JP2005525310A - タキサンを主剤とした組成物およびその使用法 - Google Patents

タキサンを主剤とした組成物およびその使用法 Download PDF

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Abstract

哺乳動物におけるタキサンの目標血中レベルを達成するための、タキサンを主剤とする組成物およびその使用方法、例えば、タキサン応答性の悪性疾患および非悪性疾患を治療するためのものが開示されている。本発明の組成物は、長期間の安定性および全体的に良好な口当たりを提供する。薬物動態学的研究の分析ツールとして当該組成物を使用する方法もまた開示されている。

Description

本発明は、経口投与すると吸収されにくいことが知られている薬剤など、水不溶性薬剤を投与するために役立つ新規な組成物に関する。さらに、本発明は、哺乳動物におけるタキサンの目標血中濃度を達成するための組成物およびその使用法に関する。さらに、本発明は、このような組成物を用いる治療法に関する。
多くの薬理学的に有用な化合物(例えば脂溶性、疎水性、および両親媒性の化合物)の特徴である難溶性を解決するのに有効な方法がほとんどないということが、薬剤開発を遅らせている重大な欠点である。Kagkadisら、PDA J.Pharm.Sci.50(5):317−323(1996)、およびSweetanaら、PDA Pharm.Sci.50(5):330−342(1996)は、難溶性化合物には、例えばコルチゾン、エトポシド、サイクロスポリン、およびプロロイキンなどがあることを記載している。従来、胃腸管からの全身吸収が困難または一定しないため、難溶性薬剤は静脈投与されている(相当な身体的および心理的不快感、および局所的外傷の可能性、また余計な経済的負担を伴う)。
難溶性の化学療法剤および/または抗がん剤には、パクリタキセルなどのタキサンがあるが、これらは、通常、経口投与されると生体内利用能がなくなる。Waniら、J.Am.Chem.Soc.,93:2325(1971)は、テルペン類のタキサンファミリーに属するパクリタキセルが、パシフィックユー(タキサス・ブレビフォリア:Taxus brevifolia)の木から単離される天然のジテルペン産物であることを開示している。パクリタキセルに化学療法薬としての性質をもたらす正確なメカニズムは未解明であるが、Schiffら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:1561−1565(1980);Schiffら、Nature,277:665−667(1979);およびKumar,J.Biol.Chem.,256:10435−10441(1981)など、いくつかの研究では、パクリタキセルの腫瘍増殖阻害能力は、それが、微小管のベータ−チューブリンサブユニットのN末側31アミノ酸に結合できることに由来すると考えられている(Raoら、J.Biol.Chem.269:3132−3134(1994)参照)。Woodら、New Eng.J.M.,332(15):1004−1014(1995)は、パクリタキセルの抗がん特性は、微小管が分解を阻害されることによって極めて安定して機能を失い、それによって、細胞分裂中および活発な分裂間期の進行に必要とされる正常な動力学関係が破壊されて細胞死がもたらされることによるとしている。
科学文献には、関連性のないさまざまな症状の治療におけるパクリタキセルの有効性を報告する論文が溢れている。例えば、肺癌および頭頚部癌に関しては、Einzigら、Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.,20:46(1996);皮膚の新生物に関しては、Forastireら、Sem.Oncol.,20:56(1990);胃癌に関しては、Changら、Cancer 77(1):14−18(1996);多発性嚢胞腎に関しては、Wooら、Nature,368:750(1994);また、マラリアに関しては、Pouvelleら、J.Clin.Invest.44:413−417(1994)がある。
パクリタキセルおよびドセタキセルは、いくつかの関連のない症状の治療において臨床使用することが承認されている。Markinanら、Yale J.of Bio.&Med.,64:583(1991)およびMcGuireら、Ann.Intern.Med.111:273(1989)は、米国における難治性卵巣癌のためのパクリタキセルの使用を開示している。Mavrodiusら、ASCO 18:254a(1999)は、胃癌にドセタキセルを使用したことを記載している。Holmesら、J.Nat.Cancer Inst.,83:1797(1991)は、乳癌など、数種類の新生物の化学療法にパクリタキセルを使用したことを開示している(また、タキソール(パクリタキセル)ミード・ジョンソンオンコロジープロダクツのパッケージインサートも参照)。Fencelら、ASCO 18:283a(1999)は、食道がんに対してパクリタキセルおよびドセタキセルを使用したことを記載している。Vanhoeferら、ASCO 18:303a(1999)は、転移性胃がんにドセタキセルを用いた第二相試験について記載している。Kourossisら、ASCO 17:266(a)(1998)は、進行性胃癌に対する救助療法としてドセタキセルを使用することを開示している。Xiaoら、ASCO 17:306(a)(1998)は、食道がんの患者で以前パクリタキセルによる治療を受けていた患者における新しいパクリタキセル治療法を評価している。Schultzらは、耐ホルモン性前立腺癌患者におけるドセタキセルの第二相試験を報告している。Ajaniら、J.Nat.Cancer Inst.,86:1086−1091(1994)およびKelsenら、Seminars in Oncology 21:44−48(1994)は、食道の扁平上皮癌と同様、扁平上皮細胞癌および腺癌のパクリタキセル療法について記載している。
これまで、(i)適当な注射および輸液用タキサン処方剤の開発および(ii)より水溶性が高いタキサン類似体、誘導体、およびプロドラッグを求めて努力が続けられてきた。静脈注入するためのパクリタキセル処方剤のほとんどは、CREMOPHOR EL(商標)として市販されているポリエトキシル化ひまし油を薬物担体として利用して開発されてきた。しかしながら、ポリエトキシル化ひまし油は、それ自体有毒で、イヌでは、血管拡張、強制呼吸、倦怠感、低血圧および死をもたらし、静脈投与されるとアレルギー型反応を惹き起こすことも疑われている。
別の研究法によって、より水溶性の高いタキサンの類似体、誘導体、およびプロドラッグがもたらされた。このため、例えば、「改良されたタキソールIV:側鎖を改変したタキソールの合成と生物活性(Modified Taxols IV;Synthesis and biological activity of taxols Modified in the side chain)」、Magri,N.F.;Kingston,DGI;J.Nat.Prod 1988,5l,298は、2’位および/または7位が水溶性を向上させる基で誘導体化されている誘導体化パクリタキセル類似体を開示している。これらの努力によって、元となった化合物よりも水溶度が高く、活性化されると細胞傷害特性を示すプロドラッグ化合物が得られた。このようなプロドラッグの重要な一グループは、パクリタキセルおよびドセタキセルの2’−オニウム塩(例えば、Nicolaouら、Angew.Chin.Int.Engl.33:1583−1587(1994)参照)、特に、PCT公開番号WO98/58927に開示されている2’−メチルピリジニウムメシレート(2’−MPM)塩を含む。Suffness(編)「タキソールの科学と応用(Taxol(登録商標)Science and Appplications)」CRCプレス(1995)には、溶解性の改善が不十分、安定性の問題および低再生率のせいで、今までのところ臨床評価にまで進んだものはないと記述されている。
前臨床試験では、経口服用後パクリタキセル単独では吸収されないことを示唆している。Walleら、Drug Metabo. Disp.,26(4):343−346(1998)は、経口投与後、タキソールは吸収されず、低経口生体利用能が、外側に向かう排出ポンプの作用に起因することを報告した。同様に、Eisemanら、タキソールとタキサスに関する第二回NCIワークショップ(Second NCI Workshop on Taxol and Taxus)(1992年9月)、およびSuffness(編)「タキソールの科学と応用(Taxol(登録商標)Science and Appplications)」CRCプレス(CRC Press)(1995)において、パクリタキセルは、経口で投与されたときには吸収が非常に悪い(1%未満)と記載されている。具体的には、Eisemanらは、パクリタキセルの生体利用能が経口投与では0%であると指摘しており、Suffnessらは、パクリタキセルを経口服用させるのは可能とは考えられない旨を報告している。このような理由で、パクリタキセルは、人間の患者に経口投与されて来なかった。同様に、ドセタキセル(N−デベンゾイル−N−tert−ブトキシカルボニル−10−デアセチルパクリタキセル)は、商標TAXOTERE(登録商標)(ローヌ・プーラン ローラー社(Rhone−Poulenc−Rorer S.A.))の名前で販売され、乳癌の治療用に非経口型で投与されている。
経口投与後パクリタキセルの生体利用能が低いのは、エネルギー依存的輸送として作用する膜結合型P−グリコプロテイン、または、生体異物を細胞から押し出すことによって薬物が細胞内に蓄積するのを抑制する排出ポンプが原因となっている可能性がある(前掲「タキソールの科学と応用(Taxol(登録商標)Science and Appplications)」参照)。P−グリコプロテインは、小腸の粘膜細胞を通って移動するのを阻害することによって全身に吸収されるのを阻止するという仮説がある。既知の薬剤のいくつかがP−グリコプロテインを阻害することが明らかになっている(例:サイクロスポリンA、ベラパミル、タモキシフェン、キニジンおよびフェノチアジン)ため、必然的に、臨床試験などの努力は、パクリタキセル(Fisherら、Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.13:143,1994)、ドキソルビシン(Bartlettら、J.Clin.Onc.12:835−842(1994))およびエトポシド(Lumら、J.Clin.Onc.10:1635−1642(1992))など、多剤耐性(MDR)の影響を受けることが知られている抗癌剤に対するサイクロスポリンの作用を研究することに向けられてきた。抗癌剤とともにサイクロスポリンを静脈から投与すると、(おそらく体内のクリアランスが低下するために)血中濃度が高くなり、実質的により低い投与量で、予想された有毒性が示されることが明らかになっている。P−グリコプロテイン阻害剤の臨床使用の薬理学的影響に関する一般的な考察については、Lumら、Drug Resist.Clin.Onc.Hemat.9:319−336(1995);Schinkelら、Eur.J.Cancer 31A:1295−1298(1995)参照。
PCT公開番号:WO95/20980(1995年8月10日公開)(以後「ベネット(Benet)」と称す)は、経口投与される疎水性医薬化合物の生体利用能を高めるための方法を開示するものと言われている。この方法は、チトクロームP450 3A酵素のインヒビターまたはP−グリコプロテインによる膜輸送のインヒビターを含むバイオエンハンサーの同時投与を含む。ベネットは、どの生体利用能促進薬剤が特定の標的医薬化合物の利用能を高めるのかを同定しておらず、また、促進薬剤または標的薬剤を投与するための具体的な投薬量、投薬計画または療法を開示していない。唯一開示されている組み合わせは、ケトコナゾールが促進薬剤で、サイクロスポリンAが標的薬剤というものである。
ベネットは、単に、バイオエンハンサーが一般的に2個の共面性芳香環、正に荷電した窒素基、またはカルボニル基を含む疎水性化合物であって、いくつかの実施不能な態様を含む不特定数の化合物の仲間であることを規定しているにすぎない。さらに、ベネットが開示している活性薬剤の仲間は、医師のための机上便覧に記載されている薬剤の大部分を含むため、具体的な薬剤を安全、実用的かつ効果的に経口投与する方法を求めている医師にとっては無価値である。最後に、適当なバイオエンハンサー/活性薬剤の組み合わせを識別したり、治療上有効な経口投与法を計画したりする当業者が従うべき教示内容を提供していない。
PCT公開番号:WO98/30205(1998年7月16日)(以後「ケイ」と称す)は、難溶性薬剤の生体利用能を高める方法を開示しているとされる。この出願は、界面活性剤を含むアルファ−トコフェロールの乳剤を開示している。また、PEG化ビタミンEも含まれる。PEG化アルファ−トコフェロールは、ビタミンEの環ヒドロキシル基に存在するコハク酸ジエステルが結合したポリエチレングリコールサブユニットを含む。アルファ−トコフェロールは、アルファ−トコフェロールの乳剤中で界面活性剤、安定剤および補助溶媒として働くと言われている。とりわけ、この文献は、明らかに(a)乳剤および(b)本質的にエタノールを含まない処方剤に限定している。
公有出願であるPCT公開番号:WO97/15269は、サイクロスポリンなど生体利用能促進剤を経口同時投与することによって、本来なら低い生体利用能を示すタキサンを含む生体利用可能な標的薬剤を作る方法および組成物を開示している。
タキサンの経口投与に適した、さらなる組成物および有効な方法を開発する必要が未だにある。そのような組成物は、目標とする治療に適した血中タキサン濃度を達成できなければならない。明らかに実用的な理由で、そのような組成物は、(i)生体利用能があり、(ii)溶液中でタキサンを維持するのに適しており、(iii)長期間にわたって化学的に安定しており、また、(iv)長期間の安定性を示しながらも総合的においしさを保持しているべきである。
本願発明者らは、哺乳動物においてタキサンの目標とする血中濃度を達成するのに有効な、タキサン組成物、およびそれを使用する方法を発明した。この組成物は、長期間にわたる安定性と総体的なおいしさ(palatability)を示す。本明細書において例示されているように、このような方法は、例えば、治療上有効な輸液法など、現在利用可能なより不便な方法によって達成される濃度に匹敵するタキサン血中濃度を達成する手段を提供する。したがって、本発明は、胃腸管から血流中へのタキサンの吸収を改善し、そのようなタキサンの哺乳動物における、治療上有効な血中濃度など、目標とする血中濃度を提供するのに役立つ組成物および方法を提供する。いくつかの実施態様において、達成されたタキサン血中濃度は、WO97/15269に記載されている組成物によって達成された血中濃度よりも高い。さらに、本発明に係る方法および組成物は、治療用手段としてだけでなく、生化学研究用の解析手段としても有用である。
第一の態様において、本発明は、長期間にわたる安定性と総体的なおいしさを示す薬学的組成物を提供する。そのような組成物は、難溶性薬剤、担体、共可溶化剤、および安定剤を含む。本発明のより好適な実施態様は、一種類以上のタキサン、担体、共可溶化剤、または安定剤を提供することができる。本発明の組成物のいくつかは、本明細書においてさらに詳しく説明するように、例えば、界面活性剤、薬学的賦形剤、希釈剤、甘味料、香料、または着色剤などの付加的成分をさらに含む。本発明の特に好適な実施態様において、タキサンはパクリタキセルまたはドセタキセルである。経口生体利用能促進剤とともに経口投与すると、本発明の好適な組成物には、静脈注射によって達成される血中濃度に匹敵するタキサン血中濃度をもたらすものがある。
第二の態様において、本発明は、上記薬学的組成物を経口投与することによって、哺乳動物における治療上有効なタキサン血中濃度を達成するのに適した方法を提供する。特に好適な実施態様において、生体利用能促進剤の投与など、本発明の方法は、治療上有効であることが示されている96時間輸液などの長時間輸液によって達成される血中濃度と同等のタキサン血中濃度をもたらす(例えば、進行性転移乳癌の治療についてはWilsonら、J.Clin.Oncol.12:1621−1629(1994)およびSeidmanら、J.Clin.Oncol.16:3353−3361(1998)に記載されている通り)。本態様に従って有用となる薬学的組成物および生体利用能促進剤は、本発明の第一の態様について記載されている通りである。
第三の態様において、本発明は、ジテルペノイドの性質を調べるための方法を提供する。より具体的には、本発明は、可溶性の大幅な向上をもたらすことのできる新規処方剤のタキサン骨格の生化学的性質を研究するための手段を提供する。このような研究は、新たな応用、および可能ならば、既に存在する治療上の成果をさらに最適化するのに必須なタキサンのより総合的な薬理動態学的および薬学的説明をもたらす。
本発明の更なる態様は、本明細書に記載したような薬学的組成物を経口投与することによって、タキサン反応性疾患に罹った哺乳動物を治療する方法に関連する。いくつかの実施態様において、本発明の薬学的組成物は、生体利用能促進剤とともに経口投与され、タキサンを静脈注射したときに達成される濃度に匹敵するタキサン血中濃度を提供する。本態様に従って有用な薬学的組成物および生体利用能促進剤は、本発明の第一の態様について記載されている通りである。
本願発明者らは、経口投与されると吸収されにくいことが知られている薬物など、水不溶性薬物を経口投与するための新規組成物およびその使用法を考案した。さらに、本発明は、哺乳動物においてタキサンの治療血中濃度など、タキサンの目標とする血中濃度を達成するための組成物およびその使用法に関わる。その上、本発明は、そのような組成物を使用する療法に関わる。本明細書において確認されている米国特許およびその他の刊行物は、当業者の知識に含まれるものであって、それら全体が参照として本明細書に組み入れられる。
本明細書において使用される科学技術用語は、別段の記載がない限り、本発明の属する技術分野における当業者が一般的に理解している意味を有する。それらの用語が意味する範囲など、明細書および請求の範囲が明確かつ十分に理解されるよう、念のため、以下に定義を示す。当然ながら、以下の用語は、名詞、動詞、単数形ならびに複数形でも表記されうる。
本明細書では、当業者に既知である、さまざまな方法や材料に言及している。薬理学の一般原理を示す標準的な参考文献には、グッドマンとギルマンの治療薬の薬理学的原理(Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics)第9版、ニューヨークのマッグロウヒル社(McGraw Hill Companies Inc.)(1996年)などがある。現代薬理学の一般原理を示す標準的な参考文献は、レミントンの医薬科学(Remington’s Pharmaceutical Scineces)第18版、Gennaro、マックパプリシング社(Mack Publishing Co.)、ペンシルバニア州イーストン(Easton,PA)、(1990年)、およびレミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Sciences and Practice of Pharmacy)、Lippincott、WilliamsおよびWilkins(1995年)である。
本発明の実施に当たっては、適当な材料および/または方法であって当業者に公知のものを利用することができる。しかしながら、好適な材料および方法について記載する。以下の説明および実施例において述べられている材料や試薬などは、別段の記載がない限り、市販されているものである。
本発明は、本発明の方法の恩恵を受けることができるあらゆる哺乳動物に用いられることを意図している。このような哺乳動物で第一に挙げられるのはヒトであるが、それに限定されるものではなく、獣医学における使用にも応用可能である。
第一の態様において、本発明は、長期間にわたる安定性と総体的なおいしさを示す薬学的組成物を提供する。そのような組成物は、タキサン、担体、共可溶化剤、および安定剤を含む。本発明の目的上、「担体」という用語は、本発明の薬学的組成物においてタキサンの水可溶性を維持(好適な態様においては向上)させる部分を意味するために用いられる。本発明に係る担体は、共可溶化剤としても作用しうる部分を無制約に含む。本発明の担体は、少なくとも1個の脂肪酸エステルに結合した直鎖ポリエステルまたは分枝グリコール(例えばグリコール)の中核構造で特徴づけられる。本発明で使用される好適な担体は、約10以上のHLB値をもつ非イオン系界面活性剤または乳化剤である。このような非イオン系界面活性剤または乳化剤は、脂溶性タキサン(水には難溶性)にとって親和性のある担体というだけではなく、胃腸管から血流中に有効成分が吸収されるのを促進することが分かっている。約10以上のHLB値をもつ界面活性剤ファミリーのメンバーだけを本発明の組成物における担体として使用することが可能である。
本発明に係る担体の例に制限はないが、代表的なものとして以下のものが含まれる。ビタミンE TPGS(d−アルファ−コハク酸トコロフェリルポリエチレングリコール1000で、テネシー州キングスポート(Kingsport,TN)にあるイーストマンケミカル社(Eastman Chemical Co.)から購入できる);C8−C18脂肪酸のグリセリドを含む、GELUCIRE(商標)およびLABRASOL(商標)という製品(ニュージャージー州ウェストウッド(Westwood,NJ)にあるガテフォッセ社(Gattefosse Corp))などの飽和ポリグリコライズドグリセリド;CREMOPHOR(商標)EL、または、EL−PまたはRH40変性ひまし油(ニュージャージー州マウントオリーブ(Mt.Olive,NJ)にあるBASF社から購入できる)など、ポリオキシエチレン化ひまし油または硬化ひまし油などの変性ひまし油;MYRJ(商標)ポリオキシエチレン化ステアリン酸エステル(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte,NC)にあるICIアメリカズ社(ICI Americas)により販売されている);TWEEN(商標)(ICIアメリカズ社)およびCRILLET(商標)(ニュージャージー州パーシッパニー(Parsippany,NJ)にあるクローダ社(Croda Inc.)から購入できる)というポリオキシエチレン化ソルビタンエステル;BRIJ(商標)ポリオキシエチレン化脂肪酸エステル(ICIアメリカズ社);CROVOL(商標)変性(ポリエチレングリコール)アーモンドおよびコーン油グリセリド(ニュージャージー州エジソン(Edison,NJ)にあるクローダ社(Croda Inc.));EMSORB(商標)ジイソステアリン酸ソルビタン(ペンシルバニア州アンブラー(Ambler,PA)にあるヘンケル社(Henkel Corp.));SOLUTOL(商標)ポリオキシエチレン化ヒドロキシステアリン酸(BASF);およびシクロデキストリン。
好適な本発明の薬学的組成物は、30重量%以上の担体を含む。特に好適な実施態様において、重量にして組成物の約30から約90%の量の担体を含む。特に好適な実施態様において、本発明の薬学的組成物は約40重量%のビタミンE TPGSを含む。
「共可溶化剤」という用語は、通常、経口による生体利用能に必要とされるように、体温における本発明の組成物の流動性を高めたり、組成物の融点を体温よりも低くしたりする、粘性を低下させる部分を表すために使用される。本発明に係る好適な共可溶化剤は、体温で賦形剤の粘性を低下させ、その流動性を高め、又、担体単独で使用するときと比べ、賦形剤に溶解するか分散することができる有効成分の量を増加させることができる。本発明に係る共可溶化剤は、担体としても機能しうる部分が含まれる。本発明に係る共可溶化剤には、タキサンの可溶性の増加をもたらすことができるものも無制限に含まれる。
本発明に係る粘性を低下させる共可溶化剤の例に制限はないが、代表的なものとして以下のものが含まれる。PHARMASOLVE(商標)(N−メチル−2−ピロリドン、ニュージャージー州ウェイン(Wayne,NJ)にある、インターナショナルスペシャリティープロダクツ社(International Specialty Products);カプリル酸およびカプリン酸のグリセロールエステルまたはプロピレングリセロールエステルであるMIGLYOLT(商標)(ドイツのマール(Marl,Germany)にあるヒュルス社(Huels AG);ステアリルエーテルまたはオレイルエーテルなどのポリオキシエチレン化ヒドロキシステアリン酸(例、SOLUTOL(商標)HS 15)(ニュージャージー州マウントオリーブ(Mt.Olive,NJ)にあるBASF社);TWEEN(商標)ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル(デラウエア州ウィルミントン(Wilmington、DE)ICI社);カプリル酸およびカプリン酸のポリエチレングリコールエステルであるSOFTIGEN(商標)(ヒュルス社);ポリオキシエチレン化ひまし油または硬化ひまし油などの変性ひまし油(CREMOPHOR(商標)EL、EP−PまたはRH 40など)(ニュージャージー州マウントオリーブにあるBASF社);オリーブ油などの植物油、ポリオキシエチレン化脂肪酸エーテル、または変性ひまし油;C8−C18脂肪酸のグリセリド(LABRASOL(商標)など)など、一定の飽和ポリグリコライズドグリセリド;トリブチルクエン酸、トリエチルクエン酸、およびアセチルトリエチルクエン酸などのクエン酸エステル、単独またはPHAMASOLVE(商標)と併用するプロピレングリコール、エタノール(好適には無水エタノール)、水、および、PEG 200,300および400などの低分子量ポリエチレングリコール。特に好適な実施態様において、共可溶化剤はエタノールである。さらに、特に好適な実施態様において、共可溶化剤はポリエチレングリコールとエタノールを含む。組成物の重量にして90%までは共可溶化剤でもよい。本発明のいくつかの実施態様において、約10から約70重量%が共可溶化剤である。本発明の好適な実施態様において、共可溶化剤は、約20から約60重量%の量で存在する。したがって、好適な薬学的組成物は、約10から約70重量%のポリエチレングリコールを含むことができ、より好適には約20から約60重量%のポリエチレングリコールを含むことができる。特に好適な実施態様において、本発明の薬学的組成物は、約40重量%のポリエチレングリコールを含む。
特に好適な実施態様において、本発明の薬学的組成物は、約5から約50重量%のエタノールを含み、より好適には、約10から約30重量%のエタノールを含む。最も好適な実施態様において、本発明の薬学的組成物は約20重量%のエタノールを含む。
担体であると確認された物質には、単独、または別の粘性低下薬剤または別の担体と組み合わせると有効な共可溶化剤となることが分かっている。一般的には、パクリタキセルまたは別のタキサンが体温または少し加温すると少なくとも中度に可溶性である溶媒を、新規組成物の賦形剤の共可溶化剤として使用することができる。好適な共可溶化剤は、20〜25℃で少なくとも25mg/mlのパクリタキセルまたは別のタキサンを溶解することができる共可溶化剤である。本発明のいくつかの実施態様において、本発明の組成物は2種類以上の可溶化剤を含む。
ここで「安定剤」という用語は、タキサンの安定性を高める部分を意味する。本発明に係る安定剤は、タキサンと比べて、加溶媒分解の速度を低下させること(例えば、C−13位におけるエステル側鎖の消失、またはC−10位における脱アセチル化)、および/またはタキサン分子の(例えばC−7位における)エピマー化によってタキサンを安定させることができる。本発明に係る安定剤によるタキサンの安定化は、一種類以上の既知の分解産物(例、7−エピ−タキソールC、10−デアセチルタキソール、7−エピ−タキソール、7−エピ−10−デアセチル−タキソール、バッカチンIII、10−デアセチルタキソールIII、セファロマンニン、ニチン、7−エピ−セファロマンニン)の減少によって検出可能である(例えば、Millerら、J.Org.Chem.46:1469−1474(1981)およびVolkら、J.Chromatography B 696:99−115(1997)参照)。特に好適な本発明の実施態様において、安定剤はアスコルビン酸6−パルミチン酸(すなわちアスコルビルパルミテート)である。本発明において有用な別の安定剤には、アルファ−ヒドロキシ酸またはベータ−ヒドロキシ酸などの酸の金属塩、硫酸金属(例、FeSO、金属アルファ−ヒドロキシメチルスルフィン酸および金属スルフォン酸)などの金属塩類がある。これらの金属塩類は、本明細書と同日付で出願された、「タキサン組成物を安定させるための金属塩の使用(Uses of Metal Salts to Stabilize Taxane−based Compositions)」と題する、本出願人らの共有の米国特許出願番号:PCT/US01/09416の対象であり、参照として本明細書に組み入れられる。
本発明を制限する特定の理論にとらわれることなく、本出願人らは、遊離基の形成を阻害することによって、および/またはタキサン骨格中の隣接し合う極性酸素含有置換基間における複合体形成によって、タキサンの分解を低下させる安定剤があると考えている。この新しい構造は、これらの化学基を決まった位置に固定する「鍵」を作り出す。したがって、周囲の媒体によって、これらの置換基間の相互作用を最小にすると、これらの部位の加溶媒分解および/または脱プロトン化の速度を低下させ、それにより、元となる化合物の分解速度が低下する。このように、本発明のいくつかの実施態様において、好適な安定剤はラジカルインヒビターである。ラジカルインヒビターは、当技術分野において公知されている(例えば、前掲のレミントンの薬物科学を参照)。本発明に係るラジカルインヒビターの限定的でない典型的なものとして、Fe2+グルコネート、Cu2+グルコネート、Zn2+グルコネート、Ca2+グルコネート、HOCHSONa、アスコルビン酸パルミテート、ベータ−カロテン、亜鉛メチオニン、およびクエン酸亜鉛などがある。
本発明者らが考える、さらに別の好適な安定剤は、さらに薬学的組成物の色を保存するのにも役立つことができる。このタイプの安定剤は、dl−アルファ−トコフェロールで、BASF社(ニュージャージー州マウントオリーブ)から購入することができる。
本発明の組成物に含まれる安定剤の量の範囲は、組成物の全重量に対して約0.2%から約1.0%である。一般的には約0.05%から約2.0重量%である。ある物質が本発明の目的にかなう安定剤として機能するか否かを判定し、もし機能する場合には、組成物に加えるべき最適の量は、通常の実験によって決められる。例えば、さまざまな量の組成物を含むタキサン処方剤をストレス条件(例えば24時間80℃)においてからHPLCによって解析する。これらの処方剤を対照(化合物を含まない)と比較して、HPLCプロファイルから変化しなかったタキサンの割合を計算する。97%のタキサン比を達成する化合物は、通常、許容されうると考えられ、98.5%よりも高い割合を達成する化合物が好適である。上記MillerおよびVolkの刊行物も参照。
本発明に係る薬学的組成物は、一種類以上の担体、共可溶化剤または安定剤を含むことができる。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、選択的に、本明細書でさらに詳しく説明するよう、さらに別の成分、例えば、界面活性剤、薬学的賦形剤、希釈剤、甘味料、香料、または着色料などとともに処方することができる。経口投与にための剤形に一様に含まれる、通常の薬学的賦形剤、希釈剤、甘味料、香料、着色料、およびこのほかの不活性成分は、当技術分野において周知されている(前掲のレミントンの薬物科学を参照)。
本発明に係る「界面活性剤」は、水性培地の中で疎水性化合物の分散を維持および/または促進することができる表面活性基をもつ両親媒性成分である。当業者は、本発明の組成物に適した界面活性剤は当技術分野において公知であることを十分に認識しているであろう。界面活性剤の限定的でない典型例にはビタミンE(例、アルファ−トコフェロール)およびベータ−カロテンなどがある。
「タキサン」という用語は、水にほんの僅かしか溶けないジテルペン類成分を識別するために用いられる。本発明に係るタキサンは、パシフィックユーツリー(タキサス・ブレビフォリア)から単離される成分、および誘導体、類似体、代謝物、プロドラッグ、およびその他のタキサンなどがである。好適には、タキサンは、パクリタキセル、ドセタキセル、パクリタキセルまたはドセタキセルの誘導体、類似体、代謝物ならびにプロドラッグ、およびそれらの塩、多形体ならびに水和物からなる群より選択される。より好適には、タキサンはパクリタキセルを含む。本発明のいくつかの実施態様においては、一種類以上のタキサンが活性成分として含まれる。
本発明の組成物のタキサン濃度は、選択される担体、共可溶化剤、および/または安定剤、および哺乳動物に経口投与されるタキサンの所望の全投与量によってさまざまに変化できる。本発明に係る薬学的組成物におけるタキサン濃度は、約2から約100mg/ml、好適には約6から約60mg/ml以上、好適には約10から約50mg/mlである。
出願人らは、本発明に係る組成物の投与と同時に、有効な経口量の生体利用能促進剤を投与すると、タキサンを静脈注射したときに達成される血中濃度に匹敵するタキサン血中濃度の達成を助長する。後述するように、生体利用能促進剤は、本発明の組成物の投与の前、投与と同時、または投与の直後に投与することができる。したがって、本発明のいくつかの実施態様において、薬学的組成物は生体利用能促進剤を含む。
「生体利用能促進剤」または「促進剤」もしくは「有効化剤(enabling agent)」という用語は、別の薬剤の吸収または生体利用能を高めることができる薬剤を意味するために使用されている。好適な生体利用能促進剤には、サイクロスポリンおよび関連オリゴペプチドでトピクラディウム(Topycladium)属の種によって生産されるもの、ケトコナゾール、デクスベラパミル、アミオダロン、ニフェジピン、レセルピン、キニジン、ニカルジピン、エタクリン酸、プロパフェノン、レセルピン、アミロライド、麦角アルカロイド、セフォペラゾン、テトラサイクリン、クロロキン、ホスホマイシン、イベルメクチン、タモキシフェンVX−710、VX−853、ゲニステインおよび関連イソフラボノイド、カルフォスチン、セラミド、モルヒネ、モルヒネコンジナー、その他のオピオイドおよびオピオイドのアンタゴニストなどがある。サイクロスポリンは、例えば、トピクラディウム・インフラタム・ガムズ(Topycladium inflatum gams)(かつてトリコデルマ・ポリスポラム(Trichoderma polysporum)と名づけられていた)、トピクラディウム・テルリコーラ(Topycladium terricola)および他のフンギ・インペルフェクチ(fungi imperfecti)などのトピクラディウム(Topycladium)属によって産生される非極性の環状オリゴペプチドグループ(中には免疫抑制活性をもつものがある)である。その主要成分であるサイクロスポリンA(サイクロスポリンもしくはCsA)は、例えばサイクロスポリンBからZまでのような他の数種類の類似体とともに同定されている。これらの類似体には、サイクロスポリンAよりも免疫抑制活性が実質的に低いものがある。また、合成および半合成の類似体も数多く作製されている。一般的には、Jegorovら、Phytochemistry,38:403−407(1995)を参照。本発明は、サイクロスポリン天然物、半合成物、合成の類似体、および誘導体を含む。サイクロスポリン類、特にサイクロスポリン(サイクロスポリンA)は、P−グリコプロテイン排出ポンプや他の輸送体、およびP450分解酵素のインヒビターとして知られているが、この性質を臨床的に応用するための効果的な治療計画が、臨床上および商業的に利用可能なところまで、または規制当局の許可が得られるところまで開発されたことはない。
本発明の実施態様において使用することができるサイクロスポリンには制限がなく、サイクロスポリンAからZまでであるが、特には、サイクロスポリンA(サイクロスポリン)、サイクロスポリンF、サイクロスポリンD、ジヒドロサイクロスポリンA、ジヒドロサイクロスポリンC、アセチルサイクロスポリンA、PSC−833、(Me−Ile−4)−サイクロスポリンであるSDZ−NIM811、抗ウイルス性、非免疫抑制性サイクロスポリンである。好適なサイクロスポリン組成物は、国際公開公報WO98/10747およびWO01/12229に記載されている。サイクロスポリンAからZまでを規定する特徴的なアミノ酸変異を下記表1に示す。
Figure 2005525310
より好適な実施態様において、本発明は、タキサン、ビタミンE TPGS、プロピレングリコール、エタノール、およびアスコルビルパルミテートを含む、哺乳動物に経口投与するための長期間安定した薬学的組成物を提供する。
本発明の特に好適な実施態様は以下の成分を含む。
成分 重量/容量% U/mL
パクリタキセル 1.20 12.0 mg
ビタミンE TPGS(*) 40.00 400.00 mg
プロピレングリコールUSP 40.00 400.00 mg
アスコルビルパルミテートNF 0.50 5.0 mg
dl-アルファ-トコフェロールUSP 0.50 5.0 mg
無水アルコール 100 mLとなる適量 1.0 mLとなる適量
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(*)d-アルファ-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート
別の特に好適な本発明の実施態様は以下の成分を含む。
成分 重量(グラム)
パクリタキセル 1.2
ビタミンE TPGS(*) 40.0
プロピレングリコール 35.0
アスコルビルパルミテート 0.50
ビタミンE 0.50
無水アルコール 〜22.3 (28.1 mL)
(*)d-アルファ-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート
これらの実施態様において、プロピレングリコールは、組成物の重量の約35から約40%の重量で存在する。
本発明の組成物は、薬学分野における各当業者に知られている、界面活性剤の担体と脂溶性有効成分を含む液体のまたはその他流動性の経口処方剤を調製するための従来法によって調製することができる。本発明の組成物を調製するのに適した方法で、限定的でない典型例は、本明細書の実施例に記載されているプロトコールなどである。好適な担体の大部分は室温では非常に粘性が高く、場合によっては、共可溶化剤を少量加えてもまだ比較的高い粘性を保持しているので、組成物を調製するときには、使用する担体と共可溶化剤を混合し、タキサン有効成分を加え、得られた混合液を攪拌しながら、例えば約40℃まで加熱する方が一般的には好適である。この方法は清澄な溶液の調製を可能にする。しかし、ある種の共可溶化剤、特にPHARMASOLVE(商標)は、担体の粘性よりも低く、加熱をしなくても室温で攪拌しすれば、組成物を調製できる程度にタキサンの可溶性を促進する。完成した組成物の粘性は、体温(約37℃)で40,000cps以下であることが望ましい。
本発明の経口組成物は、溶液、乳液または懸濁液の形状が可能であるが、担体系または担体/共可溶化剤系における有効タキサン成分の溶液が好適である。
また、本発明は、治療への応用など、さまざまな目的のために組成物を使用する方法を説明する。したがって、第二の態様において、本発明は、本明細書に記載した通りの有効量の薬学的組成物を経口投与することによって、哺乳動物におけるタキサンの目標とする血中濃度を達成する方法を提供する。このような方法は、タキサンの静脈内投与によって達成される血中濃度に匹敵するタキサンの目標血中濃度をもたらすのに適している。本発明の経口薬学的組成物の中には、単独で投与しても、パクリタキセルの治療血中濃度など、タキサンの目標血中濃度を提供することができるものもあるが、引き続き達成されるタキサン濃度は、実際にはタキサンの薬理学的活性と関連しているため、本発明の好適な方法は、経口薬学的組成物を、少なくとも一服の生体利用能促進剤と同時に投与する方法である。
本態様にしたがって有効な薬学的組成物および生体利用能促進剤は、本発明の第一の態様で説明した通りである。
本発明に係る「目標血中濃度」は、求められているタキサンに関連した特定の活性が観察されるのに必要とされる閾値濃度以上のタキサンの血中濃度である。非限定的な典型例には、約0.1μMすなわち85ng/mlの血中濃度で起こるチューブリンの分解阻害、およびタンパク質のイソプレニル化(約0.03μMすなわち25ng/mlの血中濃度で起こる)などがある。さらに、パクリタキセルなどのタキサンは、血管形成を阻害し、細胞内Bcl−2のリン酸化を阻害することが示されている。これらの活性(発癌作用の直接阻害または伝達因子の阻害)には、タキサンの抗腫瘍形成特性に直接関係するものもある。したがって、本発明のいくつかの特定の実施態様において、目標血中濃度は、特定の薬理学的活性が観察される治療的な血中濃度である。目標血中濃度は、例えば、同時に薬物を使用するか、治療する哺乳動物の肝臓の状態、アルブミン濃度、およびさまざまな薬学的処方剤間の違いなどの変数の数によってかなり変化することになる。目標血中濃度は、哺乳動物におけるパクリタキセル濃度を観察しつつ、本発明の組成物を段階的に増加させて投与するなどの常法によって簡単に確認することができる。
哺乳動物が、チューブリンの分解を阻害する療法を必要とする人間である場合の本発明の好適な実施態様において、目標血中濃度は、一期間(例えば数時間)当たり約0.1μMすなわち85ng/ml以上である。哺乳動物が、タンパク質のイソプレニル化を阻害する療法を必要とする人間である場合の本発明の好適な実施態様において、目標血中濃度は、約0.03μMすなわち25ng/ml以上である。このような目標血中濃度に制約はないが、約25ng/mlから約85ng/mlまでの血中濃度である。
第三の態様において、本発明は、ジテルペノイド類の物理特性を調べる方法を提供する。より具体的には、本発明は、毒性を高めることなくインビボでの組織内分布を大きく上昇させることができる新規処方剤におけるタキサン成分の生化学的特性を調べるのに役立つ手段を提供する。このようにタキサンの分布容量を増大させることのできる手段によって、例えば、さまざまな組織におけるチューブリンおよび/または微小管結合蛋白質(MAP)の過剰発現レベル、細胞周期進行、および微小管重合の核生成に対するパクリタキセルの影響など、インビボでのさまざまな生化学的性質を解明することが研究者に可能になる。このような研究は、新規の応用法を確認するのに必須であり、また既存の治療成果をさらに最適化するのに必須であるタキサンのより総合的な薬理動態学的および薬理学的説明をもたらす。
最後に、本発明に係る方法および組成物は、タキサン反応性疾患の治療法においても有用である。「タキサン反応性疾患」は、本明細書に記載されている薬学的組成物を有効量経口投与することによって改善される病状などの症状を意味するために使用される。一般的に、タキサン反応性疾患は、癌、腫瘍、血管新生、乾癬、および多発性嚢胞腎などの外因性疾患などの無制御な細胞増殖という特徴をもつ。上記で検討したように、タキサン反応性疾患の非限定的な典型例には、癌、腫瘍、カポジ肉腫、悪性腫瘍、組織傷害に続発する無制御な組織および細胞の増殖などがある。本発明の方法によって特に効果的に治療できる癌腫のタイプには、肝細胞癌腫および肝臓転移、胃腸管、膵臓、前立腺および肺の癌、ならびにカポジ肉腫がある。本発明の方法によって効果的に治療できる非癌性疾患は、組織傷害に続発する無制御な組織および細胞の増殖、多発性嚢胞腎、炎症疾患(例えば関節炎)、および、クロロキン耐性およびピリメタミン耐性のマラリア寄生虫などのマラリアである(Pouvelleら、前掲)。
ここで、タキサン反応性疾患に関し、「治療」または「治療する」という用語は、タキサンの血中濃度を変えることによって各個体に既往の症状が予防および改善されることを意味する。治療が、疾患の発病を予防したり、疾患に伴う症状を除去する上で完全に有効である必要はないということ、また、有効であるとするためには疾患の治癒を必要としないということが当業者には理解されている。症状の重度の低下、発症の遅延、または症状の重度の進行速度が遅延するなどということが想定される。タキサン反応性疾患を発症するリスクをもつ人々は、例えば、家族歴、環境曝露、遺伝的マーカー、初期症状など、疾患が発病する可能性を示唆するさまざまな因子に基づいて予防的な治療を受けることができる。
別の態様について検討したように、本発明の経口薬学的組成物には、単独で投与しても、パクリタキセルの治療血中濃度など、タキサンの目標血中濃度を提供することができるものもあるが、タキサン反応性疾患に罹った哺乳動物を治療する好適な本発明の方法は、パクリタキセルなどのタキサンを含む経口組成物を、経口の生体利用能促進剤の投与と同時に投与することである。このように、本発明の方法の好適な態様は、タキサンの血流への吸収量を増加させるために経口投与するのと同時に、またはその前に、または同時と事前の両時に、生体利用能促進剤を経口投与することを含む。本発明の第一の態様に従って有用な薬学的組成物および生体利用能促進剤については、本発明の第一の態様について記載された通りである。
一般的に、本発明の記載通りにタキサンと同時投与する生体利用能促進剤の投薬量範囲は、患者の体重にして約0.1から20mg/kgであり、好適には、患者の体重にして約3から約15mg/kgであり、好適には5〜15mg/kgである。促進剤の「同時投与」は、タキサンと実質的に同時に(前後0.5時間以内、または同時に)、タキサン投与の約0.5から約72時間前に、または、その両方、すなわち、0.5時間以上前に同種または別種の促進剤を一回以上投与して、標的薬剤と実質的に同時に(一緒にか、または相前後して)投与することを含む。さらに、「同時投与」は、一服用量の促進剤を投与してから72時間以内に一服用量以上のタキサンを投与することを含む。すなわち、促進剤は、必ずしもタキサンを投与するたびごとにその前か同時に再び投与する必要はなく、治療コースの間は断続的に投与してもよい。
「有効量」は、本発明の薬学的組成物において、特定のタキサン血中濃度を達成するのに十分であることが知られているタキサンの量を示すために使用される。経口投与される本発明の薬学的組成物におけるタキサンの投薬量範囲は、各別のタキサン、その治療指数、治療すべき疾患の要件、哺乳動物の年齢および状態、治療すべき疾患の性質、疾患の段階、哺乳動物に摂取される別の薬物など、いくつかの要素によってさまざまに異なる。タキサン、特にパクリタキセルおよびドセタキセルの薬理学および薬理動態学についてはよく知られている。この薬理学情報は、投薬計画と治療計画を最適にするのに必要とされる、治療すべき哺乳動物の要件とともに利用することができる。当業者は、この組成物の具体的な投薬計画を、患者の反応を観察しながら、試行錯誤によって各患者の必要に合わせて調整できることを理解している(投薬計画の考慮事項については、Rowinsky,Oncology 11(3):7−19(1997)参照)。
経口投薬形態に含まれる各タキサンの正確な量は、患者の年齢、体重、病気および症状によって異なる。例えば、パクリタキセルまたは別のタキサンの剤形には、(哺乳動物/患者の体表面積に基づいて)一日量約20〜200mg/m、または、一回または数回(2〜3)に分けた一日量として約0.5〜30mg/kgを提供するのに十分な量の標的薬剤を含むことができる。各経口投与の後長時間(例えば8〜12時間)タキサンの血中濃度を50から500ng/mlに保つために好適な投薬量は約50〜200mg/mすなわち約2〜6mg/kgである。これらの濃度は、96時間の静脈注入パクリタキセル療法(経口投与とは異なり、非常な不便、不快、有効に使える時間の損失、感染症の可能性などを患者に与える)を達成する濃度と同等以上である(Wilsonら、J.Clin.Oncol.12:1621−1629(1994))。さらに、このようなパクリタキセル血中濃度は、例えば、発癌作用を阻害することによってその抗腫瘍作用と直接関係する、チューブリンの分解阻害およびタンパク質のイソプレニル化、ならびに細胞増殖制御において重要な役割を果たすと考えられているシグナル伝達蛋白質の阻害などという、標的薬剤の所望の薬理学活性を提供するのに十分な濃度よりも高い。
経口パクリタキセルを投与するために好適な投薬計画とは、(a)パクリタキセルを必要とする患者に約20〜1000mg/m(体表面積当たり)、好適には約50〜200mg/mを提供する、1〜3回に分けた投薬量を毎日投与し、2〜3週間おきに1〜4日連続で毎日続けて投与すること、(b)毎週約1日間投与すること、および、(c)2週間または3週間毎日投与した後、1週間の休養期間を置くことである。最初の計画は、好適な静脈内治療法と考えられることもある、2〜3週間おきに96時間のパクリタキセル注入法を利用するのと同じである。
特に好適な本発明の実施態様において、投与される薬学的組成物は、重量で約60mg/mのパクリタキセルを含む。別の特に好適な実施態様において、薬学的組成物は、重量で約180mg/mのパクリタキセルを含む。
本発明の方法のさまざまな態様において、2種類以上の促進剤および/または2種類以上の異なったタキサン標的薬剤をまとめて、交互に、または断続的に投与することができる。
上記で検討したように、経口で単独投与されたパクリタキセル(例えば固形剤形において、さらには吸収促進用担体を含まない液体賦形剤においても)ゼロに近い生体利用能を示す。有効な経口投薬量の経口生体利用能促進剤を投与した1時間後に本発明の組成物を経口投与すると、血流に吸収されるタキサンの量は、例えば、CREMOPHOR(商標)EL/エタノール賦形剤など、標準的な静脈内賦形剤に入れて、同じ投与量のパクリタキセルを静脈内に投与したときに吸収される量の少なくとも約15%である。吸収の相対的な割合は、それぞれのAUC(薬剤吸収の割合、および薬剤の経口/静脈内投与後に測定される消失を定量するために薬理動態学で広く用いられる血漿濃度−時間曲線の下の部分の面積)を比較するなど、当技術分野における常法によって決定される。AUCが高いと、検査した薬物が標的とする組織または器官に到達させるために利用できる可能性がより高いことを示している。この新規な薬学的組成物は、どのような公知の薬学的剤形にしても投与することができる。例えば、この組成物は、ソフトまたはハードのゼラチンカプセルに封入することができ、または、液剤の形で投与することもできる。
本発明によるタキサンの経口投与は、現在利用されている静脈内療法に比べ、多くの場合に実際に有毒な副作用を低下させることができる。静脈内注入では通常みられるように突発的かつ急速に血中濃度での高濃度を生じさせるのではなく、有効成分が腸壁から吸収される(促進剤によって促進される)ことによって、より段階的な様子で血中濃度を上昇させる。理想的な範囲付近にこれらの濃度を長時間安定して定常状態で維持することは、既に免疫無防備状態の宿主における不都合および感染の危険性と比べて、経口投与によれば簡単に実現することができる。
本発明のさらなる実施態様において、本発明の経口組成物は、(香料や着色料などの所望の補助成分と化学的または物理的に親和性のない担体の使用とを調和させるために)二成分薬剤系にして投与することができる。この場合、タキサンは、所望の通り甘みや香りや色をつけることができる可溶性賦形剤にした第一部の薬剤として投与することができる。タキサンを投与した後、本発明にしたがって一種類以上の担体または担体/共可溶化剤系を含む、例えば1から8液量オンス(30〜240ml)という大量の液体を投与することができる。タキサンのすぐ後に第二の「チェイサー(Chaser)」処方剤を投与すると、胃液の中に入ると生じる可能性のあるタキサンの沈殿を抑制することができ、タキサンを担体と混合して同時に投与したときに見られる場合と同程度までに経口吸収を促進することができる。
二成分型の経口タキサン薬剤で使用することができるチェイサー剤の説明用実例としては、以下のものがある。
a)2〜20%(重量)ビタミンE TPGS+適量の水
b)2〜25%ビタミンE TPGS+2〜25%PHARMASOLVE(商標)+適量の水;および
c)2〜20%ビタミンE TPGS+2〜25%プロピレングリコール+適量の水
本発明のさらに別の態様の通り、本発明の経口組成物は、一種類以上のタキサンだけでなく、一種類以上の生体利用能促進剤も併用剤の形で含む。例えば、このような併用剤形は、(平均的な患者体重に当たり)約0.1から約20mg/kgのサイクロスポリンA、D、C、FおよびG、ジヒドロCsA、ジヒドロCsC、ならびにアセチルCsAを一種類以上、(平均的な患者の体表面積当たり)約20から1000mg/mの、好適には約50〜200mg/mのパクリタキセル、ドセタキセル、その他のタキサン、またはパクリタキセルもしくはドセタキセルの誘導体をともに含む。
本発明の組成物および方法は、先行技術および静脈内療法に比べて多くの長所を提供する(例えば、安定性の向上、全体的なおいしさ、ピーク量が低いことによる毒性の低下、患者の便宜と快適さ、投与しやすさ、および安価)。なお、本発明の組成物および方法は、静脈投与では一般的なアレルギー性過敏感反応が起きる可能性を大きく低下させるため、(H−1およびH−2ブロッカー+ステロイドなど)投薬前療法の必要性を低下または克服する。ステロイドが糖尿病の原因となることが知られているため、後者は、特に、糖尿病癌患者の治療と関連性がある。
本発明は、毎日比較的頻繁でない回数(例えば、約2回/日)、および/または静脈内経由では可能でもなく実用的でもないスケジュールにしたがって、例えばパクリタキセルなどのタキサンの投与を行う。タキサンを一日に一回よりも多く投与する場合でも、生体利用能促進剤(例えば、サイクロスポリンA)は一日一回投与すれば十分であろう。このように、例えば、パクリタキセルを単回投与として、決まった日(毎週、隔週など)に断続的に投与するか、または、濃度を安全かつ効果的な「枠内」に納めておくことを目的に、2〜4週間おきに一定の期間連日(例えば4日間)投与することも可能であろう。
以下の実施例は、本発明の一定の好適な実施態様をさらに説明するためのものであって、限定的なものでは全くない。これらの実施例は、どのような意味でも本発明を限定するものではなく、本発明を実施するために専ら使用されるべき特定の有効成分、担体、共可溶化剤、促進剤、投薬量範囲、試験方法または他のパラメータを示すものでもない。したがって、全体としてタキサンの態様を説明するためにパクリタキセルを使用しているのも、純粋に説明のためであり、発明を限定するものと解すべきではない。
当業者は、通常の実験を用いるだけで、本明細書に記載されている具体的物質および方法と同じものを数多く認識し、確認することができる。このような同等物も、本発明の範囲に含まれると考えられ、以下の請求の範囲によってカバーされる。
〔実施例1〕
代表的な薬学的組成物の調製
当業者は、さまざまなプロトコールを用いて、本発明に係る代表的な薬学的組成物が調製できることを容易に理解できる。以下は、単に、本発明に係る代表的な薬学的組成物が容易に調製できることを説明するために記載されている。代表的な処方剤で処方Iおよび処方IAと名づけられたものを調製した。
処方I
成分 重量/容量% U/ml
パクリタキセル 1.20 12.0 mg
ビタミンE TPGS(*) 40.00 400.00 mg
プロピレングリコールUSP 40.00 400.00 mg
アスコルビルパルミテートNF 0.50 5.0 mg
dl-アルファ-トコフェロールUSP 0.50 5.0 mg
無水アルコール 100 mLとなる適量 1.0 mLとなる適量

処方IA
成分 重量(グラム)
パクリタキセル 1.2
ビタミンE TPGS 40.0
プロピレングリコール 35.0
アスコルビルパルミテート 0.5
ビタミンE 0.5
無水アルコール -22.3 (28.1 mL)
(*)d-アルファ-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート
上記に規定された量のパクリタキセル(コロラド州ボールダー(Boulder,CO)にあるNaProバイオセラピュ−ティック社(NaPro Bio Therapeutics))、アスコルビン酸パルミテートNF(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee WI)にあるアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.))、およびdl−アルファ−トコフェロールUSP(ニュージャージー州ナットレー(Nutley,NJ))にあるロシュビタミンズ社(Roche Vitamins))を適当な容量測定用容器に入れて、無水エタノール(フロリダ州レイクアルフレッド(Lake Alfred,FL)にあるフロリダディスティラーズ社(Florida Distillers Co.))の全量の3分の2以上の量に分散させて包含させた(1.0または100ml)。完全に分散したら、適量のプロピレングリコールを加えて、30分以上混合した。液化ビタミンE TPGS(d−アルファ-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)(テネシー州キングスポート(Kingsport,TN)にあるイーストマンケミカル社(Eastman Chemical Co.))を加えた。そして、残りの無水エタノールを加え、最終処方剤をゆっくりと約25〜30℃(室温)まで冷却した。溶液が室温になったところで、この溶液をエタノールで最終容量に調整し、常に攪拌しながら、明るい黄色で透明の溶液を形成させた。
〔実施例2〕
安定性の解析
上記で検討したように、本発明の組成物の長所の一つは安定性である。以下の実験は、本発明に係る組成物の安定性を例証している。実施例1に記載した通りに調製した代表的な組成物をICHガイドラインにしたがって測定した。適当なサイズのエッペンドルフピペットを用いて、ポリシールライナー付きの28/400ブラックフェノール樹脂製キャップを使用する15cc用茶色のガラス瓶のそれぞれに10.2〜10.5mlの溶液を入れた。各瓶の総重量、風袋重量、正味重量を記録した。そして、これらの瓶を40℃、75%湿度で直立させておいた。瓶の一部を取り出して、当技術分野において周知の方法によって試験を行った(すなわち、次に示す各時点後にHPLCによって既知の分解産物が存在するか試験した(2週間および1〜6ヶ月)。下記の表2に示すように、7−epi−タキソールC、10−デアセチルタキソール、またはバッカチンIIIなど、パクリタキセル分解の指標と考えられている化合物が最少レベル(全不純物のa%と表示される)であることが示され、CREMOPHORE(商標)ELを主成分とする陰性対照処方剤と比較して、この組成物は安定していることがわかった(データは示されていない)。さらに、6ヶ月間のインキュベーション後でも、不純物は3.5%よりも少なかった。
Figure 2005525310
〔実施例3〕
安定性の解析
代表的な本発明の組成物におけるパクリタキセルの溶解性を測定するために、処方Iにしたがって調製したが、パクリタキセルの最終濃度が12、15、25および50mg/mlである処方剤を、1対11の比率(1mlのパクリタキセル処方剤および10mlの水)になるよう水で希釈した。そして、この溶液をHPLC解析法によって測定した。図1に示すように、50mg/mlの調製液以外のすべての調製液において、パクリタキセルは溶液内に2時間以上残留した(すなわち、十分な時間溶解性を示した)。とりわけ、12から20mg/mlを含む調製液は、研究期間中溶液のままであった。
〔実施例4〕
薬理動態学的解析
本発明の組成物および方法は、哺乳動物におけるタキサンの治療血中濃度など、タキサンの目標血中濃度を達成するために使用される。本発明のこの態様を例示するために、2つの患者グループ(全部で5人)に、まずNeoral(登録商標)5mg/kg(サイクロスポリンA、ニュージャージー州サミット(Summit,New Jersey)にあるノバルティス・ファーマシューティカルズ社(Novartis Pharmaceuticals,Inc.))などの促進剤調製物を投与し、30分後に、処方剤1を、単回投与量として60mg/m(n=2)および180mg/m(n=3)のパクリタキセルを投与した。30〜48時間にわたって頻繁に連続血液試料を採取して、パクリタキセルを測定した。各人および平均のパクリタキセルの薬理動態学パラメータを表3に示す。これらの結果は、CREMOPHOR(商標)EL処方剤よりも処方Iに従った場合に、CmaxおよびAUCの値が僅かに高くなることを示している。両方の投与量によって、治療血中濃度が達成され、2回投与に関する血漿濃度対時間曲線の下の面積を比べると、パクリタキセルを全身に曝露した場合、約2倍の増加がみられた。後者は、本発明の組成物が、CREMOPHOR(商標)を主成分とする処方剤よりも低量エタノールの摂取で、パクリタキセルの血漿における十分な濃度をもたらすことができることを示唆している。
Figure 2005525310
表4は、CREMOPHOR(商標)EL(ポリエトキシル化ひまし油)/EtOHを主要成分とする処方剤(n=9)の薬理動態学パラメータと、本発明に係る処方I(n=4)の薬理動態学パラメータとの比較を示す。
Figure 2005525310
〔実施例5〕
食味試験
本発明の組成物のもう一つの特性は、対抗相手であるCREMOPHOR(商標)EL(ポリエトキシル化ひまし油)/EtOHを主成分とする処方剤と比較しておいしいという点にある。従来からの安定剤を用いて調製した処方剤には、恐らくひまし油のせいで不快な苦味がある。この目的で、5ml等量の処方I(40%ビタミンE.TPGS+40%プロピレングリコール+20%エタノール、実施例1参照)、および75%CREMOPHOR(商標)EL+25%エタノールを17個のガラス製バイアル瓶に入れた(さらに、陰性対照として処方剤を入れないバイアル瓶を用いた)。表5に示すように、これらのバイアル瓶16本に、ニュージャージー州デイトン(Dayton,NJ)にあるインターナショナル・フレイバー・アンド・フラグランス(International Flavor&Fragrances,Inc.)、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte,N.C.)にあるクロンプトン・アンド・ノウルス(Crompton&Knowles)、およびニューヨーク州ブルックリン(Brooklyn,NY)にあるバージニア・デイブ(Virginia Dave)で市販されているさまざまな香料を以下の通り加えた。バナナ味(0.5%)、チェリー味(0.2および0.5%)、ブドウ味(0.5%)、ブドウマスカント味(0.5%)、ミント味(0.2および0.5%)、ペパーミント味(0.2および0.5%)、ハーブ系ミント味(0.2および0.5%)、ファルマスイート(0.1%)、プロスイート(1%)、レインボーシャーベット(0.5%)、スイカ味(0.5%)、およびウィンターグリーン味(0.5%)。調製液をランダムに投与し、各人がその味を(−)不味い、(+)まあまあ、(++)おいしい、または(+++)非常においしいに分けて得点をつけた。プラセボ(異なった風味をもつ処方Iまたは75%CREMOPHOR EL/25%エタノール)を入れた2つのグループのサンプル用バイアル瓶の蓋に番号を記入した。これらのバイアル瓶からスポイトで溶液を任意に取り出した。二人の化学者が味見をした。各番号につき結果を記録した。
表5に示すように、さまざまな調製液において処方Iの方が、対抗相手である処方剤よりもおいしいことがわかった。さらに、バナナ味の調製液が非常においしいことがわかった。
Figure 2005525310
〔実施例6〕
比較吸収アッセイ
以下の実験の目的は、本発明の代表的な組成物および方法で、先行技術である静脈内法で見られるよりも高い吸収値を得られることを例証することにあった。この目的で、各々3匹の雄ラットからなるグループを、H−放射標識したパクリタキセルを投与する前の16〜18時間絶食させた。パクリタキセルを含む本発明の代表的薬学的組成物を投与する前に、一回経口量のサイクロスポリンA(5mg/kg)を各動物グループに投与した。サイクロスポリンを投与した1時間後、本発明の組成物の中に含まれる約9mg/kgのパクリタキセルを各グループに経口で投与した。各グループはそれぞれ別の経口処方剤を投与された。パクリタキセルを投与してから0.5、1、2、3、4、6、8、12、および24時間後に各動物から血液サンプルを採取した。血液サンプルを燃焼させて放射活性を測定した。全血液の放射活性量(H−パクリタキセルの血中濃度に相当する)をグラフ上で投与後経過時間に対してプロットした。各ラットグループについて、平均AUC、CmaxおよびTmaxという形でデータを集計した。各動物グループの平均AUC値を、CREMOPHOR(商標)EL、エタノールおよびクエン酸を含むPAXENE(商標)(フロリダ州マイアミ(Miami、FL)にあるベイカー・ノートン・ファーマシューティカルズ社(Baker Norton Pharmaceuticals))という形でH−パクリタキセル(9mg/kg)を静脈内投与された参照グループの対応する平均AUCと比較して、各動物グループあたりのH−パクリタキセル吸収率を計算した。表6に示すように、本発明によってパクリタキセルを含む経口組成物に処方された担体および担体/共可溶化剤のいくつかの組み合わせで、実験動物において静脈内パクリタキセルと比較して15%以上の吸収率値を得られることがわかった(データは示されていない)。
Figure 2005525310
〔実施例7〕
担体の評価
以下に述べる実験は、担体として異なる成分を用いて処方した代表的経口組成物が、経口投与されたときに、それぞれの対抗静脈内用組成物よりも高い吸収率をもたらすことが可能なことを具体的に示すものである。
担体としてのポリエトキシル化(POE)ソルビタン脂肪酸エステル
表7に経口パクリタキセルの担体としてポリエトキシル化(POE)ソルビタン脂肪酸エステルを単独または共可溶化剤と併用して含む処方剤を示す。一種類以上の成分を含む処方剤については、それぞれの成分の重量比を示す。これら処方剤のそれぞれを、上記動物モデルで試験したところ、経口投与すると15%のパクリタキセル吸収よりも高い吸収率が得られることがわかった。この表には、実験動物に実際に投与された各賦形剤に入っているパクリタキセルの全投与量、組成物中のパクリタキセル濃度、担体のHLB値、処方剤を投与されたラットグループごとの平均AUC値、および静脈内投与を受けたラットと比較したパクリタキセル吸収の割合が示されている。
Figure 2005525310
担体としてのPOEアルキルエーテル
表8は、担体としてPOEアルキルエーテルを含む処方剤についてのデータを要約したものである。これらのデータは、前の表に記載されているデータに対応する。
Figure 2005525310
担体としてのPOEステアレート
表9は、担体としてPOEステアレートを含む処方剤についてのデータを要約したものである。示したデータは、実施例7に記載されているデータに対応する。
Figure 2005525310
担体としてのエトキシル化修飾トリグリセリド
表10は、担体としてエトキシル化修飾トリグリセリドを含む処方剤についてのデータを要約したものである。示したデータは、実施例7に記載されているデータに対応する。
Figure 2005525310
担体としてのPOE 660ヒドロキシステアレート
表11は、担体としてPOE 660ヒドロキシステアレートを含む処方剤についてのデータを要約したものである。示したデータは、実施例7に記載されているデータに対応する。
Figure 2005525310
担体としての飽和したポリグリコール化グリセリド
表12は、担体として飽和したポリグリコール化グリセリドを含む処方剤についてのデータを要約したものである。示したデータは、実施例7に記載されているデータに対応する。
Figure 2005525310
担体としてのビタミンE TPGS系物質
表13は、担体としてビタミンE TPGS系物質を含む処方剤についてのデータを要約したものである。示したデータは、実施例7に記載されているデータに対応する。
Figure 2005525310
担体としてのPOEおよび硬化ひまし油誘導体
表14は、担体としてPOEおよび硬化ひまし油誘導体を含む処方剤についてのデータを要約したものである。示したデータは、実施例7に記載されているデータに対応する。
Figure 2005525310
ポリソルベート80担体
表15は、少なくとも担体の一つとして、ポリソルベート80を含む処方剤についてのデータを要約したものである。示したデータは、実施例7に記載されているデータに対応する。
Figure 2005525310
このように、本発明の多様な目的を達成する組成物および方法が、実用条件に合うようよく改良されて提供されていることは明らかである。上記発明のさまざまな実施態様を作出することが可能であり、上記に示した実施態様においてさまざまな改変を加えることも可能であるから、本明細書に記載されている内容はすべて例示的なものであり、限定的な意味に解釈してはならないことは当然である。
ここで、「約」という用語は、本明細書で開示された数字や範囲が流動的なものであり、範囲外、または単一の値と異なる温度、濃度、量を用いて本発明を実施しても所望の結果が得られることを意図するものである。この用語は、一般的に、それが変化する数値の±10%の偏差を含む。
本発明は、臨床医学、特に悪性疾患および非悪性疾患の治療において有用である。
図1は、本発明の組成物((●)12mg/ml、(▽)15mg/ml、(■)20mg/ml、(○)25mg/ml、および(▼)50mg/mlのパクリタキセルを含むPG/TPGS/ETOHおよびアスコルビルパルミテート(40:40:20))が、往復式振とう水槽の中で2時間以上の間、溶液中にとどまることができることを示すグラフである。 図2は、(●)クレモフォールEL(Cremophor EL)を主剤とする処方剤を経口投与された9人の患者由来の、および(○)本発明の組成物(PG/TPGS/ETOHおよびアスコルビルパルミテート(40:40:20))を経口投与された2人の患者由来のパクリタキセルの平均血漿濃度を示すグラフである。

Claims (21)

  1. タキサン、ビタミンE TPGSを含む担体、組成物重量の約5%以上の量のエタノールを含む共可溶化剤、及びプロピレングリコール、および安定剤を含む組成物であって、哺乳動物に経口投与するのに適した形態であることを特徴とする組成物。
  2. 前記タキサンがパクリタキセルまたはドセタキセルであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 前記タキサンが約2から約100mg/mlの濃度で存在することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  4. 前記タキサンの濃度が約10から約50mg/mlであることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
  5. 前記担体が、飽和したポリグリコール化グリセリド、変性ひまし油、ポリオキシエチル化ステアリン酸エステル、ポリオキシエチル化ソルビタンエステル、ポリオキシエチル化脂肪酸エーテル、変性アーモンドおよびコーン油グリセリド、ソルビタンジイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチル化ヒドロキシステアリン酸、およびシクロデキストリンを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  6. 前記エタノールが脱水されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  7. さらに界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  8. 前記界面活性剤がdl−アルファ−トコフェロールまたはベータ−カロテンであることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
  9. 重量で約2mg/g(0.2%)から約10mg/g(1.0%)の前記dl−アルファ−トコフェロールを含むことを特徴とする請求項8に記載の組成物。
  10. 前記安定剤がアスコルビルパルミテートであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  11. 前記安定剤がdl−アルファ−トコフェロールであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  12. 前記安定剤がラジカルインヒビターであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  13. さらに薬学的賦形剤、希釈剤、甘味料、香料、および/または着色料を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  14. さらに生体利用能促進剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  15. 前記生体利用能促進剤がサイクロスポリンであることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
  16. 前記エタノールが脱水されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  17. 前記ポリプロピレングリコールが重量で約35から約40%の量存在することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  18. 前記タキサンが、重量で約1.2%の量存在するパクリタキセルを含み、前記ビタミンE TPGSが重量で約40%の量存在し、前記エタノールが組成物の重量の約18%量存在し、前記プロピレングリコールが重量で約40%の量存在し、前記安定剤が重量で約0.5%の量存在するアスコルビルパルミテートを含み、前記組成物がさらに重量で約0.5%の量のdl−アルファ−トコフェロールを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  19. 前記タキサンが、重量で約1.2%の量存在するパクリタキセルを含み、前記ビタミンE TPGSが重量で約40%の量存在し、前記エタノールが組成物の重量の約22%量存在し、前記プロピレングリコールが重量で約35%の量存在し、前記安定剤が重量で約0.5%の量存在するアスコルビルパルミテートを含み、前記組成物がさらに重量で約0.5%の量のd1−アルファ−トコフェロールを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  20. 哺乳動物においてタキサンの目標血中濃度を達成する方法であって、タキサン、ビタミンE TPGSを含む担体、組成物の重量の少なくとも約5%の量のエタノールを含む共可溶化剤、およびプロピレングリコール、および安定剤を含む薬学的組成物を前記動物に経口投与することを含むことを特徴とする方法。
  21. タキサン反応性疾患を患う哺乳動物を治療する方法であって、タキサン、ビタミンE TPGSを含む担体、組成物の重量の少なくとも約5%の量のエタノールを含む共可溶化剤、およびプロピレングリコール、および安定剤を含む薬学的組成物を前記哺乳動物に経口投与する段階を含むことを特徴とする方法。
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