JP2005537465A - ショウジョウバエgタンパク質共役型レセプター、核酸およびそれに関連する方法 - Google Patents

ショウジョウバエgタンパク質共役型レセプター、核酸およびそれに関連する方法 Download PDF

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Abstract

本発明はキイロショウジョウバエGPCR(DmGPCR)ポリペプチドおよびこうしたDmGPCRを同定するおよびコードするポリヌクレオチドを提供する。加えて、本発明は発現ベクター、宿主細胞およびその産生のための方法を提供する。本発明はまた、潜在的殺虫薬として有用な、他の種における相同体およびDmGPCRアゴニスト/アンタゴニストの同定のための方法も提供する。本発明はさらに、DmGPCRを結合するための方法、DmGPCR発現および活性の変調剤を同定するための方法、DmGPCR抗体、DmGPCRアンチセンスポリヌクレオチド、DmGPCR結合パートナーまたは変調剤で昆虫の集団を制御するための方法、および外部寄生虫に関連する疾患または状態を防止するまたは処置する方法を提供する。特に、この発明は、オーファンショウジョウバエ短神経ペプチドFレセプターとその同族のペプチドリガンドのマッチングを開示する。

Description

技術分野
本発明は、一部、新規キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)Gタンパク質共役型レセプター(DmGPCR)をコードしている核酸分子、新規ポリペプチド、DmGPCRへ結合するおよび/またはDmGPCRの活性を変調する化合物をスクリーニングするためのアッセイ、DmGPCRを結合するための方法、DmGPCRをコードしているヌクレオチド配列の検出のための、DmGPCRに対する抗体、プライマーおよびプローブのごとき試薬、本発明の抗体、プライマーおよびプローブを含んでいるキット、DmGPCR、DmGPCR結合パートナーおよびDmGPCR変調剤を含んでいる組成物、並びにDmGPCR結合パートナーまたは変調剤を使用する、昆虫集団を制御するための方法に関している。
背景技術
ヒトおよびその他の生物形態は生きている細胞を含んでなる。それを通して生物体の細胞がお互いに連絡し、そしてそれらの環境から情報および刺激を得るメカニズムの中に、細胞表面上に発現された細胞膜レセプターがある。多くのこうしたレセプターが同定され、特徴付けされており、しばしば、構造的モチーフおよびシグナル伝達特性に基づいて、主レセプタースーパーファミリーへ分類されている。こうしたファミリーには、リガンド依存性(ligand−gated)イオンチャンネルレセプター、電位依存性(voltage−dependent)イオンチャンネルレセプター、レセプターチロシンキナーゼ、レセプタータンパク質チロシンホスファターゼおよびGタンパク質共役型(G protein−coupled)レセプターが(非限定的に)含まれる。レセプターは、細胞外シグナルを細胞性生理学的応答へ翻訳するための最初の必須な連鎖である。
Gタンパク質共役型レセプター(即ち、GPCR)は、アミノ末端細胞外ドメイン、カルボキシ末端細胞内ドメイン、および細胞膜を7回通過する、曲がりくねった(serpentine)構造により特徴付けられる、細胞表面レセプターの広大なスーパーファミリーを形成している。この故に、こうしたレセプターは、時に7膜貫通(7TM)レセプターとも称される。これらの7膜貫通ドメインは、アミノおよびカルボキシ末端ドメインに加え、3つの細胞外ループおよび3つの細胞内ループを規定する。レセプターの細胞外部分は、一つまたはそれより多くの細胞外結合パートナー(例えば、リガンド)を認識するおよび結合する役割を有しており、一方、細胞内部分は、下流のエフェクター分子を認識するおよび通信する役割を有している。
GPCRは、カルシウムイオン、ホルモン、ケモカイン、神経ペプチド、神経伝達物質、ヌクレオチド、脂質、匂い物質および光子さえも含む、多様なリガンドを結合する。驚くことではなく、GPCRは、多くの細胞型の普通の(および時折、異常な)機能において重要である。一般的には、Strosberg,Eur.J.Biochem.,1991,196,1−10;Bohmら,Biochem J.,1997,322,1−18、を参照されたい。特異的リガンドがその対応するレセプターに結合した場合、リガンドは典型的にはレセプターを刺激し、レセプターの細胞内部分または領域に共役している、特異的ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド−結合制御タンパク質(Gタンパク質)を活性化する。次いで、Gタンパク質は、細胞内のエフェクター分子に、そのエフェクター分子を刺激するまたは抑制することにより、シグナルを伝達する。これらのエフェクター分子には、アデニル酸シクラーゼ、ホスホリパーゼおよびイオンチャンネルが含まれる。アデニル酸シクラーゼおよびホスホリパーは、セカンドメッセンジャー分子cAMP、イノシトール三リン酸およびジアシルグリセロールの産生に関与している酵素である。細胞外リガンド刺激がGタンパク質を通して細胞内変化に影響を及ぼすのは、この一連の事象を通している。各々のこうしたレセプターは、それ自身に特徴的な一次構造、発現パターン、リガンド結合プロフィールおよび細胞内エフェクターシステムを有している。
細胞およびそれらの環境間の伝達におけるGタンパク質共役型レセプターの極めて重要な役割のため、こうしたレセプターは、調節(例えば、こうしたレセプターを活性化するまたは拮抗することにより)の魅力的な標的である。既知のリガンドを有しているレセプターに対し、リガンドの作用を促進するまたは抑制するため、アゴニストまたはアンタゴニストの同定が特に探求されてもよい。例えば、いくつかのGタンパク質共役型レセプターは疾患病因における役割を有しており(例えば、HIVコレセプターとして働くある種のケモカインレセプターは、AIDS病因に役割を果たすことができる)、そして、レセプターの天然リガンドの知見がなくても治療介入の魅力的標的である。他のレセプターは、それ自身が治療介入の魅力的標的である、組織または細胞型におけるその発現パターンにより、治療介入の魅力的標的である。この後者のカテゴリーのレセプターの例には、自己免疫を抑制するために、または病原体または癌と闘う免疫応答を促進するために標的とすることが可能な、免疫細胞で発現されるレセプター;並びに精神分裂病、抑鬱症、双極性疾患または他の精神病障害の処置において適切な標的であると思われる、脳若しくは他の神経器官および組織で発現されるレセプターが含まれる。この後者のカテゴリーのレセプターはまた、レセプターを発現する細胞サブタイプを(例えば、蛍光活性化細胞選別を介して)同定するおよび/または精製するためのマーカーとしても有用である。
昆虫は、農業における、およびヒト家庭環境における主たる害虫として認識されている。昆虫はまた動物およびヒトに寄生し、こうした場合において外部寄生虫として示されている、罹患率および死亡率の原因となる。昆虫はまた、植物、動物およびヒトに対してウイルス性および寄生虫性の疾患を伝搬するための媒介動物としても働く。それ故、昆虫集団を制御するための、および病原性または伝染病種を忌避するおよび/または殺すための新規方法を発見するという、継続的なおよびやむにやまれぬ要求が存在している。昆虫を殺すまたは麻痺させることにより昆虫集団を制御する一つの方法は、昆虫に選択的に毒性であり、および他の無脊椎動物に毒性である可能性がある、殺虫薬として示される、化学剤の使用である。現在、農作物および家畜を含んだ農産物へ損害を与えている昆虫の制御のために、殺虫薬は莫大な価値を有している。殺虫薬はまた、芝生および庭園の害虫、ならびに刺すまたは咬みつく昆虫、ハエおよびゴキブリを含んだヒトに損傷を与えるまたはうるさい昆虫に対する制御のため、ヒト家庭状況においても使用される。殺虫薬はまた、家畜動物およびペットにおける、ノミ、シラミ、マダニ、ダニおよび咬みつきハエを含む外部寄生虫により起こされる疾患状態の処置または防止のためにも莫大な価値を有している。しかしながら、殺虫薬として使用されている現在の化学製品は最適ではない。いくつかは哺乳動物に対して実証できる毒性を有しており、一方、これらのいくつかに対する耐性がある種の標的種で生じている。それ故、新規作用機構を有する、新しい選択的殺虫薬に対する要求が存在する。
神経ペプチドリガンドを有する昆虫GPCRの例が知られている(例えば、Liら,EMBO Journal,1991,10,3221−3229;Liら,J.Biol.Chem.,1992,267,9−12;Monnierら,J.Biol.Chem.,1992,267,1298−1302;Vanden Broeclcら,Int.Rev.Cytology,1996,164,189−268;Guerrero,Peptides,1997,18,1−5;Hauserら,J.Biol.Chem.,1997,272,1002−1010;Birgulら,EMBO J.,1999,18,5892−5900;Torfsら,J.Neurochem.,2000,74,2182−2189;およびHauser,Biochem.Biophys.Res. Comm.,1998,249,822−828;Larsenら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2001,286,895−901;Lenzら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2001,286,1117−1122;Kubiakら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2002,291,313−320;Staubliら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2002,99,3446−3451;Garczynskiら,Peptides,2002,23,773−780),Holmesら,Insect Molecular Biology,2000,(5),457−465;Cazzamaliら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2002,99,12073−12078;Cazzamaliら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2002,298,31−36;Radfordら,J.Biol.Chem.2002,277,38810−38817;Parkら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2002,99,11423−11428;Kreienkampら,J.Biol.Chem,10.1074/jbc.M206931200(2002年8月6日、オンライン公開)およびMertensら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2002,297,1140−1148、最新の関連した特許出願:Ebens,Allen James,Jr.;Torpey,Justin;Keegan,Kevin Patrick.キイロショウジョウバエGタンパク質共役型レセプターの核酸およびポリペプチドおよび殺虫薬並びに医薬標的としてのそれらの使用、PCT国際出願(2001),43pp.CODEN:PIXXD2 WO 0170981 A2 20010927 CAN 135:268323 AN 2001:713564 CAPLUS。Kravchik,Anibal、ショウジョウバエGタンパク質共役型レセプター、GPCRタンパク質をコードしているゲノムDNAおよびcDNA分子、並びに殺虫薬標的としてのそれらの使用、PCT国際出願(2001),392pp.CODEN:PIXXD2 WO 0170980 A2 20010927 CAN 135:269068 AN 2001:713563 CAPLUSを参照されたい)。
無脊椎動物(例えば、昆虫)に典型的に観察される、一般に4−12アミノ酸長のペプチドの大きなファミリーは、FMRFアミド関連ペプチド(即ち、FaRP)として知られている神経ペプチドのクラスである。原型FMRFアミド(FMRFa)ペプチドは、一般に(F,Y)(M,V,I,L)R(F,Y)NHから成っているそのC末端の“FMRF”共通アミノ酸配列のため、そのように名付けられた。神経ペプチドとして、これらの分子は制御された神経筋活動に必要とされる生体の生物学的プロセスに関与している。いくつかの神経伝達物質(neurotransmitter)および神経変調剤(neuromodulator)(神経ペプチドを含んで)がレセプターのリガンドとして機能することが示されているけれども、現在まで、GPCRのリガンドとしてのFaRP神経ペプチドは同定されていない。
保存されたFXGXR−アミドモチーフを含んでいるショウジョウバエペプチドは、哺乳動物タキキニンに構造的に相関しており、それ故にドロタキキニン(drotachykinin)と新しく名付けられた(Siviterら,J.Biol.Chem.,2000,275(30),23273−23280)。ドロタキキニンは昆虫腸の収縮に強力な刺激効果を有している(同上)。
ロイコキニン(leukokinin)は、腸運動力および細管液体分泌速度を刺激する、広範な昆虫ホルモンの群である。細管において、それらの主たる作用は、側底膜上のレセプターへ結合することによりクロリド透過性を上昇させることである。ロイコキニンは星細胞においてのみ、細胞内カルシウムイオンを上昇させることにより作用する(O’Donnellら,Am.J.Physiol.,1998,43,R1039−R1049)。
アラトスタチン(allatostatin)は、多様な昆虫種において、変態および再生における中心的役割を果たすことが知られている幼若ホルモンの合成を含む、多様な機能を制御している昆虫神経ホルモンの重要な群である。最初のショウジョウバエアラトスタチン、Ser−Arg−Pro−Tyr−Ser−Phe−Gly−Leu−NH(即ち、ドロスタチン−3)(配列番号165)、はショウジョウバエ頭部抽出物から単離された(Birgulら,EMBO J.,1999,18,5892−5900)。最近、4つのジョウバエアラトスタチンをコードするジョウバエアラトスタチン プレプロホルモン遺伝子がクローン化された:Val−Glu−Arg−Tyr−Ala−Phe−Gly−Leu−NH(ドロスタチン−1)(配列番号163)、Leu−Pro−Val−Tyr−Asn−Phe−Gly−Leu−NH(ドロスタチン−2)(配列番号164)、Ser−Arg−Pro−Tyr−Ser−Phe−Gly−Leu−NH(ドロスタチン−3)(配列番号165)およびThr−Thr−Arg−Pro−Gln−Pro−Phe−Asn−Phe−Gly−Leu−NH(ドロスタチン−4)(配列番号166)(Lenzら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2000,273,1126−1131)。最初のショウジョウバエアラトスタチンレセプターはBirgulらによりクローン化され、Gi/Go経路を経てドロスタチン−3により機能的に活性化されることが示された(Birgulら,EMBO J.1999,18,5892−5900)。第二の推定ショウジョウバエアラトスタチンレセプター(即ち、DARII)は最近クローン化された(Lenzら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2000,273,571−577)。DARIIレセプターcDNA(寄託番号AF253526)は、最初のショウジョウバエアラトスタチンレセプターと強く相関しているタンパク質をコードしている。最近、アラトスタチンによるDARIIの機能的活性化が我々(Larsenら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2001,286,895−901)および別の人(Lenzら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2001,286,1117−1122)により示された。最近、ショウジョウバエアラトスタチンタイプCプレプロホルモン遺伝子がクローン化され、それはショウジョウバエアラトスタチン−Cをコードしている:Gln−Val−Arg−Tyr−Gln−Cys−Tyr−Phe−Asn−Pro−Ile−Ser−Cys−Phe−OH(Williamsonら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2001,282,124−130)。成熟ペプチドは、N末端Gln環化の結果として形成されたN末端でのpGluを有しなければならず、pGlu−Val−Arg−Tyr−Gln−Cys−Tyr−Phe−Asn−Pro−Ile−Ser−Cys−Phe−OH(配列番号183)、およびタバコスズメガ(Manduca sexta)タイプCアラトスタチンと同様な、Cys6およびCys13間のジスルフィド架橋、並びに、4位でのみ異なっている(Phe4対Tyr4)配列、pGlu−Val−Arg−Phe−Gln−Cys−Tyr−Phe−Asn−Pro−Ile−Ser−Cys−Phe−OH(配列番号182)を得る(Kramerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1991,88,9458−9462)。Nicholsらはショウジョウバエアラトスタチン−Cの筋肉収縮の強力で延長された抑制を示し、それをフラットライン(flatline)(FLT)ペプチドと名付けた(Nicholsら,Peptides,2002,23,787−794)。我々の知識では、現在まで昆虫アラトスタチンタイプCに対するレセプターは同定されていない。
スルファキニンは昆虫Tyr−硫酸化神経ペプチドのファミリーである。これらは脊椎動物ガストリンおよびコレシストキニンに類似した配列および機能(筋肉同化効果および消化酵素放出の刺激)を示す。二つのスルファキニン(ドロスルファキニンとも呼ばれる)をコードしている遺伝子、DSKI[Phe−Asp−Asp−Tyr(SOH)−Gly−His−Met−Arg−Phe−アミド](配列番号160)およびDSKII[Gly−Gly−Asp−Asp−Gln−Phe−Asp−Asp−Tyr(SOH)−Gly−His−Met−Arg−Phe−アミド](配列番号161)が、キイロショウジョウバエで同定されている(Nichols,Mol.Cell Neuroscience,1992,3,342−347;Nicholsら,J.Biol.Chem.,1988,263,12167−12170)。C末端ヘプタペプチド配列、Asp−Tyr(SOH)−Gly−His−Met−Arg−Phe−アミド(配列番号162)、は進化期間で広く分離した昆虫からの、これまで同定されたすべてのスルファキニンで同一である。広く多岐にわたる昆虫分類群における、硫酸化tyr残基の存在を含むヘプタペプチド配列の保存は、おそらくこの筋肉同化“活性コア”の機能的重要性を反映している(Nachman & Holman,Insect Neuropeptides:Chemistry,Biology and Action中,Menn,Kelly & Massler,編,American Chemical Society,ワシントン,D.C.,1991,pp.194−214)。最近、我々はドロスルファキニンレセプター(DSK−R1と名付けられた)としてのショウジョウバエオーファンレセプター(DmGPCR9)を同定し、それをその活性化ペプチド、Met5→Leu修飾ドロスルファキニン−1、Asp−Tyr(SOH)−Gly−His−Leu−Arg−Phe−アミド(配列番号157)と適合させた(Kubiakら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2002,291,313−320)。新規デオーファン化ショウジョウバエGPCRには、PRXアミドペプチド、CCAP、コラゾニン、およびAKH(Parkら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2002,99,11423−11428;Cazzamaliら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2002,298,31−36);ロイコキニン(Radfordら,J.Biol.Chem.2002,277,38810−38817);ドロスタチン−C(Kreienkampら,J.Biol.Chem,10.1074/jbc.M206931200(2002年8月6日オンライン公開));FMRFアミド(Cazzamaliら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2002,99,12073−12078);および神経ペプチドF(Mertensら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2002,297,1140−1148)が含まれる。
発明の概要
本発明は、他の神経ペプチドGPCRに対して種々の程度の相同性を示す、本明細書においてDmGPCR(キイロショウジョウバエGタンパク質共役型レセプター)と称される、キイロショウジョウバエにおける新規ポリペプチドの驚くべき発見を含んでいる。本発明は、これらのこれまで知られていなかったGタンパク質共役型レセプターをコードしている遺伝子、前記遺伝子によりコードされているDmGPCRポリペプチド;前記ポリペプチドに対する抗体;前記ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを用いているキット、および前記のものすべてを作製するおよび使用する方法を提供する。DmGPCRは、例えば、神経ペプチド結合および/またはシグナル伝達の調節において、鍵となる成分としての役割を果たすことができる。DmGPCRはそれ故、神経ペプチドまたはその他の剤による結合および/またはシグナル伝達を修飾および/または制御することが可能な新規剤の探索において有用である。本発明のこれらおよびその他の様相が以下に記載されている。
いくつかの態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24のいずれかで示すようなアミノ酸配列を含んでなる精製されおよび単離されたDmGPCRポリペプチド、あるいはDmGPCRに対して特異的なエピトープを含んでなるその断片、を提供する。“に対して特異的なエピトープ”とは、以下に詳細に定義されるように、DmGPCRに対して特異的である抗体により認識可能である、DmGPCRレセプターの部分を意味している。本発明の一つの態様は、下記表4に見られる、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24に示すような完全アミノ酸配列を含んでなる、精製されおよび単離されたポリペプチドを含んでなる。これらのアミノ酸配列は、DmGPCRをコードしているポリヌクレオチド配列(下記表4に見られる、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21または23)から推定した。本明細書において、単数形の用語“DmGPCR”とは、各々のポリヌクレオチド配列によりコードされた、以下に例示される10アミノ酸配列の各々を包含することが意図されている。
提供する配列は特定のショウジョウバエ配列であるが、本発明はその範囲内に、DmGPCRのアリル変異体(allelic variant)、脊椎動物および無脊椎動物形を含むことが意図されている。
いくつかの態様において、本発明は、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列を含んでなる、精製されおよび単離されたポリヌクレオチド(例えば、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、RNAまたはその組み合わせ、一本鎖または二本鎖にかかわらず)を提供する。こうしたポリヌクレオチドは、レセプターを組換え的に発現するために、そしてまた、細胞中のレセプターの発現を検出するために(例えば、ノーザンハイブリダイゼーションおよびin situ ハイブリダイゼーションアッセイを使用して)有用である。こうしたポリヌクレオチドはまた、培養細胞、組織または動物中での、DmGPCRの発現の抑圧または調節のための、アンチセンスおよびその他の分子の設計において有用である。本発明のポリヌクレオチドの定義から特に除外されるのは、宿主細胞の全単離された、非組換え天然染色体である。本発明のポリヌクレオチドは、天然に存在するDmGPCR配列に対応する、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21または23に示すような任意の配列を有することができる。普遍的な遺伝子コードのよく知られた縮重のため、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24のいずれかで示すような配列を有するDmGPCRをやはりコードする、多くの他のポリヌクレオチド配列が存在することが認められるであろう。
本発明はまた、哺乳動物ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる、精製されおよび単離されたポリヌクレオチドも提供し、ここにおいて、ポリヌクレオチドは下記のハイブリダイゼーション条件下:
a)50%ホルムアミド、1%SDS、1M NaCl、10%硫酸デキストランを含んでなるハイブリダイゼーション溶液中、42℃で16時間のハイブリダイゼーション;そして
b)0.1%SSC、1%SDSを含んでなる洗浄溶液中、60℃で、各々30分の2回の洗浄
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21若しくは23のいずれかに示すような配列を有するポリヌクレオチドまたはそれに相補的な非コード鎖へハイブリダイズする。

ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションが他の核酸分子存在下で、前記遺伝子とのみ起こるようでなければならない。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、高度に相補的な核酸配列のみがハイブリダイズする。こうした条件は、20の連続したヌクレオチドの中で1または2の不適正を有している核酸のハイブリダイゼーションを防止することができる。
いくつかの態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含んでなるベクターを提供する。こうしたベクターは、例えば、それらの実用的な量を作り出すため、宿主細胞においてポリヌクレオチドを増幅するために有用である。いくつかの態様において、ベクターは発現ベクターであり、ここにおいて、本発明のポリヌクレオチドは、発現制御配列を含んでなるポリヌクレオチドへ機能可能なように(operably)連結されている。こうしたベクターは、本発明のポリペプチドの組換え産生に有用である。
いくつかの態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明のベクターで(安定にまたは一過性に)形質転換されたまたはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。前に述べたように、こうした宿主細胞は、ポリヌクレオチドを増幅するために、およびポリヌクレオチドによりコードされたDmGPCRポリペプチドまたはその断片を発現するためにも有用である。
さらに別の態様において、本発明は、DmGPCRポリペプチド(またはその断片)を産生する方法であって、栄養培地中で本発明の宿主細胞を増殖させ、そして細胞または培地から前記ポリペプチドまたはその変異体を単離する、工程を含んでなる、前記方法を提供する。DmGPCRは7回膜貫通レセプターであるので、ある種の活性アッセイのごときいくつかの応用に対しては、単離は、その中に包埋されたポリペプチドを含んでいる細胞膜の単離を含むことができ、一方、他の応用に対しては、より完全な単離を望むことができることが認められるであろう。
細胞外エピトープは、DmGPCRのごときレセプターへ結合する抗体および他の結合化合物を、発生させるおよびスクリーニングするために特に有用であることが認められるであろう。それ故、別の態様において本発明は、DmGPCRのN末端細胞外ドメインのごとき、DmGPCRの少なくとも一つの細胞外ドメイン(例えば、N末端細胞外ドメインまたは三つの細胞外ループ少なくとも一つ)を含んでなる、精製されおよび単離されたポリペプチドを提供する。本発明にまた含まれているのは、DmGPCRの膜貫通ドメイン、DmGPCRの膜貫通ドメインを連結している細胞外ループ、DmGPCRの膜貫通ドメインを連結している細胞内ループ、DmGPCRのC末端細胞質領域、およびそれらの融合物を含んでなる精製されたポリペプチドである。こうした断片は天然のレセプターの連続的な部分でもよい。しかしながら、本明細書で提供するようなDmGPCR遺伝子およびタンパク質配列の知識は、天然のタンパク質において連続的ではない多様なドメインの組換えを可能にすることも認められるであろう。
さらに別に態様において、本発明は、本発明のDmGPCRに特異的な抗体を提供する。抗体特異性は、以下により詳細に説明されている。しかしながら、文献に以前に記載されている、およびDmGPCRと偶然に交差反応することが可能である(例えば、両方のポリペプチドにおける同様なエピトープの偶然の存在による)ポリペプチドから発生させることができた抗体は、“交差反応性”抗体と考えられることを強調すべきである。こうした交差反応性抗体は、DmGPCRに“特異的”である抗体ではない。抗体がDmGPCRに特異的であるか、または別の既知のレセプターと交差反応的であるかどうかの決定は、当該技術分野でよく知られているウェスタンブロッティングアッセイのごとき、いくつかのアッセイのいずれかを使用して行われる。DmGPCRを発現する細胞を同定するため、およびDmGPCR−リガンド結合活性を変調するためにも、DmGPCRの細胞外エピトープへ特異的に結合する抗体を使用することができる。
一つの変法において、本発明はモノクローナル抗体を提供する。こうした抗体を産生するハイブリドーマもまた本発明の側面として意図されている。
別の変法において、本発明はポリクローナル抗体を含んでなる、無細胞組成物を提供し、ここにおいて、抗体の少なくとも一つはDmGPCRに特異的な本発明の抗体である。動物から単離された抗血清は、水または他の希釈剤、賦形剤または担体に再懸濁された、抗血清の抗体分画を含んでなる組成物であるので、組成物の例である。
さらに別の関連する態様において、本発明は、DmGPCRに特異的である抗体に対して特異的な抗イディオタイプの抗体を提供する。
抗体は、化学的または組換え技術により単離することが可能な、比較的小さな抗原結合ドメインを含んでいることはよく知られている。こうしたドメインは、それ自身で有用なDmGPCR結合分子であり、そしてまた毒素または他のポリペプチドへ融合することができる。それ故、さらに別の態様において、本発明は、DmGPCR特異的抗体の断片を含んでなるポリペプチドを提供し、ここにおいて、断片およびポリペプチドはDmGPCRへ結合する。非制限的例として、本発明は、単鎖抗体、CDR移植抗体、およびヒト化抗体である、ポリペプチドを提供する。
また本発明の範囲内であるのは、例えば、医薬として受容可能な担体で処方されている、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体を含んでなる組成物である。
本発明はまた、本発明の抗体を使用する方法も提供する。例えば、本発明は、抗体がレセプターと結合する条件下、DmGPCRとDmGPCRに特異的な抗体とを接触させる工程を含んでなる、DmGPCRのリガンド結合を変調させるための方法を提供する。
本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24、または相同体またはその断片の群からの配列を含んでなるポリペプチドに対する対象(subject)の免疫応答を誘導する方法を提供する。本方法は、免疫応答を誘導するために十分なポリペプチドの量を対象に投与することを含んでなる。
本発明はまた、DmGPCRを結合する化合物を同定するためのアッセイも提供する。一つのこうしたアッセイは、(a)DmGPCRを含んでなる組成物を、DmGPCRを結合することが推測される化合物と接触させ;そして(b)化合物およびDmGPCR間の結合を測定する工程を含んでいる。一つの変法において、組成物は、その表面にDmGPCRを発現している細胞を含んでなる。別の変法において、単離されたDmGPCRもしくはDmGPCRを含んでなる細胞膜が用いられる。結合は、例えば、標識された化合物を使用することにより直接的に測定してよく、あるいは、化合物により誘導されたDmGPCRの細胞内シグナル伝達を測定する(またはDmGPCRシグナル伝達のレベルにおける変化を測定する)ことを含む、いくつかの技術により間接的に測定してもよい。
本発明はまた、DmGPCRを結合パートナーと結合させる方法も提供する。本方法は、(a)DmGPCRを含んでなる組成物を結合パートナーと接触させ;そして(b)結合パートナーがDmGPCRへ結合するようにさせる、工程を含んでなる。例えば、DmGPCRはDmGPCR1(配列番号1)、DmGPCR5(配列番号9)、DmGPCR7(配列番号17)またはDmGPCR8(配列番号19)であってもよい。結合パートナーは、例えば、ドロタキキニン、ロイコキニンまたはアラトスタチン−Cであってもよい。ドロタキキニン(DTK)は、例えば、DTK−1(配列番号169)、Met8−DTK−2(配列番号170)、DTK−2(配列番号171)、DTK−3(配列番号172)、DTK−4(配列番号173)およびDTK−5(配列番号174)であってもよい。ロイコキニン(LK)は、例えば、LK−I(配列番号175)、LK−V(配列番号176)、LK−VI(配列番号177)およびLK−VIII(配列番号178)、キュレキニン(Culekinin)(配列番号179)、軟体動物ロイコキニン様ペプチド、リムノキニン(lymnokinin)(PSFHSWSa)(配列番号180)およびショウジョウバエロイコキニン様ペプチドDLK−1(NSVVLGKKQRFHSWGa)(配列番号181)、DLK−2(pGlu−RFHSWGa)(配列番号182)およびDLK−2A(QRFHSWGa)(配列番号183)であってもよい。アラトスタチン(AST)は、例えば、AST−C(配列番号184)またはDST−C(配列番号185)であってもよい。他の結合パートナーには、非限定的に、配列番号186および配列番号187が含まれる。
本発明はまた、DmGPCRおよびDmGPCR結合パートナー間の結合の変調剤を同定するための方法も提供し、前記方法は、(a)推定変調剤化合物の存在下または非存在下、DmGPCR結合剤とDmGPCRを含んでなる組成物とを接触させ;(b)結合パートナーおよびDmGPCR間の結合を検出し;そして(c)推定変調剤の非存在下での結合と比較された、推定変調剤の存在下での結合パートナーおよびDmGPCR間の減少した若しくは増加した結合を考慮して、推定変調剤化合物または変調剤化合物を同定する工程を含んでなる。例えば、DmGPCRはDmGPCR1(配列番号1)、DmGPCR5(配列番号9)、DmGPCR7(配列番号17)またはDmGPCR8(配列番号19)であってもよい。結合パートナーは、例えば、ドロタキキニン、ロイコキニンまたはアラトスタチン−Cであってもよい。ドロタキキニン(DTK)は、例えば、DTK−1(配列番号169)、Met8−DTK−2(配列番号170)、DTK−2(配列番号171)、DTK−3(配列番号172)、DTK−4(配列番号173)およびDTK−5(配列番号174)であってもよい。ロイコキニン(LK)は、例えば、LK−I(配列番号175)、LK−V(配列番号176)、LK−VI(配列番号177)およびLK−VIII(配列番号178)、キュレキニン(Culekinin)(配列番号179)、軟体動物ロイコキニン様ペプチド、リムノキニン(lymnokinin)(PSFHSWSa)(配列番号180)およびショウジョウバエロイコキニン様ペプチドDLK−1(NSVVLGKKQRFHSWGa)(配列番号181)、DLK−2(pGlu−RFHSWGa)(配列番号182)およびDLK−2A(QRFHSWGa)(配列番号183)であってもよい。アラトスタチン(AST)は、例えば、AST−C(配列番号184)またはDST−C(配列番号185)であってもよい。一つの変形において、組成物は、その表面にDmGPCRを発現している細胞を含んでなる。別の変形において、単離されたDmGPCRもしくはDmGPCRを含んでなる細胞膜が用いられる。結合は、例えば、標識された化合物を使用することにより直接的に測定してもよく、あるいは、化合物により誘導されたDmGPCRの細胞内シグナル伝達を測定してもよい(またはDmGPCRシグナル伝達のレベルにおける変化を測定する)ことを含む、いくつかの技術により間接的に測定することができる。例えば、機能は、アゴニスト誘導[35S]GTPγS結合アッセイにより、cAMPアッセイ(cAMP産生の誘導または抑制)により、または蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)を使用する細胞内カルシウムレベルを測定することにより測定することができる。
DmGPCR活性を刺激するDmGPCR結合パートナーは、DmGPCRシグナル伝達を促進するまたは延長するアゴニストとして有用であり、そしてこの方法で正常に活性化されたシグナル伝達経路を干渉する。リガンド仲介DmGPCRシグナル伝達を遮断するDmGPCR結合パートナーは、正常DmGPCRシグナル伝達と干渉し、そしてレセプター仲介効果を減じるためのアンタゴニストとして有用である。加えて、DmGPCR変調剤、ならびにDmGPCRポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、DmGPCR活性が促進されたまたは減じられた段階または状態のための診断アッセイにおいて有用である。
別の様相において、本発明は外部寄生虫により引き起こされる疾患または異常な状態を処置するための方法を提供し、前記方法は、そのような処置を必要とする対象へ、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24から成る群より選択される外部寄生虫のポリペプチドの活性または発現を変調する物質を投与することを含んでいる。
外部寄生虫により引き起こされる疾患または障害の処置に有用な物質は、問題とする疾患または障害の処置に対応する活性のための一つまたはそれより多くのインビトロアッセイにおいて、陽性の結果を示すことができる。ポリペプチドの活性を変調させる物質には、非限定的に、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アゴニストおよびアンタゴニスト、および抗体が含まれる。
別の側面において、本発明は、外部寄生虫により引き起こされる疾患または障害の診断道具としての、試料中のポリペプチド検出のための方法を特色としており、ここにおいて前記方法は、(a)試料を、ハイブリダイゼーションアッセイ条件下、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24から成る群より選択されるポリペプチドをコードしている核酸標的領域へハイブリダイズする核酸プローブと接触させ、ここにおいて、前記プローブは、ポリペプチドその断片をコードする核酸配列、並びに/又は、配列の相補体および断片を含む、;そして(b)状態の指標として、プローブ:標的領域ハイブリッドの存在または量を検出する、工程を含んでなる。
本発明の核酸探査法に適した試験試料には、例えば、細胞または細胞の核酸抽出物、または生物学的液体が含まれる。上記の方法で使用される試料は、アッセイ型式、検出法および組織の性質、アッセイされるべき細胞または抽出物に基づいて変化するであろう。細胞の核酸抽出物を調製する方法は、当該技術分野ではよく知られており、利用される方法に適合する試料を得るために容易に適応させることが可能である。
いくつかの態様において、本発明は、DmGPCRの哺乳動物相同体のごとき相同体を提供する。DmGPCRの哺乳動物相同体は、限定されるわけではないが、神経系、膵臓(および特に膵島組織)、下垂体、骨格筋、脂肪組織、肝臓、胃腸(GI)管および甲状腺を含んだ組織中で発現させることができる。
いくつかの態様において、本発明は、DmGPCRの哺乳動物相同体を同定する方法を提供し、前記方法は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23、またはその一部から選択される核酸分子で、哺乳動物の核酸データベースまたは核酸ライブラリーをスクリーニングし、そしてデータベースまたはライブラリーの一部が前記配列に相同的であるかどうかを決定する工程を含んでなる。
本発明の別の側面は、DmGPCRの発現または活性を修飾するため、昆虫へDmGPCRポリヌクレオチドまたはポリペプチドの結合パートナーまたは変調剤を投与することを含んでなる、昆虫集団を制御する方法を提供する。例えば、昆虫は、ハエ、ショウジョウバエ(fruitfly)、マダニ(tick)、ノミ(flea)、シラミ(lice)、ダニ(mite)およびゴキブリから成る群より選択することができる。
DmGPCR結合パートナーは、ドロタキキニン(例えば、DTK−1(配列番号169)、Met8−DTK−2(配列番号170)、DTK−2(配列番号171)、DTK−3(配列番号172)、DTK−4(配列番号173)およびDTK−5(配列番号174))、ロイコキニン(例えば、LK−I(配列番号175)、LK−V(配列番号176)、LK−VI(配列番号177)およびLK−VIII(配列番号178)、キュレキニン(配列番号179)、軟体動物ロイコキニン様ペプチド、リムノキニン(PSFHSWSa)(配列番号180)、DLK−1(NSVVLGKKQRFHSWGa)(配列番号181)、DLK−2(pGlu−RFHSWGa)(配列番号182)およびDLK−2A(QRFHSWGa)(配列番号183))、あるいはアラトスタチン(AST−C(配列番号184)またはDST−C(配列番号185))であることができる。他の結合パートナーには、非限定的に、配列番号186および配列番号187が含まれる。DmGPCR変調剤は、抗DmGPCR抗体またはDmGPCRアンチセンスポリヌクレオチドであることができる。
本発明の別の態様は、宿主対象において外部寄生虫により引き起こされる疾患または状態を、防止するまたは処置する方法を提供し、前記方法は、DmGPCRの発現または活性を修飾するため、DmGPCRポリヌクレオチドまたはポリペプチドの結合パートナーまたは変調剤を対象に投与することによる。
本発明の追加の特色および変法は、詳細な説明を含んだ本出願の全体から、当業者には明らかになるであろうが、すべてのこうした特色は本発明の側面として意図されている。同様に、本明細書に説明した本発明の特色は、追加の態様に結合し直すことが可能であり、特色の組み合わせが本発明の側面または態様として上に特別に述べられているかどうかに関わりなく、それらもまた本発明の側面として意図されている。また、決定的と本明細書に記載されているこうした制限のみが、そのように見るべきであり;決定的であると本明細書に記載されていない、制限を無しの本発明の変法は本発明の側面として意図されている。
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、なかでも、キイロショウジョウバエGタンパク質共役型レセプター(DmGPCR)またはその一部をコードしている単離されおよび精製されたポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドを含んでいるベクター、これらのベクターで形質転換された宿主細胞、DmGPCRを作製する方法、前記ポリヌクレオチドおよびベクターを使用する方法、単離されおよび精製されたDmGPCR、DmGPCR活性を変調する化合物をスクリーニングする方法、およびDmGPCRの哺乳動物、脊椎動物または無脊椎動物相同体を同定する方法を提供する。
本文書を通して多様な定義が行われる。ほとんどの単語は、当業者によりこれらの単語にあるとされるであろう意味を有している。本文書において以下にまたは別の所で特別に定義された単語は、全体としておよび当業者により典型的に理解されるような、本発明の文脈で提供する意味を有している。
配列の群が示された場合、それらの組み合わせおよび副次的組み合わせもまた特別に企図されることを理解すべきである。例えば、“配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21または23”の開示により、本発明は、限定されるわけではないが、配列番号1および3;1および5;1、3および5;などの組み合わせおよび副次的組み合わせを含んでいることを理解すべきである。
本明細書において使用されるおよび当該技術分野で理解されている用語“合成された”とは、酵素的に対立するものとして、純粋に化学的な方法により製造されたポリヌクレオチドを指している。“完全に”合成されたDNA配列とはそれ故、化学的手段により完全に製造されており、“部分的に”合成されたDNAは、得られたDNAの一部のみが化学的手段により製造されたものを包含する。
用語“領域(region)”とは、生体分子の一次構造の物理的に近接した部分を意味している。タンパク質の場合、そのタンパク質のアミノ酸配列の近接した部分により定義される。
本明細書において、用語“ドメイン”とは、生体分子の既知のまたは推測される機能に寄与する、生体分子の構造的部分を指している。ドメインは、領域またはその一部と同一の広がりであってもよく、ドメインはまた、その領域のすべてまたは一部に加え、特定の領域と異なっている生体分子の一部を取り込むこともできる。GPCRタンパク質ドメインの例には、非限定的に、GPCRの同じ名前の領域と同一の広がりを持つ細胞外(即ち、N末端)、膜貫通および細胞質(即ち、C末端)ドメイン;GPCRの7つの膜貫通セグメントの各々;並びに隣接する膜貫通セグメントを連結しているループセグメント(細胞外および細胞内ループの両方)の各々が含まれる。
本明細書において、用語“活性”とは、直接的にかまたは間接的に結合を示唆しているまたは明らかにしている;応答に影響を及ぼしている、即ち、ある暴露または刺激に応じた測定可能な効果を有している、多様な測定可能なしるし(indicia)、例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの直接的な結合に対する化合物の親和性、または例えば、上流または下流タンパク質の量、またはある刺激または事象後における類似の機能の測定を含む、を指している。
本明細書において、用語“抗体”とは、完全で無傷の抗体、およびFab、Fab’、F(ab’)、Fvおよびそれらの他の断片を指すことを意味している。完全で無傷の抗体には、マウスモノクローナル抗体のごときモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体およびヒト化抗体が含まれる。
本明細書において、用語“結合”とは、2つのタンパク質または化合物、または会合したタンパク質または化合物、またはその組み合わせ間の物理的または化学的相互作用を意味している。結合には、イオン的、非イオン的、水素結合、ファンデルワールス、疎水性相互作用などが含まれる。物理的相互作用(結合)は直接でも間接でもよく、間接は別のタンパク質または化合物の効果を通してかまたはそれらの効果によっているものである。直接結合は、別のタンパク質または化合物の効果を通してかまたはそれらの効果により起こるものではなく、代わりに、他の実質的な化学的中間体が存在していない相互作用を指している。
本明細書において、用語“化合物”とは、任意の同定可能な化学物質または分子を意味しており、限定されるわけではないが、小分子、ペプチド、タンパク質、糖、ヌクレオチドまたは核酸が含まれており、そしてこうした化合物は天然でも合成のものであってもよい。
本明細書において、用語“相補的な”とは、核酸分子のヌクレオチド単位間のワトソン−クリック塩基対形成を指している。
本明細書において、用語“接触させる”とは、直接的か間接的に、化合物を本発明のポリペプチドまたはプリヌクレオチドの物理的近接内へ一緒に持って行くことを意味している。ポリペプチドまたはプリヌクレオチドは、かなり多くの緩衝液、塩、溶液などに存在することが可能である。接触させることは、例えば、化合物を、GPCRまたはその断片をコードしている核酸分子またはポリペプチドを含んでいる、ビーカー、マイクロタイタープレート、細胞培養フラスコまたは遺伝子チップのごときマイクロアレイなどの中に化合物を置くことを含んでいる。
本明細書において、句“相同的ヌクレオチド配列”または“相同的アミノ酸配列”またはその変異体とは、ヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルで、少なくとも明記されたパーセンテージの相同性により特徴付けられた配列を指している。相同的ヌクレオチド配列は、タンパク質のアイソフォームをコードしている配列を含んでいる。こうしたアイソフォームは、例えば、RNAの代替的スプライシングの結果として、同一生物体の異なった組織で発現することが可能である。あるいは、アイソフォームは異なった遺伝子によりコードすることが可能である。相同的ヌクレオチド配列は、限定されるわけではないが、哺乳動物を含む、昆虫以外の種のタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる。相同的ヌクレオチド配列はまた、非限定的に、本明細書に示されたヌクレオチド配列の天然に存在するアリル(allelic)変異および突然変異も含んでいる。しかしながら、相同的ヌクレオチド配列は、他の既知のGPCRをコードしているヌクレオチド配列を含んでいない。相同的アミノ酸配列は、保存的アミノ酸置換をコードしているアミノ酸配列、ならびに神経ペプチド結合および/またはシグナル伝達活性を有しているポリペプチドを含んでいる。しかしながら、相同的アミノ酸配列は、他の既知のGPCRをコードしているアミノ酸配列を含んでいない。パーセント相同性は、例えば、SmithおよびWatermanのアルゴニズム(Adv.Appl.Math.,1981,2,482−489、その全体が本明細書において援用される)を使用し、デフォルト設定を使用するGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,バージョン8 Unix用,Genetics Computer Group, University Research Park,マディソン,WI)により決定することが可能である。
本明細書において、用語“単離された”核酸分子とは、その天然の環境から取り除かれている核酸分子(DNAまたはRNA)を指している。単離された核酸分子の例には、限定されるわけではないが、ベクターに含まれている組換えDNA分子、異種宿主細胞に維持されている組換えDNA分子、部分的にまたは実質的に精製された核酸分子、および合成DNAまたはRNA分子が含まれる。
本明細書において、用語“調節する(regulates)”、“変調する(modulates)”または“修飾する(modifies)”とは、特定の活性またはタンパク質の量、質または効果における増加または減少を意味している。
本明細書において、用語“促進された活性(enhanced activity)”とは、増加した活性を意味している。用語“減じられた活性(impaired activity)”とは減少した活性を意味している。
本明細書において、用語“オリゴヌクレオチド”とは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で使用されるのに十分な数の塩基を有する、一連の連結されたヌクレオチド残基を指している。この短い配列は、ゲノムまたはcDNA配列に基づいており(またはそれらから設計され)、特定の細胞または組織における同一の、類似のまたは相補的なDNAまたはRNAの存在を、増幅する、確認するまたは明らかにするために使用される。オリゴヌクレオチドは、少なくとも約10ヌクレオチドそして約50ヌクレオチドもの、好ましくは約15から30ヌクレオチドを有しているDNA配列の一部を含んでなる。それらは化学的に合成され、そしてプローブとして使用することができる。
本明細書において、用語“プローブ”とは、使用に依存して可変長の、好ましくは少なくとも約10から約6,000ものヌクレオチドの間の、核酸配列を指している。これらは同一の、類似のまたは相補的な核酸配列の検出に使用される。より長い長さのプローブは通常、天然のまたは組換え起源のものから得られ、高度に特異的でありそしてオリゴマーより遅くハイブリダイズする。これらは一本鎖または二本鎖であることができ、そしてPCR、ハイブリダイゼーション膜に基づいた、またはELISA様技術において特異性を有するように、注意深く設計される。
ポリヌクレオチドを指す場合、“部分”または“断片”は、断片または部分が誘導される参照ポリヌクレオチドの少なくとも14、16、18、20、25、50または75の連続したヌクレオチドを有しているポリヌクレオチド配列を含んでいる。ポリペプチドを指している場合、“部分”または“断片”とは、断片が誘導される参照ポリペプチドの少なくとも5、10、15、20、25、30、35または40の連続したアミノ酸を有しているポリペプチドを指している。
用語“防止する(preventig)”とは、生物体が病気にかかるまたは異常な状態を発現する可能性を減少させることを指している。
句“昆虫集団を制御する(controlling)”またはその変形とは、集団における昆虫の数を増加させるまたは減少させることを指している。例えば、昆虫集団を制御する方法には、既定の昆虫集団において益虫の数を増加させる方法、および既定の昆虫集団において害虫の数を減少させる方法が含まれる。
用語“処置する”とは、治療効果を有し、そして生物体における異常状態を少なくとも部分的に軽減するまたは抑止することを指している。
本明細書において、用語“対象(subject)”とは、昆虫、脊椎動物、無脊椎動物および哺乳動物を指している。
用語“治療効果”とは、異常なまたは正常な状態を起こしているまたは寄与している因子の抑制(inhibition)または活性化(activation)を指している。治療効果は以下の一つまたはそれより多くのことを指している:(a)細胞の増殖、成長および/または分化における増加;(b)細胞死の抑制(即ち、遅延または停止);(c)変性の抑制;(d)状態に関係する一つまたはそれより多くの症状のある程度の軽減;並びに(e)冒された細胞集団の機能の促進。異常なまたは正常な状態に対して有効性を示している化合物は、本明細書に記載したように同定することが可能である。
処置されるべき生物体の状態は、異常であるかまたは正常であることができる。用語“異常な状態”とは、生物体の正常な機能から逸脱した、生物体の細胞または組織における機能を指している。例えば、異常な状態は、細胞増殖、細胞分化、細胞シグナル伝達または細胞生存に関係することが可能である。
句“正常な状態”とは、生物体の細胞または組織における正常な機能を指している。例えば、正常な状態は、細胞増殖、細胞分化、細胞シグナル伝達または細胞生存に関係することが可能である。
用語“投与する”とは、生物体の細胞または組織内へ化合物を取り込ませる方法に関連している。状態は、細胞または組織が生物体の内部にまたは生物体の外側に存在する場合に、防止する、処置するまたは誘導することが可能である。生物体の外側に存在している細胞は、細胞培養皿で維持するまたは増殖させることが可能である。生物体内に宿っている細胞に対しては、化合物を投与するための多くの技術が当該技術分野に存在しており、経口、非経口、経皮、注射およびエアロゾル適用が含まれる(限定されるわけではない)。生物体の外側の細胞に対しては、化合物を投与するための複数の技術が当該技術分野に存在しており、細胞マイクロインジェクション技術、形質転換技術および坦体技術が(非限定的に)含まれる。
状態はまた、対象生物体のシグナル伝達経路が修飾されている細胞の群へ化合物を投与することによっても、防止する、処置するまたは誘導することが可能である。生物体機能に対する、化合物投与の効果を次ぎにモニターすることが可能である。対象は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、伴侶動物(イヌまたはネコのごとき)、家畜動物(ニワトリ、ブタまたはウシのごとき)、ヤギ、ウマ、サル、類人猿またはヒトのごとき哺乳動物;蠕虫;または昆虫であることができる。
“増幅”とは、正常細胞と比較して、細胞中のDNAまたはRNAの数が増加されたことを意味している。“増幅”がRNAを指す場合、いくつかの正常細胞中にはRNAの基礎発現が存在しないので、RNAの検出可能な存在であることができる。発現の基礎レベルが存在する他の正常細胞において、これらの場合における増幅は、基礎レベルと比較して少なくとも1−2倍、および好ましくはそれ以上の検出である。
本明細書において、句“ストリンジェント(stringent)なハイブリダイゼーション条件”または“ストリンジェント条件”とは、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドがその標的配列へはハイブリダイズするであろうが、他の配列とはハイブリダイズしない条件を指している。ストリンジェント条件は配列依存的であり、異なった環境では異なっているであろう。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェント条件は定義されたイオン強度およびpHで、特異的配列の熱的融解点(Tm)よりも約5℃低くなるように選択される。Tmとは、(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度条件下)標的配列と相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列へハイブリダイズする温度である。標的配列は一般に過剰に存在しているので、Tmでは、50%のプローブが平衡状態で占有されている。典型的には、ストリンジェント条件は、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオンより少なく、典型的にはpH7.0から8.3で約0.01から1.0Mナトリウムイオン(または他の塩)であり、そして温度は、短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10から50ヌクレオチド)に対しては低くとも約30℃、そしてより長いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドに対しては低くとも約60℃である条件であろう。ストリンジェント条件はまた、ホルムアミドのごとき不安定化剤の添加によっても達成することができる。
アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの方向で、左から右へ示されている。アミノおよびカルボキシ基は配列中には示されていない。ヌクレオチド配列は、一本鎖でのみ、5’から3’の方向で、左から右へ示されている。ヌクレオチドおよびアミノ酸はIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨された型式で、または(アミノ酸に対して)3文字コードで示されている。
ポリヌクレオチド
本発明のゲノムDNAは、本発明のポリペプチドのためのタンパク質コード領域を含んでなり、そしてまた、そのアリル変異体を含むことも意図されている。多くの遺伝子で、ゲノムDNAがRNA転写産物へ転写され、それは一つまたはそれより多くのスプライシング工程をうけ、そこで転写産物のイントロン(即ち、非コード領域)が除去または“スプライスドアウト(spliced out)”されることは広く理解されている。選択的メカニズムでスプライスされることが可能なRNA転写産物は、それ故、異なったRNA配列の除去にかけられるが、しかしなおDmGPCRポリペプチドをコードしており、当該技術分野で“スプライス変異体”と呼ばれ、それは本発明に包含される。本発明に包含されているスプライス変異体は、それ故、同一のゲノムDNA配列によりコードされているが,異なったmRNA転写産物から生じる。アリル変異体は野生型遺伝子配列の修飾形であり、修飾は、染色体分離間の組換え、または遺伝子突然変異が発生する状態への暴露から生じている。野生型遺伝子と同様に、アリル変異体は天然に存在する配列である(インビトロ操作により発生する天然に存在しない変異体に対立するものとして)。
本発明はまた、DmGPCRをコードしているRNAポリヌクレオチドの逆転写を通して得られるcDNAも包含する(慣習的には、相補鎖の二次鎖合成が続いて、二本鎖DNAを提供する)。
DmGPCRポリペプチドをコードしているDNA配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21または23のいずれかに示されている。本発明のDNAは、DNAのためのワトソン−クリック塩基対形成規則に従ったコード鎖から明確に推定可能な配列を有する相補的分子(“非コード鎖”または“相補体”)と共に、二本鎖分子を含んでなることができる。また本発明に含まれるのは、普遍的核遺伝子コードのよく知られた縮重によって、本明細書に記載された特定のポリヌクレオチドとは配列が異なっている、本発明の特定のポリペプチドのいずれかをコードしている他のポリヌクレオチドである。
本発明はさらに、DmGPCR DNAの種(哺乳動物のごとき)相同体を包含する。時には“オルソログ(ortholog)”と一般に呼ばれている種相同体は、本発明のDNAと少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性を共有している。一般に、本発明のポリヌクレオチドに関するパーセント配列“相同性”は、最大パーセント配列同一性を達成するために、配列を整列させ、必要ならギャップを導入した後、特定のポリヌクレオチド配列に示したようなDmGPCR配列中のヌクレオチドと同一である、候補配列中のヌクレオチド塩基のパーセンテージとして計算することができる。
本発明の別の様相は、哺乳動物、脊椎動物および無脊椎動物を含む他の動物において、DmGPCRの相同体を同定するための、本明細書に開示したDmGPCRヌクレオチド配列の使用である。本明細書に開示した任意のヌクレオチド配列が、当業者にはよく知られているスクリーニング法を使用して、データベースまたは核酸ライブラリー(例えば、ゲノムまたはcDNAライブラリーのごとき)をスクリーニングするために、例えば、プローブとして使用することが可能である。
本発明により提供されたポリヌクレオチド配列情報は、当該技術分野でよく知られそして日常的に実施されている技術により、コードされたポリペプチドの大規模発現を可能にする。本発明のポリヌクレオチドはまた、サザンおよび/またはノーザンハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含むよく知られた技術により、アリル変異体および種相同体のごとき、関連DmGPCRポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの同定および単離を可能にする。関連ポリヌクレオチドの例には、アリル変異体を含むゲノム配列、ならびに一つまたはそれより多くのDmGPCRの生物学的、免疫学的および/または物理的特性を共有している、DmGPCRに相同的なポリペプチドおよび構造的に関連したポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドが含まれる。DmGPCRに相同的なタンパク質をコードしている遺伝子はまた、サザンおよび/またはPCR分析により同定することが可能であり、そしてGPCR障害の動物モデルにおいて有用である。DmGPCR DNAの配列の知識はまた、サザンハイブリダイゼーションまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を通して、プロモーター、オペレーター、エンハンサー、リプレッサーなどのごとき、DmGPCR発現制御調節配列をコードしているゲノムDNA配列の同定も可能にする。本発明のポリヌクレオチドはまた、DmGPCRを発現する細胞の能力を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイにおいても有用である。本発明のポリヌクレオチドはまた、疾患状態または複数の状態の根底にある、DmGPCRを発現している外部寄生虫の存在を同定するために有用な、診断法の根拠も提供することができ、その情報は診断および治療戦略の選択の両方に有用である。
DmGPCRポリペプチドをコードしている完全長ポリヌクレオチドの本明細書の開示は、当業者には、完全長ポリヌクレオチドのあらゆる可能な断片を容易に利用可能にしている。本発明はそれ故、DmGPCRをコードしているポリヌクレオチドの少なくとも14、そして好ましくは少なくとも16、18、20、25、50または75の連続したヌクレオチドを含んでなる、DmGPCRコードポリヌクレオチドの断片を提供する。本発明の断片ポリヌクレオチドは、DmGPCRコードポリヌクレオチドの配列に独特の配列を含むことができ、それ故、非常にストリンジェントなまたは中程度にストリンジェントな条件下でのみ(即ち、“特異的に”)、DmGPCRをコードしているポリヌクレオチド(またはその断片)へハイブリダイズする。本発明のゲノム配列のポリヌクレオチド断片は、コード領域に独特な配列を含んでなるのみでなく、また、イントロン、調節領域および/または他の非翻訳配列に由来する完全長配列の断片も含んでいる。本発明のポリヌクレオチドに独特な配列は、他の既知のポリヌクレオチドとの配列比較を通して認識可能であり、そして、例えば、公開配列データベースで利用可能な、当該技術分野で日常的に利用されている整列プログラムの使用を通して同定することが可能である。こうした配列はまた、ポリヌクレオチドがハイブリダイズするであろうゲノムDNAの断片の数を決定するためのサザンハイブリダイゼーションからも認識可能である。本発明のポリヌクレオチドは、放射活性、蛍光および酵素的標識を含んだ、それらの検出を可能にする型式で標識することが可能である。
断片ポリヌクレオチドは、完全長または断片DmGPCRポリヌクレオチドの検出のためのプローブとして特に有用である。一つまたはそれより多くのポリヌクレオチドを、DmGPCRをコードしているポリヌクレオチドの存在を検出するために使用する、もしくはDmGPCRをコードしているポリヌクレオチド配列における変異を検出するために使用する、キットに含ませることが可能である。
本発明はまた、中程度にストリンジェントなまたは非常にストリンジェントな条件下、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21または23中のポリヌクレオチドの非コード鎖、または相補体へハイブリダイズする、DmGPCRポリヌクレオチドをコードしているDNAも包含する。
非常にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は以下のようである:50%ホルムアミド、1%SDS、1M NaCl、10%硫酸デキストランを含んでなるハイブリダイゼーション溶液中、42℃でのハイブリダイゼーション、そして、0.1X SSC、1%SDSを含んでなる洗浄溶液中、60℃で30分の2回の洗浄。当該技術分野において、均等なストリンジェンシーを、Ausubelら(編),Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,1994,pp.6.0.3−6.4.10、により記載されているように、温度および緩衝液、または塩濃度の変動により達成することが可能であることが理解されている。ハイブリダイゼーション条件の修飾は、経験的に決定することが可能であり、またはプローブの長さおよびグアノシン/シトシン(GC)塩基対形成のパーセンテージに基づいて正確に計算することが可能である。ハイブリダイゼーション条件は、Sambrook(編),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor,ニューヨーク,1989,pp.9.47−9.51、に記載されているように計算することが可能である。
本発明に開示するヌクレオチド配列情報の知識を用い、当業者にはよく知られている多様な手段により、および、例えば、その全体が本明細書において援用される、Sambrookら,Molecular cloning:a laboratory manual,第2版,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY,1989、により記載されているように、異なった起源(即ち、異なった組織または異なった生物体)から、DmGPCRをコードするヌクレオチド配列を、当業者は同定する、および、得ることが可能である。
例えば、DmGPCRをコードするDNAは、本明細書に提供するDmGPCR遺伝子配列情報から発生させたオリゴヌクレオチドプローブでのmRNA、cDNAまたはゲノムDNAのスクリーニングにより得ることができる。プローブは、当業者には知られたおよび、例えば、Sambrookらにより記載されているような慣習的ハイブリダイゼーションアッセイで使用される方法に従って、蛍光基、放射活性原子または化学発光基のごとき、検出可能な基で標識することができる。
前記のDmGPCRヌクレオチド配列のいずれかを含んでなる核酸分子は、あるいは、本明細書に提供するヌクレオチド配列から製造されたPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いる、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の使用により合成することも可能である。Mullisらによる米国特許第4,683,195号およびMullisらによる米国特許第4,683,202号を参照されたい。PCR反応は、配列が前もって精製されていなくとも、および特定の試料中に単一コピーでのみ存在している場合においても、特定の核酸配列の濃度を選択的に増加させるための方法を提供する。本方法は一本鎖または二本鎖両方を増幅するために使用することが可能である。本方法の本質は、所望の核酸分子の鋳型依存性、ポリメラーゼ仲介複製のためのプライマーとして働く、二つのオリゴヌクレオチドプローブの使用を含んでいる。
幅広い多様な代替クローニングおよびインビトロ増幅方法論が、当業者にはよく知られている。これらの技術の例は、例えば、本明細書においてその全体が援用される、Bergerらの、Guide to Molecular Cloning;Techniques,Methods in Enzymology 152 Academic Press,Inc.,サンディエゴ,CA(Berger)、に見いだせる。
本発明の核酸分子およびそれらから誘導された断片は、制限断片長多型(RFLP)のスクリーニングのため、および遺伝子地図作製のために有用である。
自動化配列決定法が、DmGPCRのヌクレオチド配列を得るまたは検証するために使用することが可能である。本発明のDmGPCRヌクレオチド配列は、100%正確であると信じられる。しかしながら、当該技術分野で知られているように、自動化法により得られたヌクレオチド配列は、いくつかのエラーを含んでいるであろう。自動化により決定されたヌクレオチド配列は、既定の核酸分子の実際のヌクレオチド配列と、典型的には少なくとも約90%、より典型的には少なくとも約95%から少なくとも約99.9%同一である。実際の配列は、当該技術分野でよく知られている手動の配列決定法を使用して、より正確に決定することができる。一つまたはそれより多くのヌクレオチドの挿入または欠失を生じる配列中のエラーは、突然変異の地点から出発する、予測されたアミノ酸配列が、核酸分子の実際のヌクレオチド配列から予測されるであろう配列と異なっている、翻訳のフレームシフトを生じることができる。
発現構築物およびベクター
本発明のポリヌクレオチドを取り込んでいる、プラスミドおよびウイルスDNAベクターのごとき自己複製組換え発現構築物もまた提供する。ベクターは本明細書において、DmGPCRをコードしているDNAまたはRNAを増幅するため、および/またはDmGPCRをコードするDNAを発現するための両方に使用する。本発明のベクターには、限定されるわけではないが、プラスミド、ファージ、コスミド、エピソーム、ウイルス粒子、ウイルスおよび組み込み可能なDNA断片(即ち、相同的組換えにより宿主ゲノム内へ組み込み可能な断片)が含まれる。ウイルス粒子には、限定されるわけではないが、アデノウイルス、バキュロウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、スメリキフォレスト(Smeliki Forest)ウイルス、ワクシニアウイルスおよびレトロウイルスが含まれる。発現ベクターの例には、限定されるわけではないが、pcDNA3(Invitrogen)およびpSVL(Pharmacia Biotech)が含まれる。他の発現ベクターには、限定されるわけではないが、pSPORTベクター、pGEMベクター(Promega)、pPROEXベクター(LTI,ベセスダ,MD)、Bluescriptベクター(Stratagene)、pQEベクター(Qiagen)、pSE420(Invitrogen)およびpYES2(Invitrogen)が含まれる。
DmGPCRコードポリヌクレオチドが、内在性または外来性発現制御DNA配列および転写ターミネーターへ機能可能であるように連結されている発現構築物もまた提供する。発現制御DNA配列には、プロモーター、エンハンサー、オペレーターおよび調節要素結合部位が一般的に含まれ、そして典型的には、発現構築物が利用される発現系に基づいて選択する。プロモーターおよびエンハンサー配列は一般に、遺伝子発現を増加する能力で選択するが、一方、オペレーター配列は一般に、遺伝子発現を調節する能力で選択する。本発明の発現構築物はまた、構築物を運んでいる宿主細胞の同定を可能にする、一つまたはそれより多くの選択可能マーカーをコードしている配列も含むことができる。発現構築物はまた、宿主細胞における相同的組換えを容易にするおよび/または促進する配列も含むことができる。本発明の構築物はまた、宿主細胞における複製に必要な配列も含むことができる。
発現構築物は、コードされたタンパク質の産生に利用することができるが、また、単にDmGPCRコードポリヌクレオチド配列を増幅するためにも利用することもできる。いくつかの態様において、ベクターは発現ベクターであり、ここにおいて、本発明のポリヌクレオチドは、発現制御配列を含んでなるポリヌクレオチドへ機能可能であるように連結されている。いくつかの発現ベクターは、DmGPCRをコードしているDNA配列が、適した宿主においてDmGPCRの発現を達成することが可能な適した制御配列へ機能可能であるように連結または結合されている、複製可能なDNA構築物である。DNA領域は、それらがお互いに機能的に関連している場合、機能可能であるように連結または結合されている。例えば、プロモーターは、もしそれが配列の転写を調節するならば、コード配列へ機能可能であるように連結または結合されている。増幅ベクターは発現制御ドメインを必要としないがむしろ、通常、複製開始点、並びに形質転換体の認識を容易にするための選択遺伝子、により与えられる宿主中で複製するための能力のみを必要とする。発現ベクター中の制御配列の必要性は、選択された宿主および選ばれた形質転換法に依存して変化するであろう。一般に、制御配列は、転写プロモーター、転写を制御するための任意のオペレーター配列、適したmRNAリボソーム結合をコードしている配列、および転写および翻訳の終結を制御する配列を含んでいる。
ベクターは、宿主生物体により認識されるプロモーターを含むことができる。本発明のプロモーター配列は、原核生物、真核生物またはウイルスであることができる。適した原核生物配列の例には、バクテリオファージラムダのPRおよびPLプロモーター(本明細書においてその全体が援用される、The bacteriophage Lambda,Hershey,A.D.,編,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY,1973;本明細書においてその全体が援用される、Lambda II,Hendrix,R.W.,編,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY,1980);trp、recA、熱ショック、および大腸菌のlacZプロモーター、およびSV40初期プロモーター(本明細書においてその全体が援用される、Benoistら,Nature,1981,290,304−310)が含まれる。追加のプロモーターには、限定されるわけではないが、マウス乳腺腫瘍ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の末端反復配列、マロニーウイルス、サイトメガロウイルス最初期プロモーター、エプスタインバーウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンおよびヒトメタロチオネインが含まれる。
追加の調節配列もまた、本発明のベクター中に含ませることができる。適した調節配列の例には、例えば、ファージMS−2のレプリカーゼ遺伝子の、およびバクテリオファージラムダの遺伝子cIIのシャイン−ダルガルノ配列が含まれる。シャイン−ダルガルノ配列は直接的にDmGPCRをコードしているDNAが続くことができ、成熟DmGPCRタンパク質の発現を生じる。
さらに、適した発現ベクターは、形質転換された宿主細胞のスクリーニングを可能にする、適切なマーカーを含むことができる。選択された宿主の形質転換は、当業者にはよく知られている、および、例えば、Sambrookら(前記文献)に記載されている多様な技術のいずれか一つを使用して実施する。
複製開始点もまた、外来性開始点を含むようなベクターの構築により、または宿主細胞染色体複製機構により提供することが可能である。ベクターが宿主細胞染色体内へ組み込まれるならば、後者が十分であることができる。あるいは、ウイルス複製開始点を含むベクターを使用するよりも、当業者は、選択可能マーカーおよびDmGPCR DNAによる同時形質転換の方法により哺乳動物細胞を形質転換することが可能である。適したマーカーの例はジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはチミジンキナーゼである(例えば、米国特許第4,399,216号)。
DmGPCRをコードしているヌクレオチド配列は、連結のための平滑末端またはジグザグ(stagger)末端、適切な末端を提供する制限酵素消化、必要に応じて付着末端の埋め込み、望ましくない連結を避けるアルカリホスファターゼ処理、および適切なリガーゼによる連結、を含んでいる慣用的技術に従って、ベクターDNAと組換えることができる。こうした操作のための技術は、Sambrookら(前記文献)により記載されており、そして当該技術分野ではよく知られている。哺乳動物発現ベクターの構築のための方法は、例えば、Okayamaら,Mol.Cell.Biol.,1983,3,280;Cosmanら,Mol.Immunol.1986,23,935;Cosmanら,Nature,1984,312,768;EP−A−0367566およびWO 91/18982、各々、その全体が本明細書において援用される、に記載されている。
宿主細胞
本発明の別の側面に従い、コードされたDmGPCRポリペプチドの発現を可能にする型式で本発明のポリヌクレオチド(または本発明のベクター)を含んでなる、原核生物および真核生物を含む、宿主細胞を提供する。本発明のポリヌクレオチドは、環状プラスミドの一部として、または単離されたタンパク質コード領域またはウイルスベクターを含んでなる直線状DNAとして、宿主細胞内へ導入することができる。当該技術分野でよく知られそして日常的に実行されている、宿主細胞内へDNAを導入するための方法には、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、核注射またはリポソーム、ミセル、ゴースト細胞およびプロトプラストのごとき坦体との融合が含まれる。本発明の発現系には、細菌、酵母、真菌、植物、昆虫、無脊椎動物、脊椎動物および哺乳動物細胞系が含まれる。
本発明は、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明のベクターで(安定的にまたは一時的に)形質転換されたまたはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。前に述べたように、こうした宿主細胞は、ポリヌクレオチドを増幅するために、そしてまたポリヌクレオチドによりコードされているDmGPCRポリペプチドまたはその断片を発現するために有用である。
本発明のいくつかの側面に従い、前記核酸分子のいずれかを含んでなる発現ベクターを有している形質転換宿主細胞を提供する。ヌクレオチド配列の発現は、発現ベクターが適切な宿主細胞内に導入された場合に起こる。本発明のポリペプチドの発現に適した宿主細胞には、限定されるわけではないが、原核生物、酵母および真核生物が含まれる。もし原核生物発現ベクターが用いられるとすれば、適した宿主細胞は、クローン化配列を発現することが可能な任意の原核生物細胞であろう。適した原核生物細胞には、限定されるわけではないが、エシェリキア、バチルス、サルモネラ、シュードモナス、スロレプトミセスおよびスタフィロコッカス属の細菌が含まれる。
もし真核生物発現ベクターが用いられるとすれば、適した宿主細胞は、クローン化配列を発現することが可能な任意の真核生物細胞であろう。適した真核生物細胞には、限定されるわけではないが、非ヒト哺乳動物組織培養細胞およびヒト組織培養細胞が含まれる。宿主細胞には、限定されるわけではないが、昆虫細胞、ヒーラ細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、アフリカミドリザル腎臓細胞(COS細胞)、ヒト293細胞、およびマウス3T3線維芽細胞を含むことができる。細胞培養におけるこうした細胞の繁殖は日常的な方法となっている(例えば、その全体が本明細書において援用される、Tissue Culture,Academic Press,KruseおよびPatterson,編,1973、を参照されたい)。
加えて、酵母宿主を宿主細胞として用いることができる。酵母細胞の例には、限定されるわけではないが、サッカロミセス、ピキアおよびクルベロミセス属が含まれる。酵母宿主の例は、S.セレビジエおよびP.パストリスである。酵母ベクターは、2T酵母プラスミドからの複製開始点配列、自律的複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化のための配列、転写終結のための配列、および選択可能マーカー遺伝子を含むことが可能である。酵母および大腸菌両方における複製のためのシャトルベクターもまた本明細書に含まれている。
あるいは、昆虫細胞を宿主細胞として使用することができる。一つの態様において、本発明のポリペプチドはバキュロウイルス発現系を使用して発現する(Luckowら,Bio/Technology,1988,6,47,Baculovirus Expression Vectors:A Laboratory Manual,O’Riellyら(編),W.H.Freeman and Company,New York,1992、および米国特許第4,879,236号、各々、その全体が本明細書において援用される、を参照されたい)。加えて、例えば、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen)を、昆虫細胞での産生のために使用することが可能である。
さらに別の関連する態様において、本発明は、本発明の宿主細胞を栄養培地中で増殖させ、そして細胞または培地からポリペプチドまたはその変異体を単離する工程を含んでなる、DmGPCRポリペプチド(またはその断片)を産生するための方法を提供する。DmGPCRは7膜貫通レセプターであるので、特定の活性アッセイのごときいくつかの応用に対しては、単離は包埋されたポリペプチドを含んでいる細胞膜の単離を含んでいてもよく、一方、他の応用に対してはより完全な単離が望まれてもよいことが認められるであろう。
本発明の宿主細胞は、DmGPCRに対して特別に免疫活性な抗体の開発のための、免疫原の貴重な供給源である。本発明の宿主細胞はまた、DmGPCRポリペプチドの大規模産生のための方法においても有用であり、ここにおいて、細胞を適した培養培地中で増殖させ、所望のポリペプチド産物を細胞から、または細胞が増殖した培地から、当該技術分野で知られている精製法により単離する、例えば、イムノアフィニティークロマトグラフィー、レセプターアフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、レクチンアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、カチオンまたはアニオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、逆相HPLCなどを含む、慣用されたクロマトグラフィー法。さらに別の精製法には、所望のタンパク質が、特異的結合パートナーまたは剤により認識される特異的タグ、標識またはキレート形成部分有している融合タンパク質として発現されるおよび精製される方法が含まれる。精製されたタンパク質を切断して所望のタンパク質を得ることが可能であり、または無傷の融合タンパク質として残すことも可能である。融合組成物の切断は、切断プロセスの結果としての、追加のアミノ酸残基を有している所望のタンパク質の形を産生することができる。
DmGPCR DNA配列の知識は、内在性DmGPCRの発現を許可または増加させるような細胞の修飾を可能にする。細胞がより高いレベルでDmGPCRを発現するように、全部または一部、天然に存在するDmGPCRプロモーターを全部または一部の異種プロモーターで置き換えることにより、増加した発現を提供するために細胞を修飾することが可能である(例えば、相同的組換えにより)。異種プロモーターは、それが内在性DmGPCRコード配列へ機能可能であるように連結されている型式で挿入する。(例えば、PCT国際公開番号WO 94/12650、PCT国際公開番号WO 92/20808、およびPCT国際公開番号WO 91/09955、を参照されたい)。また、異種プロモーターDNAに加え、増幅可能マーカーDNA(例えば、ada、dhfrおよびカルバモイルリン酸シンターゼ、トランスカルバミラーゼおよびジヒドロオロターゼをコードしている多機能性CAD遺伝子)、および/またはイントロンDNAを異種プロモーターDNAと一緒に挿入することができることも企図されている。もしDmGPCRコード配列へ連結されたら、標準選択法によるマーカー遺伝子の増幅は、細胞中でのDmGPCRコード配列の同時増幅を生じる。
ノックアウト
本発明により提供されるDNA配列情報はまた、機能的DmGPCRの発現ができない、またはDmGPCRの変異体を発現する対象の開発(例えば、相同的組換えまたは“ノックアウト”戦略;Capecchi,Science,1989,244,1288−1292を参照されたい、による)を可能にする。こうした対象(特に昆虫および蠕虫を含んで)は、DmGPCRのインビボ活性およびDmGPCRの変調剤を研究するためのモデルとして有用であり、そしてまた、昆虫または蠕虫におけるDmGPCRの役割をさらに評価するためにも有用である。
アンチセンス
また本発明により利用可能になるのは、DmGPCRをコードしているポリヌクレオチドを認識しそしてハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチドである。完全長および断片アンチセンスポリヌクレオチドを提供する。本発明の断片アンチセンス分子には、DmGPCR発現制御配列またはDmGPCR RNAを特異的に認識しそしてハイブリダイズするものが含まれる(DmGPCRをコードしているDNAと他の既知の分子をコードしているDNAの配列比較により決定されたような)。DmGPCRコードポリヌクレオチドに独特な配列の同定は、公的に利用可能な配列データベースの使用により、および/または商業的に利用可能な配列比較プログラムの使用により、推論することが可能である。所望の配列の同定後、制限消化を通した単離および当該技術分野でよく知られている多様なポリメラーゼ鎖反応技術のいずれかを使用する増幅を実行することが可能である。アンチセンスポリヌクレオチドは、DmGPCR mRNAを発現している細胞によるDmGPCRの発現を調節することに特に関連している。
DmGPCR発現制御配列またはDmGPCR RNAへ特異的に結合することが可能なアンチセンス核酸(好ましくは、10から20塩基対オリゴヌクレオチド)を細胞内へ導入する(例えば、ウイルスベクターまたはリポソームのごときコロイド性分散系により)。アンチセンス核酸は、細胞中でDmGPCR標的ヌクレオチド配列へ結合し、そして標的配列の転写および/または翻訳を妨げる。ホスホロチオエートおよびメチルホスホネートアンチセンスオリゴヌクレオチドが、本発明による治療使用のために特に企図される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、その5’末端を、ポリ−L−リジン、トランスフェリンポリリジンまたはコレステロール部分によりさらに修飾する。転写かまたは翻訳レベルでのDmGPCR発現の抑圧は、DmGPCRの生物学的役割を研究するための細胞または動物モデルを発生させるために有用である。
DmGPCRをコードしている本発明のヌクレオチド配列から誘導された、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21または23、またはそれらへ相補的なまたは相同的な配列から成る群より選択されたヌクレオチド配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド、または断片は、多様な組織における遺伝子発現を探索するために有用である。例えば、組織は、慣習的なオートラジオグラフィー技術により検出可能な基を運んでいるオリゴヌクレオチドプローブで、生体内原位置で探索することが可能である。ヌクレオチド配列の調節領域へ指向されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されるわけではないが、開始コドン、TATAボックス、エンハンサー配列などを含む、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21または23、またはそれらに対応するmRNAから成る群より選択することができる。
転写因子
本発明において教示されるDmGPCR配列は、天然の細胞および対象、並びにDmGPCRポリヌクレオチドで形質転換されたまたはトランスフェクトされた細胞におけるDmGPCR発現を変調するための新規転写因子の設計を容易にする。例えば、Cys2−His2亜鉛フィンガー(zinc finger)タンパク質(その亜鉛フィンガードメインを経てDNAを結合する)は、異なった標的配列の認識を導く、構造上の変化に従うことが示されている。これらの人工亜鉛フィンガータンパク質は、高い親和性および低い解離定数で、特異的標的部位を認識し、そして遺伝子発現を変調する遺伝子スイッチとして働くことが可能である。本発明の特定のDmGPCR標的配列の知識は、構造に基づいたモデル化とファージディスプレイライブラリーのスクリーニングとの組み合わせのごとき既知の方法を使用する、標的配列に特異的な亜鉛フィンガータンパク質の操作を容易にする(Segalら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1999,96,2758−2763;Liuら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1997,94,5525−5530(1997);Greismanら,Science,1997,275,657−661;Chooら,J.Mol.Biol.,1997,273,525−532)。各々の亜鉛フィンガードメインは通常、三つまたはそれより多くの塩基対を認識する。18塩基対の認識配列は、任意の既知ゲノムにおいてそれを独特にするために一般に十分な長さであるので、亜鉛フィンガーの6縦列反復から成っている亜鉛フィンガータンパク質は、特定の配列に対する特異性を確実にしていることが予測されるであろう(Segalら)。DmGPCR配列に基づいて設計された、人工亜鉛フィンガー反復は、DmGPCR発現を促進または抑制するために、活性化または抑制ドメインへ融合する(Liuら)。あるいは、亜鉛フィンガードメインをTATAボックス結合因子(TBP)へ融合することが可能で、ここにおいて、転写活性化因子またはリプレッサーを作製するため、亜鉛フィンガーペプチドおよびTBP間には、異なった長さのリンカー領域が存在する(Kimら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1997,94,3616−3620)。こうしたタンパク質およびそれをコードしているポリヌクレオチドは、インビボでDmGPCR発現を変調する有用性を有している。新規転写因子は、転写因子を発現する構築物をトランスフェクトすることにより(遺伝子治療)、またはタンパク質を導入することにより、標的細胞へ搬送することが可能である。操作した亜鉛フィンガータンパク質はまた、アンチセンスまたは触媒RNA法(McCollら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1997,96,9521−9526;Wuら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1995,92,344−348)の代替物として薬物療法学に使用するため、RNA配列を結合するようにも設計できる。本発明は、本発明の遺伝子配列に基づいた、こうした転写因子を設計する方法、ならびに、その遺伝子相補体がこれらの配列を含む細胞(天然のまたは形質転換された)において、DmGPCR発現を変調するために有用である、注文に応じて作られた亜鉛フィンガータンパク質、を企図している。
ポリペプチド
本発明はまた、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24のいずれかに示すようなアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを含んでいる、本発明のポリヌクレオチドによりコードされた、精製されたおよび単離されたDmGPCRポリペプチドも提供する。
DmGPCRのごときレセプターへ結合する抗体および他の結合化合物を作成する、およびスクリーニングするため、細胞外エピトープが特に有用であることが認められるであろう。それ故別の態様において、本発明は、DmGPCRのN末端細胞外ドメインのごとき、DmGPCRの少なくとも一つの細胞外ドメイン(例えば、N末端細胞外ドメインまたは三つの細胞外ループの一つ)を含んでなる、精製されたおよび単離されたポリペプチドを提供する。また本発明の範囲内に含まれるのは、DmGPCRの膜貫通ドメイン、DmGPCRの膜貫通ドメインを結合している細胞外ループ、DmGPCRの膜貫通ドメインを結合している細胞内ループ、DmGPCRのC末端細胞質領域およびそれらの融合物から成る群より選択されるDmGPCR断片を含んでなる、精製されたおよび単離されたポリペプチドである。こうした断片は、天然のレセプターの連続部分であってもよい。しかしながら、本明細書に提供されたようなDmGPCR遺伝子およびタンパク質配列の知識は、天然のタンパク質においては連続的ではない、多様なドメインの組換えを可能にすることも認められるであろう。“tmtrest.all”と称されているFORTRANコンピュータープログラム(Parodiら,Comput.Appl.Biosci.,1994,5,527−535)を使用して、DmGPCRが膜内外に橋を架けている(transmembrane−spanning)ドメインを含むことが示された。
本発明はまた、本発明の基準ポリペプチドに対して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、または少なくとも50%の同一性および/または相同性を有するポリペプチドも包含する。本発明の基準ポリペプチドに関するパーセントアミノ酸配列“同一性”は、最大パーセント配列同一性を達成するために、両配列を整列させ、そして必要ならギャップを導入した後、そして配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮せずに、DmGPCR配列中の残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基パーセンテージとして、本明細書において定義される。パーセント配列“相同性”は、最大パーセント配列同一性を達成するために、両配列を整列させ、そして必要ならギャップを導入した後、そして配列同一性の一部としてどんな保存的置換も考慮して、DmGPCR配列中の残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基パーセンテージとして、本明細書において定義される。
一つの様相において、パーセント相同性は、比較されている配列の同一アミノ酸残基で整列された、二つの配列のより小さなものにおけるアミノ酸残基のパーセンテージとして計算され、この場合、整列化を最大にするため、100アミノ酸の長さに四つのギャップを導入することができる(Dayhoff,Atlas of Protein Sequence and Structure中,第5巻,National Biochemical Research Foundation,ワシントン,D.C.,1972,p.124,本明細書において援用される)。
本発明のポリペプチドは、天然の細胞源から単離することができ、または化学的に合成することができ、そして、本発明の宿主細胞を含んでいる組換え法により産生することもできる。哺乳動物宿主細胞の使用は、本発明の組換え発現産物に最適な生物学的活性を与えることが必要とされるので、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、切り詰め(truncation)、脂質化(lipidation)およびリン酸化)を提供することが期待される。DmGPCRポリペプチドのグリコシル化および非グリコシル化形を、本発明は包含する。
本発明はまた、変異体(または類似体)DmGPCRポリペプチドも包含している。一つの例において、DmGPCRアミノ酸配列に一つまたはそれより多くのアミノ酸残基が追加される、挿入変異体を提供する。挿入は、タンパク質の片方または両方の末端に位置することができ、またはDmGPCRアミノ酸配列の内部領域の位置に置くこともできる。片方または両方の末端に追加の残基を有する挿入変異体は、例えば、融合タンパク質、およびアミノ酸タグまたは標識を含んでいるタンパク質を含むことが可能である。
挿入変異体には、DmGPCRアミノ酸配列またはその生物学的に活性な断片へ、一つまたはそれより多くのアミノ酸残基が付加されたDmGPCRポリペプチドが含まれる。
本発明の変異体産物はまた、追加のアミノ酸残基を有する、成熟DmGPCR産物、即ち、リーダーまたはシグナル配列が除去されているDmGPCR産物も含んでいる。追加のアミノ末端残基は、別のタンパク質から誘導することができ、または特定のタンパク質に由来しているとは同定できない一つまたはそれより多くの残基を含むこともできる。位置−1に追加のメチオニン残基を有するDmGPCR産物(Met−1−DmGPCR)が企図されており、位置−2および1に追加のメチオニンおよびリジン残基を有する変異体(Met−2−Lys−1−DmGPCR)も同様である。追加のMet、Met−Lys、Lys残基(または一般に一つまたはそれより多くの塩基性残基)を有するDmGPCRの変異体は、細菌宿主細胞での促進された組換えタンパク質産生に特に有用である。
本発明はまた、具体的発現系の使用で生じる追加のアミノ酸残基を有するDmGPCR変異体も包含する。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合生成物の一部として所望のポリペプチドを発現する商業的に入手可能なベクターの使用は、所望のポリペプチドからGST成分の切断後に、位置−1に追加のグリシン残基を有している所望のポリペプチドを提供する。他のベクター系での発現から生じる変異体もまた企図されている。
挿入的変異体にはまた、DmGPCRのアミノ末端および/またはカルボキシ末端の片方または両方が別のポリペプチドへ融合されている融合タンパク質が含まれる。
別の側面において、本発明は、DmGPCRポリペプチド中の一つまたはそれより多くのアミノ酸残基が除去された欠失変異体を提供する。欠失は、DmGPCRポリペプチドの一つ若しくは両方の末端で、またはDmGPCRの一つ若しくはそれより多くの非末端アミノ酸残基の除去でなし遂げることが可能である。欠失変異体は、それ故、DmGPCRポリペプチドのすべての断片を含んでいる。
本発明はまた、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24のいずれかに示すような配列のポリペプチド断片も包含しており、ここにおいて、断片はDmGPCRポリペプチドの生物学的(例えば、リガンド結合および/または細胞内シグナル伝達)および免疫学的特性を維持している。本明細書に記載されているポリペプチドのいずれかの少なくとも5、10、15、20、25、30、35または40の連続するアミノ酸を含んでなる断片が、本発明に包含されている。ポリペプチド断片は、DmGPCRおよびそのアリルおよび種相同体に独特な、または特異的な抗原性特性を示すことができる。望まれる生物学的および免疫学的特性を有している本発明の断片は、当該技術分野でよく知られそして日常的に実行されている方法のいずれかにより製造することができる。
さらに別の態様において、本発明はDmGPCRポリペプチドの置換変異体を提供する。置換変異体には、DmGPCRポリペプチドの一つまたはそれより多くのアミノ酸残基が除去され、そして代替残基により置き換えられているポリペプチドが含まれる。一つの態様において、置換は性質が保存的である;しかしながら、本発明は非保存的である置換も包含している。この目的のための保存的置換は、下記表1、2または3に示されるように定義することができる。
変異体ポリペプチドには、本発明のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの修飾により導入されている保存的置換が含まれる。アミノ酸は、物理的特性および二次および三次タンパク質構造への寄与に従って分類することが可能である。保存的置換とは、類似の性質を有する別のアミノ酸による一つのアミノ酸の置換であると、当該技術分野では認識されている。保存的置換の例はすぐ下の表1に示されている(1997年3月13日に公開されたWO 97/09433、ページ10(PCT/GB96/02197,9/6/96出願)、から)。
Figure 2005537465
あるいは、保存的アミノ酸は、すぐ下の表2に示されているごとく、Lehninger(BIOCHEMISTRY,第2版;Worth Publishers,Inc.NY,NY,1975,pp.71−77)により記載されているようにグループ分けすることが可能である。
Figure 2005537465
さらに別の代案として、保存的置換の例が、下記、表3に示されている。
Figure 2005537465
本発明のポリペプチドの定義は、アミノ酸残基の挿入、欠失または置換以外の修飾を運ぶポリペプチドも含むように意図されていることを理解すべきである。例として、修飾は性質が共有結合性であることができ、そして例えば、ポリマー、脂質、他の有機および無機部分との化学結合を含んでいる。こうした誘導体はポリペプチドの循環半減期を増加させるために製造することができ、または望まれる細胞、組織または器官に対するポリペプチドの標的化能力を改良するために設計することができる。同様に、本発明はさらに、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのごとき、一つまたはそれより多くの水溶性ポリマー付加物を含むように、共有結合で修飾されているDmGPCRポリペプチドを包含する。
天然のDmGPCRのリガンド結合特性を示し、そして高レベルで発現される変異体、ならびに、構成的に活性なレセプターを提供する変異体は、本発明のアッセイに特に有用であり;変異体はまた、本発明のアッセイおよび異常なDmGPCR活性を研究するための細胞、組織および動物モデルを提供することにおいても有用である。
抗体
また本発明に包含されるのは、DmGPCRに特異的な抗体(例えば、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、二機能性/二特異的抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および、本発明のポリペプチドを特異的に認識するCDR配列を含む化合物を含んでいる相補性決定領域(CDR)移植抗体)またはその断片である。Fab、Fab’、F(ab’)、Fvを含んでいる抗体断片もまた本発明により提供される。本発明の抗体を記述するために使用される場合、用語“特異的”とは、本発明の抗体の可変領域が排他的にDmGPCRポリペプチドを認識するおよび結合することを示している(即ち、DmGPCRおよび他の既知のGPCRポリペプチド間における局在化配列同一性、相同性または類似性の可能な存在にもかかわらず、結合親和性における測定可能な相違によって、他の既知のGPCRポリペプチドからDmGPCRポリペプチドを区別することができる)。特異的抗体はまた、抗体の可変領域外側の配列、そして特に、分子の定常領域との相互作用を通して、他のタンパク質(例えば、黄色ブドウ球菌プロテインAまたはELISA技術における他の抗体)とも相互作用することができることが理解されるであろう。本発明の抗体の結合特異性を決定するためのスクリーニングアッセイは、当該技術分野でよく知られそして日常的に実施されている。こうしたアッセイの包括的議論は、Harlowら(編),Antibodies A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,1988,6章、を参照されたい。抗体がDmGPCRポリペプチドに対して特異的である限り、本発明のDmGPCRポリペプチドの断片を認識するおよび結合する抗体もまた企図されている。本発明の抗体は、当該技術分野でよく知られそして日常的に実施されている任意の方法を使用して産生することが可能である。
本発明は、本発明のDmGPCRに対して特異的である抗体を提供する。抗体特異性は以下により詳細に説明されている。しかしながら、文献に以前に記載されているポリペプチドから発生することが可能な、および偶然にDmGPCRと交差反応することが可能な(例えば、両方のポリペプチドにおける類似したエピトープの偶然の存在による)抗体は、“交差反応性”抗体と考えられることを強調すべきである。こうした交差反応性抗体は、DmGPCRに対して“特異的”である抗体ではない。抗体がDmGPCRに対して特異的であるか、または別の既知のレセプターと交差反応性であるかどうかの決定は、当該技術分野でよく知られている、ウェスタンブロッティングアッセイのごとき、いくつかのアッセイのいずれかを使用して行う。DmGPCRを発現する細胞を同定するため、そしてまた、DmGPCR−リガンド結合活性を変調するため、DmGPCRの細胞外エピトープへ特異的に結合する抗体は有用である。
一つの変形において、本発明はモノクローナル抗体を提供する。こうした抗体を産生するハイブリドーマもまた、本発明の側面として意図されている。さらに別の変形において、本発明はヒト化抗体を提供する。ヒト化抗体は、外部寄生虫により引き起こされる疾患または状態に対する、インビボ治療指示に有用である。
別の変形において、本発明はポリクローナル抗体を含んでなる、無細胞組成物を提供し、ここにおいて、抗体の少なくとも一つはDmGPCRに特異的な本発明の抗体である。動物から単離された抗血清は、水または他の希釈剤、賦形剤または担体に再懸濁された、抗血清の抗体分画を含んでなる組成物であるので、組成物の例である。
さらに別の関連する態様において、本発明は、DmGPCRに特異的である抗体に対して特異的な抗イディオタイプの抗体を提供する。
抗体は、化学的または組換え技術により単離することが可能な、比較的小さな抗原結合ドメインを含んでいることはよく知られている。こうしたドメインは、それ自身で有用なDmGPCR結合分子であり、そしてまた毒素または他のポリペプチドへ融合することができる。それ故、さらに別の態様において、本発明は、DmGPCR特異的抗体の断片を含んでなるポリペプチドを提供し、ここにおいて、断片およびポリペプチドはDmGPCRへ結合する。非制限的例として、本発明は、単鎖抗体、CDR移植抗体、およびヒト化抗体である、ポリペプチドを提供する。
非ヒト抗体は、当該技術分野で既知の方法のいずれかによりヒト化することができる。一つの方法において、非ヒトCDRをヒト抗体または共通抗体フレームワーク配列内へ挿入する。次ぎに、さらなる変化を、親和性または免疫原性を返照するために抗体フレームワーク内へ導入することが可能である。
本発明の抗体は、例えば、治療的目的(外部寄生虫DmGPCRの活性を変調することにより)、外部寄生虫DmGPCRを検出または定量するための診断目的、そしてDmGPCRの精製のために有用である。本明細書に記載されたいずれかの目的のための本発明の抗体を含んでなるキットも包含される。一般に、本発明のキットは、抗体が免疫特異的である、対照抗原も含んでいる。
本発明はまた、本発明の抗体を使用する方法も提供する。例えば、本発明は、抗体がレセプターへ結合する条件下、DmGPCRをDmGPCRに特異的な抗体と接触させる工程を含んでなる、DmGPCRのリガンド結合を変調するための方法を提供する。本発明の抗体は、DmGPCRのリガンド結合を変調するため昆虫へ抗DmGPCR抗体を投与することにより、昆虫集団を制御するために使用することができる。例えば、昆虫は、ハエ、ショウジョウバエ、マダニ、シラミ、ノミ、ゴキブリおよびダニから選択することができる。
遺伝子操作
DmGPCRを使用する遺伝子操作もまた、昆虫のごとき対象で有用である。遺伝子操作には、DmGPCR活性の回復、DmGPCR過剰発現およびDmGPCRの負の調節が含まれる。本発明はまた、機能喪失の突然変異のために失われたDmGPCR活性を回復するための遺伝子操作も包含している。適切な細胞への機能的DmGPCR遺伝子の搬送は、ベクター、およびより特別にはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスまたはレトロウイルス)の使用により生体外(ex vivo)、生体内原位置(in situ)またはインビボ(in vivo)で、物理的DNA移動法(例えば、リポソームまたは化学的処置)の使用により生体外で達成される。例えば、Anderson,Nature,1998,別冊,392(6679),25−20、を参照されたい。遺伝子治療技術のさらなる総説としては、Friedmann,Science,1989,244,1275−1281;Verma,Scientific American,1990,68−84;およびMiller,Nature,1992,357,455−460、を参照されたい。遺伝子操作(例えば、アンチセンス処置)が、DmGPCRの発現を負に調節するために応用できることも企図されている。非制限例として、遺伝子操作は、一つまたはそれより多くのDmGPCR遺伝子またはその断片をノックアウトするまたは下方調節することにより、昆虫集団を制御するために有用であることができる(前記または後記を参照されたい)。
組成物
本発明の別の様相は、前記の核酸分子または組換え発現ベクターのいずれか、そして受容可能な坦体または希釈剤を含んでなる、殺虫および医薬組成物を含んでいる組成物に関している。坦体または希釈剤は医薬として受容可能であることができる。適した坦体は、その全体が本明細書において援用される、この分野における標準的な基準教科書である、Remington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osol、の最も新しい版に記載されている。こうした坦体または希釈剤の例には、限定されるわけではないが、水、食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが含まれる。リポソームおよび固定油のごとき非水性媒体もまた使用することができる。処方は、通常使用される技術により滅菌する。
また本発明の範囲内であるのは、例えば、医薬として受容可能な坦体で処方された、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体を含んでなる組成物である。
本発明は、DmGPCRポリヌクレオチド、DmGPCRポリペプチド、抗DmGPCR抗体、DmGPCR結合活性を有しているその断片または部分、DmGPCR結合パートナー、またはDmGPCR変調剤を含んでなる、殺虫組成物を提供する。
キットおよび方法
本発明はまた、キットにも関しており、医薬および殺虫キットが含まれる。キットは、前記の核酸分子のいずれか、前記のポリペプチドのいずれか、または前記の本発明のポリペプチドへ結合する任意の抗体、ならびに陰性対照を含むことができる。キットは、例えば、使用説明書、固体支持体、定量に役立つ試薬などのごとき、追加の成分を含むことができる。
キットは、ポリヌクレオチドかまたはコードされているタンパク質の発現を検出するように設計することができる。例えば、DmGPCR特異的DNAに特異的なオリゴヌクレオチドプローブを有している容器、並びに、所望により、陽性および陰性対照を含む容器、および/または使用説明書を含む、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションキットを提供することが可能である。同様に、DmGPCR特異的配列に特異的なプライマーを有している容器、DNA、および所望により、サイズマーカー、陽性および陰性対照を含む容器、および/または使用説明書を含む、PCRキットを提供することが可能である。
ハイブリダイゼーション条件は、他の核酸分子存在下で、ハイブリダイゼーションが前記遺伝子とのみ起こるようでなければならない。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、高度に相補的な核酸配列のみがハイブリダイズする。こうした条件は、20の連続したヌクレオチドの内で1または2の不適正を有している核酸のハイブリダイゼーションを妨げることができる。こうした条件は前に定義されている。
本発明の核酸探索法に適した試験試料には、例えば、細胞若しくは細胞の核酸抽出物、または生物学的液体が含まれる。前記の方法で使用される試料は、アッセイ型式、検出法、およびアッセイされるべき組織、細胞または抽出物の性質に基づいて変化するであろう。細胞の核酸抽出物を調製する方法は、当該技術分野ではよく知られており、利用される方法に適合性である試料を得るために、容易に適応させることが可能である。
別の側面において、本発明は、外部寄生虫により引き起こされる疾患または障害の診断道具として、試料中のポリヌクレオチド検出のための方法を提供し、ここにおいて、前記方法は以下の工程を含んでなる:(a)試料を、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24から選択される配列を有しているポリペプチドをコードしている核酸標的領域にハイブリダイゼーションアッセイ条件下でハイブリダイズする核酸プローブとを接触させ、前記プローブはポリペプチド、その断片をコードしている核酸配列、並びに配列の相補体およびその断片、を含んでなる;並びに(b)疾患の指標として、プローブ:標的領域ハイブリッドの存在または量を検出する。
あるいは、DmGPCRタンパク質に特異的な抗体を有している容器、および所望により、陽性および陰性対照を含む容器、および/または使用説明書を有する免疫アッセイキットを提供することが可能である。
また、天然のリガンドまたは変調剤(アゴニストまたはアンタゴニスト)のごとき、DmGPCR結合パートナーの同定において有用であるキットも提供する。障害または疾患の処置に有用な物質は、問題とする疾患または障害の処置に対応する活性のための一つまたはそれより多くのインビトロアッセイにおいて陽性結果を示しうる。ポリペプチドの活性を変調する物質には、非限定的に、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アゴニストおよびアンタゴニスト、および抗体が含まれる。
本発明はまた、抗体がレセプターを結合する条件下、DmGPCRをDmGPCRに特異的な抗体と接触させる工程を含んでなる、DmGPCRのリガンド結合を変調するための方法も提供する。
免疫応答を誘導する方法
本発明の別の側面は、対象において、本発明のポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法に関しており、それは対象に免疫を誘導するために十分なポリペプチドの量を投与することによっている。量は、対象の種、対象の大きさなどに依存するであろうが、当業者は容易に決定することが可能である。
リガンドを同定する方法
本発明の別の側面は、DmGPCRかまたはDmGPCRをコードしている核酸分子へ結合する化合物を同定することに関しており、DmGPCRまたはそれをコードしている核酸分子を化合物と接触させ、そして化合物がDmGPCRまたはそれをコードしている核酸分子を結合したかどうかを決定することを含んでなる。結合は、非限定的に、例えば、全体が本明細書において援用される、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY,1999、に記載されている、ゲル−シフトアッセイ、ウェスタンブロット、放射性標識競合アッセイ、ファージに基づいた発現クローニング、クロマトグラフィーによる同時分画化、共沈殿、架橋、相互作用捕捉/ツーハイブリッド分析、サウスウェスタン分析、ELISAなどを含む、当業者にはよく知られている結合アッセイにより決定することが可能である。スクリーニングされるべき化合物(DmGPCR、またはそれをコードしている核酸分子へ結合すると推測される化合物を含むことができる)には、限定されるわけではないが、細胞外、細胞内、生物学的または化学的起源の化合物が含まれる。
本発明はまた、DmGPCRを結合する化合物を同定するためのアッセイも提供する。一つのこうしたアッセイは、DmGPCRを含んでなる組成物と、DmGPCRを結合すると推測される化合物を接触させ、そして化合物とDmGPCR間の結合を測定することを含んでなる。いくつかの態様において、組成物は、その表面にDmGPCRを発現している細胞を含んでなる。別の変形においては、単離されたDmGPCRまたはDmGPCRを含んでなる細胞膜を用いる。結合は、例えば、標識化合物を使用することにより直接的に測定することができ、または、化合物により誘導されたDmGPCRの細胞内シグナル伝達を測定する(または、DmGPCRシグナル伝達のレベルの変化を測定する)ことを含む、いくつかの技術により、間接的に測定することができる。
天然のリガンドおよび合成化合物を含む、特異的結合分子は、単離されたまたは組換えDmGPCR産物、DmGPCR変異体またはこうした産物を発現している細胞を使用して、同定するまたは開発することが可能である。結合パートナーは、DmGPCR産物を同定するため、および既知の免疫学的方法を使用する、液体および組織試料中のDmGPCR産物の検出および定量に有用である。結合分子はまた、DmGPCRの生物学的活性、特にシグナル伝達に関与する活性を変調する(即ち、遮断する、抑制するまたは刺激する)ことにおいても明白に有用である。
本発明により提供されるDNAおよびアミノ酸配列情報はまた、DmGPCRポリペプチドまたはポリヌクレオチドが相互作用するであろう、結合パートナー化合物の同定を可能にする。結合パートナー化合物を同定する方法には、溶液アッセイ、DmGPCRポリペプチドが固定化されているインビトロアッセイ、および細胞に基づいたアッセイが含まれる。DmGPCRポリペプチドの結合パートナー化合物の同定は、DmGPCRを発現している外部寄生虫に関連する病理学における治療的または予防的介入のための候補、および殺虫剤のための候補を提供する。
本発明は、DmGPCR結合パートナーを同定するためのいくつかのアッセイ系を含んでいる。溶液アッセイにおいて、本発明の方法は、以下の工程を含んでなる:(a)DmGPCRポリペプチドを一つまたはそれより多くの候補結合パートナー化合物と接触させ;そして(b)DmGPCRポリペプチドへ結合する化合物を同定する。DmGPCRポリペプチドへ結合する化合物の同定は、DmGPCRポリペプチド/結合パートナー複合体を単離し、そしてDmGPCRポリペプチドから結合パートナー化合物を分離することにより達成することが可能である。結合パートナー化合物の物理的、生物学的および/または生化学的特性を特徴付ける追加の工程も、本発明の別の態様に包含されている。一つの側面において、DmGPCRポリペプチド/結合パートナー複合体は、DmGPCRポリペプチドかまたは候補結合パートナー化合物に対して免疫特異的な抗体を使用して単離する。
さらに別の態様において、DmGPCRポリペプチドかまたは候補結合パートナー化合物は、その単離を容易にする標識またはタグを含んでなり、そして結合パートナー化合物を同定するための本発明の方法は、標識またはタグとの相互作用を通してDmGPCRポリペプチド/結合パートナー複合体を単離する工程を含んでいる。この型のタグの例は、ニッケルキレート化を使用してそのように標識された化合物の単離を可能にする、一般に約6ヒスチジン残基の、ポリヒスチジン配列である。当該技術分野でよく知られそして日常的に使用されている、FLAG(登録商標)タグ(Eastman Kodak,ロチェスター,NY)のごとき他の標識およびタグは、本発明により包含されている。本発明の標識にはまた、限定されるわけではないが、放射性標識(例えば、125I、35S、32P、33P、H)、蛍光標識、化学発光標識、酵素標識および免疫原性標識が含まれる。
インビトロアッセイのいくつかの態様において、本発明は以下の工程を含んでなる方法を提供する:(a)固定化されたDmGPCRポリペプチドを候補結合パートナー化合物と接触させ;そして(b)DmGPCRポリペプチドへの候補化合物の結合を検出する。別の態様においては、候補結合パートナー化合物を固定化し、そしてDmGPCRの結合を検出する。固定化は、支持体、ビーズまたはクロマトグラフィー樹脂への共有結合性結合、ならびに、抗体結合のごとき非共有結合性の高親和性相互作用、または固定化された化合物がビオチン部分を含む場合のストレプトアビジン/ビオチン結合の使用を含む、当該技術分野ではよく知られている方法を使用して達成する。結合の検出は、(i)固定化されていない化合物上の放射活性標識を使用して、(ii)非固定化化合物上の蛍光標識を使用して、(iii)非固定化化合物と免疫特異的な抗体を使用して、(iv)固定化された化合物が結合されている蛍光支持体を励起する、非固定化化合物上の標識を使用して、ならびに当該技術分野でよく知られそして日常的に実施されている他の技術により達成することが可能である。
本発明はまた、DmGPCRポリペプチドの結合パートナー化合物を同定するための細胞に基づいたアッセイも提供する。一つの態様において、本発明は、細胞の表面上に発現されたDmGPCRポリペプチドを、候補結合パートナー化合物と接触させ、そしてDmGPCRポリペプチドへの候補結合パートナー化合物の結合を検出する、工程を含んでなる方法を提供する。別の態様において、検出は、分子の結合により起こされたカルシウム流動または細胞中の他の生理学的事象を検出することを含んでなる。
本発明の別の態様において、DmGPCRに対する適した結合親和性を有している化合物のための高スループットスクリーニングを用いる。簡単には、大量の異なった小さなペプチド試験化合物を固体支持体上に、または適切な緩衝液中に溶解されている遊離化合物として合成する。ペプチド試験化合物をDmGPCRと接触させ、そして洗浄する。結合されたDmGPCRを次いで、当該技術分野でよく知られている方法により検出する。本発明の精製ポリペプチドはまた、前記の結合アッセイで使用するため、プレート上に直接被覆することも可能である。加えて、非中和抗体を、タンパク質を捕捉するため、および固体支持体上にそれを固定化するために使用することが可能である。
一般に、発現されたDmGPCRは、その定義されたリガンドと共に、HTS結合アッセイのために使用することが可能である。同定したペプチドを、当業者にはよく知られている方法により、限定されるわけではないが、125I、H、35Sまたは32Pを含む、適した放射性同位元素で標識する。あるいは、ペプチドは適した蛍光性誘導体を使用し、よく知られた方法により標識することができる(Baindurら,Drug Dev.Res.,1994,33,373−398;Rogers,Drug Discovery Today,1997,2,156−160)。組換えタンパク質を発現している細胞株から作製された膜調製試料中のレセプターに、特異的に結合された放射活性リガンドは、結合されていないリガンドから結合されたリガンドを分離するためのレセプター−リガンド複合体の濾過を含む、いくつかの標準法のHTSアッセイで、検出することが可能である(Williams,Med.Res.Rev.,1991,11,147−184;Sweetnamら,J.Natural Products,1993,56,441−455)。あるいは、シンチレーション近接アッセイ(SPA)またはこうした分離が不必要であるFlashPlateフォーマット(Nakayama,Curr.Opinion Drug Disc.Dev.,1998,1,85−91,Bosseら,J.Biomolecular Screening,1998,3,285−292)が含まれる。蛍光性リガンドの結合は、蛍光エネルギー移動(FRET)、結合されたリガンドの直接分光蛍光分析、または蛍光偏光を含む、多様な方法で検出することが可能である(Rogers,Drug Discovery Today,1997,2,156−160;Hill,Curr.Opinion Drug Disc.Dev.,1998,1,92−97)。
DmGPCRの特異的リガンドを同定するために、他のアッセイを使用することができ、標的タンパク質への試験リガンドの直接結合を測定することを通して、標的タンパク質のリガンドを同定するアッセイ、ならびに、イオンスプレー質量分光法/HPLC法または他の物理的および分析的方法を用い、親和性限外濾過を通して、標的タンパク質のリガンドを同定するアッセイが含まれる。あるいは、こうした結合相互作用を、Fieldsら(Nature,1989,340,245−246)およびFieldsら(Trends in Genetics,1994,10,286−292)(両方が本明細書において援用される)、により記載されている酵母ツーハイブリッドシステムを使用して、間接的に評価する。ツーハイブリッドシステムは、二つのタンパク質またはポリペプチド間の相互作用を検出するための遺伝子アッセイである。それは、既知の目的のタンパク質へ結合するタンパク質を同定するため、または相互作用に決定的なドメインまたは残基を描写するために使用することが可能である。この方法論の変形が、DNA結合タンパク質をコードする遺伝子をクローンするため、タンパク質へ結合するペプチドを同定するため、および薬剤をスクリーニングするために開発された。ツーハイブリッドシステムは相互作用しているタンパク質対の能力を活用し、転写活性化ドメインを、レポーター遺伝子の上流活性化配列(UAS)へ結合するDNA結合ドメインのごく近くへ持って行き、一般的に酵母で実行する。アッセイは、(1)第一のタンパク質へ融合されているDNA結合ドメイン、および(2)第二のタンパク質へ融合された活性化ドメイン、をコードしている二つのハイブリッド遺伝子の構築を必要とする。第一のハイブリッドタンパク質のDNA結合ドメインはレポーター遺伝子のUASを標的とする;しかしながら、ほとんどのタンパク質は活性化ドメインを欠いているためレポーター遺伝子の転写を活性化しない。活性化ドメインを含む第二のハイブリッドタンパク質は、UASを結合しないので、それ自身ではレポーター遺伝子の発現を活性化できない。しかしながら、両方のハイブリッドタンパク質が存在している場合、第一および第二のタンパク質の非共有結合的相互作用が活性化ドメインをUASへ繋ぎ止め、レポーター遺伝子の発現を活性化する。例えば、第一のタンパク質が、別のタンパク質または核酸と相互作用することが知られているDmGPCR遺伝子産物、またはその断片である場合、このアッセイは結合相互作用に干渉する剤を検出するために使用することが可能である。異なった試験剤を系に加えながら、レポーター遺伝子の発現をモニターする。阻害剤の存在は、レポーター信号の欠如を生じる。
DmGPCR遺伝子産物の機能が未知であり、そして遺伝子産物を結合するリガンドが知られていない場合、酵母ツーハイブリッドアッセイをまた、遺伝子産物へ結合するタンパク質を同定するために使用することが可能である。DmGPCRレセプターまたはその断片へ結合するタンパク質を同定するためのアッセイにおいて、DmGPCRレセプター(または断片)およびUAS結合ドメインの両方をコードしている融合ポリヌクレオチド(即ち、第一のタンパク質)を使用することができる。加えて、活性化ドメインへ融合された、各々が異なった第二のタンパク質をコードしている多数のハイブリッド遺伝子を産生し、そして本アッセイでスクリーニングする。典型的には、第二のタンパク質は、全cDNAまたはゲノムDNA融合ライブラリーの一つまたはそれより多くのメンバーによりコードされており、各々の第二のタンパク質コード領域は、活性化ドメインへ融合されている。このシステムは広範囲のタンパク質へ応用可能であり、そして第二の結合タンパク質の同一性または機能を知る必要さえない。このシステムは非常に感度が高く、そして他の方法では明らかにできない相互作用を検出することが可能である;一過性の相互作用でさえも転写の引き金を引くことができ、安定なmRNAを産生し、それは繰り返して翻訳されることが可能であり、レポータータンパク質を得る。
他のアッセイを、標的タンパク質へ結合する剤を探索するために使用することができる。標的タンパク質への試験リガンドの直接結合を同定するための一つのこうしたスクリーニング法は、本明細書において援用される、米国特許第5,585,277号に記載されている。この方法は、タンパク質は一般に折り畳まれたおよび折り畳まれていない状態の混合物として存在し、そして連続的に二つの状態間を変化しているという原理に基づいている。試験リガンドが標的タンパク質の折り畳まれた形へ結合している場合(即ち、試験リガンドが標的タンパク質のリガンドである場合)、リガンドにより結合された標的タンパク質分子は、その折り畳まれた状態を維持している。それ故、リガンドの非存在下よりも、標的タンパク質を結合するリガンドの存在下ではより高い程度で折り畳まれた標的タンパク質として存在している。標的タンパク質へのリガンドの結合は、標的タンパク質の折り畳まれたおよび折り畳まれていない状態間を識別する任意の方法により決定することが可能である。標的タンパク質の機能は、実行されるべきこのアッセイのためには知る必要がない。実際、限定されるわけではないが、金属、ポリペプチド、タンパク質、脂質、ポリサッカリド、ポリヌクレオチドおよび小有機分子を含む任意の剤が、試験リガンドとしてこの方法により評価することが可能である。
標的タンパク質のリガンドを同定するための別の方法が、Wieboldtら(Anal.Chem.,1997,69,1683−1691)(本明細書において援用される)により記載されている。この技術は、標的タンパク質への結合について、溶液相で同時に、20−30の剤のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする。標的タンパク質へ結合する剤は、簡単な膜洗浄により他のライブラリー成分から分離する。フィルター上に保持さている、特異的に選択された分子を続いて標的タンパク質から遊離し、そしてHPLCおよび含気的に補助された熱スプレー(イオンスプレー)イオン化質量分析法により分析する。この方法は、標的タンパク質に対して最も強い親和性を有するライブラリー成分を選択し、小分子ライブラリーに対して特に有用である。
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドを結合可能な中和抗体が、ポリペプチドへの結合において試験化合物と特異的に競合する、競合スクリーニングアッセイを使用することを含んでなる。この型式においては、DmGPCRと一つまたはそれより多くの抗原決定基を共有する、任意のポリペプチドの存在を検出するために、抗体を使用することが可能である。放射標識競合結合研究は、A.H.Linら(Antimicrobial Agents and Chemotherapy,1997,41(10),2127−2131)により記載されており、その開示は全体が本明細書において援用される。
変調剤を同定するための方法
本発明はまた、DmGPCRおよびDmGPCR結合パートナー間の結合の変調剤を同定するための方法も提供し、前記方法は、(a)推定変調剤化合物存在下、DmGPCR結合パートナーと、びDmGPCRを含んでなる組成物とを接触させ;(b)結合パートナーおよびDmGPCR間の結合を検出し;そして(c)推定変調剤非存在下での結合パートナーおよびDmGPCR間の結合と比較して、推定変調剤存在下で減少したまたは増加した結合を考慮し、推定変調剤化合物または変調剤化合物を同定する、工程を含んでなる。
DmGPCR活性を刺激するDmGPCR結合パートナーは、不十分なDmGPCRシグナル伝達(例えば、DmGPCRリガンドの不十分な活性の結果として)により特徴付けられる状態において、アゴニストとして有用である。リガンド仲介DmGPCRシグナル伝達を遮断するDmGPCR結合パートナーは、過剰なDmGPCRシグナル伝達により特徴付けられる状態において、DmGPCRアンタゴニストとして有用である。加えて、一般にDmGPCR変調剤、ならびにDmGPCRポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、外部寄生虫により引き起こされる疾患、またはDmGPCR活性が促進されたまたは減じられた状態のための診断アッセイにおいて有用である。
別の側面において、本発明は、疾患または状態を処置するための方法を提供し、前記方法は、こうした処置を必要とする対象に、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24から選択される配列を有しているポリペプチドの活性または発現を変調する物質を投与することによっている。
別の側面において、本発明は、DmGPCRの発現または活性を修飾する結合パートナーまたは変調剤を昆虫集団に投与することにより、昆虫集団を制御するための方法を提供する。
DmGPCR活性または発現を変調する(即ち、増加する、減少するまたは遮断する)剤は、推定変調剤とDmGPCRポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含んでいる細胞をインキュベートし、DmGPCR活性または発現に対する推定変調剤の効果を決定することにより同定することができる。DmGPCRの活性を変調する化合物の選択性は、DmGPCRに対するその効果と、他のGPCR化合物に対するその効果を比較することにより評価することができる。選択的変調剤は、例えば、DmGPCRポリペプチドまたはDmGPCRコード核酸へ特異的に結合する、抗体および他のタンパク質、ペプチドまたは有機分子を含むことができる。DmGPCR活性の変調剤は、正常または異常なDmGPCR活性が関与する、疾患および生理学的状態の処置に治療的に有用であろう。
DmGPCRポリヌクレオチドおよびポリペプチド、ならびにDmGPCR変調剤はまた、外部寄生虫により引き起こされる疾患、または促進されたまたは減じられたDmGPCR活性により特徴付けられる状態のための診断アッセイにおいても使用することが可能である。
変調剤を同定する本発明の方法には、結合パートナー化合物を同定するために前に記載した方法のいずれかの変形、結合パートナー化合物が同定され、そして結合アッセイが候補変調剤の存在下および非存在下で実施される技術を含んでいる変形が含まれる。候補変調剤化合物非存在下での結合と比較して、候補変調剤存在下でDmGPCRポリペプチドおよび結合パートナー化合物間の結合が変化するこれらの例において、変調剤が同定される。DmGPCRポリペプチドおよび結合パートナー化合物間の結合を増加させる変調剤は、促進剤または活性化剤と記載され、そしてDmGPCRポリペプチドおよび結合パートナー化合物間の結合を減少させる変調剤は、抑制剤と記載される。
本発明はまた、DmGPCRポリペプチドの生物学的活性(即ち、酵素活性、結合活性その他に影響する)と相互作用する、または抑制する化合物を同定するための高スループットスクリーニング(HTS)も包含している。HTSアッセイは、効率のよい型式で、多数の化合物のスクリーニングを可能にする。細胞に基づいたHTSシステムを、DmGPCRレセプター−リガンド相互作用を調べるために企図した。HTSアッセイは所望の特質を有している“ヒット(hit)”または“リード化合物(lead compound)”を同定するために設計し、それらから所望の特質を改良するために修飾を設計することが可能である。“ヒット”または“リード化合物”の化学修飾は、しばしば“ヒット”およびDmGPCRポリペプチド間の同定可能な構造/活性関連性に基づいている。
本発明の範囲内に入る変調剤には、限定されるわけではないが、非ペプチド模倣体のごとき非ペプチド分子、非ペプチドアロステリックエフェクターおよびペプチドが含まれる。こうした試験に用いられるDmGPCRポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、溶液中で遊離の、固体支持体へ結合されている、細胞表面に運ばれているまたは細胞内部に位置されている、または細胞の一部に会合されていることができる。当業者は、例えば、DmGPCRおよび試験されている化合物間の複合体の形成を測定することが可能である。あるいは、当業者は、試験されている化合物により起こされる、DmGPCRおよびその基質間の複合体形成の減少を試験することが可能である。
本発明の別の側面は、DmGPCRの活性を変調する(即ち、増加させるまたは減少させる)化合物を同定する方法に関しており、DmGPCRと化合物を接触させ、そして化合物がDmGPCRの活性を修飾したかどうか決定することを含んでなる。試験化合物存在下での活性を、試験化合物非存在下での活性と比較する。試験化合物を含んでいる試料の活性が、試験化合物を欠く試料の活性よりも高いとき、化合物は増加された活性を有するであろう。同様に、試験化合物を含んでいる試料の活性が、試験化合物を欠く試料の活性よりも低いとき、化合物は抑制された活性を有するであろう。
本発明は、多様な活性アッセイのいずれかにおいて、DmGPCRを使用することによる化合物のスクリーニングに特に有用である。スクリーニングされるべき化合物には、限定されるわけではないが、細胞外、細胞内、生物学または化学起源の化合物が含まれる(DmGPCR活性を変調すると推測される化合物を含むことができる)。こうした試験に用いられるDmGPCRポリペプチドは、溶液中で遊離の、固体支持体へ結合されている、細胞表面に運ばれているまたは細胞内部に位置されているごとく、任意の形であることができる。当業者は、例えば、DmGPCRおよび試験されている化合物間の複合体の形成を測定することが可能である。あるいは、当業者は、試験されている化合物により起こされる、DmGPCRおよびその基質間の複合体形成の減少を試験することが可能である。
本発明のDmGPCRポリペプチドの活性は、例えば、化学的に合成されたペプチドリガンドを結合するまたはそれにより活性化される能力を試験することにより決定することが可能である。あるいは、DmGPCRの活性は、カルシウムイオン、ホルモン、ケモカイン、神経ペプチド、神経伝達物質、ヌクレオチド、脂質、匂い物質および光子を結合するそれらの能力を試験することにより評価することが可能である。あるいは、DmGPCRの活性は、限定されるわけではないが、アデニル酸シクラーゼ、ホスホリパーゼおよびイオンチャンネルを含むエフェクター分子の活性を試験することにより評価することが可能である。それ故、DmGPCR活性の変調剤は、レセプターの結合特性、またはGタンパク質仲介シグナル伝達のごとき活性、または膜局在化のごとき、DmGPCRレセプター機能を変化させることができる。本方法の多様な態様において、アッセイはイオン流動アッセイ、酵母成長アッセイ、[35S]GTPγSアッセイのごとき非加水分解性GTPアッセイ、cAMPアッセイ、イノシトール三リン酸アッセイ、ジアシルグリセロールアッセイ、エクオリンアッセイ、ルシフェラーゼアッセイ、細胞内CA2+濃度のFLIPRアッセイ、有糸分裂誘発アッセイ、MAPキナーゼ活性アッセイ、アラキドン酸放出アッセイ(例えば、[H]−アラキドン酸を使用して)、および細胞外酸性化速度のアッセイ、ならびに、当該技術分野で一般に知られている、DmGPCR活性についての他の結合または機能に基づいたアッセイ、の形をとることができる。これらの態様のいくつかにおいて、本発明は、G16、G15またはキメラGqi5、Gqs5、Gqo5、Gqz5などのごとき当該技術分野で知られているGタンパク質のいずれかの含有を包含している。DmGPCR活性は、当業者にはよく知られている、FaRP活性をアッセイするために使用される方法論により決定することが可能である。本発明に従ったDmGPCRレセプターの生物学的活性には、限定されるわけではないが、天然のまたは非天然のリガンドの結合、ならびに当該技術分野で知られているGPCRの機能的活性のいずれか一つが含まれる。GPCR活性の非制限的な例には、Gタンパク質会合および/または多様なグアニジレートヌクレオチドのGタンパク質結合に対する影響の発揮を含む、多様な形の膜貫通シグナル伝達が含まれる;GPCR活性の別の例は、既知のGタンパク質とは異なる、アクセサリータンパク質またはポリペプチドの結合である。
本発明の変調剤は、多様な化学構造を示し、それらは、天然DmGPCRレセプターリガンドの非ペプチド模倣物、ペプチド、およびDmGPCRレセプターの非ペプチドアロステリックエフェクター、並びにDmGPCRレセプターの活性化剤または抑制剤(競合的、不競合的および非競合的)(例えば、抗体産物)として機能することができるペプチド、へ一般にグループ分けすることが可能である。本発明は適した変調剤の起源を制限することはなく、それらは植物、動物または鉱物抽出物のごとき天然源、またはライブラリー構築のためのコンビナトリアル化学法の産物を含む小分子ライブラリーのごとき非天然源、およびペプチドライブラリーから得ることができる。DmGPCRレセプターのペプチド変調剤の例は以下の一次構造を示す:GLGPRPLRFアミド(配列番号49)、GNSFLRFアミド(配列番号136)、GGPQGPLRFアミド(配列番号102)、GPSGPLRFアミド(配列番号103)、PDVDHVFLRFアミド(配列番号150)およびpyro−EDVDHVFLRFアミド(配列番号167)。
酵素的活性を試験するために、限定されるわけではないが、測光、放射測定、HPLC、電気化学などの他のアッセイを使用することが可能であり、それらは、例えば、その全体が本明細書において援用される、Enzyme Assays:A Practical Approach,R.EisenthalおよびM.J.Danson編,1992,Oxford University Press、に記載されている。
GPCRをコードしているcDNAの使用はよく知られている;高スループットスクリーニング(HTS)で、1日当たり数千の未知化合物を試験可能なアッセイが詳細に文書で提供されている。文献は、薬剤発見のためのHTS結合アッセイにおける放射標識リガンドの使用例で満たされている(総説として、Williams,Medicinal Research Reviews,1991,11,147−184;Sweetnamら,J.Natural Products,1993,56,441−455、を参照されたい)。組換え体レセプターは、より高い特異性(より高い相対純度)を準備できるので、結合アッセイHTSに好ましく、非常に大量のレセプター物質を発生する能力を提供し、そして幅広い種類の型式で使用することが可能である(その全体が本明細書において援用される、Hodgson,Bio/Technology,1992,10,973−980、を参照されたい)。
多様な異種系が組換えレセプターの機能的発現に利用可能であり、当業者にはよく知られている。こうした系には、細菌(Strosbergら,Trends in Pharmacological Sciences,1992,13,95−98)、酵母(Pausch,Trends in Biotechnology,1997,15,487−494)、いくつかの種類の昆虫細胞(Vanden Broeck,Int.Rev.Cytology,1996,164,189−268)、両生動物細胞(Jayawickremeら,Curr.Opin.Biotechnol.,1997,8,629−634)およびいくつかの哺乳動物細胞株(CHO、HEK293、COSその他;Gerhardtら,Eur.J.Pharmacology,1997,334,1−23、を参照されたい)、が含まれる。これらの例は、線虫から得られる細胞株(PCT出願WO 98/37177)を含む、他の可能な細胞発現系を排除するものではない。
本発明のいくつかの態様において、DmGPCRを変調する化合物のためのスクリーニング法は、試験化合物をDmGPCRと接触させ、そして化合物およびDmGPCR間の複合体の存在を検出するためのアッセイを行うことを含んでなる。こうしたアッセイにおいては、リガンドを典型的には標識する。適切なインキュベーション後、遊離リガンドを結合された形で存在するリガンドから分離し、そして遊離または非複合体化標識の量が、特定の化合物がDmGPCRへ結合する能力の指標である。
組換え系で発現された異種レセプターの活性化は、多様な生物学的応答を生じることがよく知られており、それらは宿主細胞で発現されたGタンパク質により仲介される。アゴニストによるGPCRの占拠は、Gαサブユニット上の結合部位で、結合GDPのGTPによる交換を生じる;レセプターへのアゴニストの結合を測定するため、GTPの放射活性、非加水分解性誘導体、[35S]GTPγSを使用することが可能である(Simら,Neuroreport,1996,7,729−733)。またこの結合は、既知のアゴニスト存在下、[35S]GTPγSの結合の減少により、レセプターへ結合するアンタゴニストの能力を測定するために使用することが可能である。それ故、[35S]GTPγS結合に基づいたHTSアッセイを構築することが可能である。
異種GPCRの機能的発現に必要とされるGタンパク質は、宿主細胞の天然の構築物であることが可能であり、若しくはよく知られた組換え技術により導入することも可能である。Gタンパク質は無傷(intact)でもキメラでもよい。しばしば、ほとんど普遍的に形質転換受容性のGタンパク質(例えば、Gα16)を、検出可能応答経路への任意の既定のレセプターと共役するために使用する。Gタンパク質活性化は、測定可能な応答へ結びつけることが可能である事象である、他の天然のタンパク質の刺激または抑制を生じる。
こうした生物学的応答の例には、限定されるわけではないが、以下のものが含まれる:特別に操作されている酵母細胞における、制限栄養素非存在下で生存する能力(Pausch,Trends in Biotechnology,1997,15,487−494);蛍光色素により測定されるような細胞内Ca2+濃度の変化(Murphyら,Curr.Opin.Drug Disc.Dev.,1998,1,192−199)。蛍光変化もまた、膜電位または細胞内pHにおけるリガンド誘導変化をモニターするために使用することが可能である;これらの目的のための、HTSに適した自動化システムが記載されている(Schroederら,J.Biomolecular Screening,1996,1,75−80)。アフリカツメガエルから調製されたメラニン細胞は、異種GPCRに応答した色素形成において、リガンド依存性変化を示す;この応答は、HTS形式に適合している(Jayawickremeら,Curr.Opin.Biotechnol.,1997,8,629−634)。アッセイはまた、cANP、ホスホイノシチドおよびアラキドン酸を含む、共通の二次メッセンジャーの測定にも利用可能である。
これらのレセプターを用いているHTSの方法は、永久的にトランスフェクトされたCHO細胞を含んでおり、ここにおいて、アゴニストおよびアンタゴニストは、これらの細胞から調製された膜において、[35S]GTPγSの結合を特異的に変化させる能力により同定することが可能である。本発明の別の態様において、永久的にトランスフェクトされたCHO細胞は、有意な量の組換え体レセプタータンパク質を含む膜の調製のために使用することができる;これらの膜調製試料は、特定のレセプターに特異的な、放射標識リガンドを用いるレセプター結合アッセイにおいて使用されるであろう。あるいは、内部Ca2+濃度または膜電位レセプターを個々にまたは組み合わせて含んでいる永久的にトランスフェクトされたCHO細胞においての、内部Ca2+濃度または膜電位におけるリガンド誘導変化の蛍光モニタリングのごとき機能的アッセイは、HTSに有用であろう。等しく有用であるのは、 同様の型式における、HEK293またはCOS細胞のごとき別の型の哺乳動物細胞であろう。当業者にはよく知られている、ショウジョウバエS2細胞、およびHTS型式でキイロショウジョウバエレセプターを発現している組換え酵母細胞(例えば、Pausch,Trends in Biotechnology,1997,15,487−494)のごとき、永久的にトランスフェクトされた昆虫細胞株もまた、本発明に有用であろう。
本発明は、DmGPCRレセプターへのリガンド結合の抑制剤をスクリーニングするおよび同定する、多数のアッセイを企図している。一つの例において、DmGPCRレセプターを固定化し、そして結合パートナーとの相互作用を、抑制剤化合物のごとき候補変調剤の存在下または非存在下で評価する。別の例において、DmGPCRレセプターおよびその結合パートナー間の相互作用を、候補抑制剤化合物の存在下または非存在下の両方において、溶液アッセイで評価する。両方のアッセイにおいて、抑制剤を、DmGPCRレセプターおよびその結合パートナー間の結合を減少させる化合物として同定する。別の企図されたアッセイには、ツーハイブリッドアッセイの変形が含まれており、ここにおいて、タンパク質/タンパク質相互作用の抑制剤は、1995年8月3日に公開されたPCT公報番号WO95/20652、に記載されているように、形質転換されたまたはトランスフェクトされた宿主細胞における陽性信号の検出により同定する。
本発明により企図される候補変調剤には、潜在的活性化剤かまたは潜在的抑制剤のライブラリーから選択される化合物を含んでいる。(1)化学ライブラリー。(2)天然物ライブラリー、および(3)ランダムなペプチド、オリゴヌクレオチドまたは有機分子を含んでなるコンビナトリアルライブラリー、を含む、小分子変調剤の同定に使用される、多数の異なったライブラリーが存在している。化学ライブラリーはランダム化学構造から成っており、そのいくつかは既知の化合物の類似体、または別の薬剤発見スクリーニングで“ヒット”または“リード”として同定された化合物の類似体であり、そのいくつかは天然物から誘導されており、そしてそのいくつかは方向性のない合成有機化学から生じている。天然物ライブラリーは、(1)土壌、植物または海生微生物からのブロスの発酵および抽出、または(2)植物または海生生物体の抽出により、スクリーニングのための混合物を作製するために使用される、微生物、動物、植物または海生生物体の収集物である。天然物ライブラリーには、ポリケチド、非リボソームペプチドおよびその変異物(天然には存在しない)が含まれる。総説としては、Science,1998,282,63−68、を参照されたい。コンビナトリアルライブラリーは、混合物として、非常に多数のペプチド、オリゴヌクレオチドまたは有機化合物から構成される。これらのライブラリーは、慣習的自動化合成法、PCR、クローニングまたは特許合成法により、比較的容易に調製される。特に目的とするのは、非ペプチドコンビナトリアルライブラリーである。さらに別の目的のライブラリーには、ペプチド、タンパク質、ペプチド模倣体、多平行合成収集物、リコンビナトリアル、およびポリペプチドライブラリーが含まれる。コンビナトリアル化学およびそれらにより作製されるライブラリーの総説としては、Myers,Curr.Opin.Biotechnol.,1997,8,701−707、を参照されたい。本明細書に記載した多様なライブラリーの使用を通した変調剤の同定は、“ヒット”の能力を中程度の活性に最適化するための、候補“ヒット”の修飾を可能にする。
本発明により企図されるさらに別の候補抑制剤を設計することが可能であり、そして結合パートナーの可溶形、ならびに、キメラまたは融合タンパク質ような結合パートナーが含まれる。本明細書において、“結合パートナー”は、非ペプチド変調剤、ならびに天然リガンド以外の神経ペプチドのようなペプチド変調剤、抗体、抗体断片、および同定されたDmGPCR遺伝子の発現産物に免疫特異的である抗体ドメインを含んでなる修飾化合物を広く包含している。
本発明の別の態様において、本発明のポリペプチドを、相互作用している制御タンパク質の同定、特徴付けおよび精製のための研究道具として用いる。当該技術分野で既知の多様な方法により、本発明のポリペプチド内へ適切な標識を取り込ませ、そしてポリペプチドを、相互作用している分子を捕捉するために使用する。例えば、分子を標識ポリペプチドとインキュベートし、非結合ポリペプチドを洗浄して除去し、そしてポリペプチド複合体を定量する。異なった濃度のポリペプチドを使用して得られたデータを、ポリペプチドとタンパク質複合体の数、親和性および会合の値を計算するために使用する。
標識されたポリペプチドはまた、限定されるわけではないが、抑制剤を含む、ポリペプチドが相互作用する分子の精製のための試薬としても有用である。親和性(アフィニティー)精製の一つの態様において、ポリペプチドをクロマトグラフィーカラムへ共有結合で結合する。細胞およびその膜を抽出し、そして多様な細胞副成分はカラムを通過させる。分子は、ポリペプチドへのそれらの親和性によりカラムへ結合する。ポリペプチド−複合体をカラムから回収し、解離させ、そして回収された分子をタンパク質配列決定にかける。このアミノ酸配列は次ぎに、捕捉された分子を同定するため、そして適切なcDNAライブラリーから、対応する遺伝子をクローニングするための縮重オリゴヌクレオチドを設計するために使用する。
あるいは、本発明のDmGPCRのリガンドと同様の特性を示すが、より小さくそしてヒトまたは動物体内で内在性リガンドよりも長い半減期を示す化合物を同定することができる。有機化合物を設計する場合、本発明に従った分子を“リード”化合物として使用する。既知の医薬として活性な化合物の模倣物の設計は、こうした“リード”化合物に基づいた医薬の開発においてよく知られた方法である。模倣の設計、合成および試験は、標的特性のために多数の分子を無作為にスクリーニングすることを避けるために一般に使用される。さらに、本発明のDNAによりコードされた推定アミノ酸配列の分析から誘導される構造データは、より特異的であり、そしてそれ故より高い薬理学的効力を有する新規薬剤を設計するために有用である。
本発明のタンパク質配列と、すべての利用可能なデータベースに存在する配列の比較は、Gタンパク質共役型レセプターの膜貫通部分との有意な相同性を示した。従って、他のタンパク質の膜貫通ドメインの利用可能な情報に基づいて、本発明のタンパク質の推定三次構造を展開するため、コンピューターモデル化を使用することが可能である。DmGPCRの予測された構造に基づいて、新規リガンドを設計することが可能である。
特定の態様において、本発明に従ったスクリーニング法により同定された新規分子は、低分子量有機分子であり、この場合においては、組成物または医薬組成物が、錠剤中でのごとく、そのものから経口摂取のために製造することが可能である。核酸分子、ベクター、ポリペプチド、抗体および本明細書に記載したスクリーニング法により同定された化合物を含んでなる組成物または医薬組成物は、限定されるわけではないが、経口、静脈内、皮膚、皮下、鼻孔内、筋肉内、または腹腔内を含む、任意の投与のために製造することができる。坦体または他の成分の性質は、特定の投与経路および投与されるべき本発明の特定の態様に依存するであろう。これに関連して有用である技術およびプロトコールの例は、なかでも、その全体が本明細書において援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Osol,A(編),1980、にみることができる。
これらの低分子量化合物の用量は、処置すべき疾患状態または状態および、処置すべき対象の体重および状態および化合物の投与経路のごとき他の臨床的因子に依存するであろう。動物を処置するためには、約0.5mg/体重kgから500mg/体重kgの化合物を投与することが可能である。治療は、典型的にはより低い用量を投与し、望まれる治療結果が観察されるまで続ける。
対象に投与すべき化合物の用量を決定する方法および生物体へ化合物を投与する様式は、1996年8月23日に提出された米国特許出願番号08/702,282および1996年8月1日に公開された国際特許公報番号WO 96/22976(図面、図または表を含んで、両方ともその全体が本明細書において援用される)、に開示されている。当業者は、こうした記述が本発明に応用でき、そして容易に適合可能なことを認めるであろう。
適切な用量は、処置している疾患の型、使用されている特定の組成物、および被験者のサイズおよび生理学的状態のごとき多様な因子に依存している。本明細書に記載されている化合物の治療的有効用量は、最初に細胞培養および動物モデルから推定することが可能である。例えば、細胞培養アッセイで決定されたIC50を最初に考慮に入れた循環濃度範囲を達成するように、動物モデルで用量を処方することが可能である。
血漿、腫瘍および主たる器官における、薬剤および代謝物の血漿半減期および生体分布をまた、障害を抑制するために最も適切な薬剤の選択を容易にするため、決定することが可能である。こうした測定を実施することが可能である。例えば、HPLC分析を、薬剤で処置した動物の血漿に対して実施することが可能で、そして放射標識化合物の位置は、X線、CATスキャンおよびMRIのごとき検出法を使用して決定することが可能である。スクリーニングアッセイにおいて強力な抑制活性を示すが、乏しい薬物動態学的特性を有する化合物は、化学構造を変化させ、そして再試験することにより最適化することが可能である。これに関して、良好な薬物動態学的特性を示している化合物をモデルとして使用することが可能である。
毒性研究もまた、血液細胞成分を測定することにより実施することが可能である。例えば、毒性研究は、以下のように、適した動物モデルで実施することが可能である:1)化合物をマウスに投与する(非処置対照マウスも使用しなければならない);2)各々の処置群において、一匹のマウスから尾静脈を経て血液試料を定期的に得る;および3)試料は、赤および白血球細胞計数、血液細胞組成および多形核細胞に対するリンパ球のパーセントについて分析する。各々の投薬投与計画と対照の結果の比較が、毒性が存在するかどうかを示している。
毒性研究の終了時に、動物を殺すことにより(好ましくは、米国獣医師医師協会ガイドライン、米国獣医師医師協会報告、安楽死についてのパネル、J.Amer.Vet.Med.Assoc.,1993,202,229−249、に従って)、さらなる研究を実施することが可能である。各々の処置群からの代表的動物は次ぎに、転移、異常な病気または毒性の直接証拠のために、肉眼的剖検で調べることが可能である。組織における肉眼的異常が注目され、組織を組織化学的に試験した。
核酸分子、ポリペプチド、抗体、本明細書に記載したスクリーニング法により同定された化合物を含む、本化合物および方法は、多様な製薬的および農業的(例えば、殺虫剤)応用を有しており、そして、例えば、外部寄生虫により引き起こされる状態を処置するまたは防止するために、若しくは昆虫集団を調節するために使用することができる。
本発明はまた、対象におけるDmGPCR天然結合パートナー関連活性に作動する(刺激する)または拮抗する方法も包含しており、該被験者に該作動作用または拮抗作用を達成するために十分な量で、前に開示したポリペプチドに対するアゴニストまたはアンタゴニストを投与することを含んでなる。本発明の一つの態様は、外部寄生虫により引き起こされる被験者においての疾患または状態を、本発明のタンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストで処置するための方法であり、外部寄生虫DmGPCR関連機能を作動するまたは拮抗するために十分な量で、対象にアゴニストまたはアンタゴニストを投与することを含んでなる。
以下の表4は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの配列を含んでいる。
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ブタペスト条約に従って、本発明のクローンをAgricultural Research Culture Collection(NRRL)International Depository Authority,1815 N.University Street,ペオリア,イリノイ61604,U.S.A、に寄託されている。受け入れ番号および寄託日は下記表5に提供されている。
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本発明は、本発明を説明することが意図されている、以下の実施例によってさらに例示する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定していることを意図していないし、またこれらを本発明の範囲を限定しているとみなしてはならない。本発明が、特に本明細書に記載している以外の方法で実施できることが明らかになるであろう。本発明の多数の修飾および変形が、本明細書の教示を考慮すると可能であり、そして、それ故に、本発明の範囲内である。
この特許文書に述べられた特許、出願、印刷された刊行物の各々は、本明細書において全体が援用されることが意図される。
実施例
実施例1:DmGPCRの同定
セレラ(Celera)ゲノムキイロショウジョウバエデータベースを、予想されるタンパク質のデータベース、そして発生されるであろうmRNAを予測するため、多様な遺伝子発見ソフトウェアツールを使用してmRNAデータベース(“PnuFlyPep”データベース)へ変換した。遺伝子発見ソフトウェアツールを分析するための方法は、当業者には知られている。
いくつかのC.エレガンス(elegans)FaRP GPCRのヌクレオチド配列を、前記mRNAデータベースに対する検索配列として使用した。このデータベースは、FASTAおよびギャップド(gapped)BLAST (Altschulら,Nuc.Acids Res.,1997,25,3389、その全体が本明細書において援用される)を含む、多様なツールを使用して類似性の領域について検索した。
簡単には、Basic Local Alignment Search Toolを表すBLASTアルゴリズムは配列類似性を決定するために適している(Altschulら,J.Mol.Biol.,1990,215,403−410、その全体が本明細書において援用される)。BLAST分析を実施するためのプログラムは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.NIH.gov/)を通して、公的に利用可能である。このアルゴリズムは最初に、データベース中の同一の長さのワード(word)を並列した場合、いくつかの正の値のしきい値スコアTとマッチするかまたは満足する検索配列(query sequence)の短いワード長を同定することにより、ハイスコアリング配列対(high scoring sequence pair)(HSP)を同定することを含んでいる。Tは文字列スコア閾値(neighbourhood word score threshold)と称されている(Altschulら、前記文献)。これらの最初の文字列ヒット(hit)は、それらを含んでいるHSPを発見する検索を始めるためのタネ(seed)として働く。ワードヒットを各々の配列に沿って両方向に、蓄積的アラインメントスコアを増加させることが可能な限り伸張させる。両方向へのワードヒットの伸張は、1)その最大達成値から蓄積的アラインメントスコアが量Xだけ落ちる;2)蓄積的スコアが、一つまたはそれより多くの負にスコアリングする残基アラインメントの蓄積によりゼロまたはそれ以下になる;または3)どちらかの配列が末端に達した、場合に停止する。BlastアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは感度およびアラインメントの速度を決定する。Blastプログラムはデフォルトとして、11のワード長(W)、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoffら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1992,89,10915−10919、その全体が本明細書において援用される、を参照されたい)、50のアラインメント(B)10の期待値(E),M=5、N=4および両鎖の比較、を使用している。
BLASTアルゴリズム(Karlinら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90,5873−5787、その全体が本明細書において援用される)およびギャップドBLASTは、二つの配列間の、類似性の統計分析を実施する。BLASTアルゴリズムにより提供される、類似性の一つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、それは二つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列のマッチが偶然に起こるであろう確率の指標を提供する。例えば、DmGPCR核酸に対する試験配列の比較において、もし最小合計確率が約1より小さい、好ましくは約0.1より小さい、より好ましくは約0.01より小さい、そして最も好ましくは約0.001より小さいならば、DmGPCR遺伝子またはcDNAと核酸は類似していると考えられる。
予測されたタンパク質に対応するmRNAは、PnuFlyPepデータベースを作るために使用された、予測されたmRNAのデータベースから回復された。これらは以下のヌクレオチド配列であると同定され:配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23、各々が検索配列に対して統計的に優位な重複相同性を有している。ヌクレオチド配列、配列番号3、5、9、11、13および15(DmGPCR2a、2b、5a、5b、6aおよび6bに対応している)は、PCRクローニングおよび別の同定された配列の配列決定(示されていない)から得られた。これらの配列の各々は、DmGPCR遺伝子のスプライス変異体を表している。
実施例2:DmGPCRのクローニング
cDNA調製
cDNAは成虫キイロショウジョウバエ ポリA RNA(Clontech Laboratories,パロアルト,CA)かまたは成虫キイロショウジョウバエ全RNA(下記)から調製した。全RNAを得るには、キイロショウジョウバエ親ストック(Biological Supply Company,バーリントン,NC)を冷やして麻痺させ、そして5から6の成体を、10mlのH0、10mlのFormula 4−24 Instant Drosophila Mediumおよび6から10グレーンの活性乾燥酵母(Biological Supply Company)を含んでいる培養容器に加えた。ポリウレタンの泡栓を各々の容器の末端に置き、室温(RT)で4から6週間インキュベートした。成熟時、容器を冷やし、そして麻痺させたハエを、液体N中に保持した50mlのポリプロピレンチューブに注いだ。凍結したハエは、液体N存在下、乳鉢および乳棒ですりつぶすまで、−70℃で保存した。粉末にした組織および幾分かの液体Nを、ドライアイス上で50mlのポリプロピレンチューブ内へデカントした。液体Nを蒸発させた後、粉末にした組織は−70℃で保存した。
RNAを調製するため、300mgの粉末にした組織をドライアイス上のポリプロピレンチューブ内へ置き、そして5mlの6Mグアニジン塩酸塩の0.1M NaOAc溶液、pH5.2溶液を加えた。RNase汚染の問題を減じるため、すべての溶液は、DEPCで処理するか、またはDEPC処理HOで調製し、そしてすべてのガラス器具は焼くか、または新品のプラスチック器具を使用した。チューブをボルテックスで混合し、次に氷の上に置いた。粉末にした組織は、20、21および22ゲージ針を連続的に通過させることにより、均質化した。チューブを遠心分離し(1000xgで10分)、次に、2.5から3mlの上清を、14x95mm Ultra−Clear遠心管(Beckman Instruments,Inc.,パロアルト,CA)に含まれている8mlの5.7M塩化セシウムの0.1M NaOAc溶液に層積した。試料は、L8−70超遠心機(Beckman Instruments,Inc.)中、25000rpmで18時間、18℃にて遠心分離した。上清をデカントし、そしてチューブを反転させて排水した。RNAペレットは200μlのRNase−フリー dHO(Qiagen Inc.,バレンシア,CA)に懸濁し、次に100μlのRNase−フリー dHOで2回すすいだ(総計、400μl)。44μlの3M NaOAc、pH5.2および1mlの冷100%エタノールの添加により、RNAを沈殿させた。−70℃で一夜保存した後、チューブを14000rpmで1時間遠心分離し(Eppendorf微量遠心機5402)、75%エタノールですすぎ(DEPC処理dHOで調製した)、次にペレットをRNase−フリー dHOに溶解した。10mMトリス−HCl、pH7.5中で決定された260または280nmでの吸光度を、RNA濃度および純度を見積もるために使用した。
第一鎖cDNAは、Superscript II酵素(GIBCO BRL,ロックビル,MD)で供給された手順に従って調製した。500ng(2μl)のポリA RNAかまたは3μg(4μl)の全RNAをRNase−フリー dHOおよび250ng(2.5μl)のランダムプライマーを含んでいる微量遠心管に加えた。チューブ(12μl)を70℃で10分インキュベートし、氷上で冷やし、次に、4μlの5x第一鎖緩衝液、2μlの0.1M DTTおよび1μlの10mM dNTP混合物を加えた。25℃で10分、42℃で2分インキュベートした後、1μl(200単位)のSuperscript IIを加え、そして42℃で50分、インキュベーションを続けた。酵素は、70℃で15分のインキュベーションにより不活性化した。cDNAに相補的であるRNAを除去するため、2μl(2単位)のRNase H(Boehringer Mannheim,インディアナポリス,IN)を加え、続いて37℃で20分のインキュベーションを行った。cDNAは−20℃で保存した。
PCR反応
キイロショウジョウバエGタンパク質共役型レセプター(DmGPCR)を増幅するため、標準50/100μlPCR反応、またはAmpliwaxビーズ(Perkin Elmer Cetus,ノーウォーク,CT)を使用するHot Start PCR反応を使用した。プライマー(Genosys Biotechnologies,Inc.,ウッドランド,TX):10μM濃度の5’および3’プライマー、1μM濃度の内部プライマー、を溶解するため、蒸留HOを使用した。各々のPCR反応液は、2から4単位のrTth XL DNAポリメラーゼ、1.2から1.5mMのMg(OAc)、200μMの各々のdNTP、並びに200または400nMの各々のプライマーを含んでいた。Hot Start PCRに対しては、32から36μlの“ローワァー(lower)”カクテル(dHO、3.3x XL−緩衝液、dNTPおよびMg(OAc))を2または4μlの各々のプライマーに加えた(全量、40μl)。Ampliwaxビーズ(Perkin Elmer Cetus)を加え、チューブを75℃で5分インキュベートし、室温(RT)まで冷却し、次に、60μlの“アッパー(upper)”カクテル(dHO、3.3x XL−緩衝液、rTthおよび鋳型)を加えた。PCR増幅は、PERKIN Elmer Series 9600熱サイクラー中で実施した。熱サイクルのための典型的プログラムには以下のサイクルが含まれていた:94℃で1分、続いて30サイクルの増幅(94℃で0.5分、60℃で0.5分、72℃で2分)、続いて60℃で6分。PCR産物に3’A−オーバーハングを作製するため(“テーリング(tailing)”)、1μlのTaqポリメラーゼ(Invitrogen,カールスバット,CA)をPCR増幅の終了時点で加え、チューブを72℃で10分インキュベートした。反応混合物はTAE緩衝液(5)で調製した1%アガロースゲルで分析した。PCR生成物は典型的には、QIAquickスパムカラム(QIAGEN)を使用して試製した。
ライゲーションおよび形質転換
PCR 3.1ベクター(Invitrogen)内へのすべてのPCR生成物のライゲーションおよびOne Shot(登録商標)TOP10F受容細胞(Invitrogen)内へのライゲートした生成物の形質転換は製造業者の説明書に従って行った。昆虫に対してスクリーニングされるべき形質転換体は、50μgアンピシリン/mlを含んでいるLBブロス中で繁殖させた。挿入物を有するコロニーを煮沸−溶解プラスミドmini−prep法(5)により、または形質転換された細菌からプラスミドを直接的に増幅する“コロニーPCR”法(6)により同定した。
DNA配列決定
配列決定のためのDNAは、Qiagenアニオン交換プラスミドキット(QIAGEN−tip 20)を使用し、製造業者の説明書により、37℃で一夜増殖した5mlのLB培養物からDNAを単離した。4つのプライマー(T7、M13リバース、“センス”および“アンチセンス”)が各々のDNAの配列決定のために、典型的には使用された(表6)。BigDye(商標)終結試薬(Applied Biosystems,フォスターシティー,CA)かまたはDYEnamic(登録商標)ETターミネーターキット(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.,ピスカタウェー,NJ)の、色素−ターミネーター配列決定化学を使用した。配列決定反応の準備は、製造業者の推奨に従った。プライマーおよび取り込まれなかったヌクレオチドはCentri−Sepスパンカラム(Princeton Separations,アデルフィア,NJ)を使用して除去した。配列決定反応はApplied Biosystems 377自動化DNAシークエンサーで分析した。DNA配列は、Sequencher(Gene Codes,アンアルボール,MI)、GCGグループの配列分析プログラム(Wisconsin Packageバージョン10.1,Genetics Computer Group(GCG),マディソン,WI)およびVector NTI 5.5スートのプログラム(Infonnax,ベセスダ,MD)を通して利用可能な機能を使用して組み立ておよび分析した。
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本発明のDmGPCRのクローニングおよび配列決定の結果は以下のようである。
DmGPCR1
PnuFlyPep34651に対応するcDNAに設計されたPCRプライマーが、ショウジョウバエ ポリA mRNAから調製されたcDNAからのPCR生成物を増幅するのに、成功裡に使用できた。得られた生成物をクローン化し、そして配列決定した。実験的に得られた配列は、予測された配列と同一であった。無傷のクローンが得られ、“DmGPCR1”と命名した。
DmGPCR2
PnuFlyPep67585に対応するcDNAに設計されたプライマーを使用して、PCR生成物を増幅する最初の試みは失敗した。存在しているC.エレガンスレセプターおよび他の神経ペプチドレセプターとの予測される配列の並列は、予測される配列の5’末端が異常に長いことを示しており、そしてその面での遺伝子予測に誤りがあったことを示唆した。ガイドとしてゲノム配列を使用し、多様な代替5’PCRプライマーを設計し、そして検討した。全RNAから調製されたcDNAを使用する、これらのプライマーの一つが、正しいサイズの生成物を与えることに成功した。PCR反応から誘導されたクローンの配列決定は、増幅された生成物が予測された5’および3’末端を含んでおり、そして、予測された配列では6アミノ酸の小さな伸長が失われていることを除いて、予測された配列と同一であった。クローンの比較はまた、二つのスプライシングアイソフォームが存在することを明らかにし、一つは予測された配列と類似しており(“DmGPCR2a”と命名した)、そして他方は、分子の細胞内C末端内へTM VIIを過ぎた直後に位置している23アミノ酸の伸長が失われていた(“DmGPCR2b”と命名した)。
DmGPCR3
DmGPCR3予測タンパク質に対応する遺伝子はすでに文献に報告されている。この遺伝子(GenBank受け入れ番号M77168)は、NKD、“発生的に制御されたタキキニンレセプター”として記述されている。Momier D,ら,J Biol.Chem.1992,267(2),1298−302。M77168およびPnuFlyPep68505配列の比較は、予測された配列がcDNAとは著しく異なっていたことを示した。cDNAはより長い5’末端を有し、51アミノ酸をコードしているエキソンが失われており、そして3’末端が著しくより短かった。PCRプライマーは公開された配列から設計し、そしてPCR生成物は、全RNAから調製されたcDNAを使用して得られた。この生成物は報告されているNKD配列と構造が同一であった。
DmGPCR4
PnuFlyPep67393に対応するcDNAを、DmGPCR4の増幅のためのPCRプライマーを設計するために使用した。全ショウジョウバエmRNAから調製されたcDNAライブラリーを使用して、PCR生成物を得、そしてクローン化した。PnuFlyPepにより予測された配列とクローンの比較は、HMMGeneにより予測された一つのエキソンがクローン化PCR生成物のいずれにも存在しないことを除いて、配列は同一であったことを明らかにした。DmGPCR4は最近、Lenzら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2000,273,571−577、によりクローン化されており、第二の推定アラトスタチンレセプターに分類されている。
DmGPCR5
DmGPCR(FlyPepCG7887)は不正確に、フレームシフト突然変異を含んでいる。PnuFlyPepバージョン、‘タキキニン関連ペプチドのためのショウジョウバエレセプター’(M77168)(Li XJ,ら,EMBO Journal,1991,10(11),3221−3229)として文献に記載されているPnuFlyPep67522はその誤りを正しているが、いくつかの内部内列およびC末端を不正確に予測している。第一の様相において、PnuFlyPepタンパク質に対応して予測されたcDNAは公開された配列と同一であった。PCRプライマーは、キイロショウジョウバエ ポリA mRNAから調製されたcDNA混合物から、適切なサイズのPCR生成物を成功裡に増幅した。クローン化PCR生成物の配列決定は、全体のスプライシングパターンは同一であったが、二つの配列決定エラーがPnuFlyPep配列中に存在したことを明らかにした。これらのエラーはフレームシフト突然変異を生じ、代償的なフレームシフト突然変異が続き、実験的に決定されたおよび報告された配列間に、46位のアミノ酸から始まる13アミノ酸の相違を生じる。このクローンは‘DmGPCR5a’と命名された。
加えて、DmGPCR5に対してスプライシングアイソフォームを観察した。この変異体は、N末端細胞外ドメインに余分な三つのアミノ酸をコードしていた。
DmGPCR6
PnuFlyPep15731に対応するGPCRはすでに文献に‘神経ペプチドY’レセプター(M81490、Li XJ,ら,J.Biol.Chem.,1992,267(1),9−12)として記載されている。PnuFlyPep予測配列は、分子の両端でM81490とは異なっていた。PnuFlyPep15731は、M81490と比較して、N末端に余分な15アミノ酸を含んでいた。PnuFlyPep15731の3’末端もまたM81490とは異なっており、切り詰められておりそして保存TM VIおよびTM VII残基が含まれていなかった。
最初のPCRプライマーはM81490の配列を使用して設計した。これらのプライマーおよび全mRNAから誘導した鋳型を使用し、PCR生成物が得られた。クローン化PCR生成物の検討は、それがM81490と同一のプロセッシングパターンを使用したことを明らかにした。このクローンは‘DmGPCR6a’と命名された。
DmGPCR6aのクローニングの間、追加のスプライシングアイソフォームを発見した。このアイソフォームは代替スプライスアクセプター部位の使用により発生され、多くの‘6a’形と同一配列を、しかし異なった読み取り枠を使用して、代わりになる分子の3’末端を発生させる。そのうえ、このクローンのオープンリーディングフレームは、本来の3’PCRプライマーを越えて広がっていた。3’末端のゲノム配列の検討は、多数の候補エキソンの可能性を明らかにした。多数のこれらの可能なエキソンに対応するPCRプライマーを、PCR生成物を増幅するであろう一つを発見するまで検討した。この生成物は‘6b’と命名した。ゲノム配列の検討はまた、PnuFlyPep15731により予測されたイニシエーターATGはインフレーム(in−frame)の、余分の15アミノ酸を含んでいるM81490開始コドンを有すること、そしてPnuFlyPep15731開始コドンが標準開始コドンであるらしいことを予測した。PnuFlyPep15731開始コドンを取り込んだ新規5’PCRプライマーを設計し、‘DmGPCR6aL’および‘DmGPCR6bL’(‘ロング(long)’)を増幅およびクローン化するために、二つの3’PCRプライマーと共に使用した。
DmGPCR7
DmGPCR7遺伝子産物を増幅する最初の試みは成功しなかった。予想された配列(PnuFlyPep67863)と他のGPCRのアラインメントは、エラーが多分分子の3’末端の予測にあることを示唆した。予想された配列は、ほとんどの他のGPCRよりもかなり長い3’末端を有していた。ゲノム配列の検討は、適切なサイズの分子を生じたであろうインフレーム停止コドンを除去するスプライシングの予測にエラーの可能性があることを示唆した。3’PCRプライマーをイントロン内に設計した。そのうえ、予測開始コドンのすぐ上流のインフレームATGを利用するように、新規5’PCRプライマーを設計した。全mRNAから誘導されたcDNAのPCR増幅は、期待されたサイズの生成物を生じた。
DmGPCR7のPnuFlyPepおよびWO 01/70980バージョンは、両方ともN末端の二つのアミノ酸を失っている。前に指摘したように、PnuFlyPepおよびFlyPep CG10626バージョンはまたC末端が不適正であった。DmGPCR7遺伝子産物の不適正バージョンは推定ショウジョウバエロイコキニンレセプターであると予想された(例えば、Hewes & Taghert,Genome Res.,2001,11,1126−1142;Holmesら,Insect Mol.Biol.,2000,9,457−465);しかしながら、本発明に先だっては、この予測を確認した実験的証拠は存在しない。
DmGPCR8
DmGPCR8は、PnuFlyPep予測配列に対して設計されたPCRプライマーを使用して成功裡に増幅した。ポリA RNAから誘導されたcDNAをPCR反応の鋳型として使用した。配列決定した六つすべてが、PnuFlyPep予測配列と構造が同一であった。多型が#68位(DNA配列)で注目され、クローンの半分がこの位置に“C”を、そして半分が“A”を有していた。この変化は、アミノ酸変化、各々AspまたはGlu、を生じた。Celera配列は“A”を示している、それゆえさらなる研究には、“A”クローン(Glu)を任意に選んだ。正しい配向で得られた“A”クローンはなく、それゆえサブクローニング工程は、本来のpCR3.1クローンから挿入物を除去するためにPmeIを利用し、配向を逆にするためにPmeI消化pCR3.1ベクターを使用した。
PnuFlyPepバージョンは正しい。WO 01/70980バージョンは、しかしながら、約17のN末端アミノ酸および約15の内部アミノ酸が失われている。このレセプターは推定ソマトスタチン様レセプターとして分類した(例えば、Hewes & Taghert,Genome Res.,2001,11,1126−1142)。本発明に先だっては、この予測を確認した実験的証拠は存在しない。
DmGPCR9
DmGPCR9はPnuFlyPep予測配列に対して設計されたPCRプライマー、およびポリA RNAから調製されたcDNA鋳型を使用してクローン化した。ゲノム構造は、PnuFlyPepで正しく予測されていた。
DmGPCR10
DmGPCR10(PnuFlyPep70325)のために設計されたプライマーでPCR生成物を発生させる最初の試みは成功しなかった。予想されたcDNAの検討は、予想された配列が、高度に保存されたTM VI中の“WXP”モチーフもTM VII中の“NPXXF”モチーフも含んでいない(いくつかの他の保存残基は存在していたが)点において異常であることを示した。最後のエキソンの下流80kbまでのゲノム配列は、どんな他の潜在的エキソンも示さなかった。DmGPCR10のための無傷のクローンを得るための試みには着手しなかった。
DmGPCR11(アラトスタチン様ペプチドレセプター
‘アラトスタチン様ペプチドレセプター’のためのPCR反応プライマーは、公開されている配列を使用して設計した。Birgulら,EMBO Journal,1999,18(21),5892−5900。PCR生成物は、全mRNA調製試料から誘導されたcDNAを使用して得、そしてクローン化および配列決定した。最終cDNAは、報告に記載されているものと同一のタンパク質をコードしていた。
実施例3:ノーザンブロット分析
ノーザンブロットはRNAの発現を検討するために実施することができる。前記のセンス配向オリゴヌクレオチドおよびアンチセンス配向オリゴヌクレオチドを、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23から成る群より選択されるヌクレオチド配列のGPCR cDNA配列の部分を増幅するためのプライマーとして使用する。
Clontech(Human II #7767−1)からの複数のヒト組織ノーザンブロットをプローブとハイブリダイズする。前ハイブリダイゼーションは、5XSSC、1x デンハート試薬、0.1%SDS、50%ホルムアミド、250mg/mlサケ精子DNA中、42℃で4時間実施する。ハイブリダイゼーションは、約1.5x10cpm/mlの標識プローブを添加した同一混合物中、42℃で一夜実施する。
プローブは、Rediprime DNA標識システム(Amersham Pharmacia)によりα−32P−dCTPを用いて標識し、Nick Column(Amersham Pharmacia)で精製し、ハイブリダイゼーション溶液へ加える。フィルターは、0.2x SSC、0.1%SDS中、42℃で数回洗浄する。フィルターをKodak XARフィルム(Eastman Kodak Company,ロチェスター,N.Y.,USA)に暴露し、−80℃でスクリーンを増感させる。
実施例4:真核動物細胞におけるDmGPCRの組換え発現
哺乳動物細胞におけるDmGPCRの発現
DmGPCRタンパク質を産生するため、DmGPCRコードポリヌクレオチドを、適した発現ベクターおよび標準遺伝子工学技術を使用して、適した宿主細胞で発現する。例えば、実施例1に記載したDmGPCRコード配列を市販の発現ベクターpzeoSV2(Invitrogen,サンディエゴ,CA)内へサブクローン化し、トランスフェクション試薬FuGENE 6(Boehringer−Mannheim)および製品に挿入して提供されたトランスフェクションプロトコールを使用して、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内へトランスフェクトする。例えば、ヒト胎児腎臓(HEK293)およびCOS細胞を含む、他の真核生物細胞株も同様に適している。安定的にDmGPCRを発現している細胞を、100μg/mlゼオシン(zeocin)(Stratagene,ラジョラ,CA)存在下で増殖させることにより選択する。所望により、DmGPCRは標準クロマトグラフィー技術を使用して、細胞から精製することができる。精製を容易にするため、DmGPCRアミノ酸配列の一部に対応する一つまたはそれより多くの合成ペプチド配列に対する抗血清を上昇させ、DmGPCRを親和性で精製するために、前記抗血清を使用する。DmGPCRはまた、タグ配列(例えば、ポリヒスチジン、ヘマグルチニン、FLAG)とともにインフレームで発現することができる。さらに、以下に記載されるアッセイのごとく、DmGPCRポリペプチドの使用の多くは、宿主細胞からの精製を必要としないことが認められるであろう。
293細胞におけるDmGPCRの発現
293細胞におけるDmGPCRの発現のため、ベクターpSecTag2A(Invitrogen)を使用して、関連DmGPCRコード配列を運んでいるプラスミドを調製する。ベクターpSecTag2Aは、分泌のためのマウスIgK鎖リーダー配列、抗myc抗体による組換えタンパク質の検出のためのc−mycエピトープ、ニッケルキレートクロマトグラフィーによる精製のためのC末端ポリヒスチジン、および安定なトランスフェクト体の選択のためのゼオシン耐性遺伝子を含んでいる。このGPCR cDNAの増幅のためのフォワードプライマーは、日常的な方法により決定し、好ましくは、HindIIIクローニング部位を導入するためのヌクレオチドの5’伸長およびGPCR配列をマッチングするためのヌクレオチドを含んでいる。リバースプライマーも、日常的な方法により決定し、好ましくは、クローニングのためにXhoI制限部位を導入するためのヌクレオチドの5’伸長、およびDmGPCR配列の逆相補体に対応するヌクレオチドを含んでいる。PCR条件は、アニーリング温度として55℃である。PCR生成物はゲル精製し、ベクターのHindIII−XhoI部位内へクローン化する。
DNAはQiagenクロマトグラフィーカラムを使用して精製し、そして、DOTAPトランスフェクション培地(Boehringer Mannheim,インディアナポリス,IN)を使用して、293細胞内へトランスフェクトする。一時的にトランスフェクトされた細胞を、抗Hisおよび抗DmGPCRペプチド抗体で探索したウェスタンブロットを使用して、トランスフェクション24時間後の発現で試験する。恒久的にトランスフェクトされた細胞をゼオシンで選択し、繁殖させる。組換え体タンパク質の産生が、抗His、抗Mycまたは抗GPCRペプチドで探索したウェスタンブロットにより、細胞および培地の両方で検出される。
COS細胞におけるDmGPCRの発現
COS7細胞におけるDmGPCRの発現のため、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23から成る群より選択されるヌクレオチド配列を有しているポリヌクレオチド分子を、ベクターP3−CI内へクローン化可能である。このベクターは、bGH(ウシ成長ホルモン)ポリアデニル化配列から上流に位置しているHCMV(ヒトサイトメガロウイルス)プロモーター−イントロン、並びに複数のクローニング部位を含んでいる、pUC18由来プラスミドである。加えて、プラスミドは、安定な形質転換体の選択のために、薬剤メトトレキセート(MTX)存在下での選択を提供する、dhfr(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)遺伝子を含んでいる。
フォワードプライマーは、日常的な方法により決定し、好ましくは、クローニングのためのXbaI制限部位を導入する5’伸長を含んでおり、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23から成る群より選択されるヌクレオチド配列に対応するヌクレオチドが続いている。リバースプライマーも、日常的な方法により決定し、そして好ましくは、SalIクローニング部位を導入するためのヌクレオチドの5’伸長を含んでおり、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23から成る群より選択されるヌクレオチド配列の逆相補体に対応するヌクレオチドが続いている。
PCR反応は95℃で5分の最初の変性工程、次いで、95℃で30秒の変性、58℃で30秒のアニーリング、および72℃で30秒の伸長の30サイクル、続いての72℃で5分の伸長、から成っている。PCR生成物はゲル精製し、ベクターP3−CIのXbaIおよびSalI部位内へライゲートする。増幅およびDNA精製のため、この構築物を大腸菌に形質転換する。DNAをQiagenクロマトグラフィーカラムで精製し、BRLからのLipofectamine試薬を使用し、製造業者のプロトコールに従ってCOS細胞内へトランスフェクトする。トランスフェクションして48および72時間後、組換え体タンパク質発現について、培地および細胞を試験する。
COS細胞培養により発現されたDmGPCRは、約10mgタンパク質/mlまで細胞増殖培地を濃縮し、そして例えば、クロマトグラフィーによりタンパク質を精製する。精製されたDmGPCRは、YM−10メンブランを取り付けたAmicon濃縮器で、0.5mg/mlまで濃縮し、−80℃で保存する。
昆虫細胞におけるDmGPCRの発現
バキュロウイルス系におけるDmGPCRの発現のため、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23から成る群より選択されるヌクレオチド配列を有しているポリヌクレオチド分子が、PCRにより増幅可能である。フォワードプライマーは、日常的な方法により決定し、好ましくは、NdeIクローニング部位を付加する5’伸長を含んでおり、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23から成る群より選択されるヌクレオチド配列に対応するヌクレオチドが続いている。リバースプライマーも、日常的な方法により決定し、そして好ましくは、KpnIクローニング部位を導入する5’伸長を含んでおり、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23から成る群より選択されるヌクレオチド配列の逆相補体に対応するヌクレオチドが続いている。
PCR生成物をゲル精製し、NdeIおよびKpnIで消化し、そしてベクターpAcHTL−A(Pharmingen,サンディエゴ,CA)の対応する部位内へクローン化する。pAcHTL発現ベクターはオートグラファ カリフォルニカ(Autographa californica)核多核体病ウイルス(AcMNPV)の強力な多核体プロモーター、および複数のクローニング部位から上流の6XHisタグを含んでいる。複数のクローニング部位に先行する、リン酸化のためのプロテインキナーゼ部位および組換え体タンパク質の切り出しのためのトロンビン部位もまた存在する。もちろん、pAc373、pVL941およびpAcIM1のごとき、多くの他のバキュロウイルスベクターをpAcHTL−Aの代わりに使用することができる。必要とされる、インフレームAUGおよびシグナルペプチドのごとき、転写、翻訳および輸送のための適切に位置されたシグナルをベクター構築物が含んでいる限り、GPCRポリペプチドの発現のための他の適したベクターを使用することが可能である。こうしたベクターは、なかでも、Luckowら,Virology 170:31−39、に記載されている。
Summersら(A Manual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedures,Texas Agricultural Experimental Station Bulletin番号1555(1987))により記載されているような、標準バキュロウイルス発現法を使用して、ウイルスを増殖させ、そして単離する。
一つの態様において、DmGPCR遺伝子を含んでいるpAcHLT−Aを、“BaculoGold”トランスフェクションキット(Pharmingen,サンディエゴ,CA)を使用し、製造者により確立された方法を使用して、バキュロウイルス内へ導入する。個々のウイルス単離物を、感染24時間後に35S−メチオニンを用いて感染細胞を放射標識することにより、タンパク質産生について分析した。感染細胞は感染48時間後に採取し、標識されたタンパク質をSDS−PAGEにより可視化する。高発現レベルを示しているウイルスを単離することが可能であり、そして規模を大きくした発現のために使用する。
Sf9細胞におけるDmGPCRポリペプチドの発現のためには、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23から成る群より選択されるヌクレオチド配列を有しているポリヌクレオチド分子は、バキュロウイルス発現のための前に記載したプライマーおよび方法を使用したPCRにより増幅することが可能である。Sf9昆虫細胞中での発現のため、DmGPCR cDNAをpAcHLT−A(Pharmingen)内へクローン化する。挿入物は、内部NdeIの除去後(バキュロウイルスでの発現のために前に記載したものと同一のプライマーを使用して)、NdeIおよびKpnI部位内へクローン化する。DNAをQiagenクロマトグラフィーカラムで精製し、そしてSf9細胞で発現させる。非精製プラークでの予備的ウェスタンブロット実験で、GPCR特異的抗体と反応する、期待されるサイズの組換えタンパク質の存在を試験する。これらの結果は、さらなる精製およびHiG5細胞で最適化された発現後に確認する。
実施例5:相互作用捕捉/ツーハイブリッドシステム
DmGPCRと相互作用しているタンパク質をアッセイするため、相互作用捕捉/ツーハイブリッドスクリーニング法を使用することが可能である。このアッセイは最初に、その全体が本明細書において援用される、Fieldsら,Nature,1989,340,245、により記載されている。プロトコールは、その全体が本明細書において援用される、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,NY,1999、およびAusubelら,SHORT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,第4版,Greene and Wiley−Interscience,NY,1992、に発表されている。キットはClontech,パロアルト,CA(Matchmaker Two−Hybrid System 3)から入手可能である。
すべてまたは一部のDmGPCRおよび酵母転写因子GAL4 DNA−結合ドメイン(DNA−BD)をコードしているヌクレオチド配列の融合物を、標準サブクローニング技術を使用して、適切なプラスミド(即ち、pGBKT7)に構築する。同様に、GAL4活性ドメイン(AD)融合ライブラリーを、潜在的GPCR結合タンパク質のcDNAからの第二のプラスミド(即ち、pGADT7)中に構築する(cDNAライブラリーを形成するプロトコールについては、Sambrookら,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,第2版,Cold Spring Harbor Press,コールドスプリングハーバー,NY,1989、その全体が本明細書において援用される、を参照されたい)。DNA−BD/GPCR融合体構築物を配列決定により確認し、そしてその両方がツーハイブリッド分析の成功を妨げるであろう、自律性レポーター遺伝子活性化および細胞毒性を試験する。宿主細胞での発現および転写活性の欠如を確かにするため、同様な対照をAD/ライブラリー融合構築物で実施する。標準法(Ausubelら,SHORT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,第4版,Greene and Wiley−interscience,NY,1992、その全体が本明細書において援用される)に従って、酵母細胞を、GPCRおよびライブラリー融合プラスミドの両方で形質転換する(約105形質転換体/mgDNA)。DNA−BD/GPCRとAD/ライブラリータンパク質のインビボ結合は、特異的酵母プラスミドレポーター遺伝子(即ち、lacZ、HIS3、ADE2、LEU2)の転写を生じる。レポーター遺伝子の発現をスクリーニングするため、酵母細胞を栄養欠損培地に置く。コロニーは、Xgal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を補給した培地中での増殖させ、β−ガラクトシダーゼ活性を二重にアッセイする(β−ガラクトシダーゼ活性のためのフィルターアッセイは、その全体が本明細書において援用されるBreedenら,Cold Spring HarB.Symp.Quayat.Biol.,1985,50,643、に記載されている)。特異的DmGPCR/ライブラリータンパク質相互作用を確認するため、形質転換体から陽性AD−ライブラリープラスミドを救いだし、本来の酵母株ならびに非関連DNA−BD融合タンパク質を含んでいる他の株内へ再導入する。GAL4 ADへ融合されたオープンリーディングフレームの存在を検証するため、およびDmGPCR結合タンパク質の同一性を決定するため、挿入DNAを配列決定する。
実施例6:ゲル電気泳動を使用する移動度シフトDNA結合アッセイ
ゲル電気泳動移動度シフトアッセイは、特異的タンパク質−DNA相互作用を迅速に検出できる。プロトコールは、Sambrookら,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,第2版,Cold Spring Harbor Press,コールドスプリングハーバー,NY,1989,およびAusubelら,SHORT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,第4版,Greene and Wiley−interscience,NY,1992、どちらもその全体が本明細書において援用される、のごときマニュアルで広く利用可能である。
プローブDNA(<300bp)は、合成オリゴヌクレオチド、制限エンドヌクレアーゼ断片またはPCR断片から得られ、そして32Pで末端標識されている。精製DmGPCRの一部(約15μg)または粗DmGPCR抽出物(約15ng)を、放射性標識プローブDNA、非特異的坦体DNA(約1μg)、BSA(300μg/ml)および10%(v/v)グリセロールを含んでいる10−15μlの緩衝液(即ち、TAEまたはTBE、pH8.0−8.5)中で、一定温度(22−37℃の範囲の)で少なくとも30分インキュベートする。反応混合物は次ぎにポリアクリルアミドゲルに負荷し、タンパク質−DNA複合体から遊離のプローブDNAの良好な分離が起こるまで、30−35mAで走らせる。ゲルは次ぎに乾燥し、遊離DNAおよびタンパク質−DNA複合体に対応するバンドをオートラジオグラフィーにより検出する。
実施例7:DmGPCRに対する抗体
DmGPCRに対するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を発生させるため、そしてその有用な抗原結合断片、または“ヒト化”変異体を含むその変異体を発生させるために、標準技術を用いる。こうしたプロトコールは例えば、Sambrookら,(1989),上記文献,およびHarlowら(編),ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Laboratory,,コールドスプリングハーバー,NY,1988、に見ることができる。一つの態様において、組換えDmGPCRポリペプチド(またはこうしたポリペプチドを含んでいる細胞または細胞膜)を、抗体を発生させるための抗原として使用する。別の態様において、DmGPCRの免疫原性部分に対応するアミノ酸配列を有する一つまたはそれより多くのペプチド(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれより多いアミノ酸)を抗原として使用する。DmGPCRの細胞外部分に対応するペプチド、特に親水性細胞外部分が本発明に含まれている。抗原は、抗原産生を増加させるため、アジュバントと混合、またはハプテンへ連結することができる。
ポリクローナルまたはモノクローナル抗体
プロトコールの一つの例として、組換えDmGPCRまたはその合成断片を、モノクローナル抗体の発生にためにマウスを免疫するのに使用する(またはウサギのごときより大きな哺乳動物、ポリクローナル抗体のため)。免疫原性を増加させるため、ペプチドを、製造業者の推奨に従ってキーホールリンペット(Keyhole Lympet)ヘモシアニン(Pierce)とコンジュゲートする。最初の注射のためには、抗原をフロイント完全アジュバントで乳化し、そして皮下に注射する。2から3週間の間隔で、追加のDmGPCR抗原の一部をフロイント不完全アジュバントで乳化し、そして皮下に注射する。最終追加免疫注射に先立って、DmGPCRと免疫反応する抗体の存在を確認するため、免疫化マウスから血清試料を採取し、ウェスタンブロットによりアッセイする。免疫化動物からの血清は、ポリクローナル抗血清として使用することができ、またはDmGPCRを認識するポリクローナル抗体を単離するために使用することができる。あるいは、モノクローナル抗体の発生のため、マウスを殺しそしてその脾臓を除去する。
モノクローナル抗体を発生させるには、脾臓を10mlの無血清RPMI1640中に置き、2mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを補給した無血清RPMI1640(RPMI)(Gibco,カナダ)中で脾臓を磨りつぶすことにより、単一細胞懸濁液を形成する。細胞懸濁液を濾過し、遠心分離により洗浄し、そして無血清RPMIに再懸濁する。3匹の天然のBalb/cマウスからとりだした胸腺細胞を同様の様式で調製し、そしてフィーダー層として使用する。融合に先立って3日間、10%ウシ胎児血清(FBS)(Hyclone Laboratories,Inc.,ローガン,ユタ)を含むRPMI中で対数増殖期に維持したNS−1骨髄腫細胞を遠心分離し、そして同様に洗浄する。
ハイブリドーマ融合物を産生するため、免疫化マウスからの脾臓細胞をNS−1細胞と混合し、そして遠心分離し、そして上清を吸引する。細胞ペレットは、チューブで捕捉することにより移動させ、そして2mlの37℃PEG1500(50% 75mM HEPES中、pH8.0)(Boehringer−Mannheim)でペレットをかき混ぜ、続いて無血清RPMIを添加する。その後、細胞を遠心分離し、15%FBS、100μMヒポキサンチンナトリウム、0.4μMアミノプテリン、16μMチミジン(HAT)(Gibco)、25単位/ml IL−6(Boehringer−Mannheim)および1.5x10胸腺細胞/mlを含んでいるRPMIに再懸濁し、10のCorning平底96−ウェル組織培養プレート(Corning,コーニング,ニューヨーク)に蒔いた。
融合後2、4および6日に、100μlの培地を融合プレートのウェルから除き、新鮮培地に置き換える。8日目、DmGPCRへ結合するマウスIgGの存在を試験するELISAにより融合をスクリーニングする。選択された融合ウェルは、抗DmGPCR抗体を産生するモノクローナル培養物が得られるまで希釈することにより、さらにクローン化する。
抗DmGPCRモノクローナル抗体のヒト化
本明細書に報告されたようなDmGPCRの発現パターン、および治療的介入のための標的としてのGPCRの証明された追跡記録は、DmGPCR抑制剤(アンタゴニスト)に対する治療的指示を示唆している。DmGPCR中和抗体は、DmGPCRアンタゴニストとして有用な、治療剤の一つのクラスを含んでなる。以下は、本発明のモノクローナル抗体をヒト化するためのプロトコールである。
ヒト化の原理は文献に記載されており、そして抗体タンパク質のモジュラー(modular)配列により促進される。結合補体の可能性を最少にするため、IgG4アイソタイプのヒト化抗体を使用することができる。
例えば、ヒト化のレベルは、ヒト抗体分子の定常ドメインを有する、目的の非ヒト抗体タンパク質の可変ドメインを含んでなるキメラ抗体を発生させることにより達成される(例えば、Morrisonら,Adv.Immunol.,1989,44,65−92、を参照されたい)。DmGPCR中和抗DmGPCR抗体の可変ドメインは、B細胞ハイブリドーマのゲノムDNAから、または目的のハイブリドーマから単離されたmRNAからクローン化する。V領域遺伝子断片をヒト抗体定常ドメインをコードしているエキソンへ連結し、そして生じた構築物を適した哺乳動物宿主細胞(例えば、骨髄腫またはCHO細胞)で発現させる。
さらにより高いレベルのヒト化を達成するには、非ヒトモノクローナル抗体遺伝子の抗原結合相補性決定領域(“CDR”)をコードする可変領域遺伝子の部分のみを、ヒト抗体配列内へクローン化する。(例えば、Jonesら,Nature,1986,321,522−525;Riechmannら,Nature,1988,332,323−327;Verhoeyenら,Science,1988,239,1534−36;およびTempestら,Bio/Technology,1991,9,266−71、を参照されたい)。必要に応じ、CDR3領域を取り囲んでいる、ヒト抗体のβシートフレームワークをまた、本来のモノクローナル抗体の抗原結合ドメインの3次元構造をより密接に反映するように修飾する。(Kettleboroughら,Protein Engin.,1991,4,773−783;おおびFooteら,J.Mol.Biol.,1992,224,487−499、を参照されたい)。
代わりのアプローチにおいて、非ヒト抗体の内部および接触残基のすべてを保持する一方、非ヒト抗体の選択された表面残基を改変することにより(例えば、部位特異的突然変異誘発により)、目的の非ヒトモノクローナル抗体の表面がヒト化される。Padlan,Molecular Immunol,1991,28(4/5),489−98、を参照されたい。
DmGPCR発現またはリガンド仲介DmGPCRシグナル伝達が有害である状態を、処置するまたは和らげるための治療薬として有用なヒト化DmGPCR中和抗体を作成するため、DmGPCR中和抗DmGPCRモノクローナル抗体およびそれを産生するハイブリドーマを使用し、前記のアプローチを用いる。
実施例8:DmGPCR活性の変調剤を同定するアッセイ
以下に示したのは、DmGPCR活性の変調剤(アゴニストまたはアンタゴニスト)を同定するためのいくつかの非制限的アッセイである。これらのアッセイにより同定可能である変調剤は、レセプターの天然のリガンド化合物;天然のリガンドの合成類似体および誘導体;天然の抗体からまたは抗体様コンビナトリアルライブラリーから誘導された抗体、抗体断片および/または抗体様化合物;および/またはライブラリーの高スループットスクリーニングにより同定された合成化合物;などである。DmGPCRを結合するすべての変調剤が、組織試料においてDmGPCRを同定するために有用である(例えば、診断目的、病理学的目的などのために)。アゴニストおよびアンタゴニスト変調剤は、DmGPCR活性の異常なレベルにより特徴付けられる疾患状態を処置するため、各々、DmGPCR活性を上方調節および下方調節することに対して有用である。アッセイは単一の推定変調剤を使用して実施することができ、および/または候補アンタゴニストと組み合わせて既知のアゴニストを使用して実施することもできる(またはその逆)。
cAMPアッセイ
アッセイの一つの型において、環状アデノシン一リン酸(cAMP)のレベルを、候補変調剤化合物へ暴露されたDmGPCRトランスフェクト細胞中で測定する。cAMPアッセイのためのプロトコールは文献に記載されている。(例えば、Sutherlandら,Circulation,1968,37,279;Frandsenら,Life Sciences,1976,18,529−541;Dooleyら,J.Pharm and Exper.Ther.,1997,283(2),735−41;およびGeorgeら,J.Biomolecular Screening,1997,2(4),235−40、を参照されたい)。NEN(商標) Life Science ProductsからのAdenylyl Cyclase Activation FlashPlate(登録商標) Assayを使用する、こうしたアッセイのためのプロトコールの例が以下に示されている。
簡単には、DmGPCRコード配列(例えば、cDNAまたはイントロンのないゲノムDNA)をpzeoSV2(Invitrogen)のごとき市販の発現ベクター内へサブクローン化し、FuGENE6トランスフェクション試薬が供給されている場合にBoehringer−Mannheimにより提供されるトランスフェクションプロトコールのごとき、既知の方法を使用してチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を一時的にトランスフェクトする。トランスフェクトされたCHO細胞を、cAMPが結合されている固体シンチレーション剤で被覆されている、FlashPlate(登録商標)アッセイキットからの96−ウェルマイクロプレートに蒔く。対照として、いくつかのウェルに野生型(トランスフェクトされていない)CHO細胞を蒔く。プレートの他のウェルには、検量線の作製に使用するために、いろいろな量のcAMP標準溶液を加える。
一つまたはそれより多くの試験化合物(即ち、候補変調剤)を各々のウェルの細胞に加え、水および/または化合物を含んでいない培地/希釈液が対照として働く。処理後、室温で正確に15分間、茶房にcAMPを蓄積させる。[125I]−標識cAMPを含んでいる溶解緩衝液の添加によりアッセイを終結させ、Packard Topcount(登録商標)96−ウェルマイクロプレートシンチレーションカウンターを使用して、プレートを計数する。溶解細胞からの(または基準からの)非標識cAMPおよび[125I]−cAMPの固定された量が、プレートへ結合されている抗体に対して競合する。検量線を構築し、そして同定すべき試料に対するcAMP値が内挿により得られる。試験化合物への暴露に応答したcAMPレベルの変化は、DmGPCR変調活性の指標である。Gタンパク質のGサブタイプへ共役されたレセプターのアゴニストとして働く変調剤は、cAMPの産生を刺激し、cAMPレベルの測定可能な3−10倍の増加を導くであろう。Gタンパク質のGi/oサブタイプへ共役されたレセプターのアゴニストは、フォルスコリン刺激cAMP産生を抑制し、50−100%のcAMPレベルの測定可能な減少を導くであろう。インバースアゴニストとして働く変調剤は、構成的に活性なまたは既知のアゴニストにより活性化されるレセプターで、これらの効果を逆転させるであろう。
エクオリンアッセイ
別のアッセイにおいては、細胞(例えば、CHO細胞)をDmGPCR発現構築物および発光タンパク質エクオリンをコードする構築物で一時的に同時トランスフェクトする。補因子セレンテラジン存在下、アポアクオリンは細胞内(細胞質)遊離カルシウムの量に比例している測定可能な発光を放射するであろう。(一般的には、Cobboldら,CELLULAR CALCIUM: A PRACTICAL APPROACH中、“細胞質遊離カルシウムのエクオリン測定”,McCormack J.G.およびCobbold P.H.,編,Oxford:IRL Press,1991;Stablesら,Anal.Biochem.,1997,252,115−26;およびHaugland,HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS,第6版,ユージーン,OR,Molecular Probes,1996を参照されたい)。
一つのアッセイの例においては、DmGPCRを市販の発現ベクターpzeoSV2(Invitrogen)内へサブクローン化し、トランスフェクション試薬FuGENE6(Boehringer−Mannheim)および製品挿入物で提供されるトランスフェクションプロトコールを使用し、タンパク質エクオリンをコードする構築物(Molecular Probes,ユージーン,OR)と共にCHO細胞内へ一時的に同時トランスフェクトする。
細胞を、10%ウシ胎児血清、2mM グルタミン、10U/mlペニシリン、および10μg/mlストレプトマイシンを補給したMEM(GIBCO/BRL,ガイサースバーグ,MD)中、37℃で24時間培養し、その時点で培地を、5μMセレンテラジン(Molecular Probes,ユージーン,OR)を含んでいる無血清MEMへ交換する。次ぎに培養をさらに37℃で2時間続ける。続いて、VERSEN(Gibco/BRL)を使用してプレートから細胞を剥離し、洗浄し、そして無血清MEM中、200,000細胞/mlで再懸濁する。
候補DmGPCR変調剤化合物の希釈液を無血清MEMで調製し、50μl/ウェルで、不透明な96−ウェルアッセイプレート内へ分配する。プレートは次ぎに、MLXマイクロタイタープレート発光計(Dynex Teclmologies,Inc.,シャンティイ,VA)上へのせる。装置は、50μlの細胞懸濁液を各々のウェル内へ分配し、一度に一つのウェル、そして直ぐに発光を15秒読み取るようにプログラムされている。候補変調剤の用量応答曲線を、各々の光信号ピークに対する曲線の下部面積を使用して構築する。データは、一部位リガンドに対する方程式を使用して、SlideWriteで分析し、そしてEC50値を得る。化合物により起こされた発光における変化は、変調活性の指標と考えられる。Gタンパク質のGサブタイプへ共役されたレセプターのアゴニストとして働く変調剤は、100倍までの発光の増加を与える。インバースアゴニストとして働く変調剤は、構成的に活性なまたは既知のアゴニストにより活性化されるレセプターで、これらの効果を逆転させるであろう。
ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ
発光タンパク質ルシフェラーゼは、DmGPCR活性の変調剤をアッセイするための別の有用な手段を提供する。細胞(例えば、CHO細胞またはCOS7細胞)を、DmGPCR発現構築物(例えば、pzeoSV2中のDmGPCR)、およびcAMP−応答要素(CRE)、AP−1またはNF−カッパBのごとき転写因子結合部位から下流にルシフェラーゼタンパク質のための遺伝子を含むレポーター構築物で一時的に同時トランスフェクトする。活性の指標と考えられる。Gタンパク質のGサブタイプへ共役されたレセプターに結合するアゴニストは、cAMPの増加を導き、それによりCRE転写因子を活性化してルシフェラーゼ遺伝子の発現を生じる。ルシフェラーゼの発現レベルは、シグナル伝達事象の活性化状態を反映している。一般的には、Georgeら,J.Biomolecular Screening,1997,2(4),235−240;およびStratowaら,Curr.Opin.Biotechnol.,1995,6,574−581、を参照されたい。ルシフェラーゼ活性は、例えば、Promega(マディソン,WI)から商業的に入手可能であるルシフェラーゼアッセイ試薬を使用して定量的に測定することができる。
一つのアッセイの例では、トランスフェクション1日前に、CHO細胞を100,000細胞/ウェルの密度で、24−ウェル培養ディッシュに蒔き、そして10%ウシ胎児血清、2mM グルタミン、10U/mlペニシリン、および10μg/mlストレプトマイシンを補給したMEM(GIBCO/BRL)中、37℃で培養する。細胞を、DmGPCR発現構築物およびルシフェラーゼ遺伝子を含んでいるレポーター構築物の両方で一時的に同時トランスフェクトする。レポータープラスミドCRE−ルシフェラーゼ、AP−1−ルシフェラーゼおよびNF−カッパB−ルシフェラーゼはStratagene(ラジョラ,CA)から購入することができる。トランスフェクションは供給元の指導書に従い、FuGENE6トランスフェクション試薬(Boehringer−Mannheim)を使用して実施する。レポーター構築物単独でトランスフェクトされた細胞を対照として使用した。トランスフェクション24時間後、細胞を、前もって37℃に温めたPBSで一回洗浄する。無血清MEMを次ぎに単独で(対照)または一つまたはそれより多くの候補変調剤と細胞に加え、そして細胞を37℃で5時間インキュベートする。その後、細胞を氷冷PBSで一回洗浄し、そしてPromegaにより供給されたルシフェラーゼアッセイキットからの溶解緩衝液の、ウェル当たり100μlの添加により溶解する。室温で15分のインキュベーション後、15μlの溶解物を50μlの基質溶液(Promega)を不透明な、96−ウェルプレート中で混合し、化学発光を直ちにWallaceモデル1450 MicroBetaシンチレーションおよび化学発光カウンター(Wallace Instruments,ガイサースバーグ,MD)で読み取る。
候補変調剤化合物存在下対非存在下での化学発光の相違は、変調活性の指標である。構成的に活性なまたはアゴニストにより活性化されたレセプターは、典型的には、レポーター遺伝子単独でトランスフェクトされた細胞と比較して、3−20倍の化学発光の刺激を与えている。
FLIPRを使用する細胞内カルシウム測定
細胞内カルシウムレベルの変化は、Gタンパク質共役型レセプター活性の、別の認識される指標であり、こうしたアッセイをDmGPCR活性の変調剤をスクリーニングするために使用することが可能である。例えば、DmGPCR発現ベクターで安定にトランスフェクトされたCHO細胞を、4x10細胞/ウェルの密度で、プレート上の種々のウェルから放射される蛍光信号を区別するために特別に設計されたPACKARD黒壁、96−ウェルプレートに蒔いた。細胞は、36mg/L−ピルビン酸および1g/Lグルコースおよび四つのカルシウム指示色素(Fluo−3(商標)AM、Fluo−4(商標)AM、Calcium Green−1(商標)AMまたはOregon Green(商標)BAPTA−1 AM)の内の一つ(各々4μMの濃度で)、を含んでいる改良ダルベッコPBS(D−PBS)中、37℃で60分インキュベートする。プレートを1回改良D−PBSで洗浄し、そして細胞膜から残存色素を除去するために37℃で10分インキュベートする。加えて、カルシウム応答の活性化の直前に、改良D−PBSによる一連の洗浄を実施する。
カルシウム応答は、一つまたはそれより多くの候補レセプターアゴニスト化合物、カルシウムイオノフォアA23187(10μM;陽性対照)またはATP(4μM;陰性対照)の添加により開始する。蛍光は、アルゴンレーザー(488nmで励起)を備えたMolecular DeviceのFLIPRにより測定する。(例えば、Kuntzweilerら,Drug Dev.Res.,1998,44(1),14−20、を参照されたい)。検出カメラのFストップは2.5に設定され、そして暴露時間は0.4ミリ秒であった。細胞の基礎蛍光を候補アゴニスト、ATP、A23187の添加20秒前に測定し、そして基礎蛍光レベルを応答シグナルから差し引いた。カルシウムシグナルは約200秒、2秒ごとに読み取って測定した。カルシウムイオノフォアA23187およびATPはカルシウムシグナルをベースラインレベルより200%増加させる。一般に、活性化GPCRはカルシウムシグナルをベースラインレベルより10−15%増加させる。
有糸分裂誘発アッセイ
有糸分裂誘発アッセイにおいて、DmGPCR仲介細胞分割を誘導するまたは抑制する候補変調剤の能力を決定する。(例えば、Lajinessら,J.Pharm.and Exper.Ther.,1993,267(3),1573−1581、を参照されたい)。例えば、DmGPCRを安定的に発現しているCHO細胞を5000細胞/ウェルの密度で、96−ウェルプレートに蒔き、そして10%ウシ胎児血清を補給したMEM中、37℃で48時間増殖させ、この時点で細胞を無血清MEMで2回すすぐ。すすいだ後、80μlの新鮮MEM、または既知の分裂促進因子を含んでいるMEMを、無血清培地で希釈したいろいろな濃度の一つまたはそれより多くの候補変調剤または試験化合物を含む20μl MEMと共に加える。対照として、各々のプレートのいくつかのウェルには無血清培地のみを加え、いくつかは10%ウシ胎児血清を含んでいる培地を加えた。トランスフェクトされていない細胞またはベクターのみでトランスフェクトされた細胞も対照として働くことができる。
16−18時間培養後、1μCiの[H]−チミジン(2μCi/ミリモル)をウェルに加え、そして細胞を37℃でさらに2時間インキュベートする。細胞をトリプシン処理しそして細胞ハーベスター(Tomtec)でフィルターマット上に収集し;フィルターは次ぎにBetaplateカウンターで計数する。無血清試験ウェル中の[H]−チミジンの取り込みを、血清で刺激した細胞で達成された結果(陽性対照)と比較する。試験化合物の複数の濃度の使用は、非線形の、最小二乗適合方程式:A=BX[C/(D+C)]+G、式中Aは血清刺激のパーセントであり;Bは最大効果マイナスベースラインせあり;CはEC50であり;Dは化合物の濃度であり;およびGは最大効果である、を使用する用量−応答曲線の作製および分析を可能にする。パラメーターB、CおよびGはシンプレックス最適化により決定する。
レセプターへ結合するアゴニストは、細胞内への[H]−チミジン取り込みを増加させることが期待され、血清への応答の80%までを示している。レセプターへ結合するアンタゴニストは既知のアゴニストで観察された刺激を100%まで抑制するであろう。
35 S]GTPγS結合アッセイ
Gタンパク質共役型レセプターシグナルは細胞内Gタンパク質を突き抜け、その活性はGTP結合そして加水分解して結合されたGDPを得ることを含んでいるので、候補変調剤存在下および非存在下での、非加水分解性GTP類似体[35S]GTPγSの結合の測定は、変調剤活性の別のアッセイを提供する。例えば、Kowalら,Neuropharmacology,1998,37,179−187、を参照されたい。
アッセイに一つに例において、DmGPCR発現ベクターで安定的にトランスフェクトされた細胞を10cm組織培養皿でサブコンフルエントまで増殖させ、5mlの氷冷Ca2+/Mg2+を含まないリン酸緩衝化塩溶液で1回洗浄し、そして5mlの同一緩衝液内へこすり落とす。細胞を遠心分離(500xg、5分)してペレット化し、TEE緩衝液(25mMトリス、pH7.5、5mM EDTA、5mM EGTA)に再懸濁し、液体窒素で凍結する。融解後、細胞をDounceホモジナイザー(細胞プレート当たり1mlのTEE)を使用してホモジナイズし、1,000xgで5分遠心分離して、核および破壊されなかった細胞を除去する。
ホモジネート上清を、20,000xgで20分遠心分離して、膜分画を単離し、そして膜ペレットをTEEで1回洗浄し、そして結合緩衝液(20mM HEPES、pH7.5、150mM NaCl、10mM MgCl、1mM EDTA)に再懸濁する。再懸濁した膜は液体窒素で凍結でき、そして使用するまで−70℃で保存する。
前記のように調製され、そして−70℃で保存された細胞膜のアリコートを融解し、ホモジナイズし、そして20mM HEPES、10mM MgCl、1mM EDTA、120mM NaCl、10μM GDPおよび0.2mMアスコルビン酸を含んでいる緩衝液で、10−50μg/mlの濃度に希釈する。90μlの最終容量で、ホモジネートを種々の濃度の候補変調剤化合物または100μM GTPと、30℃で30分インキュベートし、次ぎに氷上に置いた。各々の試料に、10μlのグアノシン 5’―O−(3[35S]チオ)三リン酸(NEN、1200Ci/ミリモル;[35S]−GTPγS)を100−200pMの最終濃度で加えた。試料は30℃でさらに30分インキュベートし、1mlの10mM HEPES、pH7.4、10mM MgClを4℃で加え、濾過により反応を停止する。
試料は、Whatman GF/Bフィルターで濾過し、そしてフィルターを20mlの氷冷10mM HEPES、pH7.4、10mM MgClで洗浄する。フィルターを液体シンチレーション分光法により計数する。[35S]−GTPγSの非特異的結合は、100μM GTPの存在下で測定しそして全体から差し引いた。化合物は、トランスフェクトされていない対照細胞と比較して、細胞中の[35S]−GTPγS結合量を変調するものが選択された。アゴニストによるレセプターの活性化は、[35S]−GTPγS結合における5倍の増加を与える。この応答はアンタゴニストにより阻止された。
MAPキナーゼアッセイ
GPCRを発現している細胞におけるMAPキナーゼの評価は、DmGPCR活性の変調剤を同定するための別のアッセイを提供する。例えば、Lajinessら,J.Pharm.and Exper.Ther.,1993,267(3)、1573−1581およびBoultonら,Cell,1991,65,663−675、を参照されたい。
一つの態様において、DmGPCRで安定的にトランスフェクトされたCHO細胞を、アッセイ48時間前に、70,000細胞/ウェルの密度で6−ウェルプレートへ蒔いた。この48時間の間、細胞は10%ウシ胎児血清、2mM グルタミン、10U/mlペニシリン、および10μg/mlストレプトマイシンを補給したMEM培地中、37℃で培養する。細胞は刺激剤の添加1−2時間前に血清飢餓にする。
アッセイのため、細胞を、培地単独または候補アゴニストかまたは200nMホルボールエステル−ミリストイルアセテート(即ち、PMA、陽性対照)を含んでいる培地で処理し、そして細胞を種々の時間、37℃でインキュベートする。反応を停止するため、プレートを氷上に置き、培地を吸引し、そして細胞を1mM EDTAを含んでいる、1mlの氷冷PBSですすぐ。その後、200μlの細胞溶解緩衝液(12.5mM MOPS、pH7.3、12.5mMグリセロリン酸、7.5mM MgCl、0.5mM EGTA、0.5mMバナジン酸ナトリウム、1mMベンズアミジン、1mMジチオスレイトール、10μg/mlロイペプチン、10μg/mlアプロチニン、2μg/mlペプスタチンAおよび1μMオカダ酸)を細胞に加える。細胞をプレートからこすり取り、そして23 3/4G針を10回通過させることによりホモジナイズし、そしてサイトゾル分画を、20,000xgで15分の遠心分離により調製する。
サイトゾルのアリコート(1−5μgタンパク質を含んでいる5−10μl)を1mM MAPK Substrate Peptide(APRTPGGRR(配列番号168)、Upstate Biotechnology,Inc.,N.Y.)および50μM[γ32P]ATP(NEN、3000Ci/ミリモル)と混合し、全容量25μlに、〜2000cpm/ピコモルの最終比活性へ希釈する。試料は30℃で5分インキュベートし、そして20μlを2cm四角のWhatman P81ホスホセルロース紙にスポットすることにより反応を停止する。四角のフィルターは1%HPOを4回交換して洗浄し、四角を液体シンチレーション分光法にかけて、結合された標識を定量する。等量のサイトゾル抽出物をMAPK基質ペプチドなしでインキュベートし、これらの試料からの結合標識を、基質ペプチドを含むマッチした試料から差し引かれた。各々のウェルからのサイトゾル抽出物は、別のポイントとして使用する。タンパク質濃度は、色素結合タンパク質アッセイ(Bio−Rad Laboratories)により決定する。レセプターのアゴニスト活性化は、MAPK酵素活性の5倍までの増加を生じると期待される。この増加はアンタゴニストにより阻止された。
H]アラキドン酸放出
GPCRの活性化はまた、細胞におけるアラキドン酸放出を増強することが観察されており、GPCR活性の変調剤のためのさらに別の有用なアッセイを提供する。例えば、Kantermanら,Molecular Pharmacology,1991,39,364−369、を参照されたい。例えば、DmGPCR発現ベクターで安定的にトランスフェクトされているCHO細胞を15,000細胞/ウェルの密度で24−ウェルプレートへ蒔き、そして10%ウシ胎児血清、2mM グルタミン、10U/mlペニシリン、および10μg/mlストレプトマイシンを補給したMEM培地中、使用前に37℃で48時間増殖させる。各々のウェルの細胞は、0.5μCi/mlの[H]アラキドン酸(Amersham Corp.,210Ci/ミリモル)と、10mM HEPES、pH7.5および0.5%脂肪酸−フリーウシ血清アルブミン中、37℃で2時間のインキュベーションにより標識する。細胞は次ぎに、1mlの同一緩衝液で2回洗浄する。
候補変調剤化合物を1mの同一緩衝液で加え、単独でかまたは10μM ATPと、そして細胞を37℃で30分インキュベートする。緩衝液単独または偽トランスフェクトされた細胞を対照として使用する。各々のウェルからの試料(0.5ml)を液体シンチレーション分光法により計数する。レセプターを活性化するアゴニストは、[H]アラキドン酸のATP−刺激放出の増強を導くであろう。この増強はアンタゴニストにより阻止される。
細胞外酸性化速度
さらに別のアッセイにおいて、DmGPCR活性の候補変調剤の効果は、試験化合物により誘導されるpHの細胞外変化をモニタリングすることによりアッセイする。例えば、Dunlopら,J.Pharmacological and Toxicological Methods,1998,40(1),47−55、を参照されたい。一つの態様において、DmGPCR発現ベクターでトランスフェクトされているCHO細胞を、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、10U/mlペニシリン、および10μg/mlストレプトマイシンを補給したMEM中、4x10細胞/カップで、12mmカプセルカップ(Molecular Devices Corp.)に蒔いた。細胞は、この倍地中、37℃、5%COで24時間インキュベートする。
細胞外酸性化速度は、Cytosensorマイクロフィジオメーター(Molecular Devices Corp.)を使用して測定する。カプセルカップをマイクロフィジオメーターのセンサーチャンバーに設置し、そしてチャンバーを、100μl/分の流速で運転緩衝液(4mM L−グルタミン、10U/mlペニシリン、10μg/mlストレプトマイシン、26mM NaClを補給した重炭酸塩−フリーMEM)を潅流する。候補アゴニストまたは他の剤は運転緩衝液に希釈し、第二の液体通路を通して潅流する。各々60秒のポンプサイクルの間、38秒ポンプを動かし、そして残りの22秒はオフにする。センサーチャンバー中の運転緩衝液のpHはサイクルの間、43−58秒で記録し、そして次のサイクルを始めるため60秒で再始動させる。記録時間間の運転緩衝液の酸性化速度は、Cytosoftプログラムにより計算する。酸性化の速度の変化は、変調剤候補の添加後に得られた最も高い速度測定からベースライン値(変調剤候補の添加直前の4回の速度測定の平均)を差し引くことにより計算する。選択された装置は61mV/pH単位を検出する。レセプターのアゴニストとして働く変調剤は、アゴニスト比存在下の速度と比較して、細胞外酸性化の速度に増加が生じた。この応答は、レセプターのアンタゴニストとして働く変調剤により阻止された。
実施例9:ペプチドリガンドとDmGPCRのマッチング
細胞培養およびトランスフェクション
野生型チャイニーズハムスター卵巣(CHO−K1)細胞(American Type Culture Collection,ロックビル,MD、から)またはCHO−10001A細胞を、完全DMEM培地を与えるため、10%熱不活性化FBS、10μg/mlゲンタマイシン、0.1mM非必須アミノ酸を補給したDMEM培地中、37℃、5%CO2含有空気の加湿雰囲気で培養する。細胞は、LipofectAMINE PLUS(商標)を使用し、本質的に製造業者による説明書に従って、pCR3.1ベクター中のオーファンGPCR DNAでトランスフェクトした。簡単には、CHO細胞を10cmの滅菌組織培養皿(Corning Glass Works,コーニング,NY)に蒔き、そしてそれらはトランスフェクションの日には約50−60%コンフルエントであった。プラスチックチューブ中、PLUS(20μl/プレート)を、より早く0.75mlのOptiMEMに希釈されているcDNAプラスミド(5μg/プレート)へ加え、混合しそして室温で15分インキュベートした。別に、LipofectAMINE(30μg/プレート)を0.75mlのOptiMEMと混合し、前もって複合体形成されたDNA/PLUS混合物へ加え、室温で15分インキュベートした。細胞上の培地を無血清トランスフェクション培地(プレインDMEM、5ml/プレート)で置き換え、そしてDNA−PLUS−LipofectAMINE複合体を加え(プレート当たり1.5ml)そして穏やかに培地内へ混合し、続いて3時間37℃/5%COでインキュベートした。次ぎに、培地に20%fbSを含んでいる完全DMEM(6.5 ml ml/プレート)を補給し、そしてインキュベーションを37℃/5%COで24から48時間続けた。GPCRでも使用された同一条件下でのトランスフェクション収率を見積もるため、Green Fluorescent Protein(GFP、4μg/プレート)をCHO細胞における一時的GFP発現のために使用した。
膜調製
トランスフェクトされた細胞を、氷冷ダルベッコリン酸緩衝塩溶液(PBS)、10cmプレート当たり5ml、で1回洗浄し、5mlの同一緩衝液内へこすり落とした。複数のプレートからの細胞懸濁液を合併し、そして4℃にて、500xgで10分遠心分離した。細胞ペレットを氷冷TEE(25mMトリス、5mM EGTA、5mM EDTA)で再構築した。都合のよい一部を液体窒素中ですばやく凍結し、−70℃で保存した。融解後、細胞をホモジナイズし、そして核および破壊されていない細胞をペレット化するため、4℃、500xgで5分遠心分離した。上清は47,000xgで30分、4℃にて遠心分離した。膜ペレットはTEEで1回洗浄し、20mM HEPES、pH7.4、100mM NaCl、10mM MgCl、1mM EDTA(アッセイ緩衝液)に再懸濁し、一部をとりそして液体窒素中で凍結した。膜の一部を−70℃で保存した。膜タンパク質濃度は、Pierce(ロックフォード,イリノイ)からのBCA Protein Assay Reagentそして基準としてBSAを使用して決定した。
35 S]−GTPγS結合アッセイ
細胞膜の一部を融解し、ホモジナイズし、そして20mM HEPES、pH7.4、100mM NaCl、10mM MgCl、1mM EDTAを含んでいる緩衝液(アッセイ緩衝液)に希釈した。最初に、反応混合物は96−ウェルポリプロピレンプレート(Nunc)中で調製した。各々のウェル中、ペプチド水溶液(20μl、10X)、または水対照(20μl)、18.2μM GDPアッセイ緩衝液(0.11ml、10μM最終)、およびアッセイ緩衝液に懸濁した膜(50μl、10μg膜タンパク質)を混合し、氷上に置いた。リガンド−GDP−膜混合物は、振盪プラットフォーム上、室温で20分インキュベートし、次ぎに氷上に置いた。各々の試料に20μlのグアノシン−5’―O−(3[35S]チオ)三リン酸(600−1,200Ci/ミリモル、New England Nuclear,ボストン,MA、から)を〜40,000cpm/0.2ml、または0.1nMの最終濃度で加えた。インキュベーション混合物を含むプレート(0.2ml/ウェル全量)は室温で45分インキュベートした。反応混合物の一部、各々0.175ml、を洗浄緩衝液で前処理した(100μl/ウェル)96−ウェルFB MultiScreenフィルタープレート(Millipore)へ移し、MultiScreen真空マニフォールド(Millipore)を使用して真空濾過した。次ぎに膜を0.25ml氷冷洗浄緩衝液/ウェル(10mM HEPES、10mM MgCl、pH7.4)で3回洗浄し、真空濾過した。最後の洗浄後、Supermix Opti−phaseシンチレーション液(25μl/ウェル,Wallac)を加え、そしてプレートをシールし、そしてTrilux 1450 Microbetaカウンター(Wallac)を用い、1分/ウェルで計数した。陽性対照として、ドーパミンタイプ2(rD)レセプターを安定的に発現しているCHO細胞からの膜を、0.025%アスコルビン酸(100μMドーパミン最終)または坦体(0.0025%アスコルビン酸最終)中の1mMドーパミンで処理した。非特異的結合は、100μM冷GTPγSの存在下で測定され、全体から差し引かれた。各々の処置は三重に実施した。
データ分析
35S]−GTPγS結合のリガンド誘導刺激は、リガンドが加えられていない基礎活性の何倍の増加として表されている。各々の処理はどれも三重に、またはある場合には二重に行われ、そして結合(cpm)は平均+/−標準偏差として計算した。レセプター/リガンド系の容量−応答曲線は、非線形最小二乗SASモデルを使用して分析した、Y=BmaxX/(K+X)。他の容量−応答曲線は、Prism(GraphPad Software,Inc.サンディエゴ,CA)または次の方程式y=Bottom+(Top−Bottom)/(1+10LogEC50−X)、を使用して分析した。
結果
元々、我々は、GTPγSのアゴニスト誘導刺激が、多様な下流シグナル伝達の事象のさらなる活性化経路にかかわらず、DmGPCR活性化カスケードの初期の事象を反映するので、機能性アッセイとしてGTPγSアッセイを選んだ。これは、未知の機能および未知のシグナル伝達経路を有するオーファンDmGPCRのありうる活性化の評価のために特に有用であるように思われる。GTPγSアッセイは、96−ウェルMultiScreen G/FBフィルタープレートおよびMultiScreen真空マニフォールド(Millipore)を使用し、ショウジョウバエGPCRをコードしているDNAで一時的にトランスフェクトされたCHO細胞から調製された膜で実施した。GTPγSアッセイは、Gタンパク質のGqクラスへ共役したGPCRを不十分にしか認識しないことが知られているので、ショウジョウバエGPCRをコードしているDNAで一時的にトランスフェクトされたCHO細胞中のGq−共役オーファンGPCRをうまく評価するために、FLIPR読み取りに基づいたCa2+動員アッセイを使用した。
GTPγSアッセイを使用し、DmGPCR1(PnuFlyPep34651)は、約2.5nMの決定されたEC50値に反映されているように、二つのショウジョウバエNPF様ペプチド、AQRSPSLRLRF−NH(配列番号186)およびPIRSPSLRLRF−NH(配列番号187)により活性化されることが観察された。DPKQDFMRF−NH(配列番号26)およびPDNFMRF−NH(配列番号27)での活性化は、370nMから500nMの範囲のEC50でのGTPγS応答を生じた。Nambuら(Neuron,1988,1,55−61)により報告されているように、これら二つのペプチドは、9の他のFaRPと一緒に、同一の前駆体遺伝子上にコードされている。より効率は悪いが(5から10μMの範囲のEC50)、GTPγS結合をまた刺激する、追加のFaRPおよび他の神経ペプチドには以下のペプチドが含まれる:TDVDHVFLRF−NH(配列番号25)、TPAEDFMRF−NH2(配列番号28)、SLKQDFMHF−NH(配列番号29)、SVKQDFMHF−NH(配列番号30)、AAMDRY−NH(配列番号31)およびSVQDNFMHF−NH(配列番号32)。加えて、FLIPRアッセイは、100−200nMのEC50で、コロラドポテトカブトムシペプチドが、ARGPQLRLRF−NH(配列番号33)、DmGPCR1レセプターとマッチしたことを同定した。我々のデータは、DmGPCR1は、二つの短いNPFペプチド、配列番号186および配列番号187により強く活性化されるので、短い神経ペプチドFレセプターとして分類されなければならないことを示している。
GTPγS応答により示されたように、DmGPCR4(PnuFlyPep 67393)は、低ナノモル範囲のEC50で、キイロショウジョウバエアラトスタチン、ドロスタチン−3(SRPYSFGL−NH(配列番号165))により、ならびに多様なジプロテラ パンクタータ(Diplotera punctata)(ゴキブリ)アラトスタチン、即ち;GDGRLYAFGL−NH(配列番号34)、DRLYSFGL−NH(配列番号35)、APSGAQRLYGFGL−NH(配列番号36)およびGGSLYSFGL−NH(配列番号37)(約20−280nMの範囲のEC50)活性化された。FLIPRにより10μMで試験された場合、同じペプチドは強いカルシウムシグナルを惹起した。DmGPCR4は最近Lenzら、前記文献、によりクローン化され、そして第二の推定アラトスタチンレセプター(DARII)として分類された。しかしながら、レセプター活性化に関する薬理学的データは現在まで報告されていない。我々の知識によると、これは、多様なアラトスタチンがこのレセプターを活性化することのほんとに最初の実験的証拠である。
GTPγS応答により示されたように、CHO−10001A細胞で一時的に発現された場合、DmGPCR5(GenBank受け入れ番号AX128628)は、ドロタキキニン(DTK)類、即ちDTK−1(APTSSFIGMR−NH)(配列番号169)、MET8−DTK−2(APLAFYGMR−NH)(配列番号170)、DTK−2(APLAFYGLR−NH)(配列番号171)、DTK−3(APTGFTGMR−NH)(配列番号172)、DTK−4(APVNSFVGMR−NH)(配列番号173)およびDTK−5(APNGFLGMR−NH)(配列番号174)により活性化された。用量−応答実験において、DTK−1、Met8−DTK−2、DTK−3およびDTK−5が、250−500nM範囲のEC50で、そして約1.5倍基礎レベルより高い最大刺激でGTPγS結合を刺激した。DTK−2およびDTK−4は、低マイクロモル範囲のそれらのEC50により判断されるように、さほど強力ではなかった。カルシウム動員アッセイ(FLIPR)において、DmGPCR5は、1−20nM範囲のEC50で、同じDTKに対するCa2+応答を示した。さらに、DTK−5、DTK−2およびMet8−DTK−2がcAMP(レポーター遺伝子に基づいた)アッセイで試験され、各々197nM、1.06μMおよび583μMのEC50で、用量−応答形式でcAMP放出を刺激した。これらのデータは、DmGPCR5がGs(cAMP)およびGq(Ca2+)−仲介シグナル伝達経路の両方に共役していることを示しており、脊椎動物タキキニンレセプターで報告されているシグナル伝達経路と類似している。
DmGPCR6a(M811490)は、Liら(J.Biol.Chem.,1992、267、9−12)によりPYYレセプターとして報告されている。GTPγSアッセイを使用し、表7に掲げたペプチドが、5μMで試験して、DmGPCR6aをコードしているDNAでトランスフェクトされたCHO細胞からの膜に対するGTPγS結合を刺激した(基礎より1.7から4倍増加)。このレセプターを活性化させた昆虫およびC.エレガンスペプチドの一群に加え、ヒトNPFF(FLFQPQRF−NH(配列番号59))がDmGPCR6のリガンドであることが観察された(5μM NPFFによりGTPγS結合が4倍増加)ことは注目に値する。
DmGPCR6aLおよびDmGPCR6bLはDmGPCR6a(M811490)のスプライス変異体である。後者はLiら(J.Biol.Chem.,1992、267、9−12)によりPYYレセプターとして報告されている。DmGPCR6aLおよびDmGPCR6bL、はC末端にArg−Phe−NH(RFa)配列を有するペプチドのみを認識するので、両方をRF−amideレセプターと命名した。これらのDmGPCRが“見る”ことができないペプチドは、C末端にRFa配列とは異なった配列(例えば、SFa、QFa、YFa、RLa、DWa、RPa、HFa、LQa、SNaその他)を有している。カルシウム動員アッセイ(FLIPR)において、DmGPCR6aLおよびDmGPCR6bLは、10μMで試験されたFaRPの一群に対し非常に強いCa2+応答を示した。下記表7に示された配列は、ショウジョウバエ、C.エレガンス、A.ブタ回虫、軟体動物、P.レジヴィヴス(redivivus)、吸虫類、イセエビ、ヒトおよびヒルを含む多様な種へ属している、すべての同定された活性FaRPを示している。C末端“RF−amide規則”の唯一の例外は、C末端にGln−Phe−NH(QFa)配列を有する、ペプチドpGluDRDYRPLQF−NH(配列番号120)であった。興味深いことに、DmGPCR6aLおよびDmGPCR6bLはまた、RF−amide配列をC末端に有する哺乳動物ペプチド、NPFF(FLFQPQRF−NH(配列番号152))も認識した。(前記の結果において、p−GluまたはpQはピログルタミン酸を指すことに注意されたい)
FLIPR分析により示されたように、CHO−10001A細胞において一時的に発現される、DmGPCR7(GenBank受け入れ番号AX128636)はロイコキニン(LK)および関連ペプチド、即ち、LK−I(DPAFNSWGa)(配列番号175)、LK−V(GSGFSSWGa)(配列番号176)、LK−VI(pGlu−SSFHSWGa)(配列番号177)、LK−VIII(GSAFYSWGa)(配列番号178)、キュレキニン(NPFHSWGa)(配列番号179)、軟体動物リムノキニン(PSFHSWSa)(配列番号180)およびショウジョウバエロイコキニン様ペプチドDLK−1(NSVVLGKKQRFHSWGa)(配列番号181)、DLK−2(pGlu−RFHSWGa)(配列番号182)およびDLK−2A(QRFHSWGa)(配列番号183)、により活性化された。DmGPCR7は、共通C末端テトラペプチド配列、HSWGaを有しているLKペプチドによりもっともよく活性化された。DLK−1、DLK−2、DLK−2A、LK−VIおよびキュレキニンを含む、ペプチドのこの群による処置は、非常に強力な細胞内カルシウム放出を生じた(ピコモルから下位ナノモル範囲のEC50)。対照的に、C末端S/NSWGa(LK−I、LK−V)を有する他のバッタLK、ならびにモノアラガイLK(配列番号180)は、より低い効力を示し(EC50 15−30nM)、そしてYSWGa C末端配列を有するLK−VIIIは一連の中で最も低い効力であった(100−200nM範囲のEC50)。これらのペプチドに対するGTPγS応答(Gq/11−共役レセプターの指標)は、DmGPCR7/CHO細胞から調製された膜において検出できなかった。それ故、DmGPCR7はカルシウム−シグナル伝達ロイコキニンレセプター(もっともありそうであるのはGq/11−共役)として同定され、同族のリガンドとしてドロルコキニンとマッチした。
GTPγS応答により示されたように、CHO−10001A細胞において一時的に発現される、DmGPCR8(GenBank受け入れ番号AX128638)は、タバコスズメガ(Manduca sexta)アラトスタチン−C(AST−CまたはManse−AC)、(pGlu−VRFRQCYFNPISCF−OH)(配列番号184)またはドロスタチン−C(DST−C)、またはフラットラインペプチド(FLT)とも呼ばれている、(pGlu−VRYRQCYFNPISCF−OH)(配列番号185)により活性化された。用量応答GTPγS結合実験において、高効率AST−CおよびDST−C応答が検出された(低ナノモル範囲のEC50)。これらの活性は、細胞を百日咳毒素での前処理により完全に破壊され、レセプター活性化にGi/Goが関与していることを示している。直接カルシウム動員アッセイ(FLIPR)において、DmGPCR8は、AST−CまたはDST−Cで挑んだ場合、どんな活性も示さなかった。しかしながら、DST−Cに対する強力なカルシウム放出活性が、DmGPCR8およびキメラGタンパク質Gqi5またはGqo5で同時トランスフェクトされたCHO−10001A細胞で検出された(EC50約30nM)。一方、Gqz5への共役は有効ではなく(EC50244nM)、そしてDmGPCR8およびGqz5で同時トランスフェクトした細胞で、カルシウム動員は観察されなかった。これらの結果は、DmGPCR8は、CHO細胞において抑制レセプターであること、多分Gi/Go型Gタンパク質へ共役することを示している。本結果は、明白にDmGPCR8はDST−C/FLTレセプターと同定する。
DmGPCR9は、カルシウム動員アッセイにおけるその非常に強いシグナルに基づいて(低ナノモル範囲のEC50)、FDDY(SOH)GHLRF−NH(配列番号157)とマッチしていた。DmGPCR9をコードしているDNAでトランスフェクトされたCHO細胞から調製された膜で、このペプチドに対するGTPγS応答が検出されなかったという事実は、DmGPCR9は最もありそうにはGqシグナル伝達経路と共役していることを示している。FDDY(SOH)GHLRF−NH(配列番号157)は天然に存在するドロスルファキニン−1(DSK−1)、FDDY(SOH)GHMRF−NH(配列番号159)のMet7→Leu7類似体である。それ故、DmGPCR9レセプターはスルファキニンレセプターとして帰属される。FDDY(SOH)GHLRF−NH(配列番号157)の非硫酸化相対物であるFDDYGHLRF−NH(配列番号158)は10μMで試験された場合、非常に弱いカルシウムシグナルのみしか示さず、そして他の117の試験されたFaRPおよび関連するペプチドのどれもが、DmGPCR9レセプターでのFLIPRまたはGTPγSアッセイでどんな活性も示さなかったので、このマッチは非常に特異的である。
リガンドとそれらの関連するレセプターの表マッチングが下記の表7に示されている。
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実施例10:競合アッセイ
一ヨウ化ペプチドの調製
ペプチドを典型的なクロラミンT法を経てヨウ素化する。2mlのガラスバイアルに、10μlの1mMペプチド水溶液、10μlの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.99)、1.0mCi[125I]ヨウ化ナトリウム、および5μlの2mg/mlクロラミンT溶液(リン酸緩衝液中)を加えた。混合物を60秒ボルテックスし、そして25μlの5mg/mlメタバイスルファイトナトリウムのリン酸緩衝液溶液の添加により反応を停止した。混合物は次に、Vydac C18(0.45x15cm)カラムに注入し、濃度勾配分離にかけることによる、HPLCを行った。使用された濃度勾配は、時間ゼロでの70%Aおよび30%Bから時間25分での20%Aおよび80%Bである(A=0.1M酢酸アンモニウム水溶液;B=0.1M酢酸アンモニウム、水40%:CH3CN60%,V:V)。流速は1.0ml/分である。試料は0.25mlの捕捉緩衝液(0.5%ウシ血清アルブミンを含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液、0.1%トリトンX100および0.05%トウィーン20)に、t=8からt=20分まで30秒間隔で集める。モノヨードペプチドは典型的には、t=11分に溶出し、収量は0.75mlに約100μCiである。
結合アッセイ
使用された96−ウェルプレートはMillipore Multiscreen(登録商標)濾過プレート(FB不透明1.0YMガラスファイバータイプB、カタログ番号MAFBNOB50)である。Millipore Multiscreen(登録商標)溶媒耐性マニホールド(カタログ番号MAVM0960R)を、終了時にアッセイ物を濾過するため、プレートとともに使用する。各々の複製は一つのウェルであり、100μlの容量で5μgのタンパク質(前記のように調製)を含んでいる。各々の試験群は二つの複製を含んでいる。各々の試験化合物に対して、一つの群は[125I]ペプチドのみで(全結合)、そして一つは1μM(または示されたような)濃度の試験化合物および[125I]ペプチド(非特異的結合)で行う。各々の複製の試薬を添加する順序は:アッセイ緩衝液(20mM HEPES、10mM MgCl、1%ウシ血清アルブミン、pH7.4)、[125I]ペプチド(アッセイ緩衝液中)、そして膜懸濁液(アッセイ緩衝液中)である。膜懸濁液の添加が結合反応を開始させ、それは室温で(22℃)30分行う。30分のインキュベーション後、各々のプレートを濾過マニホールドに置き、そして真空にしてフィルターを通して液体を引っ張り(捨てる)、そしてタンパク質を各々のウェル中のフィルターに捕捉する。洗浄のため、真空を解除し、そして200μlのアッセイ緩衝液を各々のウェルへ加え、再び真空にする。この洗浄をさらに2回繰り返す(各々の複製に対して総計で3X洗浄)。洗浄後、各々のプレートの下面のプラスチックのおおいを除去し、そしてプレートを底が封ぜられたMicrobeta(登録商標)シンチレーション計数カセット(カタログ番号1450−105)に置く。25μlのシンチレーション剤を各々のウェルに加え、そしてプレートを80rpmの回転しんとう機に1時間置き、次に一夜放置する。次の日、プレートをMicrobeta(登録商標)シンチレーションカウンターで計数する。平均非特異的結合を平均全結合から差し引くと、基準(ペプチドアミド)および未知物両方の特異的結合を得る。
当業者が認めるであろうように、本発明の精神から離れることなく、前記の本発明の態様に対して、多くの変形および修飾を行うことができる。こうしたすべての変法は本発明の範囲内に含まれていることが意図されている。
本明細書で引用した各々の刊行物の全開示は、本明細書において援用される。
【配列表】
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Claims (48)

  1. DmGPCR1およびDmGPCR1結合パートナー間の結合および/または機能の変調剤を同定するための方法であって:
    (a)推定変調剤化合物の存在下または非存在下、DmGPCR1結合パートナーと、DmGPCR1を含んでなる組成物とを接触させ;
    (b)DmGPCR1結合パートナーおよびDmGPCR1間の結合を検出し;そして
    (c)該推定変調剤化合物の非存在下での結合または機能と比較して、該推定変調剤化合物の存在下での結合または機能が増加したかまたは減少したかどうかを決定する、
    ここにおいて、該DmGPCR1結合パートナーは、配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列と、少なくとも70%配列同一性の配列を有する、
    工程を含んでなる、前記方法。
  2. 該DmGPCR1結合パートナーが配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列と、少なくとも80%配列同一性の配列を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 該DmGPCR1結合パートナーが配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列と、少なくとも95%配列同一性の配列を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 該DmGPCR1結合パートナーが配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列を有する、請求項1に記載の方法。
  5. 昆虫の集団を制御する方法であって、DmGPCR1の発現または活性を修飾するため、昆虫にDmGPCR1ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの結合パートナーまたは変調剤を投与する、ここにおいて該結合パートナーは配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列と、少なくとも70%配列同一性の配列を有する、ことを含んでなる、前記方法。
  6. 該結合パートナーが配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列と、少なくとも80%同一性の配列を有する、請求項5に記載の方法。
  7. 該結合パートナーが配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列と、少なくとも95%同一性の配列を有する、請求項5に記載の方法。
  8. 該結合パートナーが配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列を有する、請求項5に記載の方法。
  9. 該昆虫がハエ、ショウジョウバエ、マダニ、ノミ、シラミ、ダニおよびゴキブリから成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
  10. 対象において外部寄生虫により引き起こされる疾患または状態を処置するまたは防止する方法であって、該対象に治療的に有効量のDmGPCR1結合パートナーを投与する、ここにおいて、該DmGPCR1結合パートナーは配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列と、少なくとも70%同一性の配列を有する、ことを含んでなる、前記方法。
  11. 該DmGPCR1結合パートナーが配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列と、少なくとも80%同一性の配列を有する、請求項10に記載の方法。
  12. 該DmGPCR1結合パートナーが配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列と、少なくとも95%同一性の配列を有する、請求項10に記載の方法。
  13. 該DmGPCR1結合パートナーが配列番号186および配列番号187から成る群より選択される配列を有する、請求項10に記載の方法。
  14. 該対象がヒトである、請求項10に記載の方法。
  15. DmGPCRをDmGPCR結合パートナーと結合する方法であって、
    DmGPCRを含んでなる組成物とDmGPCR結合パートナーとを接触させ;そして
    該DmGPCR結合パートナーを該DmGPCRと結合させる、
    工程を含んでなる、前記方法。
  16. 該DmGPCRがDmGPCR5(配列番号9)である、請求項15に記載の方法。
  17. 該DmGPCR結合パートナーがドロタキキニン(DTK)である、請求項16に記載の方法。
  18. 該ドロタキキニンが、DTK−1(配列番号169)、Met8−DTK−2(配列番号170)、DTK−2(配列番号171)、DTK−3(配列番号172)、DTK−4(配列番号173)およびDTK−5(配列番号174)から成る群より選択される配列と、少なくとも80%配列同一性の配列を有する、請求項17に記載の方法。
  19. 該DmGPCRがDmGPCR7(配列番号17)である、請求項15に記載の方法。
  20. 該DmGPCR結合パートナーがロイコキニン(LK)である、請求項19に記載の方法。
  21. 該ロイコキニンがLK−I(配列番号175)、LK−V(配列番号176)、LK−VI(配列番号177)およびLK−VIII(配列番号178)、キュレキニン(配列番号179)、モノアラガイ リムノキニン(Lymnaea lymnokinin)(配列番号180)、DLK−1(配列番号181)、DLK−2(配列番号182)、DLK−2a(配列番号183)から成る群より選択される配列と、少なくとも80%配列同一性の配列を有する、請求項20に記載の方法。
  22. 該DmGPCRがDmGPCR8(配列番号19)である、請求項15に記載の方法。
  23. 該DmGPCR結合パートナーがアラトスタチンである、請求項22に記載の方法。
  24. 該アラトスタチンがAST−C(配列番号184)またはDST−C(配列番号185)から成る群より選択される配列と、少なくとも80%配列同一性の配列を有する、請求項23に記載の方法。
  25. DmGPCRおよびDmGPCR結合パートナー間の結合および/または機能の変調剤を同定するための方法であって:
    推定変調剤化合物の存在下または非存在下、DmGPCR結合パートナーと、DmGPCRを含んでなる組成物とを接触させ;
    DmGPCR結合パートナーおよびDmGPCR間の結合を検出し;そして
    該推定変調剤化合物の非存在下での結合と比較して、該推定変調剤化合物の存在下での結合が増加したかまたは減少したかどうかを決定する;
    該推定変調剤化合物の非存在下での機能と比較して、該推定変調剤化合物の存在下での機能が増加したかまたは減少したかどうかを決定する、
    ここにおいて、該DmGPCRはDmGPCR5(配列番号9)である、
    工程を含んでなる、前記方法。
  26. 該DmGPCR結合パートナーがドロタキキニンである、請求項25に記載の方法。
  27. 該ドロタキキニンが、DTK−1(配列番号169)、Met8−DTK−2(配列番号170)、DTK−2(配列番号171)、DTK−3(配列番号172)、DTK−4(配列番号173)およびDTK−5(配列番号174)から成る群より選択される配列と、少なくとも80%配列同一性の配列を有する、請求項26に記載の方法。
  28. DmGPCRおよびDmGPCR結合パートナー間の結合および/または機能の変調剤を同定するための方法であって:
    推定変調剤化合物の存在下または非存在下、DmGPCR結合パートナーと、DmGPCRを含んでなる組成物とを接触させ;
    DmGPCR結合パートナーおよびDmGPCR間の結合を検出し;そして
    該推定変調剤化合物の非存在下での結合と比較して、該推定変調剤化合物の存在下での結合が増加したまたは減少したかどうかを決定する;
    該推定変調剤化合物の非存在下での機能と比較して、該推定変調剤化合物の存在下での機能が増加したまたは減少したかどうかを決定する、
    ここにおいて、該DmGPCRはDmGPCR7(配列番号17)である、
    工程を含んでなる、前記方法。
  29. 該DmGPCR結合パートナーがロイコキニンである、請求項28に記載の方法。
  30. 該ロイコキニンがLK−I(配列番号175)、LK−V(配列番号176)、LK−VI(配列番号177)およびLK−VIII(配列番号178)、キュレキニン(配列番号179)、モノアラガイ リムノキニン(Lymnaea lymnokinin)(配列番号180)、DLK−1(配列番号181)、DLK−2(配列番号182)、DLK−2a(配列番号183)から成る群より選択される配列と、少なくとも80%配列同一性の配列を有する、請求項29に記載の方法。
  31. DmGPCRおよびDmGPCR結合パートナー間の結合および/または機能の変調剤を同定するための方法であって:
    推定変調剤化合物の存在下または非存在下、DmGPCR結合パートナーと、DmGPCRを含んでなる組成物とを接触させ;
    DmGPCR結合パートナーおよびDmGPCR間の結合を検出し;そして
    該推定変調剤化合物の非存在下での結合と比較して、該推定変調剤化合物の存在下での結合が増加したまたは減少したかどうかを決定する;
    該推定変調剤化合物の非存在下での機能と比較して、該推定変調剤化合物の存在下での機能が増加したまたは減少したかどうかを決定する、
    ここにおいて、該DmGPCRはDmGPCR8(配列番号19)である、
    工程を含んでなる、前記方法。
  32. 該DmGPCR結合パートナーがアラトスタチンである、請求項31に記載の方法。
  33. 該アラトスタチンがAST−C(配列番号184)またはDST−C(配列番号185)から成る群より選択される配列と、少なくとも80%配列同一性の配列を有する、請求項32に記載の方法。
  34. 昆虫の集団を制御する方法であって、DmGPCRの発現または活性を修飾するため、昆虫にDmGPCRポリヌクレオチドまたはポリペプチドの結合パートナーまたは変調剤を投与することを含んでなる、前記方法。
  35. 該昆虫がハエ、ショウジョウバエ、マダニ、ノミ、シラミ、ダニおよびゴキブリから成る群より選択される、請求項34に記載の方法。
  36. 該DmGPCR結合パートナーがドロタキキニンである、請求項34に記載の方法。
  37. 該ドロタキキニンが、DTK−1(配列番号169)、Met8−DTK−2(配列番号170)、DTK−2(配列番号171)、DTK−3(配列番号172)、DTK−4(配列番号173)およびDTK−5(配列番号174)から成る群より選択される配列と、少なくとも80%配列同一性の配列を有する、請求項36に記載の方法。
  38. 該DmGPCR結合パートナーがロイコキニンである、請求項34に記載の方法。
  39. 該ロイコキニンがLK−I(配列番号175)、LK−V(配列番号176)、LK−VI(配列番号177)およびLK−VIII(配列番号178)、キュレキニン(配列番号179)、モノアラガイ リムノキニン(Lymnaea lymnokinin)(配列番号180)、DLK−1(配列番号181)、DLK−2(配列番号182)、DLK−2a(配列番号183)から成る群より選択される配列と、少なくとも80%配列同一性の配列を有する、請求項38に記載の方法。
  40. 該DmGPCR結合パートナーがアラトスタチンである、請求項34に記載の方法。
  41. 該アラトスタチンがAST−C(配列番号184)またはDST−C(配列番号185)から成る群より選択される配列と、少なくとも80%配列同一性の配列を有する、請求項40に記載の方法。
  42. 該DmGPCR変調剤が抗DmGPCR抗体、DmGPCRアンチセンスポリヌクレオチドまたは低分子量非ペプチド性模倣物である、請求項34に記載の方法。
  43. 該低分子量非ペプチド性模倣物がアゴニストまたはアンタゴニストである、請求項42に記載の方法。
  44. 対象において外部寄生虫により引き起こされる疾患または状態を処置するまたは防止する方法であって、該対象に治療的に有効量のDmGPCR結合パートナーを投与することを含んでなる、前記方法。
  45. 該対象が、伴侶動物、家畜動物、ウマまたはヒトである、請求項44に記載の方法。
  46. 該結合パートナーがドロタキキニン、ロイコキニン、アラトスタチンまたは抗体である、請求項44に記載の方法。
  47. 該結合パートナーが抗体である、請求項44に記載の方法。
  48. 該抗体がキメラ抗体、CDR移植抗体、ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項47に記載の方法。
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