この発明は新規なチロインジシンアナローグとその関連プロセス、薬学的組成物および方法に関するものである。該チロインジシンは抗ウイルス、抗バクテリアおよび抗炎症などの広範な範囲の使用において有用なものである。該チロインジシンの好ましき実施例としてはII−2(DCB−3501、NSC−717335)およびII−3(DCB−3503、NSC−716802またはZH−152)と指名されているチロインジシンアナローグを含むものである。この発明の化合物は実験的に強力な抗ウイルスおよび抗癌活動を呈したものである。またこの発明はチロインジシンアナローグを含むチロインジシンを用いての腫瘍、バクテリア、ウイルスおよび炎症障害治療方法を提供するものである。さらにこの発明はチロインジシンアナローグの合成を含むチロインジシンの合成を提供するものである。
抗癌、抗ウイルス、抗バクテリアまたは抗炎症活動を有する組成物の識別における進歩にも拘わらず、広い範囲でそのような性能を呈する生物学的に活発な組成物への必要性は続いて存在している。特にそのような障害に対してある程度のレベルの活動を呈する組成物への要望がある。そのような組成物は安全であり耐性がありかつ種々の薬剤形態および投与経路に適したものでなければならない。該組成物は必要とする患者に投与した場合に腫瘍、ウイルス、バクテリアおよび炎症障害に対して活発であり、かつAIDSなどの結核併発ウイルスなどのバクテリア性感染の治療に有効であるのが望ましい。特に抗薬剤性癌の治療に有効な化合物への要求がある。
現在までのところ、上記したような要求を広汎に満たすチロインジシンの可能性は確実ではなかったし、また実際には開発されもしなかった。さらに現在までのところ、チロインジシンは合成が非常に難しいとされていた。
チロインジシンF、G、HおよびI(チロF、チロG、チロHおよびチロI)などのチロインジシン(「チロ」とも呼ばれる)はインド原産のチロフォーラインジカ(Tylophora indica)から単離されたアルカロイドの分類群に属するものである。Ali,M.;et al.,Tylophora indica.Phytochemistry1989,28,3513−3517。チロFとGとはインドリジディン部分上に第三ヒドロキシ基を有している。この群の化合物は天然からは極く限られた量だけ入手できたもので、その植物からの回収量が0.004%および0.001%と低いので現在では更なる研究のためには入手不可能である。
Ali,M.;et al.,Tylophora indica.Phytochemistry1989,28,3513−3517.
チロフォーラ(インドリジディン)アルカロイドの一般的な領域での合成作業は行われてきたものの、それらの強力(特にヒドロキシル化された)な化合物の光学的に活性な形態での合成は未だ明確を欠く。Faber,L.;et al.,Stereospecific synthesis of a 9,11,12,13,13a,14−hexahydrodibenzo(f,h)−pyrrolo(1,2−[b]isoquinoline alkaloid.Helv.Chim.Acta1973,56,2882−2884;7)Comins,D.L.;Chern,X.;Morgan,L.A.Enantiopure N−acyldihydropyridones as synthetic intermediates:Asymmetric synthesis of−septicine and−tylophorine.J.Org.Chem.1997,62,7435−7438。
Faber,L.;et al.,Stereospecific synthesis of a 9,11,12,13,13a,14−hexahydrodibenzo(f,h)−pyrrolo(1,2−[b]isoquinoline alkaloid.Helv.Chim.Acta1973,56,2882−2884;7)Comins,D.L.;Chern,X.;Morgan,L.A.Enantiopure N−acyldihydropyridones as synthetic intermediates:Asymmetric synthesis of−septicine and−tylophorine.J.Org.Chem.1997,62,7435−7438.
この発明は国立衛生研究所による1以上の政府許諾基金の支持を受けたものである。であるからして政府はこの発明についてある権利を保持するものである。
発明の目的
この発明の目的は、新規でバイオ的に活性なチロインジシンアナローグを提供することにあり、該チロインジシンアナローグは広範囲の腫瘍および炎症障害に対して活性であり、かつEpstein−Barrウイルス(EBV)炎症またはEBV関連リンパ腫または癌の治療として活性であることを証明している。
この発明のさらなる目的は、新規でバイオ的に活性なチロインジシンアナローグを提供することにあり、該チロインジシンアナローグは抗癌および抗炎症性薬学的組成物であり、または抗EBV感染またはEBV関連リンパ腫または癌などのEBV感染に派生的と思われる状態に使用されるものである。
この発明のさらなる目的は、安全でかつ耐性のある新規なバイオ的に活性なチロインジシンアナローグを提供することにある。
この発明のさらなる目的は、この発明の新規なバイオ的に活性なチロインジシンアナローグを含むチロインジシンの使用方法を提供することにあり、これにより腫瘍および炎症障害、EBV感染、またはEBV関連リンパ腫や癌などのEBV感染に二次的に現れる症状を治療しようとするものである。
この発明のさらなる目的は、新規でバイオ的に活性なチロインジシンアナローグを含むチロインジシンを製造するプロセスを提供することにある。この発明のさらなる目的は、抗薬剤性癌の治療に有用な新規でバイオ的に活性なチロインジシンアナローグを提供することにある。
発明の要旨
上記の諸目的を果たすべく、この発明のチロインジシンアナローグは一般的な構造式(A)
を有しており、およびそのエピマー、薬学的に受容可能な塩、溶媒和物または多形体であり、
ここでYはO、S、NH、CH2であるかまたは存在せず、Yが存在しない場合には全てのZがHではないという前提で各(Z)は独立にH、(C1−C4)アルキル、置換アルキル、アリル、置換アリル、アルキルシリル、複素環、置換複素環であり、(U)はH、(C1−C4)アルキル、置換アルキル、アリル、置換アリル、アルキルシリル、複素環、置換複素環、またはWと一緒に環を有する窒素中に二重結合を形成するかまたはTと一緒に環を有する窒素中に二重結合を形成し、TはHであってかつR5が付加されている炭素と一緒に二重結合を形成するかまたはY(U)に付加された炭素と一緒に二重結合を形成し、WはHであるかまたはY(U)に付加された炭素と一緒に環を有する窒素中に二重結合を形成し、R5はH、OH、=O(付加されている炭素と一緒にカルボニル基を形成する)、カルボキシル(カルボキシレート基)、−OC(O)RX基、−C(O)RX、または−C(O)ORX基であり、ここでRXはC2〜C15アルキル、好ましくはC2〜C8アルキルであり、R6はH、OH、=O(付加されている炭素と一緒にカルボニルを形成し)、カルボキシル(カルボキシレート基)、−OC(O)RX基、−C(O)RX、−C(O)ORX基であり、ここでRXは上記した通りであり、BはY(Z)またはCと一緒に各BとCとが付加されている2個のフェニル環の間に結合を形成し、CはY(Z)またはBと一緒に各BとCとが付加されている2個のフェニル環の間に結合を形成し、mは0〜4、好ましくは1または2であり、nは0〜3、好ましくは1または2である。
この発明の好ましい実施例は、構造式(I)および(II)
を有する化合物およびそのエピマー、薬学的に受容可能な塩、溶媒和物または多形体であり、
ここでR1、R2、R3、R4およびR7は独立にH、C1−C4アルキル、置換アルキル、アリル、置換アリル、アルキルシリル、複素環、置換複素環であり、R5はH、OH、−OC(O)RX基、−C(O)RX、または−C(O)ORX基であり、RXはC2〜C15アルキル、好ましくはC2〜C8アルキルであり、R6はH、O(カルボニル基)、カルボキシル(カルボキシレート基)、−OC(O)RX基、−C(O)RXまたは−C(O)ORX基であり、RXは上記した通りであり、
XはHまたはORbであり、RbはH、アルキル、置換アルキル、アリル、置換アリル、複素環または置換複素環である。
好ましくはR1、R2、R3、R4はMeでありR5はHまたはOH、より好ましくはOHであり、R6はHであり、R7はOHであり、XはOHである。
いずれかの実施例において好ましくは、XはH、OH、O(C1−C4)アルキル、O−ベンジルおよびたとえばC1−C4アルキル、メチル、エチル、i−プロピルまたはt−ブチル、特にトリメチルシリル、トリ−iPrシリル、ジメチルt−ブチルシリル、O−ジアリルアルキルシリル(ジフェニルt−ブチルなどのような)またはO−トリアリルシリルなどのようなO−トリアルキルシリルである。
この発明の好ましい化合物としては図15に示す構造式(III)、(IV)、(V)および(VI)のものが有り、それぞれNSC717334、NSC712822、NSC717336およびDCB−3501とDCB−3503(DCB−3503はまたNSC716802またはZH−152とも呼ばれる)と命名されている。構造式(VI)(DCB3501およびDCB3503)は特に好ましく、DCB3503(ヒドロキシル「down」)は特に好ましい。
他にも好ましい化合物としては図a、表1に示すものがある。化合物DCB3501と3503とは、国立癌研究所(NCI)スクリーンに使用されたときに、抜きんでた抗腫瘍活性を呈した。特にこの発明の化合物は種々の薬剤抵抗性腫瘍/癌および特に多重薬剤抵抗性腫瘍に対して顕著な抗腫瘍活性を呈するものである。
またこの発明は抗腫瘍(抗癌を含む)性、抗炎症性および抗ウイルス(抗EBV)性のチロインジシンアナローグを含む薬剤化合物、および種々の腫瘍や炎症やEBV感染やEBV関連リンパ腫や癌の治療にこれらの薬剤化合物を使用する方法、およびこの発明の新規なチロインジシンアナローグを含むチロインジシンを形成するプロセスを提供するものである。
この発明によって国立癌研究所(NCI)人間細胞ライン腫瘍パネルにおいて用いられたとき、チロFとチロGはそれぞれいくつかの33,744化合物およびNCIのDTP(Developmental Therapeutics Program)の54細胞ラインからのデータを含むスクリーン中で試験された最も強力な抗癌剤としてランク付けされた。
このランク付けシステムはスクリーン(チロFおよびチロGについて54)の細胞ラインの数において総成長抑制(TGI)を結果するのに必要とされる平均濃度に基づいたものであった。50%成長抑制(GI50)に必要とされる濃度は両方の化合物について<10-10Mであって、最も近い敵対物よりも少なくとも2桁低い値である。事実多くの細胞ラインについてデータは計測外であって、<10-10Mと命名された。
DTPパネルの腫瘍細胞に対してこの発明によってチロFとGのLC50値(初期の種付けされた細胞の50%を減少させる濃度)が使われたとき、いくつかの黒色細胞腫および肺(小および非小)癌細胞ラインについての値は他の細胞ラインについてのそれらより2桁低く、これは黒色細胞腫および/または肺癌に対してこの発明により使用されたときにおけるそれら2種の化合物の選択性を証明している。
加えて、抗癌スクリーンCOMPAREを使って実験的な抗癌活性をテストした。COMPAREはPaull,K.D.;Hamel,Cancer Chemotherapeutic Agents;Foye,W.O.,Ed.;American Chemical Society:Washington,1994,p9−45(Chapter2)に記載されている。
COMPAREは全てのNCIデータベースを使って組成物の抗癌活性をランク付けするプログラム(形状認識アルゴリズム)であって、この発明に採用されたときにはチロFとチロGの活性を決定するのに用いられた。チロFとチロGとは標準的な抗腫瘍化合物のそれとは異なる活性形状を呈した。つまり「COMPAREネガティブ」であって、全ての既知の抗腫瘍化合物(例えばアルキレイター(alkylators)、DNA−相互作用化合物およびトポイソメラーゼ活性剤)とは顕著に異なった(a)化学構造と(b)活動のメカニズムであることを証明した。
理論によりこの発明を限定する積もりはないが、10-10M未満のGI50レベルを有した種々の細胞ラインの細胞成長を抑制すべくこの発明により使用されたときの、この発明のチロおよびチロアナローグの効果、そのエピマーや薬学的に受容可能な塩や溶媒和物や多形体の効果が与えられれば、細胞成長で重要な役割を果たす1以上の蛋白質とそれらの化合物が相互作用することになる。
この相互作用が下流側の事象を引き起こして細胞の捕捉を起こすことはあり得る。この発明の2種の化合物により殺される黒色素細胞腫または肺癌などのような細胞ラインでは、化合物とその推定上の対象蛋白質との相互作用により起こされる事象は成長のみが捕捉される細胞のそれとは異なることが証明されるだろう。
これに代えて、この発明の適用に起因すると考えられる細胞の死を招くメカニズムは細胞成長捕捉についてのそれとは異なることが有り得る。そのような場合には、1種以上の結合蛋白質の存在の可能性がある。最高の結合親和性を有する結合蛋白質は細胞捕捉を招くこともあり、全ての癌細胞に共通である。低親和性結合蛋白質は細胞の死を招き、かつ敏感な(細胞の死について)黒色素細胞腫または肺腫細胞ライン中にのみ存在かもしれない。しかしそのような理論的な仮定はこの発明を限定するものではない。
観点を変えて、この発明はチロおよびチロアナローグ、その薬学的に受容可能な塩や溶媒和物や多形体の使用を含むものであり、生体的には対象の腫瘍細胞上の抗体または蛋白質についての「弾頭」である。そのような有用性についての適切なリガンドは蛋白質の親和性クロマトグラフィー的分離に関連して、かつ蛋白質−薬剤共役プロドラッグとして、容易に決定されるものである。
この発明の実施例はチロやチロアナローグやその薬学的に受容可能な塩や溶媒和物や多形体の多種に亙る腫瘍細胞の治療における使用を含むものであり、チロインジシンの活動のメカニズムは異なる腫瘍に対して適用されたときとは異なるものである。この発明によって使用されたチロインジシンの活動はMDR(gp170)およびMRP(多重薬剤抵抗性蛋白質)オーバーエクスプレッション(overexpression)による影響を受けない。この発明のチロやチロエピマーやその薬学的に受容可能な塩や溶媒和物や多形体はまたヒドロキシウレアやゲムシタビンやトポ−I薬剤やトポ−II薬剤などの他の薬剤に抵抗を呈する癌細胞に対して活性であることを証明した。
さらにこの発明のチロやチロアナローグやその薬学的に受容可能な塩や溶媒和物や多形体がNF−κB化合物影響転写に対して強力な活性を呈すること、したがって炎症、自己免疫障害、関節炎や喘息や線維症や腎炎などのNF−κBの活動に伴う病気や症状の治療における関連有用性を有していることが分かった。
さらにこの発明のチロやチロアナローグやその薬学的に受容可能な塩や溶媒和物や多形体を他の抗癌剤または関連する病気の炎症の治療のための他の化学製品と組み合わせて使用することができることが分かった。さらにこの発明のチロやチロアナローグやその薬学的に受容可能な塩や溶媒和物や多形体をプロドラッグに使用することができ、すると溶解性、安定性、吸収性および薬物動態学的な特徴を改良できることが分かった。
またこの発明は患者におけるEBV感染またはEBV関連リンパ腫または癌の発症の可能性を予防または低減するのにも使用できる。
発明の詳細な説明
この明細書において使用する用語は以下の意味を有するものである。
用語「アルキル」とは完全に飽和された単価の炭化水素遊離基であって、炭素と水素を含み、かつ直鎖、分枝または環状である。アルキル基の例としてはメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘプチル、イソプロピル、2−メチルプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンチルエチルおよびシクロヘキシルなどがある。「シクロアルキル基」とはシクロプロピルやシクロブチルやシクロペンチルやシクロヘキシルなどの環状アルキル基を言う。C1−C6アルキル基がこの発明において好ましく用いられ、特にC1〜C3が好ましい。
用語「置換アルキル」とは上記したようなアルキルを言い、1〜6個の炭素原子を含むアルキル、好ましくは1〜3個の炭素原子を含む低級アルキル、アリル、置換アリル、アシル、ハロゲン(すなわちアルキルハロ、例えばCF3)、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アルキルおよびジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アリルオキシ、アリルオキシアルキル、カルボキシアルキル、カルボキサミド、チオ、チオエーテル、飽和および不飽和環状炭化水素、複素環などの1種以上の官能基を言う。用語「置換シクロアルキル」とはこの発明の記載のための用語「置換アルキル」の下に含まれるものと実質的に同じく定義される。
用語「アリル」とは置換または非置換単価の芳香族遊離基を言い、単一の環(例えばフェニル)または複数の縮合環(例えばナフチル)を有している。他の例としては1以上の窒素、酸素または硫黄原子を環中に有した複素環・芳香族環基(イミダゾール、フリル、ピロリル、ピリジル、チエニル、インドリルなど)がある。用語「ヘテロアリル」とはより一般的な用語「アリル」に包含されるものである。
用語「置換アリル」とは上記したようなアリルを言うもので、低アルキル、アシル、アリル、ハロゲン、アルキルハロ(例えばCF3)、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アルキルおよびジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アリルオキシ、アリルオキシアルキル、カルボキシアルキル、カルボキサミド、チオ、チオエーテル、飽和および不飽和環状炭化水素、複素環などの1種以上の官能基を有するものである。
「複素環」とはカルボシリック(carbocylic)環を言うもので、1以上の炭素原子が1以上の窒素、酸素または硫黄などの異種原子で置換されている。その例としては、限定はしないが、ピペリジン、ピロリジン、モルフォリン、チオモルフォリン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2−ピロリジノン、δ−ベレロラクタム、δ−ベレロラクトンおよび2−ケトピペラジンなどが挙げられる。
用語「置換複素環」とは上記したような複素環を言うものであって、C1−C4アルキル、アシル、アリル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アルキルおよびジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アリルオキシ、アリルオキシアルキル、カルボキシアルキル、カルボキサミド、チオ、チオエーテル、飽和および不飽和環状炭化水素、複素環などの1以上の官能基を含むものである。用語「置換」が使われる他の例としては、置換基がその範疇に入り、明細書および与えられた化学化合物中に置換が起きるような状況に現れる置換基の定義から集められ得るものである。
用語「エピマー」とは2以上の非対称中心のうちのひとつのみにおいて構造の異なる化合物を言うものである。
用語「1以上の置換基」とは使える結合位置の数に基づいた1から無限数に等しい多数の置換基を言う。
用語「鏡像体」とは化合物の2個の立体異性体を言うものであって、互いに非重合鏡イメージである。ここで「立体異性体」とは同じ化学構造を有するが、空間中におけるその原子または基の配列が異なる化合物を言う。用語「鏡像選択プロセス」とは反応生成物の2種の可能な鏡像体の製造を好むプロセスである。「純鏡像」または「鏡像的に純」とは鏡像体により汚染されていない純粋な立体異性体を意味するものである。「ラセミ」混合物とは2個の鏡像体の混合物である。
用語「ハロゲン基」とはF、Cl、BrまたはIを言う。
用語「患者」とはこの発明の化合物を使った予防処置を含む処置を施される動物、好ましくは人間、を言う。人間の患者のような特殊な動物についての特殊な感染、症状または病気などの処置については、該用語はその特殊な動物を言う。
用語「腫瘍」とは、新生物、つまりは細胞増殖により正常な組織より速く成長して新たな成長を開始させた刺激が終わった後も継続する異常組織の形成と成長とを結果する病理学的なプロセスを表わすのに使われる。腫瘍は構造的組織および正常な組織との機能的協調の部分的または全体的欠如を呈し、通常良性(良性腫瘍)または悪性(癌)である他とは異なる組織の塊を形成する。用語「癌」とは種々のタイプの悪性新生物を言い、そのほとんどは周囲の組織を侵し、数個の場所に転移し、除去した後も再発し易く、適切な処置を欠いた場合には患者の死をきたすものである。癌という用語は腫瘍という用語に含まれるものである。
用語「薬剤抵抗性癌」または「多数薬剤抵抗性癌」とは1種以上の従来の癌薬(例えばヒドロキシウレア、ゲムシタビン、Topo−I薬、Topo−II薬など)に抵抗する癌を言うものである。この発明の化合物はそれら薬剤の存在(共投与)または非存在下に投与され得る。
用語「炎症障害」または「自己免疫障害」とはNF−κB投与転写、移植拒否(例えば腎臓同種移植拒否、心臓同種移植拒否、移植併発血管障害)、腎炎(例えば急性糸球体腎炎、ループス腎炎、尿細管間質性腎炎)、喘息(例えばアレルギー性喘息)、呼吸障害症候群、胃炎(例えばインドメタシン原因胃炎)、リューマチ病(例えば関節炎や紅斑性狼瘡)、自己免疫病(脈管炎、糖尿病、HIV/AIDS)、敗血症、血栓症、冠状動脈症(例えば血管形成またはバイパス手術および虚血症後の再狭窄)に伴う障害である。特にこの発明の化合物はリューマチ性関節炎、炎症腸症、皮膚炎(乾癬およびアトピー性皮膚炎を含む)、自己免疫障害、組織および器官拒否、アルツハイマー症、ホジキン病、AIDSを含むウイルス感染および運動失調毛細血管拡張を含むNF−κBの活性化に伴う障害の処置に有用である。
用語「薬学的に受容可能な塩」とは1以上の組成物(特にこの発明にあってはリン酸塩が望ましい)の塩の形態であって、非経口投与のためのサリン中または患者の胃腸内の胃液中への化合物の溶解度を高めるものであり、該化合物の溶解とバイオ実用性を促進するものである。薬学的に受容可能な塩としては薬学的に受容可能な無機または有機塩基および酸から引き出されるものが含まれる。適切な塩としてはカリウム、ナトリウム、カルシウムやマグネシウムやアンモニア塩などのアルカリ土類金属その他薬学においてよく知られている酸などのアルカリ金属から引き出されるものが含まれる。ナトリウムおよびカリウム塩は特にカルボキシル酸およびこの発明の組成物を含む遊離酸リン酸塩の中和塩として望ましい。
用語「塩」はこの発明の化合物と両立できる全ての塩を言う。化合物が癌を含む腫瘍の処置を含む薬学的な表示に用いられる場合には、用語「塩」は化合物を薬剤として用いることと両立する薬学的に受容可能な塩を意味する。
用語「抑制有効濃度」または「抑制有効量」とは疑わしい腫瘍の成長または複製を実質的にまたは著しく抑制するこの発明の化合物の濃度または量を言う。
用語「治療有効量」または「治療的に有効な量」とはその投与または使用(例えば腫瘍や炎症や自己免疫障害の処置を含む)において有効なこの発明の化合物の量または濃度を言うものである。したがって用語「有効量」とは化合物の使用において好ましい結果(例えば処置された病気または症状の変化を含む)を生じるこの発明の化合物の濃度または量を言うものである。処置された病気または症状のいかんに応じて、該変化とは寛解、癌または腫瘍のサイズまたは成長の減少、または好ましい生理学的結果などいずれにしてもである。
用語「予防有効量」とは炎症障害またはEBV感染または関連症状または病気を含む自己免疫障害の可能性を予防または低減するのに予防するために有効なこの発明の化合物の濃度または量を言うものである。
用語「有効量」とは意図された結果を得るべく使用または投与された化合物または組成物の量を言う。この用語は本明細書中で異なる意味で使われている有効量をも包含する概念である。
用語「エプスタインバーウイルス(EBV)」とはバーキットリンパ腫の細胞培養中に発見されるウイルスを言う。構造的にはEBVは他のヘルペスウイルスに等しく、ヌクレオカプシド中に含まれる複ストランドDNAゲノムを有しており、ウイルスグリコ蛋白質を含んだ脂質エンベロープにより囲繞されている。外被プロイテンはエンベロープとヌクレオカプシドとの間の空間を占めている。EBVは感染性単核症中の原因因子である。エプスタイン−バーウイルスもB−細胞増殖性病気、リンパ増殖性症状、非遺伝性単食細胞症候群の原因因子として認識されており、希進歩性単核症的症候群やAIDS患者の口腔毛髪白板症を含む種々の病状に関連するものである。
EBVはまたバーキットリンパ腫、鼻咽頭癌、ホジキン病、EBV併発T−細胞リンパ腫および鼻T−細胞リンパ腫などのある種の癌に併発するものである。特にある種の患者(AIDSなどの抑圧免疫システムを有した患者および免疫抑制剤で処置された臓器移植患者)はEBV発現、特にEBV併発リンパ腫に感染し易い。
用語「共投与」または「組合せ治療」とは少なくとも2種の有効量の活性化合物が腫瘍および/または癌または自己免疫障害、症状または病状を処置するのに使われる治療を言う。共投与という用語は好ましくは患者に同時に2種の活性化合物を投与することを包含するが、個々の化合物の有効量が患者中に同時に存在するにしても、必ずしも2種の化合物が患者に同時に投与されることは必要としない。
この発明の化合物は癌や他の種々の症状および/または病状を含む腫瘍の処置に対してバイオ的/薬理学的活性を有した薬剤的組成物中に、バイオ的な活性を呈する化合物合成の中間物として、現在の化合物や他のバイオ的に活性な化合物のバイオ的活性を決定する標準として、使用できる。それらの組成物は投与(選択的には薬学的に受容可能な付加物、キャリアーまたは添加剤と組み合わせて)の概念においてここに開示した1種以上の化合物の有効量を含んでいる。
この発明はさらに癌(特に薬剤抵抗性または多薬剤抵抗性の癌)を含む腫瘍の処置に関するもので、必要とする患者に前記の化合物の有効量を投与(選択的に薬学的に受容可能な付加物、キャリアー、添加剤と組み合わせて)するものである。またこの発明は腫瘍の成長を抑制する方法に関するもので、該腫瘍とは悪性腫瘍または癌を含むもので、開示した化合物の1種以上の抑制または治療有効量に腫瘍を曝すものである。
該方法は癌を含む腫瘍の処置に治療的に使用され、または関連アナローグの活性を決定したりこの発明の化合物の1種以上に対する患者の癌の反応程度を決定する分析などの比較テストに使用される。主たる有用性は癌(特に肺癌、乳癌および前立線癌など)を含む腫瘍の処置にある。
治療的な概念ではこの発明は良性・悪性腫瘍を含む腫瘍や動物または人間患者中の癌の処置方法に関するものであり、好ましき実施例にあっては例えば多薬剤抵抗性乳癌などの薬剤抵抗性を進めた癌のそれであり、この発明の化合物の1種以上の治療的有効量または濃度を投与して、処置される動物または人間患者中の腫瘍の成長または拡散を抑制または実際には後退させるものである。
この発明の組成物で処置できる癌としては、例えば胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、子宮頚管癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、嚢癌、腎臓癌、脳/中枢神経系癌、頭および首癌、咽喉癌、ホジキン病、非ホジキン白血病、多発性骨髄腫白血病、皮膚黒色素細胞種、急性リンパ線白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫、小細胞肺癌、絨毛癌、平滑筋組織腫瘍、ウイルムス腫瘍、神経芽細胞腫、毛状細胞白血病、口腔/咽喉癌、食道癌、咽頭癌、黒色素細胞腫、腎臓およびリンパ腫などがある。この発明の化合物は特に肺癌、乳癌、前立線癌、癌の薬剤抵抗形態、特に多重薬剤抵抗形態の処置に有用である。
該方法の好ましい実施例にあっては、癌を含む腫瘍の処置には少なくとも1種の追加的な抗腫瘍剤を共投与するのが有利である。この概念においてこの発明においては1種以上のこの発明の化合物を少なくとも1種以上の追加的な抗腫瘍剤/抗癌剤の有効量と共投与する。例えば伝統的または非伝統的な抗腫瘍または抗癌剤が共投与されるが、それらとしては例えばエトポシド(VP−16)、シス−プラチン(シスDDP)、カルボプラチン、ロバプラチン、オルマプラチン、オキサプラチン、ヘキサメチルマラミン、NLCQ−1、メファラン(L−PAM)、ジヒドロキシブスルファン、シクロフォスファミド(CPM)などのアルキル化剤、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシン、アドリアマイシン、カンプトテシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチンとビンブラスチン)、ヒドロキシウレア、ゲムシタビン、トポ−I、トポ−II剤、ポリヌクレオチドとオリゴヌクレオチド(センスおよびアンチセンス)、タキソールその他アメリカ特許第6,500,858号に開示のタキソイド抗腫瘍剤、アメリカ特許第6,500,812号に開示のメタシクリン化合物、アメリカ特許第6,486,322号に開示の抗血管形成剤、アザインドール誘導体、アメリカ特許第6,488,9312号に開示の他の組成物、アメリカ特許第6,479,662号に開示のジベンゾフルオレン誘導体、テモゾロマイド、AP/AMPとそのプロドラッグ形態などがある。
アメリカ特許第6,500,858号
アメリカ特許第6,500,812号
アメリカ特許第6,486,322号
アメリカ特許第6,488,9312号
アメリカ特許第6,479,662号
この発明の組成物は1種以上の薬学的に受容可能なキャリアーを用いて従来の方法で製造できる。薬学的に受容可能なキャリアーとしては、それに限定されるものではないが、イオン交換剤、アルミナ、アルミナステアレート、レシチン、人間血清アルブミンなどの血清蛋白、フォスフェートなどの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、カリウムソルベート、飽和植物油酸の部分グリセライド混合物、水、塩、硫酸プロラミンなどの電解質、リン酸水素二ナトリウムやリン酸水素カリウムや塩化ナトリウムや亜鉛塩やコロイダルシリカやケイ酸マグネシウムやポリビニルピロリドンやセルローズ基物質やポリエチレングリコールやナトリウムカルボキシメチルセルローズやポリアクリレートやワックスやポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマーやポリエチレングリコールや羊脂などがある。
この発明の組成物は経口的、非経口的、吸入スプレー、局部的、直腸経由、経鼻的、口腔経由、経膣的、移植保存経由などにより投与できる。用語「非経口的」とは皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、包膜内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含むものである。組成物は経口、腹膜内または静脈内で投与されるのが望ましい。
この発明の化合物の無菌注射可能形態は水性または油性懸濁液である。これらの懸濁液は適宜な分散または湿潤剤および懸濁剤を用いて公知の技術で製造できる。無菌注射可能調整物は例えば1,3−ブタンジオール中の溶液としての非毒性非経口受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌注射可能溶液または懸濁液である。使用できる受容可能なビヒクルおよび溶媒は水、リンゲル溶液および等浸透圧塩化ナトリウム溶液である。
加えて従来は無菌不揮発性油が溶媒または懸濁媒体として使われている。この目的のためには、いかなるブランドの不揮発性油でも使用でき、合成モノ−またはジ−グリセライドなどがそれに含まれる。オレイン酸などの脂肪酸およびそのグリセライド誘導体は注射可能なものの調整において有用である。オリーブオイルまたはカスターオイル、特にポリオキシエチレン化したもののような天然の薬学的に受容可能なオイルも同様である。これらのオイル溶液または懸濁液はまたPh.Helvまたは同様なアルコールなどの長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含んでいる。
この発明の薬理組成物はいかなる経口受容可能な薬剤形態でも経口投与することができ、該薬剤形態としては、限定されないが、カプセル、タブレット、水性懸濁液または溶液などがある。経口使用のためのタブレットの場合には、通常使用されるキャリアーとしてはラクトーゼとコーンスターチとがある。マグネシウムステアレートなどの平滑剤もまた一般に添加される。カプセル形態での経口投与のための有用な希釈剤としてはラクトーゼと乾燥コーンスターチとがある。経口使用のために水性懸濁液が必要な場合には、活性成分をエマルジョンおよび懸濁剤と組み合わせる。必要ならある種の甘味、芳香または着色剤なども添加できる。
以上に代えてこの発明の薬理組成物は直腸投与のために座薬形態で投与できる。これらの調製に際しては、薬剤を適切な非刺激性添加剤と混合するが、該添加剤は室温では固体状で直腸温度では液状となるものとし、直腸中で溶けて薬剤を解放する。そのような材料としてはココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールなどがある。
この発明の薬理組成物はまた局部投与することもでき、特に処置の対象が局部施与により容易にアクセスできる領域または器官の場合はそうである。例えば眼、皮膚または下腸管などがある。それぞれについて適切な局部構造が簡単に調製できる。
下腸管のための局部施与は直腸座薬構造(上記参照)や潅腸構造などがある。局部経皮パッチも使用できる。
局部施与のための薬理組成物は適当な軟膏で調製でき、該軟膏は1種以上のキャリアー中に懸濁または溶解した活性成分を含んでいる。この発明の化合物の局部投与のキャリアーとしては、限定されないが、鉱物油、液体ペトロラタム、白色ペトロラタム、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、エマルジョン化ワックスおよび水などがある。これに代えて、ローションまたはクリーム状にもでき、そこに含まれる活性成分は1種以上の薬学的に受容可能なキャリアー中に懸濁または溶解している。適切なキャリアーとしては、限定されないが、鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水がある。
目への使用については、組成物は等浸透圧pH調節無菌サリン中のミクロ化懸濁液として調製でき、また好ましくは等浸透圧pH調節無菌サリン中の溶液としても調製できる。防腐剤は添加してもしなくてもよく、防腐剤としてはベンジルアルコニウムクロライドなどがある。これに代えて、目への使用については、組成物はペトロラタムなどの軟膏中に調製してもよい。
組成物は鼻エアロゾルまたは吸入により投与することもできる。その組成物は公知の手法によりサリン中の溶液として調製でき、ベンジルアルコールや他の防腐剤を使用し、バイオ有用性を高める吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の従来の溶液化剤や分散剤も使用する。
1回の投与分の薬剤形態を製造するキャリアーと組み合わせるこの発明のチロの量は処置される主体および特定の投与モードに応じて変化する。投与量は約0.5〜200mg/体重kg/日とするのが望ましく、約1〜100mg/体重kg/日が患者に投与されるのがより望ましい。
特定の患者への投与量と処置の仕様は種々の要因により左右されるもので、使用された特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、ダイエット、投与時間、排出回数、薬剤の組合せ、医者の判断処置される病気または症状の厳しさなどがそれに含まれる。
化学。この発明の新規な化合物は一般に下記の方法で調製される。図6、7に示すスキームI、IIはチロG骨格構造の合成を示している。スキームI、図6に示すように、この合成においては、敏感な12a−OH基が作業順序の終りに加えられる。I−1とI−2(Et3N−Ac2O)の縮合により既知のα,β−不飽和カルボキシル酸I−3が得られる(Ihara,M.;et al.,Stereocontrolled Synthesis of Quinolizidines and Indolizidines Using Trialkylsilyl Triflurormethanesulphonate:Total Synthesis of−Tylophorine.J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1985,1159−1160)。これはついでそのメチルエステルI−4に変換された。ついでVOF3環の閉鎖によりI−5が高収量で得られた。
Ihara,M.;et al.,Stereocontrolled Synthesis of Quinolizidines and Indolizidines Using Trialkylsilyl Triflurormethanesulphonate:Total Synthesis of−Tylophorine.J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1985,1159−1160
得られたアルコールI−6のLiAlH4還元に続くトシレーション(tosylation)によりI−7が得られ、ついでエチル(+)−(S)−2−ピロリジン−5−カルボキシレートナトリウム塩(アルドリッチまたは合成された)で置換されて、光学的に活性なI−8を得た。NaBH4によるI−8の還元によりアルコールI−9が得られた。これの酸化(スワーン)によりアルデヒドI−10を高収量で得た。I−10の遊離基投与還元性環化(Hays,D.S.et al.,Organotin hydride catalyzed carbon−carbon bond formation:Radical−mediated reductive cyclization of enals and enones.J.Org.Chem.1996,61,4−5;Hays,D.S.;et al.,The development of a new catalytic process:Bu3SnH−catalyzed reductive cyclization of enals and enones.Tetrahedron1999,55,8815−8832)によりアルコールI−11とI−12のエピマー混合(1.2:1)が得られて、これがシリカゲルクロマトグラフィーにより分離された。
Hays,D.S.et al.,Organotin hydride catalyzed carbon−carbon bond formation:Radical−mediated reductive cyclization of enals and enones.J.Org.Chem.1996,61,4−5
Hays,D.S.;et al.,The development of a new catalytic process:Bu3SnH−catalyzed reductive cyclization of enals and enones.Tetrahedron1999,55,8815−8832
I−11についてX線結晶構造が得られて、図示された構造を証明した。これがベンジル位置に立体化学を構成し、立体化学を大きなネガティブ光学回転{I−11について[α]D 22−104°}を特徴とする天然チロインジシンのそれと結びつけている。
図6、スキームIにおいて、化合物I−11はスワーン酸化によりそのエピマーI−12に変換された。NaBH4還元。
図7のスキーム7においてマルチンスルフラン脱水(Arhart,R.J.;Martin,J.C.Sulfuranes.V.Chemistry of sulfur(IV)compounds.Dialkoxydiarylsulfuranes.J.Am.Chem.Soc.1972,94,4997−5003)によりアルケンII−1が得られ、ついでAlH3による還元によりアルケンII−2を得た。SeO2ヒドロキシル化によるチロGの12a−OH基を加えようとしてベンジルアルコールII−3aと3bの単離に至り、その構造がMSおよびNMR分光により確認された。
Arhart,R.J.;Martin,J.C.Sulfuranes.V.Chemistry of sulfur(IV)compounds.Dialkoxydiarylsulfuranes.J.Am.Chem.Soc.1972,94,4997−5003
NMRは正しい12a−OH化合物(チロG)が形成されていることを示したが、それは多分SeO2反応で使われる反応/単離条件下で分解をするだろう。アルコールII−3aとII−3bもバックレイとラポポートの工程(Buckley,T.F.;Rapoport,H.α−Amino acids as chiral educts for asymmetric products.Chirally specific syntheses of tylophorine and cryptopleurine.J.Org.Chem.1983,48,4222−4232)により合成できる。
Buckley,T.F.;Rapoport,H.α−Amino acids as chiral educts for asymmetric products.Chirally specific syntheses of tylophorine and cryptopleurine.J.Org.Chem.1983,48,4222−4232
スキームI、IIに示した合成ルートの有用性および(X線研究がI−11について行われる前に)それが図8に示すスキームIIIで作用される正しい鏡像体であることの証明がI−11から(+)−(S)−チロフォリンへ行われた。合成されて抗腫瘍(乳)活性を報告された化合物、チロインジシン程に強力なものは皆無であったが。
チロインジシンF、G、H、Iの合成。(a)一般的考察。それぞれのチロインジシンF、G、H、Iのための合成スキームを説明する。予備的な研究により、それらの化合物について文献に報告されたものと合致するシステムについての立体化学の解明(単結晶X線回析分析)が齎された。この発明の合成アナローグであるNSC−716802、NSC−717335はここに示したスキームが正しい立体化学を与えると言う強力な抗腫瘍活性証明を有している。
チロF、Gは滑らかなエピマー化の対象である。ここに示されたスキーム中の不安定結合を具えた第3OH基はエピマーの熱力学的混合物を示している。チロH、Iについて観察された活性とともに中間体NSC−717335(化合物II−2、スキームII)により呈された活性に鑑みて、第3OH機能は抗腫瘍活性には顕著な影響を有していない可能性がある。OH基の役割は非ヒドロキシル化等価物を使った並列抗腫瘍テストにより確立できる。
(b)チロインジシンGの合成。チロインジシンGの合成スキームは最少イオンの選択的発生に基づいており、それは含酸素反応剤によるC−12aにおける求核的攻撃についての適切な概念を与えるものである。この目的のために、アリル的−ベンジル的Hに対するアリル的(12aH)選択を示しかつ図9中のスキームIVに示すようなII−2へのH−12aのDDQ酸化抽出により最少イオンAを形成するプロセスが開発された。MeOHの添加は12−OMe化合物を与え、これは1Dと2DNMR分光およびMSにより期待された立体化学および示された構造であることが示される。
H2Oも反応剤として用いられて12a−OH化合物を直接に発生する。これに代えて、H2OとTHF中のt−BuOKにより発生されたガスマン−乾燥−OHもひとつの可能性である。これに代えるアプローチとしてはF脱保護を可能とするMe3SiOH、または中性状態下でDDQまたはCANにより除去可能なベンジルアルコール(例えば、R1=2,6−ジメトキシベンジル−、4−メトキシベンジル−、または2−ナフチルメチルエーテル)を使用するものがある。
チロG構造はベンジル的機能を有しており、かつDDQと反応できることが認識されている。しかし(1)選択的にDDQを使ってイミニウム種を発生できること、(2)上記したような置換ベンジルエーテルのいくつかは例外的にDDQに対して適応性があることを考えると、上記したような反応スキームは支持することができる。反応は(1)DDQなしまたは非過剰でイミニウムイオンを発生すること、(2)78℃でアルコールを添加することにより注意深く行うのが望ましい。アリルアルコールは他の代替え物であり、それからくるアリルエーテルは2−プロペニルエーテルのイリジウム触媒異性体化加水分解により除去できる。それらのアルコールとそのメチルエーテルが安定で単離できる多くの前例がある。
以上に代わるシドロキシル反応スキームもこの発明の範疇に入るものである。これらはポロノフスキー反応(Grierson,D.The Polonovsy Reaction.Org.React.1990,39,85−295)を用いるものであって、図10、スキームVに示すようにII−2について行われる。かくしてII−2はN−酸化物V−1に変換され、ついでトリフルオロアセチル化されてN−OTFA中間体V−Aとなり、これが再配列されてO−TFA誘導体V−2となる。K2CO3−MeOH処理下での脱保護によりチロGが完成される。該製品の完全な特徴付けはMSおよびNMR分光により行われる。これは12a−ORおよび12a−OHの配列および/または相互転換の決定を含むものである。
Grierson,D.The Polonovsy Reaction.Org.React.1990,39,85−295
(c)チロインジシンFの合成。チロGについて開発された方法論は図11、スキームVIに示すようにチロF合成にも適用できる。4−メトキシベンズアルデヒド(VI−1)を3,4−ジメトキシフェニル酢酸(I−4)で縮合するとカルボキシル酸VI−2が得られ、これをLiAlH4で還元して得られたアルコールをトシレーションしてトシレートVI−3が得られる。トシレートをエチル(+)−(S)−2−ピロリジン−5−カルボキシレートナトリウム塩で置換すると付加物VI−4が得られる。エステル機能の還元につづくスワーン酸化によりアルデヒドVI−5が得られ、該アルデヒドは還元環化して飽和アルコールVI−6とVI−7を得る。チロGの合成におけるように、VI−6は一連のPCC酸化−NaBH4還元によりVI−7に変換できる。チロGの例と同様に、X線分析で立体化学を確認する。
マルチンスルフラン脱水反応がVI−7について行われて不飽和中間体VI−8が得られ、これをLiAlH4で還元してVI−9、抗腫瘍活性NSC−717335のチロFアナローグが得られる。インドリジディンC−8aにおけるHO−またはRO−機能の取付けがチロGについて述べられたプロセスにより完成される。製品の完全な特徴付けはMSおよびNMR分光により行われ、8a−ORおよび8a−OH基の配列を含むものである。
(d)チロインジシンIの合成。チロIが遊離フェノールOH機能を有する限りでは、図12、スキームVIIに示すように保護基が必要である。強力な保護基、例えばベンジルが望ましい。II−2の水素添加を試みると、Pd−Cと一緒の1原子H2下中性状態下で二重結合は減少しない。したがってベンジル基の除去に伴う問題はほとんどない。
しかし必要なら、これに代わるスキームとしてはt−BuPh2Siまたは(i−Pr)3Si保護を用いるが、これはFで除去可能である。(これに代えて、いかなる非水素化分解状態下でもベンジルは離すことが可能である。)したがって3−ベンジルオキシ−4,5−ジメトキシベンズアルデヒド(VII−1、アルドリッチまたは調製;またはシリル保護等価物)を3,4−ジメトキシフェニル酢酸で縮合するとカルボキシル酸VII−2が得られる。
LiAlH4による還元、ついで得られたアルコールのトシレーションによりトシレートVII−3が得られる。エチル(+)−(S)−2−ピロリジン−5−カルボキシレートナトリウム塩による置換により付加物VII−4が得られ、これをNaBH4還元し、中間体アルコールをスワーン酸化するとアルデヒドVII−5が得られる。還元環化によりアルコールVII−6bとVII−7との混合物が得られる。反応の立体選択性はNMR分光およびHPLCにより検査できる。立体化学はX線結晶学により決定できる。ジアストマー(diastomer)の分離はクロマトグラフィーにより行うことができる。VII−6は一連のPCC酸化−NaBH4還元によりVII−7に変換される。
マルチンスルフラン脱水反応剤は特定の立体化学のアルケンVII−8を与える。LiAlH4還元、ついでスキームII(II−2のII−3への変換)におけるようなSeO2−t−BuOOHヒドロキシル反応によりベンジルアルコールVII−10が得られる。化合物の相対的構造は1D、2DNMR分光により決定される。もし適当な結晶が得られるならばX線結晶学でもできる。酸でVII−10を処理することにより脱水反応が滑らかであることが証明される。水素添加(H2/Pd−C)(またはシリル基、Bu4NF)により目的のチロIが得られる。該化合物はMSおよびNMR分光により特徴付けできる。
(e)チロインジシンHの合成。そのアリル基への非対称的な置換パターンの故に、チロインジシンHはフェナンスレン閉環(図13、スキームVIII)についてより直接なアプローチを必要とする。ある予備的な研究の結果によると、VIII−4の非ヨード化タイプへのVOF3閉鎖は悪い異性体になることが示されている。かくして3,4−ジメトキシフェニル酢酸はイオジンモノクロライド(ICI)を使ってオルソ−ヨード化されて2−イオド−4,5−ジメトキシフェニル酢酸VIII−1を与える。
同様にして、3−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒドのヨード化により3−ヒドロキシ−2−イオド−4−メトキシベンズアルデヒドVIII−2を得て、ベンジル化(t−BuPh2SiClまたは(i−Pr)3SiClでシリル化)され、VIII−3を得る。前の例で用いた状態下でVIII−1をVIII−3で縮合すると、カルボキシル酸VIII−4が得られる。CuCNまたはPd(PPh3)4を使ったウルマン−タイプカップリングの閉環はフェナンスレンカルボキシル酸VIII−5を生じる。LiAlH4による還元と中間体アルコールのトシレーションによりトシレートVIII−6が形成される。
エチル(+)−(S)−2−ピロリジン−5−カルボキシレートナトリウム塩によりトシレートを置換すると付加物VIII−7が形成される。NaBH4による還元と中間体アルコールのスワーン酸化によりアルデヒドVIII−8が形成される。チロG合成(スキームI)の結果に近く還元環化が続き、化合物VIII−9とVIII−10について示したような正しい立体システムを形成する。NMR研究、もし可能ならX線結晶構造、を使って構造を確定する。マルチンスルフラン脱水剤を使って、つづいてLiAlH4還元、保護基の除去によりチロインジシンHが形成される。
チロインジシンアナローグの合成。(a)一般的考察。アナローグII−3(NSC−716802)およびII−2(NSC−717335)およびチロH、Iは60パネル実験スクリーンにおいて人間から引き出された腫瘍に対して活性であるという発見に基づくと、チロインジシンは変更に対して全く許容性であり、芳香族システムのみならずインドリジディンシステムにおいてもそうである。非ヒドロキシル化インドリジデインチロH、IおよびII−2は活性であるという事実は、OH基は強力な抗腫瘍活性に絶対に必要ではないが活性を約108MのGI50を超えて増加させるのに寄与する、という観念に支持を与えるものである。OH基を欠くチロインジシンアナローグはヘミアミナル(hemiaminal)、チロF、Gより化学的に安定である。
チロインジシンへの2通りの変更は(1)インドリジディン環システム中での変更と(2)芳香族システムでの変更とで作られる。前者は活性に対して深い効果を有しており、それは一連の腫瘍に対する活性のスペクトルを含んでいる。後者はlogPおよび溶解性と薬剤性質と引出しにおいて重要である関連パラメータに役立つ。
(b)チロインジシンシリーズにおけるコンジナーの合成。図14、スキームIXはコンジナーの一覧リストを示し、該コンジナーは鉛化合物について開発されたルートからの1または2ステップのプロセスにより簡単に形成できるものである。
チロインジシンGのクイノリジデインアナローグの合成。ディールス−アルダールートによりそのラセミ混合物として一群のキノリジジンアルカロイドが合成された。しかしそれらはいずれも抗腫瘍活性については明らかにはスクリーンされていない。図16、スキームXに要約された合成が行われる。必要なエチル(S)−5−オキソ−ピペリジン−2−カルボキシレートは合成するには高価である。合成を進めるにはラセミ化合物(アルドリッチ)が使われ、もし活性化合物が現れたら、光学的に活性な材料に切り換える。
溶解6員環システムはチロインジシン合成の溶解5,6−システムとは異なった挙動をするので、違うプロセスが必要となろう。X−1を形成する初期の縮合は前の例のように進むだろうが、還元閉環は濃縮アルコールX−2+エピマーの異なる異性体混合物を形成する。構造はボールマンバンド(Bohlmann bands)と呼ばれる簡単なIRC:Hストレッチで認識できる(Wenkert,E.;Roychaudhari,D.K.The C−3 configuration of certain indol alkaloids.J.Am.Chem.Soc.1956,78,6417−6418)。X線結晶構造が得られるだろう。またDDQ脱プロトン化はX−4中に形成されたイミニウム種として異なる挙動をして、多分より安定な存在物を形成する。他のチロインジシンのアナローグは同様に合成できる。
Wenkert,E.;Roychaudhari,D.K.The C−3 configuration of certain indol alkaloids.J.Am.Chem.Soc.1956,78,6417−6418
支援合成。(a)支援合成。(a)親和性クロマトグラフィーのためのリガンドの合成。活性薬剤と相互作用する蛋白質を単離するための実験のためには、第3OH基はそのような共役には有用でないので、CH−セファロース4Bに付加するための反応性アミノ基を伴った活性化合物が望ましい。チロH、IのフェノールOH基は機能するだろうが、アミノ基が望ましい。化合物II−2(NSC−717335)のアナローグの合成を図17、スキームXIに示す。
かくして3−クロロメチル−4−メトキシベンズアルデヒドXI−1がナトリウムベンジレートで反応されて3−ベンジルオキシメチル−4−メトキシベンズアルデヒドXI−2を形成する。これに代えてシリル保護を用いることもできる。スキームI、IIに要約されたプロセス中でこの保護アルコールを用いて、XI−3が合成できるが、これはII−2のベンジルオキシ−(またはシリルオキシ−)メチルアナローグである。水素化分解(または他の多くの方法)(またはシリルについてはBu4NF)トシレーション、アジド置換によるベンジル脱保護および還元(ハイドロジェネエーションまたはPh3Pとの反応により)の手順を用いて、アミノメチルアナローグXI−4が形成できる。活性化CH−セファロース(ファルマシアにより活性エステルと言われている)との反応によりセファロース薬剤共役XI−5が形成される。例えば化合物XI−4が抗腫瘍活性について検査できる。
チロGアナローグは、XI−4のアミノ機能の保護ついではスキームIVまたはVにおける化学を行うことにより形成できる。フォルミル基は、酸または塩基中で除去できかつスキームIVのDDQ反応剤またはスキームVのトリフレーション(triflation)ステップに耐えることができるので、保護基として機能できる。合成はスキームXI(XI−4、XI−7)に示すように進む。これに代えてXI−3からのアジド誘導体をヒドロキシル反応させることもでき、製品を還元し、ついで活性化CH−セファロースとの共役に付す。他のアナローグ(チロH、I)および同族体として合成された活性化合物も同様にセファロース上での不動化のために変更できる。
これに代わる手順はDCB−3500、−3501およびー3503のテザー化(tethered)アナローグに至る。アリル環上のアミノ基または選択的に保護されたOHはテザー(tether)を塩基分子に連結または合成するアンカーとして機能する。
(b)ラジオラベリング(radiolabeling)のための化合物合成。ラジオラベリングは2通りの手順のいずれでも行える。つまり(1)最終製品上での3H2による触媒交換ラベリングと(2)LiAl3H4を使ってのアミド還元、ついでチロF、Gについてのヒドロキシル反応によるものである。交換反応はチロH、Iについては選択的な手法であって、敏感なヘミアミナル機能を有していない。チロF、Gについてはより手間の掛かる2ステップ手順がより有用である。しかしいかなる化合物における再配列も可能である。深い研究から選択された活性同族体はラジオラベリングのために評価される。
以下はこの発明の図6、8に示された化学的合成の実験的記載である。
(+)−(S)−チロフォリン(図6、8)の総合成。実験的セクション。3,4−ジメトキシフェニル酢酸(I−1)。3,4−ジメトキシフェニルアセトニトリル(12.1g、68.0mmol)および水酸化ナトリウム(7.1g、178mmol)を水(21mL)とエタノール(10mL)との混合物に溶解し、還流下で10h加熱した。溶液を室温に冷却し水(50mL)で希釈しエーテル(3X40mL)で抽出した。真空中で溶解したエーテルを水性層から除去した。希釈塩酸による水性(エーテルなし)溶液の酸性化により白色沈殿物を得た。懸濁液を4℃に冷却して沈殿物を濾過回収してI−1(11.8g、88.6%)を得た。mp97−99℃。
2,3−ビス−(3,4−ジメトキシフェニル)アクリル酸(I−3)。ベラトラルアルデヒド(I−2)(15.6g、94.0mml)、酸I−1(20.0g、104mmol)、無水酢酸(40mL)およびトリエチルアミン(20mL)を100℃で一緒に蒸気を排除して24h加熱し、溶液を室温に冷却し、水(100mL)を添加し、混合物を1h攪拌した。ついで混合物を水性炭酸カリウム(75g、250mL)中に注ぎ、ガム状の材料が全て溶解するまで還流した。得られた溶液を冷却して、エーテル(2x50mL)で抽出し、濃縮塩酸(pH5)で注意深く酸性化して白色沈殿を形成した。分離した固体を回収してメタノールから再結晶化してI−3(11.2g、68%)を得た。1HNMR(300MHz,CDCl3):δ7.67(s,lH),6.56−6.69(m,6H),3.90(s,3H),3.65(s,3H),3.62(s,3H),3.46(s,3H).13CNMR(75MHz,CDCl3):δ168.42,149.78,149.11,148.42,148.00,140.23,129.50,128.62,127.30,125.18,122.10,112.80,112.36,111.38,110.36,55.94,55.78,55.24,52.35。
メチル2,3−ビスー(3,4−ジメトキシフェニル)アクリレート(I−4)。2,3−ビスー(3,4−ジメトキシフェニル)アクリル酸I−3(3.44g,10.0mmol)を無水メタノール(150mL)中の1.5%濃縮硫酸の溶液中に溶解し、得られた溶液を10h還流加熱した。減圧下で溶媒を蒸発させた後、クロロフォルム(100mL)と水(50mL)を残留オイルに添加した。有機相を分離し、水性相をクロロフォルム(2x30mL)で抽出した。一緒にされた有機相を10%NaHCO3(50mL)、水(40mL)、ブリンで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を蒸発させて製品I−4(3.14g、95.3%)を形成した。1HNMR(250MHz,CDCl3):δ7.77(s,1H),6.52−6.69(m,6H),3.90(s,3H),3.84(s,3H),3.81(s,3H),3.79(s,1H),3.46(s,3H)。
メチル2,3,6,7−テトラメトキシフェナンスレン−9−カルボキシレート(I−5)。乾燥CH2Cl2(400mL)中のI−4(7.2g、20mmol)の冷却溶液にトリフルオロ酢酸(60mL)を添加し、ついでバナジウム(V)オキシトリフルオライド(7.2g、6.00mmol)を添加した。5℃で2日間攪拌した後、反応混合物を1M水性クエン酸で冷却し、有機層を1M水性クエン酸(3X120mL)とブリンで洗浄した。有機層を乾燥し(Na2SO4)、ショットシリカゲルカラムで濾過して溶媒の蒸発後にエステルI−5を得た(6.72g、94.3%)。1HNMR(300MHz,CDCl3)δ8.65(s,IH),8.42(s,1H),7.79(s,1H),7.75(s,1H),7.26(s,1H),4.14(s,3H),4.13(s,3H),4.08(s,3H),4.04(s,3H),4.02(s,3H).13CNMR(CDCl3,75MHz)δ168.36,151.38,149.41,149.14,130.14,127.29,125.30,124.71,124.37,122.34,109.44,107.03,102.85,102.65,56.37,56.26,56.22,56.15,52.36。
(2,3,6,7−テトラメトキシフェナスレン−9−yl)メタノール(I−6)。乾燥THF(100mL)中の冷却リチウムアルミニウムハイドライド懸濁液(2.70g、70.0mmol)に乾燥THF(200mL)中のI−5(3.56g、1.00mmol)の溶液を30分間滴下添加して、窒素雰囲気下で放置した。反応混合物を室温に4h温め、0℃に冷却し、その温度でエチルアセテート(100mL)と2N塩酸(70mL)とを添加した。沈殿物を濾過してエチルアセテートで洗浄した。濾過物を濃縮し、残留オイルをフラッシュカラムクロマトグラフィー(4:1 CH2Cl2−EtOAc)で精練してI−6(6.04g、91.6%)を得た。1HNMR(300MHz,CDCl3)δ7.72(s,1H),7.66(s,1H),7.46(s,1H),7.08(s,1H),5.04(s,2H),4.09(s,3H),4.07(s,3H),4.01(s,3H),3.96(s,3H).13CNMR(75MHz,CDCl3)δ148.95,148.63,148.43,148.37,131.82,125.57,124.72,124.34,124.24,123.61,108.10,104.56,102.93,102.46,64.50,55.93,55.90,55.82,55.74。
2,3,6,7−テトラメトキシフェナンスレン−9−yl)メチルp−トルエンスルフォネート(I−7)。CH2Cl2(10mL)中の氷冷アルコールI−6(570mg、1.86mmol)とトリエチルアミン(210mg、2.08mmol)溶液にCH2Cl2(6mL)中のp−トルエンスルフォニルクロライド(400mg、2.05mmol)を添加し、反応混合物を室温で10min攪拌した。混合物に水(20mL)を添加し、有機層を分離して飽和NaHCO3、水とブリンで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。真空中で溶媒を除去して、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100:2 CH2Cl2−CH3OH)で精練してI−7(737mg、88%)を得て、つぎのステップで直接に使用した。
エチル(S)−5−オキソ−1−(2,3,6,7−テトラメトキシフェナスレン−9−ylメチル)ピロリジン−2−カルボキシレート(I−8)。DME(10mL)中のエチル(S)−(+)−2−ピロリドン−5−カルボキシレート(408mg、2.68mmol)の溶液をDME(6mL)中のナトリウムハイドライド(62mg,2.6mmol)の攪拌懸濁液に、氷浴温度N2下で、滴下添加した。全てのナトリウムハイドライドが反応したとき、トシレートI−7(1.10g、2.28mmol)を添加し、反応混合物を70℃で72h加熱した。溶媒のほとんどが蒸発した後、2Nエタノールカリウムハイドロオキサイド(20mL)中で終夜還流させて鹸化した。反応混合物を室温に冷却し、クロロフォルム(100mL)を添加し、有機層を1NHClとブリンで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶液を蒸発させ、残留オイルをカラムクロマトグラフィー(6:1 CH2Cl2−EtOAc)で精練してI−8(706mg、66.3%)を得た。mp185−186℃,[α]D 22+113.8°(c1.0,CH2Cl2).IR(KBr)3447,2930,2849,1737,1687,1513,1476,1435,1258,1201,1150,1064,1636,774cm-1.1HNMR(300MHz,CDCl3)δ7.82(s,1H),7.79(s,1H),7.63(s,1H),7.42(s,1H),7.17(s,1H),5.53(d,J=14.7Hz),4.42(d,J=14.4Hz,1H),4.13−3.98(m,14H),3.82(dd,J=4.2Hz,J=9.3Hz,1H),2.68−2.56(m,1H),2.45−2.35(m,1H),2.20−1.95(m,2H),1.18(m,3H).13CNMR(75MHz,CDCl3)δ174.46,171.60,149.44,149.04,148.95,148.76,127.07,126.82,125.46,124.78,108.10,105.22,103.04,102.67,61.34,58.68,56.36,56.13,56.05,55.95,44.79,29.93,22.83,14.2.ESIMS Calcd for C28H29NO7(M+)467.19.Found467.193。
(S)−5−ヒドロキシメチル−1−(2,3,6,7−テトラメトキシフェナンスレン−9−ylメチル)ピロリジン−2−ワン(I−9)。THF(150mL)およびエタノール(400mL)中のI−8(6.70g、14.0mmol)の溶液に室温でNaBH4(2.06g、55.8mmol)を添加し、室温で60h攪拌した後、濃縮HCl(1mL)を添加し、混合物を1h攪拌し、溶媒を蒸発させ、残留オイルをフラッシュカラムクロマトグラフィーで精練してI−8(5.53g、92.7%)を得た。mp236−237℃.[α]D 22+97.6°(c1.0,CH2Cl2)IR(KBr)3434,2936,2835,1727,1662,1622,1512,1475,1435,1256,1199,1149,1064,1038,840,773cm-1.1HNMR(300MHz,CDCl3)δ7.77(s,1H),7.73(s,1H),7.55(s,1H),746(s,1H),7.14(s,1H),5.39−5.35(d,J=12Hz,lH),5.45−4.55(dd,J15Hz,1H),4.09(s,1H),3.78(m,lH),3.49(m,2H),2.70−2.65(m,1H),2.47−2.08(m,1H),1.92(m,2H).13CNMR(75MHz,CDCl3)δ175.62,149.43,149.04,148.96,148.78,127.48,126.35,125.41,124.87,124.64,124.43,108.05,104.92,103.14,102.65,62.57,58.64,56.39,56.12,56.01,55.93,44.51,30.75,21.27.ESIMS Calcd for C24H27NO6(M+)425.2.Found425.1842。
(S)−5−オキソ−1−(2,3,6,7−テトラメトキシフェナスレン−9−ylメチル)−ピロリジン−2−カルバルデヒド(I−10)。CH2Cl2(25mL)中のオキサリルクロライド(2.2mL、25mmol)にアルゴン下−78℃でCH2Cl2(15mL)中のDMSO(3mL、52mmol)を添加した。混合物を5min攪拌し、CH2Cl2(220mL)中のアルコールI−9(5.1g、12mmol)を10min間添加した。反応混合物を30min−78℃で攪拌し、トリエチルアミン(24.6mL、176.4mmol)を攪拌しながら20min添加した。混合物を室温まで10min温め、分離用ファンネル含有水(100mL)中に注いだ。有機層を分離し、水性層をジクロロメタン(2X50mL)で抽出した。一緒にした有機層を1%HCl(50mL)、飽和NaHCO3(60mL)、水とブリンで洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーで精練し、(8:1 CH2Cl2−EtOAc)で溶離し若干黄色気味の固体状でアルデヒドI−10(5.07g、96%)を得た。mp208−210℃.[α]D 22+56.7°(c1.00CHCl3)IR(KBr)3404,2937,1729,1665,1621,1512,1475,1435,1256,1199,1149,1064,1038,841,773cm-1.1HNMR(300MHz,CDCl3)δ9.20(s,1H),7.80(s,1H),7.75(s,1H),7.60(s,1H),7.38(s,1H),7.15(s,1H),5.34−4.29(d,J15Hz,1H),4.73−4.68(d,J15Hz,1H),4.11(s,3H),4.09(s,3H),4.03(s,3H),4.02(s,3H),3.86−3.80(m,1H),2.56−2.38(m,2H),2.18−1.89(m,2H).13CNMR(75MHz,CDCl3)δ198.37,174.42,149.55,149.07,148.98,148.79,127.10,126.64,125.32,124.88,124.77,124.44,108.14,104.95,103.12,102.59,64.50,56.34,56.01,55.93,45.32,29.68,19.23.ESIMS Calcd forC24H27NO6(M+)425.2.Foundm/z425.1842。
(8bR,12aS,13R,13aS)−13−ヒドロキシ−2,3,6,7−テトラメトキシ−8b,11,12,12a,13,13a−ヘキサヒドロ−9H−9a−アザ−シクロペンタ[b]トリフェニレン−10−ワン(I−11)および(8bR,12aS,13S,13aS)−13−ヒドロキシ−2,3,6,7−テトラメトキシ−8b,11,12,12a,13,13a−ヘキサヒドロ−9H−9a−アザ−シクロペンタ[b]トリフェニレン−10−ワン(I−12)。100mLシールシュレンク管中の乾燥ベンゼン(15mL)中のI−10(2.12g、5.00mmol)溶液にベンゼン(2.0mL)中の(Bu3Sn)2O(38μL、0.75mmol)、PhSiH3(31.0μL、2.50mmol)、EtOH(585μL、2.00mmol)およびAIBN(90mg、2.5mmol)を添加した。容器をシールし、振って、80−85℃のオイル浴中に配置した。12h後TLC分析により全ての出発物質が消費されたこと示した。混合物を室温に冷却し、攪拌しながら2hに亙りテトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中の1.0M溶液の30.0mL、3.0mmol)を添加し、その終りに15mLの2NHClを添加した。反応混合物をCH2Cl2(3X50mL)で抽出し、一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、濾過し濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(3:1:0.01 CH2H2−EtOAc−CH3OHで溶離)で精練して827mg(68.8%)の化合物I−11を得た。[α]D 22+78.3°(c0.48,CHCl3);IR(KBr)3397,2937,1660,1607,1510,1464,1406,1267,1249,1202,1406,1267,1249,1202,1014,770cm-1.1HNMR(300MHz,CDCl3):δ7.19(s,1H),7.11(s,1H),7.09(s,1H),6.82(s,1H),4.86(d.J=14Hz,1H),3.98(s,3H),3.95(s,3H),3.94(s,3H),3.92(s,3H),3.41(dd,J=7.5Hz,J=16.2Hz,1H),3.30(t,1H),3.12(d,J=14.1Hz,1H),3.03(t,1H),2.69(dd,J=4.8Hz,J=9.6Hz,1H),2.44−2.21(m,3H),1.69−1.59(m,1H).13CNMR(75MHz,CDCl3):δ173.50,148.81,148.47,147.76,147.67,127.15,126.47,126.30,126.01,112.70,108.95,107.26,107.27,71.85,61.51,56.30,56.19,56.11,56.08,48.20,39.84,37.39,30.15,22.49.HRMS Calcd for C24H27NO6(M+)425.2.Found425.1842.CompoundI−12:(30%).[α]D 22−104.2°(c1.0,CHCl3).IR(KBr)3434,2934,1681,1606,1509,1462,1407,1268,1204,1119,1039,1024,1007,858,778cm-1.1HNMR(300MHz,CDCl3)δ7.30(s,1H),7.20(s,1H),7.13(s,1H),6.75(s,1H),5.02−4.97(d,J=15Hz,1H),3.98(s,3H),3.94(s,3H),3.91(s,3H),3.79(s,3H),3.78(m,2H),3.24(t,1H),3.11−3.17(m,1H),2.98−3.00(m,1H),2.33(t,2H),2.05−2.11(m,2H).13CNMR(75MHz,CDCl3)δ174.20,148.84,148.79,148.66,148.07,128.47,127.57,127.06,126.00,110.98,108.58,107.33,106.63,73.31,61.57,56.29,56.26,56.07,44.60,39.83,34.50,30.28,18.54.HRMS Calcd for C24H27NO6(M+)425.2.Found425.1842。
(8bR,12aS,13R,13aS)−2,3,6,7−テトラメトキシ−10−オキソ−8b,9,10,11,12,12a,13,13a−オクタヒドロ−9a−アザ−シクロペンタ[b]トリフェニレン−13−ylメタンスルフォネート(III−1)。CH2Cl2(35mL)中のアルコールI−11(1.06g、2.50mmol)氷冷攪拌溶液とトリエチルアミン(950mg、9mmol)にCH2Cl2(3mL)中のメタンスルフォニルクロライド(800mg、6mmol)を添加した。反応混合物を室温で10min攪拌し、混合物に水(20mL)を添加し、有機層を分離して、飽和NaHCO3、水、ブリンで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を蒸発させて得た残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100:2 CH2Cl2−CH3OH)で精練して11(1.25g、100%)を得た。mp222−224℃.[α]D 22+98.3°(c0.48,CHCl3).IR(KBr):3438,2935,1688,1607,1566,1511,1464,1410,1348,1239,1204,1174,1118,957,832,770,699cm-1.1HNMR(300MHz,CDCl3)δ7.16(s,1H),7.15(s,1H),7.04(s,1H),6.82(s,1H),5.28(s,lH),4.86(d,J=18Hz,1H),3.98(s,3H),3.97(s,3H),3.93(s,3H),3.29(s,3H),3.64(q,1H),3.36(br,1H),3.12(dd,J=2.7Hz,J=18Hz,1H),2.95(dd,J=4.2Hz,J=10.2Hz,1H),2.33(m,3H),1.98(m,1H).13CNMR(75MHz,CDCl3)δ174.15,149.69,149.24,148.50,148.02,127.13,126.40,126.06,125.46,113.56,109.17,107.63,82.18,61.16,56.57,56.24,46.47,39.96,38.45,38.05,30.12,22.34.ESIMS Calcd for C24H27NO6(M+)503.16,Found503.163。
2,3,6,7−テトラメトキシ−8b−,11,12,12a,テトラヒドロ−9H−9a−アザ−シクロペンタ[b]トリフェニレン−10−ワン(III−2)。DMSO(5mL)中のメタンスルフォネートIII−1(350mg、0.8,mmol)とカリウムtert−ブトオキサイド(116mg,1.3mmol)の溶液を室温で6h攪拌し、水(5mL)とエチルアセテート(20mL)を添加し、有機層を分離し、水性層をエチルアセテート(3X20mL)で抽出した。有機抽出物を水とブリンで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を蒸発させて固体残留物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精練してIII−2を得た(236mg、82.6%)。mp252−254℃,[α]D 22+108°(c0.25,CHCl3).IR(KBr):3438,2933,2837,1680,1620,1514,1468,1424,1249,1211,1148,1044,774,699cm-1.1HNMR(300MHz,CDCl3)δ7.82(s,1H),7.81(s,1H),7.27(s,1H),7.16(s,1H),5.32(d,J=16.2Hz,1H),4.50(d,J=16.5Hz,1H),4.11(s,3H),4.10(s,3H),4.04(s,3H),4.03(s,3H),3.93(m,1H),3.47(dd,J=6Hz,J=15.9Hz,1H),3.86(t,1H),2.62−2.51(m,3H),2.205−1.99(m,1H).13CNMR(75MHz,CDCl3)δ173.96,148.83,148.63,124.88,124.30,123.43,123.36,122.71,103.66,103.28,103.23,102.68,56.06,55.90,53.22,41.13,33.56,30.24,25.37.ESIMS Calcd for C24H25NO5(M+)407.17,Found407.173。
(+)−(S)−チロフォリン。THF(5mL)中のリチウムアルミニウムハイドライド(50mg、1.35mmol)の攪拌溶液に氷浴温度でIII−2(110mg、0.27mmol)の溶液を添加し、反応混合物を室温に温め、4h攪拌した。氷水、EtOAc(5mL)、CH2Cl2(20mL)および飽和NH4Cl(0.5mL)を添加し、混合物を1.5h攪拌し、セライトのパッドで濾過して、減圧下で溶媒を除去し、残留物をAl2O3(100:0−1.5 CH2Cl2−CH3OH)上でクロマトグラフィーして、(+)−(S)−チロフォリン(94mg、88.6%)を得た。mp(230℃dec)melt260−261℃;[α]D 22+49°(c0.475,CHCl3).IR(KBr):3435,2960,1619,1513,1470,1425,1247,1211,1198,1151.0cm-1.1HNMR(300MHz,CDCl3)δ7.82(s,2H),7.31(s,1H),7.15(s,1H),4.63(d,J=14.4Hz,1H),4.12(s,6H),4.06(s,6H),3.68(d,J=14.4Hz,1H),3.49(t,J=8.4Hz,1H),3.39(d,J=15.3Hz,1H),2.94(t,J=12.3Hz,1H),2.47−2.53(m,2H),2.22−2.30(m,1H),1.95−2.09(m,2H),1.76−1.85(m,1H).13CNMR(75MHz,CDCl3)δ148.51,148.31,148.23,126.12,125.65,124.16,123.49,123.29,103.83,103.28,103.16,102.97,60.21,56.03,55.92,55.87,55.12,53.94,33.17,31.28,21.68.ESIMS Calcd for C24H27NO4(M+)393.19,found393.194。
以下この発明の図7に示す化学合成の実験例を記載する。(S)−2,3,6,7−テトラメトキシ−8b,12,12a−テトラヒドロ−9H,9a−アザ−シクロペンタ[b]−トリフェニレン−10−ワン(II−1)。CH2Cl2(5mL)中のマルチンスルフラン脱水反応剤、ビス[α,α−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンメタノラート]−ジフェニルスルファー(806mg,1.2mmol)をCH2Cl2(6mL)中の化合物I−12(255mg,0.6mmol)の溶液に−78℃で添加した。反応混合物を室温に温め、6h攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(6:2:0.2 CH2Cl2−EtOAc−CH3OHで溶離)で精練して製品II−1(99mg、81.6%)を固体状で得た。mp123−125℃;[α]D 22+108°(c0.27,CHCl3).IR(KBr)3435,2935,2833,1682,1606,1510,1463,1407,1268,1205,1119,1040,858,778cm-1.1HNMR(300MHz,CDCl3)δ7.31(s,1H),7.18(s,1H),7.12(s,1H),6.93(s,1H),5.84(d,J=1.2Hz,1H),4.91(d,J=14.4Hz,1H),4.34(t,1H),3.99(s,6H),3.94(s,3H),3.93(s,3H),3.52(br,1H),3.12(dd,J=5.4Hz,J=14.8Hz,1H),2.57−2.29(m,3H),1.62−1.55(m,1H).13CNMR(75MHz,CDCl3)δ172.28,149.36,148.23,147.55,136.80,129.25,128.50,126.57,126.45,122.84,107.95,107.26,106.73,106.33,56.41,56.30,56.19,56.06,54.99,38.50,36.27,31.54,25.81.HRMS Calcd for C24H27NO5(M+)407.17;Found407.173.Anal.Calcd for C24H25NO5−H2O:C,67.75,H,6.40,N,3.29.Found:C,67.55,H,6.05,N,3.30。
(S)−2,3,6,7−テトラメトキシ−8b,9,10,11,12,12a−ヘキサヒドロ−9a−アザ−シクロペンタ[b]−トリフェニレン(II−2)。THF(6mL)中の化合物II−1(163mg,0.4mmol)の溶液に−78℃で新たに用意されたアラン(THF中の0.25M溶液のAlH3、5.2mL、1.3mmol)をゆっくり添加し、反応混合物を−20〜−15℃に2.5h攪拌しながら温め、反応混合物を再び−50℃に冷却し、5:95−水−THF(3.5mL)で冷却した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を0.01NNaOH(4.5mL)とCH2Cl2(25mL)との間で仕切りした。水性層をCH2Cl2(3X10mL)で抽出し、一緒にした抽出物をブリン(10mL)で洗浄し、(Na2SO4)上で乾燥し、減圧下で濃縮した。製品をシリカゲル(100:3:0.05 CH2Cl2−CH3OH−NH4OHで溶離)上でフラッシュクロマトグラフィーで精練して化合物II−2(119mg、75.5%)を得た。
(12S,13S)−2,3,6,7−テトラメトキシ−9,10,11,12,12a,13−ヘキサヒドロ−9a−アザ−シクロペンタ[b]トリフェニレン−13−olおよびチロインジシンG。二酸化セレン(84mg、0.776mmol)を氷浴温度に保たれたジオキサン(1mL)と蟻酸(99%純度、2mL)中の化合物II−2(150mg,0.36mmol)の溶液に添加した。混合物を室温に温めた後、2.5h攪拌し、混合物を水(5mL)とCH2Cl2(25mL)で溶離し、セライトのパッドに通して非溶解材料を濾過し、濾過溶液をCH2Cl2(2X20mL)で抽出し、有機層を飽和Na2S2O3溶液とNaClで洗浄し、無水MgSO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(100:3 CH2Cl2−CH3OHで溶離)上でクロマトグラフィーしてII−3aとII−3bとの混合物(102mg、60%)と50mg(30%)のII−4(チロインジシンG)を得た。両方ともそのNMRスペクトルの真材料との比較により識別した。
バイオ的な研究。化合物II−3(NSC−716802)を実験的な細胞培養研究でテストした。NCIデータを実質的にSK−MEL−2(GI50=0.16μM)とSK−MEL−28(GI50=0.7μM)細胞ラインで確認した。加えて、強力な活性が2通りの追加的な細胞ラインで示された。KB(頭および首癌)(GI50=0.2μM)およびHepG2(肝臓癌)(GI50=0.06μM)。
交叉抵抗(cross−resistance)研究やクロノジェニック(clonogenic)分析および細胞サイクル発展への効果を含むいくつかの研究が化合物II−3(NSC−716802)を使って細胞培養中で行われた。毒性および実験的な抗腫瘍研究がマウスにおいて化合物II−3(NSC−716802)を使って行われた。2種のチロインジシンアナローグII−3とII−2の成長抑止比較研究が細胞培養中で行われた。
図18、表1A、1Bに示すように、種々の抗腫瘍薬剤に抵抗するいくつかのKBおよびHepG2細胞ラインが開発された。データによると、VP−16(エトポサイド)、VCR(ビンクリスチン)、CPT(カンプトセシン)およびDOX(ドキソルビシン)に抵抗性になった細胞はII−3(図中ZH−152とされている)に敏感である。さらにこれらから、II−3および他のチロインジシンの特有な行動の概念が支持され、II−3(および他のチロインジシン)の行動のモードは抗癌薬剤のそれとは異なるという概念が支持される。
図19に示すように、KBとHepG2細胞がクロノジェニック効率を決定するのに利用された。細胞ラインは図2に示す濃度でII−3に24時間曝露された。ついでそれらは薬剤なしで成長した。8代後、コロニーは染色されて計数された。HepG2細胞はKB細胞よりII−3に敏感であった。
図20に示すように、KBとHepG2細胞ラインを使って、化合物II−3(1X5日、ip)は細胞成長懸濁液を呈した。成長抑制はS−相発展の原因となる目標における抑制に起因するものであった。該相はDNA複製に密な関係がある。HepG2細胞のKB細胞に対する優勢的な殺戮はこれらの2種の細胞ラインに異なるバイオ化学的決定因子が関与していることを示唆している。
図21に示すように、C57Bl/6マウスを使って、化合物II−3に対する急性毒性は管理可能でありかつ10日当り10mg/kgの投与量を抗腫瘍活性に使用できることおよびさらなる研究が確立された。
図22に示すように、腫瘍罹病(HepG2)マウスに1日当り10mg/kgipで5日間化合物II−3が投与された。体重損失(図5Aに示す)と腫瘍成長(図5Bに示す)とがモニターされた。顕著な体重損失なしに深い抗腫瘍効果が呈された。
培養中でのHepG2とKB細胞成長に対する化合物II−2の効力は化合物II−3の3〜5倍以上であることが発見された。これはOH基が強力な抗腫瘍活性には必要でないことを示している。OH基の不必要性は化学的合成および化学的安定性のためには強力に有利である。
実験室的研究。(a)人間腫瘍モデルに罹病したヌードマウス中における抗腫瘍活性。人間の黒色素細胞腫細胞ラインSK−MEL−2およびSK−MEL−28(106細胞)を年齢6週間のNCrヌードマウス(Taconic、Germantown、NY)の横腹中に皮下移植(s.c.)した。公式長さ−幅2/2により決定されたように腫瘍がほぼ100mgの量に達したとき、薬剤処置実験を始めた。チロF、Gが毒性テストで決められた濃度で少なくとも5マウスのグループに投与された。5日間に亙って毎日異なる量の薬剤が1回投与された。
腫瘍重量を2日目毎に計算した。腫瘍重量が2gまたはマウスの体重の10%を超えるとマウスを頚部転移で安楽死させた。腫瘍が抑制された場合には、腫瘍罹病マウスを45日間観察した。最初は各投与量間で5倍の差異でもって3回腹膜内(i.p.)投与が行われた。投与量は抗腫瘍活性および薬剤による致死に応じて調節(上下)した。LD10が使用された最大の投与量であった。一旦薬剤i.p.の抗腫瘍活性が確立されたら、経口投与(p.o.)に抗腫瘍効果が与えられ経口バイオ有用性が験された。SK−MEL−2(敏感)とSK−MEL−28(抵抗性)が使われ、これら2種の黒色素細胞腫細胞ラインはチロF、Gに対して異なる反応を有している。
(b)毒性。ヌードマウス中のチロF、Gの抗腫瘍活性を評価する過程において、体重損失(2日毎)および血液異常(4日毎)により明らかになった毒性もモニターされた。血液をテストするときには、毛細管を使って後眼窩集網叢からヘパリン化血液のサンプルを20μL採取した。これを200μLのノーマルサリンに添加しBC9100血液学分析器(Biochem Immune System、Allentown、PA)上で分析した。これによりマウス中の白血球、赤血球、血小板、ヘマトクリット、ヘモグロビン、平均小体体積、平均小体ヘモグロビンおよび血小板体積などがモニターできた。説明不能な毒性によるマウスの死亡があるときには、腸や肝臓や腎臓や肺や心臓や脳や骨髄などの組織を10%フォルマリン中で固定した。パラフィン片を動物病理学で検査した。
(c)問題となっている化合物の新陳代謝と薬力学的研究。チロF、Gの新陳代謝と薬力学が腫瘍罹病ヌードマウスにおいて研究された。放射性のチロF、Gをi.p.または経口で投与した。薬剤注入後ヘパリン化血液(200μL)を後眼窩集網叢から5、15、30min1、2、4、8および24h採取した。マイクロフュージ(microfuge)管内での濃縮後、プラズマ上澄みを清浄な管に移した。100%メタノールの2部を各プラズマサンプルに添加し、氷上で15min培養した。マイクロフュージ内で5min間ほぼ15000rpmで遠心処理した後、上澄みを清浄な管に移し、上記のHPLC分析まで70□Cで貯蔵した。
直列パッカードラジオマティックフローシンチレーション分析器(Packard Instrument Co.、Downers Grove、IL)を用いて各サンプルからの放射性をモニターした。加えて、同様な処置の後で、腫瘍および主たる器官(肝臓、腸、肺、腎臓、脳および骨髄など)中のチロ代謝産物を4、8、16、24hモニターした。ラジオラベルされたチロ代謝産物の構造的識別を分析した。曲線下のT1/2領域や隙間や分散体積などのチロF、Gの薬力学的パラメータを決定するのにWINLINソフトウエアパッケージを用いた。
(d)処置プロトコールの最適化。チロF、Gの薬力学および異なるルートでの投与と異なる処置スケジュールを用いた抗腫瘍活性の結果に基づいて、投与量と化合物のスケジュールを変更して、最低の毒性で最大の抗腫瘍活性を得た。
以下さらなる実験例を挙げる。
実験例1。材料と方法。材料。細胞培養媒体、ウシ胎児血清(FBS)をLife Technologiesから購入した。FuGENE6トランスフェクション反応剤はRocheから。標準化学治療剤、VP−16、タキソール、ヒドロキシウレア、ノコダゾール、ゲムシタビン、カンプトセシン他、フォルスコリン、12−O−テトラデカノイルフォルボル13−アセテート(TPA)、TNFαをシグマ−アルドリッチ(St.Louis、MO)およびカルビオケム(San Diego、CA)から購入した。
プラスミド。ホタルルシフェラーゼレポーターベクトルpMyc−TA−luc、pE2F−TA−luc、pAP1−luc、pCREをクロンテック、MercuryTMパスウェイプロファイリングシステムから購入した。pBIIX−lucはGhosh博士(エール大学)から提供された。レニラルシフェラーゼレポーターベクトルphRLはプロメガより購入した。
細胞培養。人間肝細胞癌細胞ラインHepG2と人間鼻咽頭癌KB細胞を10%ウシ胎児血清(FBS)を補充したPRMI1640媒体中に保持した。KB抵抗性細胞ライン、KB−MDR、KB−7D、KB−7D−Rev、KB−Hu−R、KB−Hu−Rev、KB−100、KB−100−Revを図1、表2Bに示す。
実験例2。細胞毒性分析。細胞(1X104/ウエル)24ウエル板に平板培養した。24h後、細胞を3世代回に亙って薬剤で処置した。ついで固定し50%エタノール中の0.5%メチレンブルーで2h染色し、生水で洗浄して過剰な色を除いた。板を乾燥し1%サルコシル中で懸濁させ、室温で3h回転した。分光測光器(分子動力学)で測定した細胞へのメチレンブルー吸収量から細胞成長を595nmで計量した。全ての実験は三つ組みウエルで行われ、少なくとも3回反復された(図1、表1B、1C参照)。
クロノジェニック分析。細胞(5X104/ウエル)を6−ウエル板に平板培養し、24h後、細胞を薬剤でさらに24h処置した。ついで細胞をトリプシン消化し、計数し、トリパンブルー染色により細胞生存能力を決定し、200トリパンブルーネガティブ細胞を6ウエル板に三つ組み平板培養した。ついで8〜10世代回成長させ、固定し、50%エタノール中の0.5%メチレンブルーで1h染色し、板を洗浄乾燥し、コロニーを計数した(図1、表1C参照)。
実験例3。動物研究。年齢4週の雄のNCR−ヌードマウスをタコニック(Taconic)より得て、腫瘍移植の1週間前実験室条件に順化させた。皮下注入2X106HepG2細胞により人間HepG2腫瘍異種移植を行った。10日後、腫瘍移植後11日目に8時間毎にDCB−3500、DCB−3503を30mg/kgで3投与量注入して処置を行ったI.P.。数式:腫瘍長X(腫瘍幅/2)2により腫瘍重量を推定した。(図1(a))
細胞サイクル分析。漸増濃度のDCB−3500、DCB−3503でKBとHepG2細胞を24h処置した。処置の終りに細胞をトリプシン消化して、得られた細胞懸濁液を1000rpmで5min遠心処理した。細胞を終夜70%エタノール中で4℃で固定し、1000rpmで5min遠心処理し、氷冷PBSでペレットを2回洗浄した。
細胞ペレットを50μg/mlのピロピジウムイオダイド(シグマ−アルドリッチ)と100μg/mlのRNaseA(シグマ−アルドリッチ)とを含む0.5mlPBS中に懸濁させ、37℃で30min培養し、FACスキャンで細胞探索ソフト(Becton Dickinson Labware、Franklin Lakes、NJ)を用いて分析し、そのデータをModfit LT version3.1ソフトウェア(Verity Software House、Topsham、ME)を用いて細胞サイクルプロフィルについて分析した。(図1、表3)
アポトーシス(apoptosis)分析。VybrantTMアポトーシスキット(V−13241、Molecular Probes、Eugene、OR)を用いてアポトーシスを決定した。要するに、1X106標準または処置された細胞をannexin−binding緩衝液中で再懸濁させて、Alexa Fluor488annexinVとプロピジウムイオダイドで染色し、室温で15min培養した。染色細胞をフロー血球計(Becton Dickson、Franklin Lakes、NJ)で分析した。集団を3個のグループに分離した。生存細胞は低レベル蛍光を呈し、アポトーティック細胞は緑蛍光を呈し、壊死細胞は赤と緑蛍光を呈した。WinMDI version2.8ソフトウェアを用いてデータを分析した。(図3参照)
細胞成長抑制24h、ついで薬剤細胞(1X104/ウエル)なしの細胞成長を6−ウエル板に平板培養しモニターし、細胞をさらに24h薬剤で処置した。ついで薬剤含有媒体を除去し、細胞を薬剤なし媒体中でさらに1〜8日間培養し、各培養期間の終りに、細胞を固定し50%エタノール中の0.5%メチレンブルーで染色し、1%サルコシル中で再懸濁させ、細胞成長を細胞毒性分析と同様に決定した。(図4参照)
共焦点顕微鏡。共焦点顕微鏡分析を前記と同様な手法で行った。要するに、5X104HepG2およびKBを22mmx22mmを35−mm培養皿中のガラスカバースリップ上に平板培養し、24h後、細胞を上記のように処置した。培養の終りに、細胞を4%パラフォルムアルデヒドで室温で30min固定し、0.5%トリトンX−100を用いてPBS中で室温で15min浸透化した。ついで終夜PBS中の3%BSAで培養して、非特定結合をブロックした。細胞をさらにp53抗体(1:100)、AFP抗体(1:100)またはアルブミン抗体(1:100)で室温で1h培養し、FITC−共役抗ラビットまたは抗マウス抗体を続けた。細胞をアンチフエード(antifade)反応剤(Molecular Probes)でシールし、共焦点顕微鏡をレーザースキャン共焦点顕微鏡LSM510(ツァイス)でスキャンした。(図2、4参照)。
トランスフェクションおよびルシフェラーゼ分析。HepG2細胞を2X104/ウエル(48−ウエル板)の密度で平板培養し、0.2μgのホタルルシフェラーゼレポーターベクトルpMyc−TA−luc、pE2F−TA−luc、pAP1−luc、pCRE−lucまたはpBIIX−luc(2個の縦反復NF−κB結合部位を含む)でそれぞれ、内部標準ベクトルプロモータなしのレニラルシフェラーゼレポーターベクトルphRL(プロメガ)とともに、FuGENE6TMトランスフェクション反応剤を用いて製造者の指示に従いトランスフェクトした。20h後、媒体を変えて、細胞を上記のように図凡例で示すように処置した。細胞抽出物を用意して、ルシフェラーゼ活性をデュアル−ルシフェラーゼ(ホタルおよびレニラルシフェラーゼ)分析キットを用いて製造者の指示に従って測定した。(図5A−G参照)
実験例で言及される下記を示すものである。「A.化学構造」は(+)−(S)−チロフォリン(化合物「III−2」およびDCB−3500とも呼ばれる)、DCB−3501、「図15の化合物II−3a」、図18〜22において、「ZH−152」として)、DCB−3502(「化合物II−2」とも呼ばれる)、DCB−3503(「NSC716802」、図15の「化合物II−3b」および「ZH−152」とも呼ばれる)についての構造式を与えるものである。「表1、BおよびC」は、種々の抗癌剤に抵抗性を有するKBおよびHepG2癌細胞ラインに対してのDCB−3500、DCB−3501、DCB−3502およびDCB−3503の使用についてのEC50およびLD50値を、与えるものであり、VP−16(エトポシド)、VCR(ビンクリスチン)、CPT(カンプトテシン)およびDOX(ドクソルビシン)を含むものである。
「表2A、Bおよび表3」はこの発明の化合物によりKBおよびHepG2癌細胞ラインが抑制されることを示している。表2はKB細胞およびその薬剤抵抗性細胞の成長抑制についてのDCB−3500、3501、3502,3503のEC50の効果を示す。この結果によれば、表中に示すようにDCB−3500、3501、3502、3503は従来の抗癌剤との交差抵抗性を有してなく、このクラスの化合物は抗癌について新規なメカニズムを有しており新規な蛋白質を対象としていることを示唆している。
「表2A、Bおよび表3」はこの発明の化合物によりKBおよびHepG2癌細胞ラインが抑制されることを示している。表3は細胞サイクル進展に対してのDCB−3500、3503の衝撃を示している。KBおよびHepG2細胞を種々の濃度のDCB−3500、3503で24h処理した。処理の終りにおいて、細胞を洗浄し、PBS中において再懸濁し、流体血球計算分析のためにRnaseAを含有するプロピジウムアイオダイドで染色した。Modfitソフトを用いてデータを分析した。表3に示す結果によれば、DCB−3500、3503処理はKB細胞中ではS相を誘発するがHepG2細胞中ではしないことが分かる。
グラフA、B中の「図1(a)」はヌードマウス中のHepG2腫瘍ゼノグラフトの成長に対するDCB−3500、3503の効果を示す。以下の説明は図1(a)に適用される。(A)ヌードマウス中のHepG2腫瘍の成長に対するDCB−3503の効果であって、(■)は標準、(▲)はDCB−3500、(▼)はDCB−3503である。(B)ヌードマウスの体重に対するDCB−3500、3503の効果である。HepG2細胞(2X106)をヌードマウス(平均体重20g)に10日間皮下移植した。腫瘍移植後の11日8時間ごとに30mg/kgでDCB−3500、3503をI.P.を用いて3回投与して処理を行った。腫瘍重量は式、腫瘍長x(腫瘍幅/2)2を用いて推定した。
実験例に記載したようなKBおよびHepG2細胞に対する種々の抗癌剤およびDCB−3500、3503の効果の共焦点顕微鏡写真を示す。また従来の化学療法薬剤および3500、3503に反応してのp53の調製を示す。細胞は従来の抗癌剤およびDCB−3500、3503で24h処理した。抗p53抗体を用いてp53発現レベルを共焦点顕微鏡で分析した。
実験例に記載したKBおよびHepG2細胞に対するDCB−3503の効果についての流体血球計算データを示す。2X106非処理または3503処理KBおよびHepG2細胞をAlexaFlour488annexinVおよびプロピジウムアイオダイドで染色し、流体血球計算により分析した。アポトーティック(apoptotic)細胞(右下パネル)は緑蛍光色を呈した。壊死細胞(右上パネル)は赤と緑蛍光色を呈した。
実験例に示したHepG2細胞に対する(+)−(S)−チロフォリン(「III−2」またはDCB−3500)およびアナローグDCB−3501、3502、3503の成長抑制効果を示すものである。A)HepG2における3500とそのアナローグの成長抑制効果。HepG2細胞をDCB−3500、3501、3502、3503で24h処理して、ついで薬剤を除去し、細胞成長をモニターした。(B)HepG2細胞をDCB−3500でまたはなしで24h処理して、薬剤を除去し、抗AFP抗体を使ってAFP発現を共焦点顕微鏡分析でモニターした。(C)HepG2細胞をDCB−3500でまたはなしで24h処理して、薬剤を除去し、5日後に抗炎症抗体を使って共焦点顕微鏡によりアルブミン発現を検知した。
実験例に示したように、ホタルルシフェラーゼ分析において決定されたようにNF−κB投与転写に対する(+)−(“S”)−チロフォリン(「III−2」またはDCB−3500)、DCB−3502、3503の強力な活動を示す。HepG2細胞をホタルルシフェラーゼレポーターベクターpMyc−TA−luc、pAP1−luc、pCRE−lucまたはpBIIX−luc(2個の縦列反復NF−κB結合部)で一時的にトランスフェクトした。またプロモーターレスレニーラ(promoterless renilla)ルシフェラーゼレポーターベクターである内部標準ベクターphRL−lucも用いた。トランスフェクションのつぎの日、細胞を増加した濃度の3500で1h予備処理した。ついで細胞を血清で24h刺激するか、TPA、フォルスコリンまたはTNFaで6h刺激した。プロメガの二重ルシフェラーゼ分析キットを用いてホタルおよびレニーラウシフェラーゼ活動を測定した。データはホタルルシフェラーゼ活性を呈した。
実験例に示したように、ホタルルシフェラーゼ分析において決定されたようにNF−κB投与転写に対する(+)−(“S”)−チロフォリン(「III−2」またはDCB−3500)、DCB−3502、3503の強力な活動を示す。HepG2細胞をホタルルシフェラーゼレポーターベクターpMyc−TA−luc、pAP1−luc、pCRE−lucまたはpBIIX−luc(2個の縦列反復NF−κB結合部)で一時的にトランスフェクトした。またプロモーターレスレニーラ(promoterless renilla)ルシフェラーゼレポーターベクターである内部標準ベクターphRL−lucも用いた。トランスフェクションのつぎの日、細胞を増加した濃度の3500で1h予備処理した。ついで細胞を血清で24h刺激するか、TPA、フォルスコリンまたはTNFaで6h刺激した。プロメガの二重ルシフェラーゼ分析キットを用いてホタルおよびレニーラウシフェラーゼ活動を測定した。データはホタルルシフェラーゼ活性を呈した。
実験例に示したように、ホタルルシフェラーゼ分析において決定されたようにNF−κB投与転写に対する(+)−(“S”)−チロフォリン(「III−2」またはDCB−3500)、DCB−3502、3503の強力な活動を示す。HepG2細胞をホタルルシフェラーゼレポーターベクターpMyc−TA−luc、pAP1−luc、pCRE−lucまたはpBIIX−luc(2個の縦列反復NF−κB結合部)で一時的にトランスフェクトした。またプロモーターレスレニーラ(promoterless renilla)ルシフェラーゼレポーターベクターである内部標準ベクターphRL−lucも用いた。トランスフェクションのつぎの日、細胞を増加した濃度の3500で1h予備処理した。ついで細胞を血清で24h刺激するか、TPA、フォルスコリンまたはTNFaで6h刺激した。プロメガの二重ルシフェラーゼ分析キットを用いてホタルおよびレニーラウシフェラーゼ活動を測定した。データはホタルルシフェラーゼ活性を呈した。
実験例に示したように、ホタルルシフェラーゼ分析において決定されたようにNF−κB投与転写に対する(+)−(“S”)−チロフォリン(「III−2」またはDCB−3500)、DCB−3502、3503の強力な活動を示す。HepG2細胞をホタルルシフェラーゼレポーターベクターpMyc−TA−luc、pAP1−luc、pCRE−lucまたはpBIIX−luc(2個の縦列反復NF−κB結合部)で一時的にトランスフェクトした。またプロモーターレスレニーラ(promoterless renilla)ルシフェラーゼレポーターベクターである内部標準ベクターphRL−lucも用いた。トランスフェクションのつぎの日、細胞を増加した濃度の3500で1h予備処理した。ついで細胞を血清で24h刺激するか、TPA、フォルスコリンまたはTNFaで6h刺激した。プロメガの二重ルシフェラーゼ分析キットを用いてホタルおよびレニーラウシフェラーゼ活動を測定した。データはホタルルシフェラーゼ活性を呈した。
実験例に示したように、ホタルルシフェラーゼ分析において決定されたようにNF−κB投与転写に対する(+)−(“S”)−チロフォリン(「III−2」またはDCB−3500)、DCB−3502、3503の強力な活動を示す。HepG2細胞をホタルルシフェラーゼレポーターベクターpMyc−TA−luc、pAP1−luc、pCRE−lucまたはpBIIX−luc(2個の縦列反復NF−κB結合部)で一時的にトランスフェクトした。またプロモーターレスレニーラ(promoterless renilla)ルシフェラーゼレポーターベクターである内部標準ベクターphRL−lucも用いた。トランスフェクションのつぎの日、細胞を増加した濃度の3500で1h予備処理した。ついで細胞を血清で24h刺激するか、TPA、フォルスコリンまたはTNFaで6h刺激した。プロメガの二重ルシフェラーゼ分析キットを用いてホタルおよびレニーラウシフェラーゼ活動を測定した。データはホタルルシフェラーゼ活性を呈した。
実験例に示したように、ホタルルシフェラーゼ分析において決定されたようにNF−κB投与転写に対する(+)−(“S”)−チロフォリン(「III−2」またはDCB−3500)、DCB−3502、3503の強力な活動を示す。HepG2細胞をホタルルシフェラーゼレポーターベクターpMyc−TA−luc、pAP1−luc、pCRE−lucまたはpBIIX−luc(2個の縦列反復NF−κB結合部)で一時的にトランスフェクトした。またプロモーターレスレニーラ(promoterless renilla)ルシフェラーゼレポーターベクターである内部標準ベクターphRL−lucも用いた。トランスフェクションのつぎの日、細胞を増加した濃度の3500で1h予備処理した。ついで細胞を血清で24h刺激するか、TPA、フォルスコリンまたはTNFaで6h刺激した。プロメガの二重ルシフェラーゼ分析キットを用いてホタルおよびレニーラウシフェラーゼ活動を測定した。データはホタルルシフェラーゼ活性を呈した。
実験例に示したように、ホタルルシフェラーゼ分析において決定されたようにNF−κB投与転写に対する(+)−(“S”)−チロフォリン(「III−2」またはDCB−3500)、DCB−3502、3503の強力な活動を示す。HepG2細胞をホタルルシフェラーゼレポーターベクターpMyc−TA−luc、pAP1−luc、pCRE−lucまたはpBIIX−luc(2個の縦列反復NF−κB結合部)で一時的にトランスフェクトした。またプロモーターレスレニーラ(promoterless renilla)ルシフェラーゼレポーターベクターである内部標準ベクターphRL−lucも用いた。トランスフェクションのつぎの日、細胞を増加した濃度の3500で1h予備処理した。ついで細胞を血清で24h刺激するか、TPA、フォルスコリンまたはTNFaで6h刺激した。プロメガの二重ルシフェラーゼ分析キットを用いてホタルおよびレニーラウシフェラーゼ活動を測定した。データはホタルルシフェラーゼ活性を呈した。
スキームIにおいて、この発明の化合物の合成を示す。
スキームIIにおいて、この発明の化合物の合成を示す。
スキームIIIにおいて、図6、7のスキーム1、2の有用性の確認を示す。
スキームIVにおいて、この発明によるチロインジシンGの合成を示す。
スキームVにおいて、この発明によるポロノフスキー(Polonovsky)反応を使った他のヒドロキシル化スキームを示す。
スキームVIにおいて、この発明によるチロインジシンFの合成を示す。
スキームVIIにおいて、この発明によるチロインジシンIの合成を示す。
スキームVIIIにおいて、この発明によるチロインジシンHの合成を示す。
スキームIXにおいて、この発明によるチロインジシンシリーズの同族体の合成を示す。
この発明のチロインジシンアナローグNSC717334、712822、717336、716802(DCB−3501、3503)の構造式を示す。
スキームXにおいて、この発明によるチロインジシンGの合成を示す。
スキームXIにおいて、活性化CH−セファロース−NSC−717335プロドラッグの合成を示す。
DCB−3503を用いたKB細胞ライン中での交差抵抗性の研究を示す。結局VP−16、VCR、CPTまたはDOXに抵抗性を有するようになった細胞はそれでもZH−152には敏感である。
クロノジェニック(clonogenic)分析におけるDCB−3503(ZH−152)の効果を示す。図示のように容器当り5X104で細胞を種付けし、DCB−3503を1/3、1Xおよび3XIG50の濃度で添加した。24hの処理後、細胞を計数して新たな6容器板に容器当り200細胞を種付けした。8世代の時間の後、コロニーをメチレンブルーで染色し計数した。HepG2のクローン効率は10%であり、KBについては94%であった。両細胞ラインを上記濃度のDCB−3503に24h曝した。薬剤処理後の細胞のクローンジェニック(clonegenic)効率の損失を示す。HepG2はKB細胞より遥かに敏感であった。このことは先の異なる過程を使った観察を支持するものである。
KBおよびHepG2細胞成長へのDCB−3503の効果を示す。DCB−3503は両細胞ラインのS相における細胞進化を遅延させる。かくしてDCB−3503によるそれら2種の細胞ラインの成長抑制はS相進化に関連する目標における抑制によるものである。さらなる生化学的決定要素はKBに対するHepG2の優先的な殺戮(クロノジェネシティ(clonogenecity)の損失)に役目を果たすのかもしれない。
C57BL/6マウスにおけるDCB−3503の毒性研究を示す。DCB−3503は重量損失を起こすことにより10mg/kgの研究において毒性を呈した。
DCB−3503を用いた毒性および腫瘍成長抑制を示す。DCB−3503はヌードマウス(1実験)におけるHepG2成長に対して強力な抑制活動を呈した。
DCB−3503を用いた毒性および腫瘍成長抑制を示す。DCB−3503はヌードマウス(1実験)におけるHepG2成長に対して強力な抑制活動を呈した。