され難くなる。3台の送受信器A,B,Cは受信状態にあるから、それぞれ電界強度ad2,bd2,cd2を検出する。電界強度の変化は、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ac0,cc0,dc0と比較して殆ど変化がない。
一般に、送受信器Dから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、送受信器A,B側では、同一方向の走行状態にあるから僅かに存在する。即ち、送受信器Cの受信信号の位相差は、車両51が同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差が生ずる程度である。送受信器A,Bはそれを検出する。しかし、反射対象の車両51が存在するが反対方向であるので、送受信器Cには位相差が殆ど生じない。
したがって、送受信器A及び送受信器Bの受信信号の位相差によって、前方の車両51までの距離を算出することができる。
図10は本発明の実施の形態2に対応する前方車両及び後方車両が存在する走行の場合の説明図、図11は図10の形態2に対応する場合の送受信信号の説明図である。
図10において、車両2は比較的広い道路5のセンターライン6の左側を前方車両51、後方車両52が存在する走行状態にある。
ここで、送受信器Aから送信されている電磁波は、車両2の前方に車両51が走行しているから、車両51の影響を大きく受け、反対側の車両52の影響も受ける。即ち、3台の送受信器B,C,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ba3,ca3,da3を検出する。電界強度の変化は、車両2の前方に車両51が走行しているから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ba0,ca0,da0と比較すると、電界強度ba3が高くなり、送受信器C,D側の電界強度ca3,da3も若干高くなる。
一般に、送受信器Aから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両51及び車両52が走行状態にあるから、低い周波数として検出される。即ち、送受信器Bの受信信号は、反射対象の車両51が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。しかし、送受信器C,Dの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52となり、位相差は殆ど生じない。
したがって、送受信器Bの受信信号の位相差によって、前方の車両51までの距離を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Aの送信から送受信器Bの送信に切り替わる。
送受信器Bから送信されている電磁波は、車両2の前方に車両51が走行しているから、車両51の影響を大きく受け、反対側の車両52の影響も受ける。即ち、3台の送受信器A,C,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ab3,cb3,db3を検出する。電界強度の変化は、車両2の前方に車両51が走行しているから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ab0,cb0,db0と比較すると、送受信器A側の電界強度ab3が高くなり、送受信器C,D側の電界強度cb3,db3も若干高くなる。
一般に、送受信器Bから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両51が走行状態にあるから、低い周波数として検出される。即ち、送受信器Aの受信信号は、反射対象の車両51が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。しかし、送受信器C,Dの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52となり位相差は殆ど生じない。
したがって、送受信器Aの受信信号の位相差によって、前方の車両51までの距離を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Bの送信から送受信器Cの送信に切り替わる。
送受信器Cから送信されている電磁波は、車両2の後方に車両52が走行しているから、車両52の影響を大きく受け、反対側の前方車両51の影響も多少受ける。即ち、3台の送受信器A,B,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ac3,bc3,dc3を検出する。電界強度の変化は、車両2の後方に車両52が走行しているから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ac0,bc0,dc0と比較すると、電界強度dc3が高くなり、電界強度aa3,ba3は若干高くなるにすぎない。
一般に、送受信器Cから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両52が同一方向に走行しているので、低い周波数として検出される。即ち、送受信器A及び送受信器Bの受信信号は、反射対象の車両51が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。また、送受信器Dの受信信号は、反射対象の車両52が存在し、同一方向に走行しているので変化の殆どない距離に応じた僅かな位相差となる。
したがって、送受信器Dの受信信号の位相差によって、後方の車両52までの距離を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Cの送信から送受信器Dの送信に切り替わる。
送受信器Dから送信されている電磁波は、車両2の後方に車両52が走行しているから、車両52の影響を大きく受け、反対側の前方車両51の影響も多少受ける。即ち、3台の送受信器A,B,Cは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ad3,bd3,cd3を検出する。電界強度の変化は、車両2の後方に車両52が走行しているから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ad0,bd0,cd0と比較すると、電界強度cd3が高くなり、電界強度ad3,bd3は若干高くなる。
一般に、送受信器Dから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両52が同一方向の走行状態にあるから、低い周波数として検出される。即ち、送受信器Cの受信信号は、反射対象の車両52が存在し、同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。しかし、送受信器A,Bの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52となり位相差は殆ど生じない。
したがって、送受信器Cの受信信号の位相差によって、後方の車両52までの距離を算出することができる。
図12は本発明の実施の形態2に対応する前方車両及び後方車両並びに対向車線に車両が存在する走行の場合の説明図、図13は図12の実施の形態2に対応する場合の送受信信号の説明図である。
図12において、車両2は比較的広い道路5のセンターライン6の左側を前方車両51、後方車両52が存在し、かつ、対向車線の車両61,62が存在する走行状態にある。
ここで、送受信器Aから出力される電磁波は、車両2の前方に車両51が走行し、対向車線に車両62が存在し、かつ、後方車両52の影響及び対向車線の車両61の影響も受ける。即ち、3台の送受信器B,C,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ba4,ca4,da4を検出する。電界強度の変化は、車両2の前方に車両51が走行しており、その影響が大きく、車両62の影響が少ないから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ba0,ca0,da0と比較すると、電界強度ba4が高くなり、電界強度ca4,da4も若干高くなる。
一般に、送受信器Aから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両51が同一方向の走行状態にあるから、低い周波数として検出される。また、対向車線の車両62が走行状態にあるから、接近する情報として高い周波数情報も検出される。
即ち、送受信器Bの受信信号は、反射対象の車両51が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。対向車線の車両62が走行状態にあるから、接近する情報として高い周波数情報も僅かに重畳され、距離に応じた位相差は大から小へと変化するが、無視できる程度である。送受信器C,Dの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52及び通過した対向車線の車両61となり、殆ど生じない。
したがって、送受信器Bの受信信号の位相差によって、前方の車両51までの距離を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Aの送信から送受信器Bの送信に切り替わる。
送受信器Bから送信されている電磁波は、車両2の前方に車両51が走行しているから、車両51の影響を大きく受け、また、対向車線の車両62の影響も受ける。即ち、3台の送受信器A,C,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ab4,cb4,db4を検出する。電界強度の変化は、車両2の前方に車両51が走行し、対向車線の車両62が走行してくるから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ab0,cb0,db0と比較すると、対向車線の車両62の影響を受け電界強度ab4が急激に高くなり、電界強度cb4は若干高くなる程度であり、電界強度db4も急激に高くなる。
一般に、送受信器Bから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、車両51が走行状態にあり、対向車線の車両62の接近により、低い周波数に急激に高くなる周波数が重畳され、それが検出される。即ち、送受信器Aの受信信号は、反射対象の車両51が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差に対して、対向車線の車両62の接近により急激に高くなる周波数が重畳され、距離に応じた位相差は大から小に変化する。送受信器Cの受信信号の位相差は、反射対象が主に後方の車両52となり、殆ど生じない。送受信器Dの受信信号の位相差は、反射対象が車両51及び対向車線の車両62となり、対向車線の車両62の走行により、急激に高くなる周波数が重畳され、位相差は大から小へと変化する。
したがって、送受信器Aの受信信号の位相差によって、車両51までの距離を算出することができる。送受信器Aの受信信号の位相差及び送受信器Dの受信信号の位相差によって、車両62までの距離変化を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Bの送信から送受信器Cの送信に切り替わる。
送受信器Cから送信されている電磁波は、車両2の後方に車両52が走行しているから、車両52の影響を大きく受け、反対側の前方車両51の影響は少ない。また、対向車線の車両61,62の影響も少なくなる。即ち、3台の送受信器A,B,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ac4,bc4,dc4を検出する。電界強度の変化は、車両2の後方に車両52が走行しているから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ac0,bc0,dc0と比較すると、電界強度dc4が高くなり、電界強度aa4,ba4は若干高くなるにすぎない。
一般に、送受信器Cから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両52が走行状態にあり、対向車線の車両61の走行により、急激に減衰する周波数が重畳され、少し低い周波数として検出される。即ち、送受信器Dの受信信号は、反射対象の車両52は同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。このとき、対向車線の車両61は、逆方向に走行しているので位相差が小から大に変化する信号も重畳する。送受信器A,Bの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52となり殆ど生じない。
したがって、送受信器Dの受信信号の位相差によって、後方の車両52、対向車線の車両61までの距離の変化を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Cの送信から送受信器Dの送信に切り替わる。
送受信器Dから送信されている電磁波は、車両2の後方に車両52が走行しているから、車両52の影響を大きく受け、反対側の前方車両51の影響は殆ど受けない。しかし、対向車線側の車両61の影響を受ける。即ち、3台の送受信器A,B,Cは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ad4,bd4,cd4を検出する。電界強度の変化は、車両2の後方に車両52が走行しているから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ad0,bd0,cd0と比較すると、電界強度cd4,bd4が高くなり、電界強度ad4は若干高くなるにすぎない。
一般に、送受信器Dから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両52が走行状態にあるから、低い周波数として検出され、かつ、車両61が走行状態にあり、離れていくから、低い周波数が重畳された周波数として検出される。即ち、送受信器Cの受信信号は、反射対象の車両52が存在し、同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。また、車両61が離れていくから、低い周波数が重畳された周波数として検出されるが無視できる程度である。送受信器Aの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52となり殆ど生じない。しかし、送受信器Bの受信信号の位相差は、反射対象が対向車線の車両61及び車両62となり、対向車線の車両62の接近により急激に高くなる周波数が重畳されるが、車両61が離れていくからその影響力が小さくなり、位相差は大から小に変化する。
したがって、送受信器Cの受信信号の位相差によって、後方の車両52までの距離を算出することができる。また、送受信器Bの受信信号の位相差によって、対向車線の前方の車両62までの距離の変化を算出することができる。
図14は本発明の実施の形態2に対応する対向車ありの片側2斜線の事例の説明図、図15は図14の実施の形態2に対応する事例の送受信信号の説明図である。
図14において、車両2は比較的広い2車線ある道路5のセンターライン6の左側の追越し車線を前方車両51、後方車両52が存在し、かつ、走行車線には車両53,54が走行し、対向車線には、車両61,62が存在する走行状態にある。
ここで、送受信器Aから出力される電磁波は、車両2の前方に車両51及び車両53が走行しているから、車両51及び車両53の影響を大きく受け、かつ、対向車線の対向する車両62の影響、後方車両52、後方車両54の影響を若干受ける。即ち、3台の送受信器B,C,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ba5,ca5,da5を検出する。電界強度の変化は、車両2の前方に車両51及び車両53が走行しているから、車両51及び車両53の影響を大きく受け、かつ、対向車線の対向する車両62の影響も受け、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ba0,ca0,da0と比較すると、電界強度ba5,ca5が非常に高くなり、電界強度da5は少し高くなる程度である。
一般に、送受信器Aから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両51が走行状態にあるから、それが低い周波数として検出される。また、車両53を追越すことから、それに対しては、高い周波数として検出され、対向車62が走行状態にあるから、接近する情報として高い周波数情報も検出される。
即ち、送受信器Bの受信信号は、反射対象の車両51が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。また、車両53を追越し、対向車線の車両62が走行状態にあるが、それらの影響を僅かに受けるが、主に、車両51に依存する位相差となる。
送受信器Cの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52及び走行車線の車両54の影響を受け、また、送受信器Dの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52及び通過した対向車線の車両61となって何れも車両52が中心となった変化の少ない距離に応じた僅かな位相差が生じる。
したがって、送受信器Bの受信信号の位相差によって、前方の車両51までの距離及び対向車線の車両62の距離変化、送受信器Cの受信信号の位相差によって車両52までの距離、送受信器Dの受信信号の位相差によって車両52までの距離及び対向車線の車両61までの距離の変化を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Aの送信から送受信器Bの送信に切り替わる。
送受信器Bから出力される電磁波は、車両2の前方に車両51及び車両53が走行しているから、車両51の影響を大きく受け、かつ、対向車線の車両62の影響も受けるものの、後方車両52の影響は殆ど受けない。即ち、3台の送受信器B,C,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度bb5,cb5,db5を検出する。電界強度の変化は、車両2の前方に車両51及び車両53を追越し、対向車線の対向する車両62の影響も受け、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ab0,cb0,db0と比較すると、対向車線の車両62の影響を受け、電界強度ab5が急激に高くなり、電界強度cb5は高くなり、対向車線の車両61の影響を受け、電界強度db5も急激に高くなる。
一般に、送受信器Bから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両51が走行状態にあるから、低い周波数として検出される。また、対向車62が走行状態にあるから、接近する情報として高い周波数情報も検出される。そして、車両53に接近していることから、それに対しては、低い周波数として検出される。
即ち、送受信器Aの受信信号は、反射対象の車両51が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。また、車両53の影響を受けるものの、対向の車両62の影響が大きくなるから、位相差は大から小に急激に変化する。
送受信器Cの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52及び走行車線の車両54の影響を受け、所定の位相差が生じている。また、送受信器Dの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52及び通過した対向車線の車両61の影響となり、そこに、対向の車両62の影響が大きく加わるから、位相差は大から小に変化する。
したがって、送受信器Aの受信信号の位相差によって車両51までの距離及び車両53までの距離及び対向車線の車両62の距離の変化を算出することができる。また、送受信器Cの受信信号の位相差によって車両54及び車両52までの距離、送受信器Dの受信信号の位相差によって車両52までの距離及び対向車線の車両61の距離の変化を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Bの送信から送受信器Cの送信に切り替わる。
送受信器Cから出力される電磁波は、車両2の後方に車両52及び車両54が走行しているから、車両52の影響を大きく受け、かつ、対向車線の対向する車両61の影響も受けるものの、前方車両51の影響は殆ど受けない。即ち、3台の送受信器A,B,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ac5,bc5,dc5を検出する。電界強度の変化は、車両2の後方に車両52があり、車両54を追越し、対向車線の車両61の影響も受け、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ac0,bc0,dc0と比較すると、電界強度ac5,dc5は高くなり、電界強度bc5は少し高くなる程度である。
一般に、送受信器Cから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、反射対象の車両52、車両54が走行状態にあるから、低い周波数として検出される。また、対向車線の車両61が走行状態にあるから、離れていく情報として低い周波数情報も検出される。そして、車両54を追越すことから、それに対しても低い周波数の変化として検出される。
即ち、送受信器A及び送受信器Bの受信信号は、反射対象の車両51が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となり、また、車両53を追越す影響と対向車線の車両62の影響も若干受けるが、位相差は車両51に左右される。送受信器Dの受信信号は、反射対象の車両52が存在するが同一方向に走行しているので変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。また、車両54を追越す影響、対向車線の車両61の影響は互いに影響力が少なく、送受信器Dの受信信号の位相差は、反射対象が後方の車両52が主となる位相差が生じる。
したがって、送受信器A及び送受信器Bの受信信号の位相差によって車両51までの距離、送受信器Dの受信信号の位相差によって車両52までの距離を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Cの送信から送受信器Dの送信に切り替わる。
送受信器Dから送信されている電磁波は、車両2の後方に車両52が走行しているから、車両52の影響を大きく受け、反対側の前方車両51の影響は殆ど受けない。しかし、走行車線の車両54及び対向車線側の車両61の影響を受ける。3台の送受信器A,B,Cは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ad5,bd5,cd5を検出する。電界強度の変化は、車両2の後方に車両52が走行しているから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ad0,bd0,cd0と比較すると、電界強度ad5が少し高くなり、電界強度bd5,cd5がそれよりも高くなる。
一般に、送受信器Dから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、車両52が走行状態にあるから、低い周波数変化として検出される。即ち、送受信器Cの受信信号は、反射対象の車両52が存在し、同一方向に走行しているので変化の少ない位相差となる。また、送受信器Aの受信信号の位相差は、前方の車両51となり、変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。しかし、送受信器Bの受信信号の位相差は、反射対象が対向車線の車両62となり、車両62が接近する走行状態にあるから、接近する情報として高い周波数情報も検出され、位相差は大から小に変化する。そして、送受信器Cの受信信号の位相差は、後方の車両52となり、変化の少ない距離に応じた僅かな位相差となる。
したがって、送受信器Aの受信信号の位相差によって、車両51までの距離を算出することができ、また、送受信器Cの受信信号の位相差によって、後方の車両52までの距離を算出することができる。送受信器Bの受信信号の位相差によって対向車線の車両62の距離の変化を算出することができる。
図16は本発明の実施の形態2に対応する対向車ありの右折事例の説明図、図17は図16の実施の形態2に対応する事例の送受信信号の説明図である。
図16において、車両2は比較的広い道路5のセンターライン6の左側を走行中である。このとき、対向車線には、車両61,62が走行状態にある。
ここで、送受信器Aから出力される電磁波は、車両2の前方の対向車線の車両61,62の影響を受ける。即ち、3台の送受信器B,C,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ba6,ca6,da6を検出する。送受信器Aから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、対向車62が走行状態にあるから、接近する情報として高い周波数情報が検出される。
ここで、車両2が右折しようとすると、電界強度の変化は、車両2の前方に車両62が走行しており、その影響及び車両61の影響を受け、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ba0,ca0,da0と比較すると、対向車線側の電界強度ba6,da6が急激に高くなり、電界強度ca6は車両61及び車両62の影響で若干高くなるにすぎない。
送受信器Aから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、車両2の対向車線の車両62の接近により、急激に高くなる周波数として検出される。即ち、送受信器Bの受信信号の位相差は、対向車線の近づいてくる車両62の影響により、大から小に急激に変化する。送受信器Cの受信信号の位相差は、対向車線の近づいてくる車両62と通過した対向車線の車両61とが相殺され、位相差は殆ど生じない。送受信器Dの受信信号の位相差は、対向車線の車両62の影響が大きくなり、大から小に急激に変化する。
したがって、送受信器Bと送受信器Cの受信信号の位相差によって、対向車線の近づいてくる車両62までの距離の変化を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Aの送信から送受信器Bの送信に切り替わる。
送受信器Bから送信されている電磁波は、車両2の前方に対向車線の車両62の影響を受ける。即ち、3台の送受信器A,C,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ab6,cb6,db6を検出する。電界強度の変化は、車両2の対向車線の車両62が走行しているから、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ab0,cb0,db0と比較すると、電界強度ab6,db6が急激に高くなり、電界強度cb6は若干高くなる。
送受信器Bから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、車両2の対向車線の車両62の接近により、急激に高くなる周波数が検出される。即ち、送受信器Aの受信信号は、対向車線の車両62の接近により急激に高くなる周波数が検出され、位相差は対向車線の車両62の影響が大きくなり、大から小に変化する。送受信器Cの受信信号の位相差は、対向車線の近づいてくる車両62と通過した対向車線の車両61とが相殺され、位相差は殆ど生じない。送受信器Dの受信信号の位相差は、対向車線の車両61の影響が大きくなり、小から大に急激に変化する。
したがって、送受信器Aの受信信号の位相差及び送受信器Dの受信信号の位相差によって、対向車の車両62までの距離を算出することができる。送受信器Dの受信信号の位相差によって、対向車の車両61までの距離の変化を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Bの送信から送受信器Cの送信に切り替わる。
送受信器Cから送信されている電磁波は、対向車線の車両61,62の影響も少ない。即ち、3台の送受信器A,B,Dは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ac6,bc6,dc6を検出する。送受信器Cから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、対向車線の近づいてくる車両62と通過した対向車線の車両61とが相殺され、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ac0,bc0,dc0と比較すると、電界強度dc4,aa4,ba4は変化が殆どない。
送受信器Cから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、車両2の対向車線の車両62の接近により、高い周波数が検出される。即ち、送受信器A及び送受信器Bの受信信号は、対向車線の近づいてくる車両62と通過した対向車線の車両61とが相殺され、位相差は殆ど生じない。送受信器Dの受信信号の位相差は、反射対象が対向車線の車両61の走行により、急激に減衰し、位相差は、通過した対向車線の車両62により、小から大に変化する。
したがって、送受信器Dの受信信号の位相差によって、対向車の車両61までの距離を算出することができる。
次に、電磁波の送信が、送受信器Cの送信から送受信器Dの送信に切り替わる。
送受信器Dから送信されている電磁波は、対向車線側の車両61の影響を受ける。
即ち、3台の送受信器A,B,Cは、受信状態にあるから、それぞれ電界強度ad6,bd6,cd6を検出する。送受信器Dから送信されている電磁波のドップラ周波数による周波数の変移は、対向車線の車両61の走行により、急激に減衰する。そして、電界強度の変化は、付近に検出対象が存在しない状態のときの電界強度ad0,bd0,cd0と比較すると、電界強度bd6が若干高くなり、電界強度ad6,cd6は変化しない。
また、送受信器Aの受信信号の位相差は、対向車線の近づいてくる車両62によって位相差が生じるが、その影響は非常に弱い。送受信器Bの受信信号は、対向車線の近づいてくる車両62と通過した対向車線の車両61とが相殺されるが、対向車線の近づいてくる車両62の影響力が大きく、位相差が大から小に変化する。送受信器Cの受信信号は、対向車線の車両61の影響を受け位相差が生じる。
したがって、送受信器Aの受信信号は弱いから、対向車線の近づいてくる車両62までの距離を算出できない。しかし、送受信器Bの受信信号の位相差によって、対向車線の近づいてくる車両62までの距離の変化を算出することができる。送受信器Cの受信信号の位相差によって、対向車線の遠のく車両61までの距離の変化を算出することができる。よって、対向車線の車両62の情報によって、右折を禁ずる警告を発生するように制御できる。
このように、上記実施の形態にかかる車両周辺監視装置は、車両1付近に検出対象が存在しない状態のとき、車両1の異なる箇所に搭載した複数台の送受信器A,B,C,Dまたは受信器A0,B0,C0,D0が、送受信器A,B,C,Dまたは送信器Eからの電磁波を受信する。そして、車両1付近に検出対象が存在しない状態のときの、複数台の送受信器A,B,C,Dまたは受信器A0,B0,C0,D0で受信した電磁波を信号処理回路6の記憶回路に記憶させておく。車両1付近に何かが存在すると、送受信器A,B,C,Dまたは送信器Eが出力した電磁波は、電磁波を透過できるものを除き吸収または反射すると、送受信器A,B,C,Dまたは送信器Eから出力した電界強度の分布状態が変化することになる。それを車両1に搭載した複数台の送受信器A,B,C,Dまたは受信器A0,B0,C0,D0で受信し、記憶回路の信号処理回路6に記憶しているパターンと比較して、他の車両1等の接近または障害物の接近等、車両1の周辺状態を検出することができる。このとき、電界強度の設定によって検知範囲を任意に設定することができる。また、電磁波を用いているから気象条件及び昼と夜との違い等の影響を受け難い。そして、金属等からなる車両1等の検出対象物は、複数の送受信器A,B,C,Dまたは受信器A0,B0,C0,D0が受信した電界強度のパターンによって、その変化を追うことによって、車両1速度または車両1位置を正確に把握することができる。
上記実施の形態にかかる車両周辺監視装置は、車両1の異なる箇所に搭載した複数台の受信器A0,B0,C0,D0を送受信器A,B,C,Dとすることにより、電磁波の発生源別のパターンが送受信器A,B,C,Dの数だけでき、より正確なデータ処理を行うことができる。勿論、本発明を実施する場合には、本実施の形態のように4個の受信器A0,B0,C0,D0を送受信器A,B,C,Dのみではなく、更に。6本、8本というように多くの受信器A0,B0,C0,D0または送受信器A,B,C,Dを配設すれば、正確な判断を行うことができる。
上記実施の形態にかかる車両周辺監視装置は、車両1付近に検出対象が存在しない状態のとき、車両1の前後方向に延びた中央線上から出力された信号は、左右同一になるべきであり、判断の校正が左右の信号からとることができるから得られたデータの校正が容易になり、正確性を上げることができる。即ち、車両1の前後方向に延びた中央線上に送信器または送受信器を配設し、そこから電磁波を出力すると左右対称性が維持されているか否かを判断基準にすることができ、より正確な判断を行うことができる。
上記実施の形態にかかる車両周辺監視装置は、複数台の受信器A0,B0,C0,D0または送受信器A,B,C,Dのアンテナを、等方向性放射アンテナとしたものでは、検出範囲を広くすることができる。しかし、本発明を実施する場合には、指向性の比較的シャープなアンテナを複数設置することにより、広い視野の検出として使用することもできる。
このように、上記実施の形態では、車両2の異なる箇所に搭載した複数台の送受信器A,B,C,Dと、車両2に搭載し、送受信器A,B,C,Dが受信する電磁波を出力する特定の送受信器A,B,C,Dとを具備し、特定の送受信器A,B,C,Dが出力した電磁波を車両2に搭載した電磁波を発生する送受信器を除く複数台の送受信器A,B,C,Dで受信し、その受信電界のパターンの乱れによって、車両2の周辺状態を検出するものである。
勿論、この実施の形態は、車両1の異なる箇所に搭載した複数台の受信器A0,B0,C0,D0と、車両1に搭載し、受信器A0,B0,C0,D0が受信する電磁波を出力する送信器Eとを具備し、送信器A0,B0,C0,D0が出力した電磁波を車両1に搭載した複数台の受信器A0,B0,C0,D0で受信し、その受信電界のパターンの乱れによって、車両1の周辺状態を検出する構成とすることもできる。
上記実施の形態2では、車両2の周辺状態の検出として、車両2に搭載した送受信器A,B,C,Dで受信した受信電界に加えて、ドップラ周波数及び位相のパターンを比較するものであり、最も信頼性を高めるものであるが、本発明を実施する場合には、受信電界強度のみとすることができる。また、受信電界強度に加えて、ドップラ周波数または位相のパターンとすることができる。いずれにせよ、検出する情報量が多いほど信頼性を期待することができる。