JP2006008001A - 車輌の制動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノックバックに起因する制動力発生の遅れや左右輪間の制動力差に起因する車輌の偏向を低減する。
【解決手段】運転者の制動操作量に基づき各車輪の基本目標制動圧Pbtiが演算され(S100)、車輌の横加速度Gyのピーク値Gymax及びGyminが演算され(S200)、ピーク値Gymax及びGyminに基づき車輌の旋回度合がピークを過ぎた状況が判定されると共に、車輌の旋回度合がピークを過ぎた状況であるときにはノックバックを抑制するための旋回外側前輪の目標増圧制動圧Pptfl又はPptfrが演算され(S300)、目標増圧制動圧Pcjが対応する基本目標制動圧Pbtjよりも高いときには、旋回外側前輪の制動圧Pjが目標増圧制動圧Pcj以上になるまで旋回外側前輪の制動圧が増圧され(S500〜650)、目標増圧制動圧Pptfl又はPptfrは一定値又は車輌の旋回度合に応じて可変設定される。
【選択図】図3

Description

本発明は、車輌の制動力制御装置に係り、更に詳細には車輪の被押圧部材に押圧部材を押圧することにより制動力を発生する制動力発生装置を各車輪に備えた車輌の制動力制御装置に係る。
自動車等の車輌の制動力制御装置の一つとして、本願出願人の出願にかかる下記の特許文献1に記載されている如く、各車輪に設けられたホイールシリンダと、検出された車輌の走行状態が不安定であるときには走行状態に応じてホイールシリンダに対する油圧発生源よりの高圧の油圧の給排を制御しホイールシリンダ内の油圧を増減する油圧制御装置とを有する制動力制御装置であって、車輪に作用する横力を検出若しくは推定し、油圧制御装置による増圧開始時に於ける横力が大きいほど油圧制御装置による増圧時間が長くなるよう増圧時間を変更し、挙動制御に必要十分な圧力に急増するよう構成された制動力制御装置が従来より知られている。
かかる制動力制御装置によれば、油圧制御装置による増圧開始時に於ける横力が大きいほど油圧制御装置による増圧時間が長くなるよう増圧時間が変更されるので、挙動制御の開始時にブレーキオイル量が不感帯領域を越えるようホイールシリンダ内の圧力を急増させ、これによりノックバックに起因して挙動制御の応答性が悪化することを確実に防止することができる。
特開平8−80824号公報
しかし上記先の提案にかかる制動力制御装置は挙動制御開始時に於ける制動力の増大性を改善することによりノックバックに起因する挙動制御の応答性を向上させるものであるため、通常の制動時に於けるノックバックに起因する制動力発生の遅れを解決することができない。
また上記先の提案にかかる制動力制御装置に於いては、制動装置の油圧回路は通常時には左右輪又は対角輪のホイールシリンダが相互に連通接続される油圧回路であることが前提となっており、左右輪又は対角輪のホイールシリンダが相互に連通接続されない一般的な油圧回路を有する車輌に上記先の提案にかかる制動力制御装置を適用することができないという問題がある。
また一般に、ノックバック、即ち車輌の旋回時等に於いて車輪に作用する横力に起因して車輪のブレーキディスクの如き被押圧部材とこれに対し押圧されるブレーキパッドの如き押圧部材との間隙が増大する現象は、旋回内輪側よりも旋回外輪側に於いて顕著に現れるため、通常の制動時に於けるノックバックに起因する制動力発生の遅れは左右輪間に於いて差が生じ、そのため制動開始時に左右輪間の制動力差に起因して車輌が偏向することがあるが、上記先の提案にかかる制動力制御装置によってはかかる問題も解消することができない。
本発明は、車輌の従来の制動力制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、車輪に高い横力が作用する状況に於いて少なくとも旋回外輪車輪の被押圧部材とこれに対し押圧される押圧部材との間隙が増大することを抑制することにより、通常の制動時に於けるノックバックに起因する制動力発生の遅れや左右輪間の制動力差に起因する車輌の偏向を低減することである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、制動圧を増圧して車輪の被押圧部材に押圧部材を押圧することにより制動力を発生する制動力発生装置を各車輪に備えた車輌の制動力制御装置に於いて、車輌横力の指標値を求め、車輌が旋回状態になり前記車輌横力の指標値がピーク値より低下する状況に於いて少なくとも旋回外輪の制動圧を所定の圧力に増圧することを特徴とする車輌の制動力制御装置(請求項1の構成)、又はホイールシリンダ内の作動液体の圧力を増圧して車輪の被押圧部材に押圧部材を押圧することにより制動力を発生する制動力発生装置を各車輪に備えた車輌の制動力制御装置に於いて、車輌横力の指標値を求め、車輌が旋回状態になり前記車輌横力の指標値が基準値以上であるときには少なくとも旋回外輪の前記ホイールシリンダより作動液体が流出することを抑制することを特徴とする車輌の制動力制御装置(請求項9の構成)によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記所定の圧力は前記車輌横力の指標値のピーク値が高いときには前記車輌横力の指標値のピーク値が低いときに比して高いよう構成される(請求項2の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記所定の圧力は車速が高いときには車速が低いときに比して高いよう構成される(請求項3の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の構成に於いて、前記制動圧の増圧以外の要求により旋回外輪に制動力又は駆動力が付与されるときには前記制動圧の増圧を中止するよう構成される(請求項4の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4の構成に於いて、前記制動圧の増圧以外の要求は乗員の制動要求、乗員の加速要求、車輪のスリップ抑制のための制駆動力制御要求、車輌の走行安定化制御のための制駆動力制御要求を含むよう構成される(請求項5の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至5の構成に於いて、車輌に所定の走行状態の変化が生じたときには前記制動圧の増圧を中止するよう構成される(請求項6の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項6の構成に於いて、前記所定の走行状態の変化は車輌減速度の所定値以上の増加若しくは乗員の運転操作に基づかない車輪速度の所定値以上の低下変化若しくは所定値以上のドリフトアウト状態であるよう構成される(請求項7の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至7の構成に於いて、前記制動圧の増圧中に前記制動圧の増圧が行われる車輪以外の車輪に駆動力を付与し、前記制動圧の増圧が車輌の走行状態に与える影響を低減するよう構成される(請求項8の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項9の構成に於いて、制動力の制御若しくは乗員の制動操作により旋回外輪の制動圧が増減されるときには前記作動液体の流出の抑制を中止するよう構成される(請求項10の構成)。
上記請求項1の構成によれば、車輌が旋回状態になり車輌横力の指標値がピーク値より低下する状況に於いて少なくとも旋回外輪の制動圧が所定の圧力に増圧されるので、少なくとも旋回外輪の被押圧部材とこれに対し押圧される押圧部材との間隙を確実に低減し、これにより通常の制動時に於けるノックバックに起因する制動力発生の遅れを確実に低減することができ、また制動開始時に於ける左右輪間の制動力差に起因する車輌の偏向を効果的に低減することができる。
一般に、ノックバックの程度は車輌横力が大きく、車輪に作用する横力が大きいほど顕著になる。上記請求項2の構成によれば、所定の圧力は車輌横力の指標値のピーク値が高いときには車輌横力の指標値のピーク値が低いときに比して高いので、ノックバックの程度に応じて所定の圧力を可変設定し、これにより旋回の程度に拘らず過不足なく制動圧を増圧し、ノックバックに起因する制動力発生の遅れや制動開始時に於ける左右輪間の制動力差に起因する車輌の偏向を適切に抑制することができると共に、制動圧が不必要に高く増圧されること及びこれに起因する車速の変化を確実に低減することができる。
また一般に、ノックバックの悪影響は車速が高いほど顕著になる。上記請求項3の構成によれば、所定の圧力は車速が高いときには車速が低いときに比して高いので、ノックバックの悪影響の程度に応じて所定の圧力を可変設定し、これにより車速に拘らず過不足なく制動圧の増圧を増圧し、ノックバックに起因する制動力発生の遅れや制動開始時に於ける左右輪間の制動力差に起因する車輌の偏向を適切に抑制することができると共に、制動圧が不必要に高く増圧されること及びこれに起因する車速の変化を確実に低減することができる。
上記請求項4の構成によれば、制動圧の増圧以外の要求により旋回外輪に制動力又は駆動力が付与されるときには制動圧の増圧が中止されるので、制動圧の増圧以外の要求により何れかの車輪に制動力又は駆動力を付与することが阻害されたりその要求が満たされなくなることを確実に防止することができる。
上記請求項5の構成によれば、制動圧の増圧以外の要求は乗員の制動要求、乗員の加速要求、車輪のスリップ抑制のための制駆動力制御要求、車輌の走行安定化制御のための制駆動力制御要求を含むので、乗員の制動要求、乗員の加速要求、車輪のスリップ抑制のための制駆動力制御要求、車輌の走行安定化制御のための制駆動力制御要求を確実に充足させることができる。
上記請求項6の構成によれば、車輌に所定の走行状態の変化が生じたときには制動圧の増圧が中止されるので、ノックバック抑制のための制動圧の増圧により車輌の走行状態が過大な悪影響を受けることを確実に防止することができる。
上記請求項7の構成によれば、所定の走行状態の変化は車輌減速度の所定値以上の増加若しくは乗員の運転操作に基づかない車輪速度の所定値以上の低下変化若しくは所定値以上のドリフトアウト状態であるので、ノックバック抑制のための制動圧の増圧により車輌減速度が過大に増大したり車輪速度が過大な悪影響を受けたり車輌が過大なドリフトアウト状態になることを確実に防止することができる。
上記請求項8の構成によれば、制動圧の増圧中に制動圧の増圧が行われる車輪以外の車輪に駆動力が付与され、制動圧の増圧が車輌の走行状態に与える影響が低減されるので、制動圧の増圧が車輌の走行状態に与える影響を確実に低減することができる。
上記請求項9の構成によれば、車輌が旋回状態になり車輌横力の指標値が基準値以上であるときには少なくとも旋回外輪のホイールシリンダより作動液体が流出することが抑制されるので、少なくとも旋回外輪の被押圧部材とこれに対し押圧される押圧部材との間隙が増大することを効果的に抑制し、これにより通常の制動時に於けるノックバックに起因する制動力発生の遅れを効果的に低減することができ、また制動開始時に左右輪間の制動力差に起因して車輌が偏向することを効果的に低減することができる。
上記請求項10の構成によれば、制動力の制御若しくは乗員の制動操作により旋回外輪の制動圧が増減されるときには作動液体の流出の抑制が中止されるので、制動力の制御若しくは乗員の制動操作により制動圧を増減することが阻害されることを確実に防止することができる。
[課題解決手段の好ましい態様]
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至7の構成に於いて、旋回外側前輪の制動圧を所定の圧力に増圧するよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は請求項4乃至7の構成に於いて、所定の圧力は一定の値であるよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至10の構成に於いて、車輌横力の指標値は車輌の横加速度であるよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至7の構成に於いて、車輌横力の指標値の大きさが基準値以下であるときには制動圧の増圧を行わないよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、車輌の旋回時に於ける車速のピーク値を求め、車速のピーク値が高いときには車速のピーク値が低いときに比して所定の圧力を高くするよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項8の構成に於いて、制動圧の増圧量に基づいて駆動力の増大量を求めるよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項8の構成に於いて、車輌は後輪駆動車又は四輪駆動車であり、旋回外側前輪の制動圧を所定の圧力に増圧し、左右後輪に駆動力を付与するよう構成される(好ましい態様7)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項8の構成に於いて、車輌は各車輪に独立の駆動装置を有し、旋回外側前輪の制動圧を所定の圧力に増圧し、旋回外側後輪に駆動力を付与するよう構成される(好ましい態様8)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は後輪駆動車に適用された本発明による車輌の制動力制御装置の実施例1を示す概略構成図である。
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ従動輪である車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ図には示されていないエンジンにより駆動系を介して駆動される車輌の左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式のパワーステアリング装置16によりタイロッド18L 及び18R を介して操舵される。
各車輪の制動力は制動装置20の油圧回路22により制動力発生装置のホイールシリンダ24FR、24FL、24RR、24RLの制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。図1には示されていないが、制動力発生装置は車輪の被押圧部材としてのブレーキディスクと、その両側に配設された押圧部材としてのブレーキパッドとを含み、ホイールシリンダ24FR、24FL、24RR、24RLの制動圧が増圧されることによりブレーキディスクに対しブレーキパッドが押圧され、これにより制動圧に応じて制動力を発生する。
また後述の如く油圧回路22はオイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル26の踏み込み操作に応じて後に詳細に説明する如く電子制御装置30により制御される。尚本発明の制動力制御装置は制動力発生装置が対向キャリパ型の制動力発生装置である場合にその効果が大きく、図示の実施例に於いては少なくとも左右前輪の制動力発生装置が対向キャリパ型の制動力発生装置であり、後輪の制動力発生装置ば例えばドラム式の制動力発生装置であってもよい。
図2に詳細に示されている如く、制動装置20は運転者によるブレーキペダル26の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ28を有している。ブレーキペダル26とマスタシリンダ28との間にはドライストロークシミュレータ116が設けられている。
マスタシリンダ28は第一のマスタシリンダ室28Aと第二のマスタシリンダ室28Bとを有し、これらのマスタシリンダ室にはそれぞれ左前輪用のブレーキ油圧供給導管118及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管120の一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管118及び120の他端にはそれぞれ左前輪及び右前輪の制動力を制御するホイールシリンダ122FL及び122FRが接続されている。
ブレーキ油圧供給導管118及び120の途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁(マスタカット弁)124L及び124Rが設けられ、電磁開閉弁124L及び124Rはそれぞれ第一のマスタシリンダ室28A及び第二のマスタシリンダ室28Bと対応するホイールシリンダ24FL及び24FRとの連通を制御する遮断弁として機能する。またマスタシリンダ28と電磁開閉弁124FLとの間のブレーキ油圧供給導管118には常閉型の電磁開閉弁126を介してウェットストロークシミュレータ128が接続されている。
マスタシリンダ28にはリザーバ130が接続されており、リザーバ130には油圧供給導管132の一端が接続されている。油圧供給導管132の途中には電動機134により駆動されるオイルポンプ136が設けられており、オイルポンプ136の吐出側の油圧供給導管132には高圧の油圧を蓄圧するアキュムレータ138が接続されている。リザーバ130とオイルポンプ136との間の油圧供給導管132には油圧排出導管140の一端が接続されている。
尚図2には示されていないが、オイルポンプ136の吸入側の油圧供給導管132と吐出側の油圧供給導管132とを連通接続する導管が設けられ、該導管の途中にはアキュムレータ138内の圧力が基準値を越えた場合に開弁し吐出側の油圧供給導管132より吸入側の油圧供給導管132へオイルを戻すリリーフ弁が設けられている。
オイルポンプ136の吐出側の油圧供給導管132は、油圧制御導管142により電磁開閉弁124Lとホイールシリンダ24FLとの間のブレーキ油圧供給導管118に接続され、油圧制御導管144により電磁開閉弁124Rとホイールシリンダ24Rとの間のブレーキ油圧供給導管120に接続され、油圧制御導管146により左後輪用のホイールシリンダ24RLに接続され、油圧制御導管148により右後輪用のホイールシリンダ24RRに接続されている。
油圧制御導管142、144、146、148の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁150FL、150FR、150RL、150RRが設けられている。リニア弁150FL、150FR、150RL、150RRに対しホイールシリンダ24FL、24FR、24RL、24RRの側の油圧制御導管142、144、146、148はそれぞれ油圧制御導管152、154、156、158により油圧排出導管140に接続されており、油圧制御導管152、154、156、158の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁160FL、160FR、160RL、160RRが設けられている。
リニア弁150FL、150FR、150RL、150RRはそれぞれホイールシリンダ24FL、24FR、24RL、24RRに対する増圧弁(保持弁)として機能し、リニア弁160FL、160FR、160RL、160RRはそれぞれホイールシリンダ24FL、24FR、24RL、24RRに対する減圧弁として機能し、従ってこれらのリニア弁は互いに共働してアキュムレータ138内より各ホイールシリンダに対する高圧のオイルの給排を制御する増減圧制御弁を構成している。
かくして電磁開閉弁126、リニア弁150FL、150FR、150RL、150RR、リニア弁160FL、160FR、160RL、160RR等は油圧回路22を構成している。尚各電磁開閉弁、各リニア弁及び電動機134に駆動電流が供給されない非制御時には電磁開閉弁124L及び124Rは開弁状態に維持され、電磁開閉弁126、リニア弁150FL、150FR、150RL、150RR、リニア弁160FL、160FR、160RL、160RRは閉弁状態に維持される(非制御モード)。
図2に示されている如く、第一のマスタシリンダ室28Aと電磁開閉弁124Lとの間のブレーキ油圧制御導管118には該制御導管内の圧力を第一のマスタシリンダ圧力Pm1として検出する第一の圧力センサ66が設けられている。同様に第二のマスタシリンダ室28Bと電磁開閉弁124Rとの間のブレーキ油圧制御導管120には該制御導管内の圧力を第二のマスタシリンダ圧力Pm2として検出する第二の圧力センサ68が設けられている。ブレーキペダル26には運転者によるブレーキペダルの踏み込みストロークStを検出するストロークセンサ70が設けられ、オイルポンプ134の吐出側の油圧供給導管132には該導管内の圧力をアキュムレータ圧力Paとして検出する圧力センサ72が設けられている。
それぞれ電磁開閉弁124L及び124Rとホイールシリンダ24FL及び24FRとの間のブレーキ油圧供給導管118及び120には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ24FL及び24FR内の圧力(左右前輪の制動圧)Pbfl、Pbfrとして検出する圧力センサ74FL及び74FRが設けられている。またそれぞれ電磁開閉弁150RL及び150RRとホイールシリンダ24RL及び24RRとの間の油圧制御導管146及び148には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ24RL及び24RR内の圧力(左右後輪の制動圧)Pbrl、Pbrrとして検出する圧力センサ74RL及び74RRが設けられている。
電磁開閉弁124L及び124R、電磁開閉弁126、電動機134、リニア弁150FL、150FR、150RL、150RR、リニア弁160FL、160FR、160RL、160RRは、後に詳細に説明する如く電子制御装置30により制御される。尚図1には詳細に示されていないが電子制御装置30はマイクロコンピュータと駆動回路とよりなり、マイクロコンピュータは例えば中央処理ユニット(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
電子制御装置30には、圧力センサ66及び68よりそれぞれ第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号、ストロークセンサ70よりブレーキペダル12の踏み込みストロークStを示す信号、圧力センサ72よりアキュムレータ圧力Paを示す信号、圧力センサ74FL〜74RRよりそれぞれホイールシリンダ24FL〜24RR内の圧力Pbi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号を示す信号が入力される。
また電子制御装置30には、車輪速度センサ76i(i=fl、fr、rl、rr)よりそれぞれ左右前輪及び左右後輪の車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号が入力され、前後加速度センサ78及び横加速度センサ80よりそれぞれ車輌の前後加速度Gx及び車輌の横加速度Gyを示す信号が入力され、ヨーレートセンサ82より車輌のヨーレートγを示す信号が入力され、操舵角センサ84より操舵角θを示す信号が入力される。
電子制御装置30は、後述の如く図2乃至図6に示されたフローチャートによる制御ルーチンを記憶しており、例えば上述の特許文献2の特開2002−187537号公報に記載されている如く、圧力センサ66及び68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより車輌の目標減速度Gptを演算し、ストロークセンサ70より検出された踏み込みストロークStに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより車輌の目標減速度Gstを演算する。
そして電子制御装置30は、目標減速度Gptに基づき図9に示されたグラフに対応するマップより目標減速度Gstに対する重みα(0≦α≦1)を演算し、目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として最終目標減速度(運転者の要求減速度)Gtを演算し、最終目標減速度Gtに基づき各輪の基本目標制動圧Pbti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、基本目標制動圧Pbtiと実際の制動圧Pbiとの偏差に基づきリニア弁150FL〜150RR又は160FL〜160RRに対する目標駆動電流Iti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、目標駆動電流Itiに基づき各リニア弁に駆動電流を通電することにより各車輪の制動圧Pbiが目標制動圧Pbtiになるよう制御することによって各車輪の制動力を制御する。
この場合、電子制御装置30は、制動制御モードが増圧モードであるときにはリニア弁150FL、150FR、150RL、150RRの開弁量を目標ホイールシリンダ圧力Ptiに応じて制御し、制動制御モードが減圧モードであるときにはリニア弁160FL、160FR、160RL、160RRの開弁量を目標ホイールシリンダ圧力Ptiに応じて制御し、制動制御モードが保持モードであるときにはリニア弁150FL〜150RR及び160FL〜160RRを閉弁状態に維持する。
また電子制御装置30は通常の制動時には各車輪の制動圧Piが基本目標制動圧Ptiになるよう制御するが、後述のアンチスキッド制御(ABS制御)又はトラクション制御(TRC制御)又は制動力の制御による挙動制御の目標制動圧Ptiが演算されたときには、当該車輪の制動圧を各制御の目標制動圧Ptiになるよう制御する。
また電子制御装置30は各車輪の車輪速度Vwiに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車体速度Vb及び各車輪の制動スリップ量SBi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、制動スリップ量SBiがアンチスキッド制御開始の基準値よりも大きくなり、アンチスキッド制御の開始条件が成立すると、アンチスキッド制御の終了条件が成立するまで、当該車輪の制動スリップ量を所定の範囲内にするための当該車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、制動圧Piが目標制動圧Ptiになるよう制御することによってアンチスキッド制御を行う。
また電子制御装置30は各車輪の車輪速度Vwiに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車体速度Vb及び各車輪の加速スリップ量SAi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、加速スリップ量SAiがトラクション制御開始の基準値よりも大きくなり、トラクション制御の開始条件が成立すると、トラクション制御の終了条件が成立するまで、当該車輪の加速スリップ量を所定の範囲内にするための当該車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、制動圧Piが目標制動圧Ptiになるよう制御することによってトラクション制御を行う。
また電子制御装置30は車輌の走行に伴い変化する車輌の横加速度Gyの如き車輌状態量に基づき車輌のスピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSを演算し、スピン状態量SS及びドリフトアウト状態量DSに基づき車輌の挙動を安定化させるための各車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、各車輪の制動圧Piが目標制動圧Ptiになるよう制御することによって車輌の挙動を安定化させる制動力の制御による挙動制御を行う。
尚、上述のアンチスキッド制御、トラクション制御、制動力の制御による挙動制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、これらの制御は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよく、特にアンチスキッド制御及びトラクション制御に於いてはスリップ率が所定の範囲内になるよう制動圧が増減されてもよい。
更に電子制御装置30は、図3に示されたフローチャートに従い、車輌の横加速度Gyのピーク値Gymax及びGyminを演算し、ピーク値Gymax及びGyminに基づき車輌の旋回度合がピークを過ぎた状況を判定し、旋回外側前輪の目標増圧制動圧Pcj(j=fl又はfr)を演算し、目標増圧制動圧Pcjが対応する基本目標制動圧Pbtjよりも高いときには、旋回外側前輪の制動圧Pjが目標増圧制動圧Pcj以上になるまで旋回外側前輪の制動圧を増圧してブレーキパッドをブレーキディスクに対し押圧し、これにより通常の制動時に於けるノックバックに起因する制動力発生の遅れを確実に低減すると共に、制動開始時に於ける左右輪間の制動力差に起因する車輌の偏向を低減する。
次に図3に示されたフローチャートを参照して図示の実施例1に於ける制動力制御のメインルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は電子制御装置30が起動されることにより開始され、図には示されていないイグニッションスイッチがオフに切り換えられるまで所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ50に於いては横加速度センサ80により検出された車輌の横加速度Gyを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ100に於いては踏み込みストロークSt及びマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2に基づき後述の図4に示されたルーチンに従って運転者の制動操作量に対応する各車輪の基本目標制動圧Pbti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
ステップ200に於いては後述の図5に示されたルーチンに従って車輌の横加速度Gyのピーク値Gymax及びGyminが演算され、ステップ300に於いては後述の図6に示されたルーチンに従ってノックバックを抑制するための旋回外側前輪の目標増圧制動圧Pptfl又はPptfrが演算される。
ステップ500に於いては旋回外側前輪の目標増圧制動圧Pptfl又はPptfrが対応する基本目標制動圧Pbtj(j=fl又はfr)よりも大きいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ550に於いて各車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)が基本目標制動圧Pbtiに設定され、肯定判別が行われたときにはステップ600に於いて左前輪が旋回外側前輪である場合には左前輪の目標制動圧PtflがPptflに設定され、右前輪が旋回外側前輪である場合には右前輪の目標制動圧PtfrがPptfrに設定されると共に、他の車輪の目標制動圧Ptiが基本目標制動圧Pbtiに設定され、ステップ550又は600が完了すると、ステップ650に於いて各車輪の制動圧Piがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう制御される。
次に図4に示されたフローチャートを参照して上述のステップ100に於いて実行される基本目標制動圧Pbtiの演算ルーチンについて説明する。
まずステップ110に於いてはストロークセンサ70により検出されたブレーキペダル26の踏み込みストロークSpに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより車輌の目標減速度Gstが演算され、ステップ115に於いては圧力センサ66及び68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmaが演算され、ステップ120に於いてはマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmaに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより車輌の目標減速度Gptが演算される。
ステップ125に於いては前サイクルに於いて演算された最終目標減速度Gtに基づき図9に示されたグラフに対応するマップよりマスタシリンダ圧力Pmに基づく目標減速度Gptに対する重みα(0≦α≦1)が演算され、ステップ130に於いては下記の式1に従って目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として車輌の最終目標減速度Gtが演算される。
Gt=α・Gpt+(1−α)Gst ……(1)
ステップ135に於いてはKi(i=fl、fr、rl、rr)を各車輪に対する制動力の配分比(正の定数)として、各車輪の基本目標制動圧Pbti(i=fl、fr、rl、rr)が下記の式2に従って演算される。
Pbti=Ki・Gt ……(2)
次に図5に示されたフローチャートを参照して上述のステップ200に於いて実行されるピーク値Gymax、Gyminの演算ルーチンについて説明する。
まずステップ210に於いては車輌の横加速度Gyの絶対値が基準値Gyo(正の定数)よりも大きいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ215に於いてフラグFbrkが0にリセットされた後ステップ300へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ220へ進む。
ステップ220に於いてはフラグFbrkが0であるか否かの判別、即ち旋回外側前輪の制動圧の増圧が禁止されていないか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ255へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ225へ進む。
ステップ225に於いては運転者によりブレーキペダル又はアクセルペダル操作による加減速操作が行われているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ255へ進み、否定判別が行われたときにはステップ230へ進む。ブレーキペダル操作による加減速操作(制動操作)が行われているか否かの判別は、例えばマスタシリンダ圧力の平均値Pmaが基準値Pmao(正の定数)以上であり若しくはブレーキペダル26の踏み込みストロークStが基準値Sto(正の定数)以上であるか否かの判別により行われてよい。またアクセルペダル操作による加減速操作が行われているか否かの判別は例えば図1には示されていないエンジン制御装置より入力されるアクセル開度φの微分値φdの絶対値が基準値φdo(正の定数)以上であるか否かの判別により行われてよい。
ステップ230に於いては旋回外側前輪についてアンチスキッド制御又はトラクション制御又は車輌の挙動制御による制動力の制御が実行されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ255へ進み、否定判別が行われたときにはステップ235へ進む。
ステップ235に於いては旋回外側前輪の制動圧の増圧制御が実行されているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ260へ進み、肯定判別が行わたときにはステップ240へ進む。
ステップ240に於いては例えば車速Vの微分値Vdが基準値Vdo(負の定数)以下であり若しくは車輌の前後加速度Gxが基準値Gxo(負の定数)以下であるか否かの判別により、旋回外側前輪の制動圧の増圧に起因する車速の低下変化が大きい状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ255へ進み、否定判別が行われたときには245へ進む。
ステップ245に於いては例えば旋回外側前輪の車輪速度Vwfr又はVwflの微分値が基準値Vwdo(負の定数)以下であるか否かの判別により、旋回外側前輪の車輪速度の低下変化が大きい状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ255へ進み、否定判別が行われたときにはステップ250へ進む。
ステップ250に於いては制動力の制御による挙動制御としてドリフトアウト制御が実行されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ260へ進み、否定判別が行われたときにはステップ255へ進む。
ステップ255に於いては例えば当技術分野に於いて公知の要領にて車速V及び操舵角θに基づき車輌の基準ヨーレートγtが演算され、signγを車輌のヨーレートγの符号としてsign・(γt−γ)が基準値以上であるか否かの判別により、車輌の挙動変化(ドリフトアウト状態)が大きい状況であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ265へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ260に於いて車輌の横加速度のピーク値Gymax及びGyminがそれぞれ0にリセットされると共に、フラグFbrkが1にセットされた後ステップ300へ進む。
ステップ265に於いては車輌の横加速度のピーク値Gymaxが車輌の現横加速度Gyとピーク値Gymaxの前回値Gymaxfのうち大きい方の値に設定され、車輌の横加速度のピーク値Gyminが車輌の現横加速度Gy及びピーク値Gyminの前回値Gyminfのうち小さい方の値に設定され、しかる後ステップ300へ進む。
次に図6に示されたフローチャートを参照して上述のステップ300に於いて実行される目標増圧制動圧Pptjの演算ルーチンについて説明する。
まずステップ310に於いてはKを0よりも大きく1よりも小さい正の定数として、車輌の横加速度GyがK・Gymaxよりも小さいか否かの判別、即ち車輌の横加速度Gyがピーク値Gymaxを過ぎて車輌の左旋回の旋回度合が低下する状況であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ330へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ320に於いて左前輪の係数Kflが0に設定されると共に、右前輪の係数Kfrが1に設定される。
同様にステップ330に於いては車輌の横加速度GyがK・Gyminよりも大きいか否かの判別、即ち車輌の横加速度Gyがピーク値Gyminを過ぎて車輌の右旋回の旋回度合が低下する状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ340に於いて左前輪の係数Kflが1に設定されると共に、右前輪の係数Kfrが0に設定され、否定判別が行われたときにはステップ350に於いて係数Kfr及びKflが0に設定され、しかる後ステップ420へ進む。
ステップ370に於いてはFcfoを旋回外側前輪の基本増圧制動圧(正の定数)として、右前輪の目標増圧制動圧Pcfr及び左前輪の目標増圧制動圧Pcflがそれぞれ下記の式3及び4に従って演算される。
Pcfr=Kfr・Pcfo ……(3)
Pcfl=Kfl・Pcfo ……(4)
ステップ380に於いては右前輪の制動圧Pfrが目標増圧制動圧Pcfr以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ390に於いて係数Kfr及び横加速度のピーク値Gymaxがそれぞれ0にリセットされた後ステップ400へ進み、否定判別が行われたときにはそのままステップ400へ進む。
ステップ400に於いては左前輪の制動圧Pflが目標増圧制動圧Pcfl以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ420へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ410に於いて係数Kfl及び車輌の横加速度のピーク値Gyminがそれぞれ0にリセットされた後ステップ420へ進む。
ステップ420に於いては目標増圧制動圧Pcfr及び左前輪の目標増圧制動圧Pcflがそれぞれ上記式3及び4に従って演算され、しかる後ステップ500へ進む。
かくして図示の実施例1によれば、ステップ100に於いて踏み込みストロークSt及びマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2に基づき各車輪の基本目標制動圧Pbti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ200に於いて車輌の横加速度Gyのピーク値Gymax及びGyminが演算され、ステップ300に於いてピーク値Gymax及びGyminに基づき車輌の旋回度合がピークを過ぎた状況が判定されると共に、車輌の旋回度合がピークを過ぎた状況であるときにはノックバックを抑制するための旋回外側前輪の目標増圧制動圧Pptfl又はPptfrが演算され、ステップ500〜650に於いて目標増圧制動圧Pcjが対応する基本目標制動圧Pbtjよりも高いときには、旋回外側前輪の制動圧Pjが目標増圧制動圧Pcj以上になるまで旋回外側前輪の制動圧が増圧される。
従って図示の実施例1によれば、車輌の横力が大きく、車輪、特に旋回外側前輪に高い横力が作用する状態にて車輌が旋回する場合には、旋回度合がピークを過ぎた状況に於いて旋回外輪の制動圧Pfl又はPfrを自動的にそれぞれ目標増圧制動圧Pptfl又はPptfrに増圧してブレーキパッドをブレーキディスクに対し押圧し、これによりその後の制動時に於けるノックバックに起因する制動力発生の遅れを確実に低減すると共に、制動開始時に於ける左右輪間の制動力差に起因する車輌の偏向を低減することができる。
尚図10に示されている如く、図5に示されたピーク値の演算ルーチンのステップ215及び220が省略され、ステップ260に於けるフラグFbrkの処理が省略されてもよい(修正例1)。
図11及び図12はそれぞれ後輪駆動車に適用された本発明による車輌の制動力制御装置の実施例2に於けるピーク値Gymax、Gyminの演算ルーチン及び目標増圧制動圧Pptjの演算ルーチンを示すフローチャートである。尚図11及び図12に於いてそれぞれ図5及び図6に示されたステップと同一のステップには図5及び図6に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
この実施例2に於いては、ピーク値Gymax、Gyminの演算ルーチンのステップ210〜255はそれぞれ上述の実施例1の場合と同様に実行され、ステップ260に於いては車輌の横加速度のピーク値Gymax、Gymin及び車速のピーク値Vmaxがそれぞれ0にリセットされると共に、フラグFbrkが1にセットされる。
またステップ265に於いては車輌の横加速度のピーク値Gymaxが車輌の現横加速度Gyとピーク値Gymaxの前回値Gymaxfのうち大きい方の値に設定され、車輌の横加速度のピーク値Gyminが車輌の現横加速度Gy及びピーク値Gyminの前回値Gyminfのうち小さい方の値に設定され、車速のピーク値Vmaxが現車速Vとピーク値Vmaxの前回値Vmaxfのうち大きい方の値に設定される。
また目標増圧制動圧Pptjの演算ルーチンのステップ310〜340、380、400はそれぞれ上述の実施例1の場合と同様に実行され、ステップ350に於いては係数Kfr及びKflが0に設定されると共に、車速のピーク値Vmaxが0に設定される。
ステップ320が完了するとステップ360に於いて車輌の横加速度のピーク値Gymaxの絶対値及び車速のピーク値Vmaxに基づき図13に示されたグラフに対応するマップより基本目標増圧制動圧Pcfが演算され、ステップ340が完了するとステップ365に於いて車輌の横加速度のピーク値Gyminの絶対値及び車速のピーク値Vmaxに基づき図13に示されたグラフに対応するマップより基本目標増圧制動圧Pcfが演算される。
ステップ370及び420に於いては左前輪の目標増圧制動圧Pcfl及び右前輪の目標増圧制動圧Pcfrがそれぞれ下記の式5及び6に従って演算される。
Pcfr=Kfr・Pcf ……(5)
Pcfl=Kfl・Pcf ……(6)
ステップ390に於いては係数Kfr、横加速度のピーク値Gymax、車速のピーク値Vmaxがそれぞれ0にリセットされ、ステップ410に於いては係数Kfl、車輌の横加速度のピーク値Gymin、車速のピーク値Vmaxがそれぞれ0にリセットされる。
かくして図示の実施例2によれば、上述の実施例1の場合と同様、車輌の横力が大きく、車輪、特に旋回外側前輪に高い横力が作用する状態にて車輌が旋回する場合には、旋回度合がピークを過ぎた状況に於いて旋回外輪の制動圧Pfl又はPfrを自動的にそれぞれ目標増圧制動圧Pptfl又はPptfrに増圧してブレーキパッドをブレーキディスクに対し押圧し、これによりその後の制動時に於けるノックバックに起因する制動力発生の遅れを確実に低減すると共に、制動開始時に於ける左右輪間の制動力差に起因する車輌の偏向を低減することができる。
特に図示の実施例2によれば、目標増圧制動圧Pptfl、Pptfrは横加速度のピーク値Gymax又はGyminの絶対値及び車速のピーク値Vmaxに基づいて可変設定され、旋回時の最大横力が高いほど高い値に設定されるので、旋回時の最大横力に応じて目標増圧制動圧Pptfl、Pptfrを最適な値に設定することができ、これにより目標増圧制動圧Pptfl、Pptfrが一定である上述の実施例1の場合に比して旋回外側前輪の増圧を過不足なく達成し、ノックバックに起因する制動力発生の遅れを的確に低減すると共に、制動開始時に於ける左右輪間の制動力差に起因する車輌の偏向を的確に低減することができる。
尚実施例2に於いても、上述の修正例1の場合と同様、図11に示されたピーク値の演算ルーチンのステップ215及び220が省略され、ステップ260に於けるフラグFbrkの処理が省略されてもよい(修正例2)。
また図示の実施例2に於いては、目標増圧制動圧Pptfl、Pptfrは横加速度のピーク値Gymax又はGyminの絶対値及び車速のピーク値Vmaxに基づいて可変設定されるようになっているが、目標増圧制動圧Pptfl、Pptfrは図14に示されたグラフに対応するマップより演算されることにより横加速度のピーク値Gymax又はGyminの絶対値に基づいて可変設定されるよう修正されてもよく(修正例3)、目標増圧制動圧Pptfl、Pptfrは図15に示されたグラフに対応するマップより演算されることにより車速のピーク値Vmaxに基づいて可変設定されるよう修正されてもよい(修正例4)。
図16は後輪駆動車に適用された本発明による車輌の制動力制御装置の実施例3の制御系を示すブロック図、図17は実施例3に於ける旋回外側前輪の制動圧の増圧制御に伴う車輌の駆動力の演算ルーチンを示すフローチャートである。
この実施例3に於いては、電子制御装置30はエンジン制御装置90との間にて通信を行い、エンジン制御装置90にはアクセル開度センサ92より運転者により操作される図16には示されていないアクセルペダルの操作量としてのアクセル開度φを示す信号、自動変速機制御装置94より図16には示されていない自動変速機の変速段Spを示す信号、エンジン回転数そのたのエンジンの制御に必要な情報が入力される。エンジン制御装置90はアクセル開度φ等に基づき当技術分野に於いて公知の要領にて運転者によるアクセルペダル操作等に基づく目標エンジントルクTetを演算し、通常時にはエンジントルクTeが目標エンジントルクTetになるようエンジン96を制御する。
また電子制御装置30は上述の実施例及び修正例の何れかに従って車輌の旋回時に必要に応じて旋回外側前輪の制動圧を増圧し、ノックバックを抑制すると共に、旋回外側前輪の制動圧を増圧するときには図17に示されたルーチンに従って旋回外側前輪の制動圧を増圧するによる影響を低減する目標エンジントルクTebtを演算し、目標エンジントルクTebtを示す信号をエンジン制御装置90へ出力する。エンジン制御装置90は電子制御装置30より目標エンジントルクTebtを示す信号が入力されているときにはエンジントルクTeが目標エンジントルクTebtになるようエンジン96を制御する。
次に図17に示されたフローチャートを参照して図示の実施例3に於ける目標エンジントルクTebtの演算ルーチンについて説明する。尚図17に示されたフローチャートによる制御は電子制御装置30が起動されることにより開始され、図には示されていないイグニッションスイッチがオフに切り換えられるまで所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ710に於いては、旋回外側前輪の制動圧が増圧されているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図17に示されたルーチンによる制御が一旦終了され、肯定判別が行われたときにはステップ720に於いてエンジン制御装置90より目標エンジントルクTetを示す信号及び自動変速機の変速段Spを示す信号が読み込まれる。
ステップ730に於いては自動変速機の変速段Spに基づき駆動系全体のギヤ比Kgが推定されると共に、左右前輪のホイールシリンダ24FR、24FLの断面積をAwcとし、ブレーキ摩擦係数をμbとし、左右前輪の有効タイヤ径をRtとし、ブレーキディスクの有効径をRbとして下記の式7に従って旋回外側前輪の制動圧の増圧による影響を相殺するためのエンジントルク増大量ΔTeが演算される。
ΔTe=(Pcfr+Pcfl)・Awc・μb・Rt2/Rb/Kg ……(7)
ステップ740に於いては目標エンジントルクTetとエンジントルク増大量ΔTeとの和として目標エンジントルクTebtが演算されると共に、目標エンジントルクTebtを示す信号がエンジン制御装置90へ出力される。
かくして図示の実施例3によれば、上述の各実施例又は各修正例の作用効果を得ることができると共に、旋回外側前輪の制動圧の増圧による影響を相殺するためのエンジントルク増大量ΔTeにてエンジン96の出力トルクが増大されるので、旋回外側前輪の制動圧の増圧に起因する不必要な車速Vの低下や前後加速度Gxの低下を確実に防止することができる。
特に図示の実施例3によれば、エンジントルク増大量ΔTeは上記式7に従って目標増圧制動圧Pptfl、Pptfrに基づいて演算されるので、エンジントルク増大量ΔTeが旋回外側前輪の制動圧の増圧が行われる場合の車速Vの低下変化度合や前後加速度Gxの低下量に基づいて演算される場合に比して、遅れなくエンジン96の出力トルクを増大させることができる。
尚上述の各実施例及び各修正例によれば、ステップ225に於いて運転者によりブレーキペダル又はアクセルペダル操作による加減速操作が行われていると判別された場合や、ステップ230に於いて旋回外側前輪についてアンチスキッド制御又はトラクション制御又は車輌の挙動制御による制動力の制御が実行されていると判別された場合には、ステップ260に於いて車輌の横加速度のピーク値Gymax及びGyminがそれぞれ0にリセットされると共に、フラグFbrkが1にセットされることにより、旋回外側前輪の制動圧の増圧が禁止されるので、運転者による加減速操作やアンチスキッド制御又はトラクション制御又は車輌の挙動制御による制動力の制御が旋回外側前輪の制動圧の増圧により阻害されることを確実に防止することができる。
また上述の各実施例及び各修正例によれば、旋回外側前輪の制動圧の増圧が行われている状況に於いて、ステップ240に於いて旋回外側前輪の制動圧の増圧に起因する車速の低下変化が大きい状況であると判別された場合や、ステップ245に於いて旋回外側前輪の車輪速度の低下変化が大きいと判別された場合や、ステップ250及び255に於いて旋回外側前輪の制動圧の増圧に起因して車輌の挙動変化(ドリフトアウト状態)が大きい状況であると判別された場合された場合にもステップ260に於いて車輌の横加速度のピーク値Gymax及びGyminがそれぞれ0にリセットされると共に、フラグFbrkが1にセットされることにより、旋回外側前輪の制動圧の増圧が禁止されるので、旋回外側前輪の制動圧の増圧により車速、車輪の回転状態、車輌の挙動に悪影響が及ぶことを確実に防止することができる。
図18は後輪駆動車に適用された本発明による車輌の制動力制御装置の実施例4に於けるホイールシリンダの遮断制御ルーチンを示すフローチャートである。尚図18に示されたフローチャートによる制御も電子制御装置30が起動されることにより開始され、図には示されていないイグニッションスイッチがオフに切り換えられるまで所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ810に於いては横加速度センサ80により検出された車輌の横加速度Gyを示す信号の読み込みが行われ、ステップ820に於いてはフラグFfrが1であるか否かの判別、即ちノックバック防止の目的で右前輪のホイールシリンダ24FRが遮断されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ850へ進み、否定判別が行われたときにはステップ830へ進む。
ステップ830に於いては車輌の横加速度Gyが制御開始基準値Gys(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ920へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ840に於いてフラグFfrが1にセットされた後ステップ870へ進む。
ステップ850に於いては車輌の横加速度Gyが制御終了基準値Gye(Gysよりも小さい正の定数)以下であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ870へ進み、否定判別が行われたときにはステップ860に於いて電磁開閉弁124R、リニア弁150FR、リニア弁160FRが閉弁され又は閉弁状態に維持されることにより右前輪のホイールシリンダ24FRが遮断され又は遮断状態に維持される。
ステップ870に於いてはフラグFfrが0にリセットされ、ステップ880に於いては電磁開閉弁124R、リニア弁150FR、リニア弁160FRの閉弁維持が解除されることにより右前輪のホイールシリンダ24FRの遮断が解除される。
同様に、ステップ920に於いてはフラグFflが1であるか否かの判別、即ちノックバック防止の目的で左前輪のホイールシリンダ24FLが遮断されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ950へ進み、否定判別が行われたときにはステップ930へ進む。
ステップ930に於いては車輌の横加速度Gyが制御開始基準値−Gys以下であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには図18に示されたルーチンによる制御が一旦終了され、肯定判別が行われたときにはステップ940に於いてフラグFflが1にセットされた後ステップ970へ進む。
ステップ950に於いては車輌の横加速度Gyが制御終了基準値−Gye以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ970へ進み、否定判別が行われたときにはステップ970に於いて電磁開閉弁124L、リニア弁150FL、リニア弁160FLが閉弁され又は閉弁状態に維持されることにより左前輪のホイールシリンダ24FLが遮断され又は遮断状態に維持される。
ステップ970に於いてはフラグFflが0にリセットされ、ステップ980に於いては電磁開閉弁124L、リニア弁150FL、リニア弁160FLの閉弁維持が解除されることにより左前輪のホイールシリンダ24FLの遮断が解除される。
かくして図示の実施例4によれば、車輌の横加速度Gyの大きさが大きいときには、旋回外側前輪のホイールシリンダ24FR又は24FLが遮断され又は遮断状態に維持されるので、旋回外側前輪に高い横力が作用しても、その横力によりブレーキパッドがブレーキディスクより離れる方向へ移動されず、従ってノックバックを確実に防止することができる。
尚実施例4に於いても、上述の各実施例及び各修正例に於けるステップ225及び230と同様の判別が行われ、運転者によりブレーキペダル又はアクセルペダル操作による加減速操作が行われている場合又は旋回外側前輪についてアンチスキッド制御又はトラクション制御又は車輌の挙動制御による制動力の制御が実行されている場合には、旋回外側前輪のホイールシリンダ24FR又は24FLが遮断されないよう修正されてもよい。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施例に於いては、車輌の横加速度Gyのピーク値Gymax、Gymin等に基づき旋回外側前輪の目標増圧制動圧Pptfl又はPptfrが演算され、目標増圧制動圧Pcjが対応する基本目標制動圧Pbtjよりも高いときには、旋回外側前輪の制動圧Pjが目標増圧制動圧Pcj以上になるまで旋回外側前輪の制動圧が増圧されるようになっているが、特に旋回外側前輪の制動圧が予め設定された所定値に増圧される場合には、旋回外側前輪の制動圧はその開始条件が成立した時点より所定の時間が経過するまで行われるようよう修正されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、各車輪の制動圧は増圧弁(保持弁)として機能するリニア弁150FL〜150RR及び減圧弁として機能するリニア弁160FL〜160RRにより制御されるようになっているが、各車輪の制動圧を個別に制御可能である限り、各車輪の制動圧を増減する油圧回路22は当技術分野に於いて公知の任意の構造のものであってよい。
また上述の各実施例に於いては、通常時にも電磁開閉弁124L及び124Rによりマスタシリンダ28と各ホイールシリンダ24FL〜RRとの連通が遮断されるようになっているが、本発明の制動力制御装置は通常時にはマスタシリンダ28と各ホイールシリンダ24FL〜RRとが連通接続され、特定の目的で制動圧の制御を行う場合にマスタシリンダ28と各ホイールシリンダ24FL〜RRとの連通が遮断される制動装置を有する車輌に適用されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、車輌横力の指標値は車輌の横加速度Gyのピーク値Gymax、Gyminであるが、車輌横力の指標値は車輌のヨーレート、タイロッドの軸力、操舵トルク、前輪の横力の少なくとも何れかより判定されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、旋回外側前輪の制動圧のみが増圧されるようになっているが、特に後輪が対向キャリパ式のディスクブレーキである場合には旋回外側後輪の制動圧のみが増圧されてもよく、また旋回外側前輪及び旋回外側後輪の制動圧が増圧されるようよう修正されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、車輌はエンジンにより駆動される後輪駆動車であるが、例えばインホイールモータ式の車輌の如く各車輪に個別に駆動装置を有する車輌の場合には、旋回外側前輪の制動圧が増圧されると共に、その旋回外側前輪の制動圧の増圧量に基づいて旋回外側前輪の制動圧の増圧による影響を相殺する旋回外側後輪の駆動力の増大量が演算され、該増大量に基づいて旋回外側後輪の駆動力が増大されてもよい。
更に上述の各実施例に於いては、車輌は後輪駆動車であるが、本発明が適用される車輌は前輪駆動車や四輪駆動車であってもよい。
後輪駆動車に適用された本発明による制動力制御装置の実施例1を示す概略構成図である。 図1に示された制動装置を示す説明図である。 実施例1に於ける制動力制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図3のステップ100に於いて実行される基本目標制動圧Pbtiの演算ルーチンを示すフローチャートである。 図3のステップ200に於いて実行されるピーク値Gymax、Gyminの演算ルーチンを示すフローチャートである。 図3のステップ300に於いて実行される目標増圧制動圧Pptjの演算ルーチンを示すフローチャートである。 ブレーキペダルの踏み込みストロークStと目標減速度Gstとの間の関係を示すグラフである。 マスタシリンダ圧力の平均値Pmaと目標減速度Gptとの間の関係を示すグラフである。 前回の最終目標減速度Gtfと目標減速度Gptに対する重みαとの間の関係を示すグラフである。 実施例1の修正例である修正例1に於けるピーク値の演算ルーチンを示すフローチャートである。 後輪駆動車に適用された本発明による車輌の制動力制御装置の実施例2に於けるピーク値の演算ルーチンを示すフローチャートである。 実施例2に於ける目標増圧制動圧Pptjの演算ルーチンを示すフローチャートである。 車輌の横加速度のピーク値Gymax、Gyminの絶対値及び車速のピーク値Vmaxと基本目標増圧制動圧Pcfとの間の関係を示すグラフである。 車輌の横加速度のピーク値Gymax、Gyminの絶対値と基本目標増圧制動圧Pcfとの間の関係を示すグラフである。 車速のピーク値Vmaxと基本目標増圧制動圧Pcfとの間の関係を示すグラフである。 後輪駆動車に適用された本発明による車輌の制動力制御装置の実施例3の制御系を示すブロック図である。 実施例3に於ける旋回外側前輪の制動圧の増圧制御に伴う車輌の駆動力の演算ルーチンを示すフローチャートである。 後輪駆動車に適用された本発明による車輌の制動力制御装置の実施例4に於けるホイールシリンダの遮断制御ルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
10FR〜10RL 車輪
20 制動装置
28 マスタシリンダ
30 電子制御装置
66、68、72 圧力センサ
70 ストロークセンサ
76i 車輪速度センサ
78 前後加速度センサ
80 横加速度センサ
82 ヨーレートセンサ
84 操舵角センサ
90 エンジン制御装置
96 エンジン

Claims (10)

  1. 制動圧を増圧して車輪の被押圧部材に押圧部材を押圧することにより制動力を発生する制動力発生装置を各車輪に備えた車輌の制動力制御装置に於いて、車輌横力の指標値を求め、車輌が旋回状態になり前記車輌横力の指標値がピーク値より低下する状況に於いて少なくとも旋回外輪の制動圧を所定の圧力に増圧することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
  2. 前記所定の圧力は前記車輌横力の指標値のピーク値が高いときには前記車輌横力の指標値のピーク値が低いときに比して高いことを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置。
  3. 前記所定の圧力は車速が高いときには車速が低いときに比して高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌の制動力制御装置。
  4. 前記制動圧の増圧以外の要求により旋回外輪に制動力又は駆動力が付与されるときには前記制動圧の増圧を中止することを特徴とする請求項1乃至3に記載の車輌の制動力制御装置。
  5. 前記制動圧の増圧以外の要求は乗員の制動要求、乗員の加速要求、車輪のスリップ抑制のための制駆動力制御要求、車輌の走行安定化制御のための制駆動力制御要求を含むことを特徴とする請求項4に記載の車輌の制動力制御装置。
  6. 車輌に所定の走行状態の変化が生じたときには前記制動圧の増圧を中止することを特徴とする請求項1乃至5に記載の車輌の制動力制御装置。
  7. 前記所定の走行状態の変化は車輌減速度の所定値以上の増加若しくは乗員の運転操作に基づかない車輪速度の所定値以上の低下変化若しくは所定値以上のドリフトアウト状態であることを特徴とする請求項6に記載の車輌の制動力制御装置。
  8. 前記制動圧の増圧中に前記制動圧の増圧が行われる車輪以外の車輪に駆動力を付与し、前記制動圧の増圧が車輌の走行状態に与える影響を低減することを特徴とする請求項1乃至7に記載の車輌の制動力制御装置。
  9. ホイールシリンダ内の作動液体の圧力を増圧して車輪の被押圧部材に押圧部材を押圧することにより制動力を発生する制動力発生装置を各車輪に備えた車輌の制動力制御装置に於いて、車輌横力の指標値を求め、車輌が旋回状態になり前記車輌横力の指標値が基準値以上であるときには少なくとも旋回外輪の前記ホイールシリンダより作動液体が流出することを抑制することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
  10. 制動力の制御若しくは乗員の制動操作により旋回外輪の制動圧が増減されるときには前記作動液体の流出の抑制を中止することを特徴とする請求項9に記載の車輌の制動力制御装置。
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