JP2006004890A - 電池 - Google Patents

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啓 下谷
Kentaro Kishi
健太郎 岸
Tomoko Miyahara
知子 宮原
Kazunori Anazawa
一則 穴澤
Takashi Morikawa
尚 森川
Masashi Hasegawa
真史 長谷川
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Abstract

【課題】 厳重なパッキングを要せず、また通常の電池のように厳密な回収が不必要で、さらには一般のゴミと同様に焼却廃棄が可能な電池を提供すること。
【解決手段】 発電部が、少なくとも、第1の電極が配置された酸性媒体と、第2の電極が配置された塩基性媒体とを備え、前記酸性媒体および前記塩基性媒体が互いに隣接もしくは近設されてなり、前記酸性媒体および前記塩基性媒体の少なくともいずれかに反応物質が含有されてなり、前記第1の電極および前記第2の電極が炭素および、炭化水素を骨格とする有機物からなり、前記酸性媒体および前記塩基性媒体に重金属を含まないことを特徴とする電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、廃棄可能な電池に関し、特に、酸性媒体とそれに接した塩基性媒体とを利用した廃棄可能な電池に関する。
電池は、物質が持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。また、その化学エネルギーを使い切るまで電力を提供する一次電池、使い切った後に充電操作によって化学エネルギーを再び蓄えて再使用が可能な二次電池、更に、外部から化学エネルギーを有する物質を継続的に供給することで電気エネルギーを得る燃料電池に分類できる。現在、多種類の電池が開発されているが、各電池はそれぞれ、環境安全性、経済性、供給できる電気エネルギー量、携帯性や貯蔵性、使用環境対応性、リサイクル性等の各項目について長所と短所が異なるので、使用目的に合わせて電池が選択され、実用に供されている。いずれの電池においても共通の重要な技術要素は、どのような化学物質の反応を利用するのか、その反応をどのようにして促進するのか、また、その化学物質をどのような形態で貯蔵・供給・回収するのかという点にある。
電池では、還元反応(相手に電子を与えるか、若しくは酸素を引き抜く)を引き起こす還元剤と、酸化反応(相手から電子を引き抜くか、若しくは酸素を与える)を引き起こす酸化剤と、の2種の化学物質を使用する。その化学反応を、相対する2つの電極で別々に引き起こすことによって、発生した電子のエネルギーを外部に取り出す(電子の発生に伴って両極で生成したイオンは電池内部で中和される)。それらの反応効率は、使用する化学物質の種類と反応様式、電極材質や活性度、また、電解質を含めた反応場の環境に依存する。更に、どのような物質を選択して電池を構成するかは、前述した使用時のみならず、製造時・廃棄時も含めた電池システム全体の良否に関わるポイントである。
現状の電池では、効率よく上記反応を実現させるために、有害な物質を使用している。そのため、電池は、一般に使用済み電池として回収し、処理されている。
例えば、マンガン系や水銀系の一次電池の場合、電極に亜鉛や水銀あるいはリチウムといった非常に有害性の物質を一部含んでいる(例えば、特許文献1参照)。これらの電池は、経済性や化学物質の貯蔵性に優れるが、使用後にそれらの重金属類を放置すると環境に悪影響を与えてしまうため、厳密な回収が必要になる。また、それらの電池のパッキングとして金属が使用されているため、消却処理も不可能である。さらに、充電による再利用ができないため、使用後の電池廃棄や再資源化に多くのコストがかかってしまう。
また、例えば、リチウムイオン二次電池は、電気エネルギー量に優れ、また、充電による再利用が可能であるが、リチウムが空気中の水分や酸素に対して非常に不安定な発火物であるため、その危険性を回避するためには電池のパッケージングや使用環境に十分な安全対策を払わねばならない(例えば、特許文献2参照)。更に、電池寿命後の回収や再資源化は必須であり、電池の製造から使用・廃棄までの全体コストを引き上げてしまう。この問題は鉛系蓄電池の場合でも同様であるが、製造価格や供給電気エネルギーの観点から、自動車用バッテリー等の用途でのみ大量に使用されているのが現状である。
近年、あらゆる製品に、環境への配慮が求められており、電池は既に述べたように、厳密な回収を行うことによって、環境への影響をできるだけ低くしようとしている。また、電池の回収、廃棄するための方法も検討されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方法は電池に含まれる有害金属等を粗分離する方法であり、厳密に分離、回収できるものではない。加えて、近年電池は、様々なデバイス、製品に使用されている(例えば、携帯電話や、時計、パソコンの基板など)。また、使用者が電池が入っていると認識せずに使用している製品もあり、このように多様な使用用途の製品の電池をすべて回収することは困難であるうえ、さらにコストがかかるという問題がある。
特開2004−31369 特開2003−257412 特開2001−283871
以上から、本発明は上記従来の課題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、厳重なパッキングを要せず、また通常の電池のように厳密な回収が不必要で、さらには一般のゴミと同様に焼却廃棄が可能な電池を提供することを目的とする。
上記目的は下記の本発明により達成される。
すなわち、本発明は、発電部が、少なくとも、第1の電極が配置された酸性媒体と、第2の電極が配置された塩基性媒体とを備え、前記酸性媒体および前記塩基性媒体が互いに隣接もしくは近設されてなり、前記酸性媒体および前記塩基性媒体の少なくともいずれかに反応物質が含有されてなり、前記第1の電極および前記第2の電極が炭素および、炭化水素を骨格とする有機物からなり、前記酸性媒体および前記塩基性媒体に重金属を含まないことを特徴とする電池である。
本発明の電池においては、下記第1〜第17の態様が少なくとも1つ適用されていることが好ましい。
(1)前記発電部の少なくとも一部が、炭素および、炭化水素を骨格とする有機物からなる外装材に覆われてなる態様である。
(2)第2の態様は、前記外装材が、ポリマー樹脂、炭素構造体、アモルファスカーボン、およびグラッシーカーボンからなる群より選択される1以上の材料から構成される態様である。
(3)第3の態様は、前記反応物質が、前記酸性媒体および前記塩基性媒体のそれぞれに含有されてなる態様である。
(4)第4の態様は、前記酸性媒体に含有される前記反応物質としての第1の物質と、前記塩基性媒体に含有される前記反応物質としての第2の物質とが、同一の物質である態様である。
(5)第5の態様は、前記反応物質が、過酸化水素である態様である。
(6)第6の態様は、前記反応物質が、当該反応物質を含有する液体もしくは固体、あるいは、化学変化によって当該反応物質を生成する液体もしくは固体、の状態で供給されてなる態様である。
(7)第7の態様は、前記酸性媒体が酸性水溶液からなり、かつ、前記塩基性媒体が塩基性水溶液からなる態様である。
(8)第8の態様は、前記酸性水溶液が、硫酸、メタンスルホン酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、過塩素酸、過ヨウ素酸、オルトリン酸、ポリリン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロ珪酸、ヘキサフルオロリン酸、酢酸、クエン酸、蓚酸、サリチル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、および、フマル酸からなる群より選択される酸を1以上含む態様である。
(9)第9の態様は、前記塩基性水溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、および水酸化テトラブチルアンモニウムを含む群から選択される塩基を1以上含む、または、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、およびアルミン酸カリウムを含む群から選択されるアルカリ金属塩を1以上含む態様である。
(10)第10の態様は、前記酸性媒体が酸性のイオン交換部材から構成され、かつ、前記塩基性媒体が塩基性のイオン交換部材から構成される態様である。
(11)第11の態様は、前記イオン交換部材が、ポリビニルスチレン系のイオン交換樹脂、ポリフルオロヒドロカーボンポリマー系の高分子電解質膜、ポリビニルスチレン系のイオン交換膜、および繊維状ポリスチレン系のイオン交換濾紙からなる群より選択される態様である。
(12)第12の態様は、前記酸性媒体が酸性のイオン伝導性ゲルから構成され、かつ、前記塩基性媒体が塩基性のイオン伝導性ゲルから構成される態様である。
(13)第13の態様は、前記酸性のイオン伝導性ゲルが、酸性水溶液を、架橋ポリアクリル酸、寒天、またはその塩類によりゲル化してなる態様である。
(14)第14の態様は、前記塩基性のイオン伝導性ゲルが、塩基性水溶液をカルボキシメチルセルロース、架橋ポリアクリル酸、またはその塩類によりゲル化してなる態様である。
(15)第15の態様は、前記第1の電極および/または第2の電極が、炭素構造体、アモルファスカーボン、およびグラッシーカーボンからなる群より選択される1以上の材料から構成される態様である。
(16)第16の態様は、前記第1の電極および第2の電極が、板状、薄膜状、網目状、または繊維状である態様である。
(17)第17の態様は、前記第1の電極および前記第2の電極が、無電解メッキ法、蒸着法、またはスパッタ法により、前記酸性媒体および前記塩基性媒体にそれぞれ配置されてなる態様である。
本発明によれば、厳重なパッキングを要せず、また通常の電池のように厳密な回収が不必要で、さらには一般のゴミと同様に焼却廃棄が可能な電池を提供することができる。
以下、本発明の電池について詳細に説明する。
<電池>
本発明の電池は、その発電部が、第1の電極が配置された酸性媒体と、第2の電極が配置された塩基性媒体とを備えてなる。そして、酸性媒体および塩基性媒体は互いに隣接もしくは近設してなり、酸性媒体および塩基性媒体の少なくともいずれかに反応物質が含有されてなる。
本発明の電池は、上述の各部材を備える構成を有するバイポーラー型の一次電池である。なお、本発明において、バイポーラー型の電池とは、酸性媒体と塩基性媒体が隣接もしくは近設し、これらの中に電気エネルギーを取り出すための物質(反応物質)と電極が含まれる構成を有するものである。
酸性媒体または塩基性媒体に含有される反応物質は、下記のような作用により正極側および/または負極側での電極反応を生じさせ、効率のよい電気エネルギーの発生を可能とする。すなわち、かかる反応物質が、酸性媒体または塩基性媒体に存在しないと、電池としての十分な起電力が得られないことになる。
例えば、上記反応物質が、酸性媒体および塩基性媒体のそれぞれに含有されてなる場合、酸性媒体中の反応物質である第1の物質は、その酸性媒体中に含まれる水素イオンを伴って第1の電極から電子を奪う反応を生じさせる。一方、塩基性媒体中の反応物質である第2の物質は、その塩基性媒体中に含まれる水酸化物イオンを伴って第2の電極へと電子を供与する反応を生じさせる。
特に、本発明における電池は、まず、(1)上記の酸性媒体中またはこれに接触する電極近傍で第1の物質および水素イオンが共存し、共に反応系物質として第1の電極から電子を奪う(酸化する)反応を引き起こす。また、(2)上記塩基性媒体中或いはこれに接触する電極近傍で第2の物質および水酸化物イオンが共存し、共に反応系物質として電極に電子を与える(還元する)反応を引き起こす。このような(1)および(2)の反応が同時に進行して、外部回路を駆動する電気エネルギーを発生する。
なお、本発明の電池は、バイポーラー型反応場において、酸性媒体中の水素イオンは、第1の物質による第1の電極から電子を奪う反応に加わり、また、その濃度増加は反応を促進する(化学平衡を生成系方向にずらす)作用を有する。一方、塩基性媒体を構成する水酸化物イオンは、第2の物質による第2の電極へと電子を供与する反応に加わり、また、その濃度増加は反応を促進する作用を有する。このため、水素イオン濃度或いは水酸化物イオン濃度を高くする、即ち、酸性媒体中ではpHを低くし、塩基性媒体ではpHを高くすることで反応を増強させることが可能となり、出力を高めることが可能な構成を有している点でも有効である。
また、本発明の電池を構成する各部材(第1の電極および第2の電極)は、炭素および、炭化水素を骨格とする有機物からなることを特徴とする。また、酸性、塩基性媒体には重金属を含む物質を使用しないことも特徴である。従って通常の電池とは異なり、有害な重金属を含まないので、厳重なパッキングも不必要となるだけではなく、通常の電池のように厳密な回収が不必要となる。さらには、焼却廃棄が可能となる。その結果、環境汚染の恐れは無くなり、かつ、回収、再利用にかかるコストが削減できる。
以下、本発明の電池を構成する各部材について、詳細に説明する。
(酸性媒体および塩基性媒体)
本発明において、酸性媒体は、重金属を含まず、pH7未満(好ましくは、pHが3以下)である媒体を指し、水素イオンが存在する酸性反応場を形成し得ることが好ましい。また、塩基性媒体は重金属を含まず、pH7を超える(好ましくは、pHが11以上)媒体を指し、水酸化物イオンが存在する塩基性反応場を形成し得ることが好ましい。
ここでいう重金属とは比重が4g/cm3以上の金属を指し、主なものは、鉛・水銀・カドミウム・マンガンなどが挙げられる。なお、「重金属を含まず」とは、不可避の不純物をも除くことを意味しているのではなく、0.01mg/l以下の重金属の含有は許容範囲である。
これらの酸性媒体および塩基性媒体としては、それぞれが独立に、液体状態、ゲル状態、固体状態のいずれの態様であってもよいが、両媒体が同じ態様であることが好ましい。また、酸性媒体および塩基性媒体としては、有機化合物、無機化合物の種類に関らず用いることができる。
なお、いずれの場合でも、後述するような材料を使用する。
酸性媒体と塩基性媒体との好ましい組み合わせは、例えば、硫酸や塩酸、リン酸等の酸性水溶液と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アンモニウム化合物等の塩基性水溶液と、の水溶液の組み合わせ;それらの水溶液をゲル化剤によってゲル化したイオン伝導性ゲルの組み合わせ;スルホン酸基やリン酸基を有する酸性のイオン交換部材と、4級アンモニウム基を有する塩基性のイオン交換部材と、のイオン交換部材(イオン交換樹脂を用いた膜、濾紙などの形態を含む)の組み合わせ;硫酸処理した活性炭等の固体酸と、塩基処理した活性炭等の固体塩基と、の固体物の組み合わせ;などが挙げられる。
より具体的には、酸性水溶液としては、硫酸、メタンスルホン酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、過塩素酸、過ヨウ素酸、オルトリン酸、ポリリン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロ珪酸、ヘキサフルオロリン酸、酢酸、クエン酸、蓚酸、サリチル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、およびフマル酸からなる群より選択される酸を1以上含む水溶液を用いることが好ましく、中でも、強酸である、硫酸、塩化水素酸、リン酸を含むことがより好ましい。
また、塩基性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、および、水酸化テトラブチルアンモニウムを含む群から選択される塩基を1以上含む、または、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、およびアルミン酸カリウムを含む群から選択されるアルカリ金属塩を1以上含む水溶液を用いることができ、中でも、強塩基である、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを含むことがより好ましい。
さらに、酸性媒体としての酸性のイオン伝導性ゲルは、上記のような酸性水溶液を、架橋ポリアクリル酸、寒天、またはその塩類などのゲル化剤を用いて、ゲル化したものが好ましい。
一方、塩基性媒体としての塩基性のイオン伝導性ゲルは、上記のような塩基性水溶液を、例えば、カルボキシメチルセルロース、架橋ポリアクリル酸、またはその塩類をゲル化剤として用いて、ゲル化したものが好ましい。
なお、上記の酸や塩基は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、ゲル化剤の使用方法も同様である。
また、前記の酸性のイオン交換部材および塩基性のイオン交換部材としては、イオン交換樹脂を用いた、イオン交換膜、固体高分子電解質膜、濾紙などの形態を含む。好適なものとしては、スルホン酸基やリン酸基などの強酸性基を有する強酸性イオン交換樹脂や、4級アンモニウム基などの強塩基性基を有する強塩基性イオン交換樹脂を用いた各イオン交換部材である。より具体的には、例えば、製品名ダウエックス(Dow社製)や、製品名ダイヤイオン(三菱化学社製)、製品名アンバーライト(Rohm and Hass社製)に代表されるポリビニルスチレン系のイオン交換樹脂や、製品名ナフィオン(DuPont社製)、製品名フレミオン(旭ガラス社製)、製品名アシプレックス(旭化成工業社製)に代表されるポリフルオロヒドロカーボンポリマー系の固体高分子電解質膜、製品名ネオセプタ(トクヤマ社製)、製品名ネオセプタBP−1(トクヤマ社製)に代表されるポリビニルスチレン系のイオン交換膜、ポリスチレン系の繊維状イオネックスイオン交換体で形成されたイオン交換濾紙製品名RX−1(東レ社製)等が挙げられる。
更に、固体酸として好適なものとしては、カオリナイトやモンモリナイト等の粘度鉱物、ゼオライト、また酸性物質を添着した活性炭が挙げられる。
固体塩基として好適なものとしては、塩基性物質を添着した活性炭が挙げられる。
本発明の電池において、酸性媒体および塩基性媒体は、互いに隣接もしくは近設することを必須とするが、これは、酸性媒体中で水素イオンを放出することにより生成した対陰イオンと、塩基性媒体中で水酸化物イオンを放出したことにより生成した対陽イオンと、により塩を形成させて電荷のバランスをとることを可能とするためである。そのため、例えば、上述のように、両媒体が、酸性水溶液と塩基性水溶液とからなる場合、生成した陽イオンおよび/または陰イオンを透過可能な特性を有している膜、あるいは、生成した陽イオンおよび/または陰イオンが移動可能な塩橋を用いれば、酸性媒体と塩基性媒体との間が分離される態様であってもかまわない。また、それぞれの全体が隣接している必要はなく、その一部が隣接していればよい。
(反応物質)
反応物質は、酸性媒体中に含有させる場合は、当該酸性媒体中で、水素イオンを伴って第1の電極から電子を奪う酸化反応を生成させる物質(酸化剤)であれば、如何なるものをも用いることができる。一方、塩基性媒体中に含有させる場合は、当該塩基性媒体中で、水酸化物イオンを伴って第2の電極へと電子を供与する還元反応を生成させる物質(還元剤)であれば、如何なるものをも用いることができる。
ここでは、好ましい態様として、酸性媒体に含有される反応物質としての第1の物質、および、塩基性媒体に含有される反応物質としての第2の物質を例に、以下詳細に説明する。
第1の物質としては、水素イオン濃度が高い場合に反応が促進される物質であることが好ましい。具体的には、過酸化水素、酸素等をもちいることができる。また、これらの物質を含有する液体もしくは固体、あるいは、化学変化によってこれらの物質を放出する液体もしくは固体、の状態で第1の物質を供給するようにしてもよい。
また、第2の物質としては、水酸化物イオン濃度が高い場合に反応が促進される物質であることが好ましい。具体的には、過酸化水素、水素等を用いることができる。また、これらの物質を含有する液体もしくは固体、あるいは、化学変化によってこれらの物質を放出する液体もしくは固体、の状態で第2の物質を供給するようにしてもよい。
上記の中でも、第1の物質および第2の物質が、同一成分からなることが好ましい。このような物質は、酸性媒体中で、水素イオンを伴って第1の電極から電子を奪う酸化反応を生成させ、塩基性媒体中では、水酸化物イオンを伴って第2の電極へと電子を供与する還元反応を生成させる性質を有する。この場合には、電池の構成が容易になり、従来の電池で大きな課題であった正極側と負極側の化学物質の分離膜の選択の自由度が拡がるとともに、酸性媒体と塩基性媒体が混合されない状態に保てる場合には必ずしも分離膜を必要としない。
酸化剤および還元剤のどちらにも使用できる物質としては、特に過酸化水素が好ましい。この理由については後で詳細に説明する。なお、過酸化水素を含有する液体もしくは固体、あるいは、化学変化によって過酸化水素を放出する液体もしくは固体を用いて、過酸化水素を供給することが、取り扱いがより簡易になる点で好ましい。
第1の物質および第2の物質の供給手段の1つである上記「液体」は、溶液(溶媒として、水、有機溶媒等を含む)、分散液、ゲルの形態のいずれであってもよい。また、これらの使用形態は、上述した酸性媒体および塩基性媒体の形態との好ましい組み合わせにより選択されることが望ましい。
また、第1の物質および第2の物質は、過酸化水素の場合はそれぞれ、酸性媒体および塩基性媒体中に、水素イオン、水酸化物イオンに対してそれぞれ、mol比で2(水素イオン、水酸化物イオン):1(過酸化水素)になるように含有されるのが最も好ましい。なぜなら、後述する発電反応から、上記比率で含有された場合が、過酸化水素が過不足無く反応するからである。
本発明の電池によれば、電極での反応に水素イオンH+と水酸化物イオンOH-が関与する場合、酸性媒体中で第1の物質が水素イオンH+を伴って第1の電極から電子を奪う酸化反応を生じさせ、塩基性媒体中で第2の物質が水酸化物イオンOH-を伴って電極へと電子を供与する還元反応を生じさせる。このとき、酸性媒体中での酸化反応による起電力は、塩基性媒体中で酸化反応させるよりも、原理的に大きくなる。これは、水素イオンH+が反応系の物質であるため、水素イオン濃度の高い酸性媒体中では化学平衡が生成系に傾き、結果として酸化電位を高くするためである。また、塩基性媒体中での還元反応による起電力は、酸性媒体中で還元反応させるよりも、原理的に大きくなる。これは、水酸化物イオンOH-が反応系の物質であるため、水酸化物イオン濃度の高い塩基性媒体中では化学平衡が生成系に傾き、結果として酸化電位を低くするためである。
このため、本発明のバイポーラー型電池の構成では、電極における酸化・還元反応により生ずる起電力が、電池から得られる電圧の主体的な源であり、電池内部の中和反応の発生箇所が変動する性質を有する領域での起電力が主体的となるバイポーラー型の電池と比べて、安定に電力を発生させることができる。
(第1の電極および第2の電極)
本発明において、第1の電極は正極であり、第2の電極は負極として機能する。これら第1の電極および第2の電極の材質としては、炭素および、炭化水素を骨格とする有機物からなるものが用いられる。また、電極内の電気伝導によって発電ロスを小さくするために、電極の抵抗値は当然低ければ低いほどよく、好ましくは、10-2Ωcm以下、より好ましくは10-4Ωcm以下がよい。炭素および、炭化水素を骨格とする有機物からなるものの具体例としては、グラファイトや活性炭、カーボンナノチューブ等の炭素構造体、アモルファスカーボン、グラッシーカーボン、それらを分散させたポリマー樹脂等が挙げられる。ただし、伝導度の点から、グラファイト、活性炭がより好ましい。
本発明において、第1の電極および第2の電極のいずれもが、板状、薄膜状、網目状、または繊維状であることが好ましい。特に、本発明の実施形態の場合は、電池内で発生した気体の排出流路となるべく、網目状であることが好ましい。ここで、「網目状」とは、少なくとも、排出しようとする気体が通り抜けられる貫通路が存在する多孔質状態であることを指す。
網目状の電極として、具体的には、セルロースや合成高分子製の紙類に、無電解メッキ法、蒸着法、またはスパッタ法によって上記の電極用材質を付着させてもよいし、カーボン繊維で網目状に織り込んでもよい。
また、第1の電極および第2の電極が、イオン交換樹脂やイオン伝導性ゲルのような形状保持性の高い両媒体に配置される場合、かかるイオン交換樹脂やイオン伝導性ゲルの表面に、所望の電極用材料を、無電解メッキ法、蒸着法、またはスパッタ法を用いて配置することも好ましい態様である。
(外装材)
本発明では、発電部の少なくとも一部を外装材で覆うことが好ましい。外装材で覆うことで、外部からの衝撃や腐食等から内部を保護することができる。なお、本発明の電池は、通常の電池とは異なり有害な重金属等は含まないので、厳重な外装(パッキング)を必要としない。またこれにより、外装材が軽くなり、電池自体が非常に軽くなる利点がある。さらには、外装材に金属を使用しなければ、使用済み電池を別途回収する必要もない。
外装材の材料としては、種々のものを使用することができるが、酸、アルカリに耐性をもつ材料であることが好ましい。
具体的には、ポリマー樹脂が挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエーテル等が用いることができる。
なお、焼却廃棄できるという観点から、外装材に炭素および、炭化水素を骨格とする有機物を用いることが好ましい。具体的には、炭素構造体、アモルファスカーボン、およびグラッシーカーボンからなる群より選択される1以上の材料を用いることができる。
以下、本発明の電池の好ましい実施形態の一例としてゲル型電池を例に挙げ、説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ゲル型電池は酸性媒体として、酸性水溶液をゲル化したイオン伝導性ゲルと、塩基性媒体として、塩基性水溶液をゲル化したイオン伝導性ゲルと、を隣接配置してなり、酸−塩基バイポーラー反応場を有する。具体的な構成に関して、図2に示されるゲル型電池の概略断面図を用いて説明する。
図2に示されるゲル型電池は、第1の電極1および酸性媒体2からなる酸性反応場と、第2の電極3および塩基性媒体4からなる塩基性反応場と、が接触しており、酸性媒体2に不図示の第1の物質を、塩基性媒体4に不図示の第2の物質を含有させた構成を有する。
例えば、第1の物質および第2の物質が過酸化水素である場合、過酸化水素水溶液を、酸性媒体2または塩基性媒体4、あるいはその両方に共存させておく。これにより、酸性反応場における酸化反応と、塩基性反応場における還元反応が生じ、起電力が発現する。
また電極は、媒体に対して片面から若しくは両面から接触していればよく、その形状は、電池内で発生した気体の排出流路となるべく、網目状であることが好ましい。
さらに、その外側に前記物質すべてを内包する外装材5が全体を覆うことによって、電池の形状を決定している。その際、第1の電極1および第2の電極3の一部のみが露出する構造になっている。
外装材5の形状を変えることによって、例えば、直方体の外装材や、円筒状の外装材を作製し、その形状に合わせた第1の電極1および第2の電極3を用いれば、酸性媒体2および塩基性媒体4は自由に形状は変えられるので、直方体の電池や円筒形の電池が作製できる。
このようなゲル型電池は、発電に伴って、導電性ゲルに含まれる水素イオンや水酸化物イオン、また、過酸化水素水溶液が消費され(同時に塩が生成する)、それらが無くなった時点で電力の供給は止まる。また、これらの消費される物質は、外部から再供給できないため、一次電池となるが、構成が単純であることに加え、両反応場として、自己保持性の高いゲル状態を利用するため、その反応場を安定に維持することができる。そのため、携帯性・経済性に優れた様々な電池形態をとることが可能である。
<発電機構>
本発明の電池を用い、既述の第1の物質および第2の物質を使用した場合、発電機構は、以下に説明する通りになると考えられる。
すなわち、酸性媒体に含有される第1の物質が水素イオンを伴って第1の電極から電子を奪う反応を生じさせ、かつ、塩基性媒体に含有される第2の物質が水酸化イオンを伴って第2の電極へと電子を供与する反応を生じさせて発電が起こると考えられる。
この反応により、第1の物質および第2の物質が内部エネルギーの低い複数の物質に化学変化することによって、その分のエネルギーを外部に電気エネルギーとして放出して電力を得ることができる。
特に、酸性媒体が酸性水溶液、塩基性媒体が塩基性水溶液からなり、第1の物質および第2の物質が、いずれも過酸化水素である場合、過酸化水素は、分解反応によって水と酸素を生成する。この化学反応を、本発明の電池のように、別々の電極で酸化反応と還元反応に分離して行うと、起電力が生じる。即ち、過酸化水素は、酸性反応場では酸化作用を有し、一方で、塩基性反応場では還元作用を有するため、起電力が発生する。このような、酸−塩基バイポーラー反応場を利用することで発電される。
より具体的に、発電機構について、図1を参照して説明する。図1に示されるように、正極(第1の電極)が配置されている酸性反応場(酸性媒体)では、過酸化水素が酸化剤として働き、下記(式1)に示されるように、過酸化水素の酸素原子が電極から電子を受け取り、水を生成する。また、負極(第2の電極)が配置されている塩基性反応場(塩基性媒体)では、過酸化水素が還元剤として働き、下記(式2)に示されるように、過酸化水素の酸素原子が電極に電子を供与して、酸素と水を生成する。これら反応により、起電力が発生し、発電が行われる。
22(aq)+2H++2e- → 2H2O ・・・(式1)
22(aq)+2OH- → O2+2H2O+2e- ・・・(式2)
上記式中、「(aq)」とは水和状態を示す(下記(式3)も同様)。
なお、反応場内においては、酸性媒体中に存在する水素イオンの対アニオン(図1中では、硫酸イオンSO4 2-に相当する)と、塩基性媒体中に存在する水酸化物イオンの対カチオン(図1中では、ナトリウムイオンNa+)と、が両媒体の界面で塩を形成することで、電荷のバランスを取ることができる。このとき、形成される塩は、水溶液中では通常イオン化する方が安定であるため、塩の形成による起電力への効果は、電極における酸化或いは還元反応における起電力と比べるとはるかに小さい。この結果、電極反応が主体的となる本発明のバイポーラー型電池は、酸性・塩基性媒体界面における中和反応を主体としたバイポーラー型電池と比べ、安定した発電を行える性質を有することとなる。
上記(式1)と(式2)の半反応式をまとめたイオン反応式(電荷のバランスが、酸性・塩基性媒体界面での水のイオン分解によって取られる場合)を下記(式3)に示す。
22(aq) → H2O+1/2O2 ・・・(式3)
熱力学計算によると、この反応のエンタルピー変化(ΔH)、エントロピー変化(ΔS)、ギブスの自由エネルギー変化(ΔG、温度T:単位はケルビン(K))は、それぞれ、ΔH=−94.7kJ/mol、ΔS=28J/Kmol、ΔG=ΔH−TΔS=−103.1kJ/molとなる。
また、理論起電力(nは反応に関る電子数、Fはファラデー定数)と理論最大効率(η)は、それぞれ、E=−ΔG/nF=1.07V、η=ΔG/ΔH×100=109%と計算される。この反応の理論的特徴は、過酸化水素分解反応でエントロピーが増加してΔSの符号が正になることである。そのため、ΔGの絶対値がΔHより大きくなり、理論最大効率が100%を超える。これとは異なり、水素−酸素系やダイレクトメタノール系等、他の電池反応では、ΔSの符号は負である。
これらのことから、本発明における発電機構に、第1の物質および第2の物質に過酸化水素を用いた場合の理論的特徴を以下に挙げる。
従来より知られている他の電池では、原理的に、エントロピー変化量TΔSを発電に利用できず熱として放出する。一方、本機構では、外界から熱を吸収して得たエントロピーの増加分を発電に利用することができる。そして、反応温度Tが高い場合の方が、ΔGの絶対値が大きくなり起電力が高くなる。
実用電池では、イオン反応式の理論起電力だけで出力電圧が決まるのではなく、過電圧等によって電圧が低下し同時に熱を発生する。例えば、単位電池をスタックして集積化する場合、或いは、電池を製品内部に組み込む場合に、この熱が大きな問題になる。しかし、上述のように、本発明の電池を用いることにより、理論的にはその熱を発電に再利用することができ、全体的な熱発生が少なくなる可能性がある。また、発電に利用できるエネルギー総量に相当するΔGは水素・酸素電池に比較して半分程度であるが、n=1(水素−酸素系の電池の場合はn=2)であるために理論起電力は同程度となる。
また、上記のことから、本発明の電池において、第1の物質および第2の物質に過酸化水素を用いた場合には、既述のような効果の他に、下記のような効果が得られる。
(1)過酸化水素は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する反応に伴って二酸化炭素を放出せず、その代わりに酸素を放出する。また、電池内の構造要素に、発火物・可燃物や有害な重金属類等を使用せず、さらに電極が炭素もしくは、有機物から構成されるため、使用後、別途回収する必要が無く、焼却処理可能となる。それ故、製造・使用・廃棄の製品サイクル全体に渡って環境安全性に優れる。
(2)過酸化水素は、常温常圧で液体であるため、貯蔵のために重い金属ボンベ等を必要としないし、水と自由に混合できるためゲル化が容易であり、貯蔵性・携帯性が優れている。
(3)酸化剤として酸素を使用する必要が無いため、空気量の限られた閉鎖環境下、また空気中に塵やゴミ等が多く含まれる過酷環境下でも、その使用に支障がない。
(4)過酸化水素は、その工業的製造方法として有機法(アントラキノンを中間体(何度も再利用するので消費しない)として、触媒による水素の接触還元と空気酸化とによって合成する方法)等がすでに確立されており、現状でも安定的に安価で供給されている。これに加え、周辺部品が少なくシンプルな構造で電池を構成し得るため、電池システム全体の重量および体積を小さくでき、かつ低コスト化や高耐久性を図れる。
上記においては、第1の物質および第2の物質として過酸化水素を用いた場合、について述べたが、両物質に他の物質(化合物)を用いた場合にも、電極側で酸化・還元反応を生じさせる点では実質的に同じである。
そのため、本発明の電池を用いれば、その発電機構により、安定した発電が可能となる。
また、本発明の電池において、電極反応で生成した生成物は、電極間ではなく電極近傍に生成される。そのため、これらを除去する必要がある場合には、電池構造を内包する外装材の外側から容易に除去することが可能となる。また、電極反応で生成した生成物が水であって、酸性媒体或いは塩基性媒体が水溶液である場合、若しくは、第1の物質および第2の物質を水溶液に混合、溶解、分散させて用いる場合には、生成された水を両媒体中に拡散させることや、電池外に排出することで、容易に電極近傍から除去することができる。
以上、本発明の電池について説明したが、本発明の構成は、既述のような構成に限定されるものではない。
例えば、上記構成の電池と、従来の水素燃料やメタノール燃料による電池を組み合せて複合発電機として使用することも可能である。
以下に本発明の効果を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図2に示されるゲル型電池を下記材料を使用して作製した。
すなわち、5mol/lの硫酸、および、反応物質である第1の物質として5mol/lの過酸化水素を同量混合したものを、0.3質量%のアガロース(寒天)でゲル化したものを酸性媒体2として使用し、5mol/lの水酸化ナトリウム、および、反応物質である第2の物質として5mol/lの過酸化水素を、2:1(体積比)で混合したものを0.3質量%のアガロースでゲル化したものを塩基性媒体4として使用した。第1の電極1および第2の電極3としては、4.5cm2(1.8×2.5cm)の活性炭繊維を使用し、それぞれを、酸性媒体2および塩基性媒体4に密着させて配置した。このようにして作製したゲル型電池を、縦、横の長さそれぞれ2cm、厚さ2mmのポリエチレン樹脂製直方体の外装材5で外装し、第1の電極1および第2の電極3のそれぞれの先端5mmのみ外装材5外部に露出させた。
以上のようにして、ゲル型の一次電池を作製した。
[評価]
作製した電池について、下記条件にて発電実験を行った。すなわち、この電池を1Ωから1MΩまでの抵抗器に接続し、そのとき流れる電流および印加される電圧をデジタルマルチメーター(KEITHLEY製2000)を用いて測定した。
上記の実験条件の電池を用いて得られた電流−電圧特性を図3に示す。図3から、本実施例の場合、開放電圧778mV、また、最大出力10mW/cm2(起電圧:472mV、電流21mA/cm2の時)が得られた。かかる結果より、本実施例の電池は、十分に実用可能であることが確認できた。
また、上記の実施例1の電池を大気中1000℃で1時間加熱したところ、灰しか残らなかった。残った灰を元素分析したところ、硫黄、ナトリウム(ともに酸性媒体、塩基性媒体の中和反応による塩)炭素、酸素しか検出されなかった。以上の結果から、この電池を焼却しても有害な物質は残らず、回収する必要がないことがわかった。
以上、実施例1のフレキシブル電池では、図3に示すように、良好な電圧および電流が得られており、本発明の新規な構成の電池を用いることにより、発電が行われて、電気エネルギーを供給できることが判明した。加えて、実施例1の様に、本発明の電池は焼却しても有害な物質は残らず、廃棄が可能であることが確認された。
本発明のフレキシブル電池を用いた発電機構を示す説明図である。 ゲル型電池の概略断面図である。 ゲル型電池を用いた実施例1および比較例1における電流−電圧特性の結果を示す図である。
符号の説明
1 第1の電極
2 酸性媒体
3 第2の電極
4 塩基性媒体
5 外装材

Claims (18)

  1. 発電部が、少なくとも、第1の電極が配置された酸性媒体と、第2の電極が配置された塩基性媒体とを備え、前記酸性媒体および前記塩基性媒体が互いに隣接もしくは近設されてなり、前記酸性媒体および前記塩基性媒体の少なくともいずれかに反応物質が含有されてなり、前記第1の電極および前記第2の電極が炭素および、炭化水素を骨格とする有機物からなり、前記酸性媒体および前記塩基性媒体に重金属を含まないことを特徴とする電池。
  2. 前記発電部の少なくとも一部が、炭素および、炭化水素を骨格とする有機物からなる外装材に覆われてなることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  3. 前記外装材が、ポリマー樹脂、炭素構造体、アモルファスカーボン、およびグラッシーカーボンからなる群より選択される1以上の材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  4. 前記反応物質が、前記酸性媒体および前記塩基性媒体のそれぞれに含有されてなることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  5. 前記酸性媒体に含有される前記反応物質としての第1の物質と、前記塩基性媒体に含有される前記反応物質としての第2の物質とが、同一の物質であることを特徴とする請求項4に記載の電池。
  6. 前記反応物質が、過酸化水素であることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  7. 前記反応物質が、当該反応物質を含有する液体もしくは固体、あるいは、化学変化によって当該反応物質を生成する液体もしくは固体、の状態で供給されてなることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  8. 前記酸性媒体が酸性水溶液からなり、かつ、前記塩基性媒体が塩基性水溶液からなることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  9. 前記酸性水溶液が、硫酸、メタンスルホン酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、過塩素酸、過ヨウ素酸、オルトリン酸、ポリリン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロ珪酸、ヘキサフルオロリン酸、酢酸、クエン酸、蓚酸、サリチル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、および、フマル酸からなる群より選択される酸を1以上含むことを特徴とする請求項8に記載の電池。
  10. 前記塩基性水溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、および水酸化テトラブチルアンモニウムを含む群から選択される塩基を1以上含む、または、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、およびアルミン酸カリウムを含む群から選択されるアルカリ金属塩を1以上含むことを特徴とする請求項8に記載の電池。
  11. 前記酸性媒体が酸性のイオン交換部材から構成され、かつ、前記塩基性媒体が塩基性のイオン交換部材から構成されることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  12. 前記イオン交換部材が、ポリビニルスチレン系のイオン交換樹脂、ポリフルオロヒドロカーボンポリマー系の高分子電解質膜、ポリビニルスチレン系のイオン交換膜、および繊維状ポリスチレン系のイオン交換濾紙からなる群より選択されることを特徴とする請求項11に記載の電池。
  13. 前記酸性媒体が酸性のイオン伝導性ゲルから構成され、かつ、前記塩基性媒体が塩基性のイオン伝導性ゲルから構成されることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  14. 前記酸性のイオン伝導性ゲルが、酸性水溶液を、架橋ポリアクリル酸、寒天、またはその塩類によりゲル化してなることを特徴とする請求項13に記載の電池。
  15. 前記塩基性のイオン伝導性ゲルが、塩基性水溶液をカルボキシメチルセルロース、架橋ポリアクリル酸、またはその塩類によりゲル化してなることを特徴とする請求項13に記載の電池。
  16. 前記第1の電極および/または第2電極が、炭素構造体、アモルファスカーボン、およびグラッシーカーボンからなる群より選択される1以上の材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  17. 前記第1の電極および第2の電極が、板状、薄膜状、網目状、または繊維状であることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  18. 前記第1の電極および前記第2の電極が、無電解メッキ法、蒸着法、またはスパッタ法により、前記酸性媒体および前記塩基性媒体にそれぞれ配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の電池。
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