JP2005523282A - 精上皮腫を処置するための4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−n−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ]フェニル]−ベンズアミドの使用 - Google Patents
精上皮腫を処置するための4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−n−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ]フェニル]−ベンズアミドの使用 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、精上皮腫の処置で用いるための医薬組成物の製造用の4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド(以下:「化合物I」)、またはその医薬的に許容される塩、精上皮腫の処置での化合物Iまたはその医薬的に許容される塩の使用、および精上皮腫に罹患しているヒトを含む温血動物を処置する方法(かかる処置が必要な該動物に、有効用量の化合物Iまたはその医薬的に許容される塩を投与することによる)に関する。
精巣の生殖細胞性腫瘍は、北米男性の悪性腫瘍の僅か1%から2%を占める、希な新生物である。しかしながらそれは、年齢20〜34の男性で最も一般的な悪性腫瘍であり、そして疫学研究は過去30年間で発生率が2倍化していることを示した。生殖細胞性腫瘍のうち約45%が精上皮腫であり、患者の大部分が臨床上ステージIの疾病である。患者のうち15%から20%のみが、隔膜下リンパ節への転移(ステージIIの疾病)を有し、そして5%未満の患者が、遠位転移性疾病となる。
ステージIの精上皮腫(腫瘍が精巣に限られ、かつリンパ管造影図が陰性である)のための標準的処置は、精巣摘除術の後、傍大動脈および骨盤のリンパ節の同側照射を含む。ステージIIの精上皮腫(腫瘍が隔膜下のリンパ節に広がっている)の処置は、関連部位へ広げた照射処置を含む。
精上皮腫患者の約10〜20%が、摘出したリンパ節中に微小転移を有する。Marks et al., J. Urol. 143:524 (1990)を参照されたい。従って、ステージIの精上皮腫の標準的処置の一環としての局所性リンパ節照射は、全精上皮腫患者の約85%で不必要である。精巣摘除術後の照射は一般に非常に耐容性であるが、2次性の悪性腫瘍、生殖能力の低下、および持続性陰嚢浮腫の発生率の上昇を含む、局所性の合併症が報告された。Hunter, et al., Cancer 64:1608 (1989);Thomas, et al., J. Urol. 12:313 (1989)を参照されたい。
本発明は、特に2次的照射または化学療法処置の必要性を減少するため、および結果として生じる不妊を減らすための、精上皮腫の処置における代替療法の必要性に応える。
驚くべきことに、精上皮腫が化合物Iまたはその医薬的に許容される塩で十分に処置され得ることが示された。
従って、本発明は、精上皮腫を処置するための医薬品の製造のための、
式I
を有する4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド、またはその医薬的に許容される塩の使用に関する。
従って、本発明は、精上皮腫を処置するための医薬品の製造のための、
式I
を有する4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド、またはその医薬的に許容される塩の使用に関する。
本発明は特に、化合物Iに感受性のあるc−Kit変異と関係する精上皮腫を処置するための医薬品の製造のための化合物Iの使用に関する。
本発明はとりわけ、c−Kitチロシンキナーゼ中のY823D、N822K、またはD816H変異と関係する精上皮腫を処置するための医薬品の製造のための、化合物Iの使用に関する。
本発明はとりわけ、c−Kitチロシンキナーゼ中のY823D、N822K、またはD816H変異と関係する精上皮腫を処置するための医薬品の製造のための、化合物Iの使用に関する。
4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドまたはその医薬的に許容される塩結晶形が、化合物Iとして本明細書で言及される。
用語「4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド」は、欧州特許出願番号998473で記載されるβ結晶形を含む。
化合物Iの製造、および特に抗腫瘍薬剤としてのその使用は、1993年10月6日に公開された欧州特許出願番号EP−A−0564409の実施例21、および他の多数の国の均等特許出願および特許、例えば、米国特許5,521,184および日本国特許2706682で記載されている。
用語「化合物I感受性のKit変異と関係する精上皮腫」によって、本発明者は、生殖細胞性腫瘍が1以上の変異を有するc−Kit(このc−Kit変異は、化合物Iによるチロシンキナーゼ活性の阻害に、試験管内で、約10nMから50μM、好ましくは10nMから10μM、最も好ましくは10nMから1μMのIC50で感受性である)を含有する精上皮腫を示す。
用語「c−Kitチロシンキナーゼ中のY823D、N822K、および/またはD816H変異と関係する精上皮腫」によって、本発明者は、次の変異Y823D、N822K、またはD816Hのうち1つ以上を有するヒトc−Kitチロシンキナーゼを含有する、精上皮腫を示す。
アミノ酸名は完全に記載されるか、あるいは1文字または3文字表記が用いられる。変異は、一般に認められた命名法、例えば、共に位置380のアラニンがトレオニンにより置き換えられていることを示す「Ala380Thr」または「380Ala→Thr」により言及される。変異の位置を示すアミノ酸番号は、SwissProtデータベースの受託番号P10721で与えられる、天然のヒトc−Kitタンパク質のアミノ酸ナンバリングを意味している。
Y823Dは、位置823のアミノ酸であるチロシンが、アスパラギン酸で置き換えられていることを示している。
N822Kは、位置822のアミノ酸であるアスパラギンが、リジンで置き換えられていることを示している。
D816Hは、位置816のアミノ酸であるアスパラギン酸が、ヒスチジンで置き換えられていることを示している。
N822Kは、位置822のアミノ酸であるアスパラギンが、リジンで置き換えられていることを示している。
D816Hは、位置816のアミノ酸であるアスパラギン酸が、ヒスチジンで置き換えられていることを示している。
本明細書で用いられる用語「処置」は、治療用の処置および予防上の処置を意味している。
本明細書で用いられる用語「治療用」は、精上皮腫の持続症状を処置するのに有効であることを意味している。
用語「予防上」は、精上皮腫の発病または再発の予防を意味している。
本明細書で用いられる用語「治療用」は、精上皮腫の持続症状を処置するのに有効であることを意味している。
用語「予防上」は、精上皮腫の発病または再発の予防を意味している。
化合物Iの医薬的に許容される塩は、例えば、塩酸、硫酸、またはリン酸の様な無機酸、または適当な有機カルボン酸またはスルホン酸、例えば、トリフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、またはシュウ酸の様な脂肪族モノ−またはジ−カルボン酸、またはアルギニンまたはリジンの様なアミノ酸、安息香酸、2−フェノキシ−安息香酸、2−アセトキシ−安息香酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸の様な芳香族カルボン酸、マンデル酸または桂皮酸の様な芳香族−脂肪族カルボン酸、ニコチン酸またはイソニコチン酸の様な複素環式芳香族カルボン酸、メタン−、エタン−、または2−ヒドロキシエタン−スルホン酸、または脂肪族スルホン酸、例えば、ベンゼン−、p−トルエン−、またはナフタレン−2−スルホン酸の様な芳香族スルホン酸との医薬的に許容される酸付加塩である。
化合物Iのモノメタンスルホン酸付加塩(以下、「化合物Iのメシル酸塩」)、およびその好ましい結晶形が、1999年1月28日に公開されたPCT特許出願WO99/03854に記載されている。
種、年齢、個々の状態、投与方法、および当該臨床状態に依存して、有効用量、例えば、1日用量約100〜1000mg、好ましくは200〜600mg、特に400mgが、体重約70kgの温血動物に投与される。切除不可能および/または転移性悪性精上皮腫の患者のためには、1日当たり400mgの開始用量が推奨され得る。1日当たり400mgでの治療に対する応答性を確認後、不適当な応答性の患者に対して、用量漸増が安全に考慮され、そして処置が有益であり、かつ制限的毒性が存在しない限り、患者は処置が継続される。
本発明は、精上皮腫を有するヒト対象に、化合物Iまたはその医薬的に許容される塩を投与する方法にも関し、これは、医薬的有効量の化合物Iまたはその医薬的に許容される塩をヒト対象に投与することを含む。好ましくは、異例の3ヶ月間1日1回投与される。本発明は、1日用量の化合物Iのメシル酸塩200から600mg、特に400から600mg、好ましくは400mgが投与される、方法に特に関する。
化合物Iまたはその医薬的に許容される塩が、精上皮腫のより効果的な予防または好ましくは処置となることが、確立された研究モデル、そして本明細書で記載される研究モデルにより示され得る。当該技術分野の技術者は、上記および下記の治療上の適応および有益な効果を示すための関連研究モデルを十分に選択できる。例えば、医薬活性は、臨床研究、または特に下記の研究方法で示される。
Kitプロトオンコジーンは、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、単球コロニー刺激因子受容体(c−fms)、およびfms様チロシンキナーゼ(FLT3)と密接に関連する、145kDの膜貫通型チロシンキナーゼ(TK)をコード化する。これは、造血幹細胞、肥満細胞、メラノサイト、カハールの間質細胞、上皮内リンパ球、および生殖細胞で発現される。天然に存在するKit欠損症のマウスモデルの研究により、Kitが、子宮内での生殖細胞の生存に必要であることが示された。出生後、Kitは、ライジヒ細胞、精原細胞、および円形精子細胞により発現される。精上皮腫および精細管内生殖細胞新生物(intratubular germ cell neoplasia)(ITGCN)は、たいてい膜結合Kitを発現する(免疫組織化学により示される)。対照的に、非精上皮腫の生殖細胞性腫瘍(GCT)の少数のみが、細胞質Kitを発現するが、膜Kitを発現しない。混合型GCTにおいて、膜Kit発現は精上皮腫成分に限られる。
混合型卵巣未分化胚細胞腫/卵黄嚢腫瘍の場合、変異は両腫瘍成分で検出された。しかしながら、膜Kitの免疫反応性は、未分化胚細胞腫成分に限られた(卵黄嚢成分は、細胞質Kit染色がただ弱かっただけである)。該結果は、変異、または自己分泌/傍分泌Kit活性がITGCNおよび精上皮腫/未分化胚細胞腫の発生で働くが、該細胞での正常Kitシグナルのダウンレギュレーションまたは低下が、非精上皮腫GCTへの進行と関係することを示した。
ゆえに、本発明者は、精上皮腫腫瘍と関係する、構造的に活性化されたKitキナーゼアイソフォームの阻害における化合物Iの有効性を研究することを決意した。
ゆえに、本発明者は、精上皮腫腫瘍と関係する、構造的に活性化されたKitキナーゼアイソフォームの阻害における化合物Iの有効性を研究することを決意した。
方法
Kit変異の分析:純粋な精上皮腫の例は、保管病理標本から選択された。切片は、ホルマリン固定、パラフィン包埋標本、および腫瘍細胞を富化させるような切り口から調製された。ある場合では、レーザーキャプチャー顕微鏡を用いて、腫瘍細胞を富化させた。少数の患者では、新鮮な凍結腫瘍標本が利用可能であり、これを用いてゲノムDNAおよび/またはRNAを調製した(Rader A, et col. Cancer 2001; 93:275およびLux ML, et al. Am.J.Pathol. 2000; 156:791-795に記載)。
Kit変異の分析:純粋な精上皮腫の例は、保管病理標本から選択された。切片は、ホルマリン固定、パラフィン包埋標本、および腫瘍細胞を富化させるような切り口から調製された。ある場合では、レーザーキャプチャー顕微鏡を用いて、腫瘍細胞を富化させた。少数の患者では、新鮮な凍結腫瘍標本が利用可能であり、これを用いてゲノムDNAおよび/またはRNAを調製した(Rader A, et col. Cancer 2001; 93:275およびLux ML, et al. Am.J.Pathol. 2000; 156:791-795に記載)。
既に記載されている(Rader A et al.)、ゲノムDNAのPCRは、次に挙げるプライマー対(5’−3’表記)を用いて行われた:エクソン9F ATGCTCTGCTTCTGTACTGCC;エクソン9R AGAGCCTAAACATCCCCTTA;エクソン11F CCAGAGTGCTCTAATGACTG;エクソン11R ACCCAAAAAGGTGACATGGA;エクソン13F CATCAGTTTGCCAGTTGTGC;エクソン13R ACACGGCTTTACCTCCAATG;エクソン17F TGTATTCACAGAGACTTGGC;エクソン17R GGATTTACATTATGAAAGTCACAGG。
Kitの単位複製配列を、Choy YS等(Annals of Human Genetics 1999;63:383-391)により既に記載されたトランスゲノムWAVE機械を用いたD−HPLCにより分析した。点変異を検出するための変性温度は、各プライマーで最適化された(エクソン9 58℃、エクソン11 57℃、エクソン13 59℃、エクソン17 58℃)。単位複製配列は双方向で配列決定され、全変異の独自性が、個々の増幅産物の2次分析により確認された(Rader A et al.)。利用可能な凍結材料の場合は、全長KitcDNAが配列決定された(Lux ML, et al.)。
試薬:化合物Iのメシル酸塩 リン酸緩衝食塩水(PBS;Gibco-BRL)1ml中への化合物の溶解により、阻害剤の新鮮な10mMストック溶液が、それぞれの実験前に作成された。
抗体:ポリクローナルウサギ抗Kit抗体(c−Kit Ab−1)は、1:500希釈で用いられた(c−Kit Ab−1;Oncogene, Cambridge, MA)。抗リン酸チロシン抗体(PY20)は、1:1000希釈で用いられた(PY20 Transduction Laboratories;Lexington, KY)。ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス抗体は、1:5000希釈で、そしてヤギ抗ウサギ抗体は、1:10,000希釈で用いられた(Pierce; Rockford, IL)。
試験管内研究:変異型Kit cDNAコード化プラスミドは、野生型cDNAの変異誘発指向部位で生成された。全変異は、双方向の配列決定により確認された。CHO(チャイニーズハムスター子宮)細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC)から入手され、Bold G等([公開された誤植は、J Med Chem 2000 Aug 10;43(16):3200で明らかである]Journal of Medicinal Chemistry 2000; 43:2310-2323)により既に記載された方法で維持された。
細胞は、製造元のプロトコールに従い、リポフェクタミンプラス(Invitrogen Life Technologies)を用いて、野生型または変異型Kitタンパク質のcDNAコード化プラスミドで、一過性にトランスフェクションされた。トランスフェクションの24時間後、該細胞は、対照培地、または色々な濃度の化合物Iのメシル酸塩含有培地で、90分間処理された。続いて、該細胞が回収され、タンパク質可溶化物が調製され、既に記載(Lux ML, et al.)のKit活性について解析された。
結果
実施例1:純粋な精上皮腫でのKit変異の範囲および頻度
精上皮腫で生じるKit変異のタイプおよび頻度をさらに調べるために、我々は43個の保管ケースを分析した。全腫瘍が純粋な精上皮腫であった;重度のリンパ球浸潤を有する場合、レーザーキャプチャー顕微解剖を行い、腫瘍DNAを富化させた。PCR増幅を、変性HPLC(Transgenomic WAVE system)によりスクリーニングし、そして検出した変異を直接的DNA配列決定により確認した。D816変異のある場合を含む場合のいくつかが、エクソン17にインフレームの点変異を含有していた。興味深いことに、変異の大部分はD816Vであったが、N822KおよびY823Dの例も見出された(概要についての表を参照)。D816V、N822K、およびY823D変異が、精上皮腫で明らかにされたことは無かった。
実施例1:純粋な精上皮腫でのKit変異の範囲および頻度
精上皮腫で生じるKit変異のタイプおよび頻度をさらに調べるために、我々は43個の保管ケースを分析した。全腫瘍が純粋な精上皮腫であった;重度のリンパ球浸潤を有する場合、レーザーキャプチャー顕微解剖を行い、腫瘍DNAを富化させた。PCR増幅を、変性HPLC(Transgenomic WAVE system)によりスクリーニングし、そして検出した変異を直接的DNA配列決定により確認した。D816変異のある場合を含む場合のいくつかが、エクソン17にインフレームの点変異を含有していた。興味深いことに、変異の大部分はD816Vであったが、N822KおよびY823Dの例も見出された(概要についての表を参照)。D816V、N822K、およびY823D変異が、精上皮腫で明らかにされたことは無かった。
化合物Iのメシル酸塩が、精上皮腫腫瘍と関係するある構造的活性化Kitキナーゼアイソフォームを阻害する。
化合物Iのメシル酸塩の選択性は、ABL、Kit、およびPDGFRのATB結合ポケットとは可逆的に結合するが、他のチロシンキナーゼとは結合しない能力と関連する。Kitの変異がキナーゼ活性を導くことによる分子機序は完全に解明されているわけではないが、ある変異は、ATP結合ポケットと化合物Iのメシル酸塩の相互作用を阻害することが可能である。該可能性を調べるために、代表的な精上皮腫由来の構造的活性化Kit腫瘍性タンパク質を、CHO細胞への一過性トランスフェクションにより発現させ、化合物Iのメシル酸塩による、阻害に対する感受性について調べた。上記の残基822または823のアミノ酸置換を有する変異型Kitアイソフォームが、化合物Iのメシル酸塩に対して感受性が高く、これは試験管内で、約100〜200nMのIC50であった。対照的に、ヒト精上皮腫と一般的に関連するD816変異は、5〜10μM濃度を用いたときでさえ、化合物Iのメシル酸塩に対して抵抗性である。D816H変異体アイソフォームのキナーゼ活性は、化合物Iのメシル酸塩によって野生型Kitのものより阻害されなかった。試験管内IC50は、約1μMであった。
化合物Iのメシル酸塩の選択性は、ABL、Kit、およびPDGFRのATB結合ポケットとは可逆的に結合するが、他のチロシンキナーゼとは結合しない能力と関連する。Kitの変異がキナーゼ活性を導くことによる分子機序は完全に解明されているわけではないが、ある変異は、ATP結合ポケットと化合物Iのメシル酸塩の相互作用を阻害することが可能である。該可能性を調べるために、代表的な精上皮腫由来の構造的活性化Kit腫瘍性タンパク質を、CHO細胞への一過性トランスフェクションにより発現させ、化合物Iのメシル酸塩による、阻害に対する感受性について調べた。上記の残基822または823のアミノ酸置換を有する変異型Kitアイソフォームが、化合物Iのメシル酸塩に対して感受性が高く、これは試験管内で、約100〜200nMのIC50であった。対照的に、ヒト精上皮腫と一般的に関連するD816変異は、5〜10μM濃度を用いたときでさえ、化合物Iのメシル酸塩に対して抵抗性である。D816H変異体アイソフォームのキナーゼ活性は、化合物Iのメシル酸塩によって野生型Kitのものより阻害されなかった。試験管内IC50は、約1μMであった。
総合すると、これらの結果は、化合物Iが精上皮腫の処置のための予期しない可能性を有することを示す。精上皮腫での化合物Iの効果を、化学療法に不応性の進行性転移疾病で、または放射線療法前に、小容積の後腹膜疾病を有する患者で行う補助的試験療法("window of opportunity" neoadjuvant setting)での臨床試験により試した。
さらなる発展としては、次の照射、化学療法処置を減らす必要性を減少し、そしておそらく結果として生じる不妊を減少する試みでの、ステージI疾病の患者での補助療法としての化合物Iの使用である。
化合物Iのメシル酸塩処置の非常に良好な耐容性
化合物Iのメシル酸塩での処置は、総合的に非常に耐容である。抜け毛も見られず、そして患者は、該薬物のカプセル剤の嚥下に関係して、約15分間続く軽い一過性の吐き気のみを報告したが、これは食物と共に薬剤を服用することにより改善した。血液細胞数の変化は、とりたてて無かった。彼女の血液ヘモグロビン濃度は、化合物Iのメシル酸塩での治療中118g/Lから125g/Lの間で(事前の値は120g/Lであった)、白血球細胞数は、3.2×109/Lから4.4×109/L(5.5×109/L)、顆粒球数は、1.52×109/Lから2.39×109/L(3.2×109/L)、そして血小板数は、261×109/Lから365×109/L(360×109/L)で変動した。薬剤と関連した肝臓、腎臓、または心臓毒性は見られなかった。排便頻度の増加(1日2から4回)、時たま起こる脚の筋痙攣、一過性のわずかな足関節のむくみ、および左腹部(LV)真皮節に位置する発疹を伴った帯状ヘルペス感染からなる、主な主観的毒性[全て悪性度1(NCI CTCバージョン2.0)]が、化合物Iのメシル酸塩での治療中に診断された。世界保健機関(WHO)のパフォーマンス状況は、化合物Iのメシル酸塩での治療中、1(癌関連症状あり)から0(正常)に改善した。
化合物Iのメシル酸塩での処置は、総合的に非常に耐容である。抜け毛も見られず、そして患者は、該薬物のカプセル剤の嚥下に関係して、約15分間続く軽い一過性の吐き気のみを報告したが、これは食物と共に薬剤を服用することにより改善した。血液細胞数の変化は、とりたてて無かった。彼女の血液ヘモグロビン濃度は、化合物Iのメシル酸塩での治療中118g/Lから125g/Lの間で(事前の値は120g/Lであった)、白血球細胞数は、3.2×109/Lから4.4×109/L(5.5×109/L)、顆粒球数は、1.52×109/Lから2.39×109/L(3.2×109/L)、そして血小板数は、261×109/Lから365×109/L(360×109/L)で変動した。薬剤と関連した肝臓、腎臓、または心臓毒性は見られなかった。排便頻度の増加(1日2から4回)、時たま起こる脚の筋痙攣、一過性のわずかな足関節のむくみ、および左腹部(LV)真皮節に位置する発疹を伴った帯状ヘルペス感染からなる、主な主観的毒性[全て悪性度1(NCI CTCバージョン2.0)]が、化合物Iのメシル酸塩での治療中に診断された。世界保健機関(WHO)のパフォーマンス状況は、化合物Iのメシル酸塩での治療中、1(癌関連症状あり)から0(正常)に改善した。
実施例2:4−[(4−メチル−1−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]ベンズアミドメタンスルホン酸塩(β結晶形)を有するカプセル剤
活性物質として化合物I(遊離塩基)100mgに対応する表題化合物(=化合物Iのメシル酸塩)119.5mgを含有するカプセル剤を、次の組成で製造する。
活性物質として化合物I(遊離塩基)100mgに対応する表題化合物(=化合物Iのメシル酸塩)119.5mgを含有するカプセル剤を、次の組成で製造する。
該成分を混合し、該混合物を硬ゼラチンカプセル、サイズ1に充填することにより、カプセル剤を製造する。
実施例3:4−[(4−メチル−1−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]ベンズアミドメタンスルホン酸塩(β結晶形)を有するカプセル剤
活性物質として表題化合物(=化合物Iのメシル酸塩)119mgを含有するカプセル剤を、次の組成で製造する。
活性物質として表題化合物(=化合物Iのメシル酸塩)119mgを含有するカプセル剤を、次の組成で製造する。
該成分を混合し、該混合物を硬ゼラチンカプセル、サイズ1に充填することにより、カプセル剤を製造する。
これらの実施例は本発明を説明するものであって、範囲を制限することを意図していない。
これらの実施例は本発明を説明するものであって、範囲を制限することを意図していない。
Claims (13)
- 精上皮腫が、化合物Iに感受性のあるc−Kit変異と関係する、請求項1に記載の使用。
- 精上皮腫が、c−Kitチロシンキナーゼ中のY823D、N822K、またはD816H変異と関係する、請求項1に記載の使用。
- 式Iの4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドの医薬的に許容される酸付加塩が投与される、請求項5に記載の使用または方法。
- 式Iの4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドのメタンスルホン酸塩が投与される、請求項5に記載の使用または方法。
- 式Iの4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドのモノメタンスルホン酸塩の1日用量200から600mgが、成人に投与される、請求項7に記載の使用または方法。
- 式Iの4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドのモノメタンスルホン酸塩の1日用量200から600mgが投与される、請求項9に記載の方法。
- 精上皮腫が化合物Iに感受性のあるc−Kit変異と関係する、請求項5に記載の方法。
- 精上皮腫が、c−Kitチロシンキナーゼ中のY823D、N822K、またはD816H変異と関係する、請求項5に記載の方法。
- 医薬的に許容される塩がモノメタンスルホン酸塩である、請求項1に記載の使用。
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