JP2006003149A - Sprセンサーおよび屈折率測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面プラズモン共鳴効果を有する金属薄膜の複数のドットを周期的に配置して形成したクラスターを透明基板に周期的に配置するとともに、前記クラスターの中心間距離である周期は前記ドットの中心間距離である最小周期より長周期であることを特徴とする。
【選択図】図7
Description
抗体の抗原分子認識機能を使った免疫測定法は、複雑な生体分子を分離操作することなく検出できるため臨床検査、環境汚染物質の測定、生化学分野での測定で広く使われている。比較的感度の低い測定では、簡便な測定法が開発され、例えば、個人で行なうことのできる妊娠検査などに使われている。
抗原抗体反応を使って特定の分子を高感度に測定する場合には、蛍光分子で抗原分子を標識し、基板に固定化した抗体と反応させ、洗浄後、誘起蛍光法で抗体と結合した抗原分子を検出する方法が一般的である。このような特異的結合を利用する生体分子の測定法としては、抗原抗体反応のほかに、相補する配列を持つDNA、酵素と基質、レセプター分子とリガンド分子があり、結合する組み合わせも、1対1だけではなく多数の分子の複合体を形成する場合もあり、免疫測定法と同様に、蛍光分子によるラベル化と誘起蛍光法で測定されている。
そこで、ラベル化試薬を用いずに特異的反応を検出する方法が開発されている。この中で、表面プラズモン共鳴(SPR)を使った屈折率の測定から特異的結合を検出する方法は実用化され、広く使われている(非特許文献2)。
SPR法の光学系は、金薄膜を形成した高屈折率透明材料に単色光を照射し、全反射光を受光素子で測定する。光源からの強い全反射光を測定するので、安価な受光素子を用いることができる。単純な光学系で実現でき、光源には安価なLEDを、検出にはCCDカメラを使うことができる。このような特徴から、SPR法は小型の測定器にも適している。
SPR法では、金などの薄膜からのP偏光反射光強度の入射角度依存性から屈折率を求める。反射光の入射角度依存性と屈折率の関係は、フレネルの多層膜反射率式から、一意に求められる。したがって、高感度化を測るためには、ノイズの少ない、P偏光反射光強度の入射角度依存性を測定する必要がある。
またナノサイズの金微粒子を含む溶液の吸収スペクトルが、金微粒子に付着する物質の屈折率によってシフトする効果を利用するセンサーが知られている。また、基板上に銀のパターンをリソグラフィーで形成し、この基板の透過スペクトルの測定から、同様な測定が可能である(非特許文献3)。この方法では、透過スペクトルを測定する代わりに、特定波長の透過強度を測定して、屈折率を測定することができるので、簡便な測定装置に用いることができる。
一方、SPR測定法として、SPR効果により屈折率の変化が反射光の位相を大きく変化させる現象を利用した測定法がある(非特許文献4,5)。この方法では、2方向に分割したコヒーレント光の一方を、プリズムまたは回折格子カップラーまたは、コアに金薄膜をつけた導波路を介して金薄膜に照射し、他方との干渉による光強度の変化から金薄膜からの反射波の位相差を測定する。この方法では、高精度に光を分割する素子や合波する光学系が必要になる。また、温度や、機械的変形による影響を受けやすく、ノイズを小さくするのに特別な装置や、構造を必要とする。
一方、特に免疫測定においては、固定化された抗体の活性の保持が感度と分子の特異性に影響する。抗体は、基板上に固定された場合、密集して固定化されると活性を失うことがあり、適当に分散させる必要がある。このために、
(1)基板上に形成した高分子の3次元網目構造に抗体を固定化し、相互の距離が大きくなるようにする、
(2)基板上に形成した白己集積膜に規則的に固定するなどの方法が知られている。
「超高感度酵素免疫測定法」、石川栄治著、学会出版センタ、1993年12月19日発行、p.131〜132。 ビアコア株式会社、[online]、2004年3月30日検索、インターネットURL:http://www.biacore.co.jp/3_1_3.shtml。 A.J.Haes,R.P.Van Duyne,J.Am.Chem.Soc.,2002,124、10596−10604。 A.Brecht,G.Gauglitz,Biosensors&Bioelectronics 10(1995)923−936。 S.G.Nelson,K.S.Johnston,S.S.Yee,Sensors and Actuators B35−36,(1996)187−191。
しかしながら、高い屈折率感度を必要とする低濃度の物質の測定や、検出反応のインキュベーションに時間を掛けられない迅速な測定を安価に行う必要がある場合には、簡単な装置でノイズレベルを低く抑える必要がある。すなわち、SPR現象を用いる、免疫、DNAファイブリダイゼーション、レセプター・リガンドの特異的結合反応用いるセンサー、およびEIA、ELISA、ウエスタンブロッティング法による免疫測定において、高感度化を図るために、小型装置で複雑化することなく測定ノイズを低減することが課題である。
さらに、SPR測定で抗体による分子認識に用いる場合には、抗体の活性を保ったまま固定化する必要がある。しかし、SPR測定では、感度が基板表面から数百nmに限られているために、高分子膜を用いた場合には、必ずしも十分な密度の抗体を固定化できない問題があった。
(1)簡便な装置で、安定した屈折率の変化の測定ができる。
(2)表面プラズモン共鳴効果を持つドットの配列を最適化することにより、高感度な屈折率測定ができる。
(3)表面プラズモン共鳴効果を持つドットに固定された抗体の活性の維持を図ることができる、という効果を有する。
(1)簡便な装置で、安定した屈折率の変化の測定ができる。
(2)表面プラズモン共鳴効果を持つドットの配列を最適化することにより、高感度な屈折率測定ができる。
(3)表面プラズモン共鳴効果を持つドットに固定された抗体の活性の維持を図ることができる、という利点がある。
11 金ドットパターン面
2 クラスター
21 クラスター群
3 透明基板
4 半導体レーザ
5 CCDカメラ
6 マイクロ流路
7 穴
8 ガラス基板
81 溝
82 送液口
83 排出口
Claims (10)
- 表面プラズモン共鳴効果を有する金属薄膜の複数のドットを周期的に配置して形成したクラスターを透明基板に周期的に配置するとともに、前記クラスターの中心間距離である周期は前記ドットの中心間距離である最小周期より長周期であることを特徴とするSPRセンサー。
- 前記複数のドットが正方格子状に所定周期で配置されている前記クラスターを、前記透明基板に正方格子状に所定周期で配置したことを特徴とする請求項1記載のSPRセンサー。
- 前記ドットの最小周期は、30〜110nmであることを特徴とする請求項2記載のSPRセンサー。
- 前記ドットの最小周期は、80〜110nmであることを特徴とする請求項3記載のSPRセンサー。
- 前記クラスターの間隔は、400〜1600nmであることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載のSPRセンサー。
- 前記クラスターの間隔は、400〜800nmであることを特徴とする請求項5記載のSPRセンサー。
- 前記ドットの最大幅は60nm以下であることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項記載のSPRセンサー。
- 前記ドットの全部または一部を、特異的結合反応を起こす生体分子を含む膜で修飾したことを特徴とする請求項2から7のいずれか1項記載のSPRセンサー。
- 請求項1記載のSPRセンサーを使用し、前記ドットに測定すべき物質を接触させ、前記ドットの薄膜に単一波長の光を照射し該ドットからの反射回折光または、透過回折光を2次元アレイ状の受光素子で観測し、該ドット上の屈折率変化を、該ドットからの回折光の結像パターンから測定することを特徴とする屈折率測定方法。
- 請求項8記載のSPRセンサーを使用し、前記膜に特異的に分子が結合することによって起こる屈折率変化を測定することを特徴とする屈折率測定方法。
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