JP2006008962A - エポキシ樹脂硬化剤及び硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】主剤のエポキシ樹脂との相溶性が良好で、低吸水性を有する硬化物を与えるエポキシ樹脂硬化剤及び硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】分子量が、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で250〜2000であるテルペンと無水マレイン酸からなる共重合体を含有するエポキシ樹脂硬化剤を使用した硬化性エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【選択図】なし
【解決手段】分子量が、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で250〜2000であるテルペンと無水マレイン酸からなる共重合体を含有するエポキシ樹脂硬化剤を使用した硬化性エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、主剤のエポキシ樹脂との相溶性の良好な低粘度のエポキシ樹脂硬化剤及びそのエポキシ樹脂硬化剤を使用した硬化性エポキシ樹脂組成物に関するものである。
硬化剤として酸無水物系硬化剤を用いたエポキシ樹脂配合物は、低粘度での硬化後の電気的特性、機械的特性、熱的特性及び化学的性質に優れているため、コンデンサーの封止、大型モーター、発電機等のコイルの含浸、トランスの封止、磁気ヘッドの封止等に幅広く使用されている。
また、エポキシ樹脂硬化剤としてテルペンと無水マレイン酸の共重合体を使用した特許は既に出願されている(特許文献1)。
特開2001−316452号公報
しかしながら、上記エポキシ樹脂組成物の特許において、使用される硬化剤は、主剤のエポキシ樹脂との相溶性が十分ではなく、また分子量が高いため、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなる傾向にあり、粘度を低く抑えるためには、別に溶剤を加える必要があった。
本発明は、主剤のエポキシ樹脂との相溶性が良好で、低吸水性を有する硬化物を与えるエポキシ樹脂硬化剤及び硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、分子量が、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で250〜2000であるテルペンと無水マレイン酸からなる共重合体を含有する、エポキシ樹脂硬化剤を使用することによりその目的を達成することが出来た。
また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と上記エポキシ樹脂硬化剤とを含有してなる組成物である。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤及び硬化性エポキシ樹脂組成物は、低分子量のテルペン−無水マレイン酸共重合体を用いているので、作業性が向上する。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、低分子量のテルペン−無水マレイン酸共重合体を用いているので、低吸水性の硬化物を与え、ダイオード・トランジスタ・集積回路等各種製品のの信頼性を向上させることが出来る。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、低分子量のテルペン−無水マレイン酸共重合体を用いているので、低吸水性の硬化物を与え、ダイオード・トランジスタ・集積回路等各種製品のの信頼性を向上させることが出来る。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤及び硬化性エポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤に用いられるテルペンと無水マレイン酸の共重合体は、テルペン化合物と無水マレイン酸とのラジカル重合により製造することもできる。
テルペン化合物と無水マレイン酸のラジカル重合については、Eur.Polym.J.,17,961〜968,1981やEur.Polym.J.,24(5),453〜456,1988、Macromol.Chem.Phys.,195,1848〜1850,1994に製造方法などが記載されている。また、特表平9−511012には無溶剤系での製造方法が開示されている。
ラジカル重合では、次のようにして製造される。すなわち、原料モノマーとしてテルペン化合物と無水マレイン酸、テトラヒドロフランやトルエン等の溶媒をフラスコに仕込み、BPO(過酸化ベンゾイル)等の有機過酸化物を反応開始剤として滴下し、数時間反応させて合成される。
本発明における低分子量のテルペン−無水マレイン酸共重合物は、重合開始剤としては市販されている種々の過酸化物系化合物を用いることが出来、その中でも特にBPOが好ましい。また、反応温度は重合開始剤の分解温度にも依存するが、50〜160℃程度、反応溶媒は、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノンなどの、高沸点ケトン系溶媒が好ましい。
本発明におけるテルペン−無水マレイン酸共重合物は、分子量が、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、250〜2000である。好ましくは300〜1200である。さらに、より好ましくは300〜500である。250未満では共重合体とは言えず、また2000を越えると、エポキシ樹脂へ相溶させた時の粘度が高くなるため、本発明の課題をクリアーしにくくなる。
ただし、本発明における共重合物は、上記ラジカル反応だけに特に限定されない。カチオン重合、アニオン重合、または環化付加反応、付加反応等を使用して製造してもかまわない。
テルペン化合物と無水マレイン酸のラジカル重合については、Eur.Polym.J.,17,961〜968,1981やEur.Polym.J.,24(5),453〜456,1988、Macromol.Chem.Phys.,195,1848〜1850,1994に製造方法などが記載されている。また、特表平9−511012には無溶剤系での製造方法が開示されている。
ラジカル重合では、次のようにして製造される。すなわち、原料モノマーとしてテルペン化合物と無水マレイン酸、テトラヒドロフランやトルエン等の溶媒をフラスコに仕込み、BPO(過酸化ベンゾイル)等の有機過酸化物を反応開始剤として滴下し、数時間反応させて合成される。
本発明における低分子量のテルペン−無水マレイン酸共重合物は、重合開始剤としては市販されている種々の過酸化物系化合物を用いることが出来、その中でも特にBPOが好ましい。また、反応温度は重合開始剤の分解温度にも依存するが、50〜160℃程度、反応溶媒は、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノンなどの、高沸点ケトン系溶媒が好ましい。
本発明におけるテルペン−無水マレイン酸共重合物は、分子量が、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、250〜2000である。好ましくは300〜1200である。さらに、より好ましくは300〜500である。250未満では共重合体とは言えず、また2000を越えると、エポキシ樹脂へ相溶させた時の粘度が高くなるため、本発明の課題をクリアーしにくくなる。
ただし、本発明における共重合物は、上記ラジカル反応だけに特に限定されない。カチオン重合、アニオン重合、または環化付加反応、付加反応等を使用して製造してもかまわない。
原料テルペン化合物としてはテルペン炭化水素、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド等が挙げられるが、この中でもリモネン、ジペンテン、テルピノーレン、ピネン、テルピネン、メンタジエン等の環状テルペン化合物が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂配合物は、基本的には1分子内にエポキシ基を1個以上有するエポキシ樹脂とテルペンと無水マレイン酸の共重合体を含む硬化剤とから成る。エポキシ樹脂と硬化剤の配合比は、当量比(硬化剤/エポキシ樹脂)で0.7〜1.2の範囲であり、好ましくは0.8〜1.0である。
テルペンと無水マレイン酸の共重合体の配合量は総硬化剤に対して80重量%が好ましく、より好ましくは90〜100重量%である。
一方、他の硬化剤と併用して使用してもよい。
一方、他の硬化剤と併用して使用してもよい。
本発明の実施において用いられるエポキシ樹脂は特に限定するものではなく、平均して1分子当たり1個以上のエポキシ基を有するものであればよく、その代表的なものとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ジシクロペンタジエンフェノール、フェノールアラルキル、ナフトールノボラックなどの種々のフェノール類や、かかる種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール系化合物とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂やジアミノフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミン等の種々アミン化合物とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、メチルヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸などの種々のカルボン酸類とエピハロヒドリンなどの脂環式エポキシポリマーとから製造されるエポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤、充填剤、カップリング剤、難燃剤、可塑剤、溶剤、反応性希釈剤、顔料、可撓性付与剤、酸化防止剤などの各種添加剤を適宜に配合することができる。
その硬化促進剤の代表的なものとしては、例えば2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、2、4、6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミンなどのアミン類、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機リン化合物などが挙げられる。これらは単独、あるいは2種以上混合して用いられ、その添加量はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であり好ましくは0.1〜5重量部である。
また充填剤としては、例えば溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、ジルコンなどが挙げられ、またその難燃剤としては、たとえば三酸化アンチモン、リン酸などが挙げられ、さらに使用するエポキシ樹脂の一部に臭素化エポキシ樹脂を用いることによっても難燃化することが出来る。
以下に本発明の合成例、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。
合成例1
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたフラスコにリモネン17gとテルピノーレン51g、無水マレイン酸98g、メチルイソブチルケトン250gを仕込み、窒素気流下で90℃まで昇温させる。内部温度が安定した後、開始剤としてBPO:8.3gを1時間かけて滴下する。滴下終了後、後反応を4時間行い、減圧度1mmHg、210℃の条件で蒸留を行い低沸点物を留去することで、樹脂(a)を釜残にて得た。得られた共重合体の収率は91.5%であり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)=468、酸価=465であった。なお、GPC法の重量平均分子量は、日本ウオーターズ製MODEL−510を使用して測定した。
合成例1
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたフラスコにリモネン17gとテルピノーレン51g、無水マレイン酸98g、メチルイソブチルケトン250gを仕込み、窒素気流下で90℃まで昇温させる。内部温度が安定した後、開始剤としてBPO:8.3gを1時間かけて滴下する。滴下終了後、後反応を4時間行い、減圧度1mmHg、210℃の条件で蒸留を行い低沸点物を留去することで、樹脂(a)を釜残にて得た。得られた共重合体の収率は91.5%であり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)=468、酸価=465であった。なお、GPC法の重量平均分子量は、日本ウオーターズ製MODEL−510を使用して測定した。
実施例1、実施例2、比較例1
上記合成例1で得られたエポキシ樹脂硬化剤である樹脂(a)とジャパンエポキシレジン(株)製YL6810(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、新日本理化(株)製Me−HHPA(酸無水物型硬化剤)、硬化促進剤として、ケイ・アイ化成(株)製トリフェニルホスフィンPP−360、充填剤として平均粒径25μmの溶融粒状シリカを使用して、表1に示す組成比(重量比)で計量し、ミキシングロールを用いて、90〜110℃の温度で5分間溶融混合して、得られた各溶融混合物をシート状で取り出し、粉砕して各成形材料を得た。これらの各成形材料を用い、低圧トランスファー成形機で、金型温度180℃、成形時間180秒で成形し、吸湿率測定用試験片、および模擬素子を封止した44ピンフラットプラスチックパッケージを得、180℃で8時間ポストキュアーさせた。ポストキュアー後、吸湿率、ハンダ耐熱温度を測定した。また、別に、硬化物外観、耐紫外線性も測定した。結果を表1に示す。
ただし、吸湿率、ハンダ耐熱温度、硬化物外観、耐紫外線性の測定条件は次の通りである。
1.吸湿率…121℃、100%RHにおける200時間後の吸湿率である。
2.ハンダ耐熱温度…44ピンフラットプラスチックパッケージ16個を85℃、85%RHにおいて168時間吸湿後、260℃ハンダ浴に10秒間浸漬し、クラックの発生した個数を求めた。
3.硬化物外観…試料となるエポキシ樹脂組成物を、ハードクロムメッキした鋼板2枚で5mmのスペーサーを挟み込んだ中に流し込み、所定条件で硬化し、得られた2cm×4cm×厚さ5mmの硬化物の外観を目視にて観察した。
4.耐紫外線性…上記硬化物外観の測定で使用した硬化物試料を、ウエザオメーターCi35(ATRAS社製)を用いキセノンバーナー(0.39w/m2(at340nm))を使用して、ブラックパネル温度63℃で300時間暴露したものの黄変度を目視で観察した。変色のないものを○で示し、黄変するものを×で示した。
上記合成例1で得られたエポキシ樹脂硬化剤である樹脂(a)とジャパンエポキシレジン(株)製YL6810(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、新日本理化(株)製Me−HHPA(酸無水物型硬化剤)、硬化促進剤として、ケイ・アイ化成(株)製トリフェニルホスフィンPP−360、充填剤として平均粒径25μmの溶融粒状シリカを使用して、表1に示す組成比(重量比)で計量し、ミキシングロールを用いて、90〜110℃の温度で5分間溶融混合して、得られた各溶融混合物をシート状で取り出し、粉砕して各成形材料を得た。これらの各成形材料を用い、低圧トランスファー成形機で、金型温度180℃、成形時間180秒で成形し、吸湿率測定用試験片、および模擬素子を封止した44ピンフラットプラスチックパッケージを得、180℃で8時間ポストキュアーさせた。ポストキュアー後、吸湿率、ハンダ耐熱温度を測定した。また、別に、硬化物外観、耐紫外線性も測定した。結果を表1に示す。
ただし、吸湿率、ハンダ耐熱温度、硬化物外観、耐紫外線性の測定条件は次の通りである。
1.吸湿率…121℃、100%RHにおける200時間後の吸湿率である。
2.ハンダ耐熱温度…44ピンフラットプラスチックパッケージ16個を85℃、85%RHにおいて168時間吸湿後、260℃ハンダ浴に10秒間浸漬し、クラックの発生した個数を求めた。
3.硬化物外観…試料となるエポキシ樹脂組成物を、ハードクロムメッキした鋼板2枚で5mmのスペーサーを挟み込んだ中に流し込み、所定条件で硬化し、得られた2cm×4cm×厚さ5mmの硬化物の外観を目視にて観察した。
4.耐紫外線性…上記硬化物外観の測定で使用した硬化物試料を、ウエザオメーターCi35(ATRAS社製)を用いキセノンバーナー(0.39w/m2(at340nm))を使用して、ブラックパネル温度63℃で300時間暴露したものの黄変度を目視で観察した。変色のないものを○で示し、黄変するものを×で示した。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤及び硬化性エポキシ樹脂組成物は、コンデンサーの封止、大型モーター、発電機等のコイルの含浸、トランスの封止、磁気ヘッドの封止などとして幅広く利用できる。
Claims (2)
- 分子量が、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で250〜2000であるテルペンと無水マレイン酸からなる共重合体を含有するエポキシ樹脂硬化剤。
- エポキシ樹脂と、請求項1記載のエポキシ樹脂硬化剤を含有してなる硬化性エポキシ樹脂組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004210840A JP2006008962A (ja) | 2004-06-21 | 2004-06-21 | エポキシ樹脂硬化剤及び硬化性エポキシ樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004210840A JP2006008962A (ja) | 2004-06-21 | 2004-06-21 | エポキシ樹脂硬化剤及び硬化性エポキシ樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006008962A true JP2006008962A (ja) | 2006-01-12 |
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JP2004210840A Pending JP2006008962A (ja) | 2004-06-21 | 2004-06-21 | エポキシ樹脂硬化剤及び硬化性エポキシ樹脂組成物 |
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