JP2005529063A - 細胞毒性薬剤としての抗体‐アビジン融合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

アポトーシスの誘発及び/又は細胞増殖の抑制のための方法および組成物を提供する。本方法は、標的誘導成分およびアビジン成分で構成される細胞毒性物質に細胞を曝露することを含み、前記方法で標的誘導成分は細胞上に存在する1つまたは2つ以上のレセプターと結合することができる。本発明は、アビジン成分を無毒な標的誘導成分に結合させることによって、in vivoおよびin vitroの両方で腫瘍細胞を処置するために用いることができる細胞毒性物質が生成されるという発見を基にしている。本発明の細胞毒性物質では、以前には抗体-アビジン標的誘導担体に結合されていたビオチン化毒性薬剤の使用が省略される。

Description

本発明は、一般にアポトーシスの誘発及び/又は増殖の抑制のために細胞を処置(treat)する組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、無毒な標的誘導成分を、多様な細胞集団においてアポトーシスを誘発し、及び/又は増殖を抑制する細胞毒性物質に変換可能である事実を見出したことに基く。
本発明の背景の説明および本発明の実施に関して更に詳細な説明を提供するために本明細書に引用された刊行物および他の参考文献は、参照により本明細書に含まれる。便宜のため前記参考文献は番号によって引用し、添付の文献目録で分類される。
特定の標的細胞に薬剤を運搬することができる医薬組成物の開発について医療業界には強い関心が存在する。そのような組成物は、これまでは典型的には対象となる薬剤または診断薬に結合させた誘導成分または輸送成分を含んでいた。細胞表面に存在する抗原性レセプターを標的とする抗体が特によく知られていた。これらの抗体は多様な薬剤および診断薬を細胞表面に輸送することができる。多くの事例で、完全な抗体-薬剤結合物がレセプター仲介エンドサイトーシスにより細胞内に摂取される。
アビジンとビオチンとの間の結合は自然界で見出される最も強い親和性を有する結合反応の1つであり、分子解離定数は10-15Mであり、リガンド解離の半減期(t1/2)は89日である(非特許文献1)。アビジンは64,000ダルトンのホモテトラマー糖タンパク質であり、副作用を生じることなく高濃度でヒトに投与されてきた(非特許文献2)。アビジンの16,000ダルトンの各モノマーは、水溶性ビタミンであるビオチンに対して高親和性の結合部位を含んでいる。アビジンのcDNA遺伝子は1987年にクローニングされ、その結果、アビジンはリコンビナントDNA技術を用いて日常的に製造されて生きた(非特許文献3)。
アビジン-ビオチン結合は、誘導抗体と多様な薬剤および診断薬との結合で使用するためにふさわしい選択であった。典型的には、アビジンは第一に抗体と結合され抗体-アビジン標的誘導担体を形成する。続いてこの標的誘導担体を予めビオチン化しておいた薬剤または診断薬と反応させる。アビジンは抗体と化学的に結合させることができるが、好ましい方法では、リコンビナントDNA技術を用いて遺伝子工学により抗体およびアビジンの両者を含む融合タンパク質が生成される(非特許文献4)。癌の治療に使用される抗腫瘍トキシンを含む多様な他のタイプの薬剤の輸送に抗体-アビジン融合タンパク質が用いられた(特許文献1)。例えばビオチン化アンチセンスオリゴヌクレオチドを抗体-アビジン融合タンパク質標的誘導担体に結合させて遺伝子療法で有用な組成物が作製された(特許文献1および特許文献2)。抗体-アビジン融合タンパク質はまた、癌の治療に使用される抗腫瘍トキシンを含む多様な他のタイプの薬剤の輸送に用いられてきた(特許文献1)。
国際特許公開01/07084号A1明細書 米国特許第6287792号B1明細書 グリーン・NM:「タンパク質化学の進展」: Vol. 29、85-133頁、1975 カプラン・II:American Journal of Medical Science, Vol. 207, 733-743頁、1944 ゴープ・ML他:Nucleic Acids Research, Vol. 15, 3595-3606頁、1987 シン・SU、ウ・D、ラマナザン・R、パードリッジ・WM、モリソン・SL:「抗体−アビジン融合タンパク質の機能的及び薬学的カイネティクス上の特徴」:J. Immunol. 1997、158(10):4797-804頁
本発明は、in vivoおよびin vitroの両方において標的細胞集団のアポトーシス及び/又は増殖抑制が要求される多様な疾患の治療における使用に適した方法および組成物を提供することを目的とする。特に本発明は、増殖因子レセプターを過剰発現する癌細胞の処置に適した方法および組成物を提供することを目的とする。
本発明により、抗体-アビジンタンパク質は、単独で細胞でアポトーシスを誘発する、及び/又は細胞の増殖を抑制する、有効な細胞毒性物質であるということが見出された。我々は、無毒な抗レセプター抗体(前記は標的誘導担体として用いられる)を、この抗体をアビジンと融合させることによって細胞毒性物質に変換可能であることを見出した。得られた抗体-アビジン複合体は癌細胞でアポトーシス及び細胞増殖抑制を誘発することが判明した。さらにまた、既知抗体(例えばリツキサン(Rituxan)またはハーセプチン(Herceptin))の固有の細胞毒性活性は、それらをアビジンと融合させることによって強化することができる。
本発明は細胞でアポトーシスを誘発する方法を含む。本方法は、1つまたは2つ以上の細胞をアポトーシスを誘発するために十分な時間および十分な温度で細胞毒性物質に曝露することを含む。本発明の発見にしたがえば、前記細胞毒性物質は標的誘導成分およびアビジン成分を含み、前記標的誘導成分は前記細胞上に存在する1つまたは2つ以上のレセプターと結合することができる。本発明は、ビオチン化薬剤が前記細胞毒性物質の部分として含まれることを特に要求しない。本発明の方法は、具体的には流動腫瘍細胞および固形腫瘍細胞の両者、特に癌細胞の処置に適している。本方法を用いてin vivoおよびin vitroの両方で存在する細胞集団を処置することができる。
本発明はまた、増殖細胞集団(例えば流動または固形腫瘍)の増殖を抑制する方法を含む。本発明の細胞毒性物質はアポトーシスを誘発するだけでなく、癌細胞集団の増殖抑制にも有効であることが見出された。腫瘍細胞の増殖を抑制する本発明の方法はin vivoおよびin vitroの両方で用いることができる。
本発明はまた、細胞の処置でアポトーシスの誘発及び/又は細胞増殖の抑制のために使用される組成物も包含する。本組成物は、標的誘導成分およびアビジン成分を有する細胞毒性物質を含み、前記標的誘導成分は細胞表面に存在する1つまたは2つ以上のレセプターに結合することができる。本組成物はさらに医薬的に許容できる担体を含む。前記細胞毒性物質は前記アビジン成分に結合させたビオチン化薬剤を特に含まないことは留意されるべきである。本発明の組成物は、特定の細胞集団でアポトーシスを誘発し、さらに増殖を抑制するために上述の方法で使用することが意図される。
本発明の方法および組成物は、in vivoおよびin vitroの両方において標的細胞集団のアポトーシス及び/又は増殖抑制が要求される多様な疾患の治療で使用するために適切である。前記方法および組成物は、増殖因子レセプターを過剰発現する癌細胞の処置に特に適している。
本発明の上述の特徴および他の多くの特徴並びに附随する利点については、添付の図面と一緒に以下の詳細な説明を参照することによっていっそう理解が深められるであろう。
本発明の典型的な細胞毒性物質の模式図が図1Aに示される。前記細胞毒性物質は、IgG抗体の可変および定常領域並びに2つのアビジン分子を含む。図1Aのタイプの抗体-アビジン融合タンパク質は以前に記載されている(シン・SU、ウ・D、ラマナザン・R、パードリッジ・WM、モリソン・SL:「抗体−アビジン融合タンパク質の機能的及び薬学的カイネティクス上の特徴」:J. Immunol. 1997、158(10):4797-804頁; ペニチェト・ML、カン・YS、パードリッジ・WM、モリソン・SL、シン・SU:「トランスフェリンレセプター特異的抗体−アビジン融合タンパク質は有効な脳標的化運搬ビークルの役割を果たす:脳への抗HIVアンチセンス薬剤運搬における最初の応用」:J. Immunol. 1999、163:4421-4426頁; 米国特許第6287792号B1明細書;及び および国際特許公開01/07084号A1明細書)。図1Aのタイプの融合タンパク質は、特定の細胞タイプにビオチン化薬剤を運搬するために用いられる標的誘導担体として以前から利用されてきた。本発明にしたがえば、図1Aに示すタイプの抗体-アビジン融合タンパク質は細胞毒性物質としてin vivoおよびin vitroの両方で細胞集団の治療に用いて、アポトーシスを誘発及び/又は細胞増殖を抑制できることが見出された。
図1Aに示すタイプの抗体-アビジン融合タンパク質がアポトーシスおよび抗増殖活性を誘発する理由は不明である。アビジンと抗体との融合がそのような細胞毒性作用を誘発する理由は不明であるが、以下の要因が、観察されるアポトーシス/抗増殖活性の一因であろうと考えられている。
(1)アビジンはホモテトラマータンパク質であり、抗体-アビジン融合タンパク質の各々(図1A)は2つのアビジン分子を含むので(1つのアビジンが遺伝子工学により各重鎖のカルボキシ末端に融合されている)、それぞれ別個の2つの抗体融合タンパク質はそれらの対応するアビジンを介して互いに結合して図1Bに示すダイマー構造を形成することが可能である。このダイマー構造が前記観察される活性に寄与することができる。図1Aに示すタイプのモノマー融合タンパク質が本発明にしたがって先ず初めに生成されることは留意されるべきである。前記2つのモノマーが一緒に結合して図1Bに示すダイマーを形成することができるのは、モノマータンパク質が溶液中に入れられた後だけである。
(2)抗体の伸長ヒンジ領域の存在によって、多数のレセプターの結合を促進することができる空間および柔軟性が提供される。これによってより強いレセプター結合、シグナリング調節、レセプター架橋及び/又はレセプターダウンレギュレーションがもたらされるであろう。前記は全てリガンドの枯渇の一因となり、細胞増殖抑制および最終的には細胞死をもたらすメカニズムである。
(3)分子中のアビジンの存在が、観察されたような細胞毒性活性をもたらす最適な抗体の構造を付与するために寄与しえるであろう。
(4)さらにまた、抗体-アビジン複合体と細胞との特異的な結合の後で、アビジンの陽性荷電は結合安定性および観察された抗増殖活性の一因となりえよう。
上述の点の1つまたは2つ以上が、観察された細胞毒性活性および抗増殖活性を誘発している可能性があるということは留意されるべきである。さらにまた、上記の説明は、本発明の抗体-アビジン融合タンパク質の観察された固有の細胞毒性/抗増殖活性を説明することができる唯一の仮説である。
図1Aに示した融合タンパク質は単なる代表例である。例えば、抗体が細胞表面または炭水化物に対して特異性を有する場合は、いずれの抗体クラス(IgG、IgE、IgAおよびIgMを含む)も用いることができる。典型的な細胞表面タンパク質または炭水化物には増殖因子レセプター、トランスフェリンレセプターおよびインスリンレセプターが含まれる。典型的な増殖因子レセプターには上皮増殖因子レセプター、血管内皮増殖因子レセプター、インスリン様増殖因子レセプター、血小板由来増殖因子レセプター、形質転換増殖因子βレセプター、線維芽細胞増殖因子レセプター、インターロイキン-2レセプター、インターロイキン-3レセプター、エリスロポエチンレセプター、神経増殖因子レセプター、脳由来神経栄養因子レセプター、ニューロトロフィン-3レセプターおよびニューロトロフィン-4レセプターが含まれる。
抗体および抗体フラグメントの他にも、レセプターリガンドまたは単鎖Fvs(scFv)も標的誘導成分として用いることができるが、ただしそれらは細胞表面タンパク質または炭水化物に対して特異性を示すことを条件とする。典型的な非抗体分子にはレセプターリガンド、例えばトランスフェリン、インスリン、上皮増殖因子、血管内皮増殖因子、インスリン様増殖因子、血小板由来増殖因子、形質転換増殖因子β、線維芽細胞増殖因子、インターロイキン-2、インターロイキン-3、エリスロポエチン、神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、ニューロトロフィン-3レセプターおよびニューロトロフィン-4、並びに細胞表面タンパク質及び/又は増殖因子レセプター(例えばトランスフェリンレセプターおよびインスリンレセプター)に特異的な任意のscFv分子が含まれる。典型的な増殖因子レセプターには、上皮増殖因子レセプター、血管内皮増殖因子レセプター、インスリン様増殖因子レセプター、血小板由来増殖因子レセプター、形質転換増殖因子βレセプター、線維芽細胞増殖因子レセプター、インターロイキン-2レセプター、インターロイキン-3レセプター、エリスロポエチンレセプター、神経増殖因子レセプター、脳由来神経栄養因子レセプター、ニューロトロフィン-3レセプターおよびニューロトロフィン-4レセプターが含まれる。
図1Aに示したように、アビジン分子は好ましいアビジン成分である。しかしながら、前記アビジン成分はまたアビジン類似体、例えばストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ライトアビジン(lite-avidin)およびニュートラライトアビジン(neutra-lite avidin)で構成されてもよい。必ずしもというわけではないが、前記アビジン分子は定常領域のCH3ドメインと融合されているのが好ましい。前記アビジンは変異抗体(ミューテイン)または切端抗体と融合させることができる。前記の場合、アビジンはヒンジの後ろまたはCH1ドメインの後ろで融合される。
標的誘導成分(すなわち抗体、レセプターリガンドまたはscFB)は、通常の化学的結合技術を用いてアビジン成分と結合させることができる。しかしながら、標的誘導成分-アビジン成分の組み合わせはリコンビナントDNA技術を用いて融合タンパク質として形成されるのが好ましい。抗体融合タンパク質の生成方法および工程は当業者には周知である。抗体-アビジン融合タンパク質を生成する典型的な工程は参考文献(シン・SU、ウ・D、ラマナザン・R、パードリッジ・WM、モリソン・SL:「抗体−アビジン融合タンパク質の機能的及び薬学的カイネティクス上の特徴」:J. Immunol. 1997、158(10):4797-804頁; 国際特許公開01/07084号A1明細書; 米国特許第5672683号明細書; 米国特許第5807715号明細書; カン・YS、パードリッジ・WM:「中性アビジンの使用によるアビジン−モノクローナル抗体縮合体に結合するブロチンの薬剤カイネティクス及び脳運搬の改善」:Therapeutics, Vol. 29, 344-350頁、1994; 及びアダムソン・PJ、ゾラ・H、ニコルソン・IC、ピルキントン・G、ホーマン・A:「悪性B細胞を有する患者体内の抗CD50抗体」:Leuk Res. 2001, 25:1047-50頁)で説明されている。
本発明の細胞毒性物質をin vivoで用いて流動腫瘍および固形腫瘍の両腫瘍を治療することができる。前記細胞毒性物質は、以前に記載された抗体-アビジン融合タンパク質(ビオチン化薬剤と結合されている)と同じ態様で個体に投与される。医薬的に許容される担体には抗体-アビジン-ビオチン化薬剤複合体の運搬で一般的に用いられるいずれの担体も含まれる。静脈内投与が好ましい。医薬的に許容される典型的な担体には単独で使用される通常の食塩水または小量の洗剤と一緒に使用される食塩水が含まれる。適切な治療用量は、治療される具体的な腫瘍または細胞集団に応じて広く変動するであろう。典型的には治療用量は約0.001mg/kg体重から約1mg/kg体重の範囲であろう。
前記細胞毒性物質はまたin vitroでの細胞の処置にも用いることができる。例えば前記細胞毒性物質を用いて、自家移植片として使用される造血先駆細胞のex vivo拡張時に癌細胞を根絶することができる。in vitroで細胞集団を治療するとき、前記細胞集団の温度はアポトーシスを誘発させるために十分高いことが重要である。例えば、細胞集団が約4℃の比較的低温で維持される場合は、大半の細胞はアポトーシスを経ないであろう。したがって、in vitroでの処置の間のインキュベーション温度はアポトーシス及び/又は細胞増殖抑制の誘発を可能にするために十分に高いことが重要である。好ましくは、インキュベーション温度は約37℃または37℃近くであろう。
前記細胞はアポトーシスの誘発及び/又は増殖抑制のために十分な時間細胞毒性物質に曝露される。曝露時間は前記細胞毒性物質の濃度、具体的な細胞タイプおよび曝露がin vivoであるかin vitroであるかに応じて変動するであろう。曝露時間は数時間から数日またはそれ以上の範囲であろう。
本発明の典型的な細胞毒性物質は以下のとおりである。
アビジンとタンパク質を結合させるためには2つの方法、化学的結合または遺伝子融合(リコンビナントDNA技術)がある。以下はアビジン融合タンパク質の例である。
1)任意のクラスまたはアイソタイプの免疫グロブリン(Ig)であって、アビジンは、重鎖のCH3ドメインの末端(Ig-CH3-アビジン)、ヒンジの後ろ(Ig-H-アビジン)またはCH1ドメインの末端(Ig-CH1-アビジン)で遺伝子工学により融合されている(シン・SU、ウ・D、ラマナザン・R、パードリッジ・WM、モリソン・SL:「抗体−アビジン融合タンパク質の機能的及び薬学的カイネティクス上の特徴」:J. Immunol. 1997、158(10):4797-804頁; 及びペニチェト・ML、カン・YS、パードリッジ・WM、モリソン・SL、シン・SU:「トランスフェリンレセプター特異的抗体−アビジン融合タンパク質は有効な脳標的化運搬ビークルの役割を果たす:脳への抗HIVアンチセンス薬剤運搬における最初の応用」:J. Immunol. 1999、163:4421-4426頁);
2)任意のクラスまたはアイソタイプの免疫グロブリン(Ig)であって、アビジンは、重鎖の開始部(N-末端)に遺伝子工学により融合されている(ペニチェト・ML、シン・SU、モリソン・SL:「Fab融合タンパク質:免疫リガンド 抗体融合タンパク質」:チャモー・SM及びA.アシュケナージ編、ジョン・ウィレー&サン,Inc.、ニューヨーク、1999b:15-52頁; 及びペニチェト・ML、モリソン・SL:「抗体工学 エンサイクロペディア・オヴ・モレキュラー・メディシン(EMM)」トマス・E.クレイトン編、ジョン・ウィレー&サン,Inc.、ニューヨーク、2001.第1巻:214-216頁);
3)任意のクラスまたはアイソタイプの免疫グロブリン(Ig)であって、アビジンは、軽鎖の開始部(N-末端)または終りの部分(C-末端)に遺伝子工学により融合されている(ペニチェト・ML、シン・SU、モリソン・SL:「Fab融合タンパク質:免疫リガンド 抗体融合タンパク質」:チャモー・SM及びA.アシュケナージ編、ジョン・ウィレー&サン,Inc.、ニューヨーク、1999b:15-52頁; 及びペニチェト・ML、モリソン・SL:「抗体工学 エンサイクロペディア・オヴ・モレキュラー・メディシン(EMM)」トマス・E.クレイトン編、ジョン・ウィレー&サン,Inc.、ニューヨーク、2001.第1巻:214-216頁);
4)特異的scFv(ファージライブラリー技術によって作製)であって、アビジンは、scFvの開始部(N-末端)または終りの部分(C-末端)に遺伝子工学により融合されている(リ・JY、スギムラ・K、ボアド・RJ、リー・HJ、ザン・C、デューベル・S、パードリッジ・WM:「遺伝子工学で作成された脳薬剤運搬ベクター:抗トランスフェリンレセプターの単鎖抗体−ストレプトアビジン融合遺伝子及びタンパク質のクローニング、発現及びin vivo応用」:Protein Eng. 1999, 12:787-96);
5)リガンド(例えばトランスフェリン)であって、アビジンは、前記リガンドの開始部(N-末端)または終りの部分(C-末端)に遺伝子工学により融合されている(ペニチェト・ML、シン・SU、モリソン・SL:「Fab融合タンパク質:免疫リガンド 抗体融合タンパク質」:チャモー・SM及びA.アシュケナージ編、ジョン・ウィレー&サン,Inc.、ニューヨーク、1999b:15-52頁;及びペニチェト・ML、モリソン・SL:「抗体工学 エンサイクロペディア・オヴ・モレキュラー・メディシン(EMM)」トマス・E.クレイトン編、ジョン・ウィレー&サン,Inc.、ニューヨーク、2001.第1巻:214-216頁)。
以下はアビジン類似体の例である。
1)ストレプトアビジン(グリーン・NM:「タンパク質化学の進展」: Vol. 29、85-133頁、1975);
2)免疫原性が減少した変異ストレプトアビジン(メイヤー・DL、シュルツ・J、リン・Y、ヘンリー・A、サンダーソン・J、ジャクソン・JM、ゴソーン・S、リーズ・AR、グレイヴス・SS:「部位特定的変異によるストレプトアビジンへの抗体反応の低減」:Protein Sci. 2001, 10:491-503頁);
3)変異アビジン:ニュートラルアビジン、ライトアビジン、ニュートラライトアビジン(マーッティラ・At、ライティネン・OH、エイレーン・KJ、クリック・T、バイヤー・EA、ウィルチェック・M、クロマー・MS:「組み替え中立アビジン:高いビオチン親和性と低い非特異的結合性を示す、ニワトリアビジンの、非グリコシル化された酸性変異種」:FEBS Lett. 2000. 467:31-6頁)。
以下は、アビジン融合タンパク質に付加してそれらの固有の有効性を改善することができる毒素および化学物質の例である(前記毒素および化学物質は事前にビオチン化されるべきである)。毒素の場合は、また別の方法では毒素そのものの代わりに前記毒素をコードする遺伝子が運搬される。
1)ジフテリア毒素(DT)(スウィーニー・EB、マーフィー・JR:「標的治療法としての、ジフテリアトキシンを基とするレセプター特異的キメラトキシン」:Essays Biochem. 1995, 30:119-31頁);
2)シュードモナス外毒素A(PE)(バース・S:hIL-13-PE38QQR. NeoPharm. Curr Opin Investig Drugs. 2001, 2:1309-13頁);
3)植物毒素リシン(マンツケ・O、ルッセロ・O、レーネン・C、ディール・V、ボーレン・H、ベルトルド・F:「神経芽細胞腫における免疫療法戦略:脱グリコシル化リシンA縮合抗GD2抗体及び抗CD3×抗GD2両特異的抗体の抗癌活性」:Med Pediatr Oncol. 2001, 36:185-9頁);
4)哺乳類リボヌクレアーゼA(RNase A)(サラズ・K、ウエダ・M、ヤマムラ・T、オザワ・S、キタジマ・M、アイソ・S、コマツ・S、セノ・M.s.:「ヒト膵リボヌクレアーゼ1−ヒト表皮成長因子融合体:扁平上皮癌に対する細胞毒性の特性を有する完全ヒト”免疫トキシンアナログ”」:Protein Eng. 1998, 11:1285-92頁、及びリバック・SM、サクセナ・SK、アカーマン・EJ、ヨウル・RJs:「リボヌクレアーゼ及びリボヌクレアーゼハイブリッドタンパク質の細胞毒性ポテンシャル」:J. Biol. Chem. 1991, 266:21202-7頁);
5)化学物質ジェムシタビン(gemcitabine)およびアラビノシド(米国特許第5393737号明細書(マイヤーズ・GL、ラチェック・J、アブハディド・MM:「新生物疾患治療のための細胞毒性薬剤縮合体」:1995)、及びマイヤーズ・GL、ラグハヴァン・D、ヒット・S、グレイヴス・D:「トランスフェリン−ジェムシタビン縮合体:化学療法への応用」:プロシーディングズ・オヴ・89th・アメリカン・アソシエーション・フォー・キャンサー・リサーチ、ニュー・オーリンズ、ルイジアナ、USA、1998年3月28〜4月1日: 1998、63頁);
6)化学物質アドリアマイシン(シンフ・M、アトワル・H、ミセティク・R:「ヒト細胞へのアドリアマイシンのトランスフェリン指向性運搬」:Anticancer Res 1998, 18:1423-1427頁)。
以下は、標的とすることができる細胞タイプ/疾患および固有の細胞レセプターの例である。前記標的誘導物質は、アビジンまたはアビジン類似体と融合または化学的に結合した抗体、抗体フラグメント、scFvまたはリガンドである。
1)トランスフェリンレセプター(TfR)を発現している癌細胞、例えば
1.1)悪性脳腫瘍(ホール・H.A.:「悪性星細胞腫の標的トキシン療法」:Neurosurgery. 2000, 46:544-51頁、及びラスケ・DW、ヨウル・RJ、オルドフェルド・EH:「悪性脳腫瘍を有する患者における、標的トキシンTF-CRM107の領域分布に伴う腫瘍退縮」:Nat Med. 1997, 3:1362-8頁)
1.2)直腸癌(プロスト・AC、メネゴー・F、ラングロワ・P、ヴィダル・JM、クリバリー・M、ジョスト・JL、デュロン・JJ、チゴ・JP、ヴァイレ・P、オレンゴ・A、ルグラン・JC、ロッセリン・G、ゲスパク・C:「ヒト大腸がんにおける、異なるトランスフェリンレセプター密度」:Int J Oncol. 1998, 11:1285-92頁、及びシノハラ・H、ファン・D、オザワ・S、ヤノ・S、ヴァン・アースデル・M、ヴァイナー・JL、ベールズ・R、パスタン・I、フィドラー・IJ:「ヒト結腸ガン細胞によるトランスフェリンレセプターの部位特異的発現は抗トランスフェリン組み替え免疫トキシンによる根絶に関連する」:Int J Oncol. 2000, 17:643-51頁)
1.3)造血細胞悪性疾患(ブルックス・D、テイラー・C、ドス・サントス・B、リンデン・H、ホートン・A、ヘット・TT、コーンフェルド・S、タエトル・R:「マウス免疫グロブリンA抗トランスフェリンレセプター抗体42/6のフェイズIa試験」:Clin cancer res. 1995, 1:1259-65頁、及びハベルショウ・H.A.、リスター・T.A.、スタンフェルド・A.G.s.:「トランスフェリンレセプター発現と組織クラス及び非ホドキンリンパ腫の相関関係」Lancet. 1983, 1:498-500頁);
2)CD20レセプターを発現している癌細胞、例えばB細胞リンパ腫(アダムソン・PJ、ゾラ・H、ニコルソン・IC、ピルキントン・G、ホーマン・A:「悪性B細胞を有する患者体内の抗CD50抗体」:Leuk Res. 2001, 25:1047-50頁);
3)上皮増殖因子(EGF)レセプターファミリーの1つまたは2つ以上のメンバー(例えばHer2/neu)を発現している癌細胞、
3.1)乳癌(リビングストン・RB、エステヴァ・FJ、:「HER2(+)転移胸癌の化学療法及びハーセプチン 最高の薬剤か?」:Oncologist. 2001, 6:315-6頁)
3.2)卵巣癌(レン・J、ラン・J、シェン・K、グオ・L:「卵巣の子宮内膜癌腫におけるp53、EGFR、c-erbB2及びc-erbB3の過剰発現」:Chin Med Sci J. 1997, 12:67-70頁)
4)インターロイキン-2レセプター(IL-2R)を発現している癌細胞。TおよびB細胞起源の白血病およびリンパ腫細胞(ニコルズ・J、フォス・F、クツェル・TM、レマイストレ・CF、プラタニアス・L、ラタイン・MJ、ルーク・A、サレー・M、シュワルツ・G:「インターロイキン−2融合タンパク質:悪性腫瘍を発現しているインターロイキン−2レセプターの研究的治療」:Eur. J. Cancer. 1997, 33 Suppl 1:S34-36頁、及びシュトランヒェン・JA、ブレイクストン・BAs:「ヒトリンパ様組織障害におけるIL-2レセプターの発現」:Am. J. Pathol. 1987, 126:506-512頁)。
実施例は以下のとおりである。
実施例1:癌細胞増殖の抑制
材料と方法
抗体および抗体融合タンパク質
本発明の抗Tfr IgG3-CH3-Av融合タンパク質は、抗dansyl(5-ジメチルアミノナフタレン1-スルフォニルクロリド)IgG3-CH3-Av融合重鎖(シン・SU、ウ・D、ラマナザン・R、パードリッジ・WM、モリソン・SL:「抗体−アビジン融合タンパク質の機能的及び薬学的カイネティクス上の特徴」:J. Immunol. 1997、158(10):4797-804頁)の可変領域を抗ラットTfR IgG2aモノクローナル抗体OX26(ジェフリード・WA、ブランドン・MR、ウィリアムス・AF、ハント・SV:「ラットトランスフェリンレセプターに対するモノクローナル抗体を伴うリンパ球新生幹細胞の分析」:Immunology. 1985、54:331-341頁)の重鎖の可変領域で置換することによって構築された。前記はネズミミエローマP3X63Ag8.653(ペニチェト・ML、カン・YS、パードリッジ・WM、モリソン・SL、シン・SU:「トランスフェリンレセプター特異的抗体−アビジン融合タンパク質は有効な脳標的化運搬ビークルの役割を果たす:脳への抗HIVアンチセンス薬剤運搬における最初の応用」:J. Immunol. 1999、163:4421-4426頁)でOX26の可変領域を有するマウス/ヒトκ軽鎖遺伝子とともに発現された。OX26の可変領域を含むリコンビナント抗TfR IgG3およびリコンビナント抗dansylIgG3をコントロールとして用いた。前記抗体および抗体融合タンパク質は、セファロース4Bファストフロー(Sigma Chemical Company, St. Louis,MO)に固定されたタンパク質Gにより培養上清から精製された。純度はSDS-PAGEゲルのクーマシーブルー染色によって判定された。全てのタンパク質濃度はビシンコニン酸(bicinchoninic acid)によるタンパク質アッセイ(BCAタンパク質アッセイ、Pierce ChemicalCo., Rockford, IL)およびELISAによって決定した。精製OX26はDr. William M. Pardridge(UCLA)から供給された。ネズミIgG1抗ヒトIgG3ヒンジモノクローナル抗体HP6050はDr. Robert G. Hamilton(Johns Hopkins University)から入手した。ヤギの抗ヒトIgGはZYMEDラボラトリーズ社(So. San Francisco, CA)から購入した。
細胞株
Y3-Ag1.2.3細胞はDr. Vermont T. Oi(Stanford University)から入手した。前記細胞は、アザグアニンに耐性を有するラットのLou株に由来するミエローマである。前記細胞はラットのκ軽鎖を合成、分泌し、文献(ガルフル・G、ムルシュタイン・C、ライト・B:「ラット×ラットハイブリッドミエローマ及びマウスIgGのモノクローナル抗Fd部分」:Nature 1979, 277:131-133頁)に最初記載された。BC47は、Dr. H. Taniguchi(Keio University, Tokyo, Japan)から提供されたラットの膀胱癌である。9L神経膠芽腫はDr. J. Laterra(Johns Hopkins University, Baltimore, MD)から提供された。全ての細胞は、5%仔牛血清(HyClone, Logan, UT)を含むダルベッコー改変イーグル培地(DMEM)(GIBCO BRL, Grand Island, NY)で37℃、5%CO2で培養した。
Y31.2.3細胞への特異的誘導
108個のY3-Ag1.2.3細胞を抗TfR IgG3-CH3-Av、抗TfR IgG3、抗dansyl IgG3または抗dansyl IgG3-CH3-Avとともに氷上で3時間インキュベートした。続いて細胞を2回洗浄し、20mLのマウスの抗ヒトカッパ軽鎖-FITC結合物(BD PharMingen, San Diego, CA)と1時間インキュベートした。続いて細胞を1回洗浄し、PBS中の2%パラホルムアルデヒド(pH7.4)に再懸濁し、15mWのブルーレーザー励起を搭載したFACScan(Becton-Dickinson, Mountain View, CA)を用いて488nmで分析した。
Y3-Ag1.2.3細胞上で発現されるTfRに特異的に結合する抗TfR IgG3-CH3-Avの性能をフローサイトメトリーで調べた。アイソタイプ適合特異性コントロールの抗dansyl IgG3および抗dansyl IgG3-CH3-Avは結合せず、緩衝液(PBS)だけで処理した細胞で観察された蛍光濃度の強さと同様な蛍光濃度を示した。対照的に、抗TfR IgG3および抗TfR IgG3-CH3-Avはともに細胞と結合し、抗TfR IgG3-CH3-Av処理細胞がより強い蛍光濃度を示した。
増殖抑制アッセイ
Y3-Ag1.2.3細胞(DMEM5%CS中で104個/ウェル)を緩衝液(50mMトリスベース、150mMのNaCl, pH7.8)単独、抗体とともに、または抗TfR IgG3-CH3-Avとともに96ウェルプレート(Becton Dickinson Labware, Franklin Lakes, NJ)で24時間または48時間、37℃で処理した。同様な実験で、BC47および9L(前記細胞は付着性細胞株である)は処理の1日前に5x103細胞/ウェルでDMEM5%CS中で播種した。24時間後、4μCi/mLの[メチル-3H]-チミジン(ICN Biomedicals, Inc., Irvine, CA)を添加し、細胞をさらに24時間培養した後、1150マイクロセルハーベスター(Skraton, Norway)を用いてグラスファイバーフィルター上に採集し、1205ベータプレート液体シンチレーションカウンター(WALLAC Inc., Gaithersburg, MD)で計測した。上述のアッセイは、4つ1組で実施し、数値はコントロール平均の%として表した。
精製抗体および抗体-アビジン融合タンパク質は、2つの連続分析用セファロース(登録商標)6HR10/30カラム(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)を用い流速0.25mL/分で0.5MのNaCl、20mMのリン酸塩溶液(pH6.5)中で分析した。100mLの注入容積中には50mgの抗体または抗体-アビジン融合タンパク質が含まれていた。実験結果の統計分析は2テールスチューデントt検定を用いて実施した。p値が≦0.05ならば、結果は有意とみなされた。
ラット癌細胞株に対する抗体融合タンパク質の抗増殖作用
抗TfR IgG3-CH3-AvのY3-Ag1.2.3に対する固有の抗増殖作用を明らかにするために、細胞を種々の濃度の抗TfR IgG3-CH3-Avまたは抗dansyl IgG3-CH3-Avとともにインキュベートした。さらに、リコンビナント抗TfR IgG3および抗TfR IgG2a(OX26)(前記は抗TfR IgG3-CH3-Avと同じ可変領域を含む)とともにリコンビナント抗dansyl IgG3も含めた(図2A)。50%の増殖抑制(IC50)に必要な抗TfR IgG3-CH3-Avの濃度は、チミジン取込みアッセイで測定したとき4.5nMである。抗TfR IgG3、抗TfR IgG2a、抗dansyl IgG3および抗dansyl IgG3-CH3-Avは増殖抑制を示さなかった。抗TfR IgG3-CH3-Avおよび抗dansyl IgG3-CH3-Avの最も高い3つの濃度の統計分析によって、抗TfR IgG3-CH3-Avは強力な増殖抑制物質であることが示された(p≦0.02)。同じ方法を用いた2つの別個の実験で同じ結果が得られた。これによって抗TfR IgG3-CH3-Avはラットのミエローマに対して抗増殖作用を示し、前記作用は抗TfR可変領域およびアビジン成分の両者を必要とすることが明らかにされた。さらにまた、この抗増殖作用はラットミエローマ細胞株、Y3-Ag1.2.3細胞でのみ観察され、ラット膀胱癌、BC47およびラットの神経膠芽腫、9Lでは調べた条件では抗増殖作用は認められなかった(図2B)。抗dansyl IgG3-CH3-Av、抗TfR IgG3、抗dansyl IgG3および抗TfR IgG2aはBC47および9Lの増殖を抑制しなかった。
抗TfR IgG3-CH3-Av融合タンパク質のFPLC分析
TfR特異的ポリマー抗体は、細胞表面のTfRと架橋してTfの取り込みを阻害することによって癌細胞に細胞毒性作用を有することが分析実験によって示された。以前の実験では、抗dansyl IgG3-CH3-Avは、おそらくはアビジン成分(融合タンパク質につき2つのアビジン)のテトラマー化によりダイマーとして存在することが判明した。抗TfR IgG3-CH3-Avは、抗dansyl IgG3-CH3-Avの可変領域のみを変化させることによって構築されたので、抗TfR IgG3-CH3-Avもまたダイマー構造をとると考えられ、前記構造はY3-Ag1.2.3上のTfRの架橋を促進するであろう。FPLC分析(図3)は、抗TfR IgG3は予想されるサイズ(173kDa)に対応する位置で溶出することを示した。しかしながら、抗TfR IgG3-CH3-Avおよび抗dansyl IgG3-CH3-Av(データは示されていない)は約400kDaの分子質量を有するようである(前記は200kDaの2つに融合タンパク質モノマーで構成される非共有結合ダイマーと一致する)。この結果は、抗TfR IgG3-CH3-Avで処理されたY3-Ag1.2.3細胞がフローサイトメトリーで抗TfR IgG3で処理された細胞よりも強い蛍光濃度を示した理由の説明に役立つ。抗TfR IgG3はダイマーを形成しないという事実は、前記は、ダイマー形成をもたらすアビジン分子間の非共有結合反応であることを示唆している。
上記の実施例は、抗TfR IgG3-CH3-AvはY3-Ag1.2.3細胞に対して直接的な抗増殖作用を有することを示している。前記のような抑制作用は脱糖リシンA(b-dgRTA)を3nMの抗TfR IgG3-CH3-Av濃度で添加することによって強化することができる。統計分析によれば、細胞を抗TfR IgG3-CH3-Av+b-dgRTAの存在下で72時間インキュベートしたとき、抗TfR IgG3-CH3-Av単独と比較して有意な増殖抑制の更なる付加が認められることが示された(p=0.0025)。この差異は有意ではあったが、驚くほどではなかった。B-dgRTAの弱い細胞毒性作用付加はb-dgRTAの濃度が低いことが原因であろう。この量では抗TfR IgG3-CH3-Av単独の抗増殖作用を大きく強化するには不十分であるかもしれない。市販のこの製品(Sigma Chemical Company, St. Louis, MO)はより高濃度では非特異的な細胞毒性作用をもたらすいくつかの天然のタンパク質が夾雑しているために、残念ながら我々はより高濃度のb-dgRTAを用いることができなかった。さらにまた、dgRTAは、エンドサイトーシス小胞からサイトゾルへの移動を促進するB鎖上のドメインを欠き、結果として内在化されたb-dgRTAの多くはリソゾームで分解されるであろう。単独では細胞内に侵入する能力を欠くが、細胞毒性および移動ドメインの両ドメインを含むリコンビナント毒素の使用によってより強力な抗増殖物質が得られるかもしれない。
上記の実施例はさらに、抗TfR IgG3-CH3-Avは非共有結合ダイマーとして存在することを示している。抗TfR IgG3-CH3-Avの抗増殖活性は、少なくとも部分的にはそのダイマー構造によるものであろうと考えられている。例えば、抗TfR IgG3単独では抑制活性は全く示さないが、一方、二次抗体と架橋された抗TfR IgG3は、抗TfR IgG3-CH3-Avの抗増殖活性に匹敵する抗増殖活性を示すことが判明した。
前記の実施例は、抗TfR抗体の結合手の数とそれらの増殖抑制特性との間の相関性を示している。二価抗体(例えばIgG)はTfRの内在化および分解速度が増し、ある種の事例ではTfRレセプター発現および細胞増殖速度の低下をもたらす。しかしながら、多価抗体、例えばIgM(結合価=10から12)は、内在化を阻害する、より強度のレセプター架橋を惹起し、さらには未だ明らかではないメカニズムによりいくつかの細胞ではTfR発現の消失さえもたらされる。多価抗体で処理された細胞は重大な鉄枯渇および増殖抑制を被る。ダイマー形成(4価)抗TfR IgG3-CH3-Avは、そのより低い結合価のために抗TfR IgMより低レベルのTfR架橋を惹起すると予想され、IgMとは異なり、抗TfR IgG3-CH3-Avはレセプター仲介エンドサイトーシスにより効率的にビオチン化分子の運搬を達成できた。抗TfR IgG3-CH3-Avによる増殖抑制は、おそらくTf内在化の部分的阻害およびレセプターのダウンレギュレーションが組み合わされた結果であろう。前記増殖抑制は、多数のTfRの同時結合を容易にする空間と柔軟性を提供する、ヒトIgG3の伸長ヒンジ領域によって助長されるであろう。さらにまた、分子内のアビジンの存在は細胞毒性活性に最適な抗体構造を提供することが可能で、またアビジンの陽性荷電および糖化はより安定な結合とそれに続く内在化に寄与しえよう。
前記の実施例はまた、抗TfR IgG3-CH3-AvはY3-Ag1.2.3細胞の増殖を強く抑制するという事実にもかかわらず、同様な処置はラットの膀胱癌細胞株(BC47)または神経膠芽腫細胞株(9L)の増殖を抑制しないことを示している。TfRの発現が低いことまたは発現されないことによっては9Lについての相違を説明できない(抗TfRイムノトキシン実験では9Lを用いて陽性結果が得られた)。むしろ、これらの発見は、一般的に造血細胞は他の細胞タイプよりも抗TfRモノクローナル抗体の抗増殖作用に対してより感受性が高いということを示した以前の実験と一致する。これらの相違は、鉄枯渇に対する個々の細胞タイプの反応能力を示しているのかもしれない。また別に、Tf−TfR系とは別個の鉄取込み経路がネズミの細胞で明らかにされ、種々の細胞でそれらの鉄供給についてTf−TfR系への依存度が変動する可能性がある。
問題は、抗TfR IgG3-CH3-Avのin vivoでの使用に附随する非特異的な細胞毒性が存在するか否かということである。しかしながら、SL-2白血病細胞で攻撃したマウスを3mgの抗マウスTfR IgM、R17 208で毎週2回4週間まで治療したとき、粗毒性または細胞損傷の証拠は認められなかった。R17 208および抗TfR IgG3-CH3-Avで観察された同様な抗増殖作用はまた、抗TfR IgG3-CH3-Avのin vivo使用に附随する顕著な毒性は全く存在しないであろうということを示している。Tfに化学的に結合させた強力な毒素を用いた以前の臨床実験から、細胞毒性は主に腫瘍細胞に向けられ、前記治療の副作用は極めて少ないかまたは存在しないことが示され、抗TfR IgG3-CH3-Avはまた望ましくない副作用をもたないであろうと思われる。
実施例2:抗ラットTfR IgG3-CH3-Avはラットミエローマ細胞株Y3-Ag1.2.3でアポトーシスを誘発する
方法
本発明の抗ラットTfR IgG3-CH3-Av融合タンパク質は実施例1と同じ態様で構築された。96ウェルプレート(Becton Dickinson Labware, Franklin Lakes, NJ)のラットミエローマ細胞株Y3-Ag1.2.3(5x104細胞/ウェル、DMEM5%CS)に9nMの抗ラットTfR IgG3-CH3-Avを37℃で24または48時間接種した。インキュベーションの24時間後で細胞を採集し、ヴィブラント(Vybrant)(登録商標)アポトーシスアッセイキット#2(Molecular Probes Inc., Eugene, OR)を用い、製造元の推奨方法にしたがいAlexa fluor488アネキシンVおよびヨウ化プロピジウムで染色した。インキュベーションの48時間後に、APO-BrdU(登録商標)TUNELアッセイキット(Molecular Probes Inc.)を用いて細胞を標識した。前記細胞を1%のパラホルムアルデヒドおよび70%のエタノールで固定し、続いてターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)および5-ブロモ-2'-デオキシウリジン5'-トリホスフェート(BrdUTP)を用いてDNAを標識した。続いて細胞をAlexa Fluor488染料標識抗BrDUモノクローナル抗体で処理し、フローサイトメトリーで分析した。
結果
細胞がアポトーシスを経るとき、もっとも初期の事象の1つは、形質膜の内側小葉から外側小葉へのホスファチジルセリン(PS)の移動、したがってPSの外部細胞環境への曝露およびアネキシンVによる高親和性結合への曝露である(ヴァン・エンゲラント・M、ニーラント・LJ、ラマケルズ・FC、シュット・B、ロイテリングスペーガー・CP:「アネキシンV-親和性アッセイ:ホスファチジルセリン曝露によるアポトーシス検出システムの概略」:Cytometry 1998, 31:1-9頁)。ヨウ化プロピジウム(PI)は生細胞およびアポトーシス細胞には非浸透性であるが、死細胞を赤色蛍光で染色する。したがって、細胞集団をAlexa Fluor488アネキシンVおよびPIとインキュベートした場合、アネキシンV陽性PI陰性集団は生きているアポトーシス中の細胞を示し、PIのみ陽性およびアネキシンV、PIともに陽性集団は死細胞を示し、両方とも陰性の集団は健常細胞を示す。この実施例から得られたデータによって、抗ラットTfR IgG3-CH3-Av処理群(図4B)ではコントロール群(図4A)よりも多くのアポトーシス細胞および死細胞が存在することが示された。このことは、抗体融合タンパク質はアポトーシスの誘発によってY3-Ag1.2.3細胞に対して細胞毒性作用を有することを示している。
さらにまた、抗ラットTfR IgG3-CH3-Av誘発アポトーシスはまた別のアッセイによって示すことができる。アポトーシスの特徴は、核DNAを小フラグメントに分解するヌクレアーゼの活性化である(アレンズ・MJ、モリス・RG、ウィリー・AH:「アポトーシス エンドヌクレアーゼの役割」:Am. J. Pathol. 1990, 136:593-608頁)。DNA分断は多数の3'-ヒドロキシル末端を露出し、前記はTdTがBrdUTPを前記DNAフラグメントの3'末端に付加する出発点として機能することができる。フルオロクロム標識抗BrdUTPを続いて添加しDNA断片化を示す細胞を特定することができる。図5に示したように、抗ラットTfR IgG3-CH3-Av処理Y3-Ag1.2.3は、コントロール細胞と比較して顕著なレベルのDNA断片化を示す。これによって、本発明の抗体融合タンパク質は細胞株でアポトーシスを誘発する能力を有することが確認された。
実施例3:抗ヒトTfR IgG3-CH3-Avはヒト赤白血病細胞K562上に発現したトランスフェリンレセプター(TfR)と特異的に結合する
実験方法
抗dansyl(5-ジメチルアミノナフタレン1-スルフォニルクロリド) IgG3-CH3-Av融合重鎖(1)の可変領域を抗ヒトTfR IgG1モノクローナル抗体128.1(フリーデン・PM、オルソン・TS、オバー・R、ワルス・LR、プトニー・SD:「抗ヒトトランスフェリンレセプター抗体の性質研究、レセプターマッピング及び血液脳関門輸送」:J. Pharmacol. Exp. Ther. 1996, 278:1491-8頁)の重鎖可変領域と置換することによって、抗ヒトTfR IgG3-CH3-Av融合タンパク質を構築した。前記モノクローナル抗体は、ネズミのミエローマP3X63Ag8.653で128.1の可変領域を有するマウス/ヒトκ軽鎖遺伝子により発現された(ケアニー・JF、ラドブルク・A、リースガング・B、ラジェウスキー・K:「免疫グロブリン発現能を喪失したが抗体−分泌ハイブリッド細胞系の構造を許容する新規なマウスミエローマ細胞系」:J. Immunol. 1979、123:1548-50頁)。
抗dansyl IgG3-CH3-Avまたは抗TfR IgG3-CH3-Avは、50mMトリスベース、150mMのNaCl(pH7.8)中で3時間室温でビオチン化FITC(b-FITC)と複合体を形成させた。続いてb-FITC単独またはb-FITCと複合体を形成した2つの抗体融合タンパク質を108のヒト赤白血病細胞K562(アンダーソン・LC、ニルソン・K、ガーンバーグ・CG:「K562−ヒト骨髄性白血病細胞株」:Int. J. Cancer. 1979, 23:143-7頁)とともに3時間氷上でインキュベートした。続いて前記細胞を洗浄し氷上でさらに1時間インキュベートし、PBS(pH7.4)中の2%のパラホルムアルデヒド中に再懸濁し、15mWのブルーレーザー励起を搭載したFACScan(Becton Dickison, Mountain View, CA)を用いて488nmで分析した。
結果
抗ヒトTfR IgG3-CH3-Avはヒト赤白血病細胞K652細胞上で発現されたTfRと特異的に結合する(図6)。アイソタイプ適合特異性コントロール、リコンビナント抗dansyl IgG3-CH3-Avは結合せず(図6)、緩衝液(PBS)単独で処理された細胞と同様な蛍光濃度を示した(データは示されていない)。したがって、TfR IgG3-CH3-AvはTfR(K562細胞のTfR)およびビオチン化化合物(b-FITC)と同時に結合することができる。
実施例4:ヒト赤白血病細胞株に対する抗ヒトTfR-アビジン融合タンパク質の直接的抗増殖作用
実験方法
ヒト赤白血病細胞株、K562(5000細胞/ウェル、DMEM5%CS)を緩衝液(50mMトリスベース、150mMのNaCl、pH7.8)単独、または図に記載した濃度の抗体融合タンパク質により96ウェルプレート(Becton Dickinson Labware, Franklin Lakes, NJ)で72時間、37℃で処理した。続いて細胞を4mCi/mLの[メチル3H]-チミジン(ICN Biomedicals, Inc., Irvine, CA)中でさらに24時間培養し、その後11050ミクロセルハーベスター(Skratron, Norway)を用いてグラスファイバーフィルター上に採集し、1205ベータプレート(Betaplate)(登録商標)液体シンチレーションカウンター(WALLC Inc., Gaithersburg, MD)で計測した。
結果
図7は、抗ヒトTfR IgG3-CH3-Avは、緩衝液コントロールと比較したときヒトの赤白血病細胞株K562の増殖を抑制することを示している(p<0.001スチューデントt検定)。対照的に、マウス抗ヒトTfR IgG1(抗ヒトTfR IgG3-CH3-Avと同じ可変領域を共有する)は増殖を抑制しなかった。抗dansyl IgG3-CH3-Avもまた抑制活性を示さなかった。したがって、この結果は、抗ヒトTfR IgG3-CH3-Avの抑制活性は可変領域とアビジン成分の両方を必要とすることを示している。
実施例5:ヒト赤白血病細胞株に対する抗ヒトTfRアビジン融合タンパク質の用量依存性抗増殖作用
実験方法
ヒト赤白血病細胞株、K562(5000細胞/ウェル、DMEM5%CS)を緩衝液(50mMトリスベース、150mMのNaCl、pH7.8)単独、または図8に示した濃度の抗体融合タンパク質で処理した(A=緩衝液、B=25.9nM、C=51.9nM、D=104nM)。細胞を96ウェルプレート(Becton Dickinson Labware, Franklin Lakes, NJ)で72時間、37℃で処理した。続いて細胞を4μCi/mLの[メチル3H]-チミジン(ICN Biomedicals, Inc., Irvine, CA)中でさらに24時間培養し、その後11050ミクロセルハーベスター(Skratron, Norway)を用いてグラスファイバーフィルター上に採集し、1205ベータプレート(Betaplate)(登録商標)液体シンチレーションカウンター(WALLC Inc., Gaithersburg, MD)で計測した。
結果
抗ヒトTfR IgG3-CH3-Avは、緩衝液コントロールと比較したとき、用量依存態様でヒトの赤白血病細胞株K562の増殖を顕著に抑制する(p<0.001スチューデントt検定)(図8)。
上記実施例から分かるように、本発明の融合タンパク質は、アポトーシスを誘発及び/又は細胞増殖を抑制することができる有用な細胞毒性物質である。上述の実施例は抗トランスフェリンレセプター抗体をベースにした融合タンパク質に限定されているが、多様な他の標的誘導成分が可能であることは留意されるべきであろう。
これまで本発明の典型的な態様を述べてきたが、種々の他の変更、応用および改変が本発明の範囲内で為しえることは当業者には明白であろう。したがって、本発明は上記の好ましい実施態様および実施例に限定されず、上記請求の範囲によってのみ限定される。
本発明は米国予防衛生研究所のグラントNo.CA86915により政府の支援を受けて達成された。米国政府は本発明に関して一定の権利を有する。
Aは本発明の典型的な細胞毒性物質の模式図である。細胞毒性物質は、2つのアビジン分子で構成されたアビジン成分に融合された標的誘導抗体成分を含む。Bは、図1Aに示した細胞毒性物質のダイマー形の模式図である。細胞毒性物質は溶液中でダイマーを形成すると考えられている。 Aは、種々の濃度の抗TfR IgG3-CH3-Av、抗dansyl IgG3-CH3-Av、抗TfR IgG2a、抗TfR IgG3または抗dansyl IgG3でラットミエローマ細胞、Y3-Ag1.2.3を24時間処理した場合のテストの結果を示している。続いて細胞を[3H]-チミジンの存在下でさらに24時間培養し、採集して[3H]-チミジンの取り込みを調べた。各値は、コントロールの平均に対する%として表した4つ1組のアッセイの平均である(コントロールは緩衝液単独で処理した細胞である)。Bは、Y3-Ag1.2.3細胞、ラット膀胱癌細胞、BC47およびラット神経膠芽腫細胞、9Lで実施したテストの結果を示す。細胞は種々の濃度の抗TfR IgG3-CH3-Avで24時間処置し、さらに図2Aと同じ態様で処理した。 抗TfR IgG3(173kDa)および抗TfR IgG3-CH3-Av(200kDa)をモノマーについて2つの連続スーパーロース6カラムで0.5MのNaCl−PBSのFPLCによって分析したテストの結果を示す。分子質量標準物質、ダイマーIgA(360kDa)およびモノマーIgG(150kDa)のプロフィルは、表示のように同一条件下で分離された。分画サイズは1mLである。 抗ラットTfR IgG3-CH3-Avがラットミエローマ細胞株Y3-Ag1.2.3でアポトーシスを誘発することを示す、フローサイトメトリーにおけるアニキシンV/ヨウ化プロピジウム染色の結果である。5x104のY3-Ag1.2.3.細胞を緩衝液単独(4A)、または9nMの抗ラットTfR IgG3-CH3-Av(4B)とともに24時間インキュベートした。続いて細胞をPBSで洗浄し、Alexa fluor488アネキシンVおよびヨウ化プロピジウムで染色し、続いてフローサイトメトリー分析を実施した。各四象眼に位置する細胞のパーセントはコーナーに示されている。 フローサイトメトリーで調べたとき、抗ラットTfR IgG3-CH3-Avはラットミエローマ細胞株Y3-Ag1.2.3でアポトーシスを誘発することを示すDNA断片化テストの結果を示す。5x104のY3-Ag1.2.3.細胞を緩衝液単独(細線)、または9nMの抗ラットTfR IgG3-CH3-Av(太線)とともに48時間インキュベートした。続いて細胞を固定し、TdT、BrdUTPおよびAlexa fluor488染料標識抗BrdUTP抗体とともにインキュベートし、続いてフローサイトメトリー分析を実施した。 ヒト赤白血病細胞株K562上で発現されたTfRに対する抗ラットTfR IgG3-CH3-Avの特異性を示すフローサイトメトリーテストの結果である。FITC-ビオチンと複合体を形成した4μgの抗dansyl IgG3-CH3-Av(細線)または抗ラットTfR IgG3-CH3-Av(太線)を106のK562細胞と3時間氷上でインキュベートした。続いて細胞を洗浄し、さらに1時間氷上でインキュベートし、その後サイトメトリー分析を実施した。抗dansyl IgG3-CH3-Av-b-FITCによる結合レベルは、緩衝液単独で処理した細胞またはb-FITCのそれと同様である(データは示されていない)。 ヒト赤白血病細胞株に対する抗ヒトTfR-アビジン融合タンパク質の抗増殖作用を示すテストの結果である。K562細胞を、緩衝液(A)、104nMの抗dansyl IgG3-CH3-Av(B)、104nMのマウス抗ヒトTfR IgG1(C)、または104nMの抗ヒトTfR IgG3-CH3-Av(D)で72時間処理した。続いて細胞を採集の前に[3H]-チミジンの存在下でさらに24時間培養した。各処理の抗増殖作用を[3H]-チミジンの取り込みの測定によって算出する。各値はコントロールの平均の%として表した4つのアッセイの平均である。コントロールは緩衝液単独処理の細胞である。 ヒト赤白血病細胞株に対する抗ヒトTfR-アビジン融合タンパク質の用量依存性抗増殖作用を示すテストの結果である。K562細胞を、緩衝液(A)、25.9nM(B)、51.9nM(C)、または104nM(D)の抗ヒトTfR IgG3-CH3-Avで72時間処理した。続いて細胞を採集の前に[3H]-チミジンの存在下でさらに24時間培養した。各処理の抗増殖作用を[3H]-チミジンの取り込みの測定によって算出する。各値はコントロールの平均の%として表した2つのアッセイの平均である。コントロールは緩衝液単独処理の細胞である。
その他
原国際出願明細書においては、参照文献が”BIBLIOGRAPHY”として原明細書第17頁乃至19頁にリストされておりますが、翻訳文においては、これらを翻訳したものを直接明細書中の各々対応する箇所に記載しております。また、原国際出願明細書においては、“BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS”の“FIG.2A,FIG.2B”において、特殊な記号を使って図面を説明した記載がありますが、これらの記号を[図面の簡単な説明]欄においてはイメージ入力することができないため、[図面]の[図2]の翻訳文(図の右側)に、記号の説明を加えております。なお、これらは、内容を変更するものではないことを、併せて申し述べます。

Claims (28)

  1. 細胞でアポトーシスを誘発する方法であって、1つまたは2つ以上の細胞のアポトーシスを誘発するために十分な時間および十分な温度で該1つまたは2つ以上の細胞を細胞毒性物質に曝露する工程を含むこと、前記細胞毒性物質が標的誘導成分およびアビジン成分から成り、前記標的誘導成分が該1つまたは2つ以上の細胞と結合可能であることを特徴とする方法。
  2. 前記細胞が流動腫瘍細胞または固形腫瘍細胞である、請求項1に記載の細胞でアポトーシスを誘発する方法。
  3. 前記流動または固形腫瘍細胞が癌である、請求項2に記載の細胞でアポトーシスを誘発する方法。
  4. 前記標的誘導成分が細胞表面タンパク質または炭水化物と結合する、請求項1に記載の細胞でアポトーシスを誘発する方法。
  5. 前記標的誘導成分が前記細胞上に存在する1つまたは2つ以上の増殖因子レセプターと結合可能であることを特徴とする、請求項1に記載の細胞でアポトーシスを誘発する方法。
  6. 前記細胞がin vivoで存在する、請求項1に記載の細胞でアポトーシスを誘発する方法。
  7. 前記細胞がin vitroで存在する、請求項1に記載の細胞でアポトーシスを誘発する方法。
  8. 前記標的誘導成分が抗体、抗体フラグメント、scFvまたはリガンドを含むことを特徴とする、請求項1に記載の細胞でアポトーシスを誘発する方法。
  9. 前記アビジン成分がアビジンおよびアビジン類似体から成る群から選択される分子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の細胞でアポトーシスを誘発する方法。
  10. 前記アビジン成分がアビジンおよびアビジン類似体から成る群から選択される分子2個を含むことを特徴とする、請求項8に記載の細胞でアポトーシスを誘発する方法。
  11. 前記細胞毒性物質が融合タンパク質である、請求項1に記載のアポトーシスを誘発する方法。
  12. 増殖細胞集団の増殖を抑制する方法であって、該増殖細胞集団の増殖を抑制するために十分な時間および十分な温度で該細胞集団を細胞毒性物質に曝露する工程を含むこと、該細胞毒性物質が標的誘導成分およびアビジン成分から成り、該標的誘導成分が該細胞の1つまたは2つ以上と結合可能であることを特徴とする方法。
  13. 前記細胞集団が流動腫瘍細胞または固形腫瘍細胞を含む、請求項12に記載の細胞集団の増殖を抑制する方法。
  14. 前記流動または固形腫瘍細胞が癌である、請求項13に記載の細胞集団の増殖を抑制する方法。
  15. 前記標的誘導成分が細胞表面タンパク質または炭水化物と結合する、請求項12に記載の細胞集団の増殖を抑制する方法。
  16. 前記標的誘導成分が前記細胞上に存在する1つまたは2つ以上の増殖因子レセプターと結合可能であることを特徴とする、請求項12に記載の細胞集団の増殖を抑制する方法。
  17. 前記細胞集団がin vivoで存在する、請求項12に記載の細胞集団の増殖を抑制する方法。
  18. 前記細胞集団がin vitroで存在する、請求項12に記載の細胞集団の増殖を抑制する方法。
  19. 前記標的誘導成分が抗体、抗体フラグメント、scFvまたはリガンドを含むことを特徴とする、請求項12に記載の細胞集団の増殖を抑制する方法。
  20. 前記アビジン成分がアビジンおよびアビジン類似体から成る群から選択される分子を含むことを特徴とする、請求項12に記載の細胞集団の増殖を抑制する方法。
  21. 前記アビジン成分がアビジンおよびアビジン類似体から成る群から選択される分子2個を含むことを特徴とする、請求項12に記載の細胞集団の増殖を抑制する方法。
  22. 前記細胞毒性物質が融合タンパク質である、請求項12に記載の細胞集団の増殖を抑制する方法。
  23. アポトーシスの誘発及び/又は細胞増殖の抑制のための細胞の処置で使用される組成物であって、該細胞が細胞表面タンパク質または炭水化物を含むこと、該組成物が、標的誘導成分およびアビジン成分から成る細胞毒性物質、及び医薬的に許容できる担体を含むこと、また、該標的誘導成分が該細胞表面タンパク質または炭水化物の1つまたは2つ以上と結合可能であることを特徴とする、該組成物。
  24. 前記標的誘導成分が抗体、抗体フラグメント、scFvまたはリガンドを含む、請求項23に記載のアポトーシスの誘発及び/又は細胞増殖の抑制のための細胞の処置で使用される組成物。
  25. 前記アビジン成分がアビジンおよびアビジン類似体から成る群から選択される分子を含む、請求項23に記載のアポトーシスの誘発及び/又は細胞増殖の抑制のための細胞の処置で使用される組成物
  26. 前記細胞表面タンパク質または炭水化物が増殖因子レセプターである、請求項23に記載のアポトーシスの誘発及び/又は細胞増殖の抑制のための細胞の処置で使用される組成物。
  27. 前記抗体が抗トランフェリンレセプター抗体である、請求項24に記載のアポトーシスの誘発及び/又は細胞増殖の抑制のための細胞の処置で使用される組成物。
  28. 前記標的誘導成分が融合タンパク質である、請求項23に記載のアポトーシスの誘発及び/又は細胞増殖の抑制のための細胞の処置で使用される組成物。
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