JP2005531389A - 電気的刺激方法及び電気的刺激装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、胃腸管の神経筋組織を刺激する装置、及びこの装置を神経筋組織に取り付けする方法に関する。パルス発生器(70)は、切替えマトリクス(72)を備え、組織を刺激する間、電極(26、28、30、32)の対を選択し、それらの極性を変化させることにより、時間変化的に組織を刺激することができる。さらに、リアルタイムクロックがオンモードとオフモードのトリガを可能にするので、時間クロックは、パラメータの変更をトリガすることもできる。変更することができるパラメータとしては、パルス幅、振幅、デューティサイクル(パルスの時間、パルス間又は連続パルス間の時間の量)、周波数、極性、単極又は双極の選択、及び電極のオン・オフなどがある。電気刺激では、患者の胃腸管内の少なくとも1つの器官に蠕動流路に沿って接続された複数の電極を利用し、これらの電極はそれぞれ、蠕動流路に沿って異なる位置で接続されている。電気パルスは、これら複数の電極のうち第1の電極セットから器官に与えられ、第2の電気パルスは、第2の電極セットから器官に与えられる。与えられる電気パルスは、互いに独立した整相されない関係にあり、人体が本来有する適応傾向を無効にしながら、胃腸管内の少なくとも1つの器官の蠕動流の治療的調整を維持する。

Description

本発明は、人体器官を刺激する際に使用する電気的刺激方法及び電気的刺激装置に関し、より詳細には、胃腸管(gastrointestinal tract)などの器官構造の内臓(viscera)の神経筋組織(neuromuscular tissue)を刺激するための埋込み型装置、及びこの埋込み型装置を患者の体内に取り付ける方法に関する。
近年、電気的組織刺激の分野は拡大し、組織に埋め込んだ電極を用いて胃(stomach)又は腸管(intestinal tract)を電気的に刺激するデバイスを備えている。いくつかの研究では、このような胃刺激装置が肥満をうまく抑制することが分かってきている。この処置がどのように機能して肥満を解消しているのかということに関する医学的理解は、現在のところ十分ではない。しかしながら、処置をうまく施された患者たちは、正常な空腹と満腹のサイクルが得られていると報告している。
この療法を実施する装置及び処置方法は、ここにその全体が参照によって組み込まれている特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている装置は、約2秒間、胃の幽門洞(antrum pyloricum)を刺激パルス列で刺激し、その後に約3秒間の「オフ」時間を設けるものである。
特許文献2に記載される腹腔鏡(laparoscopic)デバイスは、刺激する組織を貫通する針と、一端がこの針に接続され、他端が埋込み型パルス発生器(IPG;Implantable Pulse Generator)のリードに接続された糸とを有している。この腹腔鏡デバイスは、比較的長く細いので、腹腔鏡タイプの管又はトロカール(trocar)を通してデバイス全体を人体内に挿入することができる。針を糸でデバイスに接続することにより、トロカールを通して挿入される多くのデバイスが知られている。
特許文献3及び特許文献4には、ここにそれらの全体が参照により組み込まれているが、リードの端部に針が組み込まれた、新しい装置が記載されている。一度内臓に挿入された電極は、部分的に対向する尖叉(tine)で適所に固定される。上述した装置及びその装置の取り付け方法では、一般に、組織を刺激するための一対の電極を採用している。
図1は、従来の刺激電極対及びそれに関連する電場勾配パターンを示す概略図である。図1に示すように、第1の電極1及び第2の電極2は、患者の組織3に埋め込まれる。この組織3に電気的刺激が与えられると、指向性双極子(directional dipole)でよく見られるように、パルス電場4が電極1及び2から外向きに、一般に電極軸の方向6に対して直交する方向5に伝播する。
米国特許第5423872号明細書 米国特許第5836994号明細書 国際出願第PCT/US98/1042号、1998年5月21日出願 米国特許出願第09/122832号、1998年7月27日出願 米国特許出願第09/466387、1999年12月17日出願 米国特許出願第09/466532号、1999年12月17日出願
ある特定の状況では、所望の組織応答及びエントレインメント(entrainment)を得るために、より広い領域の組織に電気パルスを与えることが必要となることがある。例えば、患者によっては、より広い領域の組織を刺激した方が有利であることもある。したがって、より広い領域にわたって、より均一に、又はより全方向的に組織を刺激する電極装置を提供することが必要とされている。さらに、刺激箇所、刺激方向、刺激時間及び刺激強度を時間変化させると有利であることもある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、刺激パターンを時間変化させることができる電気的刺激方法及び電気的刺激装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、腹腔鏡を用いるなど、電極をほぼ等間隔に離間させることを可能にしながら侵襲性(invasive)を最低限に抑えた形で電極を埋め込むことができる電気的刺激方法及び電気的刺激装置を提供することにある。
本発明のこのような目的は、電気的刺激装置と、この電気的刺激装置を内臓し、特に胃腸管の神経筋組織に取り付ける方法とを提供することによって達成される。この電気的刺激装置は、神経筋組織に電気的刺激パルスを供給するパルス発生器に電気的に接続された、少なくとも4つの狭間隔で配置した刺激電極を備えている。好ましい実施形態によれば、電極アセンブリは、第1の電極対を支持する第1の電極対取付部材と、第2の電極対を支持する第2の電極対取付部材とを備えている。各電極対取付部材は、電極取付部材と電極を組織中に固定する第1及び第2のアンカ部材を備えている。このようなアンカ部材は、組織に当接して組織に対する相対的な移動を防止する1組の弾性尖叉(resilient tine)にすることができる。
最も好ましい実施形態では、電極アセンブリは、貫入機構(penetrative mechanism)と、この貫入機構を電極取付部材に着脱可能に取り付ける切断可能な接続部材とをそれぞれ有する、平行に配列された一対の電極対取付部材を有している。第1の電極対取付部材は、第1の貫入機構で組織を穿刺して第1の位置に固定される。第2の電極対取付部材は、第2の貫入機構で組織を穿刺して第2の位置に、第1の電極対取付部材とほぼ平行な姿勢で固定される。
他の好ましい実施形態では、電極アセンブリは、直列に配列された2つの電極対取付部材を有している。1つの貫入機構が設けられ、第1及び第2の電極対取付部材のうちの一方に接続される。ブリッジ部が、第1の電極対取付部材と第2の電極対取付部材とを接続する。貫入機構により、第1の電極対取付部材は、第1の位置で組織に進入して組織を貫通し、第2の位置で組織から出ることができ、その後、第2の電極対取付部材が貫入機構によって案内されて組織に進入し、少なくとも一部が組織内にある状態で第1の位置で固定される。その後、第1の電極対取付部材が第3の位置で組織に進入し、第2の電極対取付部材とほぼ平行な姿勢で組織内に固定される。このように第1及び第2の電極対取付部材を平行に取り付けることにより、4つの電極を互いにほぼ等間隔にすることができる。
さらに他の好ましい実施形態では、電極取付部材を設けて、神経筋組織の表面に4つの電極を設ける。この電極取付部材は、その遠位表面で4つの電極を支持し、神経筋組織の表面に取り付けられて電極と神経筋組織との間の電気的インタフェースを形成するように構成されている。また、この電極取付部材は、可撓性材料で構成されたほぼ平坦な遠位表面を有することが好ましい。このように可撓性であることにより、遠位表面は、神経筋表面のどのような湾曲にもほぼ適応することができる。また、可撓性であることにより、電極取付部材を、丸めたり折りたたんだりすることによって小さくし、縮小形態にすることができる。また、電極取付部材は、縮小形態にしてある間に、侵襲性を最小限に抑えた腹腔鏡(laparoscopic)開口又はそれに類する外科的アクセス開口(surgical access opening)を通して患者の体内に挿入することができる。円筒形スリーブ部材又は環状バンドを電極取付部材の周囲に設けて、この電極取付部材の縮小形態を維持する助けとすることもできる。
本発明による好ましい取り付け方法は、4つの電極を支持する電極アセンブリを提供するステップを有している。次のステップでは、外科的アクセス開口を患者に形成し、電極アセンブリを腹腔鏡的に患者の体内に導入する。次のステップでは、電極アセンブリを神経筋組織に取り付けて、電極と組織の間の電気的インタフェースを構成する。
一度、電極アセンブリが設けられ、それにより4つの電極が組織に対して配向されると、新しい電気的刺激方法での組織の刺激を開始することができる。好ましい実施形態では、通常の発生器を設けて刺激パルスを発生させ、ファームウェアの制御下で切替えマトリクスを設けて連続的なペア方式の刺激シーケンスを制御する。
ペア方式の刺激シーケンスでは、複数のシーケンスの間での選択が可能である。第1の刺激技術は、対角に位置する電極対が同じ極性のパルスを印加し、隣接する電極は反対極性のパルスを印加する、4極子シーケンス(quadrapole sequence)とすることができる。第2の刺激技術は、刺激対が組織を順次刺激することができる対向する角にある電極からなる逐次2次双極子(sequential quadrature bipole)とすることができる。第3の刺激技術は、刺激対が組織を順次刺激することができる隣接する電極対からなる逐次2次双極子とすることができる。
好ましい実施形態では、パルスパラメータは、上述したシーケンスの1つに従って印加されるパルスのタイミング及び持続時間を有している。処置期間中にこれらのパラメータを変更するために、神経筋刺激装置は、処置期間にわたって刺激波形のパラメータを調整するためのリアルタイムクロック及びプログラマブルカレンダを有している。リアルタイムクロックは、処置期間中の時刻に対応するデータを供給するものである。プログラマブルカレンダは、刺激波形の形状に関するパラメータを記憶するものである。各パラメータは、直接又は間接的に時刻と関連付けることができる。制御回路などの回路は、処置期間中の適当な時刻にパラメータによって決められる刺激パルスを印加する。
リアルタイムクロック及びプログラマブルカレンダにより、より長い期間にわたって刺激波形を変化させることができる。例えば、リアルタイムクロックは、当該期間中のある1週間に対応するデータを供給することができる。したがって、処置期間中の各週ごとに異なる波形を印加するように波形をプログラムすることができる。また、リアルタイムクロックは、処置期間中の曜日に対応するデータを供給することもできる。あるいは、リアルタイムクロックは、処置期間中の月に対応するデータを供給し、処置の進行とともに月ごとに波形を変化させるようにすることもできる。さらに、リアルタイムクロックは、1カ月のうちの日付及び/又は1年のうちの日付に対応するデータを供給することもできる。
一対の細長い本体又はパッチ(patch)の形態で電極アセンブリを例示したが、本発明の特定の実施態様は、その他の形状を有する電極アセンブリ及びその他の取り付け方法、ならびに代替の4極刺激シーケンスにも等しく適用することができる。簡単に要約すれば、本発明は、患者の胃腸管内の少なくとも1つの器官に蠕動流路(peristaltic flow path)に沿って異なる位置で複数の電極を接続することによって、胃腸管などの器官構造の内臓の神経筋組織を電気的に刺激する電気的刺激装置及びその方法に関する。電気パルスは、複数の電極のうちの第1の電極セットから器官に与えられ、第2の電極パルスは、第2の電極セットから器官に与えられる。複数の電極によって与えられる電気パルスは、独立した整相されない関係にあり、人体が本来有する適応傾向を無効(defeat)にしながら、胃腸管内の少なくとも1つの器官の蠕動流の治療的調整を維持する。
本発明のさらなる特徴、その本質及び様々な利点は、添付の図面及び以下の好ましい実施形態の詳細な説明からより明らかになるであろう。
図2は、本発明の神経筋刺激装置を示す概略図である。神経筋刺激装置(neuromuscular stimulator)10は、埋込み型パルス発生器12と、リード系14と、電極アセンブリ、すなわち、インプラントデバイス16とを備えている。埋込み型パルス発生器12は、一連の電気パルスを与え、かつ/又は内臓の組織の電気的監視を行う。ここで言う内臓(viscera)とは、人間の胴のどの器官であってもよく、主なものとして腹部領域の器官が挙げられる。本発明は、例えば、肝臓や膵臓、胃腸管などの人体器官(図示せず)に適用することができる。適当なパルス発生器が、特許文献1及び特許文献5に記載され、その両方がここに参照によりその全体が組み込まれている。埋込み型パルス発生器12は、腹壁皮下に外科手術によって埋め込むことができる。電気刺激リード14は、埋込み型パルス発生器12に接続する近位コネクタ端部18と、医用リード本体部分20と、電極アセンブリ16と電気的に接続する遠位端部22とを備えている。
好ましい実施形態によれば、電極アセンブリ、すなわち、インプラントデバイス16は二又構造を有し、ほぼ同一の電極対取付部材24a及び24bなど、一対の細長い本体部分を備えている。電極取付部材24aは、一対の電極A26及びB26を支持し、電極取付部材24bは、一対の電極C30及びD32を支持している。
電極A26及びB28は、約0.5cmから約2cmの距離34だけ離間している。同様に、電極C30及びD32も、約0.5cmから約2cmの距離36だけ離間している。好ましい実施形態では、距離34と距離36は等しい。電極アセンブリ16は二又構造を有することができ、この二又構造は、埋め込み後に対向する電極対取付部材24a及び24bのそれぞれの電極の間に生じる間隔55及び57が間隔34及び36とほぼ等しくなり、それにより4つの電極が矩形対称になるように寸法を取ってある(図5参照)。この二又構造は、パルス発生器12及びリード14に電気的に接続された第1の端部23と、電極対取付部材24a及び24bにそれぞれ接続することができる一対の第2の端部27a及び27bとを有するブリッジ部25によって得られることが好ましい。図2は、必ずしも一定の比率で描いてあるわけではなく、第2の端部27a及び27bは、医師が一人で電極対取付部材24a及び24bを組織内に取り付けできるだけの十分な長さに寸法を取ってあることが好ましい。
電極対取付部材24a及び24bはそれぞれ、電極A26、B28、C30及びD32を埋め込もうとする組織に貫入する貫入機構38a及び38bを備えている。この貫入機構38a及び38bは、非切削湾曲部分40a、40bと、非切削直線部分41a、41bと、遠位切削端部42a、42bとをそれぞれ有している。また、貫入機構38a及び38bは、それぞれ、接続又は「クイックリリース(quick−release)」機構44a及び44bによって電極対取付部材24a及び24bに接続されている。接続要素44a及び44bと、細長い本体部分24a及び24bとは、シリコーン材料、例えば、外科用シリコーンやそれと同様の応力特性を有するその他の生体親和性材料などで構成されることが好ましい。接続要素44a及び44bは、貫入機構38a及び38bが細長い本体部分24a及び24bに対して相対的に動くことができるように、可撓性を有するように製造されている。接続要素44a及び44bの長さは、細長い本体部分24a及び24b内に配置された導電性構成要素を破損させることなく曲げたり撓めたりすることができるように調整されている。この接続要素44a及び44bは、放射線不透過性であることが好ましく、埋込み処理中に医師が切断して、貫入機構38a及び38bを電極対取付部材24a及び24bから分離することができる。以下にさらに詳細に説明するように、接続部材44a及び44bを切断する好ましい手段として、内視鏡的に導入したメス又は鋏を使用することができる。
電極A26及びB28ならびに電極C30及びD32は、固定部材46などの固定機構によって患者の組織に対して固定することができる。固定部材46は、例えば、シリコーンなどの生体親和性材料で作製することが好ましく、第1の尖叉48a/48b及び第2の尖叉50a/50bからなっている。一般に、第1の尖叉48a/48bと第2の尖叉50a/50bとで少なくとも2つの尖叉からなる1組の尖叉を構成するが、尖叉の各組は3個から5個の尖叉で構成されることが好ましい。好ましい実施形態では、第1の尖叉48a/48bを先行尖叉とすることができる。すなわち、第1の尖叉48a/48bが可撓性であり、進行方向52に対して鈍角αをなすことが好ましい。この構成は、電極対取付部材24a及び24bを、逆方向に移動しないようにして方向52に通すのに役立っている。好ましくは、第1の尖叉48a/48bは、約1mmの直径及び約3mmの長さを有し、組織に入り(例えば、「入口」位置で)、刺激対象組織の全厚を貫通し、反対側から(例えば、組織の「出口」位置で)出ることができる。組織を貫通すると、第1の尖叉48a/48bは、組織の出口位置と接触し、電極対取付部材24a及び24bが方向52の逆方向に移動することを防止することができる。
第2の尖叉50a/50bは、方向52に対して鋭角βをなすことができる。動作に際しては、第2の尖叉50a/50bは、刺激対象組織の全厚は貫通せず、組織の入口位置と接触し、それにより電極位置決め部材が方向52に移動することを防止する。この構成は、以下でさらに詳細に説明するように、第1の尖叉48a/48bと第2の尖叉50a/50bの間に組織を固定又は保持することによって取り付け後の移動を防止するために、電極対取付部材24a及び24bを埋込み組織内に固定するのに有効である。第1の尖叉48a/48bと第2の尖叉50a/50bの間の距離は、医師が必要と考える距離に変化させることができ、所望の電極間距離34及び36及び刺激対象組織の全厚によって決まることもある。好ましくは、貫入機構38a及び38bの直線部分41a及び41bは、少なくとも第1の尖叉48a/48bと第2の尖叉50a/50bの間の距離と等しい長さを有することができる。
電極A26、B28及び電極C30及びD32の基礎材料は、例えば、ステンレス鋼や白金、白金/イリジウム合金、酸化イリジウム、チタンなど、電極に通常用いられるどのような材料でもよい。電極A26、B28及び電極C30、D32は、被覆のない状態でもよいし、酸化イリジウムや窒化チタンなどの材料で被覆してもよい。あるいは、これらの電極は、白金めっき又は炭化することもできる。また、電極A26、B28及び電極C30、D32は、異なる導体52/54/56/58にそれぞれ電気的に接続され、これらの導体は、その近位端でパルス発生器12に電気的に接続される。必要なら、これらの非共通導体52/54/56/58を電気絶縁材料で包囲して、互いに絶縁する、又は生理学的環境から絶縁することもできる。リード本体20は、シリコーンエラストマなどの電気絶縁材料内で絶縁された複数の導電性コイル(図示せず)を備えている。リード本体20では、同軸導体設計を利用することも、並列導体設計を利用することもできる。リード本体20の導電性コイルは、リード本体20の複数の近位末端を、それぞれ対応する1つ又は複数の遠位電極A26、B28及び電極C30、D32に電気的に接続することができる。
<好ましい実施形態の取り付け>
上述した電極及び電極アセンブリの構成は、本発明による、簡単で侵襲性を最小限に抑えた取り付け手順に対応している。本発明の初期の段階で、胃腸組織のおおよその位置を医師が突き止める。次に、患者の手術部位の上の皮膚の表面を切開する。好ましい実施形態によれば、この切開(incision)を行い、トロカール(trocar)を設けるために栓子(obturator)デバイスを使用することができる。吹送(insufflation)プロセスを使用することもできる。吹送プロセスでは、圧力をかけて二酸化炭素などの不活性ガスを導入して、体腔を拡張し、体腔内を見易くかつ処置しやすくする。吹送圧力を維持しながら手術機器の使用を可能にする一連のトロカールを、患者の皮膚を通して取り付けすることができる。トロカールの1つを通して腹腔鏡又はそれと同様の遠隔視装置を挿入し、この例における胃組織などの組織に電極アセンブリを取り付けるプロセスを視認できるようにすることができる。
電極アセンブリ16は、縮小した状態でトロカールに通すことが好ましい。ブリッジ部25は可撓性であることが好ましく、可撓性であれば、縮小した状態の電極アセンブリ16を配置するプロセスが容易になる。例えば、電極取付部材24a及び24bは、互いに近接して配置することができる。電極アセンブリ16は、トロカールに通されるスリーブ内に収容することができる。電極アセンブリ16をトロカール又はその他のアクセス開口に通す場合には、このスリーブを省略することもできる。
トロカールに通した後で、機械的手段によって電極アセンブリ16をスリーブから抜くことができる。例えば、把持器具などの機械的把持装置を使用して把持ジョーで電極アセンブリ16を保持し、この電極アセンブリ16をスリーブの端部から取り除くことができる。他の実施形態では、鈍器やプランジャ、鈍切開装置(blunt dissection device)、バルーンカテーテル(balloon catheter)装置などの装置を前進させることによって電極アセンブリ16をスリーブから押し出すことができる。
その後、電極アセンブリ16を組織に取り付ける。この取り付けは、いくつかの方法で行うことができる。
図3は、本発明による神経筋刺激装置の取り付けにおける第1段階を示す図で、図2に示した神経筋刺激装置の一部分の断面図である。
まず、貫入機構38aを組織Sに通す。具体的には、胃刺激装置の場合には、遠位切削端部42aを外側胃壁の入口位置Vで組織Sに穿刺し、矢印で示すように前進させる。上述のように、第1の尖叉48aは、図3に示すように組織に通しやすくなるような角度になっている。穿刺48aは弾性であることが好ましく、挿入中に撓んで電極取付部材24aと平行になることができる。医師が内視鏡鉗子などの鉗子を使用して、電極取付部材24aを組織中に前進させることができることが好ましい。図3に示すように、切削端部42aは、表面Nから出しやすくなるような角度で入口位置Vにおいて組織Sに進入することが好ましい。これについては以下でさらに詳細に説明する。
図4aは、本発明による神経筋刺激装置の取り付けにおける後続の段階を示す図で、図2に示した神経筋刺激装置及び付加的な装置の正面図で、図4bは、本発明による神経筋刺激装置の取り付けにおける後続の段階を示す図で、図4aに示した神経筋刺激装置の断面図である。
図4a及び図4bに示すように、接続部材44a第1の尖叉48aが組織Sを貫通し、その後、組織Sの出口位置Uにおいて外側表面Nから突出するように、電極取付部材24aを前進させる。
電極取付部材24aを位置Vで組織Sに進入させ、その後、同じ表面Nの位置Uで組織Sから出すために、この電極取付部材24aを十分に可撓性にすることができる。第1の尖叉48aは、図2に示すように撓んでいない位置に向かって弾性的に移動し、電極取付部材24aの組織Sから出ようとする動きを妨げることができる。第2の尖叉50aは、組織Sの入口位置Vに当接し、電極取付部材24aがそれ以上組織Sの中に進入するのを妨げるように、第1の尖叉48aから軸方向に離間させることができる。この位置で、組織Sは2組の尖叉48aと第2の尖叉50aの間に位置する。さらに、電極取付部材24aは、第1の尖叉48a及び第2の尖叉50aによって効果的に適所に固定される。このようにして、電極A26及びB28は組織S内に位置決めされる。
貫入機構38aは、接続部材44aを切断することにより、電極取付部材24aから切り離すことができる。内視鏡鋏54などの切断器具を使用して、接続部材44aを切断することができることが好ましい。この接続部材44aを切断する間、及び接続部材44aを手術部位から除去する間、内視鏡把持器具56などの把持機構を使用して貫入機構38を保持することができる。
図5は、本発明による患者に取り付けした図2に示した神経筋刺激装置を示す簡略正面図である。図5を参照すると、電極取付部材24bは、組織S内に設けた状態で示してある。ブリッジ部25の第2の端部27a及び27bは、医師が電極取付部材24bを操作して、貫入機構38bを用いて組織S内に取り付けできるようにするだけの十分な長さを有する。電極取付部材24bは、電極取付部材24aに関連して、図3及び図4に示したように、取り付けされている。第1の尖叉48bは、組織Sの出口位置Yに近接するように位置決めされ、第2の尖叉50bは、入口位置Zに近接するように位置決めされる。取り付け後は、電極取付部材24bは、電極取付部材24aとほぼ平行であり、電極A26、B28は、ほぼ等しい距離55、57(0.5cmから2.0cmなど)だけ電極C30、D32から離間している。これらの距離は、図2に示す距離34及び36とほぼ等しい。
図6は、本発明による神経筋刺激装置の構成要素を示す簡略概略図で、電極A26、B28及び電極C30、D32に刺激パルスを印加するパルス発生器12内の回路の好ましい実施形態を示す図である。この実施形態によれば、電極A26、B28及び電極C30、D32は、それぞれリード52/54/56/58に接続されている。発生器70など、当技術分野で周知の通常の発生器を設けて、これらの電極の電気パルス刺激を生成する。これらの刺激パルスは、以下でさらに詳細に説明するように、ファームウェアの制御下で所定のシーケンスで生成される。切替えマトリクス72は、発生器70から命令を受信し、適当な電極の組に適当な極性で刺激パルスを印加して組織を刺激する。
マトリクス72の個々のスイッチは常時開スイッチであり、タイミングシーケンスプロセッサの制御によって、刺激パルスが印加されている間に、発生器70の正又は負の出力端子に接続する、又は開状態を維持することができる。
図7aは、本発明の他の実施形態による図2に示した神経筋刺激装置の構成要素を示す概略図で、パルス発生器12内の回路の他の実施形態を示す図である。図6に関連して上述したように、電極A26、B28、C30及びD32は、それぞれリード52/54/56/58に接続される。4つの3極出力(開状態、正極性及び負極性に対応する)74/76/78/80は、線83上でタイミングシーケンスプロセッサ82のファームウェアの制御下で動作する。電圧源84は、電流制御又は電圧制御される。
図7bは、本発明の他の実施形態による図7aと同様の概略図で、パルス発生器12内の回路の他の実施形態を示す図である。電極A26及びD32はともに、第1の導電経路上でリード53に接続される。同様に、電極B28及びC30は、第2の導電経路上でリード57に接続される。したがって、独立した4つのスイッチから、タンデムに動作して4極子を実現する一対の2極スイッチ75a/75bへと、スイッチの数を減少させることができる。
<刺激技術及びプログラミング>
発生器70(図6)とタイミングシーケンスプロセッサ82(図7)とをプログラムして、組織に刺激パルスを与えることができる。パルスを変動させることにより、4つの電極A26、B28及び電極C30、D32によって個別に、また任意に組み合わせて、組織を刺激することが可能になる。胃の組織などの組織に印加する刺激を変化させることができることは、組織をエントレイン(entrain)するために重要である。心臓組織と区別されるこの組織の特徴は、胃の組織の場合、休まず刺激を与え続けると疲労する可能性があることである。したがって、刺激の方向及び強度を変化させることができるようにすることで、こうした疲労を防止又は軽減することができる。以下の刺激技術及び刺激シーケンスの説明では、別個に制御して組織を刺激することができる4つの電極があるものと想定する。4つの電極は、互いにほぼ等間隔に離間してほぼ正方形を構成し、各電極は4つの角のうちのいずれか1つに位置している(例えば、図5の電極A26、B28及び電極C30、D32参照)。以下の説明を簡単にするために、「隣接電極対」という用語は、この構成の隣り合う角に位置する電極どうしを示すものとする。例えば、電極A26とB28は隣接対であり、A26とC30もやはり隣接対である。「対角電極対」又は「対向電極対」という用語は、この構成の対向する角に位置し、隣接対の場合より長い距離だけ離間した電極どうしを示すものとする。例えば、電極A26とD32は対角電極対であり、電極B28とC30もやはり対角電極対である。
あるいは、電極のプログラミングを4極刺激構成にすることもできる。この場合には、電極A26及びD32が構成する第1の対角電極対が正電圧を有する一方で、それと同時に電極B28及びC30が構成する第2の対角電極対が負電圧を有することができる。同様に、電極A26及びD32が構成する第1の対角電極対が負電圧を有する一方で、それと同時に電極B28及びC30が構成する第2の対角電極対が正電圧を有することもできる。
あるいは、逐次2次双極子構成(sequential quadrature bipole configuration)にすることもできる。この方法では、2組のパルスセットを含むシーケンスを構成する。第1の対角電極対は、互いに対角に対向して位置する電極で構成され、例えば、電極A26及び電極D32が第1の対角電極対を構成し、電極B28及び電極C30が第2の対角電極対を構成する。このシーケンスの第1のパルスセットの間に、第1の対角電極対の間で電気刺激を印加する、すなわち、電極A26が正パルスを印加し、それと同時に電極D32が負パルスを印加する。このシーケンスの第2のパルスセットの間に、第2の対角電極対の間で電気刺激を印加する、すなわち、電極B28が正パルスを印加し、それと同時に電極C30が負パルスを印加する。通常は、処置期間中に、2組のパルスセットからなるこのシーケンスを数回繰り返すことができる。この逐次2次双極子シーケンスの変形形態として、シーケンス中に4組のパルスセットを備えることもできる。このシーケンス中の第1及び第2のパルスセットは上述したものと同じである。すなわち、第1のパルスセットを第1の対角電極対の間で印加する間、電極A26を正、電極D32を負とし、第2のパルスセットを第2の対角電極対の間で印加する間、電極B28を正、電極C30を負とする。このシーケンスの第3のパルスセットの間は、電極D32が今度は正となり、それと同時に電極A26が負となるように、第1の対角電極対の間で電気刺激を印加する。このシーケンスの第4のパルスセットの間は、電極C30が正となり、電極B28が負となるように、第2の対角電極対の間で電気刺激を印加する。処置期間中に、この4組のパルスセットからなるシーケンスは数回繰り返される。
パルス印加のさらに他の代替方法としては、逐次準2次双極子(sequential semi−quadrature bipole)がある。この方法は、4ステップのパルス印加で1つのシーケンスを構成するものである。第1のステップで、電極A26が正となり、それと同時に電極B28が負となるように第1の隣接電極対の間で電気刺激を印加する。第2のステップで、電極B28が正に切り替わり、それと同時に電極D32が負となるように、第2の隣接電極対の間で電気刺激を印加する。第3のステップの間に、電極D32が正に切り替わり、それと同時に電極C30が負となるように、第3の隣接電極対の間で電気刺激を印加する。第4のステップの間に、電極C30が正に切り替わり、電極A26が負となるように、第4の隣接電極対の間で電気刺激を印加する。処置の間、この一連の4つのステップを繰り返すことができる。代替の逐次準2次双極子シーケンスも、4つのステップを有している。第1のステップで、電極A26が正となり、それと同時に電極B28が負となるように、第1の隣接電極対の間で電気刺激を印加する。第2のステップでは、電極B28を負のまま保持し、それと同時に電極D32を正とする。第3のステップでは、電極D32を正のまま保持し、それと同時に電極C30を負とする。第4のステップでは、電極C30を負のまま保持し、電極A26を正とする。このシーケンスは、処置の間に繰り返される。
上述のシーケンス、すなわち、4極シーケンス、逐次2次双極子シーケンス、及び逐次準2次双極子シーケンスでは全て、組織中に4つの電極を配置すること、ならびにパルスの配置及び極性を変化させることができることを利用している。さらに、変化させることができるもう1つのパラメータはパルスタイミング方式であり、これは、組織にシーケンスを印加する持続時間に関するものである。ある1つのタイミング方式によれば、40Hz(25ミリ秒)の間隔を有するパルスを約2秒続くバーストとして印加する。第2のタイミング方式によれば、上述の40Hz間隔のパルス列よりパルスどうしが接近したパルス列を印加する。
第3のタイミング方式によれば、シーケンス中の各ステップを適用して指定持続時間だけ持続し、その間は刺激パルスを印加しない指定持続時間だけ間隔をあける。通常のタイミングシーケンスでは、2秒間のパルスを印加する期間と、3秒間のパルスを印加しない期間とを有することができる。例えば、逐次2次双極子シーケンスの場合には、2秒間のパルス期間の間、電極A26は正となり、電極D32は負となる。3秒間パルスの印加がなく、その後、次の2秒間のパルス期間の間、電極B28が正となり、電極C30が負となる。その後に再び3秒間のパルスが印加されない期間が続き、このシーケンスは繰り返される。
第4のタイミング方式では、かなりのフレキシビリティを見込んでおり、処置期間を通じてシーケンスタイプ及び特定のステップの持続時間を両方とも変化させることができる。タイミングの特徴とパルスパラメータを記憶するデータ構造とは、特許文献5に記載されている。
図8は、本発明による図2に示した神経筋刺激装置の構成要素を示す概略図で、発生器12のタイミングの特徴を示している。水晶92を使用して発振器94(プロセッサ96の内部構成要素であっても、別個の構成要素であってもよい)を制御することにより、リアルタイムクロックカウンタ98によって確度が得られる。通常は、32又は100キロヘルツの水晶時計を使用して、タイミングを取ることができる。刺激パルス幅は、通常は100から500マイクロ秒(100キロヘルツの時計では振動回数は10回から50回)であり、パルス間隔は25ミリ秒、又はクロック振動2500回にすることができる。「オン時間」、すなわち、パルスが印加されている期間は、この波形の場合には2秒(振動回数200000回)にすることができ、「オフ時間」、すなわち、パルスが印加されない期間は、3秒にすることができる。プロセッサ96内で時間を同期させると有用である。プログラマブルカレンダ100などのプログラマブル記憶装置は、上述したパルス列を規定するパラメータを記憶するようにプログラムすることができる。これらのパラメータは線97上に出力され、発生器70(図6)又はタイミングシーケンスプロセッサ82(図7a)又は制御回路が刺激パルスの波形を決定する際に使用される。これらのパラメータは、処置中の特定の時間に対応する。医学的に観察すると、食物摂取、消化及びその他の胃腸機能は日周期である、つまり、24時間の1日周期で機能していることが分かる。1日の間に、胃の機能の活動状態がその他の時間より低下する期間がある。したがって、プログラマブルカレンダ100は、1日のうち特定の時間には刺激を増大させ、その他の時間には刺激を減少させることができる。特に、このプログラミングのエネルギー節約によりデバイスの寿命を延ばすことができるので有利である。したがって、電極アセンブリ16は、1時間の内で患者が目覚めているわずかな時間の間に、刺激パルスを送ることができる。後述するカレンダ100がプログラマブルであることにより、より長期に及ぶ日周期変動を適用することが可能になり、これもまた患者にとって有利であり、バッテリ寿命も延ばすことができる。
複数のパルス列パラメータを、プログラマブルカレンダ100と連動したメモリに記憶することができる。
図9は、本発明による刺激パルスの波形のパラメータを記憶するデータ構造を示す図で、ある処置期間についてのサンプルデータ110を示している。このサンプルデータ110は、「day one」(第1日)112など、カレンダ情報114を含むことができる24時間に関するものとすることができる。パルス列は、サイクル116として記憶することができる。例えば、パルス列パラメータとしては、start time(開始時間)118、stop time(停止時間)120、pulse width(パルス幅)122、pulse interval(パルス間隔)124、印加パルス持続時間(「on」(オン)時間)126、又はパルスが印加されない時間(「off」(オフ)時間))128、及びpulse height(パルス電圧又はパルス高)130を含むことができる。各電極A26、B28、C30、D32の極性は、この間隔の間に、一定の極性として、又は極性の連続として指定することができる。図9に示すように、このサイクルの間は、電極A26を正極性132に、電極D32を負極性138に指定し、電極B28及びC30を非活動状態(データ点134及び136)にすることができる。プログラマブルカレンダ100は、クロック98から、時刻及び日付に関するデータを受信する。したがって、プログラマブルカレンダ100は、データ110から関連するパラメータを得て、これらをプロセッサ96に供給することができる。処置に関連する「日付」は、その処置の予想所要時間に応じて変わることがある。例えば、データフォーマット140(図10)では、データは曜日に対応することができる(例えば、「day one」(第1日)142から「day seven」(第7日)144まで)。第1日142から第7日144までの各データ構造は、データ110と同様である。プログラマブルカレンダ100は7日周期で動作することができ、連続ループ146で第7日の後に第1日にアクセスする。したがって、各曜日ごとに、特定の刺激パルス列パラメータシーケンスを与えることもできる。その結果として、パルス列は、毎週同じ曜日に同じように胃の組織を刺激するようにプログラムされる。
図11に示すように、データフォーマット150は、1年のうちの1日1日に番号をつける(すなわち、「day one」(第1日)152から「day 365」(第365日)154まで)、又は1カ月のうちの1日1日に番号をつける(例えば、図示はしないが「day one」(第1日)から「day 31」(第31日)まで)など、周期的な日付の連続における単純に番号をつけた1日を指すこともできる。この場合、カレンダ100は、矢印156で示すように最初のデータ点に戻ることになる。図12に示すように、データフォーマット160は階層的にすることができ、これにより、week(週)162及び/又は月(図示せず)など、処置期間内の中間期間を認識することができる。例えば、経過日数だけでなく、処置が「week two」(第2週)164又は「week three」(第3週)166に行われることも認識することができる。カレンダ100は、パルス発生器10が数週間にわたってオフになるようにプログラムすることもできる。この場合には、発生器は、1週間の間に1日オンにすることもできる。次の週には、発生器を1週間に2日間オンにすることもできる。所与の「on」日の各サイクルシーケンス(図9参照)を、その前の「on」日と違うものにすることもできる。
図13は、本発明による神経筋刺激装置が実現する刺激波形伝播を示す概略図で、電極A26、B28及び電極C30、D32を組織中に配置することによって与えられる刺激波の伝播を示す図である。組織刺激180は、各電極から概ね径方向外向きに、例えば、方向182、184、186及び188に伝播する。従来技術の実質的に1次元の伝播(図1参照)とは対照的に、本発明による電極は、より広い面積の組織に及ぶ刺激パルスを生成する。したがって、それにより刺激された筋肉組織のエントレインメントをより良好にすることができる。さらに、電極A315、B317及び電極C319、D321の連続刺激、例えば、上述の4極シーケンス、逐次2次双極子シーケンス又は逐次準2次双極子シーケンスを使用して、刺激の方向を変化させることもできる。例えば、方向182及び184に伝播させた後に、方向186及び188に伝播させることもできる。これは、刺激に対して好ましい方向に応答する組織を刺激するのに有用であることがある。
<他の実施形態>
図14は、本発明の他の実施形態による神経筋刺激装置を示す概略図で、神経筋刺激電極システムの他の実施形態を示している。神経筋刺激装置200は、図2に示した神経筋刺激装置10とほぼ同様であるが、その相違点を以下に説明する。神経筋刺激装置200は、埋込み型パルス発生器212、リード系214、及び電極アセンブリ216を備えている。電気刺激リード214は、埋込み型パルス発生器212に接続する近位コネクタ端部218と、医用リード本体部分220と電極アセンブリ216と電気的に接続するための遠位端部222とを備えている。
この他の実施形態によれば、電極アセンブリ216は、電極対取付部材24a及び24bを並列に有する電極アセンブリ16の二又構成(図2)を持たない。それとは異なり、電極アセンブリ216は、直列構成に配列された一対のほぼ同一の電極対取付部材224a及び224bを備えている。ブリッジ部225で、電極取付部材224aを電極取付部材224bに接続することができる。ブリッジ部225は、必ずしも正しい比率で描いてあるわけではなく、ブリッジ部225は、以下でさらに詳細に説明するように、医師が電極対取付部材224a及び224bを操作して取り付けすることができるだけの十分な長さを有する。さらに、電極アセンブリ216は、電極A226、B228及び電極C230、D232を埋め込もうとする組織に貫入する貫入機構238を1つ備えている。この貫入機構238は、湾曲部分240と遠位切削端部242とを備えている。貫入機構238は、接続部材44(図2)とほぼ同一の接続部材244によって電極取付部材224aに接続されている。
電極A226及びB228と電極C230及びD232とは、固定部材246によって患者の組織に対して固定することができる。固定部材246は、図2に示した固定部材46とほぼ同様であり、第1の尖叉248a/248b及び第2の尖叉250bからなることができる。好ましい実施形態では、第1の尖叉248a/248bを先行尖叉とすることができる。すなわち、尖叉248a/248bが、それぞれ進行方向252及び253に対して鈍角をなす。この構成は、逆方向への移動を防止しながら、電極取付部材224aを方向252に通し、電極取付部材224bを方向253に通すのに役立つ。
第2の尖叉250bは、方向253に対して鋭角をなすことができる。動作に際しては、第2の尖叉250bは、刺激対象組織の全厚は貫通せず、組織の入口位置と接触し、それにより電極位置決め部材が方向253に移動することを防止する。好ましい実施形態では、電極取付部材224aの第2の尖叉は省略することができる。以下でさらに詳細に説明するように、電極取付部材224aは、組織に2回貫入する。したがって、一般に上述のように組織の入口位置に残る第2の尖叉があると、電極取付部材224aを組織に貫通させる妨げとなる、あるいは裂傷その他の傷を組織につけてしまうこともある。したがって、電極取付部材224aの第2の尖叉は省略することができる。組織への固定をさらに行うことが望ましい場合には、アンカスリーブ251を設けることもできる。このアンカスリーブ251は、その小さい方の端部が電極取付部材224aに取り付けられた円錐台形部であることが好ましい。また、アンカスリーブ251は、電極取付部材224aから径方向外向きに延び、通常は進行方向252に対して鋭角をなす方向に向けることができる。このように向けておくと、アンカスリーブ251は、電極取付部材224aが方向252に移動するのを妨げる。アンカスリーブ251は、弾性的であることが好ましい。アンカスリーブ251は、電極取付部材が組織Sと接触する力が所定の力になると、これに応答して裏返って電極取付部材224aと平行になり、この電極取付部材224aが組織S内を方向252に相対的に移動できるようにし、その後、図14に示す位置に弾性的に戻ることができる。
導体52、54、56及び58に関連して上述したように、電極A226、B228及び電極C230、D232は、別個の導体252、254、256及び258にそれぞれ電気的に接続され、これらの導体はそれぞれ、その近位端でパルス発生器212に電気的に接続される。あるいは、これらの電極を2つの導体を介して発生器212に接続し、永久4極子を構成することもできる。
<他の実施形態の取り付け>
神経筋刺激装置200は、ほぼ図3乃至図5に関連して上述したように、簡単で侵襲性を最小限に抑えた取り付け手順で設けられる。本発明の初期の段階で、胃腸組織のおおよその位置を医師が突き止める。次に、患者の手術部位の上の皮膚の表面を切開する。吹送圧力を維持しながら手術機器の使用を可能にする一連のトロカールを、患者の皮膚を通して取り付けすることができる。電極アセンブリ216は、トロカール内に通すスリーブ内に収容することができる。電極アセンブリ216をトロカール又はその他のアクセス開口に通すときには、このスリーブを省略できることも考えられる。トロカールに通した後で、機械的手段によってスリーブから電極アセンブリ216を抜くことができる。続いて、電極アセンブリ216を組織Sに取り付ける段階を行う。この取り付けは、いくつかの方法で行うことができる。
図15は、本発明による神経筋刺激装置の取り付けにおける1段階を示す図で、図14の神経筋刺激装置の一部分の断面図である。図15に示すように、貫入機構238は組織Sを貫通する。具体的には、遠位切削端部242が、外表面Nの入口位置Vにおいて組織Sを穿刺し、矢印で示すように前進する。上述のように、第1の尖叉248aは、図示のように組織Sに通しやすくなるような角度になっている。尖叉248aは弾性的であることが好ましく、挿入中に撓んで電極取付部材224aと平行になることができる。内視鏡鉗子などの鉗子を医師が使用して、電極取付部材224aを組織S中に前進させることができることが好ましい。
電極取付部材224aが組織S内をさらに前進すると、アンカスリーブ251が入口位置Vで組織Sに当接する。(アンカスリーブ251の最初の形状は破線で示してある)。医師がさらに大きな接触力を印加してアンカスリーブ251を組織S中にさらに前進させると、一対の湾曲矢印で示すように、アンカスリーブ251は弾性的に裏返って後方に向いた形状となり、電極取付部材224aと平行になる(この後方に向いた形状を図15に実線で示す)。
この後ろ向き形状になっている間に、電極取付部材224aを組織S中で前進させ、電極取付部材224aを出口位置Uで組織Sの表面Nから出すことができる。さらに前進させると、ブリッジ部225を出口位置Uで組織Sから出すことができる。
図16aは、本発明による、患者に取り付けされた図14に示した神経筋刺激装置を示す正面図で、図16bは、図16aに示した神経筋刺激装置の簡略断面図である。
第1の尖叉248bは、図16a及び図16bに示すように、電極C230及びD232が組織S内に位置決めされるまで組織Sに通す。貫入機構238を、切削端部242が表面Nの入口位置Yで組織Sを穿刺することができるように位置決めする。電極取付部材224aを前進させることにより、電極A226及びB228が組織S内に位置決めされ、貫入機構238及び第1の尖叉248aが出口位置Zで組織Sを貫通するまで、第1の尖叉248aを組織Sに通すことができる。アンカスリーブ251が前方に向いた形状に戻り、第1の尖叉248aとアンカスリーブ251の間の電極取付部材224aを固定する。図4に関連して上述したように、接続部材244を切断することにより、貫入機構238を電極アセンブリ216から取り除くこともできる。
<第2の実施形態>
図17は、本発明による好ましい第2の実施形態を示す斜視図で、神経筋刺激装置の他の実施形態を示す図である。神経筋刺激装置300及びその取り付け方法は、特許文献6に記載されている。この神経筋刺激装置300は、埋込み型パルス発生器312と、リード系314と、電極アセンブリ316とを備えている。埋込み型パルス発生器312は、内臓の神経筋組織に一連の電気パルスを与える。電気刺激リード314は、埋込み型パルス発生器312に接続する近位コネクタ端部318と、医用リード本体部分320と、電極アセンブリ316に電気的に接続するための遠位端部322とを備えている。
4つの電極、すなわち、「電極A」315、「電極B」317、「電極C」319及び「電極D」321が、胃の組織又はその他の内臓の表面と接触した状態で取り付けされる。好ましい実施形態では、電極A315、B317、C319、D321は、縫合糸又はステープルで胃に取り付けることができる電極取付部材324によって支持される。以下でさらに詳細に説明するように、電極A315、B317、C319及びD321、ならびに電極取付部材又はパッチ324は、トロカール又はその他の侵襲性を最小限に抑えた外科的アクセス開口を通して、トロカールの直径を上限としてこれを通り抜けるように腹腔鏡的に体腔に挿入することができ、パッチ324は、トロカールを通る間、折り曲げておくことができるように、可撓性材料で構成することが好ましい。
図18は、図17の方向18から見た、本発明による神経筋刺激装置の構成要素の正面図で、図19は、図17の線19−19に沿った、本発明による神経筋刺激装置の構成要素を示す断面図である。
図18及び図19に示すように、刺激電極A315、B317、C319及びD321、ならびにパッチ324などの電極取付部材は、リード314の遠位端部322に近接している。刺激電極は、金属その他の導電性材料で構成することができ、パッチ324に取り付ける、又はパッチ324内に一部埋め込むことができる。これらの電極は、刺激している組織の表面に取り付けることができるパッチ324の遠位表面326で露出している。
パッチ324は、ほぼ平坦な遠位表面326を備えるが、これは一般に、全体的に見てパッチ324の厚さ328又は奥行きより幅の方が大きい表面形状を指す。好ましい実施形態では、パッチ324は、直径が、例えば、約1cmから3cm、例えば、厚さが約3mmから5mmの厚さである。遠位表面326は、例えば、ほぼ平面であっても、湾曲していてもよい(例えば、凸状、凹状又は別の適当な湾曲など)。あるいは、遠位表面326は、それを取り付けようとする組織の表面に沿うように可撓性にすることなどもできる。電極A315、B317、C319、D321は、パッチ324によって支持され、電極A315、B317、C319、D321と刺激している組織の表面との間の電気的インタフェースが得られるように、遠位表面326に近接して位置決めされる。この電極と刺激している組織との間のインタフェース、例えば、そのインタフェースの表面積は、低インピーダンス刺激の利用を見込むのに十分である。各電極は、この表面積を得るのに適した形状にすることができる。
パッチ324は、例えば、シリコーンエラストマ又はそれに類する材料など、可撓性材料で構成することができる。電極の基礎材料としては、例えば、白金、白金/イリジウム合金、チタンなどが挙げられる。電極A315、B317、C319及びD321は、被覆のない状態でもよいし、酸化イリジウムや窒化チタンなどの材料で被覆してもよい。あるいは、これらの電極は、白金めっき又は炭化することもできる。好ましい実施形態では、パッチはほぼ円形の形状を有する。パッチ324は、例えば、楕円形、正方形、長方形など任意の適当な形状で作製することができる。電極315/317/319/321は、遠位表面326のまわりで、この遠位表面326の中心からほぼ等間隔に分布させることができる。例えば、複数の刺激ベクトルを得るために電極配列を使用している場合には、刺激パルスを整相し、それにより収縮を整相するために、電極を中心から外して配置することが好ましいことがある。電極A315、B317、C319、D321を支持するパッチ324を配置することにより、医師にとっては、電極の互いに対するどうしの配向、すなわち、等距離の配向が取り付け前に固定されるという利点が得られる。したがって、医師は、個々の電極を取り付けする作業を行わずに済み、これにより電極の取り付けに要する時間が短縮される。
次に、図19を参照すると、埋込み型電気刺激リード314は、複数の別個の導体330を備え、これらの導体330はそれぞれその遠位端部で、対応する1つ又は複数の電極A315、B317、C319、D321に電気的に接続される、他の方法として、2つの導体をリード中に設けることもできる。この構成は、例えば、図7bに示すように、4つの電極を接続して永久4極子を構成する際に用いることができる。必要に応じて、これらの導体を電気絶縁材料332で包囲して、非共通導体を互いに絶縁し、導体330を生理学的環境から絶縁することができる。好ましい実施形態では、部分322は、屈曲部分323を備えることができ、リードを最初は電極取付部材324の遠位表面326に対して垂直に配向し、その後表面326とほぼ平行に配向することができる。この構成により、上述のように、腹腔鏡的取り付けが容易になる。リード本体320は、シリコーンエラストマなどの電気絶縁材領内で絶縁された複数の導電性コイル(図示せず)を含むことができる。リード本体320では、同軸導体設計を利用することも、並列導体設計を利用することもできる。リード本体320の導電性コイルは、リードの近位末端を、それぞれ対応する1つ又は複数の遠位電極316に電気的に接続するものとする。
次に、図18を参照すると、パッチ324は、刺激している組織の表面に取り付けることができるように構成されている。好ましい実施形態では、パッチ324の材料は、組織への取り付けを可能にするために縫合糸又はステープルをその中に直接通すことができるように選択される。あるいは、縫合糸又はステープルをその中に通すことができるように、パッチ324が事前に成形された開口又は孔(図示せず)を複数備えることも考えられる。
この好ましい実施形態によれば、パッチ324は可撓性である。このパッチ324が可撓性であることにより、パッチ324を巻く、又は折りたたむことによって縮小した形状にすることができる。縮小した形状にすれば、パッチ324を導入スリーブなどのパッチ保持器に挿入することができる。
<第2の実施形態の取り付け>
上述した電極及び電極取付部材の構成は、本発明による単純で侵襲性を最小限に抑えた取り付け手順に対応している。本発明の初期の段階で、胃腸組織のおおよその位置を医師が突き止める。患者の手術部位の上の皮膚の表面を切開する。好ましい実施形態によれば、この切開を行い、トロカールを取り付けするために栓子デバイスを使用することができる。吹送プロセスを使用することもでき、吹送プロセスでは、圧力をかけて二酸化炭素などの不活性ガスを導入して、体腔を拡張し、体腔内を見易くかつ処置しやすくする。吹送圧力を維持しながら手術機器の使用を可能にする一連のトロカールを、患者の皮膚を通して取り付けすることができる。トロカールの1つを通して腹腔鏡又はそれと同様の遠隔視装置を挿入し、この例における胃組織などの組織Sの表面に電極取付部材を取り付けるプロセスを視認できるようにすることができる。
電極取付部材、例えば、パッチ324は、縮小した形状で導入スリーブ内に設けることができる。電極が細長い電極取付部材224上に位置決めされる場合には、パッチ324を幅1cm以下に抑えることもできる。スリーブ内の遠位パッチ324をトロカールに通す。このパッチ324をトロカール又はその他のアクセス開口に通す場合には、スリーブを省略することも考えられる。
トロカールに通した後で、機械的手段によってパッチ324をスリーブから抜くことができる。例えば、把持器具などの機械的把持装置を使用して把持ジョーでパッチ324を保持し、このパッチ324をスリーブの端部から取り除くことができる。
図20は、本発明による図17に示した神経筋刺激装置を取り付けするプロセスの1段階を示す概略図である。パッチ324は、図20に示すように、縮小されていない、開いた形状に戻る。把持器具670を使用して、パッチ324を、胃の内臓Sの表面に近接して位置決めすることができる。具体的には、電極A315、B317、C319、D321の露出部分が内蔵Sの表面付近に位置して、電極と胃腸組織の表面との間の電気的インタフェースが得られるように、パッチ324の遠位表面326を組織Sに近接して配置する。このインタフェースは、低インピーダンス刺激を見込むのに十分である。通常のインピーダンスは、約300オームから800オームの範囲であり、刺激電圧は2.5ボルトから5.0ボルト、刺激電流は約4ミリアンペアから6ミリアンペアの範囲である。電圧及び電流は、刺激パルスの幅及び周波数によって決まる。
内臓Sへのパッチ324の取り付けは、いくつかの方法で行うことができる。図20に示すように、内視鏡的ステープラ/縫合糸適用装置(endoscopic stapler/suture applying apparatus)680などのステープリング装置を使用することができる。このステープラ680は、当技術分野で既知であるが、トロカール又はその他の侵襲性を最小限に抑えた外科的アクセス開口に挿入できるようなサイズ及び形状にし、かつ医師が遠隔作動できるようにすることができる。ステープラ680は、少なくとも1つ又は複数のステープル又は縫合糸682を適用して、パッチ324を内臓Sに取り付ける。
図21は、本発明による取り付けされた神経筋刺激装置を示す断面図で、取り付けされたパッチ324を示している。遠位表面326はほぼ平坦な形状として示してある。しかし、パッチ324は可撓性にすることができるので、遠位表面326が内臓Sの表面に合わせて湾曲することもある。
図22は、本発明による神経筋刺激装置の他の実施形態を示す図で、図21と同様の図である。電極アセンブリ416は、図17乃至図20に関連して上述した電極取付部材316とほぼ同じであるので、以下に、その相違点について説明する。特に、電極アセンブリ416は、らせん状取付部材450を備えている。らせん状取付部材450は、電極アセンブリ416を組織に対して回転させることによって、容易に組織に取り付けることができる。この実施形態によれば、神経筋刺激装置300で屈曲部分323と呼んだ屈曲部分をリード414から省略して、電極アセンブリ416の回転取り付けを容易にすることができる。あるいは、らせん状取付部材450を使用して回転によって直接組織Sを穿刺し、らせん状取付部材450の同心リングが、電極アセンブリ416が組織Sから外れないようにするだけの十分な固定をもたらすようにすることもできる。
<適応を無効にする他の実施形態>
図23は、本発明による、適応を無効にする他の実施形態による神経筋刺激装置を示す図である。図23を参照すると、神経筋刺激装置の他の実施形態では、上述のリアルタイムクロック/カレンダ機能を利用して、人体が本来有する適応傾向を無効(defeat)にするのに役立てている。電気的刺激を与えると、最初は非常に良好な結果を生じることができるが、時間経過とともに人体が「適応」し、治療効果が得られなくなる。電気刺激パラメータを定期的に変更すると、人体への刺激入力が常に変化し、その結果、人体は適応することができなくなる。したがって、埋込み型刺激装置が自動的にこの変更を行うことができ、その結果患者が医師のもとを訪れる必要がなくなれば望ましい。定期的にパラメータ変更を行う患者用プログラマを患者に持たせることもできるが、患者の入力の記録が残らない可能性がある、指示がきちんと守られない(患者が変更をプログラムしない)可能性がある、あるいは患者が治療効果のないパラメータを入力する可能性があるなどの理由で、これはあまり望ましくない。したがって、上述のカレンダ機能及び時間クロック機能により、定期的に刺激パラメータの自動変更を行うシステム及び方法を可能にする。適応を無効にする自動選択可能アルゴリズムの更なる改善として、デバイス及び方法は、2組以上の電極セットを、胃腸管など器官構造の内臓の神経筋組織の異なる位置に取り付けることができる場合も考慮に入れるものとする。
例えば、1カ月の間、複数の電極セットのうち1つをオンにして、1つをオフにし、その後、次の1カ月の間はこれを切り替えて行い、その次の1カ月の間は両方同時にオンにすることもできる。電極間又は電極セット間でのオンオフの切替えは、時間クロックによってトリガすることができる。さらに、リアルタイムクロックによってオンモード及びオフモードのトリガが可能であるので、時間クロックは、パラメータ変更のトリガを行うこともできる。変更することができるパラメータは、パルス幅、振幅、デューティサイクル(duty cycle)(パルスの時間及びパルス間又は連続パルス間の時間の量)、周波数、極性、単極又は双極の選択、及び電極のオン・オフである。
図23に示したIGS刺激装置400は、図2に示した神経筋刺激装置10とほぼ同じであるが、その相違点について以下に説明する。このIGS刺激装置400は、埋込み型パルス発生器412と、リード系414と、電極アセンブリ416とを備えている。電気刺激リード414は、埋込み型パルス発生器412に接続する近位コネクタ端418と、医用リード本体部分420と、電極アセンブリ416と電気的に接続される遠位端部422とを備えている。
この他の実施形態によれば、電極アセンブリ416は、胃腸管などの器官構造の内臓の神経筋組織に沿った様々な異なる位置に位置決めされた、直列に配列された、複数又は多数のほぼ同一の電極取付部材424a、424b、424c及び424dの対を含んでいる。ブリッジ部425は、電極取付部材424aを電極取付部材424bに接続することができる。電極アセンブリ416は、電極A426、B427、C428、D429、E430、F431、G432、H433を埋め込もうとする組織に貫入するための単一の貫入機構438を備えている。この貫入機構438は、接続部材444によって電極取付部材424aに接続されている。
貫入機構438は、湾曲部分440と遠位切削端部442とを備えている。電極A426及びB427、C428及びD429、E430及びF431、ならびにG432及びH433は、固定部材446によって患者の組織に対して固定することができる。固定部材446は、この固定部材46とほぼ同様であり、第1の尖叉448a/448b/448c/448d、及び第2の尖叉450a/450bからなることができる。第1の尖叉448a/448b/448c/448dは先行尖叉とすることができる。すなわち、第1の尖叉448a/448b/448c/448dは、それぞれの進行方向452及び453に対して鈍角をなす。この構成は、逆方向への移動を防止しながら、電極取付部材424a/424b/424c/424dを方向452及び453に通すのに役立つ。第2の尖叉450bは、方向453に対して鋭角をなすことができる。動作に際しては、第2の尖叉450bは、刺激対象組織の全厚は貫通せず、組織の入口位置と接触することができ、それにより電極取付部材が方向453に移動することを防止することができる。組織に対してさらに固定することが望ましい場合には、アンカスリーブ451を設けることもできる。
電極426〜433は、異なる位置で接続し、人間の胃の湾曲に沿って位置することができるように、十分な長さにわたって分離される。したがって、電極426〜433は、胃や結腸(colon)、腸の全部(intestines)、腸の一部(bowels)など、蠕動による物質の流れを必要とする様々な器官に埋め込むことができ、そこからペースメーカで様々な器官に埋め込まれた様々な電極を制御することができる。この企図した構成では、複数又は多数の電極を同一器官又は異なる器官の多数の位置に位置決めして使用することにより、本明細書で述べる性能の向上を促す。様々な電気刺激に対する様々な患者の応答を調整することができる。また、胃腸管内のある器官の、それとは別の器官の様々な領域における様々な電気刺激に対する応答を監視して、適当なプログラムアルゴリズムをソフトウェアで実施してペースメーカとともに使用し、独立非整相動作モードで刺激を与えて、人体が本来持つ適応傾向を無効にしながら治療的調整を維持することもできる。
水晶制御発振器(情報プロセッサ(CPU44)の内部構成要素であっても別個の構成要素であってもよい)を使用することにより、リアルタイムクロックカウンタ46によって確度が得られる。通常は、32から100キロヘルツの水晶時計を使用して、タイミングを取ることができる。刺激パルス幅は、通常は100から500マイクロ秒(100キロヘルツクロックの場合は10から50回の振動)であり、パルス間隔は、例えば25ミリ秒、すなわち、2500回のクロック振動にすることができる。プロセッサ内で同期を行うと有用である。パルス発生アルゴリズムを変化させることにより、8個の電極、例えば、電極A426、B427、C428、D429、E430、F431、G432、H433で個別に組織を刺激することも、これらを任意に組み合わせて組織を刺激することもできる。胃などの組織に印加する刺激を変化させることができることは、組織をエントレインするために重要である。本明細書で述べる胃の組織の特徴は、人体が本来持つ適応傾向により、変化のない一定の刺激に対して、この神経筋組織が適応できることである。したがって、刺激の位置、方向及び強度を変化させることができるようにすることで、適応を防止することができる。したがって、波形をプログラムして、処置期間中の各週に印加する刺激の波形及び/又は位置を変えることができる。また、リアルタイムクロックは、処置期間中の曜日に対応するデータを供給することもできる。あるいは、リアルタイムクロックは、処置の進行とともに波形を月ごとに変化させることができるように、処置期間中の月に対応するデータを供給することもできる。さらに、リアルタイムクロックは、1カ月の中での日付及び/又は1年の中での日付に対応するデータを供給することもできる。
電極切替え回路及びソフトウェアアルゴリズムにより、各電極の機能及びその電極の極性を設定する。切替え回路は、マイクロプロセッサCPU44によって制御され、プログラマブルである。好ましい実施形態では、電極切替え回路により、一対の電極を感知に使用し、一対又は複数対の電極を刺激に使用することが可能となる。刺激と感知は同じ電極を使用してもよい。刺激期間中には、電極切替え回路は、刺激電極の極性を変化させて、パルス間又はパルス連続間で極性が交互に切り替わる多相パルスを発生させ、また様々な刺激ベクトルを発生させることができる。同様に、切替え回路は、様々な感知電極対で、胃の電気的活動を、様々な感知位置で、又は様々なベクトルに沿ってサンプリングできるようにすることができる。複雑な感知パターンを発生させて、低速の波の伝播の方向及び間隔を区別することができる。複雑な切替え方式及び様々なパルス発生アルゴリズムをメモリに記憶して、プログラムとして起動することができる。切替えソフトウェアは、各構成が少なくとも1つの双極対を確実に有して電気回路を完成させるように設計される。
メモリは、IGS刺激装置400の情報及びプログラムを記憶するために使用される。メモリは、固有の胃の活動(intrinsic gastric activity)に関する感知情報をマイクロプロセッサから受信し、この情報を分析して、選択した1つ又は複数のアルゴリズムに従ってこの活動が通常のものであるかどうかを判定し、その分析出力をマイクロプロセッサに提供して、選択した特定のプログラムに従って治療を開始させる。複数のプログラムをメモリに記憶して、IGS刺激装置400の活動化、応答及び性能の具体的な特徴を確立することができる。メモリは、デバイスの性能、胃の活動、及び施す治療を示す様々なパラメータを記憶するために使用することもできる。
上述した内容は、単に本発明の実施形態を説明したものであって、当業者ならば、本発明の技術的範囲及び要旨を逸脱することなく様々な修正を加えることができる。
従来の刺激電極対及びそれに関連する電場勾配パターンを示す概略図である。 本発明の神経筋刺激装置を示す図である。 本発明による神経筋刺激装置の取り付けにおける第1段階を示す図で、図2に示した神経筋刺激装置の一部分の断面図である。 本発明による神経筋刺激装置の取り付けにおける後続の段階を示す図で、図2に示した神経筋刺激装置及び付加的な装置の正面図である。 本発明による神経筋刺激装置の取り付けにおける後続の段階を示す図で、図4aに示した神経筋刺激装置の断面図である。 本発明による患者に取り付けした図2に示した神経筋刺激装置を示す正面図である。 本発明による神経筋刺激装置の構成要素を示す概略図である。 本発明の他の実施形態による図2に示した神経筋刺激装置の構成要素を示す概略図である。 本発明の他の実施形態による図7aと同様の概略図である。 本発明による図2に示した神経筋刺激装置の構成要素を示す概略図である。 本発明による刺激パルスの波形のパラメータを記憶するデータ構造を示す図である。 本発明による他のデータ構造を示す図である。 本発明によるさらに他のデータ構造を示す図である。 本発明によるさらに他のデータ構造を示す図である。 本発明による神経筋刺激装置が実現する刺激波形伝播を示す概略図である。 本発明の他の実施形態による神経筋刺激装置を示す概略図である。 本発明による神経筋刺激装置の取り付けにおける1段階を示す図で、図14の神経筋刺激装置の一部分の断面図である。 本発明による、患者に取り付けされた図14に示した神経筋刺激装置を示す正面図である。 図16aに示した神経筋刺激装置の断面図である。 本発明による好ましい第2の実施形態を示す斜視図で、神経筋刺激装置の他の実施形態を示す図である。 図17の方向18から見た、本発明による神経筋刺激装置の構成要素の正面図である。 図17の線19−19に沿った、本発明による神経筋刺激装置の構成要素を示す断面図である。 本発明による図17に示した神経筋刺激装置を取り付けするプロセスの1段階を示す概略図である。 本発明による取り付けされた神経筋刺激装置を示す断面図である。 本発明による神経筋刺激装置の他の実施形態を示す図である。 本発明による、適応を無効にする他の実施形態による神経筋刺激装置を示す図である。

Claims (31)

  1. 内臓内の神経筋組織に電気的刺激を与える電気的刺激方法であって、
    複数の電極対が前記神経筋組織上の実質的に異なる位置に位置決めされるように、前記複数の電極対を前記神経筋組織に取り付ける電極取付アセンブリを提供するステップと、
    前記電極取付アセンブリを、患者の外科的アクセス開口を通して腹腔鏡的に挿入するステップと、
    前記複数の電極対が離間するように前記電極取付アセンブリを前記神経筋組織に取り付けるステップであって、前記複数の電極対のそれぞれと前記神経筋組織との間に電気的インタフェースを形成するステップと、
    パルス発生器を有し、前記複数の電極対のうち選択可能な個々の電極対を用いて、時間変化的に前記神経筋組織を電気的に刺激するステップと
    を有することを特徴とする電気的刺激方法。
  2. 前記電極取付アセンブリを提供するステップが、前記神経筋組織に貫入するように構成された、第1の電極対を支持する第1の電極取付部材と、前記神経筋組織に貫入するように構成された、第1の距離だけ離間させて第2の電極対を支持する第2の電極取付部材と、前記第1及び第2の電極取付部材に取り付けられ、該第1及び第2の電極取付部材を胃腸管などの器官構造の内臓の神経筋組織上の異なる位置に相対的に位置決めすることができるように構成された可撓性ブリッジ部とを提供するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の電気的刺激方法。
  3. 前記電極取付アセンブリを提供するステップが、遠位表面上でほぼ等間隔に離間させて前記複数の電極対を支持する電極取付部材を提供するステップからなり、
    前記電極取付部材を前記神経筋組織に取り付けるステップが、前記電極取付部材の前記遠位表面を内臓の表面に取り付けることによって、第1、第2、第3及び第4の電極のそれぞれと前記神経筋組織との間の電気的インタフェースを形成するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の電気的刺激方法。
  4. 前記複数の電極対が、第1及び第2の対角配置電極対とからなり、
    前記神経筋組織を電気的に刺激するステップが、
    第1の期間の間、前記第1の対角配置電極対の両端間に電気的刺激を与えるステップと
    これとは別に、第2の期間の間、前記第2の対角配置電極対の両端間に電気的刺激を与えるステップと
    からなることを特徴とする請求項2に記載の電気的刺激方法。
  5. 前記第1の対角配置電極対を構成する各電極の極性が、第1の期間の間のそれぞれの電極の極性とは逆になるようにして、第3の期間の間に、前記第1の対角配置電極対の両端間に電気刺激を与えるステップと、
    これとは別に、前記第2の対角配置電極対を構成する各電極の極性が第2の期間の間のそれぞれの電極の極性とは逆になるようにして、第4の期間の間に、前記第2の対角配置電極対の両端間に電気刺激を与えるステップと
    からなることを特徴とする請求項4に記載の電気的刺激方法。
  6. 前記複数の電極対が、第1、第2、第3及び第4の隣接電極対を備え、前記神経筋組織を電気的に刺激するステップが、
    第1の期間の間に、前記第1の隣接電極対の両端間に電気刺激を与えるステップと、
    第2の期間の間に、前記第2の隣接電極対の両端間に電気刺激を与えるステップと、
    第3の期間の間に、前記第3の隣接電極対の両端間に電気刺激を与えるステップと、
    第4の期間の間に、前記第4の隣接電極対の両端間に電気刺激を与えるステップとからなり、前記第1、第2、第3及び第4の期間が、互いに独立した整相されない関係でトリガされることを特徴とする請求項2に記載の電気的刺激方法。
  7. 胃腸管などの器官構造の内臓の神経筋組織を、パルス発生器が供給する電気パルスを前記神経筋組織に与えることによって電気的に刺激する電気的刺激装置であって、
    前記パルス発生器に電気的に接続された第1及び第2の電極と、
    前記神経筋組織を穿刺するように構成され、前記第1及び第2の電極を第1の距離だけ離間させて支持する本体部分を有する第1の電極対取付部材と、
    前記パルス発生器に電気的に接続された第3及び第4の電極と、
    前記神経筋組織を穿刺するように構成され、前記第3及び第4の電極を第2の距離だけ離間させて支持する本体部分を有する第2の電極対取付部材と、
    前記第1及び第2の電極対取付部材に取り付けられ、かつ前記第1、第2、第3及び第4の電極をほぼ等間隔に離間させることができるように前記第1及び第2の電極対取付部材を前記神経筋組織中で相対的に位置決めすることができるように構成されたブリッジ部と、
    前記電極のうち選択可能な電極対を用いて、互いに独立した整相されない関係で時間変化的に、前記第1、第2、第3及び第4の電極に電気パルスを供給するように構成されたパルス発生器と
    を備えていることを特徴とする電気的刺激装置。
  8. 前記パルス発生器が、制御装置に応答して所定の極性の刺激パルスを選択可能な電極対に印加する切替えマトリクスを備えていることを特徴とする請求項7に記載の電気的刺激装置。
  9. 前記パルス発生器が、第1の極性を有する第1の対角配置電極対と、第2の極性を有する第2の対角配置電極対との間に、同時に電気的刺激を印加するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電気的刺激装置。
  10. 前記第1、第2、第3及び第4の電極が、第1及び第2の対角配置電極対を構成し、前記パルス発生器が、第1の期間の間には前記第1の対角配置電極対の両端間に電気的刺激を印加し、第2の期間の間には前記第2の対角配置電極対の両端間に電気的刺激を印加するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電気的刺激装置。
  11. 前記パルス発生器が、第3の期間の間には、前記第1の対角配置電極対を構成する各電極の極性が第1の期間の間のそれぞれの電極の極性とは逆になるようにして、前記第1の対角配置電極対の両端間に電気的刺激を印加し、第4の期間の間には、前記第2の対角配置電極対を構成する各電極の極性が第2の期間の間のそれぞれの電極の極性とは逆になるようにして、前記第2の対角配置電極対の両端間に電気的刺激を印加するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の電気的刺激装置。
  12. 前記第1、第2、第3及び第4の電極が、第1、第2、第3及び第4の隣接電極対を構成し、前記パルス発生器が、第1の期間の間には前記第1の隣接電極対の両端間に電気的刺激を印加し、第2の期間の間には前記第2の隣接電極対の両端間に電気的刺激を印加し、第3の期間の間には前記第3の隣接電極対の両端間に電気的刺激を印加し、第4の期間の間には前記第4の隣接電極対の両端間に電気的刺激を印加するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電気的刺激装置。
  13. 胃腸管などの器官構造の内臓の神経筋組織を電気的に刺激する電気的刺激方法であって、
    前記胃腸管内の少なくとも1つの器官に、複数の電極を蠕動流路に沿って接続するステップであって、前記複数の電極をそれぞれ前記蠕動流路に沿って異なる位置で接続するステップと、
    前記複数の電極のうちの第1の電極セットから前記器官に電気パルスを供給するステップと、
    前記複数の電極のうちの第2の電極セットから前記器官に第2の電気パルスを供給するステップとを有し、前記複数の電極によって供給される前記電気パルスが、独立した整相されない関係にあり、人体が本来有する適応傾向を無効にしながら、前記胃腸管内の前記少なくとも1つの器官の蠕動流の治療的調整を維持することを特徴とする電気的刺激方法。
  14. リアルタイムクロック機能によって前記第1の電気パルス及び前記第2の電気パルスを供給するステップを有することを特徴とする請求項13に記載の電気的刺激方法。
  15. 前記電気パルスのパルス振幅、パルスタイミング及びパルス持続時間を、前記複数の電極のそれぞれについて別個に調整するステップを有することを特徴とする請求項13に記載の電気的刺激方法。
  16. 胃腸管などの器官構造の内臓の神経筋組織を電気的に刺激することによって消化器官の蠕動ペースを制御する胃ペースメーカであって、
    少なくとも1つの消化器官に蠕動流路に沿って順次位置決め可能な複数の刺激電極と、
    前記複数の刺激電極のうち第1の電極セットについての電気パルスパラメータを制御する制御装置であって、前記複数の刺激電極のうち第2の電極セットについての電気パルスパラメータを、所望の蠕動流に従って、独立した整相されない関係で制御する制御装置と、
    リアルタイムクロック機能によって前記複数の刺激電極のうち前記第1の電極セット及び前記第2の電極セットのそれぞれに電気パルスを供給する回路と
    を備えていることを特徴とする胃ペースメーカ。
  17. 前記消化器官に接続することができる、電気パルス刺激に対する前記器官の応答を感知するセンサ電極を備えていることを特徴とする請求項16に記載の胃ペースメーカ。
  18. 前記複数の刺激電極のうち少なくとも1つが、電気パルスに対する前記器官の応答を感知する感知電極としても機能することを特徴とする請求項16に記載の胃ペースメーカ。
  19. 胃腸管などの器官構造の内臓の神経筋組織を電気的に刺激する電気的刺激方法であって、
    前記胃腸管内の少なくとも1つの器官に、複数の電極を蠕動流路に沿って接続するステップであって、前記複数の電極をそれぞれ前記蠕動流路に沿って異なる位置で接続するステップと、
    前記複数の電極のうちの第1の電極セットから前記器官に電気パルスを供給するステップと、
    前記複数の電極のうちの第2の電極セットから前記器官に第2の電気パルスを供給して、人体が本来有する適応傾向を無効にしながら、前記胃腸管内の前記少なくとも1つの器官の蠕動流の治療的調整を維持するステップと
    を有することを特徴とする電気的刺激方法。
  20. リアルタイムクロック機能によって前記第1及び第2の電気パルスを供給するステップを有することを特徴とする請求項19に記載の電気的刺激方法。
  21. 前記リアルタイムクロック機能からプログラマブルカレンダに時刻及び日付の情報を提供するステップを有することを特徴とする請求項20に記載の電気的刺激方法。
  22. 前記複数の電極によって供給される前記電気パルスが、独立した整相されない関係にあることを特徴とする請求項20に記載の電気的刺激方法。
  23. 前記リアルタイムクロック機能によって前記電気パルスを変化させて、前記リアルタイムクロック機能の設定に基づいて複数の期間にわたって前記電気パルスの刺激波形を変化させることができるようにすることを特徴とする請求項21に記載の電気的刺激方法。
  24. 前記リアルタイムクロック機能が、刺激パラメータを定期的に変化させるトリガとして働くことを特徴とする請求項21に記載の電気的刺激方法。
  25. 前記リアルタイムクロック機能が、刺激パラメータを定期的に変化させるトリガとして働くことを特徴とする請求項24に記載の電気的刺激方法。
  26. 前記刺激パラメータが、前記電気パルスのパルス幅からなることを特徴とする請求項25に記載の電気的刺激方法。
  27. 前記刺激パラメータが、前記電気パルスの振幅からなることを特徴とする請求項25に記載の電気的刺激方法。
  28. 前記刺激パラメータが、前記電気パルスのデュ−ティサイクルからなることを特徴とする請求項25に記載の電気的刺激方法。
  29. 前記刺激パラメータが、前記電気パルスの周波数からなることを特徴とする請求項25に記載の電気的刺激方法。
  30. 前記刺激パラメータが、前記電気パルスの極性からなることを特徴とする請求項25に記載の電気的刺激方法。
  31. 前記刺激パラメータが、所定の長さの時間についての前記電気パルスの発生の活性化/不活性化からなることを特徴とする請求項25に記載の電気的刺激方法。
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