JP2006009801A - 一体形カバー付きバケット設計 - Google Patents

Abstract

【課題】 本発明は、蒸気タービンロータホイール上で使用するバケットを提供する。
【解決手段】 本バケット（４８）は、シャンク部（１９）と翼形部（５０）とを含み、翼形部（５０）は、隣接するバケット上の同様の先端カバー（６６）が使用中に係合するようになった先端カバー（５６）を備えた半径方向外側先端を有し、半径方向段部（５２）が、翼形部の前縁（５４）に沿って先端カバー（５６）及び該翼形部内に形成される。さらに、段部（５２）が、前縁から離れるように流れ方向に延びる第１の翼形部表面（５８）と前記第１の翼形部表面から離れるように半径方向に延びる第２の先端カバー表面（６０）とによって形成される。
【選択図】 図３

Description

本発明は、蒸気タービンに関し、より具体的には、一体形カバーを備えた最終段蒸気タービンバケットの設計に関する。

一体形カバーを備えた最終段蒸気タービンバケット又はブレードの先端領域は、湿り蒸気条件において、一般的に蒸気流とバケットとの間の超音速相対速度の状態で作動する。高速の湿り蒸気流のバケットに対する作用により、浸食が発生する可能性があり、先端領域における金属表面の腐食損傷の一因となるおそれがある。隣接するバケット間のカバーは、作動時に、加わる遠心力の解ネン（ｕｎｔｗｉｓｔｉｎｇ）作用によって生じるバケットの回転のため、互いに接触する。作動状態の間における一体形カバー付きバケットの接合又は接触は、バケット構造の剛性を高めかつ振動減衰作用を向上させる。これらの接触領域上に水分が存在することは、応力腐食割れの一因となるおそれがある。従って、最終段バケットの設計は、存在する環境条件において湿り蒸気に耐えるものでなければならない。さらに、空力損失を最小にするために、バケット先端領域における如何なる流れかく乱要素も回避されなければならない。

一部の最終段タービンバケットの先端バケット設計では、隣接するバケット先端カバー間にポケット領域（又は、単にポケット）が形成され、このポケット領域は、隣接する翼形部のバケットカバー並びに前縁及び後縁の隣接する表面によって生じた水分を捕捉（トラップ）する傾向がある。

本発明は、蒸気タービンバケットの浸食及び腐食を防止しかつ空力損失を低減し、従って蒸気タービンの信頼性及び効率を向上させた改良型バケット先端及びカバー形状を特定する。この設計変更は、タービンの性能及びバケットの信頼性に重要である他の特徴に影響を与えずに達成される。

例示的な実施形態では、最終段タービンバケットは、公知のカバーとほぼ類似した、該バケットの先端に配置された一体形カバーを有するが、以下にさらに説明するような僅かではあるが重要な形状変更を有する。既存のカバー設計で受ける問題を解決するために、翼形部前縁先端とカバー上部表面との間に上述のポケット領域を排除する半径方向段部を形成し、それにより水分トラップの可能性を減少させかつさらに空力抵抗又は空力損出を低減するという点で、このカバーに改良を加えた。１つの変形形態では、段部の半径方向表面部分は、隣接するバケットカバー表面に向かって湾曲している。別の変形形態では、段部の半径方向表面部分は、隣接するバケットカバー表面と実質的に滑らかに合体するように、さらに大幅に湾曲している。段部の正確な形状は、応力レベル、質量の追加及び空力設計への影響をバランスさせるように最適化することができる。

従って、１つの態様では、本発明は、蒸気タービンロータホイール上で使用するバケットを提供し、本バケットは、シャンク部と翼形部とを含み、翼形部は、隣接するバケット上の同様の先端カバーが使用中に係合するようになった先端カバーを備えた半径方向外側先端を有し、半径方向段部が、翼形部の前縁に沿って先端カバー及び該翼形部内に形成される。

別の態様では、本発明は、蒸気タービンロータホイール上で使用するバケットを提供し、本バケットは、シャンク部と翼形部とを含み、翼形部は、隣接するバケット上の同様の先端カバーが使用中に係合するようになった先端カバーを備えた半径方向外側先端を有し、半径方向段部が、翼形部の前縁に沿って先端カバー及び該翼形部内に形成され、段部は、前縁から離れるように流れ方向に延びる第１の翼形部表面と該第１の翼形部表面から離れるように半径方向に延びる第２の先端カバー表面とによって形成され、前縁は、半径方向段部を形成することによって半径方向に短縮され、さらに先端カバーは、翼形部と一体形になっている。

さらに別の態様では、本発明は、タービンバケットのそれぞれの翼形部の半径方向外側端部における隣接する先端カバー間の水分トラッピングポケットを排除する方法を提供し、本方法は、ａ）タービンバケットの前縁を半径方向に短縮して、前縁と先端カバーの上部表面との間に半径方向段部を形成する段階と、ｂ）半径方向段部の半径方向表面部分が隣接するバケットの後縁において隣接する半径方向表面とより滑らかに合体するように該半径方向表面部分を切削する段階とを含む。

次に、末尾に特定した図面と関連させて、本発明を詳細に説明することにする。

図１を参照すると、複数（図示した２つ）の同様のタービンブレード又はバケット１０、１２が、全体を符号１４で示したダブテール又は他の適切な継手によってタービンロータホイール（図示せず）に固定される。バケット１０、１２は、タービンホイールの周りで３６０°全体にわたって延び、それによりバケットの「列」を形成する。列内の各バケットはほぼ同一であるが、場合によっては、最後のバケット（すなわち、「ノッチブレード」）及びノッチブレードに隣接する２つのバケットは、組立を容易にするために何らかの幾何学的差異を有することができる。よく知られているように、ダブテール又は他の継手１４は、ロータホイールのリム上に形成した相補形ダブテール又は他の形状と嵌合及び摺動係合するように設計される。バケットダブテールの形式及びホイール上にバケットを装着する方法は、変更することができるが、何れにしても本発明にとって重要なものではない。

バケット１０、１２のブレード部分１６、１８は、それぞれダブテール部分１４からそれぞれの先端２０、２２まで上向きに延びる。先端２０、２２には、それぞれの一体形カバー２４、２６が形成され、これらのカバーは、詳細に説明したホイールの周りでほぼ３６０°にわたってバケットの列全体を互いに結合する。

図２を参照すると、一体形カバー２６は、流れ矢印３０で示した蒸気流の方向にブレードの前縁２８から後方まで配置される。しかしながら、カバーの半径方向外側（又は上部）表面３２は、ブレード部分１８の半径方向外側先端表面３４と同一面である（すなわち、半径方向外側先端表面３４と同一の平面内に位置している）ことに注目されたい。隣接するブレード１０のバケットカバー２４は、その一部が側面３８、４０及び後面４２によって形成された後縁部分３６を有する。作動時に、遠心力により、後面４２がカバー２６のほぼ平行な前面４４と係合し、バケット１２の前縁２８、バケットカバー２６の前面及びカバー２４の湾曲した後縁側面４０間にポケット領域又はポケット４６を生じた状態になる。このポケット又はポケット領域は、上述のように水分の集積を受けやすい。

図３は、図２に示すポケット４６を実質的に排除したバケットカバー再設計の第１の実施形態すなわち変形形態を示す。この実施形態では、バケット４８は、半径方向段部又はノッチ５２を備えたブレード部分５０を含み、この半径方向段部又はノッチ５２は、ブレード部分５０の前縁５４及びそれに関連する先端カバー５６内に切込まれて、前縁５４の一部分が半径方向に短縮されるようになる。具体的には、段部又はノッチは、前縁５４の半径方向に短縮した表面部分５８とカバー５６の側面に沿って切込まれた湾曲した半径方向表面６０とによって形成される。この切込み部はまた、先端カバー５６の前面６２の表面積を縮小し、従って上述したポケットを実質的に排除すると同時に、表面６０と隣接するカバー６６の側面６４との間に連続した流れのためのより滑らかなインタフェース（つなぎ合わせ）をもたらす。

図４には、半径方向段部の変形形態を示しており、便宜上、参照符号は、図３に使用したものと同一であるが、接頭数字「１」が付加してある。従って、バケット１４８は、その前縁１５４及び関連する先端カバー１５６内に半径方向段部又はノッチ１５２が切込まれた状態のブレード部分１５０を含む。この半径方向切込み部は、半径方向に短縮した表面部分１５８と湾曲した半径方向表面１６０とによって形成される。しかしながら、この場合は、段部の湾曲した半径方向表面部分１６０は、付加的なカバー材料を除去しまた湿り蒸気流に曝される先端カバー１５６の前面１６２のその部分を実質的に排除するようにさらに大幅に湾曲している。この場合、カバー１６６の湾曲した側面１６４とカバー１５６の半径方向表面部分１６０との間に比較的滑らかな移行がもたらされる。

ブレード部分５０又は１５０の前縁５４又は１５４を半径方向に短縮することにより、性能が大きな影響を受けることはなく、また水分トラッピングポケットを実質的に排除することにより、水分が集積するのを防止し、ブレード及び該ブレードのそれぞれのカバーに対して腐食損傷の可能性が生じるのを防止する。

本発明を現在最も実用的でかつ好ましい実施形態であると考えられるものについて説明してきたが、本発明は開示した実施形態に限定されるものではなく、また、特許請求の範囲に記載された符号は、理解容易のためであってなんら発明の技術的範囲を実施例に限縮するものではない。

公知の設計による一体形カバーを有する一対のバケットの部分斜視図。 図１から取った詳細拡大図。 本発明の第１の実施形態によるバケット先端カバー設計を示す部分斜視図。 本発明の第２の実施形態によるバケット先端カバー設計を示す部分斜視図。

符号の説明

１９ シャンク部
４８ バケット
５０ 翼形部
５２ 半径方向段部
５４ 前縁
５６ 先端カバー
５８ 段部の翼形部表面
６０ 段部の先端カバー表面
６２ 先端カバーの前面
６４ 隣接する先端カバーの側面
６６ 隣接する先端カバー

Claims (8)

1. 蒸気タービンロータホイール上で使用するバケット（４８）であって、
   シャンク部（１９）と翼形部（５０）とを含み、
   前記翼形部（５０）が、隣接するバケット上の同様の先端カバー（６６）が使用中に係合するようになった先端カバー（５６）を備えた半径方向外側先端を有し、
   半径方向段部（５２）が、前記翼形部の前縁（５４）に沿って前記先端カバー（５６）及び該翼形部内に形成されている、
   バケット。
2. 前記段部（５２）が、前記前縁から離れるように流れ方向に延びる第１の翼形部表面（５８）と前記第１の翼形部表面から離れるように半径方向に延びる第２の先端カバー表面（６０）とによって形成されている、
   請求項１記載のバケット。
3. 前記第２の先端カバー表面（１６０）が、前記前縁（１５４）から離れるように十分に湾曲して、前記バケットの前縁に最も近接した隣接する先端カバー（１６６）上の表面（１６４）に実質的に合体している、請求項２記載のバケット。
4. 前記前縁（５４）が、前記半径方向段部（５２）を形成することによって半径方向に短縮されている、請求項１記載のバケット。
5. 前記先端カバー（５６）が、前記翼形部と一体形になっている、請求項１記載のバケット。
6. 蒸気タービンロータホイール上で使用するバケット（４８）であって、
   シャンク部（１９）と翼形部（５０）とを含み、
   前記翼形部（５０）が、隣接するバケット上の同様の先端カバー（６６）が使用中に係合するようになった先端カバー（５６）を備えた半径方向外側先端を有し、
   半径方向段部（５２）が、前記翼形部の前縁（５４）に沿って前記先端カバー（５６）及び該翼形部内に形成され、
   前記段部（５２）が、前記前縁から離れるように流れ方向に延びる第１の翼形部表面（５８）と前記第１の翼形部表面から離れるように半径方向に延びる第２の先端カバー表面（６０）とによって形成され、
   前記前縁（５４）が、前記半径方向段部（５２）を形成することによって半径方向に短縮され、さらに、
   前記先端カバー（５６）が、前記翼形部と一体形になっている、
   バケット。
7. 前記第２の先端カバー表面（１６０）が、前記前縁（１５４）から離れるように十分に湾曲して、前記バケットの前縁に最も近接した隣接する先端カバー（１６６）上の表面（１６４）に実質的に合体している、請求項６記載のバケット。
8. タービンバケットのそれぞれの翼形部の半径方向外側端部における隣接する先端カバー（１５６、１６６）間の水分トラッピングポケットを排除する方法であって、
   ａ）前記タービンバケットの前縁（１５４）を半径方向に短縮して、該前縁と前記先端カバーの上部表面との間に半径方向段部を形成する段階と、
   ｂ）前記半径方向段部（１５２）の半径方向表面部分が、隣接するバケットの後縁において、隣接する半径方向表面（１６４）とより滑らかに合体するように該半径方向段部を成形する段階と、
   を含む方法。

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