本発明はソリッドステート構造体の製造に関し、詳細にはソリッドステート構造フィーチャの寸法制御に関する。
本出願は、2001年6月27日出願の米国仮出願番号60/301,400の恩典を主張するものである。この出願はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本出願は、1999年6月22日出願の米国仮出願番号60/140,021の恩典を主張する、2000年6月22日出願の同時係属の米国非仮出願番号09/599,137の一部継続出願である。この出願はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2000年6月22日出願の「Molecular and Atomic Scale Evaluation of Biopolymers」という名称の同時係属米国非仮出願番号09/602,650に関連する。この出願はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
(連邦助成を受けた研究に関する記載)
本発明は、ともにDARPAによって授与された契約番号N65236−98−1−5407および契約番号F49620−01−1−0467;NSFによって授与された契約番号DMR−0073590;ともにDOEによって授与された契約番号DE−FG02−89ER45401および契約番号DE−FG02−01ER45922;ならびにONRによって授与された契約番号N00014−01−1−0788の下に、米国政府の支援を受けてなされたものである。米国政府は本発明について一定の権利を有する。
ソリッドステート構造フィーチャの正確な寸法制御は、生物学、化学から物理学、光学、マイクロエレクトロニクスにわたる諸分野の多く応用にとって欠くことのできないものである。本明細書では用語「ソリッドステート」が広く非生物材料全般を指す。ソリッドステートシステム製造の成功はしばしば、しばしば小さな寸法の特定の構造フィーチャを非常に厳しい公差の範囲内で明瞭に生成できる能力に決定的に依存する。したがって、ソリッドステートシステムがマイクロレジーム、さらにナノレジームへと発展するにつれて、ナノメートル寸法フィーチャの制御は、ますますシステム実現可能性の主要な関心事となっている。
マイクロマシンシステムおよびマイクロ電気機械システム中に構造フィーチャを生成しその寸法を制御する、広範囲にわたるマイクロ製造技法がすでに確立されている。例えば、小規模フィーチャの製造を可能にするために、高分解能リソグラフィ技法ならびに高精密加法減法材料処理技法が提案されている。しかし、数ナノメートルの構造フィーチャ寸法が重要な、多くのナノレジームシステムの製造においては一般に、従来から提案されている技法はしばしば、必要なナノスケールフィーチャを再現可能または予想可能に形成することができず、これらの技法はしばしば、このようなナノスケールフィーチャの生成に相応した時間尺度で制御することができない。その結果、ナノメートルフィーチャ寸法および/または公差を含む多くのシステムの大量生産は実用的であるとも、または経済的であるとも言えない。
本発明は、ソリッドステートマシンおよび電気機械システムに対する構造フィーチャの再現可能かつ予測可能な生成を可能にするプロセスおよび対応するプロセス制御方法を提供する。本発明のプロセスを制御して、ナノレジームのフィーチャを生成し、その寸法を制御しかつ/または変更することができる。本発明のプロセスは、ナノスケールソリッドステートフィーチャの形成に相応した時間尺度で機能するリアルタイムフィードバック制御を含むことができる。
本発明が提供する一技法では、ソリッドステート構造体のフィーチャを製造するために、表面を有するソリッドステート構造体を用意し、これを、入射イオンフラックスFに露光する。この入射イオン露光の条件は下式に基づいて選択される。
上式で、Cは、構造体表面の可動性吸着原子の濃度、rはベクトル表面位置、tは時間、Y
1は、入射イオン1イオンあたりの生成表面吸着原子数、Dは表面吸着原子の拡散係数、τ
trapは、ソリッドステート構造体材料の特性である構造体表面欠陥で吸着原子の消滅が起こるまでの表面吸着原子の平均寿命、σ
Cは、選択されたイオン露光条件の特性である入射イオンによる表面吸着原子の消滅の断面積である。
選択されたイオン露光条件は、入射イオンによる構造体表面のスパッタリングを制御し、イオンフラックス露光に応答して、構造体表面を含む構造体の範囲内で、構造体の材料を、選択されたフィーチャ位置まで輸送する。これにより、フィーチャ位置に構造体の材料が局所的に付加されることによって所望のフィーチャが実質的に生成される。この技法を使用して、選択されたフィーチャ位置にフィーチャを製造する代わりに、またはこれに加えて、フィーチャの寸法を変更することができる。
本明細書では用語「ソリッドステート」を、生物学的起源でない材料を指すのに使用する。生物学的起源とは、天然のもの、すなわち生体、細胞などの生物環境から分離されたもの、または他の形で自然界に存在するもの、あるいは生物学的に入手可能な構造体を合成によって製造したもの、あるいは注目する所望の生物学的特徴を実質的に保持している天然材料の合成または非天然同族体または誘導体を意味する。ソリッドステートは、有機材料と無機材料の両方を包含する。構造体は、例えば無機または有機材料、あるいは結晶性材料の基板として提供することができ、予め指定されたフィーチャを製造する半導体ウェーハ、膜、層、または他の適当な構造体として提供することができる。
入射イオンフラックス露光条件の選択には例えば、構造体材料の組成、温度、電子電荷状態、電子ドーピングおよび表面欠陥特性の選択、イオンフラックス、エネルギー、種または時間構造の選択、周囲ガス種および/またはガス圧の選択、あるいは露光の他のプロセスパラメータの値の選択が含まれる。
イオン露光条件は、ソリッドステート構造体材料の少なくとも1回の試験入射イオン露光を、選択された試験入射イオン露光条件下で実施することによって選択することもできる。それぞれの試験入射イオン露光中に、指定された構造体位置に向かって物理検出種を導く。次いで、指定された構造体位置からの軌道中の検出種を検出して、試験イオン露光条件に対するフィーチャ製造の依存関係を指示する。次いで、試験イオン露光条件および試験イオン露光条件に対する対応する指示されたフィーチャ製造の依存関係に基づいて、イオン露光条件を選択することができる。
これらのプロセスでは、広範囲にわたる構造フィーチャを、再現可能、制御可能かつ効率的な方法で製造することができる。これらのプロセスによって、生物学からマイクロエレクトロニクスまでの分野の応用が可能となり、これらの応用を商業的に実行可能な方法で実施することができる。本発明の他の特徴および利点は、以下の説明、添付の図面および請求項から明らかとなろう。
本発明が提供するフィーチャ寸法制御プロセスは、広範囲にわたる材料および構造構成を対象とすることができる。本明細書に記載するプロセス例は例示的なものであり、材料または構成の具体的な限界を表すものではない。本発明のプロセスは、構造フィーチャ寸法を正確に制御し、ナノメートル規模でのこのような制御を可能にするのに特によく適している。この制御は、開口として存在するギャップ、例えばポア、スリット、オリフィス、ベント、ホール、トレンチ、チャネル、トラフ、一般に2つ以上の異なるフィーチャ縁間のスペーシングなどのナノメートルサイズのフィーチャおよびスペースを、正確に形成し画定するのに特に有利となり得る。
図1を参照する。フィーチャのスペーシングを正確かつ再現可能に画定する本発明が提供する方法の一実施例では、予め指定された大きさ、例えば予め指定された直径の開口を構造層に形成するプロセスが実施される。図1Aに示す第1のプロセスステップでは、出発構造体10を用意する。この図は、出発構造体10の断面を示している。このような出発構造体10は例えば、基板、基板などの支持体上に置かれた厚いまたは薄い層、膜、あるいは適当な構造体として供給することができる。構造体10には、その選択された表面14の開口が望まれる領域に、空洞12が形成されている。
空洞12は、構造体10の体積の中を、構造体の厚さの途中までしか延びておらず、構造体の厚さ全体を貫通して反対側の表面18までは達していない。その結果、形成された空洞の最も深いレベル、すなわち底16は、構造体の体積中のある中間点にある。後により詳細に説明するが、空洞の底16および側壁20の幾何形状は、後の処理ステップで、制御された横および縦寸法を有する限界開口の制御された形成が可能になるように選択することが好ましい。図示の例では椀形の空洞が使用されている。
図1Bおよび1Cを参照する。空洞を形成した後、空洞のない表面18の側から構造体を次第に薄くしていく。この薄層化を継続すると、点線で示す構造体の部分22が次第に除去される。これによって、構造体の空洞のない表面18が空洞の底16に向かって前進する。
構造体の薄層化を継続すると、図1Dに示すように、空洞のない表面18が空洞の底16と交差する。この交差が起こると、空洞12を、構造体の厚さ全体を貫通して延びる開口に変化させる限界開口24が形成される。構造体をさらに薄くすると、空洞のない表面18が空洞の側壁の上部と交差し、それによって限界開口24の形状が、所与の空洞の交差深さにおける側壁の断面の形状となる。図示の例では、空洞の形状が椀形なので、薄層化を続けると限界開口24の直径が増大する。しかし、空洞の側壁の輪郭によっては、薄層化を続けると限界開口の直径が小さくなるようにすることもできることを認識されたい。さらに、限界開口の幾何形状を制御するために、空洞の側壁に沿って、凸凹または他の異なった輪郭のフィーチャまたは幾何形状を提供することもできる。
この開口形成プロセスには、最終的な限界開口および壁の寸法を直接リソグラフィ技法に依存せずに画定できるという明確な利点がある。その結果、この開口形成プロセスは、リソグラフィの解像限界の制約を受けない。このプロセスでは、新型のまたは高価な処理装置を必要とせずに、1〜2ナノメートル以下という小さな限界開口寸法ないし直径を生み出すことができる。
先に説明したとおり、この開口形成プロセスは、基板、層、支持構造体上に置かれたフィルム、自立した例えば膜など、広範囲にわたる構造体のうちの任意の構造体に対して実施することができる。ソリッドステート材料は一般に、その中に開口が形成された構造材料として使用することができる。マイクロエレクトロニクス材料または半導体材料は、後に説明するように、効率的な処理技法を可能にする上で特に有効であり得る。例えば、酸化物、ガラス、プラスチック、ポリマー、有機フィルム、例えばPMMAなどの幅広い無機および有機ガラス質材料、半導体、例えばシリコンおよび窒化シリコンなどの結晶性材料、金属ならびに他の材料を使用することができる。本発明は、特定の構造材料または特定の種類の構造材料に限定されない。構造材料は、当該応用の開口に対する基準を満たすものを選択することが好ましい。
この方法は、膜に開口を形成するのを可能にし、多くの膜応用に必要な開口形成のナノレジーム制御を提供するのに特によく適している。膜開口の形成では、マイクロエレクトロニクス材料および半導体材料ならびに製造プロセスを本発明に従って有利に利用して、費用効果が高く効率的な製造率を可能にすることができる。
図2を参照する。膜に開口を形成する本発明が提供するマイクロ製造プロセス例では、図2Aに示すように、出発基板30、例えばシリコンウェーハを用意する。選択された膜材料、例えば窒化シリコンを、ウェーハの上面および下面のコーティング層32、34として提供する。コーティング層34の厚さは、形成する膜に対して選択された厚さとする。一例では、シリコンウェーハの表面に、従来の化学蒸着(CVD)処理によって、厚さ約50nmの高シリコン含量低応力窒化シリコン層を付着させる。この窒化シリコン層を付着させる前または後に、機械応力の制御または他の考慮事項のために、追加の膜材料、例えば二酸化シリコンを付着させることができることを認識されたい。膜の機械応力を制御し、または膜の電気または熱伝導率を所与の応用にとって望ましいように調整するために、この窒化シリコン層を例えばイオン注入によってさらに処理することもできる。
図2Bに示すように、付着させた一方の窒化層の表面にフォトレジスト層40を形成し、これをパターン形成して窒化物エッチング窓38を画定する。ウェーハの反対側の表面は、フォトレジスト層40でブランケットコーティングする。次いで、図2Cに示すように、窒化物エッチング窓38によって露出した窒化シリコンを、例えば従来の反応性イオンエッチングによって除去する。これによって基板エッチング窓42を露出させる。反対側の窒化層34は、ブランケットフォトレジスト層40によってこのエッチングから保護されている。このブランケットフォトレジスト層はこのエッチングの完了時に除去される。
次に図2Dを参照する。このシリコンウェーハは、適当なエッチング手順、例えばKOHを使用した従来の異方性ウェットエッチプロセスによってバルクマイクロ加工する。使用するバルクウェーハエッチプロセスは、膜材料に対してよりもウェーハ材料に対して高い選択性を持つことを特徴とするものであることが好ましい。図示の例では、KOHエッチングが窒化シリコン層を実質的に腐食しない。ウェーハの厚さ全体にわたってエッチングを継続すると、窒化層34に自立した窒化膜36が形成される。KOHエッチングの異方性、結晶学的特性のため、この窒化膜は、シリコンウェーハからエッチングされたピラミッド形のウェル39の底を形成する。したがって窒化膜の大きさは、出発シリコンウェーハの厚さおよび結晶学的配向によって決まる。したがって膜の寸法は、後に理解されるように希望に応じて制御することができる。
図2D〜2Eを参照する。所望ならば次いで、膜層の反対側に残った窒化シリコン層32を、例えば従来の反応性イオンエッチングによって除去することができる。次いで、所与の応用にとってシリコンウェーハを電気的に絶縁することが望ましい場合には、任意選択で、露出したシリコンの表面に二酸化シリコン層41を成長させる。図示のようにシリコンの表面にだけ酸化物が形成されるように、CVD酸化層よりも、従来のウェットまたは熱酸化物成長のほうが好ましい。しかし、例えば機械応力の制御のために複合膜が望ましい場合には、CVDまたは他の付着プロセスを使用して、シリコンウェーハと下部窒化シリコン膜表面の両方、または窒化膜の表面にだけ酸化層を生成することもできる。
次のプロセスステップでは、図2Fおよび図1Aを参照して、膜の選択された表面に空洞を形成する。空洞形成プロセスの一例、エッチプロセスでは、図示のように、膜の下面、すなわちウェーハのピラミッド形のウェルの中の表面とは反対側の膜表面に、レジスト層42を形成する。次いでこのレジストをパターン形成して、膜に形成する空洞を画定する。空洞に対してこの表面を選択することは、選択されたリソグラフィ技法が平らな表面で可能になるため好ましい。ピラミッド形シリコンウェルの底の膜表面に塗布したフォトレジスト層を効果的にパターン形成することは難しい。しかし所与の応用とって望ましければ、このような表面に、このような構成に固有のリソグラフィ技法を使用して空洞を形成することもできる。空洞パターンを画定するために、本発明は、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィおよび他の適当なリソグラフィプロセスの使用を企図する。選択するリソグラフィプロセスは、空洞の寸法に対して適したものが好ましいことを認識されたい。例えば、サブミクロンの寸法を有する空洞に対しては、従来のフォトリソグラフィよりも電子ビームリソグラフィのほうが好ましいと言える。
先に説明したとおり、選択された幾何形状の限界開口を生み出すために、膜に形成する空洞の側壁の輪郭を指定することができる。さらに、空洞を画定するリソグラフィステップ、および空洞エッチプロセス自体の性質を使用して、空洞の側壁の輪郭を画定することができる。1つのシナリオでは、選択された空洞のリソグラフィパターンを連続パターン、例えば円とし、これに比較的等方性のエッチプロセス、例えば等方性反応性イオンエッチプロセスを実施して、図2Gに示すように窒化膜36に椀形の空洞12を形成する。等方性反応性イオンエッチプロセスは本来的に、円形のフォトリソグラフィパターンから延びる椀形の形状を形成する。
所望の空洞幾何形状を達成するために、本発明は、実質的に任意の空洞パターンの使用を企図する。正方形、長方形、六角形、あるいは対称または非対称の他のパターンを使用することができる。リソグラフィプロセスおよびこの開口形成方法で使用される他のマイクロ製造プロセスはバッチプロセスであるため、図示の膜などの単一の構造体に、さまざまな大きさおよび幾何形状の空洞のアレイを画定することができる。本発明の開口形成プロセスは、最終的な限界開口の幾何形状を、リソグラフィではなしに構造の薄層化に依存して画定するので、空洞の最大横寸法を、限界開口の所望の大きさよりもずっと大きくすることができる。一般に、空洞パターンの最大寸法を、限界開口の選択された直径よりも2桁以上大きくすることができる。選択された空洞エッチプロセスの特性が与えられた場合には、それに対応して空洞パターンの大きさを、空洞の底に所望の大きさが生み出され、空洞の底と材料の表面との間にある範囲の空洞空間が生み出されるように選択することが好ましい。
例えばプラズマエッチング、集束反応性イオンエッチング、集束イオンビームエッチング、ウェット化学エッチング、他の選択された技法を含む適当な空洞エッチプロセスを使用することができる。どのエッチプロセスを選択するとしても、膜厚またはその中に空洞が形成される他の構造体の内部のある距離に位置する空洞の底、すなわち構造体の表面と表面の間の1点でエッチングを終了できるように制御しなければならない。使用している構造材料に対して完全に特徴づけられたエッチプロセスに対しては、時限式のエッチングによってこれを達成することができる。もしくは、従来の診断技法を従来の方法で使用して、膜または他の構造体の選択された位置に空洞の底を生み出すこともできる。本発明によれば空洞の底を、構造体の内部の演繹的な既知の深さに正確に配置する必要はない。本発明の漸進構造薄層化プロセスは、開口を正確に生み出すのに空洞の深さの正確な制御または理解が必要ない点が特に有利である。さらに、所与の材料または複合材料に空洞を形成するため、必要に応じてエッチプロセスの組合せを使用することができる。例えば、窒化シリコン層と二酸化シリコン層の複合膜を形成する場合、プラズマエッチングなどの選択された空洞エッチの化学的性質を、エッチングの進行に合わせて、空洞形成の所与の時点にエッチングする材料に基づいて調整することができる。同様に、エッチプロセスの組合せを使用して、空洞の側壁の輪郭を空洞の深さの関数として変更することができる。例えば、等方性と異方性のウェットエッチの組合せを使用して、窒化層またはシリコン層あるいは窒化膜またはシリコン膜に、選択された曲率および傾斜の空洞の側壁を形成することができる。このような組合せエッチによって、限界開口のところに凸凹または他の異なるフィーチャを形成することができる。
図1B〜1Dを再び参照する。選択された膜または他の構造体に空洞を形成した後、空洞が形成されている構造体の表面とは反対側の表面に、適当な手順を使用して構造体の薄層化を実施して、構造体に限界開口をあける。本発明は広範囲にわたる薄層化プロセスを企図し、特定の薄層化技法に限定されない。空洞が形成された表面とは反対側の表面から構造体をエッチバックできさえすればよい。
多くの応用にとって、特によく適した薄層化プロセスはイオンビームスパッタリングである。このようなプロセスでは、薄層化する構造体の表面にイオンビームを導いて、その表面から材料をスパッタエッチングする。あらゆる入射イオンに対して例えば平均してkeV範囲の比較的低ビームエネルギーの一般的なイオンビームスパッタリングプロセスでは、スパッタリングターゲットから単一の材料原子が発射される。スパッタリングはしたがって、原子規模の「サンドブラスト」であると考えることができる。例えば窒化シリコン膜の場合には、このようなスパッタエッチングの結果、入射イオンフラックス約1014〜1015イオン/cm2/秒に対して、約1原子層/秒で窒化シリコンが膜から除去される。スパッタリングビームにさらされた表面が十分に薄くなり、その結果、表面が空洞の底と交差すると、限界開口が形成される。
本発明は、広範囲にわたる追加の薄層化プロセスを企図する。これには、イオンビーム支援エッチング、イオンビーム誘導エッチング、電子ビームエッチングまたは電子ビーム支援エッチング、プラズマおよび反応性イオンエッチング、電気化学エッチングなどのウェットエッチング、機械化学研磨、ならびに薄層化中の面とは反対側の表面の空洞と交差する構造体の制御された薄層化を可能にする他の製造プロセスが含まれる。これらの開口形成プロセスは、薄層化エッチング間、エッチング種、例えばスパッタリングイオンビームまたは反応性プラズマ環境を、薄層化中の構造体の表面の特定の位置に集中させる必要がないため、多くの応用に対して有利であり得る。構造体表面のブランケット露光を使用して、構造体全体を薄くすることができる。必要なのは、空洞を含む側の構造体の表面を、反対側の表面を攻撃しているエッチング種から分離する、すなわち遮へいすることだけである。その結果、エッチング装置およびエッチング種のナノレジーム制御を必要とせずに、ナノレジーム精度のフィーチャを形成することができる。
どの薄層化プロセスを選択したとしても、薄層化プロセス中にフィードバック機構を実現することによって、非常に正確な開口形成を達成できることを本発明の発明者は発見した。このフィードバック機構は、薄層化エッチング中に供給される物理種の検出に基づく。この物理種は、エッチングによって生成されているフィーチャ、例えば開口の物理的な寸法を指示するような方法で供給される。このようなフィードバックは開口形成プロセスのリアルタイム制御を可能にし、それによって、予め指定されたとおりの直径を有する開口を、高い信頼性で再現可能に形成することができるようになる。後に説明するように、このフィードバック機構は一般に、ナノメートルフィーチャおよびナノ構造体の正確な彫刻を可能にし、マイクロおよびナノシステムに対する幅広い応用を有する。
本発明の開口形成プロセスにおけるフィードバック制御について考える。具体的には、スパッタリングイオンビームなどのエッチング種によって構造体が薄くなり、ついに開口が形成されたとき、ビームからのイオンはこの時点で開口を通過することができる。その後は、単位時間あたりに開口を通過するイオンの数が、薄層化エッチングの継続とともに増大する開口の直径に比例して増大する。これによって、開口を通過するイオンの検出、および例えば計数による開口を通過するイオンの通過率および/または数の定量は、エッチ中の所与の時点における開口の直径を指示する。
その結果、選択された直径が生み出されるまでに開口を通過すると予想されるイオンの通過率および/または数に基づいて、選択した開口の直径を予め指定することができる。薄層化エッチプロセスの間に、新しく形成された限界開口を通過した最初のイオンを検出し、また、限界開口の寸法が大きくなるにつれて開口を通過するイオンの数を個別に検出し定量することができる。定められた数のイオンが開口を通過したときに、スパッタリングイオンビームコントローラに制御信号を送って、所望の開口寸法でエッチプロセスを終了させることができる。さらに、本発明によれば、開口が形成される前でも物理種の検出を実施できることを認識されたい。例えば、イオンビーム銃によって生み出され、薄くなっていっている構造体を通過したときに検出されるX線のレベルは、構造体の厚さが薄くなるにつれて増大すると予想することができる。同様に、開口があく前でもイオンを検出することができる。これによって、開口が最終的に開く前でもプロセスを制御することができる。
図3A〜3Bを参照すると、このフィードバック制御のスパッタリングプロセスを実現するためのシステム50が概略的に示されている。このシステムはイオン銃52、例えば所与の応用に適したエネルギー範囲および直径を有するイオンビームを生み出すことができるイオン銃を含む。一般に、約1eVから数百KeVのエネルギー、および数ナノメートルから空間的に非常に幅広いビームまでのビーム直径を使用することができる。その中でエッチプロセスを実施することができる真空エッチ室55が提供されている。エッチ室の圧力は、エッチプロセスの間、エッチ環境圧力を約10−8トル未満に維持できるように十分に制御されることが好ましい。圧力の制御および維持のためにターボモレキュラポンプ57が配置されている。エッチ環境種の監視および分析のために、任意選択で、質量分析計を配置することができる。
その中に開口を形成する構造体10の位置を保つために、構造体を例えばクリップを使用して支持する構造体ホルダ54が配置されている。ホルダ54は熱伝導性であって、例えばホルダ上または構造体自体の上に配置された熱電対を使用した液体熱交換ループによって構造体の温度制御を提供することが好ましい。多くの応用にとっては、構造体の電圧充電制御および入射イオンビーム電流の監視ができるように、ホルダがさらに電気伝導性であることが好ましい。
ホルダは、構造体10の開口を形成する位置に対応する中央開口56を含む。この構成では、構造体10に向かってイオン銃から導かれたイオンビーム58によって構造体が薄くなり、構造体に開口が形成される。その後、イオンビーム58は、構造体の開口とホルダの開口の両方を通り抜ける。
図3Bを参照する。この配置に、エッチプロセス中にエッチング中の構造体に電子ビームを導く電子フラッド銃59を含めることができる。窒化シリコン膜などの電気絶縁性の構造体に対しては、正電荷を帯びたイオンビームの照射によって正の表面電荷が構造体に蓄積し得る。所与の応用に対して必要ならばこの表面電荷を打ち消すために、構造体に電子ビームを照射することができる。
本発明に基づくフィードバック機構によってこの薄層化エッチプロセスを制御する場合には、エッチングされた開口を通り抜ける種の流れを以下に説明する方法で検出し定量する。所与の応用とってこのようなフィードバック制御が望ましくない場合、追加の装置は必要なく、スパッタリングは、従来のスパッタリング室内で、所与のエッチングに対して選択された条件で実施することができる。
本発明によれば、所望の程度のフィードバック制御を提供するために種検出/定量システムを含めることができる。薄層化エッチングに対して使用される選択されたスパッタリングビームイオンが電荷を帯びているというシナリオを与えられた場合には、イオンが通り抜けた構造体の開口から比較的遠方にある検出器によるイオン検出を容易にするために、開口を通り抜けたイオンを集束させるイオン集束光学部品60を配置することができる。X−Y偏向光学部品およびEinzelレンズを従来の構成で使用して、所望のイオン集束を生み出すことができる。この従来の方法では、光学部品設計ソフトウェアを使用して、所与の検出配置に対してカスタマイズされた集束構成を生み出すことができる。イオン検出システムがホルダ開口に比較的近い構成については、このような集束構成が必要ない場合があることを認識されたい。
集束構成を使用する場合、集束構成は出力イオンビームを、イオンエネルギーアナライザ62に導くことが好ましい。このアナライザは、選択された種を検出し、例えば計数によって定量するためにビームをフィルタリングする。一般に、イオンビームスパッタリングプロセスは、例えばスパッタリングされた窒化シリコン原子、エッチ室内で散乱しているエッチング種、およびイオン銃から発せられたX線を含む広範囲にわたる物理種および放射を含み、これらを生み出すことが予想される。非常に正確なエッチング制御を可能にするためには、生み出された放射、生み出されたエッチング種、および背景放射から検出すべき種をフィルタで分離することが好ましい。このような背景放射は、例えばイオンビーム銃、エッチングする構造体および下流の光学部品を、静電エネルギーフィルタまたは他の適当なフィルタによって、後に説明する検出器などの他の下流構成要素から分離することによって最小化することができる。さらに、イオンビーム銃、構造体および光学部品は、図3Bに示すような適当な容器に入れて低温条件に維持することが好ましい。これによって熱効果を制御することができる。このような冷却構成は、エッチングおよびビーム検出環境の清浄度を最大化し、構造体の温度を制御するのにも役立つ。イオン照射中の材料の変性現象に影響を与えるため、構造体を高温に維持することも有利となり得る。
イオンエネルギーアナライザ62または他の種に特別なフィルタリングシステムを使用すると、スパッタリング軌道の見通し線の外側で、再方向付けされた種を検出できるので有利である。種の検出位置を、背景放射およびX線などの生成された放射の衝撃の線から外れた遠方に配置することができる。例えば図3A〜3Bに示すように、使用される静電エネルギーアナライザは、検出すべきイオン種の軌道を90°曲げ、それによってこの種は、エッチングされた構造体に由来する他の種および放射から分離される。所与のエッチプロセスに対して望ましい検出分解能および速度にとって低背景雑音環境が必要ない場合、多くの応用についてイオンエネルギーアナライザは必要ない。
フィルタリングされ、静電エネルギーアナライザから出力された注目する種は検出器64に導かれる。荷電イオン種の検出には、高分解能の単一イオン検出器、例えば米マサチューセッツ州SturbridgeのGallileo Electro−Optics社のChanneltron4860検出器を使用することが好ましい。このような検出器は、検出されたイオン1つにつき電気出力パルス1つを生成するように構成することができる。開口などのソリッドステートフィーチャの製造においてナノメートル規模の精度を可能にするために、このような単一イオン検出およびこれに関連した計数は、多くの応用にとって好ましい。一般的なスパッタリングビームの電流密度は約10イオン/nm2/秒であり、ナノメートル範囲の開口のエッチングには、開口を通過したわずか約10〜20個のイオンの計数が必要である。したがって、フィーチャ製造のナノレジーム制御を再現可能に実施するためには、単一イオン検出/計数システム、または同等の分解能の他のシステムが好ましい。所与の応用に対して生成されるフィーチャがナノメートル範囲の寸法制御を必要としない場合には、これよりも粗い検出機構を使用することができる。
単一イオン検出器構成が与えられた場合には、イオン計数プロセスを容易にするために、検出器の電気出力を変更する高速パルス増幅器66を使用することができる。適当なパルス前置増幅器を従来の方法で構築することができ、または適当な市販システム、例えば米テネシー州Oak RidgeのEG&G Ortec社のVT120 Fast Preampを使用することができる。1つの例示的なシナリオでは、イオン検出器によって10mVのイオン検出パルスが生成される場合、このパルス電圧を約1Vまで増幅するようにパルス増幅器66を構成することができる。この増幅された検出パルスを計数システム、例えばHewlett Packard社のHF53131Aなどの汎用計数器に導いて、検出されたイオンの数を指示する電気信号を生成する。所与のパルス計数器構成によっては検出パルス増幅が必要ない場合があり、パルス増幅を実施する場合には、計数システムの要求に基づいてパルス増幅が制御されることが好ましいことを認識されたい。
パルス計数器68の電気出力は、例えばオペレータが薄層化エッチプロセスをリアルタイムで監視するのを可能にし、イオン銃制御信号を生成する、監視および制御ソフトウェアを実装したコントローラ70に導かれる。一例ではコントローラが、例えば米テキサス州Austinのnational Instruments社のLabviewを使用したソフトウェアとして実装される。どのコントローラ実装を選択したとしても、コントローラは、イオンフィードバックに基づいてイオンビーム制御信号を提供するものであることが好ましい。このコントローラを例えば、指定された時間間隔の構造体のイオンビームスパッタリングを開始し、指定された時間間隔の間に検出器で受け取られたイオンの数を計数する計数器を構成するように実装することができる。この時間間隔の終わりに、計数されたイオン数がコントローラによって決定され、このイオン数および既知のイオンフラックスに基づいてその時点の開口の大きさを計算することができる。次いで、この時間間隔の間に計数されたイオンの数をコントローラが使用して、イオンビームスパッタリングの次の時間間隔を開始して構造体のエッチングを続行すべきかどうかを判定する。
有利な一構成では、エッチプロセスの進行を視覚的に監視し、記録できるように、モニタ、メモリ、関連入出力および印刷システムを含むコンピュータシステムが提供される。イオン計数率および開口の大きさの経時的な表示、ならびに計数率および他のシステム値の記憶は、多くの応用にとって好ましい。
コントローラ70の出力は、スパッタリングエッチング自体を制御するイオン銃制御システム72に導かれる。一実施例では、イオン銃フィードバック制御が、所望の開口寸法が得られたときにイオンビームを構造体10から偏向させるイオン銃のX−Y偏向板の制御によって達成される。この技法は、一般に1ミリ秒をはるかに下回る速度でビームを高速に偏向することができるので、好ましい制御技法となり得る。ただし、代替ビーム制御機構を使用することもできることを認識されたい。例えば、銃と構造体ホルダとの間に静電格子を配置することができる。このシナリオでは、イオンビーム終了の制御信号に応答して格子に通電して、イオン銃に向かってビームを帰還させる。他の技法では、イオンビーム終了の制御信号に応答してイオン銃の加速電子衝撃電圧を制御して、イオンビームの生成を終了させることができる。これらの技法は、所望の開口寸法が得られた後で全てのスパッタリングが抑制され、それによって試料の起こりうる汚染が排除されるので有利である。
スパッタリングシステムおよびフィードバック/制御ハードウェア構成を配置すると、所与のイオンビーム種、構造体材料および生成される開口の幾何形状に対してフィードバック較正曲線を生成することができる。このような較正曲線は、イオン計数および/または計数率と限界開口の寸法との間の関係を指定することを可能にし、特定の構造体材料および厚さに対して、時間あたりに測定される計数と限界開口の実際の寸法の間の関係を指定する較正曲線を経験的に確立することができる。
多くの構成について、限界開口の寸法とイオン計数との間の関係は一般に直線的であることが分かっている。この関係および一般に予測可能な他の関係については、2、3の測定値に基づいて、外挿された較正曲線を生成することができる。このようなそれぞれの測定値を生成するため、定められた期間の間、薄層化エッチングを実施し、この間にイオン計数を実施し、この期間の終わりに、例えば透過型電子顕微鏡によって開口の寸法を物理的に測定する。開口はエッチングごとに増大していくので単一の開口に対して、複数回のエッチング期間および寸法測定を実施することができる。次いでこのイオン計数および開口測定に基づいて較正曲線を生成し、それよりも低いイオン計数および高いイオン計数まで外挿を実施することができる。このような較正曲線が得られたら、フィードバック構成のコントローラシステムを、所望の開口寸法に対応する定められたイオン計数に達したときにエッチング終了制御信号をイオン銃に送るようにプログラムすることができる。
エッチ環境の温度および圧力、エッチングしている構造体の機械応力および温度、ならびにフィーチャの寸法および構造アスペクトは、検出されるイオン計数レートとフィーチャの物理寸法との間の関係に影響を与え得ることを認識されたい。例えば、窒化シリコン膜の残留機械応力はそのエッチング特性に影響を与え得る。同様に、形成するアレイ中の開口の密度、互いに対する開口の近接、および他のアスペクトは、エッチング特性に影響を与え得る。したがって、較正曲線は、エッチング特性に影響を与え得るさまざまな物理パラメータおよびエッチ環境パラメータを考慮して生成することが好ましい。
1つの表面に空洞が形成された厚さ50nmの窒化シリコン膜を、図2A〜Gに概要を示したプロセスによって生成した。窒化シリコンは低圧化学蒸着によって付着させた。椀形の空洞は、反応性イオンエッチプロセスによって膜にエッチングした。図4Aは、膜に形成された空洞の電子顕微鏡写真である。
空洞を含む膜の表面とは反対側の表面を、エネルギー約3KeV、フラックス約3Ar+秒/nm2のアルゴンイオンビームエッチに露光した。イオンビームの直径は約200μmとし、エッチ中の膜の温度は約−120℃に維持した。イオンビームは、5秒間隔の間にそれぞれ1秒間、膜に向かって導いた。このエッチプロセス中にイオンの検出および計数を実施した。
図4Bは、膜の薄層化によって形成された10nmの限界開口を含む膜空洞の電子顕微鏡写真である。図4Cは、スパッタリング時間に対するアルゴンイオン数/秒のプロットである。このプロットは、イオンビームが膜に導かれているときの時間を含み、ビームが膜から偏向されているときの時間は含まない。このプロットが指示するとおり、計数されたイオン数/秒は、限界開口が開いた25秒まで実質的にゼロであった。その後、限界開口の直径が増大するにつれて、計数イオン数も対応して増大した。これによって開口形成プロセスを制御することができる。
この例では、開口が開いた後に開口を通り抜けた荷電イオンの検出および計数によって、開口の制御された正確なエッチが可能であった。この例では、エッチ剤として機能している種が検出される種としても機能している。本発明によれば、イオンビームのこの二重の役割は一般に必要ない。本発明が提供する代替シナリオでは、エッチ剤種が検出種とは別に選択され機能する。エッチ剤種と検出種のこのような分離は、エッチ剤種に対する候補種と検出種に対する候補種の範囲をともに幅広くできるので、多くの応用にとって有利となり得る。
原子ビームエッチ種を考えると、ビームが電気を帯びておらず電気的に中性である場合、原子の検出は困難である。この場合には、電子ビームなどの非腐食性の別の検出種を、予め指定された開口直径の形成の制御に有利に使用することができる。衝突したスパッタビームによってエッチ中の構造体が帯電し、それによって電気的に中性のビームの使用が正当化される場合、このようなシナリオは好ましい。多くの応用にとっては、従来の技法を用いたビームの曲げ、フィルタリングおよび検出/計数を容易にするため、荷電検出種の使用が好ましい。しかし、所与の応用にとって最適であるときには電気的に中性の検出種を使用することもできる。例えば、電気的に中性な透過原子のレーザ蛍光を、検出および計数制御機能に対して使用することができる。
別個の検出種を使用するときには、その検出種が、生成中のフィーチャに向かってある方法で導くことができ、フィーチャの近傍での種の運動がフィーチャの寸法の変化を指示する種であることが好ましい。これによって、フィーチャの寸法の変化を指示する方法で種を検出することが可能になる。例えば、膜開口の形成の場合、形成された膜開口を電子が通り抜けるように電子ビームを膜に向かって導くことによって、先に説明したイオン計数法で電子を計数することができる。本発明は単一の検出種の使用を必要としない。2種類以上の検出種を使用することができる。例えば、構造体が薄くなるときにイオン銃によって生み出されるX線を監視して、次の開口形成事象の時刻を予測し指示することができる。その後、イオン、電子または他の種を使用して開口の直径の変化を監視することができる。同様に、所与の応用に適した中性種および他の種を一緒に使用して、正確な検出およびフィードバック機構を提供することができる。
さらに、本発明では、検出種を、製造中のフィーチャの平面に直角に導く必要はない。例えば、電子ビーム回折検出および材料によって生み出される回折パターンをフィードバック機構として使用することができる。このような場合、例えば、上部層を除去して下部層または基板を露出させることによって上部層のフィーチャを形成する場合、下部層の電子ビーム回折パターン特性の検出をフィードバック機構として使用することができる。この例では電子ビームが材料と視射角を作る。同様に、例えば開口の形成の場合、開口の周縁の変化を指示する回折リングによって、開口の直径の関数として回折を検出することができる。この例では、回折フィードバック機構が、開口を通り抜ける軌道としてではなく開口の周縁で起こる。
他の例では、開口を形成するために薄くしている構造体の上面に平行に電子ビームを導き、その表面に平行な方向の電子数の増大によって表面材料の後退を指示する。
本発明は代替の検出種を企図する。例えば、準安定状態の原子、例えば電子準安定状態の原子を、形成中のフィーチャに向かって導き、フィーチャを通過した後に検出することができる。このような準安定原子、例えば励起状態のヘリウムまたはアルゴンは電気的に中性であり、ソリッドステート表面に衝突するまで崩壊せず、衝突の時点で電子が開放され、それを検出および計数することができる。どの検出種を選択するとしても、生成中のフィーチャの所望の制御寸法規模と相応する時間尺度で検出、計数できる検出種が好ましい。例えば、ナノメートルフィーチャ寸法が重要である場合には、フィードバック機構の高い感度および分解能を可能にするために、マイクロ秒の検出および計数プロセスが好ましい。マイクロ規模およびマクロ規模のフィーチャ制御用の検出種には、これほど厳しい感度および分解能要件は必要ない。
本発明は、広範囲にわたる製造プロセスのフィードバック制御に対して、物理種の検出および計数を適用することを企図する。開ループ方式で、すなわちフィードバック制御なしでこれまで実施されてきた多くの製造プロセスを、本発明が提供する非常に感度がよく正確なフィードバック機構が組み込まれたナノスケール寸法フィーチャ制御が可能なように適合させることができる。例えば、先に説明した開口形成プロセスでは、限界開口の形成において、スパッタエッチングではなしにプラズマ中での反応性イオンエッチングを使用して、構造体の表面を薄くすることができる。このようなプラズマエッチプロセスでは、空洞を含む構造体の表面を、適当な取付具によってプラズマ環境から分離させる。反対側の構造体表面はプラズマ環境に完全に露光する。プラズマエッチングが進行して、構造体を薄くし、ついに限界開口および成長途上の開口が生み出されると、例えば構造体の分離された側に置かれたチャネルトロンによって開口を通り抜けたイオンが検出される。したがって、先に説明したイオンスパッタリングエッチングの方法で、開口を通り抜けたプラズマイオンの検出および計数に基づくフィードバック制御を、プラズマエッチプロセスに適用することができる。
本発明が企図する他のプロセス例では、物理検出およびフィードバック制御を、フィーチャを生成する目的に使用されるウェットエッチプロセスに適用することができる。例えば、構造体の開口の形成において、構造体に形成された空洞の近くに電極を配置することができる。この例では、空洞の反対側の構造体表面をウェットエッチ環境、例えば電気化学環境に露光し、空洞を含む構造の表面をエッチ環境から分離する。ウェットエッチが進行して構造体が薄くなり開口が開くと、開口を通り抜けた液体中のイオンを、空洞のある側の電極で検出、計数することができるようになる。これによって、所望の開口寸法が達成されたときにエッチングの電気刺激を終了させるフィードバック制御が可能になる。
本発明は、広範囲にわたる構造ソリッドステートフィーチャの製造を可能にする、物理種検出およびフィードバックプロセス制御の実現を企図する。フィードバック機構は、先に説明した開口形成プロセスだけに限定されない。先に説明したとおり、開口、スリット、トレンチ、ホール、または2つのフィーチャ縁間のギャップを、広範囲にわたる任意のプロセスにより、本発明のフィードバック機構を用いた正確かつ制御可能な方法で、正確に形成することができる。
例えば、例えば集束イオンビームまたはプラズマエッチング技法を使用して、膜の一方の表面からもう一方の表面まで膜の厚さ全体を貫通したホールを直接に形成する膜開口形成プロセスでは、フィードバックを使用してこの形成を制御および監視することができる。同様に、本発明は、膜の一方の表面に空洞を形成し、空洞を含むこの表面を例えばイオンスパッタリングエッチングに露光する膜開口形成プロセスを企図する。空洞の底と反対側の表面との間の膜の厚さは他の膜領域の厚さよりもはるかに薄いので、このようなエッチングは、膜の他の領域が完全にエッチングされる前に空洞の基部に限界開口をあける。本発明のフィードバック機構可能は、このプロセスの正確な制御および監視を可能にする。
厚さ約50nmの窒化シリコン膜を図2A〜2Eの方法で生成した。反応性イオンエッチングによって膜の厚さ全体におよぶ開口を形成した。その結果、幅37nmの開口を得た。その電子顕微鏡写真を図5Aに示す。次いでこの膜および開口を、フラックス約1.7Ar+/nm2/秒、エネルギー約3KeVのアルゴンイオンビームに露光した。イオンビームは膜に向かって導き、次いで膜とは違う方向へ導いて、5秒間隔の間に各回1秒間スパッタリングした。イオンビーム露光の間、膜の温度は約−102℃に維持した。
図5Bは、180秒のスパッタリングから得られた幅58nmの開口の電子顕微鏡写真である。図5Cは、時間に対する計数イオン数/秒のプロットである。時間と計数イオン数の間の全体に直線的な関係が示されている。
本発明では、フィードバックによって制御するプロセスが実施例2のような減法プロセスである必要はない。本発明のフィードバック技法によって加法プロセスを制御することもできる。例えば、所与の寸法の開口、トレンチまたはホールを適当なプロセスによって縮小しまたは幅狭くする。このプロセスの間に、本発明の物理種検出およびフィードバックプロセス制御を適用して、この縮小プロセスを制御することができる。
焼結、加熱、材料付着、材料成長および他の適当なプロセスを本発明のフィードバック機構によって制御することができる。同様に、酸化、膨潤、後に詳細に説明する材料フローおよび輸送、凝縮、蒸発、電気めっき、イオンまたは電子支援付着または成長、ならびに他のこのような加法プロセスを本発明に従って制御することができる。加法あるかまたは減法であるかにかかわらず、制御対象のプロセスの唯一の要件は、そのプロセスが、処理中の構造フィーチャの近くに検出種を、フィーチャ寸法の変化の指標としてその検出種を検出可能な方法で導入することを包含することができることである。先に説明したとおり、フィーチャは、膜、支持構造体上に提供された1つまたは複数の層、あるいは構造体自体、例えばシリコンウェーハに生成することができる。制御対象のプロセスが性質上加法なのかまたは減法なのかにかかわらず、本発明の制御プロセスのこれらの利点は、ナノメートル規模のフィーチャ寸法および寸法公差の形成において最も完全に活用し実現することができる。
この能力は、ある分野のナノメートルフィーチャの生成、例えばリソグラフィマスクプレートの形成において特に有利である。ここでは、例えば選択された幾何形状を有する出発膜を加法プロセスまたは減法プロセスによって処理して、最終的にワイヤ、パッドおよび他のマスクプレート幾何形状を形成することができる。これによって、マスクプレートフィーチャを効率的かつ効果的なプロセスで正確に形成することができる。
本発明の他の態様において、本発明の発明者は、イオンビームとソリッドステートの間の相互作用条件を制御して、ソリッドステート材料中のナノスケールフィーチャ寸法を操作できることを発見した。これらの制御されたイオンビーム相互作用技法では、ソリッドステート材料を必然的に除去するのではなしに、ソリッドステート材料のトポロジを調整することができる。具体的には、本発明が提供する選択されたプロセス条件下で、局所的にアディティブまたはサブトラクティブな原子輸送機構によってフィーチャ縁位置が正確かつ制御可能に生成され、かつ/または変更されるように、ソリッドステート材料を変形させることができる。
図6A〜6Cを参照する。このイオンビームフィーチャ制御の第1の例では、構造体10の限界開口24を、第1の直径D1からより小さな直径D2またはD3に調整する。この出発開口は、適当な任意の方法で、例えば先に説明し図1A〜1Dおよび図2A〜2Gに示した方法によって、選択された構造体、例えば膜、層、基板または他の構造体に形成される。次いで、限界開口が形成された構造体表面18を、例えば先に説明し図3A〜3Bに示したシステムを使用してイオンビーム照射に露光する。
図6Cに最も劇的に示されているが、選択されたイオンビーム照射条件について、照射された限界開口24の周縁ないし境界に材料が追加され、限界開口の直径が小さくなるという予想外の結果を発明者は発見した。この条件は、開口縁での材料の追加を引き起こす構造体の温度、イオンフラックス率およびイオンエネルギー条件を実現することによって、予想可能かつ正確に適用することができる。イオンビーム照射は一般に、スパッタリング/材料除去プロセスであると考えられているので、原子スパッタリング侵食が存在する場合にも、この材料移動/付加条件が効果的に進行して、フィーチャの物理寸法の変化にまでいたり得ることは思いもよらないことである。
厚さ約500nmの窒化シリコン膜を、図2A〜Eに概要を示したプロセスに従って生成した。反応性イオンエッチングによって膜の厚さ全体におよぶ開口を形成した。図7Aは、このエッチングから得られた幅95nmの開口の電子顕微鏡写真である。
次いで、この膜およびその開口を、エネルギー約3KeV、フラックス約47Ar+/秒/nm2のアルゴンイオンビームフラックスに露光した。イオンフラックス露光の間、膜の温度は約20℃に維持した。イオンビームは、1秒間隔の間に各回250ミリ秒、膜に導いた。
図7Bは、アルゴンイオンビームへの露光によって開口の直径が約3nmまで低減した後の、膜の電子顕微鏡写真である。図7Cは、時間に対する計数アルゴンイオン数/秒のプロットである。プロセスの中間点にかけては概ね直線的な計数率が指示されている。
理論立てはしないが、イオン照射した開口の縁に材料の蓄積を引き起こすイオンビームの能力の根底にある機構は、構造体のバルクを通した原子輸送;構造体の粘度、表面電荷、機械応力発生および側方膨張のイオン誘導性の変化;ならびに/あるいは、イオン誘導性の表面原子励起または構造体表面の可動吸着イオン種の過飽和によって引き起こされる原子表面輸送に関係していると、発明者は理解している。十分に低いイオンエネルギーでは、イオンの侵入深さは構造体の厚さよりもはるかに小さく、その結果、表面輸送プロセスが支配的となる。本発明は、特定の材料変形機構を必要としないが、予測可能な材料変形結果をもたらす特徴的なプロセス制御パラメータを提供する。
制御対象のプロセスパラメータについて考えると、イオンビーム照射にさらされている構造体の温度は、材料を移動させる能力および材料の移動率に直接に影響することが分かった。特定の構造体材料に対して、それよりも高い温度では、構造体の材料が移動し、その結果、フィーチャ寸法が調整または変更され、それよりも低い温度では、構造体からのスパッタリングによって材料が除去される特性温度が存在することが分かった。したがって、所与のイオンビームエネルギー/フラックス条件に対して、材料の除去と寸法フィーチャの調整との間の制御を、構造体の温度を制御することによって実施することができる。
図8のグラフを参照すると、長さ約72nmの正方形の開口が予め形成された厚さ500nmの窒化シリコン膜について、図3Aのシステムのようなイオンスパッタリングシステムによって検出された計数イオン数/秒が時間の関数としてプロットされている。この膜は、図2A〜2Fに示したプロセスに基づいて製造し、開口は、膜に集束イオンビームを導いて膜を完全に貫通する開口を形成することによって形成した。グラフのそれぞれの領域は、アルゴンイオンビームによる衝撃の間、膜が維持された温度を指示している。ビームフラックスは14Ar+/秒/nm2、ビームエネルギーは3KeVであった。膜に向かって導かれているイオンビームのオン/オフデューティサイクルは、1秒間隔の間に各回200ミリ秒、ビームを膜に導くというものであった。
時間の経過に対して、イオン数/秒の増大は開口寸法の増大を指示し、イオン数/秒の低下は開口寸法の低下を指示している。プロットされたデータは、膜の温度が約5℃よりも高くなるにつれて、イオンビーム照射下での開口の縮小率が増大することを明確に指示している。対照的に、約4℃よりも低い温度では、開口寸法は低下せずにむしろ増大する。約0℃から約−10℃の膜温度では、開口寸法が低減する低減率の温度に対する依存性は認められない。
この実験データから、窒化シリコン膜に対しては、2つの異なる温度レジームが存在することが指示される。所与のイオンビーム種、フラックスおよびエネルギー条件に対して、約5℃以上の第1の温度レジームは、イオンビーム照射による材料の移動およびフィーチャへの付加をもたらし、約4℃以下の第2の温度レジームは、イオンビーム照射による材料のスパッタリングおよび除去をもたらす。窒化シリコン膜に対するこの解析は、それよりも高い温度では注目する材料が移動してフィーチャを増大させる温度を決定するための、本発明が企図する経験的解析の一例である。この転移温度は材料ごとに大きく異なり得ることを認識されたい。
プロットされたこれらのデータはさらに、材料の移動および付加をもたらす温度レジームの範囲内では、フィーチャのトポロジを変化させる際の材料の輸送率が温度依存であることを指示している。相対的に高い温度で、輸送プロセスは相対的に低い温度よりも急速に進む。この温度依存性の輸送率を知ることは、プロセスの正確な制御および特性付けを可能にする。
約500nmの5枚の窒化シリコン膜を、図2A〜Eに概要を示したプロセスに従って製造した。この膜に、面積がそれぞれ約1400nm2の開口を集束イオンビームエッチングによって生成した。次いでこの膜を、エネルギー約3KeVの5段階のイオンビームフラックスのさまざまな全線量のアルゴンイオンビームに露光した。イオンビーム露光の間、それぞれの膜の温度は約22℃に維持した。それぞれのイオンビーム露光は、1秒間隔の間に各回200ミリ秒スパッタリングするように制御した。
図9A〜9Bのグラフを参照すると、5段階の異なるアルゴンイオンビームフラックスの全アルゴンイオンビーム線量(イオン/nm2)に対する開口の面積(nm2)、およびアルゴンイオンビームフラックスに対する線量あたりの開口面積の低減がそれぞれプロットされている。プロットされたデータから、全アルゴンイオンビーム線量の関数として、開口は、高い入射フラックスよりも低い入射フラックスでより急速に縮小することが指示されている。言い換えると、低フラックスであるほど、開口を縮小させるのに必要な線量は小さくて済む。この強い非線形性は、イオンビーム照射によって生み出される入射イオンあたりの材料の質量輸送量は、高い入射フラックスで抑制され得ることを指示している。この特性付けは、選択された質量輸送率での操作を可能にする。先に示した温度依存性の解析に類似した方法で、本発明は、材料の移動の正確な制御を可能にする、選択された材料のフラックス依存性の経験的解析を企図する。
厚さ50nmの窒化シリコン層を低圧化学蒸着によってシリコンウェーハに付着させた。電子ビームリソグラフィによって窒化シリコン層をパターン形成して、窒化シリコン層の厚さ全体におよぶ幅約50nmのトレンチを生成した。これによってそれぞれのトレンチの底にその下のシリコン表面が露出した。図10Aは、シリコンウェーハ上のトレンチを有する窒化シリコン層の走査電子顕微鏡写真である。
トレンチを有する窒化シリコン層を、エネルギー約3KeV、フラックス約20Ar+/nm2/秒のアルゴンイオンビームに露光した。イオンビームは、2秒間隔の間に各回0.5秒、スパッタリングした。イオンビーム露光の間、シリコンウェーハの温度は約20℃に維持した。図10Bは、約200秒のスパッタリング後の、トレンチを有する窒化シリコン層の走査電子顕微鏡写真である。窒化シリコン材料がトレンチに移動し、それによってトレンチが部分的に埋まっていることに注目されたい。このことは、ここで使用したプロセス条件では、窒化シリコン層からトレンチへ材料が輸送されることを指示している。
上で説明したものなどの、トレンチを有する厚さ50nmの第2の窒化シリコン層を、エネルギー約3KeV、イオンフラックス約30Ar+/nm2/秒のアルゴンイオンビームに露光した。合計約300秒のスパッタリング時間について、2秒間隔の間に各回1秒、イオンビームをスパッタリングした。イオンビーム露光の間、シリコンウェーハの温度は約−100℃に維持した。図10Cは、トレンチを有するこの窒化シリコン層の走査電子顕微鏡写真である。この図では、トレンチの縁の丸みによって指示されているとおり、トレンチの最上部の窒化シリコン材料がエッチングによって除去されている。トレンチの底は全く埋められていない。
この実施例は、所与の応用に対して望ましい、スパッタリングによる材料輸送/フィーチャ調整または材料除去を予想可能に生み出すために適用することができる温度制御を示している。
本発明が提供する追加の材料輸送制御機構について述べる。イオンビームのエネルギーは材料輸送の性質に影響を与え得ることが理解される。具体的には、所与の構造材料および温度、所与のイオンビーム電流密度、およびイオンビーム露光の所与の時間構造に対して、後に論じるように、それよりも高いエネルギーでは材料輸送が先に説明した方法で効果的に誘導され、それよりも低いエネルギーでは従来の方法でのスパッタリングが起こる、イオンビームエネルギーが存在する。この2つの異なる操作レジーム間の境界は、所与の材料およびイオンビーム露光システムに対して経験的に決定することができ、材料輸送プロセスを正確に使用可能および使用不能にする重要な制御技法として使用することができる。
本発明によればさらに、イオンフラックス露光の時間構造、すなわち、材料との相互作用が可能なようにイオンビームを制御し、次いで材料と相互作用しないようにイオンビームを制御する一連の時間間隔は、材料輸送およびフィーチャの寸法変化の性質に影響を与えることが分かった。具体的には、イオンフラックスに対するオン/オフのデューティサイクルの適用は、材料の移動および対応するフィーチャの寸法変化を引き起こす能力に影響を与えることが分かった。
厚さ500nmの窒化シリコン膜を図2A〜Eに概要を説明したプロセスに従って生成した。膜の厚さ全体におよぶ幅95nmの開口を集束イオンビームエッチングによって形成した。次いでこの膜および開口を、エネルギー約3KeV、フラックス約14Ar+/秒/nm2のアルゴンイオンビームに露光した。イオンビーム露光の間、膜の温度は約16℃に維持した。この露光の間に、イオンビームを膜に導く時間を変化させた。6つの異なる時間構造を使用した。すなわち1秒間隔の間に各回100ミリ秒、1秒間隔の間に各回200ミリ秒、1秒間隔の間に各回400ミリ秒、1秒間隔の間に各回600ミリ秒、2秒間隔の間に各回600ミリ秒および4秒間隔の間に各回600ミリ秒、それぞれビームをオンにした。このイオンビーム露光中に、さまざまなイオンビーム露光サイクルに応答した開口の縮小または拡大の指標として、イオンの検出および計数を実施した。
図11は、スパッタリング時間に対する計数アルゴンイオン数/秒のプロットである。このプロットは、400ミリ秒/1秒間隔および600ミリ秒/1秒間隔の時間構造では開口の直径が増大し、他の全ての時間構造では開口の直径が縮小したことを指示している。これは、室温付近では、イオンビーム露光時間構造を制御することによって、材料輸送プロセスとスパッタリングプロセスの間の制御を達成できることを示している。
イオン照射質量輸送にフィードバック制御を適用する本発明のイオン検出/計数機構は、正確なフィーチャ形成を可能にするため多くの応用にとって有利だが、本発明にとって必須ではない。質量輸送プロセスの特性付けがなされた後、および非常に緻密なフィーチャ制御を必要としないプロセスに対しては、システムのフィードバック制御は必要ない場合がある。必要なのは、局所的な材料の付加または除去によって材料の構造フィーチャの寸法を調整する質量輸送プロセスなどのプロセスを達成する条件下で、イオンビームに材料を露光することだけである。
本発明が提供するこの構造体材料調整プロセスは、ホール、スリット、開口、ギャップ一般およびトレンチのギャップ、ならびに明瞭なフィーチャの縁または壁が存在しこれを調整することができる他のこのようなフィーチャを含む、広範囲にわたる構造フィーチャに適用することができる。このプロセスは、小丘、凸凹などの突き出したフィーチャの製造にも適用することができる。
このような製造技法の一例では、イオンフラックスおよび線量、ならびに膜の温度を、イオンビームフラックスへの露光によって膜に突出部が生み出されるように選択する。選択された条件の下で1つの膜表面をイオンビームフラックスに露光する。その結果、イオンフラックスに露光した表面とは反対側の膜表面に突出部が形成される。
厚さ約500nmの窒化シリコン膜を、図2に概要を示した製造シーケンスに従ってLPCVDプロセスによって生成した。この膜を、エネルギー約50KeV、線量約4ナノクーロン/μm2のガリウムイオンビームに露光した。膜の分離された5つの露光面積、すなわち0.12μm2、0.14μm2、0.16μm2、0.18μm2および0.20μm2を画定した。
図12は、ガリウムイオンビームに露光した窒化膜の表面とは反対側の表面の原子間力顕微鏡写真である。この画像では、明るさのレベルがトポロジに対応する。明るい領域ほどその領域のトポロジは「背が高い」。この画像から分かるとおり、0.16μm2、0.18μm2および0.20μm2では両方の膜領域、0.14μm2では片方の膜領域がイオンビーム露光によって開通している。すなわち、その領域のイオンビーム露光によって膜の厚さ全体におよぶ開口が生じている。0.14μm2の残りの膜領域および0.12μm2の膜領域はこのイオンビーム露光によっては開通せず、その代わりに、イオンビームに露光された膜表面とは反対の表面に丘のような突出部が形成された。この実施例は、線量を制御して、構造体の表面に突出部が生み出されるような方法で質量輸送を引き起こすことができることを示している。この実施例はさらに、イオンビーム種がフィーチャの形成および調整の性質に影響を与え得ることを示している。この実施例では、これまでの実施例で使用したアルゴンイオンではなくガリウムイオンを使用した。本発明によれば、イオン種を選択して、フィーチャ形成処理のアスペクトを制御できることが理解される。同様に、本発明によれば、イオンと材料の相互作用中に存在する周囲ガス種を選択して、相互作用の性質を制御できることが理解される。
本発明のプロセスによって形成されたフィーチャ、および/または本発明のプロセスによって調整または変更された寸法を有するフィーチャを、構造体の表面、支持構造体上に提供された層または独立した膜、あるいはイオンビームによって照射することができる他の表面に提供することができる。複合材料構造体を処理することができる。寸法の調整を実施する出発構造体を生成するために使用する製造シーケンスに制限はない。
プロセスパラメータの制御を可能にするために、本発明は、これまでに説明したさまざまなイオンビームプロセスのモデルを提供する。このようなプロセス制御は、以前には達成できなかった精度でナノスケールのフィーチャを実際にイオンビーム彫刻する能力を提供する。所与の彫刻プロセスに対する適当なパラメータ値を有するモデルの解析式の解を、本発明に従って使用して、予め指定されたナノスケールフィーチャを、開ループ方式で、すなわち先に説明した図3Aのフィードバックシステムによって提供されるもののような閉ループイオン計数率フィードバック制御を必要とせずに、正確かつ予測可能に生み出すことができる。後に詳細に説明するとおり、本発明は、イオンビーム彫刻プロセスの間、先に論じたイオンビームスパッタリング現象と質量輸送現象とが競合するという認識を提供する。本発明の方法では、一方の現象が他方の現象に対して優勢となり、所望のナノスケールフィーチャまたは幾何形状を生成できるように、これらの現象を制御することができる。
本発明は、一般にイオンビーム彫刻中の材料の特性によって決まるプロセスパラメータに基づく解析モデル式を提供する。このような特性には例えば、材料組成、材料表面の構造体またはフィーチャの初期幾何形状、材料欠陥、ドーピング不純物、彫刻プロセスの周囲の局所環境、例えば周囲ガス環境、材料の温度、入射イオン種、イオンフラックスおよびイオンエネルギー、ならびに入射イオンビームを特徴づけるその他のパラメータが含まれる。したがって、本発明によれば、プロセスパラメータを、所望のプロセス結果を達成するための特定のイオンビーム彫刻応用に基づいて、後に説明する方法で調整することが認識される。
分かりやすくするため、以下の議論では特に、選択された直径または面積のナノポアのイオンビーム彫刻に基づくプロセスモデルを対象とする。しかし後に詳細に説明するとおり、本発明はこのようなモデルだけに限定されるものではない。本発明が提供する解析プロセスモデル式を調整して、広範囲にわたる幾何形状、例えば材料の厚さ全体におよぶ、または厚さの途中まで延びる、スリット、不規則な形状のホール、トレンチ、または他の幾何形状の形成を制御することができる。さらに、開口などのマイナスのフィーチャではなしにプラスのフィーチャを、以前に説明した方法で材料の表面または内部に形成することができる。さらに、リソグラフィマスクフィーチャ、質量輸送を伴うイオンビームドーピングプロファイル、埋込み層プロファイルなどのフィーチャを、本発明が提供するプロセスモデルに従って生成することができる。さらに、既存のフィーチャの寸法を本発明に従って制御し、変更することができる。このプロセス制御モデルは、どの基本的な幾何学的対称性またはパターンにも限定されない。どんな幾何形状またはフィーチャを形成し、制御し、かつ/または変更するとしても、本発明の方法論によるナノスケール制御は、どの幾何形状にも普遍的に適用可能である。
先に説明したとおり、イオンビーム彫刻の制御に使用するために本発明が使用するモデルは、彫刻の間に異なるプロセスどうしが競合する公算が大きいという認識に基づく。ポアの出発直径を選択された小さな直径まで低減するためのナノポアのイオンビーム彫刻を考えると、このような競合プロセスの第1のプロセスはポアを開く傾向があり、おそらくはポアの縁のイオンビームスパッタリング侵食によって駆動されると理解される。低温および高イオンビームフラックスではこの侵食プロセスが優勢であると理解される。確立されたスパッタリング現象学を使用して、ほとんどの応用に対して、このレジームでスパッタリングが優勢である彫刻プロセスを説明し、これを制御することができる。
第2の競合プロセスは、物質の移動すなわち質量輸送を引き起こす傾向があり、出発ポア直径を低減するために必要な程度まで機能することができる。理論立てはしないが、この現象は、2つ以上の見方によって説明することができると理解される。本発明に基づいて理解される第1の理論は、イオンビームのエネルギーおよびイオンビームによって材料の表面に付着した物質によって、非常に薄い例えば厚さ約5nmの応力が加わった粘性の表面層を生み出すことができるという見方をとる。イオン注入効果または表面張力によって低下した粘度および/または増大した応力によって駆動された強化された集団的移動によって、この層が流動化または弛緩する可能性があり、それによって材料が表面を横切って輸送される。
この「粘性流」モデルにも長所はあるが、本発明によれば、イオンビーム彫刻制御モデルは、あるプロセス理論、すなわち入射イオンは、イオンビームに露光された材料の表面に存在する吸着原子、吸着二量体、吸着分子、分子クラスター、表面空孔などの独立した余分な可動種を生成および消滅させるというプロセス理論を反映したものであることが好ましい。ほとんどの応用に対して、単一の可動種を仮定することが合理的であると理解される。簡単にするため本明細書ではこれを「吸着原子」と呼ぶ。表面吸着原子の濃度C(r,t)の変化を、本発明に従って、表面に沿った距離rおよび時間tの関数としてモデル化する。これは、以下の2次元拡散式によって支配される。
上式で、Cは2次元表面上の吸着原子の濃度、r=(x,y)は半径方向の表面位置、tは時間、Fはイオンフラックス、Y
1は、入射イオン1イオンあたりの生成吸着原子数、Dは吸着原子の表面拡散係数、τ
trapは、熱によって活性化された吸着原子の消滅が表面欠陥で起こるまでの吸着原子の平均寿命、σ
Cは、入射イオンによる吸着原子消滅の断面積である。
図13に、この式によってモデル化される競合機構を概略的に示す。表面吸着原子の濃度変化∂C/∂tは、第1に、イオンフラックスFによって生じる吸着原子の発生率に依存する。Y1は、入射イオン1イオンあたりの生成吸着原子数を指示する。モデルの第2項は、拡散による表面に沿った吸着原子の輸送および構造体の内部の吸着原子の輸送を駆動する質量輸送項であり、したがってこれは、吸着原子の表面拡散係数Dと吸着原子の濃度勾配とによって決まる。この輸送項は、先に説明し実証した方法でのポアの周辺からの材料の質量輸送によるナノポアの半径の低減をモデル化する。
図13に示すように、表面吸着原子の濃度変化は、表面欠陥ないしトラップで起こり得る吸着原子の消滅によって決定される。これに対応してτtrapは、トラップでこのような消滅が起こるまでの吸着原子の平均寿命と定義される。最後の項は、吸着原子のイオンビーム消滅をモデル化する。ここでσCは、入射イオンビーム自体による吸着原子消滅の断面積を反映する。ポアは質量輸送現象によって埋められるので、吸着原子の消滅はポア縁でも起こることが理解される。この消滅機構は、上式(1)の境界条件として取り扱われる。
上式(1)の右辺の第1項および最終項は、それぞれの入射イオンは、σCとして与えられる表面積を、その以前の状態から独立したY1/σCとして与えられる吸着原子濃度にリセットするとする、本発明が提供する理解を反映したものである。イオンフラックスにさらされている材料の中に、初期の直径のナノポアが存在することは、半径Rのナノポアの縁に吸着原子の吸い込みを加え、ポアの縁への材料の長距離拡散をモデル化するために式の右辺の第2項を含めることによって表される。ナノポア境界で消滅した吸着原子はナノポア境界で新しい安定な物質に変えられる。
所与のイオンビーム彫刻応用に対するパラメータY1、D、τtrapおよびσCの大きさは、適当な材料を用いた経験から推定することができ、独立した実験によって決定することができる。例えば、一連のポア閉鎖実験を実施することができる。この実験は、定常状態と過渡状態の両方を含み、フィーチャ形成、例えばポアの縮小率、および他の特性に対するそれぞれのパラメータの影響を正確に決定するために以前に説明した本発明のフィードバックシステムを使用することが好ましい。材料構造体の1回または数回の「試験」イオンフラックス露光を、さまざまな試験プロセス条件下で実施することができる。それぞれの「試験」露光は、以前に説明したイオン計数フィードバックループによって監視する。この監視は、試験プロセス条件に対するフィーチャ製造の依存性の指示を可能にする。次いで、蓄積された試験的なプロセス結果に基づいて、モデルパラメータの大きさおよび対応する最適プロセス条件を決定し、選択することができる。本発明によれば、温度、イオンビームフラックスおよびイオンビームエネルギーを調整し、さらに、周囲ガス種および圧力、イオン種、材料特性、例えば材料表面の痕跡不純物の濃度、材料欠陥および不純物ドーピングを調整することによって、モデルパラメータの値を操作できることが認識される。したがってこれらのパラメータは、所望ならば試験プロセス結果に基づく選択を可能にするために、および所与の応用に対してイオンビーム彫刻プロセスの正確な制御を可能にするために十分に調整可能であるとして取り扱われる。
上式(1)の右辺のトラップ消滅項と比較すると、上式(1)の右辺のイオン衝突消滅項は、イオン衝突によって引き起こされる消滅までの吸着原子の平均寿命τion=1/(FσC)に相当する。したがって、両方の消滅機構が存在するときの吸着原子の有効表面寿命τは下式で与えられる。
状況によっては、上式(1)の右辺の2つの消滅項の一方が他方に比べて重要でなくなるが、このことが常に当てはまるわけではなく、本発明の解析に対してはこのことは必要ないことを理解されたい。
追加の消滅機構、すなわち吸着原子の接合および吸着原子アイランドの沈殿による吸着原子の消滅は、解析的数学的な解答を容易にするためにこの偏微分方程式が非線形ではなく線形となるよう、単純にするため式(1)には表現されていない。ただし、この消滅チャネルを無視できない応用では、式(1)の右辺に別の項を追加して、より正確にモデル化されることを理解されたい。これは、−Cn/τislandに比例すると思われる。上項で、nは、臨界サイズ、すなわち縮小する確率が成長する確率をちょうど上回るサイズの臨界アイランド中の吸着原子の数、τislandは、吸着原子アイランド形成のための特性時定数である。吸着原子の熱的発生、周囲の真空中への吸着原子の熱脱離、および周囲蒸気からの吸着原子の付着も、分かりやすくするために無視した追加の機構であるが、所与の応用に対して必要なときには、これらの機構も先に説明した機構に容易に組み込むことができる。
上式(1)は、フィーチャ、例えばナノポアから遠く離れると、材料表面の定常イオンビーム照射は、材料表面およびこの表面の近くに、空間的に均一な定常状態吸着原子濃度CSS=FY1τを生み出すという、本発明が提供する理解を表現している。ポア境界ないしナノポア縁は、吸着原子の「完全な吸込み」であると捉えることができる。吸着原子はそこで、ポアの縮小の主原因である蓄積物質の薄層に変化する。ナノポア縁が吸着原子の吸込みであるとした場合、ナノポア縁に近づくにつれて吸着原子の過飽和は低下する。上式1は、n(r,t)≡(CSS−C(r,t))/CSSで与えられる、CSSとC(r,t)の間の正規化された差n(r,t)が、下記の拡散方程式に従うことを含意している。
ポア境界が吸着原子の「完全な吸込み」であるとする仮定は、吸着原子の濃度Cが、図13に示すような半径Rのポア境界で消滅することを意味している。これは、ポアにおける吸着原子の正味の集積、したがってポア直径の低減を説明する最も単純な境界条件である。しかし、本発明によれば、イオンビームとの相互作用のためポア境界は、吸着原子ではなく空孔が表面輸送を支配する場合に、このポア縮小効果を生み出しつつ、表面空孔の正味の源となり得ることが認識される。したがって本発明は、吸着原子の「完全な吸込み」境界条件だけに限定されない。本発明が企図する代替境界処理は、表面適応速度を使用して、ポア境界での吸着原子の部分的な吸込みを、表面と相互作用する電荷担体の半導体モデル化で使用される表面再結合速度係数に似た方法で記述する。これらのポア境界条件を、他のフィーチャ位置特性に直接に一般化することができる。
したがって、本発明の制御方法が使用する拡散モデルは、事実上、いくつかの理想化および仮定に依存して、イオンビーム露光下の物質の多くの顕微鏡的特性の諸態様の不確かさを補償する現象学的モデルであることが分かった。それにもかかわらず、さまざまな温度、ガス環境および材料条件でのパルスおよび連続イオンビーム露光の研究を、所与の応用に対して、拡散係数D、イオン誘導性吸着原子集団Y1、イオン衝突による吸着原子消滅の面積σ、トラップ消滅までの吸着原子の寿命τtrapのような材料固有のパラメータの決定を可能にするモデルとともに使用することができると発明者は理解している。このような解析は、有用なナノスケールデバイスの製造において、材料の予め指定された正確なイオンビーム彫刻を可能にする。
さらに、イオンビーム彫刻の技術者は、本発明が提供するモデルを、定量的および定性的に使用することができる。すなわち、この解析モデル式の解の定性的および定量的性質、ならびに実験的な制御を受けたこのモデルのさまざまなパラメータに対するそれらの依存関係を知ることによって、これらのパラメータを調整して、多くの種類の構造体に対して、構造体の所望の寸法制御を達成することができる。例えば、このモデルは、ポアの縮小率を増大させる能力の定性的な依存関係、および材料の温度を増大させることによって、または入射イオンの入射フラックスを低減することによって、イオン彫刻を用いてポア直径を低減する可能性を示す。このモデルはさらに、所与の応用に対して必要な、温度増大またはフラックス低下の正確な定量的依存関係を提供する。これらの例で、技術者は、このような行為がそれぞれ、表面拡散定数の温度による増強および吸着原子のスパッタリングの低減によって、吸着原子の表面拡散の効果をスパッタリング効果よりも増大させることに気づくことによって、これらの行為に導かれる。
このモデルの他の定性的および定量的使用には、モデルの解析的予測と補助的な経験的観察の相関関係が含まれる。例えば、イオンビーム彫刻プロセスの下でその面積が所望の面積までより急速に縮小するナノポアは、彫刻プロセスが有効となる前に最小の初期直径を持っている必要があるという観察を、モデルを介してプロセス条件に相関させることができる。その解の発展の所与のステージでこのモデルは、ポア直径を制御するプロセスの詳細を含むことができないが、このモデルを使用して、プロセス制御パラメータを相関させ、それによって例えばプロセス機構を制御することができる。
他の例では、図7A〜7Bの電子顕微鏡写真に示したポアに関して先に説明した方法での、出発直径から選択された最終直径へのナノスケールポアの直径の縮小を考える。図9A〜9Bに示したイオンビーム線量に対するポア面積のプロットは、所与のイオンビーム線量に対し、入射イオンビームフラックスが低下するにつれて、材料の質量輸送は増大し、それによってポアの直径がより急速に縮小することを示している。先に説明したとおり、この結果の強い非線形性は、高イオンビームフラックスでは、本発明のモデルによって捕捉される質量輸送機構が抑制される可能性があることを指示している。本発明のモデルに基づく解析および試験は、所与の材料に対するこのフラックス依存関係とイオンビーム特性との相関を可能にする。
図14Aに、全イオンビーム線量に対するポア縮小データ、ここではナノポア面積の類似のプロットを、いくつかのイオンビームフラックス、ならびに連続およびパルスイオンビーム露光について示す。ドットされプロットされた点は実験によって測定された結果に対応し、実線は、後に詳細に説明する上式(1)の解析によって生み出された結果に対応する。これらのデータの傾きは、イオンビームフラックスF=0.53、1.17および4.7Ar/秒/nm2の連続イオンビーム露光について、入射イオンあたりのポア閉鎖の効率は、高フラックスよりも低フラックスで明らかにより大きいことを示している。このプロットされたデータはさらに、ここでは100ミリ秒/1秒のパルスイオンビーム露光が、同じ瞬時フラックスの連続イオンビームよりも効果的な質量輸送を提供し、さらに、これに対応してより大きなポア面積縮小率を提供することを示している。プロットされたパルスイオンビーム露光データに対して本発明が提供する具体的な制御方法を以下で説明する。
先に説明したとおり、本発明によれば、所与の応用に対してイオンビーム彫刻プロセスのパラメータを、本発明が提供するプロセスモデルに基づいて調整して、彫刻プロセスによって生み出されるナノスケール幾何形状を規定することができる。先に説明したとおり、パラメータは一般に、イオン彫刻中の材料の組成、彫刻プロセス中の構造体の周囲の環境、温度、入射イオン種、エネルギー、および入射イオンビームを特徴づけるその他のパラメータによって決まる。入射イオンビームは、原子、すなわち中性イオン、制御された電荷状態のイオン、入射原子の分子またはクラスター、あるいは全く任意の制御されたエネルギー源として供給することができる。さまざまなエネルギー源に対しては異なるモデルパラメータが必要となると認識される。さらに本発明は、複数のエネルギー源の使用、ならびに彫刻プロセスの開始時およびその最中の材料表面の電荷状態の調整を企図する。
本発明によれば、イオン彫刻中の構造体の表面およびその表面のイオン誘導性吸着原子はともに、環境の影響を非常に受けやすいと認識される。環境とは、酸素、水素、六フッ化硫黄または他の選択されたガスのような背景ガス環境を意味する。その結果、これらのガスと表面原子および/または吸着原子との相互作用、吸着原子の輸送、ならびに/あるいは表面原子および吸着原子の除去を、このようなガスがない状態で実施されるプロセスに比べて、大幅に変更することができる。その結果、本発明が提供するモデルで捕捉されるイオン彫刻機構の率および符号は周囲ガス種によって劇的に変更され、これらの変更は、イオンビーム彫刻プロセスの正確な制御に対して非常に有用となり得る。
さらに、周囲ガスの状態および化学反応性、ならびに作用先の表面の励起状態または電荷状態は、入射イオンビームによって影響され、または入射イオンビームによって触媒され得ると認識される。この結果、吸着原子の除去または付加、および/あるいは表面欠陥トラップの生成または排除が生じ、それによってイオン彫刻プロセスの質量輸送機構および消滅機構に影響を与えることができる。電子ビーム、レーザビーム、原子ビーム、準安定励起原子ビーム、イオンビームの混合物、他のエネルギー源など、入射イオンビーム以外の手段を使用して、プロセスを実施する周囲環境に対するイオン彫刻プロセスの感度を制御することができる。本発明によれば、これらのさまざまな影響の調整および制御によって、有用なナノスケールデバイスの製造において、イオンビーム彫刻された予め指定された正確な幾何形状の柔軟性および再現性が可能になると認識される。
先に述べたとおり、特定のイオンビーム彫刻応用に基づいてイオンビームの電荷状態を調整して、所望のイオン彫刻プロセス結果を得ることができる。本発明によれば、陽イオン、中性イオンまたは陰イオンを使用して、彫刻プロセス中に生成され表面に沿って輸送される吸着原子間に所望の表面力を生み出すことができる。
本発明が提供する解析モデルのより定量的な解に移る。上式(1)を再び参照すると、吸着原子消滅機構に対する吸着原子の生成および輸送機構の優位性を制御することによって、イオン彫刻プロセスを明確に制御できることは明らかである。具体的には、項FY1によって表される吸着原子生成機構、ならびに項D▽2Cによって表される吸着原子質量輸送機構を制御して、項C/τtrapによって表される吸着原子トラップ消滅機構、ならびに項FCσCによって表される吸着原子イオン衝突消滅機構を支配し、あるいはこれらの機構によって支配されるようにすることができる。この制御はしたがって、イオン彫刻プロセスを「開始」および「停止」させて、所望のフィーチャ幾何形状を達成することができる。
具体的には、本発明によれば、イオンフラックスFおよび吸着原子拡散係数Dに影響を与えるプロセスパラメータを、表面欠陥およびイオン衝突特性に影響を与えるプロセスパラメータに対して選択して、吸着原子の濃度および輸送を制御する。例えば、材料の温度、材料の表面状態および材料に依存したその他の特性を、吸着原子拡散係数Dが増大するように選択し、それによってイオン彫刻中のフィーチャへの質量輸送を増大させ、イオン彫刻されたフィーチャの生成率を最大化する。表面欠陥およびこの他の材料トラップ機構を最小化して、トラップによる吸着原子の消滅を最小化し、それによってイオン彫刻プロセスの質量輸送機構をさらに強化することができる。
図14Aのプロットを参照して先に説明したイオンビームフラックスFの影響を考えると、イオンビームフラックスが増大するにつれて、イオン衝突による吸着原子の消滅も増大し、その結果、吸着原子の濃度および生成されるフィーチャへの吸着原子の輸送が低減する。しかし同時に、イオンビームフラックスが増大するにつれて、生成される吸着原子の数も増大する。したがってイオンビームフラックスは、吸着原子の生成および消滅に影響を与え、それによってイオン彫刻プロセスに対する吸着原子のアベイラビリティが決定されるように制御することが好ましい。入射イオン種およびエネルギーの制御ならびにプロセスのガス環境の制御によって、因数Y1およびσCを制御することができ、同様に吸着原子の生成および消滅を制御することができる。
式(1)のモデルによって与えられる空間的な吸着原子の濃度プロファイルに対する特定の解は、式(1)の左辺をゼロにセットした、準定常近似の下で得ることができる。このシナリオは、処理中の材料の吸着原子の濃度プロファイルが、フィーチャ幾何形状の変化、例えばポア半径RおよびイオンフラックスFの変化に合わせて迅速に調整される応用に対して正当化される。この仮定で、このモデルは、ポア縁から遠い位置で空間的に均一な定常状態吸着原子過飽和濃度を与え、これは、特性質量輸送距離Xmにわたって減衰しナノポア縁でゼロになる。
吸着原子は、イオンビーム照射にさらされた材料表面のいたるところで除去され、イオンビームによって生み出されるので、フィーチャ、例えばポア縁の質量輸送距離Xmの内側で生み出された吸着原子は、入射イオンによって消滅するよりも、ポア縁まで拡散し、ポア縁の材料に加わる確率が高い。これよりも遠くで生み出された吸着原子についてはこの逆が真である。したがって、質量輸送距離Xmはフラックスの増大とともに低下する。
ポア縁からのスパッタリング侵食の有効断面積Ypを、拡散がそれほど重大でないと予想される低温で得られた関連データから得、入射イオン1つあたりの生成吸着原子数Y1を1桁であるとすると、厚さ約10nmの窒化シリコン試料に対して、式(1)のモデルは、与えられたそれぞれのアルゴンフラックスについて、温度約28℃で、図14Aの実線の曲線を与える。この温度は、ポアが縮小すると実験的に確認された温度である。
このデータから、線形適合を使用し、合理的な推定値としてσC約0.1nm2を用いて、拡散係数Dの値約103nm2秒−1が抽出される。したがってこの実験データから、その中の吸着原子がフィーチャ位置、例えば縮小しているポアの縁まで拡散し、そこの材料に加わる確率が高い最大距離Xmが、下式のように、吸着原子の拡散係数、トラップ寿命、イオンビームフラックスおよび吸着原子消滅の断面積に直線的に比例することをこのモデルが予測していることが分かる。
実際に、図14Bのプロットされたデータによって示される線形関係が観察される。図14Aは、考慮したそれぞれのイオンフラックスに対する、対応する質量輸送距離X
mの指示を提供する。したがって質量輸送距離X
mは、この範囲の中では吸着原子が、トラップまたはイオンビームフラックス侵食によって消滅するよりもポアに到達する確率が高い、ポア縁からの特性距離を表すことが分かる。ポア縁などの形成されるフィーチャから距離X
mよりも遠くにある吸着原子は、ポア縁に到達する前に消滅する確率が高い。
特定のパラメータの効果を考えると、イオンビームフラックスが増大するにつれて、生成される吸着原子の数は増大するが、その距離にある吸着原子がポア縁まで拡散してポア縁に加わることができる距離は短くなる。吸着原子の平均寿命は表面欠陥の低減によって増大するので、吸着原子の最大拡散距離も増大する。温度が増大するにつれて、拡散係数が増大し、これに対応して吸着原子の最大拡散距離も増大する。本発明が提供するこれらの関係の解析的理解を用いて、このモデルは、所与の処理条件下でフィーチャを完全に形成するための十分な材料、例えばナノポアの半径を所望の最終半径Rまで縮小するための十分な材料を提供するために、ナノポアなどの出発フィーチャの周囲、またはフィーチャが製造される位置の周囲に提供されなければならない材料の最小距離Xmを規定する能力を可能にし、所与の応用に対して使用可能な最大拡散距離Xmを収容するための処理条件の調整を可能にする。
処理中の表面の任意の位置rにおける吸着原子フラックスまたは電流jは下式で与えられる。
半径方向の座標r、およびナノポアの縁r=Rで評価された濃度勾配は、ナノポア材料の縁への吸着原子フラックスj(R)の指示を提供する。さらに、ポアの面積を増大させる傾向があるナノポアの縁からの材料のスクレーピングは、ポア縁からのスパッタリング侵食の特性断面積によって説明される。
ナノポアに到達したそれぞれの吸着原子が、体積Ωだけポアを埋め、それによってポアの大きさが縮小する場合、ナノポアの縮小率は、下式で与えられる体積バランスによって予測される。
上式で、Y
pは、ポア縁からのスパッタリング侵食の有効断面積、Hは、ナノポアが縮小しまたは埋められたときに形成されるフィルムの厚さ、Ωは原子容である。ナノポアの縁での吸着原子電流j(R)の式(5)を代入すると、下式が得られる。
上式で、K
0およびK
1は第2種の変形ベッセル関数である。
この式は、イオンビーム環境の所与の特性プロセスパラメータセットに対し、所望の半径Rのナノポアを生成するためのイオンビーム彫刻の制御を可能にする。例えば、このモデルから、ポア半径の低減が温度の増大とともに強化されることが分かる。これは、先に説明した方法で熱的に活性化された吸着原子の拡散係数によって説明することができる。
この理解に基づき、式(1)の右辺の最初の2項が式(1)の右辺の次の2項を支配するように、吸着原子生成および質量の輸送に影響を与えるプロセスパラメータを選択した場合、選択されたフィーチャをイオン照射中の材料に形成するイオン彫刻が進行する。一方、トラップによる吸着原子の消滅およびイオン衝突による吸着原子の消滅に影響を与えるプロセスパラメータを、式(1)の右辺の最後の2項が支配的となるように選択した場合には、1つの表面位置からの他の位置への材料の質量輸送ではなく、材料のスパッタリングおよび除去が起こるように制御される。
したがって、本発明の制御方法によれば、この方法を用い、式(7)を使用して、特定の処理条件セットの下で完全に縮小できる最大出発ポア半径Rmaxを指定することができる。この最大出発半径Rmaxは、温度の増大、およびイオンビームフラックスの低減とともに増大する。開いたポアを閉じることができる条件を決定するシナリオでは、十分に高い温度および十分に低いイオンビームフラックスにおいてRmaxは無限大となる。最大半径Rmaxはしたがって下式で与えられる。
はポア半径Rの増大とともに小さくなり、そのためR=R
max以上では、ポア半径を縮小することはできない。これによって、この式の解析は、所望のR
maxを生成し、または所与の応用によって固定される最大半径R
maxを収容するための処理条件の調整を可能にする。
ナノポア半径が縮小し、ポアが埋められるときに生成する成長する膜またはフィルムの厚さHは、縮小率d(πR2)/dtによって決まることが経験的に観察されている。Rはナノポアの半径である。ポアの縮小率が大きいほど薄いフィルムが生じる。さらに、イオンビームのエネルギーが大きいほど厚いフィルムが生じる。以上に示した式に基づき、本発明は、所望のポア縮小率およびフィルム厚さを与えるイオンビーム彫刻プロセス条件、特にイオンビームエネルギーを選択することによって、選択のフィルム厚さを規定する能力を提供する。
先に説明したとおり、本発明によれば一般に、任意の形状の開口の周縁のさまざまな領域も上式1〜4に従って開閉されることが理解される。さらに、上式4〜8を明白な方法で一般化して、ここで与えた例で仮定した円筒対称性を排除し、任意の形状のフィーチャのモデル化およびプロセス制御を可能にすることができる。したがって先に述べたとおり、本発明は特定のフィーチャ幾何形状に限定されない。
吸着原子拡散モデルの時間依存解を本発明に従って使用して、選択されたデューティサイクルを有するパルスイオンビームを使用したイオン彫刻プロセスを記述することができる。入射イオンビームがオフのときの条件をモデル化するために、初期濃度プロファイルに対して定常状態条件を仮定する。すなわち、イオンビームフラックスをF=0にセットする。表面の吸着原子の初期濃度は先のナノポア例に対して下式で与えられる。
上式で、C
SSはポア縁から遠く離れた位置の定常状態吸着原子濃度である。この初期濃度を上式(1)に代入すると下式が得られる。
上式で、bは、ポア縁から遠く離れた位置、すなわちN≫1での外側境界条件である。実際の計算では、一般にN≒5で十分だが、いくつかの応用では、正確さを高めるためにより大きなN値が必要となり得ると認識される。
上式(10)の解は、ビームをオフにした後の処理中の材料の表面の吸着原子濃度の時間依存解を以下のように提供する。
が与えられる。J
0およびY
0は第1種のベッセル関数である。
イオンビームがオフのとき、または材料がビームによって照射されていないときのポア面積の縮小率は下式で与えられる。
処理中の材料がイオンビームによって照射されていないとき、すなわちビームが消された直後、または材料がビームから遮蔽されているとき、材料の表面に可動性の吸着原子が残るが、入射ビームフラックスに関連した吸着原子の消滅機構はもはや存在しない。したがって、材料がイオンビームにさらされなくなると、材料表面に残った吸着原子は、大幅に増大したX
mからポアの周縁へ拡散することができる。この条件は、イオン1つあたりのポア半径を縮小させる効率をかなり増大させることが分かる。実際、図14Aのプロットに示すように、パルスイオンビーム照射プロセスは、フィーチャの形成、ここではポア半径の縮小において、連続露光条件よりも効率的であることが実験から分かった。
本発明によれば、式(13)を上式(7)と組み合わせて使用して、パルスイオンビーム彫刻プロセスを使用したときのフィーチャの形成または変化率、例えばナノポアの直径の縮小率を予測し、これを制御することができる。具体的には、パルスイオンビームの時間構造、すなわちパルスレートおよびデューティサイクルを、本発明に従って調整して、構造寸法変化の符号および変化率を制御することができる。
本発明によれば、ビームがオフのときの条件と同様に、ビームを最初にオンにしたとき、または構造体を再びビームに露光したときの過渡的な解もあると認識される。この過渡状態は、あるの条件下では重要である可能性があるが、ほとんどの応用では、「ビームオン」過渡状態は「ビームオフ」過渡状態よりもかなり短く、したがって無視できると理解される。所与の応用に関してこれが当てはまらない場合には、先に示した「ビームオフ」過渡解析を「ビームオン」解析に拡張することが好ましい。次いで、イオンビーム照射のデューティサイクルを、所望のイオン彫刻結果が得られるように特に選択することができる。
本発明のプロセス制御方法の有効性を示すため、DNAの単一分子電子検出器として使用するために、Si3N4膜にナノポアを彫刻した。タンパク質ナノポアまたはチャネルは水性溶液中の脂質2重層に挿入される。これらは単一分子を識別し特徴づける電子センサの働きをする。しかし、脂質2重層中のタンパク質は不安定であり、それらが提供するチャネル直径は容易に調整できない。本発明に従って所望の直径に作られた丈夫なソリッドステートナノポアは、新しいデータの取得および限定空間内の輸送の理解を可能にし、DNAおよび他のバイオポリマーの分子を先例のない速度で特徴づける丈夫な単一分子センシングデバイスの製造を可能にする。
先に説明したプロセスパラメータおよびプロセス制御に従って、直径5nmのポアを窒化シリコン膜に形成した。次いで、電気生理学的技法を使用し、2本鎖DNAを用いてこのポアを試験した。このナノポアから負に帯電したDNA分子を引き抜くと考えられる電圧バイアスを印加した後に、脂質2重層中のα−ヘモリシンによって形成されたチャネルを通って1本鎖DNAが移動したときに観察されるイオン電流の遮断に類似した、図15に示すようなイオン電流の低減が観察された。DNAを加える前の1時間の監視の間、電流のこのような低減は観察されず、また、電圧バイアスを逆にすると電流の低減は止まったので、この電流低減は、個々のDNA分子とナノポアとの相互作用によるものと考えられる。これらの電流低減の持続時間はミリ秒程度であり、開いたポアの電流値の約88%の電流値まで一貫して低下することが分かった。この最後の値は、断面積が3〜4nm2の棒状分子の移動と同等である。
以上に説明した実験的観測、モデル考慮事項および制御方法、ならびに実験的な電子デバイス結果は、本発明のイオンビーム彫刻制御方法がナノスケール製造の優れた方法であることを指示している。具体的には、本発明は、イオンビーム彫刻プロセス中に競合するスパッタリングプロセスと質量輸送プロセスの制御を可能にする。先に説明したフィードバック制御技法では、再現性を、全ての条件および出発寸法を正確に一致させることに依存しない。しかし、これが達成できる場合、本発明の制御モデルは、イオン計数率または他のフィードバック制御に依存しない開ループ処理を可能にする。したがって本発明は、イオン計数フィードバックループに適応することができるフィーチャまたは幾何形状だけに限定されない。
本発明のイオンビーム彫刻制御方法は、広範囲にわたるナノスケールの半導体デバイス、マスクおよび機械フィーチャの製造に特に有用であり、先に説明したとおり、ポアまたはスルーホールの形成だけに限定されない。スリット、トレンチ、クロス、ドーピングプロファイル、レジストパターン、埋込み層プロファイル、ならびに他の幾何形状およびフィーチャを形成し、寸法を制御し、変更することができる。同様に、Si、SiO2、Si3N4、Alなどのマイクロエレクトロニクス材料および広範な他の材料を含む、広範囲にわたる材料を使用することができる。さらに、次世代のイオン源アレイおよびマスク技術を多チャネルイオン検出器と組み合わせて使用して、本発明のナノスケールイオンビーム彫刻制御方法の高度に並列的な応用を可能にすることができると認識される。
この議論では、本発明のソリッドステートフィーチャ形成および寸法制御プロセスの幅広い応用を強調した。本発明のサブトラクティブおよびアディティブ材料処理技法は、本発明の物理種検出およびフィードバック制御とともに、非常に正確かつ再現可能なフィーチャ形成を可能にする。この精密さおよび制御の利点は、ナノメートルフィーチャ寸法および寸法公差に適用したときに最も明らかになる。もちろん、当業者は、当技術分野に貢献する本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本発明のプロセスにさまざまな変更および追加を実施ができると認識される。したがって、本明細書によって提供しようとする保護は、請求項の内容および本発明の範囲に含まれるその全ての等価物にまで拡張されるものと考えなければならない。
図1Aは、開口を生成するための本発明に基づく製造シーケンスの一ステップの概略断面図である。
図1Bは、開口を生成するための本発明に基づく製造シーケンスの次のステップの概略断面図である。
図1Cは、開口を生成するための本発明に基づく製造シーケンスの次のステップの概略断面図である。
図1Dは、開口を生成するための本発明に基づく製造シーケンスの次のステップの概略断面図である。
図1Aの空洞を膜に生成するための製造シーケンスの一例の一ステップの概略断面図である。
図1Aの空洞を膜に生成するための製造シーケンスの一例の次のステップの概略断面図である。
図1Aの空洞を膜に生成するための製造シーケンスの一例の次のステップの概略断面図である。
図1Aの空洞を膜に生成するための製造シーケンスの一例の次のステップの概略断面図である。
図1Aの空洞を膜に生成するための製造シーケンスの一例の次のステップの概略断面図である。
図1Aの空洞を膜に生成するための製造シーケンスの一例の次のステップの概略断面図である。
図1Aの空洞を膜に生成するための製造シーケンスの一例の次のステップの概略断面図である。
本発明に従って精密フィードバック制御を実装するように構成されたイオンビームスパッタリングシステムの概略図である。
本発明に従って精密フィードバック制御を実装するように構成されたイオンビームスパッタリングシステムの概略図である。
厚さ500nmの窒化シリコン膜に本発明に従って形成された空洞の電子顕微鏡写真である。
本発明が提供するプロセスによって窒化シリコン膜に形成された幅10nmの開口の電子顕微鏡写真である。
図4Bに示した開口を得た開口エッチプロセスの時間に対する検出イオン数のプロットである。
厚さ500nmの窒化シリコン膜に本発明に従って形成された幅37nmの開口の電子顕微鏡写真である。
本発明が提供するプロセスによって幅58nmまで拡大された図5Aの開口の電子顕微鏡写真である。
図5Aに示したものから図5Bに示したものへ開口を増大させた開口エッチプロセスの時間に対する検出イオン数のプロットである。
図6Aは、本発明が提供するプロセスによる限界開口の直径の縮小の一ステージの概略断面図である。
図6Bは、本発明が提供するプロセスによる限界開口の直径の縮小の次のステージの概略断面図である。
図6Cは、本発明が提供するプロセスによる限界開口の直径の縮小の次のステージの概略断面図である。
厚さ500nmの窒化シリコン膜に本発明に従って形成された幅95nmの開口の電子顕微鏡写真である。
本発明が提供するプロセスによって幅3nmまで縮小された図5Aの開口の電子顕微鏡写真である。
図7Aに示したものから図7Bに示したものへ開口を縮小させた開口エッチプロセスの時間に対する検出イオン数のプロットである。
さまざまな温度条件下で本発明の質量輸送プロセスにかけた厚さ500nmの窒化シリコン膜の初期面積約72nm×72nmの正方形の開口のイオンスパッタリング時間に対する、1秒あたりの検出イオン数のプロットである。
本発明が提供する材料輸送プロセスのための、初期面積約1400nm2の開口の、5段階の異なるイオンフラックスの全イオン線量に対する開口の面積のプロットである。
本発明が提供する材料輸送プロセスのための、初期面積約1400nm2の開口の、イオンフラックスに対する線量あたりの開口面積の低減のプロットである。
図10Aは、その下のシリコンウェーハが露出したトレンチを有する窒化シリコン層の走査電子顕微鏡写真である。
図10Bは、本発明が提供する材料輸送プロセス条件の結果、窒化シリコントレンチが部分的に埋まった、走査電子顕微鏡写真である。
図10Cは、本発明が提供するスパッタリング条件の結果、スパッタリングエッチングによって上部トレンチ層が部分的に除去された、走査電子顕微鏡写真である。
さまざまなイオンビーム露光サイクルの時間に対する、開口を通り抜け計数されたイオン数/秒のプロットである。
一方の表面を集束イオンビームに露光して、イオンビームに露光した膜表面の反対側の表面に開口および突出部が生成された、窒化シリコン膜の原子間力顕微鏡写真である。
本発明が提供する材料輸送/イオン彫刻プロセスを経たソリッドステート構造体表面の概略図である。本発明が提供するイオン彫刻モデルの各種項に対応する物理機構が識別されている。
図14Aは、本発明が提供する材料輸送プロセスのための、連続および周期的イオンフラックス露光の4段階の異なるイオンフラックスの全イオン線量に対する開口面積のプロットである。
図14Bは、入射アルゴンイオンフラックスに対する吸着原子の拡散距離の逆数のプロットである。
本発明に従って窒化シリコン膜に生成されたナノポアから負に帯電したDNA分子が引き抜かれたときに得られた、時間に対する測定電流のプロットである。