JP2006509645A - 固体特徴のパルスイオンビーム制御方法 - Google Patents
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Abstract
固体構造特徴の物理寸法を制御するために、1つの表面を有し、1つの構造特徴を有する固体構造を提供する。構造を、第1のデューティサイクルに対する第1のイオン曝露期間および第1の非曝露期間により特徴づけられる、第1の曝露デューティサイクルを有する第1の周期的イオンフラックスに曝露し、その後、第2のデューティサイクルに対する第2のイオン曝露期間および第1の非曝露期間より大きな第2の非曝露期間により特徴づけられる、第2のイオン曝露デューティサイクルを有する第2の周期的イオンフラックスにおいて、構造表面を含む構造内で、イオンフラックス曝露に応じて構造材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に構造の材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる。
Description
本出願は、2002年10月29日に出願された米国特許仮出願第60/421,908号(この内容については、参照として全体が本明細書に組み入れられる)の恩典を主張する。この出願は、2002年6月27日に出願された同時係属中の米国本出願(Non-provisional Application)第10/186,105号の一部継続出願であり、第10/186,105号は、2001年6月27日に出願された米国特許仮出願第60/301,400号の恩典を主張し、この内容は、参照として全体が本明細書に組み込まれ、第60/301,400号は、2000年6月22日に出願された同時継続中の米国本出願第09/599,137号の一部継続出願であり、第09/599,137号は現在、米国特許第6,464,842号として発行されており、1999年6月22に出願された米国特許仮出願第60/140,021号の恩典を主張し、第60/140,021号の内容は参照として全体が本明細書に組み入れられる。
関連出願の相互参照
本出願は、2000年6月22に出願された“Molecular and Atomic Scale Evaluation of Biopolymers”と題する同時継続中の米国本出願第09/602,650号(現在、米国特許第6,627,067号として発行されている)に関連する。この特許の内容は参照として全体が本明細書に組み入れられる。
本出願は、2000年6月22に出願された“Molecular and Atomic Scale Evaluation of Biopolymers”と題する同時継続中の米国本出願第09/602,650号(現在、米国特許第6,627,067号として発行されている)に関連する。この特許の内容は参照として全体が本明細書に組み入れられる。
連邦政府支援の研究に関する声明
本発明は、DARPAにより与えられた契約第F49620-01-1-0467号の下、NSFにより与えられた契約第DMR-0073590号の下、およびDOEにより与えられた契約第DE-FG02-01ER45922の下、政府支援により行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
本発明は、DARPAにより与えられた契約第F49620-01-1-0467号の下、NSFにより与えられた契約第DMR-0073590号の下、およびDOEにより与えられた契約第DE-FG02-01ER45922の下、政府支援により行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
発明の背景
本発明は固体構造の作製に関し、より詳細には、固体構造特徴の寸法制御に関する。
本発明は固体構造の作製に関し、より詳細には、固体構造特徴の寸法制御に関する。
固体構造特徴の正確な寸法制御は、生物および化学から物理、光学およびマイクロエレクトロニクスにわたる分野における多くの用途で最も重要である。「固体(solid state)」という用語は、本明細書では、一般に非生物学的材料を示すことを意味する。しばしば、固体システムの作製の成功は、非常に厳しい許容範囲内で、しばしばミニチュア寸法の特定の構造特徴を明確にすることができることに決定的に依存する。したがって、固体システムはμ-形態(micro-regime)およびさらにはナノ形態に発展するので、ナノメートル寸法特徴制御はますます、システム実現可能性に対する一番の関心事となっている。
マイクロ機械およびマイクロ電気機械システムにおける構造特徴寸法を作製および制御するために、広範囲にわたる微細加工技術が確立されている。例えば、小型特徴作製を可能にするために、高分解能リソグラフィー技術ならびに高精度のアディティブ(additive)およびサブトラクティブ(subtractive)な材料加工技術が提案されている。しかし、多くのナノ形態システムの作製においては、数ナノメートルの構造特徴寸法が重要であり、従来提案されている技術では必要なナノスケールの特徴を再現性よくまたは予想通りに形成することができないことが多く、しばしば、そのようなナノスケールの特徴の製造に相応の時間尺度で制御することができないことが、一般に見出されている。その結果、ナノメートルの特徴寸法および/または許容範囲を含む多くのシステムの大量生産は実用的でなく、経済的でない。
発明の概要
本発明は、固体機械および電気機械システムのための構造特徴を再現可能な方法で予測通りに製造することができる、プロセスおよびプロセス制御法を提供する。本発明のプロセスを制御して、ナノ形態の特徴寸法を作製、制御および/または変更することができる。
本発明は、固体機械および電気機械システムのための構造特徴を再現可能な方法で予測通りに製造することができる、プロセスおよびプロセス制御法を提供する。本発明のプロセスを制御して、ナノ形態の特徴寸法を作製、制御および/または変更することができる。
本発明によれば、固体構造特徴の物理的寸法を制御するために、1つの表面を有し1つの構造特徴を有する固体構造が提供される。構造は特徴的なイオン曝露デューティサイクルを有する周期的なイオンフラックスに曝露される。本発明により提供される1つの技術では、周期的なイオンフラックス曝露は、第1の曝露温度で実施され、その後、第1の曝露温度より高い第2の曝露温度で実施され、構造表面を含む構造内で、イオンフラックス曝露に応じて構造材料が構造特徴へ輸送され、実質的に構造の材料が特徴に局所的に追加されることにより、特徴の少なくとも1つの物理的寸法が変化する。
別の技術では、周期的なイオンフラックス曝露は、第1のイオンフラックス、その後、第1のイオンフラックスよりも低い第2のイオンフラックスで実施される。本発明により提供される別の技術では、周期的なイオンフラックス曝露は、第1の曝露デューティーサイクルに対する第1のイオン曝露期間および第1の非曝露期間により特徴づけられる、第1の曝露デューティーサイクルを有する第1の周期的なイオンフラックスで、その後、第2の曝露デューティーサイクルに対する第2のイオン曝露期間および第1の非曝露期間により大きな第2の非曝露期間により特徴づけられる、第2の曝露デューティーサイクルを有する第2の周期的なイオンフラックスで実施する。いずれの場合でも、周期的な各フラックスデューティサイクルは例えば約50%よりも大きくすることができる。さらに別の技術では、構造は周期的なイオンフラックスに曝露する前に、連続イオンフラックスに曝露することができる。
本発明によれば、物理的な寸法を制御すべき構造特徴は、例えば、開口とすることができる。特徴は、例えば、基板または膜、例えば窒化ケイ素膜または二酸化ケイ素膜内に提供することができる。
イオン曝露デューティサイクルは、一般に、イオン曝露期間Ton、および非曝露期間Toffにより特徴づけられる。本発明によれば、これらは共に、構造表面を含む構造内で、イオンフラックス曝露に応じて実質的に構造材料を開口縁に局所的に追加することにより、構造材料が開口縁部に輸送されるように選択される。イオン曝露および非曝露期間は下記式に基づき選択される:
(式中、tは時間であり、dA/dtは開口面積Aの選択した変化速度であり;Rssは連続イオンフラックス曝露に対する構造に特徴的な開口面積変化の定常速度であり;τriseは材料応答立ち上がり時間であり、τdecayはイオン曝露下で構造に特徴的な材料応答減衰時間である)。
(式中、tは時間であり、dA/dtは開口面積Aの選択した変化速度であり;Rssは連続イオンフラックス曝露に対する構造に特徴的な開口面積変化の定常速度であり;τriseは材料応答立ち上がり時間であり、τdecayはイオン曝露下で構造に特徴的な材料応答減衰時間である)。
これらのプロセスは、再現性のある、制御可能で効率的な様式で、広範囲にわたる構造特徴の製造を可能にする。生物からマイクロエレクトロニクスに及ぶ分野における用途は、これらのプロセスにより可能となり、商業的に実行可能な様式で実施することができる。本発明の他の特徴および利点は、下記説明および添付の図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
発明の詳細な説明
本発明により提供した特徴の寸法制御プロセスは、広範囲にわたる材料および構造的構成に適用することができる。本明細書で記述した例示的なプロセスは、例示であり、材料または構造における特定の制限を示すものではない。本発明のプロセスは特に、構造特徴寸法を正確に制御すること、およびナノメートルのスケールでそのような制御を可能とすることに適している。この制御は、ナノメートルサイズの特徴および空間、例えば、開口として存在するギャップ、例えば、細孔、スリット、オリフィス、ベント、および穴、ならびに溝(trench)、チャネル、トラフ、および一般的には、2つまたはそれ以上の相異なる特徴縁部の間の空間の正確な形成および規定に対し、とりわけ好都合である。
本発明により提供した特徴の寸法制御プロセスは、広範囲にわたる材料および構造的構成に適用することができる。本明細書で記述した例示的なプロセスは、例示であり、材料または構造における特定の制限を示すものではない。本発明のプロセスは特に、構造特徴寸法を正確に制御すること、およびナノメートルのスケールでそのような制御を可能とすることに適している。この制御は、ナノメートルサイズの特徴および空間、例えば、開口として存在するギャップ、例えば、細孔、スリット、オリフィス、ベント、および穴、ならびに溝(trench)、チャネル、トラフ、および一般的には、2つまたはそれ以上の相異なる特徴縁部の間の空間の正確な形成および規定に対し、とりわけ好都合である。
図1について説明すると、特徴の間隔を正確に、再現性よく規定するための、本発明により提供した方法の一例の実施では、構造上の層において、前もって指定した程度、例えば直径の開口を形成するためのプロセスが実施される。図1Aについて説明すると、第1のプロセス工程では、図では断面が示されている開始構造10を提供する。そのような開始構造10は、例えば、基板、基板などの支持体上で提供される厚いまたは薄い層、膜、または適した構造として供給することができる。空洞12は、構造内10の、構造の選択した表面14に、および開口することが望ましい領域に形成される。
空洞12は構造10のバルク内に、構造の厚さ全体を通してではなく、反対の表面18に対し、構造の一部のみの厚さで広がる。その結果、形成した空洞の最も深いレベル、すなわち、底16は構造バルク内のおよその中間点に存在する。下記でより詳細に説明するように、空洞底16および空洞側壁20の形状は好ましくは、後の加工工程で、制御した縦横寸法の制限的な開口の形成の制御が可能となるように選択される。図示した例では、椀形状の空洞を使用している。
図1Bおよび1Cについて説明すると、いったん空洞が作製されると、構造は空洞のない表面18から次第に薄層化される。薄層化が続くにつれ、構造の一部22は、点線で示されるように、ますます除去される。これにより、構造の空洞を有さない表面18は空洞の底16に向かって進んでいく。
構造の薄層化を続けると、図1Dに示されるように、空洞を有さない表面18と空洞の底16とが交差する。この交差が起こると、空洞12を構造の厚さ全体に広がる開口に変形させる制限的開口24が形成される。さらに構造の薄層化をすすめると、空洞を有さない表面18が空洞の上方側壁位置と交差し、これにより、制限的開口24が、所与の空洞交差深さで存在する側壁のプロファイルを呈する。図示した例では、制限的開口24の直径は薄層化が続けられるにつれ増大し、椀形状の空洞が得られる。しかしながら、制限的開口の直径は、対応する空洞側壁プロファイルに対し、薄層化を続けるにつれ減少するように作製することができることは認識されるべきである。さらに、制限的な開口形状を制御するために空洞側壁にそって、凹凸または他の明白なプロファイル特徴もしくは形状を提供することができる。
この開口形成プロセスは、最終的な制限的開口および壁の寸法を規定するのに直接リソグラフィー技術に頼っていないという点で、明らかな利点を提供する。その結果、開口形成プロセスは、リソグラフィーの分解能限界により制限されない。このプロセスにより、1〜2ナノメートル以下という小さな制限的開口寸法または直径の作製が可能となり、非標準型または高価な加工装置は必要ない。
上記で説明したように、この開口形成プロセスは任意の広範囲にわたる構造、例えば、支持構造上で提供される基板、層およびフィルムまたは自立構造の、例えば膜において実施することができる。一般に、固体材料は開口が形成される構造材料として使用することができる。マイクロエレクトロニクスまたは半導体材料は、下記で説明するように、特に、効率的な加工技術を可能とするのに効果的である。例えば、広範囲のクラスの無機および有機ガラス状材料、例えば酸化物、ガラス、プラスチック、ポリマーおよび有機フィルム、例えばPMMA、ならびに結晶材料、例えは半導体、例えばケイ素および窒化ケイ素、および金属、ならびに他の材料を使用することができる。本発明は特別な構造材料または構造材料のクラスに限定されない。好ましくは、構造材料は、開口に対し特定した用途の基準に見合うように選択される。
本方法は、膜中での開口の形成を可能とするのに、および多くの膜用途に対し必要とされる開口形成のナノ形態制御を提供するのに特に適している。膜の開口を形成する場合、マイクロエレクトロニクスおよび半導体材料ならびに製造プロセスは、コスト効率のよい、効果的な製造性が可能となるように、本発明により都合よく活用することができる。
図2について説明すると、膜中で開口を形成するための本発明により提供される一例の微細加工プロセスでは、開始基板30、例えばシリコンウエハが、図2Aで示されるように提供される。選択した膜材料、例えば窒化ケイ素を、それぞれ、ウエハの上面および下面のコーティング層32、34として提供する。コーティング層34の厚さは、形成する膜に対し選択される厚さである。1つの例では、厚さ約50nmのケイ素を多く含み応力の低い窒化ケイ素層を従来の化学蒸着(CVD)処理によりシリコンウエア上に析出させる。機械応力制御または他の検討材料のために、窒化ケイ素層の堆積前または後に追加の膜材料、例えば二酸化ケイ素を堆積させることができることは認識される。窒化ケイ素層はまた、例えば、イオン注入によりさらに加工することができ、所定の用途で望まれるように、膜の機械応力を制御し、または膜の伝導率または熱伝導性を調整することができる。
図2Bに示されるように、フォトレジストの層40が堆積された窒化物層の1つ上に形成され、パターン形成(pattern)され、窒化物エッチウインドウ38が規定される。ウエハの反対の表面はフォトレジスト層40でブランケットコートされる。その後、図2Cに示されるように、窒化物エッチウインドウ38により露出した窒化ケイ素が、例えば、従来の反応性イオンエッチング技術により除去される。これにより、基板エッチウインドウ42が露出する。反対の窒化物層34はブランケトフォトレジスト層40によりこのエッチから保護される。フォトレジスト層40はエッチが完了すると除去される。
次に、図2Dについて説明すると、シリコンウエハは、適したエッチ手順、例えば、従来のKOHを使用する異方性ウエットエッチプロセスによりバルク微細機械加工される。好ましくは、使用するバルクウエハエッチプロセスは膜材料よりもウエハ材料に対する高い選択性により特徴づけられる。図示した例では、KOHエッチは実質的には窒化ケイ素層を攻撃しない。このため、ウエハの厚さを貫いてエッチを続けると、窒化物層34中で自立窒化物膜36が形成される。窒化物膜は、KOHエッチの異方性の結晶学的に特異な性質によりシリコンウエハからエッチされたピラミッド形のウエル39の底を形成する。このように、窒化物膜の程度は開始シリコンウエハの厚さおよび結晶配向により決定される。そのため、後に認識されるように、膜の寸法は要望通りに制御することができる。
2D〜2Eについて説明すると、膜層の反対側の窒化ケイ素の残りの層32はその後、所望であれば、従来の反応性イオンエッチングにより除去することができ、その後、所定の用途でシリコンウエハの電気的絶縁が望ましい場合、二酸化ケイ素の層41が任意に露出したケイ素表面上で成長させられる。従来のウエットまたは熱酸化物成長はCVD酸化物層上で好ましく、そのため、酸化物は図示されたようにケイ素表面上にのみ形成される。しかしながら、例えば、機械的応力制御のために、複合膜が望ましい場合、CVDまたは他の堆積プロセスを使用し、シリコンウエハおよび下部窒化ケイ素膜表面の両方で、または窒化物膜表面上のみに酸化物を形成させることができる。
図2Fおよび図1Aについて説明すると、プロセスの次の工程では、空洞を、膜の選択した表面内に形成する。一例の空洞形成プロセス、エッチングプロセスでは、図示されるように、レジスト42の層を膜の下部表面、すなわち、ピラミッド形状のウエハウエルの表面とは反対の膜表面上に形成させる。その後、レジストをパターン形成し、膜内に形成される空洞を規定する。空洞に対するこの表面の選択は、平らな表面で選択したリソグラフィー技術を可能とするには好ましく、ピラミッド形状のケイ素ウエルの底の膜表面に提供されたフォトレジストの層を効果的にパターン形成することは困難である。しかしながら、一定の用途で所望であれば、そのような構成に特異的なリソグラフィー技術を用いてそのような表面上に空洞を形成することができる。本発明は空洞パターンを規定するためにフォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、および他の適したリソグラフィプロセスの使用を企図する。選択したリソグラフィープロセスは好ましくは、空洞の寸法に適していることは認識されるべきである。例えば、電子ビームリソグラフィは、サブミクロンの寸法を有する空洞に対しては従来のフォトリソグラフィよりも好ましい。
上記で説明したように、膜内で形成する空洞の側壁プロファイルを特定し、選択した制限的開口形状を作製することができる。空洞、および空洞エッチプロセス自体の性質を規定するリソグラフィ工程を使用し、空洞側壁プロファイルを規定することもできる。一例のシナリオでは、選択したリソグラフィ空洞パターンは連続であり、例えば、円形であり、かなり異方性のエッチプロセス、例えば異方性反応性イオンエッチプロセスを実施すると、図2Gに示されるように、窒化物膜36中に椀形状の空洞12が形成される。異方性反応性イオンエッチプロセスは、本質的に、円形フォトリソグラフィパターンから広がる椀形状を形成する。
本発明は、所望の空洞形状を達成するために実質的に任意の空洞パターンの使用を企図する。正方形、長方形、六角形、または他のパターン、対称または非対称を使用することができる。開口形成法において使用したリソグラフィプロセスおよび他の微細加工のバッチ特性により、様々な程度および形状の空洞のアレイを、図示した膜などの単一の構造内で規定することができる。本発明の開口形成プロセスは、最終的な制限的開口形状を規定するのに、リソグラフィよりもむしろ構造の薄層化に依存するので、空洞の最も大きな横方向の寸法は所望の制限的開口程度よりもずっと大きくなる。一般に、最も大きな空洞パターン寸法は、選択した制限的開口直径に比べ2またはそれ以上のオーダーの大きさとすることができる。好ましくは、選択した空洞エッチプロセスの特性が与えられると、空洞パターン程度は対応して、空洞底で所望の程度が形成されるように、空洞底と材料表面との間にある程度の空洞の広がりが生成されるように選択される。
任意の適した空洞エッチプロセス、例えば、プラズマエッチング、集束反応性イオンエッチング、集束イオンビームエッチング、ウエット化学エッチング、または他の選択した技術を使用することができる。何のエッチプロセスを選択したかに関わらず、膜の厚さ、または空洞が形成された他の構造内のいくらかの距離、すなわち、構造の表面間の一点に配置された空洞底で、エッチを終了できるように制御されるべきである。使用した構造材料に対し十分特徴づけられているエッチプロセスでは、これは、時限式エッチにより達成することができる。そうでなければ、従来の診断的技術を従来の様式で使用し、他の膜構造中の選択した位置に空洞底を作製することができる。本発明では、空洞底を周知の先験的深さに正確に配置する必要はない。本発明の漸進的な構造薄層化プロセスはこの点で特に好都合であり、正確に開口を形成するのに、空洞の深さの正確な制御または知識は必要ない。さらに、所与の材料または材料複合物における空洞形成に対しては必要に応じて、エッチプロセスを組み合わせたものを使用することができる。例えば、複合膜を窒化ケイ素および二酸化ケイ素層で形成する場合、選択した空洞エッチ、例えば、プラズマエッチの化学はエッチの過程にわたり、空洞形成における所与の時間でエッチされるべき材料に基づき調整できる。同様に、空洞の深さの関数として空洞側壁プロファイルを変化させるために、エッチプロセスの組み合わせを使用することができる。例えば、等方性および異方性ウエットエッチの組み合わせを使用して、窒化物もしくはケイ素層または膜中に形成される空洞側壁の選択した湾曲および傾斜を作製することができる。このようなエッチの組み合わせにより、制限的開口に配置すべき凹凸または他の明確な特徴の形成が可能となる。
図1B〜1Dにもどると、いったん選択した膜または他の構造中に空洞が形成されると、空洞が形成された表面とは反対の構造表面で、適当な手順を使用して構造の薄層化を実施し、構造内に制限的開口を開けさせる。本発明は、広範囲にわたる薄層化プロセスを企図し、特別な薄層化技術に限定されず、必要なのは、空洞が形成された表面とは反対の表面から構造をエッチバックすることができることのみである。
多くの用途では、特に適した薄層化プロセスはイオンビームスパッタリングである。そのようなプロセスでは、イオンビームを薄層化すべき構造表面に誘導し、その表面から材料をスパッタエッチして除去する。かなり低いビームエネルギー、例えばkeVの範囲での典型的なイオンビームスパッタリングプロセスでは、全ての入射イオンに対し、平均して、材料の単一原子がスパッタリングターゲットから放出され、このようにスパッタリングは「サンドブラスト」の原子スケールバージョンと考えてもよい。例えば、窒化ケイ素膜の場合、そのようなスパッタエッチングにより、約1014〜1015イオン/cm2/秒の間の入射イオンフラックスに対し、1秒あたり、膜から約1原子層の窒化ケイ素が除去されることになる。スパッタイングビームに曝露された表面が十分薄層化されると、表面は空洞底と交差し、制限的開口が形成される。
本発明は、広範囲の追加の薄層化プロセス、例えば、イオンビーム支援エッチング、イオンビーム誘導エッチング、電子ビームエッチングまたは支援エッチング、プラズマおよび反応性イオンエッチング、ウエットエッチング、例えば、電気化学エッチング、化学機械研磨、ならびに薄膜化された表面と反対の表面上の空洞と交差するように構造の制御薄膜化を可能とする他の作製および製造プロセスを企図する。これらの開口形成プロセスは、多くの用途に対して有利である。というのは、薄膜化エッチ中、エッチ種、例えばスパッタリングイオンビームまたは反応性プラズマ環境は、薄膜化する構造表面の特別な位置に収束させる必要はないからである。構造表面のブランケット曝露を使用して、構造の全体の程度を薄くすることができる。必要なのは、空洞を含む構造表面が、反対の表面を攻撃するエッチ種から隔離されること、すなわち、遮蔽されることだけである。これにより特徴形成においてナノ形態の精度が得られ、エッチ装置および種のナノ形態制御は必要ない。
いずれの薄膜化プロセスを選択しても、本明細書における発明者らは、薄膜化プロセス中にフィードバック機構を実行することにより、高い精度の開口形成が達成できることを発見した。このフィードバック機構は、エッチにより形成される特徴、例えば開口の物理的寸法を示す様式で薄膜化エッチ中に提供される物理種の検出に基づく。そのようなフィードバックにより、開口形成プロセスの実時間制御が可能となり、これにより、正確で予め特定された開口直径が、信頼性および再現性よく形成される。後に説明するように、フィードバック機構は一般に、ナノメートル特徴およびナノ構造の正確な彫刻(sculpting)を可能とし、マイクロおよびナノシステムに対し広範囲の用途が見出される。
本発明の開口形成プロセスにおけるフィードバック制御についてより詳細に考慮すると、エッチ種、例えばスパッタリングイオンのビームが構造を、開口が形成されている点まで薄膜化する場合、ビームからのイオンはその点でいずれ開口を通過することができる。その後、薄膜化エッチを続けるにつれ、単位時間あたりの開口を通過するイオン数が開口の直径増加と比例する。例えば、計数による、開口を通過するイオンの速度および/または数の検出および定量により、エッチ中の任意の時間の開口直径が示される。
その結果、選択した開口直径は、選択した直径が形成される前に開口を通過すると予測されるイオンの速度および/または数に基づき予め特定することができる。薄膜化エッチプロセス中、新しく形成された制限的開口を通るイオンの最初の通過を検出することができ、制限的開口の寸法が大きくなるにつれ、開口を通過するイオンの数を個々に検出および定量することができる。規定した数のイオンが開口を通過すると、制御信号がスパッタリングイオンビーム制御装置に送られ、所望の開口寸法でエッチプロセスが終了される。さらに、本発明によれば、物理種の検出は、開口が形成される前の時間であっても実施することができることは認識される。例えば、薄膜化されている構造を通過する時に検出されるイオンビーム銃により生成するX線のレベルは構造の厚さが減少するにつれ増加すると予測することができる。同様にイオンの検出は開口が開く前であっても実施することができる。これにより、開口が最終的に開く前であってもプロセスを制御することができる。
図3A〜3Bについて説明すると、このフィードバック制御スパッタリングプロセスを実行するためのシステム50の概略を示す。システムはイオン銃52、例えば、所与の用途に適したエネルギー範囲および直径を有するイオンビームを発生させることができるイオン銃を含む。一般に、約1eV〜約数百KeVの間のエネルギーおよび約数ナノメートルから空間的に非常に広範なビームの間のビーム直径を使用することができる。エッチプロセスを実施することができる真空エッチチャンバ55が備えられる。好ましくは、エッチチャンバ圧力はよく制御されており、そのため約10-8Torr未満のエッチ環境圧力をエッチプロセス中維持することができる。ターボモレキュラーポンプ57が圧力制御および維持のために備えられる。任意に、エッチ環境種のモニターおよび分析のために、質量分析計を備えることができる。
開口が形成される構造10を支持するために、構造ホルダ54が備えられ、例えば、クリップを使用して構造の位置が維持される。好ましくはホルダ54は熱伝導性であり、例えば、液体熱交換ループにより、ホルダ上または構造自体上に配置された熱電対を使用して、構造温度制御を提供する。多くの用途では、ホルダはまた電気伝導性であることが好ましく、構造の電圧充電制御が可能となり、入射イオンビーム電流のモニターが可能となる。
ホルダは、構造10中に開口が形成される位置に対応する中央開口56を含む。この構成を用いると、イオン銃から構造10に向けて誘導されるイオンビーム58により構造が薄膜化され、構造内に開口が形成され、その後、イオンビーム58は構造開口およびホルダ開口の両方を通り抜ける。
図3Bについて説明すると、電子フラッド銃59を配列内に含有させることができ、電子ビームを構造に誘導し、エッチプロセス中に構造をエッチさせることができる。電気絶縁性である窒化ケイ素膜などの構造では、正に帯電したイオンビーム照射のため、正の表面電荷が構造上に蓄積する。所定の用途で必要であれば、構造の電子ビーム照射を実施し、この表面電荷を中和することができる。
薄膜化エッチプロセスを、本発明によるフィードバック機構により制御する場合、エッチした開口を通り抜ける種の流れは、下記様式で検出、定量ことになる。ある所与の用途でそのようなフィードバック制御が望ましくない場合、追加の装置は必要なく、所与のエッチのために選択された条件下、従来のスパッタリングチャンバ内でスパッタリングを実施することができる。
本発明によれば、種の検出および定量システムを包含させ、所望の程度のフィードバック制御を提供することができる。薄層化エッチのために使用する選択したスパッタリングビームイオンが電気的に帯電しているシナリオでは、イオンが開口を通り抜けると直ちにそのイオンを集束させるためにイオン集束光学部品60を備えることができ、イオンが通り抜ける構造開口からかなり離れた検出器によるイオン検出が容易になる。X-Y偏向光学部品およびアインツェルレンズを従来の構成で使用することができ、イオンの望ましい集束が得られる。従来の様式では、光学部品設計ソフトウエアを使用し、所与の検出配列に対し特製の集束構成を作製することができる。イオン検出システムがかなりホルダ開口に近い場合、そのような集束構成は必要ないかもしれないことを認識すべきである。
使用すると、集束構成は好ましくは、出力イオンビームをイオンエネルギー分析器62まで導き、選択種が検出され、例えば、計数により定量化される。一般に、イオンビームスパッタリングプロセスは、広範囲の物理種および放射線、例えば、スパッタされた窒化ケイ素原子、エッチチャンバ内で散乱するエッチ種、およびイオン銃から放射されるX線を含み、生成することが予測される。高精度のエッチ制御を可能とするために、検出すべき種は好ましくは生成した放射線、生成したエッチ種、およびバックグラウンド照射線から除去される。そのようなバックグラウンドは、例えば、イオンビーム銃、エッチすべき構造、および下流光学部品を、さらに下流の部品、例えば検出器から、下記のように、静電エネルギーフィルタまたは他の適したフィルタにより隔離することにより、最小とすることができる。さらに、図3Bに示されるように、イオンビーム銃、構造、および光学部品を低温条件、適した容器内で維持することが好ましく、これにより熱的効果を制御することができる。そのような冷却構成はまた、エッチおよびビーム検出環境の清浄度を最大とし、構造温度を制御するのに有益である。構造を高温で維持し、イオン照射中の材料修飾現象に影響を与えることはまた、好都合である。
イオンエネルギー分析器62または他の種特異的フィルタリングシステムを採用すると、スパッタリング軌道の照準からはずれた検出する種の再誘導が可能となるという点で好都合である。その後、種検出位置は、バックグラウンドおよび生成したX線などの放射線による照射から離れ、はずれることができる。例えば、図3A〜3Bに示されるように、使用した静電エネルギー分析器は検出されるイオン種の軌道を90°曲げ、これによりその種は、エッチされた構造からくる他の種および放射線から分離される。ある一定のエッチプロセスに対し望ましい検出分解能および速度が低いバックグラウンドノイズ環境を必要としない場合、イオンエネルギー分析器は多くの用途では必要とされない。
静電エネルギー分析器から出力された対象のフィルタ処理された種は、検出器64に誘導される。帯電したイオン種を検出するために、高分解能の単一イオン検出器、例えば、Sturbridge、MAのGallileo Electro-Optics製のChanneltron 4860検出器を使用することが好ましい。そのような検出器は、1つの検出イオンあたり1つの電気出力パルスを生成するように構成することができる。そのような単一イオン検出および関連する計数が多くの用途で、開口などの固体特徴の製造においてナノメートルスケールの精度を可能とするために好ましい。典型的なスパッタリングビーム電流密度が約10イオン/nm2/秒である場合、ナノメートル範囲の開口のエッチングでは、開口を通過する約10〜20イオン以内のイオンの計数が必要である。このように、単一イオン検出および計数システム、または同等の分解能の別のシステムが、再現性よく特徴製造のナノ範囲形態制御を実行するのに好ましい。所与の用途のために作製される特徴がナノメートル寸法の制御を必要としない場合、より粗い検出機構を採用することができる。
単一イオン検出器構成を考えると、イオン計数プロセスを容易にするために検出器の電気出力を変更するために速いパルス増幅器66を使用することができる。従来の様式で適したパルス前置増幅器を構成することができ、または適した市販のシステム、例えばOak Ridge、TNのEG&G Ortec製のVT120 Fast Preampを使用することができる。一例のシナリオでは、イオン検出器による10mVイオン検出パルスの生成を考えると、パルス電圧を約1Vまで増幅するようにパルス増幅器66を構成することができる。この増幅した検出パルスが計数システム、例えば、Hewlett PackardによるHF53131Aなどの一般的な計数器に誘導され、検出されたイオン数を示す電気信号が生成される。所与のパルス計数構成では検出パルス増幅は必要とされないこと、およびパルス増幅は、もし実行されるならば、好ましくは計数システムの要求に基づき制御されることは認識される。
パルス計数器68の電気出力は、操作者が実時間で薄膜化エッチプロセスをモニターすることができ、イオン銃制御信号を発生させるためのモニターおよび制御ソフトウエアを実行する制御装置70に誘導される。1つの実施例では、制御装置は、例えば、Austin TXのnational Instruments製のLabviewを採用するソフトウエアにおいて実行される。いずれの制御装置実行が選択されても、好ましくは、イオンフィードバックに基づきビーム制御信号を提供する。例えば、制御装置は、特定の時間間隔に対し構造のイオンビームスパッタリングを開始するように、特定の時間間隔中に検出器で受理されたイオン数を計数するために計数器を構成するように実行することができる。その間隔の終わりに、計数されたイオン数が制御装置により決定され、開口の程度が、その時点で、このイオン数および周知のイオンフラックスに基づき計算される。制御装置は、間隔中に計数されたイオン数を使用し、さらにイオンビームスパッタリングの間隔を開始し構造のエッチを続けるかどうかを決定する。
1つの好都合な構成では、モニター、メモリ、ならびに関連入出力および印刷システムを含むコンピュータシステムが、エッチプロセスの経過を視覚的にモニターし記録することができるように提供される。時間に伴うイオン計数率および開口程度の表示、ならびに計数率および他のシステム値の保存が多くの用途では好ましい。
制御装置70の出力は、スパッタリングエッチ自体を制御するためのイオン銃制御システム72に誘導される。一例の実行では、イオン銃フィードバック制御はイオン銃のX-Y偏向プレートを制御し、所望の寸法の開口が形成された時に構造10からイオンビームをそらすことにより実施される。これは好ましい制御技術である。ビームをそらすことができる速度が速く、典型的にはミリ秒よりずっと少ないからである。しかしながら、別のビーム制御機構を使用することができることは認識される。例えば、銃と構造物ホルダとの間に静電グリッドを配置することができる。このシナリオでは、グリッドはイオンビーム中止制御震信号に応じてエネルギー供給され、ビームをイオン銃に戻すことができる。別の技術では、イオン銃の加速電子衝撃電圧をイオンビーム中止制御信号に応じて、イオンビームの生成を中止するように制御することができる。これらの技術は、所望の寸法の開口が生成された後全てのスパッタリングが抑制され、これによりサンプルの汚染の可能性が排除されるという点で好都合である。
定位置のスパッタリングシステムおよびフィードバック/制御ハードウエア構成を用いると、所与のイオンビーム種、構造材料、および作製される開口形状に対しフィードバック検量線を作成することができる。そのような検量線により、イオン計数および/または率と制限的開口寸法との間の関係の特定が可能となり、経験的に、特別な構造材料および厚さに対し時間あたりの測定計数と実際の制限的開口の寸法の間の関係を特定するように確立することができる。
多くの構成では、制限的開口の寸法とイオン数との間の関係は概して直線であることが見出されている。この関係および他の一般に予測可能な関係に対し、数個の測定に基づき外挿検量線を作成することができる。個々のそのような測定を実施するために、薄膜化エッチを所定の期間実施する。その期間中、イオン計数を実施し、その期間の終わりに物理的に、例えば透過型電子顕微鏡により、開口寸法を測定する。単一の開口について複数のエッチ期間および寸法測定を実施することができ、開口はエッチの度に増大する。その後、イオン計数および開口測定に基づき検量線を作成し、より低いおよびより高いイオン数まで外挿することができる。そのような検量線を掌握すると、フィードバック構成の制御システムをプログラムして、所望の開口寸法に対応する所定のイオン数に到達すると、イオン銃にエッチ中止制御信号を誘導することができる。
エッチ環境温度および圧力、エッチする構造の機械的応力および温度、ならびに特徴の寸法および構造的局面は検出したイオン計数率と物理的特徴寸法との間の関係に影響することがあることは認識される。例えば、窒化ケイ素膜中の残留機械的応力はそのエッチ特性に影響を与えることがある。同様に、形成するアレイ中の開口密度、互いの開口近接度、および他の局面がエッチ特性に影響することがある。そのため、検量線は好ましくは、エッチ特性に影響することがある様々な物理的およびエッチ環境を考慮して作成されることを認識すべきである。
実施例1
1つの表面上に空洞が形成されている50nmの厚さの窒化ケイ素膜を、図2A〜Gで概略を示したプロセスにより作製した。窒化ケイ素を低圧化学蒸着により堆積させた。椀状の空洞を膜中で反応性イオンエッチプロセスによりエッチした。図4Aは膜内に形成した空洞の電子顕微鏡写真である。
1つの表面上に空洞が形成されている50nmの厚さの窒化ケイ素膜を、図2A〜Gで概略を示したプロセスにより作製した。窒化ケイ素を低圧化学蒸着により堆積させた。椀状の空洞を膜中で反応性イオンエッチプロセスによりエッチした。図4Aは膜内に形成した空洞の電子顕微鏡写真である。
空洞を含む表面とは反対の膜表面を約3KeVのエネルギー、および約3Ar+秒/nm2のフラックスでアルゴンイオンビームエッチに曝露した。イオンビーム直径は約200μmであり、エッチ中の膜温度は-120℃に維持した。イオンビームを各5秒の間隔中1秒間、膜に向かって誘導した。エッチプロセス中、イオン検出および計数を実施した。
図4Bは膜の薄膜化により形成した10nmの制限的開口を含む膜空洞の電子顕微鏡写真である。図4Cはスパッタリング時間の関数としてのアルゴンイオン数/秒のプロットである。このプロットは、イオンビームが膜に誘導された時間を含むが、ビームが膜から偏向された時間を含まない。プロットにより示されるように、計数したイオン数/秒は、制限的開口が開く時点、25秒の時点まで実質的に0であった。その後、制限的開口直径が増加するにつれ、イオン数が増加した。これにより、開口形成プロセスの制御が可能である。
本実施例では、開口が開くと直ちに開口を通り抜ける帯電イオンを検出、計数することにより、開口の正確で制御されたエッチが可能となった。ここで、エッチャントとして機能する種はまた、検出される種として機能する。本発明によれば、イオンビームのこの2つの役割は一般には必要とされない。本発明により提供される別のシナリオでは、エッチャント種が選択され、検出種とは別個に機能する。多くの用途では、エッチャントと検出種とをそのように分離することは、エッチャントおよび検出種の両方に対しより広範囲にわたる候補種が可能となるという点で好都合である。
原子ビームエッチ種を考えると、ビームが帯電しているのではなく電気的に中性である場合、原子の検出は困難になる。この場合、前もって指定した開口直径の形成を制御するために、電子ビームなどの異なる非エッチング検出種を都合よく、使用することができる。エッチされる構造が、作用するスパッタビームにより帯電し、これにより電気的に中性なビームの使用が必要とされる場合、そのようなシナリオが好ましい。多くの用途では、従来の技術によるビームの湾曲、フィルタリングならびに検出および計数を容易にするために、帯電検出種を使用することが好ましい。しかしながら、電気的に中性の検出種が所与の用途で最適である場合、それらを使用することができる。例えば、制御関数を検出し、計数するために、電気的に中性の透過原子のレーザ蛍光を使用することができる。
別個の検出種を使用する場合、それらは好ましくは、なんらかの様式で作製される特徴に向かって誘導させることができ、その特徴付近での動きが特徴の変化する寸法を示すものである。これにより、特徴の寸法の変化を示す様式で種の検出が可能となる。例えば、膜開口の形成の場合、膜に向かう電子ビームの方向により(そのため、膜開口がいったん形成されると電子が膜開口を横切る)、上記イオン計数の様式で電子の計数が可能である。本発明は単一の検出種の使用を必要とせず、1を超える検出種を使用することができる。例えば、構造が薄膜化する時に、イオン銃により発生するX線をモニターすることができ、別の開口形成事象の時間を予測し、示すことができる。その後、イオン、電子、または他の種を使用して開口直径の変化をモニターすることができる。所与の用途に適した中性種および他の種を同様に共に使用することができ、正確な検出およびフィードバック機構を提供することができる。
さらに、本発明では、検出種を作製される特徴の面に対し直角に誘導することは必要とされない。例えば、電子ビーム回折検出および材料により生成する回折パターンをフィードバック機構として使用することができる。そのような場合、例えば、上層の特徴が上層を除去して下層または基板を露出させることにより形成される場合、下層の特徴を有する電子ビーム回折パターンをフィードバック機構として使用することができる。ここで、電子ビームは、材料との視斜角を形成する。同様に、例えば、開口の形成の場合、開口周辺の変化を示す回折環により開口直径の関数として回折を検出することができる。本明細書における回折フィードバック機構は、開口を通る軌道としてではなく、むしろ開口周辺で起こる。
別の例では、電子ビームを開口の形成時に薄膜化される上部構造表面と平行に誘導することができ、これにより、表面材料の回収は、その表面と平行な方向の電子数の増加により示される。
本発明は、別の検出種を企図する。例えば、準安定状態、例えば電子準安定状態の原子を形成される特徴に向かって誘導することができ、特徴を通過すると直ちに検出することができる。そのような準安定原子、例えば、励起状態のヘリウムまたはアルゴンは電気的に中性であり、固体表面をヒットするまで減衰せず、ヒットした時点で、電子が放出され、検出および計数が可能となる。何の検出種を選択したかに関係なく、好ましくは、作製される特徴の望ましい制御の寸法スケールに相当する時間スケールで検出、計数することができるものである。例えば、ナノメートル特徴の寸法が重要である場合、フィードバック機構において高い感度および分解能を可能とするためには、マイクロ秒検出および計数プロセスが好ましい。ミクロスケールおよびマクロスケールの特徴制御のための検出種については、要求される感度および分解能の厳格性がより低い。
本発明は、広範囲にわたる作製プロセスにおけるフィードバック制御に対する物理種の検出および計数の適用を企図する。従来、オープンループ様式で、すなわちフィードバック制御無しで、実施される多くの作製プロセスは、本発明により提供される高い感度および精度のフィードバック制御を組み入れることでナノスケール寸法特徴制御が可能となるように適合させることができる。例えば、上記開口形成プロセスでは、スパッタエッチングではなくプラズマの反応性イオンエッチングを使用して、制限的開口の形成における構造表面を薄膜化することができる。そのようなプラズマエッチプロセスでは、空洞を含む構造表面は適したフィクスチャによりプラズマ環境から分離される。反対の構造表面はプラズマ環境に完全に曝露される。プラズマエッチが進み、構造が薄膜化され、実際に制限的開口および成長開口が作製されると、例えば、構造の分離された側に配置されたチャネルトロンにより開口を横切るイオンが検出される。したがって、上記イオンスパッタリングエッチの様式では、開口を横切るプラズマイオンの検出および計数に基づき、フィードバック制御をプラズマエッチプロセスに課すことができる。
本発明により企図される別の一例のプロセスでは、特徴を作製するために使用されるウエットエッチプロセスに、物理的検出およびフィードバック制御を課すことができる。例えば、構造内に開口を形成する場合、構造内に形成される空洞付近に電極を備えることができる。ここで、空洞の反対の構造表面は、ウエットエッチ環境、例えば電気化学環境に曝露され、空洞を含む構造表面はエッチ環境から分離される。ウエットエッチが進み構造が薄膜化され、開口が開くと、開口を横切る液体中のイオンが、空洞側電極で検出され、計数される。これにより、所望の開口寸法が得られた時にエッチの電気刺激を終了させるためのフィードバック制御が可能となる。
本発明は、広範囲にわたる構造的、固体特徴の形成を可能とするための物理種検出およびフィードバックプロセス制御の実行を企図する。フィードバック機構は上記開口形成プロセスに限定されない。上記で説明したように、開口、スリット、溝、穴、または2つの特徴縁部間のギャップは、正確で制御可能な様式で、本発明のフィードバック機構を備える任意の広範囲にわたるプロセスにより、正しく形成することができる。
例えば、穴が膜の1つの表面からもう1つの表面まで膜の厚さを直接通過して形成される集束イオンビームまたはプラズマエッチング技術では、フィードバックを使用して形成を制御、モニターすることができる。同様に、本発明は、空洞が膜の1つの表面内に形成され、その後、空洞を含むその膜表面が、例えばイオンスパッタリングエッチに曝露される膜開口形成プロセスを企図する。空洞底と反対の表面との間の膜の厚さは他の膜領域よりもずっと小さいので、そのようなエッチにより、膜の他の領域が完全にエッチにより除去される前に、空洞の基底にある制限的開口が開通する。本発明のフィードバック機構はこのプロセスの正確な制御およびモニタリングを可能にする。
実施例2
厚さが約50nmの窒化ケイ素膜を図2A〜2Eの様式で作製した。反応性イオンエッチにより膜の厚さ全体を通過する開口を形成した。これにより幅37nmの開口が得られた。この電子顕微鏡写真を図5Aに示す。その後、膜および開口を約1.7Ar+/nm2/秒のフラックスおよび約3KeVのエネルギーでアルゴンイオンビームに曝露させた。イオンビームを膜に向かって誘導し、膜から離し、各5秒の間隔中1秒間スパッタした。イオンビーム曝露中、膜を約-102℃の温度で維持した。
厚さが約50nmの窒化ケイ素膜を図2A〜2Eの様式で作製した。反応性イオンエッチにより膜の厚さ全体を通過する開口を形成した。これにより幅37nmの開口が得られた。この電子顕微鏡写真を図5Aに示す。その後、膜および開口を約1.7Ar+/nm2/秒のフラックスおよび約3KeVのエネルギーでアルゴンイオンビームに曝露させた。イオンビームを膜に向かって誘導し、膜から離し、各5秒の間隔中1秒間スパッタした。イオンビーム曝露中、膜を約-102℃の温度で維持した。
図5Bは180秒のスパッタリングから得られた幅58nmの開口の電子顕微鏡写真である。図5Cは、時間の関数としての計数イオン/秒のプロットである。時間関数として、イオン数の間の大体直線の関係が証明される。
本発明は、プロセスが、実施例2のようにフィードバックにより制御されるプロセスがサブトラクティブプロセスであることを必要とせず、アディティブプロセスもまた、本発明のフィードバック技術により制御することができる。例えば、所定の寸法の開口、溝、または穴を適したプロセスにより減少させ、または狭くすることができる。そのプロセス中、本発明の物理種の検出およびフィードバックプロセス制御は、減少プロセスを制御するために課せられる
本発明のフィードバック機構により制御できるものとして、焼結、加熱、材料堆積、材料成長および他の適したプロセスが企図される。同様に、酸化、膨張、下記で詳細に説明される材料流動および輸送、圧縮、蒸発、電気メッキ、イオンもしくは電子支援堆積または成長、および他のそのようなアディティブプロセスは本発明により制御することができる。アディティブまたはサブトラクティブであろうと、制御すべきプロセスについての要求は、特徴の寸法変化を示すものとして種を検出できる様式で、加工される構造特徴の付近でのいくつかの検出種の導入に、プロセスが対応することのみである。上記で説明したように、特徴は膜中、支持構造上に設けられた1つの層または複数の層内で、または構造自体内、例えばシリコンウエハ中に作製することができる。制御されるプロセスが本質的にアディティブまたはサブトラクティブであろうと、本発明の制御プロセスの利点は、ナノメートルスケールの特徴寸法および寸法公差の形成で最も十分に引き出され、実現される。
この性能はナノメートルの特徴の分野、例えばリソグラフィックマスクプレートの形成において、特に好都合である。この場合、例えば、アディティブまたはサブトラクティブプロセスにより、開始材料を選択した形状を有するように加工し、最終的に、ワイヤ、パッド、および他のマスクプレート形状を形成することができる。これにより、効率的で効果的なプロセスにおいてマスクプレート特徴の正確な形成が可能となる。
本発明の別の局面では、本明細書の発明者らは、イオンビームと固体との間の相互作用の条件を制御し、固体材料中のナノスケール特徴の寸法を操作することができることを見出した。これらの制御したイオンビーム相互作用技術により、固体材料トポロジーを、必ずしも除去せずに、調整することができる。特に、本発明により提供する選択したプロセス条件下では、固体材料は変形し、特徴縁部位置が、局所的にアディティブまたはサブトラクティブである原子輸送機構により、正確にかつ制御可能なように作製されおよび/または修飾される。
図6A〜6Cについて説明すると、このイオンビーム特徴制御の第1の例では、構造10内の制限的開口24は、第1の直径D1から、より小さな直径D2またはD3に調整される。開始開口が、選択した構造内に、任意の適した様式で、例えば、上記、ならびに図1A〜1Dおよび図2A〜2Gに図示した方法により、例えば、膜、層、基板または他の構造内に形成される。制限的開口が形成されている構造表面18をその後、例えば、上記および図3A〜3Bに図示したシステムを用い、イオンビーム照射に曝露する。
図6Cにおいて最も劇的に示されるように、選択したイオンビーム照射条件に対し、本発明者らは、材料が照射に曝露された制限的開口24の周辺、または境界に追加され、これにより、制限的開口の直径が減少するという予期せぬ結果を発見した。この条件は、開口周縁での材料の追加につながる構造温度、イオンフラックス速度、およびイオンエネルギー条件を実施することにより予想通りに、正確に課すことができる。イオンビーム照射が一般にスパッタリング/材料除去プロセスであると考えられるならば、この材料移動および追加条件が、原子スパッタリング浸食の存在下であっても、効果的に進行し、特徴の物理寸法の変化が起こることは特に予想外である。
実施例3
厚さ約500nmの窒化ケイ素膜を、図2A〜Eで概説したプロセス様式で作製した。反応性イオンエッチングにより膜の厚さ全体を通して開口を形成させた。図7Aは、エッチにより得られた幅95nmの開口の電子顕微鏡写真である。
厚さ約500nmの窒化ケイ素膜を、図2A〜Eで概説したプロセス様式で作製した。反応性イオンエッチングにより膜の厚さ全体を通して開口を形成させた。図7Aは、エッチにより得られた幅95nmの開口の電子顕微鏡写真である。
膜およびその開口をその後、約3KeVのエネルギー、および約47Ar+/秒/nm2のフラックスでアルゴンイオンビームフラックスに曝露した。イオンフラックス曝露中、膜を約20℃の温度に維持した。イオンビームを各1秒時間間隔に対し250msの間、膜に誘導した。
図7Bは、アルゴンイオンビームに曝露された後、約3nmの開口直径に縮小した膜の電子顕微鏡写真である。図7Cは時間の関数としての計数したアルゴンイオン/秒のプロットである。プロセスの中間点では、大体線形の計数率が示される。
理論に縛られずに、本明細書内で、本発明者らは、イオン照射した開口の周縁に材料を蓄積させるイオンビームの能力の根拠となる機構は、バルクの構造を通る原子輸送;構造の粘度、表面電子電荷、機械応力発生、および横方向の膨張におけるイオンにより誘発される変化;および/または構造表面上の可動性吸着イオン種のイオンにより誘発される表面原子励起または過飽和により引き起こされる原子表面輸送に関連するかもしれないことを理解する。十分低いイオンエネルギーで、イオン透過深さは構造の厚さよりもずっと低く、表面輸送プロセスが優位である。本発明は、特定の材料変換機構を必要としないが、むしろ、予測できる材料変換結果を付与する特徴的なプロセス制御パラメータを提供する。
制御すべきプロセスパラメータを考慮すると、イオンビーム照射に曝露される構造の温度が直接、材料移動を課する能力および材料移動速度に影響することが見出される。特定の構造材料では、その温度より高いと、構造の材料が移動し、特徴寸法の調整、または変化が起こり、その温度より低いと、材料が代わりにスパッタリングにより構造から除去される特性温度が存在することが見出されている。所与のイオンビームエネルギーおよびフラックス条件では、そのため、材料除去と寸法特徴調整との間の制御は、構造温度制御により課すことができる。
実施例4
図8のグラフについて説明すると、最初に長さ約72nmの正方形開口が作製された厚さ500nmの窒化ケイ素膜に対する時間関数としての、図3Aのスパッタリングシステムと同様のイオンスパッタリングシステムにより検出したイオン数/秒がプロットされている。膜は図2A〜2Fで示したプロセスに基づき作製されており、開口は、膜に誘導された集束イオンビームにより完全に膜を貫通して広がる開口が形成されるようにして作製されている。グラフの各領域はアルゴンイオンビームによる衝撃中、膜が維持される温度を示す。ビームフラックスは14Ar+/秒/nm2でありビームエネルギーは3KeVであった。膜に向かって誘導されるイオンビームのオン/オフデューティサイクルは、ビームが各1秒間隔中に200m秒の間膜に誘導されるようなものとした。
図8のグラフについて説明すると、最初に長さ約72nmの正方形開口が作製された厚さ500nmの窒化ケイ素膜に対する時間関数としての、図3Aのスパッタリングシステムと同様のイオンスパッタリングシステムにより検出したイオン数/秒がプロットされている。膜は図2A〜2Fで示したプロセスに基づき作製されており、開口は、膜に誘導された集束イオンビームにより完全に膜を貫通して広がる開口が形成されるようにして作製されている。グラフの各領域はアルゴンイオンビームによる衝撃中、膜が維持される温度を示す。ビームフラックスは14Ar+/秒/nm2でありビームエネルギーは3KeVであった。膜に向かって誘導されるイオンビームのオン/オフデューティサイクルは、ビームが各1秒間隔中に200m秒の間膜に誘導されるようなものとした。
時間の関数として、イオン数/秒の増加は、開口寸法の増加を示し、イオン数/秒の減少は開口寸法の減少を示す。プロットしたデータは、膜を約5℃より上昇させた時の、イオンビーム照射下で開口縮小の増加速度を明確に示す。対照的に、約4℃未満の膜温度では、開口寸法は減少せず増加する。約0℃と約-10℃との間の膜温度では、開口寸法が減少する速度の明らかな温度依存性は示されない。
この実験データを用いると、窒化ケイ素膜では、2つの明確な温度形態が存在する;約5℃またはそれ以上の第1の温度形態では、イオンビーム照射により材料移動および特徴追加が課せられ、約4℃またはそれ以下の第2の温度形態では、イオンビーム照射により材料スパッタリングおよび除去が課せされ、どちらも所与のイオンビーム種、フラックスおよびエネルギー条件に対する形態である。窒化ケイ素膜に対する分析は、本発明による、それ以上の温度では対象となる材料を移動させ特徴を増大させることができるその温度を決定するために本発明により企図された実証的分析の一例である。この遷移温度は材料により大きく変動することは認識される。
プロットしたデータはまた、材料移動および追加を課すための形態内では、特徴トポロジーを変化させる材料輸送速度は温度依存性であることを示す。かなり高い温度では、輸送プロセスはかなり低い温度でよりも迅速に進行する。この温度依存性輸送速度を知っていると、正確なプロセス制御および特徴付けが可能となる。
実施例5
図2A〜Eで概説したプロセスの様式で、約500nmの5つの窒化ケイ素膜を作製した。集束イオンビームエッチングにより、それぞれ約1400nm2の面積の開口を膜中に形成した。その後、膜を約3KeVのエネルギーのアルゴンイオンビームに、様々な総線量で、5つのイオンビームフラックスで曝露した。各々の膜をイオンビーム曝露中約22℃の温度に維持した。各イオンビーム曝露を制御し、各1秒の間隔中200m秒の間スパッタした。
図2A〜Eで概説したプロセスの様式で、約500nmの5つの窒化ケイ素膜を作製した。集束イオンビームエッチングにより、それぞれ約1400nm2の面積の開口を膜中に形成した。その後、膜を約3KeVのエネルギーのアルゴンイオンビームに、様々な総線量で、5つのイオンビームフラックスで曝露した。各々の膜をイオンビーム曝露中約22℃の温度に維持した。各イオンビーム曝露を制御し、各1秒の間隔中200m秒の間スパッタした。
図9A〜9Bのグラフについて説明すると、それぞれ、5つの異なるアルゴンイオンビームフラックスに対するイオン/nm2で表した、総アルゴンイオンビーム線量の関数としてのnm2で表した開口の面積、およびアルゴンイオンビームフラックスの関数としての、線量あたりの開口面積の減少がプロットされている。プロットされたデータから、総アルゴンイオンビーム線量の関数として、開口は、高い入射フラックスに比べ低い入射フラックスでより迅速に縮小することが示される。言い換えると、フラックスが低いほど、開口を縮小させるのに必要とされる線量が低くなる。強い非線形性により、入射イオンあたりのイオンビーム照射により生成する材料質量輸送の量は、高入射フラックスで抑制されるかもしれないことが示される。この特徴付けにより、選択した質量輸送速度での動作が可能となる。上記温度依存分析と類似の様式で、本発明は、材料移動の正確な制御を可能とするために、選択した材料に対するフラックス依存性の実証的分析を企図する。
実施例6
厚さ50nmの窒化ケイ素層を、シリコンウエハ上に低圧化学蒸着により堆積させた。電子ビームリソグラフィーにより窒化ケイ素層をパターン形成し、窒化ケイ素層の厚さ全体にわたる幅約50nmの溝を作製した。これにより、各溝の底により、下にあるシリコン表面が露出した。図10Aはシリコンウエハ上の溝を形成した窒化ケイ素層の走査電子顕微鏡写真である。
厚さ50nmの窒化ケイ素層を、シリコンウエハ上に低圧化学蒸着により堆積させた。電子ビームリソグラフィーにより窒化ケイ素層をパターン形成し、窒化ケイ素層の厚さ全体にわたる幅約50nmの溝を作製した。これにより、各溝の底により、下にあるシリコン表面が露出した。図10Aはシリコンウエハ上の溝を形成した窒化ケイ素層の走査電子顕微鏡写真である。
溝を形成した窒化ケイ素層を、約3KeVのエネルギーおよび約20Ar+/nm2/秒のフラックスのアルゴンイオンビームに曝露した。ここで、イオンビームは各2秒の間隔中0.5秒間スパッタリングした。イオンビーム曝露中、シリコンウエハを約20℃の温度に維持した。図10Bは約200秒のスパッタリング後の溝を形成した窒化ケイ素層の走査電子顕微鏡写真である。窒化ケイ素材料が溝に移動し、これにより溝が部分的に満たされることに注意すべきである。これにより、ここで使用したプロセス条件では、材料は窒化物層から溝に輸送されることが示される。
上述した層のような第2の厚さ50nmの溝を形成した窒化ケイ素層を、約3KeVのエネルギーおよび約30Ar+/nm2/秒のイオンフラックスのアルゴンイオンビームに曝露し、各2秒の間隔中1秒間イオンビームスパッタリングし、総スパッタリング時間を約300秒とした。イオンビーム曝露中シリコンウエハを約100℃の温度に維持した。図10Cは溝を形成した窒化ケイ素層の走査電子顕微鏡写真である。ここで、溝の最上部の窒化ケイ素材料は、溝縁部の丸みから示されるように、エッチにより除去されているが、溝の底は全く埋まっていない。
本実施例は、所与の用途のために望まれるように、スパッタリングにより予想通りに材料輸送および特徴調整、または材料除去を実現するように課すことができる温度制御を実証する。
本発明により提供される追加の材料輸送制御機構について考えると、イオンビームのエネルギーは材料輸送の性質に影響することが理解される。とりわけ、下記のように、イオンビーム曝露の所与の構造材料および温度、所与のイオンビーム電流密度、ならびに所与の時間構造では、あるイオンビームエネルギーが存在し、そのエネルギーより高いと、材料輸送は上記の様式で効果的に誘導され、そのエネルギーより低いと、従来の様式のスパッタリングが起こる。2つの相異なる動作形態間のこの節目は、所与の材料およびイオンビーム曝露システムに対し経験的に決定することができ、材料輸送プロセスを正確に有効にし、無効にするための重要な制御技術として使用することができる。
さらに、本発明によれば、イオンフラックス曝露の時間構造、すなわち、イオンビームを材料と相互作用するように制御し、その後、材料と相互作用しないように制御する間隔の連続が材料輸送および特徴の寸法変化の性質に影響することが見出されている。特に、イオンフラックスにオン/オフデューティサイクルを課すと、材料移動および対応する特徴の寸法変化を引き起こす能力に影響することが見出されている。
実施例7
図2A〜Eで概説したプロセス様式で、厚さ500nmの窒化ケイ素膜を作製した。集束イオンビームエッチにより、幅95nmの開口を膜の厚さ全体にわたり形成させた。その後、膜および開口を約3KeVのエネルギーおよび約14Ar+/秒/nm2のアルゴンイオンビームに曝露させた。イオンビーム曝露中膜を約16℃の温度に維持した。曝露中、イオンビームを膜に誘導させる時間量を変動させた。6つの異なる時間構造を使用した:各1秒間隔に対し100m秒オン;各1秒間隔に対し200m秒オン;各1秒間隔に対し400m秒オン;各1秒間隔に対し600m秒オン;各2秒間隔に対し600m秒オン;および各4秒間隔に対し600m秒オン。イオンビーム曝露中、様々なイオンビーム曝露サイクルに応じた開口の減少または増大を示すものとしてイオン検出および計数を実施した。
図2A〜Eで概説したプロセス様式で、厚さ500nmの窒化ケイ素膜を作製した。集束イオンビームエッチにより、幅95nmの開口を膜の厚さ全体にわたり形成させた。その後、膜および開口を約3KeVのエネルギーおよび約14Ar+/秒/nm2のアルゴンイオンビームに曝露させた。イオンビーム曝露中膜を約16℃の温度に維持した。曝露中、イオンビームを膜に誘導させる時間量を変動させた。6つの異なる時間構造を使用した:各1秒間隔に対し100m秒オン;各1秒間隔に対し200m秒オン;各1秒間隔に対し400m秒オン;各1秒間隔に対し600m秒オン;各2秒間隔に対し600m秒オン;および各4秒間隔に対し600m秒オン。イオンビーム曝露中、様々なイオンビーム曝露サイクルに応じた開口の減少または増大を示すものとしてイオン検出および計数を実施した。
図11は、スパッタ時間の関数としての計数アルゴンイオン/秒のプロットである。プロットから、400m秒/1秒間隔および600m秒/1秒間隔時間構造では開口直径が増大し、他の時間構造全てでは開口直径が減少したことが示される。これにより、およその室温では、材料輸送プロセスとスパッタリングプロセスとの間の制御は、イオンビーム曝露時間構造の制御により達成できることが証明される。
さらに、本発明は、周期的パルスイオンビームを用いた実験に基づき、イオンにより彫刻された材料、例えば二酸化ケイ素および窒化ケイ素などの誘電性材料上での材料輸送の時間尺度を直接決定するための理解を提供する。本発明により実施した実測により、イオン彫刻が実際、技術的に重要なケイ素酸化物にうまく適用することができることが証明され、さらに、イオン彫刻材料輸送時間尺度は驚くほど長いという本発明の発見が証明されており、これにより、刺激イオンビームを消去した後数秒まで、材料はその平衡状態に必ずしも緩和しないことが示される。この効果は、所望の寸法結果を得るために彫刻プロセスを予想通りに制御するイオン彫刻の適用において都合よく使用することができる。
本発明により、イオンビーム彫刻に対する追加のサンプルを、シリコンフレーム上で支持させた厚さ500nmの独立SiO2またはSiN膜として調製した。SiO2膜をSi(100)基板上で熱成長させ、その後、低圧化学蒸着により厚さ200nmのSi3N4層を堆積させることによりさらに加工するためにキャップした。その後シリコン基板のフォトリソグラフィおよび異方性ウエット化学エッチ加工を実施し、独立の90μm×90μm SiO2膜を作製した。その後、Si3N4キャップ層を熱リン酸中でのエッチングにより除去し、その後、酸化物表面を、酸素プラズマに曝露することにより清浄にした。最初に、LPCVDによりSi(100)基板上に直接、厚さ500nmの低応力SiN層を堆積させ、続いて、酸化物膜について上述したのと同様のフォトリソグラフィおよびエッチング工程により窒化ケイ素膜を作製した。その後、選択した直径の単一の最初の穴を、集束イオンビームミリングプロセスにより各SiO2またはSiN膜の中心付近でミリングした。
このように作製した酸化物および窒化物膜をそれぞれ、図3Aの装置において、約3KeVのエネルギーのアルゴンイオンビームに曝露した。イオンビームは膜表面に垂直方向に衝突した。貫通した穴を通って伝送されたイオンを、前に記述した様式の静電集束およびエネルギー分析後、Channeltronシングルイオン検出器により検出した。膜のイオンビーム曝露は上記様式で変動させ、パルスイオン曝露の周期時間構造を作成した。これは、所望の「オン」および「オフ」時間(それぞれ、TonおよびToffと呼ぶ)、膜上に(オン)および膜からそらして(オフ)イオンビームを静電的に偏向することにより、特に制御した。200ボルトのパルスをイオン銃の出口にある偏向板(deflection plate)に印加し、約1μ秒以内、加工する穴から約5mm離してビームを案内した。このように、本明細書では「パルスイオン曝露」という用語は、イオンビームを穴に誘導すること、および穴から除去することを示すことを意味する。
二酸化ケイ素膜を用いた第1の実験では、SiO2膜中の幅55nmの穴を約28℃の温度でパルスアルゴンイオンビームに曝露した。図16のプロットで示されるように、0.1s、0.4s、0.9sおよび1.9sの範囲のビーム「オフ」時間を使用し、所与ビーム「オン」時間を1サイクルあたり0.1とした。この実験では、瞬間イオンビームフラックスを15.7Ar+nm-2s-1で一定に維持した。ビームの最初のデューティサイクルは0.1s「オン」、0.9s「オフ」とした。実験を中断せずに、「オフ」時間を100サイクルに対しそれぞれ、0.1s、1.9s、0.1s、0s、すなわち連続曝露、0.9s、0.1s、その後0.4sに変更した。
SiO2膜中の穴面積は、イオンビーム曝露を増大させるにつれ減少することが明らかに見出された。穴の減少速度は、パルスビームの「オフ」時間に依存した。連続ビームは穴を開ける傾向があったが、「オフ」時間が0.1sまたはそれ以上のパルスビームは穴を閉じるように際立って作用した。単位フルエンスあたりの閉じる穴面積の速度は、図では負の勾配を示すが、略して「閉鎖速度(closing rate)」として与えられ、イオンビームが穴を閉じる効率ξを表す。明らかに1秒〜2秒までの「オフ」時間の増加関数である。
同様の実験において、上記のように作製したSiN膜中の幅100nmの穴を約28℃の温度で、瞬間フラックスが11.2Ar+nm-2s-1のパルスイオンビームの様々なイオンビーム曝露サイクルに曝露した。得られた穴面積を図17にプロットすると、SiO2膜中の穴と同様のデューティサイクル依存性が明らかになった。イオン彫刻効率は、イオンビーム「オフ」時間が0.5s〜1.5sおよび3.5sと増大するにつれ明らかに増加することが見出され、5.5sでは変化がなかった。全ての場合においてビーム「オン」時間を0.5sで一定に保持した。
これらの実験結果に基づくと、本発明によれば、穴封鎖速度、すなわち材料輸送速度は、ビーム「オフ」時間を増加せることにより制御することができ、特に材料輸送速度を増加させることができることは理解される。パルスイオンビーム彫刻プロセスが穴直径を減少させる効率はさらに、ビーム「オフ」時間、すなわち、Toffと共に、Toffの増加関数として、増加し、イオンビームフラックス、加工温度、またはイオンビーム彫刻される穴の最初の条件とは関係ないことが見出されている。さらに、選択したイオンビーム曝露デューティサイクルを考えると、イオンビームのフラックス低くすることにより、または加工温度を上昇させることにより、パルスイオンビーム彫刻プロセスが穴の直径を減少させる効率を増強させ、穴の減少を促進することができることが見出されている。
さらに、SiN実験では、連続イオンビーム曝露により、様々な温度でSiN膜中の穴の直径は減少せず、増加することも見出された。これにより、イオン彫刻により物質の横方向の輸送は低温で「凍結(fronzen out)」させることができ、その点で、細孔のスパッタ浸食がプロセスを支配するという本発明による発見が証明される。28℃で穴を閉じた0.1s「オン」、0.9s「オフ」パルスビームは、-100℃では2.9nm2/Ar+nm-2の速度で穴を開いた。このように、本発明によれば、プロセス温度を増加させて、材料輸送速度を増加させることができる。
さらに、これらの実験に基づき、本発明によれば、パルスイオンビーム彫刻は、パルスイオンビームに曝露する穴の最初の条件、ならびに穴が形成されている膜の表面トポグラフィー、およびパルスイオンビームのデューティサイクルにより正確に制御することができることは認識される。より特定的には、パルスイオンビームにより彫刻される穴の閉鎖効率は直接、穴の初期条件、例えば、穴のサイズ、および穴が形成される膜の表面トポグラフィーにより直接制御される。固定イオンビームフラックスおよび加工温度を考えると、例えば、直径約150nmの大きな初期の穴は、例えば、直径約50nmのより小さな穴の直径を減少させる同じパルスイオン彫刻条件下で、拡張させることができる。
前に説明したように、理論に縛られずに、本発明によれば、微視的スケールでは、イオンビーム彫刻は材料の表面に沿った独立した原子の移動、および/または表面層での多くの原子の集団移動を伴うことができ、これにより低エネルギーイオンビームの影響下での物質の横方向の輸送が説明されることが理解される。本発明のパルスイオンビーム彫刻の時間依存性挙動を記述するために、最初に、スパッタ浸食の影響を無視して、材料応答を立ち上がり時間、τrise、および減衰時間、τdecayを用いてパラメータ化する。時間尺度記述範囲内では、穴の閉鎖速度は、イオンビームをオンにすると、(1-e(t-t0)/τ(rise))Rssとして、定常状態閉鎖値、すなわち、連続ビーム閉鎖速度値、Rss、に到達し、ビームをオフとするとe-t/τ(decay)として減衰する。ここでtは時間でありt0は開始時間である。穴閉鎖速度の指数関数型立ち上がりおよび減衰は、材料応答時間尺度を組み入れた最も単純な現象論的モデルである。そのような時間尺度は、表面拡散または粘性流モデルを含む、本発明のパルスイオン彫刻現象の記述を提供すると理解される微視的モデルに共通する。
本発明によれば、彫刻される穴の閉鎖速度が、各イオンパルスの初めに閉鎖速度が、下記式で時間t=0として与えられるが、これが同じである場合、準定常状態条件に到達すると仮定される時間の連続関数であることが必要である。
穴はビームパルスサイクル全体中、すなわち、イオンビーム「オン」および「オフ」期間の両方中で閉鎖する。サイクルにより引き起こされる面積変化はこのように、上記(1a)および(1b)の「オン」および「オフ」時間にわたり積分される。フラックスφに対するイオン彫刻効率、ξは下記の通りである:
この表現は、かなりの長さの材料応答時間尺度にわたるイオンビーム彫刻におけるデューティサイクル依存性を説明する。図16および17のプロットにおける実験結果から、SiO2およびSiNの両方に対し、パルスサイクル中イオンビームをオフとした場合の、材料応答における本質的な減衰、τdecay、すなわち材料応答減衰は、秒のオーダーであることが示唆され、結果を上記指数関数的時間尺度モデルに適合させると、材料応答の立ち上がり時間、τrise、が、材料応答の減衰、τdecayに対し入射イオンビームにより短くなることが示唆される。
本発明によれば、本発明のパルスイオンビーム彫刻プロセスは、イオンにより刺激された移動種により、材料応答の立ち上がり時間、τriseがイオンビームフラックスの上昇と共に減少する条件により特徴づけられる。τriseがビームフラックスの増加により減少する機構は、移動表面種を放出する入射イオン、すなわち、スパッタ浸食の関数であり、これにより表面上にそのような種がトラップされる本質的な時間が減少することが理解される。イオンスパッタ浸食は、ピコ秒のオーダーで続く原子衝突カスケードにおける運動量移動から生じることが知られている。しかし、イオンビーム彫刻において材料が応答する時間尺度は通常長く、秒のオーダーである。
所与の材料では、パルスイオンビームが、材料応答減衰時間、τdecayに対し材料応答立ち上がり時間、τriseを減少させる程度は、連続ビーム曝露およびパルスビーム曝露に対するイオン彫刻効率、ξの比を測定することにより決定することができる。イオン彫刻効率、ξの式は、「オン」および「オフ」時間が同じでありτdecayおよびτriseよりもずっと短いと仮定されるパルスビームに対し、
により近似することができる。
により近似することができる。
この式を用いると、イオン彫刻効率ξは連続イオンビーム曝露ではRss/φとして与えられる。材料応答立ち上がり時間、τriseが減少するにつれ、パルスビームのイオン彫刻効率は、材料に関係なく、イオン曝露の50%デューティサイクルに対し、その値の2倍となる傾向がある。これは本発明により提供される驚くべき発見であり、上記様式で、50%デューティサイクルで周期的パルスビームを使用すると、同じ時間量で、半分のイオンフルエンスにより、同じ量の穴閉鎖を誘導することができることを意味する。
連続ビームよりもパルスビームのイオン彫刻効率が増強することは、本発明により、上記SiO2およびSiN膜に対し、実験的に測定されている。測定した結果を図18のプロットに示す。連続イオンビーム曝露と、10msの「オン」および「オフ」時間を有する周期的パルスビームとの間で切り換えることにより実験を実施した。入射イオンフラックスは窒化物膜穴では8.3Ar+nm-2s-1であり、酸化物膜穴では2.2Ar+nm-2s-1であった。
イオン彫刻効率は、両方の材料で周期的パルスビームにより明らかに増強されることが見出された。SiO2膜では、測定した効率値、ξは連続ビーム曝露に対する0.3からパルスビーム曝露に対する1.4まで増加した(nm2/(Ar+nm-2)の単位)。同じSiO2サンプルで測定を繰り返し、効率、ξが連続ビーム曝露に対する0.5からパルスビーム曝露に対する1.3まで増強されることを見出した。SiN膜に対する測定した効率値、ξは連続ビーム曝露に対する1.6からパルスビーム曝露に対する5.8まで増加し、その後、連続ビーム曝露測定を繰り返すと3.5に戻ることが見出された。
上記モデルに基づくと、連続イオンビーム曝露をパルスビーム曝露に切り換えると、材料応答立ち上がり時間、τriseが非常に小さく、また一方ではスパッタ浸食効果が無視される場合、イオン彫刻効率、ξは少なくとも2倍増強されるはずである。実験により決定したξ-増強係数は、かなりのアルゴン照射により影響される表面材料変化によりおそらく異なる各実験の最初と終わりのデータの連続またはパルスセグメントに対する勾配を平均することにより、SiO2膜では3.4、SiN膜では2.3であることが観察された。
ξ測定値はその後、好ましくは、図18の低温データを用いることにより、スパッタ浸食により開く細孔の競合効果に対し較正される。スパッタ浸食は、2.9nm2/(Ar+nm-2)の一定の穴が開く速度を提供すると仮定される。SiO2およびSiNのスパッタ収率が非常に類似しており、フラックス依存性が弱く、デューティサイクルに依存しないと仮定されるからである。較正した実験効率ξ増強係数はSiO2膜では1.3であり、SiN膜では1.6である。これらの値は予測値2よりも小さい。材料応答立ち上がり時間τriseが、材料応答減衰時間τdecayに対しかなり減少するが、無視できるほど小さくないからである。式(2)から、材料応答立ち上がり時間τriseが、2.2Ar+nm-2s-1イオンビームにより、SiO2膜では、0.6倍τdecayに減少することが見出されている。同様に、8.3Ar+nm-2s-1イオンビームにより、材料応答立ち上がり時間τriseが、SiN膜では、材料応答減衰時間τdecayの4分の1に減少する。
本発明によるこれらの実験結果から、SiO2およびSiN膜における、穴閉鎖、したがって材料輸送の動力学は、イオンビームパルス間の静止時間に強く依存することが示され、一般に、かなりの量の穴閉鎖、および材料輸送が、ビームが材料表面上に入射されない時に起こることが示される。この発見は、イオン彫刻される特徴上で、穴を閉鎖する、すなわち、材料輸送を課するのに必要なイオンビーム時間構造の制御およびイオン線量の制御を可能とする点において、本発明のイオンビーム彫刻ナノファブリケーション技術と関係がある。さらに、それぞれ、イオンにより誘導される横方向の物質輸送およびスパッタ浸食の穴の閉鎖プロセスと穴を開くプロセスとの間の競合に影響を与えることにより、一体穴をより小さくすることができるかどうかを決定する。パルスイオンビーム彫刻の動力学は、穴閉鎖速度の指数関数的な上昇および減衰により記述することができる。パルスビームの増強した彫刻効率を説明するためには、入射イオンビームは材料応答時間を短くしなければならない。
イオン照射質量輸送にフィードバック制御を課するための本発明のイオン検出および計数機構は、正確な特徴作製を可能とする多くの用途に対し好都合であるが、本発明で必要とされない。いったん、質量輸送プロセスが特徴づけられると、それほど細かい特徴制御を必要としないプロセスでは、システムのフィードバック制御は必要とされないかもしれない。必要なのは、局所的な材料のアディティブまたはサブトラクティブによる材料の構造特徴の寸法を調節するための質量輸送などのプロセスを課する条件下で、イオンビームに材料を曝露することである。
本発明により提供されるこの構造材料調整プロセスは、広範囲の構造特徴、例えば、穴、スリット、開口、および一般にギャップ、ならびに溝および、明確な特徴リムまたは壁が存在し、調整することができる他のそのような特徴に適用することができる。さらに、小丘および凹凸などの突出特徴の作製に適用することができる。
そのような製造技術の一例では、イオンフラックスおよび線量ならびに膜の温度は、イオンビームフラックスへの曝露により膜上に突起が形成されるように選択される。1つの膜表面を選択した条件下でイオンビームフラックスに曝露させる。これにより、イオンフラックスに曝露された表面とは反対の膜表面上に突起が形成される。
実施例8
厚さ約500nmの窒化ケイ素膜を、図2に概説した製造手順に従うLPCVDプロセスにより作製した。膜を約50KeVのエネルギーおよび4ナノクーロン/μm2の線量のガリウムイオンビームに曝露した。膜上で5つの異なる隔離曝露領域、すなわち、0.12μm2、0.14μm2、0.16μm2、0.18μm2、および0.20μm2を規定した。
厚さ約500nmの窒化ケイ素膜を、図2に概説した製造手順に従うLPCVDプロセスにより作製した。膜を約50KeVのエネルギーおよび4ナノクーロン/μm2の線量のガリウムイオンビームに曝露した。膜上で5つの異なる隔離曝露領域、すなわち、0.12μm2、0.14μm2、0.16μm2、0.18μm2、および0.20μm2を規定した。
図12はガリウムイオンビームに曝露した表面と反対の窒化物膜表面の原子間力顕微鏡写真である。この画像では、明るさレベルがトポロジーに対応する。画像中の領域が明るいほど、その領域のトポロジーは「長い(taller)」または高い。画像に示されるように、0.16μm2、0.18μm2、および0.20μm2の膜領域の両方、および0.14μm2の膜領域の1つが、イオンビーム曝露により開き、すなわち、その領域でのイオンビーム曝露により膜の厚さを通過する開口が得られた。他の0.14μm2の膜領域および0.12μm2の膜領域はイオンビーム曝露により開かず、その代わりに、イオンビームに曝露された表面とは反対の膜表面上に丘状の突起が形成された。この実施例により、構造表面上で突起が作製される様式で質量輸送を引き起こすように線量を調整することができることが証明される。この実施例により、さらに、イオンビーム種が、特徴形成および調整の性質に影響を与えることができることが証明され;この実施例では、前の実施例で使用したアルゴンイオンと対立するものとしてガリウムイオンを使用した。本発明によれば、イオン種は構造形成加工の局面を制御するように選択することができることが理解される。同様に、本発明によれば、材料とのイオン相互作用中に存在する雰囲気ガス種を、相互作用の性質を制御するように選択することができることが理解される。
本発明のプロセスにより形成される特徴および/またはそのプロセスにより調整もしくは変更される寸法を有する特徴を、構造表面上に、支持構造上に設けられた層もしくは独立の膜中に、またはイオンビーム照射可能な他の表面上に提供することができる。複合材料構造を加工することができる。寸法調整を実施する開始構造を作製するために使用する製造手順については、制限はない。
本発明は、プロセスパラメータの制御を可能とするための上記様々なイオンビームプロセスのモデルを提供する。そのようなプロセス制御により、以前には得られなかった精度で、事実上、ナノスケール構造をイオンビーム彫刻する能力が提供される。一定の彫刻プロセスに対し適当なパラメータ値を用いて得られた、モデルの解析式に対する解を、本発明により使用し、正確で、予測可能な様式で、開ループ様式で、予め特定したナノスケール特徴を作製することができる。すなわち、上記図3Aのフィードバックシステムにより提供されるフィードバック制御のような閉ループイオン計数率フィードバック制御が必要ない。下記で詳細に説明するように、本発明は、上記イオンビームスパッタリングおよび質量輸送現象が、イオンビーム彫刻プロセス中に競合するという認識を提供する。本発明の方法は、これらの現象を制御し、所望のナノスケール特徴または形状の作製が可能となる様式で一方が他方より優位を占めるようにすることができる能力を提供する。
本発明は、一般に、イオンビーム彫刻される材料の特性、例えば、特定の材料組成、材料表面の構造または特徴の最初の形状、材料欠陥、およびドープ不純物、ならびに彫刻プロセス周囲の局所環境、例えばガス状雰囲気環境、材料温度、入射イオン種、イオンフラックス、およびイオンエネルギー、ならびに入射イオンビームを特徴づける他のパラメータに依存するプロセスパラメータに基づく分析モデル式を提供する。本発明によれば、プロセスパラメータは、特別なイオンビーム彫刻用途に基づき調整され、下記様式で所望のプロセス結果が達成されることが認識される。
明確にするために、下記考察は、特に、選択した直径、または面積のナノ細孔のイオンビーム彫刻に基づくプロセスモデルに関する。しかしながら、下記で詳細に説明するように、本発明はそのようなものに限定されない。本発明により提供される分析的プロセスモデル式は、材料の厚さ全体を通して、または厚さの一部のみを通して広がる広範囲の形状、例えば、スリットまたは不規則な形状の穴、溝、または他の形状の形成を制御するように調整することができる。さらに、開口などのネガティブな特徴ではなくポジティブな特徴を、前に記述した様式で、材料表面にまたは材料中に形成することができる。リソグラフィックマスク特徴、質量輸送を伴うイオンビームドーピングプロファイル、または埋設層プロファイルなどの特徴はさらに、本発明により提供されるプロセスモデルにより製造することができる。さらに、本発明によれば、存在する特徴の寸法は制御、または変更することができる。プロセス制御モデルは、基本的な形状対称またはパターンに限定されない。形成され、制御され、および/または変更される形状または特徴が何であろうと、普遍的に適用可能なのは、本発明の方法による形状のナノスケール制御である。
上記のように、イオンビーム彫刻を制御する際に使用するために本発明により採用されるモデルは、相異なるプロセスが彫刻中に競合する可能性が高いという認識に基づく。細孔の開始直径を選択した減少直径となるまでナノ細孔をイオンビーム彫刻することを考えると、第1のそのような競合プロセスは開口を開く傾向があり、細孔縁部のイオンビームスパッタ浸食により促進されるであろうことが理解される。この浸食プロセスは、低温および高いイオンビームフラックスで優位を占めることは理解される。ほとんどの用途で、確立したスパッタリング現象学を採用し、この形態のスパッタリングにより支配される彫刻プロセスを説明し、制御することができる。
第2の、競合プロセスは物質の移動、すなわち、質量輸送を引き起こす傾向があり、開始細孔直径を減少させるのに必要な程度まで作用することができる。理論に縛られずに、複数の見解でこの現象を説明することができる。本発明により理解される第1の理論は、非常に薄い、例えば約5nmの厚さの、応力を加えた様々な表面層は、エネルギーにより作製することができ、イオンビームにより材料表面上に物質を堆積させることができると考える。注入効果または表面張力による減少した粘度および/または増強した応力により推進される、増強した集団的移動により、層が流動化し、または緩和し、これにより材料が表面を横切って輸送される。
この「粘性流」モデルは利点を有するが、本発明によれば、好ましいイオンビーム彫刻制御モデルは、入射イオンが、イオンビームに曝露された材料表面に存在する過剰の、独立した、および可動性の種、例えば、吸着原子、吸着二量体、吸着分子、分子クラスタおよび表面空位を形成および消滅させるというプロセス理論を反映する。大部分の用途では、簡単にするために、本明細書では「吸着原子」と呼ばれる単一の可動種を仮定することが合理的であることは理解される。表面吸着原子の変化濃度、C(r,t)は本発明により、表面に沿った距離rおよび時間tの関数としてモデル化され、二次元拡散式により支配される:
(式中、Cは二次元表面上の吸着原子濃度であり、r=(x,y)は放射状表面位置であり、tは時間であり、Fはイオンフラックスであり、Y1は1入射イオンあたりの形成吸着原子数であり、Dは吸着原子表面拡散率であり、τtrapは熱的に活性化した吸着原子の消滅が表面欠陥で起こるまでの吸着原子の平均寿命であり、σcは入射イオンによる吸着原子消滅の断面積である。
(式中、Cは二次元表面上の吸着原子濃度であり、r=(x,y)は放射状表面位置であり、tは時間であり、Fはイオンフラックスであり、Y1は1入射イオンあたりの形成吸着原子数であり、Dは吸着原子表面拡散率であり、τtrapは熱的に活性化した吸着原子の消滅が表面欠陥で起こるまでの吸着原子の平均寿命であり、σcは入射イオンによる吸着原子消滅の断面積である。
図13はこの式によりモデル化した競合機構の概略図である。表面吸着原子の濃度変化、
はまず、イオンフラックスFと1入射イオンあたりの生成吸着原子数を示すY1から得られる吸着原子の生成速度に依存する。第2のモデル化項は、質量輸送項であり、表面に沿うおよび構造内での拡散による吸着原子輸送を促進し、このように、吸着原子表面拡散率、Dおよび吸着原子濃度勾配に依存する。この輸送項は、上記で説明し、証明した様式における、細孔の周囲からの材料の質量輸送によるナノ細孔半径の減少をモデル化する。
はまず、イオンフラックスFと1入射イオンあたりの生成吸着原子数を示すY1から得られる吸着原子の生成速度に依存する。第2のモデル化項は、質量輸送項であり、表面に沿うおよび構造内での拡散による吸着原子輸送を促進し、このように、吸着原子表面拡散率、Dおよび吸着原子濃度勾配に依存する。この輸送項は、上記で説明し、証明した様式における、細孔の周囲からの材料の質量輸送によるナノ細孔半径の減少をモデル化する。
さらに、図13に示されるように、表面吸着原子濃度変化は、表面欠陥、またはトラップで起こることがある吸着原子の消滅により決定され、したがって、τtrapはトラップでのそのような消滅が起こる前の吸着原子の平均寿命として規定される。最終項は吸着原子のイオンビーム消滅をモデル化したものであり、ここで、σcは入射イオンビーム自体による吸着原子消滅に対する断面積を反映する。細孔が質量輸送現象により充填されるにつれ、吸着原子の消滅は、細孔縁部で起こり、この消滅機構は上記式(3)の境界条件として取り扱われることも理解される。
上記式(3)の右側の最初および最後の項は、本発明により提供される、各入射イオンは、σcとして与えられる表面パッチ(surface patch)の面積を、前の状態とは無関係のY1/σcとして与えられる吸着原子濃度にリセットするという理解を反映する。イオンフラックスを受ける材料中の初期直径のナノ細孔の存在は、ナノ細孔半径、Rに対し、ナノ細孔縁部に吸着原子シンクを追加することにより、細孔縁部までの長距離材料拡散をモデル化する式の右側の第2項を含むことにより、表される。ナノ細孔境界で消滅する吸着原子は、境界で新しい安定した物質に変わる。
パラメータY1、D、τtrapおよびσcの大きさは、適した材料を用いた経験から一定のイオンビーム彫刻用途に対し推定することができ、独立した実験により決定することができる。例えば、細孔閉鎖実験のマトリクスを実施することができ、好ましくは、定常状態および遷移条件の両方を含み、特徴形成に関する各パラメータ、例えば、細孔減少速度、および他の特性の影響を正確に決定するための前に記述した本発明のフィードバックシステムを使用する。材料構造の1つまたは複数の「試験」イオンフラックス曝露を、様々な試験プロセス条件下で実施することができ、各「試験」曝露を前に記述したイオン計数フィードバックループによりモニターした。このモニタリングにより、試験プロセス条件に対する特徴製造依存性が示される。次に、モデルパラメータの大きさ、および対応する最適プロセス条件をその後、蓄積した試験プロセス結果に基づき、決定および選択することができる。本発明によれば、モデルパラメータの値は、温度、イオンビームフラックするおよびイオンビームエネルギーだけでなく、雰囲気ガス種および圧力、イオン種、材料特性、例えば材料表面上の微量の不純物濃度、材料欠陥、および不純物ドーピングを調節することによっても操作することができる。そのため、パラメータは、本明細書では、完全に調節することができるものとして取り扱われ、所望であれば、試験プロセス結果に基づく選択が可能であり、所与の用途に対するイオンビーム彫刻プロセスの正確な制御が可能となる。
上記式(3)の右側のトラップ消滅項と比較することにより、上記式(3)の右側のイオン衝突消滅項は、τion=1/(Fσc)として、イオン衝突により誘発される消滅前の平均吸着原子寿命に対応する。このように、両方の消滅機構の存在下での、吸着原子の有効表面寿命、τは下記式として得られる:
いくつかの状況下では、上記式(3)の右側の2つの消滅項の1つは、もう一方に比べ重要ではないが、これは必ずしも常に起こる事例ではなく、本発明の分析では必要とされないことは理解される。
いくつかの状況下では、上記式(3)の右側の2つの消滅項の1つは、もう一方に比べ重要ではないが、これは必ずしも常に起こる事例ではなく、本発明の分析では必要とされないことは理解される。
別の消滅機構、すなわち、吸着原子の連結による吸着原子の消滅および吸着原子アイランド中への沈殿は、簡単にするために、式(3)では表されておらず、そのため、この偏微分式は、非線形ではなく線形であり、解析的な数学的解が簡略化される。しかしながら、この消滅チャネルを無視することができない用途では、式(3)の右側に別の項を追加することにより、より正確にモデル化される。それは-Cm/τislandに比例し、ここで、nは臨界サイズ、すなわち、収縮ではなくより成長しやすくなるのに十分なサイズの臨界アイランドにおける吸着原子の数であり、τislandは吸着原子アイランド形成に対する特性時定数である。吸着原子の熱形成、吸着原子の周囲の真空内への熱脱離、および雰囲気蒸気からの吸着原子の堆積もまた、明らかにするために無視している別の機構であるが、所与の用途で必要であれば、上記機構の様式で、容易に組み入れることができる。
上記式(3)は、特徴、例えばナノ細孔から遠く離れて、材料表面の定常イオンビーム照射は、表面上および表面近くで空間的に均一な、定常状態吸着原子濃度Css=FY1τを作成するという本発明により提供される理解を表す。細孔境界、またはナノ細孔縁部は、吸着原子のための「完全シンク」であると考えられ、吸着原子はそこで変形され、細孔減少の一因となる蓄積物質の薄層となる。ナノ細孔縁部が吸着原子のためのシンクとして考えられる場合、吸着原子過飽和が、ナノ細孔縁部に到達するにつれ降下する。上記式(3)は、
として与えられる、CssとC(r,t)との間の正規化差、n(r,t)が下記のような拡散式に従うことを意味する:
として与えられる、CssとC(r,t)との間の正規化差、n(r,t)が下記のような拡散式に従うことを意味する:
細孔境界線が吸着原子に対する「完全シンク」であるという仮定は、吸着原子濃度、Cが、図13で示されるように半径Rである、細孔境界で消滅することを意味する。これが、細孔で吸着原子の正味の蓄積、および細孔直径の減少を説明する最も単純な境界条件である。しかしながら、本発明によれば、そのイオンビームとの相互作用のため、細孔境界は、表面空孔の正味の供給源であり、一方、吸着原子ではなく空孔が表面輸送を支配するならば、この細孔減少効果が生成されることが認識される。そのため、本発明は吸着原子「完全シンク」境界条件に限定されない。本発明により企図される別の境界処理は、細孔境界での吸着原子に対する部分シンクを記述するための表面収容速度を採用し、その様式は、電荷担体の表面との相互作用の半導体モデリングで使用されている表面再結合速度因子に類似する様式である。これらの細孔境界条件は、他の特徴位置特性に対し、直接一般化することができる。
本発明の制御法により使用される拡散モデルはこのように、本質的には現象学的であり、イオンビーム曝露下での物質の多くの微視的特性の局面における不確かさを補償するいくつかの理想化および仮定に依存することが見出されている。それにもかかわらず、本発明者らによれば、異なる温度、ガス雰囲気、および材料条件でのパルスおよび連続イオンビーム曝露の研究を所与の用途に対し採用することができ、同時に、所与の用途に対し、材料に特異的なパラメータ、例えば、拡散率D、イオンにより誘導される吸着原子群Y1、イオン衝突による吸着原子消滅の面積σ、およびトラップ消滅前の吸着原子寿命τtrapを決定することができるモデルを採用することが理解される。そのような分析により、有益なナノスケールデバイスの製造において、前もって指定された、正確な材料のイオンビーム彫刻が可能となる。
さらに、イオンビーム彫刻の実行者は、定量的および定性的様式の両方で、本発明により提供されるモデルを使用することができる。すなわち、分析モデル式に対する解の定性的および定量的性質ならびに実験的制御を受けるモデルの様々なパラメータへの依存性を知ることにより、パラメータを調整し多数の構造クラスに対し構造の望ましい寸法制御が達成できる。例えば、モデルは細孔減少速度を増加させる能力の定性依存性、および、材料温度を増加させることによりまたは入射イオンの入射フラックスを減少させることにより、イオン彫刻によりともかく細孔直径を減少させることができることさえも証明している。モデルはまた、所与の用途で必要とされる温度増加またはフラックス減少の正確な程度の定量的依存性を証明している。これらの実施例では、実施者は、これらの作用の両方ともが、それぞれ、表面拡散定数の温度増強および吸着原子スパッタリングの減少により、スパッタリングよりも吸着原子の表面拡散の有効性を増大させることに注意することにより、そのような作用に導かれる。
モデルの他の定性的および定量的使用はモデルの分析的予測と補助的な経験による観察との間の相関を含む。例えば、面積がイオンビーム彫刻プロセス下で、より迅速に所望の面積まで減少するナノ細孔は、彫刻プロセスが有効となる前に最小の初期直径を必要とするという観察は、モデルを介するプロセス条件に相関することがある。解の展開の任意の所定の段階にあるモデルは細孔直径を制御するプロセスの詳細を含まないかもしれないが、モデルを使用してプロセス制御パラメータを相関させることができ、これにより、例えば、プロセス機構を制御することができる。
別の実施例では、図7A〜7Bの電子顕微鏡写真で示した細孔について上述した様式で、開始細孔直径から選択した最終直径までナノスケール細孔の直径を減少させることを考えてみる。図9A〜9Bに示されるように、イオンビーム線量の関数としての細孔面積のプロットは、所与のイオンビーム線量では、入射ビームフラックスが減少するにつれ、材料の質量輸送が増大し、これにより、より迅速に細孔の直径が減少する。上記で説明されるように、この結果の強い非線形性により、高いイオンビームフラックスでは、本発明のモデルにより得られた質量輸送機構は抑制されるかもしれない。本発明のモデルに基づく分析および試験により、所与の材料に対するこのフラックス依存性とイオンビーム特性の相関が可能となる。
図14Aは、いくつかのイオンビームフラックスに対する、ならびに連続およびパルスのイオン曝露に対する総イオンビーム線量の関数としてのナノ細孔面積の細孔減少データの同様のプロットを提供する。点で描いたプロット点は実験的に測定した結果に対応し、実線は、下記で説明するように、上記式(3)の解析により得られた結果に対応する。このデータの勾配は、連続イオンビーム曝露では、この場合、イオンビームフラックスF=0.53、1.17および4.7Ar/秒/nm2であり、1入射イオンあたりの細孔閉鎖効率は明らかに、高いフラックスよりも低いフラックスで大きくなることを証明する。このプロットデータはまた、パルスイオンビーム曝露、ここでは100ms/1sにおいては、より効率的な質量輸送が得られ、対応して、同じ瞬間フラックスでの連続イオンビームに比べ、細孔面積減少速度が増大することを証明する。プロットしたパルスイオンビーム曝露に対し本発明により提供される特別な制御法を以下で説明する。
このように、以上で説明したように、本発明によれば、イオンビーム彫刻プロセスパラメータは、所与の用途に対し、本発明により提供されるプロセスモデルに基づき調整することができ、彫刻プロセスにより作製されるナノスケール形状の規定が可能である。以上で説明したように、パラメータは一般にイオン彫刻される材料の組成、彫刻プロセス中の構造の周囲の環境、温度、ならびに入射イオン種、エネルギー、および入射イオンビームを特徴づける他のパラメータに依存する。入射イオンビームは原子として、すなわち、中性イオン、制御した電荷状態のイオン、入射原子のイオンもしくはクラスタ、または実に任意の制御したエネルギー源として供給することができる。様々なエネルギー源に対し異なるモデルパラメータが必要とされることは認識される。さらに、本発明は複数のエネルギー源の使用ならびに開始時および彫刻プロセス中の材料表面の電荷状態の調整を企図する。
本発明によれば、イオン彫刻される表面および表面上のイオン誘導された吸着原子のどちらも、環境の影響を非常に受けやすいことは認識される。環境により、ガス、例えば、酸素、水素、六フッ化硫黄、または他の選択したガスのバックグラウンド雰囲気を意味する。これらのガスと表面原子および/または吸着原子との相互作用の結果、吸着原子の輸送ならびに/または表面原子および吸着原子の除去は、そのようなガスの存在無しで実施されるプロセスに比べ、大きく変更される。その結果、本発明により提供されるモデルにおいて取り込まれるイオン彫刻機構の速度およびサインは雰囲気ガス種により著しく変更され、これらの変更はイオンビーム彫刻プロセスの正確な制御に対し非常に有用であることがある。
雰囲気ガスの状態および化学反応性、ならびに表面の励起状態または作用を受ける表面の荷電状態は、入射イオンビームにより影響を受ける、または触媒されることもまた認識される。これにより、吸着原子の除去もしくは追加および/または表面欠陥トラップの生成もしくは消去が起こり、これにより、イオン彫刻プロセスの質量輸送および消滅機構に影響が及ぶ。入射イオンビーム以外の他の手段、例えば、電子ビーム、レーザビーム、原子ビーム、準安定励起原子ビーム、イオンビーム混合物、または他のエネルギー源を使用して、プロセスを実施する雰囲気環境に対するイオン彫刻プロセスの感度を制御することができる。本発明によれば、これらの様々な影響の調節および制御が、有益なナノスケールデバイスの製造における材料の指定した、正確なイオンビーム彫刻形状のフレキシビリティおよび再現性を可能とすることは認識される。
上記のように、イオンビームの電荷状態は、所望のイオン彫刻プロセス結果を達成するための特別なイオンビーム彫刻用途に基づき調整することができる。本発明によれば、陽イオン、中性イオン、または陰イオンを使用して、彫刻プロセス中に生成し、表面に沿って輸送される吸着原子間の所望の表面力を生成することができる。
本発明により提供される分析モデルのより定量的な解について考え、上記式(3)に戻ると、イオン彫刻プロセスは特に、吸着原子消滅機構に対し吸着原子生成および輸送機構の優勢度を制御することにより制御することができる。とりわけ、項FY1により表される吸着原子生成機構は、項
により表される吸着原子質量輸送機構と共に制御することができ、項C/τtrapにより表される吸着原子トラップ消滅機構、および項FCσCにより表される吸着イオン衝突消滅機構を支配する、またはそれらにより支配されるように制御することができる。したがって、この制御により、所望の特徴形状を達成するために、イオン彫刻プロセスを「開始」および「中止」することが可能である。
により表される吸着原子質量輸送機構と共に制御することができ、項C/τtrapにより表される吸着原子トラップ消滅機構、および項FCσCにより表される吸着イオン衝突消滅機構を支配する、またはそれらにより支配されるように制御することができる。したがって、この制御により、所望の特徴形状を達成するために、イオン彫刻プロセスを「開始」および「中止」することが可能である。
とりわけ、本発明によれば、イオンフラックスFおよび吸着原子拡散率Dに影響するプロセスパラメータは、表面欠陥およびイオン衝突特性に影響するプロセスパラメータに対し選択され、吸着原子濃度および輸送が制御される。例えば、材料温度、材料表面状態、および他の材料依存特性は、吸着原子拡散率Dを増加させるように選択することができ、これにより、イオン彫刻される特徴への質量輸送が増強され、イオン彫刻される特徴が生成される速度が最大化される。表面欠陥および他の材料トラップ機構の最小化を実施し、トラップによる吸着原子の消滅を最小にすることができ、これにより、さらに、イオン彫刻プロセスの質量輸送機構が増強される。
図14Aのプロットを参照して上記で説明したように、イオンビームフラックスFの影響を考慮すると、イオンビームフラックスが増加するにつれ、イオン衝突による吸着原子消滅も増加し、吸着原子濃度および生成される特徴への輸送が減少する。しかし、同時に、イオンビームフラックスが増加すると、生成される吸着原子の数もまた増加する。そのため、イオンビームフラックスは好ましくは、吸着原子生成および吸着原子消滅に影響するように制御され、これにより、イオン彫刻プロセスに対する吸着原子の有効性が決定される。入射イオン種およびエネルギーの制御、およびガス状プロセス環境の制御により、係数Y1およびσCの制御が可能となり、同時に吸着原子生成および消滅が制御される。
式(3)のモデルにより得られる空間吸着原子濃度プロファイルに対する特定解は、式(3)の左側を0に設定する準定常近似下で達成できる。このシナリオは、処理中の材料の吸着原子濃度プロファイルが、特徴形状の変化、例えば、変化する細孔半径R、およびイオンフラックスFに迅速に適応する用途で正しいと証明されている。この仮定を用いると、モデルでは、細孔縁部からずっと離れた空間的に均一な定常状態吸着原子過飽和濃度が得られ、特性質量輸送距離Xmにわたって減衰し、ナノ細孔縁部では0となる。
吸着原子は、イオンビーム照射に曝露された材料の表面上のいたるところで除去され、イオンビームにより生成されるので、特徴の質量輸送距離Xm、例えば、細孔縁部内で生成する吸着原子は、入射イオンにより消滅するのではなく、細孔縁部の材料まで拡散し、追加しやすい。ずっと遠く離れて生成された吸着原子に対しては反対のことが当てはまる。そのため、質量輸送距離Xmはフラックスの増加に伴い減少する。
低温で得られた関連するデータから、拡散が重要でないことが予測される細孔縁部からのスパッタ浸食に対する有効断面、Ypが得られ、1入射イオンあたり生成される吸着原子数Y1の次数が統一されているとし、窒化ケイ素サンプルに対しては約10nmの材料の厚さに対し、式(3)のモデルにより、細孔を低減させることが実験的に証明されている温度である、約28℃の温度で、与えられた各アルゴンフラックスに対し図14Aのプロットの実線曲線が得られる。
このデータから、線形フィットを用いると、約103nm2s-1の拡散率値Dが引き出され、約0.1nm2のσCが妥当な推定値として得られる。この実験データから、以下のようにモデルは、吸着原子が拡散し、特徴の位置、例えば低減細孔縁部で材料を追加する可能性の高い最大距離Xmが、下記式で示されるように、吸着原子拡散率、トラップ寿命、イオンビームフラックスおよび吸着消滅に対する断面に比例することを予測することが見出され:
直線関係は、図14Bのプロットデータから証明されるように、実際観察される。図14Aは考慮した各イオンフラックスに対する、対応する質量輸送距離Xmを示す図である。このため、質量輸送距離Xmは、細孔縁部からの特性距離を表し、その距離内では、吸着原子は、トラップまたはイオンビームフラックス浸食により消滅するのではなく、細孔に到達する可能性がより高い。形成される特徴、例えば細孔縁部から距離Xmを越えた吸着原子は、細孔縁部に到達する前に消滅する可能性が高い。
直線関係は、図14Bのプロットデータから証明されるように、実際観察される。図14Aは考慮した各イオンフラックスに対する、対応する質量輸送距離Xmを示す図である。このため、質量輸送距離Xmは、細孔縁部からの特性距離を表し、その距離内では、吸着原子は、トラップまたはイオンビームフラックス浸食により消滅するのではなく、細孔に到達する可能性がより高い。形成される特徴、例えば細孔縁部から距離Xmを越えた吸着原子は、細孔縁部に到達する前に消滅する可能性が高い。
特別なパラメータ効果を考えると、イオンビームフラックスが増加するにつれ、生成する吸着原子の数が増加するが、吸着原子が細孔縁部まで拡散し、それに追加される距離は減少する。吸着原子の平均寿命は、表面欠陥の減少により増加するので、最大吸着原子拡散距離もまた増加する。温度が増加すると、拡散率、相応して、最大吸着原子拡散距離が増大する。本発明により提供されるこれらの関係の分析学的理解を用いると、モデルにより、開始特徴、例えばナノ細孔の周囲、または特徴が作製される位置周辺で提供されるに違いない材料の最小距離Xmを規定し、特徴を完全に形成する、例えば、与えられた処理条件下で、ナノ細孔の半径を所望の最終半径、Rまで減少させるために十分な材料を提供することができ、所与の用途で有効な最大拡散距離Xmを提供するように処理条件を調整することができる。
処理される表面の任意の位置rでの吸着原子フラックス、または電流jは下記式で与えられ:
rは動径座標であり、濃度勾配はナノ細孔縁部、r=Rで評価したものであり、ナノ細孔材料縁部への吸着原子フラックスj(R)を示す。さらに、ナノ細孔縁部から材料が削り取られ、細孔面積が増大するのは、細孔縁部からのスパッタ浸食に対する特性断面により説明される。
rは動径座標であり、濃度勾配はナノ細孔縁部、r=Rで評価したものであり、ナノ細孔材料縁部への吸着原子フラックスj(R)を示す。さらに、ナノ細孔縁部から材料が削り取られ、細孔面積が増大するのは、細孔縁部からのスパッタ浸食に対する特性断面により説明される。
ナノ細孔に到達する各吸着原子が体積Ωだけ細孔を充填し、これにより、細孔の程度が減少する場合、ナノ細孔減少速度は、下記式として与えられる体積均衡により予測される:
式中、Ypは細孔縁部からのスパッタ浸食に対する有効断面積であり、Hはナノ細孔が減少する、または充填されるのに伴い形成される膜の厚さであり、Ωは原子体積である。ナノ細孔縁部での吸着原子電流j(R)に対する上記代入式(7)は下記のようになる:
式中、K0およびK1は第2種変形ベッセル関数である。
式中、Ypは細孔縁部からのスパッタ浸食に対する有効断面積であり、Hはナノ細孔が減少する、または充填されるのに伴い形成される膜の厚さであり、Ωは原子体積である。ナノ細孔縁部での吸着原子電流j(R)に対する上記代入式(7)は下記のようになる:
式中、K0およびK1は第2種変形ベッセル関数である。
この式により、イオンビーム環境に特有の所与の組のプロセスパラメータに対し、イオンビーム彫刻制御が可能となり、所望の半径Rのナノ細孔が作製される。例えば、このモデルから、細孔半径の減少は、温度を増加させると増強されることが見出されている。これは、上記様式の熱的に活性化された吸着原子拡散係数により説明することができる。
この理解に基づき、吸着原子生成および質量輸送に影響するプロセスパラメータを、上記式(3)の右側の最初の2項が式(3)の右側の第2の2項を支配し、そのため、イオン照射した材料中で選択した特徴を形成するためのイオン彫刻が進行するように選択する。他方、トラップによる吸着イオン消滅およびイオン衝突による吸着イオン消滅に影響するプロセスパラメータは、式(1)の右側の第2の2項が支配し、1つの表面位置から別の位置への材料の質量輸送ではなく、材料スパッタリングおよび除去が起こるように制御されるように選択する。
このように、本発明の制御方法によれば、この方法を用いると、式(9)を使用して、任意の特別な組の処理条件下でとにかく減少させることができる最大開始細孔半径Rmaxを特定することができる。この最大開始細孔半径Rmaxは温度の増加と共に、およびイオンビームフラックスの減少と共に増加する。十分高い温度および十分低いイオンビームフラックスでは、Rmaxは、開いた細孔を閉鎖することができる条件を決定するシナリオでは無限となる。このため、この最大半径Rmaxは下記式により与えられる:
Xm、Y1およびYpが定数として提供されると、
の比は、細孔半径Rの増加と共に減少し、R=Rmaxおよびそれ以上である場合、細孔半径を減少させることはできない。このため、この式の解析により、処理条件を、所望のRmaxを実現するように、または所与の用途により固定された最大半径Rmaxを提供するように調節することができる。
の比は、細孔半径Rの増加と共に減少し、R=Rmaxおよびそれ以上である場合、細孔半径を減少させることはできない。このため、この式の解析により、処理条件を、所望のRmaxを実現するように、または所与の用途により固定された最大半径Rmaxを提供するように調節することができる。
実験的に、ナノ細孔半径として作成される成長膜またはフィルムの厚さHが減少し、充填される細孔は、減少速度d(πR2)/dtに依存し、ここで、Rはナノ細孔の半径であることが観察されている。細孔減少速度が高いほど、細孔減少速度が低い場合よりもフィルムが薄くなる。さらに、イオンビームエネルギーが高いほど、イオンビームエネルギーが低い場合よりもフィルムが厚くなる。上記式に基づき、本発明では、所望の細孔減少速度およびフィルム厚が得られるイオンビーム彫刻プロセス条件、特にイオンビームエネルギーを選択することにより、選択したフィルムの厚さを規定することができる。
上記で説明したように、一般に本発明によれば、任意の形状の開口の周囲の異なる領域はまた、上記式3〜6により開き、閉鎖することが理解される。さらに、上記式6〜10は明らかな様式で一般化することができ、本明細書で示した実施例で仮定した円筒対称を除去することができ、任意の形状の特徴のモデリングおよびプロセス制御が可能となる。このように、上記のように、本発明は特別の特徴形状に限定されない。
本発明によれば、吸着原子拡散モデルの時間依存性解を使用して、選択したデューティサイクルを有するパルスイオンビームを採用するイオン彫刻プロセスを説明することができる。入射イオンビームを切った時の条件をモデル化するために、最初の濃度プロファイルに対し定常状態条件を仮定する。すなわち、イオンビームフラックスをF=0に設定し、表面上の吸着原子の初期濃度を、上記ナノ細孔例に対し、下記式として与える:
式中、
Cssは、ポア縁部から遠くの定常状態吸着原子濃度である。この初期濃度を上記式(3)に代入すると、下記式が得られ:
吸着原子濃度Cに対する仮定した境界条件は、下記の式の通りであり:
式中、
bは、細孔縁部から遠く離れた外側の境界条件であり、すなわちN>>1である。実際の計算では、
は典型的には十分大きいが、いくつかの用途では、精度を増加させるにはより大きなN値が必要とされることがあることは認識される。
式中、
Cssは、ポア縁部から遠くの定常状態吸着原子濃度である。この初期濃度を上記式(3)に代入すると、下記式が得られ:
吸着原子濃度Cに対する仮定した境界条件は、下記の式の通りであり:
式中、
bは、細孔縁部から遠く離れた外側の境界条件であり、すなわちN>>1である。実際の計算では、
は典型的には十分大きいが、いくつかの用途では、精度を増加させるにはより大きなN値が必要とされることがあることは認識される。
上記式(12)に対する解は、ビームを切った後の処理される材料表面での吸着原子濃度の時間依存性解を、下記式として提供する:
以下を仮定すると、αnの根が得られる:
J0およびY0は第1種ベッセル関数である。
以下を仮定すると、αnの根が得られる:
J0およびY0は第1種ベッセル関数である。
処理する材料にイオンビームが照射されていない時、すなわち、ビームを消した直後または材料をビームから遮蔽した直後、移動性吸着原子は材料表面上に残るが、入射ビームフラックスに関連する吸着原子消滅機構はもはや存在しない。このように、材料がイオンビームに曝露されなくなると直ちに、材料表面に残ったこれらの吸着原子は非常に増大したXmから細孔周囲に拡散することができる。この条件は、細孔半径減少に対する1イオンあたりの効率を著しく増大させることが発見されている。実際、図14Aのプロットに示されるように、パルスイオンビーム照射プロセスは実験的に、特徴を形成するのに、ここでは細孔の半径を減少させるのに、連続曝露条件に比べ、より効率的であることが見出されている。
本発明によれば、パルスイオンビーム彫刻プロセスを採用した場合、式(15)を上記式(9)と共に使用して、特徴形成または変化速度、例えば、ナノ細孔直径減少を予測し、制御することができる。とりわけ、本発明によれば、パルスイオンビーム構造、すなわち、パルス速度およびデューティサイクルを調整し、構造寸法の変化のサインおよび速度の制御を達成することができる。
本発明によれば、ビームを切った時の条件のように、ビームを最初に元に戻す、または構造を再びビームに曝露した時にも一時解が存在することが認識される。この一時的な現象はいくつかの条件下で重要であることがあるが、ほとんどの用途では「ビーム-オン」の一時的な現象は「ビーム-オフ」の一時的な現象よりも著しく短く、そのため無視することができる。ある一定の用途で、そのようなことが問題ではない場合、上記で得られた「ビームオフ」の一時解析が好ましくは、「ビーム-オン」解析に拡張される。その後、イオンビーム照射のデューティサイクルは特に、所望のイオン彫刻結果を達成するように選択することができる。
本発明のプロセス制御法の有効性を証明するために、DNAの単一分子電子検出器として使用するために、Si3N4膜中にナノ細孔を彫刻した。タンパク性ナノ細孔、チャネルが水溶液中で脂質二重層中に挿入されており、この場合、電子センサーとして機能し、単一分子の同定および特徴付けが実施される。しかし、脂質二重層中のタンパク質は不安定であり、タンパク質により得られるチャネル直径は容易に調整することができない。本発明により提供される、任意の所望の直径に作られた強固な固体ナノ細孔では、限定空間における輸送の新規データおよび理解が得られ、前例のない速度でのDNA分子および他の生物高分子を特徴づける強固な単一分子感知装置の作製が可能となる。
上記プロセスパラメータおよびプロセス制御に従い、窒化ケイ素膜中に5nmの直径の細孔を作製した。その後、電気生理学技術を用いて、二本鎖DNAで細孔の試験を行った。ナノ細孔を通して負に帯電したDNA分子を引き出す電圧バイアスを印加した後、図15に示されるように、脂質二重層内でα-ヘモリシンにより形成されたチャネルを通して一本鎖DNAを移行させた時に観察されたイオン電流遮断と類似の様式で、イオン電流の減少が観察された。DNAを添加する前の1時間のモニタリング中ではそのような電流減少が観察されなかったので、および電圧バイアスを反転させると、電流の減少が中止したので、電流の減少は、個々のDNA分子のナノ細孔との相互作用に起因する。この電流の減少期間は、ミリ秒のオーダーであること、一貫して開-細孔電流値の約88%の電流値になることが見出された。この最終値は、断面積が3nm2〜4nm2のロッド状分子の転移と釣り合う。
上記実験観察、モデル考察および制御法、ならびに実験電子装置結果はすべて、本発明のイオンビーム彫刻制御法がナノスケール製造にいたる優れたアプローチを表すことを示す。とりわけ、本発明は、ビーム彫刻プロセス中に競合するスパッタリングおよび質量プロセスの制御を可能とする。上記フィードバック制御技術を用いると、再現性は正確に適合した全ての条件および開始寸法に依存しない。しかしながら、それが達成できれば、本発明の制御モデルにより、イオン速度計数または他のフィードバック制御に頼ることなく、開ループ処理が可能となる。そのため、本発明はイオン計数フィードバックループに対応することができる特徴または形状に限定されない。
本発明のイオンビーム彫刻制御法は、広範囲にわたるナノスケール半導体装置、マスク、および機械的特徴の作製に特に有益であり、上記で説明したように、細孔または貫通孔の形成に限定されない。スリット、溝、十字路、ドーププロファイル、レジストパターン形成、埋設層プロファイル、ならびに他の形状および特徴を作製し、寸法制御、または変更することができる。同様に、広範囲にわたる材料、例えば、Si、SiO2、Si3N4、Alなどのマイクロエレクトロニクス材料、および広範囲にわたる他の材料を採用することができる。さらに、次世代イオン源アレイおよびマスク技術をマルチチャネル検出器と組み合わせて使用し、本発明のナノスケールイオンビーム彫刻制御法の高い並列性の適用が可能となることが理解される。
この考察は、本発明の固体特徴形成および寸法制御プロセスの広範囲にわたる適用を強調する。本発明のサブトラクティブおよびアディティブ材料処理技術を、本発明の物理種検出およびフィードバック制御と共に使用すると、再現性のある、精度の高い特徴形成が可能となる。この精度および制御の利点は、ナノメートル特徴寸法および寸法公差に適用した場合に最も明らかになる。もちろん、当業者であれば、本発明の当技術分野への貢献の意図および範囲から逸脱せずに、本発明のプロセスに様々な変更および追加をしてもよいことは認識される。したがって、本発明により与えられようとされる保護は、特許請求の範囲の対象および完全に本発明の範囲内ある全ての等価物に拡張されると考えるべきであることは理解される。
Claims (12)
1つの表面を有し、1つの構造特徴を有する固体構造を提供する工程;
該構造を、第1の曝露温度で、特性イオン曝露デューティサイクルを有する周期的イオンフラックスに曝露する工程;および
該構造を、第1の曝露温度よりも高い第2の曝露温度で、周期的イオンフラックスに曝露させ、イオンフラックス曝露に応じて、構造表面を含む構造内で、構造の材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に構造材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる工程
を含む、固体構造特徴の物理寸法を制御するための方法。
該構造を、第1の曝露温度で、特性イオン曝露デューティサイクルを有する周期的イオンフラックスに曝露する工程;および
該構造を、第1の曝露温度よりも高い第2の曝露温度で、周期的イオンフラックスに曝露させ、イオンフラックス曝露に応じて、構造表面を含む構造内で、構造の材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に構造材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる工程
を含む、固体構造特徴の物理寸法を制御するための方法。
1つの表面を有し、1つの構造特徴を有する固体構造を提供する工程;
該構造を、第1のイオンフラックスで、特性イオン曝露デューティサイクルを有する周期的イオンフラックスに曝露する工程;および
該構造を、第1のイオンフラックスよりも低い第2のイオンフラックスで、周期的イオンフラックスに曝露させ、イオンフラックス曝露に応じて、構造表面を含む構造内で、構造材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に構造材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる工程
を含む、固体構造特徴の物理寸法を制御するための方法。
該構造を、第1のイオンフラックスで、特性イオン曝露デューティサイクルを有する周期的イオンフラックスに曝露する工程;および
該構造を、第1のイオンフラックスよりも低い第2のイオンフラックスで、周期的イオンフラックスに曝露させ、イオンフラックス曝露に応じて、構造表面を含む構造内で、構造材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に構造材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる工程
を含む、固体構造特徴の物理寸法を制御するための方法。
1つの表面を有し、1つの構造特徴を有する固体構造を提供する工程;
該構造を、第1のデューティサイクルに対する第1のイオン曝露期間および第1の非曝露期間により特徴づけられる第1の曝露デューティサイクルを有する周期的イオンフラックスに曝露する工程;および
該構造を、第2のデューティサイクルに対する、第2のイオン曝露期間および第1の非曝露期間より大きな第2の非曝露期間を有する周期的イオンフラックスに曝露させ、イオンフラックス曝露に応じて、構造表面を含む構造内で、構造材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に構造の材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる工程
を含む、固体構造特徴の物理寸法を制御するための方法。
該構造を、第1のデューティサイクルに対する第1のイオン曝露期間および第1の非曝露期間により特徴づけられる第1の曝露デューティサイクルを有する周期的イオンフラックスに曝露する工程;および
該構造を、第2のデューティサイクルに対する、第2のイオン曝露期間および第1の非曝露期間より大きな第2の非曝露期間を有する周期的イオンフラックスに曝露させ、イオンフラックス曝露に応じて、構造表面を含む構造内で、構造材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に構造の材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる工程
を含む、固体構造特徴の物理寸法を制御するための方法。
1つの表面を有し、1つの構造特徴を有する固体構造を提供する工程;
該構造を、イオンの連続フラックスに曝露する工程;および
該構造を、デューティサイクルに対するイオン曝露期間および非曝露期間により特徴づけられるデューティサイクルを有する、周期的イオンフラックスに曝露させ、イオンフラックス曝露に応じて、構造表面を含む構造内で、構造材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に構造材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる工程
を含む、固体構造特徴の物理寸法を制御するための方法。
該構造を、イオンの連続フラックスに曝露する工程;および
該構造を、デューティサイクルに対するイオン曝露期間および非曝露期間により特徴づけられるデューティサイクルを有する、周期的イオンフラックスに曝露させ、イオンフラックス曝露に応じて、構造表面を含む構造内で、構造材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に構造材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる工程
を含む、固体構造特徴の物理寸法を制御するための方法。
構造特徴が開口を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
構造が結晶基板を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
構造が窒化ケイ素膜を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
構造が二酸化ケイ素膜を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
各周期的イオンフラックスが、少なくとも約50%のイオンフラックスデューティサイクルを含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
1つの構造特徴を有する二酸化ケイ素膜を提供する工程;および
二酸化ケイ素膜を、デューティサイクルに対しイオン曝露期間および非曝露期間により特徴づけられるデューティサイクルを有する周期的イオンフラックスに曝露させ、イオンフラックス曝露に応じて、膜表面を含む二酸化ケイ素膜内で、膜の材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に膜の材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる工程
を含む、固体構造特徴の物理寸法を制御するための方法。
二酸化ケイ素膜を、デューティサイクルに対しイオン曝露期間および非曝露期間により特徴づけられるデューティサイクルを有する周期的イオンフラックスに曝露させ、イオンフラックス曝露に応じて、膜表面を含む二酸化ケイ素膜内で、膜の材料を構造特徴に輸送させ、実質的に特徴に膜の材料を局所的に追加することにより、特徴の少なくとも1つの物理寸法を変化させる工程
を含む、固体構造特徴の物理寸法を制御するための方法。
特徴が膜中の開口を含む、請求項10記載の方法。
1つの表面を有し、表面から広がる構造内の開口を有する固体構造を提供する工程;および
実質的に特徴に構造の材料を開口縁部に局所的に追加することにより、構造表面を含む構造内で、イオンフラックス曝露に応じて構造の材料を開口縁部に輸送させるように共に選択された、イオン曝露期間、Ton、および非曝露期間、Toffにより特徴づけられるイオン曝露デューティサイクルを有する周期的イオンフラックスに、構造を曝露させる工程であって、イオン曝露および非曝露期間は、下記式を基に選択される工程を含む、構造内の開口の面積を制御するための方法:
(式中、tは時間であり、dA/dtは開口面積Aの選択した変化速度であり;Rssは連続イオンフラックス曝露に対する構造に特徴的な開口面積変化の定常速度であり;τriseは材料応答立ち上がり時間でありτdecayはイオン曝露下での構造に特徴的な材料応答減衰時間である)。
実質的に特徴に構造の材料を開口縁部に局所的に追加することにより、構造表面を含む構造内で、イオンフラックス曝露に応じて構造の材料を開口縁部に輸送させるように共に選択された、イオン曝露期間、Ton、および非曝露期間、Toffにより特徴づけられるイオン曝露デューティサイクルを有する周期的イオンフラックスに、構造を曝露させる工程であって、イオン曝露および非曝露期間は、下記式を基に選択される工程を含む、構造内の開口の面積を制御するための方法:
(式中、tは時間であり、dA/dtは開口面積Aの選択した変化速度であり;Rssは連続イオンフラックス曝露に対する構造に特徴的な開口面積変化の定常速度であり;τriseは材料応答立ち上がり時間でありτdecayはイオン曝露下での構造に特徴的な材料応答減衰時間である)。
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