JP2006003111A - 核磁気共鳴装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度変動によって生じるRF送受信部の特性変動を抑止する。安定したRF信号の送受信が可能となり、核磁気共鳴装置の計測精度を向上する。
【解決手段】複数のパルスパターンの時系列な組み合わせによるパルスシーケンス設定部1-1の設定値Spに基づいて、データベース1-2にRF送信部2-1とRF受信部2-2の温度変化の予測データを記憶する。RF送信部2-1はパルスシーケンスに従ってRF信号を発生し、RF受信部2-2はサンプルから放出されるFID信号を受信する。温度制御部2-4はデータベース1-2からの温度予測データにより、温度変化を抑制する温度制御データS1を発生し、ペルチエ素子2-1a、2-2aに駆動信号Ic1、Ic2を出力する。ペルチエ素子は送受信部を冷却し、送受信部の温度Ts1、Ts2は温度制御部2-4にて受信され、表示部1-4に表示される。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のパルスパターンの時系列な組み合わせによるパルスシーケンス設定部1-1の設定値Spに基づいて、データベース1-2にRF送信部2-1とRF受信部2-2の温度変化の予測データを記憶する。RF送信部2-1はパルスシーケンスに従ってRF信号を発生し、RF受信部2-2はサンプルから放出されるFID信号を受信する。温度制御部2-4はデータベース1-2からの温度予測データにより、温度変化を抑制する温度制御データS1を発生し、ペルチエ素子2-1a、2-2aに駆動信号Ic1、Ic2を出力する。ペルチエ素子は送受信部を冷却し、送受信部の温度Ts1、Ts2は温度制御部2-4にて受信され、表示部1-4に表示される。
【選択図】 図1
Description
本発明は核磁気共鳴装置に関し、特に高周波信号送受信特性の温度安定性に関する。
一般に、核磁気共鳴装置におけるパルスシーケンスの各パラメータは、レベルが0.1dB以下、タイミング(時間分解能)が50ns程度、位相が0.05°程度の精度で設定し、共鳴周波数は数百MHzオーダーのラジオ波に対して0.005Hz程度の精度が必要とされている。このため、RFパルス信号を生成するRF送信部と、数百MHzオーダーの高周波信号が主成分であるFID信号のレベル、時間分解能、位相をRF送信部同等の精度で受信し分析するRF受信部には極めて高い精度と安定性が要求される。特に、核磁気共鳴装置による測定では、1回につき数日〜数週間といった長時間の継続が必要なケースも多く、測定中にRF送信部、RF受信部、パワーアンプ、磁場補正電源などの電子回路の温度ドリフト等が発生する。特に、RF送受信部の回路特性が変動すると測定精度が低下するため、極めて高い安定性が必要である。
電子回路の温度制御には、電子回路の一部に温度センサとファンなどの冷却装置を設け、温度センサの検出温度が目標の温度となるように冷却装置を駆動するフィードバック制御を行う方法が広く用いられている。
また、特許文献1の核磁気共鳴装置は、高周波パルスを出力する電力増幅器と、この高周波パルスを試料に印加すると共に試料からのNMR信号を検出する検出器と、検出器からのNMR信号を受信する受信器と、これら3者の接続を切り替える送受信切替器からなる。電力増幅器から高周波パルスが出力される期間は電力増幅器と検出器を接続して、受信器と他の接続は遮断する。試料からNMR信号が放出される期間は検出器と受信器を接続し、電力増幅器と他の接続は遮断する。これにより、電力増幅器を熱的に安定させ、RFパルス信号、およびFID信号を安定して送受信できるようにした記載がある。
核磁気共鳴装置においては、測定中にRF信号送信とFID信号受信に関わる電子回路の温度が変動すると、分解能が低下し測定精度に影響を与える。上記の公知技術では、電力増幅器を熱的に安定化させる点についての記載はあるが、RF送信部、RF受信部の温度変動については考慮されていない。
また、電子回路をフィードバック制御で温度制御する技術は、核磁気共鳴装置においては応答性が不十分であり、特にRF送信部やRF受信部に必要な温度安定性を得ることは困難である。
RF送受信部は、電子部品の発熱や周囲温度などによる電気的特性の変動に対し、高い精度と安定性が必要とされるため、高精度な電子部品の組合せや、基板配線の長さによる信号伝播の遅れなども考慮した電子回路で構成されている。しかし、回路全体の周囲温度あるいは電子部品の温度変動は、周波数や位相、タイミングのズレや、アナログ増幅素子の動作点の変位など、各パラメータの誤差要因となり、測定分解能を低下させる。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、RF送信部、RF受信部の温度変動による測定精度低下を抑制した核磁気共鳴装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は、パルスパターンの組合せによるパルスシーケンスに基づいて、高周波信号の発生と受信を行う送信部と受信部(以下、送・受信部)を備える核磁気共鳴装置において、前記パルスシーケンス毎の温度予測に前記磁場補正電源による温度予測を加えた温度予測データを予め記憶するデータベースと、前記温度予測データに基づいて前記送・受信部の温度変化を調整する駆動信号を出力する温度制御部と、前記駆動信号に応じて前記送・受信部の温度変化を制御する温度加減手段を設けることを特徴とする。
また、上記構成は静磁場を補正するための直流電流を発生する磁場補正電源を備える場合にも適用される。
前記温度加減手段はペルチエ素子であり、ペルチエ素子は前記送受信部の発熱素子、回路全体またはプリント基板全体を覆うように実装される。
また、前記送受信部に温度センサと、前記温度センサの測定温度を監視する表示部を設け、警告表示および/またはリアルタイム表示を行うことを特徴とする。
本発明によれば、RF送信部及びRF受信部の温度変動の関係を温度予測データとするデータベースを用いて、RF送信部とRF受信部の温度変動を相殺するように温度加減手段を制御するため、RF送信部とRF受信部の温度変動を抑止できる。これにより、長時間に亘って高精度かつ高安定な測定が可能となる核磁気共鳴装置を提供できる。
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例である核磁気共鳴装置の構成を示している。
核磁気共鳴装置は、静磁場に置かれたサンプルにラジオ波パルス信号(以下、RFパルス信号と呼ぶ)を照射した後に、サンプルから放出される自由誘導減衰信号(以下、FID信号と呼ぶ)受信し、FID信号の周波数成分を分析してサンプルの分子構造を解析する。なお、RFパルス信号の照射からFID信号の分析までの一連の過程を測定と呼ぶ。
核磁気共鳴装置は、静磁場を発生させる磁石8と、静磁場中でサンプルを内包するように設置してRFパルス信号を照射しかつFID信号を受信するプローブ9と、RFパルス信号の送信とFID信号の受信など、計測制御を行う計測制御コンソールで構成される。
計測制御コンソールの基本構成は、RFパルス信号を生成して送信するRF送信部2−1と、その出力を電力増幅してプローブ9に送出するパワーアンプ2−3と、プローブ9から受信したFID信号の信号処理を行うRF受信部2−2である。また、操作者が測定内容に応じた各種設定や測定結果等の表示を行うユーザーインタフェースである操作端末1も有する。また、計測制御コンソールには、上記の他にも測定目的に応じて、傾斜磁場制御用の機器を装備することがある。計測制御コンソールの構成要素のうち、RF送信部2−1、RF受信部2−2、パワーアンプ2−2は共通のラック2に収納されている。
操作者が測定を行う際には、RFパルス信号のパルスパターンを操作端末1より設定入力する。このパルスパターンは、複数のパルスを時系列に組合せて構成するものであり、一般にはパルスシーケンスと呼ばれている。パルスシーケンスを構成する個々のパルスは、測定の目的に合わせてパルス幅(立上りと立下りのタイミング)、レベル、位相の各パラメータが設定される。
パワーアンプ2−3を介してプローブ9からサンプルに照射されるRFパルス信号は、パルスシーケンスによってタイミング、レベル、位相を規定された特定周波数の正弦波である。この特定周波数は原子の核種に固有の共鳴周波数であり、一般的にラジオ波と呼ばれる周波数帯域となる。
更に詳細に説明する。操作端末1では、パルスシーケンス設定部1-1で設定したパルスシーケンス設定値Spが温度制御データベース1-2とラック2のRF送信部2-1に送られる。また、表示部1-4にはラック2の温度制御部2-4からの温度モニタ信号Tmを入力するようにしている。温度制御データベース1-2は、パルスシーケンス設定値Spを入力して、これを参照し、適合する温度制御データTd1(RF送信部用)、Td2(RF受信部用)を出力する。
ラック2は、パルスシーケンス設定値Spを取り込むRF送信部2-aと、RF送信部2-1から出力するRFパルス信号RFoutを電力増幅し、プローブ9にRFパルス増幅信号Poutを送出するパワーアンプ2-3と、プローブ9からのFID信号RFinを入力して増幅や検波などの信号処理を行うRF受信部2-2を設ける。さらに、RF送信部2-1とRF受信部2-2に各々設けた温度加減手段であるペルチエ素子2-1a、2-2aと、ペルチエ素子2-1a、2-2aへ駆動電流Ic1,Ic2を出力し、ペルチエ素子2-1a、2-2aから温度信号Ts1、Ts2を入力する温度制御部2-4で構成する。温度制御部2-4は操作端末1の温度制御データベース1-2から、温度制御データTd1、Td2を入力するようにしている。
測定時には、操作者が操作端末1のパルスシーケンス設定部1-1からパルスシーケンスを入力設定する。図2にパルスシーケンスの一例を示す。パルスシーケンスは、複数の単パルスを時系列に組み合わせたもので、基本的に時刻t0〜t10と振幅L1〜L3の情報から成る。入力設定する際には、例えば図2(a)のように、時刻t0〜t1は振幅0、時刻t1〜t2は振幅L2、時刻t2〜t3は振幅0のように、時刻と振幅を定義する。
このように定義して設定したパルスシーケンスの設定値Spは、RF送信部2-1において特定の原子核種の共鳴周波数(正弦波)の出力タイミングと振幅を制御するために用いられる。
パルスシーケンス設定情報Spによって制御された正弦波がRFパルス信号RFoutであり、図2(b)のように、正弦波の頂点を結んだほうらく線がパルスシーケンスと一致するようになる。RFパルス信号RFoutをパワーアンプ2-3で電力増幅を行った信号Poutを被測定物に照射させる。
なお、図2のパルスシーケンスは一例であり、時刻と振幅を細分化して定義した単パルスを組合せて長時間繰り返して発生させる場合が多い。実際の測定においては、パルスシーケンスは測定目的によっていくつかのパターンに分類することができ、パルスシーケンス設定部1-1に上記いくつかのパターンをデフォルト値としてデータを格納しておく。操作者は単パルスの一部分、例えば図2(a)の時刻t2をΔt時間延期させるなど、若干の変更を加えて用いることが多い。
上述のように設定したパルスシーケンスは、RF送信部2-1において電気信号として生成する。このため、RF送信部2-1は複雑な演算を行う演算回路で構成している。複雑で長時間のパルスシーケンスが設定された場合は、演算処理が煩雑となり演算回路の一部の電子素子の負荷が高くなり、電子素子自身あるい演算回路を実装したプリント基板が発熱する。
一方、RF受信部2-2では、複雑で長時間に亘るパルスシーケンスに基づいたRFパルス信号に対するFID信号を受信し、増幅や検波の演算処理を実施する。このため、パルスシーケンスの設定値に応じてRF受信部2-2を構成する演算回路の一部の電子素子の負荷が高くなり、電子素子自身あるい演算回路を実装したプリント基板が発熱する。
温度加減手段であるペルチエ素子2-1a、2-2aは、それぞれRF送信部2-1とRF受信部2-2の発熱部分である演算回路に設置されている。一般にペルチエ素子は、電極に流す駆動電流の値と方向によって片面が冷却、他の片面が加温するように機能するものである。ペルチエ素子2-1a、2-2aに対しては、温度制御部2-4が駆動電流を制御し、Td1に応じた駆動電流Ic1、Td2に応じた駆動電流Ic2としてペルチエ素子2-1a、2-2aの温度を制御する。
図3にRF送受信部と、ペルチエ素子及び温度制御部の具体的な構成を示す。RF送信部2-1には演算回路2-1b、RF受信部2-2には演算回路2-2bがあり、これら演算回路2-1b、2-2bは、パルスシーケンスの設定値に応じて発熱する部分である。演算回路2-1b、2-2bの直近あるいは演算回路2-1b、2-2bの実装面上(図3中では直近)に温度センサ2-1c、2-2cを各々設け、演算回路2-1bと温度センサ2-1c、および演算回路2-2bと温度センサ2-2cを各々覆うようにペルチエ素子2-1a、2-2aを設置する。
温度センサ2-1c、2-2cが検出した温度信号Ts1、Ts2は温度制御部2-4の演算器2-4aに入力する。ペルチエ素子2-1a、2-2aの駆動電流Ic1,Ic2は、温度制御部2-4の駆動回路2-4bから供給する。
温度制御部2-4の演算器2-4aは、温度制御データTd1、Td2に基づいて指令S1を駆動回路2-4bに与え、駆動回路2-4bから駆動電流Ic1、Ic2を出力させる。指令S1は、制御精度と応答性の観点から複数ビットをパラレルで構成したディジタル信号が好ましい。駆動電流Ic1、Ic2の値を上記ディジタル信号により表現する。この場合、駆動回路2-4bにディジタル/アナログ変換器(図示せず)を設けて、指令S1をアナログ信号に変換して駆動信号Ic1、Ic2を生成する。
次に、パルスシーケンスの設定値Spと温度制御データTd1、Td2、およびRF送信部2-1、RF受信部2-2の各演算回路温度の関係について説明する。図4はパルスシーケンスと温度制御の関係示す時間波形図である。図4の(1)はパルスシーケンスの設定値Spであり、時刻t0からt1の間に振幅LaとなるパルスA、時刻t2からt3の間に振幅LaとなるパルスB、時刻t4からt5の間に振幅LcとなるパルスCが設定されている。なお、前述のように実際に測定に用いるパルスシーケンスは更に多くのパルスで構成するが、図4では省略している。
図4(1)のパルスシーケンス設定値の場合、RF送信部の演算回路の温度変動は(2)のように、初期温度T0を起点に時間経過に従いパルスAによりTa℃、パルスBによりTb℃、パルスCによりTc℃なることを予め測定して把握しているものとする。
同様に、RF受信部の演算回路の温度変動(3)も、初期温度T0'を起点に時間経過に従いパルスAによりTa'℃、パルスBによりTb'℃、パルスCによりTc'℃なることを予め測定して把握しているものとする。
図4(4)、(5)は、(2)と(3)をそれぞれ時系列にΔt時間刻みの温度変化分を温度制御データTd1、Td2としてデータベース化したものである。これらの温度制御データTd1、Td2は、図3の演算器2-4aに与えられ、演算器2-4aにおいては、温度制御データTd1、Td2に基づいて駆動電流Ic1、Ic2をペルチエ素子2-1a、2-2aに流す。駆動電流Ic1、Ic2は、RF送信部2-1とRF受信部2-2のそれぞれの温度変動である図4(2)(3)を打ち消す温度を、ペルチエ素子2-1a、2-2aに発生させるのに相当する電流値である。このように、ペルチエ素子2-1a、2-2aに駆動電流Ic1、Ic2を流すことによって図4(8)(9)のようにRF送信部およびRF受信回路の各々の演算回路の温度を一定にすることができる。
また、演算器2-4aでは温度センサ2-1c、2-2cが検出した温度信号Ts1、Ts2を用いて、ペルチエ素子2-1a、2-2aによって調節された演算回路の温度を監視し、その温度を温度モニタ信号Tmとして操作端末の表示部に出力し、温度異常時には警報を出すなどの処理を行う。例えば、温度信号Ts1が予め設定された温度範囲を逸脱した場合には、「RF送信部温度異常」、「RF送信部温度上昇」、「RF送信部温度低下」などの警告表示や、温度のリアルタイム表示などが可能である。温度信号Ts2についても同様に、「RF受信部温度異常」、「RF受信部温度上昇」、「RF受信部温度低下」などの警告表示、温度のリアルタイム表示が可能である。
更に、演算器2-4aは、RF送信部およびRF受信部の演算回路における初期温度T0、T0'が所定の温度範囲にあることを確認する。初期温度が演算回路の演算精度の低下や誤動作をする恐れがある場合には、所定の温度範囲に温度を調節するような駆動電流をペルチエ素子に与えるように、駆動回路2-4bに対して指令S1を出力する。これにより、駆動回路2-4bはペルチエ素子を駆動して演算回路の温度を所定範囲内にする。換言すれば、演算器2-4aは温度信号Ts1、Ts2を用いてベースとなる初期温度を演算回路に与え、温度制御データベースを用いてパルスシーケンスによって発生する演算回路自身の温度変動を抑止している。
以上述べたように、本実施例によれば、予めデータベース化したRF送信部およびRF受信部の温度変動をもとに駆動電流値を制御されたペルチエ素子により、RF送信部とRF受信部の演算回路の温度調節を行う。このため、温度による演算回路の特性変動を抑止できるので、核磁気共鳴装置の測定精度と長時間の安定性が向上する。
また、図1と図3の構成においては、RF送信部とRF受信部を実装するプリント基板で温度変動の影響を受けやすい演算回路の部分をペルチエ素子で覆った例で説明した。しかし、演算回路全体が発熱しないで特定の電子素子のみが発熱する回路構成である場合には、特定の電子素子をペルチエ素子で覆っても、上記と同様にRF送信部およびRF受信部の温度変動による特性変動を抑止できる。この場合、小型のペルチエ素子を用いることができハードウエアの小型化が図れる。
図5にペルチエ素子の実装構成を示す。図5(a)は、プリント基板2-Aの実装面に設けられたRF送信部の演算回路用電子素子2-B1、2-B2にペルチエ素子2-1aが密着するように実装している。ペルチエ素子2-1aの温度はリード線2-Cにより供給される駆動電流Ic1で制御する。
図5(b)は、プリント基板2-Aの両面をペルチエ素子2-1aと2-1a'で挟み、リード線2-Cによりペルチエ素子に駆動電流Ic1を供給する構造として、プリント基板の両面から温度を加減することにより温度制御範囲の拡大と応答性の向上を図っている。図5(b)では、プリント基板全体をペルチエ素子で挟んでいるが、プリント基板の一部分(演算回路部分、または特定電子素子のみ)の両面を挟んでも良い。また、これらの実装方法はRF送信部とRF受信部に共通して適用できることは言うまでもない。
図6は本発明の第2の実施例を示す核磁気共鳴装置の構成図で、静磁場の磁場を補正する磁場補正電源を有している。図1の構成に対し、ラック2に磁場補正電源2-5と、操作端末1に磁場補正電源設定部1-3を加えた核磁気共鳴装置である。図6において、図1と共通の符号を付けた構成要素は同一の機能を有しているため、図1と異なる部分のみを説明する。
ラック2には、温度制御部2-4、RF送信部2-1、RF受信部2-2、パワーアンプ2-3、および磁場補正電源2-5が設けられている。磁場補正電源2-5は、磁石8内部に設けられた複数の小型コイル(図示していない)ごとに直流電流を流して均一の磁場分布を得るために用いるものである。図6では、磁場補正電源2-5から出力する直流電流をImとして表しているが、このImは複数の小型コイルごとに個別の電流値をまとめて表記している。
磁場補正電源2-5に対しては、操作端末1の磁場補正電源設定部1-3から小型コイルごとに流す電流値Simを入力設定する。磁場分布は、基本的に測定の初期において、小型コイルごとに電流値を設定すれば、測定中には微小なレベルで電流値を変更すればよく、電流値Imの大きな変化はなく、磁場補正電源2-5はほぼ一定の発熱をするといえる。
このため、磁場補正電源設定部1-3で設定された電流値Simを温度制御データベース1-2に入力し、図4の関係に上記一定の発熱を加味した温度制御データTd1、Td2を予めデータベースに記憶しておく。つまり、磁場補正電源2-5が電流値Imを出力することによって生じる温度上昇をTxとすると、この温度Txを温度制御データTd1、Td2のオフセット分として加算した値をベータベースとする。このデータベースによって、温度制御部2-4では駆動電流Ic1、Ic2を出力して、ペルチエ素子2-1a、2-2aの温度を調整し、RF送信部2-1とRF受信部2-2の温度を一定に安定化させる。
本実施例によれば、温度変動の影響を受けやすいRF送信部とRF受信部が磁場補正電源と同一のラックに収納された構成においても、温度による演算回路の特性変動を抑止できる。すなわち、パルスシーケンスの設定内容によるRF送信部とRF受信部の温度変動に磁場補正電源の温度変化分を加えたデータベースを用いて、ペルチエ素子の駆動電流値を制御してRF送信部とRF受信部の演算回路の温度調節を行う。このため、磁場補正電源の発熱があっても温度による演算回路の特性変動を抑止でき、核磁気共鳴装置に適用すれば測定精度と長時間の安定性が向上する。
1…操作端末、1-1…パルスシーケンス設定部、1-2…温度制御データベース、1-3…磁場補正電源設定部、1-4…表示部、2…ラック、2-1…RF送信部、2-2…RF受信部、2-1a…ペルチエ素子、2-2a…ペルチエ素子、2-1b…演算回路、2-2b…演算回路、2-1c…センサ、2-2c…センサ、2-3…パワーアンプ、2-4…温度制御部、2-4a…演算部、2-4b…駆動回路、2-5…磁場補正電源、8…磁石、9…プローブ。
Claims (5)
- パルスパターンの組合せによるパルスシーケンスに基づいて、高周波信号の発生と受信を行う送信部と受信部を備える核磁気共鳴装置において、
前記パルスシーケンス毎の温度予測データを予め記憶するデータベースと、前記温度予測データに基づいて前記送信部と受信部の温度変化を調整する駆動信号を出力する温度制御部と、前記駆動信号に応じて前記送信部と受信部の温度変化を制御する温度加減手段を設けることを特徴とする核磁気共鳴装置。 - パルスパターンの組合せによるパルスシーケンスに基づいて、パルスシーケンスの発生と高周波信号を受信する送信部と受信部と、静磁場を補正のための直流電流を発生する磁場補正電源を備える核磁気共鳴装置において、
前記パルスシーケンス毎の温度予測に前記磁場補正電源による温度予測を加えた温度予測データを予め記憶するデータベースと、前記温度予測データに基づいて前記送信部と受信部の温度変化を調整する駆動信号を出力する温度制御部と、前記駆動信号に応じて前記送信部と受信部の温度変化を制御する温度加減手段を設けることを特徴とする核磁気共鳴装置。 - 請求項1または2において、前記温度加減手段はペルチエ素子であることを特徴とする核磁気共鳴装置。
- 請求項3において、前記ペルチエ素子は前記送信部と受信部の発熱素子、回路全体またはプリント基板全体を覆うように実装されることを特徴とする核磁気共鳴装置。
- 請求項1または2において、前記送信部と受信部に温度センサを設け、また前記温度センサの測定温度を監視する表示部を設け、警告表示および/またはリアルタイム表示を行うことを特徴とする核磁気共鳴装置。
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JP2018201947A (ja) * | 2017-06-07 | 2018-12-27 | 株式会社日立製作所 | 医療装置システム及び医療装置システムの空調電力低減法 |
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