JP2005504275A - 高分解能線形解析用のポリマーの差示的タグ付け - Google Patents
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Abstract
本発明は、特に、ポリマー(例えば、生物学的ポリマー)の分析に適用されるようなシグナル検出の改善された空間分解能のための方法およびシステムを提供する。これらの方法およびシステムは、分解能を増加するために示差的にタグ化することを含む。1つの実施形態において、本発明の方法は、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーを用いて該ポリマーを標識する工程を包含する。1つの実施形態において、ポリマーを標識する工程において用いられる第一の単位特異的マーカーは、第二の単位特異的マーカーと異なる。
Description
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2001年9月18日出願の米国仮特許出願「DIFFERENTIAL TAGGING OF POLYMERS FOR HIGH RESOLUTION LINER ANALYSIS」(登録番号60/322,981)(この内容は、その全体が本明細書中で参考として援用される)に優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、生体ポリマーのようなポリマーの配列情報の線形分析に関し、そしてシグナル検出システムの改良された空間的高分解能を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ポリマーの配列分析には、数多くの実際的な適用がある。最近の大きな関心事は、ヒトゲノムを含む種々の生物のゲノムを配列決定するための能力である。特定の配列は、種々の型のプローブ、操作されたタンパク質、および合成化合物のような配列特異的なタグ付け方法の多くで認識され得る。これらの配列特異的タグ付けアプローチのいずれかにおいて、より高い分解能を達成し、それによってできる限り多くのポリマーをマッピングするために、隣接するタグを分離する必要が常に存在する。
【0004】
DNAの線形分析は、固定されたDNA分子の分析、移動するDNA分子の分析、およびDNA鎖の長さに沿って走査し得る、分子モーターまたはタンパク質のようなリーダーを使用するDNA分子の分析によって達成され得る。これらのアプローチは、ポリマー上の配列特異的タグから情報を獲得するために、多くのシグナルおよび検出システムを利用する。例えば、蛍光、原子間力顕微鏡(AFM)、走査トンネル顕微鏡(STM)、ならびに他の電気的方法および電磁気的方法が、シグナルを捕捉し、それによってポリマーの配列情報を「読み取る(reading)」ために適切である。これらの方法の全ては、これらの空間的分解能によって特徴付けられそして制限され得る。空間的分解能は、互いを分離し得、そしてなお別の、分離した個々のシグナルとして同時に検出され得る、2つの隣接するプローブ分子(例えば、配列特異的タグ)の最短距離を規定する。
【0005】
蛍光検出は、しばしば画像処理によって実施される。蛍光検出システムの光学分解能は、複数のプローブが区別され得ている、プローブ間の最小距離を規定する。この距離は、回折によって決定される。共焦点顕微鏡システムにおいて、サンプルは照射され画面のピンホールを通して見られる。このピンホールサイズは、ピンホールの独特のイルミネーション下での方位分解能を決定する。共焦点顕微鏡システムは、その顕微鏡の画面における検出スポットを通して、標的分子(例えば、DNAまたはRNA)を移動させるフローシステムと組み合わせて使用され得る。標的分子が動きの方向に広げられ、そして検出スポットを通して一つだけ動かされる場合、結合された蛍光的に標識されたプローブは、検出スポットに入るにつれ、差示的に検出され得る。標的ポリマーの速度が既知である場合、検出されるプローブ間の距離は、配列シグナル間の時間から決定され得る。先行技術システムに従って、検出スポットより大きいサイズによって空間的に分離されるプローブは、互いに区別され得る。
【0006】
ポリマー分析アプローチから捕捉されるデータ量を増加させるために、検出システムの分解能を増加させる必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、配列特異的プローブの差示的タグ付けが、配列特異的プローブの位置を、以前に達成することができた空間的分解能よりも高い空間的分解能によって検出するのを可能にするという発見に一部基づく。本発明は、1度の分析において捕捉され得るデータ量を増加させることによって、ポリマー配列分析の効率を増加させる。ポリマー分析の現行の方法は、使用される検出システムの空間的分解能によって制限される。本発明は、種々の検出システムの空間的分解能を増加させ、それによって個々の実行間に得られる配列情報をより多くすることを可能にする。本発明は、これらの発見に基づくポリマー分析のための方法およびシステムの両方を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの局面において、本発明は、ポリマーを分析するための方法を提供し、この方法は、以下の(a)〜(d)の工程を包含する:(a)既知の検出分解能を有する検出ステーションを提供する工程;(b)第一の単位特異的マーカー(unit specific marker)および第二の単位特異的マーカーでポリマーを標識する工程であって、この第一単位特異的マーカーは、第一の標識を含み、そして第二の単位特異的マーカーは、第一の標識と異なる第二の標識を含み、ここで、この第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、それらの標識が互いに区別されなかった場合、ポリマー上で空間をあけられ、既知の検出分解能未満の距離によって分離される、工程;(c)(b)のとおりに標識されたポリマーを検出ステーションに曝露して、第一の標識および第二の標識から生じる、別個の第一のシグナルおよび第二のシグナルを生成する工程;および(d)その別個の第一のシグナルおよび第二のシグナルを同定する工程。
【0009】
1つの実施形態において、第一の単位特異的マーカーは、その性質、または認識および結合するポリマー単位のいずれかが、第二の単位特異的マーカーとは異なる。別の実施形態において、第一の単位特異的マーカーは、第二の単位特異的マーカーと同一であるが、第一および第二の単位特異的マーカーは、異なる標識で標識される。単位特異的マーカーは、性質は異なるが、同じポリマー単位または配列を認識および結合する場合、「互いに同一である」と言われ得る。単位特異的ポリマーの性質は、その配列特異性よりもむしろその組成(例えば、核酸、ペプチド、炭水化物など)を言及する。
【0010】
1つの実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、ポリマーの長さに沿った連続した単位に配置される(すなわち、互いに直ちに隣接する)。別の実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、少なくとも1つの単位または少なくとも2つの単位によって、互いに空間的に分離される。
【0011】
さらなる実施形態において、ポリマーは、第三の単位特異的マーカーで標識される。好ましくは、第三の単位特異的マーカーは、第三の標識を含む。第三の単位特異的マーカーは、第三の特異的マーカーによって生成されるシグナルが、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーのシグナルに対してシステム検出分解能を超えるように、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーに対して配置され得る。言い換えると、第三の単位特異的マーカーは、既知の検出分解能よりも大きい距離によって第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーから空間をあけられる。
【0012】
いくつかの実施形態において、この第三の単位特異的マーカーは、複数のデータセットを比較する標準として使用される。
【0013】
本発明のこの局面および他の局面において、このポリマーは生物学的分子であり得るがそれらに限定されない。重要な実施形態において、このポリマーは、ペプチドまたは核酸分子であり得る。いくつかの好ましい実施形態において、このポリマーは、ゲノムDNAである核酸分子である。従って、いくつかの実施形態において、第一の単位特異的マーカー、第二の単位特異的マーカーおよびそれに続く単位特異的マーカーを含む、この単位特異的マーカーは、核酸分子である。他の実施形態において、第一の単位特異的マーカー、第二の単位特異的マーカー、および引き続く単位特異的マーカーは、ペプチド核酸(PNA)分子またはロックされた核酸(LNA)分子である。なお他の実施形態において、この単位特異的マーカーは、ペプチドまたはポリペプチドである。なお別の実施形態において、このポリマーは、必要に応じて標識(例えば、内在標識または外在標識を含み得る骨格)を含む骨格からなっている。
【0014】
1つの実施形態において、単位特異的マーカーは、同一の結合特異性を有する。1つの例として、この単位特異的マーカーは、同一の配列を有する核酸分子であり得る。マーカーの長さは、特定の実施形態に依存する。従って、1つの実施形態において、核酸分子であるマーカーは、12塩基長未満であるが、別の実施形態において、核酸分子であるマーカーは、少なくとも4塩基長である。
【0015】
特定の実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカー(および任意の引き続く単位特異的マーカー)は、標識、好ましくは、検出可能標識に結合される。いくつかの実施形態において、この標識は、電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子,半導体ナノ結晶、半導体ナノ粒子、コロイド金ナノ結晶、リガンド、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性分子、量子ドット(dot)、色素生産性基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質からなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態において、第一の標識、第二の標識および引き続く標識は、上記の標識の群から独立して選択される。
【0017】
関連する実施形態において、この標識から生成されるシグナルは、検出システムを使用して検出される。この検出システムは、非電気的な性質(写真フィルム検出システムなど)であり得るかまたは、電気的性質(電荷結合素子(CCD)検出システム)であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、この検出システムは、電荷結合素子検出システム、電子スピン共鳴(ESR)検出システム、蛍光検出システム、電気検出システム、電磁検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近距離場検出システム、および全反射(TIR)検出システムからなる群から選択される。
【0018】
別の局面において、本発明は、結合された単位のポリマーを光学的に分析するためのシステムを提供し、そのシステムは、以下の(a)〜(e)を備える:(a)既知の波長の光学的放射を放射するための光学供給源;(b)光学経路にその光学的放射を受容するため、および引き続いて検出可能シグナルを生成するために光学的放射に曝露されるポリマーの単位を受容するための相互作用ステーション;(c)その検出可能シグナルの少なくとも2つの別々の波長バンドを作製するための光学的経路中の2色性反射体;(d)光学的放射を有する単位の相互作用から生じるシグナルを含む発光を検出するために構築された光学検出器;および(e)シグナルを含む検出された発光を基にしてポリマーを分析するために構築され配置されるプロセッサー。
【0019】
好ましくは、ポリマーの単位は、順番に標識される単位特異的マーカーに結合される。このような実施形態において、シグナルは、標識から誘導される。
【0020】
1つの実施形態において、このポリマー単位は、少なくとも2つの発光感応性標識で直接的にかまたは(例えば、標識された単位特異的マーカーで)間接的にかのいずれかで標識される。別の実施形態において、このポリマーの単位は、少なくとも2つの発光感応性標識で標識される。有用な標識の例としては、これらに対してサイズ依存性特徴を有する標識、特定の化学群を含む標識などが挙げられる。当業者は、両方のカテゴリーの例に詳しい。
【0021】
別の局面において、本発明は、ポリマーを光学的に分析するためのシステムを提供する。このシステムは、光学的放射を放射するための光学供給源;その光学的放射を受容するため、および検出可能シグナルを生成するために光学的放射に曝露されるポリマーの単位を受容するための相互作用ステーション;およびシグナルを含む検出された発光を基にしてポリマーを分析するために構築され配置されるプロセッサーを含む。上記のように、このポリマーは、好ましくは標識されている少なくとも2つの単位特異的マーカーに結合される。
【0022】
1つの実施形態において、この相互作用ステーションは、局在化された発光スポットを含む。さらなる実施形態において、このシステムは、この局在化された発光スポットを通してポリマー単位を受容し、推し進めるように構築されるマクロチャネルをさらに備え、そして必要に応じて、この局在化された放射スポットを生成し得る。別の実施形態において、このシステムは、偏光子、および発光ビームを放射するように構築されたレーザーを含む光学供給源をさらに備える。この偏光子は、ビームを偏光するように配置され得る。レーザービームが内因的に偏光される間に、特定のダイオードレーザーは、偏光子の使用から利益を受ける。いくつかの実施形態において、局在化された発光スポットは、相互作用ステーション中に配置されたスリットを使用して生成される。このスリットは、1nm〜500nmの範囲の幅、または10nm〜100nmの範囲の幅のスリットを有し得る。別の実施形態において、この相互作用ステーションは、マイクロチャネルおよび局在化された発光スポットを生成するように配置される、サブミクロン幅を有するスリットを含む。いくつかの実施形態において、この偏光子は、スリットに達する前のビームを偏光するように配置される。他の実施形態において、この偏光子は、スリットの幅に平行に、ビームを偏光するように配置される。前述の実施形態は、本発明の他の局面に等しく適用する。
【0023】
なお別の実施形態において、光学供給源は、先端部に組みこまれた光源である。励起光はまた、外付けの繊維または組みこまれた光ガイドを使用して送達され得る。後者の例において、このシステムは、その先端部に送達される外在性レーザーからの第二光源をさらに備える。
【0024】
なお別の局面において、本発明は、結合された単位のポリマーを分析するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:既知の波長の光学的放射を発生させ、マイクロチャネルに局在化された発光スポットを生成し、既知の検出分解能を有する検出ステイションを規定する工程;第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーでポリマーを標識する工程であって、この第一の単位特異的マーカーは、第一の標識を含み、そして第一の標識とは異なる第二の標識を含む代2の単位特異的マーカーを含み、ここで、これらのマーカーは、標識が互いに区別されなかった場合、検出分解能未満の距離によって分離されるように、ポリマー上で空間をあけられる、工程;第一の標識および第二の標識を局在化された発光スポットに順番に曝露する、工程;その局在化された発光スポットで、第一の標識および第二の標識の相互作用から生じる少なくとも2つの別々の波長バンドの発光を順番に検出する、工程;および検出された波長バンドを使用してポリマーを分析する、工程。1つの実施形態において、この方法は、マイクロチャネルを提供する工程をさらに包含する。
【0025】
1つの実施形態において、この方法は、電場を印加して、マイクロチャネルを通してポリマーを移動させる工程を包含する。別の実施形態において、この方法は、圧力を適用して、マイクロチャネルを通してポリマーを移動させる工程をさらに包含する。なお別の実施形態において、吸引を適用して、マイクロチャネルを通してポリマーを移動させる工程をさらに包含する。別の実施形態において、検出する工程は、単位特異的マーカーがマイクロチャネルを通って通過する間の時間にわたって、シグナルを収集する工程を包含する。
【0026】
1つの実施形態において、第一の標識および第二の標識は、電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子,半導体ナノ結晶、半導体ナノ粒子、コロイド金ナノ結晶、リガンド、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性分子、量子ドット(dot)、色素生産性基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質からなる群から独立して選択される。重要な実施形態において、第一の標識および第二の標識は、蛍光標識(すなわち、発蛍光団)である。
【0027】
1つの実施形態において、検出する工程は、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが、マイクロチャネルを通して移動している間に第一の標識および第二の標識から生じる第一のシグナルおよび第二のシグナルを収集する工程を包含する。
【0028】
1つの実施形態において、この第一の単位特異的マーカーは、第二の単位特異的マーカーと異なる。別の実施形態において、第一の単位特異的マーカーは、第二の単位特異的マーカーと同一である。重要な実施形態において、この第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、核酸分子である。関連する実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、ペプチド核酸分子であるかまたはロックされた核酸分子である。1つの実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、同一の核酸を有する。他の実施形態において、、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、同一の結合特異性を有する(すなわち、これらは、同じ親和性を有する同じポリマー単位(または配列)を認識および結合する)。一般的には、ただ1つのマーカーが所定の時間に1つの単位に結合することが理解される。関連する実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、少なくとも4塩基長である。別の実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、12塩基未満の長さである。
【0029】
1つの実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、互いにすぐに隣接して配置される。別の実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、少なくとも2つの単位によって、互いに空間をあけられる。
【0030】
1つの実施形態において、このポリマーは、好ましくは、第三の標識を含む、第三の単位特異的マーカーで標識される。関連する実施形態において、この第三の単位特異的マーカーは、既知の検出分解能より大きい距離(すなわち、最小検出分解能)によって、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーから空間をあけられる。
【0031】
他の実施形態において、このシグナルは、(上で列挙したような)電気的性質または非電気的性質のいずれかの検出システムを使用して検出される。
【0032】
他の実施形態において、このポリマーは、核酸分子である。いくつかの実施形態において、このポリマーは、ゲノムDNAである。特定の実施形態において、このポリマーは、標識を含む骨格を含む。
【0033】
本発明の種々の局面において、ポリマーに対する単位特異的マーカーの結合パターンおよび/またはこのようなマーカー由来のシグナルは、種々の線形ポリマー分析システムを含む種々のシステムを使用して決定され得る。いくつかの実施形態において、線形ポリマー分析システムは、単一のポリマー分析システムである。核酸分子または核酸分子に対するタグ分子の結合は、Gene EngineTM、光学マッピングおよびDNAコーミング(combing)からなる群から選択される方法を使用して分析され得る。Gene EngineTMシステムは、公開されたPCT特許出願WO98/35012、WO00/09757およびWO01/13088(それぞれ1998年8月13日、2000年2月24日および2001年2月22日公開)、ならびに米国特許第6,355,420B1号(2002年3月12日発行)(これらの全てが、本明細書中にその全体が参考として援用される)に記載される。あるいは、このパターンは、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を使用して決定され得る。当業者は、ポリマーへの単位特異的マーカーの結合のパターンを決定するために利用され得る他のシステムを承知している。
【0034】
なお別の局面において、本発明は、ポリマーを分析するための方法を提供し、この方法は、単位特異的マーカーのセットを用いてポリマーを標識する工程を包含し、ここで単位特異的マーカーのセットの各単位特異的マーカーは、ポリマー内で同一の配列の単位を認識し、そしてそれに結合する。各単位特異的マーカーは、少なくとも2の異なる標識の1つで標識される。この方法は、ポリマーを分析するための標識から生じるシグナルを検出する工程をさらに包含する。単位特異的マーカーのセットは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれより多い単位特異的マーカーであり得る。
【0035】
1つの実施形態において、単位特異的マーカーの約50%が第一の標識で標識され、そして単位特異的マーカーの約50%が第二の標識で標識される。この文脈において使用される場合、「約50%」は、好ましくは35%〜65%、40%〜60%、45%〜55%または47%〜53%および49%〜51%を意味する。他の実施形態において、これは、好ましくは35%、37%、40%、42%、45%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、55%、57%、60%、63%および65%を含む。別の実施形態において、各単位特異的マーカーは、少なくとも3つの異なる標識の1つで標識される。なおべ別の実施形態において、各単位特異的マーカーは少なくとも4つの異なる標識の1つで標識される。
【0036】
1つの実施形態において、単位特異的マーカーは、同一配列を有する。別の実施形態において、単位特異的マーカーは4ヌクレオチド長を超えるか、または12塩基長未満である。
【0037】
他の実施形態において、標識は、以下からなる群から選択される型である:電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷電移動分子(transferring molecule)、半導体ナノクリスタル、半導体ナノ粒子、金コロイドナノ粒子、リガンド、マイクロビーズ、磁気ビーズ、常磁性分子、量子ドット、色素形成性基質、アフィニティ分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質。なお他の実施形態において、異なる標識は異なる型であり、そして必要に応じて、異なる検出システムを使用して検出される。
【0038】
本発明のこれらおよび他の局面は、本明細書中でより詳細に記載される。
【0039】
本発明の各局面は、本発明の種々の実施形態を含み得る。従って、任意の1つの要素または要素の組み合せを含む本発明の各実施形態は、本発明の各局面に含まれ得ることが予測される。
【0040】
(発明の詳細な説明)
本発明は、異なるタグを使用してポリマーの高分解度線形分析を達成するためのシステムおよび方法に関する。ポリマーの線形分析は、しばしば、配列特異的タグの高分解度読み取りを必要とする。しかし、これらの配列特異的タグの相対的問題は、検出システムの分解度未満であり得る。この限定に対する応答において、本発明は、区別可能な配列特異的タグで直線ポリマーを差示的にタグし、そしてポリマーの長さに沿ってこれらのタグから生じる異なるシグナルを補捉することによって、所定の検出システム中でより高度な分解を可能にする方法を提供する。この差示的タグ化アプローチの結果として、互いに近接して存在する2つ以上の異なるタグ(または、本明細書中で使用される場合、単位特異的マーカー)は、それらの間の距離が、先行技術の検出システムおよびアプローチを使用して以前に達成可能である検出分解未満であるか否かに関係なく、区別され得、従って、別個のものとして同定され得る。これは、以前に可能であったよりもより可能性のある確実性で、単位特異的マーカー(およびそれらが対応するユニット)の位置がマップされることを可能にする。
【0041】
核酸分子は、線形ポリマー分析システムを使用して分析され得る。線形ポリマー分析システムは、線形様式(すなわち、ポリマー上の1つの位置で始まり、次いでそれらからいずれかの方向で直線的に進行する)でポリマーを分析するシステムである。ポリマーが分析される場合、ポリマーに(直接的にかまたは間接的にかのいずれかで)結合される検出可能な標識は、連続様式かまたは同時様式のいずれかで検出される。同時に検出される場合、シグナルは、通常、標識の間の距離が決定され得る、ポリマーの画像を形成する。連続して検出される場合、シグナルは、ヒストグラム形態(シグナル強度 対 時間)で表示され、次いで、核酸分子の速度の知識を用いて、マップへと変換され得る。いくつかの実施形態において、核酸分子は固体支持体に結合され、一方、他方では、核酸分子は自由に流動していることが理解されるべきである。いずれかの場合において、例えば、相互作用ステーションまたは検出器を通って移動する場合、核酸分子の速度は、互いに対しておよび核酸分子中に存在し得る他の検出可能なマーカーに対して、標識の位置を決定するのを補助する。
【0042】
線形分析の2つの一般的なクラス(すなわち、固定化分子線形分析および移動分子線形分析)は、当該分野に記載されている。固定化分子の線形分析は、当該分野に記載され、そして表面にDNAのような線形分子を流体−固定化する方法、および配列情報を収穫するための画像化ベースのアプローチおよび走査ベースのアプローチを使用する方法を含む。フローシステムまたは電気泳動システムのいずれかを利用する移動分子の線形分析は、以下に議論されるように当該分野に記載されている。
【0043】
線形ポリマー分析システムの例は、Gene EngineTMシステム(これは、PCT特許出願公開WO98/35012およびWO00/09757(それぞれ、1998年8月13日、および2000年2月24日公開)、ならびに発行された米国特許第6,355,420B1(2002年3月12日発行)に記載される)である。これらの出願および特許、ならびに他の出願および特許、ならびに本明細書中で援用される参考文献の内容は、その全体が参考として援用される。このシステムは、単一の核酸分子のような単一のポリマーが、線状様式で相互作用ステーションを通過することを可能にする。核酸分子の場合において、この核酸分子中のヌクレオチドは、この核酸分子に(例えば、単位特異的マーカーを介して)結合体化した検出可能な標識が存在するか否かを決定するために、個別に問合せされる。検出可能な標識は、好ましくは検出されるシグナルを生じる。問合せは、核酸分子をエネルギー源(例えば、設定した波長の光学的照射)に曝露することを包含する。エネルギー源曝露に応答して、検出可能な標識は、検出可能なシグナルを放出する。シグナルの放出および検出のための機構は、検出されることが求められる標識の型に依存する。
【0044】
DNA分子の伸長を伴う他の単一の分子核酸分析法もまた、本発明の方法に用いられ得る。これらとしては、光学マッピング(Schwartzら、1993;Mengら、1995;Jingら、1998;Aston、1999)および繊維−蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(繊維−FISH)(Bensimonら、1997)が挙げられる。光学マッピングにおいて、核酸分子は、流体サンプル中で伸長され、そしてゲル中または表面上に伸長したコンホメーションで固定される。次いで、伸長して固定された核酸分子に対して制限消化が行われる。次いで、順序付けられた制限マップが、制限フラグメントのサイズを決定することにより作成される。繊維−FISHにおいて、核酸分子が伸長され、そして、分子コーミング(molecular combing)により表面上に固定される。蛍光標識されたプローブ配列とのハイブリダイゼーションは、核酸分子上の配列ランドマークの決定を可能にする。両方の方法は、マーカーの間の分子の長さおよび/または距離が測定され得るように、伸長した分子の固定を必要とする。パルスフィールドゲル電気泳動をまた用いて、標識核酸分子を分析し得る。パルスフィールドゲル電気泳動が、Schwartzら(1984)により記載される。他の核酸分析システムは、Otobeら(2001)、Bensimonら、米国特許第6,248,537号(2001年6月19日発行)、HerrickおよびBensimon(1999)、Schwartz、米国特許第6,150,089号(2000年11月21日発行)および米国特許第6,294,136号(2001年9月25日発行)により記載される。他の線形ポリマー分析システムもまた用いられ得、そして本発明は、本明細書中に列挙したシステムのみに限定されることを意図しない。
【0045】
共焦点レーザーイルミネーションが移動分子の分析(例えば、DNAのフロー分析)に使用され、そしてレーザーがTEMooモードで作動される場合、次いで、Gaussianのイルミネーションパターンが、得られ得、そしてプローブ(すなわち、単位特異的マーカー)からの蛍光の放出が、イルミネーションのGaussianプロフィールに従って特定の程度まで変動する。これは、プローブが検出スポットを横切る場合、不均一な蛍光シグナルを生じる。プローブが最も高い励起強度の領域を通る場合、蛍光シグナルは、ピークとしてそれ自体を表す。蛍光シグナルの得られた時間的パターンが試験される場合、標的上の隣接するプローブの相対的な位置は、標的上のプローブを位置付けるようなピークアウトプットを使用することによって、スポットサイズよりもより良好に分解され得る。しかし、これは、時間的に分解される2つのピークが検出されたシグナル中に存在するように、十分に空間的に分解されるプローブに限定される。これは、最小の分離可能な空間的プローブの分解を生成するか、本明細書中で言及される場合、既知の検出分解を生成する。
【0046】
本発明は、差示的に標識された単位特異的マーカーを使用してポリマーを分析することによって、空間的分離のこの限定を克服するシステムを提供する。この方法は、その長さに沿って結合した標識された単位特異的マーカーの結合の存在および/または位置を同定することによってポリマーを分析する工程を包含する。情報は、ポリマーの構造(そのサイズ、そのサイズの順序(例ば、配列)、そのユニットの反復(例えば、その複雑さ)、その他のポリマーに対する関連性、または生物学的サンプル中のその存在を含む)について得られ得る。例えば、ポリマー上のマーカーの存在は、ポリマーの同一性を明らかにし得る。
【0047】
本発明の重要な発見の1つは、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、先行技術の検出方法およびシステムの既知の検出分解の限定内に位置し得るという知見である。本明細書中で使用される場合、用語「既知の検出分解」は、同じ標識を有する2つのマーカーが、互いに対して位置付けられ得、なお個々に検出可能であり、従って、先行技術の方法を使用して2つの別個のマーカーとして分解可能である、最も密接な距離をいう。以下により詳細に説明されるように、先行技術の蛍光システムの既知の検出分解は、一般的にλ/2(すなわち、検出可能なシグナルの放射された波長の半分)である。従って、全ての蛍光標識が532nmで放射するシステムについて、例えば、空間的分解は532nm/2または266nmであり、これは782塩基対の距離に近似する。従って、配列情報は、単一カラー検出システムを使用して、平均約782塩基対の間隔でのみ得られ得る。
【0048】
本明細書中で提供されるシステムおよび方法を使用して、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが既知の検出分解未満の距離で位置される場合、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーを空間的に分解することは可能である。この距離は、「既知の検出分解未満」として本明細書中に言及される。本発明の前に達成され得るこのシステムの検出分解限定は、システムの型によって変更する。本明細書中で記載されるように、光学的検出システム(例えば、蛍光システム)は、本明細書中に記載される差示的タグ化アプローチを使用することなくλ/2の分解限定を有する。従って、光学的検出システムについて既知の検出分解未満は、λ/2未満であり、ここでλは、単一カラーシステムの放出波長特徴を示す。図1は、空間的分解についての、同じ標識を有する2つのマーカーおよび異なる標識を有する2つプローブを使用する結果を図示する。他の検出様式についての既知の検出分解は、当該分野で公知である。
【0049】
その最も簡単な形態において、この方法は2つの区別可能な単位特異的マーカーを含み、一方、さらなる単位特異的マーカーが使用されることが可能であるが、但し、それらはまた、第一および第二の単位特異的マーカーと区別可能である。第三および続く単位特異的マーカーは、第三および続く単位特異的マーカーによって生成されるシグナルが、第一および第二の単位特異的マーカーのシグナルに対して既知の検出分解より上であるように、第一および第二の単位特異的マーカーに対して位置付けられ得る。本明細書中で使用される場合、「既知の検出分解より上」は、光学的検出システムについてλ/2より上である。
【0050】
本明細書中に提供される方法は、ユニット特異的ポリマーとポリマーとの間の特異的相互作用に基づいて、各ポリマーについてのシグナチャ(signature)を生成し得る。シグナチャは、ポリマーに対する(異なる配列または同一の配列の)単位特異的マーカーの結合の結果として、ポリマーの長さに沿って発生するシグナルパターンである。ポリマーのシグナチャは、ポリマーを特有に同定する。
【0051】
本明細書中に記載の方法によって包含される分析の1つの型は、2以上の単位特異的マーカーの個々のポリマーに対するハイブリダイゼーションのパターンを分析する工程を包含する。本発明の方法は、その生成されたハイブリダイゼーションパターンのコンピューター分析により未知の発現された遺伝子を同定し得る。次いで、そのDNA単位特異的マーカーの線形分析から得られるデータは、標的DNAの正体を決定するために、データベース中の情報とマッチされる。従って、この方法は、ハイブリダイゼーション反応からの情報を分析し得る。次いで、これは、遺伝子発現パターンの診断および決定に適用され得る。
【0052】
本明細書中で使用される場合、「ポリマー」とは、線状骨格を有する化合物であり、この骨格に対して、モノマーが、結合により一緒に連結される。このポリマーは、複数の個々のモノマーから作製される。個々のモノマーは、本明細書中で使用される場合、最小の構成ブロックであり、これは、直接的にまたは間接的に他の構成ブロックもしくはモノマーに連結されて、ポリマーを形成し得る。少なくとも、そのポリマーは、少なくとも2つの連結されたモノマーを含む。特定の型のモノマーは、分析されるポリマーの型に依存する。
【0053】
用語「骨格」とは、ポリマー化学の分野においてその通常の意味が与えられる。そのポリマーは、骨格組成において異種(heterologous)であり、それによって、共に連結されるポリマーのモノマーのあらゆる可能な組み合わせを含む。好ましい実施形態において、そのポリマーは、骨格組成が(heterologous)異種であってもよく、例えば、核酸、ポリペプチド、ポリサッカリド、炭水化物、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアセテート、ポリアミド、ポリエステル、またはポリチオエステルである。
【0054】
ポリマーの連結されるモノマーに関して本明細書中で使用される場合、「連結される(た)」または「連結」とは、2つの実体が、任意の物理化学的手段に互いに結合されることを意味する。当業者に公知の任意の連結(共有結合または非共有結合)が包含される。このような連結は、当業者に周知である。天然の連結(これは、特定のポリマーの個々のモノマーをつなぐ、天然に通常見られるものである)が、最も一般的である。天然の連結としては、例えば、アミド連結、エステル連結およびチオエステル連結が挙げられる。しかし、ポリマーの個々のモノマーは、合成または改変された連結によって連結され得る。モノマーが共有結合によって連結されるポリマーは、最も一般的である。そのポリマーは、分枝状であり得るが、好ましくは、そのポリマーは、直鎖状である。
【0055】
特定の実施形態において、そのポリマーは、生物学的分子である。本明細書中で使用される場合、生物学的分子は、細胞のような生物学的環境において見いだされるか、またはそのような環境において機能的である分子である。いくつかの実施形態において、そのポリマーは、ペプチドまたは核酸である。「ペプチド」とは、本明細書中で使用される場合、連結されたアミノ酸から構成されるポリマーである。「核酸」とは、本明細書中で使用される場合、連結されたヌクレオチドから構成されるポリマーであり、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を含む。DNAは、例えば、以下のようなプリンおよびピリミジンのモノマーを構成するホスホジエステル骨格から構成されるポリマーである:アデニン、シトシン、グアニン、チミン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、ならびに他の天然に存在する核塩基および天然に存在しない核塩基、置換された芳香族部分および置換されていない芳香族部分。RNAは、例えば、以下のようなプリンおよびピリミジンのモノマーを構成するホスホジエステル骨格から構成されるポリマーである:ウラシルがチミジンに代わることを除いて、DNAについて記載されるもの。DNAモノマーは、それらの5’ヒドロキシル基または3’ヒドロキシル基によって互いに連結され得、それにより、エステル結合を形成する。RNAモノマーは、それらの5’ヒドロキシル基、3’ヒドロキシル基または2’ヒドロキシル基によって互いに連結され得、それによって、エステル結合を形成する。あるいは、末端に5’アミノ基、3’アミノ基または2’アミノ基を有するDNAまたはRNAのモノマーは、アミノ基によって互いに連結され得、それによって、アミド結合を形成する。いくつかの場合において、そのポリマーは、ペプチド核酸(PNA)、またはロックされた核酸(locked nucleic acid)(LNA)である。いくつかの重要な実施形態において、以下に記載されるように、その単位特異的マーカーは、PNAまたはLNAである。
【0056】
いつ核酸が文字配列によって示されようとも、そのヌクレオチドは、5’→3’の順番にて、左側から右側に、別段示されない限り、「A」はアデノシンを示し、「C」はシトシンを示し、「G」はグアノシンを示し、「T」はチミジンを示し、「U」はウラシルを示すことが理解される。
【0057】
標的として使用される核酸分子は、DNA(例えば、核DNAおよびミトコンドリアDNAを含むゲノムDNA)、もしくはRNA、またはその増幅産物もしくは中間体(相補的DNA(cDNA)を含む)であり得る。その核酸分子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような技術を用いて予め増幅する必要なく、生物学的サンプル(例えば、組織または細胞培養物)から、直接採取および単離され得る。関連する実施形態において、その核酸分子は、ゲノム核酸分子のフラグメントである。
【0058】
核酸分子は、一本鎖核酸または二本鎖核酸であり得る。核酸分子の採取および単離は、当該分野で慣用的に行われ、適切な方法は、標準的な分子生物学の教科書(例えば、ManiatisのHandbook of Molecular Biology)によって見いだされ得る。
【0059】
本発明の重要な実施形態において、その核酸分子は、非インビトロ増幅された核酸分子である。本明細書中で使用される場合、「非インビトロ増幅された核酸分子」とは、ポリメラーゼ連鎖反応または組換えDNA法のような技術を使用して、インビトロで増幅されていない核酸分子をいう。しかし、非インビトロ増幅された核酸分子は、インビボでの細胞発生の当然の結果として(その核酸分子が採取された生物学的サンプル中の)インビボで増幅される核酸分子であり得る。このことは、その非インビトロ核酸分子が、変異または癌発生の結果として、いくつかの細胞型において一般的に観察される座増幅の一部としてインビボで増幅されるものであり得ることを意味する。
【0060】
核酸分子のサイズは、本発明にとって重要ではなく、一般に、使用される検出系によってのみ限定される。核酸分子のサイズは、長さが数ヌクレオチド、長さが、数百ヌクレオチド、数千ヌクレオチド、または数百万ヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態において、その核酸分子は、染色体の長さであり得る。
【0061】
ペプチド核酸(PNA)は、それらのリン酸骨格がヌクレオチド塩基にグリシンのアミノ窒素およびメチレンカルボニルリンカーを通じて連結された2−アミノエチルグリシン残基で置換されているDNAアナログである。PNAは、DNA標的およびRNA標的の両方に、ワトソン−クリック塩基対形成によって結合され得、そのように結合するにあたり、DNAベースのまたはRNAベースのマーカーと起こり得る場合よりも強いハイブリッドを形成する。いくつかの型のPNA設計があり、これらとしては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:一本鎖PNA(ssPNA)、ビスPNA、偽相補的(pseudocomplementary)PNA(pcPNA)。
【0062】
ペプチド核酸(PNA)は、ペプチド結合によって連結されるモノマーから合成される(NielsenおよびEgholm 1999)。これらは、標準的な固相ペプチド合成技術により構築され得る。PNA化学および合成はまた、アミノ酸およびポリペプチド配列をPNA設計に含めることを可能にする。例えば、リジン残基は、PNA骨格に正電荷を導入するために使用され得る。アミノ酸側鎖の改変に利用可能な全ての化学的アプローチは、PNAに直接適用可能である。
【0063】
ロックされた核酸(LNA)は、DNAとハイブリッドを形成し、これは、少なくともPNA/DNAハイブリッドと同程度に安定である(BraaschおよびCorey 2001)。従って、LNAは、単に、PNA分子と同様に使用され得る。LNA結合効率は、正電荷をLNAマーカーに付加することによって、いくつかの実施形態において増大され得る。LNAは、本質的に増大した結合親和性を有することが報告されている。市販の核酸合成機および標準的なホスホルアミダイト化学が、LNAを作製するために使用される。
【0064】
ペプチドおよびポリペプチドは、アミノ酸のモノマー(これは、20の天然に存在するアミノ酸および改変アミノ酸を含む)から構成されるペプチド骨格から構成されるポリマーである。アミノ酸は、互いにかつそれらのαアミノ基を通じてその骨格に連結され、それによりアミド結合を形成する、アミドまたは遊離酸として存在し得る。本明細書中で使用される場合、アミノ酸の呼称は、当該分野で一般的に使用される、三文字表記または一文字表記に対応する。
【0065】
ポリマーは、天然に存在する「ネイティブポリマー」であり得るか、または代わりに、それらは、天然に存在しない非天然ポリマーであり得る。そのポリマーは、代表的には、天然に存在するポリマーの少なくとも一部を含む。そのポリマーは、新規に単離または合成され得る。例えば、そのポリマーは、切断およびゲル分離によって天然供給源から単離(例えば、精製)され得るか、または例えば、以下のように合成され得る:(i)例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってインビトロで増幅される;(ii)例えば、化学合成によって合成される;(iii)クローニングによって組換え生成される、など。本明細書中に記載の方法を使用する分析に適切な単離されたポリマーの例は、細胞、組織または被験体から採取されたゲノムDNAである。
【0066】
本発明の方法は、ポリマー内のユニットを認識して結合するマーカーに基づいて、ポリマーを分析するために使用される。ポリマーの「ユニット」は、本明細書中で使用される場合、標的ポリマー内の1種または好ましくは数種のモノマーの特定の線形構成(すなわち、モノマーの特定の規定された配列)をいう。例えば、核酸中のユニットは、互いに連結されたヌクレオチドの特定の配列からなる。核酸ユニットは、1つ、または2つのヌクレオチド(すなわち、ジヌクレオチドまたは2マー)、または3つのヌクレオチド(すなわち、トリヌクレオチドまたは3マー)、または4つのヌクレオチド(すなわち、テトラヌクレオチドまたは4マー)、などからなり得る。このユニットは、任意の長さであり得る。本明細書中で使用される場合、本発明の方法を使用して分析されるそのポリマーは、「標的分子」といわれる。
【0067】
そのユニットは、単位特異的マーカーの使用によって、ポリマー内で同定される。「単位特異的マーカー」とは、配列依存性様式にて、ポリマー内の特定のユニットを特異的に認識して結合する分子である。用語「単位特異的マーカー」および「マーカー」とは、本明細書中で交換可能に使用される。単位特異的マーカーの例は、プローブ(例えば、核酸プローブ)である。本発明の方法は、最初にポリマーを、少なくとも2つの単位特異的マーカー(例えば、第一および第二の単位特異的マーカー)で標識する工程を包含する。本明細書中で使用される場合、単位特異的マーカーにより結合されるポリマーは、単位特異的マーカーで「標識される(た)」という。その単位特異的マーカーの、標的ポリマーの長さに沿った位置は、ポリマー中の特定のユニットの位置を示す。単位特異的マーカーが、特異的結合に有利な条件下で標的ポリマーに結合する場合、これは、対応するユニット(および配列)が、ポリマー中に存在することを示す。単位特異的マーカーが、同じ条件下で標的ポリマーに結合できない場合、これは、一般的に、対応するユニット(および配列)がポリマー中に存在しないことを示す。核酸分子の場合において、単位特異的マーカーの配列および標的核酸中のユニットは、互いに相補的であることが理解されるべきである。
【0068】
単位特異的マーカーは、それ自体がポリマーであり得るが、そのように限定されない。適切なポリマーの例は、核酸分子(それ自体が核酸である標的ポリマーのための単位特異的マーカーとして有用)ならびにペプチドおよびポリペプチド(核酸およびペプチドである標的ポリマーのための単位特異的マーカーとして有用)である。他の単位特異的マーカーとしては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:配列特異的主溝および副溝バインダーおよびインターカレーター、ペプチド結合タンパク質、核酸結合ペプチドまたはポリペプチド、および配列特異的ペプチド−核酸など。多くの単位特異的マーカーが存在し、当業者に公知である。上記で議論されるように、その単位特異的マーカーはまた、PNAまたはLNAであり得る。
【0069】
その単位特異的マーカーは、結合する任意の長さであり得る。マーカーの長さは、特定の実施形態に依存する。マーカーの長さは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、またはより多いヌクレオチド(あたかも本明細書中に明示されているかのような、その間のあらゆる整数を含む)からの範囲であり得る。多くの実施形態において、より短いマーカーは、より所望である。ポリマーおよびマーカーが共に核酸である場合において、ユニットおよび単位特異的マーカーの長さは、一般に、同じである。これは、標的ポリマーまたはその単位特異的マーカーのいずれかまたは両方が核酸ではない場合、必ずしもそうではない。この方法は、性質またはユニット結合特異性が同一であり得る2以上の単位特異的マーカーの同時使用を包含する。例えば、その単位特異的マーカーは、同一なユニットを認識して特異的に結合し得るが、それらは、それ自体がその組成において異なり得る(例えば、1つの単位特異的マーカーが、核酸であり得るか、または1つは、ペプチドであり得る)。いくつかの好ましい実施形態において、その単位特異的マーカーは、それらが、同一のユニットを認識して特異的に結合するか否かにかかわらず、その組成が同一である。
【0070】
上記のように、その単位特異的マーカー自体は、同一の結合特異性を有し得る。同一の結合特異性を有するマーカーは、同じ配列を有するユニットに対して同じ親和性で結合する。従って、これらのマーカーは、そのマーカーの標識が、配列認識およびユニットのマーカーへの結合を妨害しないことを条件として、ポリマー中のそれらの標的ユニットに等しい確率にて結合する。
【0071】
本発明の1つの実施形態において、単位特異的マーカー(その全てが、同一の結合特異性を有する)を、使用する。好ましくは、マーカーのセットは、できる限り多くの等しい部分に分けられ、各々の等しい部分は、異なる標識で標識される。例えば、そのセットは、2つの等しい部分に分けられ得、そのうちの一方は、緑色蛍光標識(約530nmにて発光)で標識され、および他方は、赤色蛍光標識(約575nmにて発光)で標識される。別の例として、そのセットは、3つの等しい部分に分けられ得、そのうちの1つは、緑色蛍光標識で標識され、そのうちのもう1つは、赤色蛍光標識で標識され、そして残りの1つは、赤外蛍光(far−red fluorescent)標識(約630nmにて発光)で標識される。そのセットは、差示的に標識される少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはより多くの単位特異的マーカーを含み得る。
【0072】
あるいは、その単位特異的マーカーは、異なる結合特異性を有し得る。本明細書中で使用される場合、異なる結合特異性を有するマーカーは、標的ポリマー中の異なる配列(すなわち、異なるユニット)を認識してこれに結合する。第一のユニットを認識してこれに結合する単位特異的マーカーは、同一に標識されてもよいし、それらはまた、単一の標識が使用されて、異なる配列についてのマーカーを標識するのであれば、差示的に標識されてもよい。このことは、標識されたマーカーから生じる各シグナルが、ポリマーの長さに沿って1つのユニットまたは配列のみを示すことを意味する。
【0073】
分析されるポリマーが核酸(すなわち、ヌクレオチドのポリマー)である1つの重要な実施形態において、その単位特異的マーカーは、配列特異的様式にて標的ポリマーにハイブリダイズすることを可能にする配列を有する別の核酸である。その標的ポリマーが核酸である場合、その単位特異的マーカーの配列は、標的ポリマー中において結合するユニットの配列に相補的である。
【0074】
第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、互いにすぐに隣接して(すなわち、連続して)配置され得るが、必ずしもその必要はない。本明細書中で使用される場合、用語「互いにすぐ隣に配置される」とは、同一のユニットが、2つのユニットの間に位置しないか、またはいくつかの場合においてはモノマーが2つのユニットの間に位置しないことを意味する。標的ポリマーに沿ったユニットおよびマーカーの位置は、ユニットの長さおよび標的分子中の配列分布の無作為状態に依存する。例えば、標的ユニットが、その配列内に反復配列(例えば、ポリA配列、Alu反復、またはCGジヌクレオチド)を含む場合、単位特異的マーカーは、互いに比較的近接して配置される可能性がより高い。しかし、その単位特異的マーカーが、6つの無作為に選択されたヌクレオチドからなる場合、偶然に、ポリマーの長さに沿って連続したユニット間に、平均約4096塩基が存在する。
【0075】
各標的ユニットが単位特異的マーカーによって結合される程度はまた、結合効率(結合またはハイブリダイゼーション条件を含む)および標的ポリマー(および標的ユニット)の濃度に対する単位特異的マーカーの濃度に依存する。結合効率が低いかまたは単位特異的マーカーの濃度が飽和していない場合、第一および第二の単位特異的マーカーは、単位特異的マーカーにより結合されない1つ、2つ、3つ、またはより多くのユニットだけ、互いから空間的に分離され得る。
【0076】
単位特異的マーカーが、その標的ユニットに特異的に結合する能力はまた、その長さおよび組成(特に、核酸であるマーカーについて)および相互作用(すなわち、結合)が生じる条件に依存する。単位特異的マーカーは、特定の配列のユニットに特異的に結合し、標的とは配列が異なるユニットには結合しない。そのポリマーおよび単位特異的マーカーがともに核酸である場合、その条件は、相補的な配列のみが、互いに結合するように操作され得る。当業者は、このようなストリンジェントな条件をどのように達成し、これについての試験をどのように行うかを理解している。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件における手引きについて、以下もまた参考にされ得る:Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrookら編,第二版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989,またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubelら編,John Wiley & Sons,Inc.,New York。その単位特異的マーカーがペプチドまたはポリペプチドである場合、その条件は、マーカーの標的ポリマー(これは核酸であってもよいし、天然のペプチド自体であってもよい)上の特異的ユニットへの特異的結合のみが生じるように、同様に操作される。しかし、いくつかの場合において、結合条件は、単位特異的マーカーを、完全には相補的でないポリマーユニットに結合させるように調節され得る。この後者のアプローチは、ポリマーのあまり正確でない配列が試みられる場合に有用である。
【0077】
その単位特異的マーカーは、互いに対して既知の検出分解能未満の距離にて位置する場合に分離可能である。なぜなら、それらは、差示的に標識されているからである。本明細書中で使用される場合、「差示的に標識された単位特異的マーカー」とは、異なりかつ別のシグナルを発する異なる標識で標識されている(例えば、結合体化されている)単位特異的マーカーである。
【0078】
本明細書中で使用される場合「標識」とは、種々の方法(蛍光、導電性、放射活性、サイズなどを含む)によって検出され得る分子または化合物である。その標識は、例えば、別の低い特徴的な波長の光による励起の後に、特定の波長の光を発する蛍光標識のようなシグナルを固有に発し得る。あるいは、その標識は、シグナルを固有に発することができなくてもよいが、シグナルを発する別の化合物によって結合されることができてもよい。この後者の状況の例は、例えば、ビオチン(これは、それ自体シグナルを発しないが、標識されたアビジンまたはストレプトアビジンに結合された場合に、分子が検出され得る)のような標識である。この後者の種の標識の他の例は、特定のレセプターに特異的に結合するリガンドである。検出可能に標識されるレセプターは、このようなマーカーを可視化するために、リガンド標識単位特異的マーカーに結合することを可能にされる。他の標識の型は、本明細書中により十分に記載される。
【0079】
標識は、エネルギー源(例えば、所定の波長(または波長範囲)のレーザービーム、または電流)との相互作用後に特徴的なシグナルを発する。標的ポリマーまたはその単位特異的マーカーのいずれかが、固有に標識されることが可能であるが、本明細書中に記載の方法において、非本質的に標識された単位特異的マーカーを使用することが好ましい。選択される非本質的標識の型は、種々の要因(行われる分析の性質、使用されるエネルギー源の型、およびポリマーの型が挙げられる)に依存する。非本質的標識化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:発光化合物、電子放出(electron emitting)もしくは電子吸収化合物、スピン標識、および重金属化合物。標識は、分析されるポリマーのユニットおよび使用される単位特異的マーカーと立体的にかつ化学的に適合性であるべきである。非本質的標識は、単位特異的マーカーのその標的ポリマーへの結合を妨害もせず、単位特異的マーカーの結合特異性に何ら影響を与えるべきでない。
【0080】
本発明に従って使用され得る他の標識としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子、半導体ナノ結晶、半導体ナノ粒子、金コロイドナノ結晶、リガンド、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性分子、量子ドット、色素原性基質、アフィニティー分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質。
【0081】
放射性同位体は、フィルムまたは電荷結合デバイス(CCD)を用いて検出され得、リガンドは、蛍光タグ、化学発光タグ、または酵素タグを有するレセプターの結合によって検出され得、マイクロビーズは、電子顕微鏡または原子間力顕微鏡を使用して検出され得る。その標識は、その単位特異的マーカーに、合成時に、または合成後の結合体化によって組み込まれ得る。
【0082】
「検出可能なシグナル」とは、本明細書中で使用される場合、従来の技術によって感知され得る任意の型のシグナルである。生成されるシグナルは、エネルギー源の型、ならびにマーカーおよびその標識の性質に依存する。好ましくは、そのシグナルは、そのポリマーに結合した、標識単位特異的マーカーからの発光を生じる、電磁放射である。
【0083】
単位特異的マーカーに結合される標識は、同じ型であり得る。例えば、それらは、全て蛍光標識であり得るか、またはそれらは、全て放射活性標識であり得るか、またはそれらは、全て核磁気標識であり得る。この後者の構成は、いくつかの実施形態において好ましくあり得る。同じ型である標識は、それらが一旦エネルギー源(例えば、光学的放射)と接触すると発生されるシグナルに基づいて、互いになお区別可能である。例として、2つの蛍光標識が、異なる波長の蛍光放射を発する場合に区別可能である。あるいは、その単位特異的マーカー標識は異なる型であり得、例えば、1つの標識は、蛍光標識であり得、1つは、放射活性標識であり得る。
【0084】
「発光化合物」または「光を発する化合物」とは、本明細書中で使用される場合、特定の波長の光での照射に応じて光を発する化合物である。これらの化合物は、リン光、化学発光、発光、分極化蛍光(polarized fluorescence)、またはより好ましくは蛍光を通じて光を吸収および発光し得る。選択される特定の発光化合物は、以下でより詳細に議論される種々の要因に依存する。
【0085】
化学発光化合物は、化学反応に起因して発光する化合物である。リン光化合物は、放射吸収の結果として、遅延した発光を示す化合物である。発光は、曝露の際の、物質による電磁放射の非熱的放出である。これらの化合物は、当該分野で周知である。
【0086】
一般に、蛍光化合物は、いくつかの共役二重結合の鎖を有する炭化水素分子である。色素の吸収波長および放射波長は、共役鎖における炭素原子の数にほぼ比例する。好ましい蛍光化合物は、「Cy−3」(Biological Detection Systems,Pittsburgh,PA)である。本発明に従って有用な他の好ましい蛍光化合物としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:フルオレセインイソチオシアネート(「FITC」)、テキサスレッドTM、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(「TRITC」)、4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a、および4a−ジアザ−s−インダセン(「BODIPY」)、Cy−ChromeTM、R−フィコエリトリン(R−PE)、PerCP、アロフィコシアニン(APC)、PharRedTM、Mauna Blue、AlexaTM 350、およびカスケードブルー(登録商標)。いくつかの発光化合物は、発蛍光団の組み合わせである。これらの化合物は、しばしば、「ピギーバック」発蛍光団といわれる。なぜなら、それらは、互いに近接した2つの発蛍光団から構成される。このような化合物において、発蛍光団のうちの一方は、レーザー源からエネルギーを吸収し得、他の発蛍光団が吸収し得る基底状態に戻る場合にエネルギーを放射する。得られたシグナルは、より低い励起状態に戻る際に、第二の発蛍光団から得られる。ピギーバック化合物は、単一の波長のエネルギー源から得られ得る蛍光シグナルを増す。
【0087】
本発明の1つの実施形態において、発光化合物は、ドナー発蛍光団またはアクセプター発蛍光団である。発蛍光団は、本明細書中で使用される場合、1つの波長にて光を吸収し得、別の波長にて発光し得る分子である。ドナー発蛍光団は、その蛍光エネルギーを、近くにあるアクセプター分子に移動し得る発蛍光団である。アクセプター発蛍光団は、近位にあるドナーからのエネルギーを受け入れ得る発蛍光団である(アクセプターは、発蛍光団である必要はない。それは、非発光性であり得る)。発蛍光団は、それらを光で照射することにより、励起状態またはより高いエネルギーレベルへと光化学的に促進され得る。励起波長は、一般に、スペクトルの紫外線領域、青色領域、緑色領域中にある。その発蛍光団は、それらのエネルギーを放出し、基底状態に戻る前に、非常に短期間の間、励起状態にある。それらのエネルギーを発光として散逸する発蛍光団は、ドナー発蛍光団である。出て行く光子の波長分布は、発光スペクトルを形成し、これは、励起スペクトルより長い波長(低エネルギー)にてピークに達するが、同様に特定の発蛍光団に特徴的である。
【0088】
表1は、特徴的な吸収スペクトルおよび発光スペクトルとともに利用可能な種々の型の発光化合物およびそれらの励起に適したレーザーを示す。蛍光結合体化ヌクレオチド(例えば、Cy3標識およびCy5標識のチミジンおよびシトシン)は、Amersham Pharmacia Biotechから市販されている。単一の標識ヌクレオチドは、標準的な自動化核酸合成において、非標識バージョンの残りの3つのヌクレオチドとともに使用される。合成される単位特異的マーカー(すなわち、核酸プローブ)のヌクレオチド含有量に依存して、所定の合成反応において、異なる単位特異的マーカーの蛍光を等しくするために、標識バージョンおよび非標識バージョン両方の同じヌクレオチドを含むことが必要であり得る。
【0089】
ほとんどの蛍光団は、放射のピーク波長を示すが、その放射スペクトルはまた、ある範囲の波長に及び、1つの蛍光団が別の蛍光団の検出チャネルへと放射され得る可能性を生じる。蛍光団間の蛍光の重複を減少させるために、各々から別の検出器への信号は、補償によって減弱される。この技術は、フローサイトメトリーの分野で公知でありかつ慣用的に実施される。簡潔には、各蛍光団からその意図された検出器への信号の割合は、同じ蛍光団が別の蛍光団の検出器へ放射する信号から差し引かれる。補償は、広い重複する放射スペクトルを有する蛍光団の組み合わせを使用する場合に、実施されるべきである。
【0090】
(表1)
【0091】
【表1】
放射性化合物は、α、βまたはγ核放射線を放射する物質である。α線は、質量数4の陽に荷電した粒子であり、そして電磁場によって僅かに偏向される。β線は、負に荷電した電子であり、そして電磁場によって強力に偏向される。γ線は、電磁放射の光子であり、電磁場によって偏向されず、そして10−8〜10−9cm程度の波長である。放射性化合物は、ステーションを通過する際に核放射を放射する。ステーションがシンチレーション層である場合、核放射は、シンチレーション層と相互作用し、そして蛍光励起を引き起こす。次いで、放射性標識されたマーカーを示す蛍光信号が検出され得る。
【0092】
単位特異的なマーカーおよび/またはポリマーは、抗体または抗体フラグメント、およびそれらの対応する抗原またはハプテン結合パートナーを使用して、標識され得る。このような結合した抗体およびタンパク質またはペプチドの検出は、当業者に周知の技術によって達成される。ハプテン結合体(例えば、ジゴキシゲニンまたはジニトロフェニル)の使用もまた、本明細書中で充分適切である。ハプテン結合体に応答して形成する抗体/抗原複合体は、標識を、ハプテンまたはハプテンを認識する抗体に連結し、次いでこの標識の部位を観察することによって、容易に検出される。あるいは、これらの抗体は、使用される一次抗体に特異的な二次抗体またはそのフラグメントを使用して、可視化され得る。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体が使用され得る。抗体フラグメントとしては、Fab、F(ab)2、FdおよびCDR3領域を含む抗体フラグメントが挙げられる。これらの結合体はまた、二重特異的抗体を使用して標識され得る。
【0093】
なお別の実施形態において、ポリマーは、配列非依存的標識(骨格標識を含む)を用いて標識される。このポリマーが核酸である場合、配列非依存的標識は、核酸染色といわれる。核酸染色は、インターカレート色素(例えば、フェナントリジンおよびアクリジン(例えば、エチジウムブロマイド、プロピジウムヨーダイド、ヘキシジウムヨーダイド、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー−1およびエチジウムホモダイマー−2、エチジウムモノアジド、ならびにACMA));副溝結合因子(例えば、インドールおよびイミダゾール(例えば、Hoechst33258、Hoechst33342、Hoechst34580およびDAPI));ならびに種々の核酸染色(例えば、アクリジンオレンジ(インターカレーティングもまたし得る)、7−AAD、アクチノマイシンD、LDS751およびヒドロキシスチルバミジン、であり得る。上記核酸染色の全ては、Molecular Probes,Inc.のような業者から市販される。核酸染色のなお他の例としては、Molecular Probesからの以下の色素が挙げられる:シアニン色素(例えば、SYTOX Blue、SYTOX Green、CYTOX Orange、POPO−1、POPO−3、YOYO−1、YOYO−3、TOTO−1、TOTO−3、JOJO−1、LOLO−1、BOBO−1、BOBO−3、PO−PRO−1、PO−PRO−3、BO−PRO−1、BO−PRO−3、TO−PRO−1、TO−PRO−3、TO−PRO−5、JO−PRO−1、LO−PRO−1、YO−PRO−1、YO−PRO−3、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBR Gold、SYBR Green I、SYBR Green II、SYBR DX、SYTO−40、SYTO−41、SYTO−42、SYTO−43、SYTO−44、SYTO−45(青)、SYTO−13、SYTO−16、SYTO−24、SYTO−21、SYTO−23、SYTO−12、SYTO−11、SYTO−20、SYTO−22、SYTO−15、SYTO−14、SYTO−25(緑)、SYTO−81、SYTO−80、SYTO−82、SYTO−83、SYTO−84、SYTO−85(オレンジ)、SYTO−64、SYTO−17、SYTO−59、SYTO−61、SYTO−62、SYTO−60、SYTO−63(赤)。
【0094】
単位特異的マーカーおよび外部標識は、互いに結合体化または連結される。外部標識は、当該分野で公知の任意の手段によって、単位特異的マーカーに連結または結合体化され得る。例えば、これらの標識は、単位特異的マーカーに直接結合され得るか、または単位特異的に結合されるリンカーに結合され得る。単位特異的マーカーは、このプロセスを増強するために、リンカーを含むようにか、またはリンカーへの結合を容易にするように、化学的に誘導体化され得る。例えば、蛍光団は、化学手段によって核酸に直接取り込まれるが、核酸に取り込まれた活性なアミノ基またはチオール基を介しても、核酸に取り込まれる(Proudnikov and Mirabekov、Nucleic Acid Reseach、24:4535−4532、1996)。マーカーに対して実施され得る改変手段の広範な説明、リンカーおよび/または標識は、Hermanson,G.T.、Bioconjugate Techniques、Academic Press Inc.、San Diego、1996(本明細書中で参考として援用される)中に見出され得る。
【0095】
DNAの直接的化学標識の、いくつかの公知の方法が存在する(Hermanson、1996;Rogetら、1989;Proudnikov and Mirabekov、1996)。これらの方法のうち1つは、DNAの部分的脱プリン化による、アルデヒド基の導入に基づく。ヒドラジン基が結合した蛍光標識は、これらのアルデヒド基と効率的にカップリングし、そしてこれらのヒドラジン結合は、約60%のナトリウム標識効率で、還元によって安定化される。過剰のアミン蛍光団の存在下での、シトシンと亜硫酸水素塩との反応は、N4位でのアミノ基転移を生じる(Hermanson、1996)。反応条件(例えば、pH、アミン蛍光団濃度、ならびにインキュベーション時間およびインキュベーション温度)は、形成される生成物の収率に影響を与える。高濃度のアミン蛍光団(3M)で、アミノ基転移は、100%に達し得る(Draper and Gold、1980)。
【0096】
上記の方法に加えて、蛍光標識されたヌクレオチドを使用して、(例えば、自動化核酸合成器を使用して)新規に核酸を合成することもまた可能である。このようなヌクレオチドは、Amersham Pharmacia Biotech、Molecular ProbesおよびNew England Nuclear/Perkin Elmerのような業者から市販される。
【0097】
光放射化合物は、単位特異的マーカーに結合され得るか、または当該分野で公知の任意の機構によって結合され得る。例えば、種々の光放射基と反応性の官能基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(官能基:光放射化合物の反応性の基)活性化エステル:アミンまたはアニリン;アシルアジド:アミンまたはアニリン;アシルハライド:アミン、アニリン、アルコールまたはフェノール;アシルニトリル:アルコールまたはフェノール;アルデヒド:アミンまたはアニリン;アルキルハライド:アミン、アニリン、アルコール、フェノールまたはチオール;アルキルスルホネート:チオール、アルコールまたはフェノール;無水物:アルコール、フェノール、アミンまたはアニリン;アリールハライド:チオール;アジリジン:チオールまたはチオエーテル;カルボン酸:アミン、アニリン、アルコールまたはアルキルハライド;ジアゾアルカン:カルボン酸;エポキシド:チオール;ハロアセトアミド:チオール;ハロトリアジン:アミン、アニリンまたはフェノール;ヒドラジン:アルデヒドまたはケトン;ヒドロキシアミン:アルデヒドまたはケトン;イミドエステル:アミンまたはアニリン;イソシアネート:アミンまたはアニリン;およびイソチオシアネート:アミンまたはアニリン。
【0098】
標識されたポリマーは、標識から信号を発生させるために、エネルギー源に暴露される。本明細書中で使用する場合、標識されたポリマーは、エネルギー源に対して相互作用する近位に、ポリマーに結合した標識された単位特異的マーカーを位置づけまたは提示することによって、エネルギー源に「暴露」され、その結果、エネルギー移動は、エネルギー源から標識された単位特異的マーカーへと生じ得、それにより、検出可能な信号を生じ得る。相互作用する近位とは、検出可能な信号を生じる相互作用または変化を可能にするために充分近いことを意味する。
【0099】
エネルギー源は、電磁放射および蛍光励起源からなる群より選択され得るが、これらに限定されない。「電磁放射」は、本明細書中で使用される場合、電磁波によって生成されるエネルギーである。電磁放射は、直接的光源の形態であり得るか、または光放射化合物(例えば、ドナー蛍光団)によって放射され得る。「光」は、本明細書中で使用される場合、可視、赤外線および紫外線を含む任意の波長の電磁エネルギーを含む。蛍光励起源は、本明細書中で使用される場合、供給源蛍光を生じ得るか、または光子放射を生じ得る任意の実体である(すなわち、電磁放射、有向(directed)電場、温度、物理的接触または機械的破壊)。
【0100】
1つの局面において、この方法は、さらに、単位特異的マーカーの標識から生じる別個の信号を生成するために、ステーションに、標識されたポリマーを暴露する工程を包含する。本明細書中で使用される場合、標識されたポリマーは、ステーションに対して相互作用する近位に、ポリマーに結合した標識された単位特異的マーカーを位置づけまたは提示することによって、ステーションに「暴露」され、その結果、ステーションにおけるエネルギー移動または物理的変化が生じ得、それにより、検出可能な信号を生じ得る。「ステーション」は、本明細書中で使用される場合、ポリマーの部分(このポリマーに結合した、標識された単位特異的マーカーを有する)は、信号またはポリマー依存的インパルスを発生させるために、エネルギー源に暴露される領域である。ステーションは、気体を含む任意の物質から構成され得るが、好ましくは、このステーションは、非液体物質である。1つの好ましい実施形態において、このステーションは、固体物質から構成される。標識された単位特異的マーカーが、ステーションにおいてエネルギー源と相互作用する場合、このステーションは、相互作用ステーションと称される。「相互作用ステーション」は、標識された単位特異的マーカーおよびエネルギー源が、相互作用するのに互いに充分近位に配置され得る領域である。蛍光団のための相互作用ステーションは、標識された単位特異的マーカーおよびエネルギー源が、これらがエネルギー的に相互作用して信号を発生し得るように、互いに充分近接する領域である。
【0101】
標識された単位特異的マーカーが、ステーションおよび/またはエネルギー源に連続的に暴露される場合、このマーカー(従って、ポリマー)ならびにステーションおよび/またはエネルギー源は、互いに対して移動する。本明細書中で使用される場合、マーカーならびにステーションおよび/またはエネルギー源は、互いに対して移動し、このことは、マーカー(従って、ポリマー)またはステーションおよび/もしくはエネルギー源が共に移動するか、あるいは2つのうち1つだけが移動し、そして他方が静止しているかのいずれかを意味する。これら2つの間の移動は、当該分野で公知の任意の手段によって達成され得る。例として、マーカーおよびポリマーは、電流によって、静止ステーションを通って引かれ得る。ステーションを通ってマーカーおよびポリマーを移動させるための他の方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:磁場、機械的力、流れる液体媒体、圧力システム、吸引システム、重力および分子モータ(例えば、ポリマーが核酸である場合にはDNAポリメラーゼまたはヘリカーゼ、ポリマーがアクチンのようなペプチドである場合にはミオシン)。ポリマーの移動は、ポリマーを導くための、チャネル、溝またはリングの使用によって促進され得る。このステーションは、標的ポリマー(この標的ポリマーに結合した、標識された単位特異的マーカーを有する)を引き続いて受容し、そして標識とエネルギー源との相互作用を可能にするように構築される。
【0102】
好ましい実施形態における相互作用ステーションは、局在化したエネルギー源が、チャネルを通るポリマーと相互作用し得る、ナノチャネルの領域である。ポリマーが、因子の局在化した領域を通過する点が、相互作用ステーションである。各標識された単位特異的マーカーがエネルギー源を通過する際に、検出可能な信号が発生する。エネルギー源は、チャネルから離れて配置されるが、導波管を通るチャネル領域に光を直接輸送し得る光源であり得る。複数のポリマーが複数のチャネルを通じて輸送される装置もまた、使用され得る。ポリマーの移動は、ポリマーを導くために、溝またはリングの使用によって補助され得る。
【0103】
相互作用ステーションを作製するための他の構成は、本発明によって包含される。例えば、ポリマーは、壁の表面にテザー化されたかまたは壁に包埋された分子モータを通過し、それによって、ポリマー単位を、特定の位置(好ましくはエネルギー源に相互作用する近位)へと連続的にもたらし得、それによって相互作用ステーションを規定し得る。分子モータは、ポリマーと相互作用し、そして各単位を通過したポリマーの長さに沿って輸送される、ポリメラーゼまたはヘリカーゼのような化合物である。同様に、このポリマーは、静止位置に保持され得、そしてリーダーは、ポリマーに沿って移動され得、このリーダーは、ポリマーをエネルギー源に結合させている。例えば、エネルギー源は、ポリマーの長さに沿って導かれる走査チップ内に維持され得る。次いで、エネルギー源が各標識された単位特異的マーカーに対して相互作用する近位へと移動される場合に、相互作用ステーションが作製される。
【0104】
上記で考察したように、多くの方法が、チャネルを横切り、かつ相互作用ステーションまたは信号発生ステーションを通って、ポリマーを直線的に移動させるために使用され得る。本発明に従う好ましい方法は、電場を利用する。いくつかの研究(Bustamante、1991;Gurrieriら、1990;Matsumotoら、1981)において以前に実証されたように、このポリマーは、印加された場の方向に伸び、そして整列するので、電場は、チャネルを通してポリマーを引くために使用され得る。チャネルを通るポリマーの直線的交差に関するほとんどの実験は、Kasianowiczら、1996およびBezrukovら、1994(これらの各々が、本明細書中で参考として援用される)に記載されるように、ポリマー分子が電場を用いてタンパク質チャネルを通って引かれる実験から生じる。
【0105】
チャネルを横切るポリマーの最適な直線的交差を達成するために、チャネルの直径およびポリマーの直線的な交差を指向するために使用される方法(例えば、電場)を考慮することが重要である。チャネルの直径は、標識されたポリマーの直径と充分対応するべきである。直線的交差のための理論は、ポリマーの直径と充分対応するチャネルの直径である。例えば、DNAポリメラーゼのリング様のスライドするクランプは、二本鎖DNAの直径と充分対応し、そしてDNA分子の直線的交差を達成するのに首尾よい内径を有する。何キロベースものDNAは、このスライドするクランプを通され得る。いくつかの参考文献はまた、チャネルの直径がDNAの直径と充分対応する場合に、チャネルを通るDNAの直線的交差が生じることを実証している(Bustamante、1991;Gurrieriら、1990;Matsumotoら、1981)。
【0106】
一本鎖DNAは、この実験において使用される場合、約1.6nmの直径を有する。約1.7〜3nmの内径を有するチャネルは、一本鎖DNA分子の直線的交差を可能にするのに充分である。チャネルおよびDNAの直径は、正確に一致する必要はないが、好ましくは類似である。直径3.4nmを有する二本鎖DNAについて、3.5nmと4.5nmとの間のチャネルサイズが、直線的交差を可能にするのに充分である。
【0107】
相互作用ステーションは、局在化された放射スポットが、1つまたはいくつかのポリマー単位またはナノメートル以下のオーダーの単位特異的マーカー標識と相互作用することを可能にする、独自の配置および構成を使用する。光学検出器は、相互作用によって改変された光を検出し、そしてプロセッサに検出信号を提供する。
【0108】
標識されたポリマーが相互作用ステーションを通過する場合、光学供給源は、相互作用ステーションの光学構成要素に指向された相互作用ステーションを通過するポリマーを特徴付けるための、放射電場もしくは放射電磁場、X線放射、または可視放射もしくは赤外放射を放射する。光学構成要素は、以下のa)、b)またはc)と直接相互作用する局在化放射スポットを生成する:a)ポリマー骨格(例えば、ポリマー骨格が放射を発するインターカレーターと結合する場合)、b)単位特異的マーカーに結合した標識、またはc)骨格単位および標識の両方。局在化した放射スポットは、少なくとも1つの次元で局在化した、非放射に近い場またはエバネッセント波を含む。局在化した放射スポットは、従来の光学において使用される回折により制限される分解よりも、かなり高い分解を提供する。
【0109】
標識された単位特異的マーカーと因子との間の相互作用は、種々の形態で生じ得る。第一の例として、この相互作用は、電磁放射であるエネルギー源と、光放射化合物である標識された単位特異的マーカー(好ましくは、光放射化合物を用いて外的に標識された単位特異的マーカー)との間で生じ得る。この光放射化合物が(例えば、適切な波長のレーザービームまたはドナー蛍光団から放射される電磁放射によって)電磁放射に暴露される場合、この電磁放射は、光放射化合物に、特定の波長の電磁放射を放射させる。第二の型の相互作用は、蛍光励起源であるエネルギー源および光放射化合物で標識された単位特異的マーカーを含む。光放射単位が蛍光励起源に接触される場合、この蛍光励起源は、光放射化合物に、特定の波長の電磁放射を放射させる。両方の例において、測定される信号は、光放射の特徴的なパターンを示し、このことは、ポリマーの特定の単位が特定の位置に存在することを示す。
【0110】
これらの型の相互作用のバリエーションは、相互作用の第三の構成要素である、信号の発生に関与する近位化合物の存在を含む。例えば、単位特異的マーカーは、ドナー蛍光団である光放射化合物で標識され得、そして近位化合物は、アクセプター蛍光団であり得る。光放射化合物が励起状態に置かれ、そしてアクセプター蛍光団に対して近位にされる場合、エネルギー移動は、ドナーとアクセプターとの間で生じ、光放射性の単位特異的マーカーの存在の測定値として検出され得る信号を発生させる。光放射化合物は、光(例えば、レーザービーム)に暴露されることによってか、または蛍光励起源に暴露されることによって、「励起」状態に置かれ得る。
【0111】
光放射化合物が近位化合物であり、そして標識された単位特異的マーカーがアクセプター供給源である、上記の相互作用と平行な1セットの相互作用が作製され得る。これらの例において、エネルギー源は、近位化合物によって放射される電磁放射であり、そして信号は、標識された単位特異的マーカーを近位化合物と相互作用する近位にもたらすことによって発生される。
【0112】
これらの相互作用の各々が検出可能な信号を発生させる機構は、当該分野で公知である。PCT出願WO98/35012およびWO00/09757(それぞれ、1998年8月13日および2000年2月24日公開)ならびに米国特許第6,355,420号B1(2002年3月12日発行)は、ドナー蛍光団およびアクセプター蛍光団が本発明に従って相互作用して、この型の相互作用から生じることが公知である実際の制限を含む検出可能な信号を発生させる機構、およびこのような制限を低減または排除する方法を記載する。
【0113】
いくつかの実施形態において、このシステムはまた、ポリマーアラインメントを提供する。ポリマーアラインメントステーションおよび相互作用ステーションは、基板、石英ウエハおよびガラスカバーを、必要に応じて備える。基板は、非導電性の化学的に不活性な物質(例えば、Teflon(登録商標)またはDelrin(登録商標))から加工されて、導電性流体(例えば、アガロースゲル)および標的ポリマーの流れを容易にする。基板は、金ワイヤを受容するように加工された溝を備え、これは、相互作用ステーションを横切ってポリマー分子を進めるために使用される電場の形状に従って選択された形状を有する。石英ウエハは、基板上に密封される。
【0114】
あるいは、溝およびワイヤは、石英ウエハ上に直接位置付けられた金属領域によって置換され得るか、または電場を発生させるための外部電極によって置換され得る。一般に、これらの電極は、約ミリメートル〜5センチメートル、そして好ましくは2センチメートルの範囲の距離にわたって離れて間隔を空けられ、そして代表的には約20V/cmの場の強度を提供する。
【0115】
アラインメントステーションおよび相互作用ステーションは、石英ウエハ上で一緒に製造され得る。もちろん、単一の石英ウエハは、数百または数千のアラインメントステーションおよび相互作用ステーションを備え得る。いくつかの重要な実施形態において、この石英ウエハは、金属層(例えば、アルミニウム、金、銀)で被覆され、そしてその表面上に製造されたマイクロチャネルを有する、石英基板を備える。金属層を介して、局在化放射スポットを提供する光学要素を形成するスリットが製造される。これらのスリットは、1nmと5000nmとの間の範囲、そして好ましくは1nmと500nmとの間の範囲、そしてより好ましくは10nmと100nmとの間の範囲で、選択された幅を有する。これらのスリットは、1μm〜50μmの範囲の幅および数百μmの長さを有するマイクロチャネルの向かいに配置される。金ワイヤによって発生される電場は、ポリマー(例えば、DNA分子)を、スリットを通してマイクロチャネルを介して引く。
【0116】
ポリマーアラインメントステーションは、マイクロチャネルへの遷移領域を介して結合される幾つかの領域において、幾つかのアラインメントポストを含む。アラインメントポストは、円形の断面を有し、約1ミクロンの直径であり、約1.5ミクロンの間隔で配置され、試験するポリマーの長さに依存して、マイクロチャネルから約5μm〜500μm(および好ましくは、約10μm〜200μm)に位置する。例えば、ポリマーが、バクテリオファージT4 DNA(約167000塩基対を有する)である場合、アラインメントポストは、ナノスリットから約30μmに位置する。一般的に、ナノスリットからの距離は、ポリマーの予想される長さの約半分である。
【0117】
好ましい実施形態において、ポリマーは、それらが相互作用区域に到達する前に、整列および伸長される。アラインメントステーションは、三角形のマイクロチャネル、マイクロポスト領域、および侵入領域を含み、これらは全て表面上に作製される。
【0118】
侵入領域は、約50ミクロンの幅であり、マイクロポスト領域に連絡する。マイクロポスト領域は、幾つかのアラインメントポストを含む。アラインメントポストは、円形の断面を有し、約1ミクロンの直径である。このアラインメントマイクロポストは、12〜15行での約1.5ミクロンの間隔で配置される。マイクロポスト領域は、約26.6°で傾斜している。
【0119】
マイクロポストは、相互作用ステーションから約100μm〜5,000μm(および好ましくは、約1,000μm〜3,000μm)に位置し、ここで、ポリマーの単位(例えば、DNA)は、光学的放射と相互作用する。マイクロチャネルは、マイクロポストからの放出後に、ポリマーを伸長した構造に維持する定常X−方向剪断の領域である。電場は、マイクロチャネルを通じて試験するポリマーを引く。
【0120】
ポリマー(例えば、DNA)均一性を伸長させるのに非常に有効な技術は、テーパー付けされたマイクロチャネルの内側に遮蔽場を設け、それに続いて、伸長を維持するための定常剪断区域を得、そしてポリマー中でコイリングしたままのいずれかを真っ直ぐにすることである。好ましい実施形態は、マイクロポストと、異なる漏斗構造の2つの領域を結合する構造である。流体バルク流の予想可能な挙動のために、圧力流は、このましい推進力である。
【0121】
光源から放射される光線は、局在化した放射スポットを生成するように金属層において形成されたナノスリットと相互作用する。ナノスリットの幅より何倍もの大きい直径を有するレーザー光線は、石英ウェハの背側を照射し、石英ウェハを通じて伝播し、そしてナノスリットと相互作用する。非放射の近接場である局在化した放射スポットは、マイクロチャネルを通じて引かれるように、ポリマー鎖の単位を連続的に照射する。局在化した放射スポットは、ナノスリットから放射される一過性の波動として理解され得る。ナノスリットの幅が、光線の波長より小さいので、放射は、フレネル様式で生じる。
【0122】
光学システムはまた、光源と石英ウェハとの間に配置される偏光子を備え得、そして、石英ウェハと光学検出器との間に配置されるノッチフィルターを備える。偏光子が、ナノスリットの長さに対して平行に、光線をベクターEに指向させる場合、ナノスリットから放射される近接場放射が存在するが、遠方場放射は存在しない。偏光子が、ナノスリット(多波長の長さである)に対して垂直に、光線をEベクトルに指向させる場合、ナノスリットからの遠方場放射が存在する。付帯光線を選択的に偏光させることによって、光学システムは、近接場放射と遠方場放射との間で切り換わり得る。
【0123】
単位特異的マーカーが、発蛍光団で標識された単位特異的マーカーによって検出される代表的なシステムにおいて、光学システムは、レーザー光源、音響光学可変調フィルター、偏光子、ノッチフィルター、増圧器およびCCD検出器、およびビデオレコーダー(VCR)に接続されたビデオモニターを備える。標的ポリマーを有する個々の単位は、選択された励起波長に対して感受性のある発蛍光団で選択的に標識される単位特異的マーカーを介して検出される。音響光学可変調フィルターは、レーザー光源から放射される光の励起波長を選択するために使用される。励起光線は、非放射近接場を生成するためにナノスリットと相互作用する。金ワイヤ間の電場は、各々標識された単位と放射との相互作用を引き起こす公知の速度でポリマーを引く。発蛍光団が、スリットを通じて動くので、放射された放射は、発蛍光団を励起し、次いで、蛍光放射を再放射する。ノッチフィルターによって、蛍光波長を有する放射は、励起波長を有する放射を通過させ、減衰させることが可能になる。このことは、ノイズ分解能に対するシグナルを増大させるのに役立ち、光学フィルターの後者の使用は、当該分野で公知である。石英ウェハ上の数mmから数cmの位置にある電荷結合素子(CCD)検出器は、蛍光放射を検出する。CCD検出器は、発蛍光団が、それらを横切って動くので、多数のナノスリットの各々について別々に、蛍光放射を検出し得る。このプロセスは、石英ウェハ上に位置する多数のナノスリットで潜在的に生じ得る。
【0124】
電場を使用して、標的ポリマーを、ナノスリットの近くに配置し得る。このナノスリットは、非放射場を「放出」し、これは、ほんの1波長または2波長の距離で減衰される。発蛍光団を非放射場の範囲内に配置するためには、ポリマーをナノスリット(および金属フィルム)に近付けて、従って、金属層に近付けて引くことが必要であり得る。このポリマーは、交流(AC)場を金属層に印加することによって生じる誘電力を使用して、ナノスリットに近付けて引かれる。例えば、「Trapping of DNA in Nonuniform Oscillating electric Fields」、Charles L.AshburyおよびGer van den Engh,Biophysical Journal,第74巻、1024−1030頁(1998)、「Molecular Dielectrophoresis of Biopolymers」、M.Washizu,S,Suzuki,O.Kurosawa,T.Nishizaka,およびT.Shinohara,IEEE Transactions on Industry Applications,第三0巻、No4、835−843頁(1994)、ならびに「Electrostatic Manipulation of DNA in Microfabricated Structures」、M.WashizuおよびO.Kurosawa,IEEE Transactions on Industry Applications,第二6巻、No6、1165−1172頁(1990)を参照のこと。一般的には、「Dielectrophoresis:The Behavior of Neutral Matter in Nonuniform Electric Fields」、Pohl,H.A.,Cambridge University Press,Cambridge,UK,1978を参照のこと。不均一な場は、ポリマー(例えば、DNA分子)の分極した単位を金属層に引きつける。
【0125】
このシステムは、線状化されたポリマー分子がナノチャネルに接近し、そしてそのナノチャネルを通過する際に、ナノチャネルにわたるイオン電流を測定し得る、第二の相互作用ステーションを、必要に応じて備え得る。このイオン電流の検出される遮断は、そのポリマー分子の長さおよび他のポリマー特徴を特徴付けるために使用され得る。この相互作用ステーションは、電極を使用して、対の電極に対して垂直な方向に、チャネルを横断する電圧を印加して、ポリマー分子をチャネルを通して引き得る。この対の電極は、制御装置に配置されるマイクロ電流計に接続され、そしてこの配置は、ナノチャネルにわたるイオン電流を測定するように働く。あるいは、マイクロ電流計は、ブリッジによって置き換えられ、このブリッジは、このチャネルの、ポリマーの非存在下でのインピーダンス(Z1)とポリマーの存在下でのインピーダンス(Zx)とを比較する。ポリマーがこのチャネルに存在しない場合、電圧計は、0Vを示す。広げられた、ほぼ線状のポリマーが、このチャネルを通過する場合、その存在は、電極間での通常のイオンの流れを、検出可能に減少させるか、または完全に遮断する。
【0126】
対の電極は、1ミクロン未満のリソグラフィーを使用して作製され、そしてブリッジ(インピーダンスの変化を検出するため)またはマイクロ電流計(イオン電流を測定するため)のいずれかに接続される。チャネルにわたって測定されたデータは、増幅され、そしてこの増幅されたシグナルが、低域フィルタを使用してフィルタリングされ(例えば、1秒間あたり64,000サンプル)、そしてこのデータが、選択されたサンプリング速度で、アナログデジタル変換器によってデジタル化される。システム制御装置またはプロセッサは、イオン電流の一時的な低下を、ポリマー単位の速度と相関付け、そしてそのポリマーの長さ(例えば、DNA分子またはRNA分子の長さ)を決定する。
【0127】
整列領域、マイクロチャネルおよびスリットの作製は、以前に、公開されたPCT出願番号WO00/09757に記載されている。
【0128】
ナノチャネルから放出される、近距離場および遠距離場の放射光を検出するための光学系もまた、使用され得る。この系において、光源は、光線を放出し、この光線は、以下に記載される技術を使用して、導波管の入力側に収束される。エバネセント波とポリマーとの相互作用の後に、近距離場放射光が、導波管によって収集され、そして出力側からの工学検出器に光学的に結合される。遠距離場は、レンズによって収集され、チューナブルフィルタによってフィルタリングされ、そしてPMT検出器に提供される。光源(例えば、LEDまたはレーザーダイオード)が、石英ウエハ上に組み込まれ得る。この配置は、入力側と整列されなければならない外部光源の必要性を排除する。この光源は、直接バンドギャップ材料(例えば、UV放射光を発生させるためにはGaN、または緑色波長の放射光を発生させるためにはGaP:N)を使用して作製される。
【0129】
石英ウエハはまた、検出およびフィルタリングのための外部設定を回避するために、一体化された光学検出器を備え得る。一体化されたアバランシェフォトダイオードまたはPINフォトダイオードは、励起波長をフィルタリングで除去するためのインサイチュフィルタと一緒になって、光線を受ける。種々の一体化された光学素子は、「Integrated Optoelectronics − Waveguide Optics,Photonics,Semiconductors」、Karl Joachim Ebeling,Springer−Verlag,1992に記載されている。例えば、波形導波管が、逆方向結合器として使用され、その結果、狭い周波数帯内の光が反射され、フィルタリング作用を生じる。別のフィルタは、近く接近した異なる分散関係を有する2つの導波管を使用して作製される。一方の導波管からの光が、屈折率の一致が存在する波長に対して、他方に結合される。これらの導波管に電圧を印加することによって、分散曲線がシフトし、そして得られるフィルタのスペクトルが変化して、チューナブルフィルタを提供する。
【0130】
別の実施形態において、この光学系は、上記のように、10MHz〜1GHzの範囲の周波数で変調される放射光を使用する。
【0131】
異なる型の外部光源から光の、導波管内への異なる型の結合が使用され得る。例えば、光源は、光線を放出し、この光線は、集光レンズを使用して、三角形の導波管の入力側に集束される。あるいは、光線を三角形の導波管に結合するために、プリズムが使用される。光線は、プリズムによって回折され、そしてこのプリズム内で全反射を起こす。このプリズムは、SiO2体積の表面に位置し、そして層を横切るビームを導波管に光学的に結合させるように配置される。あるいは、光線を三角形の導波管に結合させるために、回折格子が使用される。格子は、導波管上に作製され、その結果、この格子は、光線176を先端部に向けて回折させる。あるいは、光ファイバーが、光線を三角形の導波管に結合させる。光を導波管に結合させるための異なる様式は、Fundamentals of Optics,Clifford R.Pollock,Richard D,Irwin,Inc.,1995に記載されている。
【0132】
導波管の作製は、1999年8月13日に出願された、公開されたPCT特許出願PCT/US99/18438に記載されている。
【0133】
本発明の別の実施形態は、共焦点蛍光の照射および検出を利用する。共焦点照射は、小さい光学体積(ピコリットルのオーダー)が照射されることを可能にする。レイリー散乱とラマン散乱との両方が、小さいプローブ体積を使用して、最小にされる。この光学装置は、光源、フィルタ、二色性ミラー、対物レンズ、狭帯域フィルタ、ピンホール、レンズ、および検出器を備える。この光源(これは、1mWアルゴンイオンレーザーである)は、レーザービームを発生させ、このレーザービームは、フィルタを通過する。このフィルタは、約514nmの波長の集光されたビームを提供する、レーザーラインフィルタである。フィルタリングされたビームは、二色性ミラーによって反射され、そして対物レンズによって、DNA分子のようなポリマーの領域に集束される。この対物レンズは、100×1.2NAの油浸漬対物レンズである。
【0134】
励起されたタグは、蛍光の放出を提供し、この蛍光は、二色性ミラーおよび狭帯域フィルタ(例えば、Omega Opticalによって製造される)を通過し、そして100μmのピンホールに集束される。この蛍光は、非球状レンズによって、検出器に収束され、この検出器は、光子計数モードで作動する、アバランシェフォトダイオード(例えば、EG&G Canadaによって製造される)である。このフォトダイオードからの出力シグナルは、マルチチャネルスケーラー(EG&G)によって収集され、そして汎用コンピュータを使用して分析される。
【0135】
共焦点装置は、飛行時間を含む定量的適用のために適切である。このような適用としては、DNA上の距離を測定すること、タグ化配列を検出すること、およびDNAにおける伸長の程度を決定することが挙げられる。単一の蛍光性分子が、この装置を使用して検出され得る。あるいは、画像化装置は、顕微鏡に取り付けられた増強CCD(ICCD、Princeton Instruments)を使用する。
【0136】
本明細書中に記載される方法によれば、各分析は、好ましくは2つ以上の検出可能なシグナルを捕捉または検出することを意図する。本明細書中に記載されるように、第一の単位特異的マーカーは、エネルギー源と相互作用して、第一のシグナルを生成し得、そして第二の単位特異的マーカーは、エネルギー源と相互作用して、第二のシグナルを生成し得る。このように生成されたシグナルは異なり、従って、互いに別である。別のシグナルとは、本明細書中において使用される場合、互いから区別され得るシグナルをいう。このことは、1より多い型の単位が、単一の標的ポリマーにおいて検出されることを可能にする。このことはまた、単位が、標的ポリマーをより徹底的に配列決定することを可能にする。なぜなら、先行技術のアプローチの解像度限界より小さい距離で位置する単位が、ここで別個に検出され得、そしてこれらの位置が区別され得、従って、そのポリマーの長さに沿ってマッピングされるからである。
【0137】
一旦、シグナルが生成すると、このシグナルは次いで、検出され得る。検出手段の特定の型は、発生されるシグナルの型に依存し、このシグナルの型はもちろん、単位とエネルギー源との間で起こる相互作用の型に依存する。この方法に関与する相互作用の大部分は、電磁放射シグナルを生成する。電磁放射シグナルを検出するための多くの方法が、当該分野において公知である。シグナルを検出するための好ましいデバイスは、二次元画像化システムであり、これは、他のパラメータのうちでもとりわけ、低い雑音、高い量子収量、適切なピクセル対画像の相関、および効率的な処理時間を有する。シグナルを検出するために有用なデバイスの例は、二次元蛍光画像化システムであり、これは、蛍光波長範囲の電磁放射を検出する。
【0138】
検出可能なシグナルは、複数の検出器(これらの各々が、狭い範囲の波長の特定の波長のシグナルを検出する)を使用することによって、互いに区別され得る。さらに、シグナルは、光路における種々の二色性反射器、ミラーおよび/または帯域フィルタを使用して分解され、異なる放出波長(これらの各々は、特定の標識(および従って、特定の単位特異的マーカー)の特徴である)を分離し得る。検出器の構成は、このようなミラーおよびフィルタの要件および配置を支配する。ミラーを使用して、特定の波長より低いシグナルを、低波長検出器の方へと回折し得る。フィルタを使用して、ポリマーによって散乱されたのみの励起波長を除去し得る。帯域フィルタは、特定の範囲の波長が通過することを可能にし、そして他の波長を遮断する。ロングパスフィルタは、特定の設定された最小値より高い波長が通過することを可能にする。標識された単位特異的マーカーから放射される蛍光ビームの長さに沿った、光学ミラーおよびフィルタの配置を決定することは、通常の技術の範囲内である。
【0139】
このように発生した検出可能なシグナルは、検出デバイス(必要に応じて、検出ステーションまたはその内部にある)によって捕捉され、そして好ましくは、記録される。先に記載されたように、各標識された単位特異的マーカーによって生成された検出可能なシグナルは、その特定のマーカー、その配列を示し、そしてそのマーカーが結合する標的ポリマーにおける相補的単位に対応する。異なるマーカーからのシグナルが、時間的な(従って、標的ポリマーの長さに沿った距離の)間隔を空けて検出されると、連続的に、シグナルが検出される。全ての単位が検出される必要はなく、そして「連続的に」シグナルを検出するためにシグナルを発生する必要もない。検出チャネルからのピーク出力の時間的分離は、ポリマーがステーションを通って移動する速度(またはステーションがポリマーを通って移動する速度)の知識と一緒になって、2つのマーカー位置間の距離を計算するために使用される。
【0140】
本発明は、使用される検出技術の型の範囲に限定されない。むしろ、本明細書中に記載される方法は、DNAのような線状ポリマー上の配列特異的タグを検出し得る任意のシステムに適用され得る。この型の分析の役に立つ多数の検出スキームが存在し、光学的アプローチおよび非光学的アプローチを含む。これらの検出システムとしては、電子スピン共鳴検出、原子力顕微鏡(AFM)検出、走査トンネル顕微鏡(STM)検出、光学検出、核磁気共鳴(NMR)検出、近位場検出、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)検出、電気検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、および電磁検出システムが挙げられるが、これらに限定されない。適切な検出スキームの例として、走査トンネルシステムが使用されて、線状ポリマーからの配列情報を分析し得るが、但し、単位特異的マーカーは、走査トンネルシステムを使用して区別可能な化合物で標識される。同様に、PCT公開特許出願WO98/35012およびWO00/09757(それぞれ1998年8月13日および2000年2月24日に公開された)ならびに発行された米国特許第6,355,420号(2002年3月12日に発行された)に記載される検出技術が、本発明の方法に従う高分解能線形分析のためそれぞれの標識技術と組み合わせて使用され得る。これらの特許出願の全内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0141】
エネルギー源と標識された特異的マーカーとの間の相互作用に続いて検出されるシグナルは、分析のためにデータベースに格納され得る。格納されたシグナルを分析する1つの方法は、そのポリマーについての連続的な線状配列情報を誘導するために、これらのシグナルを整列させることである。2つ以上の分析(これらの全てが、同じ標識された単位特異的マーカーをコントロールとして含む)を実施することによって、その分析からの配列情報を組み合わせ、これによって、単一の分析においておそらく達成されるよりさらに多くの情報を得ることが可能である。格納されたシグナルを分析するための別の方法は、格納されたシグナルを、別のポリマーからのシグナルのパターンと比較して、これら2つのポリマーの関連性を決定することである。検出されたシグナルを分析するためのなお別の方法は、検出されたシグナルを、既知のポリマーに特徴的なシグナルの既知のパターンと比較して、分析されているポリマーと既知のポリマーとの関連性を決定することである。シグナルの比較は、以下にさらに詳細に議論される。
【0142】
1つの局面において、本発明の方法を使用して、ポリマーの単位の1つ、いくつか、または全てを同定し得る。このことは、骨格上の特定の位置において検出されたシグナルが特定の標識された単位の存在に特徴的であるか否かを決定することにより、個々の単位の型およびポリマーの骨格上でのその位置を同定することによって、達成される。
【0143】
本発明の方法はまた、ポリマーの他の構造的特徴を同定するために有用である。本発明の方法に従ってポリマーを分析することによって得られた構造的情報は、そのポリマーの特徴的特性の同定を包含し得、これは(次に)、例えば、サンプル中のポリマーの存在の同定、またはポリマーの関連性の決定、ポリマーの大きさの同定、ポリマーの2つ以上の個々の単位の間の接近もしくは距離の同定、ポリマーにおける2つ以上の個々の単位の順序の同定、および/あるいはポリマーの単位の一般的組成の同定を可能にする。このような特徴は、種々の目的(例えば、サンプル中での特定のポリマーの存在または非存在の決定)のために有用である。例えば、ポリマーが核酸である場合、本発明の方法は、特定の遺伝子配列が細胞または組織において発現されるか否かを決定するために使用され得る。
【0144】
特定の配列の存在または非存在は、サンプル中の任意のポリマーが、目的のポリマーにおいてのみ見出される個々の単位の特徴的パターンを表すか否かを決定すること(すなわち、検出されたシグナルを、既知のポリマーの既知のパターンのシグナルと比較して、分析されているポリマーと既知のポリマーとの関連性を決定すること)によって、確立され得る。サンプル中でのポリマーの存在または非存在を確立するために、目的のポリマーの配列全体が決定される必要はない。同様に、これらの方法は、1つのポリマーから検出されたシグナルを、別のポリマーからのシグナルのパターンと比較して、これら2つのポリマーの関連性を決定するために有用であり得る。
【0145】
一旦、検出可能な全てのシグナルが生成され、検出され、そしてデータベースに格納されると、これらのシグナルは、そのポリマーについての構造的情報を決定するために分析され得る。このコンピュータは、ポリマーについてのデータを収集するために使用されるものと同じコンピュータであり得るか、またはデータ分析専用のコンピュータであり得る。本発明を実施するために適切なコンピュータシステムは、代表的に、ユーザに情報を表示する出力デバイス、この出力デバイスに接続されたメインユニット、およびユーザからの入力を受ける入力デバイスを備える。メインユニットは、一般に、相互接続機構を介してメモリシステムに接続されたプロセッサを備える。入力デバイスおよび出力デバイスもまた、相互接続機構を介して、プロセッサおよびメモリシステムに接続される。
【0146】
1つ以上の出力デバイスがコンピュータシステムに接続され得ることが、理解されるべきである。例示的な出力デバイスとしては、陰極線管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プリンタ、モデムのような通信デバイス、およびオーディオ出力が挙げられる。1つ以上の入力デバイスがコンピュータシステムに接続され得ることが、理解されるべきである。例示的な入力デバイスとしては、キーボード、キーパッド、トラックボール、マウス、ペンおよびタブレット、通信デバイス、およびセンサのようなデータ入力デバイスが挙げられる。本発明は、コンピュータシステムと組み合わせて使用される特定の入力デバイスまたは出力デバイス、あるいは本明細書中に記載されるものに限定されないこと、が理解されるべきである。
【0147】
コンピュータシステムは、高レベルのコンピュータプログラミング言語(例えば、CまたはC++)を使用してプログラム可能な、汎用コンピュータシステムであり得る。コンピュータシステムはまた、特別にプログラムされた、専用ハードウェアであり得る。汎用コンピュータシステムにおいて、プロセッサは、代表的に、市販のプロセッサであり、そのうちの、シリーズx86プロセッサ(Intelから入手可能であり、そしてAMDおよびCyrix製のデバイスと類似)、680X0シリーズマイクロプロセッサ(Motorolaから入手可能)、PowerPCマイクロプロセッサ(IBM製)ならびにAlphaシリーズプロセッサ(Digital Equipment Corporation製)が、例である。他の多くのプロセッサが、利用可能である。このようなマイクロプロセッサは、オペレーティングシステムと称されるプログラムを実行し、そのうちの、Windows(登録商標)NT、UNIX(登録商標)、DOS、VMSおよびOS8が例であり、これは、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、そしてスケジューリング、デバッグ、入力/出力制御、会計、編集、格納割当て、データ管理およびメモリ管理、ならびに通信制御および関連するサービスを提供する。プロセッサおよびオペレーティングシステムは、高レベルプログラミング言語でアプリケーションプログラムが書き込まれるコンピュータプラットフォームを規定する。
【0148】
メモリシステムは、代表的に、コンピュータ読み取り可能かつ書き込み可能な不揮発性記録媒体を備え、これらのうちで、磁気ディスク、フラッシュメモリおよびテープが、例である。ディスクは、取り外し可能(フロッピー(登録商標)ディスクとして公知)であり得るか、または永久(ハードドライブとして公知)であり得る。ディスクは、多数のトラックを有し、このトラックに、シグナルが、代表的には二進法の形態で、すなわち、1と0との配列として翻訳された形態で、格納される。このようなシグナルは、マイクロプロセッサによって実行されるアプリケーションプログラム、またはアプリケーションプログラムによって処理される、ディスク上に格納された情報を規定し得る。代表的に、作動の際に、このプロセッサは、不揮発性記録媒体から集積回路メモリエレメント(これは代表的に、揮発性のランダムアクセスメモリ(例えば、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)または静的メモリ(SRAM)である)へと、データを読み取らせる。集積回路メモリエレメントは、プロセッサによる情報への、ディスクよりもより速いアクセスを可能にする。プロセッサは、一般に、集積回路メモリ内のデータを操作し、次いで、処理が完了すると、これらのデータをディスクにコピーする。ディスクと集積回路メモリエレメントとの間でのデータの移動を管理するための種々の機構が公知であり、そして本発明は、これらに限定されない。本発明は、特定のメモリシステムに限定されないこともまた、理解されるべきである。
【0149】
本発明は、特定のコンピュータプラットフォーム、特定のプロセッサ、または特定の高レベルプログラミング言語に限定されないことが、理解されるべきである。さらに、コンピュータシステムは、マルチプロセッサコンピュータシステムであり得るか、またはコンピュータネットワークを通じて接続された複数のコンピュータであり得る。
【0150】
格納された、ポリマーについてのデータは、コンピュータのメモリシステムにおけるデータベース(すなわち、データファイル)に格納され得る。各ポリマーについてのデータは、データが、他のポリマーについてのデータとは独立してプロセッサによってアクセス可能であるように(例えば、各ポリマーについて独自の識別名を割り当てることによって)、メモリシステムに格納され得る。
【0151】
以下の実施例は、本発明の実施の特定の例を説明するために提供され、そして本発明の範囲を限定することは意図されない。当業者に明らかであるように、本発明は、種々の組成物および方法において適用を見出す。
【実施例】
【0152】
(実施例1:様々な蛍光性の配列特異的タグ)
多くの異なる型の蛍光性配列特異的タグが存在する。これらとしては、その発光スペクトルによって区別され得る蛍光タグが挙げられる。蛍光タグの例としては、フルオレセイン、Cy3およびCy5のような標準的な染料が挙げられ、これらの全てが、異なる蛍光発光スペクトルを有し、これらのスペクトルは、標準的な分光フィルタリング技術を使用して区別され得る。これらの技術としては、二色性ミラー、帯域フィルタ、ノッチフィルタ、およびこれらの組み合わせが挙げられる。同じスペクトルを有する蛍光タグもまた、蛍光寿命決定によって区別され得る。蛍光寿命とは、所定の発蛍光団の光子の励起と発光との間の時間である。記載されるもののような標準的な発蛍光団については、蛍光寿命は、1ナノ秒〜5ナノ秒のオーダーである。同じ発光スペクトルを有するが異なる寿命を有する2つの発蛍光団を使用することは、系における配列特異的タグの数を多重化するための別のアプローチである。
【0153】
(実施例2:様々な操作トンネルの配列特異的タグ)
示差的なタグ化および高分解能線形分析のための、蛍光に基づかないアプローチの使用は、DNAのような線状分子の、高速での分析および走査のための、走査トンネルチップの使用を包含し得る。この技術を使用する場合、配列特異的タグとしては、金粒子、シリカ粒子、およびナノクリスタルが挙げられ得る。走査トンネルチップは、サイズ分布が可能であるので、示差的タグ化アプローチは、異なる大きさの粒子をプローブ標識として使用し得る。
【0154】
(実施例3:単色励起および多色検出システムと共に使用するために適切な、様々な方の発蛍光団)
単色励起(例えば、単色レーザーシステム)および多色検出器を含むシステムにおいて使用され得る、多数の様々な型の発蛍光団が存在する。例えば、蛍光に基づくアプローチについては、示差的な発光スペクトルに基づいて分光学的に区別され得るタグとしては、Cascade Blue、Alexa染料、Cy染料、テトラメチルローダミン(TAMRA)、ローダミン−6G、赤外染料、Texas RedTM、Oregon Green、フルオレセインが挙げられ、これらの全ては、多数の販売元(Molecular Probes,ORが挙げられるが、これに限定されない)から市販されている。
【0155】
実施例2に言及されたように、大きさもまた、タグを区別するために使用され得る。走査トンネルに基づくアプローチは、大きさに依存するスペクトルを与える半導体ナノクリスタルを使用し得る。例えば、4nmのCdSeナノクリスタルは、3nmのCdSeナノクリスタルとは異なるスペクトル発光を与える。シリカ、金、ラテックスおよびフェリチンの粒子もまた、サイズ弁別システムにおいて使用され得る。異なるタグは、異なる特性(電子的特性、磁気的特性、化学的特性、および生物学的特性が挙げられる)を有し得る。
【0156】
(実施例4:蛍光検出のための実験装置)
DNA分子のような線状ポリマーから配列情報を得るために、種々の実験装置が、本発明の方法と組み合わせて使用され得る。いくつかの実験装置は、PCT公開特許出願WO98/35012およびWO00/09757、ならびに米国特許第6,355,420号に記載されている。これらのアプローチは、DNAを伸長させ、これを複数の励起領域に送達し、そしてDNAの長さに沿った種々の励起領域からの蛍光を検出するために、使用される。適切な他のアプローチは、分子モーターを使用してDNAの鎖を読み取り、依然として、検出システムを使用して、DNAの長さに沿って蛍光を検出する。これらの後者の方法は、分子状の分子(molecular molecule)としてDNAを走査し得るポリメラーゼまたは他の酵素もしくはタンパク質を使用し得る。
【0157】
物理的検出システムとしては、画像化検出、共焦点検出、電気検出、検出の多色方法、近位場分析、およびFRET分析の、CCDに基づく方法が挙げられ得る。他の検出システムとしては、単色照射方法(例えば、単一のレーザー励起波長を使用する狭焦点システム)が挙げられる。単色波長は、各々が異なる発光波長を有する2つの異なる蛍光性実体を励起させる。単色照射システムは、いくつかの例において好ましくあり得る。なぜなら、特に、二重励起系に時々存在する色収差およびパーフォーカルの問題を回避するからである。これらの問題はまた、予め整列された複数の波長(例えば、マルチラインアルゴン−クリプトンレーザーシステムを用いて可能であるような)を使用することによって、二重励起システムにおいて直接克服され得る。複数のレーザー線を結合する光ファイバーもまた、同じ目的を達成し得る。これらの後者のレーザー配置を使用する共焦点検出システムは、本発明の方法において使用するために適切である。
【0158】
(実施例5:多色増強分解を使用する配列問合せ)
多色増強分解方法は、DNAのようなポリマーから配列情報を得るために使用される方法およびプローブセットに適用され得る。プローブの特定の配列がどのように標識されるかに依存して、異なる情報が、DNA分子の鎖から得られ得る。DNA配列分析に関する以下の実施例において、核酸プローブが、配列特異的薬剤として使用される。標的DNA(すなわち、分析されることが意図されるDNA)に対してプローブを結合させることにより、発蛍光団または蛍光色素が、DNAの長さに沿って配置される。本発明の方法は、プローブに蛍光色素または発蛍光団(差異)を導入するか、付着させるかまたは結合させるために、多数の手段または方法を使用する。発蛍光団を核酸プローブに組み込むかまたは結合体化させる方法は、当業者に公知である。従って、この方法は、プローブ標識の方法に依存しないが、但し、このような標識は、標的分子に対するプローブの結合能力を示差的に損なわない。
【0159】
最も簡単なシナリオでは、2つのプローブを用いる標的配列の問い合わせ(interrogation)を、異なる標的配列において方向付けた、差示的に標識したプローブを用いて実施し得る。この例を、図2に示す。図2において、DNAの鎖を、2つの隣接部位において、異なる標識および異なる標的配列に対する特異性を有する2つのプローブと結合させる。この2つの隣接部位は、目的の検出域の分解能以下(sub−resolution)において、互いに関連して配置される。共焦点系において、目的の検出域の分解能以下は、共焦点のλ/2回折限界より低い。光の波長が、532nmである場合、この限界は、266nmまたは782塩基対の情報である。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態において、そして使用する検出系および使用するマーカーの数に依存して、750bp未満、700bp未満、650bp未満、600bp未満、550bp未満、500bp未満、450bp未満、400bp未満、350bp未満、300bp未満、250bp未満、200bp未満、150bp未満、100bp未満、または50bp未満で、互いに分離されたマーカー(従って、単位)を検出することが可能である。
【0161】
第二のシナリオは、同じ配列(従って、同じ標的配列特異性)を有するプローブの使用に関連する。図3は、この状況を例示する。2つの標的部位間の距離は、通常、先行技術において使用されるような光学系の分解限界より低い。この標的分子が、同一の蛍光タグを共有するプローブの溶液に曝される場合、これらのプローブは、その標的分子における隣接標的配列に結合し、そしてそれらの同一の標識のために、分解され得ない。
【0162】
しかし、このプローブの混合物が、2つの異なる標識で標識された等しい数のプローブを含む場合、この空間的制限は、克服される。例えば、50%のプローブ(または蛍光的にタグ化された部位)が、赤色の発蛍光団(Cy5)で標識され、そして50%のプローブが、緑色の発蛍光団(フルオレセイン)で標識される場合、異なる標識化プローブの等モル混合物に起因して、任意の1つの粒子部位に結合された赤色または緑色のいずれかの1つのプローブが存在する可能性は、50%である。このことは、このようなプローブが、2つの隣接部位に結合する方法の、22(すなわち、4)の起こり得る組合せを生じる。2つの隣接部位に結合する、2つの個別に標識されたプローブのこれらの組合せを、図4に例示する。
【0163】
図4に例示するように、起こり得る組合せの半分(すなわち、両方の部位が、緑色標識化プローブによって結合されるか、または両方の部位が、赤色標識化プローブによって結合される組合せ)は、分解されない。しかし、図4に例示される下の2つの組合せは、分解される。これらの組合せにおいて、隣接部位に結合するプローブは、別々に標識され、そして緑色−赤色パターンまたは赤色−緑色パターンのいずれかを提供する。この後者の状況におけるプローブの位置を分解する能力に起因して、DNA分子からの有用な配列情報が得られ得、ハイスループットの直線的分析が可能である。
【0164】
図5は、青色のインターカレート化合物で染色された骨格のさらなる特徴を有する図4のDNA分子から得られ得るシグナルを例示する。シグナル1およびシグナル2は、図4の上の2つのプローブ配置に相当する。シグナル3およびシグナル4は、図4の下の2つのプローブ配置に相当する。シグナル3およびシグナル4は、隣接するタグの二色の増大した分解を可能にし、それ故、これらのプローブ配置のみが、配列情報を導き出す際に、本質的に有用である。それらの同一の配列プローブが、同じ標識で標識される場合、これらのプローブは、これらの間の距離が、空間的分解限界より短い場合、互いに識別され得ない。しかし、異なる標識で標識された同一の配列プローブが使用される場合、これらの隣接部位は、これらの部位(従って結合されたプローブ)間の距離が、空間的分解限界より短い場合でさえ、互いに識別され得る。
【0165】
差示的タグ化によって提供される分解能は、1つの型のタグのみを使用する、従来のタグ化アプローチによって提供される分解能よりかなり高い。Lacosteら(Lacoste,T.D.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.97(17):9461−9466)は、蛍光ベースの検出系を使用して達成され得る、大規模の分解能への見識を提供する。この研究において、Lacosteらは、単一の励起波長で励起された蛍光種と2つの異なる放射で励起された蛍光種との間の高分解能距離間(interdistance)決定を報告する。例えば、蛍光トランスフルオロスフィア(TFS)および半導体ナノ結晶(NC)が、単一のレーザーラインで照射され、そして2つの異なるスペクトル域で放射する粒子が、25nm離れた位置にある場合、識別され得る。分解能の一般的範囲は、LaCosteらの2色画像化アプローチについて25nm〜75nmであった。本発明は、流動ベースの系において固定されるか、または移動するかのいずれかの直鎖DNAの一般的高分解能分析方法を提案する際に、この作業をさらにいくつかの段階に持ち込む。本発明の第二の主要部分は、タグ化ストラテジーの種々の組合せが、差示的タグ化アプローチが、高分解能迅速様式におけるDNAの情報を問い合わせることを可能にすることである。
【0166】
この空間的に分解可能な最小の距離は、約70塩基対の情報に相当する。従って、本発明の方法は、70塩基対間隔において配列情報を決定するために使用され得る。これは、現在の限界である782塩基対間隔を超える大きな改善である。互いに70塩基対の範囲内であるプローブの分解能は、3マーのプローブ間の距離(すなわち、3ヌクレオチド長の無作為に位置付けられたプローブ間の64塩基対)と概算される。本発明の方法を用いて達成され得る分解能はまた、互いに256塩基の範囲内に無作為に位置付けられた4マーのプローブの使用を可能にする。このレベルの分解能は、先行技術の単色分析方法を使用して達成され得ない。
【0167】
図4の例において、プローブの組合せの各々は、25%の存在確立を有する。しかし、これらの組合せの2分の1のみが、役立つ結果を生ずる。しかし、隣接部位の一方のみが、プローブに結合され、そして他方が遊離している(または標識されていない)か、または一方の部位のみがこの系によって検出される場合があるので、この確立は、概算である。プローブの結合は、標的分子に対するプローブの割合を増加させることによって最大にされ得、その結果、プローブの量は、制限的でない。さらに結合効率は、所定のプローブ配列に対応するハイブリダイゼーション条件を最大にすることによって増大され得る。
【0168】
本発明は、プローブの検出効率を増大させるための他のアプローチを企図する。例えば、プローブ混合物の複雑性およびプローブ混合物中に存在する色の数が、増大され得る。1例として、上記の2つの標識の組合せではなく、別々に標識されるが、同一の配列の3つのプローブが、使用され得る。この混合物が、例えば、等しい数の緑色標識化プローブ、赤色標識化プローブおよび青色標識化プローブを含む場合、各プローブは、隣接部位のいずれかに結合する確立を33%で有する(各部位における結合が、他の部位における結合から独立していると仮定する)。このことは、3つの異なるプローブによる2つの隣接部位の結合が、2つの部位を占拠する色の32の起こり得る組合せを生じることに従う。これらの組合せのうちの3つは、分解されない色の組合せである。なぜなら、同じ色のプローブが、両方の部位に結合するからである。しかし、可能な組合せの約67%は、使用可能な情報を生ずる。これは、2色プローブ混合物のみを使用して達成され得る使用可能な組合せの50%を越える増加である。別々に標識されるが、同一の配列の4つのプローブの混合物は、75%の使用可能な起こり得る組合せを生ずる。このプローブ混合物が、100の別々に標識されたプローブを含む場合、99%の起こり得る組合せが、有用な情報を生ずる。従って、本発明は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20、25、30、50、75、100またはそれより多くの別々に標識されたプローブを有するプローブ混合物を含むことを意図する。
【0169】
上記で考察したように、本発明は、種々の長さ(3マー、4マー、5マー、6マーなどが挙げられる)のプローブの使用を企図する。6マーの配列認識タグが使用される場合、任意の所定の配列は、46(すなわち、4096)塩基対ごとに現われることが予測される。ゲノムは、無作為ではないので、標的DNA上の標的配列間の距離範囲(従って、このような標的DNA上の結合されたプローブ間の距離範囲)が存在することが予測される。この範囲は、数個の塩基対〜10000より多い塩基対に及び得る。本明細書中で記載される差示的タグ化系によって提供されるより高い分解能は、互いから4096塩基対の範囲内に現れ得る6マーの配列の分解を可能にする。本発明の高分解能方法は、特にプローブが互いから短い距離の範囲内に配置される場合、DNA分子がチャンネル系を通過する速度を犠牲にしない。実際に、上述のように、互いから70塩基対程度近くに配置されるプローブは、本明細書中に記載される方法を用いて、分解可能であるはずである。
【0170】
例えば、λゲノムが、配列特異的タグGAATTC(6塩基対)を用いて分析される場合、標的部位は、λゲノム中で互いから3530塩基対、4878塩基対、5643塩基対、5804塩基対、7421塩基対、21226塩基対(λDNAの末端タグを含む)引き離されている。この1実施形態において、6マーのプローブまたはタグを引き離し得る広範な距離が存在する。AAGCTTの配列を有する6マーのプローブを使用すると、標的部位は、λゲノム中で互いから2027塩基対、2322塩基対、4361塩基対、6557塩基対、9416塩基対、23130塩基対(λDNAの末端タグを含む)分離されている。本発明の発見以前の3000塩基対分解の空間的分解能である光学系は、多色高分解能分析および異なる色のタグを用いる同部位の差示的標識の使用によって補助される。この標識方法の利点の1つは、このシステムを介するスループットの間に失われるDNA量を低減するその能力である。
【0171】
様々な色の本発明の差示的タグ化方法を使用して、様々な配列を多重化する能力は、標識の単色法と比較して縮小される。さらに、所定の配列のより多数のフラグメントが、単色の方法と同一の結果を達成するために、差示的タグ化方法を使用してサンプリングされる必要がある。重要な実施形態において、1種より多くの色が、特定の配列に割り当てられる。例えば、本明細書中に記載される高分解能方法は、4つの異なる色を使用し、これらの色の2つ以上が、特定の配列に割り当てられる。その際、所定の時間で分析され得る異なる配列の数が、減らされる。単色の方法において、各配列は、異なる色に割り当てられ得、それにより、より多くの配列が、同じ時間で分析され得る。単色の方法の欠点は、この系の分解検出限界の範囲内に置かれた近接する標的配列が、検出されないことである。本発明の高分解能方法を使用すると、より少ない配列しか、所定の時間で分析され得ず、そしてより多くのサンプルの泳動が必要とされるが、より多くの空間的分解が達成され得る。従って、より高い空間的分解が可能になることと、縮小された多重性能と、より高いサンプリングの必要性との間の交換条件(trade−off)が存在する。差示的タグ化の効率のスループット推定値が導き出され、以下に示される。1秒あたり10,000,000塩基対(MB/s)の未処理のDNAの送達スループットを有する単色系を想定すると、1つのヒトゲノムを10倍のカバー倍数(coverage)で分析(すなわち、10コピーのヒトゲノムの分析)するための時間についての計算は、以下のパラメータを考慮に入れる:
【0172】
【表2】
10MB/sデータ速度を使用してゲノムを分析するための全時間は、以下のように計算される:
(ヒトゲノム中の塩基対数)
×(分析するヒトゲノムのコピー数)
÷(スループット速度)
÷(実際にDNAからのデータの収集にかかる時間(%))
÷60÷60
この系のために提供される値を考慮して、単一検出器収集系(すなわち、単色系)において、ヒトゲノムサンプルから、10倍のカバー倍数で情報を収集するには、8.33時間かかる。1つの6マーが使用される状況において、一回の泳動で配列決定され得る核酸の量は、6/4096×(分子またはゲノムの長さ)である。
【0173】
代りにこの系が、少なくとも2つの差示的に標識されたプローブを使用することを想定せよ。この系の光学的分解限界の範囲内に2つより多い標的6マー部位が存在する、有限の可能性がある。光学的検出容量中のプローブの数を決定するために、これらのプローブが、それらの交互性の色スキームにおいて存在する可能性を決定することが必要である。3つの隣接する標識部位および異なって標識される(しかし、同一の配列のプローブである)混合物が存在する状況の例が、図6に示される。光学的プローブ容量内に3つの部位が存在する可能性を決定するために、これらの3つの部位は、交互性の有色プローブによって占拠されなければならない。異なって標識された2つのプローブのみが存在する場合、このことは、23のうちの2(すなわち、8のうちの2)回、または標的DNA分子の25%において起こる。
【0174】
結合効率または検出効率はまた、分析を実施するために必要とされる時間に影響する。この合わされた結合および検出効率が、90%であると仮定すると、3つの部位の全てが占拠される53%の確立が存在する。このことは、標的分子の12.5%が、この容量中に3つの標的部位(および従って、3つの結合されたプローブ)が存在するか否かを決定するために必要とされる、正しいパターンの異なって標識されたプローブによって結合されることを意味する。このことは、10倍のカバー倍数(すなわち、各ゲノムサンプルについて10個の標的分子の分析)が、これらのあまり頻繁でない事象を捕捉するために最低限に十分であることに従う。統計学的に有意なデータを得るために、1ゲノムサンプルあたり10より多いコピーを分析することが必要であり得、そしてこのことは、次に、1ゲノムあたりのより長い分析時間を導く。
【0175】
差示的タグ化を介して達成され得る増強された分解能は、分解能が増強された他の方法(例えば、DNAの近距離(near−field)分析)を用いて達成される分解能に匹敵し得る。共焦点照射領域を通る移行における発蛍光団の実際の特性の試験は、単一の発蛍光団(この1例において)が、1ビン(bin)あたり15〜20の間のカウントを放射することを示す。このDNAは、1μmの概算の共焦点スポットサイズで、10,000μm/秒で移動する。サンプリング速度は、10kHzである。従って、各発蛍光団は、共焦点レーザースポットにおいて、1ビン幅または10μsを費やす。スポットサイズを減少させることによって、本発明らは、捕捉されたシグナルを比例的に減少させる。例えば、本発明らが、近距離分析を使用して、照射領域を200nmにまで減少させることを想定せよ。これは、20%照射領域である。DNAの通過速度は、蛍光プローブがこの系によって捕捉されることを確実にするために、5倍低減されなければならない。あるいは、個々の発蛍光団のこの系の通過が捕捉されることを確実にするために、サンプリング速度が、50kHzにまで増大され得る。サンプリング速度における5倍の増大は、減少したシグナル捕捉速度(1ビンあたり3〜4カウント)を導く。より小さい容量を使用する際の交換条件としては、減少した信号雑音比および/または減少したスループット速度が挙げられる。
【0176】
対照的に、本発明の差示的タグ化方法は、異なるセットの交換条件に関与する。信号雑音比およびまた潜在的にはDNA分子のスループット通過速度は、低減されない。代りに、プローブから同じ統計学的に有意な位置情報を得るために、多数の分子が分析されるべきであることが推定される。この分析は、先の例(ここで、この集団セットにおける同一の統計値を得るために、このサンプルは、10倍より大きい重複性で分析されることを必要とする。小さいサンプルサイズ(例えば、数十MB(million base−pair:1,000,000塩基対)までの小さいゲノムの分析)において、このアプローチは、高い分解能に適している。このアプローチはまた、より低い統計値における交換条件が重要でない場合に、非常により大きなゲノムに適切であり得る。図7は、この系を通るλ分子の電気泳動によって検出されるシグナルを例示する。このλ分子は、2つの部位において標識され、そして2つの検出領域(1つは、骨格標識用であり、そして1つはプローブ用である)が存在する。
【0177】
(実施例6:配列の高分解能決定のための走査ベースの方法)
差示的標識を用いるDNAのタグ化の上記方法はまた、DNA分子の定型の方法に当てはまる。これらの後者の方法において、DNAは、差示的にタグ化され、次いで、走査または画像化される。蛍光ベースの系において、例えば、この系の光学的分解能の範囲内の3つの部位を分解する上記の例は、図8で示されるような代表的な画像を提供する。
【0178】
この1例において、3つの同時の画像が、このサンプルから生じるスペクトル的に分けられたシグナルから捕捉される。次いで、この画像が、オーバーレイされ、そして空間的位置が、光学的に検出可能でない(sub−optical)分解能の精度で決定される。配列特異的タグからの放射の各々の中心および中心−中心距離間隔が、細くされた画像から決定される。標的部位に結合された異なる組合せの蛍光タグを有する分子を表す画像において、分子集団が存在することが予測される。上記の画像において、RRR、GGG、RGR、GRG、RRGなど(ここでR=赤色、そしてG=緑色)が存在することが予測される。交互性のパターンの差示的にタグ化されたタグを有する、十分に多くの分子を得るために、十分に多くの分子が、サンプリングされるべきである。交互性のパターンは、光学的分解限界の範囲内のタグの数の逆重畳積分を可能にする。
【0179】
(同義語)
前記の詳述は、当業者が本発明を実行することを可能にするに十分であると見なされるべきである。本明細書中に開示される実施例は、単に、本明細書中で可能にされるような特定の実施形態の例示として意図されるので、本発明を制限するように解釈されるべきでない。従って、本明細書中に記載される系と機能的に等価である系は、本明細書に特許請求の精神および添付される特許請求の範囲内である。実際、本明細書中に示され、そして記載される本発明の改変に加えて、本発明の種々の改変が、前述の説明から当業者に明らかとなり、そしてこれらは、添付の特許請求の範囲に入る。
【0180】
本特許出願において引用される全ての参考文献、特許、および特許出願は、本明細書中にそれらの全体が参考として援用される。
【0181】
以下の図は、添付される特許請求の範囲の実施可能性に必要でないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】図1は、空間的分解に対する、異なる標識と結合体化した単位特異的マーカーの効果 対 同一の標識と結合体化した単位特異的マーカーの効果を図示する略図である。単位特異的マーカーの両方が同じ標識(例えば、グリーン蛍光分子)と結合体化される場合、いずれかからのシグナルは、他を超えて分解され得ない。しかし、単位特異的マーカーが異なる標識(例えば、一方にグリーン蛍光分子および他方にレッド蛍光分子)と結合体化される場合、いずれかからのシグナルは、他を超えて分解され得る。さらに、この図は、(異なる標識を使用する場合、達成可能である)区別可能なシグナルピーク間の時間が、ポリマー上の単位特異的マーカーの位置間の距離を示すことを示す。
【図2】図2は、分析される標的ポリマー上の異なる標的配列(すなわち、ユニット)に対する特異性を有する単位特異的マーカーの結合を図示する略図である。単位特異的マーカーは、異なる標識と結合体化される(例えば、標的配列Aに対する結合特異性を有する単位特異的マーカーは、レッド蛍光分子で標識され、そして標的配列Bに対する結合特異性を有する単位特異的マーカーは、グリーン蛍光分子で標識される)。
【図3】図3は、分析される標的ポリマー上の同一標的配列(すなわち、ユニット)に対して特異的な単位特異的マーカーの結合を図示する略図である。単位特異的マーカーは同一の標識と結合体化される(例えば、単位特異的マーカーの両方が、標的配列Aに対する結合特異性を有し、そして両方がグリーン蛍光分子で標識される)。
【図4】図4は、2つの隣接する標的配列を有する標的ポリマーに対して同一の結合特異性を有する同一の単位特異的マーカーの混合物の結合を図示する略図である。この場合、混合物中の50%の単位特異的マーカーが、グリーン蛍光分子で標識され、そして残っている50%がレッド蛍光分子で標識される。特定の標識が単位特異的マーカーの結合特異性に対して効果を有さないと想定して、各単位特異的マーカーは、等しい確率で両方の標的配列に結合し得る。従って、25%の標的ポリマーは、グリーン蛍光分子で標識された2つの単位特異的マーカーの両方に結合し、そして25%の標的ポリマーは、レッド蛍光マーカーで標識された2つの単位特異的マーカーの両方に結合する。この方法で、結合される標的ポリマーは、それら自体において、およびそれら自体の有用な情報を提供しない。なぜなら、同一シグナルは空間的分解内の距離で分解可能でないからである。しかし、情報は、差示的に標識された単位特異的マーカーに結合する残りの50%の標的ポリマーから誘導され得る。これらの後者の場合の半分において、標的ポリマーは、グリーン蛍光の単位特異的マーカーおよびレッド蛍光の単位特異的マーカーに連続して結合する。残りの半分(すなわち、全標的ポリマーの25%)の場合において、標的ポリマーは、レッド蛍光の単位特異的マーカーおよびグリーン蛍光の単位特異的マーカーに連続して結合する。例え差示的に標識された単位特異的マーカーが、システムの空間的分解よりも密接に位置されても、差示的に標識された単位特異的マーカーは、互いから分解され得る。
【図5】図5は、図4のように標識された標的ポリマーからのシグナルアウトプットの略図である。この図はまた、核酸ポリマーの骨格に結合するブルー蛍光インターカレーター(intercalator)から得られたブルーシグナルを示す。図4に示されるように、標的ポリマー1および2は、単一の区別不能(すなわち、非分解可能)なシグナルを放射する。一方、標的ポリマー3および4は、本発明の方法を使用して分解され得るわずかに重なるシグナルを放射する。標的ポリマー3および4についての単位特異的マーカー(および対応するユニット)の位置を分解する能力は、より多くの配列情報(特に先行技術の方法の空間的分解の限定内で位置される単位特異的マーカー(および対応するユニット)について)が回収されることを可能にする。
【図6】図6は、3つの隣接する標的配列(すなわち、ユニット)を有するポリマーに沿った、差示的に標識された単位特異的マーカーの結合の略図である。この図は、隣接する単位特異的マーカーが異なる蛍光標識に結合体化される、単位特異的マーカーの最適な結合パターンを示す。ポリマーが3つの隣接するユニットを有し、そして同一の単位特異的マーカーの半分がグリーン蛍光分子で標識され、そして残りの半分がレッド蛍光分子で標識される状況において、8つの可能な結合パターンが存在し、これらの2つ(すなわち、25%)のみが、分解可能な配列情報を生じる。2つの最も有用な結合パターンは、この図に示される。
【図7】図7は、2つのユニットで結合したλDNAの通過から生じるデータの略図である。λDNAは、2つの検出領域を通過する。第一の検出領域は、DNAからの骨格情報およびプローブ情報を補捉する。第二の検出領域は、第一の検出領域からの固定された距離での骨格情報を補捉する。
【図8】図8は、2つのレッド標識化単位特異的マーカー、1つのグリーン標識化単位特異的マーカーおよびポリマーの骨格に沿うブルーインターカレーターに結合するポリマー(例えば、核酸)からの検出パターンの略図である。この図は、個々の画像または3つの異なる検出器システムを使用して得られ得る空間的に規定されたシグナルを示す。この図は、ポリマーの長さに沿う両方の標識の位置付けを示す合成画像に達するために、これらの個々の画像をオーバーレイする能力をさらに示す。
【0001】
(関連出願)
本願は、2001年9月18日出願の米国仮特許出願「DIFFERENTIAL TAGGING OF POLYMERS FOR HIGH RESOLUTION LINER ANALYSIS」(登録番号60/322,981)(この内容は、その全体が本明細書中で参考として援用される)に優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、生体ポリマーのようなポリマーの配列情報の線形分析に関し、そしてシグナル検出システムの改良された空間的高分解能を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ポリマーの配列分析には、数多くの実際的な適用がある。最近の大きな関心事は、ヒトゲノムを含む種々の生物のゲノムを配列決定するための能力である。特定の配列は、種々の型のプローブ、操作されたタンパク質、および合成化合物のような配列特異的なタグ付け方法の多くで認識され得る。これらの配列特異的タグ付けアプローチのいずれかにおいて、より高い分解能を達成し、それによってできる限り多くのポリマーをマッピングするために、隣接するタグを分離する必要が常に存在する。
【0004】
DNAの線形分析は、固定されたDNA分子の分析、移動するDNA分子の分析、およびDNA鎖の長さに沿って走査し得る、分子モーターまたはタンパク質のようなリーダーを使用するDNA分子の分析によって達成され得る。これらのアプローチは、ポリマー上の配列特異的タグから情報を獲得するために、多くのシグナルおよび検出システムを利用する。例えば、蛍光、原子間力顕微鏡(AFM)、走査トンネル顕微鏡(STM)、ならびに他の電気的方法および電磁気的方法が、シグナルを捕捉し、それによってポリマーの配列情報を「読み取る(reading)」ために適切である。これらの方法の全ては、これらの空間的分解能によって特徴付けられそして制限され得る。空間的分解能は、互いを分離し得、そしてなお別の、分離した個々のシグナルとして同時に検出され得る、2つの隣接するプローブ分子(例えば、配列特異的タグ)の最短距離を規定する。
【0005】
蛍光検出は、しばしば画像処理によって実施される。蛍光検出システムの光学分解能は、複数のプローブが区別され得ている、プローブ間の最小距離を規定する。この距離は、回折によって決定される。共焦点顕微鏡システムにおいて、サンプルは照射され画面のピンホールを通して見られる。このピンホールサイズは、ピンホールの独特のイルミネーション下での方位分解能を決定する。共焦点顕微鏡システムは、その顕微鏡の画面における検出スポットを通して、標的分子(例えば、DNAまたはRNA)を移動させるフローシステムと組み合わせて使用され得る。標的分子が動きの方向に広げられ、そして検出スポットを通して一つだけ動かされる場合、結合された蛍光的に標識されたプローブは、検出スポットに入るにつれ、差示的に検出され得る。標的ポリマーの速度が既知である場合、検出されるプローブ間の距離は、配列シグナル間の時間から決定され得る。先行技術システムに従って、検出スポットより大きいサイズによって空間的に分離されるプローブは、互いに区別され得る。
【0006】
ポリマー分析アプローチから捕捉されるデータ量を増加させるために、検出システムの分解能を増加させる必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、配列特異的プローブの差示的タグ付けが、配列特異的プローブの位置を、以前に達成することができた空間的分解能よりも高い空間的分解能によって検出するのを可能にするという発見に一部基づく。本発明は、1度の分析において捕捉され得るデータ量を増加させることによって、ポリマー配列分析の効率を増加させる。ポリマー分析の現行の方法は、使用される検出システムの空間的分解能によって制限される。本発明は、種々の検出システムの空間的分解能を増加させ、それによって個々の実行間に得られる配列情報をより多くすることを可能にする。本発明は、これらの発見に基づくポリマー分析のための方法およびシステムの両方を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの局面において、本発明は、ポリマーを分析するための方法を提供し、この方法は、以下の(a)〜(d)の工程を包含する:(a)既知の検出分解能を有する検出ステーションを提供する工程;(b)第一の単位特異的マーカー(unit specific marker)および第二の単位特異的マーカーでポリマーを標識する工程であって、この第一単位特異的マーカーは、第一の標識を含み、そして第二の単位特異的マーカーは、第一の標識と異なる第二の標識を含み、ここで、この第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、それらの標識が互いに区別されなかった場合、ポリマー上で空間をあけられ、既知の検出分解能未満の距離によって分離される、工程;(c)(b)のとおりに標識されたポリマーを検出ステーションに曝露して、第一の標識および第二の標識から生じる、別個の第一のシグナルおよび第二のシグナルを生成する工程;および(d)その別個の第一のシグナルおよび第二のシグナルを同定する工程。
【0009】
1つの実施形態において、第一の単位特異的マーカーは、その性質、または認識および結合するポリマー単位のいずれかが、第二の単位特異的マーカーとは異なる。別の実施形態において、第一の単位特異的マーカーは、第二の単位特異的マーカーと同一であるが、第一および第二の単位特異的マーカーは、異なる標識で標識される。単位特異的マーカーは、性質は異なるが、同じポリマー単位または配列を認識および結合する場合、「互いに同一である」と言われ得る。単位特異的ポリマーの性質は、その配列特異性よりもむしろその組成(例えば、核酸、ペプチド、炭水化物など)を言及する。
【0010】
1つの実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、ポリマーの長さに沿った連続した単位に配置される(すなわち、互いに直ちに隣接する)。別の実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、少なくとも1つの単位または少なくとも2つの単位によって、互いに空間的に分離される。
【0011】
さらなる実施形態において、ポリマーは、第三の単位特異的マーカーで標識される。好ましくは、第三の単位特異的マーカーは、第三の標識を含む。第三の単位特異的マーカーは、第三の特異的マーカーによって生成されるシグナルが、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーのシグナルに対してシステム検出分解能を超えるように、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーに対して配置され得る。言い換えると、第三の単位特異的マーカーは、既知の検出分解能よりも大きい距離によって第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーから空間をあけられる。
【0012】
いくつかの実施形態において、この第三の単位特異的マーカーは、複数のデータセットを比較する標準として使用される。
【0013】
本発明のこの局面および他の局面において、このポリマーは生物学的分子であり得るがそれらに限定されない。重要な実施形態において、このポリマーは、ペプチドまたは核酸分子であり得る。いくつかの好ましい実施形態において、このポリマーは、ゲノムDNAである核酸分子である。従って、いくつかの実施形態において、第一の単位特異的マーカー、第二の単位特異的マーカーおよびそれに続く単位特異的マーカーを含む、この単位特異的マーカーは、核酸分子である。他の実施形態において、第一の単位特異的マーカー、第二の単位特異的マーカー、および引き続く単位特異的マーカーは、ペプチド核酸(PNA)分子またはロックされた核酸(LNA)分子である。なお他の実施形態において、この単位特異的マーカーは、ペプチドまたはポリペプチドである。なお別の実施形態において、このポリマーは、必要に応じて標識(例えば、内在標識または外在標識を含み得る骨格)を含む骨格からなっている。
【0014】
1つの実施形態において、単位特異的マーカーは、同一の結合特異性を有する。1つの例として、この単位特異的マーカーは、同一の配列を有する核酸分子であり得る。マーカーの長さは、特定の実施形態に依存する。従って、1つの実施形態において、核酸分子であるマーカーは、12塩基長未満であるが、別の実施形態において、核酸分子であるマーカーは、少なくとも4塩基長である。
【0015】
特定の実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカー(および任意の引き続く単位特異的マーカー)は、標識、好ましくは、検出可能標識に結合される。いくつかの実施形態において、この標識は、電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子,半導体ナノ結晶、半導体ナノ粒子、コロイド金ナノ結晶、リガンド、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性分子、量子ドット(dot)、色素生産性基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質からなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態において、第一の標識、第二の標識および引き続く標識は、上記の標識の群から独立して選択される。
【0017】
関連する実施形態において、この標識から生成されるシグナルは、検出システムを使用して検出される。この検出システムは、非電気的な性質(写真フィルム検出システムなど)であり得るかまたは、電気的性質(電荷結合素子(CCD)検出システム)であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、この検出システムは、電荷結合素子検出システム、電子スピン共鳴(ESR)検出システム、蛍光検出システム、電気検出システム、電磁検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近距離場検出システム、および全反射(TIR)検出システムからなる群から選択される。
【0018】
別の局面において、本発明は、結合された単位のポリマーを光学的に分析するためのシステムを提供し、そのシステムは、以下の(a)〜(e)を備える:(a)既知の波長の光学的放射を放射するための光学供給源;(b)光学経路にその光学的放射を受容するため、および引き続いて検出可能シグナルを生成するために光学的放射に曝露されるポリマーの単位を受容するための相互作用ステーション;(c)その検出可能シグナルの少なくとも2つの別々の波長バンドを作製するための光学的経路中の2色性反射体;(d)光学的放射を有する単位の相互作用から生じるシグナルを含む発光を検出するために構築された光学検出器;および(e)シグナルを含む検出された発光を基にしてポリマーを分析するために構築され配置されるプロセッサー。
【0019】
好ましくは、ポリマーの単位は、順番に標識される単位特異的マーカーに結合される。このような実施形態において、シグナルは、標識から誘導される。
【0020】
1つの実施形態において、このポリマー単位は、少なくとも2つの発光感応性標識で直接的にかまたは(例えば、標識された単位特異的マーカーで)間接的にかのいずれかで標識される。別の実施形態において、このポリマーの単位は、少なくとも2つの発光感応性標識で標識される。有用な標識の例としては、これらに対してサイズ依存性特徴を有する標識、特定の化学群を含む標識などが挙げられる。当業者は、両方のカテゴリーの例に詳しい。
【0021】
別の局面において、本発明は、ポリマーを光学的に分析するためのシステムを提供する。このシステムは、光学的放射を放射するための光学供給源;その光学的放射を受容するため、および検出可能シグナルを生成するために光学的放射に曝露されるポリマーの単位を受容するための相互作用ステーション;およびシグナルを含む検出された発光を基にしてポリマーを分析するために構築され配置されるプロセッサーを含む。上記のように、このポリマーは、好ましくは標識されている少なくとも2つの単位特異的マーカーに結合される。
【0022】
1つの実施形態において、この相互作用ステーションは、局在化された発光スポットを含む。さらなる実施形態において、このシステムは、この局在化された発光スポットを通してポリマー単位を受容し、推し進めるように構築されるマクロチャネルをさらに備え、そして必要に応じて、この局在化された放射スポットを生成し得る。別の実施形態において、このシステムは、偏光子、および発光ビームを放射するように構築されたレーザーを含む光学供給源をさらに備える。この偏光子は、ビームを偏光するように配置され得る。レーザービームが内因的に偏光される間に、特定のダイオードレーザーは、偏光子の使用から利益を受ける。いくつかの実施形態において、局在化された発光スポットは、相互作用ステーション中に配置されたスリットを使用して生成される。このスリットは、1nm〜500nmの範囲の幅、または10nm〜100nmの範囲の幅のスリットを有し得る。別の実施形態において、この相互作用ステーションは、マイクロチャネルおよび局在化された発光スポットを生成するように配置される、サブミクロン幅を有するスリットを含む。いくつかの実施形態において、この偏光子は、スリットに達する前のビームを偏光するように配置される。他の実施形態において、この偏光子は、スリットの幅に平行に、ビームを偏光するように配置される。前述の実施形態は、本発明の他の局面に等しく適用する。
【0023】
なお別の実施形態において、光学供給源は、先端部に組みこまれた光源である。励起光はまた、外付けの繊維または組みこまれた光ガイドを使用して送達され得る。後者の例において、このシステムは、その先端部に送達される外在性レーザーからの第二光源をさらに備える。
【0024】
なお別の局面において、本発明は、結合された単位のポリマーを分析するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:既知の波長の光学的放射を発生させ、マイクロチャネルに局在化された発光スポットを生成し、既知の検出分解能を有する検出ステイションを規定する工程;第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーでポリマーを標識する工程であって、この第一の単位特異的マーカーは、第一の標識を含み、そして第一の標識とは異なる第二の標識を含む代2の単位特異的マーカーを含み、ここで、これらのマーカーは、標識が互いに区別されなかった場合、検出分解能未満の距離によって分離されるように、ポリマー上で空間をあけられる、工程;第一の標識および第二の標識を局在化された発光スポットに順番に曝露する、工程;その局在化された発光スポットで、第一の標識および第二の標識の相互作用から生じる少なくとも2つの別々の波長バンドの発光を順番に検出する、工程;および検出された波長バンドを使用してポリマーを分析する、工程。1つの実施形態において、この方法は、マイクロチャネルを提供する工程をさらに包含する。
【0025】
1つの実施形態において、この方法は、電場を印加して、マイクロチャネルを通してポリマーを移動させる工程を包含する。別の実施形態において、この方法は、圧力を適用して、マイクロチャネルを通してポリマーを移動させる工程をさらに包含する。なお別の実施形態において、吸引を適用して、マイクロチャネルを通してポリマーを移動させる工程をさらに包含する。別の実施形態において、検出する工程は、単位特異的マーカーがマイクロチャネルを通って通過する間の時間にわたって、シグナルを収集する工程を包含する。
【0026】
1つの実施形態において、第一の標識および第二の標識は、電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子,半導体ナノ結晶、半導体ナノ粒子、コロイド金ナノ結晶、リガンド、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性分子、量子ドット(dot)、色素生産性基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質からなる群から独立して選択される。重要な実施形態において、第一の標識および第二の標識は、蛍光標識(すなわち、発蛍光団)である。
【0027】
1つの実施形態において、検出する工程は、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが、マイクロチャネルを通して移動している間に第一の標識および第二の標識から生じる第一のシグナルおよび第二のシグナルを収集する工程を包含する。
【0028】
1つの実施形態において、この第一の単位特異的マーカーは、第二の単位特異的マーカーと異なる。別の実施形態において、第一の単位特異的マーカーは、第二の単位特異的マーカーと同一である。重要な実施形態において、この第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、核酸分子である。関連する実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、ペプチド核酸分子であるかまたはロックされた核酸分子である。1つの実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、同一の核酸を有する。他の実施形態において、、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、同一の結合特異性を有する(すなわち、これらは、同じ親和性を有する同じポリマー単位(または配列)を認識および結合する)。一般的には、ただ1つのマーカーが所定の時間に1つの単位に結合することが理解される。関連する実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、少なくとも4塩基長である。別の実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、12塩基未満の長さである。
【0029】
1つの実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、互いにすぐに隣接して配置される。別の実施形態において、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、少なくとも2つの単位によって、互いに空間をあけられる。
【0030】
1つの実施形態において、このポリマーは、好ましくは、第三の標識を含む、第三の単位特異的マーカーで標識される。関連する実施形態において、この第三の単位特異的マーカーは、既知の検出分解能より大きい距離(すなわち、最小検出分解能)によって、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーから空間をあけられる。
【0031】
他の実施形態において、このシグナルは、(上で列挙したような)電気的性質または非電気的性質のいずれかの検出システムを使用して検出される。
【0032】
他の実施形態において、このポリマーは、核酸分子である。いくつかの実施形態において、このポリマーは、ゲノムDNAである。特定の実施形態において、このポリマーは、標識を含む骨格を含む。
【0033】
本発明の種々の局面において、ポリマーに対する単位特異的マーカーの結合パターンおよび/またはこのようなマーカー由来のシグナルは、種々の線形ポリマー分析システムを含む種々のシステムを使用して決定され得る。いくつかの実施形態において、線形ポリマー分析システムは、単一のポリマー分析システムである。核酸分子または核酸分子に対するタグ分子の結合は、Gene EngineTM、光学マッピングおよびDNAコーミング(combing)からなる群から選択される方法を使用して分析され得る。Gene EngineTMシステムは、公開されたPCT特許出願WO98/35012、WO00/09757およびWO01/13088(それぞれ1998年8月13日、2000年2月24日および2001年2月22日公開)、ならびに米国特許第6,355,420B1号(2002年3月12日発行)(これらの全てが、本明細書中にその全体が参考として援用される)に記載される。あるいは、このパターンは、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を使用して決定され得る。当業者は、ポリマーへの単位特異的マーカーの結合のパターンを決定するために利用され得る他のシステムを承知している。
【0034】
なお別の局面において、本発明は、ポリマーを分析するための方法を提供し、この方法は、単位特異的マーカーのセットを用いてポリマーを標識する工程を包含し、ここで単位特異的マーカーのセットの各単位特異的マーカーは、ポリマー内で同一の配列の単位を認識し、そしてそれに結合する。各単位特異的マーカーは、少なくとも2の異なる標識の1つで標識される。この方法は、ポリマーを分析するための標識から生じるシグナルを検出する工程をさらに包含する。単位特異的マーカーのセットは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれより多い単位特異的マーカーであり得る。
【0035】
1つの実施形態において、単位特異的マーカーの約50%が第一の標識で標識され、そして単位特異的マーカーの約50%が第二の標識で標識される。この文脈において使用される場合、「約50%」は、好ましくは35%〜65%、40%〜60%、45%〜55%または47%〜53%および49%〜51%を意味する。他の実施形態において、これは、好ましくは35%、37%、40%、42%、45%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、55%、57%、60%、63%および65%を含む。別の実施形態において、各単位特異的マーカーは、少なくとも3つの異なる標識の1つで標識される。なおべ別の実施形態において、各単位特異的マーカーは少なくとも4つの異なる標識の1つで標識される。
【0036】
1つの実施形態において、単位特異的マーカーは、同一配列を有する。別の実施形態において、単位特異的マーカーは4ヌクレオチド長を超えるか、または12塩基長未満である。
【0037】
他の実施形態において、標識は、以下からなる群から選択される型である:電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷電移動分子(transferring molecule)、半導体ナノクリスタル、半導体ナノ粒子、金コロイドナノ粒子、リガンド、マイクロビーズ、磁気ビーズ、常磁性分子、量子ドット、色素形成性基質、アフィニティ分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質。なお他の実施形態において、異なる標識は異なる型であり、そして必要に応じて、異なる検出システムを使用して検出される。
【0038】
本発明のこれらおよび他の局面は、本明細書中でより詳細に記載される。
【0039】
本発明の各局面は、本発明の種々の実施形態を含み得る。従って、任意の1つの要素または要素の組み合せを含む本発明の各実施形態は、本発明の各局面に含まれ得ることが予測される。
【0040】
(発明の詳細な説明)
本発明は、異なるタグを使用してポリマーの高分解度線形分析を達成するためのシステムおよび方法に関する。ポリマーの線形分析は、しばしば、配列特異的タグの高分解度読み取りを必要とする。しかし、これらの配列特異的タグの相対的問題は、検出システムの分解度未満であり得る。この限定に対する応答において、本発明は、区別可能な配列特異的タグで直線ポリマーを差示的にタグし、そしてポリマーの長さに沿ってこれらのタグから生じる異なるシグナルを補捉することによって、所定の検出システム中でより高度な分解を可能にする方法を提供する。この差示的タグ化アプローチの結果として、互いに近接して存在する2つ以上の異なるタグ(または、本明細書中で使用される場合、単位特異的マーカー)は、それらの間の距離が、先行技術の検出システムおよびアプローチを使用して以前に達成可能である検出分解未満であるか否かに関係なく、区別され得、従って、別個のものとして同定され得る。これは、以前に可能であったよりもより可能性のある確実性で、単位特異的マーカー(およびそれらが対応するユニット)の位置がマップされることを可能にする。
【0041】
核酸分子は、線形ポリマー分析システムを使用して分析され得る。線形ポリマー分析システムは、線形様式(すなわち、ポリマー上の1つの位置で始まり、次いでそれらからいずれかの方向で直線的に進行する)でポリマーを分析するシステムである。ポリマーが分析される場合、ポリマーに(直接的にかまたは間接的にかのいずれかで)結合される検出可能な標識は、連続様式かまたは同時様式のいずれかで検出される。同時に検出される場合、シグナルは、通常、標識の間の距離が決定され得る、ポリマーの画像を形成する。連続して検出される場合、シグナルは、ヒストグラム形態(シグナル強度 対 時間)で表示され、次いで、核酸分子の速度の知識を用いて、マップへと変換され得る。いくつかの実施形態において、核酸分子は固体支持体に結合され、一方、他方では、核酸分子は自由に流動していることが理解されるべきである。いずれかの場合において、例えば、相互作用ステーションまたは検出器を通って移動する場合、核酸分子の速度は、互いに対しておよび核酸分子中に存在し得る他の検出可能なマーカーに対して、標識の位置を決定するのを補助する。
【0042】
線形分析の2つの一般的なクラス(すなわち、固定化分子線形分析および移動分子線形分析)は、当該分野に記載されている。固定化分子の線形分析は、当該分野に記載され、そして表面にDNAのような線形分子を流体−固定化する方法、および配列情報を収穫するための画像化ベースのアプローチおよび走査ベースのアプローチを使用する方法を含む。フローシステムまたは電気泳動システムのいずれかを利用する移動分子の線形分析は、以下に議論されるように当該分野に記載されている。
【0043】
線形ポリマー分析システムの例は、Gene EngineTMシステム(これは、PCT特許出願公開WO98/35012およびWO00/09757(それぞれ、1998年8月13日、および2000年2月24日公開)、ならびに発行された米国特許第6,355,420B1(2002年3月12日発行)に記載される)である。これらの出願および特許、ならびに他の出願および特許、ならびに本明細書中で援用される参考文献の内容は、その全体が参考として援用される。このシステムは、単一の核酸分子のような単一のポリマーが、線状様式で相互作用ステーションを通過することを可能にする。核酸分子の場合において、この核酸分子中のヌクレオチドは、この核酸分子に(例えば、単位特異的マーカーを介して)結合体化した検出可能な標識が存在するか否かを決定するために、個別に問合せされる。検出可能な標識は、好ましくは検出されるシグナルを生じる。問合せは、核酸分子をエネルギー源(例えば、設定した波長の光学的照射)に曝露することを包含する。エネルギー源曝露に応答して、検出可能な標識は、検出可能なシグナルを放出する。シグナルの放出および検出のための機構は、検出されることが求められる標識の型に依存する。
【0044】
DNA分子の伸長を伴う他の単一の分子核酸分析法もまた、本発明の方法に用いられ得る。これらとしては、光学マッピング(Schwartzら、1993;Mengら、1995;Jingら、1998;Aston、1999)および繊維−蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(繊維−FISH)(Bensimonら、1997)が挙げられる。光学マッピングにおいて、核酸分子は、流体サンプル中で伸長され、そしてゲル中または表面上に伸長したコンホメーションで固定される。次いで、伸長して固定された核酸分子に対して制限消化が行われる。次いで、順序付けられた制限マップが、制限フラグメントのサイズを決定することにより作成される。繊維−FISHにおいて、核酸分子が伸長され、そして、分子コーミング(molecular combing)により表面上に固定される。蛍光標識されたプローブ配列とのハイブリダイゼーションは、核酸分子上の配列ランドマークの決定を可能にする。両方の方法は、マーカーの間の分子の長さおよび/または距離が測定され得るように、伸長した分子の固定を必要とする。パルスフィールドゲル電気泳動をまた用いて、標識核酸分子を分析し得る。パルスフィールドゲル電気泳動が、Schwartzら(1984)により記載される。他の核酸分析システムは、Otobeら(2001)、Bensimonら、米国特許第6,248,537号(2001年6月19日発行)、HerrickおよびBensimon(1999)、Schwartz、米国特許第6,150,089号(2000年11月21日発行)および米国特許第6,294,136号(2001年9月25日発行)により記載される。他の線形ポリマー分析システムもまた用いられ得、そして本発明は、本明細書中に列挙したシステムのみに限定されることを意図しない。
【0045】
共焦点レーザーイルミネーションが移動分子の分析(例えば、DNAのフロー分析)に使用され、そしてレーザーがTEMooモードで作動される場合、次いで、Gaussianのイルミネーションパターンが、得られ得、そしてプローブ(すなわち、単位特異的マーカー)からの蛍光の放出が、イルミネーションのGaussianプロフィールに従って特定の程度まで変動する。これは、プローブが検出スポットを横切る場合、不均一な蛍光シグナルを生じる。プローブが最も高い励起強度の領域を通る場合、蛍光シグナルは、ピークとしてそれ自体を表す。蛍光シグナルの得られた時間的パターンが試験される場合、標的上の隣接するプローブの相対的な位置は、標的上のプローブを位置付けるようなピークアウトプットを使用することによって、スポットサイズよりもより良好に分解され得る。しかし、これは、時間的に分解される2つのピークが検出されたシグナル中に存在するように、十分に空間的に分解されるプローブに限定される。これは、最小の分離可能な空間的プローブの分解を生成するか、本明細書中で言及される場合、既知の検出分解を生成する。
【0046】
本発明は、差示的に標識された単位特異的マーカーを使用してポリマーを分析することによって、空間的分離のこの限定を克服するシステムを提供する。この方法は、その長さに沿って結合した標識された単位特異的マーカーの結合の存在および/または位置を同定することによってポリマーを分析する工程を包含する。情報は、ポリマーの構造(そのサイズ、そのサイズの順序(例ば、配列)、そのユニットの反復(例えば、その複雑さ)、その他のポリマーに対する関連性、または生物学的サンプル中のその存在を含む)について得られ得る。例えば、ポリマー上のマーカーの存在は、ポリマーの同一性を明らかにし得る。
【0047】
本発明の重要な発見の1つは、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、先行技術の検出方法およびシステムの既知の検出分解の限定内に位置し得るという知見である。本明細書中で使用される場合、用語「既知の検出分解」は、同じ標識を有する2つのマーカーが、互いに対して位置付けられ得、なお個々に検出可能であり、従って、先行技術の方法を使用して2つの別個のマーカーとして分解可能である、最も密接な距離をいう。以下により詳細に説明されるように、先行技術の蛍光システムの既知の検出分解は、一般的にλ/2(すなわち、検出可能なシグナルの放射された波長の半分)である。従って、全ての蛍光標識が532nmで放射するシステムについて、例えば、空間的分解は532nm/2または266nmであり、これは782塩基対の距離に近似する。従って、配列情報は、単一カラー検出システムを使用して、平均約782塩基対の間隔でのみ得られ得る。
【0048】
本明細書中で提供されるシステムおよび方法を使用して、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが既知の検出分解未満の距離で位置される場合、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーを空間的に分解することは可能である。この距離は、「既知の検出分解未満」として本明細書中に言及される。本発明の前に達成され得るこのシステムの検出分解限定は、システムの型によって変更する。本明細書中で記載されるように、光学的検出システム(例えば、蛍光システム)は、本明細書中に記載される差示的タグ化アプローチを使用することなくλ/2の分解限定を有する。従って、光学的検出システムについて既知の検出分解未満は、λ/2未満であり、ここでλは、単一カラーシステムの放出波長特徴を示す。図1は、空間的分解についての、同じ標識を有する2つのマーカーおよび異なる標識を有する2つプローブを使用する結果を図示する。他の検出様式についての既知の検出分解は、当該分野で公知である。
【0049】
その最も簡単な形態において、この方法は2つの区別可能な単位特異的マーカーを含み、一方、さらなる単位特異的マーカーが使用されることが可能であるが、但し、それらはまた、第一および第二の単位特異的マーカーと区別可能である。第三および続く単位特異的マーカーは、第三および続く単位特異的マーカーによって生成されるシグナルが、第一および第二の単位特異的マーカーのシグナルに対して既知の検出分解より上であるように、第一および第二の単位特異的マーカーに対して位置付けられ得る。本明細書中で使用される場合、「既知の検出分解より上」は、光学的検出システムについてλ/2より上である。
【0050】
本明細書中に提供される方法は、ユニット特異的ポリマーとポリマーとの間の特異的相互作用に基づいて、各ポリマーについてのシグナチャ(signature)を生成し得る。シグナチャは、ポリマーに対する(異なる配列または同一の配列の)単位特異的マーカーの結合の結果として、ポリマーの長さに沿って発生するシグナルパターンである。ポリマーのシグナチャは、ポリマーを特有に同定する。
【0051】
本明細書中に記載の方法によって包含される分析の1つの型は、2以上の単位特異的マーカーの個々のポリマーに対するハイブリダイゼーションのパターンを分析する工程を包含する。本発明の方法は、その生成されたハイブリダイゼーションパターンのコンピューター分析により未知の発現された遺伝子を同定し得る。次いで、そのDNA単位特異的マーカーの線形分析から得られるデータは、標的DNAの正体を決定するために、データベース中の情報とマッチされる。従って、この方法は、ハイブリダイゼーション反応からの情報を分析し得る。次いで、これは、遺伝子発現パターンの診断および決定に適用され得る。
【0052】
本明細書中で使用される場合、「ポリマー」とは、線状骨格を有する化合物であり、この骨格に対して、モノマーが、結合により一緒に連結される。このポリマーは、複数の個々のモノマーから作製される。個々のモノマーは、本明細書中で使用される場合、最小の構成ブロックであり、これは、直接的にまたは間接的に他の構成ブロックもしくはモノマーに連結されて、ポリマーを形成し得る。少なくとも、そのポリマーは、少なくとも2つの連結されたモノマーを含む。特定の型のモノマーは、分析されるポリマーの型に依存する。
【0053】
用語「骨格」とは、ポリマー化学の分野においてその通常の意味が与えられる。そのポリマーは、骨格組成において異種(heterologous)であり、それによって、共に連結されるポリマーのモノマーのあらゆる可能な組み合わせを含む。好ましい実施形態において、そのポリマーは、骨格組成が(heterologous)異種であってもよく、例えば、核酸、ポリペプチド、ポリサッカリド、炭水化物、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアセテート、ポリアミド、ポリエステル、またはポリチオエステルである。
【0054】
ポリマーの連結されるモノマーに関して本明細書中で使用される場合、「連結される(た)」または「連結」とは、2つの実体が、任意の物理化学的手段に互いに結合されることを意味する。当業者に公知の任意の連結(共有結合または非共有結合)が包含される。このような連結は、当業者に周知である。天然の連結(これは、特定のポリマーの個々のモノマーをつなぐ、天然に通常見られるものである)が、最も一般的である。天然の連結としては、例えば、アミド連結、エステル連結およびチオエステル連結が挙げられる。しかし、ポリマーの個々のモノマーは、合成または改変された連結によって連結され得る。モノマーが共有結合によって連結されるポリマーは、最も一般的である。そのポリマーは、分枝状であり得るが、好ましくは、そのポリマーは、直鎖状である。
【0055】
特定の実施形態において、そのポリマーは、生物学的分子である。本明細書中で使用される場合、生物学的分子は、細胞のような生物学的環境において見いだされるか、またはそのような環境において機能的である分子である。いくつかの実施形態において、そのポリマーは、ペプチドまたは核酸である。「ペプチド」とは、本明細書中で使用される場合、連結されたアミノ酸から構成されるポリマーである。「核酸」とは、本明細書中で使用される場合、連結されたヌクレオチドから構成されるポリマーであり、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を含む。DNAは、例えば、以下のようなプリンおよびピリミジンのモノマーを構成するホスホジエステル骨格から構成されるポリマーである:アデニン、シトシン、グアニン、チミン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、ならびに他の天然に存在する核塩基および天然に存在しない核塩基、置換された芳香族部分および置換されていない芳香族部分。RNAは、例えば、以下のようなプリンおよびピリミジンのモノマーを構成するホスホジエステル骨格から構成されるポリマーである:ウラシルがチミジンに代わることを除いて、DNAについて記載されるもの。DNAモノマーは、それらの5’ヒドロキシル基または3’ヒドロキシル基によって互いに連結され得、それにより、エステル結合を形成する。RNAモノマーは、それらの5’ヒドロキシル基、3’ヒドロキシル基または2’ヒドロキシル基によって互いに連結され得、それによって、エステル結合を形成する。あるいは、末端に5’アミノ基、3’アミノ基または2’アミノ基を有するDNAまたはRNAのモノマーは、アミノ基によって互いに連結され得、それによって、アミド結合を形成する。いくつかの場合において、そのポリマーは、ペプチド核酸(PNA)、またはロックされた核酸(locked nucleic acid)(LNA)である。いくつかの重要な実施形態において、以下に記載されるように、その単位特異的マーカーは、PNAまたはLNAである。
【0056】
いつ核酸が文字配列によって示されようとも、そのヌクレオチドは、5’→3’の順番にて、左側から右側に、別段示されない限り、「A」はアデノシンを示し、「C」はシトシンを示し、「G」はグアノシンを示し、「T」はチミジンを示し、「U」はウラシルを示すことが理解される。
【0057】
標的として使用される核酸分子は、DNA(例えば、核DNAおよびミトコンドリアDNAを含むゲノムDNA)、もしくはRNA、またはその増幅産物もしくは中間体(相補的DNA(cDNA)を含む)であり得る。その核酸分子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような技術を用いて予め増幅する必要なく、生物学的サンプル(例えば、組織または細胞培養物)から、直接採取および単離され得る。関連する実施形態において、その核酸分子は、ゲノム核酸分子のフラグメントである。
【0058】
核酸分子は、一本鎖核酸または二本鎖核酸であり得る。核酸分子の採取および単離は、当該分野で慣用的に行われ、適切な方法は、標準的な分子生物学の教科書(例えば、ManiatisのHandbook of Molecular Biology)によって見いだされ得る。
【0059】
本発明の重要な実施形態において、その核酸分子は、非インビトロ増幅された核酸分子である。本明細書中で使用される場合、「非インビトロ増幅された核酸分子」とは、ポリメラーゼ連鎖反応または組換えDNA法のような技術を使用して、インビトロで増幅されていない核酸分子をいう。しかし、非インビトロ増幅された核酸分子は、インビボでの細胞発生の当然の結果として(その核酸分子が採取された生物学的サンプル中の)インビボで増幅される核酸分子であり得る。このことは、その非インビトロ核酸分子が、変異または癌発生の結果として、いくつかの細胞型において一般的に観察される座増幅の一部としてインビボで増幅されるものであり得ることを意味する。
【0060】
核酸分子のサイズは、本発明にとって重要ではなく、一般に、使用される検出系によってのみ限定される。核酸分子のサイズは、長さが数ヌクレオチド、長さが、数百ヌクレオチド、数千ヌクレオチド、または数百万ヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態において、その核酸分子は、染色体の長さであり得る。
【0061】
ペプチド核酸(PNA)は、それらのリン酸骨格がヌクレオチド塩基にグリシンのアミノ窒素およびメチレンカルボニルリンカーを通じて連結された2−アミノエチルグリシン残基で置換されているDNAアナログである。PNAは、DNA標的およびRNA標的の両方に、ワトソン−クリック塩基対形成によって結合され得、そのように結合するにあたり、DNAベースのまたはRNAベースのマーカーと起こり得る場合よりも強いハイブリッドを形成する。いくつかの型のPNA設計があり、これらとしては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:一本鎖PNA(ssPNA)、ビスPNA、偽相補的(pseudocomplementary)PNA(pcPNA)。
【0062】
ペプチド核酸(PNA)は、ペプチド結合によって連結されるモノマーから合成される(NielsenおよびEgholm 1999)。これらは、標準的な固相ペプチド合成技術により構築され得る。PNA化学および合成はまた、アミノ酸およびポリペプチド配列をPNA設計に含めることを可能にする。例えば、リジン残基は、PNA骨格に正電荷を導入するために使用され得る。アミノ酸側鎖の改変に利用可能な全ての化学的アプローチは、PNAに直接適用可能である。
【0063】
ロックされた核酸(LNA)は、DNAとハイブリッドを形成し、これは、少なくともPNA/DNAハイブリッドと同程度に安定である(BraaschおよびCorey 2001)。従って、LNAは、単に、PNA分子と同様に使用され得る。LNA結合効率は、正電荷をLNAマーカーに付加することによって、いくつかの実施形態において増大され得る。LNAは、本質的に増大した結合親和性を有することが報告されている。市販の核酸合成機および標準的なホスホルアミダイト化学が、LNAを作製するために使用される。
【0064】
ペプチドおよびポリペプチドは、アミノ酸のモノマー(これは、20の天然に存在するアミノ酸および改変アミノ酸を含む)から構成されるペプチド骨格から構成されるポリマーである。アミノ酸は、互いにかつそれらのαアミノ基を通じてその骨格に連結され、それによりアミド結合を形成する、アミドまたは遊離酸として存在し得る。本明細書中で使用される場合、アミノ酸の呼称は、当該分野で一般的に使用される、三文字表記または一文字表記に対応する。
【0065】
ポリマーは、天然に存在する「ネイティブポリマー」であり得るか、または代わりに、それらは、天然に存在しない非天然ポリマーであり得る。そのポリマーは、代表的には、天然に存在するポリマーの少なくとも一部を含む。そのポリマーは、新規に単離または合成され得る。例えば、そのポリマーは、切断およびゲル分離によって天然供給源から単離(例えば、精製)され得るか、または例えば、以下のように合成され得る:(i)例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってインビトロで増幅される;(ii)例えば、化学合成によって合成される;(iii)クローニングによって組換え生成される、など。本明細書中に記載の方法を使用する分析に適切な単離されたポリマーの例は、細胞、組織または被験体から採取されたゲノムDNAである。
【0066】
本発明の方法は、ポリマー内のユニットを認識して結合するマーカーに基づいて、ポリマーを分析するために使用される。ポリマーの「ユニット」は、本明細書中で使用される場合、標的ポリマー内の1種または好ましくは数種のモノマーの特定の線形構成(すなわち、モノマーの特定の規定された配列)をいう。例えば、核酸中のユニットは、互いに連結されたヌクレオチドの特定の配列からなる。核酸ユニットは、1つ、または2つのヌクレオチド(すなわち、ジヌクレオチドまたは2マー)、または3つのヌクレオチド(すなわち、トリヌクレオチドまたは3マー)、または4つのヌクレオチド(すなわち、テトラヌクレオチドまたは4マー)、などからなり得る。このユニットは、任意の長さであり得る。本明細書中で使用される場合、本発明の方法を使用して分析されるそのポリマーは、「標的分子」といわれる。
【0067】
そのユニットは、単位特異的マーカーの使用によって、ポリマー内で同定される。「単位特異的マーカー」とは、配列依存性様式にて、ポリマー内の特定のユニットを特異的に認識して結合する分子である。用語「単位特異的マーカー」および「マーカー」とは、本明細書中で交換可能に使用される。単位特異的マーカーの例は、プローブ(例えば、核酸プローブ)である。本発明の方法は、最初にポリマーを、少なくとも2つの単位特異的マーカー(例えば、第一および第二の単位特異的マーカー)で標識する工程を包含する。本明細書中で使用される場合、単位特異的マーカーにより結合されるポリマーは、単位特異的マーカーで「標識される(た)」という。その単位特異的マーカーの、標的ポリマーの長さに沿った位置は、ポリマー中の特定のユニットの位置を示す。単位特異的マーカーが、特異的結合に有利な条件下で標的ポリマーに結合する場合、これは、対応するユニット(および配列)が、ポリマー中に存在することを示す。単位特異的マーカーが、同じ条件下で標的ポリマーに結合できない場合、これは、一般的に、対応するユニット(および配列)がポリマー中に存在しないことを示す。核酸分子の場合において、単位特異的マーカーの配列および標的核酸中のユニットは、互いに相補的であることが理解されるべきである。
【0068】
単位特異的マーカーは、それ自体がポリマーであり得るが、そのように限定されない。適切なポリマーの例は、核酸分子(それ自体が核酸である標的ポリマーのための単位特異的マーカーとして有用)ならびにペプチドおよびポリペプチド(核酸およびペプチドである標的ポリマーのための単位特異的マーカーとして有用)である。他の単位特異的マーカーとしては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:配列特異的主溝および副溝バインダーおよびインターカレーター、ペプチド結合タンパク質、核酸結合ペプチドまたはポリペプチド、および配列特異的ペプチド−核酸など。多くの単位特異的マーカーが存在し、当業者に公知である。上記で議論されるように、その単位特異的マーカーはまた、PNAまたはLNAであり得る。
【0069】
その単位特異的マーカーは、結合する任意の長さであり得る。マーカーの長さは、特定の実施形態に依存する。マーカーの長さは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、またはより多いヌクレオチド(あたかも本明細書中に明示されているかのような、その間のあらゆる整数を含む)からの範囲であり得る。多くの実施形態において、より短いマーカーは、より所望である。ポリマーおよびマーカーが共に核酸である場合において、ユニットおよび単位特異的マーカーの長さは、一般に、同じである。これは、標的ポリマーまたはその単位特異的マーカーのいずれかまたは両方が核酸ではない場合、必ずしもそうではない。この方法は、性質またはユニット結合特異性が同一であり得る2以上の単位特異的マーカーの同時使用を包含する。例えば、その単位特異的マーカーは、同一なユニットを認識して特異的に結合し得るが、それらは、それ自体がその組成において異なり得る(例えば、1つの単位特異的マーカーが、核酸であり得るか、または1つは、ペプチドであり得る)。いくつかの好ましい実施形態において、その単位特異的マーカーは、それらが、同一のユニットを認識して特異的に結合するか否かにかかわらず、その組成が同一である。
【0070】
上記のように、その単位特異的マーカー自体は、同一の結合特異性を有し得る。同一の結合特異性を有するマーカーは、同じ配列を有するユニットに対して同じ親和性で結合する。従って、これらのマーカーは、そのマーカーの標識が、配列認識およびユニットのマーカーへの結合を妨害しないことを条件として、ポリマー中のそれらの標的ユニットに等しい確率にて結合する。
【0071】
本発明の1つの実施形態において、単位特異的マーカー(その全てが、同一の結合特異性を有する)を、使用する。好ましくは、マーカーのセットは、できる限り多くの等しい部分に分けられ、各々の等しい部分は、異なる標識で標識される。例えば、そのセットは、2つの等しい部分に分けられ得、そのうちの一方は、緑色蛍光標識(約530nmにて発光)で標識され、および他方は、赤色蛍光標識(約575nmにて発光)で標識される。別の例として、そのセットは、3つの等しい部分に分けられ得、そのうちの1つは、緑色蛍光標識で標識され、そのうちのもう1つは、赤色蛍光標識で標識され、そして残りの1つは、赤外蛍光(far−red fluorescent)標識(約630nmにて発光)で標識される。そのセットは、差示的に標識される少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはより多くの単位特異的マーカーを含み得る。
【0072】
あるいは、その単位特異的マーカーは、異なる結合特異性を有し得る。本明細書中で使用される場合、異なる結合特異性を有するマーカーは、標的ポリマー中の異なる配列(すなわち、異なるユニット)を認識してこれに結合する。第一のユニットを認識してこれに結合する単位特異的マーカーは、同一に標識されてもよいし、それらはまた、単一の標識が使用されて、異なる配列についてのマーカーを標識するのであれば、差示的に標識されてもよい。このことは、標識されたマーカーから生じる各シグナルが、ポリマーの長さに沿って1つのユニットまたは配列のみを示すことを意味する。
【0073】
分析されるポリマーが核酸(すなわち、ヌクレオチドのポリマー)である1つの重要な実施形態において、その単位特異的マーカーは、配列特異的様式にて標的ポリマーにハイブリダイズすることを可能にする配列を有する別の核酸である。その標的ポリマーが核酸である場合、その単位特異的マーカーの配列は、標的ポリマー中において結合するユニットの配列に相補的である。
【0074】
第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーは、互いにすぐに隣接して(すなわち、連続して)配置され得るが、必ずしもその必要はない。本明細書中で使用される場合、用語「互いにすぐ隣に配置される」とは、同一のユニットが、2つのユニットの間に位置しないか、またはいくつかの場合においてはモノマーが2つのユニットの間に位置しないことを意味する。標的ポリマーに沿ったユニットおよびマーカーの位置は、ユニットの長さおよび標的分子中の配列分布の無作為状態に依存する。例えば、標的ユニットが、その配列内に反復配列(例えば、ポリA配列、Alu反復、またはCGジヌクレオチド)を含む場合、単位特異的マーカーは、互いに比較的近接して配置される可能性がより高い。しかし、その単位特異的マーカーが、6つの無作為に選択されたヌクレオチドからなる場合、偶然に、ポリマーの長さに沿って連続したユニット間に、平均約4096塩基が存在する。
【0075】
各標的ユニットが単位特異的マーカーによって結合される程度はまた、結合効率(結合またはハイブリダイゼーション条件を含む)および標的ポリマー(および標的ユニット)の濃度に対する単位特異的マーカーの濃度に依存する。結合効率が低いかまたは単位特異的マーカーの濃度が飽和していない場合、第一および第二の単位特異的マーカーは、単位特異的マーカーにより結合されない1つ、2つ、3つ、またはより多くのユニットだけ、互いから空間的に分離され得る。
【0076】
単位特異的マーカーが、その標的ユニットに特異的に結合する能力はまた、その長さおよび組成(特に、核酸であるマーカーについて)および相互作用(すなわち、結合)が生じる条件に依存する。単位特異的マーカーは、特定の配列のユニットに特異的に結合し、標的とは配列が異なるユニットには結合しない。そのポリマーおよび単位特異的マーカーがともに核酸である場合、その条件は、相補的な配列のみが、互いに結合するように操作され得る。当業者は、このようなストリンジェントな条件をどのように達成し、これについての試験をどのように行うかを理解している。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件における手引きについて、以下もまた参考にされ得る:Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrookら編,第二版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989,またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubelら編,John Wiley & Sons,Inc.,New York。その単位特異的マーカーがペプチドまたはポリペプチドである場合、その条件は、マーカーの標的ポリマー(これは核酸であってもよいし、天然のペプチド自体であってもよい)上の特異的ユニットへの特異的結合のみが生じるように、同様に操作される。しかし、いくつかの場合において、結合条件は、単位特異的マーカーを、完全には相補的でないポリマーユニットに結合させるように調節され得る。この後者のアプローチは、ポリマーのあまり正確でない配列が試みられる場合に有用である。
【0077】
その単位特異的マーカーは、互いに対して既知の検出分解能未満の距離にて位置する場合に分離可能である。なぜなら、それらは、差示的に標識されているからである。本明細書中で使用される場合、「差示的に標識された単位特異的マーカー」とは、異なりかつ別のシグナルを発する異なる標識で標識されている(例えば、結合体化されている)単位特異的マーカーである。
【0078】
本明細書中で使用される場合「標識」とは、種々の方法(蛍光、導電性、放射活性、サイズなどを含む)によって検出され得る分子または化合物である。その標識は、例えば、別の低い特徴的な波長の光による励起の後に、特定の波長の光を発する蛍光標識のようなシグナルを固有に発し得る。あるいは、その標識は、シグナルを固有に発することができなくてもよいが、シグナルを発する別の化合物によって結合されることができてもよい。この後者の状況の例は、例えば、ビオチン(これは、それ自体シグナルを発しないが、標識されたアビジンまたはストレプトアビジンに結合された場合に、分子が検出され得る)のような標識である。この後者の種の標識の他の例は、特定のレセプターに特異的に結合するリガンドである。検出可能に標識されるレセプターは、このようなマーカーを可視化するために、リガンド標識単位特異的マーカーに結合することを可能にされる。他の標識の型は、本明細書中により十分に記載される。
【0079】
標識は、エネルギー源(例えば、所定の波長(または波長範囲)のレーザービーム、または電流)との相互作用後に特徴的なシグナルを発する。標的ポリマーまたはその単位特異的マーカーのいずれかが、固有に標識されることが可能であるが、本明細書中に記載の方法において、非本質的に標識された単位特異的マーカーを使用することが好ましい。選択される非本質的標識の型は、種々の要因(行われる分析の性質、使用されるエネルギー源の型、およびポリマーの型が挙げられる)に依存する。非本質的標識化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:発光化合物、電子放出(electron emitting)もしくは電子吸収化合物、スピン標識、および重金属化合物。標識は、分析されるポリマーのユニットおよび使用される単位特異的マーカーと立体的にかつ化学的に適合性であるべきである。非本質的標識は、単位特異的マーカーのその標的ポリマーへの結合を妨害もせず、単位特異的マーカーの結合特異性に何ら影響を与えるべきでない。
【0080】
本発明に従って使用され得る他の標識としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子、半導体ナノ結晶、半導体ナノ粒子、金コロイドナノ結晶、リガンド、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性分子、量子ドット、色素原性基質、アフィニティー分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質。
【0081】
放射性同位体は、フィルムまたは電荷結合デバイス(CCD)を用いて検出され得、リガンドは、蛍光タグ、化学発光タグ、または酵素タグを有するレセプターの結合によって検出され得、マイクロビーズは、電子顕微鏡または原子間力顕微鏡を使用して検出され得る。その標識は、その単位特異的マーカーに、合成時に、または合成後の結合体化によって組み込まれ得る。
【0082】
「検出可能なシグナル」とは、本明細書中で使用される場合、従来の技術によって感知され得る任意の型のシグナルである。生成されるシグナルは、エネルギー源の型、ならびにマーカーおよびその標識の性質に依存する。好ましくは、そのシグナルは、そのポリマーに結合した、標識単位特異的マーカーからの発光を生じる、電磁放射である。
【0083】
単位特異的マーカーに結合される標識は、同じ型であり得る。例えば、それらは、全て蛍光標識であり得るか、またはそれらは、全て放射活性標識であり得るか、またはそれらは、全て核磁気標識であり得る。この後者の構成は、いくつかの実施形態において好ましくあり得る。同じ型である標識は、それらが一旦エネルギー源(例えば、光学的放射)と接触すると発生されるシグナルに基づいて、互いになお区別可能である。例として、2つの蛍光標識が、異なる波長の蛍光放射を発する場合に区別可能である。あるいは、その単位特異的マーカー標識は異なる型であり得、例えば、1つの標識は、蛍光標識であり得、1つは、放射活性標識であり得る。
【0084】
「発光化合物」または「光を発する化合物」とは、本明細書中で使用される場合、特定の波長の光での照射に応じて光を発する化合物である。これらの化合物は、リン光、化学発光、発光、分極化蛍光(polarized fluorescence)、またはより好ましくは蛍光を通じて光を吸収および発光し得る。選択される特定の発光化合物は、以下でより詳細に議論される種々の要因に依存する。
【0085】
化学発光化合物は、化学反応に起因して発光する化合物である。リン光化合物は、放射吸収の結果として、遅延した発光を示す化合物である。発光は、曝露の際の、物質による電磁放射の非熱的放出である。これらの化合物は、当該分野で周知である。
【0086】
一般に、蛍光化合物は、いくつかの共役二重結合の鎖を有する炭化水素分子である。色素の吸収波長および放射波長は、共役鎖における炭素原子の数にほぼ比例する。好ましい蛍光化合物は、「Cy−3」(Biological Detection Systems,Pittsburgh,PA)である。本発明に従って有用な他の好ましい蛍光化合物としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:フルオレセインイソチオシアネート(「FITC」)、テキサスレッドTM、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(「TRITC」)、4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a、および4a−ジアザ−s−インダセン(「BODIPY」)、Cy−ChromeTM、R−フィコエリトリン(R−PE)、PerCP、アロフィコシアニン(APC)、PharRedTM、Mauna Blue、AlexaTM 350、およびカスケードブルー(登録商標)。いくつかの発光化合物は、発蛍光団の組み合わせである。これらの化合物は、しばしば、「ピギーバック」発蛍光団といわれる。なぜなら、それらは、互いに近接した2つの発蛍光団から構成される。このような化合物において、発蛍光団のうちの一方は、レーザー源からエネルギーを吸収し得、他の発蛍光団が吸収し得る基底状態に戻る場合にエネルギーを放射する。得られたシグナルは、より低い励起状態に戻る際に、第二の発蛍光団から得られる。ピギーバック化合物は、単一の波長のエネルギー源から得られ得る蛍光シグナルを増す。
【0087】
本発明の1つの実施形態において、発光化合物は、ドナー発蛍光団またはアクセプター発蛍光団である。発蛍光団は、本明細書中で使用される場合、1つの波長にて光を吸収し得、別の波長にて発光し得る分子である。ドナー発蛍光団は、その蛍光エネルギーを、近くにあるアクセプター分子に移動し得る発蛍光団である。アクセプター発蛍光団は、近位にあるドナーからのエネルギーを受け入れ得る発蛍光団である(アクセプターは、発蛍光団である必要はない。それは、非発光性であり得る)。発蛍光団は、それらを光で照射することにより、励起状態またはより高いエネルギーレベルへと光化学的に促進され得る。励起波長は、一般に、スペクトルの紫外線領域、青色領域、緑色領域中にある。その発蛍光団は、それらのエネルギーを放出し、基底状態に戻る前に、非常に短期間の間、励起状態にある。それらのエネルギーを発光として散逸する発蛍光団は、ドナー発蛍光団である。出て行く光子の波長分布は、発光スペクトルを形成し、これは、励起スペクトルより長い波長(低エネルギー)にてピークに達するが、同様に特定の発蛍光団に特徴的である。
【0088】
表1は、特徴的な吸収スペクトルおよび発光スペクトルとともに利用可能な種々の型の発光化合物およびそれらの励起に適したレーザーを示す。蛍光結合体化ヌクレオチド(例えば、Cy3標識およびCy5標識のチミジンおよびシトシン)は、Amersham Pharmacia Biotechから市販されている。単一の標識ヌクレオチドは、標準的な自動化核酸合成において、非標識バージョンの残りの3つのヌクレオチドとともに使用される。合成される単位特異的マーカー(すなわち、核酸プローブ)のヌクレオチド含有量に依存して、所定の合成反応において、異なる単位特異的マーカーの蛍光を等しくするために、標識バージョンおよび非標識バージョン両方の同じヌクレオチドを含むことが必要であり得る。
【0089】
ほとんどの蛍光団は、放射のピーク波長を示すが、その放射スペクトルはまた、ある範囲の波長に及び、1つの蛍光団が別の蛍光団の検出チャネルへと放射され得る可能性を生じる。蛍光団間の蛍光の重複を減少させるために、各々から別の検出器への信号は、補償によって減弱される。この技術は、フローサイトメトリーの分野で公知でありかつ慣用的に実施される。簡潔には、各蛍光団からその意図された検出器への信号の割合は、同じ蛍光団が別の蛍光団の検出器へ放射する信号から差し引かれる。補償は、広い重複する放射スペクトルを有する蛍光団の組み合わせを使用する場合に、実施されるべきである。
【0090】
(表1)
【0091】
【表1】
放射性化合物は、α、βまたはγ核放射線を放射する物質である。α線は、質量数4の陽に荷電した粒子であり、そして電磁場によって僅かに偏向される。β線は、負に荷電した電子であり、そして電磁場によって強力に偏向される。γ線は、電磁放射の光子であり、電磁場によって偏向されず、そして10−8〜10−9cm程度の波長である。放射性化合物は、ステーションを通過する際に核放射を放射する。ステーションがシンチレーション層である場合、核放射は、シンチレーション層と相互作用し、そして蛍光励起を引き起こす。次いで、放射性標識されたマーカーを示す蛍光信号が検出され得る。
【0092】
単位特異的なマーカーおよび/またはポリマーは、抗体または抗体フラグメント、およびそれらの対応する抗原またはハプテン結合パートナーを使用して、標識され得る。このような結合した抗体およびタンパク質またはペプチドの検出は、当業者に周知の技術によって達成される。ハプテン結合体(例えば、ジゴキシゲニンまたはジニトロフェニル)の使用もまた、本明細書中で充分適切である。ハプテン結合体に応答して形成する抗体/抗原複合体は、標識を、ハプテンまたはハプテンを認識する抗体に連結し、次いでこの標識の部位を観察することによって、容易に検出される。あるいは、これらの抗体は、使用される一次抗体に特異的な二次抗体またはそのフラグメントを使用して、可視化され得る。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体が使用され得る。抗体フラグメントとしては、Fab、F(ab)2、FdおよびCDR3領域を含む抗体フラグメントが挙げられる。これらの結合体はまた、二重特異的抗体を使用して標識され得る。
【0093】
なお別の実施形態において、ポリマーは、配列非依存的標識(骨格標識を含む)を用いて標識される。このポリマーが核酸である場合、配列非依存的標識は、核酸染色といわれる。核酸染色は、インターカレート色素(例えば、フェナントリジンおよびアクリジン(例えば、エチジウムブロマイド、プロピジウムヨーダイド、ヘキシジウムヨーダイド、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー−1およびエチジウムホモダイマー−2、エチジウムモノアジド、ならびにACMA));副溝結合因子(例えば、インドールおよびイミダゾール(例えば、Hoechst33258、Hoechst33342、Hoechst34580およびDAPI));ならびに種々の核酸染色(例えば、アクリジンオレンジ(インターカレーティングもまたし得る)、7−AAD、アクチノマイシンD、LDS751およびヒドロキシスチルバミジン、であり得る。上記核酸染色の全ては、Molecular Probes,Inc.のような業者から市販される。核酸染色のなお他の例としては、Molecular Probesからの以下の色素が挙げられる:シアニン色素(例えば、SYTOX Blue、SYTOX Green、CYTOX Orange、POPO−1、POPO−3、YOYO−1、YOYO−3、TOTO−1、TOTO−3、JOJO−1、LOLO−1、BOBO−1、BOBO−3、PO−PRO−1、PO−PRO−3、BO−PRO−1、BO−PRO−3、TO−PRO−1、TO−PRO−3、TO−PRO−5、JO−PRO−1、LO−PRO−1、YO−PRO−1、YO−PRO−3、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBR Gold、SYBR Green I、SYBR Green II、SYBR DX、SYTO−40、SYTO−41、SYTO−42、SYTO−43、SYTO−44、SYTO−45(青)、SYTO−13、SYTO−16、SYTO−24、SYTO−21、SYTO−23、SYTO−12、SYTO−11、SYTO−20、SYTO−22、SYTO−15、SYTO−14、SYTO−25(緑)、SYTO−81、SYTO−80、SYTO−82、SYTO−83、SYTO−84、SYTO−85(オレンジ)、SYTO−64、SYTO−17、SYTO−59、SYTO−61、SYTO−62、SYTO−60、SYTO−63(赤)。
【0094】
単位特異的マーカーおよび外部標識は、互いに結合体化または連結される。外部標識は、当該分野で公知の任意の手段によって、単位特異的マーカーに連結または結合体化され得る。例えば、これらの標識は、単位特異的マーカーに直接結合され得るか、または単位特異的に結合されるリンカーに結合され得る。単位特異的マーカーは、このプロセスを増強するために、リンカーを含むようにか、またはリンカーへの結合を容易にするように、化学的に誘導体化され得る。例えば、蛍光団は、化学手段によって核酸に直接取り込まれるが、核酸に取り込まれた活性なアミノ基またはチオール基を介しても、核酸に取り込まれる(Proudnikov and Mirabekov、Nucleic Acid Reseach、24:4535−4532、1996)。マーカーに対して実施され得る改変手段の広範な説明、リンカーおよび/または標識は、Hermanson,G.T.、Bioconjugate Techniques、Academic Press Inc.、San Diego、1996(本明細書中で参考として援用される)中に見出され得る。
【0095】
DNAの直接的化学標識の、いくつかの公知の方法が存在する(Hermanson、1996;Rogetら、1989;Proudnikov and Mirabekov、1996)。これらの方法のうち1つは、DNAの部分的脱プリン化による、アルデヒド基の導入に基づく。ヒドラジン基が結合した蛍光標識は、これらのアルデヒド基と効率的にカップリングし、そしてこれらのヒドラジン結合は、約60%のナトリウム標識効率で、還元によって安定化される。過剰のアミン蛍光団の存在下での、シトシンと亜硫酸水素塩との反応は、N4位でのアミノ基転移を生じる(Hermanson、1996)。反応条件(例えば、pH、アミン蛍光団濃度、ならびにインキュベーション時間およびインキュベーション温度)は、形成される生成物の収率に影響を与える。高濃度のアミン蛍光団(3M)で、アミノ基転移は、100%に達し得る(Draper and Gold、1980)。
【0096】
上記の方法に加えて、蛍光標識されたヌクレオチドを使用して、(例えば、自動化核酸合成器を使用して)新規に核酸を合成することもまた可能である。このようなヌクレオチドは、Amersham Pharmacia Biotech、Molecular ProbesおよびNew England Nuclear/Perkin Elmerのような業者から市販される。
【0097】
光放射化合物は、単位特異的マーカーに結合され得るか、または当該分野で公知の任意の機構によって結合され得る。例えば、種々の光放射基と反応性の官能基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(官能基:光放射化合物の反応性の基)活性化エステル:アミンまたはアニリン;アシルアジド:アミンまたはアニリン;アシルハライド:アミン、アニリン、アルコールまたはフェノール;アシルニトリル:アルコールまたはフェノール;アルデヒド:アミンまたはアニリン;アルキルハライド:アミン、アニリン、アルコール、フェノールまたはチオール;アルキルスルホネート:チオール、アルコールまたはフェノール;無水物:アルコール、フェノール、アミンまたはアニリン;アリールハライド:チオール;アジリジン:チオールまたはチオエーテル;カルボン酸:アミン、アニリン、アルコールまたはアルキルハライド;ジアゾアルカン:カルボン酸;エポキシド:チオール;ハロアセトアミド:チオール;ハロトリアジン:アミン、アニリンまたはフェノール;ヒドラジン:アルデヒドまたはケトン;ヒドロキシアミン:アルデヒドまたはケトン;イミドエステル:アミンまたはアニリン;イソシアネート:アミンまたはアニリン;およびイソチオシアネート:アミンまたはアニリン。
【0098】
標識されたポリマーは、標識から信号を発生させるために、エネルギー源に暴露される。本明細書中で使用する場合、標識されたポリマーは、エネルギー源に対して相互作用する近位に、ポリマーに結合した標識された単位特異的マーカーを位置づけまたは提示することによって、エネルギー源に「暴露」され、その結果、エネルギー移動は、エネルギー源から標識された単位特異的マーカーへと生じ得、それにより、検出可能な信号を生じ得る。相互作用する近位とは、検出可能な信号を生じる相互作用または変化を可能にするために充分近いことを意味する。
【0099】
エネルギー源は、電磁放射および蛍光励起源からなる群より選択され得るが、これらに限定されない。「電磁放射」は、本明細書中で使用される場合、電磁波によって生成されるエネルギーである。電磁放射は、直接的光源の形態であり得るか、または光放射化合物(例えば、ドナー蛍光団)によって放射され得る。「光」は、本明細書中で使用される場合、可視、赤外線および紫外線を含む任意の波長の電磁エネルギーを含む。蛍光励起源は、本明細書中で使用される場合、供給源蛍光を生じ得るか、または光子放射を生じ得る任意の実体である(すなわち、電磁放射、有向(directed)電場、温度、物理的接触または機械的破壊)。
【0100】
1つの局面において、この方法は、さらに、単位特異的マーカーの標識から生じる別個の信号を生成するために、ステーションに、標識されたポリマーを暴露する工程を包含する。本明細書中で使用される場合、標識されたポリマーは、ステーションに対して相互作用する近位に、ポリマーに結合した標識された単位特異的マーカーを位置づけまたは提示することによって、ステーションに「暴露」され、その結果、ステーションにおけるエネルギー移動または物理的変化が生じ得、それにより、検出可能な信号を生じ得る。「ステーション」は、本明細書中で使用される場合、ポリマーの部分(このポリマーに結合した、標識された単位特異的マーカーを有する)は、信号またはポリマー依存的インパルスを発生させるために、エネルギー源に暴露される領域である。ステーションは、気体を含む任意の物質から構成され得るが、好ましくは、このステーションは、非液体物質である。1つの好ましい実施形態において、このステーションは、固体物質から構成される。標識された単位特異的マーカーが、ステーションにおいてエネルギー源と相互作用する場合、このステーションは、相互作用ステーションと称される。「相互作用ステーション」は、標識された単位特異的マーカーおよびエネルギー源が、相互作用するのに互いに充分近位に配置され得る領域である。蛍光団のための相互作用ステーションは、標識された単位特異的マーカーおよびエネルギー源が、これらがエネルギー的に相互作用して信号を発生し得るように、互いに充分近接する領域である。
【0101】
標識された単位特異的マーカーが、ステーションおよび/またはエネルギー源に連続的に暴露される場合、このマーカー(従って、ポリマー)ならびにステーションおよび/またはエネルギー源は、互いに対して移動する。本明細書中で使用される場合、マーカーならびにステーションおよび/またはエネルギー源は、互いに対して移動し、このことは、マーカー(従って、ポリマー)またはステーションおよび/もしくはエネルギー源が共に移動するか、あるいは2つのうち1つだけが移動し、そして他方が静止しているかのいずれかを意味する。これら2つの間の移動は、当該分野で公知の任意の手段によって達成され得る。例として、マーカーおよびポリマーは、電流によって、静止ステーションを通って引かれ得る。ステーションを通ってマーカーおよびポリマーを移動させるための他の方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:磁場、機械的力、流れる液体媒体、圧力システム、吸引システム、重力および分子モータ(例えば、ポリマーが核酸である場合にはDNAポリメラーゼまたはヘリカーゼ、ポリマーがアクチンのようなペプチドである場合にはミオシン)。ポリマーの移動は、ポリマーを導くための、チャネル、溝またはリングの使用によって促進され得る。このステーションは、標的ポリマー(この標的ポリマーに結合した、標識された単位特異的マーカーを有する)を引き続いて受容し、そして標識とエネルギー源との相互作用を可能にするように構築される。
【0102】
好ましい実施形態における相互作用ステーションは、局在化したエネルギー源が、チャネルを通るポリマーと相互作用し得る、ナノチャネルの領域である。ポリマーが、因子の局在化した領域を通過する点が、相互作用ステーションである。各標識された単位特異的マーカーがエネルギー源を通過する際に、検出可能な信号が発生する。エネルギー源は、チャネルから離れて配置されるが、導波管を通るチャネル領域に光を直接輸送し得る光源であり得る。複数のポリマーが複数のチャネルを通じて輸送される装置もまた、使用され得る。ポリマーの移動は、ポリマーを導くために、溝またはリングの使用によって補助され得る。
【0103】
相互作用ステーションを作製するための他の構成は、本発明によって包含される。例えば、ポリマーは、壁の表面にテザー化されたかまたは壁に包埋された分子モータを通過し、それによって、ポリマー単位を、特定の位置(好ましくはエネルギー源に相互作用する近位)へと連続的にもたらし得、それによって相互作用ステーションを規定し得る。分子モータは、ポリマーと相互作用し、そして各単位を通過したポリマーの長さに沿って輸送される、ポリメラーゼまたはヘリカーゼのような化合物である。同様に、このポリマーは、静止位置に保持され得、そしてリーダーは、ポリマーに沿って移動され得、このリーダーは、ポリマーをエネルギー源に結合させている。例えば、エネルギー源は、ポリマーの長さに沿って導かれる走査チップ内に維持され得る。次いで、エネルギー源が各標識された単位特異的マーカーに対して相互作用する近位へと移動される場合に、相互作用ステーションが作製される。
【0104】
上記で考察したように、多くの方法が、チャネルを横切り、かつ相互作用ステーションまたは信号発生ステーションを通って、ポリマーを直線的に移動させるために使用され得る。本発明に従う好ましい方法は、電場を利用する。いくつかの研究(Bustamante、1991;Gurrieriら、1990;Matsumotoら、1981)において以前に実証されたように、このポリマーは、印加された場の方向に伸び、そして整列するので、電場は、チャネルを通してポリマーを引くために使用され得る。チャネルを通るポリマーの直線的交差に関するほとんどの実験は、Kasianowiczら、1996およびBezrukovら、1994(これらの各々が、本明細書中で参考として援用される)に記載されるように、ポリマー分子が電場を用いてタンパク質チャネルを通って引かれる実験から生じる。
【0105】
チャネルを横切るポリマーの最適な直線的交差を達成するために、チャネルの直径およびポリマーの直線的な交差を指向するために使用される方法(例えば、電場)を考慮することが重要である。チャネルの直径は、標識されたポリマーの直径と充分対応するべきである。直線的交差のための理論は、ポリマーの直径と充分対応するチャネルの直径である。例えば、DNAポリメラーゼのリング様のスライドするクランプは、二本鎖DNAの直径と充分対応し、そしてDNA分子の直線的交差を達成するのに首尾よい内径を有する。何キロベースものDNAは、このスライドするクランプを通され得る。いくつかの参考文献はまた、チャネルの直径がDNAの直径と充分対応する場合に、チャネルを通るDNAの直線的交差が生じることを実証している(Bustamante、1991;Gurrieriら、1990;Matsumotoら、1981)。
【0106】
一本鎖DNAは、この実験において使用される場合、約1.6nmの直径を有する。約1.7〜3nmの内径を有するチャネルは、一本鎖DNA分子の直線的交差を可能にするのに充分である。チャネルおよびDNAの直径は、正確に一致する必要はないが、好ましくは類似である。直径3.4nmを有する二本鎖DNAについて、3.5nmと4.5nmとの間のチャネルサイズが、直線的交差を可能にするのに充分である。
【0107】
相互作用ステーションは、局在化された放射スポットが、1つまたはいくつかのポリマー単位またはナノメートル以下のオーダーの単位特異的マーカー標識と相互作用することを可能にする、独自の配置および構成を使用する。光学検出器は、相互作用によって改変された光を検出し、そしてプロセッサに検出信号を提供する。
【0108】
標識されたポリマーが相互作用ステーションを通過する場合、光学供給源は、相互作用ステーションの光学構成要素に指向された相互作用ステーションを通過するポリマーを特徴付けるための、放射電場もしくは放射電磁場、X線放射、または可視放射もしくは赤外放射を放射する。光学構成要素は、以下のa)、b)またはc)と直接相互作用する局在化放射スポットを生成する:a)ポリマー骨格(例えば、ポリマー骨格が放射を発するインターカレーターと結合する場合)、b)単位特異的マーカーに結合した標識、またはc)骨格単位および標識の両方。局在化した放射スポットは、少なくとも1つの次元で局在化した、非放射に近い場またはエバネッセント波を含む。局在化した放射スポットは、従来の光学において使用される回折により制限される分解よりも、かなり高い分解を提供する。
【0109】
標識された単位特異的マーカーと因子との間の相互作用は、種々の形態で生じ得る。第一の例として、この相互作用は、電磁放射であるエネルギー源と、光放射化合物である標識された単位特異的マーカー(好ましくは、光放射化合物を用いて外的に標識された単位特異的マーカー)との間で生じ得る。この光放射化合物が(例えば、適切な波長のレーザービームまたはドナー蛍光団から放射される電磁放射によって)電磁放射に暴露される場合、この電磁放射は、光放射化合物に、特定の波長の電磁放射を放射させる。第二の型の相互作用は、蛍光励起源であるエネルギー源および光放射化合物で標識された単位特異的マーカーを含む。光放射単位が蛍光励起源に接触される場合、この蛍光励起源は、光放射化合物に、特定の波長の電磁放射を放射させる。両方の例において、測定される信号は、光放射の特徴的なパターンを示し、このことは、ポリマーの特定の単位が特定の位置に存在することを示す。
【0110】
これらの型の相互作用のバリエーションは、相互作用の第三の構成要素である、信号の発生に関与する近位化合物の存在を含む。例えば、単位特異的マーカーは、ドナー蛍光団である光放射化合物で標識され得、そして近位化合物は、アクセプター蛍光団であり得る。光放射化合物が励起状態に置かれ、そしてアクセプター蛍光団に対して近位にされる場合、エネルギー移動は、ドナーとアクセプターとの間で生じ、光放射性の単位特異的マーカーの存在の測定値として検出され得る信号を発生させる。光放射化合物は、光(例えば、レーザービーム)に暴露されることによってか、または蛍光励起源に暴露されることによって、「励起」状態に置かれ得る。
【0111】
光放射化合物が近位化合物であり、そして標識された単位特異的マーカーがアクセプター供給源である、上記の相互作用と平行な1セットの相互作用が作製され得る。これらの例において、エネルギー源は、近位化合物によって放射される電磁放射であり、そして信号は、標識された単位特異的マーカーを近位化合物と相互作用する近位にもたらすことによって発生される。
【0112】
これらの相互作用の各々が検出可能な信号を発生させる機構は、当該分野で公知である。PCT出願WO98/35012およびWO00/09757(それぞれ、1998年8月13日および2000年2月24日公開)ならびに米国特許第6,355,420号B1(2002年3月12日発行)は、ドナー蛍光団およびアクセプター蛍光団が本発明に従って相互作用して、この型の相互作用から生じることが公知である実際の制限を含む検出可能な信号を発生させる機構、およびこのような制限を低減または排除する方法を記載する。
【0113】
いくつかの実施形態において、このシステムはまた、ポリマーアラインメントを提供する。ポリマーアラインメントステーションおよび相互作用ステーションは、基板、石英ウエハおよびガラスカバーを、必要に応じて備える。基板は、非導電性の化学的に不活性な物質(例えば、Teflon(登録商標)またはDelrin(登録商標))から加工されて、導電性流体(例えば、アガロースゲル)および標的ポリマーの流れを容易にする。基板は、金ワイヤを受容するように加工された溝を備え、これは、相互作用ステーションを横切ってポリマー分子を進めるために使用される電場の形状に従って選択された形状を有する。石英ウエハは、基板上に密封される。
【0114】
あるいは、溝およびワイヤは、石英ウエハ上に直接位置付けられた金属領域によって置換され得るか、または電場を発生させるための外部電極によって置換され得る。一般に、これらの電極は、約ミリメートル〜5センチメートル、そして好ましくは2センチメートルの範囲の距離にわたって離れて間隔を空けられ、そして代表的には約20V/cmの場の強度を提供する。
【0115】
アラインメントステーションおよび相互作用ステーションは、石英ウエハ上で一緒に製造され得る。もちろん、単一の石英ウエハは、数百または数千のアラインメントステーションおよび相互作用ステーションを備え得る。いくつかの重要な実施形態において、この石英ウエハは、金属層(例えば、アルミニウム、金、銀)で被覆され、そしてその表面上に製造されたマイクロチャネルを有する、石英基板を備える。金属層を介して、局在化放射スポットを提供する光学要素を形成するスリットが製造される。これらのスリットは、1nmと5000nmとの間の範囲、そして好ましくは1nmと500nmとの間の範囲、そしてより好ましくは10nmと100nmとの間の範囲で、選択された幅を有する。これらのスリットは、1μm〜50μmの範囲の幅および数百μmの長さを有するマイクロチャネルの向かいに配置される。金ワイヤによって発生される電場は、ポリマー(例えば、DNA分子)を、スリットを通してマイクロチャネルを介して引く。
【0116】
ポリマーアラインメントステーションは、マイクロチャネルへの遷移領域を介して結合される幾つかの領域において、幾つかのアラインメントポストを含む。アラインメントポストは、円形の断面を有し、約1ミクロンの直径であり、約1.5ミクロンの間隔で配置され、試験するポリマーの長さに依存して、マイクロチャネルから約5μm〜500μm(および好ましくは、約10μm〜200μm)に位置する。例えば、ポリマーが、バクテリオファージT4 DNA(約167000塩基対を有する)である場合、アラインメントポストは、ナノスリットから約30μmに位置する。一般的に、ナノスリットからの距離は、ポリマーの予想される長さの約半分である。
【0117】
好ましい実施形態において、ポリマーは、それらが相互作用区域に到達する前に、整列および伸長される。アラインメントステーションは、三角形のマイクロチャネル、マイクロポスト領域、および侵入領域を含み、これらは全て表面上に作製される。
【0118】
侵入領域は、約50ミクロンの幅であり、マイクロポスト領域に連絡する。マイクロポスト領域は、幾つかのアラインメントポストを含む。アラインメントポストは、円形の断面を有し、約1ミクロンの直径である。このアラインメントマイクロポストは、12〜15行での約1.5ミクロンの間隔で配置される。マイクロポスト領域は、約26.6°で傾斜している。
【0119】
マイクロポストは、相互作用ステーションから約100μm〜5,000μm(および好ましくは、約1,000μm〜3,000μm)に位置し、ここで、ポリマーの単位(例えば、DNA)は、光学的放射と相互作用する。マイクロチャネルは、マイクロポストからの放出後に、ポリマーを伸長した構造に維持する定常X−方向剪断の領域である。電場は、マイクロチャネルを通じて試験するポリマーを引く。
【0120】
ポリマー(例えば、DNA)均一性を伸長させるのに非常に有効な技術は、テーパー付けされたマイクロチャネルの内側に遮蔽場を設け、それに続いて、伸長を維持するための定常剪断区域を得、そしてポリマー中でコイリングしたままのいずれかを真っ直ぐにすることである。好ましい実施形態は、マイクロポストと、異なる漏斗構造の2つの領域を結合する構造である。流体バルク流の予想可能な挙動のために、圧力流は、このましい推進力である。
【0121】
光源から放射される光線は、局在化した放射スポットを生成するように金属層において形成されたナノスリットと相互作用する。ナノスリットの幅より何倍もの大きい直径を有するレーザー光線は、石英ウェハの背側を照射し、石英ウェハを通じて伝播し、そしてナノスリットと相互作用する。非放射の近接場である局在化した放射スポットは、マイクロチャネルを通じて引かれるように、ポリマー鎖の単位を連続的に照射する。局在化した放射スポットは、ナノスリットから放射される一過性の波動として理解され得る。ナノスリットの幅が、光線の波長より小さいので、放射は、フレネル様式で生じる。
【0122】
光学システムはまた、光源と石英ウェハとの間に配置される偏光子を備え得、そして、石英ウェハと光学検出器との間に配置されるノッチフィルターを備える。偏光子が、ナノスリットの長さに対して平行に、光線をベクターEに指向させる場合、ナノスリットから放射される近接場放射が存在するが、遠方場放射は存在しない。偏光子が、ナノスリット(多波長の長さである)に対して垂直に、光線をEベクトルに指向させる場合、ナノスリットからの遠方場放射が存在する。付帯光線を選択的に偏光させることによって、光学システムは、近接場放射と遠方場放射との間で切り換わり得る。
【0123】
単位特異的マーカーが、発蛍光団で標識された単位特異的マーカーによって検出される代表的なシステムにおいて、光学システムは、レーザー光源、音響光学可変調フィルター、偏光子、ノッチフィルター、増圧器およびCCD検出器、およびビデオレコーダー(VCR)に接続されたビデオモニターを備える。標的ポリマーを有する個々の単位は、選択された励起波長に対して感受性のある発蛍光団で選択的に標識される単位特異的マーカーを介して検出される。音響光学可変調フィルターは、レーザー光源から放射される光の励起波長を選択するために使用される。励起光線は、非放射近接場を生成するためにナノスリットと相互作用する。金ワイヤ間の電場は、各々標識された単位と放射との相互作用を引き起こす公知の速度でポリマーを引く。発蛍光団が、スリットを通じて動くので、放射された放射は、発蛍光団を励起し、次いで、蛍光放射を再放射する。ノッチフィルターによって、蛍光波長を有する放射は、励起波長を有する放射を通過させ、減衰させることが可能になる。このことは、ノイズ分解能に対するシグナルを増大させるのに役立ち、光学フィルターの後者の使用は、当該分野で公知である。石英ウェハ上の数mmから数cmの位置にある電荷結合素子(CCD)検出器は、蛍光放射を検出する。CCD検出器は、発蛍光団が、それらを横切って動くので、多数のナノスリットの各々について別々に、蛍光放射を検出し得る。このプロセスは、石英ウェハ上に位置する多数のナノスリットで潜在的に生じ得る。
【0124】
電場を使用して、標的ポリマーを、ナノスリットの近くに配置し得る。このナノスリットは、非放射場を「放出」し、これは、ほんの1波長または2波長の距離で減衰される。発蛍光団を非放射場の範囲内に配置するためには、ポリマーをナノスリット(および金属フィルム)に近付けて、従って、金属層に近付けて引くことが必要であり得る。このポリマーは、交流(AC)場を金属層に印加することによって生じる誘電力を使用して、ナノスリットに近付けて引かれる。例えば、「Trapping of DNA in Nonuniform Oscillating electric Fields」、Charles L.AshburyおよびGer van den Engh,Biophysical Journal,第74巻、1024−1030頁(1998)、「Molecular Dielectrophoresis of Biopolymers」、M.Washizu,S,Suzuki,O.Kurosawa,T.Nishizaka,およびT.Shinohara,IEEE Transactions on Industry Applications,第三0巻、No4、835−843頁(1994)、ならびに「Electrostatic Manipulation of DNA in Microfabricated Structures」、M.WashizuおよびO.Kurosawa,IEEE Transactions on Industry Applications,第二6巻、No6、1165−1172頁(1990)を参照のこと。一般的には、「Dielectrophoresis:The Behavior of Neutral Matter in Nonuniform Electric Fields」、Pohl,H.A.,Cambridge University Press,Cambridge,UK,1978を参照のこと。不均一な場は、ポリマー(例えば、DNA分子)の分極した単位を金属層に引きつける。
【0125】
このシステムは、線状化されたポリマー分子がナノチャネルに接近し、そしてそのナノチャネルを通過する際に、ナノチャネルにわたるイオン電流を測定し得る、第二の相互作用ステーションを、必要に応じて備え得る。このイオン電流の検出される遮断は、そのポリマー分子の長さおよび他のポリマー特徴を特徴付けるために使用され得る。この相互作用ステーションは、電極を使用して、対の電極に対して垂直な方向に、チャネルを横断する電圧を印加して、ポリマー分子をチャネルを通して引き得る。この対の電極は、制御装置に配置されるマイクロ電流計に接続され、そしてこの配置は、ナノチャネルにわたるイオン電流を測定するように働く。あるいは、マイクロ電流計は、ブリッジによって置き換えられ、このブリッジは、このチャネルの、ポリマーの非存在下でのインピーダンス(Z1)とポリマーの存在下でのインピーダンス(Zx)とを比較する。ポリマーがこのチャネルに存在しない場合、電圧計は、0Vを示す。広げられた、ほぼ線状のポリマーが、このチャネルを通過する場合、その存在は、電極間での通常のイオンの流れを、検出可能に減少させるか、または完全に遮断する。
【0126】
対の電極は、1ミクロン未満のリソグラフィーを使用して作製され、そしてブリッジ(インピーダンスの変化を検出するため)またはマイクロ電流計(イオン電流を測定するため)のいずれかに接続される。チャネルにわたって測定されたデータは、増幅され、そしてこの増幅されたシグナルが、低域フィルタを使用してフィルタリングされ(例えば、1秒間あたり64,000サンプル)、そしてこのデータが、選択されたサンプリング速度で、アナログデジタル変換器によってデジタル化される。システム制御装置またはプロセッサは、イオン電流の一時的な低下を、ポリマー単位の速度と相関付け、そしてそのポリマーの長さ(例えば、DNA分子またはRNA分子の長さ)を決定する。
【0127】
整列領域、マイクロチャネルおよびスリットの作製は、以前に、公開されたPCT出願番号WO00/09757に記載されている。
【0128】
ナノチャネルから放出される、近距離場および遠距離場の放射光を検出するための光学系もまた、使用され得る。この系において、光源は、光線を放出し、この光線は、以下に記載される技術を使用して、導波管の入力側に収束される。エバネセント波とポリマーとの相互作用の後に、近距離場放射光が、導波管によって収集され、そして出力側からの工学検出器に光学的に結合される。遠距離場は、レンズによって収集され、チューナブルフィルタによってフィルタリングされ、そしてPMT検出器に提供される。光源(例えば、LEDまたはレーザーダイオード)が、石英ウエハ上に組み込まれ得る。この配置は、入力側と整列されなければならない外部光源の必要性を排除する。この光源は、直接バンドギャップ材料(例えば、UV放射光を発生させるためにはGaN、または緑色波長の放射光を発生させるためにはGaP:N)を使用して作製される。
【0129】
石英ウエハはまた、検出およびフィルタリングのための外部設定を回避するために、一体化された光学検出器を備え得る。一体化されたアバランシェフォトダイオードまたはPINフォトダイオードは、励起波長をフィルタリングで除去するためのインサイチュフィルタと一緒になって、光線を受ける。種々の一体化された光学素子は、「Integrated Optoelectronics − Waveguide Optics,Photonics,Semiconductors」、Karl Joachim Ebeling,Springer−Verlag,1992に記載されている。例えば、波形導波管が、逆方向結合器として使用され、その結果、狭い周波数帯内の光が反射され、フィルタリング作用を生じる。別のフィルタは、近く接近した異なる分散関係を有する2つの導波管を使用して作製される。一方の導波管からの光が、屈折率の一致が存在する波長に対して、他方に結合される。これらの導波管に電圧を印加することによって、分散曲線がシフトし、そして得られるフィルタのスペクトルが変化して、チューナブルフィルタを提供する。
【0130】
別の実施形態において、この光学系は、上記のように、10MHz〜1GHzの範囲の周波数で変調される放射光を使用する。
【0131】
異なる型の外部光源から光の、導波管内への異なる型の結合が使用され得る。例えば、光源は、光線を放出し、この光線は、集光レンズを使用して、三角形の導波管の入力側に集束される。あるいは、光線を三角形の導波管に結合するために、プリズムが使用される。光線は、プリズムによって回折され、そしてこのプリズム内で全反射を起こす。このプリズムは、SiO2体積の表面に位置し、そして層を横切るビームを導波管に光学的に結合させるように配置される。あるいは、光線を三角形の導波管に結合させるために、回折格子が使用される。格子は、導波管上に作製され、その結果、この格子は、光線176を先端部に向けて回折させる。あるいは、光ファイバーが、光線を三角形の導波管に結合させる。光を導波管に結合させるための異なる様式は、Fundamentals of Optics,Clifford R.Pollock,Richard D,Irwin,Inc.,1995に記載されている。
【0132】
導波管の作製は、1999年8月13日に出願された、公開されたPCT特許出願PCT/US99/18438に記載されている。
【0133】
本発明の別の実施形態は、共焦点蛍光の照射および検出を利用する。共焦点照射は、小さい光学体積(ピコリットルのオーダー)が照射されることを可能にする。レイリー散乱とラマン散乱との両方が、小さいプローブ体積を使用して、最小にされる。この光学装置は、光源、フィルタ、二色性ミラー、対物レンズ、狭帯域フィルタ、ピンホール、レンズ、および検出器を備える。この光源(これは、1mWアルゴンイオンレーザーである)は、レーザービームを発生させ、このレーザービームは、フィルタを通過する。このフィルタは、約514nmの波長の集光されたビームを提供する、レーザーラインフィルタである。フィルタリングされたビームは、二色性ミラーによって反射され、そして対物レンズによって、DNA分子のようなポリマーの領域に集束される。この対物レンズは、100×1.2NAの油浸漬対物レンズである。
【0134】
励起されたタグは、蛍光の放出を提供し、この蛍光は、二色性ミラーおよび狭帯域フィルタ(例えば、Omega Opticalによって製造される)を通過し、そして100μmのピンホールに集束される。この蛍光は、非球状レンズによって、検出器に収束され、この検出器は、光子計数モードで作動する、アバランシェフォトダイオード(例えば、EG&G Canadaによって製造される)である。このフォトダイオードからの出力シグナルは、マルチチャネルスケーラー(EG&G)によって収集され、そして汎用コンピュータを使用して分析される。
【0135】
共焦点装置は、飛行時間を含む定量的適用のために適切である。このような適用としては、DNA上の距離を測定すること、タグ化配列を検出すること、およびDNAにおける伸長の程度を決定することが挙げられる。単一の蛍光性分子が、この装置を使用して検出され得る。あるいは、画像化装置は、顕微鏡に取り付けられた増強CCD(ICCD、Princeton Instruments)を使用する。
【0136】
本明細書中に記載される方法によれば、各分析は、好ましくは2つ以上の検出可能なシグナルを捕捉または検出することを意図する。本明細書中に記載されるように、第一の単位特異的マーカーは、エネルギー源と相互作用して、第一のシグナルを生成し得、そして第二の単位特異的マーカーは、エネルギー源と相互作用して、第二のシグナルを生成し得る。このように生成されたシグナルは異なり、従って、互いに別である。別のシグナルとは、本明細書中において使用される場合、互いから区別され得るシグナルをいう。このことは、1より多い型の単位が、単一の標的ポリマーにおいて検出されることを可能にする。このことはまた、単位が、標的ポリマーをより徹底的に配列決定することを可能にする。なぜなら、先行技術のアプローチの解像度限界より小さい距離で位置する単位が、ここで別個に検出され得、そしてこれらの位置が区別され得、従って、そのポリマーの長さに沿ってマッピングされるからである。
【0137】
一旦、シグナルが生成すると、このシグナルは次いで、検出され得る。検出手段の特定の型は、発生されるシグナルの型に依存し、このシグナルの型はもちろん、単位とエネルギー源との間で起こる相互作用の型に依存する。この方法に関与する相互作用の大部分は、電磁放射シグナルを生成する。電磁放射シグナルを検出するための多くの方法が、当該分野において公知である。シグナルを検出するための好ましいデバイスは、二次元画像化システムであり、これは、他のパラメータのうちでもとりわけ、低い雑音、高い量子収量、適切なピクセル対画像の相関、および効率的な処理時間を有する。シグナルを検出するために有用なデバイスの例は、二次元蛍光画像化システムであり、これは、蛍光波長範囲の電磁放射を検出する。
【0138】
検出可能なシグナルは、複数の検出器(これらの各々が、狭い範囲の波長の特定の波長のシグナルを検出する)を使用することによって、互いに区別され得る。さらに、シグナルは、光路における種々の二色性反射器、ミラーおよび/または帯域フィルタを使用して分解され、異なる放出波長(これらの各々は、特定の標識(および従って、特定の単位特異的マーカー)の特徴である)を分離し得る。検出器の構成は、このようなミラーおよびフィルタの要件および配置を支配する。ミラーを使用して、特定の波長より低いシグナルを、低波長検出器の方へと回折し得る。フィルタを使用して、ポリマーによって散乱されたのみの励起波長を除去し得る。帯域フィルタは、特定の範囲の波長が通過することを可能にし、そして他の波長を遮断する。ロングパスフィルタは、特定の設定された最小値より高い波長が通過することを可能にする。標識された単位特異的マーカーから放射される蛍光ビームの長さに沿った、光学ミラーおよびフィルタの配置を決定することは、通常の技術の範囲内である。
【0139】
このように発生した検出可能なシグナルは、検出デバイス(必要に応じて、検出ステーションまたはその内部にある)によって捕捉され、そして好ましくは、記録される。先に記載されたように、各標識された単位特異的マーカーによって生成された検出可能なシグナルは、その特定のマーカー、その配列を示し、そしてそのマーカーが結合する標的ポリマーにおける相補的単位に対応する。異なるマーカーからのシグナルが、時間的な(従って、標的ポリマーの長さに沿った距離の)間隔を空けて検出されると、連続的に、シグナルが検出される。全ての単位が検出される必要はなく、そして「連続的に」シグナルを検出するためにシグナルを発生する必要もない。検出チャネルからのピーク出力の時間的分離は、ポリマーがステーションを通って移動する速度(またはステーションがポリマーを通って移動する速度)の知識と一緒になって、2つのマーカー位置間の距離を計算するために使用される。
【0140】
本発明は、使用される検出技術の型の範囲に限定されない。むしろ、本明細書中に記載される方法は、DNAのような線状ポリマー上の配列特異的タグを検出し得る任意のシステムに適用され得る。この型の分析の役に立つ多数の検出スキームが存在し、光学的アプローチおよび非光学的アプローチを含む。これらの検出システムとしては、電子スピン共鳴検出、原子力顕微鏡(AFM)検出、走査トンネル顕微鏡(STM)検出、光学検出、核磁気共鳴(NMR)検出、近位場検出、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)検出、電気検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、および電磁検出システムが挙げられるが、これらに限定されない。適切な検出スキームの例として、走査トンネルシステムが使用されて、線状ポリマーからの配列情報を分析し得るが、但し、単位特異的マーカーは、走査トンネルシステムを使用して区別可能な化合物で標識される。同様に、PCT公開特許出願WO98/35012およびWO00/09757(それぞれ1998年8月13日および2000年2月24日に公開された)ならびに発行された米国特許第6,355,420号(2002年3月12日に発行された)に記載される検出技術が、本発明の方法に従う高分解能線形分析のためそれぞれの標識技術と組み合わせて使用され得る。これらの特許出願の全内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0141】
エネルギー源と標識された特異的マーカーとの間の相互作用に続いて検出されるシグナルは、分析のためにデータベースに格納され得る。格納されたシグナルを分析する1つの方法は、そのポリマーについての連続的な線状配列情報を誘導するために、これらのシグナルを整列させることである。2つ以上の分析(これらの全てが、同じ標識された単位特異的マーカーをコントロールとして含む)を実施することによって、その分析からの配列情報を組み合わせ、これによって、単一の分析においておそらく達成されるよりさらに多くの情報を得ることが可能である。格納されたシグナルを分析するための別の方法は、格納されたシグナルを、別のポリマーからのシグナルのパターンと比較して、これら2つのポリマーの関連性を決定することである。検出されたシグナルを分析するためのなお別の方法は、検出されたシグナルを、既知のポリマーに特徴的なシグナルの既知のパターンと比較して、分析されているポリマーと既知のポリマーとの関連性を決定することである。シグナルの比較は、以下にさらに詳細に議論される。
【0142】
1つの局面において、本発明の方法を使用して、ポリマーの単位の1つ、いくつか、または全てを同定し得る。このことは、骨格上の特定の位置において検出されたシグナルが特定の標識された単位の存在に特徴的であるか否かを決定することにより、個々の単位の型およびポリマーの骨格上でのその位置を同定することによって、達成される。
【0143】
本発明の方法はまた、ポリマーの他の構造的特徴を同定するために有用である。本発明の方法に従ってポリマーを分析することによって得られた構造的情報は、そのポリマーの特徴的特性の同定を包含し得、これは(次に)、例えば、サンプル中のポリマーの存在の同定、またはポリマーの関連性の決定、ポリマーの大きさの同定、ポリマーの2つ以上の個々の単位の間の接近もしくは距離の同定、ポリマーにおける2つ以上の個々の単位の順序の同定、および/あるいはポリマーの単位の一般的組成の同定を可能にする。このような特徴は、種々の目的(例えば、サンプル中での特定のポリマーの存在または非存在の決定)のために有用である。例えば、ポリマーが核酸である場合、本発明の方法は、特定の遺伝子配列が細胞または組織において発現されるか否かを決定するために使用され得る。
【0144】
特定の配列の存在または非存在は、サンプル中の任意のポリマーが、目的のポリマーにおいてのみ見出される個々の単位の特徴的パターンを表すか否かを決定すること(すなわち、検出されたシグナルを、既知のポリマーの既知のパターンのシグナルと比較して、分析されているポリマーと既知のポリマーとの関連性を決定すること)によって、確立され得る。サンプル中でのポリマーの存在または非存在を確立するために、目的のポリマーの配列全体が決定される必要はない。同様に、これらの方法は、1つのポリマーから検出されたシグナルを、別のポリマーからのシグナルのパターンと比較して、これら2つのポリマーの関連性を決定するために有用であり得る。
【0145】
一旦、検出可能な全てのシグナルが生成され、検出され、そしてデータベースに格納されると、これらのシグナルは、そのポリマーについての構造的情報を決定するために分析され得る。このコンピュータは、ポリマーについてのデータを収集するために使用されるものと同じコンピュータであり得るか、またはデータ分析専用のコンピュータであり得る。本発明を実施するために適切なコンピュータシステムは、代表的に、ユーザに情報を表示する出力デバイス、この出力デバイスに接続されたメインユニット、およびユーザからの入力を受ける入力デバイスを備える。メインユニットは、一般に、相互接続機構を介してメモリシステムに接続されたプロセッサを備える。入力デバイスおよび出力デバイスもまた、相互接続機構を介して、プロセッサおよびメモリシステムに接続される。
【0146】
1つ以上の出力デバイスがコンピュータシステムに接続され得ることが、理解されるべきである。例示的な出力デバイスとしては、陰極線管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プリンタ、モデムのような通信デバイス、およびオーディオ出力が挙げられる。1つ以上の入力デバイスがコンピュータシステムに接続され得ることが、理解されるべきである。例示的な入力デバイスとしては、キーボード、キーパッド、トラックボール、マウス、ペンおよびタブレット、通信デバイス、およびセンサのようなデータ入力デバイスが挙げられる。本発明は、コンピュータシステムと組み合わせて使用される特定の入力デバイスまたは出力デバイス、あるいは本明細書中に記載されるものに限定されないこと、が理解されるべきである。
【0147】
コンピュータシステムは、高レベルのコンピュータプログラミング言語(例えば、CまたはC++)を使用してプログラム可能な、汎用コンピュータシステムであり得る。コンピュータシステムはまた、特別にプログラムされた、専用ハードウェアであり得る。汎用コンピュータシステムにおいて、プロセッサは、代表的に、市販のプロセッサであり、そのうちの、シリーズx86プロセッサ(Intelから入手可能であり、そしてAMDおよびCyrix製のデバイスと類似)、680X0シリーズマイクロプロセッサ(Motorolaから入手可能)、PowerPCマイクロプロセッサ(IBM製)ならびにAlphaシリーズプロセッサ(Digital Equipment Corporation製)が、例である。他の多くのプロセッサが、利用可能である。このようなマイクロプロセッサは、オペレーティングシステムと称されるプログラムを実行し、そのうちの、Windows(登録商標)NT、UNIX(登録商標)、DOS、VMSおよびOS8が例であり、これは、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、そしてスケジューリング、デバッグ、入力/出力制御、会計、編集、格納割当て、データ管理およびメモリ管理、ならびに通信制御および関連するサービスを提供する。プロセッサおよびオペレーティングシステムは、高レベルプログラミング言語でアプリケーションプログラムが書き込まれるコンピュータプラットフォームを規定する。
【0148】
メモリシステムは、代表的に、コンピュータ読み取り可能かつ書き込み可能な不揮発性記録媒体を備え、これらのうちで、磁気ディスク、フラッシュメモリおよびテープが、例である。ディスクは、取り外し可能(フロッピー(登録商標)ディスクとして公知)であり得るか、または永久(ハードドライブとして公知)であり得る。ディスクは、多数のトラックを有し、このトラックに、シグナルが、代表的には二進法の形態で、すなわち、1と0との配列として翻訳された形態で、格納される。このようなシグナルは、マイクロプロセッサによって実行されるアプリケーションプログラム、またはアプリケーションプログラムによって処理される、ディスク上に格納された情報を規定し得る。代表的に、作動の際に、このプロセッサは、不揮発性記録媒体から集積回路メモリエレメント(これは代表的に、揮発性のランダムアクセスメモリ(例えば、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)または静的メモリ(SRAM)である)へと、データを読み取らせる。集積回路メモリエレメントは、プロセッサによる情報への、ディスクよりもより速いアクセスを可能にする。プロセッサは、一般に、集積回路メモリ内のデータを操作し、次いで、処理が完了すると、これらのデータをディスクにコピーする。ディスクと集積回路メモリエレメントとの間でのデータの移動を管理するための種々の機構が公知であり、そして本発明は、これらに限定されない。本発明は、特定のメモリシステムに限定されないこともまた、理解されるべきである。
【0149】
本発明は、特定のコンピュータプラットフォーム、特定のプロセッサ、または特定の高レベルプログラミング言語に限定されないことが、理解されるべきである。さらに、コンピュータシステムは、マルチプロセッサコンピュータシステムであり得るか、またはコンピュータネットワークを通じて接続された複数のコンピュータであり得る。
【0150】
格納された、ポリマーについてのデータは、コンピュータのメモリシステムにおけるデータベース(すなわち、データファイル)に格納され得る。各ポリマーについてのデータは、データが、他のポリマーについてのデータとは独立してプロセッサによってアクセス可能であるように(例えば、各ポリマーについて独自の識別名を割り当てることによって)、メモリシステムに格納され得る。
【0151】
以下の実施例は、本発明の実施の特定の例を説明するために提供され、そして本発明の範囲を限定することは意図されない。当業者に明らかであるように、本発明は、種々の組成物および方法において適用を見出す。
【実施例】
【0152】
(実施例1:様々な蛍光性の配列特異的タグ)
多くの異なる型の蛍光性配列特異的タグが存在する。これらとしては、その発光スペクトルによって区別され得る蛍光タグが挙げられる。蛍光タグの例としては、フルオレセイン、Cy3およびCy5のような標準的な染料が挙げられ、これらの全てが、異なる蛍光発光スペクトルを有し、これらのスペクトルは、標準的な分光フィルタリング技術を使用して区別され得る。これらの技術としては、二色性ミラー、帯域フィルタ、ノッチフィルタ、およびこれらの組み合わせが挙げられる。同じスペクトルを有する蛍光タグもまた、蛍光寿命決定によって区別され得る。蛍光寿命とは、所定の発蛍光団の光子の励起と発光との間の時間である。記載されるもののような標準的な発蛍光団については、蛍光寿命は、1ナノ秒〜5ナノ秒のオーダーである。同じ発光スペクトルを有するが異なる寿命を有する2つの発蛍光団を使用することは、系における配列特異的タグの数を多重化するための別のアプローチである。
【0153】
(実施例2:様々な操作トンネルの配列特異的タグ)
示差的なタグ化および高分解能線形分析のための、蛍光に基づかないアプローチの使用は、DNAのような線状分子の、高速での分析および走査のための、走査トンネルチップの使用を包含し得る。この技術を使用する場合、配列特異的タグとしては、金粒子、シリカ粒子、およびナノクリスタルが挙げられ得る。走査トンネルチップは、サイズ分布が可能であるので、示差的タグ化アプローチは、異なる大きさの粒子をプローブ標識として使用し得る。
【0154】
(実施例3:単色励起および多色検出システムと共に使用するために適切な、様々な方の発蛍光団)
単色励起(例えば、単色レーザーシステム)および多色検出器を含むシステムにおいて使用され得る、多数の様々な型の発蛍光団が存在する。例えば、蛍光に基づくアプローチについては、示差的な発光スペクトルに基づいて分光学的に区別され得るタグとしては、Cascade Blue、Alexa染料、Cy染料、テトラメチルローダミン(TAMRA)、ローダミン−6G、赤外染料、Texas RedTM、Oregon Green、フルオレセインが挙げられ、これらの全ては、多数の販売元(Molecular Probes,ORが挙げられるが、これに限定されない)から市販されている。
【0155】
実施例2に言及されたように、大きさもまた、タグを区別するために使用され得る。走査トンネルに基づくアプローチは、大きさに依存するスペクトルを与える半導体ナノクリスタルを使用し得る。例えば、4nmのCdSeナノクリスタルは、3nmのCdSeナノクリスタルとは異なるスペクトル発光を与える。シリカ、金、ラテックスおよびフェリチンの粒子もまた、サイズ弁別システムにおいて使用され得る。異なるタグは、異なる特性(電子的特性、磁気的特性、化学的特性、および生物学的特性が挙げられる)を有し得る。
【0156】
(実施例4:蛍光検出のための実験装置)
DNA分子のような線状ポリマーから配列情報を得るために、種々の実験装置が、本発明の方法と組み合わせて使用され得る。いくつかの実験装置は、PCT公開特許出願WO98/35012およびWO00/09757、ならびに米国特許第6,355,420号に記載されている。これらのアプローチは、DNAを伸長させ、これを複数の励起領域に送達し、そしてDNAの長さに沿った種々の励起領域からの蛍光を検出するために、使用される。適切な他のアプローチは、分子モーターを使用してDNAの鎖を読み取り、依然として、検出システムを使用して、DNAの長さに沿って蛍光を検出する。これらの後者の方法は、分子状の分子(molecular molecule)としてDNAを走査し得るポリメラーゼまたは他の酵素もしくはタンパク質を使用し得る。
【0157】
物理的検出システムとしては、画像化検出、共焦点検出、電気検出、検出の多色方法、近位場分析、およびFRET分析の、CCDに基づく方法が挙げられ得る。他の検出システムとしては、単色照射方法(例えば、単一のレーザー励起波長を使用する狭焦点システム)が挙げられる。単色波長は、各々が異なる発光波長を有する2つの異なる蛍光性実体を励起させる。単色照射システムは、いくつかの例において好ましくあり得る。なぜなら、特に、二重励起系に時々存在する色収差およびパーフォーカルの問題を回避するからである。これらの問題はまた、予め整列された複数の波長(例えば、マルチラインアルゴン−クリプトンレーザーシステムを用いて可能であるような)を使用することによって、二重励起システムにおいて直接克服され得る。複数のレーザー線を結合する光ファイバーもまた、同じ目的を達成し得る。これらの後者のレーザー配置を使用する共焦点検出システムは、本発明の方法において使用するために適切である。
【0158】
(実施例5:多色増強分解を使用する配列問合せ)
多色増強分解方法は、DNAのようなポリマーから配列情報を得るために使用される方法およびプローブセットに適用され得る。プローブの特定の配列がどのように標識されるかに依存して、異なる情報が、DNA分子の鎖から得られ得る。DNA配列分析に関する以下の実施例において、核酸プローブが、配列特異的薬剤として使用される。標的DNA(すなわち、分析されることが意図されるDNA)に対してプローブを結合させることにより、発蛍光団または蛍光色素が、DNAの長さに沿って配置される。本発明の方法は、プローブに蛍光色素または発蛍光団(差異)を導入するか、付着させるかまたは結合させるために、多数の手段または方法を使用する。発蛍光団を核酸プローブに組み込むかまたは結合体化させる方法は、当業者に公知である。従って、この方法は、プローブ標識の方法に依存しないが、但し、このような標識は、標的分子に対するプローブの結合能力を示差的に損なわない。
【0159】
最も簡単なシナリオでは、2つのプローブを用いる標的配列の問い合わせ(interrogation)を、異なる標的配列において方向付けた、差示的に標識したプローブを用いて実施し得る。この例を、図2に示す。図2において、DNAの鎖を、2つの隣接部位において、異なる標識および異なる標的配列に対する特異性を有する2つのプローブと結合させる。この2つの隣接部位は、目的の検出域の分解能以下(sub−resolution)において、互いに関連して配置される。共焦点系において、目的の検出域の分解能以下は、共焦点のλ/2回折限界より低い。光の波長が、532nmである場合、この限界は、266nmまたは782塩基対の情報である。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態において、そして使用する検出系および使用するマーカーの数に依存して、750bp未満、700bp未満、650bp未満、600bp未満、550bp未満、500bp未満、450bp未満、400bp未満、350bp未満、300bp未満、250bp未満、200bp未満、150bp未満、100bp未満、または50bp未満で、互いに分離されたマーカー(従って、単位)を検出することが可能である。
【0161】
第二のシナリオは、同じ配列(従って、同じ標的配列特異性)を有するプローブの使用に関連する。図3は、この状況を例示する。2つの標的部位間の距離は、通常、先行技術において使用されるような光学系の分解限界より低い。この標的分子が、同一の蛍光タグを共有するプローブの溶液に曝される場合、これらのプローブは、その標的分子における隣接標的配列に結合し、そしてそれらの同一の標識のために、分解され得ない。
【0162】
しかし、このプローブの混合物が、2つの異なる標識で標識された等しい数のプローブを含む場合、この空間的制限は、克服される。例えば、50%のプローブ(または蛍光的にタグ化された部位)が、赤色の発蛍光団(Cy5)で標識され、そして50%のプローブが、緑色の発蛍光団(フルオレセイン)で標識される場合、異なる標識化プローブの等モル混合物に起因して、任意の1つの粒子部位に結合された赤色または緑色のいずれかの1つのプローブが存在する可能性は、50%である。このことは、このようなプローブが、2つの隣接部位に結合する方法の、22(すなわち、4)の起こり得る組合せを生じる。2つの隣接部位に結合する、2つの個別に標識されたプローブのこれらの組合せを、図4に例示する。
【0163】
図4に例示するように、起こり得る組合せの半分(すなわち、両方の部位が、緑色標識化プローブによって結合されるか、または両方の部位が、赤色標識化プローブによって結合される組合せ)は、分解されない。しかし、図4に例示される下の2つの組合せは、分解される。これらの組合せにおいて、隣接部位に結合するプローブは、別々に標識され、そして緑色−赤色パターンまたは赤色−緑色パターンのいずれかを提供する。この後者の状況におけるプローブの位置を分解する能力に起因して、DNA分子からの有用な配列情報が得られ得、ハイスループットの直線的分析が可能である。
【0164】
図5は、青色のインターカレート化合物で染色された骨格のさらなる特徴を有する図4のDNA分子から得られ得るシグナルを例示する。シグナル1およびシグナル2は、図4の上の2つのプローブ配置に相当する。シグナル3およびシグナル4は、図4の下の2つのプローブ配置に相当する。シグナル3およびシグナル4は、隣接するタグの二色の増大した分解を可能にし、それ故、これらのプローブ配置のみが、配列情報を導き出す際に、本質的に有用である。それらの同一の配列プローブが、同じ標識で標識される場合、これらのプローブは、これらの間の距離が、空間的分解限界より短い場合、互いに識別され得ない。しかし、異なる標識で標識された同一の配列プローブが使用される場合、これらの隣接部位は、これらの部位(従って結合されたプローブ)間の距離が、空間的分解限界より短い場合でさえ、互いに識別され得る。
【0165】
差示的タグ化によって提供される分解能は、1つの型のタグのみを使用する、従来のタグ化アプローチによって提供される分解能よりかなり高い。Lacosteら(Lacoste,T.D.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.97(17):9461−9466)は、蛍光ベースの検出系を使用して達成され得る、大規模の分解能への見識を提供する。この研究において、Lacosteらは、単一の励起波長で励起された蛍光種と2つの異なる放射で励起された蛍光種との間の高分解能距離間(interdistance)決定を報告する。例えば、蛍光トランスフルオロスフィア(TFS)および半導体ナノ結晶(NC)が、単一のレーザーラインで照射され、そして2つの異なるスペクトル域で放射する粒子が、25nm離れた位置にある場合、識別され得る。分解能の一般的範囲は、LaCosteらの2色画像化アプローチについて25nm〜75nmであった。本発明は、流動ベースの系において固定されるか、または移動するかのいずれかの直鎖DNAの一般的高分解能分析方法を提案する際に、この作業をさらにいくつかの段階に持ち込む。本発明の第二の主要部分は、タグ化ストラテジーの種々の組合せが、差示的タグ化アプローチが、高分解能迅速様式におけるDNAの情報を問い合わせることを可能にすることである。
【0166】
この空間的に分解可能な最小の距離は、約70塩基対の情報に相当する。従って、本発明の方法は、70塩基対間隔において配列情報を決定するために使用され得る。これは、現在の限界である782塩基対間隔を超える大きな改善である。互いに70塩基対の範囲内であるプローブの分解能は、3マーのプローブ間の距離(すなわち、3ヌクレオチド長の無作為に位置付けられたプローブ間の64塩基対)と概算される。本発明の方法を用いて達成され得る分解能はまた、互いに256塩基の範囲内に無作為に位置付けられた4マーのプローブの使用を可能にする。このレベルの分解能は、先行技術の単色分析方法を使用して達成され得ない。
【0167】
図4の例において、プローブの組合せの各々は、25%の存在確立を有する。しかし、これらの組合せの2分の1のみが、役立つ結果を生ずる。しかし、隣接部位の一方のみが、プローブに結合され、そして他方が遊離している(または標識されていない)か、または一方の部位のみがこの系によって検出される場合があるので、この確立は、概算である。プローブの結合は、標的分子に対するプローブの割合を増加させることによって最大にされ得、その結果、プローブの量は、制限的でない。さらに結合効率は、所定のプローブ配列に対応するハイブリダイゼーション条件を最大にすることによって増大され得る。
【0168】
本発明は、プローブの検出効率を増大させるための他のアプローチを企図する。例えば、プローブ混合物の複雑性およびプローブ混合物中に存在する色の数が、増大され得る。1例として、上記の2つの標識の組合せではなく、別々に標識されるが、同一の配列の3つのプローブが、使用され得る。この混合物が、例えば、等しい数の緑色標識化プローブ、赤色標識化プローブおよび青色標識化プローブを含む場合、各プローブは、隣接部位のいずれかに結合する確立を33%で有する(各部位における結合が、他の部位における結合から独立していると仮定する)。このことは、3つの異なるプローブによる2つの隣接部位の結合が、2つの部位を占拠する色の32の起こり得る組合せを生じることに従う。これらの組合せのうちの3つは、分解されない色の組合せである。なぜなら、同じ色のプローブが、両方の部位に結合するからである。しかし、可能な組合せの約67%は、使用可能な情報を生ずる。これは、2色プローブ混合物のみを使用して達成され得る使用可能な組合せの50%を越える増加である。別々に標識されるが、同一の配列の4つのプローブの混合物は、75%の使用可能な起こり得る組合せを生ずる。このプローブ混合物が、100の別々に標識されたプローブを含む場合、99%の起こり得る組合せが、有用な情報を生ずる。従って、本発明は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20、25、30、50、75、100またはそれより多くの別々に標識されたプローブを有するプローブ混合物を含むことを意図する。
【0169】
上記で考察したように、本発明は、種々の長さ(3マー、4マー、5マー、6マーなどが挙げられる)のプローブの使用を企図する。6マーの配列認識タグが使用される場合、任意の所定の配列は、46(すなわち、4096)塩基対ごとに現われることが予測される。ゲノムは、無作為ではないので、標的DNA上の標的配列間の距離範囲(従って、このような標的DNA上の結合されたプローブ間の距離範囲)が存在することが予測される。この範囲は、数個の塩基対〜10000より多い塩基対に及び得る。本明細書中で記載される差示的タグ化系によって提供されるより高い分解能は、互いから4096塩基対の範囲内に現れ得る6マーの配列の分解を可能にする。本発明の高分解能方法は、特にプローブが互いから短い距離の範囲内に配置される場合、DNA分子がチャンネル系を通過する速度を犠牲にしない。実際に、上述のように、互いから70塩基対程度近くに配置されるプローブは、本明細書中に記載される方法を用いて、分解可能であるはずである。
【0170】
例えば、λゲノムが、配列特異的タグGAATTC(6塩基対)を用いて分析される場合、標的部位は、λゲノム中で互いから3530塩基対、4878塩基対、5643塩基対、5804塩基対、7421塩基対、21226塩基対(λDNAの末端タグを含む)引き離されている。この1実施形態において、6マーのプローブまたはタグを引き離し得る広範な距離が存在する。AAGCTTの配列を有する6マーのプローブを使用すると、標的部位は、λゲノム中で互いから2027塩基対、2322塩基対、4361塩基対、6557塩基対、9416塩基対、23130塩基対(λDNAの末端タグを含む)分離されている。本発明の発見以前の3000塩基対分解の空間的分解能である光学系は、多色高分解能分析および異なる色のタグを用いる同部位の差示的標識の使用によって補助される。この標識方法の利点の1つは、このシステムを介するスループットの間に失われるDNA量を低減するその能力である。
【0171】
様々な色の本発明の差示的タグ化方法を使用して、様々な配列を多重化する能力は、標識の単色法と比較して縮小される。さらに、所定の配列のより多数のフラグメントが、単色の方法と同一の結果を達成するために、差示的タグ化方法を使用してサンプリングされる必要がある。重要な実施形態において、1種より多くの色が、特定の配列に割り当てられる。例えば、本明細書中に記載される高分解能方法は、4つの異なる色を使用し、これらの色の2つ以上が、特定の配列に割り当てられる。その際、所定の時間で分析され得る異なる配列の数が、減らされる。単色の方法において、各配列は、異なる色に割り当てられ得、それにより、より多くの配列が、同じ時間で分析され得る。単色の方法の欠点は、この系の分解検出限界の範囲内に置かれた近接する標的配列が、検出されないことである。本発明の高分解能方法を使用すると、より少ない配列しか、所定の時間で分析され得ず、そしてより多くのサンプルの泳動が必要とされるが、より多くの空間的分解が達成され得る。従って、より高い空間的分解が可能になることと、縮小された多重性能と、より高いサンプリングの必要性との間の交換条件(trade−off)が存在する。差示的タグ化の効率のスループット推定値が導き出され、以下に示される。1秒あたり10,000,000塩基対(MB/s)の未処理のDNAの送達スループットを有する単色系を想定すると、1つのヒトゲノムを10倍のカバー倍数(coverage)で分析(すなわち、10コピーのヒトゲノムの分析)するための時間についての計算は、以下のパラメータを考慮に入れる:
【0172】
【表2】
10MB/sデータ速度を使用してゲノムを分析するための全時間は、以下のように計算される:
(ヒトゲノム中の塩基対数)
×(分析するヒトゲノムのコピー数)
÷(スループット速度)
÷(実際にDNAからのデータの収集にかかる時間(%))
÷60÷60
この系のために提供される値を考慮して、単一検出器収集系(すなわち、単色系)において、ヒトゲノムサンプルから、10倍のカバー倍数で情報を収集するには、8.33時間かかる。1つの6マーが使用される状況において、一回の泳動で配列決定され得る核酸の量は、6/4096×(分子またはゲノムの長さ)である。
【0173】
代りにこの系が、少なくとも2つの差示的に標識されたプローブを使用することを想定せよ。この系の光学的分解限界の範囲内に2つより多い標的6マー部位が存在する、有限の可能性がある。光学的検出容量中のプローブの数を決定するために、これらのプローブが、それらの交互性の色スキームにおいて存在する可能性を決定することが必要である。3つの隣接する標識部位および異なって標識される(しかし、同一の配列のプローブである)混合物が存在する状況の例が、図6に示される。光学的プローブ容量内に3つの部位が存在する可能性を決定するために、これらの3つの部位は、交互性の有色プローブによって占拠されなければならない。異なって標識された2つのプローブのみが存在する場合、このことは、23のうちの2(すなわち、8のうちの2)回、または標的DNA分子の25%において起こる。
【0174】
結合効率または検出効率はまた、分析を実施するために必要とされる時間に影響する。この合わされた結合および検出効率が、90%であると仮定すると、3つの部位の全てが占拠される53%の確立が存在する。このことは、標的分子の12.5%が、この容量中に3つの標的部位(および従って、3つの結合されたプローブ)が存在するか否かを決定するために必要とされる、正しいパターンの異なって標識されたプローブによって結合されることを意味する。このことは、10倍のカバー倍数(すなわち、各ゲノムサンプルについて10個の標的分子の分析)が、これらのあまり頻繁でない事象を捕捉するために最低限に十分であることに従う。統計学的に有意なデータを得るために、1ゲノムサンプルあたり10より多いコピーを分析することが必要であり得、そしてこのことは、次に、1ゲノムあたりのより長い分析時間を導く。
【0175】
差示的タグ化を介して達成され得る増強された分解能は、分解能が増強された他の方法(例えば、DNAの近距離(near−field)分析)を用いて達成される分解能に匹敵し得る。共焦点照射領域を通る移行における発蛍光団の実際の特性の試験は、単一の発蛍光団(この1例において)が、1ビン(bin)あたり15〜20の間のカウントを放射することを示す。このDNAは、1μmの概算の共焦点スポットサイズで、10,000μm/秒で移動する。サンプリング速度は、10kHzである。従って、各発蛍光団は、共焦点レーザースポットにおいて、1ビン幅または10μsを費やす。スポットサイズを減少させることによって、本発明らは、捕捉されたシグナルを比例的に減少させる。例えば、本発明らが、近距離分析を使用して、照射領域を200nmにまで減少させることを想定せよ。これは、20%照射領域である。DNAの通過速度は、蛍光プローブがこの系によって捕捉されることを確実にするために、5倍低減されなければならない。あるいは、個々の発蛍光団のこの系の通過が捕捉されることを確実にするために、サンプリング速度が、50kHzにまで増大され得る。サンプリング速度における5倍の増大は、減少したシグナル捕捉速度(1ビンあたり3〜4カウント)を導く。より小さい容量を使用する際の交換条件としては、減少した信号雑音比および/または減少したスループット速度が挙げられる。
【0176】
対照的に、本発明の差示的タグ化方法は、異なるセットの交換条件に関与する。信号雑音比およびまた潜在的にはDNA分子のスループット通過速度は、低減されない。代りに、プローブから同じ統計学的に有意な位置情報を得るために、多数の分子が分析されるべきであることが推定される。この分析は、先の例(ここで、この集団セットにおける同一の統計値を得るために、このサンプルは、10倍より大きい重複性で分析されることを必要とする。小さいサンプルサイズ(例えば、数十MB(million base−pair:1,000,000塩基対)までの小さいゲノムの分析)において、このアプローチは、高い分解能に適している。このアプローチはまた、より低い統計値における交換条件が重要でない場合に、非常により大きなゲノムに適切であり得る。図7は、この系を通るλ分子の電気泳動によって検出されるシグナルを例示する。このλ分子は、2つの部位において標識され、そして2つの検出領域(1つは、骨格標識用であり、そして1つはプローブ用である)が存在する。
【0177】
(実施例6:配列の高分解能決定のための走査ベースの方法)
差示的標識を用いるDNAのタグ化の上記方法はまた、DNA分子の定型の方法に当てはまる。これらの後者の方法において、DNAは、差示的にタグ化され、次いで、走査または画像化される。蛍光ベースの系において、例えば、この系の光学的分解能の範囲内の3つの部位を分解する上記の例は、図8で示されるような代表的な画像を提供する。
【0178】
この1例において、3つの同時の画像が、このサンプルから生じるスペクトル的に分けられたシグナルから捕捉される。次いで、この画像が、オーバーレイされ、そして空間的位置が、光学的に検出可能でない(sub−optical)分解能の精度で決定される。配列特異的タグからの放射の各々の中心および中心−中心距離間隔が、細くされた画像から決定される。標的部位に結合された異なる組合せの蛍光タグを有する分子を表す画像において、分子集団が存在することが予測される。上記の画像において、RRR、GGG、RGR、GRG、RRGなど(ここでR=赤色、そしてG=緑色)が存在することが予測される。交互性のパターンの差示的にタグ化されたタグを有する、十分に多くの分子を得るために、十分に多くの分子が、サンプリングされるべきである。交互性のパターンは、光学的分解限界の範囲内のタグの数の逆重畳積分を可能にする。
【0179】
(同義語)
前記の詳述は、当業者が本発明を実行することを可能にするに十分であると見なされるべきである。本明細書中に開示される実施例は、単に、本明細書中で可能にされるような特定の実施形態の例示として意図されるので、本発明を制限するように解釈されるべきでない。従って、本明細書中に記載される系と機能的に等価である系は、本明細書に特許請求の精神および添付される特許請求の範囲内である。実際、本明細書中に示され、そして記載される本発明の改変に加えて、本発明の種々の改変が、前述の説明から当業者に明らかとなり、そしてこれらは、添付の特許請求の範囲に入る。
【0180】
本特許出願において引用される全ての参考文献、特許、および特許出願は、本明細書中にそれらの全体が参考として援用される。
【0181】
以下の図は、添付される特許請求の範囲の実施可能性に必要でないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】図1は、空間的分解に対する、異なる標識と結合体化した単位特異的マーカーの効果 対 同一の標識と結合体化した単位特異的マーカーの効果を図示する略図である。単位特異的マーカーの両方が同じ標識(例えば、グリーン蛍光分子)と結合体化される場合、いずれかからのシグナルは、他を超えて分解され得ない。しかし、単位特異的マーカーが異なる標識(例えば、一方にグリーン蛍光分子および他方にレッド蛍光分子)と結合体化される場合、いずれかからのシグナルは、他を超えて分解され得る。さらに、この図は、(異なる標識を使用する場合、達成可能である)区別可能なシグナルピーク間の時間が、ポリマー上の単位特異的マーカーの位置間の距離を示すことを示す。
【図2】図2は、分析される標的ポリマー上の異なる標的配列(すなわち、ユニット)に対する特異性を有する単位特異的マーカーの結合を図示する略図である。単位特異的マーカーは、異なる標識と結合体化される(例えば、標的配列Aに対する結合特異性を有する単位特異的マーカーは、レッド蛍光分子で標識され、そして標的配列Bに対する結合特異性を有する単位特異的マーカーは、グリーン蛍光分子で標識される)。
【図3】図3は、分析される標的ポリマー上の同一標的配列(すなわち、ユニット)に対して特異的な単位特異的マーカーの結合を図示する略図である。単位特異的マーカーは同一の標識と結合体化される(例えば、単位特異的マーカーの両方が、標的配列Aに対する結合特異性を有し、そして両方がグリーン蛍光分子で標識される)。
【図4】図4は、2つの隣接する標的配列を有する標的ポリマーに対して同一の結合特異性を有する同一の単位特異的マーカーの混合物の結合を図示する略図である。この場合、混合物中の50%の単位特異的マーカーが、グリーン蛍光分子で標識され、そして残っている50%がレッド蛍光分子で標識される。特定の標識が単位特異的マーカーの結合特異性に対して効果を有さないと想定して、各単位特異的マーカーは、等しい確率で両方の標的配列に結合し得る。従って、25%の標的ポリマーは、グリーン蛍光分子で標識された2つの単位特異的マーカーの両方に結合し、そして25%の標的ポリマーは、レッド蛍光マーカーで標識された2つの単位特異的マーカーの両方に結合する。この方法で、結合される標的ポリマーは、それら自体において、およびそれら自体の有用な情報を提供しない。なぜなら、同一シグナルは空間的分解内の距離で分解可能でないからである。しかし、情報は、差示的に標識された単位特異的マーカーに結合する残りの50%の標的ポリマーから誘導され得る。これらの後者の場合の半分において、標的ポリマーは、グリーン蛍光の単位特異的マーカーおよびレッド蛍光の単位特異的マーカーに連続して結合する。残りの半分(すなわち、全標的ポリマーの25%)の場合において、標的ポリマーは、レッド蛍光の単位特異的マーカーおよびグリーン蛍光の単位特異的マーカーに連続して結合する。例え差示的に標識された単位特異的マーカーが、システムの空間的分解よりも密接に位置されても、差示的に標識された単位特異的マーカーは、互いから分解され得る。
【図5】図5は、図4のように標識された標的ポリマーからのシグナルアウトプットの略図である。この図はまた、核酸ポリマーの骨格に結合するブルー蛍光インターカレーター(intercalator)から得られたブルーシグナルを示す。図4に示されるように、標的ポリマー1および2は、単一の区別不能(すなわち、非分解可能)なシグナルを放射する。一方、標的ポリマー3および4は、本発明の方法を使用して分解され得るわずかに重なるシグナルを放射する。標的ポリマー3および4についての単位特異的マーカー(および対応するユニット)の位置を分解する能力は、より多くの配列情報(特に先行技術の方法の空間的分解の限定内で位置される単位特異的マーカー(および対応するユニット)について)が回収されることを可能にする。
【図6】図6は、3つの隣接する標的配列(すなわち、ユニット)を有するポリマーに沿った、差示的に標識された単位特異的マーカーの結合の略図である。この図は、隣接する単位特異的マーカーが異なる蛍光標識に結合体化される、単位特異的マーカーの最適な結合パターンを示す。ポリマーが3つの隣接するユニットを有し、そして同一の単位特異的マーカーの半分がグリーン蛍光分子で標識され、そして残りの半分がレッド蛍光分子で標識される状況において、8つの可能な結合パターンが存在し、これらの2つ(すなわち、25%)のみが、分解可能な配列情報を生じる。2つの最も有用な結合パターンは、この図に示される。
【図7】図7は、2つのユニットで結合したλDNAの通過から生じるデータの略図である。λDNAは、2つの検出領域を通過する。第一の検出領域は、DNAからの骨格情報およびプローブ情報を補捉する。第二の検出領域は、第一の検出領域からの固定された距離での骨格情報を補捉する。
【図8】図8は、2つのレッド標識化単位特異的マーカー、1つのグリーン標識化単位特異的マーカーおよびポリマーの骨格に沿うブルーインターカレーターに結合するポリマー(例えば、核酸)からの検出パターンの略図である。この図は、個々の画像または3つの異なる検出器システムを使用して得られ得る空間的に規定されたシグナルを示す。この図は、ポリマーの長さに沿う両方の標識の位置付けを示す合成画像に達するために、これらの個々の画像をオーバーレイする能力をさらに示す。
Claims (57)
- ポリマーを分析するための方法であって、該方法は、以下:
a)既知の検出分解能を有する検出ステーションを提供する工程
b)第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーを用いて該ポリマーを標識する工程であって、該第一の単位特異的マーカーは、第一の標識を含み、そして該第二の単位特異的マーカーは、第一の標識とは別個の第二の標識を含み、ここで、該第一の単位特異的マーカーと該第二の単位特異的マーカーとが、ポリマー上で間隔を空けられており、その結果、該標識が、互いに別個でなくても、該標識が、検出分解能未満の距離により分離される、工程;
c)工程(b)におけるように標識した該ポリマーを、該検出ステーションに曝して、該第一の標識および該第二の標識から生じる別個の第一のシグナルおよび第二のシグナルを発生させる工程;ならびに
d)該別個の第一のシグナルおよび第二のシグナルを同定する工程、
を包含する、方法。 - 前記第一の単位特異的マーカーが、前記第二の単位特異的マーカーと異なる、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーが、前記第二の単位特異的マーカーと同一である、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーと前記第二の単位特異的マーカーとが、互いに直ぐ近傍に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーと前記第二の単位特異的マーカーとが、少なくとも2単位だけ、互いに空間的に離れている、請求項1に記載の方法。
- 前記ポリマーが、第三の標識を含む第三の単位特異的マーカーで標識されている、請求項1に記載の方法。
- 前記第三の単位特異的マーカーが、既知の検出分解能より長い距離だけ、前記第一の単位のマーカーおよび第二の単位のマーカーから間隔を空けられている、請求項6に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが、核酸分子である、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが、ペプチド核酸分子または固定された核酸分子である、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーと前記第二の単位特異的マーカーとが、同一のヌクレオチド配列である、請求項8に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが、12塩基長より短い、請求項8に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが、少なくとも4塩基長である、請求項8に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記第一の標識および第二の標識が、独立して、電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子、半導体ナノクリスタル、半導体ナノ粒子、コロイド状金ナノクリスタル、配位子、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性分子、量子ドット、クロモジェニック基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、核酸、糖、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質からなる群より選択される、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記シグナルが、電子スピン共鳴(ESR)検出システム、電荷結合素子(CCD)検出システム、蛍光検出システム、電気的検出システム、電磁気的検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡(AFM)検出システム、走査型トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近距離場検出システム、および内部全反射(TIR)検出システムからなる群より選択される検出システムを用いて検出される、方法。
- 前記ポリマーが、核酸分子である、請求項1に記載の方法。
- 前記ポリマーが、ゲノムDNAである、請求項1に記載の方法。
- 前記ポリマーが、標識を含む骨格を含む、請求項1に記載の方法。
- 連結された単位のポリマーを光学的に分析するためのシステムであって、該システムは、以下:
a)既知の波長の光放射を出力するための光源;
b)光路中で光放射を受け、連続的に、光放射に曝されたポリマーの単位を受容して検出可能なシグナルを発生させる相互作用ステーション;
c)該検出可能なシグナルの少なくとも2つの別々の波長のバンドを作製するための、光路中の二色性反射器;
d)該単位と該光放射との相互作用から生じたシグナルを含む放射光を検出するように構築された光学的検出器;および
e)該ポリマーを、該シグナルを含む該検出された放射光に基づき分析するように構築および構成されたプロセッサ、
を備える、システム。 - 前記ポリマーの単位が、少なくとも2つの放射光感受性標識で標識されている、請求項18に記載のシステム。
- 前記相互作用ステーションが、1nm〜500nmの範囲のスリット幅を有するスリットを備え、該スリットが、局在化した放射スポットを形成する、請求項18に記載のシステム。
- 前記スリット幅が、10nm〜100nmの範囲にある、請求項20に記載のシステム。
- 請求項18に記載のシステムであって、ここで、前記相互作用ステーションが、マイクロチャネルおよびスリットを備え、該スリットは、前記局所化された放射スポットを形成するように構成されたサブミクロンの幅を有し、該マイクロチャネルは、該局在化された放射スポットを通る前記ポリマー単位を受容し、そして前進させるように構成される、システム。
- 請求項21に記載のシステムであって、該システムは、偏光器をさらに備え、そしてここで、前記光源が、放射光のビームを出力するように構築されたレーザーを備え、該偏光器が、前記スリットに到達する前に、該ビームを偏光するように構成されている、システム。
- 前記偏光器が、前記スリットの幅に平行にビームを偏光するように構成された、請求項21に記載のシステム。
- 連結された単位のポリマーを分析するための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)マイクロチャネルを提供する工程;
b)既知の波長の光放射を発生させて、該マイクロチャネルに局所化された放射スポットを作製する工程であって、該マイクロチャネルが、既知の検出分解能を有する検出ステーションを規定する、工程;
c)該ポリマーを、第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーを用いて標識する工程であって、該第一の単位特異的マーカーは、第一の標識を含み、該第二の単位特異的マーカーは、該第一の標識とは別個の第二の標識を含み、ここで、該マーカーは、該ポリマー上で、間隔を空けられており、その結果、該標識が、互いに別個でなくても、該標識が、該検出分解能より短い距離だけ分離される、工程;
d)該第一の標識および該第二の標識を、該局所化された放射スポットに連続的に曝す工程;
e)該第一の標識および該第二の標識と該局所化された放射スポットとの相互作用により生じた少なくとも2つの別個の波長のバンドの放射光を連続的に検出する工程;ならびに、
f)該検出された波長のバンドを用いて該ポリマーを分析する工程、
を包含する、方法。 - 電場を適用して、前記マイクロチャネルを通って前記ポリマーを移動させる工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
- 圧力を適用して、前記マイクロチャネルを通って前記ポリマーを移動させる工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
- 吸引を適用して、前記マイクロチャネルを通って前記ポリマーを移動させる工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
- 請求項25に記載の方法であって、前記第一の標識および第二の標識が、独立して、電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子、半導体ナノクリスタル、半導体ナノ粒子、コロイド状金ナノクリスタル、配位子、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性分子、量子ドット、クロモジェニック基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、核酸、糖、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質からなる群より選択される、方法。
- 前記第一の標識および第二の標識が、発蛍光団である、請求項25に記載の方法。
- 前記検出する工程が、前記第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが該マイクロチャネルを通って移動する間に、前記第一の標識および前記第二の標識から生じる前記第一のシグナルおよび前記第二のシグナルを収集することを含む、請求項25に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーが、前記第二の単位特異的マーカーと異なる、請求項25に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーが、前記第二の単位特異的マーカーと同一である、請求項25に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーと前記第二の単位特異的マーカーとが、互いに対して直ぐに近傍に位置する、請求項25に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーと前記第二の単位特異的マーカーとが、少なくとも2単位だけ、互いに空間的に離れている、請求項25に記載の方法。
- 前記ポリマーが、第三の標識を含む第三の単位特異的マーカーで標識されている、請求項25に記載の方法。
- 前記第三の単位特異的マーカーが、最小の検出分解能より長い距離だけ、前記第一の単位のマーカーおよび第二の単位のマーカーから間隔を空けられている、請求項36に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが、核酸分子である、請求項25に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが、ペプチド核酸分子または固定された核酸分子である、請求項25に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーと前記第二の単位特異的マーカーとが、同一のヌクレオチド配列を有する、請求項38に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが、12塩基長より短い、請求項38に記載の方法。
- 前記第一の単位特異的マーカーおよび第二の単位特異的マーカーが、少なくとも4塩基長である、請求項38に記載の方法。
- 請求項25に記載の方法であって、前記第一の標識および第二の標識が、独立して、電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子、半導体ナノクリスタル、半導体ナノ粒子、コロイド状金ナノクリスタル、配位子、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性分子、量子ドット、クロモジェニック基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、核酸、糖、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質からなる群より選択される、方法。
- 請求項25に記載の方法であって、前記シグナルが、電子スピン共鳴(ESR)検出システム、電荷結合素子(CCD)検出システム、蛍光検出システム、電気的検出システム、電磁気的検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡(AFM)検出システム、走査型トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近距離場検出システム、および内部全反射(TIR)検出システムからなる群より選択される検出システムを用いて検出される、方法。
- 前記ポリマーが、核酸分子である、請求項25に記載の方法。
- 前記ポリマーが、ゲノムDNAである、請求項25に記載の方法。
- 前記ポリマーが、標識を含む骨格を含む、請求項25に記載の方法。
- ポリマーを分析するための方法であって、該方法は、
1セットの単位特異的マーカーを用いてポリマーを標識する工程であって、ここで、該セットの各々の単位特異的マーカーは、該ポリマー内の同一の配列の単位を認識し、それに結合し、そしてここで、各々の単位特異的マーカーは、少なくとも2つ別個の標識のうち1つで標識されている、工程、および
該標識から生じるシグナルを検出して、該ポリマーを分析する工程、
を包含する、方法。 - 前記単位特異的マーカーの約50%が、第一の標識で標識されており、そして該単位特異的マーカーの約50%が、第二の標識で標識されている、請求項48に記載の方法。
- 各々の単位特異的マーカーが、少なくとも3つの別個の標識のうちの1つで標識されている、請求項48に記載の方法。
- 各々の単位特異的マーカーが、少なくとも4つの別個の標識のうちの1つで標識されている、請求項48に記載の方法。
- 前記単位特異的マーカーが、核酸分子である、請求項48に記載の方法。
- 前記単位特異的マーカーが、ペプチド核酸分子または固定された核酸分子である、請求項48に記載の方法。
- 前記単位特異的マーカーが、同一の配列を有する、請求項52に記載の方法。
- 前記単位特異的マーカーが、12塩基長より短い、請求項52に記載の方法。
- 請求項48に記載の方法であって、前記標識が、電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子、半導体ナノクリスタル、半導体ナノ粒子、コロイド状金ナノクリスタル、配位子、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性分子、量子ドット、クロモジェニック基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、核酸、糖、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメント、および脂質からなる群より選択される型の標識である、方法。
- 前記別個の標識が、異なる型の標識である、請求項48に記載の方法。
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