JP2005532366A - 非パラフィン系疎水性物による逆液晶相 - Google Patents

非パラフィン系疎水性物による逆液晶相 Download PDF

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Abstract

【課題】生体膜の吸収バリヤーに局所的に、一時的にナノ微細孔を誘発することにより、とくにP糖蛋白およびまたはシトクロム3A4に関連した流出機構が作用する場合に、薬品の吸収を促進することが出来る。構造流体に医薬活性体を可溶化するのに用いる組成物や方法は、同時に難溶解薬品の可溶化と吸収の促進を達成することが出来る組成物の提供。
【解決手段】例えば体に吸収するのが困難な医薬活性体のように、他の方法では可溶化が困難な化合物は、構造流体である溶媒システムを用いた組成物に可溶化される。構造流体は逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料で、極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤とは見なされない非パラフィン系液体を含む。

Description

<発明の分野>
本発明は、溶解が難しい化合物の可溶化に関する。特に、本発明ではそのような化合物を可溶化するための配合、液晶溶媒系ならびに方法を提供する。さらに本発明は、化合物が細胞、組織および器官に見いだされる生体膜の吸収バリヤーを通り抜ける搬送性向上についても言及する。
<発明の背景>
薬学的に有効でまた応用も効く潜在力のある多くの化合物は水に溶けにくい。これらのうち多くはまた、基本的な液体や医薬品の賦形剤として承認され、またよく用いられる界面活性剤に富んだ相にも可溶化しにくい。一般に、薬を可溶化するだけでは、例えそれが無害な媒体中にあってでも、それだけでは十分といえない場合がある。つまり、媒体は、例えば、カプセル化、腸溶コーティング、冷凍や噴霧乾燥などのいかなる変換にも適していなくてはならない。例えば、医薬活性体にとっては、錠剤の形で経口投与されることがもっとも望ましく、これが未だに圧倒的に一般に用いられる薬の形状であるが、多くの液状溶媒は界面活性剤すらもカプセル化しない限り、最も単純な錠剤製造手順にすら馴染まない。それはこれらが個体や粉体を前提に開発されているためである。しかも、貧溶性の薬品に液体や界面活性剤を使わずにこれらの手順を用いた場合、投与されても生体利用効率が極めて限られた錠剤しか出来ない場合が多い。低溶解性薬剤の酸性塩(例:塩酸塩)や塩基性塩(例:ナトリウム塩)は可溶な場合がしばしばあるが、酸性塩を脱プロトン化したり、塩基性塩をプロトン化したりするようなpH状態に体内で遭遇すると沈殿する場合があるということもさらに指摘しておく必要がある。
注射により送り込まれる活性体にとって、その化合物を可溶化するということは、注射用に認可された極めて限られた溶媒や構造液体の範疇で薬を可溶化しなくてはならないという難しさがある。さらに、水と相溶性のある液体賦形剤、その最たるものはエタノールであるが、例え薬剤が生(き)のエタノールに溶解しても、注射用希釈水であれ血液など体液の水環境であれ、水との接触で沈殿することがしばしばあるので、その価値は限られたものである。
ナノ構造の逆相型液晶、具体的には逆立方晶相および逆六方晶相は、ほとんど水に溶けない様にすることができ、このことは体内に入っても媒体として完全な形を保つことで薬品の沈殿を防ぐことを意味し、放出が制御された薬物搬送(ドラッグデリバリ)の分野に大きな期待を持たせるものである。これら材料の両親媒性および多孔性ナノ構造は、生体膜との間に、リポソームの場合よりずっと親密な、有利な相互作用につながる可能性があり、またこの相が高粘度であることは加工にあたって重要な助けとなりうるもので、これらの相をカプセル化するいくつかの技術が開発されてきた。例えば参照文献にあるAndersonの米国特許 6,482,571 を参照されたい。
従来の調剤分野で重要な有効成分を可溶化するのに逆立方晶相および逆六方晶相を用いる試みは、界面活性作用を持つ3種類の脂質、すなわち、モノグリセリド、ガラクトリピドおよびリン脂質、にほとんど限定されてきた。しかしながら、モノグリセリドは血流中で非常に毒性が強いため、注射や腹腔経由には承認されていない。さらにモノグリセリドは保管中に水が存在すれば加水分解してしまう。そして特に、モノグリセリドをベースとした立方晶相は疎水性物質を取り込める容量が極めて限られている。例えば、約2%のトリグリセリドをモノオレイン−水の立方晶相に加えると立方晶相は壊れてしまう。ガラクトリピドは現時点では非常に高価である。というのは手間のかかる抽出過程が必要でこれを有する生物資源中に低い値でしか存在しないためである。さらに、ガラクトリピドは現時点では医薬用に認可されていない(その上、立方晶相を構成するためには通常2種類のガラクトリピドが必要となり、規制のハードルをいっそう高いものにしている今まで研究されてきたリン脂質のうち最も重要な2種類(そしてこれらだけが現時点で法外とまでは行かない価格で入手可能)は、ホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)である。
ホスファチジルコリンは現段階では二つの障害に直面している。第一は、水だけと混ぜ合わせた場合、室温や体温近辺では立方晶相を形成せず、第二はそのひずみ特性が ここで議論されている脂質を含む液晶粒の摂取を促進する能力を抑制することである。 対照的にホスファチジルエタノールアミンは、脂質を含む脂質二層構造体に強いひずみを引き起こし、その結果、生体膜と脂質を含む液晶粒との間の融合を促進できる(以下を参照)。しかしながら、PEは注射用や腹腔内用製品に通常に使うにはあまりに有毒と見なされ、経口投与処方にすら認可されていない。かくて、これらの界面活性剤は薬物搬送(ドラッグデリバリ)の観点から基本的な制約に苦しんでいて、これらを使用する取り組みが、2元(擬2元)マトリックスに制限され、したがって他の界面活性剤や脂質を用いたより大きな安定な液晶相が明らかに必要である。
リポソームのようにラメラ相をベースとしたマトリックスは極めて溶解性が低くなり得るが、一般に細胞との相互作用はエンドサイトーシス(細胞内貪食)やピノサイトーシス(細胞飲作用)などに頼るため、これらは遅く、効率が悪いだけでなくマトリックスのままエンドーソム(核内小胞)内に捕らわれてしまう可能性もある。さらに、難溶な医薬活性体をリポソーム内に可溶化することも大きな成功を収めてはいない。
3元界面活性剤に関する文献調査によると、調べた界面活性剤の大半は水溶性で、逆相よりむしろ正相を呈し、体内で急速な分解を受けていることが判った。
水に溶けにくい薬品を逆立方や逆六方液晶のマトリックスに可溶化することは、薬品搬送の観点からは基本的に極めて有望な取り組み方である。というのは、体の脂質二層構造体や脂質二層構造体からなる吸収バリヤーを貫く通路による薬の吸収が、これらマトリックスの二層構造体と体の二層構造体間のより緊密で望ましい相互作用により促進され得るからである。しかしながら、医薬活性体の可溶化に逆液晶相を用いようとした以前の試みの、水溶解性の低い薬は疎水性であるはずで、したがって脂質または脂質―水の二元(擬二元)系には可溶であるはずという暗黙の、しかもしばしば誤った憶測によるもう一つの制約が生じた。とくに、多くの研究は脂質(または界面活性剤)と水、または、脂質―水―パラフィン系からなるマトリックスに限定されていて、パラフィン系の第3成分は一つまたはより多くの炭化水素鎖の非極性基を持っていた。このような、ほかの二層構造体成分(二層構造体へ優先的に分配する成分)がないマトリックスでは、二層構造体の疎水性部分は通常実質的に液体パラフィンのみ、具体的には脂質ないし界面活性剤のパラフィン系連鎖と、場合によってはパラフィン系添加物、で構成されている。これは薬とその受容体の相互作用に不可欠な極性基をしばしば有する薬の複雑な医薬活性体の可溶化には好ましい環境ではないこのパラフィン系環境が単にパラフィン系化合物を加えても実質的に変わるものではないことを指摘しておかなくてはならない。にもかかわらず、文献では実質的にパラフィン系ではない第3成分の研究から第3成分の疎水性基は界面活性剤や脂質の疎水性基と密接に調和するものでなくてはならないという暗黙の仮説をためらうことなく教えている。かくて、薬学上承認可能な不溶性の界面活性剤(または脂質)、水、そして疎水性液体添加物からなる3元系ではすべて脂肪酸や脂肪酸のグリセリドなどのパラフィン系添加物を用いている。 さらに、薬学的な容認性は別として、ほとんどの報告例では第3成分として脂肪酸誘導体であれ飽和炭化水素であれアルカノールであれ、パラフィン系を使用している。通常このような系では単純な界面活性剤―水の2元系で得られるものに比べて実質的により高い薬剤溶解性は得られない。明らかに二層構造体内部のパラフィン系環境は、もう一つの界面活性剤を添加しても実質的には不変である。それは、界面活性剤の分子には強い疎水性部分と強い親水性部分との間に明確な境界が意図的にあり、分子の親水性部分は実質的に疎水性部分である界面活性剤や脂質の二層構造体(または一層構造体)から締め出されてしまうからである。
逆六方晶相組成物、それにも増して逆立方晶相組成物は、薬学的に容認でき、かつ有用であるべきという制約がなくとも、入手困難であるが、その制約のため特別に困難になっている。これらの相をどのように何処を探すかを知るのにはいくつかの理由のため、相当の洞察力が必要とされる。逆六方晶相は、ましてや逆立方晶相は、相ダイアグラムの小さな領域でしか見つからない(ただし特定のモノグリセリドの逆立方晶相は例外であるが、上述したような明確な不都合がある)ので位置を特定するのが困難である。それらを見つけるのには通常洞察と多くのサンプルの混合と分析が必要となる。
現在、2成分、そして特に3成分の界面活性剤系に関する熱力学の数式モデル化は進んでいないので、多くの洞察力は与えているが(ほとんどはモデルを作った人間にであって、単にモデルの文献を読んだだけの者にはほとんどない)、化合物の分子構造や物性から演繹的にそのような相を計算することを可能にしていない。(1成分化合物のブロック恭重合体系では状況はずっとよい。例えば、Anderson,DM and Thomas,EL,Macromolecules 1988,Vol.21,pp.3221−3230を参照。しかしながら、重合物は医薬活性体を可溶化するにはあまり適していない。)
入手可能な逆立方ならびに逆6方晶相化合物、溶媒系、および溶解困難な化合物を可溶化する方法を得ることは極めて望ましいことである。
<発明の要旨>
本発明の目的は、難溶性の有効成分を可溶化する収容能力に優れた薬学上承認可能な組成物を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、水(または体液)と平衡状態で存在する、すなわち、その組成物の部分や粒子が水溶液の存在のもとで製造、保管、および目標先への搬送途上においてその状態を完全に保てるような、逆立方ならびに逆六方晶相用の薬学上承認可能な新しい組成物を提供することにある。
本発明のさらなる目的は薬学上承認可能な逆立方ならびに逆六方晶相用で、このような相から高機能性マイクロ粒子を生産するために開発された技術に馴染みやすい新しい組成物を提供することにある。
本発明のさらなる目的は逆立方晶ならびに逆6方晶相用の薬学上承認可能な、吸収を促進させる固有の傾向を示す新しい組成物を提供することにある。発明者は脂質のひずみ特性とその二層構造体の多孔性化を促進する傾向、および逆立方ならびにL3と逆六方晶相を含む他の逆晶相を形成する傾向との関連を証明した。AndersonD.M.,Wennerstrom,H.and Olsson,U.,J.Phys.Chem.1989,93:4532−4542 を参照せよ。多孔性のミクロ構造を誘発ないし形成する傾向は、本稿では薬移送に関しては有利と見なされている。それは投与された脂質のミクロ粒子と、さもなければ吸収に対して障壁を形成する生体膜との一体化を促進するからである。低いひずみを示し、ほとんどか全く多孔性がなく、通常生体膜と一体化しようという強い傾向を示さないリポソームの様なラメラ脂質的構造とは対照的である。
本発明は、構造流体および構造流体に存在する化合物(活性体、一般には薬学的または栄養補助薬品的な活性体)を含む組成物を提供する。その化合物はそうでなければ療法に要する量を溶かすのに水、約100mL以上を必要とするほど十分に溶けにくいものである。ナノ構造流体は極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤には該当しない非パラフィン系液体を含有する。構造流体は薬学上承認可能な成分を含む逆立方晶相または逆6方晶相、あるいはその組み合わせよりなる。
本発明はさらに水に難溶な化合物、すなわち療法に要する量を溶かすのに水、約100mL以上を必要とする化合物、を可溶化するための構造流体を含有するそれぞれの組成物を提供する。ナノ構造流体は極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤には該当しない非パラフィン系液体を含有する。構造流体は薬学上承認可能な成分を含む逆立方または逆六方液晶相、あるいはそれらの組み合わせである。
本発明はさらに極性溶媒、界面活性剤、および・水分配係数を持つ界面活性剤には該当しない非パラフィン系液体を含有する内服用溶媒系を提供する。構造流体は薬学上承認可能な成分を含む逆立方または逆六方液晶相、あるいはそれらの組み合わせである。
本発明はさらに極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤には該当しない非パラフィン系液体を含有する内服用溶媒系と、この流体に可溶化した医薬活性体を提供する。構造流体は薬学上承認可能な成分を含む逆立方または逆六方液晶相、あるいはそれらの組み合わせよりなる。
本発明はさらに化合物をナノ構造液体に可溶化する方法を提供する。その化合物はそうでなければ療法に要する量を溶かすのに水、約100mL以上を必要とするほど十分に溶けにくいものである。ナノ構造流体は極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤には該当しない非パラフィン系液体を含有する。構造流体は薬学上承認可能な成分から構成された逆立方または逆六方液晶相、あるいはそれらの組み合わせである。方法は化合物と溶媒系を混ぜ合わせ、上述の溶媒系に化合物が組み込まれる手順からなる。
<好ましい実施形態の記載>
本発明は他の方法では可溶化しにくい化合物(すなわち、他の方法ではその化合物の療法に要する量を溶かすのに水、約100mL以上を必要とする)を可溶化するのに有用な組成物、溶媒系および方法を提供する。本発明の組成物、溶媒系および方法は、極性溶媒、界面活性剤、および非パラフィン系液体が薬学上承認可能で難溶化合物を可溶化できそして多孔性の、ミクロ構造を持つ逆立方晶および逆6方晶相をもたらし、これが体内において吸収を促進する、という驚くべき発見に基づいている。
ここに提示する実施形態の組成物は、洞察とサンプル作成とその特徴づけに伴う多大の困難な作業の組み合わせにより見いだされた。採用した洞察は20年に及ぶ3成分界面活性剤系の挙動地図の作製の経験、および最近の著者の著作に報告された数学的モデルに基づく。DM Anderson,SM Gruner and S Leibler,Proc.Nat.Acad.Sci.1988,85:5364−5368;DM Anderson,JCC Nitsche,HT Davis and EL Scriven,Adv.Chem.Phys.,1990,77:337−396;P Strom and DM Anderson,Langmuir,1992,8:691−702;Langmuir,1992,8:691−702;DM Anderson,H Wemmerstrom and U.Olsson,J.Phys.Chem.1989,93:4532−4542;DM Anderson,Supplement to J.Physique,Proceedings of Workshop on Geometry and Interfaces,Aussois,France,Sept.1990,C7−1−C7−18;D.M.Anderson,P.Strom,in:Polymer Association Structures:Liquid Crystals and Microemulsions,1988,pp.204−224,ed.M.El−Nokaly,ACS Symposium Series;DM Anderson and Pelle Strom,Physica A,1991,176,151−167;DM Anderson and EL Thomas,Macromolecules,1988 21:3221−3230;H Wennerstrom and DM Anderson,in Statiscal Thermodynamics and Differential Geometry of Microstructured Materials,IMA Volumes,Vol.51,pp.137−152,Springer−Verlag(1993);DM Anderson and H Wennerstrom,J.Phys.Chem.1990,94:8683−8694;DM Anderson,HT Davis,LE Scriven,J.Chem.Phys.,1989 91(5):3246−3251;and EL Thomas,DM Anderson,CS Henkee and D Hoffman,Nature 1988,334:598−601を参照せよ。
<定義ならびに解説>
本発明の理解を容易にするため、本明細書に用いられた用語の定義および解説を提供する。
溶解(Dissolution):考慮の対象となる化合物が溶解しているか、溶解しつつあることを意味する。
可溶化する(Solubilize):本質的に「溶解する(dissolve)」または「溶解(dissolution)」という用語と同義語であるが、含意が異なる。即ち、考慮の対象の化合物が液体または液晶物質に可溶化されるのは、化合物の分子が液体または液晶物質の中で個々の分子として分散することができ、そのような化合物の物質が単一の熱力学的相を形成する場合であり、その場合に限られる。「溶解する」および「可溶化する」という用語の僅かに異なる含意が理解されるべきである。一般に「溶解する」という用語は、結晶化合物を液体または液晶物質に入れて、化合物が壊れ、物質の中に溶解することを可能にし、または促進する単純な作用を表現するのに用い、一方「可溶化する」または「可溶化」という用語は、通常そのような化合物を溶解させることができる適当な液体または液晶物質を見つけることを計画した努力に言及するものである。
界面活性剤の溶解性;界面活性剤の低溶解性:界面活性剤の溶解性が意味するところに関しては、特に低溶解性の界面活性剤(よく知られた例では長い原子連鎖を含むモノグリセリドやリン脂質などのような)が高濃度の液晶を形成する場合などは文献上でいささか混乱が起きていた。本発明の文脈において、界面活性剤の水溶解性(与えられた温度、圧力における)は水に界面活性剤を加えた際に起きる相の挙動で決まる。つまり、界面活性剤の最初の分子群は熱力学が命ずるとおり溶媒に溶け込む(どんな界面活性剤でも厳密に溶解性がゼロというものはない。溶解性は常に有限でゼロではない値である)が、これ以上では液晶相が分裂してしまうという限界に達したとき、溶解性は限界に達し、この限界値をその界面活性剤の溶解性という。かくて、例えばグリセロール モノオレエートの溶解性は、水中ではこれが60%に至る濃度の液晶相を形成するにもかかわらず、実際に界面活性剤の濃度が限界の濃度または溶解性である10−13モル濃度に達するやいなや組成が約40%の水と60%のモノオレインの液晶相を形成するのに、通常、この定義にしたがって正しく、10−13モル濃度台とされている。この低溶解性は、モノオレインのような18ヶの炭素連鎖と相対的に弱く非帯電の先端極性基を持つ分子ということで直感的な予想に合うものである。本開示では、本定義による溶解性限界が重量で約1%未満の場合に界面活性剤は水に難溶とされる。
マトリックス(Matrix):本文脈では、「マトリックス」は、活性化合物ないし活性化合物群の主要材料に当たる材料を意味する。
調整できる(Tunable):本文脈では、検討中の組成物および/またはマトリックスの構造が、活性化合物の可溶化性を実質的に変えるように意図的に調整可能な場合にマトリックスの可溶化特性が「調整できる」と称する。
難溶性である(Difficulty−soluble):本文脈では、化合物(例えば、医薬または栄養学上の活性体)が水に難溶性であると言うことは、一回の療法に要する活性体投与量を可溶化するのに約100mLより多くの水または緩衝液を必要とする場合であり、油に難溶性であると言うことは、一回の療法に要する活性体投与量が約10mL未満のオクタノールに溶解しないか、それとも大豆油への溶解性が重量で5%未満である場合である。
医薬活性体(Pharmaceutically−active):栄養学的、栄養補助薬品的(nutriceutical)および/または薬理学的活性を含む生物学的活性を示す化合物または作用物。
賦形剤(Excipients):薬の処方に用いられ、それ自体は薬品の活性体ではない化合物および化合物群の混合物。
薬学上容認可能(Pharmaceutically−acceptable):各々の賦形剤が食品医薬品局で認可されているか、そうでなければ体内用に使用することを意図した薬品処方に安全な組成物で、これには体内に摂取されても毒性が低いことが知られている認可済み賦形剤の主たる成分である化合物も含まれる。認可された賦形剤の一覧表はそれぞれが認可された様々な行政ルートともに1996年1月、FDAの薬品情報資源課から「不活性含有物指針」として出版されたFDAの薬品マスターファイル(Drug Master File)の存在は提供された賦形剤が製薬に認められることのさらなる証拠となる。本文脈では体内用途(経口用、注射用、腹腔内用、など)に認可された一覧表は以下のものを含む。安息香酸ベンジル、ハッカ油、オレンジ油、スペアミント油、ショウガ抽出液(ショウガ精油としても知られる)、チモール、バニリン、アネトール、シナモン油、桂皮油、桂皮アルデヒド、丁子油、コリアンダ油、ベンズアルデヒド、ポロキサマ331(プルトニック101)、ポリキシル40硬化ひまし油―実に広範囲のポリエチレングリコール先端部を有する界面活性剤―塩化カルシウムおよびドキュセート・ナトリウム。
このリストから欠けているのは燃料とか有機溶剤として応用する場合が多い非極性か極めて弱い極性液体や、トルエン、ベンゼン、キシレン、オクタン、デカン、ドデカンなどの液状疎水性物質である。対照的に、賦形剤として認可されている疎水性物質や極性の疎水性物質は食品や栄養補助薬品や薬として歴史があった自然界からの抽出物である傾向がある、か、この分野における早くからの先駆者であった。認可された賦形剤の主な成分で毒性が少ないことが知られている化合物には次のようなものが含まれる。リナロール、これはコリアンダー油の主成分で広範囲の毒性研究のテーマとなっていてその低毒性を論証している;バニリン、これは認可済みの賦形剤「香料バニラ」の主要成分でバニラ風味の食品や薬品を作るための主要な味覚成分である;そしてd−リモネン、これは認可済みの賦形剤「レモンエッセンス」の主要成分で経口物の形成に使用することが認可され低毒性が重要となる広範な日常的応用がある。「成分」と言うと混合物内に明瞭に、個々の分子として存在する分子を意味し、より大きな分子内の化学的な基として存在することではない。例えば、メタノール(メチルアルコール)はステアリン酸メチルの成分とは見なされない。提示した一連の分子量の異なる化合物には実にしばしばその中の液体と固体(室温または体温で)の間で認可状況が非常に異なることがあるということは知っておくべきである;固体は体内使用が認められたのに液体は認められないということは往々にしてある。この理由の一つは液体は不活性に作用しがちな固体に比べて本質的に生体膜を崩壊させる可能性が高いためである。しかしながら、本発明の目的にとって、疎水性物質としてずっと価値があるのは液体である。それは液体が固体に比べてずっと優れた溶媒であるというはっきりした理由のためである(これは固体が役に立たないと言っているのではない。というのは例えばメンソール(融点約42℃)は多くの界面活性剤―水混合物に溶解し、多くの活性体の分解を促進できる。本発明の目的のため、化合物はもしそれがFDAリストに載っている二つの化合物の間の単純なイオン交換により作られた場合は薬学上承認可能な賦形剤と見なされる;したがって、例えばドキュセート・カルシウムはドキュセートナトリウムと塩化カルシウムを(例えば水の存在下で)混合した自然の結果であるので薬学上承認可能な賦形剤と見なされる。
パラフィン系、非パラフィン系(Paraffinic,non−paraffinic):本発明の文脈では、化合物が主鎖から枝分かれした炭素原子を含まずに少なくとも6ヶの炭素の長さの非環式の連続した飽和炭化水素部分を有する場合は、そしてその場合だけ、パラフィン系と見なされる。6という数字はある意味では独断的であるが、スルホン酸ヘキサンナトリウムや2−エチルヘキシルスルホ琥珀酸塩(ドキュセート・ナトリウム)の例にあるようにラフリンが自己会合が起きるための最短鎖長として提示した判定基準(下で言及)、すなわち最短の界面活性剤の鎖は枝を数えずに炭素6ヶの長さ、に合致している。であるから鎖部分が6或いはそれより多いということから逸脱している化合物は非パラフィン系と見なされる。この定義のもとでは、長い、不飽和炭化水素鎖を持つ化合物でも、もし不飽和にもかかわらず長さ6を超える飽和鎖の部分を残していたらパラフィン系化合物として適格とすることができることに言及しておく。その例として、オレイン酸は第9位置に二重結合を持つにもかかわらず、連続した8炭素の完全な飽和形状があるのでパラフィン系として適格となる。
両親媒性物質(amphiphile):両親媒性物質は、親水性基および親油性基の両方を含有する化合物として定義することができる。D.H.Everett,Pure and Applied Chemistry,vol.31,no.6,p.611,1972参照。すべての両親媒性物質が界面活性剤であるということではないということに留意することは重要である。例えば、ブタノールは、ブチル基が親油性基であり、ヒドロキシ基が親水性基であるから両親媒性物質であるが、後述する定義を満たさないから界面活性剤ではない。高い極性を有し、測定可能な程度まで水和している官能基を有するが、それでも界面活性剤の作用を示すことができない、極めて多くの両親媒性分子が存在する。R.Laughlin,Advances in liquid crystals,vol.3,p.41,1978参照。
界面活性剤(Surfactant):界面活性剤は、両親媒性物質でさらに二つの特性を有するものである。第一に、通常、非界面活性剤に比べて異常に低い濃度で水相(気−水だけでなく、油−水および固−水 界面においても)の界面物理学を著しく変更させる。第二に、界面活性剤の分子は、互いに(そして極めて多くの他の分子と)、可逆的に、極めて高い程度で会合し、熱力学的に安定な、巨視的に単一相の集合体またはミセルの溶液を形成する。ミセルは、一般には、多くの界面活性剤分子(数十から数千)から構成され、コロイドの大きさを有する。R.Laughlin,Advances in liquid crystals,vol.3,p.41,1978参照。脂質、特に極性を有する脂質は、本明細書における議論のために、界面活性剤と見なされることが多いが、通常「脂質」という用語は日常の議論においてふつう界面活性剤と呼ばれる化合物とはわずかに異なる性質を有する、界面活性剤の下位分類に属することを示すのに用いられる。脂質が、常にではないがしばしば保有している二つの特性は、第一に、生物的起源を持つ場合が多いこと、第二に、水よりも油および脂肪によく溶ける傾向があることである。実際、脂質として言及される多くの化合物は、極めて水に対する溶解生が低く、したがって、界面張力を減少させる特性、および、脂質にとってそれが本当に界面活性剤であることの最も明らかな証拠となる可逆的な自己会合のためには、疎水性の溶媒の存在が必要である。したがって、例えば、そのような化合物は、たとえ水に対する溶解性が極端に低く水系での表面張力の減少を観察することを困難にしたとしても、油および水の間の界面張力を低濃度で強く減少させる。同様に、一方で高温に伴う難しさが、脂質−水系においてそれを困難にするかもしれないが、疎水性溶媒を脂質−水系へ添加することは、ナノ構造の液相およびナノ構造の液晶相への自己会合の判定を、ずっと単純なことにするかもしれない。
実際、ナノ構造の液晶構造の研究において、従来本質的に異なると考えられてきたもの−「脂質」および「界面活性剤」−の間の共通性が注目を浴び、そして二つの研究の群れ(生物学的な側面からの脂質、およびより工業的な側面からの界面活性剤)が、界面活性剤と同じナノ構造が脂質でも観察されたので、一緒になった。それに加えて、完全に合成によるもので、生物起源のものではない、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロマイドのような特定の合成界面活性剤が「脂質のような」挙動を示すことにも注目を浴びた。ここでは、その界面活性的性質の手頃な実証のために疎水性溶媒が必要になった。一方、明らかに生物起源であるリソリピッド(lysolipids)のような特定の脂質は、多かれ少なかれ水溶性界面活性剤に特有の相挙動を示す。結局、自己会合および界面張力減少特性を議論したり比較したりする目的に対してより意味のある差異は、シングルテール化合物とダブルテール化合物との区別にあることが明らかになった。ここに、シングルテール化合物とは通常水溶性を意味し、ダブルテール化合物とは通常油溶性を意味する。
したがって本文脈ではどのような両親媒性物質でも、極めて低濃度で水と疎水性物質、それが空気であれ油であれ、との間の界面張力を低下させるもの、また、水もしくは油、またはその両方において、可逆性の自己会合がナノ構造のミセル、逆ミセル、または両連続(bicontinuous)形態を表すものは界面活性剤である。脂質の分野は、事実上、下位分類に生物起源の界面活性剤を包含する。
脂質(Lipid):本発明の文脈では、脂質は親水性部分と親油性部分とから形成された分子で、両者はかなり独立した作用をもたらすのに十分に柔軟な結合により連結されていると考えられている。Luzzati,in Biological Membranes,Chapter 3,page 72(D.Chapman,ed.1968)参照。「脂質」および「界面活性剤」という用語は、本明細書において、互換的に用いられる。
疎水性物質(Hydrophobe):本発明の文脈では、高いオクタノール−水分配係数、好ましくは約10かより大きく、さらに好ましくは約100かより大きく、そしてここに与えられた界面活性剤の定義を満たさない場合、そしてその場合だけ化合物は疎水性物質と見なされる。この定義に基づけば、極性基が本当の界面活性剤の挙動を生じるほど十分に優勢でない場合には、化合物は一つまたはそれを超える極性基を持っていても疎水性物質となりうる。しかしながら、化合物がLaughlin(下部参照)に拠れば界面活性剤の先端基として活動できる極性基を有する、という場合は本文脈では疎水性物質とは見なされない。例えば、コール酸ナトリウムは先端基として活動できるカルボン酸塩イオンを含むので疎水性物質ではない。実際コール酸ナトリウムはミセルのような界面活性剤ミクロ構造を形成することが知られている。
化合物は、ここにリスト化された、Laughlinが引用した出版物による、界面活性剤の先端基と認められたグループの少なくとも一つを含まない限り界面活性剤とはならない。この件については「化学基準」という表題の項で詳細に議論される。
化学基準(Chemical criteria):界面活性剤の場合、いくつかの基準が表になっている。そして、界面活性剤の定義が幾分低濃度でも水中においてナノ構造の相を形成することを含む場合に、提示された極性基が界面活性剤の先端基として有効かどうかがロバート ラフリン(Robert Laughlin)により詳細に議論されている。R.Laughlin,Advances in Liquid Crystals,3:41,1978。
ラフリン(Laughlin)が提示した次の一覧は界面活性剤として働かないいくつかの極性基を提供する。であるから、例えばアルカン鎖がこれらの極性基のひとつに結合したものはナノ構造液体や液晶相を形成することは期待されない。それらは:,アルデヒド、ケトン、カルボン酸エステル、カルボン酸(遊離酸の形で)、イソシアネート、イソシアン酸塩、アミド、アシルシアノグアニジン、アシルシアノグアニル尿素、アシルビュレット、N,N−ジメチルアミド、ニトロソアルカン、ニトロアルカン、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロン、ニトロソアミン、N−酸化ピリジン、ニトリル、イソニトリル、アミンボラン、アミンハロボラン、スルホン、ホスフィン硫化物、アルシン硫化物、スルホンアミド、スルホンアミドメチルイミン、アルコール(単官能)、エステル(単官能)、第二アミン、第三アミン、メルカプタン、チオエーテル、第一ホスフィン、第二ホスフィンおよび第三ホスフィン。
界面活性剤の先端基として作用し、したがって、例えば、これらの極性基の一つに結合するアルカン鎖がナノ構造の液体または液晶相を形成すると考えられるいくつかの極性基を以下に挙げる。
a.陰イオン:カルボキシレート(石けん)、サルフェート、サルファメート、スルフォネート、チオサルフェート、サルフィネート
b.陽イオン:アンモニウム、ピリジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、スルホキソニウム
c.両性イオン:アンモニオアセテート、ホスホニオプロパンスルフォネート、ピリジニオエチルサルフェート
d.半極性:アミンオキシド、ホスホリル、ホスフィンオキシド、アルシンオキシド、スルホキシド、スルホキシイミン、スルホンジイミン、アンモニオアミデ−ト。
ラフリンはまた、一般則として、与えられた極性基のフェノール(水素結合供与体)との1:1結合錯体の形成のエンタルピーが5kcal未満である場合には、極性基は界面活性剤の先端基として作用しないことを示した。
極性先端基に加え、界面活性剤は非極性基も必要とし、これにもまた有効な非極性基に関するガイドラインがある。アルカン鎖に関しては、これは勿論最も一般的なものだが、nを炭素数とするならば界面活性剤につながるような挙動を起こすためにはnは、通常は少なくとも8から10であるが、少なくとも6でなくてはならない。興味深いことに、n=8であるオクチルアミンは、そのアミンの先端基が先端基としてちょうど有効となる程度に極性があり、水と適当な温度でナノ構造のL2相とともにラメラ相をも示す。Warnheim,T.,Bergenstahl,B.,Henriksson,U.,Malmvik,A.−C.and Nilsson,P.(1987)J.of Colloid and Interface Sci.118:233.分岐炭化水素も基本的にはnが低い側では同じような要件を生み出す。例えば2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムは、あらゆる種類の液晶相を示す。Winsor,P.A.(1968)Chem.Rev.68:1。しかしながら、線状と枝分かれと二つの場合の炭化水素はnの大きな側では大きく異なる。線状の飽和アルカン鎖の場合、結晶化しようという傾向は大略18を超えるnについてはクラフト温度が高くなりナノ構造液体および液晶相の温度範囲は100℃近くかこれを超える高温側に拡大する。本発明の文脈では大半の応用に関してはこのことがこれらの界面活性剤をnが8から18のものに比べてずっと用途が少ないものにしている。不飽和や枝分かれを鎖に導入することによりnの範囲を劇的に広げることが出来る。不飽和の場合は魚油から誘導された脂質の場合により説明できる。モノグリセリドや石けん、その他を含むドコサヘキサジエン酸とその誘導体のように、22の炭素を持つ鎖は最大6ヶの2重結合が存在するため非常に低い融点を持ち得る。さらに、分子量が非常に大きいポリブタジェンは室温でエラストマー系ポリマーで、ポリブタジェン塊をともなうブロック共重合体はナノ構造の液晶を生じることがよく知られている。同様に、枝分かれを取り入れることによってポリプロピレンオキシド(PPO)のような炭化水素高分子を作ることが出来、これは、プルロニックシリーズの界面活性剤ような、疎水性物質ブロックとしていくつかの重要な両親媒性塊状共重合体界面活性剤として役に立つ。水素の変わりにフッ素、とくにフッ素置換水素化合物鎖を界面活性剤に用いると通常、界面活性剤系ではかなりめずらしい中間層を含む全域の液晶相を見せるリチウムパーフルオロオクタノエート(n=8)に例証されるように、必要なnの最小値を下げることが出来る。他所で議論したとおり、他の疎水性基、例えばコール酸塩石けん(胆汁酸塩)の溶融環構造もまた優れた非極性基として有効である。但し、通常このような場合は特定の疎水性基が界面活性剤の挙動を示すかを基準に各個ベースで扱われねばならない。
極性−非極性界面(Polar−apolar interface):界面活性剤分子においては、分子中に、分子の極性部分を非極性部分から分離する分離点(時には、極性基が各端部にあるときには、2点であり、また、7ヶのアシル鎖を有し、したがって、分子あたり7ヶの分離点を有するLipid Aのようなものにおいては、二つよりも多くすらある)がある。すべてのナノ構造の液相またはナノ構造の液晶相においては、界面活性剤は単層または2層の膜を形成する。そのような膜においては、分子の分離点の位置が、極性領域を非極性領域から分離する面を表す。これが「極性−非極性界面」または「極性−非極性分離面」と呼ばれる。例えば、球状のミセルの場合、この面は、ミセルの外表面の内部に存在する球により近似され、ここでは界面活性剤分子の極性基が面の外側に、非極性鎖がその内側になっている。
この微視的な界面を、二つのバルク相を分離し、裸眼で見ることができる巨視的な界面と混同しないように留意すべきである。
構造流体(Structured fluid):界面活性剤と極性溶媒とを含む系において起こるマイクロカプセル化および薬物搬送(ドラッグデリバリ)の観点から、特に有用な混合物は構造流体である。本開示の目的のために、構造流体としては、長さの尺度で原子の大きさよりもかなり大きい構造形態を有する流体、特に、ナノ構造の液体、ナノ構造の液晶、およびエマルジョンのような流体が挙げられる。実例には、L1、L2およびL3相、溶媒変性液晶相(リオトロピック液晶)、エマルジョンならびにマイクロエマルジョンが含まれる。
溶媒変性液晶相(Lyotropic liquid crystalline phases、リオトロピック液晶):溶媒変性液晶相は正六方、正両連続立方、正分離立方、ラメラ、逆六方、逆両連続立方、および逆立方の液晶相を、十分に発達していない正・逆の中間体液晶相とともに含む
ナノ構造の液晶相は、以下のような性質を持つ少なくとも第1型と第2型の領域(そして時には第3やより多くの型の領域)からなる領域構造により特徴づけられる。
a)第1型の領域における化学的部分は、第2型の領域におけるそれとは不相溶であり(一般に、異なる種類の領域の各対は相互に不相溶である)、与えられた条件下で混合せず、むしろ分離した領域として残る。(例えば、第1型の領域が実質的に水および脂質先端基のような極性部分により構成され、一方第2型の領域が実質的に炭化水素鎖のような非極性部分により構成されるということもあり得るし、また、第1型の領域がポリスチレンに富み、一方第2型の領域がポリイソプレンに富み、第3型の領域がポリビニルピロリドンに富むということもあり得る。)
b)各領域内の原子配列は、固体の様というよりはむしろ液体の様で、原子の格子状配列を欠く。(これは、広角X線散乱法における鋭いブラッグピーク反射の欠如により裏付けられる)。
c)実質的にすべての領域の最小寸法(例えば、層の場合は厚さ、筒または球の場合は直径)はナノメートルの範囲(すなわち、約1から約100nm)にある。そして
d)領域の構成は、格子に一致する。つまり、一次元、二次元または三次元であり、格子定数(つまり単位格子の寸法)がナノメートルの範囲(すなわち、約5から約200nm)にある。したがって、領域の構成は、例えばInternational Tables of Crystallographyに記載されている230の空間群の一つに一致し、うまく設計された小角度X線散乱(SAXS)測定において、最低位の反射が3−200nmの範囲である回折間隔(d-spacings)で、鋭いブラッグ反射が存在することにより裏付けられる。
逆六方晶相(Reversed hexagonal phase):界面活性剤−水系において、逆六方晶相の同定は、上記正六方晶相の同定と二つの点でのみ異なる。
1.逆六方晶相の粘度は通常かなり高く、一般的な正六方晶相よりも高く、逆立方晶相のそれに近づいている。そして
2.相挙動の点で逆六方晶相は、一般に二つの尾を有する界面活性剤/水系において界面活性剤濃度が高い、100%の界面活性剤かそれに近い、場合に起きることが多い。逆六方晶相は、通常、より低い界面活性剤濃度で発生するラメラ相領域に隣接しているが、両連続逆立方晶相がその間に発生することが多い。逆六方晶相は、いくらか驚いたことに、一つの尾を有する界面活性剤、例えば、多くのモノグリセリド(グリセロールモノオレエートを含む)を有する幾つかの2成分系、および、幾つかの低HLBで非イオン性PEGベースの界面活性剤において実際に発生する。
正六方晶相の議論において上述したように、「正」および「逆」六方晶相は、界面活性剤系においてのみ意味をなし、一般に、1成分ブロック共重合体六方晶相においては意味をなさない。
逆立方晶相(Reverced cubic phase):逆両連続立方晶相は以下のように特徴付けられる。
界面活性剤−水系においては、逆両連続立方晶相の同定は、上記正両連続立方晶相の同定と一つの点でのみ異なる。相挙動の点で、逆両連続立方晶相は、ラメラ相と逆六方晶相との間にあるが、正両連続立方晶相はラメラ相と正六方晶相との間にある。したがって、正六方晶を逆六方晶から区別するために上記議論を参照しなければならない。立方晶相がラメラ相よりも高い水濃度に近づく場合にはそれは正であり、一方、これがラメラ相よりも高い界面活性剤濃度近づく場合にはそれは逆であるというよい法則がある。逆立方晶相は、一般に、二つの尾を有する界面活性剤/水系においては高い界面活性剤濃度で発生するが、添加された疎水性物質(油)または両親媒性物質の存在下でのみ逆立方晶相が見つかるということで、複雑になる場合が多い。逆両連続立方晶相は、一つの尾を有する界面活性剤、例えば、多くのモノグリセリド(グリセロールモノオレエートを含む)を有する界面活性剤を有する幾つかの2成分系、および、幾つかの非イオン性PEGベースで、低HLBの界面活性剤において、実際に発生する。
逆両連続立方晶相においては、正においてはないが、空間群#212が観察されていることにも留意すべきである。この相は空間群#230のそれに由来する。正両連続立方晶相の議論において上述したように、「正」および「逆」両連続立方晶相は、界面活性剤系においてのみ意味をなし、一般に、1成分ブロック共重合体両連続立方晶相においては意味をなさない。
本発明に有用な疎水性物質:
上記の定義にしたがって、非パラフィン系疎水性物質は実際に界面活性剤ではない疎水性化合物(Kow>10、好ましくは >100)でなければならない。すなわち、これらの分子のいずれの極性基もラフリン(Laughlin)が界面活性剤の先端基としては作用しないとして列挙した次の基と同等である。アルデヒド、ケトン、カルボン酸エステル、カルボン酸(遊離酸の形で)、イソシアネート、アミド、アシルシアノグアニジン、アシルシアノグアニル尿素、アシルビュレット、N,N−ジメチルアミド、ニトロソアルカン、ニトロアルカン、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロン、ニトロソアミン、N−酸化ピリジン、ニトリル、イソニトリル、アミンボラン、アミンハロボラン、スルホン、ホスフィン硫化物、アルシン硫化物、スルホンアミド、スルホンアミドメチルイミン、アルコール(単官能)、エステル(単官能)、第二アミン、第三アミン、メルカプタン、チオエーテル、第一ホスフィン、第二ホスフィンおよび第三ホスフィン。これらの基の内、極性基として望ましい基は、最も好ましいものからそうでないものへのおおよその順で、アルコール(単官能、フェノール系を含む)、カルボン酸、アルデヒド、アミド、第二アミン、第三アミンである。好ましい基となる特質は主に低毒性、低反応性、十分な多孔性、そして高融点の化合物をもたらす傾向が少ないといった結果による。
本発明の薬学上容認可能な疎水性物質としては、極性基を持った低毒性の使用可能な疎水性物質がいくつかあり、それらの多くは調剤および/もしくは食品製品として安全に使用された歴史がある。
これらには植物由来の精油ならびにFDAの「現在調剤製品に流通している不活性材料」(Inactive Ingredients for Currently Marketed Drug Products)と名付けられたリストに掲載されたいくつかの液体を含む。これらには次のものを含む。安息香酸ベンジル、カッシア油、ひまし油、シクロメチコン、ポリプロピレングリコール(低分子量のもの)、ポリシロキサン(低分子量のもの)、コニャックオイル(エナント酸エチル)、レモンバルム、ペルーのバルサム、カルダモンオレオレジン、エストラゴール、ゲラニオール、ゲラニオールアセテート、メンチルアセテート、ユージノール、イソユージノール、ペチグレン油、松根油、ヘンルーダ油、トリフラン、アンナット抽出物、ターメリックオレオレジン、およびパプリカオレオレジン。
植物由来の精油(それらの抽出物や成分、およびそれらの混合物を含む)はいささか大きく化学的に多様な、極性基を持つ多くの低毒性の疎水性物質を含む、液体グループから成る。「精油」という用語は次のような出所のものを含むことを意図的する。オールスパイスの実、コハク精油、アニスの種子、アルニカ、ペルーバルサム、バジル、ゲッケイジュ、ベイリーフ、ベルガモット、ボアドローズ(ローズウッド)、カユプテ、キンセンカ(マリゴールドポット)、白ショウノウ、キャラウェイシード、カルダモン、ニンジンの種子、シーダー油、セロリ、ドイツまたはハンガリーのカモミル、ローマまたはイギリスのカモミル、シナモン、コウスイガヤ、オニサルビア、丁子の芽、コリアンダー、クミン、イトスギ、ユーカリノキ、ウイキョウ、シベリアのモミの葉、乳香(オリバナム油)、ニンニク、テンジクアオイ、ショウガ、グレープフルーツ、ヒソップ、ジャスミン、ホホバ、ネズの実、ラベンダー、レモン、レモングラス、ライム、マヨラナ、ヨモギ、モウズイカの花、ミルラガム、ダイダイネロリ、ナツメグ、ダイダイ、スウィートオレンジ、オレガノパルマローザ、パチョリ、メグハッカ、黒コショウ、ペパーミント、小さい穀粒、松葉、ヨウシュの根、純バラ油、バラの実、ローズマリー、サルビア、ダルメシアンサルビア、ビャクダン油、サッサフラスノキ、スペアミント、カンショウ、スプルース(ヘムロック)、タンジェリン、チャノキ、ニオイヒバ(シーダーの葉)、タイム、バニラ抽出物、ベチバー、トウリョクジュ、マンサク(ハマメリア)抽出物、またはイランイランノキ(カナンガ)。
以下のものは精油の成分である。
2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン、4−プロペニルアニソール、ベンジル−3−フェニルプロペン酸、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、2,2−ジメチル−3−メチレンビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、トランス−8−メチル−n−バニリル−6−ノネンアミド、2,2,5−トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプト−5−エン、5−イソプロピル−2−メチルフェノール、p−メンタ−6,8−ジエン−2−オール、p−メンタ−6,8−ジエン−2−オン、β−カリオフィレン、3−フェニルプロペンアルデヒド、3,7−ジメチル−6−オクテナール、3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オール、4−アリルアニソール、エチル3−フェニルプロペン酸、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、1,8−シネオール、4−アリル−2−メトキシフェノール、3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オール、1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン、トランス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール、トランス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−イルアセテート、3−メチル−2−(2−ペンテニル)−2−シクロペンテン−1−オン、p−メンタ−1,8−ジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オール、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イルアセテート、p−メンタン−3−オール、p−メンタン−3−オン、メチル2−アミノベンゾエート、メチル−3−オキソ−2−(2−ペンテニル)−シクロペンタンアセテート、メチル2−ヒドロキシベンゾエート、−メチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン、シス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール、2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト−2−エン、6,6−ジメチル−2−メチレンビシクロ[3.1.1]ヘプタン、p−メント−4(8)−エン−3−オン、p−メント−1−エン−4−オール、p−メンタ−1,3−ジエン、p−メント−1−エン−8−オール、および 2−イソプロピル−5−メチルフェノール。
薬の可溶化特性、低毒性、低水溶性、使いやすい温度範囲で液体、使用の来歴、そして立方晶との適合性(または誘発性)の好ましい組み合わせの結果、特に好まれる非界面活性剤疎水性物質は、安息香酸ベンジル、エストラゴール、ユージノール、イソユージノール、リナロールおよび次のような精油である。ペルーのバルサム、バジル、ゲッケイジュ、ボアドローズ(ローズウッド)、ニンジンの種子、丁子の芽、ユーカリノキ、ショウガ、グレープフルーツ、ヒソップ、レモン、ヨモギ、ミルラガム、ダイダイ、オレガノ、パルマローザ、パチョリ、ペパーミント、小さい穀粒、ローズマリー、ビャクダン油、スペアミントニオイヒバ(シーダーの葉)、タイム、バニラ、イランイランノキ(カナンガ)。
極性溶媒:本発明の実施に用いられる極性溶媒は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
a.水
b.グリセロール
c.エチレングリコールまたはプロピレングリコール
d.硝酸エチルアンモニウム
e.アセトアミド系の一つ、即ち、アセトアミド、N−メチルアセトアミドまたはジメチルアセトアミド
f.低分子量ポリエチレングリコール(PEG)
g.上記の二つ以上の混合物
好ましい極性溶媒は水、グリセロール、エチレングリコール、N−メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミドおよびポリエチレングリコールで、これらは低毒性と見なされているからである。しかしながら、ここに提示した処方物でPEG化された(エトキシ化された)界面活性剤(例えばアルラトンやプルロニクス)に依存するものとは、グリセロールは通常相性がよくない。
優位性と独特の特性:
ここで言及する立方および六方晶相にはいくつかの独特の特性があり、今までに文献で述べられた立方晶相に比べて、とくに薬物の搬送(ドラッグデリバリ)、化粧薬品、および栄養補助薬品に関わる有望な適用性に関しては著しい優位性がある。
先ず始めに、有毒性や規制問題を含め、上で議論した活性体を可溶化するための逆立方および逆六方晶相をつくるために先行技術で用いられた脂質に伴う問題や制限、例えば活性体を溶解するのに有用な疎水性物質の受け入れ制限(モノグリセリドの場合のように)、価格(ガラクトリピドの場合のように)、そして不適当な相の挙動、は、この開示で報告された組成物においては実質的に除かれた。当発明の実施例に使われているエトキシ化ひまし油誘導体、プルロニクス、エトキシ化トコフェロール、ドキュサート、そしてソルビタン脂肪酸モノエステルの類は、すべてが注射剤処方を認められている構成員を保有している。そこで、しばらくは後の分野に焦点を合わせてみると、どのようなモノグリセリド(グリセロール脂肪酸モノエステル)も注射液には認められていない一方で、ソルビタン脂肪酸モノエステルソルビタンモノパルミテートは1996年FDAの「Inactive Ingredient Guide」に注射用製品に使用することが認可されているものとして現れている。このことはこれら二つの化合物群間の著しい差異である。
非パラフィン系疎水性物質、特に少なくとも一つの極性基を含むものを導入することにより、これらの立方晶相が難溶性の薬品や活性体を可溶化する能力は非常に改善される。本文の他所で議論したとおり、ほとんどの水に不溶な医薬化合物は、少なくとも一つ、通常は数個、ときには4つ以上の極性基を持っている。文献に報告されたほとんどの脂質―水系の立方晶相は、ここで報告されたものと同様に、アシル鎖に極性基のない脂質をベースとしていて(ひまし油誘導体を例外として)、そのため水不溶化合物が可溶化されると考えられている脂質2層構造体の内側には極めて低濃度の極性基しかなく、ほとんどの単純な脂質−水系はいくつかの極性基を持つ水不溶化合物の可溶化には向いていない。 非パラフィン系疎水性物質、好ましくは少なくとも一つの極性基を液晶相内に、ということは脂質2層構造体内に持つ、を取り込むことは、2層構造体内の極性基濃度を劇的に変え、その有効な極性を増やし、薬品分子とより具合のよいエンタルピー的相互作用を作り出す。このような化合物は、もしも疎水性物質の分子量が約500かそれ未満と小さければ、そして特にもしも約250かそれ未満であれば、そのためにより本当の「溶媒らしい」性質を取り込めて、エントロピー効果により2層構造体内の疎水性物質の分解、および疎水性物質−脂質環境内の薬品の分解をより強力に有利にするから、特に好まれる。
特定の脂肪酸やその誘導体は逆液晶相の形成に使用できるが、それらは非パラフィン系疎水性物質に比べて2層構造体の内部環境の調節には明らかに効果が少ないということを指摘しておくことは重要である。ずっとより効果的なのは非パラフィン系疎水性物質で、特によりコンパクトな、とりわけ芳香族化合物のような(たとえばショウガ油の主成分であるジンガロン)とか、カルボン(オランダハッカ油の主成分)のような化合物で低分子量(150.2)、不飽和、そして極性基の組み合わせを持つものである。 対照的に、単純な脂肪酸、とくに中鎖や長鎖の脂肪酸やそれに近い親類筋は2層構造体の疎水性物質部分にさらなるパラフィンを加えるだけの傾向があり、そこの環境に、例えば桂皮アルデヒドの追加に伴うような、基本的な変化をもたらさない。
個々の界面活性剤や界面活性剤群が持っている目立った効果は以下の実施例に記載してある。
単に立方晶相や六方晶相のレパートリーを増やすだけで多くの得るものがあると言うことを指摘しておくことも重要である。医薬やその他の分野で液晶相に与えられた用途において、通常、多くの基準を同時に満たさなくてはならず、このことがそれぞれ固有の長所を保持しながら化合物が安定していることが必要となる。例えば、提示されたいかなる医薬活性体に対しても、その活性体を高負荷まで可溶化するという点においては入手可能なほかの疎水性物質のすべてをしのぐ疎水性物質が通常は一握りほども見つかるものであり、そして手に入る界面活性剤や脂質はこれらの疎水性物質(これらはさもなければ液晶相のものをしばしば液化してしまう)による可溶化の影響に対する耐力が異なり、そして活性体をかなりの負荷まで可溶化できる3成分系液体をもたらす。このことはそれぞれの薬品により変わり、これが変わることにより異なった液晶相組成物が必要となる。さらには、吸収性の向上、有毒性、および他の特徴や工程との両立性、例えば特殊なコーティング、pHやイオン状態でカプセル化するなど全体の形成、などの課題がある。
水および脂質の両者で低溶解性の化合物:
水に不溶な化合物は脂質に溶けるだろう、換言すれば、「疎水性物質」と「脂質」という用語は同じと何となく当然と思うのは間違いである。水不溶分子がかなりきれいに非常に小さな数(通常3以下)のはっきりした極性、非極性領域に分けられる場合は、その化合物が多くの場合脂質に可溶であるということは事実である。しかしながら、特に医薬活性体の世界では、もっと大きな数の極性基、非極性基が一つの分子の中に分散しているのを見いだすことはよくあることである。このような場合、薬品を脂質の2層構造体に可溶化する一つの方策は非パラフィン系疎水性物質、とくに2層構造体内部で極性基を示すものを導入することである。
例えば、ダントロレンの構造を考えてみよう。ダントロレンの分子構造図の長さ方向に沿って移動するにしたがって、極性基(ニトロ基)、低極性基(芳香族環)、適度な極性基(フラニール環)、極性基(メチルアミノ基)、そして最後にpHにより帯電したりしなかったりするヒダントイン基を見いだす。この化合物は水に対しておおよそ150mg/Lの溶解性で、そのナトリウム塩でさえ300mg/L台の溶解性を有す。さらに、単純なリン脂質−水、系に対する溶解性も非常に低く、現実の製薬上で重要性を持つには低すぎる。脂質2層構造体中の薬品が、少なくとも一つの極性基とリン脂質のアシル鎖との直接接触を避けるという形を想像することは難しい。
パクリタキセルの場合は、極性、非極性部にはっきり分けられない分子のさらに例証的なものである。この分子には47ヶの炭素原子があり、3つの個別な芳香族環を含み、そして水溶解性は極めて低い。しかしながら、相当数の極性基、すなわち、1つのアミド基、3つのヒドロキシル基、4つのエステル結合、もう一つのカルボニル基、そしてシクロプロポキシ環が存在する。
第1表は、いくつかの主な治療分野から水に対し低溶解性である薬品化合物を示し、分子にある極性基の数を表にしたものである。表は、ほとんどとは言えないまでも、多くの水不溶性薬品を示し、これらは少なくとも3つの極性基を含有し、単純な脂質−水混合物中に低可溶性であると考えられる。本発明に伴う非パラフィン系疎水性物質の組み込みがこれを改善する。これらの各化合物の化学構造の調査により、極性基が分子中に広がっていて、まれな場合にのみ分子が単純な(脂質−水)2層構造体中で、界面活性剤と類似する配置で、位置することができることが更に明らかになった。列挙されたこれらの薬品のほとんどはまた、薬品を、例えば、塩酸塩またはナトリウム塩のような塩に変えることによって薬品を水に可溶化しようと試みた場合に、問題がある。例えば、いくつかは体内の環境のpHで沈殿し、他は分解するなどである。
Figure 2005532366
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本発明は、脂質に基づく可溶化系の種類、特に液晶混合物、さらにその中でも可溶化特性が広い範囲に調整できる逆六方晶および逆立方晶相混合物を提供する。水および単純な脂質−水混合物の両方に対して低溶解性である活性体の可溶化において重要な特性は、本発明においては、好ましくは脂質2層構造体または極性−非極性界面に位置する極性基の濃度および種類であると認識される。
ここに、医薬活性体が水に低溶解性であると言うことは、療法に要する活性体投与量を溶解するのに約100mLより多くの水を必要とする場合である。同様に本発明では、医薬活性体が油に難溶性であると言うことは、療法に要する活性体投与量を可溶化するのに約10mLより多くのオクタノールを必要とする場合である。オクタノールを選択したことは、重要なオクタノール−水分配係数 KOW の規定において標準の溶媒であるから、自然である。更に、化合物は、大豆油への溶解性が重量で5%未満である場合に、脂質溶解性が低いと見なされる。
他の方法では可溶化が困難な薬品を可溶化することに加え、ここに開示した非パラフィン系疎水性物質および試みは、医薬活性体化合物が水や体液(つまり血液、その他)よりも優先的にその中に入って仕切ってしまう可溶化マトリックスを用意するというもう一つの重要な役割を果たすことができる。例えば、ある薬は水溶解性が悪くはないのに、ある場合には疎水性あるいは両親媒性環境で可溶化した方が、反対に水に可溶化した場合に比べてより効果的である。とくに、より疎水性な環境に可溶化させることは、マトリックスが正しい位置や環境に達するまで薬品に留まることにより一様の放出、または目標とされた放出をもたらし、および/または薬品のための保護環境をもたらし、またより一般的には、生産、保管、あるいは適用のためにより有利な化学的、物理的特性をもつ局所的な微環境をもたらすことが出来る。
例として、ここに報告される実施例において、局所麻酔薬であるブピバカインが、その低溶解性の遊離塩基のかたちで、可溶化剤として精油を組み入れた液晶中に、可溶化されている。より多く用いられる塩酸塩が水溶解性であるという事実にもかかわらずである(同様の結果が例えばプロカイン、プリロカイン、コカイン、およびテトラカインなどの他の局所麻酔薬でも見られる)。そのように可溶化された遊離の塩基のかたちを有するこの液晶の形態は、ブピバカインが強く仕切る環境を与える。これはKOWの値が約1500だからである。これは、マトリックスの処理が過剰の水との接触を含む場合でさえも薬物がマトリックス中に残るカプセル化方法を与える。更に、麻酔薬の持続する放出を与えるが、水に可溶化された塩酸塩のかたちにおいては薬学的半減期はわずか数時間である。
薬品の流出を抑制する疎水性物質:
高いオクタノール−水分配係数を持つ非パラフィン系液体で、多くは界面活性剤とは見なされない代わりに界面活性剤の先端基として働かない少なくとも一つの極性基を含むある種の化合物が逆両連続立方晶相をホスファチジルコン−水系で形成することが本発明者により見いだされた。さらに、しかも驚くべきことに、本発明者によりこれらの化合物は、ここで引用して本明細書の内容とするBenet et al の米国特許5,716,928の、表にあるように、シクロスポリンのようなシトクロム3A4(Cyp3A4)担体の流出およびヒドロキシル化を防ぐ、非常に強い能力とのつながりを示すことが見いだされた。 とくに、次のような精油が高PCレシチン「エピクロン200」(Lucas−Meyer)と水の混合物内で、大略39%のエピクロン、27%の水、と34%精油の組成、室温または数度低い温度で、両連続立方晶相を誘発することが本発明者により確定された。それらは、丁子の芽、イランイランノキ、ビャクダン、ペパーミント、ユーカリノキ、ショウガ、ニンジンの種子、ゲッケイジュ、ミルラ、モミの葉、パチョリ、スペアミント、およびタイムである。この意味で、スペアミント油は水の一部がグリセロールで置き換えられた場合によりよく働く。非常に驚くような関係で、これらは正しくPグリコプロテイン/Cyp3A4流出系の最も強力な抑制剤として知られた油である。対照的に、次のような油は、ほぼ同様の組成(しかし概ねいくらか水濃度が低い)で分離(換言すれば、両連続ではない)立方晶相を誘発する。それらは、オレンジ、ミカン、ウィンターグリーン、ウイキョウ、バジル、およびレモンで、これらの油はP−gp/Cyp3A4系の抑制が弱く、これらの油は極性基が完全にない(例えば、D−レモネン)か、エステルのような弱い極性基を持つかのいずれかである。そして上記組成でPC−水混合物をたとえ約15℃の温度でも液化する油には次のようなものが含まれる。シトロネラ、マヨナラ、およびレモングラスで、これらの油はP−gp/Cyp3A4系の抑制が弱いことが知られ、概してこれらの油は主成分としてアルデヒドを含む。精油の成分であるリナロールは第1と第3グループの境界にあり、PC−水系で組成の少しの変化で両連続立方晶相または液相のいずれでも誘発することが出来る。そして同様に、シナモン(主成分:桂皮アルデヒド)は組成の少しの変化や、油の出所によりいくつかの影響を与えることが出来る。
抑制剤として最高の油、すなわち、丁子、イランイランノキ、ビャクダン、ペパーミント、ユーカリノキ、ショウガ、ニンジンの種子、ゲッケイジュ、ミルラ、モミの葉、パチョリ、スペアミント、およびタイム、の研究により、これらの油はその主成分または主成分群として、高いオクタノール−水分配係数を持つ非パラフィン系液体で、多くは界面活性剤とは見なされず、界面活性剤の先端基として働かない少なくとも一つの極性基を含むある種の化合物を有することが判った。そしてさらに、その化合物が唯一の極性基としてアルデヒド基を持つときは、このような化合物は上記組成付近のPC−水系に両連続立方晶相を誘発せず、またP−gp/Cyp3A4系の抑制剤にもならない。
この研究により体内の生体膜に対する精油の作用はそれの試験管内におけるリン脂質−水系に対する効果と強く相互関係があることは明らかであり、必然の結果として、両連続、つまりナノ微細孔性、立方晶相を試験管内で誘発する油は、つかの間にせよ、生体膜の吸収バリアに対してもナノ微細孔を誘発できる。精油は(抽出方法に拠らないとしてもほとんど定義として)水に溶けにくいから、それが生体膜に達した時には分散した液滴の形になっているため、液滴―生体膜の接点の局所的濃度は実際上高く、結果として局所的なナノ微細孔性のミクロ構造区画が形成されると考えられる。このことが今度は、P−糖蛋白の仲介による医薬活性体化合物の流出(これは一般に化合物のCyp3A4仲介によるヒドロキシル化性を何倍にも高める)に打ち勝つことが出来るいくつかの方法を提供できる。1)ナノ微細孔促進による先端から基部にいたる精油運搬で、活性物(例えばシクロスポリン)の流出を競争抑制により抑制することが出来る。2)非ラメラ生体膜の幾何学的形状が流出に関与する蛋白質に直接的な影響を与えられる。3)生体膜の水性微細孔の存在がP−gpを機能させるのに必要なATPの漏洩を可能に出来る。これらの効果は相乗的に結びつくことすら可能である。
試験管段階の挙動テストでPC―水混合物を流動化する精油は(結果的に液晶相ではなく、液相になる)、シトロネラ、マージョラム、そしてレモングラスオイルが例示する様に、P−gp/Cyp3A4系を強く抑制することはしない。かくて、この点において、生体膜の流動化よりナノ微細孔率の方がずっと重要事項である。ナノ微細孔率が決定的な特徴であるという結論はまた、分離(両連続ではない)立方晶相形成油が強力な抑制剤ではないことからも支持される。つまり分離立方晶相は非常に強いひずみを有している(このためひずみそれ自体を基本的な特徴から除外している)が、真の微細孔性は持っていないからである。
本発明者は界面活性剤−油−水相の挙動について理論的分析を発表{Strom,P.and Anderson,D.M.(1992)Langmuir8:691−702}し、疎水性物質上の極性基が界面活性剤−油−水相の挙動に劇的な効果を与えることを示した。かくて、極性基を持つ疎水性物質を特徴とする精油は、リン脂質や水に対して、極性基を持たない精油とは本質的に異なる相挙動をもたらすという、上に要約した相の挙動結果は筋が通っているし、周知の事実と矛盾もしない。
PC−水系で両連続立方晶相を誘発する油において、その両連続立方晶相の大半は水の濃度が低下すれば逆六方晶相に転換し、反対に逆六方晶相は水による加湿で自然に両連続立方晶相に転換するということは指摘しておかなくてはならない(例えば、体内で薬品の搬送システムに適用した場合に起きるかもしれない)。
医薬活性体の搬送における両連続立方晶相化したナノ微細孔の導入
生体膜にナノ微細孔を誘発するのと同じ効果は、両連続立方晶相化の通常の効果で、流出であれ、代謝(例えばヒドロキシル化)であれ、タンパク質が関係する医薬活性体の吸収を改善するのに有用なものであることを本発明者は見いだした。かくて、両連続立方晶相に溶解された薬品が細胞に入れるということに関しては、例えばリポソームに可溶化された薬品と比べて、劇的かつ本質的に異なるメカニズムがある。後者は主にエンドサイトーシスや飲作用に用いられることで知られているが、遅くおよび/または効率の悪い方法である。対照的に、同じ薬品が逆両連続立方晶相に可溶化された場合は、全くエンドサイトーシスに頼る必要がなく、局所的な、一時的なナノ微細孔が代わりに細胞に侵入するために直接利用できるルートを出来る。一時的な、とは好ましくは1時間未満の中で、さらに好ましくは1分未満の中でナノ微細孔が形成し、閉じることを意味する。さらに、これはその相(逆両連続立方晶相)のナノ構造の機能であって、相自体の化学的性質によるものではない。言い換えれば、逆両連続立方晶相が精油成分とか極性基を持つ疎水性物質を含むかどうかとは独立して、それが逆両連続立方晶相のナノ構造に含まれているという事実が、どのような成分がこれをもたらすにせよ、その素材にナノ構造による細胞侵入メカニズムを許す固有の能力を授けている。しかしながら、どのような場合でも、上に列記した両連続立方晶相誘発精油の様な成分が担体に存在することが、細胞の生体膜のバリヤーにナノ微細孔を誘発する上で最も効率的で信頼が置ける。
下記の実施例9および10がこのことを納得がいくように説明している。実施例9の場合、搬送先は腸ではなくむしろ神経で、薬品、具体的にはブビバカイン、は前の小節で議論したP−gp/Cyp3A4のメカニズムの対照にはなっていない。にもかかわらず、薬品をリナロールを含む立方晶相に編入したことによる細胞の摂取の増進は非常に劇的である。摂取が増進したという事実は、薬品が薬品受容体に作用するのは受容体の細胞内部分にのみということが知られているから、ブビバカインが細胞に侵入できた場合にのみその麻酔効果を及ぼすことで実証できる。実施例10の場合、薬品はP−gp/Cyp3A4系の担体として広く知られているパクリタキセルで、単立方晶相がタンパク質とナノ微細孔の誘発との双方の抑制を,その立方晶相ナノ構造体とその特殊な組成物のお陰で達成できる。
逆立方または逆六方晶相がそのままで、溶解した医薬活性体を含む組成物から形成され、そして望ましい逆液晶相を細胞が摂取する現場で形成するよう適切に設計されるのもこの発明の領域内である。例えば、水に対し飽和より少ない量を溶解した薬品を含み、体液内で膨張して、逆立方晶相となるような成分を設計することができる。
このナノ微細孔の誘発メカニズムは、水に溶解する、また溶解しにくい化合物双方の搬送に非常に有用なものとなりうる。これは部分的には、生体膜の局所的な、一時的な区画が搬送を促進するという両連続の性質による。かくて、本発明の組成物は搬送の促進、特に、しかしこれに限定されないが、ペプチドやタンパク質(例えば、インスリン、エリスロポエチン、インターフェロン1b、アルテパセ、rhtPA、ダルベポエス アルファ、インターフェロン ベータ1a、コンギュレーション ファクターIX、コンギュレーション ファクターVIIa、rhTNFアルファ、インターフェロン ベータ1b、rHファクターVII、rHファクターVIII、rHファクターIX、ソマトロピン、アレムツズマ、イミグルセラーゼ、HbsAg、rTNFR−IgGフラグメント、rhEPO、フォリトロピン アルファ、フォリトロピン ベータ、グルカゴン、トラスツズマ、インスリン リスプロ、rhインスリン、インターフェロン アルファコン1、rhヒト インスリン、インターフェロン アルファ2b、アナキンラ、インスリン グラルジン、rGM−CSF、rhインスリン リスプロ、rOspA、rIL−2、リツキシマ、オプレルベキン、フィルグラスチム、fhインスリン アスパート、ムロモマブCD3、ペジンターフェロン、rH BsAg、rhEPO、アルデスロイキン、ソマトレム、ドルナーゼ−アルファ、Dナーゼ、rhリンパ節興奮ホルモン、リタプラーゼ、rtPA、リバビリン、USPインターフェロン アルファ2b組み換え体、rHbsAg、抗血友病因子、モロクトコグ−アルファ、ベカプレルミン、rhPDGF、インフリキシマ、アブシキシマ、レテプラーゼ組み換え体、レテプラーゼ、rtPA、ヒルジン、リツキシマ、インターフェロン アルファー2A、バジリキシマ、パリビズマ、テネクテプラーゼ、rHbsAg、rHBsAG、フォミビルセン、ダクリズマ、など)や、核酸(DNA、RNA、プラスミド、アンチセンス化合物、カプセル包含ウィルス核酸、など)、そして低分子量薬品の経口搬送を高めるのに有用である。経口搬送に加えて、本発明はほかのルートによる投与にも有用であり、それには次に示すものが含まれるが、これらに限定されるものではない。口内、静脈、筋肉、皮下、腹腔、舌下、髄膜、経皮、眼内、鼻孔内、肺、そして直接的な点滴注入(例えば膀胱)。
かくて、要約すると、発明者は次のことを明らかにしている。1)特定の疎水性物質、とりわけ特定の精油で、非アルデヒド極性基を持つものはホスファチジルコリン−水系において、大略、エピクロン39%、水27%、および精油34%の組成で、10−20℃において両連続立方晶相を誘発する傾向があり、これは極性基を持たないか、アルデヒドかのいずれかで、それぞれ分離立方晶相および液体を形成する油と対照的である。2)大略、エピクロン39%、水27%、および精油34%の組成で、10−20℃において両連続立方晶相を形成する油は、Pgp/Cyp3A4の流出/ヒドロキシル化系を、特に小腸で、抑制する可能性が高い。3)理論に限定されないが、後者の抑制は、局所的な、一時的なナノ微細孔区画が腸や他の組織の生体膜バリヤーに形成されたための可能性が高い。米国パテント5,716,928が精油の抑制濃度および成分を表にしたが、その開示の中には化学構造と作用との間の関係や、PC−油−水相の挙動と作用との関係は何ら報告されなかった。だからこの研究は医薬活性体の吸収の改善のために、流出抑制剤を同定し、特徴づけ、応用するための基礎を提供する。4)局所的な、一時的な微細孔を細胞膜に誘発して、流出系を抑制する能力は逆両連続立方晶相一般に共通した効果である。そして5)一時的な微細孔を細胞膜に誘発して、流出系を抑制するという同じ能力は、流出または代謝タンパク質が絡んでいようが無かろうが、広範な薬品吸収問題に応用できる。
投薬の経路:
本発明による組成物は、この分野に熟練した者にはよく知られた様々な方法で投与される。これらの方法は経口(例えば、丸薬、錠剤、甘味入り錠剤、カプセル、トローチ、シロップおよび懸濁液など、経由で)、および口を経由しないルート(例えば、非経口、静脈経由、眼経由、経皮的、吸入を介してなど)を含むが、これらに限定されるものではない。 本発明による組成物は、特に体内投与に適している(すなわち局所薬としてではなく)。本発明は溶解しにくい医薬活性体を体内搬送する場合の適用に特に有用であり(すなわち局所薬としてではなく)、これには経口、非経口を含み、上記活性体はリンパ液、尿、血液、鼻汁、唾液、細胞外液などの水連続媒体に混和するものとする。とくに、ここで中心となる多くの構造流体の重要な有益な面はそれらが、概して粘度の低い、水連続媒体としての処方に役に立つということである。化合物は、極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤とは見なされない非パラフィン系液体を含む上述の逆立方晶相か逆六方晶相材料か、その両者の混合物と結びつくか、最も好ましくはその中に組み込まれた、形で投与することが出来る。患者に投与された組成物は逆両連続立方晶相として存在し、細胞、組織、或いは臓器に存在する生体膜の吸収バリヤーを通り抜けて関心事の化合物の搬送を可能とすることが好ましい。あるいは、関心事の化合物と共に逆両連続立方晶相材料を同時投与や逐次投与で用いることもまたできるだろう。これにより上記で詳細に議論したナノ微細孔化の特徴が生体膜の吸収バリヤーを通り抜けて化合物の搬送を促進するのに利用される。
各々の実施例は脂質または界面活性剤、極性溶媒(通常は水)、および界面活性剤に該当しない非パラフィン系疎水性物質を含む新規の立方晶相組成物を説明し、さらに各々の実施例は、難溶解性の薬品が立方晶相に可溶化することを報告する。
実施例1
水およびいくつかの非パラフィン系疎水性物質と合わせた界面活性剤プルロニック123は、特定の組成で逆立方晶相を形成することが見いだされた。
プルロニック123(47.8%)/オレンジ油(26.1%)/水(26.1%);
プルロニック123(45.7%)/イソユージノール(21.7)/水(32.6%);そして
プルロニック123(47.8%)/レモン油(26.1)/水(26.1%)
さらに、この実施例に例示するように、これらの立方晶相は溶解性の低い薬品を可溶化することが出来る。ブピバカイン塩酸1.00gを水24mLに溶かして遊離塩基ブピバカイン(水に対する溶解性は重量で0.1%未満)を作った。当モルの1規定NaOHを加えて遊離塩基ブピバカインを沈殿させた。 ガラス試験管に、遊離塩基ブピバカイン0.280g、水0.685g、そしてリナロール0.679gを合わせ、超音波を当ててブピバカイン粒子を破壊した。そして0.746gの界面活性剤プルロニック123を加えた。試料は結晶した薬品を溶かすためにかき混ぜられ、加熱された。試料は15分間遠心分離された。試料は高粘度の透明相を形成し、偏光顕微鏡では光学的に等方性であった。上述したように、リナロールはコリアンダー油の主成分で、FDAリストの認可された不活性原料に載っている賦形剤で、そしてまた広範囲の毒性研究のテーマともなってその低毒性を論証している.
第2の試料も同じ液晶を用いて準備し、トリプトファン亜鉛で被覆したミクロ粒子とした。これらブピバカインを付加したミクロ粒子は、皮下注射に、薬品の作用を延長しかつ有害性の側面を低下させる緩放出処方の局所麻酔剤に向いている。
次いでこれら二つの試料を小角X線分散で観察した。データはミネソタ大学の2次元小角X線ラインで、銅放射、フランク鏡群、真空に引かれた飛行経路と試料室、ブルックナーのマルチワイヤ式面積検出器、およびサンプル−検出器間距離58cmの(回折間隔範囲172から15オングストローム)で集められた。
この試料で観察された最高の回折間隔はこのカメラによる探知限界に近かったため、ミネソタ大学の6メートル2次元小角X線ラインで、銅放射、オスミウム多層レンズ系、ピンホール視準、真空に引かれた飛行経路、ヘリウム充填試料室、そしてブルックナーのマルチワイヤ式面積検出器、およびサンプル−検出器間距離328cmでも操作された。 328cmの時、検出器は90から700オングストロームの範囲を持つ。第1の試料はチャールス・スーパー会社の内径1.5mmのX線用キャピラリーに充填された。試料は18Cで処理された。距離58cmからの2次元イメージはステップサイズ2θ=0.02度で統合された。 6メートル線からのデータはステップサイズ2θ=0.002度で統合され、そのプロットは短い距離からの試行結果と重ねられ、両カメラのピーク位置が完璧に一致した。
Materials Data Analysis,Inc.のX−線ピーク解析ソフトJADEを用いて結果のデータを解析しピークの存在、位置を求めた。そのプログラムの中で「質量中心適合」オプションを採用した。
小角X線散乱法 (SAXS:Small−Angle X−ray Scattering)データはJADEによりブラッグピークが154.6、80.6、61.6、および46.3オングストロームの位置にあることを示した。これらのピークはよく観測される立方晶相区域集団Pn3mの立方晶相構造を指し示している(最も一般的に観測される立方晶相構造とそのSAXSパターンの詳細な議論に関しては、Pelle Stro m and D.M.Anderson,Langmuir,1992,vol.8,p.691参照)。これら4ヶのピークは実際に空間群、区域集団「#229」で格子乗数210オングストロームの(110)、(211)、(222)、および(420)ピークを指し示している。第2の試料は104.6オングストロームに1ヶのピークを示し、同じ格子定数の(200)を指し示しているようだ。第2の試料もまた回折間隔範囲25オングストローム未満で3ヶのピークを示したが、これは明らかにトリプトファン亜鉛結晶の殻によるものである。
ブピバカインは、ここで用いたリナロールの様な油なしではP123−水混合物に非常に低いレベルでしか可溶化しないことを指摘しておくことは重要なことである。本実施例で達成したブピバカインに対し、ブピバカインの塩酸塩の形ではその2%、また遊離塩の形もまた(大略)14%よりずっと少ないレベルでしか溶解しなかった。
イソユージノールはイランイランノキ油や他の精油の主成分で、毒性研究では非常に注目の的になっていてその低い毒性を証明してきた。リナロールはコリアンダの、同様にシナモンやオレンジ油のような精油の主成分であり、飽和炭化水素鎖の最大長が5しかないため、上記で与えられた定義によれば非パラフィン系と見なされる。が、この化合物の非パラフィンとしての特徴は不飽和結合だけでなく、枝分かれ、第3級炭素、およびヒドロキシル基の存在により強調されている。リナロールもまた毒性研究の集中的な対照にされていたが、ほとんど例外なく低い毒性と変異原性を示した。
プルロニクス(ポロクサマーとも呼ばれる)は界面活性剤の豊富な分野で、分子量およびHLBの幅広い範囲の変異体を含む。低いHLBのものは水溶解性が低く、とくに高分子量の場合は顕著で、P123はこのような界面活性剤の例で、幅広い条件の下で自己会合構造を形成するのに十分大きなPEGグループを持つ。さらにその分子量が比較的大きいことは、液晶相(液相と対照的に)の形成を助長し、このことは本文脈においては大変好都合なことである。プルロニクスもまた生体膜と互いに強く作用して細胞による薬品吸収を促進し、実際にある種の流出蛋白質、例えば多剤耐性を引き起こすP糖蛋白質やほかのMDR蛋白質、を抑制するかもしれないことで知られている。例えば、ホスファチジルコリンは薬品搬送に関し後者の機能を果たしていることは明らかにされていないし、本著者の知るところでは深く考えられてすらいない。プルロニクスは分野としてはFDAと同様、Drug Master Fileの対象で、1996年の不活性材料リストに、注射可能処方が認可されたものとして、番号が明確に表示され、その低毒性を示唆している。
実施例2
先ず、βエストラジオール0.008gをイランイランノキ油0.203gと混合したが、加熱しても溶解しなかった。D−アルファ トコフェリル ポリエチレングリコール1000琥珀酸塩(「ビタミンE TPGS」)0.497gを加えたのち、緩やかな加熱でエストラジオールは溶解した。次いで、水0.322gをこの溶液に加え、サンプルを15分間遠心分離した。非常に粘調な、偏光顕微鏡検査では等方性の、透明相が形成された。同様の組成から活性のエストラジオールを除いたものも、また立方晶相を形成した。
SAXS分析に関しては、この材料は粘度が高すぎてキャピラリーに充填できなかったため、「サンドイッチ」ホルダーを使って行われた。とりわけ、これは薄手のポリイミドフィルム、商品名カプトン、の間に挟まれた小さなO−リングの中に入れられた。
ブラッグピークは回折間隔が123.6、100.6、68.8、49.9、45.6、そして33.4オングストロームで記録された。これらは高い精度で(110)、(111)、(211)、および(222)ピークを含む格子定数174オングストロームの立方晶相Pn3m格子を指し示す。
Dアルファ トコフェリル ポリエチレングリコール1000コハク酸塩はそれ自体水に溶解するが、PEG鎖がより短いこの分子の変位種はずっと溶解性が低い。これらの界面活性剤は、その低い毒性、体内で加水分解して強力な酸化防止剤であるポリエチレングリコールとビタミンEを生むことが出来るという点から、薬物搬送(ドラッグデリバリ)において非常に関心が持たれている。
実施例3
グリコール0.557g、ソルビタン モノオレエート0.314g、そしてショウガの精油0.137gを混合した。これを15分間遠心分離した結果、これは非常に粘調な、等方性の、いくぶん黄色の、逆立方晶相を底に、そしてわずかな上層に過剰の界面活性剤と油を形成した。0.014gの補酵素Q10をこの立方晶相に溶解し、ずっと濃い黄−オレンジ色の立方晶相を得た。
これはショウガ油などの油を非常に低い割合でしか溶解しない、例えばモノグリセリド、したがって補酵素Q10など難しい活性体を可溶化する上での価値が低いのであるが、に比べて、この界面活性剤は明らかに強みがある。ある種のソルビタンエステル、例えばソルビタンモノパルタテート、は1996年のFDAの「不活性材料」リストに注射用製品用途に認可されたものとして登場し、これらの毒性が極めて低いことを示唆している。
実施例4
先ず、ジオクチルスルホ琥珀酸のナトリウム塩10.0gを300mLの水に加熱、撹拌をして溶かし、ドキュセートカルシウム塩(2エチルへキシルスルホ琥珀酸)を作った。次いで、水10.0gに溶かした1.27gのCaClを加えたところ、ドキュセートカルシウム塩が水に溶けにくいことを示唆する白い沈殿を形成した。この沈殿を真空乾燥した。この溶解性の低い界面活性剤は次の組成、ドキュセートカルシウム(74%)/リナロール(9%)/水(17%)、で逆立方晶相を形成することが判った。次いで、チオクト酸0.009gをリナロール0.104gに加熱しながら溶解した。それからドキュセートカルシウム0.901gを、水0.210gと共に加えた。ドキュセートカルシウムと立方晶相のほかの成分と混合するためにはいくらかの加熱を必要とした。試料は15分間遠心分離され、非常に粘調な、偏光顕微鏡検査では等方性の、透明相が形成された。
SAXSピークは30.3、27.8、および25.1オングストロームで記録された。これは格子定数75オングストロームの通常型Ia3d(空間群、区域集団#230)の立方晶相と矛盾せず、観測された30.3オングストロームのピークは予想した最低位反射位置(211)、つまり30.6オングストローム、にうまく匹敵する。次の位の反射、(220)は、26.5オングストロームの予想位置を得たが、これは多分JADEに2ヶのピーク(27.5と25.1)と解されたものと思われる。格子定数75オングストロームのIa3d立方晶相は、これまた約80オングストロームの格子定数のIa3d格子を持つ、よく知られたドキュセートナトリウム−水系の立方晶相の観点からは完全に道理にかなっている。
ドキュセートは製薬や他の分野で安全使用という長い歴史があり、そして陰イオンを帯電していることは、吸着特性の強化、カウンターイオンを置換することによる溶解性の調整、など、その応用の可能性の範囲を広げる。
実施例5
逆六方晶相は、ポリエチレングリコール(5)オレイルエーテル(37%)/ポリエチレングリコール(2)オレイルエーテル(28.5%)/ショウガ油(9%)/水(25.5%)の組成で入手した。次いで、メナジオン0.008gをショウガ油0.096gに溶解した。ついでポリエチレングリコール(5)オレイルエーテル0.410g、ポリエチレングリコール(2)オレイルエーテル0.314g、そして水0.275gを加えた。試料を遠心分離にかけ、粘調な、透明な、複屈折相を作り出した。顕微鏡下では、試料は少量の液晶も存在する六角形の構成を持っているように見えた。SAXSピークは57.4、33.3、そして29.0オングストロームで記録され、申し分なく格子定数57.6オングストロームの六角格子(回折間隔の可能な反射の比は1:平方根3:2)を指し示した。ショウガ油に対しほんの少しポリエチレングリコール(5)オレイルエーテルの割合を高くすると、逆六方晶相がこの系で認められた。
これら特別なエトキシル化アルコール界面活性剤は局部的な薬品搬送用途にしか認可されていないが、長い安全使用の歴史があり界面活性剤の一つの分野を代表し、PEG化した脂質は、低毒性で知られ多くの場合に体内使用が認められている。
実施例6
メナジオン0.037gをショウガ油0.968gに混合したものを加熱して溶解した。それからこの溶液0.306gをポリオキシレン(25)硬化ひまし油0.598および水0.308gに加えた。この試料をかき回して混合し、15分間遠心分離し、粘調な、透明な相ができ、偏光顕微鏡検査では光学的に等方性であった。同じ組成から活性メナジオンを除いたものは、同様に逆立方晶相を形成することが見いだされた。
このようなエトキシル化ひまし油誘導体は、例えばいろんな細胞で薬品の吸収を制限し、多剤耐性を誘発するP糖蛋白のような特定の流出蛋白質の、阻害剤ではないかと強く疑われている。それらはまた、非特異的方法で、薬品の吸収を増大する生体膜にも影響を及ぼすかもしれない。
実施例7
界面活性剤プルロニック101は非常にHLB(親水性・親油性バランス)が低く、溶解性の低い界面活性剤で、1996年のFDAリストによると体内使用に認可されているものである。逆立方晶相が、プルロニック101(60%)/ショウガ油(15%)/(25%)の組成で見いだされた。メナジオン0.080gをショウガ油1.919gと共にゆっくり加熱して溶解した。この溶液0.149gを0.608gのプルロニックL101および水0.250gと混ぜ合わせた。かき混ぜた後、試料を15分間遠心分離し、粘調な、澄んだ相ができ、偏光顕微鏡検査では光学的に等方性であった。SAXS分析ではブラッグのピークを小角域で記録し、このことで逆立方晶相の長期的液晶秩序を確認した。
実施例8
抗腫瘍性薬品パクリタキセル(LKT研究所より入手)13mgをビャクダン油(シーダービル)0.1268gとイチゴアルデヒド(C―16アルデヒドでも知られる)0.2492gの混合物に溶解した。これに脱イオン水0.3017gと、0.6179gのプルロニックL−122、水溶解性の低いプルロニック界面活性剤、を加えた。これにより堅い、パクリタキセルが可溶化した、つまり本当の溶液の形で含む等方性の立方晶相を形成した。
実施例9
実施例1の立方晶相は被覆ミクロ粒子(ここで引用してノン明細書の内容とした米国特許6,482,517のように)として形成され、ラットによる試験でこれが細胞におけるブピバカインの摂取を強く増進することが示された。10.930gのプルロニックP123を、遊離塩基ブピバカイン2.698g、リナロール10.912g、そして無菌の水5.447gと合わせ、かき混ぜて逆立方晶相を形成した。その内24.982gの立方晶相をジエタノールアミン−N−アセチルトリプトファン62.807gとフラスコ内で合わせた。後者はジエタノールアミン16.064g、無菌の水36.841g、そしてN−アセチルトリプトファン22.491gを混ぜ合わせ、超音波を当てて一体化して準備した。 立方晶相/ジエタノールアミン−NAT混合物は先ず振り動かし、次いで乳化し、そして最後にマイクロフルイディックス社のミクロ流動化装置で処理して300nm未満の粒子にした。材料がまだミクロ流動化装置内にあるうちに、25wt%の酢酸亜鉛溶液47.219gおよびジエタノールアミン5.377gを加え、全混合物を一回1.5分ずつ20回ミクロ流動化処理を行った。その間ミクロ流動化処理中に、水とソルビタンモノパルミチン(6%)の熱い(60℃)混合物5mL、次いで14%アルブミン水溶液5mLを注入した。 さらにミクロ流動化処理を行った後で、分散液を42本の遠心分離管に分散液3.5mLずつに分け、それぞれの管にNorit活性炭約0.14gを加え、管は15分間揺動装置で揺動した。それから各管を6000rpmの卓上遠心分離器で5分間遠心分離した。それから分散液を予備ろ過し、そしてMillex AAフィルターを用いて0.8ミクロンでろ過し、それから封印したガラス瓶に入れて動物試験用施設に送られた。
この処方品は体重220−250gの雄のSpraque−Dawleyネズミでテストした。動物は餌や水に自由に近づける通常の状態に保った。彼らは注射の間、ハロタンで一時的に麻酔がかけられていた。 それから標準のブピバカイン塩酸塩の0.5%溶液か、または上記立方晶相処方品のいずれかを後肢のひかがみに経皮注射で投与して座骨神経の遮断をテストした。温度侵害受容(温度痛覚)の遮断は、表面を30℃に保った足の裏温度テスト装置(IITC社モデル336)のガラス面にネズミを置いて判断した。ガラスの下にある可動型輻射熱源がネズミの後足に照準され、後足引っ込め待ち時間がデジタルタイマーで記録された。待ち時間ベースラインは10秒間であることが判明した。ネズミは30分毎に待ち時間を試験された。
標準0.5%ブピバカインHCl、3mg/kgの投与による感覚器官遮断効果は4−5時間であることが判った。一方、立方晶相処方品を同じく3mg/kgの投与した場合、感覚器官遮断効果は26時間持続した。さらに、立方晶相の場合には潜伏時間そのものは溶液の場合に対し非常に増大し、意味深い痛み遮断を示唆している。
ブピバカインが細胞の受容器に作用するのはそれが細胞に入り、受容器の細胞内領域に接触した場合だけということが知られている。したがって、この実験はP123−リナロール−水 立方晶相が存在すると細胞の摂取が強力に増進することを論証している。理論に限定されないが、立方晶相内のリナロールは、立方晶相自体共々相構造のお陰で、生体膜の吸収に対するバリヤーにナノ微細孔を誘発することにより薬品の吸収を高めるのに積極的な働きをしたと考えられている。
実施例10
この実施例では、制ガン剤パクリタキセルをプルロニック−精油−水 立方晶相に可溶化し、実施例9のように亜鉛−NAT殻にカプセル化した。立方晶相は、安息香ガム0.070g、スイートバジル精油0.805g、およびイランイランノキ油0.851gを混ぜ、加熱して安息香ガムを溶解し、そしてパクリタキセル265mg、スペアミント油3.257g、イチゴアルデヒド0.640g、エチルヘキサノイック酸0.220g、脱イオン水1.988g、そして最後に3.909gのプルロニック103を加えて調整した。亜鉛−NAT殻にカプセル化するのは、ミクロ流動化の代わりに短時間の乳化を用いたほかは先の実施例とほぼ同じに行った。モノパルミチンおよびNoritの過程はとばした。分散液はガラス瓶に入れて犬による経口吸収テスト用に送った。
体重10−12kgのビーグル犬にカニューレを挿入し、処方品を直接十二指腸に搬送出来るようにした。パクリタキセルは経口または十二指腸内に与えた場合、非常に低い吸収を示すことで知られている。実際、Taxol処方ですらも、これは大容量の界面活性剤(CremophorEL)とエタノールを含みその両方ともが膜流動化剤であるが、生物学的利用能はおよそ10%未満である。
パクリタキセルの血中濃度は、服用前、20分、40分、1時間、2時間、3時間、4時間、8時間、10時間、および24時間に測定された。立方晶相処方による実験結果の一つは以下に示すとおりであった。
測定時刻 血中濃度(ng/mL)
20分 79.4
40分 149
1時間 122
2時間 100
3時間 79.5
4時間 70.1
8時間 43.2
10時間 31.1
24時間 17.6
これらの血中濃度はパクリタキセルが高い度合いで吸収されていることを表し、したがって パクリタキセルが溶解されている立方晶相媒体により、吸収が非常に強力に増大することを示している。理論に限定されないが、イランイランノキおよびスペアミント油の存在は、逆立方晶相構造自体と共に、腸の上皮細胞の生体膜にナノ微細孔を効果的に誘発し薬品が細胞内へ入る通過を促進したと考える。

Claims (79)

  1. 極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤とは見なされない非パラフィン系液体を含む逆立方晶相または逆六方晶相材料、またはその組み合わせ;および
    水には難溶解性で前記逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはその組み合わせに可溶化される化合物を含有する組成物。
  2. 前記逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料が薬学上容認可能な成分から構成される請求項1の組成物。
  3. 前記非パラフィン系液体が界面活性剤の先端基として働けない極性基を含む請求項1の組成物。
  4. 前記極性基が次のものを含むグループから選ばれる請求項3の組成物:ヒドロキシ、フェノリック、アルデヒド、ケトン、カルボン酸(遊離酸の形で)、イソシアネート、アミド、アシルシアノグアニジン、アシルシアノグアニル尿素、アシルビュレット、N,N−ジメチルアミド、ニトロソアルカン、ニトロアルカン、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロン、ニトロソアミン、N−酸化ピリジン、ニトリル、イソニトリル、アミンボラン、アミンハロボラン、スルホン、ホスフィン硫化物、アルシン硫化物、スルホンアミド、スルホンアミドメチルイミン、アルコール(単官能)、エステル(単官能)、第二アミン、第三アミン、メルカプタン、チオエーテル、第一ホスフィン、第二ホスフィンおよび第三ホスフィン。
  5. 前記非パラフィン系液体は精油かその構成成分である請求項1の組成物。
  6. 前記非パラフィン系液体は精油かその構成成分である請求項3の組成物。
  7. 前記化合物が前記逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料に前記非パラフィン系液体が存在する方が、前記非パラフィン系液体が存在しない場合に比べて相対的により溶解しやすい請求項1の組成物。
  8. 前記化合物が油には難溶解である請求項1の組成物。
  9. 前記界面活性剤が水には溶解性が低い請求項1の組成物。
  10. 前記化合物が医薬活性体である請求項1の組成物。
  11. 前記医薬活性体が以下のものからなるグループから選択される請求項10の組成物:デカン酸ナンドロロン、フェンタニール・クエン酸、テストステロン、アルベンダゾール、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、オキシブチニン、アンフォテリシンB、エナラプリラト、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、バチマスタト、エプチフィバタイド、チロフィバン、ドロペリドール、アシクロビル、ペンタフシド、サキナビル、クロモリン、ドキサプラム、SN-38 (イリノテカン) )、トポテカン、ヘミン、ダウノルビシン、テニポシド、トリメトレキセート、オクトレオトリド、ロイプロリド、シクロスポリンA、ミルリノン・乳酸、ブプレノルフィン、ナルブフィン、カルボプラチン、シスプラチン、ミトキサントロン、エストラジオール、ヒドロキシプロゲステロン、L-チロキシン、エタネルセプト、ネオスチグミン、エポプロステノール、エナラプリル、アルブテロール、スルフィナロール、ナンドロロン、モルヒネ、アスピリン、テストステロン、ヘキソバルビトール(Hexobarbitol)、シクレキセドリン(Cyclexedrine)、ニクロサミド、メベンダゾール、アンフォタライド、レチノイン酸、エメチン、ニフェジピン、キニジン、クロラムフェニコール、リファミド、アンピシリン、エリスロマイシンA、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、スルファモキソール、ダプソン、アトロピン、ワルファリン、ニトラザペム(Nitrazapem)、ゾメタピン、グリブリド、ウザリン、アスピリン、タキソール、エチポシド、ブピビカインまたは局所麻酔剤、そしてダントロレン。
  12. 前記非パラフィン系液体が次のものからなるグループから選択される請求項5の組成物:安息香酸ベンジル、ハッカ油、オレンジ油、スペアミント油、ショウガ抽出液(ショウガ精油としても知られる)、チモール、バニリン、アネトール、シナモン油、桂皮油、桂皮アルデヒド、丁子油、コリアンダ油、イランイランノキ油、ベンズアルデヒド、ジンガロン、カルボン、リナロール、そしてメンソール。
  13. 前記極性溶媒が、水、グリセロール、エチレングリコールまたはプロピレングリコール、硝酸エチルアンモニウム、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミドおよび低分子量ポリエチレングリコール(PEG)からなるグループから選択される請求項1の組成物。
  14. 前記非パラフィン系液体の分子量が約500かそれ未満である請求項1の組成物。
  15. 前記非パラフィン系液体の分子量が約250かそれ未満である請求項1の組成物。
  16. 前記水に難溶解性な化合物が少なくとも3ヶの極性基を持つ請求項1の組成物。
  17. 前記逆六方晶相あるいは逆立方晶相が、丸薬、錠剤、甘味入り錠剤、カプセル、トローチ、シロップまたは懸濁液、の薬品処方成分である請求項1の組成物。
  18. 前記界面活性剤が次のものからなるグループから選択される請求項1の組成物:プルロニクス、D−アルファ トコフェリル ポリエチレングリコール琥珀酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、ドキュセート塩、 ポリエチレングリコールオリエルエーテル、ポリオキシレンひまし油誘導体、そしてポリオキシエチレン硬化ひまし油誘導体。
  19. 前記逆六方晶相あるいは逆立方晶相が調整可能である請求項1の組成物。
  20. 極性溶媒;界面活性剤;および
    界面活性剤の先端基として働けない極性基を含みそして高いオクタノール−水分配係数を持ち界面活性剤とは見なされない非パラフィン系液体、を含有し、
    該組成物は、逆立方あるいは逆六方の液晶相、またはその組み合わせ、として存在する組成物。
  21. 前記組成物が体内投与可能な形で処方され、かつ医薬的に容認できる成分のみを含む請求項20の組成物。
  22. 前記組成物が逆両連続立方晶相として存在する請求項20の組成物。
  23. 前記組成物が体内投与可能な形で処方され、かつ医薬的に容認できる成分のみを含む請求項22の組成物。
  24. 前記極性基が次のものを含むグループから選ばれる請求項20の組成物:ヒドロキシ、フェノリック、アルデヒド、ケトン、カルボン酸(遊離酸の形で)、イソシアネート、アミド、アシルシアノグアニジン、アシルシアノグアニル尿素、アシルビュレット、N,N−ジメチルアミド、ニトロソアルカン、ニトロアルカン、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロン、ニトロソアミン、N−酸化ピリジン、ニトリル、イソニトリル、アミンボラン、アミンハロボラン、スルホン、ホスフィン硫化物、アルシン硫化物、スルホンアミド、スルホンアミドメチルイミン、アルコール(単官能)、エステル(単官能)、第二アミン、第三アミン、メルカプタン、チオエーテル、第一ホスフィン、第二ホスフィンおよび第三ホスフィン。
  25. 前記非パラフィン系液体が精油またはその構成成分である請求項20の組成物。
  26. 前記非パラフィン系液体が精油またはその構成成分である請求項23の組成物。
  27. 前記界面活性剤が水に対し低い溶解性である請求項20の組成物。
  28. 前記非パラフィン系液体が次のものからなるグループから選択される請求項25の組成物:安息香酸ベンジル、ハッカ油、オレンジ油、スペアミント油、ショウガ抽出液(ショウガ精油としても知られる)、チモール、バニリン、アネトール、シナモン油、桂皮油、桂皮アルデヒド、丁子油、コリアンダ油、イランイランノキ油、ベンズアルデヒド、ジンガロン、カルボン、リナロール、そしてメンソール。
  29. 前記極性溶媒が、水、グリセロール、エチレングリコールまたはプロピレングリコール、硝酸エチルアンモニウム、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミドおよび低分子量ポリエチレングリコール(PEG)からなるグループから選択される請求項20の組成物。
  30. 前記非パラフィン系液体の分子量が約500かそれ未満である請求項20の組成物。
  31. 前記非パラフィン系液体の分子量が約250かそれ未満である請求項20の組成物。
  32. 前記逆六方晶相あるいは逆立方晶相が、丸薬、錠剤、甘味入り錠剤、カプセル、トローチ、シロップまたは懸濁液、の薬品処方成分である請求項20の組成物。
  33. 前記界面活性剤が次のものからなるグループから選択される請求項20の組成物:プルロニクス、D−アルファ トコフェリル ポリエチレングリコール琥珀酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、ドキュセート塩、 ポリエチレングリコールオリエルエーテル、ポリオキシレンひまし油誘導体、そしてポリオキシエチレン硬化ひまし油誘導体。
  34. 前記逆六方晶相あるいは逆立方晶相が調整可能である請求項20の組成物。
  35. 極性溶媒、界面活性剤、および、先端基として働けない極性基を含みそして高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤とは見なされない非パラフィン系液体を含む、医薬的に容認できる成分を含む逆立方晶相または逆六方晶相材料、またはその組み合わせ;および
    水には難溶解性で該逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはその組み合わせに可溶化される化合物を含有する組成物。
  36. 前記組成物が逆両連続立方晶相として存在する請求項35の組成物。
  37. 前記化合物が油には難溶解である請求項35の組成物。
  38. 前記化合物が医薬活性体である請求項35の組成物。
  39. 前記組成物が逆両連続立方晶相として存在する請求項1の組成物。
  40. 難溶解化合物を、逆立方や逆六方液晶相材料、またはそれらを組み合わせた材料を含むマトリックスに、組み込む工程を含む方法で、ここで、該逆立方や逆六方液晶相材料は極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤とは見なされない非パラフィン系液体を含有する、難溶解化合物を可溶化する方法。
  41. 患者に、逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料と結びついた医薬活性体化合物を与え、そして
    該逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料を用いて該患者の細胞、組織、または臓器に存在する生体膜吸収バリヤーに、該医薬活性体化合物がそこを通り抜けることを可能とするナノ微細孔を誘発する、
    工程を含む、患者に医薬活性体化合物を投与する方法。
  42. 前記逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料が、逆両連続立方晶相として存在する請求項41の方法。
  43. 前記誘発する工程で形成されるナノ微細孔が一時的なものである請求項41の方法。
  44. 前記医薬活性体化合物が水に難溶解である請求項41の方法。
  45. 前記医薬活性体化合物が油に難溶解である請求項41の方法。
  46. 前記逆立方晶相や逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料は、極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤とは見なされない非パラフィン系液体を含有する請求項41の方法。
  47. 前記医薬活性体化合物が以下のものからなるグループから選択される請求項41の方法:デカン酸ナンドロロン、フェンタニール・クエン酸、テストステロン、アルベンダゾール、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、オキシブチニン、アンフォテリシンB、エナラプリラト、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、バチマスタト、エプチフィバタイド、チロフィバン、ドロペリドール、アシクロビル、ペンタフシド、サキナビル、クロモリン、ドキサプラム、SN-38 (イリノテカン) )、トポテカン、ヘミン、ダウノルビシン、テニポシド、トリメトレキセート、オクトレオトリド、ロイプロリド、シクロスポリンA、ミルリノン・乳酸、ブプレノルフィン、ナルブフィン、カルボプラチン、シスプラチン、ミトキサントロン、エストラジオール、ヒドロキシプロゲステロン、L-チロキシン、エタネルセプト、ネオスチグミン、エポプロステノール、エナラプリル、アルブテロール、スルフィナロール、ナンドロロン、モルヒネ、アスピリン、テストステロン、ヘキソバルビトール(Hexobarbitol)、シクレキセドリン(Cyclexedrine)、ニクロサミド、メベンダゾール、アンフォタライド、レチノイン酸、エメチン、ニフェジピン、キニジン、クロラムフェニコール、リファミド、アンピシリン、エリスロマイシンA、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、スルファモキソール、ダプソン、アトロピン、ワルファリン、ニトラザペム(Nitrazapem)、ゾメタピン、グリブリド、ウザリン、アスピリン、タキソール、エチポシド、ブピビカインまたは局所麻酔剤、そしてダントロレン。
  48. ナノ微細孔を生体膜吸収バリヤーに、化合物と結びついた逆立方晶相や逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料を用いて誘発し;そして
    ナノ微細孔を通して化合物を通過させる、
    工程を含む、生体膜吸収バリヤーを通して化合物を輸送する方法。
  49. 前記化合物が水に難溶解である請求項48の方法。
  50. 請求項48で、上述の化合物が油に難溶解である方法。
  51. 前記逆立方晶相や逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料は、極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤とは見なされない非パラフィン系液体を含有する請求項48の方法。
  52. 前記医薬活性体化合物が以下のものからなるグループから選択される請求項48の方法:デカン酸ナンドロロン、フェンタニール・クエン酸、テストステロン、アルベンダゾール、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、オキシブチニン、アンフォテリシンB、エナラプリラト、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、バチマスタト、エプチフィバタイド、チロフィバン、ドロペリドール、アシクロビル、ペンタフシド、サキナビル、クロモリン、ドキサプラム、SN-38 (イリノテカン) )、トポテカン、ヘミン、ダウノルビシン、テニポシド、トリメトレキセート、オクトレオトリド、ロイプロリド、シクロスポリンA、ミルリノン・乳酸、ブプレノルフィン、ナルブフィン、カルボプラチン、シスプラチン、ミトキサントロン、エストラジオール、ヒドロキシプロゲステロン、L-チロキシン、エタネルセプト、ネオスチグミン、エポプロステノール、エナラプリル、アルブテロール、スルフィナロール、ナンドロロン、モルヒネ、アスピリン、テストステロン、ヘキソバルビトール(Hexobarbitol)、シクレキセドリン(Cyclexedrine)、ニクロサミド、メベンダゾール、アンフォタライド、レチノイン酸、エメチン、ニフェジピン、キニジン、クロラムフェニコール、リファミド、アンピシリン、エリスロマイシンA、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、スルファモキソール、ダプソン、アトロピン、ワルファリン、ニトラザペム(Nitrazapem)、ゾメタピン、グリブリド、ウザリン、アスピリン、タキソール、エチポシド、ブピビカインまたは局所麻酔剤、そしてダントロレン。
  53. 前記逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料が、逆両連続立方晶相として存在する請求項48の方法。
  54. 前記誘発する工程で形成されるナノ微細孔が一時的なものである請求項48の方法。
  55. 患者に医薬活性体化合物を与え、
    患者に逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料を与え;そして
    該患者に該逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料を用いて細胞、組織、または臓器に存在する生体膜吸収バリヤーに、該医薬活性体化合物がそこを通り抜けることを可能とするナノ微細孔を誘発する、
    工程を含む、患者に医薬活性体化合物を投与する方法。
  56. 前記二つの「与える」工程が共に行われる請求項55の方法。
  57. 前記化合物と、前記逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはその組み合わせ材料とが、互いに結びついている請求項56の方法。
  58. 前記二つの「与える」工程が順次に行われる請求項55の方法。
  59. 前記逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料が、逆両連続立方晶相として存在する請求項55の方法。
  60. 前記誘発する工程で形成されるナノ微細孔が一時的なものである請求項55の方法。
  61. 前記医薬活性体化合物が水に難溶解である請求項55の方法。
  62. 前記医薬活性体化合物が油に難溶解である請求項55の方法。
  63. 前記逆立方晶相や逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料が、極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤とは見なされない非パラフィン系液体を含有する請求項55の方法。
  64. 前記医薬活性体化合物が以下のものからなるグループから選択される請求項55の方法:デカン酸ナンドロロン、フェンタニール・クエン酸、テストステロン、アルベンダゾール、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、オキシブチニン、アンフォテリシンB、エナラプリラト、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、バチマスタト、エプチフィバタイド、チロフィバン、ドロペリドール、アシクロビル、ペンタフシド、サキナビル、クロモリン、ドキサプラム、SN-38 (イリノテカン) )、トポテカン、ヘミン、ダウノルビシン、テニポシド、トリメトレキセート、オクトレオトリド、ロイプロリド、シクロスポリンA、ミルリノン・乳酸、ブプレノルフィン、ナルブフィン、カルボプラチン、シスプラチン、ミトキサントロン、エストラジオール、ヒドロキシプロゲステロン、L-チロキシン、エタネルセプト、ネオスチグミン、エポプロステノール、エナラプリル、アルブテロール、スルフィナロール、ナンドロロン、モルヒネ、アスピリン、テストステロン、ヘキソバルビトール(Hexobarbitol)、シクレキセドリン(Cyclexedrine)、ニクロサミド、メベンダゾール、アンフォタライド、レチノイン酸、エメチン、ニフェジピン、キニジン、クロラムフェニコール、リファミド、アンピシリン、エリスロマイシンA、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、スルファモキソール、ダプソン、アトロピン、ワルファリン、ニトラザペム(Nitrazapem)、ゾメタピン、グリブリド、ウザリン、アスピリン、タキソール、エチポシド、ブピビカインまたは局所麻酔剤、そしてダントロレン。
  65. ナノ微細孔を、生体膜吸収バリヤーに、逆立方晶相や逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料を用いて誘発し;そして
    ナノ微細孔を通して化合物を通過させる、
    工程を含む、生体膜吸収バリヤーを通して化合物を輸送する方法。
  66. 前記化合物と、前記逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはその組み合わせ材料とが、互いに結びついている請求項65の方法。
  67. 前記化合物と、前記逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはその組み合わせ材料とが、互いに離れている請求項65の方法。
  68. 前記化合物が水に難溶解である請求項65の方法。
  69. 前記化合物が油に難溶解である請求項65の方法。
  70. 前記逆立方晶相や逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料は、極性溶媒、界面活性剤、および高いオクタノール−水分配係数を持つ界面活性剤とは見なされない非パラフィン系液体を含有する請求項65の方法。
  71. 前記医薬活性体化合物が以下のものからなるグループから選択される請求項65の方法:デカン酸ナンドロロン、フェンタニール・クエン酸、テストステロン、アルベンダゾール、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、オキシブチニン、アンフォテリシンB、エナラプリラト、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、バチマスタト、エプチフィバタイド、チロフィバン、ドロペリドール、アシクロビル、ペンタフシド、サキナビル、クロモリン、ドキサプラム、SN-38 (イリノテカン) )、トポテカン、ヘミン、ダウノルビシン、テニポシド、トリメトレキセート、オクトレオトリド、ロイプロリド、シクロスポリンA、ミルリノン・乳酸、ブプレノルフィン、ナルブフィン、カルボプラチン、シスプラチン、ミトキサントロン、エストラジオール、ヒドロキシプロゲステロン、L-チロキシン、エタネルセプト、ネオスチグミン、エポプロステノール、エナラプリル、アルブテロール、スルフィナロール、ナンドロロン、モルヒネ、アスピリン、テストステロン、ヘキソバルビトール(Hexobarbitol)、シクレキセドリン(Cyclexedrine)、ニクロサミド、メベンダゾール、アンフォタライド、レチノイン酸、エメチン、ニフェジピン、キニジン、クロラムフェニコール、リファミド、アンピシリン、エリスロマイシンA、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、スルファモキソール、ダプソン、アトロピン、ワルファリン、ニトラザペム(Nitrazapem)、ゾメタピン、グリブリド、ウザリン、アスピリン、タキソール、エチポシド、ブピビカインまたは局所麻酔剤、そしてダントロレン。
  72. 前記逆立方晶相あるいは逆六方晶相材料、またはそれらの組み合わせ材料が、逆両連続立方晶相として存在する請求項65の方法。
  73. 前記誘発する工程で形成されるナノ微細孔が一時的なものである請求項65の方法。
  74. 前記非パラフィン系液体が精油またはその成分で、次のものを含むグループから選ばれる請求項3の組成物:丁子の芽、イランイランノキ、ビャクダン、ペパーミント、ユーカリノキ、ショウガ、ニンジンの種子、ゲッケイジュ、ミルラ、モミの葉、パチョリ、スペアミント、およびタイム。
  75. 前記非パラフィン系液体が精油またはその成分で、次のものを含むグループから選ばれる請求項35の組成物:丁子の芽、イランイランノキ、ビャクダン、ペパーミント、ユーカリノキ、ショウガ、ニンジンの種子、ゲッケイジュ、ミルラ、モミの葉、パチョリ、スペアミント、およびタイム。
  76. 前記非パラフィン系液体が精油またはその成分で、次のものを含むグループから選ばれる請求項46の方法:丁子の芽、イランイランノキ、ビャクダン、ペパーミント、ユーカリノキ、ショウガ、ニンジンの種子、ゲッケイジュ、ミルラ、モミの葉、パチョリ、スペアミント、およびタイム。
  77. 前記非パラフィン系液体が精油またはその成分で、次のものを含むグループから選ばれる請求項51の方法:丁子の芽、イランイランノキ、ビャクダン、ペパーミント、ユーカリノキ、ショウガ、ニンジンの種子、ゲッケイジュ、ミルラ、モミの葉、パチョリ、スペアミント、およびタイム。
  78. 前記非パラフィン系液体が精油またはその成分で、次のものを含むグループから選ばれる請求項63の方法:丁子の芽、イランイランノキ、ビャクダン、ペパーミント、ユーカリノキ、ショウガ、ニンジンの種子、ゲッケイジュ、ミルラ、モミの葉、パチョリ、スペアミント、およびタイム。
  79. 前記非パラフィン系液体が精油またはその成分で、次のものを含むグループから選ばれる請求項70の方法:丁子の芽、イランイランノキ、ビャクダン、ペパーミント、ユーカリノキ、ショウガ、ニンジンの種子、ゲッケイジュ、ミルラ、モミの葉、パチョリ、スペアミント、およびタイム。
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