JP2005517388A - 腫瘍特異的モノクローナル抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体および機能的フラグメントを提供する。腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体および機能的フラグメントをコードする核酸も提供する。腫瘍細胞増殖を減少させる方法もまた、提供する。この方法は、腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントの有効量を投与する工程からなる。サンプル中の腫瘍細胞を検出する方法もまた、提供する。この方法は、細胞と腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントとを接触させる工程、およびサンプルへの、ヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメンの特異的結合を検出する工程からなる。

Description

本発明は、一般に癌に関連し、より具体的には癌の処置及び診断用のヒトモノクローナル抗体に関連する。
癌は、アメリカ合衆国における主要な死因の一つである。毎年、50万人より多くのアメリカ人が癌で死亡し、新たに100万人より多くが癌と診断される。癌においては、腫瘍細胞が正常な増殖制御機構から逸脱し、制御不能な状態で増殖し、悪性腫瘍の発生に通じる。原発性腫瘍の処置が完全ではないか、またはこの疾患が実質的に増殖する前に処置を開始されなければ、腫瘍細胞が二次部位に転移し得る。従って、悪性腫瘍の初期診断及び効果的な処置が生存にとって不可欠である。
癌の処置のための現行法として、手術、放射線治療及び化学療法がある。これらの各治療における主要な問題は、癌細胞に対する特異性の欠如である。例えば、腫瘍の外科的切除はしばしば不完全である。少数の残存腫瘍細胞でさえも、急速に増殖し他の部位に転移するので、致死的であり得る。放射線及び化学療法もまた深刻な限界を有す。これらの治療法は正常細胞及び腫瘍細胞の両方を含んだ体内の全ての増殖細胞を標的とする。正常組織に対する毒性に起因して、安全に使用され得る放射線または化学療法剤の量は、全ての腫瘍細胞を死滅するのにしばしば不適当である。さらに、これらの正常組織への毒性は、悪心及び抜け毛を含む不都合な副作用により示され、この副作用は、これらの処置を受けている癌患者の生活の質を激しく減少させる。明らかに、より選択的且つ効果的な癌処置手段が必要である。
モノクローナル抗体は、対応する抗原の領域、すなわちエピトープを特異的に認識して結合する免疫グロブリンタンパク質の均質調製物である。腫瘍細胞は、正常細胞には存在しない抗原を選択的に発現する。このように、腫瘍特異的抗原に対するモノクローナル抗体が産生され得る。そのような腫瘍特異的抗原は、腫瘍細胞を死滅するかあるいは腫瘍細胞の増殖を停止させる治療的部分に結合され得る。さらに、腫瘍細胞の画像化を可能にする診断的部分にも結合され得る。このように、正常細胞と比較して、腫瘍細胞により選択的に発現される抗原に対するモノクローナル抗体は、癌の初期検出及び効果的処置のために有益に使用され得る。
癌のための現行の免疫処置的ストラテジーのほとんどは、マウスモノクローナル抗体への依存に起因して、限定に有用であった。マウスモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を用いることによって、容易に且つ事実上、制限な量で産生され得る。しかしながら、ヒトに適用されると、モノクローナル抗体はヒト免疫システムによって異物として認識され得、罹患組織に対して治療効果を発揮する前に中和され得る。さらに、マウスの免疫システムは、腫瘍細胞に存在する正常ヒト抗原の免疫優性エピトープをしばしば優先的に認識する。このように、ヒト腫瘍特異的抗原は、治療的に有益なマウス抗体をしばしば産生することができない。
ヒトモノクローナル抗体は、これら制限の両方を克服し得る。最も重要なことに、ヒトモノクローナル抗体は、マウス抗体ほど免疫原性ではない。従って、腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体は、腫瘍細胞をより効果的に標識して除去し得る。さらに、ヒト免疫システムは、正常細胞に存在するエピトープに対する抗原を産生しにくく、腫瘍特異的抗原を産生しそしてそれを首尾良く同定する確率を増加させる。さらに、ヒト免疫システムのレパートリーは、マウス免疫システムのレパートリーと異なり、潜在的に新規な抗体特異性を含む。
腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体を作製する現行手段は、一般的に腫瘍保有患者から採取したリンパ球を用いて開始されている。これらの手法は、インビボで腫瘍反応性リンパ球の刺激及び増殖に依存する。これらの手法は、癌患者の活性化B細胞の狭い抗原特異性の範囲によって、かなり制限されている。インビボにて腫瘍細胞で個体を免疫することは明らかにできないので、マウスを用いて免疫し得るように所定の如何なる抗原あるいは腫瘍細胞のタイプに対する腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体をも容易に産生することは不可能であった。望ましい任意の特異性を持つ腫瘍特異的抗体を産生する手段は、効果的な免疫療法及び免疫診断法にとって、非常に有益である。
このように、癌の治療及び診断のための、改良型腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体について必要性が存在する。本発明は、この必要性を満足させるだけでなく、関連した利点も提供する。
(発明の要旨)
本発明は、単離されたヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントを提供し、この抗体またはその機能的フラグメントは、配列番号10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、および44からからなる群より選択されるCDRのアミノ酸配列を実質的に有している相補性決定領域を含む。ここで、このヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントは、腫瘍細胞またはその抗原と特異的に結合する。
本発明はまた、単離された核酸を提供し、その核酸は、ヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントをコードし、この核酸は、配列番号9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、および45からなる群より選択されるヌクレオチド配列によりコードされたCDRのアミノ酸配列を実質的にコードするヌクレオチド配列を含む。
腫瘍細胞の増殖を減少させる方法もまた、提供される。その方法は、有効量の本発明のヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントを投与する工程からなる。サンプル中の腫瘍細胞を検出する方法もまた、提供される。その方法は、細胞を、本発明のモノクローナル抗体または機能的フラグメントと接触させる工程、および、そのサンプルとそのヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントとの特異的結合を検出する工程からなる。そのモノクローナル抗体または機能的フラグメントの存在または正常細胞と比較して増加したレベルは、そのサンプル中の腫瘍細胞の存在を示す。
(発明の詳細な説明)
本発明は、腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体およびその機能的フラグメントに関する。本発明のヒトモノクローナル抗体およびその機能的フラグメントは、正常細胞に比べて腫瘍細胞と特異的に結合し、腫瘍を選択的に標的にするために使用され得る。これらの抗体は、ヒト起源であり、ヒト被験体に対する投与の際に免疫反応を産生しにくい。従って、これらの抗体は細胞傷害性剤または細胞増殖抑制性剤と結合体化され得、腫瘍を除去するために、癌細胞を選択的に標的にするために使用され得る。腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体はまた、腫瘍細胞を同定するための診断手順においても使用され得る。癌の初期発見は、個人がこの疾患から生存する機会を大いに増加させる。
1つの実施形態では、本発明は腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する方法を提供する。正常ヒト脾臓細胞が、混合リンパ球反応において腫瘍細胞または腫瘍細胞膜でインビトロで免疫される。そのように免疫された脾臓細胞は、次に腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体を無制限に供給するハイブリドーマを産生するために不死化される。リンパ球の供給源として正常細胞を用いることは、癌の治療のために得られ得る異なった腫瘍特異的抗体のレパートリーを大いに増加させる。さらに、異なるヒト治療的および診断的応用のために抗体を効果的に産生する必要があれば、本発明の方法において抗原として使用される細胞または細胞膜のタイプは変更され得る。
別の実験形態では、本発明はヒト腫瘍特異的モノクローナル抗体をコードする核酸に関する。その核酸は、コードされたヒト抗体またはそのフラグメントを発現するために使用され得る。さらに、コードする核酸は、腫瘍細胞に対して高い親和性または高い選択性を示す修飾されたヒト抗体または機能的フラグメントを産生するために、あるいはコ−ドされた抗体の他の機能的特徴を促進するために組換え操作され得る。そのような修飾された抗体はさらに、細胞傷害性剤との結合能の促進または免疫系刺激の増加などの、他の治療的利点を持った修飾を含むために構築され得る。
さらに別の実施形態では、本発明は腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体によって認識される抗原に関する。その抗原は、癌の診断的手順のため、および癌治療のための特異的細胞傷害剤を開発するために使用され得る。腫瘍特異的抗原はまた、ワクチンとして使用され得、腫瘍細胞に対する効果的な免疫反応を発生させるために、癌の危険性のある個体に投与され得る。腫瘍特異的抗原をコードする核酸は、診断的手順においてプローブとして使用され得、またはその抗原の特異的インヒビターを開発するために、組換え方法によって修飾され得る。
免疫グロブリンまたは抗体分子の基本構造は、二つの同一軽鎖および二つの同一重鎖からなり、その軽鎖および重鎖は非共有結合で結合し、ジスルフィド結合によっても結合され得る。各々重鎖および軽鎖は、約110アミノ酸からなるアミノ末端可変領域と、その鎖の他の部位に定常配列を含む。可変領域は、幾つかの超可変領域または抗体分子の抗原結合部位を形成し、その特異性を決定する相補性決定領域(CDR)を包含する。重鎖および軽鎖のCDRのいずれか側には、フレームワーク領域、すなわちCDRを固定し配向させる比較的保存されたアミノ酸配列がある。定常領域は5つの重鎖配列(μ、γ、σ、α、またはε)のうちの1つおよび2つの軽鎖配列(κまたはλ)のうち1つからなる。重鎖定常領域配列は、抗体のアイソタイプおよび分子のエフェクター機能を決定する。
本明細書中で使用される場合、用語「ヒトモノクローナル抗体」は、特定のヒト免疫グロブリンで見られる配列と実質的に同じ重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体を意味する意図がある。重鎖または軽鎖CDRと実質的に同じアミノ酸配列は、基準配列と比べて相当量または相当な程度の配列の同一性を示し、基準配列を有する抗体に特異的に結合した抗原の特異的結合に深く寄与する。そのような同一性は、公知であるかまたは特定のヒトモノクローナル抗体のアミノ酸配列を表わしていると認識される。実質的に同じ重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列は、例えば、特定の抗原と結合する能力が維持されている限りアミノ酸のわずかな修飾または保存的置換を有し得る。用語「ヒトモノクローナル抗体」は、例えば、組換え方法によって、リンパ球によって、またはハイブリドーマ細胞によって実質的に産生されるヒトCDRアミノ酸配列を持つモノクローナル抗体を含むことを意図する。
本明細書中で使用される場合、アミノ酸配列に関して使用される場合、用語「実質的に同じ」は、基準アミノ酸配列によってコードされたペプチドまたはそのフラグメントの特定機能を有すると当業者によって考えられるまでに基準アミノ酸配列と十分な構造同一性または類似性を有するアミノ酸配列を意味することを意図される。その用語は、各々配列同一性または類似性とも当該分野で称される一次構造的同一性または類似姓を包含し得る。抗体または機能的フラグメントの基準配列と実質的に同じアミノ酸配列は、基準配列と、例えばく少なくとも80%、少なくとも83%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも98%同一である配列を包含する、基準配列と少なくとも70%同一である一次構造を有し得る。その用語は、第三次構造の同一性または類似性を包含し得、その三次構造とは、機能的に活性な抗体またはそのフラグメントの三次元構造をいうと理解される。その用語に包含される特定機能は、例えば、腫瘍細胞またはその抗原への特異的結合を包含する、基準アミノ酸配列によってコードされるペプチドまたはそのフラグメントに特異的な任意の生物学的活性であり得る。
基準配列と実質的に同じ核酸配列は、同じポリペプチドアミノ酸配列をコードする核酸配列を包含する。互いに異なるが同じアミノ酸配列をコードする核酸配列は、当該分野で通常、遺伝コードの縮重に起因してサイレントな違いを有するとされる。その用語は、特定コドンのような全配列またはその任意の部分を包含し得る。実質的に同一なアミノ酸または核酸配列は下記に記載する方法を用いて同定され得る。
明細書中で使用される場合、用語「CDR」は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域で見られる非近接抗原結合部位を意味すると意図される。この特定領域は、U.S.Dept.of Health and Human ServicesのKabatらによる「Sequences of Proteins of Immunological Interest 」(1983)に、およびChothiaらによって、J.Mol.Biol.196:901−917(1987)に、さらにMacCallumらによって、J.Mol.Biol.262:732−745(1996)に記載されている。それらの文献は、本明細書中で参考として援用するが、互いの文献を比較するとその定義付けは、アミノ酸残基の重複またはサブセットを包含する。それでも、抗体またはその機能的フラグメントのCDRに言及するためにいずれかの定義を応用することは、本明細書中で定義される用語の範囲内にあることが意図される。各々の上記引用文献によって定義されたCDRを含む適切なアミノ酸残基は、比較対照として下記表Iに表わされる。特定のCDRを含む正確な残基数はそのCDRの構造に依存して変わる。その抗体の可変領域アミノ酸配列が分かれば、当業者はどの残基が特定のCDRを包含するか慣用的に決定し得る。当業者は、下記でより詳細に記載した定義と同じCDR定義を持つ個々の配列の領域または個々のアミノ酸部位を定義することによって、2つまたはより多くの抗体配列を比較し得る。
(表1:CDRの定義)
Kabat Chothia MacCallum
VH CDR1 31−35 26−32 30−35
VH CDR2 50−65 52−56 47−58
VH CDR3 95−102 95−102 93−101
VL CDR1 24−34 24−34 30−36
VL CDR2 50−56 50−56 46−55
VL CDR3 89−97 89−97 89−96
残基番号はKabatら(前出)の命名法に従う
残基番号はChothiaら(前出)の命名法に従う
残基番号はMacCallumら(前出)の命名法に従う。
本明細書中で使用されるように、「機能的フラグメント」という用語は、ヒトモノクローナル抗体に関して使用する場合、基準抗体に特異的に結合する抗原に特異的に結合することができるモノクローナル抗体の部分をいうことを意図する。機能的活性はまた、例えば、抗体定常領域によって提供されるエフェクター機能であり得る。ヒトモノクローナル抗体の機能的フラグメントは、個々の重鎖または軽鎖およびフラグメント(例えば、VL、VH、Fdなど);Fv、Fab、Fab’などの一価フラグメント;F(ab’)2などの二価フラグメント、単鎖Fv(scFv);FcフラグメントおよびCDRドメインを包含する。そのような用語は、例えば、Harlow and Lane、Antibodies: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989);Molec. Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference(Myers,R.A編),New York: VCH Publisher, INC);Hustonら、Cell Biophysics,22:189−224(1993);Pluckthun and Skerra,Meth.Enzymo1.178:497−515(1989)およびDay,E.D,Advanced Immunochemistry,第2版 Wiley−Liss,Inc.,New York,NY(1990)に記載されており、それらの文献は本明細書中で参考として援用している。「機能的フラグメント」という用語は、例えば、ヒトモノクローナル抗体のプロテアーゼ消化または還元によって産生される、および当業者にとって公知の組換えDNA法によって産生されるフラグメントを包含するとことを意図する。
本明細書中で用いられる「VLフラグメント」という用語は、そのCDRを含めて、軽鎖可変領域の全てまたはその一部を包含するヒトモノクローナル抗体の軽鎖フラグメントをいう。VLフラグメントはさらに、軽鎖定常領域配列を包含し得る。
本明細書中で用いられる「Fdフラグメント」という用語は、そのCDRを含めて、重鎖可変領域の全部またはその一部を包含するヒトモノクローナル抗体の重鎖フラグメントをいう。Fdフラグメントはさらに、重鎖定常領域配列を包含し得る。
本明細書中で用いられる「Fvフラグメント」という用語は、重鎖および軽鎖の可変領域の全部またはその一部を含み、重鎖および軽鎖の定常領域を持たないヒトモノクローナル抗体の一価抗原結合フラグメントをいう。重鎖および軽鎖の可変領域は、例えば、そのCDRを包含する。例えば、Fvフラグメントは重鎖および軽鎖の両方の約110アミノ酸のアミノ末端可変領域の全部またはその一部を包含する。
本明細書中で用いられる「Fabフラグメント」という用語は、Fvフラグメントより大きな、ヒトモノクローナル抗体の一価抗原結合フラグメントをいう。例えば、Fabフラグメントは、可変領域、ならびに重鎖および軽鎖の第一定常ドメインの全てまたはその一部を包含する。このように、Fabフラグメントはさらに、例えば、重鎖および軽鎖の約110から220までのアミノ酸残基を包含する。
本明細書中で用いられる「Fab’フラグメント」という用語は、Fabフラグメントより大きな、ヒトモノクローナル抗体の一価抗原結合フラグメントをいう。例えば、Fab’フラグメントは、軽鎖の全て、重鎖の可変領域の全て、ならびに重鎖の第一および第二の定常ドメインの全てまたはその一部を包含する。例えば、Fab’フラグメントはさらに、重鎖の220から330までのアミノ酸残基の幾つかまたは全てをも包含し得る。
本明細書中で用いられる「F(ab’)2フラグメント」という用語は、ヒトモノクローナル抗体の二価抗原結合フラグメントをいう。F(ab’)2フラグメントは、例えば、2つの重鎖および2つの軽鎖の可変領域の全てまたはその一部を包含し、さらに2つの重鎖および2つの軽鎖の第一定常ドメインの全てまたはその一部を包含し得る。
そのフラグメントが機能的活性を維持している限り、ヒトモノクローナル抗体のフラグメントの正確な境界線が変化し得ることを、当業者は知っている。周知の組換え法を用いて、当業者は特定の適用に望ましい任意終点を持つ機能的フラグメントを発現するために核酸を操作し得る。
本明細書中で用いられる「標識」という用語は、本発明のヒトモノクローナル抗体または他の分子に結合し得る部分を意味することを意図する。その部分は、例えば、治療的手順または診断的手順のために使われ得る。
治療的標識は、例えば、本発明の分子に結合し得、新生物細胞の制御不能な増殖または生存能を減少させるために使われ得る部分を包含する。細胞増殖または生存能を減少させ得る標識は、例えば、細胞毒性剤または細胞増殖抑制剤、増殖因子、細胞死レセプターアゴニストまたは免疫モジュレーターであり得る。
診断的標識は、例えば、解析方法によって検出され得る部分を包含する。解析方法は、例えば、定性的および定量的手順を包含する。定性的解析方法は、例えば、免疫組織化学および間接免疫蛍光法を包含する。定量的解析方法は、例えば、放射性免疫アッセイ、ELISAまたはFACS解析のような免疫親和性手順を包含する。解析手段はまた、インビトロおよびインビボにおける画像化手順をともに包含する。解析手段によって検出し得る診断的標識の具体例は、酵素、放射性同位体、色基、蛍光色素、化学発光マーカー、およびビオチンを包含する。
標識は、本発明の分子と直接結合され得るか、または本発明の分子と特異的に結合する第二結合剤に結合され得る。そのような第二結合剤は、例えば、第二抗体であり得る。第二抗体は、ヒト、齧歯類またはキメラ起源の、ポリクローナルまたはモノクローナルのどちらかであり得る。
本明細書中で用いられる「細胞毒性または細胞増殖抑制剤」という用語は、細胞の生存能または増殖能を減少させる薬剤を意味することを意図する。そのような薬剤は、例えば、本発明のヒトモノクローナル抗体または他の分子に結合され得、標的細胞または組織に使用され得る。標的化細胞および組織は、例えば、新生物細胞および腫瘍を包含し得る。標的化細胞および組織の例は、乳房、肺および卵巣組織由来の細胞および組織を包含する。細胞毒性性または細胞増殖抑制剤は、細胞の生存能または増殖を減少させるための多様な方法で機能し得る。そのような機能は、例えば、DNA合成阻害、細胞分裂阻害、アポトーシスの誘導、または非アポトーシス細胞死の誘導を包含する。細胞毒性剤および細胞増殖抑制剤の具体的例は、アメリカヤマゴボウの抗ウイルスタンパク質、アブリン、リシンおよびそれらA鎖の各々、ドキソルビシン、シスプラチン、ヨウ素131、イットリウム−90、レニウム188、ビスマス212、タキソール、5−フルオロウラシルVP−16、ブレオマイシン、メソトレキセート、ビンデシン、アドリアマイシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、BCNU,マイトマイシンおよびシクロフォスファミド、ならびにTNF−αおよびTNF−βなどの特定のサイトカインを包含する。このように、細胞毒性剤または細胞増殖抑制剤は、例えば、放射性核種、化学療法剤、タンパク質およびレクチンを包含し得る。
本明細書中で用いられる「特異的結合」という用語は、ヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントの抗原との選択的相互作用を意味することを意図する。そのような選択的相互作用のために、ヒトモノクローナル抗体は、特定の抗原以外のマーカーとは実質的に結合しないか、または実質的に結合するように作製され得る。特異的結合は、例えば、約10−1あるいはそれより高い結合定数を包含し得る。このように、特異的結合は、少なくとも約1×10−1、1×10−1、または1×10−1、1×10−1、1×1010−1、1×1011−1、1×1012−1の結合定数を包含し得る。特異的結合はまた、例えば、高アビディティー相互作用をも包含する。
本明細書中で用いられる「癌」という用語は、新生物細胞の存在によって特徴付けられた病理学的状態をいう。新生物細胞は、異常な形態または増殖表現型を示す細胞である。そのような細胞は、例えば、足場非依存性細胞増殖、減少した血清培地中における増殖、および接触阻害の喪失によって特徴付けられる。そのような細胞はまた、例えば、腫瘍のような組織の異常な新たな増殖、血管新生(angiogenic vasuculature)、および近接組織中への浸潤によっても特徴付けられる。新生物細胞はまた、体内の原発性腫瘍から他の部位へ転移し得る。例えば、乳房、肺、または卵巣の腫瘍は、他の器官に転移してもなお、乳房、肺または卵巣細胞を包含していると認識され得る。このように、乳房、肺、または卵巣に関して「腫瘍」または「癌」という用語は、これらの腫瘍の体内の他の器官への転移を包含することを意図する。
本明細書中で用いられる場合、用語「有効量」は、腫瘍性細胞の増殖を減少させ得る本発明の分子の量を意味することを意図する。特定の用途に有効量と考えられる実際の量は、例えば、その分子の親和性、アビディティー、安定性、バイオアベイラビリティーまたは選択能、その分子に結合する部分、薬理的キャリアおよび投与経路などの要因に依存し得る。有効量は、当業者に公知の方法を用いて決定されるかまたは推定され得る。そのような方法としては、例えば、培養細胞または組織生検、および信頼性のある動物モデルを用いたインビトロアッセイが挙げられる。
本明細書中で用いられる場合、用語「「単離された」は、抗体に関して使用される場合、天然の抗体またはその抗体を産生するために使用される合成反応において、その抗体と共に認められる1つまたはそれ以上の化合物(例えば、試薬、前駆体または他の反応生成物を含む)から分離されたことを意味する。単離された物質はまた、実質的に純性の物質を包含し得る。単離されたという文言は、生合成反応の生成物のような天然に存在する分子または合成分子の生成などの自然発生的分子を包含し得る。
本発明は、配列番号2または配列番号4のCDRのアミノ酸配列を実質的に有する少なくとも1つのCDRを有するヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントを提供する。供給する。本発明はまた、配列番号6または配列番号8のCDRのアミノ酸配列を実質的に有する少なくとも1つのCDRを有するヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントを提供する。本発明はさらに、ハイブリドーマ細胞株H1140,H2420およびH935によって産生されるヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントを供給する。そのハイブリドーマ細胞株H1140、H2420およびH935もまた提供される。
ハイブリドーマ細胞株LH11238、LH13、H1140、H2420およびH935によって産生されるヒトモノクローナル抗体は全て、正常細胞と比較して腫瘍性細胞への特異的な結合を示すので、腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体である。特に、本発明のヒトモノクローナルは全て、乳癌細胞と選択的に結合し、正常線維芽細胞と比較的弱い結合しか示さない。例えば、LH11238抗体は、正常線維芽細胞、末梢血リンパ球、メラノーマ細胞または肺癌細胞と比較して、乳癌または卵巣癌細胞の表面およびリソソーム画分に存在する抗原と特異的に結合する。LH13抗体は、正常線維芽細胞およびメラノーマ細胞と比較して、乳癌、肺癌、卵巣癌細胞によって産生される物質と特異的に結合する。
ハイブリドーマ株H1140、H2420、H935およびLH13によって産生されるヒトモノクローナル抗体は、IgMアイソタイプおよびλ軽鎖クラスであるが、ハイブリドーマ株LH11238によって産生されるヒトモノクローナル抗体は、IgMアイソタイプおよびκ軽鎖クラスである。腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体のさらなる特質は下記実施例中に記載されている。
LH11238細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)をコードするヌクレオチド配列が決定され、配列番号1に示されている。LH11238細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体のVHアミノ酸配列が、配列番号2に示されている。LH11238細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域(VL)をコードするヌクレオチド配列もまた決定され、配列番号3に示されている。LH11238細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体のVLアミノ酸配列が配列番号4に示されている。
LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)をコードするヌクレオチド配列が決定され、配列番号5に示されている。LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体のVHアミノ酸配列が、配列番号6に示されている。LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域(VL)をコードするヌクレオチド配列もまた決定され、配列番号7に示されている。LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体のVLアミノ酸配列が、配列番号8に示されている。
本発明はさらに、配列番号10、12、14、16,18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および44からなる群より選択される配列のCDRのアミノ酸配列を実質的に有する少なくとも1つのCDRを有する単離されたヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントを提供する。ここで、ヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントは、腫瘍性細胞または抗原と特異的に結合する。
例えば、LH13およびLH11238細胞株を含む、本発明のハイブリドーマ細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の変異体は、正常細胞と比較して腫瘍性細胞との特異的な結合を示し得る。従って、機能的な腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体である。ハイブリドーマ細胞株LH13およびLH11238によって産生されるヒトモノクローナル抗体の機能的変異体、およびそれらを産生する方法が実施例VIIIおよび表5に示されている。
腫瘍性細胞の抗原と特異的に結合するLH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の機能的変異体が、表5に示されており、その機能的変異体は、S97G、S97T、S97Nによって産生される抗体フラグメントを包含し、これらの各々は、例えば、配列番号6で記載される配列の101位において未改変のVLおよび改変されたVHを有し、この改変は、Kabatらによる番号システムに従って、HCDR3の97位
に存在する。クローンS97Gによって産生される抗体フラグメントは、配列番号9に記載されたヌクレオチド配列によってコードされる配列番号10のVHアミノ酸配列に記載されたKabatのHCDR3の97位にグリシンを有する。クローンS97Tによって産生される抗体フラグメントは、配列番号12のVHアミノ酸配列に記載されたKabatのHCDR3の97位にスレオニンを有し、配列番号11に記載されたヌクレオチド配列によってコードされる。クローンS97Nによって産生される抗体フラグメントは、配列番号14のVHアミノ酸配列に記載されたKabatのHCDR3の97位にアスパラギンを有し、配列番号13に記載されたヌクレオチド配列によってコードされる。
LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の他の機能的変異体はまた、配列番号8に記載された配列の90位において未改変のVHおよび改変されたVLを有し、この改変は、Kabatらによる番号システムに従って、LCDR3の91位に存在する。クローンR91YまたはR91Fによって産生される抗体フラグメントをも包含する。クローンR91Yによって産生される抗体フラグメントは、配列番号15に記載されたヌクレオチド配列によってコードされる配列番号16のVLアミノ酸配列に記載されたKabatのLCDR3の91位にチロシンを有する。クローンR91Fによって産生される抗体フラグメントは、配列番号17に記載されたヌクレオチド配列によってコードされる配列番号18のVLアミノ酸配列に記載されたKabatのLCDR3の91番目の部位にフェニルアラニンを持つLCDR3を有する。
LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の機能的変異体は、クローンV97YおよびV97Fによって産生される抗体フラグメントによって示される未改変のVHを保持しつつ、配列番号8に記載されたVL配列の98位に改変され得、この改変は、Kabatらの番号システムを用いて、LCDR3の97番目の部位にある。クローンV97Yによって産生される抗体フラグメントは、配列番号19に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる配列番号20のVLアミノ酸配列に記載されるKabatのLCDR3の97位にチロシンを有する。クローンV97Fによって産生される抗体フラグメントは、配列番号21に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる配列番号22のVLアミノ酸配列に記載されるKabatのLCDR3の97番目の部位にチロシンを有するLCDR3を有する。
腫瘍性細胞の抗原と特異的に結合するLH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体のコンビナトリアル変異体はまた、表5に示されており、その変異体は、例えば、クローン4D5、4E2、4H7、4G11または3G4によって産生される抗体フラグメントを包含する。クローン4D5によって産生される抗体フラグメントは、LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体と比較して、KabatのHCDR3の97位にスレオニンを有するように、およびKabatのLCDR3の91位にチロシンを有するように改変される。その4D5 VHのアミノ酸配列は、配列番号12に記載されており、配列番号11に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる。。そのVLアミノ酸配列は、配列番号16に記載されており、配列番号15に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる。
クローン4E2によって産生されるコンビナトリアル変異体は、LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体と比較して、KabatのHCDR3の97位にスレオニンを有するように、およびKabatのLCDR3の91位にチロシンを有するように、KabatのLCDR3の97位にフェニルアラニンを有するように改変される。4E2 VHのアミノ酸配列は、配列番号12に記載されており、配列番号11に記載されるヌクレオチド配列によってコードされそのVLアミノ酸配列は配列番号24に記載されており、配列番号23に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる。
クローン4H7によって産生されるコンビナトリアル改変体は、LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体と比較して、KabatのHCDR3の97位にスレオニンを有するように、およびKabatのLCDR3の91位にフェニルアラニンを有するように、KabatのLCDR3の97位にフェニルアラニンを有するように改変されている。4H7 VHのアミノ酸配列は、配列番号12に記載されており、配列番号11に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる。そのVLアミノ酸配列は、配列番号26に記載されており、配列番号25に記載されたヌクレオチドによってコ−ドされる。
クローン4G11によって産生されるコンビナトリアル改変体は、LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体と比較して、KabatのLCDR3の91位にフェニルアラニンを有するように、およびKabatのLCDR3の97位にフェニルアラニンを有するように改変されている。4G11 VHのアミノ酸配列は、配列番号6に記載されており、配列番号5に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる。そのVLアミノ酸配列は、配列番号26に記載されており、配列番号25に記載されたヌクレオチドによってコ−ドされる。
クローン3G4によって産生されるコンビナトリアル改変体は、LH13細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体と比較して、KabatのLCDR3の91位にチロシンを有するように、およびKabatのLCDR3の97位にフェニルアラニンを有するように修飾されている。3G4 VHのアミノ酸配列は、配列番号6に記載されており、配列番号5に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる。そのVLアミノ酸配列は、配列番号24に記載されており、配列番号23に記載されるヌクレオチドによってコ−ドされる。
腫瘍性細胞と結合するLH11238細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の機能的改変体は、表5に示されており、その変異体は、Karatらの番号付けシステムに従って、例えば、その各々が未改変VHおよび配列番号4に記載された配列の97番目で改変されたVLを有し、CDR3の89番目の部位において改変があるクローンQ89L、Q89G、Q89V、Q89FまたはQ89Wによって産生される抗体フラグメントを包含する。クローンQ89Lによって産生される抗体フラグメントは、配列番号28のVLアミノ酸配列に記載されるようにKabatのLCDR3の89番目の部位にロイシンを有しており、配列番号27に記載されたヌクレオチド配列によってコードされている。クローンQ89Gによって産生される抗体フラグメントは、配列番号30のVLアミノ酸配列に記載されたKabatのLCDR3の89番目の部位にグリシンを持つLCDR3を有しており、配列番号29に記載されたヌクレオチド配列によってコードされている。クローンQ89Vによって産生される抗体フラグメントは、配列番号32のVLアミノ酸配列に記載されたKabatのLCDR3の89番目の部位にバリンを持つLCDR3を有しており、配列番号31に記載されたヌクレオチド配列によってコードされている。クローンQ89Fによって産生される抗体フラグメントは、配列番号34のVLアミノ酸配列に記載されたKabatのLCDR3の89番目の部位にフェニルアラニンを持つLCDR3を有しており、配列番号33に記載されたヌクレオチド配列によってコードされている。クローンQ89Wによって産生される抗体フラグメントは、配列番号36のVLアミノ酸配列に記載されたKabatのLCDR3の89番目の部位にトリプトファンを有しており、配列番号35に記載されたヌクレオチド配列によってコードされている。
LH11238細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の他の機能的改変体はまた、Karatらの番号付けシステムに従って、その各々が未改変VHおよび配列番号4に記載された配列の103番目に改変されたVLを有し、LCDR3の95番目の部位に改変があるクローンP95aFまたはP95aRによって産生される抗体フラグメントをも包含する。クローンP95aFによって産生される抗体フラグメントは、配列番号42のVLアミノ酸配列に記載されたKabatのLCDR3の95番目の部位にフェニルアラニンを有しており、配列番号41に記載されたヌクレオチド配列によってコードされている。クローンP95aRによって産生される抗体フラグメントは、配列番号43または配列番号45に記載されたヌクレオチド配列によってコードされている配列番号44のVLアミノ酸配列に記載されたKabatのLCDR3の95番目の部位にフェニルアラニンを有する。
LH11238細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の機能的改変体は、クローンN93Cによって産生される抗体フラグメントによって示される未改変のVHを保持している一方で、配列番号4に記載されたVL配列の100番目の部位でLCDR3内で改変され得る。クローンN93Cによって産生される抗体フラグメントは、配列番号38に記載されるVLアミノ酸配列に記載されるKabatのLCDR3の93番目の部位にシステインを有しており、配列番号37に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる。クローンN94Cによって産生される抗体フラグメントに示されているように、LH11238細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体の機能的改変体は、未改変のVHを保持し得、そして配列番号40(KabatのLCDR3の94番目の部位)に記載されるVLアミノ酸配列の101の部位にシステインを有するように改変され、配列番号39に記載されるヌクレオチド配列によってコードされている。
本発明の腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが、ヒト脾臓細胞培養物と乳癌細胞株をインビトロ免疫することによって産生された。簡単に言えば、混合リンパ球反応(MLR)が同種異系のヒト脾臓から単離された単一細胞懸濁液を共培養することによって確立された。腫瘍反応性リンパ球は、続いてMLR培養物を乳癌細胞の単層または濃縮した形質膜のいずれかとインキュベートすることによって濃縮された。本発明のヒトモノクローナル抗体の永久供給原を提供するために、免疫されたリンパ球が、K6H6/B5ヘテロミエローマ細胞株と融合することによって、またはEBVでの形質転換に続くK6H6/B5細胞との融合によって、不死化された。本発明の各々のハイブリドーマ細胞株を産生するために使用された抗原の特定の供給原および不死化方法は、下記実施例により詳細に記載されている。
本発明の腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体はまた、当業者に公知の方法によって産生され得る。これらの方法は、例えば、腫瘍反応性リンパ球のインビボおよびインビトロ濃縮法を包含する。例えば、乳房腫瘍、肺腫瘍または卵巣腫瘍を有する患者は、例えば、LH13、LH11238、H1140、H2420またはH935の抗原を含む腫瘍特異的抗原と特異的に結合する抗体を発現するリンパ球を有し得る。そのようなリンパ球は、例えば、末梢血または患者の脾臓から分離され得、後述のように不死化され得る。
腫瘍反応性ヒトリンパ球のインビトロ濃縮する方法また、当業者には周知である。抗原の供給原は、例えば、実質的に純粋な抗原、腫瘍細胞または腫瘍細胞分画であり得る。実質的に純粋な抗原は、例えば、クロマトグラフィー、電気泳動的分離法および免疫的分離法を含めて、当業者に周知であるいずれかの方法によって調製され得る。
本発明のヒトモノクローナル抗体を調製するために有用な抗原は、例えば、腫瘍性細胞であり得る。腫瘍性細胞は、例えば、腫瘍、初代培養腫瘍細胞または樹立された細胞株から直接得られる細胞であり得る。そのような細胞は、例えば、乳房、肺または卵巣を含めて、体内のどんな器官、組織または体液からも生じ得る。その癌細胞は、未処理、固定または増殖停止で使用され得る。固定法は、例えば、化学的固定を含めて、当業者に公知の多くの方法によって行われ得る。固定のための有用な化学物質としては、例えば、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、メタノール、またはアセトンが挙げられる。細胞は、細胞増殖抑制剤を用いることによって選択的に増殖停止され得る。細胞増殖抑制剤の特定のレイは、マイトマイシンCである。
本発明のヒトモノクローナル抗体を調整するために有益な抗原はまた、腫瘍細胞の分画であり得る。腫瘍細胞分画は、例えば、細胞膜、細胞質内容物、または核であり得る。細胞分画のための方法は、当業者に周知である。本発明のモノクローナル抗体を調製するための抗原はまた、腫瘍細胞より分泌される抗原であり得る。そのような抗原は、例えば、当業者に公知の方法を用いる馴化培地または腫瘍細胞の細胞マトリックス単離によって調製され得る。
上述のように調製された抗原は、本発明の腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体を産生するためにヒトリンパ球を刺激するために使用され得る。ヒトリンパ球は、例えば、生存個体の末梢血からまたは死亡したあるいは手術を受けた個体の脾臓から入手され得る。リンパ球は抗原と直接培養され得る。選択的に、リンパ球は同種異系のリンパ球の存在下における混合リンパ球反応において抗原と培養され得る。特定抗原とリンパ球供給源のための適切な培養条件は当業者のよって容易に決定され得る。
望ましくは、上述のようなインビボまたはインビトロ刺激によって濃縮された抗原プライムしそのリンパ球は、当業者に公知の多くの方法によって不死化され得る。不死化は腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体の永久的な供給原を提供する。リンパ球の不死化は、例えば、不死化細胞株と融合させることで達成され得る。細胞融合のために有用なそのような不死化細胞株は、例えば、ヒトミエローマ細胞またはヒトリンパ芽球B細胞株であり得る。融合パートナーはまた、げっ歯類動物ミエローマ細胞またはヒト:げっ歯類動物のヘテロミエローマ細胞株であり得る。ヘテロミエローマ細胞株は、例えば、ヒト:マウスのヘテロハイブリドーマ細胞株K6H6/B5であり得る。あるいは、抗原プライムしたリンパ球は、例えば、ウイルスを用いることで、ウイルス形質転換により不死化され得る。ウイルス形質転換による不死化のための有用なウイルスはEBVである。抗原プライムしたリンパ球はまた、ウイルス形質転換、引き続く後融合により不死化され得る。ウイルス形質転換、引き続く融合は、例えば、EBV形質転換後、引き続くK6H6/B5細胞株と融合され得る。リンパ球融合またはウイルス形質転換のための培養条件は当業者によって容易に決定され得る。
不死化リンパ球は、当業者に公知の免疫アッセイを用いて、ヒト腫瘍細胞に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体の産生についてスク−ニングされ得る。そのような免疫アッセイは、例えば、定量的および定性的な、免疫アッセイを包含する。定性的免疫アッセイとしては、例えば、沈降法、凝集反応、免疫組織化学法、免疫蛍光法、免疫ブロッティング法、免疫沈降法が挙げられる。定量免疫アッセイ法としては、例えば、放射性免疫アッセイ、FACS解析、およびELISA解析のような免疫親和性法が挙げられる。ELISA解析は、直接法、サンドイッチ法または競合法があり得る。免疫アッセイは、例えば、標識したヒトモノクローナル抗体を用いることによって、直接行われ得る。あるいは、そのような方法は、例えば、標識した抗ヒト二次抗体を用いることによって、間接的に行われ得る。標識は、例えば、蛍光ラベル、酵素、ラジオアイソトープまたはビオチンであり得る。検出法は、免疫アッセイ法に依存して、分光学的手段、放射線的手段または化学発光的手段によって行われ得る。そのような方法はまた、腫瘍性細胞または抗原のための増加した親和性を有する改良型抗体またはその機能的フラグメントをスクリーニングするために使用され得る。
改良型抗体またはその機能的フラグメントはまた、腫瘍性細胞またはその抗原との結合率のためのスクリーニングにおいて同定され得る。特に、改良型抗体または機能的フラグメントは、それが由来する親抗体と比較して結合率の増加を有するものとして同定される。そのような測定法を利用する場合、増加した結合率に起因する改良される治療的効力は、治療的効力とは相関しない減少した解離率に起因する、同じ抗原についてK(解離定数)の増加を有する結合ポリペプチドと識別され得る。この点に関して、当業者はK=kon/koffの相関に従って、Kの増加がkonの増加またはkoffの減少またはその両方に起因し得ることが認識され得る。
結合率は例えば、抗体またはその機能的フラグメントと抗原を急速に接触させることによってまたは結合パートナーを含む溶液の温度を急速に変えることによって形成される混合物を含む非平衡混合物において決定され得る。非平衡混合物は平衡前混合物であり得る。平衡前混合物は、例えば、検出器中の総抗原量および総抗体量またはその機能的フラグメント量が接触する条件で、可溶性抗体またはその機能的フラグメントおよび可溶性抗原を接触させることで形成され得る。平衡前混合物中の結合率の測定は、抗体またはその機能的フラグメントと抗原を急速に混合することおよび1000分の1秒またはそれより短い時間スケールで、抗体またはその機能的フラグメントまたは抗原の特質の変化を急速に検出する形式において行われ得る。後述のようなストップフロー装置および急速除去フロー装置が非平衡動態を測定するための好都合な手段を提供する。その結合率はまた、例えば、可溶性の抗体またはその機能的フラグメントを含む溶液、あるいは不溶性の総抗原または総抗体またはその機能的フラグメントを含む溶液を含む非平衡混合物中においても測定され得る。非平衡混合物中の結合率の測定は、その測定が1000分の1秒またはそれより短い時間スケールで行われるような抗体またはその機能的フラグメント、抗原または表面の特質の変化の急速な検出と結合されて、抗原の表面へ接触およびその抗体または機能的フラグメントを含む溶液のその表面上への連続的なフローを提供する形式で行われ得、その逆も行われ得る。平衡前混合物中の結合率を測定するための形式は、例えば、ストップフロー動態装置および急速除去フロー装置を備える。ストップフロー装置は、検出細胞中への通過の直前に、抗体またはその機能的フラグメントおよび抗原を含む溶液を分離室から混合室へ送るために使用され得る。その装置は、次にその結合の進展を監視するために、上記1つまたはそれ以上の特質における変化を検出することができる。急速除去フロー装置は、抗体またはその機能的フラグメントを含む溶液と抗原を含む溶液を急速に混合し、一定時間後にその結合反応を除去するために使用され得る。上記特質の1つまたはそれ以上における変化が次に、混合しながら異なった時間で除去することで産生される除去混合物のために検出され得る。除去工程が結合率の測定のために依存したその特質の検出を抑制しない限り、例えば、凍結または化学除去剤の添加によって、除去が行われ得る。このように、急速除去装置は、例えば、分光器による検出が望ましくない状況において、有用であり得る。多種類の装置がKinTek Corp.(State College,PA)およびHi−Tech Scientific(Salisbury,UK)のような業者から商業的に入手できる。
非平衡混合物中の結合率を測定するための形式は、例えば、表面プラスモン共鳴および消失性波長装置を備える。表面プラスモン共鳴および消失性波長技術は、バイオセンサー表面に接触した抗原または抗体またはその機能的フラグメントを利用する。各々の結合パ−トナーを含む溶液がバイオセンサー−表面上を通過され、結合上のチップ表面で生じる溶液の屈折率の変化が経時的に測定され得る。例えば、表面プラスモン共鳴は、表面プラスモン波長が金属/液体界面で励起されるときに生じる現象に基づく。光線が試料と接触しない表面側に向けられ、そちら側から反射される。SPRが、角度と波長の特殊な組み合での反射光強度における減少を生じさせる。生分子結合が表面層における反射率の変化を生じさせ、その変化はそのSPRシグナルにおける変化として検出される。その結合はレセプターーリガンドペア間の結合または分離であり得る。反射率における変化は、本質的に瞬時に測定され得るので、結合定数の個々の成分の決定を可能にする。より特殊なことに、その方法は結合定数(kon)および解離定数(koff)の正確な測定を可能にする。表面プラスモン共鳴装置は、例えば、BIAcore instrument,IBIS system,SPR−CELLIA system,Spreeta,およびPlasmon SPRを含む当業者において入手でき、消失性波長技術は,例えば、Rich and Myszka,Curr. Opin. Biotech.11:54−61(2000)の記載のように、Iasys systemで入手できる。
結合定数は、例えば、上述の方法を用いることによって、結合反応が起こっている間の1つまたはそれ以上の離散的な時間間隔におけるリガンドまたは結合ポリペプチドの特質の変化を測定することによって決定される。その結合反応の間離散的な時間間隔で決定される測定は、結合定数の定量測定または結合定数の相対的測定を決定するために使用され得る。結合定数の定量的測定は、例えば、結合率値またはkon値をも含む。結合率またはkon値の定量値は経時的測定の数学的解析または画像的解析から決定され得る。そのような解析は当業者に周知であり、指数あるいは直線期間の総数をデータに当てはめるアルゴリズムまたはJohnson,Cur.Opin.Biotech.9:87−89(1998)における実施例に記載されるように結合モデルをデータに当てはめるためのコンピューターシュミレーションのためのアルゴリズムを含む。
大量輸送がその反応中において説明されれば、上述のような数学的解析および画像的解析を用いて、結合率は、総リガンドまたは総結合ポリペプチドの不溶性画分または変量濃度を含む混合物から決定され得る。大量輸送に関して同じ制限を有する条件下で結合率を比較することによってまたは、例えば、Myszkaら,Biophys.J 75:583−594に記載されているモデルを含む当業者に利用できるモデルに従って計算された結合率を当てはめることによって、当業者が大量輸送を説明できる。
腫瘍反応性のためのモノクローナル抗体をスクリーニングするため使用される腫瘍特異的抗原試料は、ヒトリンパ球を免疫するために使用される抗原試料と同じ必要はない。スクリーニングに使用される抗原は、例えば、用いられるアッセイ法に依存して、実質的に純正な抗原、生きたまたは固定された腫瘍細胞単層、生きているかまたは固定された腫瘍細胞混濁液、腫瘍細胞の分画、または腫瘍生検の切片であり得る。腫瘍細胞は、例えば、ヒト乳癌、卵巣癌、または肺癌細胞であり得る。
本発明の腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体およびその機能的フラグメントは、正常細胞抗原と結合しない、最小限しか結合しない、または最小限しか結合しないように作成され得る。正常細胞または正常細胞の分画は、ヒトモノクローナル抗体をスクリーニングするためのコントロールとして使用され得る。そのような正常細胞は、例えば、生きているかまたは固定された正常組織または培養細胞株であり得る。コントロールとして使用され得る培養正常細胞株は、例えば、ヒト線維芽細胞および末梢血リンパ球を含む。如何なる正常細胞もコントロールとして使用され得るが、特異的コントロールの選別は、ある意味、スクリーニングされるその特殊な腫瘍特異的モノクローナル抗体の特異性に基づく。例えば、ヒト腫瘍特異的モノクローナル抗体が腫瘍細胞に対して産生されスクリーニングされると、比較として使用され得る正常細胞の1つのタイプは、正常上皮細胞培養または細胞株である。同様に、ヒト腫瘍特異的モノクローナルが肉腫細胞に対して産生されスクリーングされると、比較として使用される正常細胞のタイプは、正常線維芽細胞または細胞株である。同じ組織型からまたは同じ患者から正常細胞培養または細胞株はまた、正常コントロールを提供し得る。当業者は特殊なタイプの腫瘍細胞への特殊な結合を決定するためのコントロールとして、どのタイプの正常細胞が適切に使用されるかということを知っている。
免疫診断法および免疫治療法として使用するために、腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントが精製され定量され得る。そのような精製手段は当業者に周知であり、ヒトモノクローナルの供給原および特殊な出願に依存する。精製手段は、例えば、沈降法、電気泳動、クロマトグラフィー、および免疫親和性精製を包含する。その精製された抗体は、例えば、当業者に公知の分光測定または免疫アッセイを用いて、地既知の標準コントロールと比較して定量され得る。
腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体をさらに特徴付けるために、それらのクラスおよびサブクラスがまた、個々の重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの存在を測定する免疫アッセイ法によって決定され得る。そのような免疫アッセイ法はELISA法を包含し、当業者に公知である。
本発明はさらに、本発明の腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体の機能的フラグメントを提供する。ヒトモノクローナル抗体の機能的フラグメントは、特異的な結合またはエフェクター機能のような生物学的活性を維持する。それ故に、機能的フラグメントは癌の検出および処置のために有益に使用され得る。
機能的フラグメントは、本発明の腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体と実質的に同じ重鎖および軽鎖可変領域を持つフラグメントを包含する。例えば、機能的フラグメントはCDR配列の少なくとも1つが本発明の腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体のCDR配列と実質的に同じアミノ酸配列からなるフラグメントを包含する。そのような機能的フラグメントは、例えば、VL、Fd,Fv,Fab,Fab’,F(ab’),FcおよびCDRフラグメントを包含する。例えば、機能的フラグメントは、本発明のヒトモノクローナル抗体のVLの3つのCDR配列のうちの1つ以上、またはVHの3つのCDR配列のうちの1つ以上、またはVL CDRおよびVH CDRとの組合せを有し得る。VH CDR配列およびVL CDR配列の適切な数および組合せは、その機能的フラグメントの望ましい親和性および特異性および使用目的に依存して、当業者によって決定され得る。
本発明のヒトモノクローナル抗体の機能的フラグメントは、当業者に周知の方法を用いて容易に産生され単離され得る。そのような方法は、例えば、タンパク分解法、組換え法および化学合成法を包含する。機能的フラグメントの単離のためのタンパク分解法は、出発物質としてヒトモノクローナル抗体を使用する。ヒトモノクローナル抗体のタンパク分解に適した酵素は、例えば、パパイン、ペプシンおよびエラスチンを包含する。適切な酵素は、例えば、一価フラグメントまたは二価フラグメントが必要かどうかに依存して、当業者によって容易に選択され得る。例えば、パパイン分解の結果、抗原と結合する2つの一価Fab’フラグメントとFcフラグメントが生じる。例えば、ペプシン分解の結果、二価のF(ab’)フラグメントが生じる。本発明のF(ab’)フラグメントはさらに、2つの一価Fab’フラグメントを産生するために、例えば、DTTまたはβーメルカプトエタノールを用いて減少させ得る。
タンパク分解によって産生される機能的フラグメントは、アフィニティクロマトグラフィーおよびカラムクロマトグラフィーによって精製され得る。例えば、未消化の抗体およびFcフラグメントは、protein Aとの結合によってしばしば除かれ得る。さらに、機能的フラグメントは、例えば、イオン交換クロマトグラフィーおよび濾過クロマトグラフィーを用いて、その電荷およびサイズに基づいて精製され得る。そのような方法は当業者に周知である。
ヒトモノクローナル抗体の機能的フラグメントを産生するための組換え法は、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の望ましい領域の核酸を単離することで開始される。そのような領域は、例えば、重鎖および軽鎖の可変領域の全てまたは一部を包含する。そのような領域は重鎖および軽鎖のCDRを特に包含する。
本発明は、配列番号1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43および45からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる少なくとも1つのCDRのアミノ酸を実質的にコードしているヌクレオチド配列を有する、ヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントをコードする単離された核酸を提供する。本発明はさらに、配列番号1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43および45からなる群より選択されるヌクレオチド配列によってコードされるCDRのアミノ酸を実質的にコードするヌクレオチド配列を有する、可変領域ドメインをコードする単離された核酸を提供する。また、配列番号1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43および45によってコードされるCDRのアミノ酸配列を実質的に有する、CDRをコードする単離された核酸も提供する。
本発明のヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントをコードする核酸は、当業者に公知の方法を用いて産生され得る。そのようなDNAを単離するための有益な
1つの方法は、腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞のRNAから逆転写され得るcDNAを用いて開始する。cDNA合成の方法は当該分野で周知である。重鎖または軽鎖の機能的フラグメントをコードするcDNAは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅され得る。PCR技法は、米国特許番号第4,683,195号、同4,800,159号、同4,754,065号および同4,683,202号の主題であり、それらの全ては本明細書中で参考として援用されている。PCRに適切なプライマーは、当業者に公知であり、そして重鎖または軽鎖の特定の機能的フラグメントに隣接する保存配列を用いて当業者によって決定され得る。最適なPCR条件は当業者に公知であり、また同様に当業者によって決定される。
本発明のヒトモノクローナル抗体の機能的フラグメントをコードする核酸はまた、当該分野で公知のオリゴヌクレオチド合成法によって直接合成され得る。あるいは、より小さなフラグメントが合成され、そして当該分野で公知の組換え法を用いて、より大きな機能的フラグメントを形成連結され得る。
本発明のヒトモノクローナル抗体の機能的フラグメントをコードする核酸は、適切な発現ベクター中にクローニングされ得、そして適切な宿主中で発現され得る。適切なベクターおよび宿主細胞系は、例えば、重鎖および軽鎖の同時発現およびアセンブリを可能にする。抗体フラグメントの発現に適切な系は、当業者によって決定され得、例えば、M13ファージ免疫発現ベクターを包含する。本発明の組み換え機能的フラグメントは、当該分野で公知の方法を用いて実質的に精製され得、その精製は使用される特定のベクターおよび宿主発現系に依存する。
腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントをコードする単離された核酸はまた、親和性、選択性、アビディティー、安定性、またはバイオアベイラビリティーのような最適な特質を持つ抗体を産生するために操作され得る。このような修飾は、そのフラグメントが、例えば、抗原結合特異性のような機能的活性を維持している限り、例えば、アミノ酸残基の付加、欠失、または置換、またはD−アミノ酸もしくはアミノ酸模倣物の置換を包含し得る。
さらに、本発明は、LH13およびLH11238変異体の異なったライブラリーを提供する。LH13ライブラリーは配列番号8の位置88から98番目に対応するKabatの軽鎖CDR3(LCDR3)における少なくとも1つのアミノ酸置換を有する改変体、配列番号6の位置99から107番に対応するKabatの重鎖CDR3(HCDR3)における少なくとも1つのアミノ酸置換を有する改変体を包含し得る。LH11238ライブラリーは、配列番号4の位置97から106番目に対応するKabatのLCDR3における少なくとも1つのアミノ酸置換を有する改変体を包含し得る。上記例に示されたライブラリーは、Kabatらの番号付けシステムに基づいているが、当業者は、従前に提示された番号付けシステム、例えば、ChothiaらまたはMacCallumら
の番号付けシステムを包含する、任意のCDR定義に基づき同様なライブラリーを産生し得る。本発明のライブラリーは、従前に提示された番号付けシステムに従って、HCDR1,HCDR2,HCDR3,LCDR1,LCDR2またはLCDR3を包含するLH13またはLH11238の1つ以上のCDRと対応する領域における少なくとも1つのアミノ酸置換を有する改変体を包含し得る。LH13またはLH11238改変体のライブラリーは、下記にさらに詳細に提示される増加した抗原または腫瘍性細胞結合活性を有する抗体またはその機能的フラグメントのスクリーニングに使用され得る。
増大した結合親和性を持つ抗体改変体またはそのフラグメントを含むための十分に多様
なライブラリーが、当該分野で周知の種々の方法によって調製され得る。当業者は、その使用目的にとって、そのライブラリーのどの大きさおよび多様性が必要であるかまたは十分であるか知っている。例えば、抗体またはその抗体フラグメント改変体のライブラリー
は、増大した結合活性を持つ改変体のためにスクリーニングされる1つ以上のCDRおよびその得られる集団における位置の各々に、親抗体には見られない19種の必須アミノ酸の各々を含むように調製され得る。
あるいは、焦点のライブラリーは、本明細書中で述べられた抗体に関連する構造、生化学的およびモデル情報を応用して調整され得る。本発明の抗体の結合活性または構造的統合性または安定性にとって重要な残基または領域の決定または推定に関連する任意情報が、焦点のライブラリーのデザインにおいて有益であり得ることが理解される。従って、このライブラリーを形成する抗体改変体は、腫瘍性細胞またはその抗原と結合する抗体の結合活性または構造的統合性または安定性にとって重要であるように決定されるか、または
推定される領域または特定の位置に位置決めされる1つ以上のアミノ酸部位におけるアミノ酸置換を包含し得る。抗体改変体の焦点のライブラリー−は、増大した結合活性または構造的安定性を持つ改変体を同定するために、スクリーニングされる必要がある改変体の数を減少させる利点を提供する。
焦点のライブラリーの合成およびスクリーニングのためのコンビナトリアルアプローチはさらに、改良型抗体改変体またはそのフラグメントを同定する速度および効率における利点をも提供し得る。実施例VIIIに示されるように、LH13改変体における複数のアミノ酸変異は相加的であった。他の関連性のないモノクローナル抗体におけるアミノ酸変異の相加性は、従前に記載のように、例えば、YeltonらのJ.Immunol.155:1994−2004(1995)、Wuら、前述(1998)、およびWuら、前述(1999)、前述に報告されている。HCDR3およびLCDR3ライブラリーから発見される単一アミノ酸変化に基づいたコンビナトリアルライブラリーの合成による相加的アミノ酸コンビネーションの同定が、非常に効率的な様式で、その抗体親和性の急速な増大を許した。
実施例VIIIで示されるように、LH13の2工程の親和性成熟は、第1工程における171のHCDR3変異体および209のLCDR3変異体からなる416のみ異なるタンパク質改変体、続いて工程2における36のコンビナトリアル改変体の合成によって完成された。対照的に、活性に影響を与えることが示されている3つのCDR残基(LCDR3 S97,HCDR3 R91およびHCDR3 V97)の総作為化は、19すなわち6,859改変体を含むライブラリーの発現を必要とする。従って、独立した変異の相加性を獲得する親和性における段階的改善を提供する、実施例VIIIに記載されるコンビナトリアルアプローチは、その親和性成熟工程を単純化するための効率的手段である。当業者は、実施例VIIIの結果から、強化されたクラススイッチ改変体のような本発明の抗体の親和性がさらに、HCDR1およびHCDR2ならびにLCDR1およびLCDR2に対応するさらなるLH13ライブラリーの合成によって改善され得ることを認識する。さらに、これらのライブラリーから同定された有益な変異は、腫瘍細胞またはその抗原の親和性を増加させる改変された抗体または抗体フラグメント改変体を同定するためのコンビナトリアル様式において用いられ得る。
本発明の抗体と腫瘍細胞または抗原との結合に重要な個々の残基または領域は、当業者に公知の種々の方法によって決定または予測され得、抗体または抗体フラグメント改変体のライブラリーの合成に焦点を当てるために使用され得る。配列(一次構造)もしくは三次元構造(三次構造)の構造的比較またはその両方の組合せは、変異の個々の残基または領域を同定するために、同じ抗原または類似の抗原と結合する抗原間でなされ得る。例えば、抗体三次構造に基づいた構造的モデリングは、抗原結合に関与する結合部位または特定のCDRの位相環境、静電的環境、疎水性または親水的環境を明らかにし得る。共通の抗原または構造的に同じ抗原に結合する2種以上の抗体に対する結合部位の共通する特性の比較は、変異誘発についての位置または領域を同定するために使用され得る。配列比較手段は、配列を整列し、相同であるか、あるいは類似の同様な位置的特性、静電的特性、疎水性特性または親水性特性を共有する残基を有する2つ以上の抗体における位置を同定するために使用され得る。一次構造および三次構造の組合せの比較は、変化されるべき位置を同定するために使用され得る。例えば、結合に重要な一次構造における互いに離れて配置された位置が、三次構造解析において同定され得、次いで、抗体一次配列のデータベースを調べる際、または1つ以上の抗体一次構配列を比較する際の使用のための一次構造において強調され得る。
2つの配列が実質的に同じであることを決定するために使用され得る一次配列構造を比較するための方法は、当業者に周知である。例えば、2つの配列が実質的に同じかどうかを決定するための1つの方法は、BLAST、つまりBasic Local Alignment Search Toolであり、Blastは、Tatianaら,FEMS Microbial Lett. 174:247−250(1999)に記載されているデフォルトパラメーター、またはncbi.nlm.gov/BLAST/における、National Center for Biotechnology Informationのウェブページ上でのデフォルトパラメーターに従って使用され得る。BLASTは、全ての入手できる配列データベースを調べるためにデザインされたセットの類似性検索プログラムであり、アミノ酸配列または核酸配列における類似性を調べるために機能し得る。BLAST検索は十分に規定された統計的解釈を有する検索スコアを提供する。さらに、BLASTは、局所アラインメントを探す発見的アルゴリズムを使用し、従って、例えばタンパク質ドメインを含めて、唯一単離された類似性領域を共有する配列間の関係を検出し得る(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990))。
もともと記載されているBLAST(Altschulら、前出、1990)に加えて、アルゴリズムに対する改変が行われた(Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997)).1つの改変は、Gapped BLASTであり、これは、挿入または欠失のどちらかのギャップをアラインメントに導入することを可能にする。配列中のギャップを可能にすることは、生物学的関係をより密接に反映する傾向がある。例えば、gapped BLASTは2つ以上のポリペプチドの類似性ドメイン内の配列同一性を同定するために使用され得る。第2の改変は、PSI−BLASTであり、これは、配列相同体を検索するための感受性手段である。PSI−BLASTは、初めのGapped BLAST検索を行い、位置特異的スコアマトリックスを構築するための任意の重要なアラインメントから情報を使用する(このマトリックスは、次のデータベース検索を問い合わせ配列に置き換える)。PSI−BLAST検索は、しばしば、弱いが生物学的に関連性のある配列類似性により鋭敏である。
2つの配列が実質的に同じかどうか決定するために使用され得る2つ目の手段は、ExPASyのワールドワイドウェブで利用できるPROSITEである。PROSITEは、ゲノム配列またはcDNA配列から翻訳される特徴的でないポリペプチドの機能を決定するための方法である(Bairochら、Nucleic Acids Res.25:217−221(1997))。PROSITEは、既知のポリペプチドファミリー、可能ならばその新規の配列がどこに属するかを同定するために使用され得る、生物学的に有意な部位およびパターンのデータベースからなる。このアルゴリズムまたは類似のアルゴリズムを用いて、他のポリペプチドと実質的に同じであるポリペプチドが、アミノ酸残基の特定のクラスターのその配列における発生によって同定され得る。これは、パターン、モチーフ、シグネチャ−またはフィンガープリントと呼ばれ得、例えば、類似のドメインに見られるポリペプチドを含む、参照配列におけるアミノ酸残基の特定のクラスターと実質的に同じである。PROSITEはファミリーメンバーとしてポリペプチドを同定するモチーフを検索するためのコンピューターアルゴリズムを使用する。PROSITEはまた、前に同定されたモチーフの複雑性を維持しており、これは、新しく同定されたポリペプチドが既知ファミリーのメンバーであるかどうか決定するために使用され得る。
配列比較は、遺伝子、cDNAまたはその発現産物の全配列を含み得るか、またはそれらの1つ以上の特定領域を含み得る。特定領域は相対的に高い相同性または類似姓の領域を同定するための配列の視覚的検査によって同定され得る。それらの領域は、上記のように、特定の構造ドメインと相同性の領域との間の相関を見つけるために、構造的データと相互検索され得る。参照抗体またはそのフラグメントの構造的モデルはまた、例えば、Hadley and Jones,Structure 7:1099−1112(1999)に総説されるSCOP、CATHまたはFSSPを含むポリペプチド構造と、実質的に類似の領域を同定されるために、第二ポリペプチドとの配列比較のための領域として使用される特定の折りたたみ構造または立体配座を有する領域とを比較するアルゴリズムにおいて使用され得る。
抗体の構造的モデリングに加えて、生化学的データが腫瘍性細胞またはその抗原と結合するために重要な抗体の位置または領域および抗体改変体の焦点のライブラリーを調製する際に標的化されるこれらの位置または領域を決定または推定するために使用され得る。この点に関して、結合速度定数(Kon)、解離速度定数(Koff)または平衡結合親和性定数(KまたはK)に関する親抗体またはその改変体の特徴は、腫瘍性細胞またはその抗原への結合にとって重要な領域を同定するために有用である。
抗体改変体のライブラリーを作製するために、異なる型の情報は、腫瘍性細胞またはその抗原への結合にとって重要なアミノ酸配列の領域を決定または推定するために、単独でまたは組み合わせて使用され得る。例えば、構造的に保存された位置で変化を有する改変体に対する親和性の比較のような構造的モデリングおよび生化学的解析に基づく情報は、結合活性にとって重要な抗体のアミノ酸配列の領域を決定するために組合わされ得る。多様な方法によって得られる情報は、結合にとって重要な領域を推定するために組み合わされ得るので、当業者は、その領域自体が厳密な制限ではなく近似値を表すことを理解する。その結果、抗体改変体のライブラリーは、抗原と直接相互作用すると決定または推定される領域の外側の位置で変化し得る。例えば、フレームワーク流域は、抗体またはそのフラグメントの構造的安定化にとって重要であり得るか、または長い範囲または結合部位の特性に影響する空間相互作用によって結合親和性に影響を与え得る。同様に、腫瘍性細胞またはその抗原に結合する抗体またはそのフラグメントの改変体は、結合に直接関与するとして本明細書中で同定されたCDRまたは他の領域の外側でのアミノ酸変更を有し得る。
結合活性にとって重要であると推定されるアミノ酸位置の数または位置は、使用される推定法および比較される構造に基づいて変化し得ることが、さらに理解される。例えば、上記のように、異なるCDR定義が、抗体配列を比較するために使用され得る。当業者は、同じCDR定義が2つ以上の抗体構造間で比較されるべき領域または位置を同定するために使用され得ることを理解する。例えば、2つ以上の抗体は、実施例VIIIに記載され、表Vに示されるKabatらのCDR3の定義に関して比較され得る。当業者は、その抗体の一次構造または三次構造に基づいて抗体を評価する際に使用するための適切なCDR定義を決定し得る。同様に、2つ以上の抗体構造を比較するために使用されるCDR定義は、各抗体構造の初期の検索および比較される全ての構造に最も合う定義の同定に基づいて決定され得る。例えば、親抗体またはその改変体の機能的特性を含め適切なCDR定義を選択する際に、他の因子も考慮され得る。当業者は、種々のCDR定義を用いて、同じ抗体の別々の比較を行い得、それによって、その領域または位置が、その別々の比較において類似であるかまたは相同であるかが見出される頻度に従って変化される領域または位置を同定し得る。
ペプチド、ペプトイドおよびペプチド模倣物のような種々のタイプの多様な集団を包含するライブラリーを調製するための方法は、当該分野で周知である(例えば、EckerおよびCrooke,Biotechnology 13:351−360(1995)ならびにBlondelleら、Trends Anal.Chem.14:83−92(1995)、ならびにそれらで引用される文献を参照のこと;または、GoodmanおよびRo,Peptidomimetics for Drug Design,「Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery」Vol.1(M.E.Wolff編;John Wiley & Sons 1995),803−861頁、ならびにGordonら、J.Med.Chem.37:1385−1401(1994)もまた参照のこと)。分子が、ペプチド、タンパク質またはそのフラグメントである場合、その分子は、インビトロで直接産生され得るか、または核酸から発現され得る(これは、インビトロで産生され得る)。合成ペプチド化学の方法は当該分野で周知である。
抗体改変体のライブラリーは、例えば、抗体改変体をコードする核酸発現ライブラリーを構築することによって、作製され得る。そのようなライブラリーを作製するための方法は当業者に周知である(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Press,Plainview,New York(1989);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Press,Plainview,New York(2001);Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology(補遺 47),John Wiley & Sons,New York(1999)を参照のこと。抗体改変体をコードする核酸のライブラリーは、DNA、RNAまたはそのアナログから構成され得る。RNA分子を含むライブラリーは、例えば、化学的にRNA分子を合成することによって構築され得る。
抗体または抗体フラグメント改変体をコードする核酸ライブラリーの産生は、使用者によって所望の任意の手段によって行われ得る。当業者は、抗体または抗体フラグメント改変体をコードする核酸のライブラリーを産生するために、どの方法が用いられ得るか知っている。例えば、抗体改変体のライブラリーは、当業者に周知の方法(Sambrookら、前述(1989);Sambrookら、前述(2001);Ausubelら、前述(1999))を用いて、親抗体(例えば、LH13またはLH11238)をコードする核酸の変異誘発によって産生され得る。本発明の抗体または抗体フラグメント改変体をコードする核酸のライブラリーは、1つ以上のCDRの各アミノ酸位置におけるあらゆる可能性のある天然に存在するアミノ酸をコードする核酸を含むように十分多様であるように無作為化され得る。あるいは、核酸ライブラリーは、それが、実施例VIIIに記載されるように、腫瘍性細胞またはその抗原への結合に重要であると推定されるかまたは決定されるCDRの領域内に位置する位置でのみ、各アミノ酸におけるあらゆる可能性のある天然に存在するアミノ酸をコードする核酸を含むように調製され得る。
1つ以上の変異が、例えば、部位特異的変異誘発(Wu(編)、Meth. In Enzymol. Vol. 217,San Diego:Academic Press(1993);Higuchi,「Recombinant PCR」 Innisら(編),PCR Protocols,San Diego:Academic Press,Inc. (1990)を参照のこと、各文献は本明細書中で参考として援用されている)を用いて、改変核酸分子を産生するために、抗体または抗体フラグメント改変体をコードする核酸分子に導入するために使用され得る。そのような変異誘発は、特異的な、所望のアミノ酸変異を導入され得る。このように、結合活性に重要であると決定された1つ以上の領域におけるアミノ酸変化を含有する異なるライブラリー、および、その領域の幾つかまたは全てにおいて変異を含有する単一ライブラリーが調製され得る。
オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を用いる抗体または抗体フラグメント変異体のライブラリーの効率的な合成および発現は、Wuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 95:6037−6042(1998);Wuら、J.Mol.Biol.,294:151−162(1999);およびKunkel, Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:488−492(1985)に以前に記載されるように完成され得る。オリゴヌクレオチド特異的変異誘発は、その表現型に関係なく、体系的に変異を導入するための周知かつ効率的手順であり、従って、タンパク質操作への指向性の進化アプローチに理想的に適する。オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を行うために、望ましい変異をコードする核酸のライブラリーは、野生型配列の一本鎖ウラシル包含鋳型とハイブリダイズされる。方法論は融通性があり、制限酵素を用いずに、正確な変異の導入を許し、オリゴヌクレオチドがコドンベースの変異誘発を用いて合成される場合、その方法論は廉価である。
アミノ酸置換は、当該分野で公知の方法を用いて、特定のアミノ酸をコードする核酸コドンを変異させることによって導入され得る。単一または多数のコドンは、そのフラグメントが機能的活性を維持している限り、変化し得る。多数の同時変化を作製およびスクリーニングするための迅速な方法は、当該分野で周知であり、全ての可能なまたは全ての所望の変化を含む核酸をコードするライブラリーを生成し、次いで機能を維持するヒトモノクローナル抗体またはそのフラグメンについてライブラリーを発現してスクリーニングするために使用され得る。そのような方法としては、例えば、コドンベース変異誘発、確率的オリゴヌクレオチドの合成および部分的変性オリゴヌクレオチド合成が挙げられる。
コドンベース変異誘発は、米国特許第5,264,563号および同第5,523,388号の主題であり、その方法が、オリゴヌクレオチド内の任意のおよび全ての特定のコドン位置で、コードされたアミノ酸残基の実質的に任意のおよび全ての所望の頻度の生成を許すので、上記手順にとって有益である。そのような所望の頻度は、例えば、他の組み込まれたアミノ酸残基と比較して、高頻度または低頻度の偏った残基を組み込むような、20個の全てのアミノ酸またはその特定のサブセットの真に無作為の取り込みおよび1つ以上の特定のアミノ酸の偏りの予め決定された組み込みを含む。
確率的オリゴヌクレオチド合成および部分的変性オリゴヌクレオチド合成は、機能的に同等のアミノ酸変化を生成およびスクリーニングするために、同様に使用され得る。しかしながら、遺伝コードの縮重に起因して、そのような方法は所望のアミノ酸位置における重複性を取り込み得る(例えば、米国特許第5,723,323号を参照のこと)。確率的オリゴヌクレオチド合成は、コドン内の各ヌクレオチド位置における全ての4つのヌクレオチドの組合せを包含する。オリゴヌクレオチドまたは無作為アミノ酸配列を完全にコードするオリゴヌクレオチドを生じ変性または部分的変性し得る、合成の他の確率的方法もまた、存在する(例えば、米国特許第5,723,323号を参照のこと)。
部分的変性オリゴヌクレオチド合成は、例えば、第1の2つのヌクレオチド位置における同じ割合の全ての4つのヌクレオチド、および第3の位置における同じ割合の2つのヌクレオチドの組合せである。例えば、Cwirlaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6378−6382,(1990)およびDevlinら、Science 249:404−406,(1990)において記載されるように、これら後者の合成方法の両方が見出され得る。
多数の改変体配列を産生するための、上述のコドン単位合成に対する改変は、本明細書中に記載される抗体または抗体フラグメント改変体のライブラリーの産生のために同様に使用され得る。この改変は、親配列に対した合成を偏らせ、使用者が、無作為コドン変化を有する特定数のコドン位置を含む集団に、その改変体を分離することを許すような、上述の2容器法に基づいている。
要するに、この合成は、2つの新しい容器へと、各コドン位置の合成後の反応容器を分割し続けることによって行われる。分割後、反応容器の各連続ペアからの反応産物第2容器(第2容器より始まる)は、混合される。この混合は、無作為変化を持つ同数のコドン位置を有する反応産物を一緒にする。合成は、反応容器の各連続対から第1および最後の容器の産物を分割し、そして新しく混合された産物を分け、そして2つの新しい容器へと再び分割することによって進行する。新しい容器の1つでは、親コドンが合成され、第2の容器では、無作為のコドンが合成される。例えば、第1コドン位置での合成は、1つの反応容器における親コドンの合成および第2反応容器における無作為コドンの合成を伴う。第2コドン位置における合成のために、第1の2つの反応容器の各々は、2つの容器中に分割されて、2ペアの容器を生じる。各ペアについて、親コドンは容器の1つで合成され、無作為コドンは第2の容器で合成される。直線的に配置される場合、第2容器および第3容器中の反応産物は、単一コドン位置において無作為コドン配列を有する産物を一緒にするために混合される。この混合はまた、産物の集団を3つに減少させ、これらの集合は、次の回の合成のための出発集団である。同様に、第3、第4および各残りの位置について、先行位置についての各反応産物集団は分割され、親コドンと無作為コドンとが合成される。
上記のコドンベース合成の後、1つ、2つ、3つおよび4つの位置、ならびに他の位置における無作為コドン変化を含む集団は、個々の必要性に基づいて、都合良く分離され、使用され得る。さらに、この合成スキームはまた、親配列合成のみを含む容器が無作為コドン合成から同様に分離されるので、親配列を上回って、無作為化配列についての集団の濃縮を可能にする。この方法は、腫瘍性細胞またはその抗原への結合にとって重要であると推定される1つ以上のCDR中にアミノ酸変化を有する抗体改変体をコードする核酸のライブラリーを合成するために使用され得る。
あるいは、抗体または抗体フラグメント改変体をコードする核酸のライブラリーはまた、遺伝子シャッフリングを用いて産生され得る。遺伝子シャッフリングまたはDNAシャッフリングは、組み換えによって多様性を生成する指向性進化のための方法である(例えば、Stemmer,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747−10751(1994);Stemmer,Nature 370:389−391(1994);Crameriら、Nature 391:288−291(1998);Stemmerら、米国特許第5,830,721号(1998年11月3日発行を参照のこと)。遺伝子シャッフリングまたはDNAシャッフリングは、選択された変異遺伝子のプールのインビトロ相同組み換えを用いる方法である。例えば、特定の遺伝子の点変異プールが使用され得る。これらの遺伝子は、例えば、DNaseを用いて無作為に断片化され、PCRによって再構築される。所望の場合、DNAシャッフリングは、多様性を生成するために異なった生物からの相同遺伝子を用いることによって行われ得る(Crameriら、前述、1998)。そのフラグメントおよび再構築は、所望の場合、複数の工程で行われ得る。得られた再構築された再集合する遺伝子は、本発明の組成物および方法で使用され得る抗体または抗体フラグメント改変体のライブラリーを構成する。
特定の治療的応用および診断的応用のために、同じ抗原特異性を持つが異なったアイソタイプ決定基またはアロタイプ決定基を有する抗体またはそのフラグメントを使用することが好まれ得る。そのような抗体は、例えば、免疫原性の減少、安定性の増加、またはより最適なエフェクター機能を有し得る。このように、本発明の機能的フラグメントは、本発明のヒトモノクローナル抗体のCDR配列を、異なったフレームワーク領域にクローニングすることによって得られるフラグメントを包含し得る。そのような異なったフレームワーク領域は、異なった種、異なったヒト個体、または同じあるいは異なった個体から得た重鎖クラスまたは軽鎖クラスから入手され得る。そのようなCDRグラフト化法は、当業者に周知である。IgM免疫グロブリンからIgGフレームワーク領域へのCDR配列をグラフトする実施例は、実施例VIIIに記載されている。実施例VIIIで示されるように、インビトロ親和性成熟化は、本質的に生殖細胞配列を有する低親和性IgMを包含して、仮想的に任意の抗体の改良を許し得る。
本発明の抗体または抗体改変体の機能的活性は、例えば、ヒトモノクローナル抗体の免疫活性を決定するための上述の方法によって測定され得る。フラグメントの機能的活性を決定するために特に有益な方法は、競合的ラジオイムノアッセイおよび競合的ELISA法を包含する。そのような方法は、腫瘍性細胞またはその抗原のための改良した親和性を有する改変体スクリーニングに使用され得る。それらの方法は、スクリーニングされる改変体の数に依存して、異なったストリンジェンシーで使用され得る。ストリンジェンシーはまた、スクリーニングが進展するサイクル数または経路の数に基づいて適用され得る。例えば、低ストリンジェンシーは、初期スクリーニング工程において使用され、そのストリンジェンシーは後のスクリーニング工程で増加する。抗体ライブラリーのスクリーニングにおける低ストリンジェント親和性の使用は、より大きなライブラリーを作ることなく、またはより多数のクローンをスクリーニングすることなく、探索される多様性を広げるために使用され得、以前スクリーニングされたIgレパートリーから、新規の抗体の発見に通じ得る。
本発明は、本発明のヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントおよび薬理学的担体を含む薬理学的組成物を提供する。そのような組成物は、腫瘍性細胞の増殖またはバイアビリティーを減少させるために、ヒトモノクローナル抗体を投与するのに使用され得る。そのような組成物はまた、腫瘍性細胞を検出するために使用され得る。
本発明の方法のための適切な薬学的担体は、周知であり、例えば、水溶液(例えば、生理学的緩衝液、および他の溶媒または媒介物(例えば、グリコール、グリセロール、オイル、または注入可能な有機エステル)を含む。薬学的担体は、例えば、薬学組成物を安定化させ、薬学組成物の溶解度を増加させるために働く生理学的に受容できる組成物を包含し得る。そのような生理学的に受容可能な組成物は、例えば、炭水化物(例えば、グルコース、スクロースまたはデキストラン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸またはグルタチオン)、キレート剤、低分子量タンパク質、または別の安定剤および賦形剤であり得る。薬学担体(安定剤および防腐剤を含む)は、例えば、Martin,Remington’s Pharm.Sci.、15版(Mack Publ. Co.,Easton,1975)に記載されており、これらの文献は本明細書中で参考として援用される。全ての上述の薬学担体および媒体は、当該分野において、ヒトに使用されるための十分な生成および品質があることを意味し、研究段階における比較試薬と区別できる薬学的段階と言われるものであり得る。
当業者は、薬学的培地の選択および適切な組成物の調製は、使用目的および投与法に依存することを知っている。
本発明は、配列番号2、6、10、12、および14からなる群から選択される配列のCDRの実質的なCDR配列を有するCDRを有する可変重鎖ドメインまたはその機能的フラグメントを提供する。本発明はさらに、配列番号4、8、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および44からなる群より選択される配列のCDRの実質的CDR配列を有する可変軽鎖ドメインまたはその機能的フラグメントを提供する。本発明はまた、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、36、38、40,42および44からなる群より選択されるCDRの実質的アミノ酸配列を有するCDRまたはその機能的フラグメントも提供する。
本発明のCDRまたはその機能的フラグメントは、上述の当該分野で公知の方法によって産生され得る。例えば、本発明のCDRは、組み換え法または化学合成によって産生され得る。本発明のCDRは、例えば、本発明の腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体と選択的に結合する抗イデオタイプの抗体を産生するために、有益に使用され得る。診断目的および治療目的のための抗イデオタイプの抗体を産生し用いる方法は当該分野で周知である。
本発明の抗体フラグメントは可変重鎖ドメインまたは可変軽鎖ドメインになり得る。そのフラグメントは、本明細書中記載の方法または当該分野で公知の多数の他の方法を用いる組み換え系において発現され得る。例えば、タンパク質抗原のためのモノクローナル抗体に期待される親和性と同様のタンパク質抗原のための親和性を有する可変重鎖ドメインの発現は、例えば、Wardら、Nature 341:544−546(1989)おおびWilliamsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5536−5541(1989)に記載あるように、当該分野で公知である。本発明のフラグメントは、例えば、Williamsら、前述(1989)が可変重鎖ドメインで記載している、2つのそのような修飾されたフラグメント間での分子間クロストークを形成し得るシステイン残基の取り込みによって、多価の結合フラグメントを産生するために修飾され得る。結合活性を有するCDRフラグメントはまた、例えば、それが立体的に拘束されたCDRドメインを発現することによって、産生され得る。ジスルフィド架橋を形成可能な、親抗体の抗原にとって特異性を有する2つのシステインの添加によって形成される、立体的に拘束されたCDRの発現は、例えば、Ditzelら、the J.Immunol. 157:739−749(1996)に記載されている。本発明の抗体フラグメントは、アミノ酸または本明細書中で記載されるラベルのような、任意の多数の他の成分の添加、欠失または置換によって改変され得る。
本発明はさらに、H1140、H2420およびH935からなる群より選択される細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントの有効量を細胞に投与することによって、腫瘍性細胞増殖を減少させる方法を提供する。また、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、および44からなる群より選択される配列のCDRのアミノ酸配列を実質的に持つ少なくとも1つのCDRを有するヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントの有効量を細胞に投与することによって、腫瘍性細胞増殖を減少させる方法も提供する。腫瘍性細胞増殖を減少させるために使用されるヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントは、さらに、細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤のようなラベルを含み、薬学担体と結合され得る。
腫瘍性細胞増殖を減少させるための抗体またはその機能的フラグメントの有効量は、当業者に公知であって、インビトロ法または信頼できる動物モデルを用いて、当業者によって容易に決定され得る。インビトロ法は、例えば、腫瘍性細胞の増殖または腫瘍性細胞の転移を減少させるための有効量の組成物の決定を包含し得る。増殖または転移における減少をアッセイするためのインビトロ法において用いられる腫瘍性細胞は、例えば、腫瘍細胞株または腫瘍のエクスビボ培養であり得る。細胞株または腫瘍は、例えば、乳房、肺、卵巣組織由来であり得る。腫瘍性細胞の増殖を抑制するための有効量は、例えば、DNA合成の抑制、細胞分裂の抑制、アポトーシスの誘導、非アポトーシス細胞死の誘導、または血管新生の抑制のための有効量であり得る。腫瘍性細胞の転移を抑制するための有効量は、例えば、細胞遊走性、細胞移動、細胞接着、細胞浸潤または細胞増殖を抑制するための有効量であり得る。
腫瘍性細胞の増殖を減少させるための抗体またはその機能的フラグメントの有効量はまた、齧歯類におけるヒト腫瘍の異種移植から決定され得る。齧歯類は、例えば、ラットまたはマウスであり得る。マウスは、例えば、正常または免疫無防備状態であり得る。免疫無防備状態マウスは、例えば、ヌードマウスまたはスキッドマウスであり得る。そのような種は、当該分野で周知であり、商業的供給元から入手され得る。ヒト癌細胞は、皮下的投与、静脈内投与および腹腔内投与を含めた多くのルートによって、動物内に導入され得る。腫瘍の確立に伴って、動物は本発明の分子の異なった量で処理され得、腫瘍の大きさまたは量が決定され得る。効果は、その腫瘍の部分的または完全な後退として測定され得る。癌を処置するための有効量は、腫瘍の部分的および完全な後退に現れる。
本発明の分子の有効量は、当業者によって決定され得、個体の年齢、体重、性別、および医学的状態、ならびに治療薬剤の特異的な投与経路のような要因に依存する。本発明の組成物の有用な投与経路としては、例えば、筋肉内経路、腫瘍内経路、血管内経路、腹腔内経路、皮下経路、または鼻腔内経路が挙げられる。
癌患者における特異的治療効力は、当業者によって決定され得る。例えば、後述されるような、インビボまたはインビトロでの診断的方法は、処置後に、癌が退行したかまたは消失したか決定するために使用され得る。さらに、例えば、癌患者の生存および生活の質のような通常の予後判定因子が使用され得る。
本発明は、サンプルを、H1140、H2420およびH935からなる群より選択される細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントと接触させること、およびそのヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントとそのサンプルの特異的結合を検出することによって腫瘍細胞を検出する方法を提供する。ここで、そのヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントの存在または正常細胞と比較したレベル増加は、癌の存在または素因を示す。本発明はまた、サンプルを配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および44からなる群より選択される配列のCDRのアミノ酸配列を実質的に有するヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントと接触させること、およびそのサンプルへのと、そのヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントとの特異的結合を検出することによって、腫瘍細胞を検出する方法も提供する。ここで、そのヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントの存在または正常細胞と比較したレベル増加は、癌の存在または素因を示す。
本明細書中に記載される場合、用語「サンプル」は、腫瘍細胞を含むかまたは潜在的に含む任意の生物学的体液、細胞、組織、器官またはその部位を意味することを意図する。生物学的体液は、例えば、血液またはリンパ液であり得る。組織は、例えば、乳房、卵巣、または肺であり得る。サンプルは、インビボサンプルまたはインビトロサンプルであり得る。インビトロサンプルは、例えば、組織学的切片、生検によって得られる検体、または組織培養に置かれた細胞または組織培養に適合された細胞であり得る。サンプルは、検出方法の特定の形式に適した当該分野で公知の方法によって調製され得る。
サンプルは、本発明のヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントと接触され得、そのサンプルへのそのヒトモノクローナル抗体の特異的結合が検出され得る。そのような接触は、当業者によって決定されるように、使用される検出方法の形式に依存してインビボまたはインビトロでされ得る。そのサンプルへのそのヒトモノクローナル抗体の特異的結合は、上述のように、イムノアッセイによって決定され得る。そのようなイムノアッセイは、例えば、インビボイムノアッセイおよびインビトロイムノアッセイの両方を包含する。インビボイムノアッセイは、例えば、放射性画像化を包含する。そのような方法は、個体内のサンプルを本発明のモノクローナル抗体との接触する工程、および、例えば、X線画像化により特異的結合を検出する工程を包含する。インビトロイムノアッセイは、上述のように、例えば、免疫組織化学法、免疫蛍光法、ラジオイムノアッセイ、FACS分析、イムノブロッティング、免疫沈降法およびELISA分析のような、定性的および定量的アッセイの両方を包含する。
腫瘍細胞が存在するかどうかの決定は、特異的に結合した本発明のヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントが、存在するかまたは正常細胞と比較して、増加レベルにあるか決定することによって行われる。上述のように、当業者は、腫瘍細胞の特定の型との比較に使用するために、適切な正常細胞を決定し得る。
本発明はさらに、実質的に純粋なヒト腫瘍特異的抗原を提供する。用語「腫瘍特異的抗原」は、ヒト腫瘍細胞によって優先的に発現される抗原を意味することを意図する。用語「ヒト腫瘍細胞によって優先的に発現される」は、腫瘍特異的抗原が、ヒト腫瘍細胞によって発現され、正常ヒト細胞によってより実質的にも低いレベルで発現されることを意味することを意図する。そのような本発明の腫瘍特異的抗原を発現する腫瘍細胞は、例えば、乳房、肺、または卵巣組織に起源し得る。
本発明のヒト腫瘍特異的抗原は、本発明のヒトモノクローナル抗体と特異的に反応する。そのような抗原は、例えば、LH11238ハイブリドーマ細胞株,LH13ハイブリドーマ細胞株,H1140ハイブリドーマ細胞株,H2420ハイブリドーマ細胞株またはH935ハイブリドーマ細胞株によって産生されるヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントと特異的に反応し得る。そのような抗原はまた、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および44からなる群より選択される配列のCDRのアミノ酸を実質的に有する少なくとも1つのCDRを有するヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントと特異的に反応し得るか、また配列番号6もしくは配列番号8のCDRアミノ酸配列を実質的に有する少なくとも1つのCDRを有するヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントと特異的に反応し得る。LH11238ヒトモノクローナル抗体またはそのフラグメントの改変体と反応性の抗原は、正常ヒト線維芽細胞、ヒト末梢血リンパ球、メラノーマ細胞、または肺癌細胞と比較して、乳癌細胞および卵巣癌細胞の細胞表面およびリソソーム組成物に存在するタンパク質である。LH13ヒトモノクローナル抗体との反応性の抗原は、正常線維芽細胞またはメラノーマ細胞と比較して、乳癌細胞、肺癌細胞および卵巣癌細胞によって産生される分泌型糖タンパク質である。LH11238抗原およびLH13抗原のさらなる特性は、実施例中に記載されている。
本発明のヒト腫瘍特異的抗原は癌の処置および診断のために有益に使用され得る。例えば、そのような抗原は治療的手段および診断的手段における使用のためのヒト腫瘍特異的抗原と特異的に結合するさらなる結合剤を生成するために使用され得る。そのような結合剤は、例えば、腫瘍性細胞が増殖停止または死滅するように、腫瘍特異的抗原の機能を抑制、、もしくは刺激し得えるかまたは、免疫系を調節し得る。そのような結合剤はまた、標識(例えば、腫瘍細胞の死滅または増殖停止を起こす細胞傷害剤や細胞増殖抑制剤)と結合され得る。本発明の腫瘍特異的抗原と結合する有益な薬剤としては、例えば、リガンド、受容体アンタゴニストおよび抗体が挙げられる。
実質的に純粋に腫瘍特異的抗原はまた、癌罹患患者または癌を発症する危険性がある患者に、有効量の抗原をワクチン接種することによって、癌の処置において使用され得る。ワクチン接種後、その個体の免疫系は、そのような抗原を発現する腫瘍性細胞を予防し得、その増殖を減少させ得、またはそれを消滅させ得る。
本発明の実質的に純粋な腫瘍特異的抗原はまた、例えば、本発明のヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントのような腫瘍特異的結合剤との結合を検出するための方法において有益に使用され得る。例えば、そのような抗原は、競合的ELISA法のようなイムノアッセイにおいて使用され得る。
本発明の実質的に純粋な抗原を単離するための適切な開始物質は、例えば、当該分野で周知の免疫親和性手段を用いて、一群のヒト腫瘍細胞をスクリーニングすることによって同定され得る。例えば、実施例IIに記載されるように、、ELISA分析が、それに続く精製のための抗原の有益な細胞供給源を決定するために使用され得る。抗原の有益な細胞供給源は、例えば、乳癌、卵巣癌、または肺癌であり得る。腫瘍特異的抗原の精製のための特に有益な開始物質は、H3396乳癌細胞株である。
実質的に純粋な抗原を単離するための適切な方法は、抗原の細胞内局在に依存する。例えば、本発明の抗原は、腫瘍性細胞の分泌培地、細胞表面膜、小胞膜、細胞質、または核に優勢的に発現され得る。抗原の細胞内局在は、例えば、当該分野で周知のイムノアッセイによって決定され得る。例えば、実施例IVおよび実施例VIに記載されるように、間接免疫蛍光法およびELISA分析が、抗原の主な局在を確立するために使用され得る。
抗原の精製は、当該分野で公知の免疫親和性手段によってモニターされ得る。精製をモニターするための特に有益な方法としては、例えば、ELISA分析およびイムノブロッティングが挙げられる。
腫瘍特異的抗原は、当該分野で周知の生化学的手段によって、特定の供給源から精製され得る。例えば、精製としては、遠心法、クロマトグラフィー的方法、電気泳動方法および免疫親和性的方法が挙げられ得、特定の抗原の特性に依存して、当業者によって選択され得る。遠心分離手順は、豊富な量の抗原を含む亜細胞画分を濃縮または富化させるために使用され得る。そのような亜細胞分画手段は、当該分野で周知である。クロマトグラフィー的方法はまた、当該分野で周知であり、その大きさや、特定の樹脂に対する差次的な親和性に基づいて、夾雑物から抗原を分離する方法を包含する。そのような樹脂としては、例えば、サイズ排除樹脂、イオン交換樹脂、およびレクチンカラムが挙げられ得る。実施例VIに記載されるように、本発明の抗原の精製のための特に有益な樹脂は、Q SEPHAROSE FAST FLOW(登録商標)アガロース樹脂である。電気泳動的方法もまた、当該分野で周知であり、例えば、アクリルアミドゲル、またはアガロースゲルを介する、1次元電気泳動および2次元電気泳動を包含する。免疫親和性手段もまた、当該分野で周知であり、本発明のヒトモノクローナル抗体と結合した化合物を包含する。腫瘍特異的抗原の免疫親和性精製のための抗体を結合体化するための有益な化合物としては、クロマトグラフィー脂およびプロテインAが挙げられる。
このように、周知の生化学的手段に従って、当業者は、治療的手順および診断的手順において使用するための本発明の実質的に純粋な腫瘍特異的抗原を容易に単離し得る。
本発明の実質的に精製された腫瘍特異的抗原はまた、当業者に公知の組み換え法によって、本発明の腫瘍特異的抗原をコードする核酸から調製され得る。
本発明は、ヒト腫瘍特異的抗原をコードする単離された核酸を提供する。ヒト腫瘍特異的抗原をコードする核酸は、当業者に公知の方法によって分離され得る。そのような方法としては、例えば、発現ライブラリーをスクリーニングするための、本発明のモノクローナル抗体の使用が挙げられる。他の方法としては、例えば、ハイブリダイゼーションプローブとして、変性オリゴヌクレオチドを用いた、cDNAまたはゲノムライブラリーのスクリーニングが挙げられる。そのような変性オリゴヌクレオチドの配列は、本発明の単離された腫瘍特異的抗原またはそのフラグメントをマイクロシークエンスすることによって決定され得る。
腫瘍特異的抗原の核酸を産生するための当業者に公知の他の方法としては、例えば、本発明の腫瘍特異的抗原のアミノ酸から得られる変性オリゴヌクレオチドプライマーを用いた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。望ましい配列は、PCR法によって、わずか単一遺伝子コピーから始まって、指数関数的に増幅され得る。
上述の方法は、当業者に公知であり、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1992)およびこの文献中で引用される多数の文献およびAnsubelら、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons,Baltimore,MD(1989);およびHarlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989)において記載されている。これらの文献中で引用される文献および刊行物は、本明細書中で参考として明白に援用されている。
本発明の多くの実施形態の活性に実質的に影響しない修飾もまた、本明細書中に提供される本発明の定義付けの中に包含されていることが理解される。従って、次の実施例は本発明を例示しているが、本発明に制限されないことが意図される。
(実施例I)
(腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体の産生)
この実施例は、腫瘍細胞と特異的に反応ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの産生を示す。インビトロで正常リンパ球を不死化前に腫瘍細胞または細胞膜で免疫する手順が記載されている。この手段は、新規の腫瘍反応性ヒトモノクローナル抗体を産生するリンパ球の増大を可能にする。これらのヒトモノクローナル抗体は、癌免疫治療的および癌免疫診断的手順にとって有益である。
リンパ球を以下の手順で調製した。脾臓組織を事故犠牲者から単離し、断片化し、そして50番メッシュワイヤスクリーンに通した(Bellco,Vineland,NJ)。細胞を、250×g、10分の遠心分離によって集め、RBCを、塩化アンモニウム溶解によって除いた。残った細胞を洗浄し、1ml当たり100〜300×10個の細胞濃度で、凍結培地(40%RPMI,50%FCSおよび10%DMSO)中に再懸濁し、1.5mlのアリコートで凍結して、液体窒素中で貯蔵した。付着細胞およびリンパ球をこの手順で単離した。
次いで、混合リンパ球反応(MLR)は、以下のように確立した。2人の異なったドナー由来の凍結単一細胞脾臓細胞調製物(上述)を、37℃で緩やかな振盪で融解し、RPMIで2度洗浄し、250×g、10分の遠心によって集めた。2度目の洗浄後、各々の供給原から3×10個の脾臓細胞を1.5mM HEPES,pH7.4(Fisher Scientific)、10%FBS(HyClone)、2mM L−グルタミン、非必須アミノ酸、1mM ピルビン酸ナトリウム、および100μg/mlゲンタマイシン硫酸塩を包含する2mlのRPMI中で混合し、24ウェル組織培養皿に播いた。このMLRは、抗原性刺激(後述)と一緒になって、内在的に必要なリンホカインを産生した。
MLR培養を次に、マイトマイシン処理したH3396腫瘍細胞、H3396細胞由来の形質膜調製物か、あるいはパラホルムアルデヒド固定のH3922腫瘍細胞のどちらかで刺激した。H3922およびH3396はヒト乳腺癌の転移から樹立された培養細胞株であり、その細胞を、体外移植し、培養で維持した。各細胞株は、異なった体外移植に由来した。
マイトマイシン処理したH3396細胞を、以下のように調製した。H3396細胞を、24ウェル培養にプレートし、コンフレントになるまで培養し、0.1μg/mlのマイトマイシンCで12〜15時間処理した。この濃度で、約7日間、腫瘍細胞株中の細胞分裂を停止させた。12〜15時間のインキュベーション後、マイトマイシン含有培地を除去し、細胞を2mlのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で3度洗浄した。
パラホルムアミド固定H2922腫瘍細胞を、培養液を除いた後PBS中で2%パラホルムアミドで25℃、15分間細胞をインキュベートすることで調製した。細胞を次に、使用前にPBSで4度洗浄した。
H3396細胞由来の形質膜を、次の手順で単離した。H3396細胞の10枚のコンフレントな150mm皿を、各々10mlの氷冷(トリス緩衝化生理食塩水)TBSで2度リンスし、1μg/mlロイペプシン、1μg/mlペプスタチン、および2mM AEBSFを含む2ml/150mm皿の(トリス生理食塩水)TS中に採取した。細胞を15mlダウンスホモゲナイザー中で、タイプA.乳棒で40ストロークして破砕した。溶解産物は、破砕されない細胞および核を除くために、800×gで、4℃、5分間遠心した。上清を残し、ペレットを、0.5容量のTS緩衝液中に再懸濁し、ホモゲナイズして800×gで遠心した。上清を、初めの上清と混合し、10,000×gで4℃、2時間遠心した。上清を除き、ペレットを2mlの水に再懸濁した。2mlのダウンスおよびタイプB乳棒を、膜ペレットを再懸濁するために使用した。6.4%ポリマーシステムにおける膜の相分離を、2.56mlの20%デキストラン、1.28mlの40%ポリエチレングリコール、0.20mlの0.2Mリン酸カリウム、pH7.2、0.8mlの1Mスクロース、および2.16mlの水を混合することによって、氷上で行った。この混合物に対して、1mlの膜を加え、そのチューブを20回、転倒混和した。膜の相を800×g、4℃で5分間遠心することによって分離した。上相を除き、ブランク(水)サンプルから回収した下相と混合した。同様に、下相は、界面に物質を含んでおり、ブランクサンプルから回収された上相と混合した。両相を混合し、20回、転倒混和し、800×g、4℃で5分間遠心することによって分離した。両サンプルの上相から回収した物質を混合し、その量をTBSで21mlに調製し、そして膜を100,000×g、4℃で2時間遠心することによって集めた。上清を除き、ペレットをプロテアーゼインヒビターを含む1〜2mlのTS緩衝液2ml中に−、B乳棒を用いて2mlのダウンスホモゲナイザーで再懸濁した。膜を4℃で12時間保存し、その時点で、不溶性物質を、800×g、4℃で10分間遠心することによって上清から分離した。ペレットを、プロテアーゼインヒビターを含む1〜2mlのTS緩衝液中で2度目に懸濁し、4℃で懸濁液として貯蔵した。上清を画分1とし、再懸濁した粒状物質を画分2とした。画分1中の形質膜は、5’−ヌクレオチダーゼまたはホスホジエステル活性を測定することによって決定される場合、10倍より多く濃縮した。調製物は、最少量のコハク酸塩依存性チトクロームCリダクターゼ活性(ミトコンドリア)、またはNADPH依存性チトクロームCリダクターゼ活性(小胞体)を有していた。
MLR培養を、以下の方法のうちの1つで3日間インキュベートすることによってインビトロで免疫した:マイトマイシンC処理H3396細胞の単層、パラホルムアルデヒド固定H3392細部の単一層、H3392細胞由来の5mgの形質膜画分1、またはH3396細胞由来の10mgの形質膜画分2。
インビトロ免疫化リンパ球を、2つの代替手段のいずれかによって不死化した。第1の方法では、リンパ球をK6H6/B5ヘテロ骨髄腫細胞と融合させた。K6H6/B5細胞を、10%FCS、1%非必須アミノ酸、2mMのグルタミン、および1mMのピルビン酸ナトリウムを補充し、RPMIおよびIscoveのDMEM修飾体を1:1の混合液中で、遠心培養で維持した。約4×10個のリンパ球を、2×10対数期のK6H6/B5細胞と混合し、RPMIで2度洗浄した。35%ポリエチレングリコール(分子量約1450)の混合物の1mlと、RPMI中の7.5%DMSOを1分間に渡って加え、次にRPMIを用いて4mlになるまで次第に希釈し、それから、10%FCSを補充したRPMIで希釈して16mlになるようにした。次いで、リンパ球濃度は、融合していない細胞を選択しないために、1ml当たり5×10個の細胞に固定し、そして細胞のうちの0.2mlを、HAT培地(13.6μg/mlのヒポキサンチン、3.8μg/mlのチミジン、1μg/mlのアザセリン)および1.0μMウァーバインを含む、ハイブリドーマ培地(10%FCS,1%非必須アミノ酸、2mMのグルタミン、1mMのピルビン酸、15mMのHEPES,pH7.4および0.1mg/mlのゲンタマイシンを補充したRPMI)中で96ウェル細胞培養皿中に播いた。
後述のように、ハイブリドーマの活性をスクリーニングし、目的のクローンが展開された。この1工程不死化方法を用いて、10〜50のハイブリドーマが、融合した10リンパ球細胞あたり産生された。しかし、目的のクローンの5%のクローンのみが3回の継代培養で安定であった。ハイブリドーマクローンH1140、H2420、およびH935を、この不死化方法によって得た。
クローンの安定化を改良するために、インビトロ免疫化リンパ球細胞を不死化するための第2の2工程が、初めにEBVで形質転換細胞を感染させ、次にK6H6/B5ヘテロ骨髄腫細胞で、目的のクローンを融合させて、評価した。等量のリンパ球細胞(1ml当たり8×10個の細胞)およびEBV形質転換1A2/C7細胞(1ml当たり2×10個の細胞)を結合し、そして全量をハイブリドーマ培体の添加によって倍化した。ヒポキサンチン、チミジンおよびアザセリンを、その最終濃度がそれぞれ13.6μg/ml、3.8μg/ml、および1μg/mlになるように添加した。200マイクロットルの細胞混合物が、1ウェル当たり4000個のリンパ球細胞および1×10個の細胞を産生するように96ウェル細胞培養皿の各ウェルにプレートした。細胞を3日間に渡ってハイブリドーマ培体HATで培養し、コロニーの細胞が見え始めた2週間後に,抗体産生のためにアッセイした(後述)。
より高い割合の抗体スクリーニングクローンを産生したEBVでのリンパ球形質転換体を、リンパ球細胞とヘテロ骨髄腫株(10個のリンパ球細胞当たり50〜100個の抗体スクリーニングクロ−ン)との融合から得た。しかし、リンパ芽球クローンは、一般的により低いレベルの抗体(10μg/ml以下)を分泌したので、ハイブリドーマで見られるように、短期間の安定性(目的の初めのクローンの約5%が、3回の継代培養で安定である)を示した。この限界を示すために、腫瘍反応性リンパ芽球クローンを、複数回の継代培養の前に、K6H6/B5細胞と融合した。
初めのリンパ芽球クローンが融合前の3回の継代培養で安定であるように、リンパ芽球細胞由来のハイブリドーマの形成によって安定性を改良した。より高頻度の関連リンパ球細胞の不死化を生じた融合したEBV形質転換体とヘテロ骨髄腫細胞株と融合した、EBV形質転換体の結合を。どちらかのアプローチを単独で用いることで達成した。さらに、これらのクローンは、一般的に20μg/ml以上の抗体を産生する。ハイブリドーマクローンLH11238およびLH12を、この2工程不死化方法によって産生した。
ハイブリドーマ細胞株H1140、H2420、H935を産生するために使用される免疫条件および不死化条件を、表2に要約する。
(表2.腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を産生するために使用した免疫条件および不死化条件)
Figure 2005517388
不死化リンパ球細胞由来の培養上清を、ELISAアッセイを用いて、生きた初代腫瘍細胞の単一層に対する反応性を初めにスクリーニングした。このことによって、反応性抗体が表面抗原を認識することが示され、また、スクリーニング固定細胞の関連した人工産物も避けられた。腫瘍細胞を、12〜24時間後に90〜95%のコンフレントを産生する細胞密度で、96ウェル細胞培養皿中にプレートした。培地を使用する直前に、培地を除き、ハイブリドーマまたはEBV形質転換細胞のどちらかから、50μlの上清を各ウェルに添加し、4℃で2時間インキュベートした。対照ウェル(バックグラウンド)を、50μlの新鮮ハイブリドーマ培体とインキュベートした。
インキュベーション後、上清をアスピレートで除き、細胞を200μlのPBSで3回洗浄した。細胞を、次に50μlのヤギ1%BSA−PBSで1000倍に希釈したヤギ抗ヒトIg(H+L)アルカリホスファターゼ共役体で1〜2時間インキュベートした。検出抗体をアスピレートし、細胞を上述のように4回緩やかに洗浄した。プレートを、0.1%塩化アザイドを加えて、0.2M 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、0.5M Tris,pH10.2中の50μlの10mM フェノールフタレイン一リン酸の添加によって、25℃、1時間展開した。反応を、15mMのEDTAを加えて、50μl 30mM Tris、pH10.2の添加によって停止し、560nmにおける吸光度を決定した。このアッセイのバックグラウンド値を、別の特性に対して選択した。
H3396細胞との反応性を示す抗体も、固定HF235正常ヒト線維芽細胞との結合の解析を行った。HF235細胞を、培地を除いた後、2%パラホルムアルデヒドのPBS溶液中で25℃、15分間固定した。さらに、細胞を使用前にPBSで4回洗浄した。固定線維芽細胞でのELISA法に対するバックグラウンド値は、一般的にA560<0.080であった。線維芽細胞での最小反応性を、バックグラウンド値の2倍以下の結合として定義した。
ハイブリドーマによって産生される抗体のアイソタイプを決定するために、マイクロプレートを0.5μg/mlのヤギ抗ヒトIgMあるいは0.5μg/mlのヤギ抗ヒトIgアルカリリン酸塩共役体でコートした。上清が、補足した抗体の1つと陽性シグナルを産生すれば、アッセイの展開を停止した。同様に、軽鎖クラスを、抗体を適切な重鎖試薬で捕捉することによって、およびヤギ抗ヒトγ鎖特異的アルカリリン酸塩共役体またはヒトκ鎖特異的アルカリリン酸塩共役体で検出することによって決定された。
免疫グロブリンの定量は、Igの未知量を含む上清を、反応が検出されなくなるまで段階的に希釈することを除いて、同様に行われた。Ig濃度を、0.01μg/mlから2.0μg/mlの範囲で使用する、精製ポリクローナルヒトIgMの標準サンプルによって定義される、標準カーブの直線範囲内に入る希釈値から計算した。
免疫グロブリンを、800×g、10分間の遠心によって、および0.45μmセルロースアセテートフィルターを用いた濾過による浄化によって、LH11238ハイブリドーマ上清から沈降した。上清を、透析チューブ(Mr カットオフ値 12〜14kDa)に置き、そのチューブをアクアシド(Aquacide)(Calbiochem)でコートすることによって、そして4℃で6〜8時間静置することによって、2〜4倍濃縮した。余分なアクアシド(Aquacide)を除き、透析バッグで洗浄し、そしてサンプルを、氷冷蒸留水を12〜24時間複数回変えることで透析した。沈降した抗体を、10000×g、30分間遠心することで回収した。上清を除き、ペレットを最少量の温めた10倍量の濃縮PBSで再懸濁した。ほとんどのペレットを可溶化した後、緩衝液濃度をPBSで調整し、不溶性物質を1000×gで30分間遠心することで除した。抗体H1140、242およびH935を、低イオン強度緩衝液中で同様に沈降した。
LH13抗体は、低イオン強度緩衝液中で沈降されなかった。従って、濃縮抗体を得るために、浄化した上清の量を、YM−30膜を用いて、アミコン装置(Amicon apparatus)を用いて減少した。抗体を、この方法によって50倍以上濃縮した。
スクリーニングされたハイブリドーマの5%(372/7216)がバックグラウンド値より4倍以上高い腫瘍表面抗原と結合した。これら372クローン中で、55クローン(15%)が線維芽細胞と有意に結合しない抗体を産生した。多数の抗体分泌ハイブリドーマを、腫瘍細胞または膜分画と一緒にインキュベートしないコントロールMLRから単離したが、これらの抗体の全てが、好ましい腫瘍反応性を示さなかった。腫瘍特異性を示す抗体を産生する約20%(11/55)のハイブリドーマは、複数回の継代培養で安定であった。これらのクローンのうち5クローンが20μg/ml以上の抗体を分泌した。これらのクローンの特性はを表2に要約する。全ての5抗体は、IgMアイソタイプであり、H3396細胞の固定された単一層上のアッセイによって決定されるような範囲の免疫反応性を示した。少なくとも1つの抗体を、各培養条件および使用された不死化手段から産生した。最大の免疫反応性を示す2つの抗体は、すなわちLH13およびLH11238を、さらに特徴付けた(下記)。
ハイブリドーマ細胞株H1140、H2420,H935 LH11238およびLH13によって産生される腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体の特性を、表3に要約する。
(表3:腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体の特徴付け)
Figure 2005517388
要するに、この例は、刺激されていないヒト免疫レパートリー(非腫瘍罹患患者由来の脾臓細胞)が、新規の腫瘍抗原と反応するヒトモノクローナル抗体を産生するために使用され得ることを示す。これは、全腫瘍細胞または腫瘍細胞から得られる膜画分のいずれかを用いて、MLR培養物の刺激を通して達成された。抗原刺激の特異性は、腫瘍特異的抗体の産生ならびに腫瘍細胞または膜画分で処理していない培養物由来の腫瘍特異的抗体の欠如によって例証された。
(実施例II)
(LH13およびLH11238抗体の免疫反応性)
この実施例は、ヒト腫瘍細胞のパネルを用いたLH13抗体およびLH11238抗体の免疫反応性を示す。
免疫診断用目的および免疫治療用目的のためにLH13抗体およびLH11238抗体を使用するために、対応する抗原を発現する腫瘍のタイプの範囲を同定することが必要である。腫瘍細胞株は、対応する腫瘍のタイプの代表例であり、そして正常線維芽細胞は非腫瘍性組織の代表例である。腫瘍細胞株を、黒色細胞種、肺癌腫、卵巣癌腫および乳癌腫から得た。本発明のヒトモノクローナル抗体を、ヒト癌細胞株および正常線維芽細胞の両方との免疫反応性について試験した。
H3396、H3464、H3477およびH3922は、ヒト乳腺癌の転移から樹立された培養細胞であり、外移植して培養で維持した。H2981およびH2987は、ヒト胚癌腫から樹立された培養細胞株であり、外移植して培養で維持した。H3639およびH3723は、ヒト卵巣癌腫より樹立された細胞株であり、外移植して培養で維持した。各細胞株は異なる外移植に由来した。
免疫反応性を、腫瘍細胞の固定した層を広範囲の抗体濃度とインキュベートすることによって、上述のELISA法によって決定した。抗体結合を、検出抗体の飽和量で測定した。抗体結合を、アッセイの直線範囲内のΔA560/[(μg Ig(min))]として測定した。腫瘍細胞および正常細胞のパネルに対する腫瘍特異的ヒトモノクローナル抗体の免疫反応性を、表4に示す。
Figure 2005517388
表4で示されるように、LH13は、高免疫反応性(H3723およびH3396)、中程度の免疫反応性(H2981およびH3464)、および低免疫反応性(H3477)を有する腫瘍細胞のパネル上に広い交差反応を示す。LH13抗原は、インタクトな正常線維芽細胞(HF285)、黒色種(H2669およびH3774)および試験したいくつかのインタクトな癌腫(H3922、H2987、およびH3639)上に存在しないかまたは検出できないレベルで存在した。H3922細胞での反応性の欠如は、特に驚くほどであった。なぜなら、LH13抗体がH3922細胞で刺激されたリンパ球細胞から単離されたので、この結果をより詳細に調べるために、各々の細胞株を、0.1%ジギトニンで透過し、LH13との反応を再び調べた。インタクトな細胞をアッセイしたとき、完全に陰性である2つの細胞株(H3922およびH3639)は、抗体が細胞画分への接近する条件下で、LH13抗体と結合した。さらに、H2981細胞は、非透過性条件下でアッセイするとき、中程度のLH13免疫反応性を有し、透過性条件下(7.0より大きい免疫反応性)において高反応性であった。しかし、0.1%のジギトニンの存在下および非存在下において、免疫反応性が得られたデータは、インキュベーションの間、細胞培養皿からの分化的細胞損失に起因して、直接比較され得なかった。
LH11238は、その免疫反応性の規模が、常にLH13抗体の規模よりかなり低いが、同様な反応性プロファイルを示した。反応性を、インタクトなH3396、H3464、H3477、H3639、およびH3723を用いて観察した。調べた他の細胞は、線維芽細胞および黒色腫細胞株を含んで陰性であった。LH13およびLH11238を用いて、各々の細胞株で得られた免疫反応性決定に基づいて、これらの抗体は同じエピトープを認識しないように思われる。例えば、LH13は、H2981肺癌腫株と中程度の免疫反応性を示したが、この細胞株のLH11238との結合は検出されなかった。同様に、LH13の結合は、同じインキュベーション条件化で検出されなかったにもかかわらず、LH11238はインタクトなH3639と結合した。
(実施例III)
(LH13ヒトモノクローナル抗体およびLH11238ヒトモノクローナル抗体の結合活性)
この実施例は、ヒトモノクローナル抗体LH13およびLH11238と正常細胞および腫瘍細胞の結合活性を示す。
ヒトモノクローナル抗体と、生きた腫瘍細胞および正常細胞との免疫活性を決定するために、フローサイトメトリー(FACS分析)を使用した。ELISA分析によってLH13抗体およびLH11238抗原の両方を発現し、単一細胞懸濁物として容易に単離されるので、H3464乳房腫瘍細胞を選択した。正常末梢血リンパ球細胞をまた、正常組織の代表として調べた。さらに、FACS分析は、抗原の発現に関して細胞集団の不均一性の試験を可能にする。
H3464細胞は、トリプシンンまたはVersene(EDTA)を用いて培養皿から取り出し、PBSで洗浄した後、腫瘍培地中で1.0ml当たり2×10個の細胞に再懸濁させ、37℃、2時間で回復させた。抗体を、総量50μ中に1×10個の腫瘍細胞とともに、30分間、氷上でインキュベートした、これらの細胞を、1.0mlの氷冷PBSで1回洗浄し、1%BSA−PBSで希釈した2μg/mlのFITC標識化ヤギ抗ヒトIgMとともに30分間、氷上でインキュベートし、そして1.0mlの氷冷PBSで一回洗浄した。抗体の細胞への結合は、Becton Dickinson FACSortで分析した。
ELISAの結果と一致して、LH11238およびFITC標識化抗ヒトIgMとともにインキュベートしたH3464細胞は、関連性のないコントロールヒトIgMと比較して、変化した染色パターンを示した(図1A)。試験した細胞の90より多くがLH1238抗体と結合したが、広範囲の観察された蛍光強度は、これらの腫瘍細胞上の不均一な抗原の発現レベルと一致していた。同様のFACS染色プロフィールもまた、H935、H2420、およびH1140において見られた。
驚くべきことに、LH13抗体(ELISAによって決定されたように、H3464細胞においてLH11238の反応性より、23倍より高い反応性を示す(表4))は、ほとんど変化を示さなかった(図1B)。LH13抗原が、分析のための腫瘍細胞を単離するために使用されたタンパク分解条件(トリプシン)に、特に感受性であるか決定するために、細胞をより長い時間回復させ、その後、単離または非蛋白分解細胞分離方法(例えば、Versene(EDTA)放出)を使用した。これらのアプローチの結果はいずれも、腫瘍細胞の有意により大きい染色を示さなかった。
正常ヒト細胞(例えば、末梢血リンパ球細胞)のFacs分析は、正常線維芽細胞を用いて得られたELISAの結果と一致して、試した各々の抗体について陰性であった。
(実施例IV)
(LH11238抗原の特性)
この実施例は、LH11238抗原の非細胞性特性を記載する。
上述の生きた細胞のELISAスクリーニングおよびFACS解析の両方は、腫瘍細胞の形質膜上におけるLH11238抗原の発現を示す。しかし、これらのアプローチは、癌腫由来の細胞の細胞内構造における抗原の分布を試験しなかった。LH11238抗原の細胞内局在化を試験するために、免疫蛍光解析を使用した。
H3464細胞の単一層を、使用前日に、12mm円形カバーガラス(番号1の厚さ、すなわち、0.06〜0.13mm)に播種し、PBS中の2%パラホルムアミド、25℃で15分間固定した。細胞を、PBSで2度リンスし、1%BSA−PBS(非浸透性)または0.1%ジギトニン含有1%BSA−PBS(浸透性)のいずれかに希釈した、50μl/mlの抗体とともに、4℃で2時間、インキュベートした。細胞をPBSで2度リンスし、そして次に一次抗体と同じ緩衝液中で1:500に希釈したFITC標識ヤギ抗ヒトIgMとともに、遮光してインキュベートした。細胞をPBSで4度リンスし、フルオロマウント−G(Southern Biotechnology)中でカバーガラスをマウントした。細胞を、エピ蛍光(epifluorescent)光学素子およびOlympus Splan 40倍(NA 0.70)対物レンズを備えたOlympus製の顕微鏡で可視化した。
LH11238抗体で染色した、非浸透化性の、パラホルムアミド固定したH3464細胞は、形質膜への局在化と一致する表面染色を示した。FACS分析と一致して、固定されたH3464細胞の70%をい超える細胞が、LH11238を結合した。H3464細胞が浸透化され、細胞内構造に到達可能された場合、点状の、核周囲の染色を観察した。LH11238のH3464細胞への結合は、不適切にコントロールインキュベーションに特異的であり、アイソタイプおよび濃度を合わせられたヒト抗体は、インタクトの細胞も0.1%ジゴトニン浸透化細胞も染色しなかった。浸透化細胞で観察された、点状の、核周囲の染色は、リソソーム内の抗原の局在化を示唆した。これを検証するために、細胞をCD63(すなわち、公知のリソソーム糖タンパク質)に対する抗体で染色した。H3464細胞のCD63に対する抗体とのインキュベーションによって、細胞内LH11238のリソソーム局在化と一致して、LH11238で標識した細胞と類似する細胞内構造をされた。
これらの結果に基づいて、LH11238抗原は、H3464細胞の形質膜およびリソソームの両方に存在すると結論された。
(実施例V)
(LH11238抗原の内在化)
この実施例は、LH11238抗原が、形質膜からリソソーム画分に内在化されることを示す。
上述の免疫蛍光実験は、LH11238抗原が、腫瘍細胞の細部表面上およびリソソーム内の両方に存在することを示した。二重局在化は、リソソームおよび細胞表面に共発現するLH11238抗原に起因し得るか、またはエンドソーム/リソソーム画分に内在化に起因し得る。LH11238抗原が内在化するかどうか決定するために、免疫蛍光局在化についての手順を改変した。
生きたH3464細胞の単一層を、エンドサイトーシスを完全に抑制するために、30分間〜60分間氷上で冷却した。次に、細胞を洗浄し、そしてLH11238抗体とともにインキュベートし、再び洗浄し、そしてFITC標識化ヤギ抗ヒトIgM抗体とともにインキュベートした。細胞を、エンドサイトーシスの完全な抑制を保証するために先行するすべての工程の間、ずっと4℃で維持した。次に、細胞を予め温めた細胞培養培地を用いて、37℃に移した。種々の間隔で、細胞を4℃に戻し、そして2%パラホルムアルデヒドで固定した。初めに、拡散性の表面染色を観察したが、非浸透性固定細胞で観察された染色と同じであった。37℃で10分間の後、細胞表面上の複数の部位におけるLH11238抗体の群生化を観察した。より長いインキュベーション時間では、LH11238は初め、細胞表面の少数の部位に局在化し、そして次に内在化し始めた。細胞が関連性のない一次抗体とともにインキュベートされるか、二次抗体のみとともにインキュベートされるか、または、細胞が、実験の継続時間の間、4℃で維持される場合、これらの染色パターンは、観察されなかった。これらの結果は、LH11238結合およびH3464細胞による内在化に一致する。
要するに、LH11238抗体は、第1に、インタクトの細胞のELISA分析、生きた細胞のFACS分析、および非浸透性細胞を用いた免疫局在化に基づいて、表面抗原として特徴付けられた。しかし、さらに浸透性細胞を用いた免疫局在化研究は、この抗原の一部が、点状の、核周辺画分にもまた局在化されたことを示した。リソソームタンパク質である抗CD63抗体とともにインキュベートされた細胞で、類似の染色を観察した。形質膜上におけるLH11238抗原およびリソソーム中のLH11238抗原の二重局在化と一致して、生きた細胞の表面に結合した抗体が内在化されたことが示された。形質膜およびリソソームに対する腫瘍細胞の二重局在化が、以前観察された。例えば、BR96抗体は、インタクトの腫瘍細胞の表面におけるリソソーム関連膜タンパク質lamp−1を結合するが、lamp−1は、通常リソソーム画分に優先的に位置する内在性膜タンパク質である。さらに、可溶性リソソームタンパク質(例えば、腫瘍細胞由来のカテプシン B、D、およびL)の分泌レベルの増加がまた記載されている。分泌されたカテプシン Dの一部は、マンノース 6−リン酸レセプターに結合され、内在化される。現在は、LH11238が、可溶性であるかまたは内在性膜タンパク質であるか、明らかではない。しかし、その抗原は、内在性膜タンパク質と対照的に、LH11238が膜に結合することと一致して、細胞抽出物のTX−114相分離の可溶性画分において見られる。
(実施例VI)
(LH13抗原の特性)
この実施例は、LH13抗原の局在化を示す。
LH13抗体は、上述のように、癌腫由来の細胞株の固定された単一層に対するELISAによってアッセイされる場合、有意な免疫反応性を示した。しかし、FACS分析は、LH13が細胞表面とわずかにのみ結合することを示唆した。さらに、ELISA分析は、LH13抗原が、細胞を、0.1%ジギトニンで処理した場合、抗体にのみ接近可能な画分に優先的に存在することを示した。さらに、非細胞画分内におけるLH13抗原の発現または分泌された培地中のLH13抗原の発現のいずれかを試験するために、免疫蛍光分析および直接ELISA分析を使用した。
LH13抗原の非細胞局在化を試験するために、上述のようにパラホルムアルデヒド固定H3464細胞に対して、免疫蛍光法を行った。FACS分析で観察されたわずかな移動と一致して、LH13抗体を、非浸透性のH3464細胞(上述のようにLH11238抗体を用いて)とインキュベートすることで、細胞表面の弱い染色を生じた。免疫蛍光法によって、LH13抗体を、浸透性のH3464細胞とインキュベートすると、検出可能な染色は生じなかった。おそらく、LH13は、H3464細胞における細胞内構造とほとんど結合しないか、またはLH13の細胞内形態は、この細胞株において抗体で認識されなかった。
これらの結果はまた、LH13抗原が、優先的に分泌されたことを示し得る。分泌されたLH13抗原を観察するために、一定量のLH13抗体(0.01μg/ml)を斬増量の培養液で希釈し、その培養液を、H3396細胞のコンフレントな単一層(すなわち、馴化培地)から除去した。次に、馴化培地を、固定したH3396単一層への結合についてアッセイした。LH13抗原が培地中に存在することと一致して、LH13抗体のその単一層への結合の適度の減少(約15%)は、馴化培地の濃度の増加とともに観察された(図2A)。LH13抗体の単一層の結合減少は、H3922細胞由来の条件培地の増加とともに観察されなかった。。
H3396細胞の馴化培地中のLH13抗原を観察するために、直接ELISA様式を使用した。馴化培地を、4℃で10時間〜12時間96ウェル細胞培養皿中でインキュベートし、培養液を除去した後、次に、洗浄したウェルをLH13抗体結合の間アッセイした。H3396細胞から得られた馴化培地中に存在する抗原は、培養皿と結合し、その抗原は容易に検出された(図2B)。抗体結合の特異性を、以下を用いて前処理された細胞培養ウェルを用いて、LH13抗体をインキュベートすることによって示した:(1)検出不可能な量のLH13(H392)を発現する腫瘍細胞株由来の馴化培地、(2)新鮮培地(培地)、または(3)無添加(ブランク)。これらの前処理条件では、LH13の、検出可能なウェルへの結合は生じなかった(図2B)。
要するに、LH13抗原の特性は、大多数のこの抗原が馴化培地でみられることを示した。この観察に基づいて、LH13は腫瘍細胞から分泌されると結論された。
(実施例VII)
(LH13抗原の精製およびさらなる特徴付け)
この例は、LH13抗原の精製およびさらなる特徴付けを記載する。
上述のように、LH13抗原は乳房腫瘍細胞から分泌され、そして細胞培養皿に対する驚くほど高い親和性を示す。これらの観察は、LH13抗原が、その精製をモニターする手段として、その抗原の培養皿への結合を用いて、馴化H3396培地から容易に精製され得ることを示した。LH13抗原がひとたび精製されると、種々の試薬に対する感受性は、容易に決定されて、その抗原の特性をさらに特徴付け得る。
LH13抗原を富化するための第1工程として、H3396細胞株を使用して、最小タンパク質を補充した無血清培地[TCH(Celox、所定の血清置換物)、2mM L−グルタミン、非必須アミノ酸、および1mM ピルビン酸ナトリウムを補充したIscove’s培地]中での増殖に適応させた。これらの条件下で増殖させた細胞は、血清の存在下で増殖させた場合に匹敵するレベルの抗原を分泌した。馴化培地を回収し、プールし、そして、その250mlを、水で1リットルまで希釈し、イオン強度を減少させた。希釈した培地を、0.25倍の濃度(0.25×)のPBSで平衡化された、11cm×1.5cmカラムのQ SEPHAROSE FAST FLOWアガロース樹脂に対して、3ml/分で適用した。大部分の抗原は、フロースルー画分の反応性の欠如によって示されるように、カラムに結合した。200mlの0.25×PBSでカラムを洗浄した後、タンパク質を、100% 0.25×PBSから、0.25×PBS中70% 0.5M NaClまでの90分間にわたる直線勾配で、6ml/分の流量で溶出した。
カラム画分を、標準としてBSAを用いたBCAタンパク質アッセイによってタンパク質含有量についてアッセイした。カラム画分を以下のようにLH13抗原に対してアッセイした。各画分を、水中に10倍に希釈し、1ウェル当たり50μlを、4℃で12時間、無菌の96ウェル細胞培養皿に移した。プレートをPBSで2回洗浄し、そして1%BSA−PBS中に希釈した10μg/mlLH13抗体とともに37℃で2時間インキュベートした。。次に、プレートをPBSで4度洗浄し、1%BSA−PBS中に1000倍に希釈したヤギ抗ヒトIgアルカリホスファターゼ結合体とともに25℃で1時間インキュベートし、上記に記載あるように発色させた。
ほとんどのタンパク質は、150mM NaClと250mM NaClとの間で溶出したが(図3、黒丸)、大部分のLH13抗原は、約250mMより高いNaClで溶出した(図3、白丸)。ピークの抗原画分の比活性(ELISAシグナル/[タンパク質])は、出発物質より200倍高かった。コントロールとして、イオン強度が細胞培養皿への結合に影響を与えるかどうか決定するために、LH13抗原をある範囲(50mM〜400mM)のNaCl濃度で希釈した。カラムからのLH13の結合および溶出に使用したNaCl濃度の範囲は、細胞培養皿への抗原の結合に影響を与えなかった。従って、直接ELISA法は、種々のカラム画分における抗原の分布を正確に反映する。
さらに、カラム画分を、4%〜20%のSDS−ポリアクリルアミドゲル勾配電気泳動によって分離した。ほとんどの反応画分中に単一な主要タンパク質が、クマシーブルー染色によって見られたが、種々のカラム画分のウエスタンブロットでは、このタンパク質をLH13反応性抗原と同定することはできなかった。
LH13抗原を、さらに特徴付けるために、種々の処理に対する抗原の感受性を、直接ELISA法を用いて調べた。上述のように、LH13抗原を細胞培養皿にコートし、種々の条件下でインキュベートした。LH13抗原を、5mg/mlのトリプシンを用いて、37℃、30分間インキュベートした。あるいは、LH13抗原を、37℃で30分、10% SDS+2% β−メルカプトエタノールを用いた処理によって、変性させ、その後、2U/mlのシアリダーゼ(Oxford GlycoSystems)、400U/mlのエンドグリコシダーゼ−F−/ペプチド−N−グリコシダーゼ F(Endo F、 PNGase F)(Oxford GlycoSystems)、60mU/mlのエンド−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ(O−グリカナーゼ)(Oxford GlycoSystems)、または、2U/mlのシアリダーゼ+60mU/mlのエンド−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ(シアリダーゼ、O−グリカナーゼ)で37℃で24時間処理した。培養皿をPBSで3度洗浄し、上述のようにLH13抗原結合を測定した。各処理の効果を、緩衝液のみと同じ条件下で処理したコントロールサンプルと比較した(図4)。
LH13抗原の、10% SDS±2% β−メルカプトエタノール、シアリダーゼ、またはエンド−α−Nーアセチルガラクトサミニダーゼ(O−グリカナーゼ)を用いた処理は、それに続く抗原の結合にほとんど効果を有しなかった。シアリダーゼ処理およびO−グリカナーゼ処理に対する抗原の抵抗性は、処理前の抗原の変性にも、両方のグリコシダーゼによる同時処理にも影響を受けなかった。直接ELISA法における抗体の結合を、トリプシン処理(79%、図4)またはエンドグリコシダーゼ−F/ペプチド−N−グリコシダーゼ F処理(36%、示さない)によって減少させた。さらに、エンドグリコシダーゼ−F/ペプチド−N−グリコシダーゼ Fでの処理前に10% SDS+2% βーメルカプトエタノールによって変性させ、LH13に対する抗体結合は、さらに減少し、未処理サンプルと比較して、結合を75%減少させた(図4)。
エンドグリコシダーゼ−F/ペプチド−N−グリコシダーゼFの広範囲の特異性に起因して、糖質の構造に関する特異的な結論に達することはできなかった。しかし、LH13抗体の結合は、シアリダーゼ処理によって全く影響されなかった。シアリダーゼはN−アシルまたはO−アシルの非還元末端シアル酸を除去する。エンド−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ処理(これは、セリンまたはトレオニンに関連したGalβ1−3GalNAcを除去する)も、シアリダーゼおよびエンド−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼの組合せもまた、抗体結合に影響を与えなかった。抗原の抗体に対する結合におけるトリプシン感受性は、そのエピトープがタンパク質成分と.関連することを示唆した。
要するに、LH13抗原は陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて、H3396無血清馴化培地から200倍以上精製された。予備研究は、精製LH13抗原が、70kDaより大きな抗原と一致して、Superdex 75ゲル濾過カラムから排除されることを示した。種々の試薬を用いて細胞培養プレートに結合したLH13抗原の処理は、糖類成分およびタンパク質成分の両方が存在し、エピトープとLH13抗体との結合またはLH13抗原と組織培養プレートとの結合のいずれかに関連するとの証拠を提供した。現時点では、これら2つの可能性を区別することはできない。
(実施例VIII)
(インビトロ抗体成熟)
この実施例は、抗体可変領域のクローニング、クローン化された可変領域の改変体を含むFabライブラリーの合成、および改善された親和性を有する改変体の同定のためのスクリーニングを示す。
LH13およびLH11238のDNA配列決定は、両抗体のH鎖およびL鎖がヒト生殖細胞系配列と高い相同姓があることを示した。LH11238 VHは生殖細胞系配列DP−63(VH4.21)と同一であり、一方でLH13 VHはDP−10/hv1051(Vhl−69)と同一である。さらに、LH11238 VLは、生殖細胞系配列DPK21/humkv328h5と同一であり、一方で、LH13 VLは、V−J連結部における一ヌクレオチド変異を含んでDPL16/VL3.1と高度に同一である。抗体と生殖細胞系配列との間の高程度の相同性は、抗体が、細胞培養中に明らかな親和性成熟をおそらく受けていないことを示した。タンパク質操作を受けたLH13抗体およびLH11238抗体の物理的特性を急速に増強するために、抗体を以下に記載のように、細菌発現系にクローン化した。
抗体VH可変領域およびVL可変領域を、次のようにクローン化した。総RNAを、各クローンの5×10細胞から単離し、第一鎖cDNAを調製した。H鎖可変領域を、下記のプライマーセットを用いて、PCRによって増幅した:ヒトシグナル配列に相同性のある5’プライマーおよびヒトCH1に対応する3’プライマー(5’−AGACGAGGGGGAAAAGGGTT−3、配列番号47):
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGG(配列番号48)、
ATGGACTGGACCTGGAG(G/C)(A/T/G)TC(配列番号49)、
ATGAA(A/G)CA(C/T)CTGTGGTTCTT(配列番号50)、
ATGGGGTCAACCGCCATCCTC(配列番号51)、
ATGGGATGGAGCTGTATCATC(配列番号52)、
ATGTCTGTCTCCTTCCTCATC(配列番号53)および
ATG(A/G)AC(C/A)TACTTTGTT(G/C)C(配列番号54)。κ軽鎖可変領域を、以下のプライマーのセットを用いて増幅した:シグナル配列をコードする5’プライマー(CT(C/T)CT(G/C)(G/T)(G/T)(G/C)CTCCTGCT(A/G)CTCTGG)、配列番号55およびCT(C/T)CT(G/C)(G/T)(G/T)(G/C)CT(C/G)CT(G/A)(C/G/A/T)T(A/G)CTCTGG)、配列番号56)および定常領域アミノ酸117〜122に対応する3’プライマー(CATCAGATGGCCGGGAAGAT、配列番号57)。同様に、λ軽鎖可変領域を、下記のプライマーのセットを用いて増幅した:シグナル配列をコードする5’プライマー:(ATG(A/G)CCTG(C/G)(A/T)C(C/T)CCTCTC(C/T)T(C/T)CT(C/G)(A/T)(C/T)C、配列番号58)および定常領域アミノ酸115〜124に対応する3’プライマー(CTCCTCAGAGGAGGGCGGGAACAGAGTGAC、配列番号59)。PCR増幅の後、DNAフラグメントを、アガロースゲルで精製し、そしてpCR2.1ベクター(Invitrogen,Carlsbad CA)中にクローン化した。各サンプルの複数のクローンを、M13順方向プライマーおよび逆方向プライマー(Perkin−Elmer,Foster City,CA)を用いて、蛍光ジデオキシヌクレオチドターミネーション法によって、両方の鎖で配列決定した。配列中の特定の位置でのヌクレオチド間のスラッシュは、その位置における、それらヌクレオチドの等モル混合物を示することを意図する。
IgMをより有益な治療用mAbに変換するために、H鎖可変領域をγ1定常領域に直接移植することで、アイソタイプをIgMからIgG1にスイッチした。抗体エフェクター機能に対する制御を増加させるために、そして治療用mAbにおけるより良く特徴付けされた発現方法論、産生方法論、および精製方法論を利用するために、インビトロクラススイッチを行った。LH11238抗体のクローン化VH領域およびVL領域を、ハイブリダイゼーション方法論(Rosokら、J.Biol.Chem.271:22611−22618(1996に記載)によって、ヒトIgG CH1およびκ CL配列に対してインフレームで、ファージベクターM13IX104CSにクローン化した(Wuら、J.Mol.Biol.294:151−162(1999)およびKristenssonら、Vaccines 95,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY 39−43(1995)に記載)。LH13抗体を、κCL配列がλCL配列に置き換えられた同じベクターにクローン化した。
エピトープ特異性を変える可能性を最小限にしながらも、、インビトロにおける抗体の親和性を急速に改良するために、親配列と密接に関係のあるHCDR3改変体およびLCDR3改変体のライブラリーを合成し、スクリーニングした。HCDR3およびLCDR3に抗体の他のCDRより高い程度で多様性を誘導するような、インビボでの多数のメカニズムがあり、これは、これらの領域が抗原認識において重要な役割を果たすことと一致する。さらに、関連のないmAbの以前のインビトロ親和性成熟の間、最大数の有益な変異は、代表的にHCDR3およびLCDR3に位置した。従って、初めのライブラリーは、H鎖およびL鎖の第3CDRに焦点が当てられ、そして改変体は、1アミノ酸変化によって親配列と異なっていた。
Kabatら(前述)の番号付けシステムを用いて、LH13LCDRの変異誘発に選択された残基は、L鎖CDR3(LCDR3)におけるAsn89からVa197、およびH鎖CDR3(HCDR3)におけるGlu95からTyr102であり、そしてLH11238CDRの変異誘発に選択された残基は、LCDR3におけるGln89−Thr97およびHCDR3におけるGlu95−Tyr102であった。有益なLCDR3変異およびHCDR3変異に基づいた初めのライブラリーおよびコンビナトリアルLH13ライブラリーを、Wuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:6037−6042(1998)および表5に記載されるように合成した。そしてこれらを表5に示す。
Figure 2005517388
これらの焦点を当てた各ライブラリーにおける抗体改変体は各々、単一変異を含み、そして20アミノ酸の全てを、両方のCDRの各残基に導入した。このように、LH11238ライブラリーは、228個の異なる非野生型改変体(HCDR3)および190個の異なる非野生型改変体(LCDR3)を含み、その一方で、LH13ライブラリーは、171個の異なる改変体(HCDR3)および209個の異なる改変体(LCDR3)を含んだ。
Fabを、Wuら、(前述、1999)に記載されるように、E.coli XL1−blue細胞(Stratagene)において発現させ、そしてFabをWatkinsら、Anal.Biochem. 253:37−45(1997)に記載されるように、ペリプラズマ空間から単離し、そして定量した。可溶性fabを、ELISA形式でスクリーニングした。可溶性LH13 Fabの、部分的に生成したLH13抗原への結合を、ヤギ抗ヒトλ鎖アルカリホスファターゼ結合体で検出した。LH13抗原を実施例VIIに記載されるように、部分的に精製した。LH11238 Fab結合を、Watkinsら、(前述、1997)に記載されるように、固定化H3396腫瘍細胞を用いて決定した。
細菌増殖的に発現したLH13 FabおよびLH11238 Fabは、図5(白丸)に示すように、ELISAにおいて比較的低反応性を示し、このことは、抗体がインビボで有意な抗体成熟化を経ていないことを示す。さらに、その結果は、Ig分子の結合が多原子価によって大いに駆動されるという観察と一致する。焦点を当てたライブラリーのスクリーニングは、単一アミノ酸変化を含み、図5Aおよび図5Bにおける白丸と白四角の比較によって示されるように、野性型抗体より100倍多い結合を示す、各抗体の複数の改変体を同定した。LH13抗体における有益な変異を、HCDR3およびLCDR3において同定した。図5Aに示すように、クローンS97N(黒丸)およびクローンR91Y(白丸)は、親LH13と比較して増大した結合を有した。複数の有益な変異はまた、図5Bに示すように、LH11238のLCDR3(例えば、クローンN94C(黒四角)、クローンN93C(白三角)、およびクローンP95aR(黒丸))において同定された。
増大した結合を示す改変体を、より高い親和性を生じる変異を同定するために配列決定し、そしてまた配列を表5に記載した。最も高い結合活性をを示すLH13改変体(図5A、白四角)は、LCDR3においてR91Y変異を含み、約1.8nMのKを有した。親和性の最大増加を示すLh11238変異体(図5B、白四角)は、LCDR3におけるQ89W変異の結果であり、約11nMのKを有した。そのライブラリーの制限されたスクリーニングは、2倍を超えるの増大した結合を示す7つのLH13改変体および9つのLH11238改変体を同定し、その全ての改変体を表5に示した。LH13 CDRの有益な変異を、HCDR3のS97ならびにLCDR3のR91およびV97において同定したが、改善されたLH11238改変体は、LCDR3のQ89、N93、N94、およびP95aにおいて有益な変化を含んだ。これらの結果は、LH13のLCDR3における単一アミノ酸変化が、50倍より高く親和性を増加させ、一方、LH11238のLCDR3における単一アミノ酸変化は、35倍より高く親和性を増加させたことを示した。
LH13のHCDR3およびLCDR3の両方において同定された有益な変異のコンビナトリアルライブラリーを、個々の変異を合わせるために、そして抗体親和性をさらに増大させるために合成した。このライブラリーは、3つのCDR位置(HCDR3のS97ならびにLCDR3のR91およびV97)の各々にて、個々の変異または野生型アミノ酸の全ての可能な組合せを含み、その結果、36の異なる改変体を含むライブラリーを生じた。単一アミノ酸変化を含む改変体より高い親和性を示すコンビナトリアルクローンは、図5AにおいてLCDR3改変体R91Y(白四角)を有するコンビナトリアル変異体4H7(黒四角)またはHCDR3改変体S97N(黒丸)の比較によって示されるように、容易に同定された。コンビナトリアル変異体4H7は、約1.1nMのKを有した。コンビナトリアルクローンのDNA配列は、表5に示すように、全てのクローンが少なくとも2つの変異を含み、そして2つのクローン(クローン4E2および4H7)が3つの変異を含むことを示した。5つの全てのコンビナトリアルクローンは、単一変異を含む任意の改変体より高い結合活性を示した。
この実施例は、LH13の親和性成熟化が2つの工程における416の異なったタンパク質改変体のみの合成によって完了したことを示す。上記で示したように、第1工程は、171個のHCDR3変異および209個のLCDR3変異をスクリーニングすることからなり、次に第2工程で36コンビナトリアル改変体をスクリーニングした。対照的に、この研究において活性に影響を与えることが示された3つのCDR残基(LCDR3 S97、HCDR3 R91、およびHCDR3 V97)の総無作為化は、19改変体、すなわち6,859の改変体を含むライブラリーの発現を要した。従って、本明細書中で記載した結果は、親和性における段階的な改善が、独立した変異の相加性を捕捉し、さらに親和性成熟化の効果的な方法を提供することを示した。
本出願を通して、種々の刊行物が参照された。これらの刊行物の開示は、本発明が関連する技術の状態をより十分に示すために、それら全体が本願で参考として援用されている。
本発明は、開示された実施例を参照して記載されてきたが、当業者は、詳細に述べられた特定の実施形態が、本発明の例示に過ぎないことを容易に認識する。本発明の精神から逸脱することなく、種々のの改変が行われ得ることを理解するべきである。従って、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
図1は、LH11238抗体およびLH13抗体の生きたH3464細胞表面への結合を示す。図1Aは、LH11238抗体を用いた蛍光活性化細胞分離(FACS)解析を示す。図1Bは、LH13抗体を用いたFACS解析を示す。 図2は、LH13抗原がH3396細胞により分泌されることを示す。図2Aは、H3396細胞(黒丸)からの馴化培地が、LH13抗体と固定された細胞単層との結合に競合することを示す。図2Bは、LH13抗原がH3396細胞により分泌され、培養皿に結合することを示す。 図3は、Qセファロースカラムでの陰イオン交換クロマトグラフィーによるLH13抗原の精製を示す。 図4は、LH13抗原が、トリプシン処理およびエンドグリコシダーゼF/ペプチド−N−リコシダーゼF処理に対して感受性であることを示す。 図5は、ELISA様式における組換えLH13、LH11238および改変型Fabsの特徴を示す。パネルAは、各々部分的に増量したLH13抗原で滴定され、ヤギ抗ヒトκアルカリホスファターゼ結合体で検出したLH13抗体(白丸)、HCDR3改変型S97N(黒丸)、LCDR3改変型R91Y(白正方形)、およびコンビナトリアル変異型4H7(黒正方形)の結果を示す。パネルBは、各々H3396腫瘍細胞株の固定化単層で滴定され、ヤギ抗ヒトκアルカリホスファターゼで検出したLH11238抗体(白丸)、およびLCDR3変異型Q89W(白正方形)、N93C(白三角形)、N94C(黒正方形)、およびP95aR(黒丸)の結果を示す。
【配列表】
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Claims (16)

  1. 単離されたヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントであって、配列番号10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44からなる群より選択されるCDRのアミノ酸配列を実質的に有する相補性決定領域を含み、ここで該ヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントが、腫瘍細胞またはその抗原と特異的に結合する、単離されたヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメント。
  2. 請求項1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体であって、ここで該機能的フラグメントは、Fv、Fab、Fab’、またはF(ab’)2からなる群より選択される、単離されたヒトモノクローナル抗体。
  3. 請求項1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントであって、さらに標識を含む、単離されたヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメント。
  4. 請求項3に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントであって、ここで該標識は、細胞障害剤または細胞増殖抑制剤を含む、単離されたヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメント。
  5. 薬学的組成物であって、請求項1の単離されたヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントおよび薬学的担体を含む、単離されたヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメント。
  6. 請求項1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントであって、配列番号10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、および44からなる群より選択される配列に示された3つのCDRのアミノ酸配列を実質的に有する3つの相補性決定領域を含む、単離されたヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメント。
  7. 請求項1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントであって、さらに生理学的に受容可能な、化合物。
  8. 単離されたCDRまたはその機能的フラグメントであって、配列番号10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および44からなる群より選択されるCDRのアミノ酸配列を実質的に含み、ここで該CDRまたはその機能的フラグメントが、腫瘍細胞またはその抗原と特異的に結合する、単離されたCDRまたはその機能的フラグメント。
  9. 単離された核酸であって、ヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントをコードし、配列番号9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、および45からなる群より選択されるヌクレオチド配列によってコードされるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
  10. 請求項9に記載の単離された核酸であって、ここで該機能的フラグメントはFv、FabFab’またはF(ab’)からなる群より選択される、単離された核酸。
  11. 請求項9に記載の単離された核酸であって、配列番号9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、および45からなる群より選択される配列に示される3つのCDRのアミノ酸を実質的にコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
  12. CDRまたはその機能的フラグメントをコードする単離された核酸であって、配列番号9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、および45からなる群より選択されるヌクレオチド配列によってコードされるCDRのアミノ酸配列を実質的にコードするヌクレオチド配列を含む、CDRまたはその機能的フラグメントをコードする単離された核酸。
  13. 腫瘍細胞増殖を減少させる方法であって、該細胞に、請求項1に記載のヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントの有効量を投与する、方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、ここで該腫瘍細胞が乳癌細胞、肺癌細胞および卵巣癌細胞からなる群より選択される、方法。
  15. サンプル中の腫瘍細胞を検出する方法であって、以下:
    (a)サンプルと、請求項1に記載の該ヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントとを結合させ;
    および
    (b)該ヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントと、該サンプルとの特異的結合を検出し、ここで正常細胞と比較した、該ヒトモノクローナル抗体または機能的フラグメントの存在または増加レベルが、該サンプル中の腫瘍細胞の存在を示唆し;
    を含む、方法。
  16. 請求項15に記載の方法であって、ここで該腫瘍細胞が乳癌細胞、卵巣癌細胞、および肺癌細胞からなる群より選択される、方法。
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