JP2005531756A - 電気泳動法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、対流安定化媒体における試料のタンパク質及び/又はペプチド成分の電気泳動分離の方法に関する。さらに詳細には、本方法は、試料と分離媒体とを接触させるための工程と、上記媒体の両側に電圧を印加する工程と、この分離媒体の1以上のセクションの分析によって結果を観察する工程とを包含する。本発明の方法では、全ての分離手順を通じて、タンパク質及び/又はペプチドのシステイン基と反応するように接近可能な過剰の反応性ジスルフィド基を作成するための手順の前又は間に、ジスルフィド含有化合物を添加する。本発明はまた、ポリアクリルアミドゲルのような反応性ジスルフィド基を含む電気泳動分離媒体、及び電気泳動分離媒体を前処理するための反応性ジスルフィド基を含む溶液の使用に関する。

Description

本発明は、電気泳動の分野に関するものであり、具体的には電気泳動によるタンパク質及び/又はペプチド成分の分離法に関する。本発明は、本発明の方法に有用な分離媒体の前処理法並びにかかる前処理に有用なキットに関する。
タンパク質やペプチドのような生体分子の単離に対する関心は従来から増しつつある。生体分子によっては、タンパク系医薬品化合物の製造など、バイオテクノロジー的生産法の最終工程で単離する必要がある。同様に、試料中に存在するタンパク質及び/又はペプチドを定量及び同定できるように、分析のため生体分子を分離することも必要とされる。電気泳動法は分離工程に常用されている。分離したタンパク質の検出及び定量には多種多様な方法が用いられる。分離したタンパク質の同定及びキャラクタリゼーションには、MS法が常用される。この方法は、高速で、タンパク質及び/又はペプチドの必要量がごく少量で済むからである。
広義には、電気泳動は電場内での荷電粒子又はイオンの移動を伴う。イオン又は粒子を電気泳動的に輸送するための駆動力は粒子の有効荷電と電位勾配との積であり、媒体の摩擦抵抗がこの力と釣り合う。粒子又はイオンの輸送は、電気泳動の移動度mで特徴付けられるが、移動度mは、時間tの間に電位勾配Eの下で粒子が移動した距離dとして定義される(m=d/tE)。タンパク質及びペプチドの電気泳動移動度は、分離が行われる媒体のpH及びイオン強度に依存し、そのため、ある種の緩衝液成分によって導電率が決まり、媒体のpH及びイオン強度も制御する。電気泳動で生じる系は、重力に不安定であり、ある種の安定化が必要とされる。安定化は、電気泳動で移動しないグリセロールのような溶質で生じる密度勾配の使用、キャピラリー、2枚のガラス板の間に生じたキャピラリー空間その他チップ上のキャピラリー寸法の空間での分離の実施、紙又はセルロース粉末での分離の実施、デンプン、アガロース又はポリアクリルアミドのような各種ゲル形成材料の使用など、様々な方法で達成される。デンプンやアクリルアミドのようなゲルだけでなく、キャピラリー内の液体媒体中に存在する線状重合体も、タンパク質及びペプチドの電気泳動移動度を低下させ、媒体中に存在するポリマー鎖による「ふるい分け」効果を通してタンパク質及び/又はペプチドの分子量に対する電気泳動移動度の依存性を高める。分離すべきタンパク質及びペプチドの溶解度を向上させる成分を分離媒体に加えるのが一般的である。使用される成分の具体例として、Triton及び3−[(3−クロラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)のような周知の非荷電界面活性剤だけでなく、尿素も常用される添加物である。
分離距離でどれくらいのpH及びイオン強度が成立するかによって、電気泳動法は基本的に3つの異なるタイプに分類することができる。第一のタイプはゾーン電気泳動であり、分離時に媒体中に存在する従来の低分子量緩衝液で成立した一定のpH及びイオン強度の媒体中で分離が行われる。ゾーン電気泳動では、試料は分離媒体の陰極端又は陽極端のいずれかに添加される。ゾーン電気泳動では、幅の狭い試料ゾーンから電気泳動を開始することが必須である。試料成分がふるい分け媒体に入るときに起こる遅延を利用すること、不連続緩衝液系の使用又はこれらの2つの手段の組合せよって、シャープで狭い開始ゾーンを得ることができる。分離すべき試料成分が陰イオンで陰極に添加される場合、不連続系のゲル緩衝液は、緩衝剤と、該ゲル緩衝液で得られるpHで電気泳動移動度の高い陰イオンとを含む。常用される陰イオンの例は、塩化物、硫酸塩又は酢酸塩である。陰極電極チャンバにおける緩衝液は通常、ゲル緩衝液と同じ弱塩基と部分的に負に荷電した化合物を含むが、具体的にはゲルで生じたpH及びゲルのふるい分け効果を参酌して、電極チャンバ中及び/又は最終スタッキングゲル中の試料成分の移動度よりも低い電気泳動移動度を有するべきである。後者の目的のために用いられる化合物の例は、弱酸、例えば、ホウ酸塩又は両性物質、例えば、グリシン、トリシン、アラニン又はHEPES(化合物のpI値よりも高いpH値に滴定された)である。構成の結果として、試料成分は、電極チャンバからはじまる、高い移動度のゲル緩衝液陰イオン、例えば、塩化物と、低い移動度の陰イオン化合物、例えば、グリシンとの間の境界に局在する狭い先鋭なゾーンに濃縮(スタック)される。このゾーンが分離ゲルに入る場合、このゲル中の試料成分の遅延の増大、及びpHシフトに起因する低移動度化合物の移動度の増大の組み合わせ効果によって結果として、試料成分の電気泳動移動度が、陰極の電極チャンバからはじまる、陰イオン化合物の移動度よりも低くなる。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)電気泳動は、ゾーン電気泳動の変法であり、これはその分子量にしたがってポリペプチドを分離する。SDSは、タンパク質自体の電荷をマスクして、形成された陰イオン性の複合体は、自由溶液中で、このポリペプチドのサイズに依存しないほぼ同一の電気泳動移動度を有する。この分子量依存性は、ふるい分け媒体の使用によって生じ、ポリアクリルアミドゲルは、この目的のために最も一般的に用いられる媒体である。SDS電気泳動と関連した一般的かつ有利なアプローチは、種々の濃度のポリアクリルアミドを含有する勾配ゲルを利用することである。この勾配ゲルでは、ポリアクリルアミド濃度は、試料適用ポイントから陰極に向かう、SDSタンパク質複合体の輸送方向に増大する。タンパク質の移動度は、ふるい分け効果の変動の結果としてゲルを通じた輸送の間、一貫して低下する。SDS−タンパク質複合体は、スタックされたままであり、このSDS−タンパク質複合体が分離ゾーンに存在する弱酸よりも高い移動度を有する限り、ゲル緩衝液陰イオンを含むゾーンと、分離ゾーンとの間の境界に位置する狭い先鋭なゾーンで動く。結果として、高い分子量に相当する複合体は、この実験の初期状態において低いポリアクリルアミド濃度で既にスタックを脱する。低い分子量の複合体はこの実験の終わり近くまでスタックされたままである。
ゾーン電気泳動において、必要とされる従来の安定化を確立するための最も一般的な方法は、キャピラリー寸法を有するシステムを用いるか、又は数種類のゲルを用いるかのいずれかである。異なるゾーン電気泳動適用を意図しており、特定の装置で用いられるように正常にデザインされた多くの種々の市販のゲルが存在する。最も一般的には、これらのゲルはウエット(湿潤)で、直ぐに使用できる状態にあり、特定の適用のために必要な緩衝液成分及び他の全ての物質を含有している。しかし、ドライゲル(乾燥ゲル)もまた利用可能であり、これは次に、使用のために必要な適当な成分を含む溶液において使用の前に再水和される。
第二のタイプの電気泳動法は、等電点電気泳動(IEF)であって、定常pH勾配において分離が生じるが、このpH勾配は分離距離全体を占めており、この勾配のpHが陽極から陰極に向かって増大するようにアレンジされる。他の代替もまた存在するが、等電点電気泳動で必要なこのpH勾配は、実際には2つの異なる方法で生成される。
(a)両性電解質担体の溶液の補助による方法。両性電解質担体とは、極めて多数の異なる両性分子を含む混合物であることが理解される。これらの両性分子に対する要求は、各々の分子が、多数の荷電されるか、又は荷電性基を含むべきであり、これによってこの両性分子の等電点で良好な緩衝能力が得られて、必要な伝導率に寄与するということである。この両性電解質における分子の等電点は、ある範囲の値にまたがるが、これはこの等電点の実質的に連続の値を得るために、この混合物における分子の間の異なる等電点の十分な数を用いる。これによって、容器が、両性電解質担体の溶液で充填され、陽極液として酸を用い、陰極液として塩基を用いる溶液にまたがって電圧が印加される場合、個々の両性電解質分子は、陽極から陰極に向かって等電点を増大させるためにそれ自体をアレンジする。種々の合成両性電解質担体が市販されている。例えば、Pharmalyte(商標)及びAmpholine(商標)(すべて、Amersham Biociences(スウェーデン国ウプサラ))。両性電解質担体が生成した勾配は、真に定常ではなく、時間とともに緩徐なドリフト及び形状の変化を示す。
(b)固定されたpH勾配による方法。この場合には、対流安定化を得るために数種類のゲルが用いられる場合、pH勾配を生じる荷電基又は荷電性基が、キャピラリーシステムの壁又はマトリックスのいずれかに結合される。固定された、用いられる荷電基又は荷電性基は通常、生成すべきpH勾配内又はpH勾配の近くに分布する、異なるpK値を有する限られた数のカルボキシル基又はアミノ基である。荷電基又は荷電性基の濃度は、壁又はゲルマトリックスが陽極から陰極へ増大するように、ゼロの正味電化を有するpHを生じる様式で分離距離にそって変化される。固定されたpH勾配の生成のためのシステムの市販の例は、Immobiline II system(商標)(Amersham Biosciences(スウェーデン国ウプサラ))であり、ポリアクリルアミドゲルに共有結合したpH勾配が形成される。固定されたpH勾配は真に定常であって、現在では、それらは通常、両性電解質担体と一緒に用いられる。この組み合わせでは、固定された勾配が、得られるpH勾配を決定し、一方で両性電解質担体は伝導率に寄与する。
適応ゾーンの幅は、等電点電気泳動には重要ではない。実際、試料は、分離媒体に混合されてもよいし、分離の開始時点で分離媒体全体にそって存在してもよいが、分析の適用には、試料は通常、陽極又は陰極のいずれかに近くに加えられる。対流安定化を提供するためには、キャピラリー及び異なるタイプのゲルをまた等電点電気泳動において用いる。すぐに使用できるウエットゲルの例は、Ampholine PAGplate(商標)ゲルであり、これは多数のpH範囲、pH3.5〜9.5、pH4.0〜6.5、pH5.5〜8.5及びpH4.0〜5.0について存在する。ドライゲル(乾燥ゲル)は、Clen Gel IEF(商標)及びImmobiline Dry Plate(商標)ゲルである。後者のタイプの特別な改変型は、Immobiline DryStrip(商標)ゲルであり、これは2次元の電気泳動における第一の次元として用いられるようにデザインされている。
等電点電気泳動が対流安定化とともに用いられるということは、電気泳動の分離方法と組み合わせて一般に有用であると述べられているという意味であるだけでなく、さらに等電点電気泳動は、チャンバ装置においても用いられ得る。このタイプの装置はメンブレンによって隔てられた多数の区画を備え、この区画はこのチャンバの間の両性電解質担体及びタンパク質の電気泳動的な輸送を可能にするが、液体の流れはブロックする。このタイプの市販の装置はIso−Prime(商標)(Amersham Biosciences(スウェーデン国ウプサラ))である。用いられるメンブレンは未荷電であっても或いは固体されたpHを含んでもよい。後者の場合、固定されたpHはメンブレンの間で異なり陽極から陰極にむかって増大する。チャンバ装置での等電点電気泳動は、2−D電気泳動の前の事前区画化ツールとして用いられているだけでなく、特定のタンパク質の精製のための手段としても用いられている。
第三のタイプの電気泳動法は、等速電気泳動であって、種々のpH及び/又はイオン強度の領域で分離が起こる。この領域は正常には、総分離距離の画分を占めており、分離の際、電場中で輸送される。分離すべきタンパク質及び/又はペプチドの移動度は、それぞれの移動速度と勾配が運搬される速度とが一致する領域内で、異なる位置でそれらを集束させるような方式でこの領域中で変化する。このpHの変動は段階的であっても、限られた数の化合物で生じてもよく、或いは両性電解質担体で生成された連続的勾配であってもよい。後者のカテゴリーのおさまる重要な適用は、非平衡pH勾配電気泳動(NEPHGE)であって、これは、2−D電気泳動の最初の次元における塩基性タンパク質の分離のためのIEFの代替法である。
電気泳動分離後、通常は質量分析技術で実施されることであるが、分離したタンパク質及び/又はペプチドを同定及び特徴付けることが頻繁に必要である。特にSDS電気泳動は、2−D電気泳動における独立した方法として、又は2−D電気泳動における第二の次元として、一般にMSを用いた引き続く同定及びキャラクタリゼーションと組み合わされる。正常には、この状況での手順は同定すべきタンパク質を含むゲルプラグを切り出すことである。その後の工程を邪魔するかもしれない、ゲルプラグに存在する最終染色及び他の成分を洗い出す。ゲルプラグを乾燥し、次いで緩衝化トリプシン含有溶液においてこのプラグを再水和する。次いで、生成されたペプチドフラグメントを抽出して、得られた溶液を濃縮して、用いられるレーザーの波長でのエネルギー吸収に必要なマトリックスとともにMALDI標的上に加えて乾燥させる。タンパク質配列データベースにおける検索及び比較によって、生成されたペプチドマスフィンガープリントからの同定を行う。或いは、生成されたペプチドを、ESI−MS又はMS/MS技術を用いて分析して、アミノ酸配列情報及び翻訳後修飾に対する情報を得ることができる。
事実上、システインのイオウ含有側鎖は、チオール基として、2システインを連結するジスルフィドとして、又は種々の他の結合、例えば、呼吸鎖に関与する多くのタンパク質で見出されるS−ヘム結合もしくは鉄−イオウ結合において現れる。サイトゾルに存在する還元環境において、システイニル基は正常には、チオール基として存在するが、分泌型又は細胞表面のタンパク質はしばしば、鎖間及び/又は鎖内のジスルフィド結合を含む。これらのジスルフィド結合の役割はタンパク質の三次元構造を安定化すること、及びタンパク質又はペプチドを一緒に生成するアミノ酸鎖を保持することでもある。電気泳動分離の前に、試料成分に存在するすべての鎖間及び鎖内のジスルフィド結合をチオール基に還元することが一般的である。チオール基はもともと存在しようと、又は還元工程で生成されようと、分離が中性又は塩基性のpH値で生じる場合、チオール基は電気泳動分離方法において極めて頻繁に問題を生じる。このことは、このpH範囲におけるチオール基の高い反応性、この関与する反応が電気泳動分離におけるタンパク質又はペプチドの挙動に影響するという事実に起因する。チオール基の反応の効果は、等電点電気泳動において最も顕著であり、極めて多数のタンパク質を分離するために通常用いられる技術である2D電気泳動において極めて目立っている。2−D電気泳動では現在慣用的に実施されている通り、第一の次元は通常、電荷に基づいた等電点電気泳動であり、第二の次元はサイズに基づくドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の工程である。第一の次元の集束は、還元剤の存在下でポリアクリルアミドゲルにおいて都合よく実施されるが、その還元剤の機能は、試料タンパク質のチオール基が集束の間に酸化するかさもなければ反応することを妨げることである。2つの一般的に用いられる還元剤はジチオスレイトール(DTT)及びジチオスレイトール(DTE)であって、これはそれぞれ、8.3及び9.0のpKaを有する弱酸である。従って、DTTもDTEも両方とも高いpH値では負に荷電される。従って、pH勾配を含むゲルにおける集束の間、これらの物質は、この勾配の塩基性部分から離れて運ばれて、約7〜7.5のpH領域に蓄積される。このように、塩基性のpH値(約7以上のpH)では、試料タンパク質のチオール基は、還元剤によって全く保護されない。チオール基はこのpH領域中で荷電されるので、チオール基の反応はタンパク質又はペプチドの等電点を変化させる。用いられる条件が等電点へのタンパク質の速い輸送を行い、チオール基の消費についての反応速度が比較的遅い場合、2−D電気泳動実験の観察可能な結果は、チオール基を含むタンパク質が、得られた2−Dマップにおいて(n+1)までのタンパク質スポットで生じ、これらのスポットがかすかなストリークにつながっているということである。この種類の結果は通常、陽極側の試料適用を用い、分離距離が短く、pH勾配が急である場合にのみ達成され得る。陽極側適用に必要なのはチオール化合物の反応がpH依存性であるということ、及び陰極側適用が分子と大型タンパク質凝集物の生成との間の−S−S−結合の急速な形成を生じるということと関連する。高い解像度が必要である場合、さらに大きい分離距離及び平坦なpH勾配をもちいなければならず、これによってタンパク質が運ばれる速度が低下する。これによってストリーキングが強調され、これは分離距離の延長及びpH勾配の傾斜の低下を伴い、このつながったスポットは連続的なストリークに徐々に変換される。人為的なタンパク質スポット及び/又はストリークの出現は、結果の任意の正確な解釈を困難にするか又は妨げさえする。
さらに、等電点電気泳動について記載された問題は、分離媒体がシステイニル基と反応し得る成分を含むとすぐに、7より高いpHで実施される全ての種類の電荷依存性電気泳動分離において現れる。残りの未反応のアクリルアミドが従来のゾーン電気泳動においてタンパク質に対する共有付加物を形成し得るという問題は長らく考慮されてきている。微量の残りの触媒は同様にタンパク質と反応することが予想され得、分離媒体が空気と接触される装置において実施される全てのタイプの分離において、システイニル基の酸化が予想される。タンパク質の溶解度を改善するために添加される尿素は、存在すればチオール基と反応し得る別の化合物である。ゾーン電気泳動分離及び等電点分離は通常では、等電点電気泳動よりもかなり短い時間しかかからないので、後者の技術で出現し得る重度のストリーキングは通常では気付かれない。代わりに観察される問題は、各々のチオール含有タンパク質が多数のバンドとして出現するということである、バンドの数及びバンドの相対強度が、チオール基の酸化の程度に依存して実験間で変化する。
SDS電気泳動では、出発点は試料含有タンパク質であって、存在する全てのシステイニル基がチオールに還元されている。これは、過剰のSDS及び還元剤を含有する溶液中で、タンパク質含有試料を95°に3〜5分間加熱することによって通常達成されるが、、常用される還元剤はメルカプトエタノール、DTT又はDTEのいずれかである。SDS電気泳動は通常、ポリアクリルアミドゲル中で行なわれ、最も一般的にはLaemmli(Laemmli U.K(1970)Nature(London)277,680頁)による周知の緩衝液系で実施される。この緩衝液系では、ゲルはもともと、pH8.7のTris−塩化物緩衝液を含む。SDS及び大過剰量の還元剤を含む還元された試料を、このゲルの陰極端に添加する。陰極電極緩衝液は、Tris、グリシン及びSDSを含む。グリシン及びSDSがゲルに入り塩化物イオンを置換する場合、このゲル内で約9.5のpHが達成される。このpHでは、メルカプトエタノール並びにDTT及びDTEはグリシンよりも高い電気泳動移動度を有する。結果として還元剤は、このゲルにもともと存在する塩化物イオンを含むゾーンと分離が実施されるグリシンゾーンとの間に見出される狭いゾーンで直ちに回収されて濃縮される。このゲルを通じたチオールの通過は、システイニル基と反応し得る幾つかの化合物を排除する。特に低分子量タンパク質及びペプチドを分離するべき場合、グリシンよりも高い移動度を有する酸の使用が必要となり得、トリシンがこの目的のために最も一般的な選択である。また、貯蔵安定性のポリアクリルアミドゲルを用いる(ゲル緩衝液のpH<8)を用いる場合、グリシンよりも高い移動度を有する酸を使用することが一般的である。多数の異なる化合物が示唆されており、この状況で用いられており、トリシン以外の例は、タウリン及びHEPESである。これらの化合物について共通なのは、それらが用いられるpH範囲において、それらの移動度は、試料中で還元剤として用いられるチオールの移動度よりも高いということである。用いられるチオールに依存して、分離すべき幾つかの又は全てのタンパク質及びペプチドは、ゲルを通って還元剤よりもさらに早く移動する。SDS電気泳動がグリシンで泳動されるか又は分離ゾーン中でさらに早いイオンで泳動されるかにかかわらず、この状況は、反応に対してシステイニル基を保護するために分離段階の間に還元剤が存在しないという意味で、高いpH値での等電点電気泳動における状況と同様である。相違は、SDS電気泳動では、分離がタンパク質の荷電に依存しないということである。SDS電気泳動に関連するチオール基の記載され、かつ公知の反応は、システイニル−S−β−プロピオンアミドを形成するためのアクリルアミドの添加、及び鎖間又は鎖内の−S−S−結合のいずれかを形成するためのチオール基の酸化である。タンパク質に対する1つ又は2〜3個のアクリルアミド分子の付加はタンパク質の質量をわずかに増大するが、ポリアクリルアミドゲルにおけるタンパク質−SDS複合体の電気泳動移動度には検出可能な効果を通常有さない。鎖間ジスルフィド架橋の形成は通常、タンパク質又はペプチドの二量体の生成を生じ、分子量及び電気泳動の移動度に強烈な変化を生じる。鎖内ジスルフィド架橋を生じる酸化は、SDS−タンパク質複合体の形状に影響して、電気泳動の移動度に小さいが検出可能な増大を生じる。逸脱する電気泳動移動度を有する酸化生成物は、その生成物がスタックを脱する前に十分な量が生成されている条件では、分離された存在として検出されるだけである。均質な分離ゲル(これは一定のアクリルアミド濃度を有するゲルである)では、余分なバンドは、スタッキングゲルにおいて広範な酸化が既に生じている場合にのみ生じる。分離ゲル内の酸化は、試料トラック内の拡散バックグラウンドでのみ寄与する。この状況は、特に少なくとも2つのシステインを含む低分子量タンパク質について勾配ゲルで異なってくる。勾配ゲルでは、このタイプのタンパク質について余分な人為的なバンド又はタンパク質スポットを検出することが通常である。負の視覚的効果が、荷電依存性電気泳動分離方法よりもSDS電気泳動で劇的に少ない場合でさえ、この問題に対する解決はやはり望ましい。
同定及びキャラクタリゼーションのために用いられるMSに関して、最初の工程はトリプシンによる消化である。この工程は還元条件下では実施できない。なぜならメルカプトエタノール、DTT又はDTEのようなチオールはトリプシンを不活性化するからである。生成されたペプチドの抽出、濃縮及びMALDI標的上でのマトリックスとの乾燥を含むその後の工程は、還元条件下で行なわれない。還元されたタンパク質試料(システイニル基が−SHとして存在すると予想される)を、トリプシンで消化して、MALDI−TOF MS生成質量フィンガープリントでの同定のために用いる場合、システイン含有ペプチドに相当する質量はこの質量スペクトルでは見いだされない。可能性のある理由は−S−S−架橋を生じるチオールの酸化であり、またおそらくは、MALDIスペクトルにおけるバックグラウンドに負に寄与する、異なる質量を有する産物を生じる種々の他の反応である。同定の前にSDS電気泳動で分離したタンパク質について、システイン含有ペプチドはその−S−β−プロピオンアミド誘導体として検出される。チオールの転化は不完全であり、最も反応性のチオール基のみがある程度までプロピオンアミド誘導体に転化される場合、これによってMSスペクトルにおける対応するペプチドの検出が可能になると思われる。転化の程度は明らかに、ゲル中のアクリルアミドの濃度に依存するが、この濃度は通常は、自家製ゲルで高いが、アクリルアミドの有毒な性質の結果として、市販の製品では低く保たれる。従来のエドマン分解を用いた配列決定の前にアクリルアミドを用いるタンパク質のアルキル化についての方法が記載されており、これは原則的に、電気泳動分離の前か、又は電気泳動分離とMS同定との間のいずれかでの使用が可能であるはずである。しかし、現実には、アクリルアミドとの反応は、不完全であるか、或いはタンパク質に存在する他の求核試薬の反応に終わる。
2−D電気泳動と関連して頻繁に用いられるアプローチは、第一の次元と第二の次元のSDS電気泳動との間に2つの平衡の工程を用いることである。第一の工程では、形成された最終的なSS架橋を、DTTで還元して、第二の工程で利用可能な−SH基をヨードアセトアミドと反応させる。用いられる条件によって多数のシステイン含有ペプチドをアセトアミド付加物として検出することが可能になるが、この反応は、用いられる条件でまた不完全であって、システイン含有ペプチドは、得られた質量スペクトルでは失われている。アクリルアミドと同様、さらに高いヨードアセトアミド濃度及び/又はさらに長い反応時間の使用によって、このタンパク質に存在する他の求核性基の反応が生じる。
上記の問題を回避するための幾つかの解決法が提唱されている。例えば、トリブチルフォスフィン及びtris−ヒドロキシプロピルホスフィンのようなホスフィンが、還元剤としてDTT及びDTEの代わりに用いられている。しかし、試験されたホスフィンは、低い溶解度に起因する問題を伴うこと、かつまた種々の所望されない副作用を生じることが示されている。代替として、電気泳動の前のタンパク質のチオール基のアルキル化が示唆されている。しかし、このアプローチは、時に不完全なアルキル化を、時には所望されない副作用を生じることが示されている。さらに、この装置の陰極側からゲルへ還元剤が連続的にリークするようにさせることが示唆されている。しかし、この方法は、還元剤の量が多すぎる(これは問題を生じ得る)ことを回避して、一方では、添加の量が少なすぎる(これは不満足な還元を生じる)ことを回避するために、きわめて慎重な注意を必要とする。
MSに関連するチオール含有ペプチドの消失に伴う問題は単に、電気泳動法を用いたタンパク質の分離及びこの分離の間に得られるチオールの改変と関連した問題ではない。タンパク質が精製される方法とは独立して、MS同定の前の工程は、MeSH、DTT又はDTEによるタンパク質の還元、その後のアルキル化工程(一般に用いられるアルキル化剤はヨード酢酸、ヨードアセトアミド、ビニルピリジン又はアクリルアミドである)である。アルキル化後でトリプシン処理の前、脱塩工程を通常行ない、その後に試料をマトリックスと一緒に、MALDI標的に適用して乾燥させる。このアルキル化工程は、得られた質量スペクトルにおいてシステイン含有ペプチドの検出を可能にするために導入される。既に考察した通り、このタイプのアルキル化反応は、この目的には理想的ではない。この結果は試料に存在するチオール基の単なる部分的転化であるか、或いは試料に存在する他の求核性基が反応する。前者の場合、幾つかのシステイニル含有ペプチドに相当するピークは得られた質量スペクトル中では失われ、後者の場合、予想不能な質量を有する人為的産物のピークが質量スペクトル中に生じる。従って、さらによい選択性での反応の必要があるが、これはなんら副反応を生じずにチオール基の完全な又はほぼ完全な転化を可能にし、質量分光光度的方法を用いてタンパク質及びペプチドを同定及び特徴付ける前に明らかに有利である。
従って、この分野では、分離に対するチオール基の反応の負の効果を排除する方法、特に電気泳動法で実施される方法が必要である。同時に、タンパク質及び/又はペプチド含有試料に存在する全てのシステイニル基を、存在する他の基の改変を回避するか又は少なくとも最小限に維持すると同時に、質量分光光度的方法を用いた検出及び研究を可能にする規定の形態に、効率的かつほぼ完全に転化することを可能にする方法又は反応が必要である。
本発明の1つの目的は、タンパク質及び/又はペプチドの分離の電気泳動法を提供することであり、これによって従来技術の方法よりも容易に解釈される結果が得られる。さらに詳細には、この目的は、試料のタンパク質及び/又はペプチド成分を分離する方法を提供することであり、この方法によって、分離の間にチオール基の存在によって生じるあらゆる不明確な結果が回避されるか少なくとも軽減される。
本発明の別の目的は、上記で考察されるような分離の方法を提供することであり、この方法では得られたスポットのストリーキングが回避される。
本発明の特定の目的は、上記のような成分を分離する方法を提供することであり、この方法によって、従来技術の方法に比べて、人為的なスポットが回避されて、結果として再現性が改善される。
上記の1以上の目的は、添付の特許請求の範囲によって規定されるように達成される。本発明のさらなる実施形態及び利点は、以下にさらに詳細に説明される。
定義
本明細書において、「ペプチド」という用語は、さらに小さいペプチド及びさらに長いポリペプチドの両方を含むことが理解される。従って、「タンパク質及び/又はペプチド」という用語は、本明細書において用いられる場合、ペプチド結合によって共有結合されるアミノ酸の鎖からなる任意の分子を包含する。
「両性電解質担体」という用語は、塩基性基及び酸性基の性質及び数によってお互いから異なる複数の化合物からなる、複雑な混合物をいう。従って、各々の両性電解質の種はそれ自体の等電点を有する。「キャピラリー」という用語は、電気泳動分離の達成のために必要な対流安定化を、分離媒体と組み合わせて生じ得るのに十分狭い寸法を有する任意のタイプの空間を包含することが理解される。普通のキャピラリーに加えて、この用語はまた、例えば、2枚のガラス板の間で生成されるキャピラリー空間、及びチップ上で生成することが可能な異なるタイプの空間も包含する。「スタッキングゲル」及び「スタッキングゾーン」という用語は、本明細書において用いられる場合、ゾーン電気泳動分離において試料成分が分離媒体に入る前に通過するゲル又はゾーンを意味する。スタッキングのゲル又はゾーンの通過の間、この試料成分は、1つの狭い先鋭なゾーンに濃縮(スタック)され、ここから移動度の相違に基づく分離が、このゾーンが分離媒体に入るとき、開始し得る。
「混成ジスルフィド」という用語は、イオウ原子の1つがタンパク質又はペプチド中のシステイニル基に由来するが、もう一方は本発明による分離の間に転化されたジスルフィドに由来する、ジスルフィドを意味する。「鎖内ジスルフィド」又は「ジスルフィド架橋」という用語は、同じアミノ酸鎖に属する2つのシステイニル基から生成されたジスルフィドを意味するが、一方で「鎖間ジスルフィド」又はジスルフィド架橋という用語は、異なるアミノ酸鎖に属するシステイニル基から生成されたジスルフィドをいう。
「反応性ジスルフィド」という用語は本明細書では、例えばチオール基と化学的に反応し得る任意のジスルフィドを意味する。
「荷電性基」という用語は本明細書において、用いられる分離媒体に関連するタンパク質分解平衡を通じて、正又は負の正味の電荷が生じ得るような基を意味する。「荷電性基」は代表的に、1以上の元素、炭素(C)、イオウ(S)、リン(P)、ホウ素(B)又は窒素(N)を含む。
発明の詳細な説明
本発明の第一の局面は、試料の1以上のタンパク質及び/又はペプチド成分の電気泳動分離の方法であって、この方法は、
(a)上記試料を対流安定化分離媒体と接触させる工程と、
(b)この媒体の両側に電圧を印加する工程と、
(c)この分離媒体の1以上のセクションの分析によって得られた分離結果を観察する工程と
を含み、ここでジスルフィド含有化合物が、この分離手順の間にこの成分に過剰の反応性ジスルフィド基を提供するのに十分な量で添加される。工程(c)による観察は、得られた結果を評価する任意の従来の方法、例えば、定性的分析及び/又は定量的分析であってもよい。本明細書において、ジスルフィド含有化合物はときどき、単にジスルフィドと称される。
従って、試料中に存在するシステイン残基のチオール基は、このチオール基を混成ジスルフィド基(1つのイオウ原子はシステイニル基に相当するがもう一つのイオウは添加されたジスルフィド化合物に由来する)に変換するために十分な量の反応性ジスルフィド基の添加によって、本発明に従ってジスルフィドと反応される。添加されたジスルフィド含有化合物の量は、処理すべき試料及びその中での反応に利用可能なSH基の量の簡単な評価に依存して、当業者によって容易に決定される。容易に理解される通り、実際上の理由によって、過剰量が好ましい。
従って、タンパク質のチオール基が、ジスルフィド含有化合物の添加によって混成ジスルフィドに酸化される場合、電気泳動分離はかなり改善されるということが本発明によって初めて示される。上述の通り、従来技術では、還元剤の添加によってチオール基を維持してその反応を回避しようとする試みがなされている。さらに分離の前にチオール基をアルキル化するために、アクリルアミド及びヨードアセトアミドが利用されている。しかし、これらのタイプのアルキル化剤はまた、タンパク質又はペプチドに存在する他の求核性基と反応する傾向であって、その結果として、チオール基の不完全な転化か、又は大量のアルキル化剤が用いられる場合には、所望されない副反応が生じる。チオール基と本発明によるジスルフィドとの反応は、このチオール基の全て又は実質的に全てを混成ジスルフィドに転化させる、かなり穏やかで、高度に特異的な反応である。所望される場合、タンパク質及び/又はペプチドのチオール基は、DTTかDTEのいずれかを用いて分離した成分を還元することによって、分離の終了後に容易に再生可能である。ヨードアセトアミドでのアルキル化又はヨードアセミドは、不可逆反応であって、それからチオールを再生することはできない。
試料のチオール基が分離手順に供される前に試料のチオール基を変換することは可能であって、ゾーン電気泳動の場合には必要であるけれども、最良の結果を出すには、ジスルフィド含有化合物の添加は、反応性ジスルフィド基が試料に連続的にアクセス可能であるような方法でなすべきである。以下にさらに詳細に考察されるように、一実施形態では、ジスルフィド含有化合物は、工程(a)の前に分離媒体及び/又は試料に添加される。
本発明による電気泳動は、周知の原理に従って実施される。従って加えられる電圧及びアンペア数、並びに必要な分離時間は、用いられる方法及び分離の種類に依存する。さらに、本発明に属する各種の方法の原理の短い概要は、本明細書の「背景技術」の節に示される。
従って、一実施形態では、分離媒体は、キャピラリー寸法の1以上の表面又は空間を含む。キャピラリーは例えば、チップ上に存在してもよい。本発明の別の実施形態において、分離媒体はゲルを含む。ゲルは例えば、合成ポリマー、例えばポリアクリルアミドゲル、又は天然の多糖類、例えば、アガロースゲルから作成されてもよい。特定の実施形態では、ゲルは、工程(a)の前にジスルフィド含有化合物を含む液体で処理される。
本発明の電気泳動分離は、例えば、ゾーン電気泳動であってもよい。従って、この方法の一実施形態において、1以上の緩衝液を添加して、電気泳動の間に分離媒体中で、pH及びイオン強度の条件を実質的に一定に維持する。
一実施形態では、分離媒体は陰イオン性又は陽イオン性の界面活性剤を含む。代表的にはこの界面活性剤は硫酸ドデシルである。この荷電界面活性剤の役割は、分離すべき試料の成分の電荷をマスクすることである。この界面活性剤は、分離すべき試料成分よりも高い電気泳動移動度を有する。それらは、分離の開始時点で分離媒体に存在してもよいが、界面活性剤が試料と一緒に分離媒体に入り、この分離を通じて試料成分と一緒に存在する限りは、これは必須ではない。これを達成するために、この界面活性剤は、電極チャンバの少なくとも1つにおける成分の1つである。当業者に理解されるように、ドデシル硫酸は陰イオン性物質として陰極電極チャンバに存在しなければならないが、陽イオン性界面活性剤が用いられる場合には、それは陽極電極チャンバに存在する必要がある。この実施形態では、分離媒体はまた、幾つかのタイプのポリマー物質、例えば、ポリアクリルアミドを含む。このポリマー性物質の役割は、それらの各々のサイズ及び形状に依存して試料成分の電気泳動移動度を与えること、及びその方法で分子量に関連した移動度を与えることである。
特定の実施形態において、試料を荷電界面活性剤で処理してその内部にタンパク質及び/又はポリペプチドの荷電をマスクした後で、この試料を分離媒体と接触させて、ここでこのタンパク質及び/又はペプチドをその分子量に応じて分離する。SDS電気泳動の場合、SDSでの処理は正常にはまたタンパク質及び/又はペプチドに存在するチオール基の還元につながる。ゾーン電気泳動において用いられるためには、このタイプの試料は、そのタンパク質及び/又はペプチドが分離媒体に入る前にジスルフィドで処理される必要がある。これは、試料適用の前に、試料に十分な過剰のジスルフィドを添加してこの試料中の全てのチオール基を混成ジスルフィドに転化させることによって行なわれてもよいし、或いは還元された試料溶液をスタッキングゲル又はスタッキングゾーンに添加してもよく、ここでこのスタッキングのゲル又はゾーンは、このスタッキングのゲル又はゾーンを通じた試料の輸送の間に、ただし、タンパク質及びペプチドの分離媒体への進入の前に、試料中のチオール基を完全に混成ジスルフィドへ転化させる程度までジスルフィドを含む。好ましい代替法は、界面活性剤以外に、過剰のジスルフィド及び少量の触媒量の還元剤を含む溶液中で試料を可溶化することである。
本発明はまた、等電点電気泳動法の原理に従い得る。従って、一実施形態では、対流安定化分離媒体の分離距離全体又は実質的に全体に荷電又は荷電性基を提供することによって定常pH勾配を形成し、タンパク質及び/又はポリペプチドを各々の等電点に応じて分離する。負に荷電され得る基の例は、炭酸、スルホン酸、ホウ酸、ホスホン酸及びリン酸である。正に荷電され得る基は、例えば、種々のアミノ基又は他の荷電性窒素化合物であり得る。
一実施形態では、荷電基又は荷電性基が非移動性でマトリックスに固着している。特定の実施形態では、このマトリックスは分離媒体である。最も好ましくは、このマトリックスは、分離媒体中に存在する他の成分とゲルを形成するポリマーである。このようなシステムの市販の例は、Immobiline II System(商標)(Amersham Biosciences(スウェーデン国ウプサラ))であり、このシステムでは分離の間にpH勾配を生成する荷電基及び荷電性基はポリアクリルアミドゲルに共有結合されている。
一実施形態では、上記のように、キャピラリーを用いて等電点電気泳動を実施することができる。この実施形態では、分離のためのpH勾配を生成する荷電基又は荷電性基が、このキャピラリーシステムの壁に結合される。
本発明の方法の別の実施形態では、この荷電基又は荷電性基は、両性電解質担体分子に含まれる。従って、この実施形態では、この分離媒体は、両性電解質担体を含む。この両性電解質における分子の各々の等電点は、ある範囲の値にまたがるが、ここで実質的に連続した値を得るためにこの混合物における分子の間で十分な数の異なる等電点を用いる。従って、容器が両性電解質担体の溶液で充填されて、陽極液として酸、陰極液として塩基を含む溶液にまたがって電圧が印加される場合、個々の両性電解質分子は、この電圧の方向にそって等電点を増大するように、それ自体配列する。この容器は、任意の細胞又は導管、例えば、平坦なプレートのサンドイッチ、チューブ又はキャピラリーであってもよい。この実施形態では、例えば、アクリルアミド又はアガロースを用いて生成された未荷電のゲルによって、対流安定化も行なわれ得る。
両性電解質担体は、合成物質から形成されても、又は天然に存在する物質から形成されてもよい。Pharmalyte(商標)及びAmpholine(商標)(全て、Amersham Biosciences(スウェーデン国ウプサラ))のような種々の合成両性電解質担体が市販されている。
上記のように、pH勾配は、このタイプの実施形態では、分離媒体に存在するポリマー構造に対して、キャピラリーシステムの壁に対して、又はチャンバを隔てるメンブレンに対して結合された緩衝基によって、分離媒体に対して両性電解質担体を添加することなく生成され得る。これは、時には、微量の分析用実験では有利である。なぜなら、pH勾配によって、分離終了後に両性電解質担体からタンパク質を精製する必要がなくなるからである。固定された緩衝基のみの使用に伴う欠点は、分離の間に得られる伝導率が極めて低くなり、これが必要な分離時間を大幅に増大するということである。結果として、固定された基の使用は通常、分離媒体への両性電解質担体の添加と組み合わされる。この実施形態では、固定された基は、分離を生じるpH勾配を決定し、一方で両性電解質担体は、分離に必要な時間をおさえるために必要な伝導率に寄与する。
別の実施形態では、本発明の方法は、メンブレンによって別のチャンバに分割されており、これによって分離すべき成分を通過させるが、最終の分離の間及びその後にこの区画の間での液体の流動をブロックする容器を用いる。この実施形態は、分離の作業には有利である。なぜなら分離した純粋なタンパク質又はタンパク質画分は、最終分離後に容易に収集され、この実施形態は狭い範囲のpH勾配が第一次元の集束に用いられる場合、2−D電気泳動の前に有利な事前分画方法でもあるからである。異なるpH値の確立のために必要な荷電基又は荷電性基は、分離媒体に含まれる両性電解質担体分子に属してもよいし、或いはこの荷電基又は荷電性基は、この装置のチャンバを隔てるために用いられるメンブレンに結合されてもよい。後者の場合、このメンブレンは、適当な支持体、例えばグラスファイバーフィルターの上に重合されたポリアクリルアミドゲルから構成されてもよい。
このように、特定の実施形態では、本発明は、メンブレンによってお互いから隔てられる少なくとも2つのチャンバを備える装置において実施される。
まとめると、本発明による等電点収束電気泳動は、原則的に全ての形態及び形状のセル、とりわけキャピラリー、スラブ及びチューブ中で実施できる。キャピラリーでは、分離媒体は、ゲルである必要はないが、実際にはほとんどの場合、緩衝液自体である。しかし、分析目的でもっとも頻繁に用いられるのは、プラスチックの裏層に結合されたゲルである。ゲルストリップは2次元の電気泳動における好ましい構成である。例えば、IPG(商標)ストリップは、3〜10、3〜7、4〜7、6〜11、6〜9、3.5〜4.5、4〜5、4.5〜5.5、5〜6、5.5〜6.7、6.2〜8.2、及び7.5〜9.5のpH間隔について市販可能に乾燥される。
本発明による等電点電気泳動における試料適用は、分離距離にそったいずれかで、かつゾーン電気泳動における状況に反して行なわれ得、分離が開始する試料ゾーンの幅は重要な問題ではない。前に考察した通り、従来技術の塩基勾配における還元されたチオール含有試料の等電点電気泳動には、合理的な結果を得るために陽極の近くの試料適用ポイントの使用が必要である。また、等電点電気泳動を本発明によって実施する場合、陽極に近い試料適用が好ましいアプローチであり、7より大きいpH値に延びるpH勾配を用いる場合、同様にこのアプローチは、試料中の還元剤の存在に対して鈍感である。試料の可溶化と組み合わせて通常用いられる還元された試料を含有する濃縮物によって高い質の分離が得られ、その結果は試料適用の前にチオール基が混成ジスルフィドに酸化されている試料と同じ質の分離である。本発明で得られるタンパク質及び/又はペプチドのチオール基の排除の結果として、従来技術の方法による状況に反して、陰極に近い適用はまた塩基性pH勾配とともに用いることが可能で、別の実施形態では試料は再水和溶液中で混合され得、従って、集束(泳動)の手順が開始される前に分離媒体全体に添加され得る。後者の2つの適用方法では、試料中の還元剤の含量は、およそpH7〜8程度に中心があるpH領域で得られた分離の質に対して顕著な影響を有することが見出されている。例えば、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィドは、還元された試料に添加されており、反応した試料は再水和溶液に含まれており、この場合ストリーキングはpH9〜12の塩基性IPGストリップ中で回避された。しかし、pH7〜8で得られた結果は利点が乏しく、これは、還元剤によるジスルフィドの還元、及びこの特定のpH間隔に輸送されたメルカプトエタノールの生成によって説明できる。明らかに、混乱が出現する特定の領域は、ジスルフィドの還元において生成されたチオール含有化合物のpK値に明白に依存する。従って、所望されないストリーキングを回避するためには、試料が含む還元剤は最小限の量でなければならない。試料可溶化が還元と結び付けられる技術では、試料を可溶化するのには最小量の還元を用いなければならない。別の好ましいアプローチは、既に試料可溶化と関連してタンパク質及びペプチドのチオール基を転化すること、すなわち、過剰量のジスルフィド及び少量の触媒量の還元剤を含む溶液中で試料を可溶化させることである。
別の代替法は、本発明の電気泳動分離が等速電気泳動の原理に従うということである。従って、1実施形態では、対流安定化分離媒体において分離距離の一部にそって荷電基又は荷電性基を提供することによって、pH及び/又はイオン強度の勾配が形成されて、電場に移動され、ここでタンパク質及び/又はポリペプチドがそれらのそれぞれの輸送速度に従って分離される。
分離媒体及びpH勾配の生成に関して、基本的には、等電点電気泳動に関して上記で考察されたのと同じ公知の原理があてはまる。有利な実施形態では、この分離媒体は、両性電解質担体を含む。重要な等速電気泳動の変法はNEPGE(非平衡pH勾配ゲル電気泳動)であって、これは長年の間、2−D電気泳動における塩基性タンパク質の第一次元の分離のための優勢な方法であった。
可変性のイオン強度に関して、あてはまる原理は、当業者に周知である。
周知の通り、等速電気泳動では、試料の適用は、陽極の近くか、又は陰極に近くのいずれかで実施されるように制限される。さもなければ同じ原理及び規則が、等電点電気泳動についてと同様に有効である。
このように、本発明の方法はゾーン電気泳動、等電点電気泳動及び等速電気泳動からなる群から選択される任意の方法の原理に従い得る。
上記のように、試料の添加前に分離媒体にジスルフィド含有化合物の添加によって、過剰の反応性ジスルフィドが提供され得る。分離媒体がキャピラリー寸法に強制された液体を含む場合には、ジスルフィドがその使用の前にこの液体中で可溶化されてもよい。分離媒体がゲルを含む場合には、ゲルの生成のために用いられる溶液中で分離のために必要な、尿素、界面活性剤及び/又は緩衝化合物のような他の成分と一緒にジスルフィドが含まれてもよい。代表的には、ジスルフィドは、ゲルの注入の前に融解したアガロース溶液に添加されてもよい。ラジカルな重合化のために用いられる溶液中に、反応を妨害する他の物質を、用いられるジスルフィドが含まないという条件では、チオールでの状況に反して、ジスルフィドを含むことも可能である。従って、ジスルフィドを含有するポリアクリルアミドゲルを生成することが可能で、これは従来技術の方法よりも有利である。なぜなら、アクリルアミドはDTT又はメルカプトエタノールのようなチオールの存在下では重合化できないからである。多くの市販のゲルが乾燥状態で販売されているので、ジスルフィドの添加はまた、1以上の適当なジスルフィド含有化合物を補充された再水和溶液中にこのような前に乾燥されたゲルを浸漬することによって、都合よく達成できる。このような再水和溶液の他の成分は、以下にさらに詳細に考察される。
本発明の方法の最も有利な実施形態では、分離が実施されるpH間隔において荷電されていないジスルフィド含有化合物の添加によってジスルフィド基が得られる。或いは、ジスルフィド含有化合物が、この間隔において最小の負の正味電荷を有するということは、この電荷が勾配の機能を損なわない限り、許容できる。従って、本発明の1つの利点は、前に用いられた還元剤に反して、本発明によって用いられるジスルフィド含有化合物がpH勾配によって輸送されないということである。このようにタンパク質のチオール基は、全てのpH値でジスルフィドとして保護され、これによって明確かつ再現可能なマップが得られる。この状況では、従来の等電点電気泳動から得られるマップ(タンパク質のシステイン基がチオールとして存在する)に比べて、本発明の結果として得られるスポットが、わずかに高いpIで出現するが、当業者に理解される通り、追加の分子量は大きいタンパク質に対してよりも小さいペプチドに対して相対的にさらに大きい影響を有するせいで、この分子量は実質的に同じであるか又はわずかに増大しているということが注目される。全体として、本発明によって得られるタンパク質マップはまた、スポットの数の減少を示す。なぜなら、以前に現れた副反応は本発明では回避されるか、又は少なくとも実質的に減少しているからである。
このように、一実施形態では、ジスルフィド含有化合物(そのpKaは、システインのチオール基のpKaに近い)を加えることによって、ジスルフィド形成がもたらされる。他の実施形態では、ジスルフィド含有化合物のpKaはシステインのチオール基のpKaを上回る。
本発明の背景にある一般的な機構は、例えば、以下の平衡によって図示できる。
ここで、Rは、任意の適当なアルキル、例えば、ヒドロキシアルキル、アミド、例えば、アルカンアミド、アリール、例えば、フェニル、複素環、例えば、ピリジルであり、Rは、好ましくは、溶解度を上昇させる基で置換されてもよく、Pはタンパク質又はペプチドである。
全体的平衡定数K3を各々の構成要素反応について平衡定数K1及びK2に分けた場合、この新しい値の両方とも1に近いことが見出される。全体的な結論は、混成ジスルフィドは重要な生成物であるということである。
上記で考察されたチオール−ジスルフィド交換は、アルキル化の特別な形態、いわゆるs−アルキル化である。この反応は、容易に可逆性であり、その反応は求核性の2工程であって混成ジスルフィドが中間体として形成される。
一実施形態では、この中間体を安定化するため、及びこれを主な生成物に転化するために、RSHは弱酸でなければならないか、又はチオールは等モル量のチオンの形成を伴って混合反応性ジスルフィドに定量的に変換されなければならない(スキーム1)。
スキーム1 2−チオピリジルでのチオール−ジスルフィド交換反応
チオン型は、S−S結合の破壊を促進する、なぜなら、この遊離されたチオールは、ピリジンジスルフィドの高い反応性を説明するチオン型の共鳴によって安定化されるからである。チオピリジル化合物との反応は、pH値で進行し、ここでチオール−ジスルフィド交換は遅いか又は存在しない。実際、ピリジルジスルフィドでのチオール−ジスルフィド交換は、1〜9のpH値の範囲で実施することができる。
このように、一実施形態では、pKaがシステインのチオール基に近いか又はそれを上回る化合物を含むジスルフィドの添加によってジスルフィド基が提供される。
これらの式からわかるように、平衡[1]は、ジスルフィドR−S−S−Rの濃度が高く保持されて、チオールの濃度がその脱プロトン型で低く保持されている条件では、タンパク質−S−S−Rの形態のタンパク質チオール基では右側に向かってシフトされる。また式[1]で示される通り、これは、この反応に関与するチオール基の脱プロトン型である。結果として、解離定数の値が正確であるほど、反応[2]及び[3]の解離定数の比は、平衡[1]から生じるタンパク質−S−S−R/タンパク質−S−の比に直接影響する。
状況を簡略にするために、所与の反応式は対称ジスルフィドの使用を示す。現実には、非対称のジスルフィドはまったく同様に用いられており、従って本発明の範囲内に包含される。以下に記載される通り、これは特定の状況下ではやはり好適であり得る。
従って、一般式R−S−S−Rを有するジスルフィド含有化合物の添加によって、この平衡は、左にシフトされ、このタンパク質の割合の増大はジスルフィド型で存在する。従って、従来技術に関連する問題(タンパク質のチオール基が反応する場合、そのタンパク質のpHの変化に起因するスポットのストリーキングとして、上記されている)は、実質的に軽減されるか、又は本発明によって排除さえされ得る。同様に、チオール基の反応によって生じる人為的なスポットにともなって以前に観察された他の問題はまた軽減されるかさらには排除される。
タンパク質−SH基が単純なジスルフィドと反応する場合、混成ジスルフィドのみが通常可能である。この理由は、このタンパク質が第二の隣接するSH基を同様に有する限り、未混合のジスルフィドの形成には、二量体化の前に特異的でかつ熱力学的に好ましくない配列が必要であるためである。
チオール−ジスルフィド交換反応の速度は、pH依存性である。なぜなら、チオールは、RS−として関与するからである。従って酸性化はこの生成物を「フリーズ」する。
ジスルフィド−ジスルフィド交換:
チオール−ジスルフィド交換によって、触媒量のチオールが存在する場合、ジスルフィド−ジスルフィド交換が生じることが可能になる。この反応は一般的な反応である。例えば、タンパク質−S−S基は、非タンパク質ジスルフィドとの反応に対して混成ジスルフィドを与える。この順序は、触媒性チオールとしてRSHを用いるのだが、以下の通りである:
チオール触媒によるジスルフィド−ジスルフィド交換は、予想どおり、pHが上昇するにつれて速くなる。これは、強酸でのみ見られる直接ジスルフィド交換とは対照的であって、チオールによって阻害される。
特定の実施形態では、ジスルフィド基は、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)ジスルフィド、3,3−ジプロピオンアミドジスルフィド及び2,2′−ジピリジルジスルフィドからなる群から選択されるジスルフィド含有化合物の添加によって提供される。
従って、本発明の第二の局面は、電気泳動用ゲルを前処理、例えば、再水和するための反応性ジスルフィド含有化合物を含む溶液の使用である。一実施形態では、このような溶液は、再水和溶液に通常存在するさらなる成分、例えば、尿素、界面活性剤、例えばCHAPS、両性電解質担体などと一緒に、上記で考察された1以上のジスルフィド含有化合物を含む。再水和溶液中で用いる他の成分及びその濃度は、関与する電気泳動技術及び特定の適用に依存する。SDS電気泳動には、用いる溶液は通常、必要な緩衝液成分のみ、代表的にはTris/HCl又はTris酢酸緩衝液(6.5〜9の範囲のpH値)及び必要に応じて少量、0.1〜0.2%(w/v)SDSを含む。等電点電気泳動のために、従来の再水和溶液の例示的な成分は8M尿素、0.5〜2%の両性電解質担体、非イオン性又は両性の界面活性剤であって、従来技術で用いられる場合は、同様に、DTT、DTE又はトリブチルホスフェートのような還元剤である。
本発明による再水和には、還元剤は、本発明によるジスルフィド含有化合物(単数又は複数)で置き換えられなければならず、試料適用が再水和工程に試料を入れることによって実施される場合、この還元剤の量は、試料の可溶化工程を進行するのに必要な最小に近く保持されなければならない。DTT、DTE又はTBPは、再水和溶液中のジスルフィド含有化合物と反応して対応するチオールを生成し、これが反応の平衡[1]を右にシフトさせて、タンパク質−S−S−R/タンパク質−SH比の低下を生じる。従って、必要な反応性ジスルフィド含有化合物の濃度は、反応2及び3についての平衡定数の比に依存するだけではなく、ゲル又は再水和溶液に存在する還元活性に、等電点電気泳動という特定の場合には、試料とともに添加された還元活性の量にも依存する。また試料が等電点電気泳動ゲルに対して陰極側に加えられた場合、ジスルフィド含有化合物と存在する任意の還元剤との反応から生じるチオールは、ゲルに入って、タンパク質−S−S−R/タンパク質−SHの比に対して負に寄与する。還元試料が集束ゲルに対して陽極側に加えられる場合、ゲルに入るタンパク質中のシステイニル基は、再水和溶液とともに添加されたジスルフィドを相当するチオールに転化して、多くのタンパク質充填が用いられる場合は、これはまたタンパク質−S−S−R/タンパク質−SH比に有意に影響し得る。ストリーク及び/又は人為的なスポットを排除するのに必要なジスルフィド含有化合物の濃度は、広い濃度範囲内で変化して、試料とともにストリップに添加された還元剤の量、及び集束中に得られる濃度分布、並びに反応[1]−[3]について有効な平衡定数に依存し、次いでこれは用いられるジスルフィド含有化合物に依存する。ジピリジルジスルフィドの2〜5mMの程度の濃度で、等電点電気泳動に関連して陽極側試料適用を用いて、良好な結果が得られ、このタイプの濃度は、また他のジスルフィドを用いる場合にも得られた集束のパターンを改善することが期待できることが示されているが、ほとんどの場合は、20〜500mMの範囲に収まるかなり高濃度のジスルフィドを用いることが好ましい。関与する化学的平衡に基づけば、できるだけ高いことが最も好ましい選択肢であるはずである。用いられるジスルフィドが電気泳動分離のための前提条件にいかなる方法でも負に影響しない条件では、溶液中の各々の化合物の溶解度は使用可能な上限の濃度に設定する。
本発明の別の局面は、本発明による電気泳動分離において試料として用いられるべきタンパク質及び/又はペプチドの可溶化のための溶液である。この溶液を、還元されたタンパク質及び/又はペプチドが試料として用いられる技術において慣用的に用いられる溶液と置き換えることを意図している。このタイプの技術の例は、SDS電気泳動、及び第二次元のSDS電気泳動の前の2−D電気泳動においてのような等電点電気泳動である。従来技術を用いれば、タンパク質及び/又はペプチドの可溶化のために用いられる溶液は、DTT、DTE、メルカプトエタノール又はTBPなどの大過剰の還元剤を含む。本発明によるゾーン電気泳動に関連して、最善の結果には、タンパク質及び/又はペプチドのチオール基を、分離媒体へ入る前に混成ジスルフィドに転化することが重要である。前に考察した通り、この転化はスタッキングのゲル又はゾーン内で生じ得るが、好ましい代替法は、この転化をタンパク質可溶化工程に伴って既に達成することである。同様に等電点電気泳動において、タンパク質及び/又はペプチドのチオール基が試料適用の前に混成ジスルフィドに転化される場合、陰極側適用の場合又は試料が再水和溶液に含まれる場合は、また加えられた試料は、最小量の還元剤を含むことが好ましい。またこの場合、試料の可溶化に伴う、チオール基の混成ジスルフィドへの転化は、最高のアプローチである。この転化を達成するために用いられる可溶化溶液において、本発明の過剰なジスルフィド含有化合物が含まれ、このジスルフィドは、少量の触媒量の還元剤で補完される。
特定の実施形態において、還元剤を含む従来の再水和溶液を、本発明によるジスルフィド含有化合物で補充する。再水和溶液の種々の成分はこの方法の状況において上記で詳細に考察されている。
本発明の第三の局面は、試料のタンパク質及び/又はペプチド成分の電気泳動分離における使用のための試薬であって、この試薬は、溶液中に反応性ジスルフィド含有化合物を含む。この溶液は、例えば、ジスルフィド自体を含むか又は水溶液中で希釈された水溶液であってもよい。本発明の試薬は、チオール基の存在に伴う上記で考察された問題を回避するために任意の電気泳動、例えば、ゾーン電気泳動、等電点電気泳動及び等速電気泳動において用いられ得る。
本発明の第四の局面は、反応性のジスルフィド基を含む電気泳動用ゲルである。上記のように、ジスルフィド基は、例えば、凝固の前にアガロース溶液にジスルフィドの添加によって、又はポリアクリルアミドゲルの調製の間にジスルフィドの添加によってゲルの調製の間にそのゲルに組み込まれてもよい。或いは、ドライゲルは、電気泳動の前の前処理としてジスルフィド含有化合物を含む溶液に再水和される。
従って、本発明の最終局面は、電気泳動のための乾燥されたゲル及び再水和溶液を分離区画中に含むキットである。
結局、本発明のさらなる局面は、MSの前のタンパク質及び/又はペプチドの可溶化及び/又は処置のための溶液であって、これは少量の触媒量の還元剤を補充された過剰の反応性ジスルフィド含有化合物を含む。前に考察された通り、タンパク質のチオール基とジスルフィド含有化合物との反応は、電気泳動分離工程においてだけでなく、タンパク質及び/又はペプチドの質量分析的な同定及びキャラクタリゼーションにも利点を与える。これは、チオールとジスルフィドとの反応が従来用いられるアルキル化反応よりもかなり高い特異性を有するということに起因する。最も簡単な実施形態では、MSの前のタンパク質の可溶化及び/又は処理のための溶液は、ジスルフィド及び微量の還元剤以外に、重炭酸アンモニウムのような緩衝液を含む。その場合、引き続くトリプシン消化は、この溶液中で行なわれてもよい。溶液中でタンパク質を得て維持して、特徴付けるためには、他の添加物、例えば尿素、グアニジン塩酸塩が通常必要であり、この場合には、通常、この処理に続いて、消化の前に脱塩工程が実施される。トリプシン消化をジスルフィドの非存在下で実施する場合、ジスルフィドと微量の還元剤を消化の終了時点で加えて、質量分析的なキャラクタリゼーションの前に、全てのタンパク質の鎖間及び鎖内のジスルフィド架橋を混成ジスルフィドに転化する。
図面の詳細な説明
図1は、従来技術の方法によって泳動したSDS電気泳動実験の結果と、ジヒドロキシエチルジスルフィドを含むゲル中で行なっている本発明の方法とを比較している。
図2a〜eは、従来技術の方法(図2a及び図2b)を用いるか、又は本発明による異なるジスルフィド(図2c:ジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィド、図2d:ジ−(3−ヒドロキシプロピル)−ジスルフィド、及び図2e:3−((3−アミノ−3オキシ−プロピル)−ジチオ)プロパンアミド、図2f:2,2′−ジピリジル−ジスルフィド)を含有する、IPGストリップ(pH6〜11)における第一次元の集束を用いて得られた2−Dマップを比較する。
図3a〜図3cは、第一の次元として従来技術を用いて(図3a)、ジスルフィドで再水和したストリップで(図3b:ジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィド、及び図3c:ジ−(3−ヒドロキシプロピル)−ジスルフィド)、長く狭い範囲のIPG−ストリップ(pH7.5〜9.5)で得たマップを比較する。
図4a〜図4eは、IPG−ストリップ(pH6〜9)を、第一の次元として用い、従来技術(図4a及び図4b)、それぞれジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィドで再水和されたストリップ、還元された試料を陽極側に加えられたストリップ(図4c及び図4d)、試料適用の前にチオール基が混成ジスルフィドに転化されている試料(図4e)を用いた場合に得られた2−Dマップを比較している。
図5a及び図5bは、IPG−ストリップ(pH3〜10)を第一の次元として用いて得られた2−Dマップを比較するが、タンパク質のチオール基は試料適用の前に混合されたジスルフィドに転化されている。図5aは、第一次元のストリップが還元剤もジスルフィドも含まない場合の結果を示すが、図5bは、ジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィドを含む溶液中で再水和されたストリップについての結果を示す。
図6a〜図6cは、試料が再水和溶液に含まれていた場合に、IPGストリップ(pH6〜11)(図6a及び図6b)又はIPG−ストリップ(pH9〜12)(図6c及び図6d)を用いて得られた2−Dマップを比較する。再水和溶液は、20mM DTT(図6a及び図6c)又は20mM ジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィドのいずれかを含んだ。
図7は、100mM ジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィドを含有する溶液中で再水和された24cm長のIPGストリップ(pH6〜9)に対して陽極側に加えられた微量の分析量のタンパク質(1.6mg)を用いて得られた2−Dマップを示す。
実験
本実施例は、例示の目的でのみ提供されており、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定するとして解釈すべきではない。本明細書において以下にいずれかに示される全ての引用文献は本明細書において参考として援用される。
T=5%(5グラムモノマー/100ml)及びC=3%(3グラム架橋剤/100グラムモノマー)を有するスタッキングゲル、並びにT=10及びC=2を有する分離ゲルから構成される250×110×0.5mm(再水和後)の寸法のゾーン電気泳動用の市販のドライゲルであるClean Gel(商標)25(Amersham Biosciences(スウェーデン国ウプサラ))を半分に切断した。0.3M Tris酢酸緩衝液(pH6.5)及び0.1%SDSを含有するゲルで送達された再水和溶液中でこの半分を再水和した。もう半分を対応する溶液中で再水和して、ここへさらにビス(ヒドロキシエチル)ジスルフィドを300mMの濃度まで添加した。この2つの半分ずつを15℃に設定したMultiphor(商標)(Amersham Biosciences(スウェーデン国ウプサラ))の冷却プレート上に置いた。陰極側の電極の紙芯は、Tris−トリシン−SDSを含み、陽極側の紙芯は、Tris−酢酸(ゲルで送達された電極液)を含んだ。0.3mg/mlのタンパク質 ウシ血清アルブミン、ニワトリオボアルブミン、ダイズトリプシンインヒビター及びウシ炭酸脱水素酵素を0.375M Tris/HCl(pH8.8)、5% SDS及び2.5%メルカプトエタノール中で可溶化して、95℃に3分間加熱した。試料の半分を、0.375M Tris/HCl pH8.8、5% SDS及び微量のブロモフェノールブルー中で10倍に希釈して、もう半分を同じ緩衝液中で希釈して、ここに300mM ビス(ヒドロキシエチル)ジスルフィドを添加した。この試料を以下の順序で2つの半分ずつのゲルに加えた:ウシ血清アルブミン、レーン1、2、9及び10、ニワトリオボアルブミン、レーン3及び4、ダイズトリプシンインヒビター、レーン5及び6、ウシ炭酸脱水素酵素、レーン7及び8。電気泳動分離は最初に200V、70mA及び40Wを最高限度として10分間、次いで600V、100mA及び40Wで、緩衝液前面の色素マーキングが陽極芯に達するまで泳動した。このゲルの半分を銀染色して、得られた染色されたゲル半分を図1に示す。図から判明する通り、全てのタンパク質は、300mMジヒドロキシエチルジスルフィドを含有するゲル半分中で分離した場合、十分規定された主なバンドを生じた。この結果は、還元された試料及びジスルフィドが添加された試料について同一であり、このことは還元した試料に存在するタンパク質のチオール基は、タンパク質が依然としてスタックされている場合、実験の初期段階で混成ジスルフィドに完全に転化されていることを示す。ジスルフィドの添加なしのゲル半分における分離は、チオール基のないタンパク質である炭酸脱水素酵素についてのみ良好な結果を生じた。還元型で加えられた34個のチオール基を含むウシ血清アルブミンは、極めて著しい広がったバンドを生じ、またジスルフィドの添加後に加えられた試料もさらに広いバンドを生じるが、この効果は、ジスルフィドで再水和されたゲル半分において泳動されたウシ血清アルブミンについてはそれほど顕著ではない。このバンドの広がりは、電気泳動移動度の増大をともなう、タンパク質構成の生成に対応して陽極に向かう。6個のチオール基を有するオボアルブミンは、還元された試料で2つのバンドを生じ、そのうち移動度の増大に対応する1つがわずかに強力である。ジスルフィドで処理した試料では、もとのバンドが最も強く、小さい画分のみが移動の増大を伴った形態で現れる。ダイズトリプシンインヒビター(4個のチオール基)については、還元型で加えられた試料は完全に、高い移動度のバンドにあるが、ジスルフィド添加後に加えられた試料は2つのバンドに現れ、ここで高い移動度を有するバンドは小さい画分である。有用な知識に基づけば、内部−S−S−架橋の生成は、SDSタンパク質複合体の電気泳動移動度の増大を生じる傾向である。本実験の結論は、チオール基のジスルフィド酸化なしのゲル中で泳動された還元された試料は、広がったバンドか又は余計な人為的なバンドのいずれかを生じるだけでなく、ジスルフィド含有試料については、酸化のある程度の負の効果も出現するということである。適用の前の試料へのジスルフィドの添加は、従来技術に比べて改善を生じるが、最高の結果を得るには、分離の間にゲルにジスルフィドが存在しなければならない。
実施例2〜7は、Amersham Biosciences AB(スウェーデン国ウプサラ)の2−Dハンドブック(2−D electrophoresis using Immobilised pH gradient.Principles & methods)に記載されたの標準的プロトコールに従って行なった。第一次元の集束のために、乾燥された作成済みゲルストリップ(Immobiline DryStrip(商標)、Amersham Biosciences(スウェーデン国ウプサラ))を、実施例2〜7に特定されるpH勾配及び長さで用いた。全ての場合に、ストリップの再水和を、このハンドブックの推奨に従って、すぐ下の実施例において明記した異なる再水和の組成で、Amersham Biosciences′Immobiline DryStrip Reswelling Tray(商標)において実施した。
第一の次元の集束は、全ての場合とも、ゲル側を上に、紙の電極芯を用いて、Multiphor(商標)又はIPGphor(商標)(両方の装置ともAmersham Biosciences(スウェーデン国ウプサラ))のいずれかで泳動させた。第二の次元のゲルは、自家製のアクリルアミドゲルを備えたEttan DALT(商標)IIシステム、及びLaemmli緩衝液系中で泳動した(上記を参照)。均一なゲルを12.5%(w/v)の総モノマーを含む溶液から生成した。ゲルを、示した通り銀又はクマーシーブリリアントブルーで染色した。
以下に明記した通り、8M 尿素、0.5%CHAPS、1% IPG(商標)緩衝液(pH6〜11)及び酸化還元化合物を含む溶液で、Immobiline DryStrip(商標)(pH6〜11、18cm)を一晩、再水和した。50mM Tris,7M尿素、2M チオウレア、4%(w/v)CHAPS及び10mM DTTを含むマウス肝臓からの試料抽出物を、再水和のために用いたのと同じ溶液中で希釈(10μl〜160μl)して1mg/mlの最終試料濃度を得た。対応して再水和したIPGストリップに、このストリップの陽極端の近くに位置する試料カップ中で80μlの各々の試料を加えた。第二の次元で生成したゲルを銀染色して、その結果を図2a〜fに示す。
図から判明する通り、チオール含有溶液中で再水和した2つのストリップによって、集束次元での重度のストリーキングで特徴付けられる2−Dマップが得られた(図2a及び図2b)。このストリーキングは、本発明によるジスルフィド含有溶液で再水和されたIPG−ストリップで生成された4つのマップには存在しない(図2c〜図2f)。
以下に明記した通り、8M 尿素、0.5%CHAPS、1% IPG(商標)緩衝液(pH6〜11)及び酸化還元化合物を含む溶液で、Immobiline DryStrip(商標)(pH7.5〜9.5、24cm)を一晩、再水和した。マウス肝臓タンパク質を含む試料を、再水和のために用いたのと同じ溶液中で希釈(10μl〜160μl)して1mg/mlの最終試料濃度を得た。対応して再水和したIPGストリップに、このストリップの陽極端の近くに位置する試料カップ中で80μlの各々の試料を加えた。第二の次元で生成したゲルを銀染色して、その結果を図h〜jに示す。
本実験はまた、長く狭いpH範囲のIPGストリップを用いる場合、本発明によるジスルフィドの添加によって、ストリーキングの効果的な排除が得られることも示す。
この実験については、以下の表に明記した溶液を用いて、Immobiline DryStrip(商標)(pH6〜9、24cm)を一晩、再水和した。マウス肝臓タンパク質を含む試料を、この表中でも明記した溶液中で希釈(5μl〜100μl)した。100μlの容積を有する試料(80μgのタンパク質に相当する)を、IPGストリップの陽極端の近くに位置するカップ中に加えた。
得られた2−Dマップを図4a〜eに示す。ストリップ中の還元剤としてDTT又はメルカプトエタノールを用いる通常用いられる条件によって、約pH7からこのストリップの塩基性部分において重度の水平なストリーキングが得られた(図4a及び図4b)。ストリップが代わりに、ジ−(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド含有溶液中で再水和される場合、ジスルフィドと反応された試料(図5e)と同じ十分還元された試料(図4c及び図4d)ではストリークのない結果が得られた。
マウス肝臓タンパク質を8M 尿素、2%CHAPS、1% IPG緩衝液(pH8〜10.5)10mMジチオスレイトール及び100mM ジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィド中で20倍希釈した。80μgのタンパク質に相当する100μlの得られた溶液を、陽極性カップ適用によって、8M 尿素、0.5%CHAPS、及び0.5% IPG(商標)緩衝液(pH3〜10)のみを含む溶液中(得られた2−Dマップは図5aである)、又は同じ溶液でここに100mMジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィドを添加している溶液中(得られた2−Dマップは図5b)のいずれかにおいて再水和した、Immobiline DryStrip(商標)(pH3〜10、24cm)に加えた。図5aにみられるスポット位置に基づいてタンパク質チオール基を混成ジスルフィドに酸化したが、得られた2−Dマップにおいてストリーキングを回避するために、集束中にはIPG(商標)ストリップ中にジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィドの存在が必要である(図5b)。
80μgに相当する試料を、Immobiline DryStrip(6〜11及び8.5〜12)の再水和のために用いる再水和溶液(これは、アクリルアミドの代わりにモノマーとしてN,N′−ジメチルアクリルアミドを有した)に添加した。用いた再水和溶液の組成を表に明記する。再水和は一晩行なった。
ジチオスレイトール含有溶液で再水和された第一次元のストリップで生成された得られた2−Dマップは、試料が短い11cmストリップについても再水和工程に導入された場合、重度のストリーキングを示した(図6a及び図6c)。再水和溶液における本発明によるジ−(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィドの使用によって、水平のストリーキングが少ない、有意に優れた質の2−Dマップが得られた(図6b及び図6d)。
8M 尿素、0.5%CHAPS、1% IPG緩衝液(pH6〜11)及び100mMジ−2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィドを含有する溶液中でImmobiline DryStrip(商標)(pH6〜9、24cm)を再水和した。100μlのマウス肝臓タンパク質(16mgタンパク質/ml)を含有する溶液、8M 尿素、2%CHAPS、20mM DTT及び2% IPG(商標)緩衝液を、ストリップの陽極端に位置する試料カップに加えた。第二の次元のゲルをクマーシーブリリアントブルーで染色した。本発明によるジスルフィド含有溶液において再水和したストリップは、第一の次元のストリップに大きいタンパク質の充填(この場合1.6mg)を与えた場合にも良好な2−Dマップを生じることが、この得られた2−Dマップ(図7)によって示される。
従来技術の方法によって泳動したSDS電気泳動の結果と本発明の方法とを比較する。 図2a〜fは、従来技術の方法(図2a及び図2b)を用いるか、又は本発明による例示的なジスルフィドを含有する(図2c、図2d、図2e、図2f)、IPGストリップ(pH6〜11)における第一次元の集束を用いて得られた2−Dマップを比較する。 図3a〜図3cは、長く狭い範囲のIPG−ストリップ(pH7.5〜9.5)を第一の次元として従来技術を用いて(図3a)、ジスルフィドで再水和したストリップを用いて(図3b及び図3c)得たマップを比較する。 図4a〜図4eは、IPG−ストリップ(pH6〜9)を第一の次元として用いて、従来技術を用い(図4a及び図4b)、それぞれ、本発明による例示的なジスルフィドを含む溶液で再水和されたストリップ、還元された試料を陽極側に加えられたストリップ(図4c及び図4d)、試料適用の前に本発明によってチオール基が転化されている試料(図4e)を用いた場合に得られた2−Dマップを比較している。 図5a及び図5bは、IPG−ストリップ(pH3〜10)を第一の次元として用いて得られた2−Dマップを比較するが、タンパク質のチオール基は試料適用の前に混成ジスルフィドに転化されている。図5aは、第一次元のストリップが還元剤もジスルフィドも含まない場合の結果を示すが、図5bは、ジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィドを含む溶液中で再水和されたストリップについての結果を示す。 図6a〜図6dは、試料が再水和溶液に含まれていた場合に、IPGストリップ(pH6〜11)(図6a及び図6b)又はIPG−ストリップ(pH9〜12)(図6c及び図6d)を用いて得られた2−Dマップを比較する。再水和溶液は、20mM DTT(図6a及び図6c)又は20mM ジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィドのいずれかを含んだ。 100mM ジ−(2−ヒドロキシエチル)−ジスルフィドを含有する溶液中で再水和された24cm長のIPGストリップ(pH6〜9)に対して陽極側に加えられた微量の分析量のタンパク質(1.6mg)を用いて得られた2−Dマップを示す。

Claims (28)

  1. 試料中の1以上のタンパク質及び/又はペプチド成分の電気泳動分離の方法であって、当該方法が、
    (a)上記試料を対流安定化分離媒体と接触させる工程と、
    (b)上記媒体の両側に電圧を印加する工程と、
    (c)上記分離媒体の1以上のセクションの分析によって得られた分離結果を観察する工程と
    を含み、分離処理時の上記成分に過剰の反応性ジスルフィド基を与えるのに十分な量のジスルフィド含有化合物を添加する、方法。
  2. ジスルフィド含有化合物が、工程(a)の前に分離媒体及び/又は試料に添加される、請求項1記載の方法。
  3. 前記分離媒体がキャピラリー寸法の1以上の表面又は空間を含む、請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. 前記分離媒体がゲルを含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記ゲルが工程(a)の前にジスルフィド含有化合物を含む液体で処理される、請求項4記載の方法。
  6. 電気泳動中の分離媒体のpH及びイオン強度の条件を実質的に一定に保持するために1以上の緩衝液を添加する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記試料を荷電界面活性剤で処理してその内部にタンパク質及び/又はポリペプチドの荷電をマスクした後で、試料を分離媒体とさせて、タンパク質及び/又はペプチドをそれぞれの分子量に応じて分離する、請求項6記載の方法。
  8. 対流安定化分離媒体の分離距離全体に荷電基又は荷電性基を提供することによって定常pH勾配を形成し、タンパク質/又はポリペプチドをそれぞれの等電点に応じて分離する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記荷電基又は荷電性基が非移動性でマトリックスに固着している、請求項8記載の方法。
  10. 前記マトリックスが分離媒体である、請求項9記載の方法。
  11. 前記分離媒体が両性電解質担体を含む、請求項8乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
  12. 当該方法が、メンブランで互いに隔てられた2以上のチャンバを備える装置で実施される、請求項11記載の方法。
  13. 荷電基又は荷電性基を対流安定化分離媒体の分離距離の一部に提供し、電場に輸送することによってpH及び/又はイオン強度勾配を形成し、タンパク質及び/又はポリペプチドをそれぞれの移動速度に応じて分離する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  14. 分離媒体が両性電解質担体を含む、請求項13記載の方法。
  15. 前記ジスルフィド基が、分離が実施されるpH範囲では荷電しないジスルフィド含有化合物の添加によって与えられる、請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の方法。
  16. 前記ジスルフィド基が、システインのチオール基のpKaを上回るpKaをもつジスルフィド含有化合物の添加によって与えられる、請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の方法。
  17. 前記ジスルフィド基が、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)ジスルフィド、3,3−ジプロピオンアミドジスルフィド及び2,2′−ジピリジルジスルフィドからなる群から選択されるジスルフィド含有化合物の添加によって与えられる、請求項1乃至請求項16のいずれか1項記載の方法。
  18. 電気泳動用ゲルを再水和するための、反応性ジスルフィド含有化合物を含む溶液の使用。
  19. 前記溶液が、尿素、非イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤及び両性電解質担体の1種類以上をさらに含む、請求項18記載の使用。
  20. 前記溶液が、約8M尿素と、0.5〜2%の両性電解質担体、非イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤と、還元剤とを含む、請求項19記載の使用
  21. 溶液中に反応性ジスルフィド含有化合物を含む、タンパク質及び/又はペプチドの電気泳動分離用試薬。
  22. ビス−(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)ジスルフィド、3,3−ジプロピオンアミドジスルフィド及び2,2′−ジピリジルジスルフィドからなる群から選択されるジスルフィド含有化合物を含む、請求項21記載の試薬。
  23. 過剰の反応性ジスルフィド基を含む、電気泳動用ゲル。
  24. 当該ゲルがポリアクリルアミドゲルである、請求項23記載のゲル。
  25. 当該ゲルに導入された反応性ジスルフィド基を含む、請求項23又は請求項24記載のゲル。
  26. 当該ゲルがアガロースゲルであって、その固化前にジスルフィド基が導入されている、請求項23記載のゲル。
  27. 電気泳動用乾燥ゲルと前処理用再水和溶液を備える、キット。
  28. 過剰の反応性ジスルフィド含有化合物に触媒量の還元剤を補充した、タンパク質及び/又はペプチド用の安定化溶液。
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