JP2005517382A - ニックトランスレーションを使用する、核酸を分析するための方法および生成物 - Google Patents

ニックトランスレーションを使用する、核酸を分析するための方法および生成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、配列特異的ニックトランスレーションを使用して核酸分子を分析するための方法、製品およびシステムに関する。この方法を使用して、核酸分子に関する配列情報を収集し得、かつDNA損傷誘導に基づいて影響する治療処置の効力を評価し得る。この方法は、以下:核酸分子を配列特異的ニック形成酵素に曝す工程;この配列特異的ニック形成酵素が、ニックを核酸分子に導入することを可能にする工程;この核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝す工程;このポリメラーゼが、標識ヌクレオチドを核酸分子に取り込ませることを可能にする工程;ならびに、該核酸分子に取り込まれた該標識ヌクレオチドからのシグナルを検出する工程、を包含する。

Description

本発明は、ニックトランスレーションを使用する、核酸分子の分析に関する。
ゲノム配列決定プロジェクトが、数年間にわたって継続中である。現在、ヒトゲノムを配列決定することにおいて、有意な進行がなされている。さらに、他の生物のゲノムが、配列決定されている。
ゲノムの配列決定は、一般的には、分離能の程度を増加しつつ実施される。例えば、最初の配列決定は、遺伝子マップ中に核酸フラグメントのアライメントを配置することを包含し得る。これは、低い分離能のマップを与え、このマップは、さらなる微細な調節およびより高分解能の配列決定を必要とする。
より最近の努力は、より高分解能の配列情報を提供すること、およびゲノムマップ上にそのような情報をマッピングすることにおいて、なされている。核酸分子を個々に分析する能力は、(特に、所定の個体の)ゲノムの配列決定のためでなく、個体中の遺伝子変異(疾患に関連する希な変異を含む)を同定する際にも、有用である。
(発明の要旨)
本発明は、ニックトランスレーションに基づく配列特異的標識を使用して、核酸分子が分析され得るという知見を前提としている。
1つの局面において、本発明は、核酸分子を分析するための方法を提供し、その方法は、核酸分子を、配列特異的ニック形成酵素に曝す工程;その配列特異的ニック形成酵素がその核酸分子中にニックを導入することを可能にする工程;その核酸分子を、ポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝す工程、そのポリメラーゼ酵素がその核酸分子中に標識ヌクレオチドを取り込ませるのを可能にする工程、および直線状ポリマー分析システムを使用して、その核酸分子中にある取り込まれた標識ヌクレオチドからのシグナルを検出する工程を包含する。
1つの実施形態において、その直線状ポリマー分析システムは、GeneEngineTMシステム、光学マッピングシステム、およびDNAコーミング(combing)システムからなる群より選択される。1つの実施形態において、上記の取り込まれた標識ヌクレオチドからのシグナルは、単一分子検出システムを使用して検出される。別の実施形態において、上記核酸分子は、上記の取り込まれた標識ヌクレオチドからのシグナルを生じるステーション(station)に曝される。
本発明のこの局面および他の局面において、その核酸分子は、ゲノムDNAであり得る。重要な実施形態において、その核酸分子は、非インビトロ増幅核酸分子である。なお他の実施形態において、その核酸分子は、単一核酸分子である。
特定の実施形態において、その配列特異的ニック形成酵素は、部位特異的ニック形成酵素、制限エンドヌクレアーゼ、改変された制限エンドヌクレアーゼ、組換え酵素(例えば、FLPリコンビナーゼおよびCreリコンビナーゼ)、トランスポザーゼ、操作されたタンパク質キメラ、DNA修復酵素(ミスマッチ修復酵素を含む)、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、DNアーゼ、改変されたDNAse、ホーミングエンドヌクレアーゼ、合成制限酵素、ウイルスニッカーゼ(nickase)からなる群より選択され得るが、このようには限定されない。
本発明の関連する局面において、その核酸分子は、一本鎖ニックを誘導する条件下で、配列特異的エンドヌクレアーゼに曝される。他の関連する局面において、その核酸分子は、配列特異的ニックを誘導する条件下で、非配列特異的ニック形成酵素に曝される。
本発明の他の局面において、その核酸分子は、二本鎖核酸分子の両方の鎖においてニックを生じる酵素に曝され得る。この後者の局面において、その核酸分子は、架橋剤に曝されることが好ましい。架橋剤の例としては、ホルムアルデヒド、ならびにUV照射、熱、二官能性架橋剤、およびホルムアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい実施形態において、そのポリメラーゼは、5’から3’への方向でホスホジエステル骨格を加水分解可能であり、かつ3’から5’への方向でホスホジエステル結合を合成可能である。そのポリメラーゼは、DNAポリメラーゼIであっても、またはそのような活性を有する能力がある他の任意のポリメラーゼであってもよい。他の実施形態において、そのポリメラーゼは、DNA分解酵素由来の切断ドメインと、ポリメラーゼ由来のポリメラーゼドメインとを合わせる、操作されたポリメラーゼであり得る。他の実施形態において、そのポリメラーゼ酵素は、DNAポリメラーゼI、Taqポリメラーゼ、RNAポリメラーゼなどからなる群より選択される。
この局面および他の局面において、その標識ヌクレオチドは、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、ビオチン分子、アビジン分子、電荷伝達分子、核磁気共鳴分子、半導体ナノ結晶、電磁性分子、導電性粒子、リガンド、マイクロビーズ、Qdot、発色基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、抗体、抗体フラグメント、抗原、ハプテン、核酸、糖質、および脂質からなる群より選択される標識を含み得る。いくつかの実施形態において、その方法は、上記核酸分子を、骨格標識で標識する工程をさらに包含する。
この局面および他の局面において、その検出システムは、蛍光検出システム、電気的検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近距離場検出システム、全反射(TIR)検出システム、および電磁気的検出システムからなる群より選択され得る。
1つの局面において、本発明は、核酸分子の異常なニック形成により特徴付けられる障害を有する被験体またはそのような障害を発症する危険がある被験体を同定するための方法を提供し、その方法は、被験体由来の生物学的サンプル中の核酸のニック形成パターンを決定する工程;およびその核酸分子のニック形成パターンを、コントロールと比較する工程を包含し、そのコントロールと比較した核酸分子のニック形成パターンの差異は、その障害を有する被験体またはその障害を発症する危険がある被験体として同定する。
1つの実施形態において、その被験体はヒトである。別の実施形態において、その被験体は、DNA損傷因子に曝されている。重要な実施形態において、その核酸分子は、ゲノムDNAである。
1つの実施形態において、そのコントロールは、正常な細胞である。別の実施形態において、そのコントロールは、正常な細胞からのデータの組である。1つの実施形態において、そのニック形成パターンにおける差異は、ニック形成の全体のレベルの増加である。別の実施形態において、そのニック形成パターンにおける差異は、ニック形成の全体のレベルの減少である。なお別の実施形態において、そのニック形成パターンにおける差異は、ニック形成位置の差異である。1つの実施形態において、その障害は、癌であり、例えば、乳癌である。別の実施形態において、その障害は、DNA修復欠損障害であるか、またはDNA損傷因子(例えば、UV放射線)に対する感受性に関係する障害である。好ましい実施形態において、その核酸は、インビボでニック形成する。1つの実施形態において、その核酸分子は、ポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝すこと、およびそのポリメラーゼ酵素がその標識ヌクレオチドをその核酸分子中に取り込ませるのを可能にすることによって、さらに処理される。
なお別の局面において、本発明は、核酸分子を損傷する能力について化合物をスクリーニングするための方法を提供し、その方法は、その核酸分子を化合物に曝す前およびその核酸分子を化合物に曝した後に、その核酸分子におけるニック形成パターンを決定する工程;ならびにその核酸分子をその化合物に曝す前およびその核酸分子をその化合物に曝した後のニック形成パターンを比較する工程を包含し、そのニック形成パターンは、その核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝すこと;そのポリメラーゼ酵素が、その標識ヌクレオチドをその核酸分子中に取り込ませるのを可能にすること;ならびにその核酸分子に取り込まれたその標識ヌクレオチドからのシグナルを検出すること、によって決定される。好ましい実施形態において、その核酸分子が分析され、そしてそのシグナルは、直鎖状ポリマー分析システムを使用して検出される。
1つの実施形態において、その化合物は、推定抗癌剤である。別の実施形態において、その方法は、その化合物の特異性を決定するために、正常な細胞および/または正常な組織に対するその化合物の効果をスクリーニングする工程をさらに包含する。
なおさらなる実施形態において、本発明は、治療処置の効力を評価するための方法を提供し、その方法は、その治療処置の前および治療処置の後に、被験体由来の生物学的サンプルからの核酸分子のニック形成パターンを決定する工程;ならびに、その治療処置の前のニック形成パターンをその治療処置の後のニック形成パターンと比較する工程、を包含し、その治療処置の結果としてのそのニック形成パターンにおける差異が、その治療処置の効力の指標である。
1つの実施形態において、そのニック形成パターンにおける差異が、核酸ニック形成の全体レベルの増加である。別の実施形態において、そのニック形成パターンにおける差異が、核酸ニック形成の全体レベルの減少である。なお別の実施形態において、そのニック形成パターンにおける差異は、ニック形成位置における差異である。別の実施形態において、その治療処置が、抗癌剤である。関連する実施形態において、抗癌剤が、DNA損傷剤である。
1つの実施形態において、そのニック形成パターンは、その核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝すこと;そのポリメラーゼ酵素が、その標識ヌクレオチドをその核酸分子中に取り込ませることを可能にすること;ならびに、その核酸分子に取り込まれたその標識ヌクレオチドからのシグナルを検出すること、によって決定される。
なお別の局面において、本発明は、核酸分子を光学的に分析するためのシステムを提供し、そのシステムは、以下:既知の波長の光学放射線を放射するための、光源;光路においてその光学放射線を受容するため、かつその光学放射線に曝されて、検出可能なシグナルを発生させるその核酸分子を受容するための、相互作用ステーション;その光路にある、その検出可能なシグナルの少なくとも2つの別々の波長バンドを作製するための、二色性反射器;その核酸分子とその光学放射線との相互作用から生じるシグナルを含む放射線を検出するように構成された、光学検出器;ならびにそのシグナルを含む検出された放射線に基づいてその核酸分子を分析するように構成および配置された、プロセッサ;を備え、ここで、その核酸分子は、ニックトランスレーションを使用して標識されている。
1つの実施形態において、その核酸分子は、非インビトロ増幅核酸分子である。別の実施形態において、その核酸は、ゲノムDNAである。
1つの実施形態において、その相互作用ステーションはスリットを備え、そのスリットは、1nm〜500nmの範囲のスリット幅を有しかつ局在化した放射線スポットを作製する。別の実施形態において、そのスリット幅は、10nm〜100nmの範囲である。1つの実施形態において、そのシステムは、その局在化した放射線スポットを作製するようにそのスリットと整列したマイクロチャネルをさらに備え、そのマイクロチャネルは、その局在化した放射線スポットを通るポリマー単位を受容しかつそのポリマー単位を前進させるように構成されている。なお別の実施形態において、そのシステムは、偏向器をさらに備え、その光源は、レーザを備え、そのレーザは、放射線ビームを放射するように構成されており、その偏向器は、そのスリットに到達する前にそのビームを偏向させるように配置されている。1つの実施形態において、その偏向器は、そのスリットの幅と平行にそのビームを偏向させるように配置されている。
特定の実施形態において、その核酸分子は、ニックトランスレーションを使用して標識されており、そのニックトランスレーションは、その核酸分子を配列特異的ニック形成酵素に曝す工程;その配列特異的ニック形成酵素がその核酸分子中にニックを導入することを可能にする工程;その核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝す工程;ならびにそのポリメラーゼ酵素が、その標識ヌクレオチドをその核酸分子に導入することを可能にする工程;検出システムを備える直鎖状ポリマー分析システムを使用して、その核酸分子中の取り込まれた標識ヌクレオチドからのシグナルを検出する工程;を包含する。その核酸分子は、いくつかの実施形態において配列特異的ニック形成酵素に曝す必要がなく、ポリメラーゼ酵素およびヌクレオチドに曝され得る。これらの後者の実施形態において、その核酸分子は、すでにニック形成している(例えば、インビボでニック形成している)。
別の局面において、本発明は、核酸分子を分析するための方法を提供し、その方法は、以下:既知の波長の光学放射線を発生させて、局在化した放射線スポットを作製する工程;標識核酸分子をマイクロチャネルに通過させる工程;その標識核酸分子を、その局在化した放射線スポットにて照射する工程;その局在した放射線スポットにおけるその標識核酸分子とその光学放射線との相互作用から生じる放射線を連続的に検出する工程;ならびに、その検出された放射線に基づいてその標識核酸分子を分析する工程を包含し、その核酸分子は、ニックトランスレーションを使用して標識されている。
1つの実施形態において、その方法は、電界を使用して、その核酸分子をそのマイクロチャネルに通過させる工程をさらに包含する。別の実施形態において、その検出する工程は、その核酸分子がそのマイクロチャネルを通過する間の時間にわたってシグナルを収集する工程を包含する。
1つの実施形態において、その核酸分子は、ニックトランスレーションアプローチを使用して標識され、そのアプローチは、以下:その核酸分子を配列特異的ニック形成酵素に曝す工程;その配列特異的ニック形成酵素がその核酸分子中にニックを導入することを可能にする工程;その核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝す工程;ならびにそのポリメラーゼ酵素が、その標識ヌクレオチドをその核酸分子に導入することを可能にする工程;検出システムを備える直鎖状ポリマー分析システムを使用して、その核酸分子中の取り込まれた標識ヌクレオチドからのシグナルを検出する工程;を包含する。いくつかの実施形態において、その核酸分子はすでにニック形成されている(例えば、インビボでニック形成されている)ので、その核酸分子を配列特異的ニック形成酵素に曝す必要がない。
なお別の局面において、本発明は、単一の標準ニックプロフィールに基づいて、核酸分子を分析するための方法を提供し、その方法は、その核酸分子を配列特異的ニック形成酵素に曝す工程;その配列特異的ニック形成酵素がその核酸分子中にニックを導入することを可能にする工程;その核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝す工程;そのポリメラーゼ酵素が、その標識ヌクレオチドをその核酸分子に導入することを可能にする工程;ならびに直鎖状ポリマー分析システム(例えば、GeneEngineTMシステム、光学マッピングシステム、およびDNAコーミングシステムであるが、これらに限定されない)を使用して、その標識の存在についてその核酸分子を分析する工程;を包含する。
上記の局面すべてにおいて、その核酸分子は、遊離形態(例えば、フローシステム)、または固定形態のいずれかで、分析され得る。
本発明の上記の局面および実施形態すべては、本明細書中により詳細に説明される。
(発明の詳細な説明)
本発明は、核酸の損傷パターンを決定するため、およびそのような核酸から配列情報を誘導するために、配列特異的ニックトランスレーションに基づいて核酸を分析するための方法、組成物、およびシステムを提供する。
ニックトランスレーションは、核酸分子(例えば、DNA)中に改変ヌクレオチド(例えば、放射標識ヌクレオチドまたは蛍光標識ヌクレオチド)を取り込ませるための分子生物学技術である(Meinkoth J.およびG.M.Wahl,Methods Enzymol 1987;152;91〜94)。これは、1gのDNAあたり10cmp以上の32P標識デオキシヌクレオチドを用いて、高特異的活性の放射性DNAプローブを生成するかまたは高特異的活性の化学発光DNAプローブもしくは誘導体化DNAプローブを生成するための、非常に効率的な方法である。
古典的ニックトランスレーション反応において、そのニックは、一般的には、DNアーゼの作用により生成される。DNアーゼは、非配列特異的部位にてDNAに付着し、そしてそのDNA鎖の一方にあるその非配列特異的部位にあるホスホジエステル結合を加水分解する。このニックトランスレーション反応において、DNA分子の集団は、そのDNAがニック形成するための制御された条件下で、限定量のDNアーゼで処理される。DNAポリメラーゼI合成活性の進行に適応するに十分な密度のニックが生成されるが、そのDNAがオリゴヌクレオチドへと解離するほどには高いニック密度ではない。
デオキシリボヌクレオチドの存在下で、DNAポリメラーゼIは、3’突出を平滑末端化し、そして5’突出を充填するが、DNAポリメラーゼIは、平滑末端に対して何の効果も有さない。DNAポリメラーゼIは、二本鎖DNA分子の末端から「ニックトランスレート」し得ない。
そのニックトランスレーション反応において、DNAポリメラーゼIによる鎖置換プロセスが、そのニック形成プロセスにおけるDNアーゼの本質的にランダムな作用に起因して、そのDNA分子全体にわたってランダムに生じる。しかし、このアプローチから意味のある配列情報を誘導するために、そのニックは、核酸分子中にて配列特異的様式で生じることが望ましい。
本発明は、核酸分子(例えば、DNA)の配列特異的タグ化(すなわち、標識)のための、ニックトランスレーションベースの方法を提供する。この方法は、その核酸分子の長さに沿って、ポリメラーゼ酵素のための配列特異的侵入点(すなわち、ニック)を生成する工程を包含する。これは、配列特異的ニック形成酵素にその核酸分子を曝すことによって、達成される。この方法は、標識ヌクレオチド(例えば、蛍光標識ヌクレオチド、または例えば、蛍光検出可能なタグもしくは同等に検出可能なタグで二次標識され得る誘導体化ヌクレオチド)を取り込ませることができるポリメラーゼ酵素に、そのニック形成した核酸分子を曝す工程をさらに包含する。この方法はまた、好ましくは、標識反応または置換反応の程度を制限する工程、および必要な場合は、連結反応または同等な化学反応によって残留ニックを除去する工程を包含する。
本明細書中で提供される方法は、単一の核酸分子についてのニック形成パターンを誘導することをまず可能にする。このニック形成パターンは、例えば、DNA損傷因子への曝露の結果として、核酸分子中に予め存在するものであり得る。従って、このニック形成パターンは、細胞もしくは被験体が、DNAを損傷する状態に曝されていたか否か、またはそのような細胞もしくは被験体が、DNA損傷する傾向があるか否かの指標として、使用され得る。これは、DNA修復機構中に変異を保有する被験体における場合である。
あるいは、そのニック形成パターンは、配列特異的ニック形成酵素を使用して、インビトロで生成されるものであり得る。本発明のこの局面において、そのニック形成パターンは、そのニック形成酵素の配列特異的性質を考慮すると、核酸分子に関する配列情報を誘導するために使用され得る。本明細書中により詳細に記載されるように、ニックの位置は、ニック形成酵素の任意期配列のマーカーとして役立つ。ニックの位置は、取り込まれたヌクレオチドの位置により示される。ニック形成酵素の最も一般的な形態の1つは、制限酵素であり、制限酵素は、配列特異的な様式で核酸分子(例えば、DNA)にニック形成することが公知である。複数の制限酵素の認識配列が公知であり、そして、分子生物学の試薬の任意の商業的供給業者(例えば、New England Biolabs)のカタログを参照することによって入手され得る。
一旦ニック形成パターンが決定されると、その後、そのニック形成パターンは、特定の種についてのゲノムマップを比較されて、その核酸分子と、そのゲノム状態におけるニック形成パターンとが整列され得る。いくつかの実施形態において、そのニック形成パターンをゲノムマップの上に重ねると、ニック形成「ホットスポット」すなわち変異「ホットスポット」の同定もまた可能になる。ホットスポットは、全体として核酸分子と比較して、平均よりも高いニック密度を含む、核酸分子領域である。ニック形成ホットスポットは、そのゲノム中の転写活性な領域を示し得る。これらのホットスポットは、すでに既知でありかつゲノム遺伝子座として同定されており得るか、またはそれらは新規であり得る。この後者の場合、この方法は、新規な遺伝子の同定をもたらす。両方の場合において、この方法は、どの遺伝子座が、インビボで、または特定の因子に(インビボもしくはインビトロのいずれかで)曝露された後に、変異されるかに関する情報を提供する。
そのゲノムマップは、公になったデータベース(Human Genome Projectを含む)について入手され得、その結果は、NCBIウェブサイトまたはNIHウェブサイトから入手可能である。これらのゲノムマップは、種々の分離度レベルの配列マップであり得るか、またはゲノムマップは、モチーフマップもしくは構造マップであり得るが、そのように限定はされない。
本明細書中に考察されるなお他の実施形態において、そのニック形成パターンは、既知の配列および構造(例えば、テロメア、セントロメア、Alu反復などの個々の配列、など)についての分子を染色することによって、単一の核酸分子中で方向付けられ得る。なおさらなる実施形態において、その核酸は、ゲノムマップと比較するためのその核酸を標識するために、さらに処理され得る。例えば、その核酸マップは、特定のゲノムをマッピングするために以前に使用された任意の標識で、標識され得る。そのように染色された核酸は、その後、同じ標識を使用して生成されたゲノムマップと比較され得る。特定の例として、その核酸は、ニックトランスレーション標識に加えて、個々の配列(例えば、Alu反復)に結合するプローブで、標識され得、その後、その核酸分子の位置および方向を決定するために、ゲノム全体のAluマップと比較され得る。一旦これが決定されると、そのニックの位置は、ゲノムマップに関して決定され得る。
用語「核酸」は、本明細書中で、交換可能な有機塩基(これは、置換ピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミジン(T)もしくはウラシル(U))または置換プリン(例えば、アデニン(A)もしくはグアニン(G))のいずれかである)に結合した糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む複数のヌクレオチド(すなわち、分子)を意味するために使用される。本明細書中で使用される場合、この用語は、オリゴリボヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチドを指す。この用語はまた、ポリヌクレオシド(すなわち、ポリヌクレオチドからリン酸を除いたもの)および他の任意の有機塩基含有ポリマーを包含する。核酸分子は、既存の核酸供給源(例えば、ゲノムDNAまたはRNA)から入手され得るか、または合成手段によって入手され得る(例えば、核酸合成、組換えDNA技術、もしくは増幅反応によって、生成され得る)。用語「核酸」と「核酸分子」とは、互換可能に使用される。
より詳細には、DNAは、プリン窒素含有塩基またはピリミジン窒素含有塩基が結合した、ホスホジエステル結合したペントースデオキシリボース糖を含む、二本鎖ポリマーである。そのペントース糖の非対称性によって、ホスホジエステル結合において方向性がもたらされ、それにより、その糖単位は、種々の糖単位の5’炭素と3’炭素との間のホスホジエステル結合によって結合される。従って、DNA分子の2つのポリマー鎖は、アンチパラレルである。その糖に自然に天然で結合している窒素含有塩基の型を構成する、2つのプリン(アデニンおよびグアニン)ならびに2つのピリミジン(チミンおよびシトシン)が存在する。アデニンは、優先的にチミンに水素結合し、そしてシトシンは、優先的にグアニンに水素結合する。核酸分子の配列とは、その長さに沿った塩基の順序をさす。任意の一方の鎖上の塩基の順序は、DNA鎖のアンチパラレルな性質によって、そして適切なプリン塩基とピリミジン塩基との間で生じ得る水素結合の相補的性質によって、もう一方の鎖上の塩基の順序を決定する(かまたは、もう一方の鎖上の塩基によって決定される)。
核酸分子としては、DNA、RNA、ならびに固定された(locked)核酸およびペプチド核酸が挙げられ、好ましくは、二本鎖である。DNAとしては、ゲノムDNA(例えば、核DNAおよびミトコンドリアDNA)、ならびにいくつかの例においてはcDNAが挙げられる。重要な実施形態において、核酸分子は、ゲノム核酸分子である。本明細書中に記載の例示におけるDNAに対する参照は、便宜上および明確さのために過ぎず、任意の核酸分子(上記の核酸を含む)が本明細書中に記載のように処理および分析され得ることが理解されるべきである。核酸分子は、任意の大きさ(数ヌクレオチドの長さ、数百ヌクレオチドの長さ、数千ヌクレオチドの長さ、さらに数百万ヌクレオチドの長さを含む)であり得る。いくつかの実施形態において、核酸分子は、染色体の長さである。
本発明の方法は、インビトロでの事前の核酸増幅がない場合に行われ得る。いくつかの好ましい実施形態において、核酸分子は、生物学的サンプル(例えば、組織培養物または細胞培養物)から直接採取および単離され、核酸分子を増幅する必要はない。従って、本発明のいくつかの実施形態は、「非インビトロ増幅核酸分子」の分析を包含する。本明細書中で使用される場合、「非インビトロ増幅核酸分子」とは、ポリメラーゼ連鎖反応または組換えDNA法のような技術を使用してインビトロで増幅されていない核酸分子をいう。
しかし、非インビトロ増幅核酸分子は、生物学的サンプル中の細胞の発生の当然の結果として、インビボで(例えば、核酸分子が採取された生物学的サンプル中で)増幅された核酸分子であり得る。このことは、非インビトロ核酸分子が、遺伝子増幅(これは、変異または癌発生の結果としていくつかの細胞型で一般に観察される)の一部としてインビボで増幅された核酸分子であり得ることを意味する。結果として、インビボで存在しているような、核酸分子の天然のニック形成(nicking)パターンを決定することが可能である。 これらのニック形成パターンは、核酸分子(nucleic and)が採取された被験体のゲノムの完全性に関する情報を生じ得る。ニック形成の正常を超えるレベルは、被験体が、DNA損傷剤に曝されているか、または代わりに被験体が、DNA修復欠損障害を有することを示し得る。ニック形成の正常レベルは、正常被験体集団または正常細胞集団のいずれかにおけるニック形成のレベルを分析することにより決定され得る。
核酸の採取および単離は、当該分野で慣用的に行われており、適切な方法は、標準的な分子生物学の教科書中に見出され得る。核酸分子は、組織または生物学的流体のような生物学的サンプルから採取され得る。用語「組織」とは、本明細書中で使用される場合、局在化細胞集団および散在性細胞集団の両方をいい、これら組織としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:脳、心臓、胸部、結腸、膀胱、子宮、前立腺、胃、精巣、卵巣、膵臓、下垂体、副腎、甲状腺、唾液腺、乳腺、腎臓、肝臓、腸、脾臓、胸腺、骨髄、気管、および肺。生物学的流体としては、唾液、精液、血清、血漿、血液および尿が挙げられるが、これらに限定されない。侵襲性および非侵襲性の技術の両方が使用されて、このようなサンプルが獲得され得、これらの技術は、当該分野で十分に提供されている。
いくつかの実施形態において、本発明は、核酸誘導体を分析するために使用され得る。本明細書中で使用される場合、「核酸誘導体」は、天然に存在しない核酸分子である。核酸誘導体は、天然に存在しないエレメント(例えば、天然に存在しないヌクレオチドおよび天然に存在しない骨格連結)を含み得る。
核酸誘導体は、置換型プリンおよび置換型ピリミジン(例えば、C−5プロピン(propyne)改変型塩基(Wagnerら,Nature Biotechnology 14:840−844,1996))を含み得る。プリンおよびピリミジンは、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ブロモデオキシウリジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、ならびに他の天然に存在する核酸塩基および天然に存在しない核酸塩基、置換型芳香族部分および非置換型芳香族部分を含み得るが、これらに限定されない。天然に存在しないヌクレオチドは、発蛍光団結合体化dNTPのような改変ヌクレオチドを含み得る。これらの天然に存在しないヌクレオチドのうちのいくつかは、より高い組み込み効率を有し、必要に応じて、一旦組み込まれた後、さらに標識され得る。他の天然に存在しないヌクレオチドは、例えば、ハロゲン化ヌクレオチドおよびアミンヌクレオチドを含む。他のこのような改変は当業者に周知である。
核酸誘導体はまた、例えば、塩基および/または糖において置換または改変を含み得る。例えば、核酸誘導体は、ヒドロキシル基または3’位のOHの代わりのチオール基(SH)以外、ならびに5’位のリン酸基以外の低分子量有機基に共有結合した骨格糖を有する核酸を含む。従って、核酸誘導体は、2’−O−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、核酸誘導体は、リボースの代わりにアラビノースのような糖を含み得る。従って、核酸誘導体は、骨格組成が不均一であり得、それによりともに連結した任意の可能なポリマーユニットの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、核酸は、骨格組成が均質であり得る。
天然に存在しない骨格連結としては、ホスホロチオエート連結、メチルホスホネート、アルカリホスホネート、リン酸エステル、アルカリホスホノチオエート、ホスホルアミデート、カルバメート、カーボネート、リン酸トリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステル、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、p−エトキシ、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明はまた、ペプチド核酸残基または固定化核酸残基から構成される核酸誘導体の分析を包含する。
核酸分子は、直線状ポリマー分析システムを使用して分析される。直線状ポリマー分析システムは、直線状様式にて(すなわち、ポリマー上の1つの位置で開始し、次いで、この位置からいずれかの方向で直線状に進められる)ポリマーを分析するシステムである。ポリマーが分析されるにつれて、ポリマーに結合した検出可能な標識が、連続的様式または同時様式のいずれかにて検出される。同時に検出される場合、シグナルは、通常、ポリマーの画像を形成し、この画像から、標識間の距離が決定され得る。連続的に検出される場合、シグナルは、棒グラフにて見られる(シグナル強度 対 時間)。次いで、このシグナルは、核酸分子の速度の知識とともに、マップに翻訳され得る。いくつかの実施形態において、核酸分子は、固体支持体に結合される一方で、他の場合では、自由に流動することが理解されるべきである。いずれにしても、核酸分子の速度は、例えば、相互作用ステーションまたは検出器を通過して動くとき、互いに対するおよび他の検出可能マーカーに対する、核酸分子上に存在し得る標識の位置の決定を補助する。
従って、直線状ポリマー分析システムは、核酸分子上の標識の総量のみならず、おそらくより重要なことには、このような標識の位置も推定し得る。標識(従って、ニック)を位置づけかつ位置決定する能力は、影響が及ぼされるゲノムの領域を同定するために、ニック形成パターンを他の遺伝子マップの上に重ねることを可能にする。本発明のいくつかの局面において、直線状ポリマー分析システムは、単一分子検出システム(すなわち、これは、個々に核酸分子を分析し得る)である。
DNA分子の伸長を包含し、単一分子検出能力を有する他の核酸分析法はまた、本発明の方法において使用され得る。これらの方法としては、光学マッピング(Schwartzら,1993,Science 262:110−113;Mengら,1995,Nature Genet.9:432;Jingら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:8046−8051)およびファイバー−蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(ファイバー−FISH)(Bensimonら,Science 265:2096;Michaletら,1997,Science 277:1518)が挙げられる。光学マッピングにおいて、核酸分子は、流体サンプル中で伸長され、ゲルまたは表面に伸長した配置にて固定される。次いで、伸長し固定した核酸分子に対して制限消化を行う。次いで、順に並べた制限マップを、制限フラグメントのサイズを決定することにより作成する。ファイバー−FISHにおいて、核酸分子は伸長され、分子コーミング(molecular combing)により表面に固定される。蛍光標識したプローブ配列とのハイブリダイゼーションは、核酸分子上の配列目印の決定を可能にする。両方の方法とも、分子長および/またはマーカー間の距離が決定され得るように、伸長した分子の固定を要する。パルスフィールドゲル電気泳動(pulse field gelelectrophoresis)もまた、標識核酸分子を分析するために使用され得る。パルスフィールドゲル電気泳動は、Schwartzら,Cell,1984,37:67により記載される。他の核酸分析システムは、Otobeら(NAR,2001,29:109)、Bensimonら(米国特許第6,248,537号(発行2001年6月19日))、HerrickおよびBensimon(Chromosome Res 1999,7(6):409−423)、Schwartz(米国特許第6,150,089号(2000年11月21日発行)ならびに米国特許第6,294,136号(2001年9月25日発行))により記載される。
いくつかの局面において、Gene EngineTMシステムは、核酸分子をインターロゲートするために使用される。Gene EngineTM技術は、公開されたPCT特許出願(通し番号WO98/35012およびWO00/09757(それぞれ、8月13日1998年および2000年2月24日公開)、ならびに米国特許第6,355,420B1号(2000年3月12日発行)において、より詳細に記載される。これらの出願および特許の内容、ならびに本明細書中で記載される他の特許、出願および参考文献の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。このシステムは、核酸分子に沿って、標識ヌクレオチドの配列特異的組み込みの空間位置を決定し得る。核酸分子内の特定の配列のマップは、組み込まれた標識ヌクレオチドの相対的空間位置から得られ得る。この空間的位置は、直線状にされた核酸分子を、好ましくは、組み込まれたヌクレオチド上の標識に対応する検出システムで単にインターロゲートすることにより決定される。上記のシステムの感度は、単一の核酸を研究することを可能にする。
本発明は、核酵素にニックを導入するために配列特異的ニック形成酵素の使用、続いて、 このようなニックを標識ヌクレオチドで埋めるためのポリメラーゼ酵素の使用を包含する。組み込まれた標識ヌクレオチドの位置は、配列特異的ニック形成酵素により認識される配列の位置を示す。核酸は、単一のニック形成酵素を使用してニックが形成され得るか、または各々が異なる配列を認識する複数のニック形成酵素を使用してニックが形成され得る。ニック形成反応およびポリメラーゼ反応を、所定のニック形成酵素と独特の標識ヌクレオチドとの組み合わせを使用して行うことは好ましい。このようにして、各々の特定の配列に対応する独特の標識を用いて、組み込まれた標識は、互いから区別され得る。いくつかのニック形成酵素が使用される場合、それらは、ポリメラーゼ連鎖反応に介入させて連続して使用されるべきである。
「配列特異的ニック形成酵素」は、配列特異的様式にて核酸にニックを形成する酵素である。本明細書中で使用される「配列特異的」は、ニック形成酵素が、ヌクレオチドまたはその誘導体の特定の直線的配置を認識し、その配置内またはその配置の近位にある骨格にニックを形成することを意味する。一般に、配列特異的ニック形成酵素は、この酵素が認識する同じ配列内の骨格にニックを形成する。
核酸分子のニック形成は、ヌクレオチドの切除ありまたはなしで、骨格鎖の1つが切断されることを意味する。ニックは、所定の位置にて一方の骨格鎖にのみ影響を及ぼすが、その近位あたりのその核酸の他方の鎖にニックが存在し得る。他方で、核酸鎖の破壊とは、同じ位置での両方の骨格鎖の切断をいう。代表的な6塩基認識制限酵素は、DNA部位の両方の鎖にニックを形成し、その酵素に依存して、ニックは、制限酵素認識部位の中心あたりに対称的に配置される。結果は、解離の際に、2塩基、4塩基または6塩基オーバーハングが存在することである。
ニックの十分に高い密度において、二本鎖DNAは、単に1本の鎖に解離される。しかし、ニックの密度が十分低く、その結果、ニック間のヌクレオチド距離が、例えば、4塩基以上、好ましくは、10塩基以上(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24)、さらにより好ましくは、25塩基以上(例えば、25、30、35、40、50)である場合、ニック形成DNAは、二本鎖完全性を保持し得る。
本発明の方法に従って、ニックは、それらの位置が配列モチーフまたは部位に緊密に連結されるように、特異的に位置が定められ、配置される。ニックは、必ずしも配列内に存在する必要がなく、1つのニックに限られるべきではない。同じ鎖上の連続的なニックは、事実上ギャップである。ギャップは、ポリメラーゼについての進入部位として使用され得るが、いくつかの場合においてはニックが好ましい。
本発明は、配列特異的ニックを作製するためにいくつかの方法を想定する。これらの方法は、以下に記載される。第1のアプローチにおいて、エンドヌクレアーゼであるニック形成酵素が使用され得る。これらの酵素は、特定の配列を認識し、このような配列にてまたはこのような配列付近にて二重らせんの一方の鎖のみのホスホジエステル骨格を切断する。切断は、認識部位特異的である。ニックは、一貫して同じ1つの鎖上にある必要はない。むしろ、ときおり、二重らせんの一方の鎖に、そしてこの二重らせんの他方の鎖に他の場合にニックが作製され得る。ニックは、検出システムの分解能を阻止しないように、配列に対して十分近くに位置する必要がある。例えば、その検出システムが、1kb分解能を有する場合、ポリメラーゼについてのニックの進入点は、1kb分解能に影響を及ぼさないように、位置する必要がある。REBASE(Robertsら)酵素#3759 N.BstNBIは、GAGTCを認識し、その認識部位の3’側にある4塩基にニック形成する「ニック形成」酵素の一例である。本発明の方法において使用され得るいくつかの類似するニック形成酵素が存在する。
第2のアプローチとして、制限酵素が使用され得る。制限酵素は、特定の二本鎖DNA配列を認識し、二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼである。制限酵素は、認識配列内にて、またはその認識配列から離れた特定の分子距離で(II型)のいずれかで切断する。切断プロセスは、両方のDNA鎖に効率的にニックを形成する。ニックは、5’オーバーハングまたは3’オーバーハングを生じるように、直接向かい合い得るかまたは位置ずれされ得るかのいずれかである。一般に、位置ずれは、2塩基対、4塩基対または6塩基対である。長さが2塩基対、4塩基対、もしくは6塩基対、または20塩基対未満(いくつかの場合)である、ニック間に存在する塩基の間の水素結合は、DNA分子をインタクトに保持するには不十分であり得る。ニックが、十分に位置ずれされた場合(例えば、20塩基対を超える)、その末端は遊離ではなく、二本鎖分子の完全性が維持される。2塩基対、4塩基対、6塩基対であるか、または20塩基未満である反対の鎖にニックを作製する制限エンドヌクレアーゼが使用される場合、架橋剤がそれ自体、核酸分子の長さ全体にわたって無作為なニックを導入しなければ、エンドヌクレアーゼ反応の後に核酸分子を架橋することが好ましくあり得る。他の実施形態において、温度を低下させること、塩濃度を増大させること、または核酸分子を結合し、それによりこの核酸分子を安定化するタンパク質を添加することを含む他の方法において、二本鎖核酸を安定化する必要があり得る。
さらに、本発明のさらなる実施形態において、制限酵素は、配列特異的部位を認識および結合するが、2つのDNA鎖のうちの一方にのみニックを形成する能力を保持する条件下にて使用され得る。このような制限酵素(すなわち、制限エンドヌクレアーゼ)は、核酸分子が解離する問題なく、配列特異的ニックを作製するために使用され得る。
制限酵素は、主にまたは特異的に「ニック形成」活性であるエンドヌクレアーゼ活性をもたらすために化学的に、酵素的にまたは遺伝子的に改変され得る。試薬、化学物質、タンパク質、温度、圧力、金属イオン、改変因子(modifier)などは、切断反応を弱めるかまたは改変するために制限酵素反応系に添加され得、その結果、制限酵素は、二本鎖切断を生じるよりむしろ、一方の鎖のみにニックを形成する。あるいは、DNA基質は、直接、またはインターカレーターもしくは金属イオンのような薬剤、または反応条件(例えば、温度、イオン強度、圧力など)により改変されて、制限酵素によりニックのみが作製され得る。二本鎖DNA基質にインターカレートし、その三次構造を変化させ、従って、制限酵素切断の効率を変化させるイオン、化学物質および反応物が存在する。なお別の実施形態において、DNAテンプレートは、メチル化または他の化学反応を介して直接改変されて、制限酵素による切断の程度が制限され得る。制限酵素が、単に一方の鎖にニックを形成することにそのエンドヌクレアーゼ活性が制限されるように、薬剤または条件が設定され得る。制限エンドヌクレアーゼ反応条件の改変の例は、Taylor JWら NAR 13:8749−64,1985;ならびにKovacs B.J.,Gregory S.P.およびButterworth P.H.W. Gene 29:63−68 1984により報告されている。
1つの核酸分子の長さに沿った配列特異的ニック形成の生成に対する第3のアプローチは、DNAにニックを形成するために配列特異的認識を有する制限酵素または他のDNA改変酵素を操作することを包含する。組換えDNAについてのエンドヌクレアーゼの有用性は、それらの酵素活性(一般に、二本鎖切断事象)およびそれらの配列特異性の両方に起因する。本発明にすぐに適用可能なニック形成活性および配列特異性の両方を有する、天然に存在するエンドヌクレアーゼがある。しかし、酵素活性または配列特異性のうちのいずれかまたは両方が、そのタンパク質へと操作される場合に使用され得る多くのDNA改変タンパク質もまた存在する。この酵素活性は、好ましくは、一本の鎖にニックが形成される必要があるか、または両方の鎖の場合には、好ましくは、核酸分子の切断を防止するにかなりの水素結合が存在するようにニックが形成される必要がある。配列特異性は、置換合成生成タグが、DNAポリマーに沿って有用な位置(すなわち、頻度)にて配置されるようにされる必要がある。このことは、DNA認識部位の長さを伸長または短くすることを意味し得る。
切断酵素からニック形成酵素へと酵素を変化させるために改変された酵素の例は、EcoRV酵素である。多くのII型制限酵素は、1つのDNA結合部位および2つの触媒ユニットを形成する2つの同一サブユニット(認識配列内を対称的に切断する)のダイマーである。その触媒部位は、制限酵素が、その二本鎖DNA基質に、その特異的認識部位にて結合された場合にのみ活性である。EcoRVは、従来から、研究用の基本型の制限酵素であり、かなり機械論的かつ構造的研究の対象かつタンパク質操作の対象である(Stahl F.,W.Wende,A.JeltschおよびA.Pingoud PNA 93:6175−6180,1996)。Stahlらは、触媒部位を変異させてエンドヌクレアーゼ活性を1/2に減少させ、かつDNA結合ドメインを変異させて野生型のDNA結合活性を減少させた、変異型ヘテロダイマーを作製した。Stahlらは、高い親和性でEcoRV部位に結合するが、認識部位の一方の鎖にのみニックを形成する、触媒部位変異体かつDNA結合ドメイン変異体のヘテロダイマーを見いだした。類似のアプローチが、異なる配列を認識する他の制限エンドヌクレアーゼを操作するために採用され得る。
ホーミングエンドヌクレアーゼ(homing endonuclease)は、35塩基対以上の特定のDNA配列部位を認識し、認識部位内のDNA二本鎖破壊を触媒する酵素である。これらの酵素は、酵母ミトコンドリアイントロンを含む遺伝エレメントの形成および切り出しに関与する。ホーミングエンドヌクレアーゼのファミリーは、4つのサブファミリーに分けられ得、これらは、以下のモチーフにより特徴づけられる:(1)LAGLIDADG、(2)GIY−YIG、(3)H−N−Hおよび(4)His−Cys。ホーミングエンドヌクレアーゼは、ダイマー性またはモノマー性のいずれかであり得る。1つのこのような代表的モノマー性ホーミングエンドヌクレアーゼである、PI−SceIは、2つの異なる触媒サブユニットであるようである、2コピーのLAGLIDADGモチーフを有する。各サブユニットは、二本鎖基質のそれぞれトップ鎖およびボトム鎖の切断を特異的に触媒することが示された(Christ F.,S.Schoettler,W.Wende,S.Steuer,A.PingoudおよびV.Pingoud EMBO J.1999,18(24):69808−6916)。モノマー性ホーミングエンドヌクレアーゼPI−SceIは、そのDNA基質の2つの鎖の切断についての2つの触媒中心を有する(EMBO 18:6908−6916,1999)。この2つの触媒サブユニットは、独立して作用するようであり、このことは、この酵素が、切断酵素よりむしろ「ニック形成」酵素へ操作され得ることを示唆する。
すべてではないとしても、いくつかのエンドヌクレアーゼが関連する部位を認識するために類似の様式にて操作され得ることは明らかである。
核酸分子中に配列特異的ニックを誘導することに対する第4のアプローチは、合成制限酵素に関連する。ジンクフィンガーモチーフ、ホメオボックス結合ドメイン、lacリプレッサー、GAL、croなどのようなDNA結合タンパク質モチーフは、DNA切断ドメインと融合されて、配列特異的制限酵素および配列特異的ニック形成酵素が構築され得る。このようなキメラ制限酵素が作られ、記載されている。Yang−Gyun K.およびChandrasegaran S.(PNAS 91:883−887,1994)は、Drosophila UltrabithoraxホメオドメインをFokI制限酵素の切断ドメインに融合することを報告した。より関連性のあることには、キメラ制限酵素は、ジンクフィンガードメインをFokIの切断ドメインに融合することから作り得、それにより配列特異的制限酵素を作った。FokIの切断ドメインは、DNA分子の両方の鎖を切断するためにダイマー化を要し得る。一方のDNA鎖上のただ1つの特定のホスホジエステル結合を優先的に加水分解またはニック形成するように、切断ドメインを改変することが可能であるはずである。このことは、FokI切断ドメインが、相補的に変異したモノマーとダイマー化される場合に生じ得る(Smithら NAR 28:3361−3369 2000)。
配列特異的DNA結合ドメインはまた、化学的ヌクレアーゼ(例えば、1,10−フェナントロリン−銅に連結され得る(Pan C.Q.,Landgraf R.およびSigman D.S. DNA binding proteins as site specific nucleases Mol Microbiol 1994 12:335−342)。
核酸分子中に配列特異的ニックを導入するための別のアプローチは、ホスホジエステル切断反応を、配列特異的部位に方向付けるための、反応基および金属に連結されたオリゴヌクレオチドの使用に関する。Dervanらは、DNAの副溝において配列特異的に結合する、N−メチルピロール(Py)アミノ酸およびN−メチルイミダゾール(Im)アミノ酸から構成されるヘアピンポリアミドの開発を報告した(Mrksichら 1992 PNAS 89:7586−7590;Wade W.S.,Mrksich M.and Dervan P.B.1992 J.Am.Chem.Soc. 114:8784−8794;Trauger J.W.,Baird E.E.およびDervan P.B.1996 Nature 382:559−561)。対合規則は、芳香族酸の並行した結合を決定する。これらのポリアミドは、タンパク質ベースの活性ドメインまたは化学的活性ドメインおよび酵素ドメインに連結され得る。Mapp A.K.,A.Z.Ansari,M.PtashmeおよびP.B.Dervanによる最近の研究(PNAS 2000 97:3930−3935)は、転写活性化ドメイン(例えば、配列特異的ポリアミド結合剤に結合されたAH)が、生物学的に有効であることを示した。一本鎖DNAエンドヌクレアーゼまたはそれらの酵素ドメインは、配列特異的ポリアミドに同様に連結され得る。
配列特異的ニックを核酸分子へ導入することに対する第5のアプローチは、「R」ループ複合体を形成し、単一の選択されたDNA鎖をニック形成酵素、エンドヌクレアーゼまたは化学的ヌクレアーゼなどに曝すことにより、局所的に「変性した」二本鎖DNA中に選択的にロックするオリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、LNA、もしくはPNAまたはそれらのキメラ)の使用に関する(Chen C.H.,Landgraf R.,Walts A.D.,Chan L.,Schlonk P.M.,Terwilliger T.C.およびSigman D.S. Chem Biol 1998 5:283−292;Lowell C.,Bogenhagen D.およびClayton D.A. Anal Biochem 1978 91:521−531)。
核酸分子内に配列特異的ニックを導入するためのさらなる方法は、以下を含む:(1)配列特異的部位を認識し、そして二本鎖DNAの一本の鎖を切断するように設計され得る、酵素的オリゴヌクレオチド(例えば、リボザイム);(2)DNAを変性させ、そして配列選択的部位を切断、置換合成または標識に曝すための、物理的条件(例えば、温度、圧力、イオン強度および組成、変性、有機溶媒、無機化合物、遷移金属など)の使用;(3)ミスマッチを認識して除去する、ミスマッチ修復酵素;(4)ギャップ修復酵素;(5)DNA修復酵素;(6)操作されたヘリカーゼまたはトポイソメラーゼ。本発明は、配列特異的位置にてホスホジエステル結合にニック形成し得る任意のDNA配列特異的結合および改変タンパク質の使用を包含することを意図する。別の例としては、配列特異的かつDNAse(例えば、アクセス可能な部位にニック形成して、ポリメラーゼIのための独自の進入点を提供するミクロコッカルヌクレアーゼ)処理に感受性の、ヌクレオソームアセンブリの利用が挙げられる(Inamoto S.ら、JBC 266:10086−10092、1991)。
組換えもまた、配列特異的様式でニックを導入するために使用され得る。配列特異的組換え酵素の例としては、FLP(酵母由来)またはCreが挙げられ、これらは両方とも、非常に特異的な認識配列を認識する。Creの場合、この酵素は、lox部位と称される32塩基対の認識部位を認識する。lox部位は、DNA分子またはゲノム内の特定の位置に位置し得る。Cre酵素は、認識部位を認識し、そして一方の鎖にニックを導入するように操作され得る。次いで、このニックは、ポリメラーゼI進入のための進入部位となり得る。
トランスポザーゼもまた、別個の配列部位にニックを導入し、引き続いて標識するために使用され得る。トランスポザーゼは、トランスポゾンによってコードされる酵素であり、そしてゲノム中でトランスポゾンを酵素的に動き回らせることに関与する。トランスポゾンに特徴的な配列特異的DNA改変タンパク質は、置換合成反応に向けてポリメラーゼIに配列特異的なニックを導入するために使用され得る。
なお別の実施形態において、クロマチンが、DNAにニック形成するために、化学物質および他の改変因子を用いてインビボで改変され得る。インビボで、DNAは、クロマチンと大まかに称される構造に配置され、このクロマチン構造は、ニック形成を構造的に識別する機会を生む。クロマチン中のDNAは、酵素的改変または化学的改変に等しくアクセス可能ではない。従って、クロマチン構造は、無差別な因子(例えば、DNAse)または化学的薬剤を使用して、生物学的適切性を有し得る優先的なニック形成効果を生じる方法を提供する。生物学的に適切なニックは、標識化およびその後の標識の問い合わせのための、ポリメラーゼI進入点として使用され得る。
インサイチュニックトランスレーションもまた、配列特異的ニックを生成するために実施され得る。ゲノムDNAは、インビボで、DNAse、制限酵素、エンドヌクレアーゼおよび他のDNA改変酵素に対する差示的反応性を導く、クロマチンタンパク質、核タンパク質、転写装置などと複合体化する。この差示的感受性は、直線状分析のためにゲノムDNAを特徴付けるために使用され得る。ニックトランスレーションは、直線状DNA分析のためにこれらの部位を標識するために使用される(Tagarro I.、Gonzalez−Aguilera JJ、Fernandez−Peralta A.M.、de Stefano G.およびFerrucci L. Genome 1993 36:202−205;de la Torre J.、Sumner A.T.、Gosalvez J.およびStuppia L. Genome 1992 35:890−894)。
ポリメラーゼ酵素は、3’から5’の方向でホスホジエステル結合を合成する酵素である。いくつかの例において、この酵素はまた、5’から3’の方向でホスホジエステル骨格を加水分解し得る。本発明の実施形態において使用され得るポリメラーゼ酵素の例としては、Vent DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼI(クレノウフラグメント)、T7 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼなどが挙げられる。好ましい実施形態において、このポリメラーゼ酵素は、DNAポリメラーゼIである。いくつかの実施形態において、2つの酵素が使用され得、一方は3’から5’への合成活性を有し、そして他方は5’から3’への加水分解活性を有する。他の実施形態において、天然には一緒に存在しない2つのサブユニットまたはドメインが、単一の酵素のドメインとして操作または合成される。
DNAポリメラーゼIは、5’から3’の方向で、二本鎖DNAポリマーの一方の鎖を分解する能力を有する。DNAポリメラーゼIはまた、3’から5’の方向で、プライムされた一本鎖DNAを分解する能力を有する。核酸を分解する後者の能力は、しばしば、DNAポリメラーゼIの較正特性といわれる。DNAポリメラーゼIは、プライマーおよびテンプレートに結合したDNAを合成する特性を有する。DNAポリメラーゼIは、プライマーの3’末端のヌクレオチドの3’OH〜入ってくるデオキシリボヌクレオチドの5’リン酸との間のホスホジエステル結合によるデオキシリボヌクレオチド塩基の連結を触媒することによって、DNAを合成する。
DNAポリメラーゼIは、二本鎖DNAテンプレート上の置換合成反応を触媒する。このテンプレートは、DNAポリメラーゼIのために、合成のためのプライマーとして使用するための、DNA鎖の一方のホスホジエステル骨格中のニックを有する必要がある。DNAポリメラーゼIは、ニックに遭遇するまで、二重鎖DNAに沿って直線的に移動する。DNAポリメラーゼIのエキソヌクレアーゼ活性は、ニック形成された鎖を5’から3’の方向で連続的に加水分解して、塩基を効果的に除去し、一方で3’から5’の方向で、ホスホジエステル結合によってヌクレオチドを連結する。従って、DNA鎖中のニックは、DNAポリマーに沿ったポリメラーゼの移動を伴う。DNAポリメラーゼIが、標識されたヌクレオチドと共に提供される場合、連結修復プロセスにおいて、これらの標識されたヌクレオチドが組み込まれる。
理論的には、DNAポリメラーゼIは、核酸分子の全長に沿って進み続け得、それによって、核酸分子の長いストレッチを合成する。しかし、いくつかの場合には、ヌクレオチド基質を限定するか、標識された核酸基質の濃度を非標識ヌクレオチドで希釈するか、または鎖終結化合物を提供することによってかのいずれかによって、ヌクレオチド組み込みの長さを限定することが所望される。例えば、4種のヌクレオチドのうち1種の量が限定されたヌクレオチド混合物が使用され得る。次いで、一旦制限的なヌクレオチドが枯渇すると、鎖の終結が生じる。しかし、より具体的には、DNAポリメラーゼIは、ランダムに核酸分子から「外れる(fall off)」(すなわち、解離する)。DNAポリメラーゼIと核酸分子との解離の可能性を増大させるために、反応条件を変えることもまた可能である(例えば、塩濃度に変化を導入する)。
E.coli DNAポリメラーゼIと類似のエンドヌクレアーゼ特性およびポリメラーゼ特性を有する、原核生物および/または真核生物由来の他のポリメラーゼが、本発明の方法において使用され得る。さらに、本明細書中に提供される例のいくつかは、DNAポリメラーゼIに言及するが、5’から3’の方向でホスホジエステル結合を合成し、必要に応じて5’から3’の方向でホスホジエステル結合を加水分解する他のポリメラーゼ酵素(酵素の組み合わせを含む)も等しく適切であることが、理解されるべきである。
本発明の核酸分子は、配列特異的なニック形成酵素またはポリメラーゼ酵素に接触させられる場合、物理的接触がなされ得、そしてこれらの酵素が核酸分子に結合し得、いくつかの場合には、認識配列について分子を走査する程度まで、これらの酵素に曝される。
ポリメラーゼ反応において使用されるヌクレオチドは、好ましくは検出可能な標識で標識される。一般に、標識の検出は、この標識によるエネルギーの吸収または放射を含む。この標識は、特定の波長の光を放射および/または吸収する能力によって、直接的に検出され得る。直接検出の例は、特定の波長の光を吸収し、そしてより長い波長の光を放射する蛍光団の使用である。あるいは、この標識は、それ自体が特定の波長の光を放射または吸収し得る別の部分」を結合し、補強し、ある場合には切断する能力によって、間接的に検出され得る。間接的検出の例は、ある基質を可視的生成物に切断する、第一の酵素標識の使用である。
この標識は、化学物質、ペプチドまたは核酸の性質のものであり得るが、これらに限定されない。標識の他の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:放射性同位体(例えば、P32またはH)、化学発光物質、発色物質、発光マーカー(例えば、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、TRITC、ローダミン、テトラメチルローダミン、R−フィコエリトリン、Cy−3、Cy−5、Cy−7、Texas Red、Phar−Red、アロフィコシアニン(APC)など)、光学密度マーカーもしくは電子密度マーカー、ビオチン、アビジン、ジゴキシゲニン、エピトープタグ(例えば、FLAGエピトープまたはHAエピトープ)および酵素タグ(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、β−ガラクトシダーゼ)など。
標識として半導体ナノ結晶(例えば、量子ドット(すなわち、Qdot)(米国特許第6,207,392号に記載される))の使用もまた、本発明によって想定される。Qdotは、Quantum Dot Corporationから市販される。
標識は、ヌクレオチドに直接結合され得るか、あるいは改変ヌクレオチドに結合した二次ユニットまたは三次ユニットであり得る。ヌクレオチドへの標識の結合は、多数の公知の共有結合プロセスおよび非共有結合プロセスによって実施され得る。これらの結合は、当該分野で慣用的である。種々の標識を種々の薬剤に連結するために使用され得る一般的な結合システムは、van Gijlswijkら(Expert Rev Mol Diagn 2001、1(1):81−91)によって記載される。
核酸分子の分析は、標識からのシグナルを検出する工程、およびこれらのシグナルの位置を決定する工程を包含する。いくつかの例において、このようにして得られた情報を、分析された他の核酸由来の情報またはゲノムマップと比較することを容易にする標準的なマーカーを用いて、この核酸分子をさらに標識することが所望され得る。例えば、標準的なマーカーは、骨格標識、ヌクレオチドの特定の配列(独自であってもなくてもよい)に結合する標識、または核酸分子中の特定の位置(例えば、複製起点、転写プロモーター、セントロメアなど)に結合する標識であり得る。
骨格標識の1つのサブセットは、配列非依存的な様式で核酸に結合する、核酸染色液である。例としては、インターカレーティング色素(例えば、フェナントリジン(phenanthridine)およびアクリジン(例えば、エチジウムブロマイド、ヨウ化プロピジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー−1およびエチジウムホモダイマー−2、エチジウムモノアジドおよびACMA);小溝結合薬剤(例えば、インドールおよびイミダゾール)(例えば、Hoechst 33258、Hoechst 33342、Hoechst 34580およびDAPI);ならびに雑多な核酸染色液(例えば、アクリジンオレンジ(これもまた、インターカレートし得る)、7−AAD、アクチノマイシンD、LDS751およびヒドロキシスチルバミジンが挙げられる。上記核酸染色液は全て、Molecular Probes,Inc.のような業者から市販される。
核酸染色液のなお他の例としては、Molecular Probes製の以下の色素が挙げられる:シアニン色素(例えば、SYTOX Bleu、SYTOX Green、SYTOX Orange、POPO−1、POPO−3、YOYO−1、YOYO−3、TOTO−1、TOTO−3、JOJO−1、LOLO−1、BOBO−1、BOBO−3、PO−PRO−1、PO−PRO−3、BO−PRO−1、BO−PRO−3、TO−PRO−1、TO−PRO−3、TO−PRO−5、JO−PRO−1、LO−PRO−1、YO−PRO−1、YO−PRO−3、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBR Gold、SYBR Green I、SYBR Green II、SYBR DX、SYTO−40、SYTO−41、SYTO−42、SYTO−43、SYTO−44、SYTO−45(青)、SYTO−13、SYTO−16、SYTO−24、SYTO−21、SYTO−23、SYTO−12、SYTO−11、SYTO−20、SYTO−22、SYTO−15、SYTO−14、SYTO−25(緑)、SYTO−81、SYTO−80、SYTO−82、SYTO−83、SYTO−84、SYTO−85(オレンジ)、SYTO−64、SYTO−17、SYTO−59、SYTO−61、SYTO−62、SYTO−60、SYTO−63(赤)。
直線状ポリマー分析システムは、使用された標識の型に応じて選択される検出システムを備える。空間的様式または時間的様式で検出される標識は、シグナルを発する。1つの適切なシステムの例として、Gene EngineTMシステムは、単一の核酸分子が、直線的な様式で相互作用ステーションを通過することを可能にする。これらのヌクレオチドは、検出可能な標識に結合体化されているか否かを決定するために、個々に問い合わされる。この問い合わせは、核酸分子をエネルギー源(例えば、固定波長の光学照射)に曝す工程を包含する。エネルギー源への曝露に応じて、ヌクレオチド上の検出可能な標識は、特徴的な検出可能シグナルを放射する。直線状ポリマー分析システムはまた、光学マッピングシステム(例えば、DNAコーミングシステム)であり得る。
シグナル放射のための機構は、標識の型に依存する。検出システムは、以下からなる検出システムの群から選択され得るが、これらに限定されない:蛍光検出システム、電気的検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近距離場検出システム、全反射(TIR)システムおよび電磁気的検出システム。
本発明は、核酸分子の長さに沿った、標識の任意の組み合わせの使用を包含する。このことは、核酸分子がその長さに沿って(例えば、蛍光団、発色団、核磁気共鳴標識および半導体ナノ結晶で)標識され得、そして本明細書中に記載されるシステムによって分析され得ることを意味する。直線状ポリマー分析システムは、多数の異なる「シグナル様式」由来のシグナルを検出する能力を有する。1つの重要な実施形態において、このシステムは、蛍光標識によって規定された配列の位置を決定するために、レーザ誘導性の蛍光検出を使用する。
配列特異的情報は、単一の分子上に存在するか、または分子集団上に存在するかのいずれかであり得る。分子上の全ての配列特異的部位を標識する必要はない。均一な分子集団が存在する場合、集団のメンバーを部分的に標識し、次いで特定の配列についての完全なマップを作成するためにデータを再構築することが可能である。この方法により、配列特異的データの「入れ子にされた」セットを用いて、単一のDNA分子データの集団が効果的に作製される。しかし、これには、特定の酵素の認識配列までの組み込まれた標識ヌクレオチドの距離を知る必要がある。
いくつかの実施形態において、核酸分子を架橋することが所望され得る。しかし、いくつかの架橋剤は、核酸分子中に配列非特異的なニックを生成し得る。従って、核酸分子中に任意のさらなるニックを導入することなく、核酸分子を架橋する架橋剤を使用することが好ましくあり得る。他の例において、本発明の方法を使用して核酸分子を標識した後、核酸分子の二本鎖構成を維持するため、または核酸分子を固体支持体に架橋するために、架橋剤を使用することが好ましくあり得る。この後者の例において、架橋剤自体は、核酸分子中にニックを作製し得るが、次いで核酸分子がポリメラーゼに曝露されない限り、このようなニックは標識されない。
以下は、本発明の方法を使用して核酸分子からどのような配列情報が得られ得るかについての、短い説明である。生物学的サンプル(例えば、組織サンプルまたは体液またはエキソビボ組織培養物)から回収および単離された核酸分子は、最初に、本明細書中に記載されるような配列特異的ニック形成酵素である酵素に曝露される。この曝露は、好ましくは、酵素によって認識される認識部位の大多数にニックが形成されるまで、継続される(いくつかの場合、この最初の工程を実施する必要はないかもしれないが、得られた情報は、一般に、既知の配列に対して特異的ではなく、むしろ回収の時点で核酸分子中に既に存在するニック形成パターンに関連する)。ニック形成後、この核酸分子は、合成活性および加水分解活性の両方を有するポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼI)およびポリメラーゼ合成反応のための基質として作用する標識ヌクレオチドに曝露される。好ましくは、配列特異的ニック形成酵素と標識ヌクレオチドとの組み合わせは、核酸分子を特定の標識ヌクレオチドで標識することが、配列特異的ニック形成酵素によってニックが形成された配列の存在を示すように、使用される。いくつかの実施形態において、そして所定の酵素の認識部位の頻度に依存して、ニック形成および標識の1つのサイクルだけを使用した後に、核酸分子を(例えば、Gene EngineTMを使用して)分析することが十分であり得る。他の実施形態において、ニック形成および標識の複数のサイクルを実施することが所望され得るが、但し、各サイクルは、特定のニック形成酵素および独自に標識されたヌクレオチドを使用する。最も所望される結果は、各々の組み込まれた標識が、特定の配列の位置を示すことである。いくつかの実施形態において、可能な限り多くのニック形成酵素が、介在する標識反応と連続的な様式で使用される。この結果は、多数の異なる標識(各々が、特定の既知の認識配列に対応する)で核酸分子が標識されることである。核酸の両方の鎖が、この技術を使用して標識され得、そして両方の鎖が、一緒にかまたは個々に分析され得る。
このように標識された各々の核酸分子は、ニック形成認識部位の独自のパターンを有する。この独自のパターンは、核酸分子の「フィンガープリント」と類似し得る。より多数の異なるニック形成酵素(各々が、別個の認識配列を有する)が使用されるにつれて、より多くの配列情報が得られる。
本発明の方法を使用して誘導された配列情報は、ヒトゲノムプロジェクトのような供給源から入手可能なゲノム配列情報と比較され得る。本発明の方法を使用して導入されたニック形成パターンはまた、物理的ゲノムマップ上に重ね合わされ得る。これらのマップ(配列マップ、モチーフマップおよび構造マップを含む)は、公の供給源(例えば、ヒトゲノムプロジェクトまたは他の生物のゲノム配列決定プロジェクト)から入手可能である。配列情報もしくはニック形成パターンのいずれかまたは両方の重ね合わせは、このような情報を見定めるように、従って、分析されているゲノム領域を同定するように、補助する。従って、ゲノムの物理的マップは、本発明の方法を使用して決定されたニック形成パターンを見定めるための参照として使用される。さらに、これは、ニックが形成された遺伝子座を同定するように補助する。本発明の全ての局面は、ニック形成パターンを、特定の種についてのゲノムの物理的マップまたはその一部と比較する工程を包含し得る。
本発明の1つの適用は、被験体が核酸分子損傷(例えば、一本鎖の断裂(すなわち、ニック)を発生する性向を決定すること、あるいは被験体が保持するDNA損傷のレベルを決定すること、従って、このような損傷を修復する能力を決定することである。これらの例において、これらの方法は、異常なニック形成に関連する障害を有するか、またはこのような障害を発症する危険性がある被験体を同定するために使用され得る。異常なニック形成は、正常な細胞および/もしくは被験体由来の正常な核酸分子中のニック形成のレベルまたはパターンとは異なるレベルまたはパターンとして特徴付けられ得る。好ましくは、正常なコントロールは、試験被験体において分析されている核酸と同じ核酸由来である(例えば、試験被験体中の第1染色体は、正常コントロール中の第1染色体と比較される)。いくつかの実施形態において、異常なニック形成は、正常を上回るニック形成レベルの増加である。これは、DNA修復の欠損と関連し得る。DNA修復欠損障害(例えば、ミスマッチ修復障害または染色体不安定障害)の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:脆弱X症候群、ファンコーニ貧血(FA)、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌症候群(HNPCC)、毛細血管拡張性運動失調、色素性乾皮症、Nijmegen Breakage症候群、コケーン症候群、裂毛症、ブルーム症候群、ヴェルナー症候群およびロートムント−トムソン症候群。他の実施形態において、異常なニック形成は、正常と比較してニック形成レベルが増加している。このことは、通常核酸にニックを形成すると考えられる酵素(例えば、免疫グロブリン遺伝子の再編成に関与するリコンビナーゼ)における欠損に関連し得る。これらの後者の例において、Ig遺伝子座に対応する核酸分子は、通常、再編成およびIgの多様性を容易にするために、ニック形成されている。これらの領域におけるニック形成の非存在または減少は、リコンビナーゼの欠如と関連し得え、これは、次に、免疫系の異常をシグナル伝達し得る。
DNA損傷は、本発明のニック標識方法を使用して決定され得る。これらの局面において、核酸分子内のニックは、配列特異的である必要はない。むしろ、この方法の目的は、新たに回収され、そして単離された核酸分子中のこのようなニックのレベル、および潜在的にはその位置を決定することである。ニックの位置を同定することにより、DNA損傷がランダムに生じているか、非ランダムに生じているかに関する情報が得られる。さらに、損傷された領域は、この領域に含まれる任意のコード配列を特徴付けるために、単離および分析され得る。核酸(例えば、DNA)中にニックを導入することが公知の因子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:電離放射線、紫外線照射、DNAアルキル化剤、過酸化水素、ブレオマイシン、エチルメタンスルホン酸、4−ニトロキノリン−N−オキシド、エトポシド、マイトマイシンC、反応性酸素種、および種々の他の公知のDNA損傷剤。本発明は、公知のニック形成因子(例えば、本明細書中に記載される因子)ならびに核酸にニックを形成する推定ニック形成因子および未知の因子を用いる、ニックが形成されているかまたはニックが形成されることが疑われる核酸の分析を包含することを意図する。
被験体は、ヒトまたは非ヒトであり得る。好ましい実施形態において、この被験体は、ヒトである。因子のDNA損傷能力またはDNA修復能力の試験に特に関連する他の実施形態において、被験体は、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、サル、魚など)である。本発明に適切な他の被験体としては、家庭の動物(例えば、イヌ、ネコ、ハムスターなど)、農業的家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ニワトリなど)、動物園の動物(例えば、シマウマ、ライオン、キリン、クマなど)および養殖種(例えば、魚(finfish)および貝(shellfish))が挙げられる。
本発明の方法は、化合物がDNA損傷能を有するか否かを決定するために使用され得る。1つの実施形態において、試験される化合物は、推定DNA損傷剤であり、そして治療処置において細胞傷害性薬剤として使用され得る。別の実施形態において、試験される化合物は、好ましくは、DNA損傷を誘導せず、そしてこの方法は、このような影響を有する化合物を排除するために、ネガティブスクリーニングとして使用される。なお他の実施形態において、この化合物は、DNA損傷修復活性を有し得る化合物であり、そしてこのスクリーニング方法は、ゲノムの特定の領域におけるニック形成の総レベルの減少またはニック形成の減少に焦点を当てる。
実験系において、機能的アッセイを用いて、(本発明の方法を使用して同定されるような)DNA損傷を較正することもまた可能である。例として、化合物は、実験系(例えば、組織培養物または動物モデル)中に導入され得、そしてこの化合物への曝露後、本発明の方法を使用して、核酸を回収し、そして分析する。同時に、この化合物への曝露に関連する任意の機能的欠損を検出するために、機能的アッセイを実施する。このように同定された機能的欠損は、次いで、単離されそして分析された核酸分子中に観察されるDNA損傷に対して、較正され得る。より具体的には、核酸分子の損傷した領域は、分析される特定の機能に関与し得、次いでこの特定の領域のさらなる分析が、当然となる。
本明細書中に記載される方法の別の適用は、治療処置の効力の評価である。重要な実施形態において、この治療処置は、抗癌剤の投与である。他の実施形態において、この治療処置は、DNA損傷剤である。DNA損傷性の抗癌剤としては、以下の因子が挙げられる:例えば、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、エトポシド、ランプトテシン(ramptothecin)、トポテカン、テニポシド、ミトザントロン)、抗微小管剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン)、抗代謝剤(例えば、シタラビン、メトトレキサート、ヒドロキシウレア、5−フルオロウラシル、フルオロウリジン(floxuridine)、6−チオグアニン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、ペントスタチン、クロロデオキシアデノシン)、DNAアルキル化剤(例えば、シスプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、チオテパ、カルムスチン、ロムスチン、カルボプラチン、ダカルバジン、プロカルバジン)、DNA鎖破壊誘導剤(例えば、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC)および放射線療法。他の実施形態において、この治療処置は、DNA修復欠損について補償的であることが意図され、従って、その効力は、全体としてのゲノムまたはゲノムの選択された領域における、ニック形成の総レベルの減少によって示され得る。
本発明は、特定の障害(例えば、癌)を有すると診断された被験体またはこのような障害を発症する危険性のある被験体のいずれかから、サンプルを収集し得る方法を提供する。このサンプルは、組織であっても、細胞集団であっても、体液であってもよく、このサンプルは、通常、生検によって被験体から獲得される。本発明の方法に従って、サンプル由来の核酸分子を収集し、単離しそして分析して、それらのニック形成パターンを決定する。1つか、それらの1つより多くか、またはそれら全ての核酸分子の「処置前」ニック形成パターンを、そのように決定し得る。次いで、被験体を、治療処置を用いて処置し、そのような処置の後、別の生物学的サンプルを、この被験体から収集する。核酸分子を、「処置後」サンプルから収集および単離し、そして分析して、それらのニック形成パターンを決定する。好ましくは、それらのサンプルを、同じ組織、身体領域、または体液から収集する。例えば、被験体が腫瘍を有する場合、処置前サンプルおよび処置後サンプルの両方が、この腫瘍由来である。一般には、サンプルを、障害に罹患していると考えられる細胞、腫瘍または体液から採取する。しかし、他の場合において、非疾患細胞または非疾患組織に対する治療処置の効果を調査することが望ましくあり得る。例えば、正常細胞または正常組織をインタクトな状態のままで保ちつつ、疾患細胞または疾患組織をより特異的に標的とする処置を同定するために、特定の治療処置の特異性を決定することが、望ましくあり得る。
上記の局面のいくつかにおいて、ニック形成パターンを、コントロール(一般には、正常細胞の形態、正常組織の形態、正常な被験体の形態、または上記のうちのいずれかから作成したデータ)のニック形成パターンと比較することが、好ましい。例えば、集団を使用して、被験体が分類される特定の群についてのベースライン範囲を得る場合、正常レベルはまた、一定範囲であり得、正常値は、選択される特定の集団に依存し得る。好ましくは、正常レベルは、ニック形成媒介性障害の病歴をこれまで有さない、明らかに健康な被験体のレベルである。より好ましくは、正常レベルは、試験被験体についてサンプリングされた組織に対応する、正常な被験体の組織におけるレベルである。例として、いくつかの場合において、黒色腫斑を、周囲の正常な皮膚から識別され得る程度まで、十分に線引きする。この線引きは、疾患組織の選択的な除去を容易にし、かつこの線引きを本発明において使用して、所定の被験体から、疑わしい疾患組織および正常な組織の両方を収集し得る。次いで、個体が分類されるカテゴリーを考慮して、このような正常レベルまたは正常パターンを、予め選択した値またはパターンとして設定し得る。適切な範囲およびカテゴリーは、慣習的な実験を越えない実験を行って、当業者によって選択され得る。この範囲内の平均数または予め選択した別の数を、予め選択した正常値として設定し得る。
重要なことに、ニック形成パターンをまた、核酸分子におけるニックの位置に関して比較し得る。被験体由来の核酸分子または病変していることが既知の細胞由来の核酸分子のニック形成パターンと、コントロールまたは正常な被験体または細胞由来の核酸分子との間の差異は、特定の障害において変異されている遺伝子座の同定を導き得る。
(参考文献)
Figure 2005517382

Claims (59)

  1. 核酸分子を分析するための方法であって、該方法は、以下:
    核酸分子を配列特異的ニック形成酵素に曝す工程;
    該配列特異的ニック形成酵素が、ニックを該核酸分子に導入することを可能にする工程;
    該核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝す工程;
    該ポリメラーゼが、標識ヌクレオチドを該核酸分子に取り込ませることを可能にする工程;ならびに、
    該核酸分子に取り込まれた該標識ヌクレオチドからのシグナルを検出する工程、
    を包含する、方法。
  2. 前記シグナルが、直線状ポリマー分析システムを使用して検出される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記直線状ポリマー分析システムが、単一分子検出システムである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記直線状ポリマー分析システムが、Gene EngineTMシステム、光学マッピングシステム、およびDNAコーミングシステムからなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
  5. 前記核酸分子が、ゲノムDNAである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記核酸が、非インビトロ増幅核酸分子である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記核酸分子が、単一核酸分子である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記核酸分子が、該核酸分子に取り込まれた前記標識ヌクレオチドからのシグナルを生じるようにステーションに曝される、請求項1に記載の方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、前記標識ヌクレオチドは、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、ビオチン分子、アビジン分子、電荷伝達分子、核磁気共鳴分子、半導体ナノ結晶、電磁性分子、導電性粒子、リガンド、マイクロビーズ、発色基質、親和性分子、Qdot、タンパク質、ペプチド、核酸、糖質、抗体、抗体フラグメント、抗原、ハプテン、および脂質からなる群より選択される標識を含む、方法。
  10. 請求項1に記載の方法であって、前記検出システムは、蛍光検出システム、電気的検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近距離場検出システム、全反射(TIR)システム、および電磁気的検出システムからなる群より選択される、方法。
  11. 前記核酸分子を骨格標識で標識する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  12. 前記ポリメラーゼ酵素が、DNAポリメラーゼIである、請求項1に記載の方法。
  13. 請求項1に記載の方法であって、前記配列特異的ニック形成酵素は、制限エンドヌクレアーゼ、改変された制限エンドヌクレアーゼ、組換え酵素、リコンビナーゼ、トランスポザーゼ、操作されたタンパク質キメラ、ミスマッチ修復酵素を含むDNA修復酵素、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、DNAse、改変されたDNAse、ホーミングエンドヌクレアーゼ、および合成制限酵素からなる群より選択される、方法。
  14. 核酸分子を分析するための方法であって、該方法は、以下:
    被験体由来の生物学的サンプルにおいて核酸分子のニック形成パターンを検出する工程;
    該核酸分子のニック形成パターンをコントロールと比較する工程、
    を包含する、方法。
  15. コントロールと比較した場合の、前記核酸分子の前記ニック形成パターンにおける差異を決定する工程をさらに包含する、請求項14に記載の方法。
  16. 請求項15に記載の方法であって、前記コントロールと比較した場合の、前記核酸分子のニック形成パターンにおける差異が、核酸分子の異常なニック形成によって特徴付けられる障害を有する被験体またはその障害を発症する危険性のある被験体を同定する、方法。
  17. 前記被験体が、ヒトである、請求項16に記載の方法。
  18. 前記核酸分子が、ゲノムDNAである、請求項14に記載の方法。
  19. 前記被験体が、DNA損傷剤に曝されている、請求項16に記載の方法。
  20. 前記コントロールが、正常細胞である、請求項14に記載の方法。
  21. 前記コントロールが、正常細胞からのデータセットである、請求項14に記載の方法。
  22. 前記ニック形成パターンにおける差異が、全ニック形成レベルの上昇である、請求項16に記載の方法。
  23. 前記ニック形成パターンにおける差異が、全ニック形成レベルの低下である、請求項16に記載の方法。
  24. 前記ニック形成パターンにおける差異が、ニック形成の位置における差異である、請求項16に記載の方法。
  25. 前記障害が、癌である、請求項16に記載の方法。
  26. 前記癌が、乳癌である、請求項25に記載の方法。
  27. 前記障害が、DNA修復欠損障害である、請求項16に記載の方法。
  28. 前記核酸分子が非インビトロ増幅核酸分子である、請求項14に記載の方法。
  29. 前記核酸分子がインビボでニック形成される、請求項14に記載の方法。
  30. 請求項29に記載の方法であって、前記ニック形成パターンは、以下:
    前記核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝すこと;
    該ポリメラーゼ酵素が、標識ヌクレオチドを該核酸分子に取り込ませることを可能にすること;ならびに、
    該核酸分子に取り込まれた該標識ヌクレオチドからのシグナルを検出すること、
    によって決定される、方法。
  31. 前記ポリメラーゼ酵素が、DNAポリメラーゼIである、請求項30に記載の方法。
  32. 核酸分子を損傷する能力について化合物をスクリーニングするための方法であって、該方法は、以下:
    該核酸分子を化合物に曝す前および該核酸分子を化合物に曝した後に、該核酸分子におけるニック形成パターンを決定する工程;ならびに、
    該核酸分子を該化合物に曝す前および該核酸分子を該化合物に曝した後の、該ニック形成パターンを比較する工程、
    を包含し、ここで、該ニック形成パターンは、以下:
    該核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝すこと;
    該ポリメラーゼ酵素が、標識ヌクレオチドを該核酸分子に取り込ませることを可能にすること;ならびに、
    該核酸分子に取り込まれた該標識ヌクレオチドからのシグナルを検出すること、
    によって決定される、方法。
  33. 治療処置の効力を評価するための方法であって、該方法は、以下:
    該治療処置の前および治療処置の後に、被験体由来の生物学的サンプルからの核酸分子のニック形成パターンを決定する工程;ならびに、
    該治療処置の前のニック形成パターンを該治療処置の後のニック形成パターンと比較する工程、
    を包含し、ここで、
    該治療処置の結果としての該ニック形成パターンにおける差異が、該治療処置の効力の指標である、方法。
  34. 前記ニック形成パターンにおける差異が、全核酸ニック形成レベルの上昇である、請求項33に記載の方法。
  35. 前記ニック形成パターンにおける差異が、全核酸ニック形成レベルの低下である、請求項33に記載の方法。
  36. 前記治療処置が、抗癌剤である、請求項33に記載の方法。
  37. 前記抗癌剤が、DNA損傷剤である、請求項36に記載の方法。
  38. 請求項33に記載の方法であって、前記ニック形成パターンは、以下:
    前記核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝すこと;
    該ポリメラーゼ酵素が、標識ヌクレオチドを該核酸分子に取り込ませることを可能にすること;ならびに、
    該核酸分子に取り込まれた該標識ヌクレオチドからのシグナルを検出すること、
    によって決定される、方法。
  39. 核酸分子を光学的に分析するためのシステムであって、該システムは、以下:
    既知の波長の光学放射線を放射するための、光源;
    光路において該光学放射線を受容するため、かつ該光学放射線に曝されて、検出可能なシグナルを発生する該核酸分子を受容する、相互作用ステーション;
    該検出可能なシグナルの少なくとも2つの別々の波長バンドを作製するための、該光路中にある二色性反射器;
    該核酸分子と該光学放射線との相互作用から生じるシグナルを含む放射線を検出するように構成された、光学検出器;ならびに、
    該シグナルを含む該検出された放射線に基づいて該核酸分子を分析するように構成および配置された、プロセッサ、
    を備え、ここで、
    該核酸分子は、ニックトランスレーションを使用して標識される、システム。
  40. 請求項39に記載のシステムであって、前記核酸分子は、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、ビオチン分子、アビジン分子、電荷伝達分子、核磁気共鳴分子、半導体ナノ結晶、電磁性分子、導電性粒子、タンパク質、ペプチド、抗体、抗原、抗体フラグメント、ハプテン、リガンド、Qdotおよびマイクロビーズからなる群より選択される標識で標識される、システム。
  41. 前記核酸分子が、非インビトロ増幅核酸分子である、請求項39に記載の方法。
  42. 前記核酸分子が、ゲノムDNAである、請求項39に記載の方法。
  43. 前記相互作用ステーションがスリットを備え、該スリットは、1nm〜500nmの範囲のスリット幅を有し、かつ該スリットは、局在化した放射線スポットを作製する、請求項39に記載のシステム。
  44. 前記スリット幅が、10nm〜100nmの範囲である、請求項43に記載のシステム。
  45. 請求項43に記載のシステムであって、前記局在化した放射線スポットを作製するように、前記スリットと整列したマイクロチャネルをさらに備え、該マイクロチャネルは、該局在化した放射線スポットを通るポリマー単位を受容しかつ該ポリマー単位を前進させるように構成されている、システム。
  46. 請求項45に記載のシステムであって、偏向器をさらに備え、前記光源は、レーザを含み、該レーザは、放射線ビームを放射するように構成され、かつ該偏向器は、前記スリットに到達する前に該ビームを偏向させるように配置される、システム。
  47. 前記偏向器が、前記スリットの幅と平行な前記ビームを偏向させるように配置される、請求項46に記載のシステム。
  48. 請求項39に記載の方法であって、前記核酸分子は、ニックトランスレーションを使用して標識され、該ニックトランスレーションは、以下:
    該核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝す工程;ならびに、
    該ポリメラーゼ酵素が、標識ヌクレオチドを該核酸分子に導入することを可能にする工程、
    を包含する、方法。
  49. 請求項48に記載の方法であって、該方法は、以下:
    前記核酸分子を配列特異的ニック形成酵素に曝す工程;ならびに、
    該核酸分子を前記ポリメラーゼ酵素に曝す工程の前に、該配列特異的ニック形成酵素が、ニックを該核酸分子に導入することを可能にする工程、
    を包含する、方法。
  50. 請求項48に記載の方法であって、前記標識ヌクレオチドは、蛍光検出システム、電気的検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近距離場検出システム、全反射(TIR)システム、および電磁気的検出システムからなる群より選択される検出システムを使用して検出される、方法。
  51. 核酸分子を分析するための方法であって、該方法は、以下:
    既知の波長の光学放射線を発生させて、局在化した放射線スポットを作製する工程;
    標識核酸分子をマイクロチャネルに通過させる工程;
    該標識核酸分子を、該局在化した放射線スポットにて照射する工程;
    該局在化した放射線スポットにおける該標識核酸分子と該光学放射線との相互作用から生じる放射線を連続的に検出する工程;ならびに、
    該検出された放射線に基づいて該標識核酸分子を分析する工程、
    を包含し、ここで、該核酸分子は、ニックトランスレーションを使用して標識される、方法。
  52. 電界を使用して、前記核酸分子を前記マイクロチャネルに通過させる工程をさらに包含する、請求項51に記載の方法。
  53. 前記検出する工程は、前記核酸分子が前記マイクロチャネルを通過する間の時間にわたってシグナルを収集する工程を包含する、請求項51に記載の方法。
  54. 請求項50に記載の方法であって、前記核酸分子は、ニックトランスレーションアプローチを使用して標識され、該アプローチは、以下:
    該核酸分子をポリメラーゼ酵素および標識ヌクレオチドに曝す工程;ならびに、
    該ポリメラーゼ酵素が、標識ヌクレオチドを該核酸分子に取り込ませることを可能にする工程、
    を包含する、方法。
  55. 請求項54に記載の方法であって、該方法は、さらに以下:
    前記核酸分子を配列特異的ニック形成酵素に曝す工程;および、
    該核酸分子を前記ポリメラーゼ酵素に曝す工程の前に、該配列特異的ニック形成酵素が、ニックを該核酸分子に導入することを可能にする工程、
    を包含する、方法。
  56. 請求項54に記載の方法であって、前記標識ヌクレオチドは、蛍光検出システム、電気的検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近距離場検出システム、全反射(TIR)システム、および電磁気的検出システムからなる群より選択される検出システムを使用して検出される、方法。
  57. 請求項54に記載の方法であって、前記標識ヌクレオチドは、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、ビオチン分子、アビジン分子、Qdot、電荷伝達分子、核磁気共鳴分子、半導体ナノ結晶、電磁性分子、タンパク質、ペプチド、抗体、抗体フラグメント、抗原、ハプテン、リガンドおよびマイクロビーズからなる群より選択される標識に結合体化される、方法。
  58. 前記核酸分子が、インビボで増幅された核酸分子ではない、請求項51に記載の方法。
  59. 前記核酸分子が、ゲノムDNAである、請求項51に記載の方法。
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