JP2005536220A - 腫瘍関連抗原mn/caixの発現に特徴付けられる癌のための治療組成物ならびに治療方法 - Google Patents

腫瘍関連抗原mn/caixの発現に特徴付けられる癌のための治療組成物ならびに治療方法 Download PDF

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Abstract

哺乳動物におけるCA IX+前新生物性細胞またはCA IX+新生物性細胞の増殖の阻害において有用な組成物および方法が、提供される。組成物は、アンタゴニスト抗CA IX抗体およびこれらの細胞上のCA IXの炭酸脱水酵素活性を標的化する他のインヒビターである。アンタゴニスト抗CA IX抗体またはその抗原結合フラグメントは、CA IXの阻害性エピトープまたはその生物学的に活性な改変体に特異的に反応性である。アンタゴニスト抗CA IX抗体またはその抗原結合フラグメントと、対応する阻害性エピトープとの間の抗体抗原複合体の形成は、CA IXまたはその生物学的に活性な改変体の炭酸脱水酵素活性の阻害をもたらす。アンタゴニスト抗CA IX抗体、その抗原結合フラグメント、および本明細書中で同定される他のCA IXインヒビターは、CA IX腫瘍関連抗原の発現によって特徴付けられる癌の処置において有用である。

Description

(発明の分野)
本発明は、細胞増殖性障害の処置のための治療の組成物および方法に関し、より詳細には、MN/CA IXタンパク質を発現する新生物細胞上のMN/CA IX酵素活性を標的とする抗体および低分子ならびにこの腫瘍関連抗原の発現により特徴付けられる癌処置におけるこれらの使用方法に関する。
(発明の背景)
炭酸脱水酵素(CA)は、二酸化炭素および重炭酸イオンの変換を触媒する。これらの酵素は、水および電解質バランス、COおよびHCO 輸送、ならびにpH調節を含む、生理的過程において重要な役割を果たす。新規の膜関連CAイソエンザイムCA IXは、MNと称される腫瘍関連膜抗原として最初に記載された。実質的な構造的特徴およびCA活性を伴う細胞外ドメインを有すると推定される細胞接着分子(Pastorekら(1994)Oncogene 9:2877−2888;Opavskyら(1996)Genomics 33:480−487;Zavadaら(1997)Intl.J.Oncol.10:857−863)としてのMNの認識は、炭酸脱水酵素ファミリー(CA IXと改名)の第9番目のメンバーとしてMN分類という結果を生じる。それ以来、G250と称される腎臓癌関連抗原は、クローン化されおよび、腫瘍関連抗原MN/CA IXと同一の膜貫通型タンパク質として同定された(Grabmaierら(2000)Int.J.Cancer 85:865−870)。
本来はヒト頚癌細胞株HeLaおよび多数のヒト癌において検出されたが、CA IX(MN/G250)はまた、正常な胃、腸、および胆道粘膜(Pastorekovaら(1997)Gastroenterology 112:398−408)に、より著しくは小腸において急速増殖する正常細胞(Saarnioら(1998)J.Histochem.Cytochem.46:497−504)に、存在する。CA IXタンパク質の存在は、ヒト患者における、頚癌(Liaoら(1994)Am J.Pathol.145:598−609)、食道癌(Turnerら(1997)Hum.Pathol.28:740−744)、および腎明細胞癌(Liaoら(1997)Cancer Res.57:2827−2831)に、ほぼ100%関連する。これはまた、ヒト患者に高率の大腸癌(Saarnioら(1998)Am.J.Pathol.153:279−285)および肺癌(Vermylenら(1999)Eur.Respir.J 14:806−811)において検出された。
インビトロでのCA IXの発現は、HeLa細胞の細胞密度によりアップレギュレートされ、HeLa細胞/繊維芽細胞ハイブリッドにおける腫瘍生成性に関連する(Zavadaら(1993)Int.J.Cancer 54:268−274)。さらに、NIH3T3細胞におけるCA IXの発現は細胞増殖を促進する(Pastorekら(1994)Oncogene 9:2877−2888)。低酸素の状態は、腫瘍および培養化腫瘍細胞におけるCA IXの発現を誘導し、このタンパク質が、いくつかの腫瘍において低酸素の生物マーカーであり得ることを示す(Ivanovら(2001) Am.J.Pathol.158(3):905−919;Beasleyら(2001)Cancer Res.61(13):5262−5267)。このCA IXの発現、低酸素と細胞外の酸性化との間の関連性は、CA IXの発現が、腫瘍内の細胞外の酸性pHを維持することを補助し得、それにより腫瘍成長および増殖ならびに放射療法および化学療法に対する腫瘍の耐性を高めるための誘導環境を提供し得るという提案を誘導した(Ivanovら(2001)Am.J.Pathol.158(3):905−919;Beasleyら(2001)Cancer Res.61(13):5262−5267)。
腫瘍の増殖および進行にCA IXが重要な役割を果たすとした場合、CA IXの活性を阻害するための組成物および方法が、このタンパク質の発現により特徴付けられる癌のための有効な処置を提供するために必要とされる。
(発明の要旨)
哺乳動物のCA IX+前新生物細胞または新生物細胞の増殖を阻害するのに有益な組成物および方法を、提供する。この組成物は、アンタゴニスト抗CA IX抗体、およびこれら細胞にCA IXの炭酸脱水酵素活性を標的とする他のインヒビターである。アンタゴニスト抗CA IX抗体または抗原結合フラグメントは、抗体抗原複合体を形成するように、CA IXもしくは、その生物活性改変体の阻害性エピトープと特異的に反応しそれにより、この複合体の形成は、CA IXまたはその生物学的に活性な改変体の炭酸脱水酵素活性の阻害を生じる。この活性は、癌の前新生物細胞または新生物細胞の変換および増殖、ならびにこの腫瘍関連抗原の発現により特徴付けられる他の増殖性障害に必須である。一つの実施形態において、アンタゴニスト抗CA IX抗体は、モノクローナル抗体である。適切なモノクローナル抗体は、ヒト定常領域を有するもの、また完全にヒト化したかまたは部分的にヒト化したフレームワーク領域を有するもの、および完全にヒト抗体もしくは、CA IX上の目的の阻害性エピトープまたはその生物学的に活性な改変体に特異的に結合するその抗原結合フラグメントであり、その結果抗体抗原複合体の形成は、例えば、ヒトCA IXのような目的のCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性の阻害を生じる。CA IXまたはその生物学的に活性な改変体の炭酸脱水酵素活性を阻害する他の低分子薬剤およびこのような薬剤を同定するためのスクリーニングアッセイを、また提供する。本明細書中で同定されたアンタゴニスト抗CA IX抗体、その抗原結合フラグメント、および他のCA IX阻害薬剤は、CA IXの腫瘍関連抗原の発現により特徴付けられる癌の処置に有用である。
哺乳動物の炭酸脱水酵素IX(CA IX)の発現により特徴付けられる癌の処置方法もまた、含まれる。この方法は、それを必要とする哺乳動物においてCA IX炭酸脱水酵素活性を阻害する治療的に有効量の薬剤を投与する工程を包含する。本発明の薬剤としては、アンタゴニスト抗CA IX抗体および、このアンタゴニスト抗CA IX抗体の抗原結合フラグメント、ペプチド、ペプトイド、そして有機低分子が挙げられる。抗CA IX抗体または、その抗原結合フラグメントは、抗体抗原複合体を形成するためにCA IXの阻害性エピトープと特異的に反応し、それによって、この複合体の形成は、CA IXの炭酸脱水酵素の阻害を生じる。本発明の薬剤は、CA IXタンパク質の発現により特徴付けられる新生物細胞の増殖を阻害する使用法を見出す。この薬剤は、CA IXの炭酸脱水酵素活性を阻害するため治療的に有効量において投与される。
本発明はさらに、機能的炭酸脱水酵素ドメインを有するCA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性を阻害する薬剤をスクリーニングするための、および同定するための方法を含む。この薬剤は、炭酸脱水酵素活性を検出するために適切な条件下で、試験される薬剤とCA IXポリペプチドを発現する細胞とを結合させ、そして薬剤の炭酸脱水酵素活性を阻害する能力を評価することにより、同定される。薬剤による炭酸脱水酵素活性の阻害は、薬剤がインヒビターであることを示す。薬剤はまた、炭酸脱水酵素活性を検出するために適切な条件下で、試験される薬剤と、単離されたCA IXポリペプチドまたは、組換え技術により産生されたCA IXポリペプチドを含む組成物とを結合させ、そして薬剤の炭酸脱水酵素活性を阻害する能力を評価することにより、同定され得る。これら薬剤は、組成物に使用され得、本発明の方法に使用するための薬学的組成物へ処方され得る。
(発明の詳細な説明)
本発明は、炭酸脱水酵素IX(MNおよびG250としても知られる;本明細書中においてはCA IXと称する)の発現により特徴付けられる癌を有する哺乳動物を処置するための組成物ならびに方法に関する。組成物は、抗体抗原複合体を形成するように、CA IXのエピトープと特異的に反応する抗CA IX抗体および、その抗原結合フラグメントを含み、そのため、この複合体の形成は、CA IXの炭酸脱水酵素活性の阻害を生じる。このようなエピトープは、本明細書中において「阻害性エピトープ」と称される。阻害性エピトープは、CA IXポリペプチドまたはその改変体の連続するアミノ酸残基(つまり、エピトープ内の残基は、線状様式に次々に連続的に配置される)、不連続のアミノ酸残基(本明細書中において「不連続なエピトープ」と称される;これらエピトープ内の残基は、連続的に配置されない)、または、連続的なアミノ酸残基および不連続的なアミノ酸残基の両者を含み得、そして、エピトープを構成する残基は、抗CA IX抗体もしくは、その抗原結合フラグメントを用いた抗体抗原複合体の形成が、CA IXの炭酸脱水酵素活性を、減少させ、あるいは阻害する限り、CA IXの炭酸脱水酵素ドメインおよび/またはCA IXの炭酸脱水酵素ドメインの外側に存在し得る。いくつかの実施形態においては、阻害性のエピトープは、CA IXの炭酸脱水酵素ドメインの連続的なアミノ酸残基を含むエピトープ、CA IXの炭酸脱水酵素ドメインの不連続的なアミノ酸残基を含むエピトープ、ならびにCA IXの炭酸脱水酵素ドメインの連続的な残基および不連続的な残基の両者を含むエピトープである。本明細書中に記載されるように、CA IXの阻害性エピトープに対する抗CA IX抗体またはその抗原結合フラグメントの結合は、CA IXが、炭酸脱水酵素ドメイン活性を媒介するために必要とされる、適切な構造型または立体配置をとることを妨げ得、CA IXが、炭酸脱水酵素ドメイン活性のために必要とされる無機コファクターと複合体化することを物理的に阻害し得るか、または、CA IXが、適切な酵素基質と複合体化することを物理的に阻害し得るが、他の阻害機構もまた、含まれる。本発明の目的のため、本発明の抗CA IX抗体は、以下「アンタゴニスト抗CA IX抗体」と称される。これらアンタゴニスト抗CA IX抗体および本明細書中他の部分で言及するような他の阻害薬剤は、CA IX腫瘍関連抗原の発現により特徴付けられる癌を有する被験体を処置するために有用である。
MNおよびG250腫瘍関連抗原としても知られるCA IXは、MN遺伝子によりコードされるN−グリコシル化膜貫通型タンパク質である。ヒトCA IXについてのコード配列(配列番号1参照のこと)および、このタンパク質の翻訳アミノ酸配列(配列番号2)は、当該分野において公知である。例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第6,204,370号および同第5,989,838号を参照のこと。ヒトCA IXは、シグナルペプチド、プロテオグリカン様ドメイン、炭酸脱水酵素ドメイン、膜貫通ドメイン、およびC末端の細胞内(細胞質内とも称される)ドメインを含む。シグナルペプチドの開始位置(つまり、残基1)の除外により、CA IXタンパク質内のこれらドメインの位置を表示する残基の位置は、一般的に任意の所定ドメインのいずれかの末端で±1〜3残基だけ、報告される文献内で、変化する。本発明の目的のため、この変化は、用語「約」の使用の原因となる。この様式において、各これらドメインの開始または終末を示す残基に関する用語「約」は、指定された位置のいずれかの側の1〜3残基を含む。そのため、例えば、ドメインが、ヒトCA IXアミノ酸配列の約38残基〜134残基の位置に指定された場合、このドメインは、38残基±1〜3残基での開始点を含み、および134残基±1〜3残基での終末点を含む。この例示において、開始位置は、ヒト配列の残基35、残基36、残基37、残基38、残基39、残基40、または残基41を含み、および終末位置は、ヒト配列の残基131、残基132、残基133、残基134、残基135、残基136、残基137、を含む。本発明の目的のために、ヒトCA IXタンパク質の種々のドメインの残基の位置は、前述に従い定義される。
ヒトCA IXタンパク質は、シグナルペプチド(配列番号2の残基1から約残基37までに対応する)、プロテオグリカン様ドメイン(配列番号2の約残基38〜残基134までに対応する)、炭酸脱水酵素ドメイン(配列番号2の約残基135〜残基414までに対応する)、膜貫通ドメイン(配列番号2の約残基415〜残基433に対応する)、および細胞内C末端(配列番号2の約残基434〜残基459までに対応する)を含む。プロテオグリカン様ドメインの機能的領域は、約残基53〜残基111に存在し、炭酸脱水酵素ドメインの機能的領域は、約残基141〜残基389に存在する。炭酸脱水酵素活性に必須の三つの亜鉛リガンドのヒスチジン残基は、炭酸脱水酵素(CA)ドメイン(配列番号2の残基226、残基228、および残基251)内に位置する。全長ヒトCA IXタンパク質抗原性領域の分析は配列番号2の約残基229〜残基256に存在する抗原性の領域を伴う、炭酸脱水酵素ドメイン内の抗原性領域を予測する。
CA IX腫瘍関連抗原は、最初に例えば、T24(膀胱癌)、HeLa(子宮頸癌)、SK−Mel 1477(メラノーマ)、およびT47D(乳癌)による、インビトロのいくつかのヒト腫瘍細胞株において発現されているものとして同定された。CA IXはまた、インビボにおけるいくつかのヒト癌細胞により例えば、卵巣癌および子宮内膜癌、子宮頸部癌、腎細胞癌(RCC)、結腸直腸癌(CRC)ならびに肺癌の細胞、同様に乳頭腫のようないくつかの良性新生物の細胞により、産生される。CA IXは、非腫瘍形成性ハイブリッド細胞においては、見出されず、および、一般に、正常組織の細胞においては、見出されない。例外としては、正常な胃、腸、および胆道粘膜内においてその発現が存在する。CA IX遺伝子は、強く腫瘍形成と結びつき、そして、原因物質であり得る。
本明細書中で使用される場合、「腫瘍」とは、全ての新生物細胞の成長ならびに増殖をいい、悪性であろうと、良性であろうと、そして、全ての前癌のおよび癌の細胞ならびに組織をいう。
用語「癌(cancer)」および「癌性(cancerous)」は、腫瘍ならびに新生物の成長(つまり、新生物(neoplasm))を含む無秩序な細胞増殖により、代表的に特徴付けられる、哺乳動物の生理学的状態と言及または記載される。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、真性腫瘍、肉腫、および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。このような癌のより特定の例としては、乳癌、前立腺癌、結腸癌、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸癌、膵臓癌、グリア芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌(liver cancer)、膀胱癌、肝細胞癌(hepatoma)、結腸直腸癌、子宮膜癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌(hepatic carcinoma)、ならびに様々な型の頭部の癌および頸部の癌が、挙げられる。
「処置」は、障害の病理の発生を予防するか、または変える意図を伴って行われる介入である。従って、「処置」は、治療的処置および、予防的(prophylactic)措置または、予防的(preventative)措置の両者をいう。処置を必要とする人には、既に障害を伴う人、および、障害が、予防されるべき人を含む。腫瘍(例えば、癌)処置において、治療剤は、腫瘍細胞の病理を直接的に減少し得るか、または、腫瘍細胞を他の治療剤(例えば、放射線および/または化学療法)による、処置により作用を受けやすくし得る。癌の「病理」は、患者の健康な状態を含む全ての現象を含む。これには、異常なまたは無秩序な細胞増殖、転移、隣接細胞の正常機能の妨害、サイトカインもしくは他の分泌性産物の異常なレベルでの放出、炎症反応または免疫反応の抑制または悪化、など、が挙げられるが、これらに限定されない。
CA IXタンパク質および遺伝子は、例えば、米国特許第6,204,370号および第5,989,838号に記載される。形質転換細胞において、今日まで役割を果たすものとしてCA IXを示す証明があるが、本発明以前は、このタンパク質の機能的ドメインが、細胞の形質転換および腫瘍形成において、役割を果たすことは知られていなかった。本発明は、炭酸脱水酵素ドメイン内にあるこの役割の発見に基づく。そのため、本明細書中に開示される実施例において示すように、CA IXタンパク質の機能的炭酸脱水酵素ドメインを発現する細胞は、形質転換した表現型を発現する。「機能的」炭酸脱水酵素ドメインは、そのドメインが、機能的な炭酸脱水酵素活性を発現する、および有することを意図される。形質転換された表現型の発現は、細胞増殖の促進、より速い倍加時間、DNA合成の促進、紡錘状形態の誘導、屈折性の増加、接着の減少、成長停止能力の消失、より高い飽和密度を伴う無秩序な成長パターン、増殖因子依存性の減少、本明細書中に記載される軟寒天アッセイ(足場非依存性を測定)に使用する軟寒天における成長、細胞密度増加に伴うCA IXの発現増加、およびヌードマウスにおける成長能力(つまり、腫瘍形成能)、からなる群から選択された一以上の活性により、例示される。
本発明の組成物および方法は、本明細書中以下に示されるように、新生物発生前の細胞または、新生物細胞におけるCA IXタンパク質またはその生物活性改変体の炭酸脱水酵素活性の阻害に関連する。処置を必要とする被験体に投与する場合、本発明の組成物は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、好ましくは、40%、45%、50%、55%、60%、より好ましくは、70%、75%、80%、85%、および最も好ましくは、90%、95%、99%、または100%、CA IXもしくはその生物活性改変体の炭酸脱水酵素活性を有効に減少させるか、または阻害する。CA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性を阻害するための候補抗体または候補試験薬剤の能力を測定するための方法は、当該分野において公知である。例えば、本明細書中以下に記載されるアッセイを参照。しかし、候補インヒビター存在の下、COの放出または変換を測定するための、当該分野において利用し得る任意のアッセイは、CA IX炭酸脱水酵素活性を阻害する候補薬剤の能力を検出するために使用され得る。前新生物の細胞におけるこの活性の減少または阻害は、腫瘍形成性細胞へのこれら細胞の表現型の形質転換を防止する。新生物細胞におけるこの活性の減少または阻害は、これら細胞の継続的な増殖を阻害することが可能であるか、または、腫瘍サイズおよび全身腫瘍組織量における全体的な減少を引き起こすことが可能である。
従って、本発明の組成物は、CA IX細胞表面抗原を発現する前新生物の細胞または新生物細胞の細胞表面におけるCA IXの炭酸脱水酵素活性を阻害するために使用されることが可能であり、それにより、細胞外環境における炭酸脱水酵素活性を限定する。組成物が、本発明のアンタゴニスト抗体である場合、このような阻害は、本明細書中他の部分で記載されるように抗体抗原複合体の形成により生じる。CA IXタンパク質内のエピトープの位置に依存して、エピトープと本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体との間の抗体抗原複合体の形成は、細胞外に存在する複合体を生じることが可能である。あるいは、抗体抗原複合体の形成は、CA IX細胞表面タンパク質の内在化を生じることが可能であり、そのため、CA IX分子は、細胞内に隔離される。内在化が生じた場合、アンタゴニスト抗CA IX抗体はまた、CA IXを保有する腫瘍細胞の内側まで、抗体結合体化治療的部分を送達するための送達機構として使用されることが可能である。CA IXを保有する腫瘍細胞の内側までの後に続く送達のため、本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体に対して結合させられ得る適切な治療的部分は、本明細書中の以下に記載され、細胞毒素、化学療法剤、放射性金属イオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
CA IX+前新生物細胞または新生物細胞に対するCA IXもしくはその生物活性改変体の炭酸脱水酵素活性を阻害する任意の薬剤は、腫瘍形成細胞へと表現型が形質転換するのを防止するために、および/またはこれら細胞の増殖を阻害するために、本発明の方法において使用され得る。これら因子は、この腫瘍関連抗原の発現により特徴付けられる癌を有する被験体の処置における使用を見出す。適切なインヒビターは、本明細書中において開示されたこれらを含む、様々なスクリーニングアッセイを使用することにより同定され得る。一つの実施形態において、適切な薬剤は、本明細書中以下に記載される軟寒天アッセイを使用することにより、目的のCA IX分子を発現する細胞が形質転換した表現型を示さないようにする能力をモニターすることにより同定される。適切なインヒビターとしては、本明細書中に開示されるアンタゴニスト抗CA IX抗体、ならびにペプチド、ペプトイド、および、CA IXの炭酸脱水酵素(CA)ドメインの活性を標的とする小有機分子が挙げられる。
(アンタゴニスト抗CA IX抗体)
本発明の適切な抗CA IX抗体は、上記のようにCA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性を阻害する能力を鑑みて、本明細書中「アンタゴニスト」抗CA IX抗体と称される。この様式においては、本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体および、その抗原結合フラグメントは、抗体抗原複合体を形成するように、CA IXの阻害性エピトープと特異的に反応し、そのために、この複合体の形成は、CA IXの炭酸脱水酵素活性の阻害を生じる。上記のように、阻害性のエピトープは、CA IXポリペプチドまたはその改変体の、連続的なアミノ酸残基、不連続的なアミノ酸残基、もしくは連続的および不連続的なアミノ酸残基の両者を含み得、そしてエピトープを構成する残基は、抗CA IX抗体もしくはその抗原結合フラグメントを伴う抗体抗原複合体の形成が、CA IXの炭酸脱水酵素活性の減少あるいは阻害を生じる限り、CA IXの炭酸脱水酵素ドメイン内側に、および/またはCA IXの炭酸脱水酵素ドメインの外側に、存在し得る。いくつかの実施形態においては、阻害性のエピトープは、CA IXの炭酸脱水酵素ドメインの連続的なアミノ酸残基を含むエピトープ、CA IXの炭酸脱水酵素ドメインの不連続的なアミノ酸残基を含むエピトープ、ならびにCA IXの炭酸脱水酵素ドメインの連続的な残基および不連続的な残基の両者を含むエピトープである。
「特異的に反応性の」または「特異的に反応する」とは、目的の阻害性エピトープを含むCA IXタンパク質の特定の領域を認識する抗体が、インビトロもしくは、インビボのいずれかの条件において、抗体がこのタンパク質と接触し場合に、目的の阻害性エピトープに対応するCA IXタンパク質の部分と、特異的な抗体抗原複合体を形成することを意図する。このような抗体抗原複合体の形成を検出するための方法は、当該分野において周知である。目的のCA IXタンパク質のCAドメインを含む、CA IXタンパク質またはその生物学的に活性な部分に対して調製された候補アンタゴニスト抗CA IX抗体は、例えば、抗原特異的抗体の検出および/または定量のための従来の免疫アッセイフォーマットのような、多くの良く定義された診断アッセイを使用することにより、抗体抗原複合体の形成について、試験され得る。このようなアッセイには、例えば、酵素免疫測定法(例えば、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA))、細胞ベースのアッセイ、フローサイトメトリー、ラジオイムノアッセイ、および免疫組織化学的染色法が挙げられる。多数の競合タンパク結合アッセイおよび、非競合タンパク結合アッセイは、当該分野において、公知であり、そして、多くのものは、市販されている。例えば、炭酸脱水酵素ドメイン内の残基を含む阻害性エピトープのような、本明細書中で同定された阻害性エピトープに特異的な抗CA IX抗体を検出するための代表的なアッセイは、CAドメイン内の残基を含む標識化CA IXポリペプチドが、例えば、このドメイン内の残基を含む一以上のエピトープに対して惹起されたモノクローナル抗体との組合せにおいて、サンプル内の候補抗体により沈殿させられる、競合アッセイである。目的のエピトープ(つまり、CA IXの阻害性エピトープ)と特異的に反応する抗CA IX抗体は、目的のCA IXタンパク質の特定のエピトープを含む、CA IXタンパク質または、そのタンパク質のフラグメントに対して調製された一連の抗体をスクリーニングすることにより、同定することが可能である。例えば、ヒトCA IXについては、目的のエピトープは、配列番号2のヒトCA IXの連続的なおよび/または非連続的なアミノ酸残基を含む、阻害性エピトープを含む。ヒトCA IXのこのような阻害性エピトープは、例えば、配列番号2の約残基135〜残基414に対応するCAドメイン内に存在する連続的なおよび/または非連続的なアミノ酸残基を含む阻害性エピトープを含む。あるいは、事前に同定した適切なアンタゴニスト抗CA IX抗体を用いた競合アッセイは、事前に同定した抗体と対比し得るモノクローナル抗体を選択するために使用することが可能である。
このようなイムノアッセイにおいて使用される抗体は、標識化されたものであり得るか、または標識化されていないものであり得る。非標識化抗体は、凝集反応において使用され得、標識化抗体は、広範な様々な標識を使用して、広範な様々なアッセイにおいて、使用され得る。抗CA IX抗体と目的のエピトープとの間の抗体抗原複合体形成の検出は、抗体に検出可能な物質を結合させることにより、容易にされ得る。適切な検出手段としては、放射性核種、酵素、補酵素、蛍光剤、化学発光物質(chemiluminescer)、色原体、酵素基質またはコファクター、酵素インヒビター、補欠分子族複合体、遊離基、粒子、色素などのような標識の使用が挙げられる。適切な酵素の例としては、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、βガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ、適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ、適切な蛍光物質の例としては、アンビリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられ、蛍光物質の例としては、ルミノールであり、生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられ、そして、適切な放射活性物質の例としては、125I、131I、35S、またはHが、挙げられる。このような標識化試薬は、放射性免疫測定、酵素免疫測定(例えば、ELISA)、蛍光免疫測定などのような、さまざまな周知のアッセイにおいて使用され得る。例えば、米国特許第3,766,162号、第3,791,932号、第3,817,837号、および第4,233,402号を参照のこと。
CA IXタンパク質が、ヒトCA IXである場合、本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体は、ヒトCA IXタンパク質の連続的なおよび/または非連続的な残基を含む阻害性のエピトープと特異的に反応し、そしてヒトCA IXの炭酸脱水酵素(CA)ドメイン(すなわち、配列番号2の約135残基〜414残基)内側の残基、CAドメインの外側の残基、またはヒトCA IXのCAドメインの内側および外側に存在する残基、を含み得る。このような阻害性のエピトープは、ヒトCA IXタンパク質の、少なくとも5残基、少なくとも8残基、少なくとも10、15、20、25、30または、少なくとも35残基の長さに対応し得る。
いくつかの実施形態において、アンタゴニスト抗CA IX抗体は、配列番号2の約135残基〜414残基に位置し、そしてこのドメインの機能的領域(すなわち、配列番号2の約141残基〜389残基)を含む、ヒトCA IXの炭酸脱水酵素(CA)ドメインの連続的な、ならびに/または非連続的な残基を含む阻害性のエピトープと特異的に反応する。一つの実施形態において、アンタゴニスト抗CA IX抗体は、ヒトCA IXタンパク質のCAドメイン(すなわち、配列番号2の約135残基〜414残基)の少なくとも5残基、少なくとも8残基、少なくとも10、15、20、25、30または、少なくとも35残基に対応する阻害性のエピトープと特異的に反応する。これらの実施形態において、阻害性エピトープを作る残基は、全て連続的なものであり得るか、全て非連続的なものであり得るか、または連続的な残基と非連続的な残基との混合であり得る。このような阻害性エピトープの例は、配列番号2の200残基〜300残基、210残基〜260残基、220残基〜255残基、および229残基〜256残基から選択される連続的な、ならびに/または非連続的なアミノ酸残基の群に対応する阻害性エピトープである。一つの実施形態において、阻害性エピトープは、約5、8、10、15、20、25、30または、35残基の長さを有し、そして、CAドメインの三つの必須な亜鉛リガンドヒスチジン残基の少なくとも一つ(すなわち、配列番号2の226、228、および251残基のうちの少なくとも一つ)を含む。他の実施形態において、阻害性エピトープは、約5、8、10、15、20、25、30または、35残基の長さを有し、そして、配列番号2の229残基〜256残基の内の少なくとも一つを含む。このような実施形態において、阻害性エピトープは、例えば、配列番号2の229〜256残基内の1、3、5、8、10、12、15、18、20、22、25、またはさらに28残基を含み得る。阻害性エピトープが、配列番号2の229〜256残基内の一以上の、しかし28未満の残基を含む場合、これら残基は、全て連続的なものであり得るか、全て非連続的なものであり得るか、または連続的な、および非連続的な残基の混合であり得る。
CA IXタンパク質が、本明細書中以下に定義されるようなヒトCA IXタンパク質の生物活性改変体である場合、本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体は、CA IXポリペプチド改変体の連続的な、および/または非連続的な残基を含む阻害性のエピトープと特異的に反応する。このような阻害性のエピトープは、CA IXポリペプチド改変体の機能的CAドメイン(すなわち、CA IXポリペプチド改変体のCAドメインについてのアミノ酸配列が、本明細書中以下に記載される配列アラインメント方法を使用して、ヒトCA IXのCAドメインについてのアミノ酸配列に対して、最適に位置合わせさせた場合、配列番号2の約135残基〜414残基に存在するヒトCA IX機能的ドメインに相同である機能的CAドメイン)の内側の残基、機能的CAドメインの外側の残基、またはCA IXポリペプチド改変体の機能的CAドメインの内側および外側に存在する残基を含み得る。このような阻害性エピトープは、CA IXポリペプチド改変体の、少なくとも5残基、少なくとも8残基、少なくとも10、15、20、25、30または、少なくとも35残基、の長さに対応し得る。
いくつかの実施形態において、本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体は、CA IXポリペプチド改変体のCAドメインについてのアミノ酸配列を、本明細書中以下に記載される配列アラインメント方法を使用して、ヒトCA IXのCAドメインについてのアミノ酸配列に対して、最適に位置合わせさせた場合にヒトCA IXの機能的カルボニックCAドメイン(すなわち、配列番号2の約135残基〜414残基)と相同である機能的炭酸脱水酵素(CA)ドメインの連続的な、ならびに/または非連続的な残基を含むCA IXポリペプチド改変体の阻害性のエピトープと特異的に反応する。ヒトCA IXを用いた場合、アンタゴニスト抗CA IX抗体は、CA IXポリペプチド改変体の機能的CAドメインの少なくとも5残基、少なくとも8残基、少なくとも10、15、20、25、30または、少なくとも35残基に対応する阻害性のエピトープと特異的に反応する。これらの実施形態において、阻害性エピトープを作る残基は、全て連続的なものであり得るか、全て非連続的なものであり得るか、または連続的な残基と非連続的な残基との混合であり得る。このような阻害性エピトープの例は、CA IXポリペプチド改変体のCAドメインについてのアミノ酸配列を、本明細書中以下に記載される配列アラインメント方法を使用して、ヒトCA IXのCAドメインについてのアミノ酸配列に対して、最適に位置合わせさせた場合に、配列番号2の200残基〜300残基、210残基〜260残基、220残基〜255残基、および229残基〜256残基と相同である機能的CAドメインの領域から選択される連続的な、ならびに/または非連続的なアミノ酸残基の群に対応する阻害性エピトープである。一つの実施形態において、CA IXポリペプチド改変体の阻害性エピトープは、約5、8、10、15、20、25、30または、35残基の長さを有し、そして、機能的CAドメインの三つの必須な亜鉛リガンドヒスチジン残基の少なくとも一つ(すなわち、CA IXポリペプチド改変体の機能的CAドメインについてのアミノ酸配列を、本明細書中以下に記載される配列アラインメント方法を使用して、ヒトCA IXのCAドメインについてのアミノ酸配列に対して、最適に位置合わせさせた場合に、配列番号2の226、228、および251残基と相同な残基うちの少なくとも一つ)を含む。他の実施形態において、CA IXポリペプチド改変体の阻害性エピトープは、約5、8、10、15、20、25、30または、35残基の長さを有し、そして、CA IXポリペプチド改変体の機能的CAドメインについてのアミノ酸配列を、本明細書中以下に記載される配列アラインメント方法を使用する、ヒトCA IXのCAドメインについてのアミノ酸配列対して、最適に位置合わせさせた場合に、配列番号2の229残基〜256残基に相同である、機能的CAドメインの領域の内の少なくとも一つの残基を含む。このような実施形態において、阻害性エピトープは、例えば、配列番号2の229〜256残基と相同なCA IXポリペプチド改変体の機能的CAドメインの領域内の1、3、5、8,10、12、15、18、20、22、25、またはさらに28残基を含み得る。CA IXポリペプチド改変体の阻害性エピトープが、配列番号2の229〜256残基に相同である機能的CAドメインの領域内の一以上の、しかし28未満の残基を含む場合、これら残基は、全て連続的なものであり得るか、全て非連続的なものであり得るか、または連続的な、および非連続的な残基の混合であり得る。
本明細書中で記載されるような結合特性および特異性を有する任意のアンタゴニスト抗CA IX抗体または、その抗原結合フラグメントは、本発明の方法において使用するために適切である。従って、適切なアンタゴニスト抗CA IX抗体は、抗体抗原複合体を形成するように、CA IXのエピトープと特異的に反応し、それにより、複合体の形成は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、好ましくは40%、45%、50%、55%、60%、より好ましくは70%、75%、80%、85%、および最も好ましくは90%、95%、99%、または100%のCA IX炭酸脱水酵素活性の阻害を生じる。ヒトCA IXタンパク質またはその改変体の目的の阻害性エピトープと特異的に反応するアンタゴニスト抗CA IX抗体は、ヒトCA IXタンパク質もしくは、例えば、目的のCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素ドメインの全てまたは、一部を含む抗原ペプチドのような、改変体CA IXポリペプチドに対して、調製され得、そして、当該分野において公知である抗体抗原複合体を検出するための免疫検定法ならびに、エピトープマッピング技術を使用することにより、同定され得る。このような免疫検定法およびエピトープマッピング技術としては、本明細書中に、全て参考として援用される、米国特許第4,708,871号、第5,635,182号に記載されるもの、および、本明細書中他の部分で記載されるものが挙げられる。
従って、本明細書中で使用される場合、「アンタゴニスト抗CA IX抗体」は、CA IX腫瘍関連抗原のエピトープを特異的に認識し、そして結合し、それにより、抗体抗原複合体の形成が、CA IXの炭酸脱水酵素活性の阻害を生じる、任意の抗体を含む。上記のように、本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体により認識されるエピトープは、アンタゴニスト抗CA IX抗体と阻害性エピトープとの間の抗体抗原複合体形成が、CA IXの炭酸脱水酵素活性の阻害を生じるので、本明細書中において「阻害性エピトープ」と称される。本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体、およびFab、F(ab’),Fのような、そのフラグメント、ならびにもとのアンタゴニスト抗CA IX抗体の抗原結合能(すなわち、CA IXの阻害性エピトープへの結合)を維持し、それにより、このタンパク質の炭酸脱水酵素活性を阻害する他のフラグメントが挙げられる。ポリクローナル血清は、従来の方法により調製され得る。一般に、CA IX抗原含有溶液は、最初に、適切な動物、好ましくは、マウス、ラット、ウサギ、またはヤギを免疫化するために使用される。ウサギまたはヤギは、得られる血清の容量、ならびに標識化抗ウサギ抗体および標識化抗ヤギ抗体の入手可能性により、ポリクローナル血清の調製に好ましい。ポリクローナル血清は、トランスジェニック動物、好ましくは、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するマウスにおいて、調製され得る。一つの実施形態において、CA IXを発現するSf9細胞、またはTn5細胞が、免疫原として使用される。免疫化はまた、抗原含有溶液を、好ましくはフロイント完全アジュバントのようなアジュバントの中で混合または乳化し、そしてこの混合物もしくは乳状液を非経口的に(一般的に、皮下に、腹腔内に、あるいは筋肉内に)注入することにより、実施され得る。約10〜200μg/注射、最高500μg/注射までの用量で、代表的に十分である。免疫化は、一般に、2〜6週間した後、好ましくは、フロイント完全アジュバントで乳化されたタンパク質の、一以上の注射により追加免疫される。あるいは、当該分野において公知の方法を使用するインビトロにおける免疫化により、抗体を生じ得、これは本発明の目的で、インビボにおける免疫化と等価であると考えられる。ポリクローナル血清は、免疫化動物から、ガラスまたはプラスチックのコンテナへ採血し、25℃で1時間その血液を、インキューベートし、続いて4℃で2時間〜18時間インキュべートすることにより得られる。血清を、遠心分離する(例えば、10分間、1,000×g)ことにより回収する。1回の採血ごとに約20〜50mlが、ウサギから得られ得る。
好ましくは抗体は、本質的にモノクローナル抗体である。「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を意図し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、小量存在し得る天然に存在可能な変異体または改変体を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向される。すなわち、本発明の目的のため、本発明のアンタゴニスト抗体に結合した場合、本明細書で記載されるCA IXのエピトープは、抗体抗原複合体を形成し、それにより、CA IXの炭酸脱水酵素活性は、阻害される。さらに、異なる決定因子(エピトープ)に対して指向された異なる抗体を代表的に含む従来の(ポリクローナルの)抗体調製と対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に対して指向される。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されるものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature 256:495により、最初に記載されたハイブリドーマ法により作製され得るか、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)により作製され得る。「モノクローナル抗体」はまた、酵母ディスプレイ(HudsonおよびSouriau(2001)Expert.Opin.Biol.Ther.1(5):845−855)、リボソームディスプレイ(HudsonおよびSouriau(2001)Expert.Opin.Biol.Ther.1(5):845−855)、または、例えば、本明細書中に参考として援用される、Clacksonら(1991)Nature 352:624−628;Marksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597,および米国特許第5,514,548号に記載される技術を使用するファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
モノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature 256:495−496の方法、または、その改変方法を使用することにより、調製され得る。代表的に、マウスが、抗原含有溶液を用いて免疫化される。免疫化はまた、抗原含有溶液を、好ましくはフロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバントのようなアジュバント内に、混合または乳化することにより、および混合物もしくは乳状液を非経口的に注入することにより、実施され得る。当該分野で公知である任意の免疫化方法が、本発明のモノクローナル抗体を得るために使用され得る。動物の免疫化の後、脾臓(および/または、必要に応じて、複数の大きなリンパ節)を、摘出し、そして単一細胞へと解離する。脾臓細胞を、目的の抗原でコートしたプレートまたはウェルへ細胞懸濁液をアプライすることにより、スクリーニングし得る。抗原特異的な膜結合免疫グロブリンを発現するB細胞は、プレートに結合し、そして洗い流されない。次いで、生じたB細胞、または全ての解離された脾臓細胞は、誘導されて骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマを形成して、そして選択培地内で培養される。生じた細胞は、限界希釈により、プレート培養され、そして、目的の抗原に特異的に結合する(そして、無関係の抗原に対して結合しない)抗体の産生についてアッセイされる。次いで、ハイブリドーマが分泌する選択されたモノクローナル抗体(mAb)は、インビトロ(例えば、組織培養ボトルもしくはホローファイバーリアクター)または、インビボ(マウスの腹水のような)のいずれかにおいて、培養される。
ハイブリドーマの使用の代替的なものとして、抗体は、本明細書中に参考として援用される、米国特許第5,545,403号、同第5,545,405号、同第5,998,144号、および同第5,807,715号に開示されるように、CHO細胞株または、骨髄腫細胞株のような細胞株において産生され得る。骨髄腫細胞株の例としては、Sp2細胞株およびNS0細胞株、および、それから誘導された細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。簡潔にいうと、細胞株は、軽鎖および重鎖を発現することが可能なベクターをそれぞれ用いて、トランスフェクトされる。二つのタンパク質をコードする別々のベクターをトランスフェクトすることにより、キメラ抗体が、産生され得る。別の利点は、抗体の正確なグリコシル化である。あるいは、抗体は、軽鎖および重鎖をコードするバイシストロンの単一プラスミドを用いて細胞株をトランスフェクトすることにより、産生され得る。
さらに、本明細書中で使用される場合、用語「抗CA IX抗体」は、キメラの抗CA IX抗体を含む。「キメラ」抗体により、最も好ましくは、組換えデオキシリボ核酸技術を使用することにより誘導された抗体、ならびにヒト構成要素(例えば、チンパンジーのような免疫学的に「関連した」種を含む)および非ヒト構成要素の両者を含む抗体、が意図される。従って、キメラ抗体の定常領域は、最も好ましくは、実質的に天然のヒト抗体の定常領域と同一であり;キメラ抗体の可変領域または、その部分は、最も好ましくは、非ヒト供給源から誘導されたものであり、そして目的のCA IXタンパク質の領域(例えば、ヒトCA IXまたは、その生物学的に活性な改変体)に対する望ましい抗原特異性をし、この領域は、記載した阻害性のエピトープを含む。非ヒト供給源は、ヒトCA IXもしくは、ヒトCA IXを含む物質、または、より好ましくは、本明細書中に記載される阻害性エピトープ(例えば、CAドメインの内側に存在する阻害性エピトープ)を含むヒトCA IXの抗原性ペプチドに対する抗体を産生するために使用され得る任意の脊椎動物供給源であり得る。このような非ヒト供給源としては、げっ歯類(例えば、ウサギ、ラット、マウスなど;例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第4,816,567号参照)および、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など;例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第5,750,105号ならびに同第5,756,096号参照)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で使用される場合、語句「免疫学的活性」は、キメラの抗CA IX抗体に関連して使用される場合、ヒトCA IXに結合する、より具体的には、本明細書中に記載される阻害性エピトープに結合する、例えば、ヒトCA IXまたは、その生物学的に活性な改変体のCAドメイン内に存在する連続的な、および/もしくは非連続的な残基を含む阻害性エピトープに結合する、キメラ抗体を意味する。
ヒト化抗CA IX抗体はまた、本明細書中で使用される場合、用語抗CA IX抗体に含まれる。「ヒト化」には、非ヒト免疫グロブリン配列に由来する最小限の配列を含む抗CA IX抗体の形態が意図される。たいていは、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、ここでレシピエントの超可変領域(相補性決定領域またはCDRとしてもまた公知である)に由来する残基は、例えば、所望の特異性、親和性、ならびに能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、もしくは非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基により、置換される。ヒト化は、Winterおよび共同研究者の方法(Jonesら(1986)Nature 321:522−525;Riechmannら(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyenら(1988)Science 239:1534−1536)に本質的に従って、ヒト抗体の対応する配列について、げっ歯類のCDRもしくはCDR配列あるいは、変異したげっ歯類のCDRもしくはCDR配列を置換することにより、実施され得る。本明細書中に参考として援用される、米国特許第5,225,539号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号、第5,859,205号を参照のこと。いくつかの例においては、ヒト免疫グロブリンの一以上の可変領域のフレームワーク領域内の残基が、対応する非ヒト残基により置換される(例えば、米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、および同第6,180,370号を参照のこと)。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体内か、またはドナー抗体内に見出されない残基を含み得る。これらの改変が、抗体能力をさらに精錬するため(例えば、望ましい親和性を得るため)に作られる。一般的に、ヒト化抗体は、実質的に、少なくとも一つ、代表的には二つの可変ドメインの全てを含み、ここで非ヒト免疫グロブリンの超可変領域に対応する全てもしくは実質的に全ての超可変領域、および全てもしくは実質的に全てのフレームワーク領域は、ヒト免疫グロブリン配列の領域である。ヒト化抗体はまた、必要に応じて、免疫グロブリンの定常領域(Fc)、代表的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分を含む。さらなる詳細については、本明細書中に参考として援用される、Jonesら(1986)Nature 331:522−525;Riechmannら(1988)Nature 332:323−329;およびPresta(1992)Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596を参照のこと。従って、このような「ヒト化」抗体は、非ヒト種由来の対応する配列により置換された、実質的にインタクトなヒト可変ドメイン未満の抗体を含み得る。実際に、ヒト化抗体は、代表的にヒト抗体であり、ここでいくつかのCDR残基および、おそらくいくつかのフレームワーク残基は、げっ歯類抗体の類似する位置に由来する残基により置換される。例えば、米国特許第5,225,539号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、同第5,859,205号を参照のこと。また、米国特許第6,180,370号および、国際公開番号WO01/27160を参照のこと。ここで、ヒト化抗体ならびに所定の抗原について改善された親和性を有するヒト化抗体を産生するための技術が、開示される。
また、用語抗CA IX抗体により、非ヒト哺乳動物宿主、より詳細には、不活化された内在性の免疫グロブリン(Ig)遺伝子座により特徴付けられるトランスジェニックマウスにおいて産生される、異種または改変抗CA IX抗体である。このようなトランスジェニック動物において、宿主の免疫グロブリンの軽鎖および重鎖のサブユニットの発現のために適格な内在性の遺伝子に、非機能的にされ、そして類似ヒト免疫グロブリン遺伝子座と置換される。これらトランスジェニック動物は、軽鎖または重鎖宿主免疫グロブリンサブユニットの実質的な欠失において、ヒト抗体を産生する。例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第5,877,397号および第5,939,598号を参照のこと。
アンタゴニスト抗CA IX抗体のフラグメントは、これらが、全長抗体の所望の親和性および活性を保持する限り、本発明方法の使用に適切である。従って、抗CA IX抗体のフラグメントは、(1)本明細書中の他の部分で定義されるように、例えば、阻害性エピトープは、目的のCA IXタンパク質(例えば、ヒトCA IXもしくはその生物学的に活性な改変体)のCAドメインの連続的および/または非連続的な残基を含む、CA IXの阻害性エピトープに対する結合能を保持し、そして(2)このようなCA IXの阻害性エピトープに結合した場合、それにより、CA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性を阻害するという、アンタゴニスト活性を示す。このようなフラグメントは、本明細書中において「抗原結合」フラグメントと称される。
抗体の適切な抗原結合フラグメントは、全長抗体の一部分、一般的には、その抗原結合領域またはその可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、F(ab’)、およびFvフラグメントならびに単鎖抗体分子が、挙げられるが、これらに限定されない。「単鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVドメインならびにVドメインを含むフラグメントが意図され、ここでこれらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。例えば、米国特許第4,946,778号、同第5,260,203号、同第5,455,030号、同第5,856,456号(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。一般的に、Fvポリペプチドは、sFvが、抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする、VドメインとVドメインとの間のポリペプチドリンカーを、さらに含む。sFvの概説については、Pluckthun(1994)The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編(Springer−Verlag、New York)pp.269−315を参照のこと。
抗体または、抗体フラグメントは、例えば、McCaffertyら(1990)Nature348:552−554(1990)および、米国特許第5,514,548号に記載される技術を使用して産生される、抗体酵母ライブラリー、リボソーム発現ライブラリーまたは、ファージライブラリーから単離され得る。Clacksonら(1991)Nature 352:624−628およびMarksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597は、ファージライブラリーを使用した、マウス抗体および、ヒト抗体、それぞれの単離を記載する。次の刊行物は、鎖シャッフリング(chain shuffling)(Marksら(1992)Bio/Technology 10:779−783)ならびに、非常に大きなファージライブラリーを構築するための戦略のような、組み合わせ感染および、インビボでの組換え(Waterhouseら(1993)Nucleic.Acids Res.21:2265−2266)により、高い親和性(nM範囲)のヒト抗体の産生を記載する。従って、これらの技術は、モノクローナル抗体の単離のための、従来的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術の実行可能な代替法である。
様々な技術が、抗体フラグメントの産生のために開発されている。従来、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク質分解性の消化を介して生成された(例えば、Morimotoら(1992)Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)ならびにBrennanら(1985)Science 229:81を参照)。しかし、これらのフラグメントは現在、組換え宿主細胞により、直接的に産生され得る。例えば、抗体フラグメントは、上で議論した抗体酵母ライブラリー、リボソームライブラリー、またはファージライブラリーから、単離され得る。あるいは、Fab’−SHフラグメントは、E.coliから直接的に回収され得、そして化学的にカップリングされてF(ab’)フラグメントを形成し得る(Carterら(1992)Bio/Technology 10:163−167)。別のアプローチに従って、F(ab’)フラグメントは、組換え宿主細胞の培養物から直接的に単離され得る。抗体フラグメント産生のための他の技術は、当業者に明白である。
本発明は、脱免疫化アンタゴニスト抗CA IX抗体をまた含み、これは、本明細書中に参考として援用される、例えば、国際公開番号WO98/52976およびWO0034317に記載されるように、産生され得る。このような場合において、本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体内の残基は、CA IXの炭酸脱水酵素活性に対するこれらのアンタゴニスト活性(このような活性は、本明細書中他の部分で記載されるアッセイにより、測定される)を保持している間に、ヒトに対する非免疫原性または、わずかな免疫原性を抗体に与えるために改変される。本発明の範囲内にまた含まれるものとしては、本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体を含む融合タンパク質または、そのフラグメントであり、この融合タンパク質は、当該分野で公知であるような、対応するポリヌクレオチドベクターから、合成され得るか、または発現され得る。このような融合タンパク質は、下記のように抗体との結合を参照して記載される。
本発明方法に使用するための、本明細書中に記載される結合特性ならびに特異性を有するものとして同定されたアンタゴニスト抗CA IX抗体は、例えば、本明細書中に参考として援用される、特許公開番号EP0 983 303A1、WO00/34317およびWO 98/52976に記載される方法を使用することにより産生される、配列変動を有し得る。例えば、CDR内の配列は、抗体がMHC Class IIに対し結合し、および望ましくないヘルパーT細胞の応答を引き起こす原因となり得ることが示された。保存的置換は、抗体が、望ましくないT細胞応答を引き起こす能力を失ってもなお、結合活性を維持することを可能にし得る。任意のこのような保存的置換または非保存的置換は、本明細書中の他の部分で記載される方法のような当該分野で認識される方法を使用することにより、作られ得るし、そして、結果として生じる抗体は、本発明の範囲内に含まれる。改変体抗体は、本明細書中に記載される方法を使用することにより、アンタゴニスト活性、親和性および特異性について、慣用的に試験され得る。
本発明の抗体は、中和化活性に加えて、ADCC活性およびCDC活性をまた有し得る。ADCC活性を有する抗体は、一以上のFcRを発現し、およびエフェクター機能を果たす白血球のような「ヒト効果細胞」と相互作用する。好ましくは、この細胞は、少なくともFcyRIIIを発現し、および抗原依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)エフェクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例示としては、末梢血単核球(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単核細胞、細胞傷害性T細胞、ならびに好中球が、挙げられ、PBMCおよびNKが好ましい。ADCC活性を有する抗体は代表的には、IgG1アイソタイプまたはIgG3アイソタイプのものである。IgG1抗体およびIgG3抗体を単離することに加えて留意すべきことは、このようなADCC媒介性抗体は、非ADCC抗体に由来する可変領域またはIgG1アイソタイプもしくはIgG3アイソタイプの定常領域上の可変領域フラグメントを操作することに作られ得る。
用語「Fcレセプター」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記載するために使用される。好ましいFcRは、ヒトFcRの天然の配列である。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(γレセプター)に結合し、ならびに対立遺伝子改変体およびこれらレセプターの選択的にスプライシングされた形態を含む、FcyRI、FcyRII、そしてFcyRIIIサブクラスのレセプターを含む、ものである。FcyRIIレセプターは、FcyRIIA(「活性化レセプター」)およびFcyRIIB(「阻害性レセプター」)を含み、これらは、その細胞質内のドメインが主に異なる、類似のアミノ酸配列を有する。活性化レセプターFcyRIIAは、その細胞質ドメイン内に免疫レセプターのチロシンベースの活性モチーフ(ITAM)を含む。阻害性レセプターFcyRIIBは、その細胞質内ドメイン内に免疫レセプターのチロシンベースの阻害性モチーフ(ITIM)を含む(Daeron(1997)Annu.Rev.Immunol.15:203−234を参照のこと)。FcRは、RavetchおよびKinet(1991)Annu.Rev.Immunol 9:457−92;Capelら(1994)Immunomethods 4:25−34;およびde Haasら(1995)J.Lab.Clin.Med.126:330−341、に概観される。将来同定されるものも含め、他のFcRは、本明細書中の用語「FcR」に含まれる。この用語には、新生児のレセプター、FcRnが、また含まれ、これは、胎児までの母系IgGの輸送に役割を果たす(Guyerら(1976)J.Immunol.117:587;およびKimら(1994)J.Immunol.24:249)。
「補体依存性の細胞毒性」または「CDC」は、補体存在下において、標的を溶解する分子の能力をいう。補体活性経路は、同族の抗原と複合体化した分子(例えば、抗体)に対する補体系(Clq)の第一コンポーネントの結合により開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano−Santoroら(1996)J.Immunol.Methods 202:163に記載されるような、CDCアッセイが、実施され得る。
前述のアンタゴニスト抗CA IX抗体または、その抗体フラグメントの任意のものは、本発明方法に使用する前に結合体化させられ得る。結合体化抗体を産生するための方法は、当該分野において公知である。そのため、アンタゴニスト抗CA IX抗体は、「間接標識」または「間接標識アプローチ」を使用することにより、標識され得る。「間接標識」または「間接標識アプローチ」は、キレート剤が、共有結合的に抗体に取り付けられ、そして少なくとも一つの放射性核種が、このキレート剤内へ挿入される、ことが意図される。例えば、本明細書中に参考として援用される、SrivagtavaおよびMease(1991)Nucl.Med.Bio.18:589−603に記載される、キレート剤および放射性核種を参照のこと。あるいは、アンタゴニスト抗CA IX抗体は、「直接標識」または「直接標識アプローチ」を使用することにより、標識され得、これは、放射性核種は、抗体(代表的にアミノ酸残基を介する)に対して直接的に共有結合的に取り付けられる。好ましい放射性核種は、SrivagtavaおよびMease(1991)前出において、与えられる。この間接標識アプローチは、特に好ましくある。例えば、国際公開番号WO00/52031およびWO00/52473をまた参照のこと、ここでリンカーは、放射活性標識を抗体に対して取り付けるために使用される;本明細書中に参考として援用される米国特許第6,015,542号に記載される標識化形態の抗CA IX抗体。
さらに、アンタゴニスト抗CA IX抗体(またはその抗原結合フラグメント)は、細胞毒素、治療剤、もしくは放射活性金属イオンのような治療的部分に対して結合させられ得る。細胞毒素または細胞毒性薬剤には、細胞にとって有害である任意の薬剤も含まれる。例示としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ならびにピューロマイシンおよびそのアナログまたはホモログ、が挙げられる。治療剤としては、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(carmustine)(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロフォスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(かつてはダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、(かつてはアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに有糸分裂インヒビター(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられるが、限定はされない。本発明の結合体は、所定の生物反応を調整するために使用され得る;薬物部分は、従来の化学治療剤に限定されるように解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、望ましい生物活性を有するタンパク質または、ポリペプチドであり得る。このようなタンパク質としては、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、もしくはジフテリア毒素のような毒素;腫瘍壊死因子、インターフェロン−α、インターフェロン−β、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノゲンアクチベーターのようなタンパク質;または、リンフォカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)または他の成長因子のような生物反応調整因子が、挙げられ得る。
このような治療部分を抗体に結合させるための技術は、周知である。例えば、Arnonら(1985)「Monoclonal Antibodies for Immunotargeting of Drugs in Cancer Therapy,」in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,編集Reisfeldら(Alan R.Liss,Inc.),pp.243−256;Hellstromら編集(1987)「Antibodies for Drug Delivery,」in Controlled Drug Delivery,編集Robinsonら(第2版;Marcel Dekker,Inc.),pp.623−653;Thorpe(1985)「Antibody Carriers of Cytotoxic Agents in Cancer Therapy:A Review,」in Monoclonal Antibodies’84:Biological and Clinical Applications,編集Pincheraら(Editrice Kurtis,Milano,Italy,1985),pp.475−506;「Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy,」in Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy,編集Baldwinら(Academic Press,New York,1985),pp.303−316;およびThorpeら(1982)Immunol.Rev.62:119−158.を参照のこと。
あるいは、抗体は、米国特許第4,676,980号にSegalにより記載されるように、抗体へテロ結合体を形成するために、二次抗体に対して結合させられ得る。さらに、リンカーを、標識と本発明の抗体との間に使用し得る(米国特許第4,831,175号を参照のこと)。抗体または、その抗原結合フラグメントは、放射活性ヨード、放射活性インジウム、放射活性イットリウム、または当該分野で公知である他の放射活性粒子を用いて直接的に標識され得る(米国特許第5,595,721号)。処置は、同時に投与されるか、または連続的に投与される、結合体化抗体ならびに非結合体化抗体を用いた処置の組合せから構成され得る(WO00/52031およびWO00/52473)。
本発明の抗CA IX抗体は、標的を保有する腫瘍細胞により発現されるような、分子のアミノ酸残基特異的エピトープ、炭水化物特異的エピトープ、またはアミノ酸残基部分と炭水化物部分の両者により形成されるエピトープに対して結合し得る。抗CA IX抗体が、細胞毒素または細胞増殖抑制剤を保有する場合、抗体が、抗体標的レセプター複合体を内部移行させたエピトープに対して結合することが好ましくあり得る。抗CA IX抗体が、ADCCおよびCDCにわたって機能する場合、抗CA IX抗体は、Fc領域が、効果細胞に結合するまで、標的腫瘍細胞の表面に残ることが好ましい。同族の細胞表面に対して結合する抗体が細胞表面上に残存するか、または内部移行するのかについて決定するための方法は、当該分野において、周知である。
(他の阻害性因子)
腫瘍形成におけるその役割において、CA IXの機能的炭酸脱水酵素ドメインの重要性が同定されたので、CA IX+腫瘍化細胞上のCA IXの炭酸脱水酵素活性を特異的に阻害する任意の因子は、本発明方法において利用され得る。目的のCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性を阻害する候補因子は、化学的ライブラリー、天然に存在する化合物、または化合物の混合物のほぼ任意の供給源から誘導され得る。候補インヒビターの供給源、ペプチドライブラリーの合成、ペプトイドライブラリーの合成、および有機的な低分子の例示は、以下に記載される。例えば、ヒトCA IXまたは、その生物活性改変体のような、CA IXの炭酸脱水酵素活性のインヒビターもしくはアンタゴニストである任意の因子は、本発明の処置方法において使用され得る。炭酸脱水酵素活性のインヒビターは、ペプチドアンタゴニスト、ペプトイドアンタゴニスト、または有機的な低分子アンタゴニストであり得る。いくつかのインヒビターは、CA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素ドメイン内の三つの亜鉛結合ヒスチジン残基(例えば、配列番号2に示されるヒトCA IXの226、228、および251残基)のうちの一以上残基で作用することが予想され、これらの残基は、CAドメインの触媒活性に必須である(SlyおよびHu(1995)Annu.Rev.Biochem.64:375−401)。しかし、本発明の目的のためCA IXの炭酸脱水酵素活性のこのようなインヒビターの使用および妥当性は、インヒビターの作用機構の任意の仮説に限定されるものではない。インヒビターが、例えば、本明細書中の以下で定義されるようにヒトCA IXまたはその生物活性改変体のような、CA IXの炭酸脱水酵素活性を阻害することは、本発明の目的のために十分である。
本明細書中で使用される場合、ペプチドのアナログは、例えば、タンパク質様の活性を有するペプトイドのような、一以上のペプチドの模倣物を有するペプチドを含む。定義内に含まれるものとしては、天然に存在するものおよび、天然に存在しないものの両者であって、例えば、アミノ酸の一以上のアナログ(例えば、非天然のアミノ酸を含む)を含むペプチド、置換された結合を有するペプチド、ならびに当該分野において公知である他の改変体が挙げられる。
用語「低分子」は、生物学的プロセスに影響を与えるように作用し得る任意の化学部分および他の部分を含む。低分子は、現在、知られ、および使用される任意の多数の治療剤を含み得るか、または機能についてスクリーニングする目的のために低分子のライブラリーにおいて、合成される低分子であり得る。低分子は、大きさおよび重合の欠失により、ポリマーならびに高分子とは区別される。低分子は、ペプチド、ペプトイド、および有機的な低分子を含み得る。
CA IXの炭酸脱水酵素活性の候補インヒビターおよび本明細書中に開示されるアッセイによるスクリーニングのための候補インヒビターのライブラリーは、例えば、ペプチドライブラリー、ペプトイドライブラリーならびに、低分子ライブラリーのような、候補インヒビターの任意の様々な可能性のある供給源から誘導され得る。このインヒビターは、ファージディスプレイにより示されたポリペプチドであり得る。一般的にCA IXの炭酸脱水酵素活性のインヒビターは、CA IXの炭酸脱水酵素活性を阻害することが可能であり得るか、またはCA IXポリペプチド改変体の炭酸脱水酵素活性を阻害することが可能であり得る、任意の分子であり得る。スクリーニングのためのいくつかのライブラリーは、本明細書中に開示されるアッセイにより、CA IXの炭酸脱水酵素活性の阻害をアッセイするためにライブラリープールへと細分化され得る。陽性が、同定された場合は、各プールのいくつかは、アッセイされ、そしていくつかは、再アッセイのために保存されるか、またはさらにサブプールへと細分化される。本発明の方法によるアッセイのために適切であるいくつかの可能なライブラリーの作製は、本明細書中の以下に記載される。
CA IXの炭酸脱水酵素活性のペプチドインヒビターおよびペプトイドインヒビターであるライブラリーは、以下のように作られる。ペプチド「ライブラリー」は、米国特許第5,010,175号(’175特許)および国際公開番号WO91/17823に開示される方法で合成され得るし、ならびに使用され得る。’175特許の方法において、例えば、樹脂のような、適切なペプチド合成支持体は、適切に保護され活性化されたアミノ酸の混合物に結合させられる。WO91/17823に記載される方法は、どのペプチドが、応答性の細胞における、任意の観察される遺伝子発現の変化を担うのかについて、決定する方法に類似するが、単純化するものである。WO91/17823および米国特許第5,194,392号に記載される方法は、自動化技術により、同時に、このようなプールならびにサブプールの調製を可能とし、そのため全ての合成および再合成は、数日以内で実施され得る。
さらに代替的な因子は、遺伝子発現のインヒビターとして、またはリガンドもしくはアンタゴニストとして、作用可能であるペプチドアナログおよびペプチド誘導体を含む。ペプチド、アナログまたは誘導体の産生が考慮されるいくつかの一般的な方法は、本明細書中に参考として援用される、Weinstein,編集(1983)Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides,and Proteins−−A Survey of Recent Developments(Marcell Dekker,Inc.,New York)に概略が示される。さらに、正常なL−立体異性体についてのD−アミノ酸の置換は、この分子の半減期を増加させるために実施され得る。
少なくともいくつかのN−置換部分のモノマー単位から成るペプチド、ポリマーは、本明細書中の低分子インヒビターとして作用し得るし、および国際公開番号WO91/19735に記載されるように合成され得る。現在好ましいアミノ酸置換は、グリシンのN−アルキル化誘導体であり、これは、容易に合成されるし、およびポリペプチド鎖へ容易に組み込まれる。しかし、様々な分子プールの配列特異的な合成を可能とする任意のモノマー単位は、ペプチド分子の産生における使用に適したものである。本発明目的のためのこれら分子の利点は、これらが、ペプチドよりも異なるコンフォメーション空間を占めるし、およびこれらのアミド結合が、N−置換されたものであるため、プロテアーゼの作用に対してより耐性である、ことである。
ペプトイドは、標準的な化学的方法により、容易に合成される。好ましい合成方法は、Zuckermannら(1992)J.Am.Chem.Soc.114:10646−7により記載される「サブモノマー」技術である。N−置換されたグリシンモノマー単位が、骨格を形成する複素環の有機化合物の固相技術による合成は、1995年6月7日に出願された「Synthesis of N−Substituted Oligomers」と題された同時係属の出願に記載され、および本明細書中に参考として完全に援用される。このような複素環の有機化合物の混合物の組合せのライブラリーは次いで、酵素活性、特にCA IXの炭酸脱水酵素活性または、その生物活性改変体を阻害する能力についてアッセイされ得る。
組み合わせのライブラリーにおける他の複素環の有機化合物の固相による合成はまた、本明細書中にその全体で参考として援用される、1995年6月7日に出願された「Combinatorial Libraries of Substrate−Bound Cyclic Organic Compounds」と題された同時係属の出願米国シリアル番号第08/485,006号に記載される。高置換された環状構造は、有力な液相化学とサブモノマー方法を併用することにより固体支持体上に合成され得る。1、2、3、またはそれ以上の縮合環を含む環式化合物は、上記の出願内に記載されるように、最初に線状骨格を合成し、続いて分子内の環状化もしくは、分子間の環状化を生じることによる、サブモノマー方法により、形成される。
本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体を用いた場合、本発明の他のCA IXインヒビターは、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、好ましくは40%、45%、50%、55%、60%、より好ましくは70%、75%、80%、85%、および最も好ましくは、90%、95%、99%、もしくは100%だけ、CA IX炭酸脱水酵素活性の阻害を生じるCA IXまたは、その生物活性改変体と相互作用する。炭酸脱水酵素活性の阻害を検出するためのアッセイは、本明細書中に他の部分で開示されるこれらのアッセイを含め、当該分野において公知である。
(CA IX炭酸脱水酵素活性を阻害することが可能な他のインヒビターおよび抗体検出のためのスクリーニングアッセイ)
本発明はこのように、CA IXタンパク質の発現に特徴付けられる癌処置のための治療剤として与えられ得る他の因子を同定するための方法を提供する。本方法は、スクリーニングアッセイを包含し、これにより目的のCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性を阻害する試験薬剤の能力が、評価される。候補試験薬剤が、インビトロアッセイにおいて炭酸脱水酵素活性を阻害する能力を有するものとして同定された場合、この薬剤はさらに、本明細書中の実験セクションにおいて記載される軟寒天アッセイを含む当該分野において公知である細胞ベースのアッセイを使用することにより、目的のCA IXタンパク質を発現する細胞株の表現型の形質転換を阻害するその能力について、検定され得る。インビトロアッセイを使用することにより同定された阻害性因子はまた、インビボアッセイを使用することにより、さらに検定され得る。
このため、本発明はインヒビター、つまり、候補化合物もしくは試験化合物、もしくは、例えば、ヒトCA IXまたは、その生物活性改変体のような目的のCA IXタンパク質に結合する因子(例えば、ペプチドとペプチドミメティック(peptidomimetic)、小有機分子、あるいは、他の薬物;および適切な阻害性抗体)を同定するための方法(また、本明細書中「スクリーニングアッセイ」と称される)を提供し、そして、これは、このタンパク質の炭酸脱水酵素活性に阻害性の影響を有する。
本発明の試験化合物は、生物学的ライブラリー、空間的にアドレス可能な同時(spatially addressable parallel)固相ライブラリーまたは液相ライブラリーを含む、当該分野において公知であるコンビナトリアルライブラリー方法、逆重畳を必要する合成ライブラリー方法、「1ビーズ1化合物」ライブラリー方法およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー方法における任意の多数のアプローチを使用することにより得られ得る。生物学的ライブラリーアプローチはペプチドライブラリーに限定され、一方、他の4つのアプローチは、化合物のペプチドライブラリー、非ペプチドオリゴマーライブラリー、または、低分子ライブラリーに適用される(Lam(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
分子ライブラリー合成のための方法の例示は、例えば、DeWittら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909;Erbら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermannら(1994).J.Med.Chem.37:2678;Choら(1993)Science 261:1303;Carrellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら(1994)J.Med.Chem.37:1233のように、当該分野において見出され得る。
化合物のライブラリーは、溶液内に提示され得る(例えば、Houghten(1992)Bio/Techniques 13:412−421)か、または、ビーズ(Lam(1991)Nature 354:82−84)、チップ(Fodor(1993)Nature 364:555−556)、リボソーム(HudsonおよびSouriau(2001)Expert.Opin.Biol.Ther.1(5):845−855)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号;同第5,403,484号;および同第5,223,409号)、プラスミド(Cullら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865−1869)、ファージ(ScottおよびSmith(1990)Science249:386−390;Devlin(1990)Science 249:404−406;Cwirlaら(1990)Proc. Natl.Acad. Sci. USA 87:6378−6382およびFelici(1991)J.Mol.Biol.222:301−310)、ならびに酵母(HudsonおよびSouriau(2001)Expert.Opin.Biol.Ther.1(5):845−855)上に提示され得る。
CA IXタンパク質に結合する試験化合物の能力を決定することは、例えば、CA IXタンパク質、より詳細にはこのタンパク質の炭酸脱水酵素(CA)ドメイン、に対する試験化合物の結合が、複合体中の標識化合物を検出することによって決定され得るように、放射性同位体標識または酵素標識と試験化合物を結合させることにより、達成され得る。例えば、試験化合物は、それぞれ直接的にまたは間接的に、l25I、35S、l4C、もしくはHを用いて標識され得、この放射性同位体は放射線放射の直接的な計測によるか、あるいは、シンチレーションの計測により検出される。あるいは、試験化合物は、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、またはルシフェラーゼを用いて酵素標識され得、この酵素標識は適切な基質の産物への変換の測定により検出される。
別の実施形態において、本発明のアッセイは試験化合物とCA IXタンパク質またはCAドメインを含むその生物学的に活性な部分とを接触させる工程、ならびにCA IXタンパク質またはその生物学的に活性な部分、より詳細にはCAドメインに対して試験化合物が結合する能力を決定する工程を包含する、無細胞アッセイである。CA IXタンパク質に対する試験化合物の結合は、上記のように直接的にか、または間接的のいずれかにより決定され得る。好ましい実施形態において、このアッセイはアッセイ混合物を形成するためにCA IXタンパク質に結合する公知の化合物とCA IXタンパク質またはCAドメインを有するその生物学に活性な部分とを接触させる工程、試験化合物とこのアッセイ混合物とを接触させる工程、および、この公知の化合物と比較される場合にCA IXタンパク質または、その生物学的に活性な部分に優先的に試験化合物が結合する能力を決定する工程、を包含する。
上述のアッセイにおいて、CA IXタンパク質の非複合体化形状から複合体化形態の分離を容易なものとするため、CA IXタンパク質を固定化することが望ましくあり得、アッセイの自動化に適用させることが望ましくあり得る。一つの実施形態において、融合タンパク質が、CA IXタンパク質が、マトリックスに対して結合させられることを可能とするドメインを加えるために提供され得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/CA IX融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical,St.Louis,MO)またはグルタチオン誘導体化ミクロタイタープレート(glutathione−derivatized microtitre plate)上に吸着させられ得、これは次いで、試験化合物、または試験化合物ならびに非吸着化CA IXタンパク質と結合させられ、そして、この混合物は、複合体形成を促す条件下で(例えば、塩およびpHについての生理的条件で)インキュベートさせた。インキュベーションに続いて、ビーズまたはミクロタイタープレートウェルは、任意の非結合体化構成要素を除去するために洗浄され、そして複合体形成が、例えば、上記のように直接的、または間接的のいずれかで、測定される。あるいは、複合体は、マトリックスから解離され得、標準的な技術を使用することにより、CA IX結合のレベルまたは、CA IX活性のレベルが決定される。
さらに別の実施形態において、アッセイは、試験化合物とCA IXタンパク質またはCAドメインを含むその生物学的に活性な部分とを接触させる工程、ならびにCA IXタンパク質またはその生物活性な改変体の炭酸脱水酵素活性を阻害する、試験化合物の能力を決定する工程を包含する、無細胞アッセイである。CA IXタンパク質またはその生物学的に活性な部分の炭酸脱水酵素活性を阻害する試験化合物の能力を決定することは、例えば、以下の実験セクションにおいて記載されるように、CA IXタンパク質もしくはその部分のCA IX基質分子に対する結合能力、ならびに酵素活性を阻害する能力を決定することにより、達成され得る。
上述のアッセイにおいて、CA IXタンパク質を固定化して、このタンパク質の非複合化形態からの複合化形態の分離を促進すること、およびこのアッセイの自動化を設定することが所望され得る。1つの実施形態において、融合タンパク質は、CA IX融合タンパク質を担体へ結合させるドメインの添加を、提供され得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/CA IX融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical,St.Louis,MO)上に吸着され得るか、またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着され得、次いで、これらは試験化合物、または試験化合物および非吸着CA IXタンパク質と組み合わせられ、そしてこの混合物は、複合体形成を助長する条件下で(例えば、塩およびpHに関する生理学的条件で)インキュベートされる。インキュベーションに続いて、このビーズもしくはマイクロタイタープレートのウェルは、洗浄されて非結合化合物を除去され、そして複合体形成は、直接的もしくは間接的のいずれかで、計測される。あるいは、この複合体は、担体から分離され、そしてCA IXの結合レベルもしくはCA IXの活性レベルが、標準的技術を用いて決定される。
タンパク質を担体上に固定化する他の技術もまた、本発明のスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。例えば、CA IXタンパク質は、ビオチンとストレプトアビジンとの結合を用いて固定化され得る。ビオチン標識されたCA IX分子は、当該分野で周知の技術(ビオチン標識キット、Pierce Chemicals,Rockford,IL)を用いてビオチン−NHSから調製され得、そしてストレプトアビジンコートされた96ウェルプレート(Pierce Chemicals)のウェル中に固定化され得る。あるいは、CA IXタンパク質に対して応答性であるが、CA IXタンパク質の酵素活性をその基質分子上において干渉しない抗体が、そのプレートのウェルへ誘導され得、そして非結合のCA IXタンパク質が、抗体結合によってウェルに捕捉され得る。GST−固定化複合体についての上記の記載に加えて、このような複合体を検出する方法としては、CA IXタンパク質に応答性の抗体を用いた複合体の免疫検出、およびCA IXタンパク質もしくはその生物学的活性部分に関連する酵素活性を検出することによる、酵素結合アッセイが挙げられる。
別の実施形態において、CA IX炭酸脱水酵素活性のインヒビターが、細胞が候補化合物に接触する方法下で同定され、そして細胞内のCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性が、候補化合物の非存在下での細胞内のCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性に対して決定される。炭酸脱水酵素活性が、候補化合物の存在下においてその非存在下よりも低い(統計学的に有意に低い)場合、この候補化合物は、CA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性のインヒビターとして同定される。細胞内のCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性のレベルは、本明細書中の他の場所に記載される、このような酵素活性を検出する方法によって決定され得る。CA IXタンパク質を発現する細胞は、この腫瘍関連抗原の発現に関して陽性であるCA IX+癌細胞株に由来し得る。あるいは、任意の適切な宿主細胞が、目的の特定のCA IXタンパク質(例えば、配列番号2のヒトCA IX(配列番号1でコードされる))の組み換え発現のため、もしくは本明細書中の他の場所に記載される、その生物学的に活性な改変体の組み換え発現のために利用され得る。あるいは、目的のCA IXタンパク質は、本明細書中で以下に記載されるように、融合タンパク質の一部として発現され得る。CA IXタンパク質の組み換え発現のための方法、もしくはその生物学的に活性な改変体の組み換え発現のための方法は、当該分野で公知である。例えば、米国特許第6,051,226号(本明細書中で、その全体が参考として援用される)に開示される宿主細胞発現系を参照のこと。このような細胞ベースのアッセイは、目的のCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性を阻害する能力に関して、抗体をアッセイする方法を提供する。この様式において、その阻害活性について試験されるべき目的の候補抗体は、炭酸脱水酵素活性を検出するのに適切な条件下において、CA IXタンパク質もしくはその生物学的に活性な改変体を発現する細胞と組み合わせられ得、そして細胞内のCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性のレベルが、候補抗体の非存在下での細胞内のCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性に対して決定される。抗体による炭酸脱水酵素活性の阻害は、その抗体が、CA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性のインヒビターであることを示す。この方法を用いて試験され得るこのような候補抗体は、既存の抗体、およびまだ同定されていない候補抗体を含む。「既存の」抗体とは、以前に同定されている抗体を示し、これらとしては、当該分野で既に公知の抗体が挙げられる(しかしこれらに限定されない)。本発明の細胞ベースのスクリーニング法は、このような抗体を、CA IX炭酸脱水酵素活性を阻害するそれらの能力に関してアッセイする手段を提供する。
本発明のなお別の局面において、CA IXタンパク質は、ツーハイブリッドアッセイもしくはスリーハイブリッドアッセイ(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら、(1993)Cell 72:223−232;Maduraら、(1993)J.Biol.Chem.268:12046−12054;Bartelら、(1993)Bio/Techniques 14:920−924;Iwabuchiら、(1993)Oncogene 8:1693−1696;およびPCT出願WO94/10300を参照のこと)において、CA IXタンパク質に結合するか、もしくはCA IXタンパク質と相互作用する他のタンパク質(「CA IX−結合タンパク質」もしくは「CA IX−bp」)を同定するため、「おとりタンパク質(bait protein)」として使用され得る。次いで、CA IX炭酸脱水酵素活性の阻害が試験され得る。
したがって、本発明は、CA IXの炭酸脱水酵素活性の阻害をスクリーニングするためのcRNAライブラリおよびcDNAライブラリを作製する工程を包含し、組み換えCA IXポリペプチド(あるいは、本明細書中の他の場所に記述される融合タンパク質として発現され得る)の発現を必要とし得、そしてまた、スクリーニングアッセイにおける発現のため、CA IXポリペプチドもしくはCA IXポリペプチドを含む融合タンパク質の遺伝子によって、細胞を形質転換する工程を包含する。しかし、CA IXは、CA IXの発現によって特徴付けられる癌細胞に由来する癌細胞株(すなわち、CA IX+新生細胞)において内因性に発現されるため、全ての細胞ベースのアッセイにおいて、CA IXを過剰発現させる必要はない。本発明のスクリーニング法に有用なポリペプチドもしくはライブラリを作製する例示的システムとしては、例えば、任意の標準的もしくは有用な哺乳動物、細菌、酵母、もしくは昆虫の発現システム(これらの多くは、組み換えCA IXポリペプチドの産生に関して、米国特許第6,204,370号に記載される)が挙げられる。したがって、本発明で有用な任意のCA IXポリペプチドもしくはCA IXペプチドは、これらの、もしくは他の標準的方法によって作製され得る。
プラスミドのような、特別に例証されない他の要素は、標準的な組み換えDNA技術(例えば、Sambrookら、(1989),Molecular Cloning,A Laboratory Manual(第2版)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,NY)、およびAusubelら、(1994)Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons,New York,NY))を用いて、United States Department of Health and Human Services(HHS)、National Institute of Health(NLH)Guidelines for Recombinant DNA Researchに記載される現行の調節下で、構築され得る。これらの参考文献は、以下の標準的方法:プラスミドによるクローニング手順、宿主細胞の形質転換、細胞培養、プラスミドDNAの精製、DNAのフェノール抽出、DNAのエタノール沈殿、アガロースゲル電気泳動、アガロースゲルからのDNAフラグメントの精製、ならびにエンドヌクレアーゼおよび他のDNA改変酵素反応による制限、に関する手順を含む。
(処置の方法)
アンタゴニスト抗CA IX抗体、それらの抗原結合フラグメント、およびCA IXもしくはそれらの生物学的に活性な改変体の炭酸脱水酵素活性を阻害する他の薬剤は、CA IXインヒビターとして、本明細書中で集合的に参照される。これらのCA IXインヒビターは、CA IXタンパク質の発現によって特徴付けられる癌の処置に有用である。このような癌としては、これらに限定されないが、癌腫(例えば、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、扁平細胞癌および腺扁平上皮癌);ならびに、頭部および頸部癌;中胚葉腫瘍(例えば、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫);肉腫(例えば、骨肉腫およびユーイング肉腫);ならびに黒色腫、が挙げられる。特に関心があるのは、頭部および頸部癌、婦人科の癌(卵巣癌、子宮頸癌、膣癌、子宮内膜、および外陰部の癌が挙げられる)、および婦人科の前癌状態(例えば、化生性子宮頸部組織およびコンジローム)、胃腸の癌(例えば、胃癌、結腸癌、食道癌)、尿路の癌(例えば、膀胱癌、腎臓癌)、皮膚癌、肝臓癌、前立腺癌、肺癌、および乳癌である。
したがって、本発明は、腫瘍関連抗原CA IXの発現によって特徴付けられる癌を有する被験体を処置する方法を提供する。「被験体」により、哺乳動物(例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、など)が意図される。好ましくは、本発明の方法による処置を受ける被験体は、ヒトである。
CA IXタンパク質の発現によって特徴付けられる癌を有する被験体は、当該分野で公知の標準的なアッセイによって決定され得る。CA IX抗原の存在は、多くの明確な診断アッセイを用いて、検出および/もしくは定量され得る。当業者は、MN抗原を検出および/もしくは定量するため、任意の従来の免疫アッセイ形式(例えば、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学染色、免疫金を用いた免疫電子および走査顕微鏡)、ならびに他の技術を調節し得る。CA IX抗原を検出する多くの他の形式が、利用可能である。これらは、ウェスタンブロット、ELISA(酵素結合イムノソルベント検定法(enzyme−linked immunosorbent assays))、RIA(ラジオイムノアッセイ)、競合EIA、もしくは2重抗体サンドイッチアッセイ、および診断産業で一般に使用される他のアッセイ全て、であり得る。このような免疫アッセイにおいて、結果の解釈は、抗原もしくは抗体の組合せが、サンプル中に存在する、CA IXと関係のない他のタンパク質およびタンパク質フラグメントと交差反応しないという仮定に基かれる。血清抗原を検出するのに適切な例示的な免疫アッセイとしては、米国特許第3,791,932号;同第3,817,837号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;同第4,034,074号号;および同第4,098,876号(これらは、本明細書中において、参考として援用される)に記載されるものが挙げられる。
CA IX腫瘍関連抗原を発現する現存の新生物(腫瘍)細胞か、もしくはCA IX腫瘍関連抗原を発現する新たに形成した新生物細胞を有することが疑われる被験体から得られたサンプルにおける、CA IX発現の検出に使用され得る例示的なモノクローナル抗体は、M75およびG250と命名されたモノクローナル抗体である。M75抗体の完全な議論は、米国特許第6,051,226号(本明細書中において、その全体が参考として援用される)に開示される。この代表的なCA IX特異的抗体を産生するハイブリドーマは、American Type Culture Collection[ATCC;10801 University Blvd.,Manassas,Virginia 20110−2209(USA)]に、ATCC番号HB 11128として保管される。G250抗体は、当業者に周知である。例えば、Oosterwijkら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 37:461;Uemuraら、(1994)Int.J.Cancer 56:609−614;Oosterwijkら、(1995)Semin.Oyacol.22:34−41(これらは、本明細書中において、その全体が参考として援用される)を参照のこと。これらのMN/CA IX特異的モノクローナル抗体は、CA IXタンパク質を同定するのに使用され得、そしてウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、および免疫組織化学で(例えば、新鮮組織サンプル、凍結組織サンプル、またはホルマリン、アルコール、アセトンもしくは他で固定された組織サンプル、および/もしくはパラフィン包埋および脱パラフィンされた組織サンプルにおいて)、CA IX抗原を容易に同定するのに使用され得る。このようなサンプルとしては、本発明の方法による処置についての候補者である被験体から得られた組織標本、体液、組織抽出物、および細胞抽出物が挙げられる。免疫組織化学染色によるアッセイに好ましい組織標本としては、細胞塗沫標本、生検組織もしくは器官からの組織化学切片、および他の組織サンプルの間のインプリント調製物(imprint preparation)が挙げられる。生検組織サンプルは、例えば、吸引生検、切り込み(bite)生検、ブラシ生検、円錐生検、絨毛膜生検、内視鏡生検、切除生検、切開生検、針生検、経皮パンチ生検、および他の生検技術により取り出された、これらのサンプルであり得る。
本発明の処置方法は、治療的に有効な投与量もしくは有効量のアンタゴニスト抗CA IX抗体、それらの抗原結合フラグメント、もしくはCA IXもしくはそれらの生物学的に活性な改変体の炭酸脱水酵素活性を阻害する他の薬剤を、それらを必要とする被験体に投与する工程を包含する。本発明の方法に従って投与される場合、これらのCA IXインヒビターは、抗腫瘍活性を示す。「抗腫瘍活性」により、本発明のCA IXインヒビターによる治療を受けている個体が、その個体が処置されるべき新生物もしくは前新生物の状態に関して好ましい反応を示すことが意図される。好ましい反応の例としては、これらに限定されないが、細胞増殖の速度の低下(従って、現存の腫瘍もしくは治療の間に生じた腫瘍の増殖速度の低下)、および/または現存の新生物(腫瘍)細胞もしくは新たに形成された新生物細胞の破壊(したがって、治療の間における腫瘍の全体サイズの減少)、が挙げられる。したがって、CA IXの炭酸脱水酵素活性を標的するこれらの薬剤は、このタンパク質の発現によって特徴化される癌に関する陽性の治療効果を促進することに使用され得る。「陽性の治療反応」により、これらの薬剤の抗腫瘍活性に関連する疾患の改善、および/またはこの疾患に関連する症状の改善が意図される。
CA IXの炭酸脱水酵素活性の阻害をもたらすために被験体に投与され、それによって、この抗原を発現する新生物細胞の増殖か、またはこの抗原を発現する前新生物細胞の表現型形質転換(すなわち、CA IX+新生物細胞の増殖もしくはCA IX+前新生物細胞の形質転換)を阻害する特定の薬剤のそれぞれの量に影響する因子としては、これらに限定されないが、特定の癌もしくは増殖性の障害もしくは治療を受けている障害、疾患の重症度、疾患の病歴、治療を受けている個体の年齢、性別、身長、体重、健康状態、身体的状態、が挙げられる。阻害量を構成するCA IXインヒビターの量もまた、個々のインヒビターおよびその効力、体内におけるそのインヒビターの半減期、癌もしくは治療されるべき増殖性障害の進行速度、処置の投与量もしくは投与パターンに対する状態の応答性、処方物、病状についての担当医の評価、および他の事項(例えば、他の治療剤の前投与または、インヒビターの阻害活性に及ぼす作用を有するか、もしくはCA IXの炭酸脱水酵素活性に及ぼす作用を有する、あらゆる治療剤の同時投与)のようなパラメータに依存して、変動する。
全ての場合において、臨床試験における慣用的な実験は、個々の治療剤および個々の投与プロトコールに関して、最適な治療効果のための特定の範囲を決定し得、そして特定の被験体への投与はまた、その被験体の状態および初期投与への応答性に依存する、有効かつ安全な範囲内に調整され得る。
本発明のいくつかの実施形態において、本方法は、アンタゴニスト抗CA IX抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントの複数回投与、もしくは低分子インヒビター(例えば、ペプチド、ペプトイド、もしくは他の低分子)の複数回投与による投与を含む。この方法は、 1回投与、2回投与、3回投与、4回投与、5回投与、6回投与、7回投与、8回投与、9回投与、10回投与、15回投与、20回投与、25回投与、30回投与、35回投与、40回投与、もしくはそれ以上の治療的に有効な投与量の、アンタゴニスト抗CA IXもしくはそれらの抗原結合フラグメントを含有する薬学的組成物、または本明細書中で同定される低分子インヒビターを含有する薬学的組成物の投与を含む。CA IX炭酸脱水酵素活性のインヒビターを含有する特定の薬学的組成物の複数回投与の頻度もしくは期間は、当業者によって容易に決定され得る。さらに、治療的に有効量のこのようなインヒビターによる被験体の処置は、単回処置を含み得るか、または好ましくは、一連の処置を含み得る。
処置に使用される、抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメント、または他のCA IXインヒビターの有効投与量が、特定の処置の経過に渡って増加もしくは減少し得ることも、また理解される。投与量の変化は、診断アッセイの結果から得られ得、そして明らかになり得る。
本明細書中で使用される場合、「同時投与」とは、アンタゴニスト抗CA IX抗体、それらの抗原結合フラグメント、またはCA IXもしくはそれらの生物学的に活性な改変体の炭酸脱水酵素活性を阻害する他の薬剤の、本発明の処置方法に従った、第二の治療剤と組み合わせての投与を意味する。この第二の治療剤は、被験体の状態を処置するのに有用なあらゆる治療剤であり得る。適切な第二の治療剤としては、これらに限定されないが、メトトレキサート、タモキシフェン、ネランドロン(nelandron)、ニルタミド、アドリアマイシン、5FU、インターフェロン、ケモカイン(例えば、二次リンパ組織ケモカイン(CCL21)、インターフェロン、およびサイトカイン(インターロイキン−2(IL−2)、IL−12、IL−13、およびIL−15が挙げられる))、ならびに顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などが挙げられる。CA IXインヒビターはまた、放射線治療と組み合わせて投与され得る。
例えば、CA IXもしくはそれらの改変体の炭酸脱水酵素活性を阻害する本発明の治療剤と同時に使用される第二の治療剤として、処置を受けているCA IX+の癌に対する腫瘍関連抗原を用いるか、またはこのような腫瘍関連抗原を含有するワクチンを用いることによる、新生物細胞増殖および/もしくは腫瘍増殖の阻害が企図される。加えて、例えば、第一の治療剤は、CA IX炭酸脱水酵素活性の低分子インヒビターであり得、そして第二の治療剤は、CA IXに対するアンチセンス分子もしくはリボザイム分子であり得、これは、ウイルスベクターもしくは非ウイルスベクター中に投与される場合、その低分子の阻害活性を補足する、CA IXの転写阻害を促進する。CA IX+腫瘍特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を引き起こすのに有用なペプチド、およびこれらのペプチドのワクチンは、当該分野で公知である。例えば、国際公開番号WO01/98363、およびWO 01/60317(これらは、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。または、米国特許第6,204,370号(これには、CA IXに特異的なアンチセンス配列が開示される)を参照のこと。同時投与は、(例えば、治療剤の混合物の投与によって)同時であり得るか、または(例えば、短時間内での)薬剤の別々の投与によって行われ得る。同時投与はまた、CA IX炭酸脱水酵素活性のインヒビターおよび1つ以上の別の治療剤の逐次的な投与を含む。第二の治療剤(agentもしくはagents)は、CA IX炭酸脱水酵素活性のインヒビターの前もしくは後に投与され得る。第二の治療剤はまた、CA IX炭酸脱水酵素活性のインヒビターであり得、第一のインヒビターとともに投与される場合、特定の利点を有する。投与処置は、単回投与スケジュールもしくは複数回投与スケジュールであり得る。
CA IXタンパク質を発現する新生物細胞もしくは前新生物細胞においてCA IXの炭酸脱水酵素活性を阻害する薬剤の、治療的に有効な投与量は、このタンパク質を発現している細胞に、受容できない有害な副作用を負わせることなく、有効量のインヒビターが与えられるようにする、任意の医学的に受容可能な投与様式を用いて投与され得る。例示的な投与経路は、非経口(例えば、静脈内、注入、皮内、筋肉内)投与、経口(例えば、吸入)投与、経皮(局所)投与、経粘膜投与、および直腸投与である。1つの実施形態において、これらの治療剤の治療的に有効な投与量は、腫瘍内に直接的に注入される(腫瘍内投与)か、または腫瘍周辺部位内に直接投与される。「腫瘍周辺部位」により、その腫瘍の外縁から15cm以内の部位が意味される。投与は、1つ以上の部位に行われ得る。したがって、これらの薬剤の治療的に有効な投与量は、腫瘍および/もしくは腫瘍周辺の内部の複数の部位に投与され得る。
本発明のアンタゴニスト抗CA IX抗体、および他のCA IXインヒビターは、適切な薬学的組成物(この薬剤の薬学的に受容可能なキャリアを含む)内に組み込まれ得る。この薬剤の薬学的キャリアは、各薬剤ごとに同じであり得るか、もしくは異なり得る。適切なキャリアは、大きなゆっくりと代謝される大分子(例えば、タンパク質、アミノ酸コポリマー、および粒子状の不活性ウイルス)であり得る。このようなキャリアは、当業者に周知である。薬学的に受容可能な塩が、それらの中に使用され得る(例えば、ハイドロクロライド、ハイドロブロマイド、ホスフェート、サルフェートなどのような鉱物塩;および、アセテート、プロピオネート、マロネート、ベンゾアートなどのような有機酸の塩である)。薬学的に受容可能な賦形剤についての徹底的な議論は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack PublishingCo.,New Jersey,1991)で入手可能である。治療組成物中の薬学的に受容可能なキャリアは、水、生理食塩水、グリセロール、およびエタノールのような液体を含有する。加えて、湿潤剤もしくは乳化剤のような補助物質、pH緩衝物質などが、このようなビヒクル中に存在し得る。代表的に、治療組成物は、注入可能物質として、液体溶液もしくは懸濁液のいずれかとして、調製される;注入に先立って、液体ビヒクル中に溶液に適切な固形形態が、もしくは液体ビヒクル中に懸濁剤が、また調製され得る。リポソームは、薬学的に受容可能なキャリアの定義内に含まれる。リポソームは、米国特許第5,422,120号および同第4,762,915号、国際公開番号WO95/13796、WO94/23697およびWO91/144445、ならびにEP 524,968、ならびにStarrier(1975)Biochemistry (W.H.Freeman,San Francisco,California),236−240ページ;Szokaら、(1980)Biochim.Biophys.Acta.600:1−18;Bayerら、(1979)Biochim Biophys Acta.550:46−473;Rivnayら、(1987)Methods Enzymol.149:119−123;WangおよびHuang(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851−7855;およびPlantら、(1989)Anal Biochem.176:420−426に記載される。
薬学的に受容可能なキャリアもしくは希釈剤は、他の薬剤と組み合わせられて、液体溶液としてかもしくは固形形態(例えば、凍結乾燥物)(これは、投与に先立って、溶液に再懸濁され得る)としてのいずれかとして、組成物を提供し得る。以前に記述されたように、この組成物は、非経口経路もしくは非経口ではない経路によって投与され得る。
本発明のCA IXインヒビターは、天然に存在する、目的の全長CA IXタンパク質(例えば、ヒトCA IX(配列番号1にコードされる配列番号2)を用いて、調製および/もしくは同定され得る。あるいは、これらのインヒビターは、目的のCA IXタンパク質の生物学的に活性な改変体(例えば、ヒトCA IXの生物学的に活性な改変体)を用いて、調製および/もしくは同定され得る。本発明の目的上、天然に存在するCA IXタンパク質の生物学的に活性な改変体を、「CA IXポリペプチド改変体」、「CA IXタンパク質のポリペプチド改変体」、もしくは「CA IXタンパク質改変体」と呼ぶ。CA IXポリペプチド改変体は、ネイティブもしくは天然に存在するCA IXタンパク質(例えば、配列番号2のヒトCA IXタンパク質)由来のポリペプチドもしくはタンパク質を参照する。CA IXポリペプチド改変体は、天然に存在し得るか、あるいは、ネイティブタンパク質のN末端および/もしくはC末端に対する、1つ以上のアミノ酸の欠失および付加;ネイティブタンパク質における1つ以上の部位での1つ以上のアミノ酸の欠失および付加;または、ネイティブタンパク質における1つ以上の部位での1つ以上のアミノ酸の置換、によって生成され得る。このような改変体は、機能的炭酸脱水酵素ドメインを含有するCA IXフラグメント、対立遺伝子改変体、ムテイン、相同体もしくは相同分子種、アナログ、およびネイティブCA IXポリペプチド配列の融合物を含む。「アナログ」により、ネイティブCA IX配列および1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、もしくは欠失を有する構造を含む、ネイティブCA IXタンパク質またはネイティブCA IXタンパク質のフラグメントの、いずれかのアナログが意図される。1つ以上のペプトイド(ペプチド模倣物)を有するペプチドもまた、アナログという用語に含まれる(WO91/04282)。
特に関心があるのは、天然に存在し得る(例えば、CA IX遺伝子座で生じる対立遺伝子改変体)か、または組み換え体として作製され得る(例えば、ムテイン)、配列番号2のヒトCA IXのポリペプチド改変体である。ヒトCA IXのポリペプチド改変体はまた、このネイティブタンパク質の相同体もしくはオルソロガスを含む。
以下に記述されるような、生物学的に活性なあらゆるCA IXタンパク質改変体もしくはCA IXポリペプチド改変体は、本発明のインヒビターを調製および/または同定するのに使用され得る。本発明の目的上、用語「CA IXポリペプチド」は、ネイティブもしくは天然に存在するCA IXタンパク質(例えば、ヒトCA IX)、およびネイティブもしくは天然に存在するCA IXタンパク質の生物学的に活性な改変体(以下に記述されるような、CA IXフラグメントをが挙げられる)を含む。ここで、この生物学的に活性な改変体は、本明細書中で以下に定義される機能的および構造的特徴を有する。
ネイティブまたは天然に存在するCA IXタンパク質もしくはCA IXポリペプチド改変体のフラグメント、あるいは、ネイティブまたは天然に存在するCA IXタンパク質もしくはCA IXポリペプチド改変体のいわゆる「短縮型形態(truncated form)」は、このフラグメントが、以下に記述される機能的炭酸脱水酵素ドメインを有する限り、本発明のインヒビターを調製および/または同定するのに使用され得る。CA IXタンパク質もしくはCA IXポリペプチド改変体の機能的フラグメントまたは短縮型形態は、「CA IXフラグメント」もしくは「CA IXポリペプチドフラグメント」と呼ばれる。CA IXタンパク質もしくはCA IXポリペプチド改変体のこれらのフラグメントまたは短縮型形態は、全長CA IXアミノ酸配列(すなわち、ネイティブCA IXタンパク質の配列、もしくはCA IXポリペプチド改変体の配列)からアミノ酸残基を除去することによって、例えば、当該分野で周知であり、かつ本明細書中で他の場所に記載される組み換えDNA技術を用いて、作製され、そして全長CA IX配列のN末端およびC末端欠失を含む。CA IXフラグメントは、ネイティブまたは天然に存在するCA IXタンパク質に直接的もしくは間接的に由来するため、これらは、本明細書中で上記に記述される、CA IXポリペプチド改変体の1つの型を表現する。
候補インヒビター(候補アンタゴニスト抗CA IX抗体が挙げられる)を、CA IX炭酸脱水酵素活性を阻害する能力に関してスクリーニングする目的上、全長CA IXポリペプチド改変体、および全長CA IXタンパク質もしくは全長CA IXポリペプチド改変体のフラグメントまたは短縮型形態は、天然に存在するCA IXタンパク質(例えば、配列番号2で示されるヒトCA IX)の炭酸脱水酵素活性の、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、好ましくは、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、より好ましくは、少なくとも80%の炭酸脱水酵素活性を提供する、機能的炭酸脱水酵素ドメインを保持すべきである。本発明の抗CA IX抗体を調製するのに適切なCA IXタンパク質のフラグメントもしくはCA IXポリペプチド改変体のフラグメントは、少なくとも1つの、アンタゴニスト抗CA IX抗体によって認識され得る阻害性エピトープを含有し、したがって、この抗体の存在下で抗体−抗原複合体を形成し、それによって、CA IXポリペプチドフラグメントの炭酸脱水酵素活性が阻害される。CA IXポリペプチドフラグメントに含まれる適切なエピトープとしては、CA IXポリペプチドフラグメントの近接する、および/もしくは非連続の残基を含有するこれらの阻害性エピトープ(例えば、炭酸脱水酵素ドメイン内の、近接する、および/もしくは非連続の残基を含有する阻害性エピトープ)が挙げられる。本発明の方法を用いて同定された本発明のCA IXインヒビターは、CA IXの発現、もしくはCA IXの天然に存在する対立遺伝子改変体の発現によって特徴付けられる癌を有する被験体の処置に適切である。
ネイティブもしくは天然に存在するCA IXタンパク質およびCA IXポリペプチド改変体(本発明の方法において有用なCA IXフラグメント(ネイティブもしくは天然に存在するCA IXタンパク質に由来するか、または全長CA IXポリペプチド改変体に由来する)が挙げられる)は、それらが、以下に記述されるようにCA IX炭酸脱水酵素活性を保持する限り、さらに改変され得る。さらなる改変としては、これらに限定されないが、リン酸化、非中性アミノ酸アナログの置換などが挙げられる。本発明の目的上、CA IXポリペプチド改変体は、ネイティブもしくは天然に存在するCA IXタンパク質に対して、少なくとも70%、一般的には、少なくとも75%、80%、85%、好ましくは約90%から95%以上、そしてより好ましくは約98%以上の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有する。ここで、配列同一性は、本明細書中において以下に記述されるように決定される。したがって、例えば、CA IXポリペプチド改変体がヒトCA IXの改変体である場合、このCA IXポリペプチド改変体は、配列番号2のヒトCA IXに対して、少なくとも70%、一般的には、少なくとも75%、80%、85%、好ましくは約90%から95%以上、そしてより好ましくは約98%以上の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有する。さらに、本発明の目的上適切なCA IXポリペプチド改変体は、ヒトCA IXの炭酸脱水酵素ドメイン(すなわち、配列番号2の135〜414残基)に対して、少なくとも70%、一般的には、少なくとも75%、80%、85%、好ましくは約90%から95%以上、そしてより好ましくは約98%以上の配列同一性を共有する、機能的炭酸脱水酵素ドメインを有する。本発明の組成物を調製するのに有用なCA IXタンパク質の改変体は、この改変体の機能的炭酸脱水酵素ドメインが、配列番号2の135〜414残基と少なくとも70%の配列同一性を保持する限り、ネイティブもしくは天然に存在するCA IXタンパク質(例えば、配列番号2のヒトCA IX)と、わずか1〜15アミノ酸残基、わずか1〜10アミノ酸残基(例えば、6〜10アミノ酸残基、)、わずか5アミノ酸残基、わずか4、3、2アミノ酸残基、もしくは1アミノ酸残基のみが、異なり得る。以前に記述されたように、CA IXポリペプチド改変体は、ネイティブCA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性の、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、好ましくは、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、より好ましくは、少なくとも80%の炭酸脱水酵素活性を提供する機能的炭酸脱水酵素ドメインを含有する。
配列の同一性および類似性を算出する方法は、当業者に公知である。例えば、Computer Analysis of Sequence Data,パート1(編)GriffinおよびGriffin(Humana Press,New Jersey,1994),von Heinje(1987)Sequence Analysis in Molecular Biology(Academic Press,New York);ならびにGribskovおよびDevereux(編)(1991)Sequence Analysis Primer(M Stockton Press,New York)を参照のこと。
一般的に、2つのアミノ酸配列のパーセント同一性を決定するため、配列は、最適な比較を目的として整列される。2つの配列のパーセント同一性は、これらの配列によって共有される同一な位置の数の関数(すなわち、パーセント同一性=同一な位置の数/位置の全数(例えば、重複する位置)×100)である。例えば、参照CA IXアミノ酸配列に対して、少なくとも95%「同一」であるアミノ酸配列を有するCA IX改変体ポリペプチドによって、CA IX改変体のポリペプチド配列が参照CA IXアミノ酸配列の各100アミノ酸につき5アミノ酸までの改変を含み得るということを除いて、CA IX改変体ポリペプチドのアミノ酸配列が、参照CA IXポリペプチド配列と同一であるということが意図される。CA IX参照配列のこれらの改変は、参照CA IXポリペプチドの配列のアミノ末端位置もしくはカルボキシ末端位置においてか、またはそれらの末端位置の間の任意の位置(参照CA IXポリペプチドの配列内における残基間で個別にか、もしくは参照CA IX配列内の1つ以上の近接する群としてのいずれかとして、分散される)で生じ得る。
2つの配列の間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて行われ得る。本発明の目的上、パーセント配列同一性は、スミス−ウォーターマンホモロジー検索アルゴリズム(Smith−Waterman homology search algorithm)(ギャップ開始ペナルティ12およびギャップ伸長ペナルティ2、BLOSUMマトリクス62でアフィンギャップ検索を用いる)を用いて決定される。スミス−ウォーターマンホモロジー検索アルゴリズムは、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482−489において教示される。
本発明の組成物を調製するのに有用なCA IXポリペプチド改変体は、アミノ酸置換、欠失、短縮、および挿入によって得られ得る。好ましいCA IXポリペプチド改変体は、配列番号2のポリペプチドの1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する。例えば、保存的アミノ酸置換は、1つ以上のアミノ酸残基において生成され得る。好ましくは、置換は、非本質的なアミノ酸残基において生成され、そして好ましくは、1〜15残基、1〜10残基(1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10残基置換を含む)を含む。
「非本質的」アミノ酸残基は、CA IXタンパク質の野生型配列(例えば、配列番号2の配列)から、その生物学的活性の1つを改変させることなく改変され得る残基であって、ここで、「非本質的」アミノ酸残基は、所定の生物学的活性を必要とする。
「保存的アミノ酸置換」は、そのアミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。例えば、Bowieら、(1990)Science 247:1306(本明細書中において、参考として援用される)を参照のこと。好ましくは、このような置換は、保存的システイン残基(例えば、アミノ末端近接システイン残基)に指向しない。
2つのアミノ酸配列の最適な整列化に関して、改変体アミノ酸配列の近接するセグメントは、参照アミノ酸配列に対して付加的なアミノ酸残基もしくは、欠失したアミノ酸残基を有し得る。参照アミノ酸配列に対する比較に使用される近接するセグメントは、少なくとも20近接アミノ酸残基を含み、そして30アミノ酸残基、40アミノ酸残基、50もしくはそれより多数のアミノ酸残基であり得る。保存的残基置換もしくはギャップに関連する配列同一性の補正が行われ得る(SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482−489において教示されるスミス−ウォーターマンホモロジー検索アルゴリズムを参照のこと)。
本発明の組成物を調製および/またはスクリーニングするのに有用なCA IXポリペプチド改変体は、天然に存在する改変体として単離され得るか、突然変異誘発操作もしくは組み換え操作後単離されるか、または合成的に生成される。天然に存在する対立遺伝子改変体は、周知の分子生物学的技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびハイブリダイゼーション技術)の使用によって同定され得る。このような操作は、一般的に当該分野で公知である。加えて、CA IXタンパク質の改変体は、突然変異誘発操作もしくは組み換え操作によって調製され得る。突然変異誘発およびヌクレオチド配列変更の方法は、当該分野で周知である。例えば、Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492;Kunkelら、(1987)Methods Enzymol.154:367−382;米国特許第4,873,192号;WalkerおよびGaastra(編)(1983)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company,New York)ならびに、それらの引用文献を参照のこと。明らかに、改変体をコードするDNAで引き起こされた突然変異は、リーディングフレームの外の配列に位置してはならず、そして好ましくは、二次mRNA構造をもたらし得る相補的領域を生成しない。欧州特許出願公開第75,444号を参照のこと。目的のタンパク質の生物学的活性に影響しない適切なアミノ酸置換に関する指針は、Dayhoffら、(1978)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,D.C.)(本明細書中で参考として援用される)のモデルにおいて見出し得る。
したがって、アンタゴニスト抗CA IX抗体を調製すること、および他のインヒビターを同定することにおいて有用なCA IXポリペプチドは、天然に存在するタンパク質、ならびにそれらの改変体および改変形態を含む。このような改変体は、所望のCA IX活性(すなわち、炭酸脱水酵素活性)を保持し続け、したがって、これらのインヒビターの特異性は、改変体ポリペプチドに対して試験され得る。本発明の目的上、「CA IXポリペプチド改変体」(CA IXポリペプチドフラグメントを含む)は、ネイティブCA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性の、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、好ましくは少なくとも50%を示す。従って、例えば、配列番号2のCA IXポリペプチドの改変体は、対応する、配列番号2のネイティブCA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性の、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、好ましくは少なくとも50%を示す。より代表的には、改変体は、ネイティブCA IX炭酸脱水酵素活性の、少なくとも60%を示す;さらにより代表的には、改変体は、ネイティブCA IX炭酸脱水酵素活性の、少なくとも80%を示す。
本明細書中で開示されるCA IX阻害性組成物を調製するのに有用なCA IXポリペプチド配列の欠失、挿入、および置換は、特定のCA IXタンパク質の特徴における根本的な変化をもたらすことを予期されない。しかし、それを行うことに先立って、置換、欠失、もしくは挿入の正確な効果を予測することが困難な場合、当業者は、その効果が慣用的なスクリーニングアッセイによって評価されることを理解する。すなわち、炭酸脱水酵素活性は、当業者に公知の標準的アッセイによって評価され得る。例えば、以下の実験のセクションに開示されるアッセイを参照のこと。
CA IXの炭酸脱水酵素活性において本質的な、CA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性に関与するCAドメイン内の特定のアミノ酸は、当該分野で公知の方法によって同定され得る。このような方法としては、アラニン走査突然変異誘発(alanine−scanning mutagenesis)、分子進化(Crameriら、(1996)Nat.Biotechnol.14(3):315−319;Crameriら、(1998)Nature 15:288−291;Pattenら、(1997)Curr.Opin.Biotechnol.8:724−733;Stemmer(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747−51;Stemmer(1994)Nature 370:389−391)、または部位特異的突然変異誘発が挙げられる。Cunninghamら、(1989)Science 244:1081を参照のこと。結果として得られた突然改変体は、生物学的活性を試験され得る。活性に重要な部位は、構造解析(例えば、結晶化、光アフィニティラベリング、もしくは核磁気共鳴)によって決定され得る。deVosら、(1992)Science 255:306、およびSmithら、(1992)J.Mol.Biol.224:899を参照のこと。例えば、配列番号2の226位、228位、および251位に位置する3つのヒスチジン残基は、ヒトCA IXにおけるこの酵素活性に重要であることが知られている。
以下の実施例は、説明のために提供されるが、限定のためではない。
(実験)
(実施例1:Glu標識CA IXの精製手順)
以下の実施例に使用されるヒトCA IXタンパク質のglu標識CAドメイン部分を、バキュロウイルス感染Tn5細胞において可溶性形態で発現させた。分泌されたglu標識CAタンパク質(CA IX−glu)を含有する培地を収集して、−80℃で保存した。CA IX−gluを含有するバキュロウイルス培地を(室温で)解凍して、1mMPMSFを作製した。これを、10kD Minisette(Filtron)膜上において、氷上で6〜7倍に濃縮した。
プロテインG精製モノクローナル抗体を用いて、製造者の使用説明書に従って、Anti Glu−tag Affi−Gel 10(Biorad)アフィニティークロマトグラフィーカラムを予め調製した。4℃で、以下の平衡化緩衝液:PBS/10%グリセロール/1%オクチルグルコシド、中でこのカラムを平衡化させた。濃縮された培地を0.22μM CN膜(Nalgene)上で濾過した。ロイペプチン5μg/mlおよびE−64 10μg/mlを補充したComplete,EDTA−free Protease Inhibitor Cocktail(Roche Diagnostics#1873580)を添加した。この物質を、Anti Glu−tag Affi−Gel 10カラムにロードした。
このカラムを10CVの平衡化緩衝液で洗浄した。次いでこれを、10CVの以下の溶出緩衝液:PBS/10%グリセロール/1%オクチルグルコシド中の、0.1mg/ml EYMPTDペプチド(ResGenによる注文生産(#K0121008))で溶出した。溶出物を、YM−10 Millipore膜上で、PBS/10%グリセロール/1%オクチルグルコシドに対して透析して、溶出されたペプチドを除去し、かつタンパク質を濃縮した。最後に、濃縮された溶出物を0.22μM Millipore(Durapore)膜上で濾過滅菌した。
(実施例2:Glu標識全長CA IXの精製手順)
以下の実施例で使用される、全長の、Glu標識されたヒトCAタンパク質を、バキュロウイルス感染Tn5細胞において内的に発現させた。細胞を収集して、−80℃で保存した。細胞を(室温で)解凍して、以下の溶解緩衝液:ロイペプチン5μg/mlおよびE−64 10μg/ml、を補充したComplete,EDTA−free Protease Inhibitor Cocktail (Roche Diagnostics#1873580)を含有するPBS/10%グリセロール/0.5% Triton−X(pH7.4)で、1/3に希釈した。
次いで、氷上で、ガラスホモジナイザー中で細胞を溶解した。溶解物を、15000×g、4℃で1時間遠心した。溶解物の遠心された上清は、以下のようにさらに処理された。溶解緩衝液で1/3に希釈された溶解物を、上記の溶解緩衝液中において4℃で平衡化された、p−Aminomethyl−benzenesulfonamide Agarose gel matrix(Sigma# A−0796)上に適用した。(溶解緩衝液は、平衡化緩衝液#1である。)このカラムを、10CVの平衡化緩衝液#1で洗浄して、次いで20CVの以下の溶出緩衝液#1:PBS/10%グリセロール/0.1mMアセタゾラミド(Sigma A−9842)、で溶出した。YM−30 Millipore膜上での濃縮の後、この溶出物を、以下の平衡化緩衝液#2:PBS/10%グリセロール/1%オクチルグルコシド(pH7.4)、中でダイアフィルトレーションした。
プロテインG精製モノクローナル抗体を用いて、製造者の使用説明書に従って、Anti Glu−tag Affi−Gel 10(Biorad)アフィニティークロマトグラフィーカラムを予め調製した。4℃で、以下の平衡化緩衝液#2中でこのカラムを平衡化させた。ダイアフィルトレーションされた溶出物を、Anti Glu−tag Affi−Gel 10カラムにロードした。これを10CVの平衡化緩衝液#2で洗浄し、次いで10CVの以下の溶出緩衝液#2:PBS/10%グリセロール/1%オクチルグルコシド中の、1mg/ml EYMPTDペプチド(ResGenによる注文生産(#K0121008))で溶出した。溶出物を、YM−30 Millipore膜上で、PBS/10%グリセロール/1%オクチルグルコシドに対して透析して、溶出されたペプチドを除去し、かつタンパク質を濃縮した。最後に、濃縮された溶出物を0.22μM Millipore(Durapore)膜上で濾過滅菌した。
(実施例3:CA IXの炭酸脱水酵素活性に関するロースループットアッセイ)
以下のロースループットアッセイは、候補試験薬剤を、CA IXの炭酸脱水酵素活性を阻害するその能力に関してスクリーニングするために使用され得る。このアッセイは、全長CA IXタンパク質を用いて、もしくは機能性炭酸脱水酵素ドメインを含む部分長CA IXポリペプチドを用いて行われ得る。CA IXタンパク質は、同様にglu標識され得る。
4×緩衝液を調製し、濾過する:
100mM HEPES、pH7.5
400mM フェノールレッド
400mM NaSO
O中にCOを泡立てる(CO−HO)。
96ウェルUV透過性プレートにおいて:
50μlの4×緩衝液/ウェルを分取する;
25μl/ウェルのCAスタンダード(ウシ炭酸脱水酵素[Sigma])、もしくはPBS中で希釈したCA IX、もしくはPBS中で希釈したglu標識CA IXを添加する;
25μl/ウェルの培地中に希釈された試験サンプル、もしくは培地のみを添加する;
ウェルに、バックグラウンドとして、50μlの4×緩衝液+25μl PBS+25μl培地を加える;
100μl/ウェルのCO−HOを添加することによって、反応を開始する;
混合しながら15分間、動的モード(kinetic mode)で562nmを測定する。
(CAアッセイ(ミニ))
フェノール緩衝液を調製する:
40mM HEPES、4℃でpH8.3
400mMフェノールレッド(組織培養グレード)
終濃度40mM HEPES中にmAbsを再調合する(25μlサンプル/ウェルを要する)。
氷上で、最低30分間、HO中にCOを泡立てる(「CO−HO」)。
マフェナイドを40mM HEPES中に50mg/mlまで再懸濁する(=203mM)(新たに調製しなければならない)。
サンプルを40mM HEPESで希釈する:
ネガティブコントロールとして、サンプルの1つをモノクローナル抗体M75とする(阻害しないはず)
ポジティブコントロールとして、サンプルの1つを200μMマフェナイド(最終50μM)とする(阻害するはず)
フェノール緩衝液でCA−gluを80nMに希釈する(最終20nM)。
等量の希釈されたCA−gluをサンプルに添加する(1:2希釈)。
氷上で20分間、脱気する。
96ウェルUV Starプレートを氷上でインキュベート。
リーダーを、560nm、途中で3秒の振とうを伴う5分間の動的読み取り(kinetic read)にセットアップ。
50μlのサンプルを氷上でウェルに分取する。
容器にCO−HOを流す。
プレートリーダー制御部で「Read」をクリックし、カウントを開始する。
プレートリーダーの扉を閉める前に、CO−HO(50μl/ウェル)を添加する。
プレートを読む。
アッセイの詳細:
実行ごとに12ウェルまでの試験が可能
全ての実行に、「CA−gluなし」および「CA−gluあり」のコントロールを含める必要がある
各サンプルは、三つ組もしくは四つ組で試験すべきである
(CAアッセイ(マクロ/ミディ))
緩衝液を調製する:
40mM HEPES、4℃でpH8.3
40mM HEPES緩衝液中にmAbsを再調合する。
HEPES緩衝液中でCA−gluを80nMに希釈する(最終20nM)。
マフェナイドを40mM HEPES中に50mg/mlまで再懸濁する(=203mM)(新たに調製しなければならない)。
サンプルを40mM HEPESで希釈する:
サンプルとして、モノクローナル抗体M75を加える(阻害しないはず)
サンプルとして、200μMマフェナイド(最終50μM)を加える(阻害するはず)
Abもしくはマフェナイドを含有しない(HEPESのみの)サンプルを加えて、酸性化の自発性の速度を決定する
氷上で、サンプルとCA−gluとを1:1で混合する。
CA−gluを含有しないコントロールセットを加える。
氷上で20分間、脱気する。
氷上で、最低30分間、HO中にCOを泡立てる。
氷上で、等量のCO飽和水をCA−glu/mAbサンプルに添加する。
直ちにpHのモニタリングを開始する。10秒ごとに、pHをモニタリングして、pH対時間を図に示す。
予期される結果:
酵素を含有しないコントロールセットは、アッセイの時間に渡って、pHの変化を示さないはずである。
アイソタイプコントロールセットおよびM75セットは、自発性酸化サンプル(水+酵素のみ;Absもしくはインヒビターを含まない)と比較して、酸性化動態の変化を示さないはずである。
マフェナイドサンプルは、酸性化の速度を阻害(低下)させるはずである。
(実施例4:CA IX炭酸脱水酵素活性に関するハイスループットアッセイ)
以下のハイスループットアッセイは、候補試験薬剤を、CA IXの炭酸脱水酵素活性を阻害するその能力に関してスクリーニングするために使用され得る。glu標識CA IX(CA IX−glu)は、上記の実施例に記述されるように精製される。ロースループットアッセイと同様に、全長CA IXタンパク質、もしくは機能性炭酸脱水酵素ドメインを含む部分長CA IXポリペプチドが使用され得る。この反応に使用される基質は、フルオレセインジアセテート(FDA)(カタログ#F−103、Molecular Probesから入手可能)である。基準のスタンダードは、アセタゾラミド(カタログ#A−9842、Sigma Chemicalsから入手可能)である。アッセイの緩衝液は、50mM MES(pH6.5)、0.05%Tween−20、0.1mM EDTAである。
(プロトコール)
以下のアッセイは、384ウェルブラックポリペプチドプレート中で実行される。
1)100%ジメチルスルホキシド中の試験サンプル1.25μlを、各ウェルに添加する。
2)アッセイ緩衝液中で、CA IX−glu酵素ストックを83.3nMに希釈する。30μlの希釈酵素ストックを各ウェルに添加する。混合する。バックグラウンドウェルに対して、30μlのアッセイ緩衝液(酵素なし)を加える。
3)アッセイ緩衝液中で、FDA基質ストックを62.5μMに希釈する。20μlの希釈基質ストックを各ウェルに添加する。混合する。
4)室温で2時間、インキュベートする。
5)励起=485nm、放出=520nmで蛍光を読む。
(実施例5:炭酸脱水酵素の阻害の検出に関する軟寒天(Soft Agar)アッセイ)
以下のプロトコールは、候補インヒビターを、CA IXの炭酸脱水酵素活性を阻害するその能力に関して試験するために使用され得る。
1)非組織培養用96ウェルプレートの各ウェルを、1.2%ポリ(HEMA)でコーティングする。コーティングが乾燥した後、プレートを滅菌する。
2)96ウェルプレートに、100μl中350〜500細胞/ウェルの密度で、細胞をプレートする。所望する場合、平板培養に先立って細胞を抗体とともにプレインキュベートし、阻害活性に関して試験し得る。
3)300μlの融解したノーブル寒天(60℃)を840μlの培地(37℃)に加えて、混合する。
4)50μlの混合物を各ウェルに分配し(1つの列のウェルに同時に行う)、そして混合して、寒天中に細胞の均一な懸濁液を作製する。
5)室温で10〜15分間、寒天を凝固させる
6)100μl/ウェルの培地で寒天を覆い、37℃で7〜14日間(細胞がどのくらい速く増殖するかに依存する)、プレートをインキュベートする、所望する場合、阻害活性に関して試験されるべき化学成分もしくは抗体を、培地に加え得る。
7)7〜14日後、20μlのアラマーブルー(Alamar Blue)を各ウェルに添加し、プレートを、室温で10〜15分間、ゆっくりと振とうさせる。
8)プレートをインキュベーターに戻し、インキュベーション期間の初期の毎時間、モニタリングする。
9)アラマーブルーは、細胞によって代謝され、時間とともに減少する。
10)アラマー色素の減少を、励起530nm、放出590nmで読み、細胞増殖の指標として、蛍光団を使用する。
(実施例6:炭酸脱水酵素活性は、形質転換された表現型に寄与するCA IXの能力に必要とされる)
この研究の第一の目的は、ヒトCA IXのプロテオググリカン様(PG)ドメイン(配列番号2の38〜134残基)のみ、またはヒトCA IXの炭酸脱水酵素(CA)ドメイン(135〜414残基)のみの発現で、NIH−3T3細胞へ形質転換された表現型をもたらすのに十分であるかどうかを決定することである。CAドメインのみで十分であると確認された場合、第二の目的は、NIH−3T3細胞へ形質転換された表現型をもたらすのに、酵素活性が必要とされるかどうかを決定することである。
全長ヒトCA IX(配列番号1にコードされる配列番号2)をコードするcDNA発現構築物、ヒトCA IXのPGドメイン(配列番号2の38−134残基)、ヒトCA IXのCAドメイン(配列番号2の135−414残基)、または炭酸脱水酵素活性を抑制する突然変異を有するCA IXのCAドメイン(配列番号2の38−134残基)を作製し、NIH3T3細胞へトランスフェクトした。完全な構築物は、以下の通りである:
全長CA IX構築物(CA−full)。この構築物は、全長ヒトCA IXをコードした。コードし、そして翻訳されるポリペプチド配列を、それぞれ、配列番号1および配列番号2に示す。
プロテオググリカン様(PG)ドメイン構築物(CA−PG)。この構築物は、シグナルペプチド(配列番号2の1〜37残基)、PGドメイン(配列番号2の38〜131残基;これは配列番号2のPGドメインのほとんどを含み、かつPGドメインの機能性領域全体(すなわち、配列番号2の53〜111残基)を含む)、トリペプチドセリンリンカー(技術的理由のために含まれる)、膜貫通ドメイン(配列番号2の415〜433残基)、および細胞内もしくは細胞質内ドメイン(配列番号2の434〜459残基)をコードした。コードし、そして翻訳されるポリペプチド配列を、それぞれ、配列番号3および配列番号4に示す。
炭酸脱水酵素(CA)ドメイン構築物(CA−CAH)。この構築物は、シグナルペプチド(配列番号2の1〜37残基)、CAドメイン(配列番号2の135〜414残基)、膜貫通ドメイン(配列番号2の415〜433残基)、および細胞内もしくは細胞質内ドメイン(配列番号2の434〜459残基)をコードした。コードし、そして翻訳されるポリペプチド配列を、それぞれ、配列番号5および配列番号6に示す。
Glu標識CAドメイン構築物(CA−CAHglu)。この構築物は、シグナルペプチド(配列番号2の1〜37残基)、PGドメインの非機能性領域(配列番号2の38〜45残基)由来の一連の短い残基、単一アラニンリンカー(技術的理由のために含まれる)、配列番号2の47残基(PGドメインの非機能性領域由来)、glu標識(EYMPME)、PGドメインの非機能性領域(配列番号2の128〜134残基)由来の、一連の短い残基、CAドメイン(配列番号2の134〜414残基)、膜貫通ドメイン(配列番号2の415〜433残基)、および細胞内もしくは細胞質内ドメイン(配列番号2の434〜459残基)をコードした。コードし、そして翻訳されるポリペプチド配列を、それぞれ、配列番号7および配列番号8に示す。
Glu標識変異体CAドメイン構築物(CA−CAHglumut)。この構築物は、炭酸脱水酵素活性に必須な3つのヒスチジン残基(すなわち、配列番号2の226、228、および251残基)が3つのグルタミン残基に突然変異されていることを除いて、Glu標識CAドメイン構築物と同じアミノ酸配列をコードした。コードし、そして翻訳されるポリペプチド配列を、それぞれ、配列番号9および配列番号10に示す。
次いで、これらのトランスフェクトされた細胞、トランスフェクトされていないネガティブコントロール細胞株、およびsrc−トランスフェクトされたポジティブコントロール細胞株を、実施例5で記載した軟寒天アッセイを用いて軟寒天中で増殖する、それらの能力に関して試験した。結果を下記の表1に示す。
この結果は、全長CA IXが、軟寒天中で増殖する能力(形質転換された表現型)をNIH−3T3細胞にもたらすことを確証する。これらの結果は、CA IXの炭酸脱水酵素ドメインのみで、この形質転換された表現型(軟寒天中で増殖する能力)をもたらすのに十分であること、一方で、プロテオグリカン様(PG)ドメインのみでは十分ではないことを、さらに示す。さらに、炭酸脱水酵素活性を欠損するように操作されたCAドメインの突然改変体は、トランスフェクトされたNIH−3T3細胞において、形質転換された表現型をもたらさない。このことは、CAドメインの発現に加えて、炭酸脱水酵素活性もまた、形質転換された表現型をもたらすのに必要であることを示唆する。
これらの結果は、CA IXの炭酸脱水酵素活性を標的することが、治療的に有益である可能性があることを示す。したがって、タンパク質ベースの治療剤(例えば、CA IX炭酸脱水酵素活性を阻害する抗体)、もしくはCA IX炭酸脱水酵素活性を阻害する低分子ベースの治療剤は、CA IXを発現する癌に対する有効な治療剤であり得る。
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(実施例7:CA IXのCAドメインに対する抗体を検出するためのELISA試験)
ELISA試験に使用された抗原は、ヒトCA IXのCAドメイン部分を表現するglu標識組み換えタンパク質(「CA−glu」タンパク質)であり、これを、実施例1に記載されるように単離した。CA−gluタンパク質を、1μg/mlの濃度でリン酸緩衝液(PBS)に懸濁し、そしてこの溶液100μl/ウェルを96ウェル平底プレート(Immulon 4HBX)中に分配した。このプレートを4℃で一晩インキュベーションした後、このタンパク質溶液を除去し、ウェルをPBST(PBS+0.05% Tween−20)で洗浄した。このウェルに、200μl/ウェルのブロッキング緩衝液(PBS+0.01% Tween−20中の3% Carnation脱脂粉乳)を加え、そしてプレートを、室温で1〜2時間インキュベートした。ウェルを、PBSTで再度洗浄し、次いで、各ウェルに、抗体、もしくは試験されるべきハイブリドーマ上清を含有する溶液100μlを加えた。ハイブリドーマ上清の場合は、この溶液は、ブロッキング緩衝液によって100μlの最終容量に調製された上清、5〜50μlから構成された。プレートを、室温で1時間インキュベートした後、ウェルをPBSTで洗浄した。各ウェルに、100μlの2次抗体溶液(西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウスIgG(γ);Zymed #61−6020;ブロッキング緩衝液中で1:4000に希釈)を加え、そしてプレートを、室温で0.5〜1時間インキュベートした。PBSTによるウェルの最終洗浄の後、100μl/ウェルのODPペルオキシダーゼ基質(Sigma #P−9187;製造者の使用説明書に従って調製)を添加し、そしてプレートを、室温で5〜30分間インキュベートして、発色させた。ペルオキシダーゼ反応を、50μl/ウェルの4M HSOの添加によって停止させ、そして各ウェルの反応を、490nmでの吸光度−540nmでの吸光度として定量した。
(実施例8:細胞表面CA IXに対する抗体応答性を検出するための、蛍光標示式細胞分取(FACS)アッセイ)
CAドメインが、細胞表面上のネイティブ分子の一部として存在した場合に、CA−glu抗体がCAドメインに結合し得るかどうかを決定するため、蛍光標示式細胞分取を行った。このアッセイに利用された細胞型は、ヒト結腸直腸腺癌に由来する、HT29細胞株(ATCC #HTB−38)であった。このアッセイのため、この細胞を、およそ30分環の3mM EDTA処理によって組織培養プレートから剥離した。細胞を遠心分離によって回収し、次いで、冷えたインキュベーション緩衝液(1%ウシ血清アルブミン含有PBS9に再懸濁した。試験されるべき抗体もしくはハイブリドーマ上清と2〜5×10細胞とを冷えたインキュベーション緩衝液(最終容量100μl)中で混合した。ネガティブコントロールとして、細胞を10μg/mlの非特異的マウスIgG2bと混合した;ポジティブコントロールとして、細胞を10μg/mlの抗CA IXモノクローナル抗体M75と混合した(Pastorekovaら、(1992)Virology 187:620−626)。4℃で30分間のインキュベーションの後、細胞を遠心分離によって回収し、冷えたインキュベーション緩衝液で3回洗浄し、そして検出抗体(フィコエリトリンと結合したヤギ抗マウスIgG抗体;CALTAG M30004−4;冷えたインキュベーション緩衝液100μl/細胞サンプル中に0.2μg)と混合した。細胞を2次抗体とともに4℃で30分間インキュベートした後、細胞を、遠心分離によって再度回収して、冷えたインキュベーション緩衝液で3回洗浄した。各細胞サンプルを、0.5μl/サンプルのヨウ化プロピジウム溶液(Roche #1 348 639)を含有するインキュベーション緩衝液300〜500μl中に再懸濁した。次いで、このサンプルを、FACScaliber FACS装置(Becton Dickinson)を利用して分析した。
(実施例9:ハイブリドーマの産生)
始めに、雌BALB/cマウスを、全長組み換えヒトCA IXを発現する細胞によって免疫した。免疫化のための細胞を産生するため、Tn5昆虫細胞を、ヒトCA IXタンパク質をコードする組み換えバキュロウイルスに感染させ、この細胞を、遠心分離によって回収し、そしてPBS中に再懸濁し、最終濃度を5×10細胞/mlとした。細胞懸濁液を、等量のフロイント不完全アジュバント(Sigma,F−5506)で乳化し、0.2mlの乳濁液を、各マウスの腹腔内に注入した。次いで、このマウスを、30μg/マウスの組み換えCA−gluタンパク質の腹腔内注入によって、2〜3週毎に追加免疫した。最初の追加免疫のために、注入前に、CA−gluタンパク質を、等量のフロイント不完全アジュバント(Sigma,F−5881)で乳化した。続く全ての腹腔内免疫において、このタンパク質を、注入前に、CA−gluタンパク質を、フロイント不完全アジュバントで乳化した。各追加免疫の8日後、各動物から血液を収集し、この血液サンプルから血清を生成し、そして、実施例7に記載されたELISAを用いて、CA−gluタンパク質を認識する抗体のレベル(力価)に関して、この血清を試験した。
3回目の追加免疫後にCA−gluに対して最も高い血清力価を有するマウスに、10pgのCA−gluタンパク質の最終追加免疫を与えた。この追加免疫のため、このタンパク質を、PBS中の懸濁液として尾静脈中に静脈内注入した。3日後、このマウスを屠殺し、脾臓を摘出した。脾細胞を単離して、Sp2/0骨髄腫細胞と融合させ、そしてこの融合混合物を、ハイブリドーマの増殖に選択的な条件下で、96ウェルプレート中で平板培養した。ウェル由来のならし培地を、抗CA IX抗体の存在下で、実施例7に記載されたを用いてスクリーニングした。ELISAのコントロールウェルには、ハイブリドーマ上清ではなく非特異的マウスIgG2b(アッセイバックグラウンドのためのネガティブコントロール)か、または抗CA−glu抗体を含有することが以前に示されたハイブリドーマ上清(ポジティブコントロール)のいずれかを加えた。またハイブリドーマ上清を、実施例8に記載されたFACSプロトコールを用いてアッセイした。
(実施例10:ヒトCA IXの抗原性領域の分析)
全長ヒトCA IXタンパク質および炭酸脱水酵素ドメイン(すなわち、配列番号2の135〜414残基)を、Vector NTIのBioannotatorプログラム(例えば、InforMaxから入手可能なVector TI Advance(VNTI Suite 8.0))を用いて、抗原性領域分析に供した。両配列の抗原性プロットは、炭酸脱水酵素ドメイン内の抗原性領域を予測した。ここで、抗原性の28残基領域は、配列番号2の229〜256残基に対応する(データは示さない)。
本明細書中に記述された全ての刊行物および特許出願は、この発明が関与する当業者のレベルを示す。全ての刊行物および特許出願は、各個別の刊行物もしくは特許出願が、具体的かつ個別に参考として援用されることを示すかのようであると同程度に、本明細書中において参考として援用される。
上記の発明は、理解を明確にする目的で、説明および実施例によってある程度詳しく記載されたが、本発明の範囲内においてある程度の変化および改変が行われ得ることは、明らかである。
図1は、無細胞高処理スクリーニングアッセイにおける、CA IXの炭酸脱水酵素活性を検出するために使用されるフルオレセインジアセテートアッセイを示す。
【配列表】
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Claims (40)

  1. CA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性を阻害可能な薬剤を同定する方法であって、該薬剤は、アンタゴニスト抗CA IX抗体、該アンタゴニスト抗CA IX抗体の抗原結合フラグメント、ペプチド、ペプトイド、および有機低分子からなる群から選択され、該方法は、以下:
    a)炭酸脱水酵素活性を検出するために適切な条件下で、試験されるべき薬剤を該CA IXポリペプチドを発現する細胞と合わせる工程;および
    b)該薬剤の、該炭酸脱水酵素活性を阻害する能力を評価する工程であって、これにより、該炭酸脱水酵素活性の該薬剤による阻害が、該薬剤がインヒビターであることを表す、工程、
    を、包含する、方法。
  2. 前記薬剤が、アンタゴニスト抗CA IX抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって、前記抗CA IX抗体またはその前記抗原結合フラグメントが、前記CA IXポリペプチドの阻害性エピトープと特異的に反応して抗体抗原複合体を形成し、これにより、該複合体の形成が、該CA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性の阻害をもたらす、方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、前記阻害性エピトープが、前記CA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素ドメインの連続するアミノ酸残基を含む阻害性エピトープ、該炭酸脱水酵素ドメインの不連続なアミノ酸残基を含む阻害性エピトープ、ならびに該炭酸脱水酵素ドメインの連続するアミノ酸残基および不連続なアミノ酸残基の両方を含む阻害性エピトープからなる群から選択される、方法。
  5. 前記哺乳動物が、ヒトであり、前記CA IXポリペプチドが、配列番号2のヒトCA IXであり、前記炭酸脱水酵素ドメインが、配列番号2のアミノ酸残基135〜414によって表される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記阻害性エピトープが、配列番号2の残基226、228および251からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸残基を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記阻害性エピトープが、配列番号2の残基220〜260からなる群から選択される、少なくとも5つの連続するアミノ酸残基を含む、請求項5に記載の方法。
  8. 前記阻害性エピトープが、配列番号2の残基226、228および251からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸残基を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記抗CA IX抗体が、ヒト抗CA IXモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項3に記載の方法。
  10. 前記抗CA IX抗体が、ヒト化抗CA IXモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項3に記載の方法。
  11. 前記抗CA IX抗体が、またはその抗原結合フラグメントが、それらに結合する、細胞毒素、治療剤、または放射活性金属イオンをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  12. 前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、単鎖Fvフラグメントからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  13. 哺乳動物において、新生物細胞の増殖を阻害する方法であって、該新生物細胞は、CA IXタンパク質の発現によって特徴付けられ、該方法は、該哺乳動物に、治療的有効用量の、該CA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性を阻害する薬剤を投与する工程を包含し、ここで、該薬剤は、請求項1に記載の方法によって同定される、方法。
  14. 前記CA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性を阻害する前記薬剤が、組換えCHO細胞または組換え骨髄腫細胞によって産生される抗体である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記骨髄腫細胞が、Sp2骨髄腫細胞またはNS0骨髄腫細胞である、請求項14に記載の方法。
  16. 機能的炭酸脱水酵素ドメインを有する、CA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性を阻害する薬剤を同定する方法であって、該方法は、以下:
    a)炭酸脱水酵素活性を検出するために適切な条件下で、試験されるべき薬剤を該CA IXポリペプチドを発現する細胞と結合させる工程;および
    b)該薬剤の、該炭酸脱水酵素活性を阻害する能力を評価する工程であって、これにより、該炭酸脱水酵素活性の該薬剤による阻害が、該薬剤がインヒビターであることを表す、工程、
    を、包含する、方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、前記CA IXポリペプチドは、以下:
    a)配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するヒトCA IX;
    b)配列番号2の残基135〜414に示されるポリペプチド;
    c)炭酸脱水酵素活性を有するポリペプチドであって、該ポリペプチドはヒトCA IXのフラグメントを含み、該フラグメントは機能的炭酸脱水酵素ドメインを含み、ここで、該炭酸脱水ドメインは、配列番号2の残基135〜414と少なくとも70%の配列同一性を共有する、ポリペプチド;ならびに
    d)配列番号2のヒトCA IXのポリペプチド改変体であって、該ポリペプチド改変体は、配列番号2と少なくとも70%の配列同一性を共有し、該ポリペプチド改変体は、機能的炭酸脱水酵素ドメインを有し、ここで、該炭酸脱水酵素ドメインは、配列番号2の残基135〜414と少なくとも70%の配列同一性を共有する、ポリペプチド改変体、
    からなる群から選択される、方法。
  18. 前記フラグメントが、配列番号2の残基135〜414と少なくとも80%の配列同一性を共有する機能的炭酸脱水酵素ドメインを含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記フラグメントが、配列番号2の残基135〜414と少なくとも90%の配列同一性を共有する機能的炭酸脱水酵素ドメインを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記フラグメントが、配列番号2の残基135〜414と少なくとも95%の配列同一性を共有する機能的炭酸脱水酵素ドメインを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記ポリペプチド改変体が、配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を共有し、ここで、前記炭酸脱水酵素ドメインが、配列番号2の残基135〜414と少なくとも80%の配列同一性を共有する、請求項17に記載の方法。
  22. 前記ポリペプチド改変体が、配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を共有し、ここで、前記炭酸脱水酵素ドメインが、配列番号2の残基135〜414と少なくとも90%の配列同一性を共有する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記ポリペプチド改変体が、配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を共有し、ここで、前記炭酸脱水酵素ドメインが、配列番号2の残基135〜414と少なくとも95%の配列同一性を共有する、請求項22に記載の方法。
  24. 前記細胞が、COS、チャイニーズハムスター卵巣、NIH−3T3、293、およびこれらの誘導体からなる群から選択される宿主細胞である、請求項16に記載の方法。
  25. 前記細胞が、前記CA IXを天然に発現する細胞株または組織の細胞である、請求項16に記載の方法。
  26. 前記薬剤の炭酸脱水酵素活性を阻害する前記能力が、軟寒天アッセイを使用して検出される、請求項16に記載の方法。
  27. 請求項16に記載の方法に従って同定されているCA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性のインヒビターであって、ここで、該インヒビターが、ペプチド、ペプトイド、および有機低分子からなる群から選択される、インヒビター。
  28. 哺乳動物において新生物細胞の増殖を阻害するための方法であって、該新生物細胞は、CA IXタンパク質の発現によって特徴付けられ、該方法は、該哺乳動物に、治療的有効用量の、該CA IXタンパク質の炭酸脱水酵素を阻害する薬剤を投与する工程を包含し、ここで、該薬剤は、請求項16に記載の方法によって同定される、方法。
  29. CA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性を阻害可能な薬剤を含有する組成物であって、該薬剤は、アンタゴニスト抗CA IX抗体、該アンタゴニスト抗CA IX抗体の抗原結合フラグメント、ペプチド、ペプトイド、および有機低分子からなる群から選択され、ここで、該薬剤は、該炭酸脱水酵素活性を検出するために適切な条件下で、試験されるべき薬剤を、該CA IXポリペプチドを発現する細胞と合わせる工程;および、該薬剤の、該炭酸脱水酵素活性を阻害する能力を評価する工程であって、これにより、該薬剤による該炭酸脱水酵素活性の阻害が、該薬剤がインヒビターであることを表す工程、によって同定される、組成物。
  30. 前記組成物が、薬学的組成物である、請求項29に記載の組成物。
  31. 薬学的に受容可能なキャリアをさらに含有する、請求項30に記載の組成物。
  32. 哺乳動物において、新生物細胞の増殖を阻害する方法であって、該新生物細胞は、CA IXタンパク質の発現によって特徴付けられ、該方法は、該哺乳動物に、治療的有効量の請求項29の組成物を投与する工程を包含する、方法。
  33. 本質的に配列番号2のアミノ酸残基135〜414からなる、ポリペプチド。
  34. CA IXタンパク質の発現によって特徴付けられる新生物を有する被験体を処置する、改善された方法であって、該方法は、治療的有効量の薬学的薬剤を該被験体に投与する工程を包含し、ここで、該改善は、該薬学的薬剤が、該CA IXタンパク質の炭酸脱水酵素活性を阻害する薬剤を含む改善であり、ここで、該薬剤は、請求項1に記載の方法によって同定される、方法。
  35. 前記薬剤が、モノクローナル抗体である、請求項34に記載の方法。
  36. 機能的炭酸脱水酵素ドメインを含むヒトCA IXまたはその生物学的に活性な改変体の炭酸脱水酵素活性を阻害するモノクローナル抗体であって、該機能的炭酸脱水酵素ドメインは、配列番号2の残基229〜256に相同である残基の領域を含み、ここで、該抗体は、該ヒトCA IXの阻害性エピトープまたは該その生物学的に活性な改変体の該阻害性エピトープと特異的に反応して抗体抗原複合体を形成し、ここで、該複合体の形成は、該炭酸脱水酵素活性の阻害をもたらし、ここで、該ヒトCA IXの該阻害性エピトープは、配列番号2の残基229〜256の少なくとも1つを含み、ここで、該その生物学的に活性な改変体の該阻害性エピトープは、配列番号2の残基229〜256と相同な少なくとも1つの残基の領域を含む、モノクローナル抗体。
  37. 請求項36に記載のモノクローナル抗体であって、前記ヒトCA IXの前記阻害性エピトープが、配列番号2の残基229〜256の少なくとも2つを含むが、配列番号2の残基229〜256の28未満しか含まない、モノクローナル抗体。
  38. 請求項36に記載の抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
  39. CA IXポリペプチドの炭酸脱水酵素活性を阻害する能力について、抗体をアッセイする方法であって、該方法は、以下:
    a)炭酸脱水酵素活性を検出するために適切な条件下で、試験されるべき抗体を該CA IXポリペプチドを発現する細胞と合わせる工程;および
    b)該抗体の、該炭酸脱水酵素活性を阻害する能力を評価する工程であって、これにより、該炭酸脱水酵素活性の該抗体による阻害が、該抗体がインヒビターであることを表す、工程、
    を、包含する、方法。
  40. 前記抗体が、既存の抗体である、請求項39に記載の方法。
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