JP2005520517A - 高い溶媒および温度安定性を有するアルコールデヒドロゲナーゼ - Google Patents
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Abstract
本発明は、Rhodococcus ruberから入手可能なアルコールデヒドロゲナーゼ活性を示す生体触媒、その調製、第2級アルコールの酸化および/またはケトンの還元におけるその使用、並びにこれらのアルコールデヒドロゲナーゼをコードする核酸、およびこれらの生体触媒をコードする核酸で形質転換された微生物、および生体触媒の生成、第2級アルコールの酸化および/またはケトンの還元におけるその使用に関する。
Description
本発明は、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を示す生体触媒、その調製、第2級アルコールの酸化および/またはケトンの還元におけるその使用、並びにこれらのアルコールデヒドロゲナーゼをコードする核酸、およびこれらの生体触媒をコードする核酸で形質転換された微生物、および生体触媒を生成するためのその使用に関する。
オッペンナウアー酸化(Op−Ox)および逆の還元メーヤヴァイン・ポンドルフ・ヴァーレー還元(MPV−Red)は、各々十分に確立されたアルコールまたはケトンの酸化もしくは還元方法である。触媒として毒性の重金属を必要とせずに反応を行うことができる(例えばJ.March、Advanced Organic Chemistry、第3版、John Wiley(1985)、1058頁、813頁;ISBN 04718547-7;C.F.deGraauw、J.A.Peters、H.van Bekkum、J.Huskens、Synthesis 1007-1017(1994);およびS.D.Burke、D.L.Danheiser、Handbook of Reagents for Organic Synthesis,Oxidizing And Reducing Reagents、Wiley(1994);ISBN 047197260)。
強塩基反応条件は、望ましくないアルドール型副反応を導くという点で不利である(K.G.Akamanchi、B.A.Chaudhari、Tetrahedron Lett.38:6925-6928(1997)参照)。塩基性状態に敏感である基質は分解せずに反応することはできない(T.Ooi、Y.Itagaki、T.Miura、K.Maroka、Tetrahedron. Lett.40:2137-2138(1999)参照)。エナンチオ選択的ハイブリッド転移のためにキラル遷移金属触媒を用いるMPV−Redの非対称型変法は、少しのモデル基質でしか試験されておらず、そして立体選択性は予備的に受け入れ難いほどに低くなっている(F.Touchard、M.Bernard、F.Fache、F.Debbecq、V.Guiral、P.Sautet、M.Lemaire、J.Org.Met.Chem.567:133-136(1998);およびE.Breysse、C.Pinel、M.Lemaire、Tetrahedron:Asymmetry 9:897-900(1998)参照)。
対照的に、生体触媒法は、穏やかな条件下、例えば室温および水性溶媒中ほぼ中性のpHを導くことができるという利点がある(K.Faber、Biotransformations in Organic Chemistry、第4版、Springer Verlag、Heidelberg(2000);ISBN 3-540-61688-8参照)。生体触媒の更なる貴重な特性は、通常的に高い固有の立体選択性である。加えて、望ましい反応は通常副反応を伴わずに起こる。しかしながら、単離されたアルコールデヒドロゲナーゼに基づく生体触媒レドックス法は高価なコファクター、例えばNAD+/NADHまたはNADP+/NADPHを必要とする。これらの基質の再生利用は困難であり、そして高価である(W.Hummel、Adv.Biochem.Eng./Biotechnol.58:145-184(1997)参照)。このような方法の1つの改良は、還元または酸化可能な成分またはコファクターの存在下で、各々コファクターの回収を可能にする第2酵素の存在に基づいている(「酵素結合系」、W.Hummel、B.Riebel、Ann.N.Y.Acad.Sci.799:713-716(1996)参照)。しかしながらこの変法は、第2酵素により補助成分として許容されるこのような添加剤に限定されるので、方法を比較的複雑にし、そして扱いを困難にしている。加えて基質および酵素の濃度を、予備的に許容される反応速度に至るように正確に調和させなければならない。更に単離された酵素は通常、作動条件下で相対的に半減期が短い。一方向への完全な反応を達成するために、酸化の場合、カルボニル化合物を大過剰のモル濃度で還元可能な補基質として加え、還元の場合、第2級アルコールを大過剰のモル濃度で酸化可能な補基質として加える。これはしばしば、とりわけ酵素の安定性および補基質による酵素阻止で困難になる。
生体触媒として発酵期の全細胞を用いる場合、少量のコファクターを添加する必要がある。加えて、細胞はコファクター自体を再生利用することができる。しかしながら、細胞は高濃度の有機基質で非常に鋭敏に反応する(基質阻止、溶媒不活性化)。この理由で、生化学的MPV−RedおよびOp−Oxは、発酵性細胞系および低(補)基質濃度に限定される(G.Fantin、M.Fogagnolo、A.Medici、P.Pedrini、S.Fontana、Tetrahedron:Asymmetry 11:2367-2373(2000)参照)。概して、基質濃度は0.15モル/l以下であり、そして補基質濃度は3(容量/容量)%以下である(K.Nakamura、Y.Inoue、T.Matsuda、I.Misawa、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1:2397-2402(1999);およびA.Goswami、R.L.Bezbaruah、J.Goswami、N.Borthakur、D.Dey、A.K.Hzarika、Tetrahedron:Asymmetry 11:3701-3709(2000)参照)。
ケトンの各々のアルコールへの還元もまたアセトン粉砕Geotrichum candidum細胞で行った(K.Nakamura、T.Matsuda、J.Org.Chem.63:8957-8964(1998)参照)。しかしながらこの場合、細胞レドックス系は細胞の凍結−乾燥の間に部分的に不活性化された。引き続いて生体触媒として使用するために、これは高価なレドックス・コファクター、例えばNAD+/NADHまたはNADP+/NADPHを必要とした。補基質としての(還元)イソプロピルアルコールの添加はこの場合約3(容量/容量)%に限定された。この比較的低濃度の有機共溶媒のために、親油性ケトン基質の濃度を最大0.4モル/lにしか調整できなかった。
満たされていない必要性を構成する、これらの不満足な結果を鑑みて、言及した、およびその他の好ましくない不都合を低減するかまたは排除し、そしてアルコールのオキソ(とりわけケト)化合物へのレドックス反応またはとりわけ有利な方法での逆反応を行うことを可能にする、更に使い易さを提供する新規の、より有効な触媒系を見出すための問題が残存している。
したがって、本発明の目的は、言及した不都合を回避することを可能にし、そして生体触媒性のケトンの還元および/または第2級アルコールの酸化の各々を改善できる有利な特性を有している新規触媒系を提供することである。
発明の概略説明
本発明は、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有し、そしてRhodococcus ruberから得られる、好ましくは(少なくとも部分的に)精製された形態の生体触媒、とりわけ酵素に関する。
本発明は、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有し、そしてRhodococcus ruberから得られる、好ましくは(少なくとも部分的に)精製された形態の生体触媒、とりわけ酵素に関する。
課題を解決するための手段
同一の型の活性を有する別の公知の酵素と比較して、この酵素は意外な、そして独特な特性を有していることが見出された。とりわけ、新規酵素は、高温安定性を有し、そして加えて、高濃度の補基質以外の有機溶媒(例えば芳香族または脂肪族炭化水素、例えばトルエン、ヘキサン)の95まで、好ましくは98(容量/容量)%までの濃度での存在下で活性を維持することができる。これによりとりわけ高温の条件下で、およびとりわけ高濃度の補基質の存在下(アルコールの酸化の場合、高濃度のケトンの存在;ケトンの還元の場合、高濃度のアルコールの存在)で酸化または還元反応を導くことが可能になる。したがって、工業的に有用な規模で製造すること、とりわけ以前に記載された反応に関して言及した多くの不都合を回避することが可能になる。更なる利点のうち、保存安定性の延長および触媒活性の高安定動作に言及することができる。酵素はまた通常Zn2+のごとき結合性触媒金属の除去を引き起こす複合体形成物質の存在下でも作動することができる。
同一の型の活性を有する別の公知の酵素と比較して、この酵素は意外な、そして独特な特性を有していることが見出された。とりわけ、新規酵素は、高温安定性を有し、そして加えて、高濃度の補基質以外の有機溶媒(例えば芳香族または脂肪族炭化水素、例えばトルエン、ヘキサン)の95まで、好ましくは98(容量/容量)%までの濃度での存在下で活性を維持することができる。これによりとりわけ高温の条件下で、およびとりわけ高濃度の補基質の存在下(アルコールの酸化の場合、高濃度のケトンの存在;ケトンの還元の場合、高濃度のアルコールの存在)で酸化または還元反応を導くことが可能になる。したがって、工業的に有用な規模で製造すること、とりわけ以前に記載された反応に関して言及した多くの不都合を回避することが可能になる。更なる利点のうち、保存安定性の延長および触媒活性の高安定動作に言及することができる。酵素はまた通常Zn2+のごとき結合性触媒金属の除去を引き起こす複合体形成物質の存在下でも作動することができる。
発明の詳細な説明
以下は、本発明の好ましい態様である。
以下は、本発明の好ましい態様である。
本発明は、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する生体触媒、とりわけ第2級アルコールの酸化またはケトンの還元においてアルコールデヒドロゲナーゼ活性、とりわけ立体特異的アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する、好ましくは(少なくとも部分的に)精製された形態の酵素であって、そして天然由来微生物、とりわけRhodococcus、とりわけブダペスト条約寄託番号(後記参照)にしたがってRhodococcus ruber DSM 44541(本明細書以後Rhodococcus ruber DSM 1485と称する)から入手できる酵素に関する。
本発明による生体触媒(または「酵素」)は、好ましくは精製された形態で存在する。
本発明は、また組換え技術により得られるアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する対応する生体触媒(組換え生体触媒)にも関する。
本発明の別の態様は、本発明によるアルコールデヒドロゲナーゼを有する生体触媒の第2級アルコールの酸化および/またはケトンの還元(以後、本発明の、または本発明による方法)における使用に関する。
アルコールの1個の立体異性体が特異的に酸化されている場合、とりわけ動態解析によるキラル中心に関して立体異性体の混合物を分離するために、または特異的なキラル形態を有している第2級アルコールのケトンからの立体特異的生成のために本発明の方法を用いることができる。
なお別の態様は、アルコールデヒドロゲナーゼを有するこのような生体触媒をコードする核酸、とりわけ組換え核酸に関する。
別の態様は、アルコールデヒドロゲナーゼを有するこのような生体触媒をコードする核酸で形質転換された微生物に関する。
更に、本発明は、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する上記生体触媒の生成における言及した微生物、とりわけ宿主細胞の使用、およびとりわけ以下の反応スキーム(A)に示すような第2級アルコールの酸化またはケトンの還元の触媒におけるその使用に関する。
特記しない場合、本発明の説明において使用する一般的な用語、記号、および名称は、以下の意味を有しているのが好ましい(ここで各々別個に、または組み合わせて、本発明の更に好ましい態様を定義するために更に具体的な定義を用いてより一般的な用語と置き換えることができる)。
本発明は、とりわけアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する生体触媒、とりわけアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有し、そしてRhodococcus ruberとりわけRhodococcus ruber DSM 14855から入手できる、好ましくは精製された形態の酵素に関する。本開示内で該生体触媒はアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するが、その他の活性(酵素性、制御性またはいずれかその他の種類のものである)は、除外されることを意味すると意図するものではない。
本明細書で用いる「本発明の生体触媒」または「本発明の酵素」なる用語は、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する生体触媒、とりわけ上記活性を有する酵素、特に以下に記載するアルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」に関する。特記しない場合、すべてのこれらの用語は本発明の好ましい態様である、本発明のポリペプチドの天然由来の「本物の」配列のみならず、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を呈する、好ましくは天然の酵素と同一の立体選択性を有するそのすべての変異体、変種、およびフラグメントをも含む。
本発明の酵素は1つ、更に好ましくは2つ、最も好ましくは3つまたはそれ以上の下記の特性を有する。
(i)変性SDSポリアクリルアミドゲルでの電気泳動後の分子量:30から45kDa、とりわけ約38kDa。
(ii)Superdex 200でのサイズ排除クロマトグラフィー(とりわけ実施例にて言及した条件下で)による分子量:55から69kDa、とりわけ約62kDa。
(iii)NADHの存在下でのケトン、とりわけアセトフェノンの還元における最適pH:pH6からpH7。
(iv)NAD+の存在下でのアルコール、とりわけ1−フェニルエタノールの酸化における最適pH:pH8.5からpH9.5。
(v)NADHの存在下でのケトンとりわけアセトフェノンの還元における最適温度:43と65℃の間。
(vi)NAD+の存在下での第2級アルコール、とりわけ1−フェニルエタノールの酸化における最適温度:43と65℃の間。
(vii)具体的には「とりわけ」の後に言及した基質および補基質を用いて最適温度に関してちょうど与えられた条件下での温度安定性:24時間の間に50℃で35%未満の活性喪失。
(viii)pH7.5、20分間のインキュベーションでの活性試験においてEDTA(とりわけ5mMまでの濃度のEDTA)の存在下で活性変化なし。
(ix)分子に結合したZn2+の存在。
(x)また50まで、好ましくは80容量%までのイソプロパノールの存在下での安定性、とりわけアルコールデヒドロゲナーゼ活性。
(xi)また20容量%まで、好ましくは50容量%までのアセトンの存在下での安定性、とりわけアルコールデヒドロゲナーゼ活性。
(xii)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列EVGADAAAR(配列番号1)の存在。
(xiii)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列TD[L/I]FEVVA[L/I]AR(配列番号2)(ここで[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンである)の存在。
(xiv)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列SGAGAADA[L/I]R(配列番号3)(ここで[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンである)の存在。
(xv)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列V[L/I]AVD[L/I]DDDE(配列番号4)(ここで[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンである)の存在。
(xvi)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列V[L/I]AVD[L/I]DDDXRX(配列番号5)(ここで[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンであり、そしてXは同定されていないアミノ酸を表す)の存在。
(xvii)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列[TD/DT][L/I]MEVVA[L/I]AR(配列番号6)(アミノ末端で、TDで始まるかまたはDTで始まるかのいずれか)(ここで括弧内の配列はそこで言及した2つの代替から選択し、そして[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンである)の存在。
(i)変性SDSポリアクリルアミドゲルでの電気泳動後の分子量:30から45kDa、とりわけ約38kDa。
(ii)Superdex 200でのサイズ排除クロマトグラフィー(とりわけ実施例にて言及した条件下で)による分子量:55から69kDa、とりわけ約62kDa。
(iii)NADHの存在下でのケトン、とりわけアセトフェノンの還元における最適pH:pH6からpH7。
(iv)NAD+の存在下でのアルコール、とりわけ1−フェニルエタノールの酸化における最適pH:pH8.5からpH9.5。
(v)NADHの存在下でのケトンとりわけアセトフェノンの還元における最適温度:43と65℃の間。
(vi)NAD+の存在下での第2級アルコール、とりわけ1−フェニルエタノールの酸化における最適温度:43と65℃の間。
(vii)具体的には「とりわけ」の後に言及した基質および補基質を用いて最適温度に関してちょうど与えられた条件下での温度安定性:24時間の間に50℃で35%未満の活性喪失。
(viii)pH7.5、20分間のインキュベーションでの活性試験においてEDTA(とりわけ5mMまでの濃度のEDTA)の存在下で活性変化なし。
(ix)分子に結合したZn2+の存在。
(x)また50まで、好ましくは80容量%までのイソプロパノールの存在下での安定性、とりわけアルコールデヒドロゲナーゼ活性。
(xi)また20容量%まで、好ましくは50容量%までのアセトンの存在下での安定性、とりわけアルコールデヒドロゲナーゼ活性。
(xii)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列EVGADAAAR(配列番号1)の存在。
(xiii)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列TD[L/I]FEVVA[L/I]AR(配列番号2)(ここで[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンである)の存在。
(xiv)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列SGAGAADA[L/I]R(配列番号3)(ここで[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンである)の存在。
(xv)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列V[L/I]AVD[L/I]DDDE(配列番号4)(ここで[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンである)の存在。
(xvi)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列V[L/I]AVD[L/I]DDDXRX(配列番号5)(ここで[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンであり、そしてXは同定されていないアミノ酸を表す)の存在。
(xvii)酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の部分配列[TD/DT][L/I]MEVVA[L/I]AR(配列番号6)(アミノ末端で、TDで始まるかまたはDTで始まるかのいずれか)(ここで括弧内の配列はそこで言及した2つの代替から選択し、そして[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンである)の存在。
これらの特性の中でとりわけ好ましいものは(x)および/または(xi)で言及したものである。
「酵素全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内の」なる用語は、本発明による生体触媒/酵素が1個のサブユニット(そのときこれは1個のポリペプチドから形成される)または1個以上の(同一または異なる)サブユニット(そのときこれは対応する多くのポリペプチドから形成される)から構成され得る可能性を意味する。
(xii)から(xvii)の下で言及した部分配列の1個が存在するか、またはこれらの配列のいずれかで言及したアミノ酸の1個が好ましくは、例えば親油性に対して親油性、塩基性に対して塩基性、酸性に対して酸性、極性アミノ酸に対して極性等の保存置換により異なるアミノ酸に置換される、本発明の酵素が、更に好ましい。
1個以上の異なるサブユニットが存在する場合、なお更に好ましい酵素は、その配列が(xii)から(xvii)の下で、前記で言及した2つ、更に好ましくは3つ、なお更に好ましくは4つ、なお最も好ましくは5つ、最も好ましくは6つの配列から選択される部分配列を含むペプチド配列である。
本発明の酵素は、それ自体当分野で公知である方法、とりわけ実施例に記載する方法またはその類似の方法により微生物から単離(精製)され、全精製方法もまた本発明の態様を成す。
アルコールデヒドロゲナーゼ活性は、好ましくは1−フェニルエタノール(6.6μM)の酸化および10mM NAD+の添加により(試験条件:30℃、10μM トリスバッファー(pH7.5)、10分間、GC分析による変換)または実施例に記載するように決定される。
本発明の生体触媒は、天然のサンプル、例えば土壌、水、または植物サイレージ、好ましくは炭化水素、例えばヘキサンを伴う選択培地に接種することを含む方法により発酵可能な天然由来微生物から得られる。炭素供給源は別として、選択培地は微生物の成長を可能にする必要なすべての必須成分、例えば無機塩、N供給源、および微量元素をも含有する。
アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する天然由来微生物を当分野で公知の方法により、例えば天然供給源、例えばライン川の水から単離することにより得ることができる。
本発明の精製された酵素を得るために、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する微生物、とりわけRhodococcus ruber DSM 14855を例えば酵母抽出物、ペプトン、グルコース、および無機塩(例えば10g/l 酵母抽出物、10g/l ペプトン、2g/l NaCl、0.15g/l MgSO4・7H2O、1.3g/l NaH2PO4、4.4g/l K2HPO4)を含む水性栄養培地中数日、例えば3日間培養する。例えば546nmでの吸光度により光学密度を決定することにより細胞成長を追跡する。
細胞を破壊し、バイオマスを除去し、そして細胞不含の抽出物が得られる。アルコールデヒドロゲナーゼ活性に関して最適力価が達成されるように発酵時間を選択する。
細胞密度が適切な値に到達したときに、培養を中止する。公知の様式、例えば遠心により培養ブロスを分離し、そして沈殿した細胞を通常的な様式で、例えば微細なガラスビーズと共に振盪することにより、超音波処理により、またはフレンチプレスを用いて細胞を破壊する。不溶性細胞成分および、使用する場合、例えば遠心によりガラスビーズを除去し、そして残留物を酵素供給源(粗製抽出物)として使用する。アルコールデヒドロゲナーゼ活性含有粗製抽出物である残留物を直接本発明による方法において使用することができる。しかしながら、有利には、精製された形態の本発明の酵素を得るために、核酸(粘性溶液)およびその他の不純物または干渉成分(例えば立体選択性の低いその他のデヒドロゲナーゼ)を除去するために粗製抽出物を更なる精製に供する。好ましくは、抽出物から干渉成分を除去するために粗製細胞抽出を例えば当分野で公知である1つまたはそれ以上の精製工程に供する。
好ましい方法は、有利には(NH4)2SO4の存在下で形成された沈殿物を除去した後、カチオン交換器、例えばDEAEセルロースを用いるバッチ前処理、そして続いて最初に疎水性相互作用クロマトグラフィーによる、例えばフェニル・セファロースでのクロマトグラフィー(とりわけFPLC)分離を利用する。溶出液の漸増含量の(NH4)2SO4で酵素活性を溶出する。更にアニオン交換クロマトグラフィーにより、好ましくはUNO Qカラム(BioRad)で活性分画を分離する。漸増含量の塩化ナトリウムを含む溶出液による溶出により、再度アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する活性分画を生じる。次いで興味のある分画を、アデニリルを含むコファクターの結合場所を含む、例えばこのようなアフィニティクロマトグラフィーを可能にする色素Cibacron Blue F3G−Aまたはその他の基を担持する分離マトリクスで、とりわけブルー・セファロース CI−6Bを用いて精製し、この斬新な材料により驚くべき良好な更なる精製が可能になるが、驚くべきことに結合は生じない。これにより本発明による酵素の驚くべき特性を示す情報が加えられる。次の工程はサイズ排除クロマトグラフィーであり、例えばSuperdex 200カラムを使用する。ここで本発明の酵素は55と69kDaの間、平均約62kDaの分子量に相当する分画で溶出される。
「精製された」なる用語は、好ましくは「少なくとも部分的に精製された形態である」か、または「富化された形態である」か、または更に好ましくは、更に厳密な意味で精製された、すなわち実際に単離された形態(とりわけ、存在するその他のペプチドに比較して50以上、特に95重量%以上の純度)であることを意味する。
組換え技術により得られ、次いで本発明の組換え生体触媒と称するアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する対応する生体触媒(またはRhodococcus ruber DSM 14855以外の天然供給源からの生体触媒もまた)を以下のように定義するのが好ましい。
該生体触媒の配列は、実施例で精製したような酵素の配列、または可能なその異なるサブユニットに比較した場合、とりわけ本発明による生体触媒に関して言及した1つまたはそれ以上の更なる有利な特性と関連して、基本的な活性(とりわけ実施例で言及した基質(好ましくは1−フェニルエタノールまたはアセトフェノン)および補基質を伴うアルコールデヒドロゲナーゼ活性)が依然存在する限り、アミノ酸の欠失、挿入、末端付加、または置換(とりわけ、例えば親油性に対して親油性、塩基性に対して塩基性、酸性に対して酸性、極性アミノ酸に対して極性等の保存置換)(好ましくは各々アミノ酸20個まで、末端付加の場合1000個まで、更に好ましくは5個まで、末端付加の場合200個まで)、またはいずれかのこのような置換の組み合わせを含むことができる。また、翻訳中または翻訳後に修飾され得る、修飾されたアミノ酸(遺伝子コードから直接誘導可能な20個のアミノ酸とは異なる構造を有する)、例えばこのようなアミノ酸1から20個、より好ましくは1から5個が存在する可能性がある。
第2級アルコールの酸化またはケトンの還元においてアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する生体触媒の使用の好ましい態様では、以下の反応(反応スキーム(A))が触媒作用において使用される。
ここで、式I、IaおよびIbでは、R1およびR2は、置換されていないかもしくは置換されているアルキル、置換されていないかもしくは置換されているアルケニル、置換されていないかもしくは置換されているアルキニル、置換されていないかもしくは置換されているシクロアルキル、置換されていないかもしくは置換されているアリールおよび置換されていないかもしくは置換されているヘテロシクリルから成る群からの2つの異なる基であるか、またはR1およびR2は、一緒に置換されていないかもしくは置換されているブリッジを形成し、並びに
式IIIおよび式IVでは、R3およびR4は、2つの異なる、もしくは好ましくは2つの同一の低級アルキルもしくはアリール基であるか、または一緒にブリッジを形成する。
式IIIおよび式IVでは、R3およびR4は、2つの異なる、もしくは好ましくは2つの同一の低級アルキルもしくはアリール基であるか、または一緒にブリッジを形成する。
本発明の更に好ましい態様は、以下の反応(反応スキーム(B)および(C))で示すような第2級アルコール、好ましくは第2級ジオールの酸化、またはケトン、好ましくはジケトンの還元におけるアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する生体触媒の使用を含む。反応スキームB(ジオールの酸化)。
および反応スキームC(ジケトンの還元):
ここで、nは0から20、好ましくは2から20、および更に好ましくは2から6までの範囲の整数であり、そしてR1、R2、R3、およびR4は、反応スキームAの化合物に関して前記で提示したのと同一の意味を有する。
「低級」なる用語は、最大7を含んで7まで、とりわけ最大4を含んで4までの炭素原子を有する基を定義し、上記基は、分岐鎖状または直鎖状である。低級アルキルは例えばエチル、ノーマル・プロピル、第2級プロピル、ノーマル・ブチル、イソブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、ノーマル・ペンチル、ノーマル・ヘキシル、もしくはノーマル・ヘプチル、または最も好ましくはメチルである。
基に関して用いる場合はいつも「置換された」とは各々の分子の1個またはそれ以上の水素原子、とりわけ5個まで、特に3個までの水素原子が対応する数の置換基により置換されていることを意味し、該置換基は好ましくはアルキル、とりわけ低級アルキル、例えばメチル、エチル、またはプロピル、フルオロ低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、C6〜C16アリール、とりわけフェニル、またはナフチル(ここでC6〜C16アリール、とりわけフェニル、もしくはナフチルは、置換されていないか、またはハロゲン、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、フェニル低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、低級アルカノイル、アミノ、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ低級アルキルアミノ、N−フェニル低級アルキルアミノ、N,N−ビス(フェニル低級アルキル)アミノ、低級アルカノイルアミノ、フルオロ低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、およびスルホから選択される1個またはそれ以上の、とりわけ3個までの基で置換されている)、C3−C10−シクロアルキル(これは置換されていないか、またはハロゲン、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、フェニル低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、低級アルカノイル、アミノ、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ低級アルキルアミノ、N−フェニル低級アルキルアミノ、N,N−ビス(フェニル低級アルキル)アミノ、低級アルカノイルアミノ、フルオロ低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、およびスルホから選択される1個またはそれ以上の、とりわけ3個までの基で置換されている)、ヘテロシクリル(これは不飽和、飽和または部分的飽和であり、単、二、もしくは三環系であり、そして4から16個の環状原子を有し、ここで1個またはそれ以上の、とりわけ1から4個の炭素環原子の代わりに、窒素、酸素、および硫黄から選択される対応する数のヘテロ原子が(化学的に可能な限界内で)存在する)(上記ヘテロシクリルは置換されていないか、またはハロゲン、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、フェニル低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、低級アルカノイル、アミノ、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ低級アルキルアミノ、N−フェニル低級アルキルアミノ、N,N−ビス(フェニル低級アルキル)アミノ、低級アルカノイルアミノ、フルオロ低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、およびスルホから選択される1個またはそれ以上の、とりわけ3個までの基で置換されている)、ヒドロキシ、低級アルコキシ、例えばメトキシ、フェニル低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、アミノ、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ低級アルキルアミノ、N−フェニル低級アルキルアミノ、N,N−ビス(フェニル低級アルキル)アミノ、低級アルカノイルアミノ、カルバモイル低級アルコキシ、N−低級アルキルカルバモイル低級アルコキシ、またはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル低級アルコキシ、アミノ、モノもしくはジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、フェニル−、ナフチル−またはフルオロエニル低級アルコキシカルボニル、例えばベンジルオキシカルボニル、低級アルカノイル、スルホ、低級アルカンスルホニル、例えばメタンスルホニル(CH3−S(O)2−)、ホスホノ(−P(=O)(OH)2)、ヒドロキシ低級アルコキシホスホリルまたはジ低級アルコキシホスホリル、カルバモイル、モノもしくはジ低級アルキルカルバモイル、スルファモイルおよびモノもしくはジ低級アルキルアミノスルホニルからなる群から別個に選択される。特記しない場合、置換基は、化学的に可能な位置のみであり、当業者は、不適当な努力なしに、どの置換基が可能であり、そして可能でないかを(実験的または理論的のいずれかで)決定することができる。1個またはそれ以上の置換基が存在する場合、置換基は特記しない場合、互いに独立して選択される。
アルキルは、好ましくは24個まで、より好ましくは12個までの炭素原子および、炭素数を考慮して可能な場合、直鎖状であるかまたは1回またはそれ以上分岐していて、好ましくは低級アルキル、とりわけC1〜C4アルキルである。アルキルは、とりわけ1個またはそれ以上の、特に3個までの前記で「置換された」の下で言及した置換基で置換されているか、または置換されていなくてよい。置換されていないアルキル、とりわけ低級アルキルは1つの好ましい態様である。
アルケニルは、好ましくは1個またはそれ以上の二重結合を伴う基であり、そして好ましくは2から20個、更に好ましくは12個までの炭素原子を有しており、これは直鎖状であるかまたは1回またはそれ以上分岐している(炭素数を考慮して可能な限り)。C2〜C7アルケニル、とりわけC3〜C4アルケニル、例えば、アリルまたはクロチルが好ましい。アルケニルは、置換されていないかまたは、とりわけ1個またはそれ以上の、特に3個までの前記で「置換された」の下で言及した置換基で置換されていてよい。置換基、例えばアミノまたはヒドロキシ(遊離の分離可能な水素を伴う)は、二重結合に関与している炭素に結合していないのが好ましく、そしてまた十分に安定ではないその他の置換基は排除されるのが好ましい。置換されていないアルケニル、特にC2〜C7アルケニルがとりわけ好ましい。
アルキニルは、好ましくは1個またはそれ以上の三重結合を伴う基であり、そして好ましくは2から20個、更に好ましくは12個までの炭素原子を有しており、これは直鎖状であるかまたは1回またはそれ以上分岐している(炭素数を考慮して可能な限り)。C2〜C7アルキニル、とりわけC3〜C4アルキニル、例えばエチニルまたはプロピン−2−イルが好ましい。アルキニルは置換されていないかまたは、とりわけ1個またはそれ以上の、特に3個までの前記で「置換された」の下で言及した置換基で置換されていてよい。置換基、例えばアミノまたはヒドロキシ(遊離の分離可能な水素を伴う)は三重結合に関与している炭素に結合していないのが好ましく、そしてまた十分に安定ではないその他の置換基は排除されるのが好ましい。置換されていないアルキニル、特にC2〜C7アルキニルがとりわけ好ましい。
アリールは、好ましくは20個を超えない炭素原子、とりわけ14個を超えない炭素原子を有する環系を有し、好ましくは単、二、もしくは三環系であり、そして置換されていないかまたは1個またはそれ以上の、特に3個までの、好ましくは前記で「置換された」の下で定義した置換基で置換されている。例えば、アリールは、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、およびアンスリルからなる群から選択され、その各々は置換されていないかまたは置換されており、好ましくはフェニルまたは1−もしくは2−ナフチルから、各々置換されていないかまたは1個またはそれ以上の、好ましくは5個までの前記で「置換された」の下で定義した置換基で置換されている。本発明の別の態様では、アリールは例えば金属複合体、例えばフェロセンである。
ヘテロシクリルは、好ましくは、不飽和、飽和、または部分的に飽和されているヘテロ環式ラジカルであり、そして好ましくは単環式であるか、または本発明のより広範な態様では二もしくは三環式基であり、これは好ましくは3から24個、とりわけ4から16個の炭素原子を有し、ここで1個またはそれ以上、とりわけ1から4個の炭素環原子の代わりに、とりわけ窒素、酸素および硫黄から選択される対応する数のヘテロ原子が(化学的に可能な限界内で)存在し、そしてここでヘテロシクリルは、置換されていないか、または1個またはそれ以上の、特に3個までの、前記で「置換された」の下で定義された置換基で置換されている。好ましくは、ヘテロシクリルは、オキシラニル、アジリニル、1,2−オキサチオラニル、イミダゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、チオピラニル、チアンスレニル、イソベンゾフラニル、ベンゾフラニル、クロメニル、2H−ピロリル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ベンズイミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラニオール、チアゾリル、イソチアゾリル、ジチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリダジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、クマリル、インダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロキノリル、オクタヒドロイソキノリル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリル、キナゾリニル、キナゾリニル、シノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナンスリジニル、アクリジニル、ペルイミジニル、フェナンスロリニル、フラザニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、クロメニル、イソクロマニル、およびクロマニルからなる群から選択され、ここでこれらの基の各々は置換されていないか、または前記で記載したように、とりわけ、低級アルキル、とりわけメチル、低級アルコキシ、とりわけメトキシ、ハロゲン、とりわけフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードおよびハロゲン低級アルキル、とりわけトリフルオロメチルから選択される1個またはそれ以上の基で置換されている。
シクロアルキルは、好ましくは3から12個、更に好ましくは3から8個の炭素原子を有し、そして例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、これは置換されていないか、または好ましくは前記で「置換された」の下で定義されるような1個またはそれ以上の、とりわけ3個までの置換基で置換されている。
式I、Ia、IbまたはIIのR1およびR2から形成される置換されていないかもしくは置換されているブリッジは、好ましくは2から12個の炭素原子で形成され、該炭素原子は式I、Ia、IbまたはIIの結合原子と一緒にで環を形成し、ここでブリッジは、結合炭素原子以外の場所で1個またはそれ以上の二重結合および/または三重結合を含有できる(このときブリッジは少なくとも3個の炭素原子を有する)か、好ましくは飽和されている。置換基は、好ましくは1個またはそれ以上の、とりわけ3個までの、「置換された」の下で定義した置換基から選択される。最も好ましくはC2〜C7アルキレン鎖、例えばエチレン、プロピレン、n−ブチレン、n−ヘキシレンもしくはn−ヘプチレンであり、その各々は1個もしくはそれ以上の、とりわけ1もしくは2個の前記で「置換された」の下で定義された基であるか、または好ましくは置換されていない。
化合物(アルコール、ケトン、基質、補基質等を含む)が、本明細書で言及される限り、これは、塩形成化合物が存在する場合、対応するその塩または溶媒和物塩、および対応する溶媒和物を含む。塩形成基は、とりわけ塩基性基、例えばアミノ基、または酸性基、例えばカルボキシ基である。酸性基の場合、対応する金属塩、例えばアルカリ金属塩、例えばナトリウムもしくはカリウム塩、またはアルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩、または窒素塩基との塩、例えばアンモニウム−、トリ低級アルキルアンモニウム、ピリジニウム塩等が存在でき、塩基性基の場合、例えば無機酸、例えば硫酸もしくはハロゲン化水素、例えばHClもしくはHBrと、または有機酸、例えばカルボン酸、例えば酢酸、もしくはスルホン酸、例えばメタンスルホン酸との対応する酸添加塩が存在し得る。
本発明の局面では、第2級アルコールは少なくとも1個のヒドロキシ基を有している。好ましい第2級アルコールの実例は少なくとも1個のヒドロキシ基担持する化合物である。本発明の第2級アルコールは、例えばモノ、ジもしくはトリテルペン、例えばゲラニオール、イソボルネオール、イプセノール、メントール(とりわけ(±)−メントール)、ネロリドール、ヘルナンダルシン、タクソールまたはラノステロール、あるいはステロイド、例えばコレスタン−3−オール、コレステロール、エルゴステリン、スチグマステリン、コール酸、ビタミンD2、ビタミンD3、アンドロステロン、テストステロン、エストロン、17β−エステラジオール、エストリオール、コルチソール、コルチコステロン、アルドステロン、トリアミンコロン、ジギトキシゲニン、ストロファンチジン、オウアバゲニン、シラリジンもしくはブフォタリン;ジ低級アルキルもしくは低級アルキル低級アルケニルメタノール、例えばイソプロパノール、ブタンー2−オール、ノーマル・ヘキサン−2−オール、ノーマル・ヘプタン−2−オール、ノーマル・オクタン−2−オール、ノーマル・ノナン−2−オール、3−オクタノール、5−メチル−2−ヘプタノール、3−オクテン−2−オールもしくは6−メチル−ヘクス−5−エン−2−オール;またはノーマル・デカン−2−オール;R−、S−もしくはR、S−1−フェニル−1−エタノール、ベンズヒドロール、R−、S−もしくはR、S−1−(1−または2−ナフチル)−1−エタノール、R−、S−もしくはR、S−1−フェニル−2−ブタノール(ここでナフチルまたはフェニル基は置換されていないか、または1個またはそれ以上、好ましくは5個までの置換基が別個に、低級アルコキシ、例えばメトキシ、低級アルキル、例えばメチル、ニトロ、シアノ、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素、またはハロ低級アルキル、例えばトリフルオロメチルから別個に選択される置換基で置換されている);シクロペンタノール、R−、S−もしくはR、S−1−ヒドロキシエチルシクロヘキサン等である。
還元のための好ましい補基質は、第2級アルコール、例えばイソプロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、または更に別のC,C−ジ(低級アルキル)メタノールである。これらは、好ましくは、反応混合物中、例えば還元されるケトンと比較して過剰に存在し、例えば50%(反応混合物の容量に相対して、容量/容量)になる。還元されるケトンの濃度は好ましくは上限3モル/l以下になり、好ましくは2.6モル/lまたはそれ以下になる。
還元されるケトンは、とりわけ遊離のケトン、少なくとも1個のカルボニル基を担持する化合物、例えばモノ、ジもしくはトリケトン、またはそのケタール(例えばとりわけジ(低級アルキル)ケタールまたは(環式)(置換されていないかまたは、例えば低級アルキル、例えばメチルで置換されている)低級アルキレンケタール、例えばエチレンケタール(ジオキソラン誘導体))である。
実例は、オキソ担持イソプレン誘導体、例えば、モノ、ジもしくはトリテルペン、例えばメントン、プレゴン、カルボン、カロン、ベルベノン、カンファー、ジヒドロカルボン、臭化水素酸ジヒドロカルボン、カルベノン、ヘルナンダルシンもしくはタクソールまたはラノステロール、あるいはステロイド、例えばアンドロステロン、テストステロン、エストロン、コルチソール、コルチコステロン、アルドステロンもしくはプレドニゾン;ジ(低級アルキル)−もしくは低級アルキル低級アルケニルケトン、例えばアセトン、ブタンー2−オン、ノーマル・ヘキサン−2−オン、ノーマル・ヘプタン−2−オン、ノーマル・オクタン−2−オン、ノーマル・ノナン−2−オン、3−オクタノン、5−メチル−2−ヘプタノン、3−オクテン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、6−メチル−ヘクス−5−エン−2−オンもしくは6−メチル−ヘプト−5−エン−2−オン;ヒドロキシアセトン;またはノーマル・デカン−2−オン;アセトフェノン、メチル−1−(1−または2−ナフチル)ケトン、メチル−1−フェニルメチル−ケトン、1−フェニル−2−プロパノン、ベンゾフェノンもしくはフェナシルハロゲニド、ここで言及した基のナフチル−またはフェニル基は各々の場合、置換されていないかまたは1個またはそれ以上、好ましくは5個までの、低級アルコキシ、例えばメトキシ、低級アルキル、例えばメチル、ニトロ、シアノ、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、またはハロ−低級アルキル、例えばトリフルオロメチル;2−フリルエタノン;シクロペンタン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、メチル−シクロヘキシル−ケトン;ケトエステル、例えばピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、臭化ピルビン酸エチル、3−メチル−2−オキソ酪酸エチル、3−オキソ酪酸エチル、3−オキソ酪酸メチル、フェニルグリオキシル酸メチルエステル、フェニルグリオキサル酸エチルエステル、2−オキソ−4−フェニル酪酸メチルエステルまたは対応する第3級ブチルもしくはネオペンチルエステルからなる群から各々別個に選択される置換基で置換されている。
本発明による生体触媒の存在下での酸化または還元における本発明による使用のために、その型の化学反応の通例の条件が選択される。
補基質としてのケトンの存在下、アルコールの酸化のための好ましいpH範囲はpH6からpH12、更に好ましくはpH8から11の範囲に維持される。還元のためには、好ましいpH範囲はpH5とpH9の間、更に好ましくはpH6とpH8の間になる、pH値は、標準的なバッファー、例えばアルカリ金属を含むリン酸バッファー、例えばリン酸カリウムもしくはナトリウムバッファー、ボロン酸/HCl/水酸化ナトリウムバッファー、またはその他のバッファー、例えばトリス/HCl、HEPESバッファー等により;並びに/またはpHの上昇を避けるために酸、例えばHClで、もしくはpHの下降を避けるために塩基、例えばNaOHでの自動滴定により調節される。
使用した酵素の量は、変換される基質の量に適合され、そして便宜的に本発明による生体触媒の活性から算出することができる(例えば精製表=実施例2の表3参照)。
界面活性物質(界面活性剤、デタージェント)の存在下で本発明の酵素を使用することもできる。デタージェントとしては、例えば、
・アニオン性界面活性剤、これは通常アニオン性、疎水性成分、例えば長鎖(とりわけC8〜C18)アルコールの硫酸塩のごとき長鎖脂肪酸を含み、例えばアルカリ金属C8〜C18アルカノイル硫酸塩、とりわけドデシル硫酸ナトリウム、もしくはデシル硫酸ナトリウム;
・カチオン性界面活性剤、これは疎水性、脂肪族もしくは芳香族(とりわけアルキル)基に加えて正の電荷(例えば4級アンモニウム)を有する疎水性基を含み、例えば塩化ベンジル−ジメチルステアリルアンモニウムもしくは塩化セチルピリジニウム;
・両性デタージェント、例えば脂肪酸のモノもしくはジカルボキシル化イミダゾリン、例えばラウリルジカルボキシイミダゾリンナトリウム、もしくはナトリウム;または
・非イオン性界面活性剤、例えば高級脂肪酸のエトキシル化糖エステル、例えばポリオキシエチレン−ソルビタン−モノラウレート、−パルミテート、−ステアレートもしくはトリステアレート。
・アニオン性界面活性剤、これは通常アニオン性、疎水性成分、例えば長鎖(とりわけC8〜C18)アルコールの硫酸塩のごとき長鎖脂肪酸を含み、例えばアルカリ金属C8〜C18アルカノイル硫酸塩、とりわけドデシル硫酸ナトリウム、もしくはデシル硫酸ナトリウム;
・カチオン性界面活性剤、これは疎水性、脂肪族もしくは芳香族(とりわけアルキル)基に加えて正の電荷(例えば4級アンモニウム)を有する疎水性基を含み、例えば塩化ベンジル−ジメチルステアリルアンモニウムもしくは塩化セチルピリジニウム;
・両性デタージェント、例えば脂肪酸のモノもしくはジカルボキシル化イミダゾリン、例えばラウリルジカルボキシイミダゾリンナトリウム、もしくはナトリウム;または
・非イオン性界面活性剤、例えば高級脂肪酸のエトキシル化糖エステル、例えばポリオキシエチレン−ソルビタン−モノラウレート、−パルミテート、−ステアレートもしくはトリステアレート。
酸化または還元反応において本発明の酵素を使用するための温度は、生体触媒反応のための通常の温度範囲またはそれ以上、好ましくは10から65、更に好ましくは40から65℃の範囲である。
本発明による使用の好ましい態様は、対応する(とりわけ式II(ここでR1およびR2は異なる意味を有している)の)ケトンからのキラル(またはジアステレオマー)アルコールの立体選択的(エナンチオ選択的または、1個以上の不斉中心もしくは軸の存在下、ジアステレオ選択的)生成にあるか、またはプロキラルC=O基の還元によりプロキラルオキソ担持炭素で非対称性(非対称的に置換されている)ブリッジを形成する。この反応ではSエナンチオマーの酸化またはSエナンチオマーへの還元がとりわけ好ましい。90%を越える、とりわけ96%(エナンチオマーの過剰に関して、=ee=100(2x−1)、ここでxは一般的なエナンチオマーのモル分画である)またはそれ以上、最も好ましくは99%またはそれ以上のエナンチオマー純度が本発明の酵素で得られる。
本発明の更に別の態様は、本発明の酵素を用いる、適当な立体形態を有するヒドロキシ基のみが対応するオキソ基に酸化される(一方同一または別の分子のその他の酸化可能なヒドロキシ基は未反応のままである)第2級アルコールの(穏やかな)化学選択的(とりわけ立体選択的)酸化のための使用/方法に関する。これはとりわけアルコールのみの混合物から反応性のものが酸化される異性体の分離のために用いることができ、そして望ましいアルコールはそのままであるか、または得られたオキソ化合物が次の工程で逆反応に(還元)より再度望ましいアルコールに変換される。
この使用(方法)のとりわけ好ましい変法は、第2級アルコール、とりわけ式Iのアルコール(ここでR1およびR2は、とりわけ前記で定義したような2つの異なる基であるか、または非対称性(とりわけ非対照的に置換された)のブリッジを形成する)のエナンチオマー(またはジアステレオマー)とりわけラセミ体の混合物の1つの異性体のみの(穏やかな)エナンチオ選択的酸化のための本発明による酵素の使用に関する。この方法により、残りのアルコールを異性体的に純粋な、とりわけエナンチオマー的に純粋な形態で、例えば75%またはそれ以上、とりわけ95%またはそれ以上、特に98%またはそれ以上のR1およびR2を担持する炭素原子に関してエナンチオマー的に過剰に得ることができる。
アルコールの1つの立体異性体がとりわけ酸化されている場合、とりわけ動態学的解析によりキラル中心に関して立体異性体の混合物を分離するために、またはケトンからの特異的キラル形態を提示する第2級アルコールの立体特異的生成のために本発明の方法をこのように用いることができる。
本発明の更に別の態様は、特異的オキソ基のみが対応する(複数の)第2級ヒドロキシ基に変換され、一方その他の還元可能な基(反応を受けにくいケト基、C=C二重結合、ニトロ基等)は未反応のままであるケトンの穏やかな化学選択的還元のために本発明の酵素を用いる使用/方法に関する。またこれを、ケトンの複合体混合物から反応性のもののみが反応に参加するが、望ましいオキソ化合物は反応混合物に残存するか、または得られたアルコールが次の逆工程(酸化)で望ましいケト化合物に変換されて戻る分離方法に用いることもできる。その反応ではプロキラルオキソ置換された炭素原子は、対応する非対称的に置換されたヒドロキシ担持炭素原子に変換されるので、これはまた異性体的に、とりわけエナンチオマー的に純粋なアルコール(とりわけ前記で定義したような純度を有する)を得るためにも適当である。
本発明の方法を遊離のまたは固定された本発明による生体触媒で実施することができ、該生体触媒を富化されたまたは好ましくは精製された形態で用いることができる。本発明の別の態様では、懸濁液に存在するかまたは固定されており、そして本発明の酵素を発現している組換え微生物(とりわけ宿主細胞)を用いて反応を実施し、すなわち酵素は細胞結合形態である。
例えば本発明の方法において使用するための本発明の酵素を固定することができる。上記酵素の固定をそれ自体公知の方法、例えば固体支持体への結合または酵素膜リアクター内の封入に類似して実施することができる。
本発明の方法を、遺伝子操作技術により本発明の酵素をコードする遺伝子で、本発明の望ましい酵素を、とりわけ元来の微生物に存在するよりも高量で生成できるように形質転換した(遊離のまたは固定された)微生物、例えばRhodococcus ruber、とりわけRhodococcus ruber DSM 14855の存在下で導くこともできる。
アルコールまたはケトン基質の本発明の酵素または微生物細胞抽出物との反応を、均質な水溶液中、好ましくはpH5から10.5、更に好ましくはpH6から9.5で実施する。pH値を安定させるために、反応をそれ自体公知の様式でバッファー溶液中またはpH自動調節器を用いて実施する。反応温度は、およそ10から65℃、好ましくは20から50℃、更に好ましくは20から30℃である。基質を1mMから2M、更に好ましくは50mMから500mMの濃度で用いるのが好ましい。しかしながら、基質が、難溶性である場合、基質懸濁液を用いることも可能である。
本発明による方法をバッチ方法として、または連続的に酵素膜リアクター(EMR)でのいずれかで実施することができる。後者の場合、酵素膜リアクターは、好ましくはおよそ30000Da未満の分離限界を有する限外濾過膜に取り付けられ、そして反応混合物に含まれる酵素が留まり、一方低分子量の生成物および未反応の反応物質が膜を通過し、そして生成物を流出物から単離することができる。リアクターは、好ましくは使用前に滅菌され、そして抗細菌性物質の添加を行うことができる。前記した様式と類似の様式で該反応を実施する。
適当なpH値に調整したアルコールまたはケトン基質を含有する溶液を、本発明の酵素を固定した固体キャリヤを通してパーコレートすることにより本発明による方法を実施することもできる(粗製微生物抽出物を例えばCNBr活性化セファロース、Eupergit等を通してパーコレートすることによりマトリックス結合酵素調製物を得ることができる)。
反応混合物をまとめて、そして本発明による生成物の精製を最先端の公知の通常的な方法により実施する。例えば、反応混合物を濾過、または好ましくは遠心により清澄化し、そして次に酵素を限外濾過(30kDa以下の分離限界を有する膜)により分離し、そして残りの生成物をダイアフィルトレーションにより保持液を洗い流すことができる。
本発明の酵素を用いる使用または方法のいずれかの変法により得られた望ましい生成物(第2級アルコールまたはケトン)の単離は、標準的な方法、例えば蒸留もしくは精留(分割蒸留)、蒸気蒸留、もしくは共沸蒸留を用いて、またはクロマトグラフィー法を用いて達成されるが、当業者が、便宜的にまたは必要に応じて別の方法を加えることができるいくつかの実例を列挙したにすぎない。
各々標準的な方法を用いて抽出物または生成物の塩を遊離の化合物に、遊離の化合物を塩に変換できる。
核酸はDNAまたはRNA(一般にオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド)であるのが好ましい。
アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する本発明による生体触媒をコードする単離された核酸、とりわけ組換え核酸は、好ましくは以下のように得られ、そして定義される。
本発明の生体触媒をコードする核酸、とりわけ遺伝子を、例えば本発明の単離された酵素の少なくとも一部の配列を同定すること、部分的タンパク質配列をコードするDNA配列を推定すること、(複数の)プローブとしてオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの混合物(遺伝子コードの縮重を考慮に入れる)を調製すること、生体触媒の活性を天然に発現する微生物の株に由来するDNAライブラリーをプロービングすること(DNAライブラリーなる用語はまた「cDNAライブラリー」をも含む)、遺伝子を単離すること、および遺伝的に修飾された微生物の形質転換のためにそれを適当なベクターにクローニングすることにより得ることができる。すべてのこれらの方法(とりわけ本発明の酵素をコードする核酸の同定、それを用いる形質転換およびそれの発現のために以下に記載したもの)は、例えばSambrookら、Molecular Cloning-A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Press(1989)にて、またはGassenら、「Gentechnische Methoden-Eine Sammlung von Arbeitsanleitungen fur das molekularbiologische Labor」、Spektrum Akademischer Verlag,Heidelberg(1999)にて、F.M.Asubel(Hg.)「Short Protocols in Molecular Biology」第3版、New York、Wiley(1997)にて、またはAsubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」1-3巻、Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience、New York(1987)にて記載されているような標準的な作業である。
本発明の酵素の部分的シークエンシングを、例えば選択的消化のための選択的エンドプロテアーゼ、例えばエンドプロテアーゼLys−C、エンドプロテアーゼGlu−C、キモトリプシン、テルモリシン、または好ましくはトリプシン(塩基性アミノ酸アルギニンまたはリジンのC末端を切断する)を用い、そして例えばゲルでの電気泳動またはクロマトグラフィー(例えばHPLC)により分離した後、例えばエクソペプチダーゼ、例えばカルボキシペプチダーゼA、B、またはPのごときカルボキシペプチダーゼにより得られたペプチドの末端配列を決定することにより行う。トリプシン消化、次いでMS/MS分析(TOF)が好ましい。
DNAライブラリーをPCR法により得ることもできる。
本発明の酵素を単離することができる微生物のゲノムDNAのcDNAライブラリー(例えば細胞のmRNAの抽出、逆転写酵素を用いるDNAへの形質転換、付着末端の導入、クローニングベクターへの導入、およびそのベクターの適当な宿主細胞、例えばプラスミドベクターの細菌への、例えばバクテリオファージλベクターまたはコスミドの大腸菌(E.coli)への、人工酵母の酵母、例えばSaccaromyces cerevisiaeへの、Pichia−pastorisベクターのPichia pastorisへの、等の導入の後に得ることができる)またはDNAライブラリー(例えば単離されたDNAの制限エンドヌクレアーゼ、とりわけII型、例えばAlu I、Bam HI、BgI I、Bst I、Eco RI、Eco RII、Fok I、Fnu DI、Hae II、Hae III、Hind II、Hind III、Hpa I、Msp I、Not I、Pst I、Sac I、Sal I、Sau 3A、Sma I、Taq I、Xho I、Xma Iでの選択的消化から得ることができ、必要な場合、陥凹末端を大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントで埋め、次いで例えばバクテリオファージT4 DNAリガーゼを用いて大腸菌(E.coli)で発現させるためにバクテリオファージλもしくはコスミドベクターに、または酵母で発現させるために酵母人工染色体ベクターにライゲートする)を、次いでポリヌクレオチドの対合に関してストリンジェントハイブリダイゼーションにより(ストリンジェントハイブリダイゼーションのための適当な条件に関しては、例えばSambrookら、前記で引用、第9章参照)標準的な手順にしたがって生成された遺伝子コードに基づいて(完全縮重、部分的縮重、または「ゲスマー(guessmers)」を用いて)公知のペプチドフラグメントから推定される(放射活性または蛍光標識)プローブを用いてスクリーニングし、次いでこのポリヌクレオチドを(例えば寒天ゲル等から)単離し、そしてシークエンシングすることができる。より長いヌクレオチドを例えばパルスフィールド電気泳動を用いて分離することができる。
可能な妨害性非コード化配列を除去する必要がある場合、望ましい配列部分のみを増幅するPCRにより、またはエンドヌクレアーゼ消化により、例えばDNAライブラリーからの微生物のコロニーのドットブロットを用いて、標準的な手順を用いてハイブリダイゼーションを行う。次いで陽性コロニーを単離することができる。
標準的な手順、例えばMaxam−GilbertまたはSanger法を用いてシークエンシングを行う。
必要な場合、重複する部分配列を組み合わせることにより、本発明の酵素をコードする完全な配列(または、1個以上のポリペプチドが完全な酵素を形成する場合、その1個のサブユニット)を決定することができる。
この配列から、酵素の対応するアミノ酸配列は(または、1個以上のポリペプチドが該酵素を形成する場合、その複数のサブユニットの複数のアミノ酸配列は)遺伝子コードを用いて容易に決定される。
別の研究法では、本発明による単離された生体触媒の完全なアミノ酸配列を(例えば異なるエンドペプチダーゼ消化および重複するシークエンシングされた部分ペプチドの対合により)決定することができ、そしてタンパク質をコードするDNAを合成により生成することができる。生体触媒を発現する形質転換されたクローンを得るために、温度抵抗性アルコールデヒドロゲナーゼ活性の発現のために、宿主、例えば大腸菌(E.coli)において適当なDNAライブラリーをスクリーニングすることも非常に容易に可能である。酵素をコードするmRNAを担持するリボソームを単離し、それを対応するDNAに(例えば逆転写酵素を用いて)形質転換し、そして得られた酵素をシークエンシングまたは遺伝子操作するために、更に別の方法は標準的な手順(標準的な手順にしたがって得られたミエローマから得られたモノクローナル抗体の生成までおよびこれを含む)を用いて得ることができる本発明の酵素に対する抗体を利用する。
本発明による核酸は、好ましくは単離された形態で、または組換え形態で(そして微生物にも(以下を参照))存在する。
本発明による核酸はまた、前記したようにシークエンシングされた形態と比較する場合、それがコードする1個または複数のポリペプチドが、とりわけ実施例に記載する1−フェニルエタノールまたはアセトフェノンを用いる試験方法により依然アルコールデヒドロゲナーゼ活性を示す限り、1個またはそれ以上の核酸が欠失、挿入、置換、または末端で付加されている修飾された(とりわけ組換えであるが、天然由来でもよい)核酸をも含む。
末端付加は、コード化配列を組み合わせることができるベクターまたは宿主核酸の配列の付加を含むことができる。
更に好ましくは、実施例で精製されたような酵素または可能な、異なるそのサブユニットの配列に比較した場合、とりわけ本発明による生体触媒に関して言及した1つまたはそれ以上の更なる有利な特性に関連して、基本的な活性(アルコールデヒドロゲナーゼ活性、とりわけ実施例で記載した基質(好ましくは1−フェニルエタノールまたはアセトフェノン)および補基質)が依然存在する限り、修飾された核酸は、例えばアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する生体触媒をコードするように修飾されており、組換え技術により(組換え核酸に至る)、または別に天然供給源から得られ、ここで生体触媒のアミノ酸配列はアミノ酸(好ましくは各々20個まで、末端付加の場合、1000個まで、更に好ましくは5個まで、末端付加の場合、200個までのアミノ酸)の欠失、挿入、末端付加または置換(とりわけ、例えば親油性に対して親油性、塩基性に対して塩基性、酸性に対して酸性、極性アミノ酸に対して極性等の保存置換)、もしくはこのような置換の組み合わせを含む。
最も好ましくは、修飾された核酸は1から50個の、更に好ましくは1から12個の更なるヌクレオチドを挿入により(とりわけ挿入によりフレームシフトを生じない)、1から50個の、更に好ましくは1から12個の核酸の置換、好ましくは保存アミノ酸置換を導き、そして/または1から50個の、更に好ましくは1から12個のヌクレオチドの欠失(とりわけフレームシフトを生じない)を含有する。
本発明はまた、とりわけ放射線標識または蛍光標識形態のプローブに関し、これはストリンジェント条件下で、配列番号1から配列番号6で示される6個の部分アミノ酸配列の配列またはその一部をコードするゲノムまたはcDNAまたはその他のコード化核酸にハイブリダイズし、上記プローブは、好ましくは、6から24個の、更に好ましくは12から21個のヌクレオチドの長さを有する。
アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するこのような生体触媒をコードする核酸で形質転換された微生物に関する本発明の態様は、好ましくは遺伝子を発現するのに適した微生物に関するが、また純粋な保存または複製目的で核酸を含むものにも関する。
適当な微生物はとりわけ、ウイルス、バクテリオファージ、またはとりわけ宿主細胞、例えば細菌、例えば大腸菌(E.coli)、単細胞菌類、例えば酵母、例えばPichia pastoris、Schizosaccharomyces pomb、もしくはSaccharomyces cerevisiae、または植物細胞である。
微生物、とりわけ宿主細胞を本発明の酵素をコードするような核酸で形質転換することができるが、しかしながら、通常これを、酵素の(例えば配列決定に有用な)部分配列または(例えば酵素の発現に有用な)全配列を含むことができる適当なベクター、例えばプラスミド、コスミド、酵母人工染色体等で形質転換する。
当分野で公知の、そして各々の宿主細胞に適した標準的な方法にしたがって、例えば塩化カルシウム法にしたがって、エレクトロポレーション、スフェロプラスト形成の後の真菌類への形質転換、ポリエチレングリコールでの形質転換、塩化リチウムでの形質転換等により宿主細胞の形質転換を行う。本発明の酵素のコード化配列を含む配列の導入によりウイルス等を修飾する。
とりわけ、本発明はアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する上記生体触媒の生成における微生物、とりわけ宿主細胞の使用に関する。
本発明の酵素の生成に適した発現系はとりわけ、宿主として細菌、例えば大腸菌(E.coli)のバクテリオファージλまたはコスミドにおけるファージ基盤の発現系、Saccharomyces cerevisiaeにおける発現のための酵母人工染色体、Pichia pastorisにおける発現に用いられるPichia pastoris発現系、Schizosaccharomyces pombの発現系、バキュロウイルス発現系等である。これらの系の各々で、本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列を、例えば得られたポリペプチドを発現細胞の外部へ直接輸出するのを可能にするようにか、または更なるNもしくはC末端配列を伴って発現させることができる。これらの余分な配列は、活性を妨害するか、またはそうでなければ望ましくない場合、次いで当分野で公知の適当なエンドプロテアーゼを用いて切断することができる。
本発明の好ましい態様を従属クレームで提示し、ここではその他の用語とは独立して、更により好ましい態様を定義するために、各々の場合でより一般的な用語を前記の定義で提供したより具体的な用語で置き換えることができる。
本発明は、特に本発明の酵素を用いる使用/方法に関し、そしてとりわけ実施例に記載する酵素に関する。
以下の実施例は、詳細な説明であるが、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
Rhodococcus ruber DSM 14855の培養
バッフル付きエルレンマイヤーフラスコ中好気性条件下、30℃および130rpmで、酵母抽出物、ペプトン、グルコース、および無機塩を含有する複合培地(10g/l 酵母抽出物(OXOID CM129、OXOID Ltd.、Hampshire、英国)、10g/l ペプトン、2g/l NaCl、0.15g/l MgSO4・7H2O、1.3g/l NaH2PO4、4.4g/l K2PO4)を用いて3日間、グラム陽性細菌、Rhodococcus ruber DSM 14855を成長させた。細胞成長を546nmでの吸光度による光学密度の決定により追跡した(表1参照)。遠心分離(2000g、20分)の後、ペレットをトリス−HClバッファー(pH7.5、50mM)に取り、液体窒素中ショック凍結し、そして凍結乾燥した。
Rhodococcus ruber DSM 14855の培養
バッフル付きエルレンマイヤーフラスコ中好気性条件下、30℃および130rpmで、酵母抽出物、ペプトン、グルコース、および無機塩を含有する複合培地(10g/l 酵母抽出物(OXOID CM129、OXOID Ltd.、Hampshire、英国)、10g/l ペプトン、2g/l NaCl、0.15g/l MgSO4・7H2O、1.3g/l NaH2PO4、4.4g/l K2PO4)を用いて3日間、グラム陽性細菌、Rhodococcus ruber DSM 14855を成長させた。細胞成長を546nmでの吸光度による光学密度の決定により追跡した(表1参照)。遠心分離(2000g、20分)の後、ペレットをトリス−HClバッファー(pH7.5、50mM)に取り、液体窒素中ショック凍結し、そして凍結乾燥した。
細胞は、何ら誘導することなく、いくつかのNAD+/NADH依存性第2級アルコールデヒドロゲナーゼを生成した。成長曲線の後期指数関数相および初期静止相の間に最高の第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性を示した(表1参照)。細胞が1−フェニルエタノールを酸化するか、またはアセトフェノンを還元する能力として活性を測定した。
この試験のために、Rhodococcus ruber DSM 14855(20mg)の全凍結乾燥細胞をリン酸バッファー(0.5ml、50mM、pH7.5)中30分間再水和した。アセトフェノン(0.27ミリモル)および2−プロパノール(0.4ml)を添加することにより活性を測定した。混合物をエッペンドルフバイアル中24℃、130rpmで2.5時間振盪した。酢酸エチルの添加(1ml)および遠心分離により反応をクエンチした。GC(Varian 3800、FID)によりアキラルカラム(HP−1301、30m×0.25mm×0.25μm;N2)で変換を決定した。ラセミ体・1−フェニルエタノール/アセトフェノンに関する温度プログラム:出発温度80℃−2分間維持−10℃/分−130℃まで−2分間維持。検量線から変換を算出する。逆の試験のために、補基質としてアセトンの存在下1−フェニルエタノールを酸化した。
実施例2
Rhodococcus ruber DSM 14855からの第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」の精製
a)細胞破砕
第2級アルコールデヒドロゲナーゼが膜随伴性または、更には膜結合性タンパク質であることに留意して、Vibrogen細胞ミル(ガラスビーズ、直径0.25mm、Vibrogen Zellmuhle、E.Buhler、VI−4型;Braun Biotech Int.、Melsungen、ドイツ)を用いる細胞破砕を用いて、そして細胞細片分画ではなく、細胞不含ライゼートの最大活性を得るために最適化した。これは各々2分間攪拌/5分間冷却の振盪サイクルを7回という、例外的に長くそして粗雑な手順になる。酵素はこの激しい機械的処理に対して高度な安定性を示した。細胞破砕に用いたバッファーは10mM トリス−HClバッファー(pH7.5)である。
Rhodococcus ruber DSM 14855からの第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」の精製
a)細胞破砕
第2級アルコールデヒドロゲナーゼが膜随伴性または、更には膜結合性タンパク質であることに留意して、Vibrogen細胞ミル(ガラスビーズ、直径0.25mm、Vibrogen Zellmuhle、E.Buhler、VI−4型;Braun Biotech Int.、Melsungen、ドイツ)を用いる細胞破砕を用いて、そして細胞細片分画ではなく、細胞不含ライゼートの最大活性を得るために最適化した。これは各々2分間攪拌/5分間冷却の振盪サイクルを7回という、例外的に長くそして粗雑な手順になる。酵素はこの激しい機械的処理に対して高度な安定性を示した。細胞破砕に用いたバッファーは10mM トリス−HClバッファー(pH7.5)である。
b)DEAEセルロースでの前処理
過酷な細胞破壊のために、いくつかの望ましくない材料、例えばカロテノイド、脂質および界面活性成分が第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性を越えて細胞から放出された。これらの成分は大きな濾過の問題に至り、そしてバッチ手順においてDEAE(ジエチルアミノエタン)セルロース(Sigma)での処理により除去した。すべての第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性は、10mM トリス−HCl(pH7.5)中でマトリックスに結合しており、そして0.5M NaClをバッファーに添加することにより溶出することができた。
過酷な細胞破壊のために、いくつかの望ましくない材料、例えばカロテノイド、脂質および界面活性成分が第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性を越えて細胞から放出された。これらの成分は大きな濾過の問題に至り、そしてバッチ手順においてDEAE(ジエチルアミノエタン)セルロース(Sigma)での処理により除去した。すべての第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性は、10mM トリス−HCl(pH7.5)中でマトリックスに結合しており、そして0.5M NaClをバッファーに添加することにより溶出することができた。
c)精製工程
FPLC(高速タンパク質液体クロマトグラフィー)法による第2級アルコールデヒドロゲナーゼの精製はDEAEセルロースで前処理した後、細胞不含ライゼートで始めた。
FPLC(高速タンパク質液体クロマトグラフィー)法による第2級アルコールデヒドロゲナーゼの精製はDEAEセルロースで前処理した後、細胞不含ライゼートで始めた。
(i)疎水性相互作用クロマトグラフィー
最初のタンパク質精製工程は、フェニル・セファロース高性能材料(Amersham Pharmacia Biotech AB、Uppsala、スウェーデン)を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィーである。サンプル分離の間に(NH4)2SO4の添加により沈殿を生じ、そして固体は何ら第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性を含まないので、除去した。塩析溶媒として(NH4)2SO4を平衡バッファーおよび段階的グラジエントに添加して、タンパク質の異なる疎水性により酵素の最初の分離が可能になる。2つのNAD+/NADH依存性第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性が見出されるが、ただ1つの分画(恣意的に第2級「ADH−A」(第2級アルコールデヒドロゲナーゼ+「アセトン」を意味する)と称する)は補基質アセトン/2−プロパノールに対して安定性を示した。B1と称する第2の活性は安定性が非常に劣り、そのため更に調査しなかった。
最初のタンパク質精製工程は、フェニル・セファロース高性能材料(Amersham Pharmacia Biotech AB、Uppsala、スウェーデン)を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィーである。サンプル分離の間に(NH4)2SO4の添加により沈殿を生じ、そして固体は何ら第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性を含まないので、除去した。塩析溶媒として(NH4)2SO4を平衡バッファーおよび段階的グラジエントに添加して、タンパク質の異なる疎水性により酵素の最初の分離が可能になる。2つのNAD+/NADH依存性第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性が見出されるが、ただ1つの分画(恣意的に第2級「ADH−A」(第2級アルコールデヒドロゲナーゼ+「アセトン」を意味する)と称する)は補基質アセトン/2−プロパノールに対して安定性を示した。B1と称する第2の活性は安定性が非常に劣り、そのため更に調査しなかった。
工程(i)の詳細:カラム長75mm。直径16mm。溶出液:A:B+1M(NH4)2SO4;B=10mM トリス−HClバッファー(pH7.5)。
適用容量:46mlを3回加える(3回別個の作動)。
溶出:最初A 70ml、次いで50% A+50% B 47.5ml、次いで25% A+75% B 47.5ml、次いで25% A+75% Bから100% Bまで47.5mlの間直線グラジエントそして更にこの溶出液で溶出。流速4ml/分。
B1の活性は、70と118mlの間で見出された。第2級「ADH−A」の活性は、溶出容量220mlと236mlの間で見出された。後者(3回の作動の後、3×16ml、全部で48ml)を更なる精製に使用した。
溶出:最初A 70ml、次いで50% A+50% B 47.5ml、次いで25% A+75% B 47.5ml、次いで25% A+75% Bから100% Bまで47.5mlの間直線グラジエントそして更にこの溶出液で溶出。流速4ml/分。
B1の活性は、70と118mlの間で見出された。第2級「ADH−A」の活性は、溶出容量220mlと236mlの間で見出された。後者(3回の作動の後、3×16ml、全部で48ml)を更なる精製に使用した。
(iii)イオン交換クロマトグラフィー
イオン交換クロマトグラフィーによりアニオン交換カラムUNO Q6(BioRad)を用いて、第2級「ADH−A」を含有する完全分画(46ml)を更に精製した。溶出バッファー中の対イオンとして塩化物を用いて最適化された段階的グラジエントを作動させることにより、第2級アルコールデヒドロゲナーゼを再度2つのNAD+/NADH依存性分画に分離し、そこで再度、1つを第2級ADH Aとして同定した。第2の第2級ADH B2は有意に安定性を欠き、そして更に試験は行わなかった。
イオン交換クロマトグラフィーによりアニオン交換カラムUNO Q6(BioRad)を用いて、第2級「ADH−A」を含有する完全分画(46ml)を更に精製した。溶出バッファー中の対イオンとして塩化物を用いて最適化された段階的グラジエントを作動させることにより、第2級アルコールデヒドロゲナーゼを再度2つのNAD+/NADH依存性分画に分離し、そこで再度、1つを第2級ADH Aとして同定した。第2の第2級ADH B2は有意に安定性を欠き、そして更に試験は行わなかった。
工程(ii)の詳細:カラム長53mm。直径12mm。
溶出バッファー:A 10mM トリス−HClバッファー(pH7.5);B:A+1.5M NaCl(100% NaCl)。
グラジエント:最初にA 62mlで、次いで82.75% A+17.5% B 67mlで、次いで50% A+50% B 28mlで、最後に純粋なBで溶出した。流速4ml/分。
溶出バッファー:A 10mM トリス−HClバッファー(pH7.5);B:A+1.5M NaCl(100% NaCl)。
グラジエント:最初にA 62mlで、次いで82.75% A+17.5% B 67mlで、次いで50% A+50% B 28mlで、最後に純粋なBで溶出した。流速4ml/分。
B3の活性は、68および82mlの間で見出された。第2級「ADH−A」の活性は131および137mlの間の溶出容量で見出された。後者(6ml)を更なる精製に使用した。
(iii)アフィニティクロマトグラフィー
工程(iii)から得られた6mlのタンパク質精製において第3の工程を革新的な材料である、アデニリル含有コファクター(例えばNAD+/NADP)を必要とする、酵素に特異的な色素Cibacron Blue F3G−Aを含有するBlue Sepharose CI−6B[Shawら、Biochem.J.187:181(1996)参照](Amersham Pharmacia Biotech、Uppsala,スェーデン)で実施した。
工程(iii)から得られた6mlのタンパク質精製において第3の工程を革新的な材料である、アデニリル含有コファクター(例えばNAD+/NADP)を必要とする、酵素に特異的な色素Cibacron Blue F3G−Aを含有するBlue Sepharose CI−6B[Shawら、Biochem.J.187:181(1996)参照](Amersham Pharmacia Biotech、Uppsala,スェーデン)で実施した。
理論とは対照的に、第2級「ADH−A」は、マトリックスには結合しないが、用いた条件にかかわらず、空隙容量の直後に溶出された。塩濃度は直線状に増加するが、別の第2級ADHが見出され、そして再度NAD+/NADH依存性第2級アルコールデヒドロゲナーゼB3として同定され、これは有意に安定性を欠き、そして更に試験は行わなかった。
工程(iii)の詳細:カラム長60mm。直径16mm。
溶出液:バッファーA 10mM Bis−トリス−HClバッファー(pH6.0);バッファーB:A+1M NaCl。
グラジエント:最初にバッファーA 31mlで、次いで100% バッファーAから100% バッファーBの直線グラジエント。
流速4ml/分。
溶出液:バッファーA 10mM Bis−トリス−HClバッファー(pH6.0);バッファーB:A+1M NaCl。
グラジエント:最初にバッファーA 31mlで、次いで100% バッファーAから100% バッファーBの直線グラジエント。
流速4ml/分。
アルコールデヒドロゲナーゼB3の活性は、44および68mlの間で見出された。第2級「ADH−A」の活性は7および23mlの間の溶出容量で見出された。後者をMillipore(Millipore GmbH、Vienna、AT)/Amiconから最終容量2mlまでCentriplus YM−10、カットオフ10kDa(10kDaの排除サイズの再生セルロース)で濃縮した。
(iv)2.3.4.サイズ排除
このSuperdex 200カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB、Uppsala,スェーデン)を用いるサイズ排除により最終的な精製に至り、検出された第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性は第2級ADH Aのみであった。工程(ii)で得られた2mlの各々0.2mlを用いる10回作動を用いた。
このSuperdex 200カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB、Uppsala,スェーデン)を用いるサイズ排除により最終的な精製に至り、検出された第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性は第2級ADH Aのみであった。工程(ii)で得られた2mlの各々0.2mlを用いる10回作動を用いた。
いくつかの標準タンパク質、主に酵母アルコールデヒドロゲナーゼ(150kDa)、ウシ血清アルブミン(67kDa)、オボアルブミン(43kDa)、キモトリプシノーゲン(25kDa)、およびブルーデキストラン(2kDa)でカラムを較正したので、元来の酵素の分子量をおよそ62kDaと決定した。
工程(iv)の詳細:カラム長310mm。直径10mm。
溶出液:50mM NaH2PO4、0.15M NaCl、pH7.0。
流速4ml/分。
第2級「ADH−A」の活性を含有するフラクション1mlの10回が得られた(約13mlの溶出の後)。ADH−A活性のピーク濃度に基づいて分子量を決定した。
溶出液:50mM NaH2PO4、0.15M NaCl、pH7.0。
流速4ml/分。
第2級「ADH−A」の活性を含有するフラクション1mlの10回が得られた(約13mlの溶出の後)。ADH−A活性のピーク濃度に基づいて分子量を決定した。
精製プロトコルの要旨:
このプロトコルにしたがって。第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」を再生可能な方法で精製した。全体で回収が少量であるのは、サイズ排除カラムに適用する前の脱塩手順および透析によるバッファー交換の間、並びに小容量への濃縮の間の大部分の活性の喪失により説明される。この理由のために、生化学的同定のほとんどは、色素クロマトグラフィーの後、半純粋な酵素で実施され、そこにはその他の第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性は残らない。
このプロトコルにしたがって。第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」を再生可能な方法で精製した。全体で回収が少量であるのは、サイズ排除カラムに適用する前の脱塩手順および透析によるバッファー交換の間、並びに小容量への濃縮の間の大部分の活性の喪失により説明される。この理由のために、生化学的同定のほとんどは、色素クロマトグラフィーの後、半純粋な酵素で実施され、そこにはその他の第2級アルコールデヒドロゲナーゼ活性は残らない。
加えて、「低」収量は、最初に細胞抽出物で、後の手順の間に除去される別のアルコールデヒドロゲナーゼ(例えばB1、B2、およびB3)がデヒドロゲナーゼ活性に寄与するという事実に起因した。
以下の表では、1U=1μモル/分。
活性は、1−フェニルエタノール(6.6μM)の酸化および10mMのNAD+の添加により決定した(試験条件:30℃、10μM トリスバッファー(pH7.5)、10分間、GC−分析により変換)。Bradford(クーマシー・ブルータンパク質アッセイ)の方法によりBioRadタンパク質アッセイを用いて595nmでタンパク質量を測定した。
実施例3
ゲル電気泳動による精製調節および分子量決定
タンパク質精製の進行は、未変性のおよびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により調節される。双方の方法で、タンパク質分画をMINI−PROTEAN II二重スラブセル(BioRad)を用いるLaemmli SDS−PAGE系に供した。
ゲル電気泳動による精製調節および分子量決定
タンパク質精製の進行は、未変性のおよびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により調節される。双方の方法で、タンパク質分画をMINI−PROTEAN II二重スラブセル(BioRad)を用いるLaemmli SDS−PAGE系に供した。
a)未変性ゲル電気泳動
活性分画を非変性サンプルバッファーで処理し、そしてSDS不含のポリアクリルアミドゲル(12%)に負荷した。トリス15g/lおよびグリシン72g/lを含有するランニングバッファーを用いて4℃で150Vゲルを作動させた。ポリアクリルアミドゲルの第2級アルコールデヒドロゲナーゼを可視化する方法は、最初にGrellら[Science 149:80(1965)参照]により報告され、そして水性4mM 2−オクタノール(または基質として許容されるいずれかの脂肪族、長鎖第2級アルコール)並びに3g/l NAD+、0.1g/l フェナジジンメソスルフェート(N−メチルジベンゾピラジン・エチル硫酸塩)および1g/l ニトロブルーテトラゾリウム含有100mM トリス−HClバッファー(pH8.5)を混合した染色溶液[Dodgsonら、Biochem.J.187:703(1996)参照]に基づいた。還元ホルムアザンの紫色スポットは通常30分以内のインキュベーションで可視化され、そして第2級アルコールデヒドロゲナーゼの存在を示す。結果は図1参照。少なくとも7つの異なる第2級アルコールデヒドロゲナーゼが微生物に存在し、その第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」を精製プロトコルの間に適切に分離できる。
活性分画を非変性サンプルバッファーで処理し、そしてSDS不含のポリアクリルアミドゲル(12%)に負荷した。トリス15g/lおよびグリシン72g/lを含有するランニングバッファーを用いて4℃で150Vゲルを作動させた。ポリアクリルアミドゲルの第2級アルコールデヒドロゲナーゼを可視化する方法は、最初にGrellら[Science 149:80(1965)参照]により報告され、そして水性4mM 2−オクタノール(または基質として許容されるいずれかの脂肪族、長鎖第2級アルコール)並びに3g/l NAD+、0.1g/l フェナジジンメソスルフェート(N−メチルジベンゾピラジン・エチル硫酸塩)および1g/l ニトロブルーテトラゾリウム含有100mM トリス−HClバッファー(pH8.5)を混合した染色溶液[Dodgsonら、Biochem.J.187:703(1996)参照]に基づいた。還元ホルムアザンの紫色スポットは通常30分以内のインキュベーションで可視化され、そして第2級アルコールデヒドロゲナーゼの存在を示す。結果は図1参照。少なくとも7つの異なる第2級アルコールデヒドロゲナーゼが微生物に存在し、その第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」を精製プロトコルの間に適切に分離できる。
b)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
この場合、未変性電気泳動に用いたのと同一のタンパク質サンプルをサンプルバッファー(SDS還元バッファー、BioRad)で変性し、そしてSDS−ポリアクリルアミドゲル(12%)に加え、続いて同一のランニングバッファーに3g/l SDSを添加して、室温で200Vで作動させた。作動させた後、クーマシー・ブリリアント・ブルーで染色した。アルブミン(66kDa)、オボアルブミン(45kDa)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(36kDa)、炭酸脱水酵素(29kDa)、トリプシノーゲン(24kDa)、トリプシンインヒビター(20kDa)、α−ラクトアルブミン(14.2kDa)およびアプロチニン(6.5kDa)を含有するタンパク質標準として低分子量範囲SigmaMarkerと比較して分子量を決定した。サイズ排除の後に得られた単一のバンドは38kDaに相当した。
この場合、未変性電気泳動に用いたのと同一のタンパク質サンプルをサンプルバッファー(SDS還元バッファー、BioRad)で変性し、そしてSDS−ポリアクリルアミドゲル(12%)に加え、続いて同一のランニングバッファーに3g/l SDSを添加して、室温で200Vで作動させた。作動させた後、クーマシー・ブリリアント・ブルーで染色した。アルブミン(66kDa)、オボアルブミン(45kDa)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(36kDa)、炭酸脱水酵素(29kDa)、トリプシノーゲン(24kDa)、トリプシンインヒビター(20kDa)、α−ラクトアルブミン(14.2kDa)およびアプロチニン(6.5kDa)を含有するタンパク質標準として低分子量範囲SigmaMarkerと比較して分子量を決定した。サイズ排除の後に得られた単一のバンドは38kDaに相当した。
実施例4
Rhodococcus ruber DSM 14855の第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」の特徴付け
a)分子量の決定
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を作動させることにより、そして平行して、標準タンパク質で較正したサイズ排除カラムにより分子量を決定した。Superdex 200での精製されたタンパク質の溶出により約62kDaの元来の酵素の分子量が示された。対照的に、SDS−PAGE手順により38kDaで単一のバンドが得られた。この矛盾は、(i)概して長く細いタンパク質は球状タンパク質よりも早く溶出される、または(ii)二量体が存在し得る、のいずれかでのごとき、タンパク質の構造により説明できる。基準に関してタンパク質の非対称的なピーク形態のために、最大ピークの決定は分子量算出の精度を限定する。
Rhodococcus ruber DSM 14855の第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」の特徴付け
a)分子量の決定
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を作動させることにより、そして平行して、標準タンパク質で較正したサイズ排除カラムにより分子量を決定した。Superdex 200での精製されたタンパク質の溶出により約62kDaの元来の酵素の分子量が示された。対照的に、SDS−PAGE手順により38kDaで単一のバンドが得られた。この矛盾は、(i)概して長く細いタンパク質は球状タンパク質よりも早く溶出される、または(ii)二量体が存在し得る、のいずれかでのごとき、タンパク質の構造により説明できる。基準に関してタンパク質の非対称的なピーク形態のために、最大ピークの決定は分子量算出の精度を限定する。
b)最適pH
25mM トリス−マレイン酸塩(pH6.0〜9.0)および50mM NaHPO4(pH10.0〜11.0)で測定を実施し、そして各々10mM NAD+またはNADHの添加による1−フェニルエタノールまたはアセトフェノン(6.6mM)の変換により活性を決定した。反応時間は、50℃で10分間であった。本酵素は、広範なpH値にわたって活性を示した(表4参照)。最適pHは、2つの可能な反応に関して異なっている。ケトンのエナンチオ選択的(ee>99%)還元は、pH6.5〜7.5を選好するが、第2級アルコールの酸化はより塩基性の条件下で増強され、そして非常に広範なpH範囲にわたって非常に有効である。酸化の選択性は、pHが上昇した場合には変化しない、すなわちpH9.0でee=>98%であった。日常的には、バッファー交換手順を最小にするために、酸化および還元の双方に関して、すべての反応がpH7.5で行われる。
25mM トリス−マレイン酸塩(pH6.0〜9.0)および50mM NaHPO4(pH10.0〜11.0)で測定を実施し、そして各々10mM NAD+またはNADHの添加による1−フェニルエタノールまたはアセトフェノン(6.6mM)の変換により活性を決定した。反応時間は、50℃で10分間であった。本酵素は、広範なpH値にわたって活性を示した(表4参照)。最適pHは、2つの可能な反応に関して異なっている。ケトンのエナンチオ選択的(ee>99%)還元は、pH6.5〜7.5を選好するが、第2級アルコールの酸化はより塩基性の条件下で増強され、そして非常に広範なpH範囲にわたって非常に有効である。酸化の選択性は、pHが上昇した場合には変化しない、すなわちpH9.0でee=>98%であった。日常的には、バッファー交換手順を最小にするために、酸化および還元の双方に関して、すべての反応がpH7.5で行われる。
c)最適温度
第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」に及ぼす温度の影響を10mM トリス−HCl(pH7.5)で測定し、各々10mM NAD+/NADHの存在下、1−フェニルエタノール、またはアセトフェノン(6.6mM)を基質として使用した。サーモスタットシェーカーを設定した温度で使用して基質および酵素を5分間インキュベートした。次いでこの温度でNAD+/NADHを添加することにより反応を開始し、そして反応を10分間行った。驚くべきことに、第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」は45から65℃の範囲内で最大活性を示し、これは例外的に高い値であった(表5参照)。70℃で急に不活性化が起こった。
第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」に及ぼす温度の影響を10mM トリス−HCl(pH7.5)で測定し、各々10mM NAD+/NADHの存在下、1−フェニルエタノール、またはアセトフェノン(6.6mM)を基質として使用した。サーモスタットシェーカーを設定した温度で使用して基質および酵素を5分間インキュベートした。次いでこの温度でNAD+/NADHを添加することにより反応を開始し、そして反応を10分間行った。驚くべきことに、第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」は45から65℃の範囲内で最大活性を示し、これは例外的に高い値であった(表5参照)。70℃で急に不活性化が起こった。
d)温度安定性
異なる温度での酵素安定性を決定するために、10mM トリス−HClバッファー(pH7.5)で、そして25から50℃の温度範囲内で以前に記載したように酸化および還元を実施した。50℃で酵素溶液をインキュベートした後、対応するコファクターの添加により反応を開始し、そして10分間作動させた。再度(表6参照)、好熱性として知られていないRhodococcus ruber DSM 14855のタンパク質の第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」は、例外的な熱安定性を示した。24時間後の活性の喪失は、酸化および還元の双方の系でむしろ小さく、これは該タンパク質の非常な安定性を示している。この特性のために、広範な工業適用を見込むことができる。
異なる温度での酵素安定性を決定するために、10mM トリス−HClバッファー(pH7.5)で、そして25から50℃の温度範囲内で以前に記載したように酸化および還元を実施した。50℃で酵素溶液をインキュベートした後、対応するコファクターの添加により反応を開始し、そして10分間作動させた。再度(表6参照)、好熱性として知られていないRhodococcus ruber DSM 14855のタンパク質の第2級アルコールデヒドロゲナーゼ「ADH−A」は、例外的な熱安定性を示した。24時間後の活性の喪失は、酸化および還元の双方の系でむしろ小さく、これは該タンパク質の非常な安定性を示している。この特性のために、広範な工業適用を見込むことができる。
d)亜鉛の存在
ICP−MS分析により、精製された酵素調製物におけるZn2+の存在が示された(方法に関してはHemmers,B.ら、J.Biol.Chem.275:35786-35791(2000)参照)。これが触媒活性に必要か、そして酵素の真の成分を形成するかどうかはここでは決定しなかった。複合体形成物質、例えばEDTAの存在下およびその不在下の双方で酵素は活性であったので、亜鉛は非常に堅固に結合しているか、または酵素の一部、すなわちその活性部位を形成していない、のいずれかである。
ICP−MS分析により、精製された酵素調製物におけるZn2+の存在が示された(方法に関してはHemmers,B.ら、J.Biol.Chem.275:35786-35791(2000)参照)。これが触媒活性に必要か、そして酵素の真の成分を形成するかどうかはここでは決定しなかった。複合体形成物質、例えばEDTAの存在下およびその不在下の双方で酵素は活性であったので、亜鉛は非常に堅固に結合しているか、または酵素の一部、すなわちその活性部位を形成していない、のいずれかである。
実施例5
結合酵素還元/酸化系
「結合酵素法」[例えばHummel、Trends Biotecnol.17:487(1999)またはChenaultら、Appl.Biochem.Biotechnol.14:147(1987)参照]を用いる研究室規模でのニコチンアミドコファクターの再生における目覚しい進歩に関わらず、精製されたレドックス酵素はその限られた稼動寿命のために工業適用に理想的に適しているわけではない。対照的に、いわゆる「結合基質研究法」は(補)基質濃度の上昇に対するたいていのADHの限られた耐性のために制限されている[Faber、Biotransformations in Organic Chemistry、第4版、Springer、Heidelberg(2000)、177〜183頁]。対照的に、ADH−Aは、この単純なプロトコルに理想的に適しており、これは工業適用の要件に十分に相応している。精製された酵素は、酸化および還元の各々におけるコファクター再生利用のために10(容量/容量)%濃度まででアセトンまたは2−プロパノールに対して例外的に安定である。加えて、優れた貯蔵安定性(+4℃で14日後、もしくは−80℃で数ヵ月後、または凍結乾燥形態で活性の喪失なし)のためにこの酵素が大規模な適用に関して第1候補になる。とりわけ、より親油性の基質は水性/有機系において(純粋な水性系と比較して)安定性が増強されるので、迅速に変換される。
結合酵素還元/酸化系
「結合酵素法」[例えばHummel、Trends Biotecnol.17:487(1999)またはChenaultら、Appl.Biochem.Biotechnol.14:147(1987)参照]を用いる研究室規模でのニコチンアミドコファクターの再生における目覚しい進歩に関わらず、精製されたレドックス酵素はその限られた稼動寿命のために工業適用に理想的に適しているわけではない。対照的に、いわゆる「結合基質研究法」は(補)基質濃度の上昇に対するたいていのADHの限られた耐性のために制限されている[Faber、Biotransformations in Organic Chemistry、第4版、Springer、Heidelberg(2000)、177〜183頁]。対照的に、ADH−Aは、この単純なプロトコルに理想的に適しており、これは工業適用の要件に十分に相応している。精製された酵素は、酸化および還元の各々におけるコファクター再生利用のために10(容量/容量)%濃度まででアセトンまたは2−プロパノールに対して例外的に安定である。加えて、優れた貯蔵安定性(+4℃で14日後、もしくは−80℃で数ヵ月後、または凍結乾燥形態で活性の喪失なし)のためにこの酵素が大規模な適用に関して第1候補になる。とりわけ、より親油性の基質は水性/有機系において(純粋な水性系と比較して)安定性が増強されるので、迅速に変換される。
以下の表は、様々なケトン基質の還元(表7)および様々な第2級アルコールの酸化(表8)を示す。
還元の立体選好性はPrelogルールに従う。酸化の場合、各々のケトンの還元の間に形成されたそのエナンチオマーは酸化される。
同様に、以下の反応を行うことができた。
2−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、1−シクロヘキシルエタノン、1−(ナフタ−2−イル)エタノン、オクト−3−エン−2−オン(ee97%以上のSエナンチオマーになる):の還元。
2−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、1−シクロヘキシルエタノン、1−(ナフタ−2−イル)エタノン、オクト−3−エン−2−オン(ee97%以上のSエナンチオマーになる):の還元。
ラセミ体・(CH3)2C=CH−(CH2)2−CHOH−CH3、ラセミ体・ノーマル−C6H13−CHOH−CH3、ラセミ体・4−フェニル−2−ブタノール、ラセミ体・(E)3−オクテン−2−オン、シクロペンタノール、ラセミ体・(1−(2−ナフチル)エタノール、ラセミ体・1−フェニル−1−エタノール:の酸化。
更に、2,5−ヘキサンジオンの還元は対応するジオールを生じ、そして2R,5R−ヘキサンジオールおよび2S,5S−ヘキサンジオールを含む組成物の酸化は対応するジケトンを生じる。
実施例6
「ADH−A」のタンパク質配列の一部の決定
MS/MSを用いるデノボ・シークエンシングプロトコルを用いて、実施例2により得られた精製された「ADH−A」酵素のトリプシン消化(Lehmann,W.D.Massenspektroskopie in der Biochemie(=生化学における質量分析)、Spektrum Akad.Verlag、(1996)、274〜293頁(ISBN 3−86025−094−9))の後、以下の結果が得られた。
「ADH−A」のタンパク質配列の一部の決定
MS/MSを用いるデノボ・シークエンシングプロトコルを用いて、実施例2により得られた精製された「ADH−A」酵素のトリプシン消化(Lehmann,W.D.Massenspektroskopie in der Biochemie(=生化学における質量分析)、Spektrum Akad.Verlag、(1996)、274〜293頁(ISBN 3−86025−094−9))の後、以下の結果が得られた。
4個のトリプシンペプチドが完全にシークエンシングされ(配列番号1〜4)、その1個はまた、恐らく修飾されたN末端を有する幾分長いペプチド(配列番号5)の一部として見出され、そしてN末端配列が不明確なトリプシンペプチドが見出され(配列番号6)、ここで[L/I]は、ロイシンまたはイソロイシンであり、そしてXは同定されていないアミノ酸である。
実施例7
酵素「ADH−A」に対応するヌクレオチド配列の入手
前記の実施例6で示したペプチド配列の1つ、または2つまたはそれ以上、とりわけ配列番号1を取り、対応するmRNAのヌクレオチド配列に対応する(センス配列)かまたは相補的(アンチセンス)である、対応する(完全縮重、そのとき好ましくは与えられたアミノ酸の3から6に対応するヌクレオチドのみを使用する。部分的縮重、そのときその位置で非特異的ヌクレオチドを有する、より長いヌクレオチドもまた合成することができる。または1個の特異的配列のみを有する「ゲスマー」)ヌクレオチド配列を、標準的な遺伝子コードに基づいて合成する(例えばNarang、Tetrahedron 39:3(1986)またはItakuraら、Annu.Rev.Biochem.53:323(1984)にしたがって、または標準的なオリゴヌクレオチド合成を用いて)。有用なオリゴヌクレオチドの決定、その精製および使用並びに放射線標識プローブの調製のために、Sambrookら、Molecular Cloning-A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、11.1〜11.44頁に記載される方法を用いた。標識した1つのまたは複数のオリゴヌクレオチドを次いで(Sambrookら、前出8.1−8.86頁にしたがって得られた)cDNAライブラリーにハイブリダイズ(条件に関してはSambrookら、前出11.45〜11.61頁参照)させた。陽性シグナルを伴うコロニーを同定した後、これを成長させ、そしてハイブリダイズ可能なcDNAを含有するベクターを単離した。次いで標準的な方法にしたがってDNAをシークエンシングした(例えばSambrookら、前出13.1−13.103頁にて示される方法を参照)。
酵素「ADH−A」に対応するヌクレオチド配列の入手
前記の実施例6で示したペプチド配列の1つ、または2つまたはそれ以上、とりわけ配列番号1を取り、対応するmRNAのヌクレオチド配列に対応する(センス配列)かまたは相補的(アンチセンス)である、対応する(完全縮重、そのとき好ましくは与えられたアミノ酸の3から6に対応するヌクレオチドのみを使用する。部分的縮重、そのときその位置で非特異的ヌクレオチドを有する、より長いヌクレオチドもまた合成することができる。または1個の特異的配列のみを有する「ゲスマー」)ヌクレオチド配列を、標準的な遺伝子コードに基づいて合成する(例えばNarang、Tetrahedron 39:3(1986)またはItakuraら、Annu.Rev.Biochem.53:323(1984)にしたがって、または標準的なオリゴヌクレオチド合成を用いて)。有用なオリゴヌクレオチドの決定、その精製および使用並びに放射線標識プローブの調製のために、Sambrookら、Molecular Cloning-A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、11.1〜11.44頁に記載される方法を用いた。標識した1つのまたは複数のオリゴヌクレオチドを次いで(Sambrookら、前出8.1−8.86頁にしたがって得られた)cDNAライブラリーにハイブリダイズ(条件に関してはSambrookら、前出11.45〜11.61頁参照)させた。陽性シグナルを伴うコロニーを同定した後、これを成長させ、そしてハイブリダイズ可能なcDNAを含有するベクターを単離した。次いで標準的な方法にしたがってDNAをシークエンシングした(例えばSambrookら、前出13.1−13.103頁にて示される方法を参照)。
1つの実例では、ポリメラーゼ連鎖反応を用いてcDNAを調製する(Lee,C.C.ら、Science 239(4845):1288−1291(1988)参照)。
出発および終止コドンの間の配列は、酵素「ADH−A」または類似の活性を示す相同体の一部もしくは全体の(複数の)ペプチドバックボーンをコードする(複数の)配列を含む。
微生物の寄託および特徴
以下の微生物をブダペスト条約にしたがって、2002年3月4日にDSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 BraunschweigにDSM 14855の番号の下で寄託した。
Rhodococcus ruber DSM 44541(現在では、Rhodococcus ruber DSM 14855)
以下の微生物をブダペスト条約にしたがって、2002年3月4日にDSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 BraunschweigにDSM 14855の番号の下で寄託した。
Rhodococcus ruber DSM 44541(現在では、Rhodococcus ruber DSM 14855)
株は、以下の特徴を有している。
色RAL:3012−3022(サーモンピンク)
形態:単純な分枝の桿体/成長サイクルを生じる。
生化学的特性:脂肪酸:5〜30% 16:0;5〜15% 16:1;5〜15% 18:0;15〜30% 18:1;15〜30% 18−Me。ミコール酸C42〜50。
エポキシド・ヒドララーゼ、ニトリラーゼ、およびエステル・ヒドロラーゼ活性を有している。
色RAL:3012−3022(サーモンピンク)
形態:単純な分枝の桿体/成長サイクルを生じる。
生化学的特性:脂肪酸:5〜30% 16:0;5〜15% 16:1;5〜15% 18:0;15〜30% 18:1;15〜30% 18−Me。ミコール酸C42〜50。
エポキシド・ヒドララーゼ、ニトリラーゼ、およびエステル・ヒドロラーゼ活性を有している。
Rhodococcus ruber DSM 14855は、単一の炭素供給源としてヘキサンでライン川下流から単離された。
株を前記したような複合培養培地上30℃で、そしてフロー・スポイラーを伴うL振盪フラスコ中130rpmで維持することができる。遠心後、ペレットをトリス−HClバッファー(pH7.5、50mM)に取り、液体窒素中ショック凍結し、そして望む場合、および適当な場合、凍結乾燥した。
Claims (27)
- Rhodococcusから得ることができるアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する生体触媒。
- Rhodococcus ruber DSM 14855から得ることができる、請求項1記載の生体触媒。
- 第2級アルコールの酸化またはケトンの還元において立体特異的アルコールデヒドロゲナーゼを活性を示す、請求項1または2記載の生体触媒。
- 精製された形態の請求項1から3のいずれか一項記載の生体触媒。
- 変性SDSポリアクリルアミド電気泳動において32から44kDa、とりわけ約38kDaの分子量を有する、請求項1から4のいずれか一項記載の生体触媒。
- サイズ排除クロマトグラフィーにしたがって55から69kDa、とりわけ約62kDaの分子量を有する、請求項1から5のいずれか一項記載の生体触媒。
- 分子に結合したZn2+を含む、請求項1から6のいずれか一項記載の生体触媒。
- 酵素の全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内に部分配列EVGADAAAR(配列番号1)を含むか、またはここで部分配列に記載されたアミノ酸の1個が異なるアミノ酸に置換されている、請求項1から7のいずれか一項記載の生体触媒。
- 酵素の全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内に部分配列TD[L/I]FEVVA[L/I]AR(配列番号2)を含み、ここで[L/I]は、ロイシンもしくはイソロイシンであるか、またはここで部分配列の言及したアミノ酸の1個が異なるアミノ酸に置換されている、請求項1から8のいずれか一項記載の生体触媒。
- 酵素の全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内に部分配列SGAGAADA[L/I]R(配列番号3)を含み、ここで[L/I]は、ロイシンもしくはイソロイシンであるか、またはここで部分配列の言及したアミノ酸の1個が異なるアミノ酸に置換されている、請求項1から9のいずれかに一項記載の生体触媒。
- 酵素の全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内に部分配列V[L/I]AVD[L/I]DDDE(配列番号4)を含み、ここで[L/I]は、ロイシンもしくはイソロイシンであるか、またはここで部分配列の言及したアミノ酸の1個が異なるアミノ酸に置換されている、請求項1から10のいずれか一項記載の生体触媒。
- 酵素の全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内に部分配列V[L/I]AVD[L/I]DDDXRX?(配列番号5)を含み、ここで[L/I]は、ロイシンもしくはイソロイシンであり、そしてXは同定されていないアミノ酸を表すか、またはここで部分配列の言及したアミノ酸の1個が異なるアミノ酸に置換されている、請求項1から11のいずれか一項記載の生体触媒。
- 酵素の全体もしくは一部を形成する少なくとも1個のポリペプチドの全配列内に部分配列[TD/DT][L/I]MEVVA[L/I]AR(配列番号6、TDで始まるかまたはDTで始まるかのいずれか)を含み、ここで括弧内の配列は、そこで言及した2つの選択肢から選択し、そしてここで[L/I]は、ロイシンもしくはイソロイシンであるか、またはここで部分配列の言及したアミノ酸の1個が異なるアミノ酸に置換されている、請求項1から12のいずれか一項記載の生体触媒。
- 請求項1から13のいずれか一項記載の組換え生体触媒。
- 50まで、好ましくは80容量%までのイソプロパノールの存在下、または20まで、好ましくは50容量%までのアセトンの存在下でアルコールデヒドロゲナーゼ活性を示す、請求項1から14のいずれか一項記載の生体触媒。
- 第2級アルコールの酸化および/またはケトンの還元における請求項1から15のいずれか一項記載のアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する生体触媒の使用。
- 酸化および/または還元が、以下の反応スキーム(A):
(ここで、式I、IaおよびIbでは、R1およびR2は、置換されていないかもしくは置換されているアルキル、置換されていないかもしくは置換されているアルケニル、置換されていないかもしくは置換されているアルキニル、置換されていないかもしくは置換されているシクロアルキル、置換されていないかもしくは置換されているアリール、および置換されていないかもしくは置換されているヘテロシクリルから成る群からの2つの異なる基であるか、またはR1およびR2は、一緒に置換されていないかもしくは置換されているブリッジを形成し、並びに
式IIIおよび式IVでは、R3およびR4は、2つの異なるもしくは好ましくは2つの同一の低級アルキルもしくはアリール基であるか、または一緒にブリッジを形成する)
の反応の1つである、請求項16記載の使用。 - 対応するケトンからのキラルまたはジアステレオマーアルコールの立体選択的生成における、請求項16から19のいずれか一項記載の使用。
- 適当な立体形態を有するヒドロキシ基のみが対応するオキソ基に酸化される化学選択的とりわけ立体選択的な第2級アルコール酸化における、請求項16から19のいずれか一項記載の使用。
- 立体選択的酸化を第2級アルコールのエナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物の1つの異性体のみのエナンチオマー選択的酸化に用いる、請求項21記載の使用。
- 請求項1から15のいずれか一項記載のアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する生体触媒をコードする核酸。
- 組換え核酸、とりわけDNAまたはRNAである、請求項23記載の核酸。
- 請求項1から15のいずれか一項記載の生体触媒をコードする核酸で形質転換した微生物。
- 請求項1から15のいずれか一項記載の生体触媒の生成における、請求項25記載の微生物の使用。
- とりわけ請求項16から19のいずれか一項記載の第2級アルコールの酸化またはケトンの還元の触媒反応における請求項25記載の生体触媒を発現する微生物、とりわけ宿主細胞の使用。
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