JP2005534043A - タンパク質相互作用相違マッピング - Google Patents

タンパク質相互作用相違マッピング Download PDF

Info

Publication number
JP2005534043A
JP2005534043A JP2005505549A JP2005505549A JP2005534043A JP 2005534043 A JP2005534043 A JP 2005534043A JP 2005505549 A JP2005505549 A JP 2005505549A JP 2005505549 A JP2005505549 A JP 2005505549A JP 2005534043 A JP2005534043 A JP 2005534043A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
complex
sample
component
elution
probe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005505549A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4587954B2 (ja
Inventor
ウィリアム リッチ,
エジスト ボシェッティ,
リー オー. ロマス,
タイ−トゥン イップ,
Original Assignee
サイファージェン バイオシステムズ インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by サイファージェン バイオシステムズ インコーポレイテッド filed Critical サイファージェン バイオシステムズ インコーポレイテッド
Publication of JP2005534043A publication Critical patent/JP2005534043A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4587954B2 publication Critical patent/JP4587954B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C40COMBINATORIAL TECHNOLOGY
    • C40BCOMBINATORIAL CHEMISTRY; LIBRARIES, e.g. CHEMICAL LIBRARIES
    • C40B30/00Methods of screening libraries
    • C40B30/04Methods of screening libraries by measuring the ability to specifically bind a target molecule, e.g. antibody-antigen binding, receptor-ligand binding
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/543Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals
    • G01N33/54306Solid-phase reaction mechanisms
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6803General methods of protein analysis not limited to specific proteins or families of proteins

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

本発明は、多成分生物学的複合体の成分間における相互作用特性のマッピングのための方法と材料を提供する。前記方法は、固体支持体上で多成分複合体を捕捉し、溶質濃度の勾配を形成する一連の溶出洗浄で前記支持体を洗浄し、特定の溶出洗浄が特定の成分を溶出するどうかを測定するステップを含む。本発明は、多成分の生物学的複合体成分間における相互作用を評価するため、および特に異なる試料間の成分の相互作用における相違を検出するための方法および物品を提供する。

Description

(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2002年7月24日に出願された米国仮特許出願第60/398,641号および2003年2月6日に出願された米国仮特許出願第60/445,536号に関連したものである。
(連邦政府後援の研究開発によってなされた本発明に対する権利に関する声明)
適用不可
(発明の分野)
本発明は、質量分析法の分野に関し、特に保持クロマトグラフィーと質量分析技術との組み合わせとを利用したタンパク質構造分析の分野に関する。
(背景)
タンパク質−タンパク質相互作用は、タンパク質がその(1つまたは複数の)機能を発揮する重要な手段である。現在、タンパク質−タンパク質相互作用検出法がいくつか存在している。これらのうち、免疫共沈降(HarlowおよびLane、1988年、抗体、実験マニュアル、Cold Spring Harbor Laboratory)、酵母2−ハイブリッドスクリーンニング(FieldsおよびSong、1989年、Nature,340:245−246)、およびファージディスプレイライブラリースクリーニング(Smith、1985年、Science 228:13 15−1317)が、最も一般に使用されている。しかしながら、これらの方法には重大な制限がある。免疫共沈降では、目的とするタンパク質が、ビーズ上に固定化されたそれ自身の抗体により沈降する可能性がある。目的とするタンパク質と共免疫共沈降を起こす他の任意のタンパク質では、該タンパク質が既知の場合はその抗体によりブロッティングを行うか、または該タンパク質が新規なタンパク質である場合は精製と配列決定とにより同定することが可能である。しかしながら、この方法はタンパク質−タンパク質相互作用の大規模スクリーニングには適用することができない。
酵母2−ハイブリッドスクリーンニングは、タンパク質−タンパク質相互作用を検出するために近年開発された技術である。単一酵母2−ハイブリッドスクリーンニング分析では相互作用を起こしている多くのタンパク質を検出可能であるが、偽陽性と偽陰性結果を示す傾向がある。また、多くのタンパク質−タンパク質相互作用は、追加の細胞性因子の存在下、または翻訳後改変の後にのみ生じるが、これらは酵母には存在しない場合もある。したがって、酵母2−ハイブリッドスクリーンニングでは、哺乳類細胞でのみ起こる多くの重要なタンパク質−タンパク質相互作用を同定し損なう。タンパク質−タンパク質相互作用のファージディスプレイスクリーニングも同様な制限を受ける。
したがって、基礎研究および臨床医学の両者において、特に高い処理能力を有する手法で、多数のタンパク質とそれらの相互作用とを迅速かつ詳細に分析可能な改善された手法が必要とされている。このような手法は、異なる細胞型、または異なる生理学的もしくは病理学的状態下での同じ細胞型におけるタンパク質発現、タンパク質翻訳後改変、およびタンパク質−タンパク質相互作用の全般的なパターンをモニタリングする場合に極めて有用である。
(発明の要旨)
本発明は、多成分の生物学的複合体成分間における相互作用を評価するため、および特に異なる試料間の成分の相互作用における相違を検出するための方法および物品を提供する。この方法は、ビーズあるいはバイオチップなどの1つの固体支持体上に、成分の1つを通して、特に生体特異性親和性試薬を用いることにより多成分の生物学的複合体を捕捉する過程を含む。その後、この複合体を一連のストリンジェンシーを変化させた(例えば増加させた)緩衝液で洗浄する。この一連の洗浄は、洗浄溶液内における溶質の濃度が増加または減少することを特徴とする勾配を形成する。この洗浄溶液を回収する。その後、洗浄液について任意の洗浄溶液により複合体の成分の1つが洗い落とされたかどうかを測定するために試験される。1つの試料対別の試料で、ストリンジェンシーの異なる洗浄により1つの成分が洗い落とされた場合は、複合体におけるこの成分と別の成分との間の相互作用はこの2試料で異なっていることを示す。同様に、この複合体をストリンジェンシーを増加させた一連の緩衝液で洗浄した後に、該複合体の保持された成分を直接検出できる。1つの試料対別の試料で、同様なストリンジェンシーの洗浄後、複合体の残留成分が異なる場合は、この複合体内の相互作用がこの2試料で異なっていることを示す。
したがって、第1の態様において、本発明は、試料の少なくとも1つの多成分生物学的複合体における成分間の相互作用のプロファイルを作成するための方法であって、この方法は、各複合体について、以下のステップを包含する:(a)試料よりアリコートを提供するステップであって、アリコートが生体特異性親和性分子を介して固体支持体上に固定化された試料由来の多成分生物学的複合体を含み、親和性分子が複合体の第1の成分と結合し、未結合の物質が固体支持体から除去されるステップ;(b)溶出洗浄の第1系列により固定化された複合体を洗浄するステップであって、系列での各溶出洗浄における第1の溶質の濃度が増加または減少する濃度勾配を形成するステップ;および(c)連続的な溶出洗浄で第2の成分を測定するステップであって、それによって試料からの複合体のプロファイルが溶出洗浄からの測定値を含むステップ。一実施態様において、本方法はステップ(b)の後で、生体特異性親和性分子を介して支持体上に依然固定化されている複合体の成分を測定するステップであって、それによってプロファイルが複合体の測定値をさらに含むステップを包含する。
一実施態様において、試料は、組織抽出物、細胞抽出物、血液、尿、リンパ液、インビトロタンパク質発現媒質、およびその派生物よりなる群から選択される。別の実施態様において、少なくとも1つの複合体は、1つの複合体または複数の複合体であり、各々は生体特的親和性試薬を介して結合している。別の実施態様において、親和性分子は複合体と結合する前に固体支持体に固定化さる。別の実施態様において、親和性分子は抗体、単一鎖抗体、抗体の特異的結合フラグメント、アフィボディ、酵素、酵素基質、受容体、受容体リガンド、薬剤、核酸、またはアプタマーから選択される。別の実施態様において、親和性分子は複合体と結合した後に固体支持体に結合される。別の実施態様において、固体支持体はクロマトグラフィー樹脂である。別の実施態様において、洗浄はマイクロタイタープレート、フロースルーカラム、またはフロースルーマイクロカラムなどのフロースルーデバイス中で行われる。別の実施態様においては、洗浄はクローズドボトムドマイクロタイタープレートなどの非フロースルーデバイス中で行われる。別の実施態様において、固体支持体はプローブの表面に付着した複合体を捕捉するための生体特異的捕捉試薬を含むSELDIプローブである。別の実施態様においては、第1の洗浄で非結合材料が除去される。
別の実施態様において、溶質は、イオン(例えば、水素イオン、金属イオン、無機原子もしくは分子のイオン、または有機分子のイオン)、塩、洗浄剤、有機分子または溶媒(例えば、グリセロール、アセトニトリル、トリエタノールアミン、メルカプトエタノール、ヘキサンなど)、生体分子、または結合競合体から選択される。
別の実施態様において、本方法は、試料の第2のアリコートにおける固定化された複合体を第2の溶出洗浄系列で洗浄するステップであって、第2の溶質が第1の溶質と異なるステップを包含する。別の実施態様において、第2の成分は光学的方法、電気化学的方法、原子間力顕微鏡、または高周波法により検出される。別の実施態様において、第2の成分が質量分析法(例えば、親和性質量分析および/またはSEND)により検出される。
別の態様において、本発明は、以下のステップを包含する方法を提供する:(a)生体試料のセットを用意するステップであって、このセットが少なくとも2つのサブセットを含み、各サブセットが異なる生物学的特徴により特性づけられるステップ;(b)セット内の各試料の少なくとも1つの多成分生物学的複合体の成分の間の相互作用プロファイルを生成するステップであって、試料の複合体のプロファイルを生成するステップが、(i)この試料よりアリコートを提供するステップであって、このアリコートが生体特異的親和性分子を介して固体支持体上に固定化された試料由来の多成分生物学的複合体を含み、この親和性分子がこの複合体の第1の成分と結合し、未結合の物質がこの固体支持体から除去されるステップ;(ii)固定化された複合体を複数の連続溶出洗浄により洗浄するステップであって、連続溶出洗浄における溶質の濃度が増加または減少する濃度勾配を形成するステップ;および(iii)連続的な溶出洗浄で第2の成分を測定するステップであって、それによって試料のプロファイルが各アリコートからの溶出洗浄溶液からの測定値を含むステップとを包含するステップ;ならびに(c)試料のプロファイルを比較し各サブセットの成分間の相互作用の相違を検出するステップ。
別の実施態様において、ステップ(b)はステップ(ii)の後で、生体特異的親和性分子を介して支持体上に依然固定化されている複合体の成分を測定するステップであって、それによってプロファイルが支持体からの測定値をさらに含むステップをさらに包含する。
別の実施態様において、本方法は、試料からの第2のアリコートに対してステップ(i)−(iii)を実施するステップであって、溶出洗浄が第2の別の溶質を含み、連続溶出洗浄における第2の溶質の濃度は増加または減少する濃度勾配を形成するステップをさらに包含する。
本方法の一実施態様において、様々な生物学的特性は、病理学的対非病理学的、薬剤応答者対薬剤非応答者、毒性反応対無毒性反応、および疾患状態の進行者対疾患状態の非進行者より選択される。別の実施態様において、種々の生物学的特性は、インヒビターRNAへの曝露または阻害RNAへの非曝露である。
別の実施態様において、比較するステップはコンピューター学習アルゴリズムをトレーニングするためにプロファイルを使用するステップを含み、コンピューター学習アルゴリズムが、プロファイルを少なくとも2つのサブセットの1つに分類する分類アルゴリズムを生成する。
別の実施態様において、本発明は、試料の少なくとも1つの多成分生物学的複合体における成分間の相互作用のプロファイルを作成するための方法であって、この方法は、各複合体について、以下の工程を包含する:(a)この試料より複数のアリコートを提供するステップであって、各アリコートが生体特異的親和性分子を介して固体支持体上に固定化された試料由来の多成分生物学的複合体を含み、この親和性分子がこの複合体の第1の成分と結合し、未結合の物質がこの固体支持体から除去されるステップ;(b)各アリコートの固定化された複合体を第1の溶出洗浄系列からの溶出洗浄により洗浄するステップであって、系列の溶出洗浄における第1の溶質の濃度が増加または減少する濃度勾配を形成するステップ;および(c)各溶出洗浄で少なくとも1つの第2の成分を測定するステップであって、それによって試料のプロファイルが各アリコートからの溶出洗浄からの測定値を含むステップ。
一実施態様において、本方法はステップ(b)の後で、この生体特異的親和性分子を介してこの支持体上に依然固定化されているこの複合体の成分を測定するステップであって、それによってこのプロファイルがこの支持体の測定値をさらに含むステップをさらに包含する。
別の実施態様において、本方法は、試料からの第2の複数のアリコートに対してステップ(b)を実施するステップであって、溶出洗浄が第2の別の溶質を含み、連続溶出洗浄における第2の溶質の濃度は増加または減少する濃度勾配を形成するステップをさらに包含する。
別の態様において、本発明は、以下のステップを包含する方法を提供する:(a)生体試料のセットを準備するステップであって、このセットが少なくとも2つのサブセットを含み、各サブセットが異なる生物学的特性を特徴とするステップ;(b)セット内の各試料の少なくとも1つの多成分生物学的複合体の成分の間の相互作用プロファイルを生成するステップであって、試料の複合体のプロファイルを生成するステップが、(i)この試料より複数のアリコートを提供するステップであって、各アリコートが生体特異的親和性分子を介して固体支持体上に固定化された試料由来の同じ多成分生物学的複合体を含み、この親和性分子がこの複合体の第1の成分と結合し、未結合の物質がこの固体支持体から除去されるステップ;(ii)各アリコートの固定化された複合体を第1の溶出洗浄系列の溶出洗浄により洗浄するステップであって、系列の溶出洗浄における第1の溶質の濃度が増加または減少する濃度勾配を形成するステップ;および(iii)各溶出洗浄で少なくとも第2の成分を測定するステップであって、それによって試料中の複合体のプロファイルが各アリコートからの溶出洗浄からの測定値を含むステップとを包含するステップ;ならびに(c)試料のプロファイルを比較し試料の成分間の相互作用の相違を検出するステップ。
一実施態様において、本方法は、各試料からの第2の複数のアリコートにおける固定化された複合体を第2の溶出洗浄セットの1つの溶出洗浄により洗浄するステップであって、溶出洗浄セットの各要素の第2の溶質の濃度が増加または減少する濃度勾配を形成し、第2の溶質が第1の溶質とは異なるステップを包含する。
別の実施態様において、ステップ(b)は、ステップ(ii)の後で、生体特異的親和性分子を介して支持体上に依然固定化されている複合体の成分を測定するステップであって、それによってプロファイルが支持体からの測定値をさらに含むステップをさらに包含する。
別の実施態様において、本方法は、試料からの複数の第2のアリコートに対してステップ(i)−(iii)を実施するステップであって、溶出洗浄が第2の別の溶質を含み、連続溶出洗浄における第2の溶質の濃度は増加または減少する濃度勾配を形成するステップをさらに包含する。
別の実施態様において、本方法は、試料のプロファイルを比較し、試料の成分間の相互作用の相違を検出するステップを包含する。
別の態様において、本発明は、以下を備えるキットを提供する:(a)第1の親和性分子と結合する手段を有する、あるいは第1の親和性分子が結合している少なくとも1つの固体支持体;(b)少なくとも1つの溶出洗浄系列であって、各系列の各溶出洗浄における第1の溶質の濃度が増加または減少する濃度勾配を形成する系列;および(c)固体支持体とは異なる少なくとも1つのMSプローブ。一実施態様において、キットは、さらに(d)第1の多成分生物学的複合体の第1の成分と特異的に結合する少なくとも1つの生体特異的親和性分子を備える。
別の実施態様において、この固体支持体はクロマトグラフィー樹脂である。別の実施態様において、本キットは、ドリッププレートなどのマルチウェルマイクロタイタープレートをさらに備える。別の実施態様において、キットはさらに例えば、ガラスカラムなどのクロマトグラフィーカラムを備える。このカラムは、重力流、遠心フロー、または機械的に生みだされたフローを利用することができる。別の実施態様において、MSプローブは、プローブ表面に結合した吸着剤および/またはプローブ表面に付着したエネルギー吸着分子を含む、MALDIプローブまたはSELDIプローブである。別の実施態様において、少なくとも1つの親和性分子は、複数の異なる親和性分子であり、それぞれの異なる親和性分子は異なる複合体の第1の成分に特異的に結合している。別の実施態様において、少なくとも1つのMSプローブは、複数のMSプローブである。別の実施態様において、少なくとも1つのMSプローブは、プローブ表面にエネルギー吸収分子が結合している複数のSELDIプローブより成る。別の実施態様において、少なくとも1つのMSプローブはプローブ表面に結合した吸着剤を含む複数のSELDIプローブよりなる。別の実施態様において、親和性分子は抗体、単一鎖抗体、抗体の特異的に結合したフラグメント、アフィボディ、酵素、酵素基質、受容体、受容体リガンド、薬剤、核酸、またはアプタマーより選択される。
別の態様において、本発明は、以下を備えるキットを提供する:(a)生体特異的親和性分子と共有結合することができる反応表面を含むSELDIプローブである少なくとも第1のMSプローブ;(b)少なくとも1つの溶出洗浄系列であって、各系列の各溶出洗浄における第1の溶質の濃度が増加または減少する濃度勾配を形成する系列;および(c)クロマトグラフィー表面を含む、MALDIプローブまたはSELDIプローブである少なくとも1つの第2のMSプローブ。一実施態様において、本キットは、(d)第1の多成分生物学的複合体の第1の成分と特異的に結合する少なくとも1つの生体特異的親和性分子をさらに備える。別の実施態様において、親和性分子は抗体、単一鎖抗体、抗体の特異的に結合したフラグメント、アフィボディ、酵素、酵素基質、受容体、受容体リガンド、薬剤、核酸、またはアプタマーより選択される。
(詳細な説明)
(I.序論)
本発明は、多成分生物学的複合体の異なる成分の間の相互作用を特徴付ける方法を提供する。すべてのレベルの生物学的機能は、インビボタンパク質−タンパク質相互作用に依存している。相互作用はひとつのタンパク質が第2のタンパク質と相互作用するバイナリーであり得るか、あるいは複数のタンパク質が一度に相互作用し「機能的単位」(6つのサブユニットで構成されるTNFa受容体のように)を形成する多面性を有し得る。本発明は、バイナリーおよび多面的タンパク質−タンパク質相互作用の両方に焦点を当てる。
本方法は、複合体の1つの成分に特異的に結合する生体特性親和性試薬を使用して、固体支持体上の試料より多成分生物学的複合体を捕捉することを伴う。未結合の物質は一般に平衡緩衝液により除去される。その後、捕捉された複合体は、溶質の濃度が増加または減少する勾配、すなわち異なるストリンジェンシーを形成した一連の溶出洗浄により連続的に洗浄され、その洗浄液が回収される。各洗浄液は、親和性分子と結合していない複合体の溶出成分を検出するための分析に供される。溶出成分が検出され、連続的溶出洗浄において溶出した成分の質量、元素組成、吸光係数、濃度、pI、などの物理的性質または生化学的性質が測定される。
あるいは、固定化された残留複合体成分を直接または間接的に測定し、試料から残留複合体のプロファイルを得ることができる。このように、複合体からの成分溶出下で、マルチサブユニット複合体のサブユニットの存在、および洗浄溶液のストリンジェンシーの両者を測定することができる。
さらに、本方法は多重化が可能である。このような方法では、捕捉された複合体を異なるアリコートに分割してもよく、それぞれのアリコートは、異なる濃度の溶質により形成される勾配で一連の溶出洗浄に供され得る。あるいは様々な親和性分子を使用して、試料から異なる多成分生物学的複合体を捕捉することができ、そして、これらの複合体は、成分の相互作用をマップするために同一または異なる系列の溶出洗浄に供され得る。
複合体の様々な成分を検出するために、本方法はそれ自体が重要である。しかしながら、これは以下に述べる異なるクラスの試料、例えば病理学的試料および非病理学的試料における複合体を比較し、どのように複合体から成分が溶出されるかの相違を明らかにすることにより、成分の間で相互作用の形質に相違があるかどうかを判定する比較試験に特に有用である。例えば、病理学的状態よりも非病理学的な状態では、特定の成分を溶出させるのによりストリンジェンシーの高い洗浄を必要とするという事実によって証明されるように、非病理学的な状態では、病理学的状態よりも1つの複合体のこの特定の成分がこの複合体により強固に結合することが分かる。
本発明で示される方法の利点は、迅速性、使いやすさ、複数の相互作用の同時的走査(ハイスループットの多重化)、およびネイティブなタンパク質質量、またはペプチドのフィンガープリント質量のいずれかに基づく(ビーズ上での酵素的消化後の)発現相違相互作用マップ(Expression Difference Interaction Maps)を生成する能力などである。
図4を参照すると、ステップ4aにおいて、生体特異性親和性試薬を通して1つの多成分生物学的複合体が固体支持体上に固定化されている試料のアリコートが提供される。一般に、固体支持体はアフィニティクロマトグラフィに適したクロマトグラフィー樹脂となるであろう。あるいは、固体支持体がバイオチップであることも可能である。
一実施形態において、本方法は複合体分子がインサイチュ(すなわち、バイオチップの表面上)で発現するステップを含み、これによりこの複合体は発現/アセンブリ上で直接捕捉される。この分子は捕捉ビーズまたは樹脂の存在下でも発現できる。
この親和性分子は、この複合体の1つの成分と特異的に結合する。(図では、それは卵形の成分と結合している。)固体支持体への固定化は、直接の場合もあるし、間接的の場合もある。直接捕捉では、固体支持体は親和性分子で誘導体化され、複合体は試料より直接固体支持体上に捕捉される。間接的な捕捉では、未結合の親和性分子が複合体に結合し、続いて、例えば、親和性分子と結合する別の捕捉分子を用いて親和性分子+複合体が固体支持体上に捕捉される。例えば、生体特異的親和性分子はIgG分子であり得、固体支持体は、プロテインA、プロテインG、または抗IgG抗体で誘導体化可能である。
支持体が樹脂またはビーズの場合、固体支持体と接触し、つづいて固体支持体から溶出された任意の物質を底面に接するようにウェルの口に液体を滴下可能なように設計されたドリッププレートであり得るマイクロタイタープレートのウェル内で、この樹脂またはビーズが良好に操作される。あるいは、樹脂またはビーズは、ガラスまたはプラスチックなどで、重力、遠心分離、またはその他のタイプの機械的方法もしくは電気的方法による連続フローまたは中間的フローが可能なカラム内で良好に取り扱いできる。カラムは、例えば、スピンカラム、低圧クロマトグラフィーカラム、および高圧クロマトグラフィーカラム(例えば、HPLC)が挙げられる。
捕捉時、未結合の物質が固体支持体から除去される。一般に、これは平衡緩衝液による洗浄によって行われる。しかしながら、未結合の物質を支持体から滴り落とすことも可能である。
図4、ステップ4bで示される本実施形態の次のステップで、捕捉された複合体は、増加するストリンジェンシーの一連の洗浄を受ける。洗浄は一連の少なくとも2つの洗浄(この例では、3つの洗浄)を形成する。共に、この系列における洗浄は、異なるストリンジェンシーの勾配を形成する。具体的には、系列内の洗浄は、洗浄における特定の溶質濃度が異なっている。例えば、この系列は、水性緩衝液中の塩濃度の増加または減少を基礎としたイオン強度に従って増加または減少させることができる。濃度の増加する一連の洗浄は、0.1N NaCl−0.2N NaCl−0.4N NaClでもよい。濃度の減少する一連の洗浄は、減少した濃度の銅またはマグネシウムなどの結合に必要な金属イオンを含んでもよい。以下に述べるように、溶質は、イオン相互作用(イオン強度およびpHの両方)、水構造、疎水性相互作用、カオトロピズム、または親和性相互作用(例えば、別の成分と結合している成分と競争する分子)に基づいて、洗浄溶液のストリンジェンシーを変化させることができる。あるいは、一連の洗浄は、複数の溶質の濃度を変えることができる。これらの洗浄は、この複合体からの成分の1つを溶出する場合もあるし、しない場合もある。しかしながら、一連の洗浄を与えることによって、特定の成分を溶出させるのに必要なストリンジェンシーを検査することができる。洗浄は、さらなる分析のために回収される。
図4、ステップ4cで示される本実施形態の次のステップでは、回収された溶出洗浄は、親和性試薬と結合していない複合体の成分の1つを測定するために分析される。測定は定性的または定量的に可能である。例えば、洗浄の1つにおける成分の存在または非存在を単に測定することができるのみである。あるいは、いくつかの標準と比較して、溶液の成分の量が「多い」または「少ない」かどうかを大まかに測定することが可能である。あるいは、使用される検出方法により成分の量をさらに明確に定量することが可能である。
別の実施形態において、固体支持体上に残っている成分は、溶出プロセスのいずれかのステップで検出することができる。好ましい実施形態では、固体支持体は質量分析プローブなどのバイオチップであり、さらに、残留成分は、アフィニティ質量分析によって検出される。固体支持体がビーズである場合、残留成分は、高いストリンジェンシー洗浄を使用して溶出させることができ、以下に述べる方法で洗浄中のこの成分を検出できる。
この成分は、気相イオンスペクトロメトリー法、光学的方法、電気化学的方法、原子間力顕微鏡、高周波法などの任意の検出法の選定により、溶出洗浄中で測定することができる。しかしながら、気相イオンスペクトロメトリーの形式の質量分析法が特に有用である。質量分析法が分析物の検出および質量の両方を提供するので、その質量情報に基づいて分析物を区別することができる。すなわち、成分の質量に相当する信号の存在に基づいて、溶出洗浄中に特定の成分が存在するかどうかを判定することができる。
あらゆる形式の質量分析法を利用してもよい。しかしながら、MALDIとSELDIは特に有用である。特に、分析物を最も良好に捕捉することが確認されているクロマトグラフィー表面を有するSELDIプローブを用いて成分を都合よく検出することができる。
多成分生物学的複合体は、溶質によりそれぞれ異なる複数の溶出勾配を使用して、有用に検査することができる。例えば、pH勾配、塩勾配、および洗浄剤勾配に基づいて成分の相互作用を試験することができる。生成されたデータにより、相互作用のプロファイルまたはマップを構成するマトリックスが作成される(例えば図2のマップ参照)。このようなマトリックスには、それぞれの成分においてそれぞれの溶出洗浄で検出された成分量を含むセルを含めることができる。得られた成分(例えば、タンパク質)相互作用マップにより、試験を行った特定の試料における成分の相互作用の特徴が得られる。
本明細書に述べた方法は、特に成分相互作用相違マッピングに有用である。相互作用相違マッピングは、異なる表現型によって特徴付けられた試料間で、成分の相互作用に相違があるかどうかを判定するのに有用である。本質的に、本実施形態における方法は、異なる試料の両方において上述の方法を用いて、目的とする成分における成分相互作用マップを生成し、このマップを比較して、成分間の相互作用の相違を決定することを含む。この方法を図5および6に示す。両図は同じプロセスを示すが、異なる結果が得られている。
図5、ステップ5a(および図6、ステップ6a)を参照すると、異なるの複数試料からの多成分複合体は、固体支持体上に固定化される(例えば、物理的に分離される)。試料は、目的とするあらゆる表現型形質とも異なる可能性がある。しかしながら、有用な生物学的特徴(例えば、表現型形質)は、病理学的状態 対 非病理学的な状態(例えば、癌対癌ではない)、薬剤応答者 対 薬無応答者、有毒反応 対 無毒反応、および疾患状態の進行者 対 疾患状態の非進行者などである。試料は、通常の遺伝的な変異に関連したもの(種の変異、品種変異、性別変異、食物変異など)などのナチュラルな手段によって誘導してもよく、あるいは遺伝子ノックアウト、siRNA誘導転写阻害、または表現型の変化を誘発させる有機化合物または無機化合物による処理などの、生物学的システムの操作によって試料を生成させてもよい。
別の実施形態では、比較すべき試料を異なる条件に暴露する。例えば、1つの試料は、アンチセンスRNA、リボザイム、またはRNAiなどの特定のmRNAの発現を阻害する抑制性核酸に暴露されている、細胞またはインビトロ翻訳システムでもよい。その他の試料は、抑制性核酸に暴露されていないが、同じタイプの細胞またはインビトロ翻訳システム由来でもよい。
複数の試料は、2つという少ない試料であってもよい(例えば、1つの病理試料と1つの非病理試料)。しかしながら、臨床的に有用な情報を得ることを目的とする場合、それぞれのクラスの試料の多くの試料を使用しなければならない。例えば、それぞれのクラスから少なくとも10、少なくとも100、あるいは少なくとも1000の試料を使用してもよい。
それぞれの試料は、上述のように成分相互作用について分析される。これを図5ステップ5bと5c(および図6、ステップ6bと6c)に示す。異なるクラスからのデータを比較すると、異なるタイプの相互作用が検出され得る。例えば、図5、ステップ5cの最後の対のパネルに示したように、2つの試料において異なるストリンジェンシーのもとで特定の成分が溶出されることが分かる。これは、異なる試料の成分の間での相互作用の特性が異なっていることを示している。あるいは、図6、ステップ6cの最後のパネルに示したように、異なる試料において、その成分は同じ溶出洗浄で溶出するが、異なる質量を有することが測定され得る。これは、この成分は2つの試料間で異なった状態、例えば1つは翻訳後修飾(例えば、リン酸化、グリコシル化、アシル化、ビオチン化、および開裂)されているが、一方はそうでない状態にあることを示している。
成分間での相互作用の相違パターンは、未知の試料をある1つまたはの別のクラス(例えば、病理学的または非病理学的)へと分類するのに有用である。このような分類は、臨床目的(例えば診断の目的)に有用である。これらの目的のために、それぞれの試料において複数の異なる複合体の複数の異なる成分をプロファイルすることは有用である。いずれかのクラスに未知の試料を分類するための分類アルゴリズムを生成させるため、これらのプロファイルによって得られたデータマトリックスを使用して、上述のように学習アルゴリズムをトレーニングすることができる。例えば、癌検査のための被験者からの未知の試料について、成分の相互作用をプロファイルすることができる。このプロファイルをこの癌の分類アルゴリズムに提供することができる。試料で測定された相互作用パターン基づいて、この分類アルゴリズムは、被験者の癌の有無を判断する。
本発明はまた、相互作用プロファイルを生みだす第2の方法も検討する。この第2の方法によると、多成分生物学的複合体は、複合体の1つの成分と特異的に結合する生体特異的親和性試薬を介して、固体支持体に再び固定化される。しかしながら、本実施形態では、一連の洗浄で同じ固体支持体を洗浄する代わりに、固体支持体を複数のアリコートに分割し、それぞれのアリコートを一連の溶出洗浄の異なる1つで洗浄する。もちろん、単一のバッチの平衡化固体支持体を複数のアリコートに分割するか、または、別個の複数のアリコートを作成することが可能である。重要なことは、固体支持体に固定化された複合体を含む複数のアリコートを提供することであり、このアリコートは、独立した洗浄に供され得る。
本方法を図7に示す。図7、ステップ7aは、固体支持体上での複合体の捕捉と未結合の物質の除去を示している。ステップ7bで、固体支持体は複数のアリコート(ここでは8個)に分割され、マルチウェルマイクロタイタードリッププレートの異なるウェル内に置かれる。ここで、楔印の幅の増加で表した勾配を形成している8つの異なる一連の溶出洗浄の1つで、それぞれのウェルを洗浄する。これにより複合体から溶出された成分を含むかまたは含まない8つの溶出洗浄が生成する。続いて、それぞれの溶出洗浄の含有量を検出する(図7、ステップ7c参照)。
本実施形態の方法はまた、第1の方法で述べた手法を用いることで、試料間の成分相互作用相違を検出するのに使用することもできる。これらの方法を、図8および9に示す。
この事例では、表現型Aと表現型Bの試料からの複合体は、固体支持体上に捕捉されている(図8、ステップ8aと図9、ステップ9a参照)。それぞれは4つのアリコートに分割され、それぞれのアリコートはマイクロタイタープレートの異なるウェルに加えられる(図8、ステップ8bと図9、ステップ9b)。それぞれの表現型の4つのアリコートは、一連の勾配の1つの緩衝液で洗浄される(図8、ステップ8bと図9、ステップ9bの溶出洗浄1−4)。溶出洗浄中の成分が検出される(図8、ステップ8cと図9、ステップ9c)。再び、1つの成分が異なる洗浄(図8、ステップ8c)、または同一の洗浄において溶出するが、異なる分子量を有することが分かる(図9、ステップ9c)。
再び、これらの方法のパラメータを変更することも可能である。例えば、表現型Aを呈する複数の異なる試料、および表現型Bを呈する複数の異なる試料上で本方法を実施することができる。固体支持体を複数のアリコートのセットに分割することができ、異なる溶質を含む勾配洗浄でそれぞれのセットを洗浄することもできる。例えば、pH勾配で第1のアリコートセットを、塩勾配で第2のアリコートセットを、および洗浄剤勾配で第3のアリコートセットを洗浄することができる。
(II.多成分生物学的複合体、または親和性分子を伴うこの成分の結合)
多成分生物学的複合体は、生体分子のさまざまな対象集団を含む複合混合物中に一般に認められる。多成分生物学的複合体の4次構造とこれらの成分の相互作用を分析するためには、はじめに分析を妨害する可能性のあるこのような混入物から複合体を単離する必要がある。これは、目的とする多成分生物学的複合体の1つ以上の成分と特異的に結合する親和性または「ベイト」分子を利用することにより最も都合よく達成される。適切な親和性分子としては、複合体に存在する1つ以上の抗原成分に対応した抗体、受容体、酵素、および多成分生物学的複合体自体が酵素である場合には、多成分生物学的複合体に関連する活性のための基質、が挙げられる。親和性分子はその結合を増強し、多成分生物学的複合体を保持するために修飾することができる。例えば、多成分生物学的複合体−関連酵素よって生成物に転換されることを遅延または阻害するために、基質を化学修飾することができる。
多成分生物学的複合体は、溶液中で遊離しているか、または固体支持体上に結合している、いずれかの状態の本発明の親和性分子と結合することができる。多成分生物学的複合体を単離し分析する第1のステップとして、多成分生物学的複合体と溶液中で遊離した親和性分子との間の結合に続いて、一般に親和性分子が固体支持体に固定化される。
本発明を用いて試験を行うべき多成分生物学的複合体を回収するための適当な生物学的供給源としては、例えば、組織溶解物、細胞溶解物、体液、またはインビトロ翻訳システムなどの生体試料からの抽出物などが挙げられる。試料は液体形態で、特定の組織、臓器または生物体由来の細胞溶解物から得られることが好ましい。
(III 固体支持体上への親和性分子の固定化)
上述のように、目的とする多成分生物学的複合体は、親和性分子の複合体への最初の結合とそれに続く固体支持体への親和性分子の固定化により単離することができる。あるいは、親和性分子は固体支持体上にまず固定化させ、続いて多成分生物学的複合体を固定化されている親和性分子に結合させることができる。多成分生物学的複合体と親和性分子との間の結合が可能な任意の適切な方法も使用できる。例えば、親和性分子を単純に混合するか、試料と結合させることができる。
適切な方法であれば、どのようなものでも、固体支持体への親和性分子の固定化に使用できる。例えば、水浴、浸漬、液浸、噴霧、洗浄、あるいはピペット操作などがある。一般に、約1μlから500μl中、数アトモルから100ピコモルを含む試料容量はこの支持体に結合させるのに十分である。この試料は、多成分生物学的複合体の結合が可能となるのに十分な一定時間、親和性分子と接触する必要がある。一般には、試料と親和性分子は、約30秒から約12時間の間接触しているが、好ましくは約30秒から約15分の間接触している。一般に、試料は、常温常圧下で親和性分子と接触する。しかしながら、いくつかの試料では、修正された温度(一般に4℃から37℃)と圧力条件が望ましい可能性がある。これらの条件は当業者により決定できる。
さらに、この試料を溶離液中に入れるか混合させて可溶化させ、前述の手法のいずれかを使用をして、溶離液と試料の溶液をこの支持体または遊離の親和性分子と接触させることにより、この試料を支持体または遊離の親和性分子と接触させることができる。多成分生物学的複合体を親和性分子に結合させる前に試料を溶離液にさらすことは、試料と同時にこの溶離液と接触させている間に親和性分子の選択性に変化を生じる影響がある。親和性分子に結合し、そしてこれにより保持されるこの試料のこれらの成分は、親和性分子の選択性を修正する溶出特性の存在しない条件において親和性分子に結合するすべての成分ではなく、試料と会合している特定の溶離液の存在下で、親和性分子と結合するこれらの成分のみを含む。
試料は、目的とする複合体に結合するのに十分な一定時間、親和性分子に接触させる必要がある。一般には、試料は親和性分子と約30秒から約12時間との間、接触させられる。試料は親和性分子と約30秒から約15分間接触させられることが好まししい。
試料が親和性分子と接触する際の温度は、特定の試料と選択された親和性分子との関数である。一般には、接触は常温常圧下で行われる。しかしながら、いくつかの試料では、修正された温度(一般に4℃から37℃)と圧力条件が好ましい可能性があり、これらの条件は当業者により容易に決定できる。
親和性分子は、生体試料の残留成分が遊離して残っている間に、多成分生物学的複合体の固定化が可能な固体支持体に結合しており、以下に述べるように、1回(または複数の)洗浄ステップによる除去に利用可能である。固定化されるべき多成分生物学的複合体を含む生体試料中で、固体支持体は、不溶性の、あるいは不溶性を付与する能力のあるあらゆる表面であり得る。例えば、1つの実施形態では主に平坦面に結合する親和性分子を利用する。より好ましくは、親和性分子は微粒子またはビーズに結合する。さらに他の実施形態では、支持体および任意の会合により生体試料から捕捉試薬/分析物の単離を可能とする特定の物性を有する固体支持体を利用する。例えば、特定の抗体で誘導した磁性微粒子を使用できる。誘導された磁性微粒子のスラリーは、生体試料より作製することができる。続いて、ビーズと多成分生物学的複合体は磁性体により単離される。固体支持体はまた、親和性表面を有するSELDI−MSプローブでもあり得る。その表面のそれぞれは目的とする多成分生物学的複合体を特異的に認識する親和性分子を含む。本発明で使用されるそれぞれの固体支持体は、異なる多成分生物学的複合体を認識することが可能な様々な親和性分子を固定化することができる。
(IV.成分を差別的に溶出させるための、結合した多成分性複合体の洗浄)
目的の多成分生物学的複合体は、本願において以前に述べた生体分子の任意の結合より構成することができる。多成分生物学的複合体の成分間の相互作用としては、キレート化合物を生成するような共有結合、イオン結合、疎水結合、アロステリック結合、配位結合をはじめとするあらゆるタイプを含めることができる。目的とする多成分生物学的複合体で見出される可能性のある成分例は、ペプチド、タンパク質、核酸、炭水化物、多糖体、核酸断片、ペプチド断片、およびタンパク質断片などの上に示した生体高分子の断片、などが挙げられるが、これに限定されるものではない。目的とする多成分生物学的複合体は、実際にはタンパク質−DNA複合体、受容体−リガンド複合体、および酵素−基質複合体などのように異質であることが多い。
(A.洗浄溶液)
多成分生物学的複合体を含む試料に頻繁に見出される不純物を除去するため、分析目的に設計された選択的溶出を行う前に、固定化された目的とする多成分生物学的複合体を第1にマイルドな洗浄溶液で処理する必要がある。一般に、第1の洗浄溶液は生理学的pHとイオン強度を有するもので、洗浄は常温常圧下で行われる。特定の状況下では、例えば、目的とする多成分生物学的複合体の成分が、特定のストリンジェンシーで溶出洗浄が行われた後も依然として固定化されている場合は、ストリンジェント洗浄が実施すべき唯一の洗浄ステップである。目的とする多成分生物学的複合体成分が、最もストリンジェントな洗浄後でも固体支持体に固定化された親和性分子と会合したままであることが予期される場合は、好ましく利用する固体支持体は吸着表面が多成分生物学的複合体と特異的に結合している親和性分子で構成されるMSプローブ、最も好ましくはSELDI MSプローブである。
(B.洗浄溶液特性の変更と溶出洗浄溶液の調製)
未結合の成分を固体支持体より除去後、この溶液中の特定の溶質濃度の増加または減少に基づいた、強度の増加または減少した勾配を形成した一連の洗浄(液)でこの支持体を洗浄する。それに応じて、それぞれそれに続く洗浄溶液はストリンジェンシーが増加し、これにより、より弱い溶液は弱く結合した成分を脱離させ、強い溶液はより強固に結合した成分を脱離させる。結合した複合体を、それぞれその後の洗浄は以前の洗浄よりもよりストリンジェントである一連の洗浄にさらすことにより、成分は最も弱い結合から最も強固な結合まで、逐次連続的に洗い出される。
一般に、洗浄溶液は多成分生物学的複合体と親和性分子の間での吸収の閾値が選択的に変更されている。多成分生物学的複合体の結合成分を脱着させ溶出させる溶離液の能力は、その溶出特性に依存する。様々な溶離液は、非常に異なる溶出特性、いくぶん異なる溶出特性、または微妙に異なる溶出特性を示す可能性がある。
本発明の重要な態様は、第1に固定化された目的とする多成分生物学的複合体から不純物を除去するため、次に分析のためにこの固定化された複合体から相違的に成分を溶出させるために使用する洗浄溶液の処方である。さらに、溶出した成分のその多成分生物学的複合体に関連する特定の複合体を溶出させ、どのタイプの生体分子の相互作用が重要であるかを解明する溶出洗浄溶液の特性である。本セクションでは、効率的な初期洗浄に修正でき、続いて多成分生物学的複合体から成分溶出を誘発させることのできる本発明の洗浄溶液についていくつかの方法の概略を述べる。
洗浄溶液の洗浄ストリンジェンシーを増加させるために、緩衝液と他の添加物を洗浄溶液へ添加することができる。アフィニティクロマトグラフィ表面から分子を溶出させるために利用する様々な洗浄溶液は、従来技術において公知である。洗浄溶液には、pHをベースとする溶離液(例えば、酸と塩基)、イオン強度をベースとする溶離液(例えば、塩)、水構造をベースとした溶離液(例えば、尿素またはカオトロピック塩溶液(例えば、チオシアン酸ナトリウム))、洗浄剤ベースの溶離液(例えば、CHAPS、TWEEN、SDSとNPの40)、疎水性ベースの溶離液(例えば、有機溶媒、チオフィリック塩、およびアセトニトリル)、生体分子をベースとする溶離液(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、単純な糖、脂肪酸、およびこれらの高分子)、および結合競争的溶離液が挙げられるが、これに限定されるものではない。結合競争的溶離液には、溶質として他の成分と結合する成分と競争する分子が含まれる。結合競争因子は、例えば、薬剤候補drug candidateなどの小さな有機分子でもよい。
特定の洗浄溶液または添加剤の選択は、実験条件(例えば、利用される親和性分子、または検出すべき多成分生物学的複合体の種類)に依存し、当業者により決定される。
適切な洗浄は、上述のカテゴリーのいずれかより、2つ以上の前述の洗浄の組み合わせからあるいは選択することができる。複数の溶出特性をベースとすると、2つ以上の前述の洗浄を含む洗浄は、多成分生物学的複合体に対する親和性分子の選択性を変更できる。
(C.2つのパラメータの変動性)
親和性分子を選択することにより異なる結合特性を提供する能力、および異なる洗浄による洗浄により異なる溶出特性を提供する能力により、それぞれ多成分生物学的複合体が親和性分子と結合する際の選択性に個別に影響を及ぼす能力がある2つの別個のパラメータの変動性が許容される。これらの2つのパラメータを幅広く変えられることができるという事実は、本発明による方法が、多くの異なるタイプの多成分生物学的複合体を結合し、これゆえに検出するために有用であるような広い範囲の結合親和性を保証する。
特定の試料の分析に利用される親和性分子および洗浄の選択は、たとえ1つ(または複数)の多成分生物学的複合体の性質が未知であっても、試料の特性および評価を行う特定の多成分生物学的複合体または多成分生物学的複合体のクラスに依存すると予想される。一般に、特に分析すべき試料の組成が未知であるときには、多様な結合特性と多様な溶出特性を示すシステムを提供するのに有利である。幅広い範囲の選択特性を呈するシステムを提供することによって、目的とする多成分生物学的複合体が1つ以上の親和性分子によって保持される可能性が著しく増大する。
化学的または生化学的分析の当業者は、広範囲の結合と溶出特性を呈するシステムを提供し、多成分生物学的複合体を最も優れた分離能を提供する結合および溶出特性を観察することにより、特定の多成分生物学的複合体を保持するために有用な選択性条件を測定することが可能である。
本発明は幅広い範囲の選択性条件を含むシステムを提供するので、所定の多成分生物学的複合体における最適な結合と溶出特性を当業者が求めることは、過度の実験を必要とせずに容易に達成される。
(D.洗浄溶液による親和性分子の洗浄)
多成分生物学的複合体を含む試料に親和性分子を接触させ、その親和性分子を固体支持体に固定化した後に、多成分生物学的複合体を第1の洗浄溶液、および本発明のあらゆる数の溶出洗浄溶液で洗浄することができる。一般に、多次元分析を提供するためには、それぞれの親和性分子位置を、少なくとも試料由来の不純物を除去するための第1の洗浄溶液と1回分の溶出洗浄溶液で洗浄する。多成分生物学的複合体を洗浄することにより、一般に特定の親和性分子に保持された複合体成分集団が修飾される。複合体成分の結合特性と溶出洗浄溶液の溶出特性との組み合わせは、溶出洗浄後、親和性分子を介する固体支持体に関して、いずれの成分が保持されるかを制御する選択性条件を提供する。このように、洗浄ステップは、多成分生物学的複合体から成分を選択的に除去する。
洗浄ステップは、多様なテクニックを用いて実行することができる。例えば、上で述べたように、試料は、試料を親和性分子と接触させる前に、第1の洗浄中にまたはこの洗浄液を添加することで可溶化させることができる。試料を親和性分子に接触させる前または同時に、試料を第1の洗浄溶液にさらすことは、多成分生物学的複合体を親和性分子に結合させ、続いて第1の洗浄溶液でこの親和性分子を洗浄することと同じ正味の効果を有している。多成分生物学的複合体が親和性分子に結合した後、この複合体を1つ以上の溶出洗浄溶液で洗うことができる。
そこに結合した多成分生物学的複合体を持つ親和性分子の洗浄は、洗浄中の親和性分子とそこに結合する多成分生物学的複合体を有する基質の水浴、ソーキング、または浸漬すること、あるいは洗浄液によりこの基質の上を水洗、噴霧または洗浄することにより達成できる。
上述の方法は、親和性分子が複数のあらかじめ決定されたアドレス可能な位置に提供される場合も有用である。しかしながら、多成分生物学的複合体が親和性分子と複数の位置で結合している場合は、洗浄ステップは、代わりにより系統的かつ効率的なアプローチを利用して行うとよい。すなわち、洗浄液で第1の位置にある親和性分子を洗浄することにより、続いて第1の親和性分子に保持されているその多成分生物学的複合体成分を脱着・検出させ、さらにその後、第2の親和性分子に保持されている多成分生物学的複合体を脱着・検出させることにより、洗浄ステップを実行することができる。言い換えると、すべての親和性分子は第1の洗浄に一緒にさらされ、そしてその後、それぞれの親和性分子位置から放出された多成分生物学的複合体を別々に分析することができる。必要ならば、それぞれの親和性分子位置から放出された多成分生物学的複合体の検出後、それぞれの親和性分子位置における第2段階の溶出洗浄を実施し、これに続いて第2の段階の検出および/または分析を行ってもよい。すべての親和性分子位置を洗浄するステップと、後に続くそれぞれの親和性分子位置において放出された成分の脱着と検出は、複数の異なる溶出洗浄液について繰り返し行うことができる。このように、全体の配列は、試料における多成分生物学的複合体の特性を効率的に測定するために利用される。
本発明の方法を用いて、複合体を抽出するのに利用した溶出洗浄溶液の溶出特性に基づいて、多成分生物学的複合体のあらゆる所定の成分の結合特性に関するデータを集めることができる。
(V.SELDI MSプローブ上での溶出成分の吸着)
本発明の方法を使用して相互作用相違マップを生成するために、分析すべき多成分生物学的複合体の成分を本発明のMSプローブに吸着させてもよい。一般に原理の1つに生体分子の結合のための多数のアドレス可能な吸着位置を保有する好ましい特性のため、SELDI−MSプローブがこの目的に使用される。SELDI−MSプローブは、前身のMALDIと異なり、1つにプローブ上に複数の吸着剤を装備することができる。この多重フォーマットにより、上述のような高スループット設定において、試料の高度にリファインされた効率的な分析が可能である。SELDI−MSプローブで使用される異なる吸着剤は、大きく異なる結合特性、幾分か異なる結合特性、微妙に異なる結合特性をもたせることができる。
大きく異なる結合特性を示す吸着剤は、一般に誘引のベースまたは相互作用のモードが異なる。誘引の基礎は一般に化学的または生物学的な分子認識の機能である。吸着剤と生体分子との間の誘引のベースには、例えば、(1)塩促進相互作用、例えば、疎水性相互作用、チオフィリック相互作用、および固定化された色素相互作用、(2)親水性相互作用の場合などの水素結合性および/またはファンデルワールス力相互作用、および電荷移動相互作用、(3)イオン電荷相互作用、特に陽イオン、または陰イオン電荷相互作用などの静電相互作用、(4)吸着剤上で金属イオンと配位共有結合を形成する(すなわち、配位錯体形成)分析物の能力、(5)酵素活性部位結合、(6)可逆性の共有結合相互作用、例えば、ジスルフィド交換相互作用、(6)糖タンパク質相互作用、(7)生体特異性相互作用、または(8)上述のモードの相互作用の2つ以上の組み合わせ、が挙げられる。すなわち、吸着剤は2つ以上の誘引ベースを示すことが可能で、このため「混合機能性」吸着剤として知られている。SELDI−MSプローブに関連して利用される代表的な吸着剤の化学を以下に述べる。
(A.塩促進相互作用吸着剤)
塩促進相互作用を観察するために有用な吸着剤は、疎水性相互作用吸着剤などである。疎水性相互作用吸着剤の例として、脂肪族炭化水素類、特にC−C18脂肪族炭化水素類を有する基質、フェニル基などの芳香族炭化水素官能基類を有する基質などがある。分析物と結合する疎水性相互作用吸着剤は、アミノ酸残基に暴露された無電荷の溶媒、特にフェニルアラニンとトリプトファンなどの一般に無極性芳香族および疎水性アミノ酸残基と呼ばれるアミノ酸残基などである。疎水性相互作用吸着剤と結合すると予想される分析物の特別な事例は、リゾチームおよびDNAなどである。特定の理論に束縛されることを望まなければ、DNA中の芳香族ヌクレオチド、特にピリジンとピリミジン基によって、そのDNAは疎水性相互作用吸着剤に結合すると考えられている。
塩促進相互作用を観察するために有用な別の吸着剤は、チオフィリック相互作用吸着剤、例えば、Pierce,Rockford,Illinoisから市販されているチオフィリック吸着剤の1つのタイプであるT−GELTMなどである。チオフィリック相互作用吸着剤には、例えばIgGなどの免疫グロブリンを結合する。
塩促進相互作用を観察するために有用な第3の吸着剤として、固定化された色素相互作用吸着剤などが挙げられる。固定化された色素相互作用吸着剤としては、例えば、Pharmacia/Amiconから入手できるCIBACHRONTMブルーなどの固定化されて色素基質などがある。固定化された色素相互作用吸着剤は、一般にタンパク質とDNAと結合する。固定化された色素相互作用吸着剤に結合するタンパク質の特定の事例の1つは、ウシ血清アルブミン(BSA)である。
(B.親水性の相互作用吸着剤)
親水性相互作用をベースとした水素結合および/またはファンデルワールス力を観察するために有用な吸着剤としては、例えば酸化ケイ素(すなわち、ガラス)などの順相吸着剤を含む表面が挙げられる。順相または酸化ケイ素表面は、官能基として作用する。さらに、ポリエチレングリコール、デキストラン、アガロース、またはセルロースなどの親水性ポリマーで改質された表面を含む吸着剤も親水性相互作用吸着剤として機能する。親水性相互作用を介して結合するアミノ酸残基の1つ基または組み合わせは水素結合またはファンデルワールス力を含むため、ほとんどのタンパク質は、親水性相互作用吸着剤と結合すると予想される。
(C.静電気相互作用吸着剤)
静電気的またはイオン性電荷相互作用を観察するために有用な吸着剤としては、例えば、硫酸塩陰イオン(すなわち、SO )の基質、およびカルボン酸塩陰イオン(すなわち、COO)、またはリン酸陰イオン(−OPO−)などの陰イオン性吸着剤などが挙げられる。しかしながら、カルボン酸塩陰イオンを持つ基質では、そのpKaをこえるpHでのみマイナスの電荷を有している。pKaよりも低いpHでは、この基質は本質的に中性の電荷を示す。好ましい陰イオン性吸着剤には、硫酸塩とカルボン酸塩陰イオンとリン酸陰イオンとの組み合わせを有する基質である陰イオン性吸着剤も含まれる。この組み合わせは、pHに応じて連続的に変化することが可能なマイナスの電荷強度を提供する。これらの吸着剤は、例えば、RNA分解酵素とミオグロビンなどのプラスの電荷を有するタンパク質や高分子を引き寄せて結合する。特定の理論に束縛されることを望まなければ、吸着剤と、リジン残基、アルギニン残基、およびヒスチジル残基をはじめとするプラスの電荷を有するアミノ酸残基との間の静電的相互作用は結合相互作用に起因すると考えられている。
静電気的またはイオン性電荷相互作用を観察するために有用な他の吸着剤としては、陽イオン性吸着剤などが挙げられる。陽イオン性吸着剤の特定の事例は、2級、3級、4級アミン類の基質などである。4級アミン類は吸着条件下では永続的にプラスの電荷である。しかしながら、しかし、2級および3級アミン類は、pH依存性の電荷を有する。pKa未満のpHでは、2級および3級アミンはプラス電荷を有し、pKaをこえるpHではこれらのアミンはマイナス電荷を示す。好ましい陽イオン性吸着剤としては、異なる2級、3級、そして4級アミンの組み合わせを有する基質である陽イオン性吸着剤も挙げられる。この組み合わせは、pHに応じて連続的に変化することが可能なプラス電荷の強度を提供する。陽イオン性相互作用吸着剤は、アスパラギン酸とグルタミン酸残基などのアミノ酸残基にさらされた溶媒を有するタンパク質を含む分子上の陰イオン性部位と結合する。
イオン相互作用吸着剤(陰イオン性および陽イオン性の両者)の場合は、陰イオンと陽イオンの両方を含む混合したモードのイオン性吸着剤を利用することがしばしば好ましい。このような吸着剤は、pHに応じて連続的な緩衝能力を提供する。この連続的な緩衝能力により、特にpH範囲が2から11までの異なる緩衝成分を有する溶離液への分析物の組み合わせの暴露を可能となる。この結果固定化された滴定可能なプロトン交換基によって規定される吸着剤上での局所pH環境が生み出される。このようなシステムは、等電点電気泳動として知られる固体相分離テクニックに相当する。
さらに、静電気的相互作用を観察するために有用なその他の吸着剤としては、双極子−双極子相互作用吸着剤などが挙げられるが、その相互作用は静電的であるが、形式電荷、あるいは滴定可能なタンパク質供与体または受容体ではないものが含まれる。
(D.配位共有結合性相互作用吸着剤)
金属イオンを持つ配位共有結合を形成する能力を観察するために有用な吸着剤としては、基質ベアリング、例えば2価および3価の金属イオン、などが挙げられる。固定化された金属イオンキレート剤の基質は、1つ以上の電子供与体基を有する合成有機分子を備え、それは遷移金属イオンにより配位共有結合性相互作用のベースを形成する。1固定化された金属イオンキレート剤として作用する次電子供与体基としては、酸素、窒素およびイオウが含まれる。金属イオンは固定化された金属イオンキレート剤と結合し、電子供与基と相互作用するためのいくつかの残存部位を持つ金属イオン錯体を生じる。好ましい金属イオンとしては、一般に銅、ニッケル、コバルト、亜鉛、鉄などの遷移金属イオン、およびAl、Caなどのその他の金属イオンなどが挙げられる。特定の理論に束縛されることを望まなければ、金属イオンは、ペプチド、タンパク質、または核酸中の特定のアミノ酸残基と選択的に相互作用すると考えられている。一般に、このような相互作用に関連したアミノ酸残基には、ヒスチジン残基、チロシン残基、トリプトファン残基、システイン残基、およびアスパラギン酸およびグルタミン酸などの酸素基を含むアミノ酸残基が挙げられる。例えば、固定化された鉄のイオンはホスホセリン、ホスホチロシン、およびホスホスレオニン残基と相互作用する。固定化された金属イオンに依存して、上述のアミノ酸残基の十分な局所濃度を有するこれらのタンパク質のみがこの吸着剤によって保持される。金属イオンとタンパク質との間のいくつかの相互作用は、従来の手段ではタンパク質をこの複合体から切り離すことができないほど強い。
(E.酵素−活性部位相互作用吸着剤)
酵素活性部位結合相互作用を観察するために有用な吸着剤としては、タンパク質分解酵素(トリプシンなど)、脱リン酸酵素、リン酸化酵素、およびヌクレアーゼが挙げられる。この相互作用は、酵素上の触媒結合部位を有する分析物(一般に生体高分子)における酵素結合部位の配列−特異的相互作用である。このタイプの酵素結合部位としては、例えば、配列中にリジン−リジンまたはリジン−アルギニン対を有するタンパク質とペプチドと相互作用するトリプシンの活性部位が挙げられる。より具体的には、ダイズトリプシン阻害剤は、固定化されたトリプシンの吸着剤と相互作用し、結合する。
(F.可逆的共有結合性相互作用吸着剤)
可逆的共有結合性相互作用を観察するために有用な吸着剤は、ジスルフィド交換交互作用吸着剤などである。ジスルフィド交換相互作用吸着剤としては、固定化されたスルフヒドリル基、例えばメルカプトエタノールまたは固定化されたジチオスレイトールなどが挙げられる。この相互作用は、吸着剤と分析物上のシステイン残基に暴露された溶媒との間の共有ジスルフィド結合の形成に基づく。このような吸着剤は、減少したイオウ化合物を含むように修正された塩基を含んでいるシステイン残基と核酸を有するタンパク質またはペプチドと結合する。
(G.糖タンパク質相互作用吸着剤)
糖タンパク質相互作用を観察するために有用な吸着剤としては、糖タンパク質相互作用吸着剤が挙げられ、これには市販されているCONCONAVALINTMなど、固定化されたレクチンを有する吸着剤(すなわち、オリゴ糖を保有するタンパク質)などが挙げられる。このような吸着剤は、高分子上の炭水化物部分の分子認識を含む相互作用をベースとして機能する。糖タンパク質相互作用吸着剤と相互作用し結合する分析物の例としては、糖タンパク質類、特にヒスチジンの豊富な糖タンパク質、全細胞と単離された細胞レベル下分画などが挙げられる。
(H.生体特異的相互作用吸着剤)
生体特異的相互作用を観察するために有用な吸着剤は、一般に「生体特異的親和性吸着剤」と呼ばれている。生体特異的親和性吸着剤の例は、特定の生体分子と特異的に相互作用し結合する任意の吸着剤である。生体特異的親和性吸着剤としては、例えば、固定化抗体、固定化された単鎖抗体、抗体の固定化された特異的結合断片;固定化されたアフィボディ、DNA結合タンパク質と結合する固定化DNA、DNA、およびRNA;固定化された酵素、タンパク質および酵素と結合する固定化された基質または阻害薬;薬物結合タンパク質と結合する固定化薬物;受容体と結合する固定化された配位子;配位子に結合する固定化された受容体;DNAおよびRNA結合タンパク質と結合する固定化されたRNA;固定化されたアプタマー、ビオチンおよびビオチン化された分子と結合する固定化されたアビジンまたはストレプトアビジン;脂質結合タンパク質と結合する固定化されたリン脂質細胞膜および小胞が挙げられる。生体特異的相互作用吸着剤は、上で述べたもののような、既知の特定の相互作用に依存している。吸着剤が利用できる生体特異的相互作用のその他の例は、当業者に容易に識別でき、本発明により意図される。
溶出成分の捕捉に利用される、もしくは適用可能な場合には、本発明の洗浄ステップのための固体支持体として働くMSプローブは、本発明の質量分析装置の導入口システムおよび検出器などの様々な部品との使用に適合するような形状にできる。例えば、このプローブを連続的に変化した位置にプローブを水平方向および/または垂直方向に移動させる、水平方向におよび/または垂直方向に並進可能なキャリッジに装着させるように適合させることができる。これにより、手によるプローブの再位置決めの必要なしに、吸着剤表面の異なる位置に結合した成分の分析が可能である。プローブは市販されており、購入可能である(例えば、ProteinChip(登録商標),Ciphergen Biosystems,フレモント、カリフォルニア州)。このプローブは、多様な材料で構成されてもよい。プローブ材料は、質量分析装置のイオン化源への曝露の結果として、試料成分と反応しないこと、ならびにプローブの表面に位置する試料を構成する分子種および吸着剤を外部に放出しないことが必要である。プローブ材料としては、絶縁材料(例えば、酸化ケイ素などのガラス、プラスティック、セラミックなど)、半導体材料(例えば、シリコンウェハー)、導電性材料(例えば、ニッケル、黄銅、鋼鉄、アルミニウム、金のような金属、あるいは導電性高分子)、有機高分子、生体高分子、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるがこれに限定されるものではない。プローブ材料は、固体または多孔性であってもよい。本発明の実施形態において利用に適したプローブ材料は、例えば、米国特許第5,617,060号明細書(HutchensおよびYip)および国際公開第98/59360号パンフレット(HutchensおよびYip)でも記載されている。
(VI.ロードされたSELDI−MSプローブの調製および質量分析法による分析)
(A.試料調製)
MS分析の前に、MS基質材料を、MSプローブ上の吸着剤に結合した試料に添加しなければならない。MS基質は、イオン化源、例えば、気相イオンスペクトロメーターからのエネルギーの吸収を補助することができ、さらにプローブ表面から試料成分の脱離を補助することができる。MS−基質は、吸着剤に結合した目的とする分子のイオン化および気化が可能であり、さらに、イオン化源のエネルギーの一部を吸収することができ、これによりイオン化源による分析すべき試料分子の断片化を防止する任意の適切な材料である。基質の吸収スペクトルは、使用されるレーザパルスの周波数とオーバーラップする必要がある。基質は、同時にイオン化エネルギーの沈滞を可能にしながら、安定性を保つ必要がある。基質は、分析する試料と反応(修飾)するべきではない。また分析期間と不相応な速度で昇華してはならない。最後に、基質は試料材料のイオン化を可能とする適切な化学特性を有する必要がある。一般的なMS−基質としては、ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)、シナピン(sinapinic)酸、ゲンチジン酸、トランス−3−インドールアクリル酸(IAA)、桂皮酸、ニコチン酸、およびバニリン酸が挙げられる。MS基質に関するさらなる説明については、例えば、米国特許第5,719,060号明細書(HutchensおよびYip)参照。
任意の適切な方法でMS基質を多成分生物学的複合体成分に加えることができる。例えば、MS基質を試料と混合し、この混合物を吸着剤表面に配置する。別の実施例では、吸着剤表面を試料と接触させる前にMS基質を吸着剤表面に配置できる。別の実施例では、吸着剤表面をMS基質と接触させる前に試料を吸着剤表面に配置できる。続いて、吸着剤表面に結合した成分は、以下に詳細を述べるように脱着され、イオン化され、検出される。
あるいは、プローブは、エネルギー吸収分子層がプローブ表面に付着しているSENDプローブでも可能である。このプローブはSENDプローブ単独でも可能であり、あるいは吸着剤を含み得、そしてSEACとSENDモードとの両方で機能し得る。
(B.脱着/イオン化、および検出)
MSプローブの吸着剤表面で結合した多成分生物学的複合体成分は、質量分析法を用いて脱着しイオン化され得る。あらゆる好ましいイオン化質量分析装置、例えば気相イオンスペクトロメーターを、吸着剤と結合した異なる多成分生物学的複合体成分が分離されることが可能となる限り利用できる。代表的な質量分析装置では、吸着剤と結合した多成分生物学的複合体成分を運ぶMSプローブは、質量分析装置の導入口システム内に導入される。成分は続いて、レーザ、高速原子衝撃、高エネルギープラズマ、エレクトロスプレーイオン化、熱スプレーイオン化、液体2次イオンMS、電場脱離などの脱着源により脱着される。生成した脱着気化された化学種は、脱離事象の直接的な結果としてイオン化された既製のイオンまたは中性物質より構成される。生成したイオンは、イオン光学アセンブリにより収集され、次いで、質量分析装置により通過するイオンが分散され、分析される。質量分析装置を出るイオンは、適切な検出器によって検出される。続いて、検出器は検出されたイオンの情報を質量電荷比に変換する。多成分生物学的複合体成分の存在の検出には、一般に信号強度の検出が含まれる。質量分析装置のあらゆる部品(例えば、脱離源、質量分析装置、検出器など)は、本明細書中で述べた、あるいはその他本発明の実施形態における従来技術において既知のその他の適切な部品と結合することができる。
本発明の実施形態では、レーザ脱離飛行時間型質量分析装置が使用されることが好ましい。レーザ脱離質量分析法では、多成分生物学的複合体成分を含むプローブ吸着剤が、導入口システムに導入される。経路成分は、イオン化源からレーザにより、気相内へ脱離しイオン化される。生成されたイオンは、イオン光学アセンブリーにより回収され、続いて飛行時間型質量分析計に収集され、イオンを短い高圧フィールドを通して加速させ、高真空チャンバー内で浮遊させる。高真空チャンバー内の遠端部において、加速されたイオンは、高感度な検出器表面に異なる時間に衝突する。飛行時間はイオンの質量の関数であるので、イオンの形成とイオンの検出器衝突との間経過時間を、特定の質量電荷比の経路成分の有無の同定のために利用できる。
別の実施形態において、多成分生物学的複合体成分を検出するためにイオン移動度スペクトロメーターを使用できる。イオン移動度スペクトロメーターの原理はイオン移動度の相違に基づいている。特に、イオン化により生成した試料のイオンは電場の影響下にあるチューブを通り、その相違、例えば、質量、電荷、または形状により異なる速度で移動する。イオン(一般には電流形態)は検出器で記録され、試料中の通過成分を同定するために利用できる。イオン移動度スペクトロメーターの利点の1つは、大気圧で操作することが可能なことである。
(VII 試験データおよび参照データとの比較、ならびに相違マップの生成)
試験試料中の多成分生物学的複合体が正常であるかどうかを判定するために、試験試料中の多成分生物学的複合体成分の脱離および検出によって生成されたデータを対照データと比較することができる。対照データとは、多成分生物学的複合体において欠陥のまったく認められないことが判明している正常な細胞またはヒトからの同等の試料より得られるデータをいう。分析されるそれぞれの多成分生物学的複合体成分について、正常試料から同じ成分の参照量を測定する。正常な細胞または集団で認められる成分の量的変動が反映されるように、複数の正常細胞またはヒトから採取した有意な数の試料に基づいて、それぞれの成分の対照量が測定されることが好ましい。
特定の成分の対照量と比較してこの成分の試験量が有意に増加、または減少した場合は、これは試験試料は相当する多成分生物学的複合体に欠陥があるということを示す陽性指標である。例えば、多成分生物学的複合体に関連する成分の試験量が、対照量と比較して少なくとも1.5倍、2倍、5倍、あるいは10倍増加または減少すると、この試験試料はその多成分生物学的複合体に欠陥を有していることを示している。いくつかの状況では、欠陥が重度である場合、多成分生物学的複合体のある成分が検出できない可能性がある。
(VIII.用途)
上述のデータ分析方法を使用すると、本発明により、複合体成分の間での結合親和性の微妙な変化を含むあらゆる多成分生物学的複合体の組成の変化を検出することが可能となる。成分結合と複合体組成のこのような変化は、疾患状態と関連することが多い。疾患状態と関連する多成分生物学的複合体の組成および成分親和性の変化の事例としては、血友病、糖尿病、および多くの形態の癌が挙げられる。
多成分生物学的複合体から放出された、それぞれの成分を抽出する溶出洗浄溶液の特性を監視することによって、本発明は、多成分生物学的複合体内の個々の成分間の複合体内親和性を評価するための洗練された方法も提供する。この評価は、SELDI−MSプローブの使用によりさらに強化される。SELDI−MSプローブにより、どのSELDI−MSプローブ吸着剤がどの成分と結合するか、およびどのような親和性を示すかを記録することにより、個々の多成分生物学的複合体成分の結合特性に関するより詳細な見識を提供できる様々な吸着剤の化学情報が得られる。
(定義)
他に定義のない限り、本明細書中で使用されたすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解されている意味を有する。以下の参考文献は、本発明で使用した多くの用語の一般的な定義を当業者に提供する。シングルトンら(Singleton et al.),微生物学および分子生物学用語辞書(Dictionary of Microbiology and Molecular Biology)第2版、1994年;ケンブリッジ科学技術用語辞典(The Cambridge Dictionary of Science and Technology)ウォーカー編、1988年(Walker ed.,1988);遺伝学用語集、第5版、R.リーガーら編(The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.),スプリンガー出版社(Springer Verlag)1991年;ならびにヘイルおよびマルハム(Hale&Marham),ハーパーコリンズ生物学辞典(The Harper Collins Dictionary of Biology)1991年。本明細書で使用される以下の用語は、別に指定のない限りこれらの文献で定義された意味となる。
「気相イオンスペクトロメーター」は、気相イオンを検出する装置を指す。気相イオンスペクトロメーターは、気相イオンを供給するイオン化源を備える。気相イオンスペクトロメーターとしては、例えば質量分析装置、イオン移動度スペクトロメーター、およびトータルイオン流計測装置が含まれる。「気相イオンスペクトロメトリー」は、気相イオンを検出するための気相イオンスペクトロメーターの使用を意味する。
「質量分析装置」は、気相イオンの質量電荷比に変換することのできるパラメータを測定する気相イオン気相イオンスペクトロメーターを表す。質量分析装置は一般にイオン化源および質量分析計を備える。質量分析装置の例としては、飛行時間型、磁場セクター、四重極フィルター、イオントラップ、イオンサイクロトロン共鳴、静電セクターアナライザー、およびこれらのハイブリッドが挙げられる。「質量分析法」は、気相イオンを検出するための質量分析装置の使用を意味する。
「レーザ脱離質量分析装置」は、分析物を脱着し、揮発させ、イオン化させるためにレーザエネルギーを利用する質量分析装置を表す。
「タンデム質量分析装置」は、2つの連続するステージでm/zベースの識別を行う能力があり、あるいはイオン混合物中のイオン類を含むイオンの測定を行うあらゆる質量分析装置を表す。この表現には、2つの連続するステージでm/zベースの識別を行うことの可能な、あるいは空間がタンデムでイオンの測定を行うことの可能な、2つの質量分析計を有する質量分析装置が含まれる。この表現には、さらに2つの連続するステージでm/zベースの識別を行うことの可能な、あるいは時間がタンデムでイオンの測定を行うことの可能な、1つの質量分析計を有する質量分析装置も含まれる。従って、この表現には明らかにQq−TOF質量分析装置、イオントラップ質量分析装置、イオントラップTOF質量分析装置、TOF−TOF質量分析装置、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置、静電セクター−磁場セクター質量分析装置、およびこれらの組み合わせが含まれる。
「質量分析計」は、気相イオンの質量電荷比に変換することのできるパラメータを測定する手段を備える質量分析装置のサブアセンブリーを表す。飛行時間型質量分析装置では、質量分析計はイオン分光アセンブリー、飛行チューブ、およびイオン検出器を備える。
「イオン化源」は、気相イオンを提供する気相イオンスペクトロメーターのサブアセンブリーを表す。一実施形態において、イオン化源は脱離/イオン化プロセスを通してイオンを提供する。このような実施形態では、一般に、イオン化エネルギー源(例えば、レーザー脱離/イオン化源)に対して呼び掛け可能な(interrogatable)関係、および気相イオンスペクトロメーターの検出器との大気圧または準大気圧下での同時通信に、1つのプローブを位置的に関与させるプローブインターフェースが含まれる。
固相から分析物を脱離/イオン化させるためのイオン化エネルギー形態には、例えば、(1)レーザーエネルギー、(2)高速原子(高速原子衝撃に利用される)、(3)放射性核種のβ崩壊を介して生成された高エネルギー粒子(プラズマ脱離に利用される)、および(4)2次イオンを生成する1次イオン(2次イオン質量分析法で利用される)が挙げられる。固相分析物のためのイオン化エネルギーの好ましい形態は、レーザー(レーザ脱離/イオン化で使用される)、特に窒素レーザー、Nd−Yagレーザー、およびその他のパルスレーザー源である。「フルエンス」は、呼び掛けされたイメージの単位面積当たりに送達されたエネルギーを表す。レーザーのような高フルエンス源は、約1mJ/mmから50mJ/mmを送達する。一般に、試料はプローブの表面に配置され、このプローブは、プローブインターフェースと連結され、プローブ表面はイオン化エネルギーに衝突される。このエネルギーにより、分析分子が表面から気相内へ脱離され、イオン化される。
分析のためのイオン化エネルギーのその他の形式としては、例えば、(1)気相中性物質をイオン化する電子、(2)気相、固相、または液相中性物質からイオン化を誘発する強い電場、および(3)固相、気相、および液相中性物質の化学イオン化を誘発するために中性化学物質とイオン化粒子または電場との組み合わせを印加する源が挙げられる。
本発明の文脈における「プローブ」は、気相イオンスペクトロメーター(例えば、質量分析装置)のプローブインターフェースに関与し、そしてイオン化および質量分析装置などの気相イオンスペクトロメーターへの導入のために、分析物にイオン化エネルギーを与えることに適用させたデバイスを表す。「プローブ」は一般に、分析物がイオン化エネルギー源に与えられる試料提示表面を含む固体基質(柔軟または硬い)を備える。「MSプローブ」は質量分析装置のためのプローブである。
「表面増強親和性捕捉」(「SEAC」)または「親和性捕捉質量分析」は、吸着剤表面を含むプローブ(「SEACプローブ」または「親和性捕捉プローブ」)の使用が関与するSELDIの一種である。「吸着剤表面」は、吸着剤(「捕捉試薬」または「親和性試薬」とも呼ばれる)が結合する表面を表す。吸着剤は、分析物(例えば標的ポリペプチドまたは核酸)と結合する能力のあるあらゆる物質である。「クロマトグラフィー吸着剤」は、一般にクロマトグラフィーで使用する物質をいう。クロマトグラフィー吸着剤には、例えば、イオン交換材料、金属キレート剤(例えば、ニトリロ酢酸またはイミノ二酢酸)、固定化金属キレート、疎水性相互作用吸着剤、親水性相互作用吸着剤、色素、単純な生体分子(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸、単純な糖、および脂肪酸)、および混合モード吸着剤(例えば、疎水性誘引/静電相反吸着剤)、が挙げられる。「生体特異性吸着剤」は、生体分子、例えば、核酸分子(例えば、アプタマー)、ポリペプチド、多糖類、脂質、ステロイド、またはこれらの結合体(例えば、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質)を含む吸着剤を意味する。特定の例においては、生体特異性吸着剤は、複数タンパク質の複合体、生体膜、またはウイルスなどの高分子構造であることができる。生体特異性吸着剤は一般に、クロマトグラフィー吸着剤よりも標的分析物に対してより高い特異性を有している。SELDIに使用するのための吸着剤に関するさらなる例は、米国特許6,225,047号明細書(Hutchens and Yip,「Use of retentate chromatography to generate difference maps,」5月1日,2001)で見られる。いくつかの実施形態において、SEACプローブは、選定される吸着剤を提供するために修飾することができる事前に活性化された表面として提供される。例えば、あるプローブは、共有結合性を通して生体分子と結合する能力がある反応部分を提供される。エポキシドとカルボジイミダゾールは、抗体または細胞受容体などの生体特異性吸着剤と共有結合する有用な反応部分である。
「アフィボディ(Affybody)」または「Affibody(登録商標)」は、細菌性受容体構造に由来する小さな頑健なタンパク質を意味し、事実上あらゆる分子部分と結合するために操作され得る。アフィボディはアフィボディ(Affibody),Teknikringen 30,floor 6,Box 700 04,ストックホルムSE−10044、スウェーデン、電話:46−08−790−6595,ファックス:46−08−790−6538より市販されており、米国特許第5,831,012号の主題である。
「特異的結合」という表現は、生体分子の異種集団における抗原決定基の存在の決定要素である結合反応を意味する。分子がバックグランド分子のモル量の少なくとも2倍のモル量、より一般には10から100倍結合する場合に、分子は抗原決定基と特異的に結合すると言われている。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、抗原の抗原決定基と特異的に結合する抗体を選択するために一般に使用される(例えば、特異的結合を決定するために使用され得るイムノアッセイの形式および条件の記載については、HarlowおよびLane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988)参照)。ELISAフォーマットおよび抗原決定基と特異的に結合している抗体では、少なくとも2倍のバックグランド信号、より一般には10〜100倍をこえるバックグランド信号を生成する。
好ましい実施形態において、親和性質量分析法では、SELDIプローブの吸着剤表面に分析物を含む液体試料を塗布する操作が含まれる。吸着剤に対する親和性を有するポリペプチドなどの分析物は、プローブ表面に結合する。一般に、続いて保持された分子を残して未結合分子を除去するため表面を洗浄する。分析物の保持範囲は、使用される洗浄液のストリンジェンシーに依存する。次に、エネルギー吸収材料(例えば基質)を吸着剤表面に塗布する。続いて、保持された分子はレーザ脱離/イオン化質量分析法によって検出される。
SELDIはタンパク質プロファイリングに有用であり、この方法では1つまたは複数の異なるSELDI表面を用いて、試料中のタンパク質が検出される。次に、タンパク質プロファイリングは、異なる試料のタンパク質プロファイルを比較し、試料間におけるタンパク質発現の相違を検出する、相違マッピングに有用である。
「吸着」は、分析物の吸着剤または捕捉試薬に対する検出可能な非共有結合性結合を表す。
「表面増強ニート脱離」または「SEND」は、プローブ表面に付着したエネルギー吸収分子層を備えるプローブ(「SENDプローブ」)の使用を含むSELDIの一種である。例えば、付着は共有結合または非共有結合性化学的結合によるものであることができる。SENDにおける分析物は、従来のMALDIと異なり、脱離/イオン化のためのエネルギー吸収分子の結晶基質内では捕捉されない。「エネルギー吸収分子」(「EAM」)は、レーザ脱離/イオン化源からエネルギーを吸収し、その後、それと接触する分析物分子の脱離およびイオン化に寄与する能力がある分子を意味する。この表現は、「基質」呼ばれることが多いMALDIに使用される分子を含み、明らかにケイ皮酸誘導体、シナピン(sinapinic)酸(「SPA」)、シアノ−ヒドロキシ−ケイ皮酸(「CHCA」)、ジヒドロキシ安息香酸、フェルラ酸、ヒドロキシアセトフェノン誘導体、同様な他の物質が含まれる。それはSELDIで使用されるEAMも含む。ある実施形態においては、エネルギー吸収分子が線状、または架橋ポリマー、例えばポリメタクリレートに組み込まれている。例えば、組成はα−シアノ−4−メタクリルオキシケイ皮酸とアクリレートの共重合体であることができる。別の実施形態において、この組成は、α−シアノ−4−メタクリルオキシケイ皮酸と、アクリレートと、3−(トリメトキシ)シリルプロピルメタクリレートとの共重合体である。別の実施形態において、この組成は、α−シアノ−4−メタクリルオキシケイ皮酸とオクタデシルメタクリレートからなる共重合体(「C18SEND」)である。SENDは米国特許第5,719,060号明細書、および2002年9月4日に出願された米国特許出願第60/408,255号明細書(キタガワKitagawa,「分析物の脱離/イオン化に利用されるエネルギー吸収部分を有するモノマーおよびポリマー」「Monomers And Polymers Having Energy Absorbing Moieties Of Use In Desorption/lonization Of Analytes」)に、より詳細に議論されている。
「表面増強感光性付着および遊離」または「SEPAR」は、分析物と共有結合できる表面に付着し、次いで、例えばレーザー光などによる露光後にこの部分中の感光性結合を切断することで分析物を放出する部分を有するプローブの使用を含むSELDIの一種である。SEPARは、米国特許第5,719,060号明細書でより詳しく述べられる。
SEAC/SENDは捕捉試薬およびエネルギー吸収分子の両者が、試料を提示する表面に付着するSELDIの一種である。したがってSEAC/SENDプローブは、外部基質の適用の必要なしに親和性捕捉および脱離を介して分析物の捕捉が可能である。C18 SENDバイオチップは、捕捉試薬として機能するC18部分とエネルギー吸収部分として機能するCHCA部分とを含むSEAC/SENDの一種である。
「溶離液」または「洗浄溶液」とは、吸着剤表面に対して分析物の吸着に影響及ぼすかまたは修正するため、および/または未結合の物質を表面から除去するために使用する代表的には溶液である試薬をいう。溶離液の溶出特性は、例えば、pH、イオン強度、疎水性、カオトロピズムの程度、界面活性強度および温度に依存する。
「分析物」とは、検出が望まれる試料の任意の成分をいう。この用語は試料中の単一成分または複数の成分をいい得る。
親和性捕捉プローブの吸着面に吸着された試料の「複雑さ」とは、吸着される異なるタンパク質種の数を意味する。
「分子結合パートナー」および「特異的結合パートナー」とは、分子対、代表的には特異的な結合を示す生体分子対をいう。分子結合パートナーとしては、受容体とリガンド、抗体と抗原、ビオチンとアビジンおよびビオチンとストレプトアビジンが挙げられるが、これらに限定されない。
「多成分生物学的複合体」とは、異なる遺伝子、同じヌクレオチド配列の読み取りフレームを含む種々の遺伝的要素、種々の分子量または体積を有する種々の遺伝的要素ならびに改変体をスプライスする種々のmRNAの生成物を含む転写後処理を受けた改変体または種々のクラスの生体分子に属し、このクラスがタンパク質、単糖、炭水化物、脂質と脂肪およびヌクレオチドと核酸である、異なる遺伝的要素によりコードされている2つ以上の成分を含む任意の生体分子複合体をいう。
「小さな有機分子」とは、一般的に医薬品で使用されている有機分子と比較し得るサイズの有機分子をいう。本明細書で使用される小さな有機分子は代表的には、約5000Daまで、約2500Daまで、約2000Daまで、約1000Daまでの大きさの範囲である。
「平衡洗浄」または「初期洗浄溶液」とは、偶発的に結合(一般にその適用が設計されたもの以外に関する機序を介した結合を意味する)しているか、またはまったく結合していない試料の分画のみを除去するために設計された洗浄溶液をいう。代表的に、最初の洗浄溶液は、室温で生理学的イオン強度およびpHを有するものである。対照的に、「溶出洗浄溶液」は、固体支持体に結合した試料の一部またはすべてを解離させるために設計された洗浄溶液である。「溶出洗浄」は代表的に、生理学的条件とは異なるイオン強度および/もしくはpH値を有するか、または生体分子の相互作用を中断するように設計された付加成分を有する(すなわちそれらは初期洗浄溶液よりも、よりストリンジェントな溶液である)。生体分子の相互作用を中断する代表的な付加成分としては、カオトロピック塩、グリセリン、両性イオンを含む多価イオンおよび両性電解試薬などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の文脈中での「ストリンジェント」とは、所定の多サブユニット複合体で存在するいくつかまたはすべての生体分子相互作用に対する所定の溶液の中断特性をいう。溶液のストリンジェンシーの増加は、例えば、多サブユニット複合体の生体分子の相互作用を中断することのできる1つの様式におけるその組成の変化、すなわち、「初期洗浄溶液」のために存在する条件から離れて、溶液の化学的および/または物理的特性を変化させることをいう。
「pHベースの溶離液」とは、pH(すなわち電荷)に基いた吸着剤の選択性を改変させる溶離液である。それらとしては、公知のpH緩衝液、酸性溶液および塩基性溶液が挙げられる。特定のpH緩衝液を用いて所定の吸着剤に結合した分析物を洗浄することにより、電荷は改変され得、従って特定のpH緩衝液の存在下での吸着剤と分析物間の結合強度は検証され得る。溶離液のpHでは、吸着剤に対して他の物質ほど競争的でないこれらの分析物は、溶離液のpHにおいて吸着剤とより強く結合する分析物のみの結合を残して、吸着剤から脱離し、溶離する。pHベースの溶離液のストリンジェンシーは、酸または塩基の濃度に依存する。
「イオン強度に基いた溶離液」とは、種々のタイプの塩溶液を含むイオン強度および濃度について吸着剤の選択性を改変させる溶離液である。溶離液における可溶化された塩の量は、溶離液のイオン強度に影響を及ぼし、それに応じて吸着剤の結合能を改変する。低濃度の塩を含む溶離液は、イオン強度に関連して、吸着剤の結合能をわずかに改変させる。高濃度の塩を含む溶離液は、イオン強度に関連して、吸着剤の結合能を大きく改変させる。
「水構造に基いた溶離液」とは、尿素およびカオトロピック塩溶液を含む水構造または濃度の変化により、吸着剤の選択性を改変させる溶離液である。代表的には、尿素溶液としては、例えば、濃度が0.1Mから8Mまでの範囲の溶液が挙げられる。溶離液を提供するために使用され得るカオトロピック塩としては、チオシアン酸ナトリウムが挙げられる。水構造ベースの溶離液は、水和による変化または水構造と結合することにより分析物と結合する吸着剤の能力を改変する。このタイプの溶離液としては例えば、グリセリン、エチレングリコールおよび有機溶媒が挙げられる。カオトロピック陰イオンは無極性成分の水溶性を増加させ、これにより分析物と吸着剤との間の疎水性相互作用を減少させる。
「洗浄剤に基いた溶離液」とは、表面張力および分析物の構造に関して吸着剤の選択性を改変する溶離液であり、洗浄剤および界面活性剤が挙げられる。溶離液としての使用に適切な洗浄剤としては、CHAPS,TWEENおよびNP−40などのイオン性および非イオン性洗浄剤が挙げられる。洗浄剤ベースの溶離液は、洗浄剤の疎水性基および親水性基が導入される場合、疎水性相互作用が改変されるので、分析物と結合する吸着剤の能力を改変する。分析物と吸着剤との間、および分析物内での疎水性相互作用が改変され、電荷基、例えばSDSなどのイオン性洗浄剤によるタンパク質変性が導入される。
「疎水性に基いた溶離液」とは、比誘電率に関連して吸着剤の選択性を改変させる溶離液であり、これらの溶離液は疎水性相互作用に関連して吸着剤の選択性を改変させる。この能力で機能する適切な溶離液の例としては、有機溶媒(例えば、プロパノール、アセトニトリル、エチレングリコールおよびグリセリン)、チオフィリック塩類(thiophilic salt)(例えば、硫酸アンモニウム)および上述のような洗浄剤などが挙げられる。溶離液としてのアセトニトリルの使用は、逆相クロマトグラフィーにおいて代表的である。溶離液へのエチレングリコールの含有は、チオフィリック吸着剤による塩促進相互作用由来の免疫グロブリンの溶離に効果的である。
「モニタリング」とは、連続的に変化するパラメータの変動を記録することをいう。
Ciphergen Biosystemsによって製造されたタンパク質バイオチップは、アドレス可能な位置にクロマトグラフィー吸着剤または生体特異的吸着剤を付着させた表面で構成される。Ciphergen ProteinChip(登録商標)アレイとしては、NP20、H4、H50、SAX−2、Q10、WCX−2、CM10、IMAC−3、IMAC30、LSAX−30、LWCX−30、IMAC−40、PS−10、PS−20およびPG−20が挙げられる。これらのタンパク質バイオチップは、ストリップの形状でアルミニウム基質を含む。このストリップの表面は二酸化ケイ素でコートされている。
NP−20バイオチップの場合、酸化ケイ素は、親水性タンパク質を補足するための親水性吸着剤として機能する。
H4、H50、SAX−2、Q10、WCX−2、CM10、IMAC−3、IMAC30、PS−10およびPS−20バイオチップは、さらにバイオチップの表面に物理的に付着、またはバイオチップの表面にシランを介して共有結合的に付着した、ヒドロゲルの形式で官能基化された架橋ポリマーで構成されている。H4バイオチップは疎水性結合のためのイソプロピル官能基を有する。H50バイオチップは、疎水性結合のためのノニルフェノキシ−ポリ(エチレングリコール)メタクリレートを有する。SAX−2およびQ10バイオチップは、陰イオン交換のための4級アンモニウム官能基を有する。WCX−2およびCM10バイオチップは、陽イオン交換のためのカルボン酸官能基を有する。IMAC−3およびIMAC30バイオチップは、キレート化によって、Cu++およびNi++などの遷移金属イオンを吸着させるニトリロ酢酸官能基を有する。これらの固定化された金属イオンは、配位結合によって、ペプチドおよびタンパク質の吸着を可能にする。PS−10バイオチップは、共有結合のためのタンパク質上の官能基と反応し得るカルボジイミダゾール官能基を有する。PS−20バイオチップは、タンパク質との共有結合のためにエポキシド官能基を有する。PSシリーズのバイオチップは、抗体、受容体、レクチン、ヘパリン、タンパク質A、ビオチン/ストレプトアビジンなどの生体特異性吸着剤を、試料から分析物を特異的に捕捉するために機能するチップ表面に結合させる場合に有用である。PG−20バイオチップは、タンパク質Gが付着しているPS−20チップである。LSAX−30(陰イオン交換)、LWCX−30(陽イオン交換)およびIMAC−40(金属キレート)バイオチップは、その表面に官能性ラテックスビーズを有する。このようなバイオチップは、WO00/66265(Richら、「Probes for a Gas Phase Ion Spectrometer」、2000年11月9日);WO00/67293(Beecherら、「Sample Holder with Hydrophobic Coating for Gas Phase Mass Spectrometer」、2000年11月9日);米国特許出願第09/908,518号(Pohlら、「Latex Based Adsorbent Chip」、2002年7月16日)および米国特許出願第60/350,110号(Umら、「Hydrophobic Surface Chip」、2001年11月8日)にさらに記載されている。
バイオチップ上で捕捉されると、分析物を、例えば、気相イオンスペクトロメトリー法、光学的方法、電気化学的方法、原子間力顕微鏡および高周波法から選択される種々の検出方法によって検出することができる。気相イオンスペクトロメトリー法は本明細書中に記載される。特に興味深いものは、質量分析法の使用であり、特にSELDIである。光学的方法としては例えば、蛍光、発光、化学発光、吸光度、反射率、透過率、複屈折係数または屈折係数の検出(例えば、表面プラズモン共鳴、偏光解析法、共振ミラー法、回折格子カプラー導波路法(grating coupler waveguide method)または干渉分光法)が挙げられる。光学的方法としては、顕微鏡(共焦点および非共焦点の両方)、イメージング法、および非イメージング法が挙げられる。種々のフォーマットのイムノアッセイ(例えば、ELISA)は、固相上に捕捉された分析物の検出に一般的な方法である。電気化学的方法としては、電解電流計法および電流測定法が挙げられる。高周波法は、多極共鳴分光法が挙げられる。
質量分析法におけるデータ生成は、イオン検出器によるイオンの検出により始まる。代表的なレーザ脱離質量分析計は、337.1nmの窒素レーザを使用することができる。有用なパルス幅は約4ナノ秒である。一般に、約1−25μJのパワー出力が使用される。検出器に衝突するイオンにより電位が発生し、アナログ信号をデジタル方式で捕捉する高速タイムアレイ記録装置によりデジタル化される。CiphergenのProteinChip(登録商標)システムでは、これを達成するためにアナログデジタルコンバーター(ADC)を使用する。ADCは一定の時間間隔で時間依存的ビンに検出器出力を積算する。時間間隔は代表的には、1〜4ナノ秒長である。さらに、最終的に分析された飛行時間型スペクトルは代表的には、試料に対するイオン化エネルギーの単一パルス由来の信号を表わしておらず、むしろ多数のパルスからの信号の総和を表している。これによりノイズが低減され、ダイナミックレンジを増加させる。この飛行時間型データは次いで、データ処理に供される。CiphergenのProteinChip(登録商標)ソフトウェアにおけるデータ処理としては代表的には、TOFからM/Zへの変換、ベースライン減算、高周波ノイズフィルタリングが挙げられる。
TOFからM/Zへの変換には、飛行時間の質量電荷比(M/Z)に変換するアルゴリズムの適用が含まれる。このステップでは、信号は時間ドメインから質量ドメインに変換される。すなわち、それぞれの飛行時間型は、質量電荷比またはM/Zに変換される。校正は内部または外部で行うことができる。内部校正では、分析試料は公知のM/Zの分析物を1つ以上含む。これらの一塊の分析物を代表する飛行時間における信号ピークは、公知のM/Zに割り当てられる。これらの割当てられたM/Z比に基づいて、飛行時間をM/Zに変換する数学的関数のためのパラメーターが計算される。外部校正では、事前の内部校正により得られた飛行時間をM/Zに変える関数を内部校正なしに飛行時間スペクトルに適用する。
ベースライン減算は、スペクトルを乱す人為的な再現性のある装置オフセットを削除することによってデータの定量性を改善する。ピーク幅などのパラメータを取り入れたアルゴリズムを利用してスペクトルベースラインを計算し、続いて質量分析スペクトルからベースラインを差し引くステップが含まれる。
高周波ノイズ信号は、平滑化関数(smoothing function)の適用により除去される。代表的な平滑化関数は、それぞれの時間依存的ビンに対する移動平均関数を適用する。改良版では、移動平均フィルターは、例えば、ピークバンド幅の関数としてフィルターのバンド幅が変動する可変幅デジタルフィルターであり、一般に飛行時間の増加とともに幅が広くなる。例えば、WO00/70648、2000年11月23日(Gavinら、「Variable Width Digital Filter for Time−of−flight Mass Spectrometry」)を参照のこと。
コンピュータは得られたスペクトルを表示するため種々のフォーマットに変換することができる。「スペクトル図またはリテンテートマップ(spectrum view or retentate map)」と呼ばれる1つのフォーマットでは、標準的なスペクトル図が表示され得、そのスペクトル図では、それぞれの特定の分子量において検出器に到達した分析物の量を表す。「ピークマップ(peak map)」と呼ばれる別のフォーマットでは、スペクトル図からピーク高さおよび質量情報のみが保持され、より明瞭なイメージを産生し、およびほぼ同じ分子量の分析物をより容易に可視化できる。さらに「ゲルビュー(gel view)」と呼ばれる別のフォーマットでは、ピーク図からのそれぞれの質量をそれぞれのピークの高さに基いて、グレースケールイメージに変換でき、その結果、電気泳動ゲル上のバンドに類似した外観が生じる。さらに「3Dオーバーレイ(3−D overlays)」と呼ばれる別のフォーマットでは、相対ピーク高さのわずかな変化を調べるためにいくつかのスペクトルを重ね合わせることができる。さらに「差分マップビュー(difference map view)」と呼ばれる別のフォーマットでは、2つ以上のスペクトルを比較し、独自の分析物、および試料間でアップダウン規制された分析物を好都合なことに強調することができる。
分析は一般に分析物からの信号を表すスペクトル中のピークの同定を含む。当然のことながら、ピークの選択は視覚的に行うことができる。しかしながら、ソフトウェアは、ピークの検出を自動で可能なCiphergenのProteinChip(登録商標)ソフトウェアの一部として利用できる。一般に、このソフトウェアは、選択された閾値をこえる信号対ノイズ比を有する信号を同定し、ピーク信号の中心におけるピークの量を標識することにより機能する。1つの有用な用途において、質量スペクトルのいくつかの選択された割合で存在する同一のピークを同定するために多数のスペクトルを比較する。このソフトウェアの1バージョンでは、種々のスペクトルで現れる規定された質量範囲内のすべてのピークを集め、質量(M/Z)クラスターの中心点の近くにあるすべてのピークに対して質量(M/Z)を割り当てる。
1つ以上のスペクトルからのピークデータを、例えば、各行は特定の質量スペクトル、各列は質量により規定されたスペクトル中のピークを表し、各セルは特定のスペクトルのピーク強度を含む表計算ソフトを開発することにより、さらに詳細な分析に提供し得る。種々の統計学的またはパターン認識アプローチをデータに適用し得る。
本発明の実施形態において生成されるスペクトルは、分類モデルを使用するパターン認識プロセスを用いて分類することができる。一般に、スペクトルは、分類アルゴリズムが求められる少なくとも2つの異なるグループ由来の試料を表す。例えば、そのグループは、病理学的対非病理学的(例えば、癌対非癌)、薬剤応答者対薬剤非応答者、毒性反応対無毒性反応、疾患状態の進行者対疾患状態の非進行者、表現型状態あり対表現型状態なし、である可能性がある。
いくつかの実施形態では、「公知試料」などの試料を用いて生成されるスペクトル(例えば、マススペクトルまたは飛行時間スペクトル)由来のデータは、従来モデルを「トレーニングする」ために使用できる。「公知試料」は事前に分類される試料である。このスペクトル由来の、分類モデルを形成するために使用されるデータは、「トレーニングデータセット」と呼ばれ得る。一度トレーニングされると、分類モデルは、未知試料を用いて生成されたスペクトル由来のデータのパターンを認識できる。以降、この分類モデルを未知試料をクラス分類するため使用することができる。これは、例えば、特定の生体試料が、ある生物学的条件(例えば、疾患対非疾患)に関連があるか否かを予測する場合に有用である可能性がある。
分類モデルを形成するために使用されるこのトレーニングデータセットは、生データあるいは処理データで構成してもよい。いくつかの実施形態では、生データは飛行時間スペクトルまたは質量スペクトルから直接得ることができ、上述のように必要に応じて「事前処理」してもよい。
分類モデルは、そのデータ内に存在する目的のパラメータに基いて、複数のクラスにデータ本体を分離することを試みる任意の適切な統計的分類(または「学習」)法を利用して形成できる。分類方法は、監視、または非監視で行う。監視および非監視の分類プロセスの例は、Jain,「Statistical Pattern Recognition:A Review」,IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, Vol.22,No.1,2000年1月で記載されており、その全体が参照として本願明細書に援用される。
監視分類では、公知のカテゴリーの例を含むトレーニングデータは学習機構に呈示され、そこでそれぞれの公知のクラスを定義する関連性の1つ以上のセットを学習する。新しいデータは、続いて、学習機構に適用され、学習した関連性を使用してこの新しいデータを分類する。監視分類プロセスの例としては、線形回帰プロセス(例えば、多重線形回帰(MLR)、部分最小二乗(partial least square)(PLS)回帰および主成分回帰(PCR))、二分決定木(例えば、CART−分類および回帰ツリーなどの再帰的分配プロセス(recursive partitioning process))、逆伝達ネットワークなどの人工神経ネットワーク、判別分析(例えば、Bayesian分類またはFischer分析)、ロジスティック分類および支持ベクター分類(支持ベクターマシン)などが挙げられる。
好ましい監視分類方法は、再帰的分配プロセスである。再帰的分配プロセスでは、未知試料から得られたスペクトルを分類するために、再帰的分配ツリーを利用する。再帰的分配プロセスに関するさらなる詳細は、2000年11月16日出願の米国仮特許出願第60/249,835号、2000年12月11日出願の同第60/254,746号、2001年11月15日出願の米国特許本出願第09/999,081号および2002年2月25日出願の同第10/084,587号に記載されている。これらすべての米国仮特許出願および本特許出願は、全ての目的に関してその全体が参照として援用される。
他の実施形態において、この生成された分類モデルは、非監視の学習方法を使用して形成され得る。非監視の分類では、トレーニングデータセットに由来するスペクトルを事前に分類することなしに、トレーニングデータセットの類似性を基に分類を学習することを試みる。非監視の学習方法としてはクラスター分析が挙げられる。クラスター分析では、データを「クラスター」に、もしくは理想的には互いに非常に類似した構成要素を有するが、他のクラスターの構成要素とはあまり類似していないと予想される群に分割することを試みる。次に、データ項目間の距離を測定する距離関数を用いて類似度を計測し、さらに互いに緊密なデータ項目を一緒にクラスターとする。クラスター形成テクニックとしては、MacQueen’s K−meansアルゴリズムおよびKohonen’s Self−Organizing Mapアルゴリズムが挙げられる。
分類モデルはあらゆる適切なデジタルコンピュータ上で形成され、そして使用される。適切なデジタルコンピュータとしては、Unix(登録商標)、Windows(登録商標)(商標)あるいはLinux(商標)をベースとしたオペレーティングシステムなどの任意の標準または特別なオペレーティングシステムを使用するマイクロ、ミニ、あるいは、大型コンピュータが挙げられる。使用されるデジタルコンピュータは、目的のスペクトルを得るために使用する質量分析装置から物理的に分離してもよく、質量分析装置と連結してもよい。
本発明の実施形態に従ったトレーニングデータセットおよび分類モデルは、デジタルコンピュータによって実行されるか、または使用されるコンピュータコードにより具現化することができる。コンピュータコードは任意の適切なコンピュータ読み取り可能メディアに保存でき、そのメディアとしては、光学式または磁気ディスク、スティック、テープなどのが挙げられ、C、C++、ビジュアルベーシックなどを含む任意の適切なコンピュータプログラム言語により記述できる。
本明細書に引用されるすべての出版物および特許出願は、それぞれの出版物または特許出願が個々に具体的に参照として援用されることが示されるように、参照として本明細書に援用される。
前述の発明は、明瞭性および理解のために、説明および実施例を介して、ある程度詳細に記載されたが、当業者には、本発明の教示内容に照らして、添付されている特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、いくつかの変更および修正を本発明になし得ることは容易に明らかである。
上に提供した開示から理解し得るように、本発明には多種多様な用途を有する。したがって、以下の実施例は、説明のために提示されるものであり、決して本発明を限定するものと解釈されることを意図しない。当業者は、本質的に類似した結果を生み出すように変更または修正され得る重要でない種々のパラメータを容易に認識するであろう。
図1は固定化されたベイト分子(bait molecule)に結合している多成分生物学的複合体を示すイラストである。一度結合し、固定化された多成分生物学的複合体は、固定化された成分からこの複合体のサブユニットが差次的に切り離され、ストリンジェンシーの増加する溶出洗浄溶液で洗浄されたものとして示される。切り離されたサブユニットは、タンパク質チップアレイ上に捕捉されていることが示され、質量分析法によって分析される。固定化されたベイト分子と結合したままの多成分生物学的複合体の成分は、遊離された成分に代わって、あるいはそれに加えて質量分析法よっても分析され得る。 図2は分析すべき多成分生物学的複合体内に存在する分子の相互作用の種類を図示する生化学的形質マップを得るための方法論を示す。 図3は多成分生物学的複合体内における分子の相互作用に基づく疾患状態の診断を可能とする方法論を示す。図中、疾病組織からの多成分生物学的複合体は、多成分生物学的複合体内で生体分子の相互作用の性質または大きさが変化したために疾患のない状態では存在する失われた成分として表示される。結合の増加に加え減少によって、あるいは親和性の変化に起因する成分の異常な結合により疾患状態を生じ得ると認識される。 図4は、成分間の相互作用をマップするための固定化された多成分生物学的複合体を含む単一アリコート上で勾配を形成する連続的な溶出洗浄セットを使用する方法を示す。 図5は、図4の方法を使用して異なる種類の試料間における成分の発現相互作用相違マップを生成する方法を示す。これは、試料間で異なる洗浄において溶出されるべき1つの成分を示す。 図6は、異なる種類の試料間における成分の発現相互作用相違マップを生成するための図4の手法を利用する方法を示す。これは、試料間で同一の洗浄において一成分が溶出されることを示すが、1つの試料の変性のため異なる質量を呈する。 図7は、成分間の相互作用をマップするための同一の固定化された多成分生物学的複合体を含む異なったアリコート上で勾配を形成する一連の溶出洗浄を利用する方法を示す。 図8は、図7の方法を使用して異なる種類の試料間における成分の発現相互作用相違マップを生成する方法を示す。これは、試料間で異なる洗浄で一成分が溶出されることを示す。 図9は、図7の方法を使用して異なる種類の試料間における成分の発現相互作用相違マップを生成する方法を示す。これは、試料間で同一の洗浄において一成分が溶出されることを示すが、1つの試料の変性のため異なる質量を呈する。

Claims (53)

  1. 試料において少なくとも1つの多成分生物学的複合体の成分間の相互作用のプロファイルを作成する方法であって、該方法は、各複合体毎に、以下:
    (a)該試料からアリコートを提供するステップであって、該アリコートは、生体特異的親和性分子を介して固体支持体上に固定化された該試料由来の多成分生物学的複合体を含み、親和性分子が該複合体の第1の成分と結合し、未結合の物質が該固体支持体より除去されるステップ;
    (b)該固定化された複合体を溶出洗浄の第1の系統により洗浄するステップであって、系統のそれぞれの溶出洗浄における第1の溶質の濃度は増加または減少する濃度勾配を形成するステップ;および
    (c)連続した溶出洗浄において第2の成分を測定するステップであって、試料からの複合体のプロファイルは、溶出洗浄からの測定を包むステップ
    をを包含する、方法。
  2. 前記試料が、組織抽出物、細胞抽出物、血液、尿、リンパ液、in vitroタンパク質発現基質、およびそれらの派生物よりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1つの複合体が1つの複合体である請求項1に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つの複合体が複数の複合体であり、それぞれ生体特異性親和性試薬を介して結合された請求項1に記載の方法。
  5. 前記親和性分子が、抗体、単一鎖抗体、抗体の特異的に結合したフラグメント、アフィボディ、酵素、酵素基質、受容体、受容体リガンド、薬剤、核酸、またはアプタマーから選択される請求項1に記載の方法。
  6. 前記親和性分子が、前記複合体と結合する前に前記固体支持体に固定化されている請求項1に記載の方法。
  7. 前記親和性分子が、前記複合体と結合した後に前記固体支持体に固定化されている請求項1に記載の方法。
  8. 前記固体支持体がクロマトグラフィー樹脂である請求項1に記載の方法。
  9. 前記洗浄が非フロースルーデバイスで行われる請求項8に記載の方法。
  10. 前記非フロースルーデバイスが底の閉じたマイクロタイタープレートである請求項9に記載の方法。
  11. 前記洗浄がフロースルーデバイスで行われる請求項8に記載の方法。
  12. 前記フロースルーデバイスがマイクロタイタードリッププレート、フロースルーカラム、またはフロースルーマイクロカラムである請求項11に記載の方法。
  13. 前記固体支持体が、プローブ表面に付着した前記複合体を捕捉するための生体特異性捕捉試薬を含むSELDIプローブである請求項1に記載の方法。
  14. 最初の洗浄で非結合材料が除去される請求項1に記載の方法。
  15. 前記溶質はイオン、塩、洗浄剤、生体分子、または結合競争体から選択される請求項1に記載の方法。
  16. 試料の第2のアリコートにおける固定化された複合体を第2の溶出洗浄系統で洗浄するステップを包含する請求項1に記載の方法であって、第2の溶質が第1の溶質と異なる、方法。
  17. 前記第2の成分が、光学的方法、電気化学的方法、原子間力顕微鏡、または高周波法によって検出される請求項1に記載の方法。
  18. 前記第2の成分が質量分析法によって検出される請求項1に記載の方法。
  19. 前記質量分析法が親和性質量分析法である請求項18に記載の方法。
  20. 前記親和性質量分析法がSENDを含む請求項19に記載の方法。
  21. ステップ(b)の後で、前記生体特異的親和性分子を介して前記支持体上に依然固定化されている前記複合体の成分を測定するステップをさらに包含する請求項1に記載の方法であって、それによって前記プロファイルが該複合体の測定値をさらに含む、方法。
  22. 方法であって、以下:
    a)生体試料のセットを提供するステップであって、該セットは少なくとも2つのサブセットを含み、各サブセットが異なる生物学的特性によって特徴付けられるステップ;
    b)該セットにおける各試料の少なくとも1つの多成分生物学的複合体の成分の間の相互作用プロファイルを生成するステップであって、試料の複合体のプロファイルを生成するステップが、以下:
    (i)該試料からアリコートを提供するステップであって、該アリコートは、生体特異的親和性分子を介して固体支持体上に固定化された該試料由来の多成分生物学的複合体を含み、該親和性分子が該複合体の第1成分と結合しており、未結合の物質が該固体支持体より除去されるステップ;
    (ii)固定化された複合体を複数の連続した溶出洗浄で洗浄するステップであって、該連続した溶出洗浄における溶質の濃度は増加または減少する濃度勾配を形成するステップ;および
    (iii)該連続した溶出洗浄において第2の成分を測定するステップであって、試料からの該プロファイルは、それぞれのアリコートの該溶出洗浄溶液からの測定値を含むステップ、
    を含むステップ;ならびに
    c)それぞれのサブセットにおける成分間の相互作用の相違を検出するために該試料のプロファイルを比較するステップ
    を包含する、方法。
  23. 異なる生物学的特性が、病理学的対非病理学的、薬剤応答者対非応答者、毒性反応対無毒反応、および疾患状態の進行者対疾患状態の非進行者から選択される請求項22に記載の方法。
  24. 前記異なる生物学的特性は、阻害性RNAへの曝露または阻害性RNAへの非曝露である請求項22に記載の方法。
  25. ステップ(b)は、ステップ(ii)の後に、生体特異的親和性分子を介して支持体上に依然として固定化されている前記複合体の成分を検出するステップをさらに包含する請求項22に記載の方法であって、それによって前記プロファイルが該支持体からの測定値をさらに含む、方法。
  26. 前記方法は、前記試料からの第2のアリコート上でステップ(b)(i)〜(iii)を行うステップを包含する請求項22に記載の方法であって、前記溶出洗浄は第2の異なる溶質を含み、連続した溶出洗浄の第2の溶質の濃度は増加または減少する濃度勾配を形成する、方法。
  27. 比較は、コンピューター学習アルゴリズムをトレーニングするために前記プロファイルを使用するステップを含み、該コンピューター学習アルゴリズムは、プロファイルを少なくとも2つのサブセットの1つに分類する分類アルゴリズムを生成する請求項22に記載の方法。
  28. 試料において少なくとも1つの多成分生物学的複合体の成分間の相互作用のプロファイルを生成する方法であって、該方法は、それぞれの複合体について、以下:
    (a)該試料から複数のアリコートを提供するステップであって、それぞれのアリコートは、生体特異性親和性分子を介して固体支持体上に固定化された該試料由来の同じ多成分生物学的複合体を含み、該親和性分子が該複合体の第1成分と結合しており、未結合の物質が支持体より除去されるステップ;
    (b)溶出洗浄の第1の系統からの溶出洗浄により、それぞれのアリコートにおいて固定化された複合体を洗浄するステップであって、該系統の溶出洗浄における第1の溶質の濃度は、増加または減少する濃度勾配を形成するステップ;ならびに
    (c)それぞれの溶出洗浄において、少なくとも1つの第2成分を測定するステップであって、試料からの該プロファイルは、それぞれのアリコートの溶出洗浄溶液からの測定値を含むステップ
    を包含する、方法。
  29. ステップ(b)の後で、前記生体特異的親和性分子を介して前記支持体に依然として定化されている前記複合体成分を検出するステップをさらに包含する請求項28に記載の方法であって、前記プロファイルが該支持体の測定値を含む、方法。
  30. 前記試料からの第2の複数のアリコートに対してステップ(b)を実施するステップをさらに包含する請求項28に記載の方法であって、前記溶出洗浄は第2の異なる溶質を含み、連続した溶出洗浄において該第2の溶質の濃度が増加または減少する濃度勾配を形成する、方法。
  31. 方法であって、以下:
    (a)生体試料のセットを提供するステップあって、該セットは少なくとも2つのサブセットを含み、それぞれのサブセットは異なる生物学的特性によって特徴付けられるステップ;
    (b)該セットのそれぞれの試料について、少なくとも1つの多成分生物学的複合体の成分間の相互作用のプロファイルを生成するステップであって、試料における複合体のプロファイルを生成するステップが、以下:
    (i)該試料から複数のアリコートを提供するステップであって、それぞれのアリコートは、生体特異性親和性分子を介して固体支持体上に固定化された該試料由来の同一の多成分生物学的複合体を含み、該親和性分子が該複合体の第1成分と結合しており、未結合の物質が支持体より除去されるステップ;
    (ii)第1の系統の溶出洗浄液の溶出洗浄により、それぞれの該アリコートにおいて固定化された複合体を洗浄するステップであって、前記系統の溶出洗浄における第1の溶質の濃度は増加または減少する濃度勾配を形成するステップ;および
    (iii)それぞれの溶出洗浄において少なくとも1つの第2の成分を測定するステップであって、
    試料における複合体のための該プロファイルは、それぞれのアリコートの溶出洗浄液からの測定値を含むステップ、
    を含むステップ;ならびに
    c)試料における成分間の相互作用の相違を検出するために該試料のプロファイルを比較するステップと
    を包含する、方法。
  32. 各試料からの第2の複数のアリコートにおける前記固定化された複合体を第2の溶出洗浄セットの1つの溶出洗浄により洗浄するステップであって、該溶出洗浄セットの各要素の第2の溶質の濃度が増加または減少の濃度勾配を形成し、第2の溶質が該溶質とは異なるステップを包含する、請求項31に記載の方法。
  33. ステップ(b)は、ステップ(ii)の後で生体特異性親和性分子を介して前記支持体上に依然として固定化されている前記複合体の成分を検出するステップをさらに包含する請求項31に記載の方法であって、それによって前記プロファイルが該支持体からの測定値をさらに含む、方法。
  34. 前記試料の第2の複数のアリコート上でステップ(b)(i)〜(iii)を行うステップをさらに包含する請求項31に記載の方法であって、前記溶出洗浄は第2の異なる溶質を含み、前記連続した溶出洗浄における第2の溶質の濃度は増加または減少する濃度勾配を形成する、方法。
  35. 試料のプロファイルを比較し、前記試料について成分間の相互作用の相違を検出するステップを含む請求項32に記載の方法。
  36. キットであって、以下:
    (a)第1の親和性分子に結合するための手段を有するか、または第1の親和性分子が結合している、少なくとも1つの固体支持体;
    (b)少なくとも1つの系統の溶出洗浄であって、各系統のそれぞれの溶出洗浄における第1の溶質濃度は増加または減少する濃度勾配を形成する溶出洗浄;および
    (c)少なくとも1つのMSプローブであって、固体支持体とは異なる該MSプローブ
    を備える、キット。
  37. (d)第1の多成分生物学的複合体の第1の成分と特異的に結合する少なくとも1つの生体特異的親和性分子をさらに備える請求項36のキット。
  38. 前記固体支持体がクロマトグラフィー樹脂である請求項36に記載のキット。
  39. マルチウェルマイクロタイタープレートをさらに備える請求項36に記載のキット。
  40. 前記マイクロタイタープレートがドリッププレートである請求項39に記載のキット。
  41. カラムをさらに備える請求項36に記載のキット。
  42. 前記カラムが、重力フロー、遠心力フロー、または機械的に生みだされたフローを利用する請求項41に記載のキット。
  43. 前記MSプローブが該プローブ表面に結合した吸着剤を含むSELDIプローブである請求項36に記載のキット。
  44. 前記MSプローブがMALDIプローブである請求項36に記載のキット。
  45. 前記MSプローブが該プローブ表面に結合したエネルギー吸収分子を含むSELDIプローブである請求項36に記載のキット。
  46. 前記少なくとも1つのMSプローブが複数のMSプローブである請求項36に記載のキット。
  47. 前記少なくとも1つのMSプローブが、前記プローブ表面に結合したエネルギー吸収分子を含む複数のSELDIプローブを備える請求項36に記載のキット。
  48. 前記少なくとも1つのMSプローブが、前記プローブ表面に結合した吸着剤を含む複数のSELDIプローブを備える請求項36に記載のキット。
  49. 前記親和性分子が、抗体、単一鎖抗体、抗体の特異的に結合した断片、アフィボディ、酵素、酵素基質、受容体、受容体リガンド、薬剤、核酸、またはアプタマーから選択される請求項37に記載のキット。
  50. 前記少なくとも1つの親和性分子が複数の異なる親和性分子であり、それぞれの異なる親和性分子が、異なる複合体の第1の成分と特異的に結合する請求項37に記載のキット。
  51. キットであって、以下:
    (a)生体特異的親和性分子と共有結合により結合することのできる反応性表面を含むSELDIプローブである少なくとも第1のMSプローブ;
    (b)少なくとも1つの系統の溶出洗浄であって、各々の系統のそれぞれの溶出洗浄における第1の溶質の濃度は増加または減少する濃度勾配を形成する溶出洗浄;および
    (c)少なくとも第2のMSプローブであって、クロマトグラフィー表面を含むMALDIプローブまたはSELDIプローブであるMSプローブ
    を備える、キット。
  52. (d)第1の多成分生物学的複合体の第1の成分と特異的に結合する少なくとも1つの生体特異的親和性分子をさらに備える請求項51に記載のキット。
  53. 前記親和性分子は、抗体、単一鎖抗体、抗体の特異的に結合した断片、アフィボディ、酵素、酵素基質、受容体、受容体リガンド、薬剤、核酸、またはアプタマーから選択される請求項52に記載のキット。
JP2005505549A 2002-07-24 2003-07-23 タンパク質相互作用相違マッピング Expired - Fee Related JP4587954B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US39864102P 2002-07-24 2002-07-24
US44553603P 2003-02-06 2003-02-06
PCT/US2003/023320 WO2004009798A2 (en) 2002-07-24 2003-07-23 Protein interaction difference mapping

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005534043A true JP2005534043A (ja) 2005-11-10
JP4587954B2 JP4587954B2 (ja) 2010-11-24

Family

ID=30773100

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005505549A Expired - Fee Related JP4587954B2 (ja) 2002-07-24 2003-07-23 タンパク質相互作用相違マッピング

Country Status (7)

Country Link
US (1) US7348184B2 (ja)
EP (1) EP1552302B1 (ja)
JP (1) JP4587954B2 (ja)
AT (1) ATE426808T1 (ja)
AU (1) AU2003256806A1 (ja)
DE (1) DE60326864D1 (ja)
WO (1) WO2004009798A2 (ja)

Families Citing this family (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040229294A1 (en) 2002-05-21 2004-11-18 Po-Ying Chan-Hui ErbB surface receptor complexes as biomarkers
EP1681983A4 (en) 2003-10-14 2008-12-10 Monogram Biosciences Inc RECEPTOR TYROSINE KINASE SIGNAL PATH ANALYSIS FOR DIAGNOSIS AND THERAPY
US7707134B2 (en) * 2005-01-14 2010-04-27 Siemens Medical Solutions Usa, Inc. System and method for molecular diagnosis of depression based on boosting classification
US7672916B2 (en) * 2005-08-16 2010-03-02 The Trustees Of Columbia University In The City Of New York Methods, systems, and media for music classification
US20080023630A1 (en) * 2005-11-22 2008-01-31 Ciphergen Biosystems Inc. Polymer probe doped with conductive material for mass spectrometry
WO2007069983A1 (en) 2005-12-13 2007-06-21 Exthera Ab Method for extracorporeal removal of a pathogenic microbe, an inflammatory cell or an inflammatory protein from blood
US8217338B2 (en) * 2008-10-10 2012-07-10 Excellims Corporation Method and apparatus for chemical and biological sample separation
JP2009524829A (ja) * 2006-01-27 2009-07-02 イースタン バージニア メディカル スクール ヒトivf由来胚のプロテオームフィンガープリンティング:発生能のバイオマーカーの同定法
US8758286B2 (en) 2009-12-01 2014-06-24 Exthera Medical Corporation Method for removing cytokines from blood with surface immobilized polysaccharides
WO2012112724A1 (en) 2011-02-15 2012-08-23 Exthera Medical, Llc Device and method for removal of blood-borne pathogens, toxins and inflammatory cytokines
US9746458B2 (en) * 2011-04-27 2017-08-29 Loma Linda University Medical Center Dynactin subunit p62 biomarker for neurological conditions
MY170164A (en) * 2012-06-07 2019-07-09 Somalogic Inc Aptamer-based multiplexed assays
ES2647577T3 (es) 2012-06-13 2017-12-22 Exthera Medical Corporation Uso de heparina y carbohidratos para tratar el cáncer
US10942184B2 (en) 2012-10-23 2021-03-09 Caris Science, Inc. Aptamers and uses thereof
BR112015009138A2 (pt) 2012-10-23 2020-10-20 Caris Life Sciences Switzerland Holdings, S.A.R.L. métodos para caracterizar um câncer
AU2013361323B2 (en) 2012-12-19 2018-09-06 Caris Science, Inc. Compositions and methods for aptamer screening
CN110772677A (zh) 2013-06-24 2020-02-11 艾克塞拉医疗公司 含有涂覆甘露糖的基质的血液过滤系统
WO2015069942A1 (en) 2013-11-08 2015-05-14 Exthera Medical Corporation Methods for diagnosing infectious diseases using adsorption media
JP2017513636A (ja) 2014-04-24 2017-06-01 エクスセラ メディカル コーポレイション 高流量を用いて血液から細菌を除去するための方法
JP7100454B2 (ja) 2014-09-22 2022-07-13 エクスセラ メディカル コーポレイション 装着型血液潅流デバイス
US11988662B2 (en) 2015-12-07 2024-05-21 Nanohmics, Inc. Methods for detecting and quantifying gas species analytes using differential gas species diffusion
US10386365B2 (en) 2015-12-07 2019-08-20 Nanohmics, Inc. Methods for detecting and quantifying analytes using ionic species diffusion
US10386351B2 (en) 2015-12-07 2019-08-20 Nanohmics, Inc. Methods for detecting and quantifying analytes using gas species diffusion
US11911551B2 (en) 2016-03-02 2024-02-27 Exthera Medical Corporation Method for treating drug intoxication
WO2017151797A1 (en) 2016-03-02 2017-09-08 Exthera Medical Corporation Method for treating drug intoxication
ITUA20163876A1 (it) * 2016-05-27 2017-11-27 Univ Del Salento Biorecettore per ioni metallici.
US20210072255A1 (en) 2016-12-16 2021-03-11 The Brigham And Women's Hospital, Inc. System and method for protein corona sensor array for early detection of diseases
EP3877400A4 (en) 2018-11-07 2022-09-07 Seer, Inc. COMPOSITIONS, METHODS AND SYSTEMS FOR CROWN PROTEIN ANALYSIS AND THEIR USES

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000516727A (ja) * 1997-06-20 2000-12-12 チパージェン バイオシステムズ,インコーポレイテッド 生物学および医学に応用される被保持物クロマトグラフィーおよびタンパク質チップアレイ

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5234811A (en) * 1991-09-27 1993-08-10 The Scripps Research Institute Assay for a new gaucher disease mutation
US5571729A (en) * 1992-06-17 1996-11-05 Wako Pure Chemical Industries, Ltd. Process for separating complex
CA2163426C (en) * 1993-05-28 2005-11-01 T. William Hutchens Method and apparatus for desorption and ionization of analytes
EP1021558A1 (en) * 1997-10-10 2000-07-26 President And Fellows Of Harvard College Surface-bound, double-stranded dna protein arrays
US6265715B1 (en) * 1998-02-02 2001-07-24 Helene Perreault Non-porous membrane for MALDI-TOFMS
WO2000061813A1 (en) * 1999-04-09 2000-10-19 Geron Corporation A second mammalian tankyrase
WO2001088528A2 (en) 2000-05-12 2001-11-22 Admetric Biochem Inc. High throughput chromatographic systems
US20030091976A1 (en) 2001-11-14 2003-05-15 Ciphergen Biosystems, Inc. Methods for monitoring polypeptide production and purification using surface enhanced laser desorption/ionization mass spectrometry

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000516727A (ja) * 1997-06-20 2000-12-12 チパージェン バイオシステムズ,インコーポレイテッド 生物学および医学に応用される被保持物クロマトグラフィーおよびタンパク質チップアレイ

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6009040130, Jochen Peter et al, "Identification of carbohydrate deficient transferrin forms by MALDI−TOF mass spectrometry and lectin", Biochimica et Biophysica Acta (BBA) − General Subjects, 1998, Volume 1380, Issue 1, 93−101 *
JPN6009040136, Zsolt Ablonczy et al., "Mass Spectrometric Analysis of Integral Membrane Proteins at the Subnanomolar Level: Application to", Anal. Chem., 2001, 73, 4774−4779 *
JPN7009003749, Darcy R. Driedger and Peter Sporns, "Immunoaffinity Sample Purification and MALDI−TOF MS Analysis of α−Solanine and α−Chaconine in Seru", J. Agric. Food Chem., 2001, 49 (2), 543−548 *

Also Published As

Publication number Publication date
US7348184B2 (en) 2008-03-25
ATE426808T1 (de) 2009-04-15
WO2004009798A3 (en) 2004-10-07
US20040146937A1 (en) 2004-07-29
AU2003256806A1 (en) 2004-02-09
AU2003256806A8 (en) 2004-02-09
WO2004009798A2 (en) 2004-01-29
DE60326864D1 (de) 2009-05-07
EP1552302A4 (en) 2006-09-13
JP4587954B2 (ja) 2010-11-24
EP1552302A2 (en) 2005-07-13
EP1552302B1 (en) 2009-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4587954B2 (ja) タンパク質相互作用相違マッピング
US8389222B2 (en) Apolipoprotein fingerprinting technique and methods related thereto
AU2005253081B2 (en) Biomarkers for peripheral artery disease
Bakry et al. Protein profiling for cancer biomarker discovery using matrix-assisted laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry and infrared imaging: a review
US20060084059A1 (en) Serum biomarkers in hepatocellular carcinoma
US7794947B2 (en) Affinity capture of peptides by microarray and related methods
US11754561B2 (en) Functionalized biochips for SPR-MS coupling
US20060257946A1 (en) Serum biomarkers in ischaemic heart disease
US20030119063A1 (en) High accuracy protein identification
US11105797B2 (en) Ligand binding assays using MALDI-TOF mass spectrometry
US6977370B1 (en) Off-resonance mid-IR laser desorption ionization
US20060205010A1 (en) Methods of host cell protein analysis
US20040096820A1 (en) Comparative proteomics of progressor and nonprogressor populations
US20060177870A1 (en) Immunoassays
WO2005071421A1 (en) Specific detection of troponin and modified forms of troponin
WO2002074927A2 (en) High accuracy protein identification
WO2004030521A2 (en) Use of biomarkers for detecting acute renal transplant rejection
WO2003102542A2 (en) Comparative proteomics of progressor and nonprogressor populations
WO2004103155A2 (en) Surface-enhanced laser desorption/ionization-based disease diagnosis
Chandler et al. 11 Leaving the Surface Behind: At the Intersection of Protein Microarrays and Mass Spectrometry
Nelson et al. Eric E. Niederkofler 15.1 Background Historically, proteomics is the discipline of studying the complete complement of
WO2012120150A1 (en) Method for detection and quantification of target biomolecules

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060614

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090811

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20091029

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20091106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100810

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees